説明

撮像装置

【課題】 画像の中心と周辺との間で電気的もしくは光学的に発生する輝度むら(シェーディング)を、信号対ノイズ比(S/N比)を劣化させることなく電気的に補正(シェーディング補正)できる撮像装置を提供する。
【解決手段】 シェーディング補正装置は、AGC回路3と、A/D変換回路4と、シェーディング補正回路5と、ノイズ低減回路6とを備えている。固体撮像素子2から出力された信号は、AGC回路3と、A/D変換回路4と、シェーディング補正回路5を経てノイズ低減回路6に入力される。画像信号はノイズ低減回路6で、ノイズ低減調整係数、シェーディング補正信号(b)、AGC増幅信号(a)に応じて、色フィルタ毎にノイズ低減処理の制御を行う。ノイズ低減回路の出力信号により、輝度信号生成回路7で輝度信号、色信号生成回路9で色信号が生成される。この構成により輝度信号のみならず色信号のS/N比を改善することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCDおよびCMOSなどの固体撮像素子の読み出し信号に対して周辺光量落ち補正を施すシェーディング補正装置を備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子等で得られた画像において光学的または電気的に発生する画像の中心と周辺との間に相対的な輝度むらおよび光量の差が発生する現象を一般的にシェーディングという。近年の固体撮像素子を使ったカメラでは、このシェ−ディングを電気的に補正するシェーディング補正という技術が一般的に使われている。
【0003】
従来のシェーディング補正では、シェーディングの存在する箇所の画像信号を増幅して画像全体の感度を均一にする方式を採用している。この方式では、シェーディングの度合いによってはシェーディング補正により映像信号を大きく増幅しなければならない事があるが、シェーディング補正率が高ければ高いほど映像信号に通常存在するランダムノイズまでもが増幅されてしまい、シェーディング補正率の高い箇所では信号対ノイズ比(以下、「S/N比」という)が悪化してしまう。また、輪郭強調を行う際には、ランダムノイズも強調してしまうので、S/N比が悪化する。さらに、オートゲインコントロール(以下、「AGC」という)などによる高感度撮影時には、映像全体のS/N比が劣化するので、シェーディング補正のかかった箇所のS/N比はさらに悪化する事態が生じていた。
【0004】
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1に示す撮像装置も提案されている。特許文献1に記載された装置は、シェーディング補正率に応じてノイズ低減効果を連続的に調整し、ノイズ低減を図るシェーディング補正装置であり、図7〜図10に示す構成を有する。図7〜図10は、特許文献1に記載された図を引用した。
【0005】
図7は従来の撮像装置の全体構成図、図8は図7のデジタル信号処理部26の詳細ブロック図である。デジタル信号処理部26のゲイン補正42が、シェーディングのある箇所の映像信号を増幅することでシェーディング補正を行い、電気的に均一化する。ここで、ゲイン補正42による補正は、シェーディング補正情報に基づいて行われる。このシェーディング補正情報はノイズフィルタ46と輪郭補正47にも入力される。
【0006】
図9はノイズフィルタ46の内部構成図である。ノイズフィルタは、メディアンフィルタ51でノイズを低減した輝度信号とノイズを低減していない輝度信号のどちらを出力するかを選択するセレクタ53と、セレクタ53に選択信号を出力するしきい値判定部55を備える。しきい値判定部55にはシェーディング補正情報が入力され、シェーディング補正情報に基づいてしきい値判定を行う。
【0007】
図10は、メディアンフィルタの処理を説明するための図である。メディアンフィルタでは、注目画素を中心とする縦×横=3画素×3画素のエリアの全画素を画素信号値の高い順(あるいは低い順)にソートし、その中央値を求める。そして、注目画素の画素信号として中央値を出力する。
【0008】
以上の構成により、シェーディング補正率の高い箇所の輝度信号について、メディアンフィルタ51によるノイズ低減処理を施した輝度信号を選択し、ノイズ低減効果を得ることができる。
