説明

撮像素子、撮像装置及び生体撮像装置

【課題】最適な分光特性を創出できる撮像素子、撮像装置、または生体撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像素子は、フォトダイオード111と、フォトダイオード111の上方であって相異なる平面位置にそれぞれ配置される、第1のカラーフィルタ112−UL及び第2のカラーフィルタ112−URと、第1のカラーフィルタ112−ULの上方に配置される第1のオンチップレンズ113−ULと、第2のカラーフィルタ112−URの上方に配置される第2のオンチップレンズ113−URとを含む画素単位を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、撮像素子、撮像装置及び生体撮像装置に関し、特に、最適な分光特性を創出できる、撮像素子、撮像装置及び生体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子内の画素は、一般的に、1つのフォトダイオードに、1つのカラーフィルタおよび1つのオンチップレンズが配置される構成を取っている(例えば、特許文献1参照)。その他、例えば、複数のフォトダイオードに1つのカラーフィルタが配置され、当該複数のフォトダイオードからの出力が加算される構成の画素も存在する(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−232595号公報
【特許文献2】特開2010−28423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2の構成の画素では、フォトダイオードに集光される光の分光特性は、当該フォトダイオード上に配置されるカラーフィルタの分光特性により決定される。このため、S/N比(Signal to Noise Ratio)や色再現性の改善のためには、新たなカラーフィルタの開発が求められる。しかしながら、新たなカラーフィルタの開発には多大な時間とコストを要する。また、新たなカラーフィルタの材料開発だけでは、各画素のフォトダイオードに集光される光の分光特性を、用途に合わせた最適なものとすることは困難であった。このため、カラーフィルタの材料開発のみに依存しない、最適な分光特性を創出する手法が要求されている状況である。
【0005】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、最適な分光特性を創出できるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の一側面の撮像素子は、フォトダイオードと、前記フォトダイオードの上方であって異なる平面位置にそれぞれ配置される、第1のカラーフィルタ及び第2のカラーフィルタと、前記第1のカラーフィルタの上方に配置される第1のオンチップレンズと、前記第2のカラーフィルタの上方に配置される第2のオンチップレンズとを含む画素単位を備える。
【0007】
前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタは、それぞれ異なる分光特性を有することができる。
【0008】
前記画素単位は、前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタのそれぞれの分光特性の合成結果に応じたレベルの電気信号を出力することができる。
【0009】
前記フォトダイオードは、前記第1のカラーフィルタの下方に配置される第1のフォトダイオードと、前記第2のカラーフィルタの下方に配置される第2のフォトダイオードとを含み、前記画素単位から出力される、前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタのそれぞれの分光特性に応じたレベルの電気信号が加算されることができる。
【0010】
前記画素単位は、前記第1のフォトダイオードと前記第2のフォトダイオードとからそれぞれ出力される電気信号を加算する共通フローティングディフュージョンをさらに設けることができる。
【0011】
前記第1のフォトダイオードと前記第2のフォトダイオードとからそれぞれ出力される前記電気信号は、それぞれ個別に設定されたゲインで増幅されていることができる。
【0012】
前記第1のフォトダイオードと前記第2のフォトダイオードは、電荷の蓄積時間がそれぞれ個別に設定されることができる。
【0013】
前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタは、赤外光を透過する特性を有していることができる。
【0014】
前記画素単位は、前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタの他、1以上のカラーフィルタからなるカラーフィルタ群と、前記第1のオンチップレンズと前記第2のオンチップレンジの他、1以上のオンチップレンズであって、前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタの他、1以上の前記カラーフィルタの上方に配置されるオンチップレンズからなるオンチップレンズ群とを含むことができる。
【0015】
前記画素単位は、前記カラーフィルタ群のそれぞれの分光特性の合成結果に応じたレベルの電気信号を出力することができる。
【0016】
前記フォトダイオードは、前記カラーフィルタ群の各々の下方に配置されるフォトダイオード群からなり、前記画素単位から出力される、前記カラーフィルタ群のそれぞれの分光特性に応じたレベルの電気信号が加算されることができる。
【0017】
前記画素単位は、前記フォトダイオード群からそれぞれ出力される電気信号を加算する共通フローティングディフュージョンをさらに設けることができる。
【0018】
前記フォトダイオード群からそれぞれ出力される前記電気信号は、それぞれ個別に設定されたゲインで増幅されていることができる。
【0019】
前記フォトダイオード群は、電荷の蓄積時間がそれぞれ個別に設定されることができる。
【0020】
前記カラーフィルタ群の各々は、赤外光を透過する特性を有していることができる。
【0021】
前記フォトダイオードの上方には導波路が形成されることができる。
【0022】
前記フォトダイオードからの出力形態は、前記撮像素子の内部又は外部の制御によって選択的に切り替えられる複数の種類が存在することができる。
【0023】
本技術の一側面の撮像装置は、フォトダイオードと、前記フォトダイオードの上方であって異なる平面位置にそれぞれ配置される、第1のカラーフィルタ及び第2のカラーフィルタと、前記第1のカラーフィルタの上方に配置される第1のオンチップレンズと、前記第2のカラーフィルタの上方に配置される第2のオンチップレンズとを含む画素単位を備える撮像素子を搭載している。
【0024】
本技術の一側面の生体撮像装置は、フォトダイオードと、前記フォトダイオードの上方であって異なる平面位置にそれぞれ配置される、第1のカラーフィルタ及び第2のカラーフィルタと、前記第1のカラーフィルタの上方に配置される第1のオンチップレンズと、前記第2のカラーフィルタの上方に配置される第2のオンチップレンズとを含む画素単位を備える撮像素子を搭載した撮像装置を含み、前記撮像装置は、生体を被写体として撮像する。
【0025】
本技術の一側面の撮像素子においては、フォトダイオードと、前記フォトダイオードの上方であって異なる平面位置にそれぞれ配置される、第1のカラーフィルタ及び第2のカラーフィルタと、前記第1のカラーフィルタの上方に配置される第1のオンチップレンズと、前記第2のカラーフィルタの上方に配置される第2のオンチップレンズとが含まれる画素単位が備えられる。
【0026】
本技術の一側面の撮像装置においては、フォトダイオードと、前記フォトダイオードの上方であって異なる平面位置にそれぞれ配置される、第1のカラーフィルタ及び第2のカラーフィルタと、前記第1のカラーフィルタの上方に配置される第1のオンチップレンズと、前記第2のカラーフィルタの上方に配置される第2のオンチップレンズとが含まれる画素単位が備えられる撮像素子が搭載されている。
【0027】
本技術の一側面の生体撮像装置においては、フォトダイオードと、前記フォトダイオードの上方であって異なる平面位置にそれぞれ配置される、第1のカラーフィルタ及び第2のカラーフィルタと、前記第1のカラーフィルタの上方に配置される第1のオンチップレンズと、前記第2のカラーフィルタの上方に配置される第2のオンチップレンズとが含まれる画素単位が備えられる撮像素子が搭載された撮像装置が含まれ、前記撮像装置により、生体が被写体として撮像される。
【発明の効果】
【0028】
以上のごとく、本技術によれば、最適な分光特性を創出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】一般的な構成の画素単位の断面図である。
【図2】N分割画素単位の上面図である。
【図3】本技術の手法により構成された単一画素単位の構成例を示す図である。
【図4】本技術の手法により,構成されたN分割画素単位の構成例を示す図である。
【図5】フォトダイオードから出力される光の分光特性を示す図である。
【図6】同一の平面位置に積層されて配置される複数のカラーフィルタを含む単一画素単位の構成例を示す図である。
【図7】同一の空間位置に積層されて配置される複数のカラーフィルタを含む単一画素単位のフォトダイオードから出力される光の分光特性を示す図である。
【図8】本構成の画素単位のフォトダイオードから出力される光の分光特性を示す図である。
【図9】オンチップレンズの配置について説明する図である。
【図10】導波路が設置された本構成の単一画素単位の構成例を示す図である。
【図11】第1の加算の手法が適用されたN分割画素単位の構成例を示す図である。
【図12】フォトダイオードから出力される光の分光特性を示す図である。
【図13】第2の加算の手法が適用されたN分割画素単位の構成例を示す図である。
【図14】小画素毎に蓄積時間が変えられた本構成のN分割画素単位について説明する図である。
【図15】3つのカラーフィルタが配置された本構成のN分割画素単位の上面図である。
【図16】フォトダイオードから出力される光の分光特性を示す図である。
【図17】赤外光カラーフィルタが配置された本構成のN分割画素単位構成例を示す図である。
【図18】I用カラーフィルタとJ用カラーフィルタの分光特性を示す図である。
【図19】生体情報取得装置の構成例を示す図である。
【図20】本技術を適用した撮像装置の主な構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本技術の実施の形態について説明する。
【0031】
はじめに、イメージセンサを構成する一般的な画素について説明する。ここで、イメージセンサの受光面を上面とし、当該受光面の反対側の面を下面として、当該受光面の法線と平行な方向を上下方向、受光面と平行な方向を横方向として、以下説明する。
【0032】
[一般的な構成の画素]
図1は、一般的な構成の画素単位の断面図である。
【0033】
画素単位とは、画素としてのフォトダイオードに加え、カラーフィルタ、オンチップレンズ等の構成要素からなる構造体をいう。画素単位の代表的な種類として、次の2つの種類が存在する。
【0034】
1種類目は、画素としてのフォトダイオードを1個有する画素単位である。このような画素単位を、以下、単一画素単位と称する。2種類目は、画素としてのフォトダイオードをN(Nは2以上の整数値)個有する画素単位である。このような画素単位を、以下、N分割画素単位と称する。
【0035】
