撮像装置及び撮像方法並びにプログラム
【課題】撮像装置において、ローリングシャッタ方式の撮像センサで動体を撮像するときに生じる動体の図形の歪みを、解像度を変えることなく容易に補正する。
【解決手段】ローリングシャッタ方式の撮像センサを使用して被写体を撮像する撮像手段を用いて、撮像手段に第1の撮像を行わせ、ライン毎の走査を一方向から行う第1の走査方法で撮像センサの信号を読み出す。撮像手段に第2の撮像を行わせ、ライン毎の走査を前記一方向とは逆の方向から行う第2の走査方法で撮像センサの信号を読み出す。第1の撮像によって取得した第1の画像から複数の特徴点を抽出し各々に対応する対応点を、第2の撮像によって取得した第2の画像から検出する。複数の特徴点と各々に対応する対応点との中間に位置する中間点の座標値を算出する。複数の特徴点/対応点の座標値が中間点の座標値に一致するように第1の画像/第2の画像を変形する。
【解決手段】ローリングシャッタ方式の撮像センサを使用して被写体を撮像する撮像手段を用いて、撮像手段に第1の撮像を行わせ、ライン毎の走査を一方向から行う第1の走査方法で撮像センサの信号を読み出す。撮像手段に第2の撮像を行わせ、ライン毎の走査を前記一方向とは逆の方向から行う第2の走査方法で撮像センサの信号を読み出す。第1の撮像によって取得した第1の画像から複数の特徴点を抽出し各々に対応する対応点を、第2の撮像によって取得した第2の画像から検出する。複数の特徴点と各々に対応する対応点との中間に位置する中間点の座標値を算出する。複数の特徴点/対応点の座標値が中間点の座標値に一致するように第1の画像/第2の画像を変形する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタルカメラ等の撮像装置に関し、特にローリングシャッタ方式の撮像センサを備えてなる撮像装置及び撮像方法並びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ローリングシャッタ方式の撮像センサとして、構造的に読出線を複数用意したり、不要部分を読み飛ばすことによって高速読み出しを可能にしたCMOS(Complementary Mental Oxide Semiconductor)イメージセンサ(以下、CMOSセンサという)が普及しつつある。このようなCMOSセンサをデジタルカメラに搭載することにより、従来よりも高速な連写が可能となり、シャッタチャンスを逃すことなく撮像を行うことができる。
【0003】
ところでCMOSセンサでは、一般的に、走査ライン毎に順次シャッタを切るローリングシャッタ方式により画素信号の読み出しが行われる。この方式で全画素の画素信号を読み出す場合、例えば、画面の左上の画素から順に、右下に向かって各画素の信号を読み出すため、読み出し開始点(左上)と読み出し終了点(右下)とで時間差が生じてしまい、図13の左図に示すように被写体に図中右方向に移動する動体Dが存在する場合には、撮像して得た画像は図13の右図に示すように動体Dの図形に歪みが生じてしまう。
【0004】
そこで、ローリングシャッタ方式の撮像センサにおいて、水平又は垂直の走査ラインを所定の間引き率で読み出し、間引かれた走査ラインは近接する走査ラインを用いて補正することにより動体の図形の歪みを低減する方法(特許文献1)や、ローリングシャッタ方式の撮像センサを用いて撮像された複数枚のフレーム画像において、動き領域及び動き領域の動きベクトルを取得し、動きベクトルと複数枚のフレーム画像間での撮像間隔に関する情報と、露光開始時刻差に関する情報と、露光開始順序に関する情報とに基づいて複数枚のフレーム画像中の補正対象たるフレーム画像内の動き領域を補正する方法(特許文献2)が開示されている。
【特許文献1】特開2006−148861号公報
【特許文献2】特開2007−142929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の方法は、走査ラインを間引くので水平方向の走査ラインを間引いた場合には垂直方向の解像度が、垂直方向の走査ラインを間引いた場合には水平方向の解像度が低下してしまう。また上記特許文献2に記載の方法は、動き領域の検出や、露光開始時刻差等の情報が必要となり、例えば画像の中に動きの異なる複数の動き領域が存在する場合等には各々の動き領域を検出して、領域毎に異なる補正を行う必要があるため処理が煩雑になってしまう虞がある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、ローリングシャッタ方式の撮像センサで動体を撮像するときに生じる動体の図形の歪みを、解像度を変えることなく容易に補正することができる撮像装置及び撮像方法並びプログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の撮像装置は、ローリングシャッタ方式の撮像センサを使用して被写体を撮像する撮像手段と、
【0008】
該撮像手段に第1の撮像と第2の撮像とを連続して行わせ、前記第1の撮像時にライン毎の走査を一方向から行う第1の走査方法で前記撮像センサの信号を読み出し、前記第2の撮像時にライン毎の走査を前記一方向とは逆の方向から行う第2の走査方法で前記撮像センサの信号を読み出すように前記撮像手段を制御する撮像制御手段と、
【0009】
前記第1の撮像によって取得した第1の画像から複数の特徴点を抽出する特徴点抽出手段と、
【0010】
該特徴点抽出手段により抽出された複数の特徴点の各々に対応する対応点を、前記第2の撮像によって取得した第2の画像から検出する対応点検出手段と、
【0011】
前記複数の特徴点と該複数の特徴点の各々に対応する前記対応点との中間に位置する中間点の座標値を算出し、前記特徴点の座標値が前記中間点の座標値に一致するように前記第1の画像を変形する、及び/又は、前記対応点の座標値が前記中間点の座標値に一致するように前記第2の画像を変形する画像変形手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明において「ローリングシャッタ方式の撮像センサ」は、全画素同時ではなく、シャッタ動作を行う画素が時間とともに縦方向又は横方向の行単位でシフトしていく方式のイメージセンサをいい、MOS型のイメージセンサを挙げることができる。MOS型のイメージセンサとしては例えばCMOSセンサを使用することができる。
また「第1の撮像と第2の撮像とを連続して行わせ」は、先に第1の撮像を行ってもよいし、先に第2の撮像を行ってもよい。ただし「連続」した撮像は第1の撮像と第2の撮像との間の時間間隔が例えば1/60秒を超えないようにする。
【0013】
なお本発明の撮像装置は、前記複数の特徴点と該複数の特徴点の各々に対応する前記対応点とから動きベクトルを算出する動きベクトル算出手段と、
【0014】
該動きベクトル算出手段により算出された前記動きベクトルが所定の閾値よりも小さい場合に、前記画像変形手段による前記第1の画像又は前記第2の画像の変形を行わないようにする画像変形禁止手段とをさらに備えていてもよい。
【0015】
なお所定の閾値と比較する「動きベクトル」は、複数の動きベクトルのうち最も大きさの大きいベクトルを選択してもよいし、複数の動きベクトルの平均値や中間値を使用してもよいし、選択方法を適宜変更することができる。
【0016】
また本発明の撮像装置は、前記画像変形手段が、前記第1の画像及び前記第2の画像を変形するものであり、
【0017】
該変形された第1の画像及び第2の画像を合成して1つの画像を生成する画像合成手段をさらに備えていてもよい。
【0018】
本発明の撮像方法は、ローリングシャッタ方式の撮像センサを使用して被写体を撮像する撮像手段を用いる撮像方法において、
【0019】
前記撮像手段に第1の撮像を行わせ、
【0020】
該第1の撮像時にライン毎の走査を一方向から行う第1の走査方法で前記撮像センサの信号を読み出し、
【0021】
前記撮像手段に第2の撮像を行わせ、
【0022】
該第2の撮像時にライン毎の走査を前記一方向とは逆の方向から行う第2の走査方法で前記撮像センサの信号を読み出し、
【0023】
前記第1の撮像によって取得した第1の画像から複数の特徴点を抽出し、
【0024】
該抽出された複数の特徴点の各々に対応する対応点を、前記第2の撮像によって取得した第2の画像から検出し、
【0025】
前記複数の特徴点と該複数の特徴点の各々に対応する対応点との中間に位置する中間点の座標値を算出し、
【0026】
前記複数の特徴点の座標値が前記中間点の座標値に一致するように前記第1の画像を変形する、及び/又は、前記対応点の座標値が前記中間点の座標値に一致するように前記第2の画像を変形することを特徴とする。
【0027】
なお本発明の撮像方法は、前記複数の特徴点と該複数の特徴点の各々に対応する前記対応点とから動きベクトルを算出し、
【0028】
該算出された前記動きベクトルが所定の閾値よりも小さい場合に、前記第1の画像又は前記第2の画像の変形を行わないようにしてもよい。
【0029】
また本発明の撮像方法は、前記第1の画像及び前記第2の画像を変形し、
【0030】
該変形された第1の画像及び第2の画像を合成して1つの画像を生成してもよい。
【0031】
本発明のプログラムは、ローリングシャッタ方式の撮像センサを使用して被写体を撮像する撮像手段を用いる撮像方法をコンピュータに実行させるためのプログラムにおいて、
【0032】
前記撮像手段に第1の撮像を行わせ、
該第1の撮像時にライン毎の走査を一方向から行う第1の走査方法で前記撮像センサの信号を読み出し、
【0033】
前記撮像手段に第2の撮像を行わせ、
【0034】
該第2の撮像時にライン毎の走査を前記一方向とは逆の方向から行う第2の走査方法で前記撮像センサの信号を読み出し、
【0035】
前記第1の撮像によって取得した第1の画像から複数の特徴点を抽出し、
【0036】
該抽出された複数の特徴点の各々に対応する対応点を、前記第2の撮像によって取得した第2の画像から検出し、
【0037】
前記複数の特徴点と該複数の特徴点の各々に対応する対応点との中間に位置する中間点の座標値を算出し、
【0038】
前記複数の特徴点の座標値が前記中間点の座標値に一致するように前記第1の画像を変形する、及び/又は、前記対応点の座標値が前記中間点の座標値に一致するように前記第2の画像を変形することを実行させることを特徴とするものである。
【0039】
なお本発明のプログラムは、コンピュータに、前記複数の特徴点と該複数の特徴点の各々に対応する前記対応点とから動きベクトルを算出し、
【0040】
該算出された前記動きベクトルが所定の閾値よりも小さい場合に、前記第1の画像又は前記第2の画像の変形を行わないようにすることを実行させるものであってもよい。
