説明

撮像装置

【課題】
撮像素子からの読み出し周期が符号化周期より長い場合の、記録画像の画質劣化を防止する。
【解決手段】
画像メモリ22には、撮像素子14による画像データが順次、格納され、画像メモリ24には、1画面前の画像データが格納される。画像合成装置26は、画像合成制御装置40により指示される合成比率で画像メモリ22,24の画像を合成し、合成画像をカメラ信号処理装置28に出力する。符号化器30は、装置28からの画像データを、MPEG等の圧縮方式で圧縮符号化する。符号化器30は、GOP(Group Of Picture)の構成情報を画像合成制御装置40に供給する。装置40は、撮像素子14による撮像の画像更新タイミングとGOP構成情報に従い、画像合成装置26の合成比率を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、より具体的には、複数の撮影画像を選択又は合成して圧縮符号化する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、動画像をテジタル符号化して、ディスク状記録媒体や半導体メモリ等の記録媒体に記録する撮像装置が提案されており、動画像の圧縮符号化方式としては、DCT(Discrete Cosine Transform)変換、動き補償及び可変長符号化を基本とするMPEG(Moving Pictures Experts Group)方式や、MPEG−4,H.264も知られている。これらは、1画面内を複数の画素からなる複数のブロックに分割し、そのブロック単位で変換符号化を施すブロック符号化を利用する。
【0003】
例えば、MPEG方式では、1枚の画像をn画素×n画素(nは例えば、8又は16)の画素ブロックに分割し、動き予測された差分画像に対して、ブロック単位でDCT変換を行う。次に、変換後のDCT係数をある除数(量子化ステップ)で割り算し、余りを丸めることで量子化し、情報量を削減する。
【0004】
また、動画像の場合、前後の画像は非常によく似ているという特徴を利用する。即ち、前画像と現画像の変化の有無や画素ブロック単位での移動量を利用する動き補償手法で、動画像情報を圧縮する。
【0005】
さらに、DCT係数と移動量は出現確率に明らかな違いがでる傾向があり、出現確率の高い符号に短い符号を割り当てる可変長符号化を用いることで、平均的な情報発生量を減らすことができる。
【0006】
また、MPEG方式では、ある枚数の画像をまとめたGOP(Group of Pictures)と呼ばれる単位で、圧縮符号化が実行される。1GOP内には、Iピクチャ、Pピクチャ及びBピクチャがあり、それぞれ符号方法が異なる。Iピクチャはフレーム内符号化画像であり、全マクロブロックがイントラ符号化される。Pピクチャはフレーム間予測符号化画像であり、マクロブロックごとにフレーム内符号化とフレーム間符号化が選択され、フレーム間符号化では、直前のフレームとの差分値が符号化される。Bピクチャは双方向予測符号化画像であり、直近の前後のIピクチャ又はPピクチャからの予測値との差分値が符号化される。
【0007】
復号化の処理では、IピクチャとPピクチャは予測に使用される画像であるのに対して、BピクチャはIピクチャとPピクチャを利用して再生される画像である。このため、IピクチャとPピクチャの画質を高く保ち、Bピクチャの画質を低く抑えることで、全体の信号対ノイズ比が向上する。
【0008】
可変長符号化を用いて動画像信号を圧縮する場合、動画像信号によって圧縮後のデータ量が変動する。圧縮後のデータを一時的にバッファに格納し、一定レートで読み出すことで、記録レートを一定にしている。バッファの書き込みレートと読み出しレートの関係によっては、バッファのアンダーフローが発生するので、量子化ステップを制御することによる圧縮率の調整が行われる。この結果、シーンチェンジや急激に輝度が変化するシーンで、予測参照の基準となるIピクチャ画像の圧縮率が変わると、画質の劣化が目立ってしまう。
【0009】
特に、屋内等で撮影に必要な照明が得られない場合に、シャッタ速度を遅くすることで明るい画像を撮影するスローシャッタ撮影が採用されると、画像間の差が大きくなりやすい。また、スローシャッタ撮影では、通常撮影時の1/n(n:自然数)でしか画像が更新されないので、記録画像が滑らかなものになりにくい。
【0010】
このような問題に対し、特許文献1には、スローシャッタ撮影時に、符号化処理部への画像入力速度を遅くするとともにGOPのピクチャ構成を再構成することで、圧縮画像データのデータ量を削減する技術が記載されている。
【0011】
また、特許文献2には、スローシャッタ撮影時に複数枚の画像信号を合成して一枚の画像を生成することで、なめらかな画像を記録する技術が記載されている。
【特許文献1】特開2001−025011号公報
【特許文献2】特開2000−307964号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に記載の技術では、圧縮率が変動することによる画質の劣化を防止できるが、記録画像は通常撮影時の1/nのままであり、なめらかな画像を記録できない。また、GOPのピクチャ構成を再編成するので、符号化処理部で複雑な処理が必要になるという問題がある。