図1Aに示される単一画素単位10は、1つのフォトダイオード21に対して、緑用カラーフィルタ22およびオンチップレンズ23が下方からその順に積層されて構成される。なお、図示はしないが、フォトダイオード21と緑用カラーフィルタ22との間には、光を透過する平坦化膜等が配置される場合がある。
【0036】
オンチップレンズ23に入射された光は、緑用カラーフィルタ22を透過して、フォトダイオード21に集光され、入射する。より正確には、緑用カラーフィルタ22において、オンチップレンズ23から射出された光のうち、特定の波長帯域(すなわち、緑色の波長帯域)の光だけが透過して、フォトダイオード21に入射する。フォトダイオード21は、入射した光の量、すなわち受光量に応じたレベルの電気信号を出力する。なお、ここでは説明の都合上、単一画素単位10に配置されるカラーフィルタを緑用カラーフィルタ22としたが、カラーフィルタの色は特に限定されない。
【0037】
図1Bに示されるN(=2)分割画素単位30は、隣接する2つのフォトダイオード41−1,41−2の組に対して、緑用カラーフィルタ42およびオンチップレンズ43が下方からその順に積層されて構成されている。なお、N分割画素単位30に配置されるフォトダイオードの数は2個に限定されない。
【0038】
オンチップレンズ43に入射された光は、緑用カラーフィルタ42を透過して、フォトダイオード41−1,41−2に集光され、入射する。より正確には、緑用カラーフィルタ42において、オンチップレンズ43から射出された光のうち、特定の波長帯域(すなわち、緑色の波長帯域)の光だけが透過して、フォトダイオード41−1,41−2に入射する。フォトダイオード41−1,41−2のそれぞれは、入射した光の量、すなわち受光量に応じたレベルの電気信号のそれぞれを出力する。
【0039】
N分割画素単位30においては、N個のフォトダイオードのそれぞれの受光量に応じたレベルのすべてが加算されたレベルを有する電気信号が出力される。N分割画素単位30の出力について図2を参照して説明する。
【0040】
[N分割画素単位の出力]
図2は、N=4の場合のN分割画素単位の上面図である。N個のフォトダイオードのそれぞれの電気信号の加算の手法には、2つの手法がある。図2Aは、第1の加算の手法が適用されたN分割画素単位の上面図である。図2Bは、第2の加算の手法が適用されたN分割画素単位の上面図である。なお、図2の上面図においては、オンチップレンズ43と緑用カラーフィルタ42の図示は省略されている。
【0041】
図2Aに示されるように、第1の加算の手法が適用されたN分割画素単位30には、フォトダイオード41−1乃至41−4が配置されている。また、フォトダイオード41−1乃至41−4の中心部の位置には、共通フローティングディフュージョン(以下、共通FDと称する)部51が配置されている。
【0042】
第1の加算の手法によれば、フォトダイオード41−1乃至41−4の各受光量に応じた各レベルの電気信号のそれぞれが、共通FD部51にそれぞれ転送される。そして、共通FD部51においてすべての電気信号の加算信号、すなわち各レベルが総加算されたレベルを有する電気信号が出力される。このように、第1の加算の手法においては、N個のフォトダイオードのそれぞれの電気信号がすべて加算されてから、出力される。
【0043】
また、図2Bに示されるように、第2の加算の手法が適用されたN分割画素単位30においても、図2Aと同様に、フォトダイオード41−1乃至41−4が配置されている。また、フォトダイオード41−1乃至41−4のそれぞれには、個別フローティングディフュージョン(以下、個別FDと称する)部61−1乃至61−4が配置されている。
【0044】
第2の加算の手法によれば、フォトダイオード41−1乃至41−4の各受光量に応じたレベルの電気信号は、個別FD部61−1乃至61−4のそれぞれに転送される。そして、個別FD部61−1乃至61−4から個々に出力された電気信号の全てが、図示せぬ画像信号読み出し部において加算される。このように第2の加算の手法においては、N個のフォトダイオードのそれぞれの電気信号が出力されてから、加算される。
【0045】
N分割画素単位においては、第1の加算の手法と第2の加算の手法のどちらが適用されても、N個のフォトダイオードのそれぞれの受光量に応じたレベルのすべてが加算されたレベルを有する電気信号が出力されるので、最終的に1つの画素の電気信号となる。
【0046】
このように、一般的な構成の単一画素単位10とN分割画素単位30においては、どちらも1つのカラーフィルタと1つのオンチップレンズが配置される。
【0047】
ところで、各フォトダイオードに集光される光の分光特性は、各フォトダイオードの上に配置されるカラーフィルタの分光特性により決定される。このため、S/N比や色再現性の改善のためには、新たなカラーフィルタの開発が求められている。しかしながら、上述したように、新たなカラーフィルタの開発には多大な時間とコストを要する。また、新たなカラーフィルタの材料開発だけでは、各画素のフォトダイオードに集光される光の分光特性を、用途に合わせた最適なものとすることは困難である。
【0048】
一方、色再現性を重視したエメラルド画素を有する撮像素子が存在する。エメラルド画素を有する撮像素子は、従来のR画素,G画素,B画素の3原色の画素を有する撮像素子に対して、G画素の割合を減らしてその分だけエメラルド画素を追加することで4原色の画素構成を備える撮像素子である。エメラルド画素を有する撮像素子においては、従来の撮像素子に比較して上述のごとくG画素が減少しているので、その分だけ解像度が劣化する場合がある。
【0049】
また、R画素,G画素,B画素の各画素値から、光源推定を行う技術が従来から存在する。しかしながら、白色LED等の新たな光源が増えてきており、光源の推定の難易度が高くなってきている。
【0050】
そこで、本発明者は、1つの画素単位内の異なる平面位置に、複数のカラーフィルタおよび複数のオンチップレンズを下方から順に積層する、という手法を開発した。ここで、平面位置とは、イメージセンサの受光面と平行な2次元平面上の位置であり、イメージセンサの画素位置を示す座標で特定される位置をいう。このような手法を、以下、本技術の手法と称すると、本技術の手法を適用することで、最適な分光特性を創出できる。
【0051】
図3と図4を用いて、本技術の手法により構成された単一画素単位とN分割画素単位について説明する。
【0052】
[本技術の手法により構成された単一画素単位]
図3は、本技術の手法により構成された単一画素単位の構成例を示す図である。図3の左側には、一般的な構成の単一画素単位10が示されており、図3の右側には、本技術の手法により構成された単一画素単位100が示されている。
【0053】
図3の左上の図は、隣接する4つの一般的な構成の単一画素単位10乃至13の集合体の上面図である。なお、図3以降に示される上面図においては、オンチップレンズの図示は省略されている。単一画素単位10には、緑用カラーフィルタ22が配置されている。単一画素単位11には、青用カラーフィルタ25が配置されている。単一画素単位12には、赤用カラーフィルタ26が配置されている。単一画素単位13には、緑用カラーフィルタ27が配置されている。
【0054】
図3の左下の図は、一般的な構成の単一画素単位10の線L−L’における断面図である。一般的な構成の単一画素単位10は、図1Aを参照して説明したように、1つのフォトダイオード21に対して、1つの緑用カラーフィルタ22および1つのオンチップレンズ23が、下方からその順に積層されて構成される。
【0055】
このような一般的な構成の単一画素単位10,13に対して、本技術の手法が適用されると、図3の右側に示す構成の単一画素単位100、103(以下、本構成の単一画素単位100、103と称する)が実現される。すなわち、単一画素単位10,13に配置された1つの緑用カラーフィルタ22,27をそれぞれ4分割し、4分割された緑用カラーフィルタ22,27のそれぞれを1対1の割合の数(すなわち2個ずつ)のA用カラーフィルタとB用カラーフィルタに置き換える。これにより、1つの画素単位内の異なる平面位置に、複数のカラーフィルタが配置される。
【0056】
図3の右上の図は、本構成の単一画素単位100,103、および一般的な構成の単一画素単位101,102の集合体の上面図である。
【0057】
本構成の単一画素単位100には、A用カラーフィルタ112−UL,112−DR、およびB用カラーフィルタ112−UR,112−DLが配置されている。ここで、A用カラーフィルタとは、オンチップレンズから射出された光のうち、A色の波長帯域の光だけを透過するフィルタをいう。一方、B用カラーフィルタとは、オンチップレンズから射出された光のうち、A色の波長帯域とは異なるB色の波長帯域の光だけを透過するフィルタをいう。なお、A用カラーフィルタとB用カラーフィルタは、一般的な緑用カラーフィルタを置き換えたものであることから、一般的な緑用カラーフィルタが透過する波長帯域(略500乃至570nmの範囲)内の任意の範囲(つまり、第1の範囲と、それと異なる第2の範囲)の波長帯域の光を透過するカラーフィルタである。
【0058】
同様に、本構成の単一画素単位103には、A用カラーフィルタ117−UL,117−DR、およびB用カラーフィルタ117−UR,117−DLが配置されている。すなわち、本構成の単一画素単位100,103には、A用カラーフィルタとB用カラーフィルタが1対1の割合の数(すなわち2個ずつ)で配置されている。
【0059】
一般的な構成の単一画素単位101には、図3の左上の図の一般的な構成の単一画素単位11と同様に、青用カラーフィルタ115が配置されている。また、一般的な構成の単一画素単位102には、図3の左上の図の一般的な構成の単一画素単位12と同様に、赤用カラーフィルタ116が配置されている。
【0060】
図3の右下の図は、本構成の単一画素単位100の線L−L’における断面図である。
【0061】
本構成の単一画素単位100は、1つのフォトダイオード111に対して、A用カラーフィルタ112−ULとB用カラーフィルタ112−URの組、オンチップレンズ113−ULとオンチップレンズ113−URの組が下方からその順に積層されて構成される。すなわち、A用カラーフィルタ112−ULの上にオンチップレンズ113−ULが配置され、B用カラーフィルタ112−URの上にオンチップレンズ113−URが配置される。
【0062】
このように、図3の例では、本構成の単一画素単位100には、1つのフォトダイオード111の上に配置されるカラーフィルタとして、A用カラーフィルタ112−UL,112−DRと、B用カラーフィルタ112−UR,112−DLといった、2種類のカラーフィルタが採用され、同一種類のカラーフィルタが対角線上に配置されている。ただし、本構成の単一画素単位に採用されるカラーフィルタは、特に図3の例に限定されず、任意の2種類以上の複数のカラーフィルタであれば足りる。
【0063】
[本技術の手法により構成されたN分割画素単位]
図4は、本技術の手法により構成されたN分割画素単位の構成例を示す図である。図4の左側は、一般的な構成のN分割画素単位30が示されており、図4の右側は、本技術の手法により構成されたN分割画素単位100aが示されている。
【0064】
図4の左上の図は、隣接する4つの一般的な構成のN分割画素単位30乃至33の集合体の上面図である。N分割画素単位30には、緑用カラーフィルタ42が配置されている。N分割画素単位31には、青用カラーフィルタ45が配置されている。N分割画素単位32には、赤用カラーフィルタ46が配置されている。N分割画素単位33には、緑用カラーフィルタ47が配置されている。
【0065】
図4の左下の図は、一般的な構成のN分割画素単位30の線L−L’における断面図である。一般的な構成のN分割画素単位30は、図1Bを参照して説明したように、隣接する2つのフォトダイオード41−1,41−2の組に対して、1つの緑用カラーフィルタ42および1つのオンチップレンズ43が、下方からその順に積層されて構成される。