【0041】
また本発明のプログラムは、コンピュータに、前記第1の画像及び前記第2の画像を変形し、
【0042】
該変形された第1の画像及び第2の画像を合成して1つの画像を生成することを実行させるものであってもよい。
【発明の効果】
【0043】
本発明の撮像装置及び撮像方法並びにプログラムによれば、略同一のシーンを2度撮像し、1度目の撮像時と2度目の撮像時とで、撮像センサの信号の読み出し走査方向を逆転させることにより、1度目の撮像時によって取得した第1の画像と2度目の撮像時によって取得した第2の画像とでは、被写体に一定速度で移動する動体が含まれていた場合に、動体の歪みの形状に対称性を有する差が生じるので、第1の画像から抽出された複数の特徴点と、複数の特徴点に各々対応する対応点との中間に位置する中間点の座標値を算出して、特徴点の座標値が中間点の座標値に一致するように第1の画像を変形する、及び/又は、対応点の座標値が中間点の座標値に一致するように第2の画像を変形することにより、ローリングシャッタ方式の撮像センサで動体を撮像するときに生じる動体の図形の歪みを、解像度を変えることなく容易に補正することができる。
【0044】
また複数の特徴点と複数の特徴点の各々に対応する対応点とから動きベクトルを算出し、算出された動きベクトルが所定の閾値よりも小さい場合に、第1の画像又は第2の画像の変形を行わないようにする場合には、撮像センサに起因する動体の歪みは動体の速度が速いほど顕著であり、逆に動体の速度が遅い場合には動体の図形の歪みは小さくなるので、動体の動きが小さい場合に画像の変形を禁止することにより、無駄な処理をなくすことができる。
【0045】
また第1の画像及び第2の画像を変形し、変形された第1の画像及び第2の画像を合成して1つの画像を生成する場合には、第1の画像を取得する第1の撮像と、第2の画像を取得する第2の撮像とで撮像条件を変えることにより、例えば露出条件を変えた場合には第1の画像と第2の画像においてそれぞれ適正露出の部分が異なる部分となるので、適正露出部分を合成することにより、動体の図形の歪みを補正すると共にダイナミックレンジを拡大することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明にかかる撮像装置の一実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施の形態では、本発明における撮像装置としてデジタルカメラを例に説明するが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、例えば、カメラ付き携帯電話、カメラ付きPDA等、電子撮像機能を備えた他の電子機器に対しても適用可能である。
【0047】
ここで図1にデジタルカメラ1の機能構成を示すブロック図を示す。本実施形態のデジタルカメラ1は、図1に示す如く、撮影レンズ11と、CMOSセンサ(撮像センサ)15と、撮影レンズ11とCMOSセンサ15との間に設けられた絞り12と、赤外線カットフィルタ13と、光学ローパスフィルタ14とを備えている。
【0048】
撮影レンズ11は、光軸方向に移動可能であり、後述するCPU19によって制御されレンズ駆動部16を介してフォーカス位置に移動される。絞り12は、絞り径すなわち開口量が調整可能であり、後述するCPU19によって制御され絞り駆動部17を介して露光量が適正露光量となるように調整される。
【0049】
CMOSセンサ15は、後述するCPU19によって制御され撮像素子駆動部18を介して駆動されて、撮影レンズ11を通して撮像した被写体画像を色信号として出力させる。CMOSセンサ15では、走査ライン毎に順次シャッタを切るローリングシャッタ方式により画素信号の読み出しが行わる。全画素の画素信号を読み出す場合、画面左端の画素から右端の画素に向かって順に画素の信号を読み出す水平ライン毎の走査を画面の上端のラインから下端のラインに向かって順に行う第1の走査方法か、又は画面左端の画素から右端の画素に向かって順に画素の信号を読み出す水平ライン毎の走査を画面の下端のラインから上端のラインに向かって順に行う第2の走査方法によって画素の信号の読み出しを行い、この画素信号をアナログ画像信号として出力する。
【0050】
なお本実施形態では、水平ライン毎の走査を画面の上方向又は下方向に向かって行うものとしたが、垂直ライン毎の走査を画面の左方向又は右方向に向かって行うものであってもよい。
【0051】
本実施形態では上述した撮影レンズ11、絞り12、赤外線カットフィルタ13、光学ローパスフィルタ14、CMOSセンサ15、レンズ駆動部16、絞り駆動部17及び撮像素子駆動部18が被写体を撮像する撮像手段10として機能する。
【0052】
CPU(撮像制御手段)19は、デジタルカメラ1全体を制御するものであり、撮像手段10を制御する撮像制御手段としても機能するものであって、撮像手段10に第1の撮像と第2の撮像とを連続して行わせ、第1の撮像時に上述した第1の走査方法で撮像センサ15の画素の信号を読み出させ、第2の撮像時に上述した第2の走査方法で撮像センサ15の画素の信号を読み出させる。
【0053】
またCPU19は、フラッシュ用の発光部20と受光部21を制御すると共に、図示しないシャッタボタンや、メニュー/OKボタン、ズーム/上下矢印ボタン等の操作部22を介して入力されるユーザの指示信号に従って各種制御を行う。
【0054】
CMOSセンサ15が出力するアナログ画像信号は、アナログ信号処理部23に入力される。このアナログ信号処理部23は、アナログ画像信号のノイズ除去を行う相関2重サンプリング回路(CDS)と、アナログ画像信号のゲイン調整を行うオートゲインコントローラ(AGC)とからなる。
A/D24は、アナログ信号処理部23で信号処理されたアナログ画像信号をデジタル画像データに変換するA/Dコンバータ(ADC)である。このデジタル信号に変換されたデジタル画像データは、画素毎にRGBの濃度値を持つCCD−RAWデータである。
【0055】
そしてA/D24によってデジタル信号に変換されたデジタル画像データは、CPU19からの指令により制御され、制御バス37及びデータバス38によって相互に接続された各部に必要に応じて出力されて各種処理が施される。以下、この各部について説明する。
【0056】
デジタルカメラ1において設定される各種定数、及び、CPU19が実行するプログラム等を格納するメインメモリ25に接続されたメモリ制御部26は、CPU19からの指令によってメインメモリ25に記憶された各種データを読み出す。
【0057】
デジタル信号処理部27は、入力された画像データに対してガンマ補正処理、輪郭強調(シャープネス)処理、コントラスト処理、ノイズ低減処理等の画質補正処理を施すと共に、CCD−RAWデータを輝度信号であるYデータと、青色色差信号であるCbデータ及び赤色色差信号であるCrデータとからなるYCデータに変換するYC処理を行う。
【0058】
圧縮伸張処理部28は、デジタル信号処理部27によって画質補正等の処理が行われた画像データに対して、例えばJPEG等の圧縮形式で圧縮処理を行って、画像ファイルを生成する。この画像ファイルには、Exif形式等に基づいて、撮影日時や、肖像権保護モードで撮影された画像であるか等の付帯情報が格納されたタグが付加される。またこの圧縮伸張処理部28は、再生モードにおいては記録媒体30(後述する)から圧縮された画像ファイルを読み出し伸張処理を行う。伸張後の画像データは表示制御部33(後述する)に出力され、表示制御部33は画像データに基づいた画像を表示部32(後述する)に表示する。
【0059】
積算部29は、測光データを積算してホワイトバランスのゲインを調整する。
【0060】
着脱自在の記録媒体30が接続される外部メモリ制御部31は、記録媒体30が接続されるとデータの読み取り/書き込みを行うメディアスロットに相当し、記録媒体30に記憶された画像ファイル等の読み出し、又は画像ファイルの書き込みを行う。
【0061】
デジタルカメラ1の背面等に搭載された液晶モニタ等の表示部32に接続される表示制御部33は、画像データに基づいた画像を表示部32に表示する。
【0062】
特徴点抽出部34は、撮像手段10により撮像された画像から特徴点を抽出する。特徴点は被写体の角部や画像パターン等として特徴を有する点であり、画素信号の勾配情報等に基づいて抽出される。特徴点の抽出方法としては、例えばMoravecの手法や、Harrisの手法等を使用することができるが、本発明においては、特徴点を抽出できれば抽出方法は限定しない。
【0063】
対応点検出部35は、撮像手段10により撮像された画像から、特徴点抽出部34によって抽出された特徴点に対応する対応点を検出する。対応点は、特徴点の特徴と略一致する点であり、対応点の検出方法としては、例えばKLT法、ブロックマッチング等を使用することができるが、本発明においては、対応点を検出できれば検出方法は限定しない。
【0064】
画像変形部36は、被写体の歪みを補正するために画像を変形するものである。なお画像の変形方法については後で詳細に説明する。
【0065】
本実施形態のデジタルカメラ1は以上のように構成されている。次に上記構成のデジタルカメラ1を使用した撮像方法について以下図面を使用して詳細に説明する。図2は図1のデジタルカメラ1の撮像処理のフローチャート、図3(a)は被写体中の動体Dに歪みが生じていない状態の画像P、図3(b)は第1の走査方法によって取得した画像P1、図3(c)は第2の走査方法によって取得した画像P2、図4は歪みの対称性を説明する図である。
【0066】
本実施形態のデジタルカメラ1は、図2に示す如く、先ず、CPU19がCMOSセンサ15の走査方法を上述した第1の走査方法に設定する(ステップS1)。そしてCPU19はシャッタボタンが全押しされたか否かを判別し(ステップS2)、シャッタボタンが全押しされていなければ(ステップS2;NO)、シャッタボタンが全押しされるまでステップS2の処理を繰り返し行う。
【0067】
一方、ステップS2にてシャッタボタンが全押しされたと判別されると(ステップS2;YES)、CPU19は撮像手段10に第1の走査方法による第1の撮像を行わせて第1の画像P1を取得させる(ステップS3)。例えば、図3(a)に示す如く、被写体中に図中右方向に移動する動体Dが存在している場合には、第1の走査方法によって第1の画像P1を取得すると、図3(b)に示す如く、CMOSセンサ15は画面左端の画素から右方向に向かって、すなわち図中矢印A1方向に順に画素の信号を読み出す水平ラインの走査を画面上端から画面下端に向かって、すなわち図中矢印A2方向に順に行うので、被写体中の動体Dの上端の画素と下端の画素とに画素信号を読み出す時間の差が生じてしまい、この時間差の間に動体Dが移動した分だけ動体Dに歪みが生じ、第1の画像P1における動体は歪んだ図形の動体D1となる。