【特許文献1】特開2004−48562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記したシェーディング補正では、ノイズ低減処理を輝度信号に対してのみ行っており、色ノイズに関するノイズ低減処理を行っていない。また、ノイズ低減を施すか施さないかはセレクタによって切り替えているので、ノイズ低減率を調整することが不可能であった。
【0010】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、輝度信号だけでなく色信号に対しても効果的なノイズ低減処理を行うことができ、かつ、シェーディング補正率に応じて連続的にノイズ低減率を調整することのできるシェーディング補正装置を備えた撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の撮像装置は、複数の色信号を出力する固体撮像素子と、前記固体撮像素子にて得られた画像のシェーディングを電気的に補正するシェーディング補正回路と、前記複数の色信号それぞれに異なったノイズ低減処理を行うと共に、前記シェーディング補正回路のシェーディング補正率に基づいて決定されたノイズ低減率でノイズ低減処理を行うノイズ低減回路とを備える。
【0012】
この構成により、シェーディング補正信号に応じて、複数の色信号それぞれに異なったノイズ低減を行うことができる。従って、シェーディング補正回路において複数の色信号のそれぞれのシェーディング補正率が異なる場合にも、各画素で適切なノイズ低減処理を行える。
【0013】
上記撮像装置において、前記シェーディング補正率と前記ノイズ低減率との相関の強さを連動係数として設定可能としてもよい。
【0014】
この構成により、ノイズ低減率をシェーディング補正率にどの程度連動させるかをユーザが決定することができる。
【0015】
上記撮像装置は、前記固体撮像素子から出力された色信号を増幅するAGC回路をさらに備え、前記ノイズ低減率は、前記AGC回路の増幅率に基づいて決定されてもよい。
【0016】
この構成により、AGCゲインが上がってS/N比の劣化がシェーディング補正によって強調され、ノイズが目立ち易い場面でも、ノイズ低減処理をシェーディング補正率により強く連動させることで適切なノイズ低減処理効果を得ることが可能となる。
【0017】
上記撮像装置は、前記AGC回路の増幅率と前記ノイズ低減率との相関の強さを連動係数として設定可能としてもよい。
【0018】
この構成により、ノイズ低減率をAGC回路の増幅率にどの程度連動させるかをユーザが決定することができる。
【0019】
上記撮像装置は、シェーディング補正を行っていない箇所の前記ノイズ低減回路によるノイズ低減率を設定可能としてもよい。
【0020】
この構成により、シェーディング補正を行っていない箇所のノイズ低減率またはシェーディング補正を全く行わない場合のノイズ低減率を設定できる。これにより、例えば、シェーディング補正を行わない場合には、ノイズ低減処理を行わないことも可能となる。
【0021】
上記撮像装置において、前記ノイズ低減回路は、前記シェーディング補正回路と、輝度信号生成回路および色信号生成回路との間に配置されてもよい。
【0022】
この構成により、輝度信号と色信号の両方に対してノイズ低減を行うことができる。
【0023】
本発明のシェーディング補正装置は、複数の色信号を有する画像を入力する画像入力部と、前記画像入力部にて入力された画像のシェーディングを電気的に補正するシェーディング補正回路と、前記複数の色信号それぞれに異なったノイズ低減処理を行うと共に、前記シェーディング補正回路のシェーディング補正率に基づいて決定されたノイズ低減率でノイズ低減処理を行うノイズ低減回路とを備える。
【0024】
この構成により、本発明の撮像装置と同様に、複数の色信号それぞれに異なったノイズ低減を行うことができる。また、本発明の撮像装置の各種の構成を本発明のシェーディング補正装置に適用することも可能である。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、シェーディング補正率に応じて前記ノイズ低減回路にて複数の色信号それぞれに異なったノイズ低減効果を調整することができる構成を設けることにより、ノイズ低減された信号から輝度信号および色信号を生成することが可能であり、輝度信号と色信号のノイズを低減できるというすぐれた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態の撮像装置について、図面を用いて説明する。