【0066】
このような一般的な構成のN分割画素単位30,33に対して、本技術の手法が適用されると、図4の右側に示す本構成のN分割画素単位100a,103aが実現される。すなわちN分割画素単位30,33に配置された1つの緑用カラーフィルタ42,47をそれぞれ4分割し、4分割された緑用カラーフィルタ42,47のそれぞれを1対1の割合の数(すなわち2個ずつ)のA用カラーフィルタとB用カラーフィルタに置き換える。これにより、1つの画素単位内の異なる平面位置に、複数のカラーフィルタが配置される。
【0067】
図4の右上の図は、本構成のN分割画素単位100a,103a、および一般的な構成のN分割画素単位101a,102aの集合体の上面図である。
【0068】
本構成のN分割画素単位100aには、A用カラーフィルタ112a−UL,112a−DR、およびB用カラーフィルタ112a−UR,112a−DLが配置されている。同様に、本構成の単一画素単位103aには、A用カラーフィルタ117a−UL,117a−DR、およびB用カラーフィルタ117a−UR,117a−DLが配置されている。すなわち、本構成のN分割画素単位100a,103aには、A用カラーフィルタとB用カラーフィルタが1対1の割合の数(すなわち2個ずつ)で配置されている。
【0069】
一般的な構成のN分割画素単位101aには、図4の左上の図の一般的な構成のN分割画素単位31と同様に、青用カラーフィルタ115aが配置されている。また、一般的な構成のN分割画素単位102aには、図4の左上の図の一般的な構成のN分割画素単位32と同様に、赤用カラーフィルタ116aが配置されている。
【0070】
図4の右下の図は、本構成のN分割画素単位100aの線L−L’における断面図である。
【0071】
本構成のN分割画素単位100aは、隣接する2つのフォトダイオード111a−UL,111a−URの組に対して、A用カラーフィルタ112a−ULとB用カラーフィルタ112a−URの組、オンチップレンズ113a−ULとオンチップレンズ113a−URの組が下方からその順に積層されて構成される。すなわち、フォトダイオード111a−UL、A用カラーフィルタ112a−UL、オンチップレンズ113a−ULが下方からその順に配置され、フォトダイオード111a−UR、B用カラーフィルタ112a−UR、オンチップレンズ113a−URが下方から順に配置される。
【0072】
このように、図4の例では、本構成のN分割画素単位100aには、N個のフォトダイオードの上に配置されるカラーフィルタとして、A用カラーフィルタ112a−UL,112a−DRと、B用カラーフィルタ112a−UR,112a−DLといった、2種類のカラーフィルタが採用され、同一種類のカラーフィルタが対角線上に配置されている。ただし、本構成のN分割画素単位に採用されるカラーフィルタは、特に図4の例に限定されず、任意の2種類以上の複数個のカラーフィルタであれば足りる。
【0073】
[出力される光の分光特性]
本構成の画素単位、すなわち1つの画素単位内の異なる平面位置に、複数のカラーフィルタが配置された画素単位においては、フォトダイオードから出力される電気信号は、図5に示されるように、複数のカラーフィルタの分光特性の合成結果となる。
【0074】
図5は、本構成の画素単位における、フォトダイオードから出力される光の分光特性を示す図である。図5において、縦軸は透過率を示し、横軸は波長を示している。
【0075】
本構成の単一画素単位100に配置されるA用カラーフィルタ112−UL,112−DRは、実線で示されるように、波長が520乃至540nm近辺で透過率が最も高くなる特性を有する。また、本構成の単一画素単位100に配置されるB用カラーフィルタ112−UR,112−DLは、点線で示されるように、波長が530乃至580nm近辺で透過率が最も高くなる特性を有する。
【0076】
本構成の単一画素単位100に配置されたフォトダイオード111には、このような特性を有するA用カラーフィルタ112−UL,112−DR、B用カラーフィルタ112−UR,112−DLのそれぞれを透過した光が入射する。この場合、フォトダイオード111に入射する光の分光特性は、A用カラーフィルタ112−UL,112−DRとB用カラーフィルタ112−UR,112−DLの特性の合成結果、すなわち、図5において破線で示される出力分光Cの特性となる。したがって、本構成の単一画素単位100においては、出力分光Cに応じたレベルの電気信号がフォトダイオード111から出力される。
【0077】
同様に、本構成のN分割画素単位100aに配置されたN個のフォトダイオードには、図5に示される特性を有するA用カラーフィルタ112a−UL,112a−DR、B用カラーフィルタ112a−UR,112a−DLのそれぞれを透過した光が入射する。この場合、N個のフォトダイオードに入射する光の分光特性がすべて合成されると、A用カラーフィルタ112a−UL,112a−DRとB用カラーフィルタ112a−UR,112a−DLの特性の合成結果、すなわち、図5において破線で示される出力分光Cの特性となる。したがって、本構成のN分割画素単位100aにおいては、N個のフォトダイオードのそれぞれの受光量に応じたレベルのすべてが加算されたレベルを有する電気信号、すなわち、出力分光Cに応じたレベルの電気信号が、後述する共通FD部201または画像信号読み出し部(例えば後述の図20の画像信号読み出し部533)から出力される。
【0078】
このように、本構成の単一画素単位100およびN分割画素単位100aにおいては、1つの画素単位内の異なる平面位置に、図5に示される特性を有するA用カラーフィルタとB用カラーフィルタが1対1の割合で配置されて構成される。これにより、単一画素単位100に配置されたフォトダイオードに集光される光の分光特性は、図5の破線で示される出力分光Cの特性となる。また、N分割画素単位100aのN個のフォトダイオードに入射する光の分光特性がすべて合成されると、図5の破線で示される出力分光Cの特性となる。つまり、本構成の単一画素単位100およびN分割画素単位100aによれば、A用カラーフィルタとB用カラーフィルタの材料による本来の分光特性ではない、新たな分光特性(すなわち、出力分光Cの特性)を創出することができる。すなわち、新たなカラーフィルタの材料開発によらず、新たな分光特性を創出することができる。
【0079】
しかしながら、例えば、複数のカラーフィルタが、1つの画素単位内の同一の平面位置に積層されて配置される場合にはフォトダイオードから出力される光の分光特性は、同一の平面位置に積層された複数のカラーフィルタの分光特性の積算結果となる。この詳細について、以下、図6と図7を参照しながら説明する。
【0080】
[画素単位内の同一平面位置に配置される複数のカラーフィルタ]
図6は、同一の平面位置に積層されて配置される複数のカラーフィルタを含む単一画素単位の構成例を示す図である。
【0081】
図6の左側には、一般的な構成の単一画素単位10が示されている。この一般的な構成の単一画素単位10は、図1A等を参照して説明済みであるので、ここではその説明を省略する。
【0082】
図6の右側には、このような一般的な構成の単一画素単位10に対して、同一の平面位置に積層されて配置される複数のカラーフィルタを含む単一画素単位120が示されている。
【0083】
詳細には、図6の右上の図は、同一の平面位置に複数のカラーフィルタが積層されて配置された単一画素単位120,123を含む単一画素単位の集合体の上面図である。図6の右下の図は、当該単一画素単位120の線L−L’における断面図である。
【0084】
図6の右上の図および右下の図に示されるように、単一画素単位120は、1つのフォトダイオード131に対して、B用カラーフィルタ132、A用カラーフィルタ133、オンチップレンズ134−Lとオンチップレンズ134−Rの組が下方からその順に積層されて構成される。すなわち、フォトダイオード131が配置されている同一の平面位置において、B用カラーフィルタ132とA用カラーフィルタ133とが積層されて配置されている。
【0085】
[出力される光の分光特性]
図7は、このように同一の平面位置に積層されて配置される複数のカラーフィルタを含む単一画素単位120における、フォトダイオード131から出力される光の分光特性を示す図である。図7において、縦軸は透過率を示し、横軸は波長を示している。
【0086】
図7に示されるように、単一画素単位120に配置されるA用カラーフィルタ133は、実線で示されるように、波長が600nm近辺で透過率が最も高くなる特性を有する。また、単一画素単位120に配置されるB用カラーフィルタ132は、点線で示されるように、波長が500nm近辺で透過率が最も高くなる特性を有する。単一画素単位120に配置されたフォトダイオード131には、このような特性を有するA用カラーフィルタ133およびB用カラーフィルタ132の2つのカラーフィルタを透過した光が入射する。
【0087】
この場合、フォトダイオード131に入射する光は、B用カラーフィルタ132の特性とA用カラーフィルタ133の特性との積算結果、すなわち、図7において破線で示される出力分光Tの特性となる。これは、単一画素単位120内の同一の平面位置に複数のカラーフィルタが配置された場合、当該複数のカラーフィルタのそれぞれにおいて分光吸収が起きるからである。したがって、単一画素単位120内の同一平面位置にある全てのカラーフィルタの分光特性の積算結果に応じたレベルの電気信号のみがフォトダイオード131から出力される。
【0088】
[本構成の画素単位から出力される光の分光特性]
これに対して、本構成の画素単位において、図7に示されるA用カラーフィルタとB用カラーフィルタを用いた場合、フォトダイオードから出力される光の分光特性は図8のようになる。
【0089】
図8は、本構成の画素単位における、フォトダイオードから出力される光の分光特性を示す図である。図8において、縦軸は透過率を示し、横軸は波長を示している。
【0090】
図8に示されるように、本構成の画素単位に配置されるA用カラーフィルタとB用カラーフィルタは、図7を参照して説明した単一画素単位120に配置されるA用カラーフィルタ133とB用カラーフィルタ132と同様の特性を有するとする。
【0091】
本構成の単一画素単位100に配置されたフォトダイオード111には、このような特性を有するA用カラーフィルタ112−UL,112−DR、B用カラーフィルタ112−UR,112−DLのそれぞれを透過した光が入射する。この場合、フォトダイオード111に入射する光の分光特性は、A用カラーフィルタ112−UL,112−DRとB用カラーフィルタ112−UR,112−DLの特性の合成結果、すなわち、図8において破線で示される出力分光Cの特性となる。したがって、本構成の単一画素単位100においては、出力分光Cに応じたレベルの電気信号がフォトダイオード111から出力される。
【0092】
同様に、本構成のN分割画素単位100aに配置されたN個のフォトダイオードには、図8に示される特性を有するA用カラーフィルタ112a−UL,112a−DR、B用カラーフィルタ112a−UR,112a−DLのそれぞれを透過した光が入射する。この場合、N個のフォトダイオードに入射する光の分光特性の合成結果は、A用カラーフィルタ112a−UL,112a−DRとB用カラーフィルタ112a−UR,112a−DLの特性の合成結果、すなわち、図8において破線で示される出力分光Cの特性となる。したがって、本構成のN分割画素単位100aにおいては、N個のフォトダイオードのそれぞれの受光量に応じたレベルのすべてが加算されたレベルを有する電気信号、すなわち、出力分光Cに応じたレベルの電気信号が、後述する共通FD部201または画像信号読み出し部(例えば後述の図20の画像信号読み出し部533)から出力される。