【0068】
このように撮像手段10が動体D1の図形が歪んだ画像P1を取得した後(ステップS3)、CPU19は走査方法を第1の走査方法から上述した第2の走査方法に変更する(ステップS4)。そして次にCPU19は撮像手段10に第2の走査方法による第2の撮像を行わせて第1の画像P1を取得させる(ステップS3)。なおCPU19は撮像手段10に第1の撮像と第2の撮像との時間差が1/60秒を超えないように連続して撮像を行わせる。また本実施形態では第1の撮像と第2の撮像は、明るさ、シャッタスピード、絞り等の撮像条件は同じとする。
【0069】
第2の走査方法によって第2の画像P2を取得すると、図3(c)に示す如く、CMOSセンサ15は画面左端の画素から右方向に向かって、すなわち図中矢印B1方向に順に画素の信号を読み出す水平ラインの走査を画面下端から画面上端に向かって、すなわち図中矢印B2方向に順に行うので、第1の走査方法のときと同様に被写体中の動体Dの上端の画素と下端の画素とに画素信号を読み出す時間の差が生じてしまい、この時間差の間に動体Dが移動した分だけ動体Dに歪みが生じ、第2の画像P2における動体は歪んだ図形の動体D2となる。
【0070】
第1の走査方法では画素信号を読み出すときに動体Dの上端側が先に読み出されるので、第1の画像P1の歪んだ動体D1は下端が動体Dの動く方向に移動した図形となり、第2の走査方法では画像信号を読み出すときに動体Dの下端側が先に読み出されるので、第2の画像P2の歪んだ動体D2は上端が動体Dの動く方向に移動した図形となる。すなわち動体Dの歪みは動体Dの移動速度とCMOSセンサ15の走査時間や走査方向によって異なるものとなる。
【0071】
つまり動体Dの移動速度が一定で、かつCMOSセンサ15の第1の走査方式と第2の走査方式を使用したときの走査時間が同じときには、例えば歪んでいない状態の動体D(図3(a)参照)の垂直な右端が、図4に示す如く、第1の画像P1において歪んだ動体D1となったときの傾きE1と、第2の画像P2において歪んだ動体D2となったときの傾きE2とが、傾きE2を第1の画像P1に傾きE1に交わるように平行移動して傾きE2’としたときに、傾きE1と傾きE2’とが各々の交点を通る軸Gに対して対称となることから、第1の画像P1における動体D1の歪み形状と第2の画像P2における動体D2の歪み形状とは対称性を持つ。
【0072】
そしてこの対称性から歪みのない動体Dの形状を算出することにより、図2のステップS6からステップS11の処理により歪みの補正を行う。図2に示す如く、第1の画像P1と第2の画像P2とを取得したら(ステップS3、5)、特徴点抽出部34が上述したようにして第1の画像P1から複数の特徴点を抽出する(ステップS6)。次にCPU19は特徴点抽出部34により抽出された特徴点がN1(本実施形態では200)個未満か否かを判別する(ステップS7)。
【0073】
特徴点抽出部34が特徴点をN1(本実施形態では200)個未満抽出していたときには(ステップS7;YES)、画像の変形に必要な数の対応点が検出される可能性が低いので図形の変形は行わずに処理を終了する。このとき取得した画像P1及び/又は画像P2を記録媒体30に記録してもよい。
【0074】
一方、特徴点抽出部34が特徴点をN1(本実施形態では200)個以上抽出していたときには(ステップS7;NO)、対応点検出部35が上述したようにして第2の画像P2から特徴点抽出部34により抽出された複数の特徴点の各々に対応する対応点を検出する(ステップS8)。次にCPU19は対応点検出部35により検出された対応点がN2(本実施形態では100)個未満か否かを判別する(ステップS9)。
【0075】
対応点検出部35が対応点をN2(本実施形態では100)個未満検出していたときには(ステップS9;YES)、画像の変形に必要な数の対応点が検出されていないので図形の変形は行わずに処理を終了する。このとき取得した画像P1及び/又は画像P2を記録媒体30に記録してもよい。
【0076】
一方、対応点検出部35が対応点をN2(本実施形態では100)以上検出していたときには(ステップS9;NO)、画像変形部36が中間点の座標値を算出する(ステップS10)。ここで図5(a)に特徴点の抽出結果を示す図、図5(b)に対応点の検出結果を示す図、図6に特徴点と中間点とを示す図、図7に画像の変形方法を説明する図をそれぞれ示す。なお図5(a)、図5(b)、図6は、便宜上、特徴点、対応点、中間点の個数を5個として以下説明するが、実際にはもっと多いものとする。
【0077】
例えば図5(a)に示す如く、特徴点抽出部34が第1の画像P1において特徴点f1〜f5の5つの特徴点を抽出し、図5(b)に示す如く、対応点検出部35が第2の画像P2において、特徴点f1〜f5とそれぞれ対応する対応点m1〜m5を検出したとする。このときの特徴点f1〜f5及び対応点m1〜m5の座標値並びに特徴点f1〜f5および対応点m1〜m5の座標値に基づいて算出した各々の中間点h1〜h5を下記表1に示す。
【表1】
上記表1に示すように、特徴点f1〜f5および対応点m1〜m5の座標値に基づいて中間点h1〜h5を算出すると(ステップS10)、画像変形部36は、第1の画像を変形する(ステップS11)。
上述したように第1の画像P1の動体D1と第2の画像P2の動体D2とは、歪み形状が対称性を有するので、図6に示す如く、特徴点fと対応点mの中間点hの座標値すなわち対称軸上に、特徴点fの座標値が重なるように、第1の画像P1を変形することにより動体D1の歪みを補正することができる。
【0078】
第1の画像P1の変形には、例えば画像を局所的に歪めて、すなわちワープして変形するワーピングを使用することができる。一般的にワーピングは、画像を複数の三角形に分割し、その三角形毎に変形を行う。以下、具体的に説明する。なお抽出された特徴点f、検出された対応点m、算出された中間点hはそれぞれ10個として説明する。
【0079】
図7の左図に示す如く、第1の画像P1において第1の画像P1の4隅及び抽出された特徴点f1〜f10をそれぞれ結んで第1の画像P1を複数の三角形に分割する。そして第1の画像P1の特徴点f1〜f10が算出された中間点h1〜h10に重なるように第1の画像P1の各三角形をアフィン変換して画像P1’を生成する。このとき使用するアフィン変換の式を下記式(1)に示す。
【数1】
上記式(1)において(x,y)は第1の画像P1における所定の三角形の中の所定の点の座標値で、(x’,y’)は(x,y)に対応する点の座標値を表す。またa,b,c,d,s,tは未知のパラメータであり、三角形の3つの頂点の座標値から一意に定めることができる。つまり、三角形の3つの頂点をなす特徴点fと中間点hの組からアフィン変換のパラメータを算出し、算出したパラメータに基づいて三角形内部の点つまり各画素をアフィン変換する。そして全ての三角形をアフィン変換してワーピングを終了する。このようにワーピングを行うことにより第1の画像P1を変形して動体D1の歪みを補正することができる。
そして図2に示す如く、画像変形部36が第1の画像P1を変形すると(ステップS11)、CPU19は変形された画像P1’を、外部メモリ制御部31を介して記録媒体30に記録する。以上のようにしてデジタルカメラ1による撮影処理を行う。
【0080】
以上のように本実施形態のデジタルカメラ1によれば、略同一のシーンを2度撮像し、1度目の撮像時と2度目の撮像時とで、CMOSセンサ15の信号の読み出し走査方向を逆転させることにより、1度目の撮像時によって取得した第1の画像P1と2度目の撮像時によって取得した第2の画像P2とでは、動体Dの歪みの形状に対称性を有する差が生じるので、第1の画像P1から抽出された複数の特徴点fと、複数の特徴点fに各々対応する対応点mとの中間に位置する中間点hの座標値を算出して、特徴点fの座標値が中間点hの座標値に一致するように第1の画像P1を変形することにより、CMOSセンサ15で動体Dを撮像するときに生じる動体Dの図形の歪みを、解像度を変えることなく容易に補正することができる。
【0081】
なお本実施形態では特徴点の個数N1を200個、対応点の個数N2を100個としたが本発明はこれに限られるものではなく、N1がN2以上であればよい。なおN1はN2の2倍以上であることが好ましく、N2は少なくとも20個以上であることが好ましく、100個以上であることがさらに好ましい。
【0082】
また本実施形態では、第1の撮像を第2の撮像よりも先に行ったが、本発明はこれに限られるものではなく、第2の撮像を第1の撮像よりも先に行ってもよい。本実施形態では第1の撮像と第2の撮像は同じ撮像条件としたが、対応点を検出することが可能であれば撮像条件を変更してもよい。また本実施形態では、第1の画像P1に対して特徴点の抽出を行い、第2の画像P2に対して対応点の検出を行ったが、本発明はこれに限られるものではなく、第2の画像P2に対して特徴点の抽出を行い、第1の画像P1に対して対応点の検出を行ってもよい。また本実施形態では、第1の画像P1の特徴点の座標値が中間点の座標値に一致するように画像P1を変形したが、本発明はこれに限られるものではなく、第2の画像P2の対応点の座標値が中間点の座標値に一致するように画像P2を変形してもよい。
【0083】
次に本発明にかかる第2の実施形態のデジタルカメラ1−2について以下図面を参照して詳細に説明する。図8はデジタルカメラ1−2の機能構成を示すブロック図、図9は図8のデジタルカメラ1−2の撮像処理のフローチャート、図10は動きベクトルを示す図である。なお図8は便宜上、図1のデジタルカメラ1と同様の箇所は同符号で示して説明を省略する。また図9は便宜上、図2のフローチャートと同様の処理は同じステップ番号で示して説明を省略する。
【0084】
本実施形態のデジタルカメラ1−2は、図8に示す如く、図1のデジタルカメラ1の構成にさらに動きベクトル算出部(動きベクトル算出手段)39及び画像変形禁止部(画像変形禁止手段)40を備えている。動きベクトル算出部39は、特徴点fとこの特徴点fに対応する対応点mとから動きベクトルjを算出するものであり、画像変形禁止部40は、画像変形部36による画像の変形を禁止するものである。
【0085】
本実施形態のデジタルカメラ1−2は、図9に示す如く、ステップS9にて対応点検出部35により検出された対応点mの数がN2個以上である場合(ステップS9;NO)に、動きベクトル算出部39が動きベクトルjの算出を行う(ステップS20)。動きベクトルjは、図10に示す如く、特徴点抽出部34により抽出された複数の特徴点fと、対応点検出部35により検出された複数の特徴点fの各々に対応する対応点mの座標値からそれぞれ算出する。