【0013】
特許文献2に記載の技術では、滑らかな画像を記録できるが、符号化時の圧縮率が変動することによる画質の劣化を防止できない。また、予測参照の基準となるIピクチャ画像が合成画像となるので、全体の画質が低下する。
【0014】
本発明は、このような問題点を解決する撮像装置を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る撮像装置は、通常速度よりも低速の撮影速度で撮影画像信号を出力する撮像手段と、前記撮像手段による撮影画像信号を順次更新して記憶する複数の画像メモリと、前記通常速度に応じた速度で、前記画像メモリに記憶されている画像の一つを選択出力する画像選択手段と、前記通常速度に応じた速度で、前記合成手段の出力画像を圧縮符号化する符号化手段と、前記複数の画像メモリの画像更新タイミングと前記符号化手段における符号化構造情報に応じて、前記画像合成手段の選択を制御する選択制御手段とを具備することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る撮像装置は、通常速度よりも低速の撮影速度で撮影画像信号を出力する撮像手段と、前記撮像素子による撮影画像信号を順次更新して記憶する複数の画像メモリと、前記通常速度に応じた速度で、前記画像メモリに記憶されている画像を合成出力する画像合成手段と、前記通常速度に応じた速度で、前記合成手段の出力画像を圧縮符号化する符号化手段と、前記複数の画像メモリの画像更新タイミングと前記符号化手段における符号化構造情報に応じて、前記画像合成手段の合成を制御する画像合成制御手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、画像更新タイミングと符号化構造情報に応じて、低速撮影の撮影画像の選択又は合成を制御することで、符号化構造を再構築することなく、符号化データ量を削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の一実施例である撮像装置の概略構成ブロック図を示す。被写体の光学像がレンズ10及び絞り12を経て、撮像素子14に入射し、撮像素子14は、その光学像を電気信号に変換して、画像信号を出力する。CDS(Correlated Double Sampling)回路16は、相関二重サンプリングにより、撮像素子14から出力される画像信号のノイズを除去し、AGC(Auto Gain Control)回路18は、CDS回路16の出力画像信号のレベルを自動制御する。A/D変換器20は、AGC回路18から出力されるアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換する。このデジタル画像信号は、画像メモリ22に格納される。
【0020】
CPU38は、シャッタ速度制御装置36により撮像素子14の電荷蓄積時間を制御する。これにより、撮像素子14の露光時間が制御される。いわゆる電子シャッタ機能であり、シャッタ速度が変更される。CPU38は、撮像素子14の電荷蓄積時間に合わせて、必要な信号のみを書き込むように、画像メモリ22の書き込みタイミングを制御する。
【0021】
画像メモリ24は、画像メモリ22から読み出される画像データを、画像メモリ22の更新タイミングに合わせて記憶する。これにより、連続する2フレームの画像信号が、画像メモリ22,24に格納される。
【0022】
画像合成装置26は、画像メモリ22の記憶画像と、画像メモリ24の記憶画像を画像合成制御装置40により指定される合成係数で合成し、合成画像をカメラ信号処理装置28に出力する。画像メモリ22の記憶画像をA,画像メモリ24の記憶画像をB、画像Aに対する合成係数をx、画像Bに対する合成係数をyとすると、画像合成装置26は、xA+yBで得られる合成画像を出力する。通常、y=1−xである。
【0023】
x=1のとき、画像合成装置26は、画像メモリ22の記憶画像を選択し、y=1のとき、画像合成装置26は、画像メモリ24の記憶画像を選択する。即ち、xが0又は1のとき、画像合成装置26は、画像メモリ22と画像メモリ24の記憶画像の一方を選択するセレクタとして機能する。本実施例では、これを特に、選択合成という。
【0024】
カメラ信号処理装置28は、画像合成装置28からの合成画像信号に露出制御及び色バランス調整等の周知のカメラ信号処理を実施し、処理結果を符号化器30に出力する。
【0025】
符号化器30は、予め設定されているGOP構造情報に合わせて、カメラ信号処理装置28からの画像信号を圧縮符号化し、圧縮画像データをバッファ32に出力する。符号化器30は、MPEG2の場合、ブロック分割器、DCT回路、量子化器、可変長符号化器及び動き補償回路等の周知の回路構成からなる。符号化器30は、バッファ32からのバッファ残量情報に従い、バッファ残量が少ない場合に量子化ステップを変更する。
【0026】
バッファ32は、符号化器30から書き込まれた圧縮画像データを一定レートで記録媒体34に読み出す。