【0093】
以上、図3乃至図8を参照して説明したように、本構成の単一画素単位100およびN分割画素単位100aにおいては、1つの画素単位内の異なる平面位置に、複数のカラーフィルタが配置されることにより、新たなカラーフィルタの材料開発によらず、新たな分光特性を創出することができる。
【0094】
ここで、1つのカラーフィルタを透過した光を受光する単位が画素であるとするならば、1つの画素単位の異なる平面位置に複数のカラーフィルタが配置される場合には、複数のカラーフィルタの各々に対応して画素が1つずつ存在すること、すなわち1つの画素単位に複数の画素が存在することになる。このように、1つの画素単位に含まれる複数の画素を、一般的な画素と区別すべく、以下、小画素と称する。
【0095】
[オンチップレンズの配置]
さらに、図3と図4を参照して説明したように、本構成の単一画素単位100およびN分割画素単位100aにおいては、オンチップレンズは、1つの画素単位内の異なる平面位置に配置された複数のカラーフィルタ毎、すなわち小画素毎に配置される。
【0096】
図9は、オンチップレンズの配置について説明する図である。
【0097】
図9の1番左の図は、一般的な構成の単一画素単位10が示されている。この一般的な構成の単一画素単位10は、図1A等を参照して説明済みであるので、ここではその説明を省略する。
【0098】
これに対して、図9の左から2番目の上の図は、1つの画素単位内の異なる平面位置に、複数のカラーフィルタが配置された単一画素単位150,153、および一般的な構成の単一画素単位151,152の集合体の上面図であり、下の図は、単一画素単位150の線L−L’における断面図である。単一画素単位150においては、1つのフォトダイオード161に対して、A用カラーフィルタ162−ULとB用カラーフィルタ162−URの組、1つのオンチップレンズ163が下方からその順に積層されて構成される。
【0099】
図9の左から2番目の図に示されるように、単一画素単位150には、1つのフォトダイオード161に対して、カラーフィルタは複数配置されるが、オンチップレンズ163は1つのみ配置される。この場合、斜め方向からの光がオンチップレンズ163に入射すると、複数のカラーフィルタを透過する光の量にばらつきが生じて、それに伴いフォトダイオード161に入射する光の分光特性も変動する。すなわち、フォトダイオード161に入射する光の分光特性が、オンチップレンズ163に入射する光の入射角によって変動する。例えば図9の左から2番目の図の例に示されるように、B用カラーフィルタ162−URを透過する光の量よりも、A用カラーフィルタ162−ULを透過する光の量が多くなる場合、フォトダイオード161に入射する光の分光特性が変動する。
【0100】
したがって、図9の左から3番目と4番目の図に示されるように、本構成の単一画素単位100とN分割画素単位100aにおいては、オンチップレンズは、1つの画素単位内の異なる平面位置に配置された複数のカラーフィルタ毎、すなわち小画素毎に配置される。
【0101】
本構成の単一画素単位100においては、A用カラーフィルタ112−ULの上にオンチップレンズ113−ULが配置され、B用カラーフィルタ112−URの上にオンチップレンズ113−URが配置される。これにより、A用カラーフィルタ112−ULとB用カラーフィルタ112−URを透過する光の量のばらつきが低減され、フォトダイオード111に入射する光の分光特性の変動が抑制される。
【0102】
同様に、本構成のN分割画素単位100aにおいても、A用カラーフィルタ112a−ULの上にオンチップレンズ113a−ULが配置され、B用カラーフィルタ112a−URの上にオンチップレンズ113a−URが配置される。これにより、A用カラーフィルタ112a−ULとB用カラーフィルタ112a−URを透過する光の量のばらつきが低減され、フォトダイオード111a−ULとフォトダイオード111a−URに入射する光の分光特性の変動が抑制される。
【0103】
このように、1つの画素単位内の異なる平面位置に複数のカラーフィルタおよび複数のオンチップレンズが配置されることにより、各画素単位に配置されるフォトダイオードに集光される光が光学的に合成される。これにより、各フォトダイオードに集光される光の分光特性を、用途に合わせた最適なものに制御することができる。
【0104】
[導波路が設置された本構成の単一画素単位の構成例]
ところで、1つの画素単位内に配置されるフォトダイオードは、インプラの不均一性等により、必ずしも均一な光電変換を行えるとは限らず、フォトダイオードに感度ムラが生じる場合もある。
【0105】
図10は、導波路が設置された本構成の単一画素単位の構成例を示す図である。
【0106】
図10の左側には、一般的な構成の単一画素単位10が示されている。この一般的な構成の単一画素単位10は、図1A等を参照して説明済みであるので、ここではその説明を省略する。
【0107】
図10の中央には、本構成の単一画素単位100が示されている。この本構成の単一画素単位100は、図3の右側の図等を参照して説明済みであるので、ここではその説明を省略する。
【0108】
図10の中央下の図に示されるように、例えば、フォトダイオード111に、受光面の端部が低感度であり、中央部が高感度であるような感度ムラが生じているとする。この場合、例えば、A用カラーフィルタ112−ULを透過してフォトダイオード111の端部に入射した光と、B用カラーフィルタ112−URを透過してフォトダイオード111の中央部に入射した光とが同一光量であっても、中央部の方が端部よりも光量が多いものとして高レベルの電気信号が出力される。
【0109】
したがって、フォトダイオード111に図10の中央下の図に示されるような感度ムラが生じている場合、例えば、図10の右下の図に示されるように、フォトダイオード111の上方に導波路169を配置する。これにより、A用カラーフィルタ112−ULを透過した光とB用カラーフィルタ112−URを透過した光は、導波路169により一旦集光されて、感度の高いフォトダイオード111の中央部に入射される。したがって、A用カラーフィルタ112−ULを透過した光と、B用カラーフィルタ112−URを透過した光とが同一光量であった場合には、同一レベルの電気信号が出力される。
【0110】
このように、本構成の単一画素単位100に導波路169が配置されることにより、フォトダイオード111の感度ムラによる影響を低減させながら、フォトダイオード111に集光される光が光学的に合成される。これにより、各フォトダイオードに集光される光の分光特性を、用途に合わせた最適なものに制御することができる。
【0111】
以上のように、本構成の画素単位によれば、フォトダイオードに集光される光の分光特性を、光学的な合成により制御することができる。以下では、フォトダイオードに集光される光の分光特性を、電気的な合成により制御する例について説明する。
【0112】
[第1の加算の手法が適用されたN分割画素単位]
N分割画素単位においては、N個のフォトダイオードのそれぞれの受光量に応じたレベルのすべてが加算されたレベルを有する電気信号が出力される。上述したように、N個のフォトダイオードのそれぞれの電気信号の加算の手法として第1の手法と第2の手法がある。
【0113】
図11は、第1の加算の手法が適用されたN分割画素単位の構成例を示す図である。
【0114】
図11の左側には、第1の加算の手法が適用された一般的な構成のN分割画素単位170が示されており、図11の右側には、第1の加算の手法が適用された本構成のN分割画素単位100bが示されている。
【0115】
図11の左上の図は、第1の加算の手法が適用された隣接する4つの一般的な構成のN分割画素単位170乃至173の集合体の上面図である。
【0116】
N分割画素単位170には、4つの緑用カラーフィルタ182−UL,182−UR,182−DL,182−DRが配置されている。また、4つの緑用カラーフィルタのそれぞれには、三角で示される転送ゲート200が配置されている。さらに、4つの緑用カラーフィルタの中心部の位置には、共通FD部201が配置されている。
【0117】
N分割画素単位171には、4つの青用カラーフィルタ185−UL,185−UR,185−DL,185−DRが配置されている。また、4つの青用カラーフィルタのそれぞれには、転送ゲート200が配置されている。さらに、4つの青用カラーフィルタの中心部の位置には、共通FD部201が配置されている。
【0118】
N分割画素単位172には、4つの赤用カラーフィルタ186−UL,186−UR,186−DL,186−DRが配置されている。また、4つの赤用カラーフィルタのそれぞれには、転送ゲート200が配置されている。さらに、4つの赤用カラーフィルタの中心部の位置には、共通FD部201が配置されている。
【0119】
N分割画素単位173には、4つの緑用カラーフィルタ187−UL,187−UR,187−DL,187−DRが配置されている。また、4つの緑用カラーフィルタのそれぞれには、転送ゲート200が配置されている。さらに、4つの緑用カラーフィルタの中心部の位置には、共通FD部201が配置されている。
【0120】
そして、図11の左下の図に示されるように、第1の加算の手法によれば、N分割画素単位170の4つの緑用フォトダイオード181−UL,181−UR,181−DL,181−DRの各受光量に応じた各レベルの電気信号が、転送ゲート200にそれぞれ転送されて、その後共通FD部201にそれぞれ転送される。共通FD部201においてすべての電気信号の加算信号、すなわち各レベルが総加算されたレベルを有する電気信号が出力される。なお、共通FD部201は、蓄積されたすべての電荷を同時に読み出すことで、読み出された電荷分のレベルの電気信号を加算する。このように、第1の加算の手法においては、N個(この場合4個)のフォトダイオードのそれぞれからの電気信号のレベルがすべて加算され、総加算後のレベルの電気信号が、N分割画素単位170から出力される。
【0121】
N分割画素単位171乃至173においても同様に、各フォトダイオードの各受光量に応じた各レベルの電気信号が、転送ゲート200にそれぞれ転送されて、その後共通FD部201にそれぞれ転送される。そして、共通FD部201においてすべての電気信号の総加算後のレベルの電気信号が、N分割画素単位171乃至173のそれぞれから出力される。
【0122】
これに対して、図11の右上の図は、第1の加算の手法が適用された本構成のN分割画素単位100b,103b、および一般的な構成のN分割画素単位101b,102bの集合体の上面図である。
【0123】
本構成のN分割画素単位100bには、A用カラーフィルタ112b−UL,112b−DR、およびB用カラーフィルタ112b−UR,112b−DLが配置されている。また、4つのカラーフィルタのそれぞれには、三角で示される転送ゲート210が配置されている。さらに、4つのカラーフィルタの中心部の位置には、共通FD部211が配置されている。
【0124】
一般的な構成のN分割画素単位101bには、4つの青用カラーフィルタ115b−UL,115b−UR,115b−DL,115b−DRが配置されている。また、4つの青用カラーフィルタのそれぞれには、転送ゲート210が配置されている。さらに、4つの青用カラーフィルタの中心部の位置には、共通FD部211が配置されている。
【0125】
一般的な構成のN分割画素単位102bには、4つの赤用カラーフィルタ116b−UL,116b−UR,116b−DL,116b−DRが配置されている。また、4つの赤用カラーフィルタのそれぞれには、転送ゲート210が配置されている。さらに、4つの赤用カラーフィルタの中心部の位置には、共通FD部211が配置されている。