【0086】
そして次にCPU19は、算出された動きベクトルj1〜j5のうち最も大きい動きベクトルj(本実施形態では動きベクトルj1)が所定の閾値以上であるか否かを判別する(ステップS21)。本実施形態では所定の閾値は3画素とするが、ユーザが操作部22を操作することにより変更することができる。
【0087】
動きベクトルj1が3画素未満である場合(ステップS21;NO)には、画像変形禁止部40が動体Dの歪みは小さいと判断して画像変形部36による第1の画像P1の変形を禁止して(ステップS22)、処理を終了する。このとき取得した画像P1及び/又は画像P2を記録媒体30に記録してもよい。
【0088】
一方、動きベクトルj1が3画素以上である場合(ステップS21;YES)には、画像変形部36が動体Dの歪みが大きいと判断してステップS10以降の処理を行い、第1の画像P1の動体D1の歪みを補正する。
【0089】
CMOSセンサに起因する動体Dの歪みは動体Dの速度が速いほど顕著であり、逆に動体Dの速度が遅い場合には動体Dの歪みは小さくなるので、本実施形態のように動体Dの動きが小さい場合には画像の変形を禁止することにより、無駄な処理をなくすことができる。
【0090】
なお本実施形態では算出された動きベクトルj1〜j5のうち最も大きい動きベクトルj1を判別の対象としたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば動きベクトルj1〜j5の大きさの平均値、中間値等を判別の対象としてもよいし、適宜変更することができる。
【0091】
次に本発明にかかる第3の実施形態のデジタルカメラ1−3について以下図面を参照して詳細に説明する。図11はデジタルカメラ1−3の機能構成を示すブロック図、図12は図11のデジタルカメラ1−2の撮像処理のフローチャートである。なお図11は便宜上、図1のデジタルカメラ1と同様の箇所は同符号で示して説明を省略する。また図12は便宜上、図2のフローチャートと同様の処理は同じステップ番号で示して説明を省略する。
【0092】
本実施形態のデジタルカメラ1−3は、図11に示す如く、図1のデジタルカメラの構成にさらに画像合成部(画像合成手段)41を備えている。また本実施形態の画像変形部36−3は、第1の画像P1と第2の画像P2の両方に対して画像の変形を行うものである。
【0093】
本実施形態のデジタルカメラ1−3は、図12に示す如く、ステップS3’における第1の撮像とステップS5’における第2の撮像とでは、撮像条件のうちの露光条件が異なっている。
【0094】
第2の撮像(ステップS5’)では第1の撮像の露光条件よりもダイナミックレンジに応じた段数でアンダー露光して撮像を行う。
【0095】
そしてステップS11にて画像変形部36−3が、第1の画像P1を変形すると(ステップS11)、次に画像変形部36−3は第2の画像P2を変形する(ステップS30)。第2の画像P2の変形は、第1の画像P1の変形と同様にワーピングによって行うことができ各対応点mを中間点hに一致させることにより変形する。なおワーピングの手順は上述した第1の画像P1の変形と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0096】
このようにして第1の画像P1と第2の画像P2を変形した(ステップS11、S12)後で、画像合成部41が第1の画像P1と第2の画像P2とを合成する(ステップS31)。なお画像合成部41による明るさの異なる第1の画像P1と第2の画像P2との合成方法は、例えば特開2001−8104号公報に記載されている合成方法を使用できるものとし、ここでの詳細な説明は省略する。そしてCPU19は合成された画像を、外部メモリ制御部31を介して記録媒体30に記録する。以上のようにしてデジタルカメラ1−3による撮像処理を行う。
【0097】
このように合成処理を行うことにより、動体Dの歪みを補正すると共にダイナミックレンジを拡大することができる。
【0098】
なお本実施形態ではダイナミックレンジを拡大するために、露光条件の異なる2つの画像を合成するものとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば感度の異なる2つの画像を合成するようにしてもよい。
【0099】
なお本発明の撮像装置は、上述した実施形態のデジタルカメラ1に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】第1の実施形態のデジタルカメラの機能構成を示すブロック図
【図2】図1のデジタルカメラの撮像処理のフローチャート
【図3】(a)被写体中の動体Dに歪みが生じていない状態の画像P、(b)第1の走査方法によって取得した画像P1、(c)第2の走査方法によって取得した画像P2
【図4】歪みの対称性を説明する図
【図5】(a)特徴点の抽出結果を示す図、(b)対応点の検出結果を示す図
【図6】特徴点と中間点とを示す図
【図7】画像の変形方法を説明する図
【図8】第2の実施形態のデジタルカメラの機能構成を示すブロック図
【図9】図8のデジタルカメラの撮像処理のフローチャート
【図10】動きベクトルを示す図
【図11】第3の実施形態のデジタルカメラの機能構成を示すブロック図
【図12】図11のデジタルカメラの撮像処理のフローチャート
【図13】被写体中の動体を示す図及び撮像して得た画像
【符号の説明】
【0101】
1 デジタルカメラ(撮像装置)
10 撮像手段
15 CMOSセンサ(撮像センサ)
19 CPU(撮像制御手段)
34 特徴点抽出部(特徴点抽出手段)
35 対応点検出部(対応点検出手段)
36 画像変形部(画像変形手段)
39 動きベクトル算出部(動きベクトル算出手段)
40 画像変形禁止部(画像変形禁止手段)
41 画像合成部(画像合成手段)
P1 第1の画像
P2 第2の画像
D、D1、D2 動体
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタルカメラ等の撮像装置に関し、特にローリングシャッタ方式の撮像センサを備えてなる撮像装置及び撮像方法並びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ローリングシャッタ方式の撮像センサとして、構造的に読出線を複数用意したり、不要部分を読み飛ばすことによって高速読み出しを可能にしたCMOS(Complementary Mental Oxide Semiconductor)イメージセンサ(以下、CMOSセンサという)が普及しつつある。このようなCMOSセンサをデジタルカメラに搭載することにより、従来よりも高速な連写が可能となり、シャッタチャンスを逃すことなく撮像を行うことができる。
【0003】
ところでCMOSセンサでは、一般的に、走査ライン毎に順次シャッタを切るローリングシャッタ方式により画素信号の読み出しが行われる。この方式で全画素の画素信号を読み出す場合、例えば、画面の左上の画素から順に、右下に向かって各画素の信号を読み出すため、読み出し開始点(左上)と読み出し終了点(右下)とで時間差が生じてしまい、図13の左図に示すように被写体に図中右方向に移動する動体Dが存在する場合には、撮像して得た画像は図13の右図に示すように動体Dの図形に歪みが生じてしまう。
【0004】
そこで、ローリングシャッタ方式の撮像センサにおいて、水平又は垂直の走査ラインを所定の間引き率で読み出し、間引かれた走査ラインは近接する走査ラインを用いて補正することにより動体の図形の歪みを低減する方法(特許文献1)や、ローリングシャッタ方式の撮像センサを用いて撮像された複数枚のフレーム画像において、動き領域及び動き領域の動きベクトルを取得し、動きベクトルと複数枚のフレーム画像間での撮像間隔に関する情報と、露光開始時刻差に関する情報と、露光開始順序に関する情報とに基づいて複数枚のフレーム画像中の補正対象たるフレーム画像内の動き領域を補正する方法(特許文献2)が開示されている。
【特許文献1】特開2006−148861号公報
【特許文献2】特開2007−142929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の方法は、走査ラインを間引くので水平方向の走査ラインを間引いた場合には垂直方向の解像度が、垂直方向の走査ラインを間引いた場合には水平方向の解像度が低下してしまう。また上記特許文献2に記載の方法は、動き領域の検出や、露光開始時刻差等の情報が必要となり、例えば画像の中に動きの異なる複数の動き領域が存在する場合等には各々の動き領域を検出して、領域毎に異なる補正を行う必要があるため処理が煩雑になってしまう虞がある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、ローリングシャッタ方式の撮像センサで動体を撮像するときに生じる動体の図形の歪みを、解像度を変えることなく容易に補正することができる撮像装置及び撮像方法並びプログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の撮像装置は、ローリングシャッタ方式の撮像センサを使用して被写体を撮像する撮像手段と、
【0008】
該撮像手段に第1の撮像と第2の撮像とを連続して行わせ、前記第1の撮像時にライン毎の走査を一方向から行う第1の走査方法で前記撮像センサの信号を読み出し、前記第2の撮像時にライン毎の走査を前記一方向とは逆の方向から行う第2の走査方法で前記撮像センサの信号を読み出すように前記撮像手段を制御する撮像制御手段と、
【0009】
前記第1の撮像によって取得した第1の画像から複数の特徴点を抽出する特徴点抽出手段と、
【0010】
該特徴点抽出手段により抽出された複数の特徴点の各々に対応する対応点を、前記第2の撮像によって取得した第2の画像から検出する対応点検出手段と、
【0011】
前記複数の特徴点と該複数の特徴点の各々に対応する前記対応点との中間に位置する中間点の座標値を算出し、前記特徴点の座標値が前記中間点の座標値に一致するように前記第1の画像を変形する、及び/又は、前記対応点の座標値が前記中間点の座標値に一致するように前記第2の画像を変形する画像変形手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明において「ローリングシャッタ方式の撮像センサ」は、全画素同時ではなく、シャッタ動作を行う画素が時間とともに縦方向又は横方向の行単位でシフトしていく方式のイメージセンサをいい、MOS型のイメージセンサを挙げることができる。MOS型のイメージセンサとしては例えばCMOSセンサを使用することができる。