【0027】
図1は、本発明の第1の実施の形態の撮像装置を示す図である。図1において、撮像装置は、被写体を結像するレンズ1と、結像した画像を光電変換する固体撮像素子2と、出力が一定になるように被写体の明るさに応じて利得制御するAGC回路3とを備える。ここで、AGC回路3は、マイコン100からのAGCゲイン制御信号(a)に基づいて利得制御を行う。また、撮像装置は、AGC回路3より出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器4と、シェーディングを電気的に補正するシェーディング補正回路5と、画像のノイズを低減するノイズ低減回路6と、輝度信号を生成する輝度信号生成回路7と、輪郭強調信号を生成する輪郭強調信号生成回路8と、輝度信号と輪郭強調信号を加算する加算回路105と、色フィルタの情報から色分離および色差信号生成するための色信号生成回路9とを備える。
【0028】
本実施の形態の撮像装置では、AGCゲイン制御信号(a)、AGC連動調整係数、シェーディング補正量連動調整係数、シェーディング補正信号(b)およびノイズ低減調整係数によって、ノイズ低減回路6のノイズ低減率すなわちノイズ低減の効果が決定される。ここで、シェーディング補正信号(b)は、シェーディング補正回路5から出力される色フィルタ毎のシェーディング補正の情報を含む信号である。AGC連動調整係数は、ノイズ低減率にAGCゲイン制御信号をどの程度連動させるかを決定する係数である。シェーディング補正量連動調整係数は、ノイズ低減率にシェーディング補正率をどの程度連動させるかを決定する係数である。ノイズ低減調整係数は、シェーディング補正を行っていないときのノイズ低減効果を調整する係数である。AGC連動調整係数、シェーディング補正量連動調整係数、ノイズ低減調整係数は、ユーザが設定することができる。
【0029】
本実施の形態の撮像装置は、AGCゲイン制御信号(a)とシェーディング補正信号(b)に基づいてノイズ低減回路6のノイズ低減率を決定するために次の構成を有する。すなわち、AGCゲイン制御信号(a)とAGC連動調整係数との乗算を行う乗算器101と、乗算器101から出力される信号(d)とシェーディング補正量連動調整係数とを乗算する乗算器102と、乗算器102から出力される信号(e)とシェーディング補正信号(b)とを乗算する乗算器103と、乗算器103から出力される信号(f)とノイズ低減調整係数とを加算する加算器104とを備えている。この構成により生成された信号(c)は、ノイズ低減回路6のノイズ低減率を決定する信号である。以下、この信号(c)で決定されるノイズ低減率を「ノイズ低減効果制御係数α」という。
【0030】
次に、シェーディング補正回路5によるシェーディング補正について説明する。図2(a)は、一般的に知られるシェーディング特性を示す図である。シェーディングが発生すると、図2(a)に示されるように、中心座標である光軸から同心円状に光量が低下する。図2(b)は、図2(a)の破線lにおけるシェーディングの特性を表す関数を示す図である。このような周辺光量の低下の主要な発生原因は、レンズの絞りによって光がけられる口径食や、固体撮像素子の画素に対する入射角が光軸から離れた箇所ほど大きくなること等である。また、シェーディングは、レンズや固体撮像素子の組み合わせによっては、色フィルタ毎に異なるシェーディング特性を示す場合がある。
【0031】
図3は、図2(a)および図2(b)に示すシェーディングを補正するための、シェーディング補正率と光軸からの距離との関係を示したシェーディング補正関数のグラフである。図2(b)のシェーディング情報に基づいて、シェーディングの逆特性を算出し、補正関数とする。この関数に基づき、アナログもしくはデジタルゲインを制御することでシェーディング補正を行い、映像信号の輝度むらを均一化することができる。本実施の形態では、色フィルタ毎に異なるシェーディング補正関数が設定される。
【0032】
シェーディング補正回路5は、このようなシェーディング補正関数を利用してシェーディングの補正を行い、シェーディング補正情報を乗算器103へ入力する。
【0033】