【0126】
本構成のN分割画素単位103bには、B用カラーフィルタ117b−UL,117b−DR、およびA用カラーフィルタ117b−UR,117b−DLが配置されている。また、4つのカラーフィルタのそれぞれには、転送ゲート210が配置されている。さらに、4つのカラーフィルタの中心部の位置には、共通FD部211が配置されている。
【0127】
そして、図11の右下の図に示されるように、第1の加算の手法によれば、本構成のN分割画素単位100bのA用フォトダイオード111b−UL,111b−DR、およびB用フォトダイオード111b−UR,111b−DLの各受光量に応じた各レベルの電気信号が、転送ゲート210にそれぞれ転送されて、その後共通FD部211に転送される。共通FD部211においてすべての電気信号の加算信号、すなわち各レベルが総加算されたレベルを有する電気信号が、N分割画素単位100bから出力される。なお、共通FD部211は、蓄積されたすべての電荷を同時に読み出すことで、読み出された電荷分のレベルの電気信号を加算する。
【0128】
N分割画素単位101b乃至103bにおいても同様に、各フォトダイオードの各受光量に応じた各レベルの電気信号が、転送ゲート210にそれぞれ転送されて、その後共通FD部211にそれぞれ転送される。
【0129】
この場合、本構成のN分割画素単位100bおよび103bから出力される光の分光特性は、図5において点線で示される出力分光Cの特性となる。すなわち、N分割画素単位100bおよび103b内の異なる平面位置に配置された複数のカラーフィルタの分光特性の合成結果に応じたレベルの電気信号が、N分割画素単位100bおよび103bから出力される。つまり、本構成のN分割画素単位100bおよび103bによれば、A用カラーフィルタとB用カラーフィルタの材料による本来の分光特性ではない、新たな分光特性を創出することができる。
【0130】
[ゲインによる分光特性の調整]
図11の右側の本構成のN分割画素単位100bおよび103bにおいては、共通FD部211は、複数のフォトダイオードの各受光量に応じた各レベルの電気信号を同時に読み出してそのまま加算した。しかしながら、共通FD部211は、同じ分光特性の光を受光するフォトダイオード毎に異なるタイミングで読み出してから、それぞれ個別に設定されたゲインでレベルが増幅された電気信号を加算してもよい。
【0131】
ここで、図11の右側の本構成のN分割画素単位100bおよび103bにおいて、1対1の割合の数で配置されたA用カラーフィルタとB用カラーフィルタを、例えば、図12に示される特性を有するD用カラーフィルタとE用カラーフィルタにそれぞれ置き換えたとする。
【0132】
図12は、1対1の割合の数でD用カラーフィルタとE用カラーフィルタが配置された本構成のN分割画素単位100bおよび103bにおける、フォトダイオードから出力される光の分光特性を示す図である。図12において、縦軸は透過率を示し、横軸は波長を示している。
【0133】
図12に示されるように、本構成のN分割画素単位100bおよび103bに配置されるD用カラーフィルタは、実線で示されるように、波長が520乃至540近辺で透過率が最も高くなる特性を有する。また、本構成のN分割画素単位100bおよび103bに配置されるE用カラーフィルタは、点線で示されるように、波長が540乃至590近辺で透過率が最も高くなる特性を有する。
【0134】
この場合、本構成のN分割画素単位100bおよび103bに配置される共通FD部211は、D用カラーフィルタとE用カラーフィルタの分光特性に応じたレベルの電気信号を、異なるタイミングで読み出してからそのまま加算してもよい。これにより、カラーフィルタの種類と同じ数の電気信号、すなわちこの場合、2種類の電気信号を得ることが可能となる。
【0135】
さらに、共通FD部211は、同じ分光特性の光を受光するフォトダイオード毎に異なるタイミングで読み出してから、それぞれ個別に設定されたゲインでレベルが増幅された各電気信号を加算してもよい。なお、ゲインは、後段の画像信号読み出し部(例えば後述の図20の画像信号読み出し部533)により設定される。
【0136】
例えば、E用カラーフィルタを透過してフォトダイオードに入射した光の受光量に応じたレベルの電気信号のゲインが5倍に設定されると、図12の一点鎖線で示されるように、波長が540乃至590近辺で、透過率がE用カラーフィルタの透過率の5倍に増幅された特性となる。
【0137】
したがって、本構成のN分割画素単位100bおよび103bにおいては、カラーフィルタDの分光特性とカラーフィルタEのゲインが5倍された分光特性の合成結果、すなわち図12において点線で示される出力分光Fの特性に応じたレベルの電気信号が出力される。このように、同じ分光特性の光を受光するフォトダイオード毎に異なるタイミングで読み出されてから、それぞれ個別に設定されたゲインでレベルが増幅された各電気信号が加算されることにより、新たな分光特性を創出することができる。このように、複数のカラーフィルタの分光特性を電気的に合成することにより、用途に応じて最適に、分光特性を制御することができる。
【0138】
[第2の加算の手法が適用されたN分割画素単位]
次に、第2の加算の手法が適用されたN分割画素単位について説明する。
【0139】
図13は、第2の加算の手法が適用されたN分割画素単位の構成例を示す図である。
【0140】
図13の上の図は、第2の加算の手法が適用された本構成のN分割画素単位100c,103c、および一般的な構成のN分割画素単位101c,102cの集合体の上面図である。
【0141】
本構成のN分割画素単位100cには、A用カラーフィルタ112c−UL,112c−DR、およびB用フォトダイオード112c−UR,112c−DLが配置されている。また、4つのカラーフィルタのそれぞれには、三角で示される転送ゲートおよび個別FD部220が配置されている。すなわち、転送ゲートおよび個別FD部220は、転送ゲートと個別FD部が同一の位置に積層されている。
【0142】
一般的な構成のN分割画素単位101cには、4つの青用カラーフィルタ115c−UL,115c−UR,115c−DL,115c−DRが配置されている。また、4つの青用カラーフィルタのそれぞれには、転送ゲートおよび個別FD部220が配置されている。
【0143】
一般的な構成のN分割画素単位102cには、4つの赤用カラーフィルタ116c−UL,116c−UR,116c−DL,116c−DRが配置されている。また、4つの赤用カラーフィルタのそれぞれには、転送ゲートおよび個別FD部220が配置されている。
【0144】
本構成のN分割画素単位103cには、B用カラーフィルタ117c−UL,117c−DR、およびA用カラーフィルタ117c−UR,117c−DLが配置されている。また、4つのカラーフィルタのそれぞれには、転送ゲートおよび個別FD部220が配置されている。
【0145】
そして、図13の下の図に示されるように、第2の加算の手法によれば、本構成のN分割画素単位100cのA用フォトダイオード111c−UL,111c−DR、およびB用フォトダイオード111c−UR,111c−DLの各受光量に応じた各レベルの電気信号が、転送ゲートおよび個別FD部220にそれぞれ転送される。そして、転送ゲートおよび個別FD部220のそれぞれから個々に出力された電気信号の全てが、後段の画像信号読み出し部(例えば後述の図20の画像信号読み出し部533)において加算される。
【0146】
N分割画素単位101c乃至103cにおいても同様に、各フォトダイオードの各受光量に応じた各レベルの電気信号が、転送ゲートおよび個別FD部220にそれぞれ転送されて、その後後段の画像信号読み出し部(例えば後述の図20の画像信号読み出し部533)において加算される。
【0147】
この場合、本構成のN分割画素単位100cおよび103cから出力される光の分光特性は、図5において点線で示される特性となる。すなわち、N分割画素単位100cおよび103c内の異なる平面位置に配置された複数のカラーフィルタの分光特性の合成結果に応じたレベルの電気信号が、N分割画素単位100cおよび103cから出力される。つまり、本構成のN分割画素単位100cおよび103cによれば、A用カラーフィルタとB用カラーフィルタの材料による本来の分光特性ではない、新たな分光特性を創出することができる。
【0148】
第2の加算の手法が適用された本構成のN分割画素単位100cおよび103cにおいても、第1の加算の手法が適用された本構成のN分割画素単位100bおよび103bと同様に、例えば、図12に示される特性を有するD用カラーフィルタとE用カラーフィルタにそれぞれ置き換えたとする。
【0149】
この場合、第2の加算の手法が適用された本構成のN分割画素単位100cおよび103cにおいても、D用カラーフィルタとE用カラーフィルタの分光特性に応じたレベルの電気信号を、異なるタイミングまたは同一のタイミングで読み出してから、図示せぬ画像信号読み出し部で加算してもよい。これにより、カラーフィルタの種類と同じ数の電気信号、すなわちこの場合、2種類の電気信号を得ることが可能となる。
【0150】
さらに、後段の画像信号読み出し部(例えば後述の図20の画像信号読み出し部533)は、各レベルの電気信号を加算する前に、同じ分光特性を有する光毎に異なるゲインを設定し、異なるタイミングまたは同一のタイミングで読み出してから、各ゲインでそれぞれ増幅されたレベルの電気信号を加算してもよい。これにより、第2の加算の手法が適用された本構成のN分割画素単位100cおよび103cにおいても、新たな分光特性を創出することができる。このように、複数のカラーフィルタの分光特性を電気的に合成することにより、用途に応じて最適に、分光特性を制御することができる。
【0151】
なお、図11の右側と図13を用いて説明した本構成のN分割画素単位においては、N個のフォトダイオードのそれぞれの電気信号が、すべて加算されてから出力されるか、出力されてからすべて加算された。しかしながら、本構成のN分割画素単位においては、N個のフォトダイオードのそれぞれの電気信号を加算せずに独立して出力し、1つの電気信号としてそのまま後段の画像処理部(例えば後述の図20の画像処理部515)で信号処理に用いることもできる。
【0152】
例えば、リニアマトリックスにおける演算では、演算に使用できる色に対応する電気信号の種類が多いほど、出力される画像の色再現性は高くなる。したがって、例えば、緑用フォトダイオードの一部をエメラルド用フォトダイオードに置き換えることにより、演算に使用できる色に対応する電気信号の種類を増やして、色再現性を向上させる技術が存在する。しかしながら、緑用フォトダイオードの一部をエメラルド用フォトダイオードに置き換えることにより、緑用フォトダイオードの数の減少に伴う解像度の劣化が生じる場合がある。
【0153】
これに対して、本構成のN分割画素単位において、エメラルド用フォトダイオードが用いられた場合、1つの画素単位内に緑用フォトダイオードとエメラルド用フォトダイオードが配置されるため、結果的に緑用フォトダイオードの数も減少せず、解像度の劣化が生じない。
【0154】
このように、本構成のN分割画素単位においては、N個のフォトダイオードのそれぞれの電気信号を、個別に信号処理に用いることができるので、信号処理に使用できる色に対応する電気信号の数を増やすことができる。したがって、解像度劣化を起こさずに色再現性を向上させることができる。
【0155】