また「第1の撮像と第2の撮像とを連続して行わせ」は、先に第1の撮像を行ってもよいし、先に第2の撮像を行ってもよい。ただし「連続」した撮像は第1の撮像と第2の撮像との間の時間間隔が例えば1/60秒を超えないようにする。
【0013】
なお本発明の撮像装置は、前記複数の特徴点と該複数の特徴点の各々に対応する前記対応点とから動きベクトルを算出する動きベクトル算出手段と、
【0014】
該動きベクトル算出手段により算出された前記動きベクトルが所定の閾値よりも小さい場合に、前記画像変形手段による前記第1の画像又は前記第2の画像の変形を行わないようにする画像変形禁止手段とをさらに備えていてもよい。
【0015】
なお所定の閾値と比較する「動きベクトル」は、複数の動きベクトルのうち最も大きさの大きいベクトルを選択してもよいし、複数の動きベクトルの平均値や中間値を使用してもよいし、選択方法を適宜変更することができる。
【0016】
また本発明の撮像装置は、前記画像変形手段が、前記第1の画像及び前記第2の画像を変形するものであり、
【0017】
該変形された第1の画像及び第2の画像を合成して1つの画像を生成する画像合成手段をさらに備えていてもよい。
【0018】
本発明の撮像方法は、ローリングシャッタ方式の撮像センサを使用して被写体を撮像する撮像手段を用いる撮像方法において、
【0019】
前記撮像手段に第1の撮像を行わせ、
【0020】
該第1の撮像時にライン毎の走査を一方向から行う第1の走査方法で前記撮像センサの信号を読み出し、
【0021】
前記撮像手段に第2の撮像を行わせ、
【0022】
該第2の撮像時にライン毎の走査を前記一方向とは逆の方向から行う第2の走査方法で前記撮像センサの信号を読み出し、
【0023】
前記第1の撮像によって取得した第1の画像から複数の特徴点を抽出し、
【0024】
該抽出された複数の特徴点の各々に対応する対応点を、前記第2の撮像によって取得した第2の画像から検出し、
【0025】
前記複数の特徴点と該複数の特徴点の各々に対応する対応点との中間に位置する中間点の座標値を算出し、
【0026】
前記複数の特徴点の座標値が前記中間点の座標値に一致するように前記第1の画像を変形する、及び/又は、前記対応点の座標値が前記中間点の座標値に一致するように前記第2の画像を変形することを特徴とする。
【0027】
なお本発明の撮像方法は、前記複数の特徴点と該複数の特徴点の各々に対応する前記対応点とから動きベクトルを算出し、
【0028】
該算出された前記動きベクトルが所定の閾値よりも小さい場合に、前記第1の画像又は前記第2の画像の変形を行わないようにしてもよい。
【0029】
また本発明の撮像方法は、前記第1の画像及び前記第2の画像を変形し、
【0030】
該変形された第1の画像及び第2の画像を合成して1つの画像を生成してもよい。
【0031】
本発明のプログラムは、ローリングシャッタ方式の撮像センサを使用して被写体を撮像する撮像手段を用いる撮像方法をコンピュータに実行させるためのプログラムにおいて、
【0032】
前記撮像手段に第1の撮像を行わせ、
該第1の撮像時にライン毎の走査を一方向から行う第1の走査方法で前記撮像センサの信号を読み出し、
【0033】
前記撮像手段に第2の撮像を行わせ、
【0034】
該第2の撮像時にライン毎の走査を前記一方向とは逆の方向から行う第2の走査方法で前記撮像センサの信号を読み出し、
【0035】
前記第1の撮像によって取得した第1の画像から複数の特徴点を抽出し、
【0036】
該抽出された複数の特徴点の各々に対応する対応点を、前記第2の撮像によって取得した第2の画像から検出し、
【0037】
前記複数の特徴点と該複数の特徴点の各々に対応する対応点との中間に位置する中間点の座標値を算出し、
【0038】
前記複数の特徴点の座標値が前記中間点の座標値に一致するように前記第1の画像を変形する、及び/又は、前記対応点の座標値が前記中間点の座標値に一致するように前記第2の画像を変形することを実行させることを特徴とするものである。
【0039】
なお本発明のプログラムは、コンピュータに、前記複数の特徴点と該複数の特徴点の各々に対応する前記対応点とから動きベクトルを算出し、
【0040】
該算出された前記動きベクトルが所定の閾値よりも小さい場合に、前記第1の画像又は前記第2の画像の変形を行わないようにすることを実行させるものであってもよい。
【0041】
また本発明のプログラムは、コンピュータに、前記第1の画像及び前記第2の画像を変形し、
【0042】
該変形された第1の画像及び第2の画像を合成して1つの画像を生成することを実行させるものであってもよい。
【発明の効果】
【0043】
本発明の撮像装置及び撮像方法並びにプログラムによれば、略同一のシーンを2度撮像し、1度目の撮像時と2度目の撮像時とで、撮像センサの信号の読み出し走査方向を逆転させることにより、1度目の撮像時によって取得した第1の画像と2度目の撮像時によって取得した第2の画像とでは、被写体に一定速度で移動する動体が含まれていた場合に、動体の歪みの形状に対称性を有する差が生じるので、第1の画像から抽出された複数の特徴点と、複数の特徴点に各々対応する対応点との中間に位置する中間点の座標値を算出して、特徴点の座標値が中間点の座標値に一致するように第1の画像を変形する、及び/又は、対応点の座標値が中間点の座標値に一致するように第2の画像を変形することにより、ローリングシャッタ方式の撮像センサで動体を撮像するときに生じる動体の図形の歪みを、解像度を変えることなく容易に補正することができる。
【0044】
また複数の特徴点と複数の特徴点の各々に対応する対応点とから動きベクトルを算出し、算出された動きベクトルが所定の閾値よりも小さい場合に、第1の画像又は第2の画像の変形を行わないようにする場合には、撮像センサに起因する動体の歪みは動体の速度が速いほど顕著であり、逆に動体の速度が遅い場合には動体の図形の歪みは小さくなるので、動体の動きが小さい場合に画像の変形を禁止することにより、無駄な処理をなくすことができる。
【0045】
また第1の画像及び第2の画像を変形し、変形された第1の画像及び第2の画像を合成して1つの画像を生成する場合には、第1の画像を取得する第1の撮像と、第2の画像を取得する第2の撮像とで撮像条件を変えることにより、例えば露出条件を変えた場合には第1の画像と第2の画像においてそれぞれ適正露出の部分が異なる部分となるので、適正露出部分を合成することにより、動体の図形の歪みを補正すると共にダイナミックレンジを拡大することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明にかかる撮像装置の一実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施の形態では、本発明における撮像装置としてデジタルカメラを例に説明するが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、例えば、カメラ付き携帯電話、カメラ付きPDA等、電子撮像機能を備えた他の電子機器に対しても適用可能である。
【0047】
ここで図1にデジタルカメラ1の機能構成を示すブロック図を示す。本実施形態のデジタルカメラ1は、図1に示す如く、撮影レンズ11と、CMOSセンサ(撮像センサ)15と、撮影レンズ11とCMOSセンサ15との間に設けられた絞り12と、赤外線カットフィルタ13と、光学ローパスフィルタ14とを備えている。
【0048】
撮影レンズ11は、光軸方向に移動可能であり、後述するCPU19によって制御されレンズ駆動部16を介してフォーカス位置に移動される。絞り12は、絞り径すなわち開口量が調整可能であり、後述するCPU19によって制御され絞り駆動部17を介して露光量が適正露光量となるように調整される。
【0049】
CMOSセンサ15は、後述するCPU19によって制御され撮像素子駆動部18を介して駆動されて、撮影レンズ11を通して撮像した被写体画像を色信号として出力させる。CMOSセンサ15では、走査ライン毎に順次シャッタを切るローリングシャッタ方式により画素信号の読み出しが行わる。全画素の画素信号を読み出す場合、画面左端の画素から右端の画素に向かって順に画素の信号を読み出す水平ライン毎の走査を画面の上端のラインから下端のラインに向かって順に行う第1の走査方法か、又は画面左端の画素から右端の画素に向かって順に画素の信号を読み出す水平ライン毎の走査を画面の下端のラインから上端のラインに向かって順に行う第2の走査方法によって画素の信号の読み出しを行い、この画素信号をアナログ画像信号として出力する。
【0050】
なお本実施形態では、水平ライン毎の走査を画面の上方向又は下方向に向かって行うものとしたが、垂直ライン毎の走査を画面の左方向又は右方向に向かって行うものであってもよい。
【0051】
本実施形態では上述した撮影レンズ11、絞り12、赤外線カットフィルタ13、光学ローパスフィルタ14、CMOSセンサ15、レンズ駆動部16、絞り駆動部17及び撮像素子駆動部18が被写体を撮像する撮像手段10として機能する。
【0052】
CPU(撮像制御手段)19は、デジタルカメラ1全体を制御するものであり、撮像手段10を制御する撮像制御手段としても機能するものであって、撮像手段10に第1の撮像と第2の撮像とを連続して行わせ、第1の撮像時に上述した第1の走査方法で撮像センサ15の画素の信号を読み出させ、第2の撮像時に上述した第2の走査方法で撮像センサ15の画素の信号を読み出させる。
【0053】
またCPU19は、フラッシュ用の発光部20と受光部21を制御すると共に、図示しないシャッタボタンや、メニュー/OKボタン、ズーム/上下矢印ボタン等の操作部22を介して入力されるユーザの指示信号に従って各種制御を行う。
【0054】
CMOSセンサ15が出力するアナログ画像信号は、アナログ信号処理部23に入力される。このアナログ信号処理部23は、アナログ画像信号のノイズ除去を行う相関2重サンプリング回路(CDS)と、アナログ画像信号のゲイン調整を行うオートゲインコントローラ(AGC)とからなる。
A/D24は、アナログ信号処理部23で信号処理されたアナログ画像信号をデジタル画像データに変換するA/Dコンバータ(ADC)である。このデジタル信号に変換されたデジタル画像データは、画素毎にRGBの濃度値を持つCCD−RAWデータである。
【0055】
そしてA/D24によってデジタル信号に変換されたデジタル画像データは、CPU19からの指令により制御され、制御バス37及びデータバス38によって相互に接続された各部に必要に応じて出力されて各種処理が施される。以下、この各部について説明する。