次に、ノイズ低減回路6について説明する。図4(a)はRed(以下「R」という)、Green(以下「G」という)、Blue(以下「B」という)の3色の色フィルタが市松模様に配列された固体撮像素子の一部分を拡大した図である。まず、G信号を例として説明を行う。図4(b)に示すように、ノイズ低減を施したい注目画素AをG34としたとき、注目画素を中心とした5×5画素のエリア内の同一色フィルタは、G12、G14、G16、G23、G25、G32、G34、G36、G43、G45、G52、G54、G56の13画素となる。このとき、ノイズ低減回路からの出力信号Eは、注目画素の画素値をA、エリア内の平均画素値をN、ノイズ低減効果をあらわすノイズ低減効果制御係数α(0<=α<=1)を用いて、次式によって求める。
[数1]
E=(1-α)×A+α×N

ノイズ低減効果制御係数αは、注目画素とエリア平均画素値との混合比を決定する係数であり、α=0のときは注目画素を100%出力し、α=0.5のときは注目画素とエリア平均値を50%ずつ混合した信号を出力し、α=1の時は100%エリア平均した信号を出力する。注目画素AとしてG34が選択されたときは次式のように、
[数2]
A=G34
N=(G12+G14+G16+G23+G25+G32
+G34+G36+G43+G45+G52+G54+G56)/13

となる。同様にR画素の場合を例にすると、図4(c)に示すように、ノイズ低減を施したい注目画素AをR33としたとき、注目画素を中心とした5×5画素のエリア内の同一色フィルタは、R11、R13、R15、R31、R33、R35、R51、R53、R55の9画素となり、次式で示すように、
[数3]
A=R33
N=(R11+R13+R15+R31+R33+R35+R51+R53+R55)/9

となる。また同様にB画素を例にすると、図4(d)に示すように、ノイズ低減を施したい注目画素AをB44としたとき、注目画素を中心とした5×5画素のエリア内の同一色フィルタは、B22、B24、B26、B42、B44、B46、B62、B64、B66の9画素となり次式に表すように、
[数4]
A=B44
N=(B22+B24+B26+B42+B44+B46+B62+B64+B66)/9

となる。以上のように、ノイズ低減回路6は、RGBの各色フィルタに対応する注目画素選択とエリア平均値算出を行い、ノイズ低減効果制御係数αによりノイズ低減効果を調整する。
【0034】
なお、本実施の形態では、注目画素とエリア平均画素値とをノイズ低減効果制御係数αで定められる割合で混合する例について説明したが、エリア平均画素値ではなく、周辺画素値の平均を用いてもよい。つまり、注目画素を中心とした5×5画素のエリア内の同一色フィルタのうち、注目画素を除く画素の平均値を使ってもよい。さらに、平均値に限らず、最大値、最小値等を用いたノイズ低減処理を行ってもよい。
【0035】
次に、ノイズ低減調整係数とノイズ低減効果との関係について説明する。図5は、本実施の形態の撮像装置におけるシェーディング補正量とノイズ低減効果制御係数αとの関係を表したグラフである。ノイズ低減効果制御係数αは、図1に示すノイズ低減回路6に入力される信号(c)である。ノイズ低減効果制御係数αは、−1から+1まで変化する係数である。ノイズ低減調整係数αを変化させることにより、関数のノイズ低減効果の軸との切片を変えることができる。
【0036】
例えば、図5においてノイズ低減効果制御係数αの基準を(b)線とする。加算器104に入力するノイズ低減調整係数の設定値を高くすると、ノイズ低減効果制御係数αの関数が(a)線のように正側に平行移動し、ノイズ低減効果が上がる。逆に、ノイズ低減調整係数の設定値を低くするとノイズ低減効果制御係数αの関数が(c)線のように負側に平行移動し、ノイズ低減効果が下がる。また、ノイズ低減調整係数が負の値を取ると、一定のシェーディング補正量に到達するまでノイズ低減処理を行わない構成をすることができる。このように、加算器104に入力するノイズ低減調整係数の設定値を変更することにより、ノイズ低減効果制御係数αの関数を平行にシフトさせることができる。
【0037】
図6は、本実施の形態の撮像装置におけるシェーディング補正量とノイズ低減効果制御係数αとの関数をあらわしたグラフである。シェーディング補正連動調整係数は非負整数の範囲で設定可能な係数である。シェーディング補正連動調整係数を変化させることにより、関数の傾きを変えることができる。例えば、図6においてノイズ低減効果制御係数αの基準を(b)線とすると、シェーディング補正連動調整係数の設定値を高くすると(a)線のようにノイズ低減効果制御係数αの関数の傾きが大きくなり、シェーディング補正量の増加に対してより大きなノイズ低減効果を得られるようになる。逆に、シェーディング補正連動調整係数の設定値を低くすると(c)線のように傾きが小さくなり、シェーディング補正量の増加に対してノイズ低減効果を得にくくなる。このように、乗算器102に入力するシェーディング補正量調整係数の設定値を変更することにより、ノイズ低減効果制御係数αの関数の傾きを変化させることができる。