本構成のN分割画素単位においては、上述したように、N個のフォトダイオードのそれぞれからの電気信号のレベルの出力手法として、次の3つの手法がある。第1の手法とは、N個のフォトダイオードのそれぞれからの電気信号のレベルを単純に総加算して、総加算後のレベルの電気信号を出力する手法である。第2の手法とは、N個のフォトダイオードのそれぞれからの電気信号のレベルを、個別に設定した異なるゲインでそれぞれ増幅した後に総加算して、総加算後のレベルの電気信号を出力する手法である。第3の手法とは、N個のフォトダイオードのそれぞれからの電気信号をそれぞれ独立して出力する手法である。このような3つの出力手法を選択的に適用することで、異なる複数の出力を得ることができる。
【0156】
このような複数の出力は、転送ゲートや個別FDによる転送のタイミングの制御、電気信号の加算のON/OFFの制御、または後段の制御部(例えば後述の図20の制御部514)の制御により切り替えることが可能である。したがって、同一の撮像素子であっても、このような制御が行われることにより、用途(例えば、一般カメラ、医療機器等)や状況(例えば、色温度、照度等)によって、複数の異なる分光特性を有する出力を得ることができる撮像素子に変化させることができる。
【0157】
[ワイドダイナミックレンジ化の適用]
本構成のN分割画素単位においては、図14に示されるように、小画素毎に光(電荷)の蓄積時間を変えることで、ワイドダイナミックレンジ化が可能となる。
【0158】
図14は、小画素毎に電荷の蓄積時間が変えられた本構成のN分割画素単位について説明する図である。
【0159】
図14は、第1の加算の手法が適用された本構成のN分割画素単位100b,103b、および一般的な構成のN分割画素単位101b,102bの集合体の上面図である。これについては、図11等を参照して説明済みであるので、ここではその説明を省略する。
【0160】
図14の左側のN分割画素単位100b乃至103bにおいては、小画素における電荷の蓄積時間は同一である。
【0161】
これに対して、図14の右側に示されるN分割画素単位100b乃至103bにおいては、図14に示されるように、小画素毎に電荷の蓄積時間が変えられている。
【0162】
具体的には、本構成のN分割画素単位100bに配置されるA用カラーフィルタ112b−ULおよびB用カラーフィルタ112b−URは、長時間の蓄積時間(以下、長蓄積と称する)とする。これに対して、本構成のN分割画素単位100bに配置されるA用カラーフィルタ112b−DLおよびB用カラーフィルタ112b−DRは、短時間の蓄積時間(以下、短蓄積と称する)とする。
【0163】
一般的な構成のN分割画素単位101bにおいても、青用カラーフィルタ115b−UL,115b−URは、長蓄積とし、青用カラーフィルタ115b−DL,115b−DRは、短蓄積とする。
【0164】
一般的な構成のN分割画素単位102bにおいても、青用カラーフィルタ116b−UL,116b−URは、長蓄積とし、青用カラーフィルタ116b−DL,116b−DRは、短蓄積とする。
【0165】
本構成のN分割画素単位103bに配置されるB用カラーフィルタ117b−ULおよびA用カラーフィルタ117b−URは、長蓄積し、A用カラーフィルタ117b−DLおよびB用カラーフィルタ117b−DRは、短蓄積とする。
【0166】
この場合、N分割画素単位100b乃至103bにおいては、長蓄積の小画素および短蓄積の小画素のそれぞれに、A用カラーフィルタおよびB用カラーフィルタの両方が配置されている。したがって、N分割画素単位100b乃至103bにおいては、長蓄積の小画素および短蓄積の小画素の両方において、A用カラーフィルタおよびB用カラーフィルタの分光特性の合成結果である新たな分光特性を有する出力が得られる。すなわち、本構成のN分割画素単位によれば、ワイドダイナミックレンジ化を適用しながら、新たな分光特性を有する出力を得ることができる。
【0167】
[画素単位に配置されるカラーフィルタの例]
上述の例では、本構成の画素単位においては、緑用カラーフィルタが複数のカラーフィルタ(すなわち、A用カラーフィルタとB用カラーフィルタ)に置き換えられた。しかしながら、その他の色のカラーフィルタ、例えば赤用カラーフィルタ、青用カラーフィルタが複数のカラーフィルタに置き換えられてもよい。また、本構成の画素単位においては、顔料系または染料系のどちらの素材のカラーフィルタが配置されてもよい。また、本構成の画素単位は、ベイヤ配列、クリアビット配列、またはその他の配列で配置される画素に対して適用することができる。
【0168】
また、上述の例では、本構成の画素単位においては、緑用カラーフィルタが4分割されて、それぞれが1対1の割合の数の複数のカラーフィルタ(すなわち、A用カラーフィルタ2個とB用カラーフィルタ2個)に置き換えられた。しかしながら、分割数(すなわち小画素の数)も、複数のカラーフィルタの数の割合もこれに限定されない。
【0169】
上述の例では、本構成の画素単位においては、A用カラーフィルタとB用カラーフィルタが1対1の割合(すなわち、2個ずつ)で配置された。したがって、本構成の画素単位から出力される光は、図5の出力分光Cに示されるように、A用カラーフィルタとB用カラーフィルタの特性の合成結果として、A用カラーフィルタとB用カラーフィルタの特性の中間の特性を示す分光特性を有する。これに対して、例えば、A用カラーフィルタとB用カラーフィルタが3対1の割合で配置された場合、本構成の画素単位から出力される光は、A用カラーフィルタとB用カラーフィルタの特性の合成結果として、図5のA用カラーフィルタの分光特性により近い特性を有するものとなる。
【0170】
本構成の画素単位においては、1つの画素単位に配置できるカラーフィルタの数は、最大で、画素単位の分割数、すなわち小画素の数とすることができる。図15を用いて、3つのカラーフィルタが配置された本構成のN分割画素単位について説明する。
【0171】
図15は、3つのカラーフィルタが配置された本構成のN分割画素単位100d,103d、および一般的な構成のN分割画素単位101d,102dの集合体の上面図である。
【0172】
本構成のN分割画素単位100dには、A用カラーフィルタ112d−UL、B用カラーフィルタ112d−UR,112d−DL、およびC用カラーフィルタ112dのDRが配置されている。すなわち、本構成のN分割画素単位100dには、A用カラーフィルタ、B用カラーフィルタ、およびC用カラーフィルタが、1対2対1の数の割合で配置されている。
【0173】
同様に、本構成のN分割画素単位103dには、A用カラーフィルタ117d−UL、B用カラーフィルタ117d−UR,117d−DL、およびC用カラーフィルタ117d−DRが配置されている。すなわち、本構成のN分割画素単位103dには、A用カラーフィルタ、B用カラーフィルタ、およびC用カラーフィルタが、1対2対1の数の割合で配置されている。なお、C用カラーフィルタとは、A色の波長帯域およびB色の波長帯域とは異なるC色の波長帯域の光だけを透過するフィルタをいう。
【0174】
一般的な構成のN分割画素単位101dには、青用カラーフィルタ115dが配置されている。また、一般的な構成のN分割画素単位102dには、赤用カラーフィルタ116dが配置されている。
【0175】
このような本構成のN分割画素単位100d,103dにおける、フォトダイオードから出力される光の分光特性は、図16に示されるように、A用カラーフィルタ、B用カラーフィルタ、およびC用カラーフィルタの分光特性の合成結果となる。
【0176】
図16は、本構成のN分割画素単位100d,103dにおける、フォトダイオードから出力される光の分光特性を示す図である。図16において、縦軸は透過率を示し、横軸は波長を示している。
【0177】
図16に示されるように、本構成のN分割画素単位100d,103dに配置されるA用カラーフィルタは、実線で示されるように、波長が550nm近辺で透過率が最も高くなる特性を有する。また、本構成のN分割画素単位100d,103dに配置されるB用カラーフィルタは、点線で示されるように、波長が510nm近辺で透過率が最も高くなる特性を有する。また、本構成のN分割画素単位100d,103dに配置されるC用カラーフィルタは、一点鎖線で示されるように、波長が530nm近辺で透過率が最も高くなる特性を有する。
【0178】
この場合、本構成のN分割画素単位100d,103dに配置されるフォトダイオードに入射する光の分光特性は、A用カラーフィルタ、B用カラーフィルタ、およびC用カラーフィルタの特性の合成結果、すなわち、図16において破線で示される出力分光Gの特性となる。したがって、本構成のN分割画素単位100d,103dにおいては、出力分光Gに応じたレベルの電気信号がフォトダイオードから出力される。
【0179】
なお、図15に示されるカラーフィルタの配置は、本構成の単一画素単位においても同様に適用することができる。この場合の本構成の単一画素単位における、フォトダイオードから出力される光の分光特性は、図16と同様に、出力分光Gの特性となる。したがって、本構成の単一画素単位においても、出力分光Gに応じたレベルの電気信号がフォトダイオードから出力される。
【0180】
このように、本構成の画素単位によれば、配置される複数のカラーフィルタの数と種類を変えることによって、新たな分光特性を創出することができる。
【0181】
さらに、本構成の画素単位に配置される複数のカラーフィルタの組み合わせは、緑用カラーフィルタ、赤用カラーフィルタ、青用カラーフィルタに限定されず、任意の波長帯域の光を透過するカラーフィルタが組み合わされてもよい。例えば、すべての波長帯域の光を透過する透明なホワイト用カラーフィルタが組み合わされてもよい。ホワイト用カラーフィルタについては、例えば、特開2009−296276号公報等に記載されている。
【0182】
また、本構成の画素単位には、例えば、赤外光や紫外光を透過するカラーフィルタが配置されてもよい。赤外光を透過するカラーフィルタが配置された本構成のN分割画素単位について図17を参照して説明する。
【0183】
[赤外光カラーフィルタが配置された本構成のN分割画素単位]
図17は、赤外光カラーフィルタが配置された本構成のN分割画素単位構成例を示す図である。
【0184】
図17の上の図は、本構成のN分割画素単位250,252,253、および一般的な構成のN分割画素単位251の集合体の上面図である。
【0185】
本構成のN分割画素単位250は、赤用カラーフィルタをI用カラーフィルタとJ用カラーフィルタに置き換えたものである。すなわち、本構成のN分割画素単位250には、I用カラーフィルタ262−UL,262−DR、およびJ用カラーフィルタ262−UR,262−DLが配置されている。また、4つのカラーフィルタのそれぞれには、転送ゲート210が配置されている。さらに、4つのカラーフィルタの中心部の位置には、共通FD部211が配置されている。
【0186】
ここで、I用カラーフィルタとJ用カラーフィルタの分光特性について、図18を参照して説明する。
【0187】
図18は、I用カラーフィルタとJ用カラーフィルタの分光特性を示す図である。図18において、縦軸は透過率を示し、横軸は波長を示している。
【0188】
I用カラーフィルタは、実線で示されるように、波長が600nm近辺で透過率が最も高くなる特性を有する。また、J用カラーフィルタは、点線で示されるように、波長が800nm近辺で透過率が最も高くなる特性を有する。このように、I用カラーフィルタとJ用カラーフィルタは、一般的な赤外光カラーフィルタが透過する波長帯域(略700乃至1000nm)内の光を透過するカラーフィルタである。
【0189】
図17に戻り、一般的な構成のN分割画素単位251には、4つの青用カラーフィルタ265−UL,265−UR,265−DL,265−DRが配置されている。また、4つの青用カラーフィルタのそれぞれには、転送ゲート210が配置されている。さらに、4つの青用カラーフィルタの中心部の位置には、共通FD部211が配置されている。