【0056】
デジタルカメラ1において設定される各種定数、及び、CPU19が実行するプログラム等を格納するメインメモリ25に接続されたメモリ制御部26は、CPU19からの指令によってメインメモリ25に記憶された各種データを読み出す。
【0057】
デジタル信号処理部27は、入力された画像データに対してガンマ補正処理、輪郭強調(シャープネス)処理、コントラスト処理、ノイズ低減処理等の画質補正処理を施すと共に、CCD−RAWデータを輝度信号であるYデータと、青色色差信号であるCbデータ及び赤色色差信号であるCrデータとからなるYCデータに変換するYC処理を行う。
【0058】
圧縮伸張処理部28は、デジタル信号処理部27によって画質補正等の処理が行われた画像データに対して、例えばJPEG等の圧縮形式で圧縮処理を行って、画像ファイルを生成する。この画像ファイルには、Exif形式等に基づいて、撮影日時や、肖像権保護モードで撮影された画像であるか等の付帯情報が格納されたタグが付加される。またこの圧縮伸張処理部28は、再生モードにおいては記録媒体30(後述する)から圧縮された画像ファイルを読み出し伸張処理を行う。伸張後の画像データは表示制御部33(後述する)に出力され、表示制御部33は画像データに基づいた画像を表示部32(後述する)に表示する。
【0059】
積算部29は、測光データを積算してホワイトバランスのゲインを調整する。
【0060】
着脱自在の記録媒体30が接続される外部メモリ制御部31は、記録媒体30が接続されるとデータの読み取り/書き込みを行うメディアスロットに相当し、記録媒体30に記憶された画像ファイル等の読み出し、又は画像ファイルの書き込みを行う。
【0061】
デジタルカメラ1の背面等に搭載された液晶モニタ等の表示部32に接続される表示制御部33は、画像データに基づいた画像を表示部32に表示する。
【0062】
特徴点抽出部34は、撮像手段10により撮像された画像から特徴点を抽出する。特徴点は被写体の角部や画像パターン等として特徴を有する点であり、画素信号の勾配情報等に基づいて抽出される。特徴点の抽出方法としては、例えばMoravecの手法や、Harrisの手法等を使用することができるが、本発明においては、特徴点を抽出できれば抽出方法は限定しない。
【0063】
対応点検出部35は、撮像手段10により撮像された画像から、特徴点抽出部34によって抽出された特徴点に対応する対応点を検出する。対応点は、特徴点の特徴と略一致する点であり、対応点の検出方法としては、例えばKLT法、ブロックマッチング等を使用することができるが、本発明においては、対応点を検出できれば検出方法は限定しない。
【0064】
画像変形部36は、被写体の歪みを補正するために画像を変形するものである。なお画像の変形方法については後で詳細に説明する。
【0065】
本実施形態のデジタルカメラ1は以上のように構成されている。次に上記構成のデジタルカメラ1を使用した撮像方法について以下図面を使用して詳細に説明する。図2は図1のデジタルカメラ1の撮像処理のフローチャート、図3(a)は被写体中の動体Dに歪みが生じていない状態の画像P、図3(b)は第1の走査方法によって取得した画像P1、図3(c)は第2の走査方法によって取得した画像P2、図4は歪みの対称性を説明する図である。
【0066】
本実施形態のデジタルカメラ1は、図2に示す如く、先ず、CPU19がCMOSセンサ15の走査方法を上述した第1の走査方法に設定する(ステップS1)。そしてCPU19はシャッタボタンが全押しされたか否かを判別し(ステップS2)、シャッタボタンが全押しされていなければ(ステップS2;NO)、シャッタボタンが全押しされるまでステップS2の処理を繰り返し行う。
【0067】
一方、ステップS2にてシャッタボタンが全押しされたと判別されると(ステップS2;YES)、CPU19は撮像手段10に第1の走査方法による第1の撮像を行わせて第1の画像P1を取得させる(ステップS3)。例えば、図3(a)に示す如く、被写体中に図中右方向に移動する動体Dが存在している場合には、第1の走査方法によって第1の画像P1を取得すると、図3(b)に示す如く、CMOSセンサ15は画面左端の画素から右方向に向かって、すなわち図中矢印A1方向に順に画素の信号を読み出す水平ラインの走査を画面上端から画面下端に向かって、すなわち図中矢印A2方向に順に行うので、被写体中の動体Dの上端の画素と下端の画素とに画素信号を読み出す時間の差が生じてしまい、この時間差の間に動体Dが移動した分だけ動体Dに歪みが生じ、第1の画像P1における動体は歪んだ図形の動体D1となる。
【0068】
このように撮像手段10が動体D1の図形が歪んだ画像P1を取得した後(ステップS3)、CPU19は走査方法を第1の走査方法から上述した第2の走査方法に変更する(ステップS4)。そして次にCPU19は撮像手段10に第2の走査方法による第2の撮像を行わせて第1の画像P1を取得させる(ステップS3)。なおCPU19は撮像手段10に第1の撮像と第2の撮像との時間差が1/60秒を超えないように連続して撮像を行わせる。また本実施形態では第1の撮像と第2の撮像は、明るさ、シャッタスピード、絞り等の撮像条件は同じとする。
【0069】
第2の走査方法によって第2の画像P2を取得すると、図3(c)に示す如く、CMOSセンサ15は画面左端の画素から右方向に向かって、すなわち図中矢印B1方向に順に画素の信号を読み出す水平ラインの走査を画面下端から画面上端に向かって、すなわち図中矢印B2方向に順に行うので、第1の走査方法のときと同様に被写体中の動体Dの上端の画素と下端の画素とに画素信号を読み出す時間の差が生じてしまい、この時間差の間に動体Dが移動した分だけ動体Dに歪みが生じ、第2の画像P2における動体は歪んだ図形の動体D2となる。
【0070】
第1の走査方法では画素信号を読み出すときに動体Dの上端側が先に読み出されるので、第1の画像P1の歪んだ動体D1は下端が動体Dの動く方向に移動した図形となり、第2の走査方法では画像信号を読み出すときに動体Dの下端側が先に読み出されるので、第2の画像P2の歪んだ動体D2は上端が動体Dの動く方向に移動した図形となる。すなわち動体Dの歪みは動体Dの移動速度とCMOSセンサ15の走査時間や走査方向によって異なるものとなる。
【0071】
つまり動体Dの移動速度が一定で、かつCMOSセンサ15の第1の走査方式と第2の走査方式を使用したときの走査時間が同じときには、例えば歪んでいない状態の動体D(図3(a)参照)の垂直な右端が、図4に示す如く、第1の画像P1において歪んだ動体D1となったときの傾きE1と、第2の画像P2において歪んだ動体D2となったときの傾きE2とが、傾きE2を第1の画像P1に傾きE1に交わるように平行移動して傾きE2’としたときに、傾きE1と傾きE2’とが各々の交点を通る軸Gに対して対称となることから、第1の画像P1における動体D1の歪み形状と第2の画像P2における動体D2の歪み形状とは対称性を持つ。
【0072】
そしてこの対称性から歪みのない動体Dの形状を算出することにより、図2のステップS6からステップS11の処理により歪みの補正を行う。図2に示す如く、第1の画像P1と第2の画像P2とを取得したら(ステップS3、5)、特徴点抽出部34が上述したようにして第1の画像P1から複数の特徴点を抽出する(ステップS6)。次にCPU19は特徴点抽出部34により抽出された特徴点がN1(本実施形態では200)個未満か否かを判別する(ステップS7)。
【0073】
特徴点抽出部34が特徴点をN1(本実施形態では200)個未満抽出していたときには(ステップS7;YES)、画像の変形に必要な数の対応点が検出される可能性が低いので図形の変形は行わずに処理を終了する。このとき取得した画像P1及び/又は画像P2を記録媒体30に記録してもよい。
【0074】
一方、特徴点抽出部34が特徴点をN1(本実施形態では200)個以上抽出していたときには(ステップS7;NO)、対応点検出部35が上述したようにして第2の画像P2から特徴点抽出部34により抽出された複数の特徴点の各々に対応する対応点を検出する(ステップS8)。次にCPU19は対応点検出部35により検出された対応点がN2(本実施形態では100)個未満か否かを判別する(ステップS9)。
【0075】
対応点検出部35が対応点をN2(本実施形態では100)個未満検出していたときには(ステップS9;YES)、画像の変形に必要な数の対応点が検出されていないので図形の変形は行わずに処理を終了する。このとき取得した画像P1及び/又は画像P2を記録媒体30に記録してもよい。
【0076】
一方、対応点検出部35が対応点をN2(本実施形態では100)以上検出していたときには(ステップS9;NO)、画像変形部36が中間点の座標値を算出する(ステップS10)。ここで図5(a)に特徴点の抽出結果を示す図、図5(b)に対応点の検出結果を示す図、図6に特徴点と中間点とを示す図、図7に画像の変形方法を説明する図をそれぞれ示す。なお図5(a)、図5(b)、図6は、便宜上、特徴点、対応点、中間点の個数を5個として以下説明するが、実際にはもっと多いものとする。
【0077】
例えば図5(a)に示す如く、特徴点抽出部34が第1の画像P1において特徴点f1〜f5の5つの特徴点を抽出し、図5(b)に示す如く、対応点検出部35が第2の画像P2において、特徴点f1〜f5とそれぞれ対応する対応点m1〜m5を検出したとする。このときの特徴点f1〜f5及び対応点m1〜m5の座標値並びに特徴点f1〜f5および対応点m1〜m5の座標値に基づいて算出した各々の中間点h1〜h5を下記表1に示す。
【表1】
上記表1に示すように、特徴点f1〜f5および対応点m1〜m5の座標値に基づいて中間点h1〜h5を算出すると(ステップS10)、画像変形部36は、第1の画像を変形する(ステップS11)。
上述したように第1の画像P1の動体D1と第2の画像P2の動体D2とは、歪み形状が対称性を有するので、図6に示す如く、特徴点fと対応点mの中間点hの座標値すなわち対称軸上に、特徴点fの座標値が重なるように、第1の画像P1を変形することにより動体D1の歪みを補正することができる。
【0078】
第1の画像P1の変形には、例えば画像を局所的に歪めて、すなわちワープして変形するワーピングを使用することができる。一般的にワーピングは、画像を複数の三角形に分割し、その三角形毎に変形を行う。以下、具体的に説明する。なお抽出された特徴点f、検出された対応点m、算出された中間点hはそれぞれ10個として説明する。
【0079】