【0038】
以上、実施の形態の撮像装置の構成について説明した。
【0039】
実施の形態の撮像装置は、シェーディング補正回路5から出力されたシェーディング補正信号を、複数の色信号のそれぞれに異なったノイズ低減処理を施すノイズ低減回路6に入力し、シェーディング補正回路のシェーディング補正率に応じてノイズ低減処理を行っているので、複数の色信号それぞれのS/N比の劣化を押さえたシェーディング補正を実現できる。すなわち、シェーディング補正が複数の色フィルタ毎に違う場合であっても、同一色フィルタ毎に適切なノイズ低減処理を施したシェーディング補正を行うことができる。
【0040】
また、本実施の形態のシェーディング装置は、マイコン100から出力されるAGCゲイン制御信号(a)と非負整数の範囲で変化可能なAGCゲイン連動調整係数との乗算結果をAGCゲイン連動係数として、AGCゲインに応じてシェーディング補正連動調整係数を制御する事が可能である。例えば、AGCゲインが上がった際に、AGCゲイン制御信号に応じてシェーディング補正連動調整係数を増やし、図6の関数の傾きを大きくし、ノイズ低減効果を強める事ができる。例えば、図6の(b)線に対してAGCゲイン連動調整係数を増加させると、AGCゲインが上がった際にシェーディング補正率に対して、より大きなノイズ低減効果を得ることができる。逆に(b)線に対してAGCゲイン連動調整係数を減少させると、シェーディング補正率に対して、ノイズ低減効果の連動度は小さくなり、ノイズ低減効果を弱めることができる。
【0041】
また、本実施の形態の撮像装置によれば、シェーディング補正率の少ない、例えば画像中心のノイズ低減効果をユーザが自由に設定可能であり、シェーディング補正の関数に合わせて最適なノイズ低減効果を施したシェーディング補正が実現できる。
【0042】
また、本実施の形態の撮像装置によれば、シェーディング補正率に対してノイズ低減効果を調整する度合いをユーザが設定可能であり、シェーディング補正率に対してS/N比劣化が大きい場合および小さい場合にも適切なノイズ低減効果を得たシェーディング補正が実現できる。
【0043】
また、本実施の形態の撮像装置によれば、AGCゲインが上がった際にもノイズ低減効果を適切に設定することが可能である。
【0044】
また、本実施の形態の撮像装置によれば、ノイズ低減回路が輝度信号生成回路および色信号生成回路との間に置かれることで、輝度信号だけでなく色信号にもノイズ低減効果を得ることができる。
【0045】
また、本実施の形態の撮像装置によれば、S/N比を改善する方法として輪郭強調信号を弱める操作を行わず、輝度信号生成および色信号生成を行う前の信号のS/N比を改善しているため、輪郭強調信号を弱めるよりもS/N比の改善効果が期待でき、シェーディングのある箇所の輪郭強調信号が落ちてしまうことの無い解像感の劣化を押さえたシェーディング補正を施すことができる。
【0046】
以上本発明の撮像装置について実施の形態を挙げて詳細に説明したが、本発明の撮像装置は上記した実施の形態に限定されるものではない。
【0047】
上記した実施の形態では、それぞれの色信号に対して補正を行う構成としてノイズ低減回路を例として挙げたが、複数の色信号それぞれにノイズ低減を実現でき、ノイズ低減率をシェーディング補正率に応じて調整可能な回路であればどのような構成をとっても構わない。
【0048】
また、上記した実施の形態では、シェーディング補正の補正関数を2次曲線のようなカーブで表現したが、補正関数は必ずしも2次曲線のようなカーブでなくてもよい。シェーディング補正情報をノイズ低減回路に送る構成さえとっていればどのようなシェーディング補正方式であっても構わない。
【0049】