【0190】
本構成のN分割画素単位252は、緑用カラーフィルタをA用カラーフィルタとB用カラーフィルタに置き換えたものである。本構成のN分割画素単位252には、A用カラーフィルタ266−UL,266−DR、およびB用カラーフィルタ266−UR,266−DLが配置されている。また、4つのカラーフィルタのそれぞれには、転送ゲート210が配置されている。さらに、4つのカラーフィルタの中心部の位置には、共通FD部211が配置されている。
【0191】
本構成のN分割画素単位253には、J用カラーフィルタ267−UL,267b−DR、およびI用カラーフィルタ267−UR,267−DLが配置されている。また、4つのカラーフィルタのそれぞれには、転送ゲート210が配置されている。さらに、4つのカラーフィルタの中心部の位置には、共通FD部211が配置されている。
【0192】
図17の例では、赤用カラーフィルタがI用カラーフィルタとJ用カラーフィルタに置き換えられたN分割画素単位250,252と、緑用カラーフィルタがA用カラーフィルタとB用カラーフィルタに置き換えられたN分割画素単位252が示されている。このように、複数の種類の画素単位に対して、複数のカラーフィルタが配置されてもよい。
【0193】
図17の左下と右下の図は、本構成のN分割画素単位252およびN分割画素単位253の線L−L’における断面図である。
【0194】
図17の左下に示されるように、本構成のN分割画素単位252のA用カラーフィルタ266−UL,266−DR、およびB用カラーフィルタ266−UR,266−DLの各受光量に応じた各レベルの電気信号が、転送ゲート210にそれぞれ転送されて、その後共通FD部211に転送される。そして、共通FD部211においてすべての電気信号の加算信号が出力される。
【0195】
また、図17の右下に示されるように、本構成のN分割画素単位253のJ用カラーフィルタ267−UL,267−DR、およびI用カラーフィルタ267−UR,267−DLの各受光量に応じた各レベルの電気信号が、転送ゲート210にそれぞれ転送されて、その後共通FD部211に転送される。そして、共通FD部211においてすべての電気信号の加算信号が出力される。
【0196】
また、本構成のN分割画素単位250と一般的な構成のN分割画素単位251においても、同様に共通FD部211においてすべての電気信号の加算信号が出力される。
【0197】
このように、本構成のN分割画素単位250,252,253、および一般的な構成のN分割画素単位251においては、フォトダイオードのそれぞれの電気信号が、すべて加算されてから出力される。しかしながら、上述したように、N個のフォトダイオードのそれぞれの電気信号を加算せずに独立に出力し、1つの電気信号としてそのまま後段の画像処理部(例えば後述の図20の画像処理部515)で信号処理に用いることもできる。
【0198】
例えば、赤外光を透過する2種類のI用カラーフィルタとJ用カラーフィルタが配置された本構成のN分割画素単位250,253のフォトダイオードのそれぞれの電気信号をそのまま後段の画像処理部で信号処理に用いることができる。この場合、白色光等の単一光源からの光が本構成のN分割画素単位250,253のフォトダイオードに入射することで、赤外光領域から2つの出力を得ることができる。さらに、本構成のN分割画素単位250,253においては、1つの画素単位内に複数のカラーフィルタを有しているので、解像度が劣化しない。
【0199】
したがって、本構成のN分割画素単位250,253から構成される撮像素子を搭載した撮像装置を、例えば、ヘモグロビン等の生体情報の解析に用いられる医療機器等に適用することができる。
【0200】
[医療機器への適用]
図19は、本構成のN分割画素単位から構成される撮像素子を搭載した撮像装置が適用された生体情報取得装置の構成例を示す図である。
【0201】
図19に示される生体情報取得装置300は、撮像装置により、光が透過された生体の画像を取得して、取得された画像を解析する装置である。
【0202】
図19に示されるように、生体情報取得装置300は、基台311の支持部312に設置された発光部314からの単一光源の光を、挿入口313から挿入された生体の一部、例えば指320に照射する。そして、生体情報取得装置300は、基台311の支持部315により支持されているカメラ330により、被写体である指320を撮像する。カメラ330は、レンズ部341、筐体342、および画像処理部343を有している。そして、生体情報取得装置300は、カメラ330により撮像された画像を、画像処理部343において解析する。
【0203】
カメラ330の筐体342には、本構成のN分割画素単位から構成される撮像素子が搭載される。したがって、カメラ330は、発光部314からの単一光源の光を用いて被写体を撮像した場合であっても、赤外光領域において異なる2つの画像信号の出力が可能になる。したがって、これらの出力を用いた生体情報の解析により、解析の精度の向上が見込まれる。
【0204】
例えば、赤外光領域における出力値は、血液検査等に用いられる。すなわち、血液中のヘモグロビンの酸化および脱酸化は、赤外光領域における出力値から解析することが可能であり、このときに、赤外光領域における2組の異なる波長群の出力値が用いられる。従来の技術(例えば、特許第2932644号)では、2組の光を照射することで、2組の異なる波長群の出力値を得ている。しかしながら、本技術の手法によれば、単色光であっても、画素単位から得られる出力値の数を2つ以上とすることができる。したがって、本技術の手法は、血液の解析等に適用することも可能である。
【0205】
このように、本技術の手法によれば、カラーフィルタの材料が有する分光特性だけでは実現が困難な、新たな分光特性を創出することが可能となる。したがって、例えば、医療や工業等の分野において、人間の視感度分光特性ではない特殊な分光特性が求められる場合でも、本構成の画素単位によれば、分光特性を用途に合わせた最適なものに制御することができる。さらに、分光特性が制御されることで、S/N比や色再現性を向上させることができる。
【0206】
また、本技術の手法によれば、用途に合わせて最適な画素単位を設計することができる。したがって、例えば、画素単位の微細化によりフォトダイオードの分割が困難な場合等であっても、用途に合わせて図3,4,10等で説明した本技術の手法を用いて、最適な画素単位を設計することができる。また、例えば、ゲインの設定や信号処理により用途の自由度を高めたい場合には、用途に合わせて図11以降で説明した本技術の手法を用いて、最適な画素単位を設計することができる。
【0207】
さらに、本技術の手法によれば、分光特性の自由度や制御性が増すので、光源推定が容易に行えるようになる。すなわち、本技術の手法によれば、R画素,G画素,B画素の各画素値の分光特性の他に、光源推定に用いることができる新たな分光特性を創出することができるため、白色LED等の新たな光源の推定も容易に行えるようになる。
【0208】
[撮像装置]
図20は、以上説明した本構成の画素単位から構成される撮像素子を搭載した撮像装置、すなわち、本技術を適用した撮像装置の主な構成例を示すブロック図である。
【0209】
図20に示されるように、撮像装置500は、レンズ部511、撮像素子512、操作部513、制御部514、画像処理部515、表示部516、コーデック処理部517、および記録部518を有する。
【0210】
レンズ部511は、被写体までの焦点を調整し、焦点が合った位置からの光を集光し、撮像素子512に供給する。
【0211】
撮像素子512は、フィルタ部531および画素部532、並びに画素信号読み出し部533から構成される。
【0212】
フィルタ部531および画素部532は、上述した本技術が適用された複数の画素単位の集合体である。すなわち、画素単位の観点からすると、オンチップレンズおよびカラーフィルタが、フィルタ部531の一部を構成する。フォトダイオードが、画素部532の一部を構成する。換言すると、各画素単位の各々についてのオンチップレンズおよびカラーフィルタの集合体が、フィルタ部531を構成する。各画素単位の各々についてのフォトダイオードの集合体が、画素部532を構成する。
【0213】
画素部532は、レンズ部511およびフィルタ部531を介して入射される光を受光し、画素信号読み出し部533の制御に基づいて、これを光電変換して光の強度に応じた電圧信号(アナログ信号)を出力する。
【0214】
すなわち、画像信号読み出し部533は、画素部532から画素単位毎のアナログ信号を画像信号として読み出して、A/D(Analog/Digital)変換を施してデジタル信号となった画像信号を画像処理部515に供給する。ここで、1つの画素単位が複数の小画素を有する場合、画素信号読み出し部533は、A/D変換の前後において、各小画素の画素信号を必要に応じて増幅したり合算することで、画素単位の画素信号を生成する。
【0215】
操作部513は、例えば、ジョグダイヤル(商標)、キー、ボタン、またはタッチパネル等により構成され、ユーザによる操作入力を受け、その操作入力に対応する信号を制御部714に供給する。
【0216】
制御部514は、操作部513により入力されたユーザの操作入力に対応する信号に基づいて、レンズ部511、撮像素子512、画像処理部515、表示部516、コーデック処理部517、および記録部518を制御する。例えば、制御部514は、撮像素子512を制御して、本構成のN分割画素単位におけるN個のフォトダイオードのそれぞれからの電気信号のレベルの出力手法を切り替える。
【0217】
画像処理部515は、撮像素子512から供給された画像信号に対して、信号処理、または、例えば、ホワイトバランス調整、デモザイク処理、マトリックス処理、ガンマ補正、およびYC変換等の各種画像処理を施し、表示部516およびコーデック処理部517に供給する。
【0218】
表示部516は、例えば、液晶ディスプレイ等として構成され、画像処理部515からの画像信号に基づいて、被写体の画像を表示する。
【0219】
コーデック処理部517は、画像処理部515からの画像信号に対して、所定の方式の符号化処理を施し、符号化処理の結果得られた画像データを記録部518に供給する。
【0220】
記録部518は、コーデック処理部517からの画像データを記録する。記録部518に記録された画像データは、必要に応じて画像処理部515に読み出されることで、表示部516に供給され、対応する画像が表示される。
【0221】
なお、本技術を適用した固体撮像素子を備える撮像装置は、上述した構成に限らず、他の構成であってもよい。
【0222】
また、以上において、1つの装置(または処理部)として説明した構成が、複数の装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成が、まとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成が付加されるようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部が他の装置(または他の処理部)の構成に含まれるようにしてもよい。つまり、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0223】
なお、本技術は、以下のような構成もとることができる。
(1)
フォトダイオードと、
前記フォトダイオードの上方であって異なる平面位置にそれぞれ配置される、第1のカラーフィルタ及び第2のカラーフィルタと、
前記第1のカラーフィルタの上方に配置される第1のオンチップレンズと、前記第2のカラーフィルタの上方に配置される第2のオンチップレンズと
を含む画素単位を備える
撮像素子。
(2)