図7の左図に示す如く、第1の画像P1において第1の画像P1の4隅及び抽出された特徴点f1〜f10をそれぞれ結んで第1の画像P1を複数の三角形に分割する。そして第1の画像P1の特徴点f1〜f10が算出された中間点h1〜h10に重なるように第1の画像P1の各三角形をアフィン変換して画像P1’を生成する。このとき使用するアフィン変換の式を下記式(1)に示す。
【数1】
上記式(1)において(x,y)は第1の画像P1における所定の三角形の中の所定の点の座標値で、(x’,y’)は(x,y)に対応する点の座標値を表す。またa,b,c,d,s,tは未知のパラメータであり、三角形の3つの頂点の座標値から一意に定めることができる。つまり、三角形の3つの頂点をなす特徴点fと中間点hの組からアフィン変換のパラメータを算出し、算出したパラメータに基づいて三角形内部の点つまり各画素をアフィン変換する。そして全ての三角形をアフィン変換してワーピングを終了する。このようにワーピングを行うことにより第1の画像P1を変形して動体D1の歪みを補正することができる。
そして図2に示す如く、画像変形部36が第1の画像P1を変形すると(ステップS11)、CPU19は変形された画像P1’を、外部メモリ制御部31を介して記録媒体30に記録する。以上のようにしてデジタルカメラ1による撮影処理を行う。
【0080】
以上のように本実施形態のデジタルカメラ1によれば、略同一のシーンを2度撮像し、1度目の撮像時と2度目の撮像時とで、CMOSセンサ15の信号の読み出し走査方向を逆転させることにより、1度目の撮像時によって取得した第1の画像P1と2度目の撮像時によって取得した第2の画像P2とでは、動体Dの歪みの形状に対称性を有する差が生じるので、第1の画像P1から抽出された複数の特徴点fと、複数の特徴点fに各々対応する対応点mとの中間に位置する中間点hの座標値を算出して、特徴点fの座標値が中間点hの座標値に一致するように第1の画像P1を変形することにより、CMOSセンサ15で動体Dを撮像するときに生じる動体Dの図形の歪みを、解像度を変えることなく容易に補正することができる。
【0081】
なお本実施形態では特徴点の個数N1を200個、対応点の個数N2を100個としたが本発明はこれに限られるものではなく、N1がN2以上であればよい。なおN1はN2の2倍以上であることが好ましく、N2は少なくとも20個以上であることが好ましく、100個以上であることがさらに好ましい。
【0082】
また本実施形態では、第1の撮像を第2の撮像よりも先に行ったが、本発明はこれに限られるものではなく、第2の撮像を第1の撮像よりも先に行ってもよい。本実施形態では第1の撮像と第2の撮像は同じ撮像条件としたが、対応点を検出することが可能であれば撮像条件を変更してもよい。また本実施形態では、第1の画像P1に対して特徴点の抽出を行い、第2の画像P2に対して対応点の検出を行ったが、本発明はこれに限られるものではなく、第2の画像P2に対して特徴点の抽出を行い、第1の画像P1に対して対応点の検出を行ってもよい。また本実施形態では、第1の画像P1の特徴点の座標値が中間点の座標値に一致するように画像P1を変形したが、本発明はこれに限られるものではなく、第2の画像P2の対応点の座標値が中間点の座標値に一致するように画像P2を変形してもよい。
【0083】
次に本発明にかかる第2の実施形態のデジタルカメラ1−2について以下図面を参照して詳細に説明する。図8はデジタルカメラ1−2の機能構成を示すブロック図、図9は図8のデジタルカメラ1−2の撮像処理のフローチャート、図10は動きベクトルを示す図である。なお図8は便宜上、図1のデジタルカメラ1と同様の箇所は同符号で示して説明を省略する。また図9は便宜上、図2のフローチャートと同様の処理は同じステップ番号で示して説明を省略する。
【0084】
本実施形態のデジタルカメラ1−2は、図8に示す如く、図1のデジタルカメラ1の構成にさらに動きベクトル算出部(動きベクトル算出手段)39及び画像変形禁止部(画像変形禁止手段)40を備えている。動きベクトル算出部39は、特徴点fとこの特徴点fに対応する対応点mとから動きベクトルjを算出するものであり、画像変形禁止部40は、画像変形部36による画像の変形を禁止するものである。
【0085】
本実施形態のデジタルカメラ1−2は、図9に示す如く、ステップS9にて対応点検出部35により検出された対応点mの数がN2個以上である場合(ステップS9;NO)に、動きベクトル算出部39が動きベクトルjの算出を行う(ステップS20)。動きベクトルjは、図10に示す如く、特徴点抽出部34により抽出された複数の特徴点fと、対応点検出部35により検出された複数の特徴点fの各々に対応する対応点mの座標値からそれぞれ算出する。
【0086】
そして次にCPU19は、算出された動きベクトルj1〜j5のうち最も大きい動きベクトルj(本実施形態では動きベクトルj1)が所定の閾値以上であるか否かを判別する(ステップS21)。本実施形態では所定の閾値は3画素とするが、ユーザが操作部22を操作することにより変更することができる。
【0087】
動きベクトルj1が3画素未満である場合(ステップS21;NO)には、画像変形禁止部40が動体Dの歪みは小さいと判断して画像変形部36による第1の画像P1の変形を禁止して(ステップS22)、処理を終了する。このとき取得した画像P1及び/又は画像P2を記録媒体30に記録してもよい。
【0088】
一方、動きベクトルj1が3画素以上である場合(ステップS21;YES)には、画像変形部36が動体Dの歪みが大きいと判断してステップS10以降の処理を行い、第1の画像P1の動体D1の歪みを補正する。
【0089】
CMOSセンサに起因する動体Dの歪みは動体Dの速度が速いほど顕著であり、逆に動体Dの速度が遅い場合には動体Dの歪みは小さくなるので、本実施形態のように動体Dの動きが小さい場合には画像の変形を禁止することにより、無駄な処理をなくすことができる。
【0090】
なお本実施形態では算出された動きベクトルj1〜j5のうち最も大きい動きベクトルj1を判別の対象としたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば動きベクトルj1〜j5の大きさの平均値、中間値等を判別の対象としてもよいし、適宜変更することができる。
【0091】
次に本発明にかかる第3の実施形態のデジタルカメラ1−3について以下図面を参照して詳細に説明する。図11はデジタルカメラ1−3の機能構成を示すブロック図、図12は図11のデジタルカメラ1−2の撮像処理のフローチャートである。なお図11は便宜上、図1のデジタルカメラ1と同様の箇所は同符号で示して説明を省略する。また図12は便宜上、図2のフローチャートと同様の処理は同じステップ番号で示して説明を省略する。
【0092】
本実施形態のデジタルカメラ1−3は、図11に示す如く、図1のデジタルカメラの構成にさらに画像合成部(画像合成手段)41を備えている。また本実施形態の画像変形部36−3は、第1の画像P1と第2の画像P2の両方に対して画像の変形を行うものである。
【0093】
本実施形態のデジタルカメラ1−3は、図12に示す如く、ステップS3’における第1の撮像とステップS5’における第2の撮像とでは、撮像条件のうちの露光条件が異なっている。
【0094】
第2の撮像(ステップS5’)では第1の撮像の露光条件よりもダイナミックレンジに応じた段数でアンダー露光して撮像を行う。
【0095】
そしてステップS11にて画像変形部36−3が、第1の画像P1を変形すると(ステップS11)、次に画像変形部36−3は第2の画像P2を変形する(ステップS30)。第2の画像P2の変形は、第1の画像P1の変形と同様にワーピングによって行うことができ各対応点mを中間点hに一致させることにより変形する。なおワーピングの手順は上述した第1の画像P1の変形と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0096】
このようにして第1の画像P1と第2の画像P2を変形した(ステップS11、S12)後で、画像合成部41が第1の画像P1と第2の画像P2とを合成する(ステップS31)。なお画像合成部41による明るさの異なる第1の画像P1と第2の画像P2との合成方法は、例えば特開2001−8104号公報に記載されている合成方法を使用できるものとし、ここでの詳細な説明は省略する。そしてCPU19は合成された画像を、外部メモリ制御部31を介して記録媒体30に記録する。以上のようにしてデジタルカメラ1−3による撮像処理を行う。
【0097】
このように合成処理を行うことにより、動体Dの歪みを補正すると共にダイナミックレンジを拡大することができる。
【0098】
なお本実施形態ではダイナミックレンジを拡大するために、露光条件の異なる2つの画像を合成するものとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば感度の異なる2つの画像を合成するようにしてもよい。
【0099】
なお本発明の撮像装置は、上述した実施形態のデジタルカメラ1に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】第1の実施形態のデジタルカメラの機能構成を示すブロック図
【図2】図1のデジタルカメラの撮像処理のフローチャート
【図3】(a)被写体中の動体Dに歪みが生じていない状態の画像P、(b)第1の走査方法によって取得した画像P1、(c)第2の走査方法によって取得した画像P2
【図4】歪みの対称性を説明する図
【図5】(a)特徴点の抽出結果を示す図、(b)対応点の検出結果を示す図
【図6】特徴点と中間点とを示す図
【図7】画像の変形方法を説明する図
【図8】第2の実施形態のデジタルカメラの機能構成を示すブロック図
【図9】図8のデジタルカメラの撮像処理のフローチャート
【図10】動きベクトルを示す図
【図11】第3の実施形態のデジタルカメラの機能構成を示すブロック図
【図12】図11のデジタルカメラの撮像処理のフローチャート
【図13】被写体中の動体を示す図及び撮像して得た画像
【符号の説明】
【0101】
1 デジタルカメラ(撮像装置)
10 撮像手段
15 CMOSセンサ(撮像センサ)
19 CPU(撮像制御手段)
34 特徴点抽出部(特徴点抽出手段)
35 対応点検出部(対応点検出手段)
36 画像変形部(画像変形手段)
39 動きベクトル算出部(動きベクトル算出手段)
40 画像変形禁止部(画像変形禁止手段)
41 画像合成部(画像合成手段)
P1 第1の画像
P2 第2の画像
D、D1、D2 動体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローリングシャッタ方式の撮像センサを使用して被写体を撮像する撮像手段と、