また、上記した実施の形態では、色フィルタがRGBの3色で市松模様に配列された固体撮像素子を使った撮像装置を例として説明したが、単一の素子に複数の色フィルタを持つものであればどのような固体撮像素子を使用しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上説明したように、本発明は、輝度信号のみならず、色信号のノイズを低減できるというすぐれた効果を有し、CCDおよびCMOSなどの固体撮像素子の読み出し信号に対して周辺光量落ち補正を行うシェーディング補正装置を備えた撮像装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態の撮像装置の構成を示す図
【図2】(a)一般的なシェーディング特性を示す図 (b)一般的なシェーディング特性を表す関数を示す図
【図3】シェーディングを補正する際のシェーディング補正信号を説明するための図
【図4】(a)色フィルタ別ノイズ低減回路の画素選択を説明するための図 (b)色フィルタ別ノイズ低減回路の画素選択を説明するための図 (c)色フィルタ別ノイズ低減回路の画素選択を説明するための図 (d)色フィルタ別ノイズ低減回路の画素選択を説明するための図
【図5】ノイズ低減調整係数によるノイズ低減効果の制御を説明するための図
【図6】シェーディング補正量連動調整係数によるノイズ低減効果の制御を説明するための図
【図7】従来のシェーディング補正装置を備えた撮像装置の構成を示す図
【図8】従来のシェーディング補正装置を備えた撮像装置の構成を示す図
【図9】従来のシェーディング補正装置を備えた撮像装置の構成を示す図
【図10】メディアンフィルタの機能を説明するための図
【符号の説明】
【0052】
1 レンズ
2 固体撮像素子
3 AGC回路
4 A/D変換回路
5 シェーディング補正回路
6 ノイズ低減回路
7 輝度信号生成回路
8 輪郭強調信号生成回路
9 色分離および色差信号生成回路
100 マイコン
101 乗算器
102 乗算器
103 乗算器
104 加算器
105 加算器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の色信号を出力する固体撮像素子と、
前記固体撮像素子にて得られた画像のシェーディングを電気的に補正するシェーディング補正回路と、
前記複数の色信号それぞれに異なったノイズ低減処理を行うと共に、前記シェーディング補正回路のシェーディング補正率に基づいて決定されたノイズ低減率でノイズ低減処理を行うノイズ低減回路と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記シェーディング補正率と前記ノイズ低減率との相関の強さを連動係数として設定できることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記固体撮像素子から出力された色信号を増幅するAGC回路をさらに備え、
前記ノイズ低減率は、前記AGC回路の増幅率に基づいて決定されることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
前記AGC回路の増幅率と前記ノイズ低減率との相関の強さを連動係数として設定できることを特徴とする請求項3記載の撮像装置。
【請求項5】
シェーディング補正を行っていない箇所の前記ノイズ低減回路によるノイズ低減率を設定できることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項6】
前記ノイズ低減回路は、前記シェーディング補正回路と、輝度信号生成回路および色信号生成回路との間に配置されることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項7】
複数の色信号を有する画像を入力する画像入力部と、
前記画像入力部にて入力された画像のシェーディングを電気的に補正するシェーディング補正回路と、
前記複数の色信号それぞれに異なったノイズ低減処理を行うと共に、前記シェーディング補正回路のシェーディング補正率に基づいて決定されたノイズ低減率でノイズ低減処理を行うノイズ低減回路と、
を備えたことを特徴とするシェーディング補正装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−237686(P2006−237686A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−45191(P2005−45191)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】