前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタは、それぞれ異なる分光特性を有する
前記(1)に記載の撮像素子。
(3)
前記画素単位は、前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタのそれぞれの分光特性の合成結果に応じたレベルの電気信号を出力する
前記(1)または(2)に記載の撮像素子。
(4)
前記フォトダイオードは、前記第1のカラーフィルタの下方に配置される第1のフォトダイオードと、前記第2のカラーフィルタの下方に配置される第2のフォトダイオードとを含み、
前記画素単位から出力される、前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタのそれぞれの分光特性に応じたレベルの電気信号が加算される
前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の撮像素子。
(5)
前記画素単位は、
前記第1のフォトダイオードと前記第2のフォトダイオードとからそれぞれ出力される電気信号を加算する共通フローティングディフュージョンをさらに備える
前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の撮像素子。
(6)
前記第1のフォトダイオードと前記第2のフォトダイオードとからそれぞれ出力される前記電気信号は、それぞれ個別に設定されたゲインで増幅されている
前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の撮像素子。
(7)
前記第1のフォトダイオードと前記第2のフォトダイオードは、電荷の蓄積時間がそれぞれ個別に設定される
前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の撮像素子。
(8)
前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタは、赤外光を透過する特性を有している
前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の撮像素子。
(9)
前記画素単位は、
前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタの他、1以上のカラーフィルタからなるカラーフィルタ群と、
前記第1のオンチップレンズと前記第2のオンチップレンジの他、1以上のオンチップレンズであって、前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタの他、1以上の前記カラーフィルタの上方に配置されるオンチップレンズからなるオンチップレンズ群とを含む
前記(1)乃至(8)のいずれかに記載の撮像素子。
(10)
前記画素単位は、前記カラーフィルタ群のそれぞれの分光特性の合成結果に応じたレベルの電気信号を出力する
前記(1)乃至(9)のいずれかに記載の撮像素子。
(11)
前記フォトダイオードは、前記カラーフィルタ群の各々の下方に配置されるフォトダイオード群からなり、
前記画素単位から出力される、前記カラーフィルタ群のそれぞれの分光特性に応じたレベルの電気信号が加算される
前記(1)乃至(10)のいずれかに記載の撮像素子。
(12)
前記画素単位は、
前記フォトダイオード群からそれぞれ出力される電気信号を加算する共通フローティングディフュージョンをさらに備える
前記(1)乃至(11)のいずれかに記載の撮像素子。
(13)
前記フォトダイオード群からそれぞれ出力される前記電気信号は、それぞれ個別に設定されたゲインで増幅されている
前記(1)乃至(12)のいずれかに記載の撮像素子。
(14)
前記フォトダイオード群は、電荷の蓄積時間がそれぞれ個別に設定される
前記(1)乃至(13)のいずれかに記載の撮像素子。
(15)
前記カラーフィルタ群の各々は、赤外光を透過する特性を有している
前記(1)乃至(14)のいずれかに記載の撮像素子。
(16)
前記フォトダイオードの上方には導波路が形成される
前記(1)乃至(15)のいずれかに記載の撮像素子。
(17)
前記フォトダイオードからの出力形態は、前記撮像素子の内部又は外部の制御によって選択的に切り替えられる複数の種類が存在する
前記(1)乃至(16)のいずれかに記載の撮像素子。
(18)
フォトダイオードと、
前記フォトダイオードの上方であって異なる平面位置にそれぞれ配置される、第1のカラーフィルタ及び第2のカラーフィルタと、
前記第1のカラーフィルタの上方に配置される第1のオンチップレンズと、前記第2のカラーフィルタの上方に配置される第2のオンチップレンズと
を含む画素単位を備える
撮像素子を搭載した
撮像装置。
(19)
フォトダイオードと、
前記フォトダイオードの上方であって異なる平面位置にそれぞれ配置される、第1のカラーフィルタ及び第2のカラーフィルタと、
前記第1のカラーフィルタの上方に配置される第1のオンチップレンズと、前記第2のカラーフィルタの上方に配置される第2のオンチップレンズと
を含む画素単位を備える
撮像素子を搭載した撮像装置を含み、
前記撮像装置は、生体を被写体として撮像する
生体撮像装置。
【0224】
本技術は、撮像素子または撮像装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0225】
100 単一画素単位, 111 フォトダイオード, 112−UL,112−DR A用カラーフィルタ, 112−UR,112−DL B用カラーフィルタ, 113−UL,113−UR オンチップレンズ, 169 導波路, 200 転送ゲート, 201 共通フローティングディフュージョン, 220 転送ゲートおよび個別FD部, 300 生体情報取得装置, 314 発光部, 341 レンズ部, 342 筐体, 330 カメラ, 343 画像処理部, 512 撮像素子, 531 フィルタ部, 532 画素部, 533 画像読み出し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトダイオードと、
前記フォトダイオードの上方であって異なる平面位置にそれぞれ配置される、第1のカラーフィルタ及び第2のカラーフィルタと、
前記第1のカラーフィルタの上方に配置される第1のオンチップレンズと、前記第2のカラーフィルタの上方に配置される第2のオンチップレンズと
を含む画素単位を備える
撮像素子。
【請求項2】
前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタは、それぞれ異なる分光特性を有する
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項3】
前記画素単位は、前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタのそれぞれの分光特性の合成結果に応じたレベルの電気信号を出力する
請求項2に記載の撮像素子。
【請求項4】
前記フォトダイオードは、前記第1のカラーフィルタの下方に配置される第1のフォトダイオードと、前記第2のカラーフィルタの下方に配置される第2のフォトダイオードとを含み、
前記画素単位から出力される、前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタのそれぞれの分光特性に応じたレベルの電気信号が加算される
請求項2に記載の撮像素子。
【請求項5】
前記画素単位は、
前記第1のフォトダイオードと前記第2のフォトダイオードとからそれぞれ出力される電気信号を加算する共通フローティングディフュージョンをさらに備える
請求項4に記載の撮像素子。
【請求項6】
前記第1のフォトダイオードと前記第2のフォトダイオードとからそれぞれ出力される前記電気信号は、それぞれ個別に設定されたゲインで増幅されている
請求項4に記載の撮像素子。
【請求項7】
前記第1のフォトダイオードと前記第2のフォトダイオードは、電荷の蓄積時間がそれぞれ個別に設定される
請求項4に記載の撮像素子。
【請求項8】
前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタは、赤外光を透過する特性を有している
請求項2に記載の撮像素子。
【請求項9】
前記画素単位は、
前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタの他、1以上のカラーフィルタからなるカラーフィルタ群と、
前記第1のオンチップレンズと前記第2のオンチップレンジの他、1以上のオンチップレンズであって、前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタの他、1以上の前記カラーフィルタの上方に配置されるオンチップレンズからなるオンチップレンズ群と
を含む請求項2に記載の撮像素子。
【請求項10】
前記画素単位は、前記カラーフィルタ群のそれぞれの分光特性の合成結果に応じたレベルの電気信号を出力する
請求項9に記載の撮像素子。
【請求項11】
前記フォトダイオードは、前記カラーフィルタ群の各々の下方に配置されるフォトダイオード群からなり、
前記画素単位から出力される、前記カラーフィルタ群のそれぞれの分光特性に応じたレベルの電気信号が加算される
請求項9に記載の撮像素子。
【請求項12】
前記画素単位は、
前記フォトダイオード群からそれぞれ出力される電気信号を加算する共通フローティングディフュージョンをさらに備える
請求項11に記載の撮像素子。
【請求項13】
前記フォトダイオード群からそれぞれ出力される前記電気信号は、それぞれ個別に設定されたゲインで増幅されている
請求項11に記載の撮像素子。
【請求項14】
前記フォトダイオード群は、電荷の蓄積時間がそれぞれ個別に設定される
請求項11に記載の撮像素子。
【請求項15】
前記カラーフィルタ群の各々は、赤外光を透過する特性を有している
請求項10に記載の撮像素子。
【請求項16】
前記フォトダイオードの上方には導波路が形成される
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項17】
前記フォトダイオードからの出力形態は、前記撮像素子の内部又は外部の制御によって選択的に切り替えられる複数の種類が存在する
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項18】
フォトダイオードと、
前記フォトダイオードの上方であって異なる平面位置にそれぞれ配置される、第1のカラーフィルタ及び第2のカラーフィルタと、
前記第1のカラーフィルタの上方に配置される第1のオンチップレンズと、前記第2のカラーフィルタの上方に配置される第2のオンチップレンズと
を含む画素単位を備える
撮像素子を搭載した
撮像装置。
【請求項19】
フォトダイオードと、
前記フォトダイオードの上方であって異なる平面位置にそれぞれ配置される、第1のカラーフィルタ及び第2のカラーフィルタと、
前記第1のカラーフィルタの上方に配置される第1のオンチップレンズと、前記第2のカラーフィルタの上方に配置される第2のオンチップレンズと
を含む画素単位を備える
撮像素子を搭載した撮像装置を含み、
前記撮像装置は、生体を被写体として撮像する
生体撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−45917(P2013−45917A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183303(P2011−183303)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】