該撮像手段に第1の撮像と第2の撮像とを連続して行わせ、前記第1の撮像時にライン毎の走査を一方向から行う第1の走査方法で前記撮像センサの信号を読み出し、前記第2の撮像時にライン毎の走査を前記一方向とは逆の方向から行う第2の走査方法で前記撮像センサの信号を読み出すように前記撮像手段を制御する撮像制御手段と、
前記第1の撮像によって取得した第1の画像から複数の特徴点を抽出する特徴点抽出手段と、
該特徴点抽出手段により抽出された複数の特徴点の各々に対応する対応点を、前記第2の撮像によって取得した第2の画像から検出する対応点検出手段と、
前記複数の特徴点と該複数の特徴点の各々に対応する前記対応点との中間に位置する中間点の座標値を算出し、前記特徴点の座標値が前記中間点の座標値に一致するように前記第1の画像を変形する、及び/又は、前記対応点の座標値が前記中間点の座標値に一致するように前記第2の画像を変形する画像変形手段とを備えていることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記複数の特徴点と該複数の特徴点の各々に対応する前記対応点とから動きベクトルを算出する動きベクトル算出手段と、
該動きベクトル算出手段により算出された前記動きベクトルが所定の閾値よりも小さい場合に、前記画像変形手段による前記第1の画像又は前記第2の画像の変形を行わないようにする画像変形禁止手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記画像変形手段が、前記第1の画像及び前記第2の画像を変形するものであり、
該変形された第1の画像及び第2の画像を合成して1つの画像を生成する画像合成手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
ローリングシャッタ方式の撮像センサを使用して被写体を撮像する撮像手段を用いる撮像方法において、
前記撮像手段に第1の撮像を行わせ、
該第1の撮像時にライン毎の走査を一方向から行う第1の走査方法で前記撮像センサの信号を読み出し、
前記撮像手段に第2の撮像を行わせ、
該第2の撮像時にライン毎の走査を前記一方向とは逆の方向から行う第2の走査方法で前記撮像センサの信号を読み出し、
前記第1の撮像によって取得した第1の画像から複数の特徴点を抽出し、
該抽出された複数の特徴点の各々に対応する対応点を、前記第2の撮像によって取得した第2の画像から検出し、
前記複数の特徴点と該複数の特徴点の各々に対応する対応点との中間に位置する中間点の座標値を算出し、
前記複数の特徴点の座標値が前記中間点の座標値に一致するように前記第1の画像を変形する、及び/又は、前記対応点の座標値が前記中間点の座標値に一致するように前記第2の画像を変形することを特徴とする撮像方法。
【請求項5】
前記複数の特徴点と該複数の特徴点の各々に対応する前記対応点とから動きベクトルを算出し、
該算出された前記動きベクトルが所定の閾値よりも小さい場合に、前記第1の画像又は前記第2の画像の変形を行わないようにすることを特徴とする請求項4に記載の撮像方法。
【請求項6】
前記第1の画像及び前記第2の画像を変形し、
該変形された第1の画像及び第2の画像を合成して1つの画像を生成することを特徴とする請求項4又は5に記載の撮像方法。
【請求項7】
ローリングシャッタ方式の撮像センサを使用して被写体を撮像する撮像手段を用いる撮像方法をコンピュータに実行させるためのプログラムにおいて、
前記撮像手段に第1の撮像を行わせ、
該第1の撮像時にライン毎の走査を一方向から行う第1の走査方法で前記撮像センサの信号を読み出し、
前記撮像手段に第2の撮像を行わせ、
該第2の撮像時にライン毎の走査を前記一方向とは逆の方向から行う第2の走査方法で前記撮像センサの信号を読み出し、
前記第1の撮像によって取得した第1の画像から複数の特徴点を抽出し、
該抽出された複数の特徴点の各々に対応する対応点を、前記第2の撮像によって取得した第2の画像から検出し、
前記複数の特徴点と該複数の特徴点の各々に対応する対応点との中間に位置する中間点の座標値を算出し、
前記複数の特徴点の座標値が前記中間点の座標値に一致するように前記第1の画像を変形する、及び/又は、前記対応点の座標値が前記中間点の座標値に一致するように前記第2の画像を変形することを実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
コンピュータに、前記複数の特徴点と該複数の特徴点の各々に対応する前記対応点とから動きベクトルを算出し、
該算出された前記動きベクトルが所定の閾値よりも小さい場合に、前記第1の画像又は前記第2の画像の変形を行わないようにすることを実行させることを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
コンピュータに、前記第1の画像及び前記第2の画像を変形し、
該変形された第1の画像及び第2の画像を合成して1つの画像を生成することを実行させることを特徴とする請求項7又は8に記載のプログラム。
【請求項1】
ローリングシャッタ方式の撮像センサを使用して被写体を撮像する撮像手段と、
該撮像手段に第1の撮像と第2の撮像とを連続して行わせ、前記第1の撮像時にライン毎の走査を一方向から行う第1の走査方法で前記撮像センサの信号を読み出し、前記第2の撮像時にライン毎の走査を前記一方向とは逆の方向から行う第2の走査方法で前記撮像センサの信号を読み出すように前記撮像手段を制御する撮像制御手段と、
前記第1の撮像によって取得した第1の画像から複数の特徴点を抽出する特徴点抽出手段と、
該特徴点抽出手段により抽出された複数の特徴点の各々に対応する対応点を、前記第2の撮像によって取得した第2の画像から検出する対応点検出手段と、
前記複数の特徴点と該複数の特徴点の各々に対応する前記対応点との中間に位置する中間点の座標値を算出し、前記特徴点の座標値が前記中間点の座標値に一致するように前記第1の画像を変形する、及び/又は、前記対応点の座標値が前記中間点の座標値に一致するように前記第2の画像を変形する画像変形手段とを備えていることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記複数の特徴点と該複数の特徴点の各々に対応する前記対応点とから動きベクトルを算出する動きベクトル算出手段と、
該動きベクトル算出手段により算出された前記動きベクトルが所定の閾値よりも小さい場合に、前記画像変形手段による前記第1の画像又は前記第2の画像の変形を行わないようにする画像変形禁止手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記画像変形手段が、前記第1の画像及び前記第2の画像を変形するものであり、
該変形された第1の画像及び第2の画像を合成して1つの画像を生成する画像合成手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
ローリングシャッタ方式の撮像センサを使用して被写体を撮像する撮像手段を用いる撮像方法において、
前記撮像手段に第1の撮像を行わせ、
該第1の撮像時にライン毎の走査を一方向から行う第1の走査方法で前記撮像センサの信号を読み出し、
前記撮像手段に第2の撮像を行わせ、
該第2の撮像時にライン毎の走査を前記一方向とは逆の方向から行う第2の走査方法で前記撮像センサの信号を読み出し、
前記第1の撮像によって取得した第1の画像から複数の特徴点を抽出し、
該抽出された複数の特徴点の各々に対応する対応点を、前記第2の撮像によって取得した第2の画像から検出し、
前記複数の特徴点と該複数の特徴点の各々に対応する対応点との中間に位置する中間点の座標値を算出し、
前記複数の特徴点の座標値が前記中間点の座標値に一致するように前記第1の画像を変形する、及び/又は、前記対応点の座標値が前記中間点の座標値に一致するように前記第2の画像を変形することを特徴とする撮像方法。
【請求項5】
前記複数の特徴点と該複数の特徴点の各々に対応する前記対応点とから動きベクトルを算出し、
該算出された前記動きベクトルが所定の閾値よりも小さい場合に、前記第1の画像又は前記第2の画像の変形を行わないようにすることを特徴とする請求項4に記載の撮像方法。
【請求項6】
前記第1の画像及び前記第2の画像を変形し、
該変形された第1の画像及び第2の画像を合成して1つの画像を生成することを特徴とする請求項4又は5に記載の撮像方法。
【請求項7】
ローリングシャッタ方式の撮像センサを使用して被写体を撮像する撮像手段を用いる撮像方法をコンピュータに実行させるためのプログラムにおいて、
前記撮像手段に第1の撮像を行わせ、
該第1の撮像時にライン毎の走査を一方向から行う第1の走査方法で前記撮像センサの信号を読み出し、
前記撮像手段に第2の撮像を行わせ、
該第2の撮像時にライン毎の走査を前記一方向とは逆の方向から行う第2の走査方法で前記撮像センサの信号を読み出し、
前記第1の撮像によって取得した第1の画像から複数の特徴点を抽出し、
該抽出された複数の特徴点の各々に対応する対応点を、前記第2の撮像によって取得した第2の画像から検出し、
前記複数の特徴点と該複数の特徴点の各々に対応する対応点との中間に位置する中間点の座標値を算出し、
前記複数の特徴点の座標値が前記中間点の座標値に一致するように前記第1の画像を変形する、及び/又は、前記対応点の座標値が前記中間点の座標値に一致するように前記第2の画像を変形することを実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
コンピュータに、前記複数の特徴点と該複数の特徴点の各々に対応する前記対応点とから動きベクトルを算出し、
該算出された前記動きベクトルが所定の閾値よりも小さい場合に、前記第1の画像又は前記第2の画像の変形を行わないようにすることを実行させることを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
コンピュータに、前記第1の画像及び前記第2の画像を変形し、
該変形された第1の画像及び第2の画像を合成して1つの画像を生成することを実行させることを特徴とする請求項7又は8に記載のプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−154390(P2010−154390A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332040(P2008−332040)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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