【0027】
図2は、画像合成装置26の動作フローチャートを示す。ここでは、画像合成制御装置40は、画像合成比率を2値で制御しており、画像合成装置26は、画像メモリ22の画像と画像メモリ24の画像の一方を選択するセレクタとして機能する。図3は、GOP構造情報と画像更新タイミングに従い合成比率を適応的に2値制御する動作を示す。参考のため、合成比率を制御しない場合の動作を図4に示す。
【0028】
図2に示すフローでは、先ず、合成対象画像、即ち画像メモリ22又は画像メモリ24に格納されている画像が、Iピクチャとして符号化される画像であるかを判定する(S1)。Iピクチャが含まれる場合(S1)、合成係数xに1を設定し、合成係数yに0を設定する(S2)。画像メモリ22,24に格納される画像が何れもIピクチャでない場合(S1)、画像メモリ22又は画像メモリ24に格納されている画像と、その直前の予測参照画像との間に画像更新タイミングが入っているどうかを調べる(S3)。画像更新タイミングが入っていない場合(S3)、合成係数xに1を設定し、合成係数yに0を設定する(S2)。即ち、画像合成装置28は、画像メモリ22の画像を選択する。画像更新タイミングが入っている場合(S3)、合成係数xに0を設定し、合成係数yに1を設定する(S4)。即ち、画像合成装置28は、画像メモリ24の画像を選択する。
【0029】
図2に示す合成比率の制御による効果を、図3及び図4を参照して説明する。図3(a)は画像更新タイミングを示し、シャッタ速度制御装置36による電子シャッタの撮像タイミングでもある。図3(b)は画像メモリ22の記憶画像、図3(c)は画像メモリ24の記憶画像を示す。図3(d)は、符号化器30における符号化タイミングであり、画像合成装置26は、この符号化タイミングに合わせて合成画像を生成する。図3(e)は画像合成装置26で合成する画像がどのピクチャとして符号化されるかを示す。
【0030】
図3(f)は、画像メモリ22の記憶画像の合成係数xを示し、図3(g)はメモリ24の記憶画像の合成係数yを示す。図3(h)は、図3(b)、(c)、(f)及び(g)に従って画像合成装置26で合成された合成画像である。図3(i)は、合成画像が符号化時に予測参照する画像を示す予測参照情報であり、矢印で示した画像が参照される。
【0031】
図3(j)は符号化データ量を示す。Iピクチャはすべてのマクロブロックをフレーム内符号化するので、符号化データ量が多くなる。Pピクチャは予測参照する画像との差分値がない場合は、すべてのマクロブロックがフレーム間符号化となり符号化データ量が少ない。差分値がある場合、フレーム内符号化するマクロブロックが増えるので、符号化データ量が多くなる。Bピクチャは、前後の予測参照画像を利用できるので、基本的に符号化データ量が少ない。図3に示すように画像の更新周期がIピクチャ又はPピクチャが現れる周期より長い場合には、予測参照画像との差分値が小さくなるので、符号化データ量が少なくなる。
【0032】
図4(a)〜(j)は、図3(a)〜(j)と同様の内容を示す。但し、図4では、合成係数xが常に1で、合成係数yが常に0である。即ち、図4は、メモリ22の記憶画像をそのままカメラ信号処理装置28に入力する場合に相当する。
【0033】
図4の場合、ピクチャP〜P10の短い期間で符号化時の情報量が大きい画像が続いている。この結果、ピクチャI又はP10が符号化される際にバッファ32の残量が少ない場合に、量子化ステップの制御が行われ、圧縮率が変動する。Iピクチャのように予測参照の基準となる画像の圧縮率が高くなると、復号時の劣化がGOP内の全画像に影響してしまう。
【0034】
これに対し、本実施例では、図3に示すように、ピクチャB〜PやB〜P10のように、予測参照画像と現在のピクチャとの間に画像更新タイミング(図3(a))が入る場合、予測参照画像である第2のメモリ24の記憶画像を選択して符号化器30に供給することで、Iピクチャの符号化時にバッファ32の残量が少なくなることを防止し、量子化ステップの再調整の可能性を低減している。
【0035】
このように、本実施例では、画像の更新されるタイミングとGOP構造情報とから、時間的に連続する2つの画像の一方を選択して、符号化器に供給することで、符号化効率を高め、結果的に、GOP構造を再構築することなく符号化データ量を削減できる。
【実施例2】
【0036】
次に、本発明の第2実施例を説明する。図5は、2つの画像の合成係数をGOP構造情報に従い適応的に決定するフローチャートを示し、図6は、本実施例の動作例を示す。図7は、画像更新タイミング後の2フレームについて、GOP構造情報を参照せずに、固定合成係数値で画像を合成する場合の動作例を示す。
【0037】
図5に示すフローでは、先ず、合成対象画像、即ちメモリ22又はメモリ24に格納されている画像が、Iピクチャとして符号化される画像であるかを判定する(S11)。
【0038】
Iピクチャが含まれない場合(S11)、画像更新タイミングの最初のフレームに対して、合成係数x=1/3,合成係数y=2/3でメモリ22,24の画像を線形合成し、2番目のフレームに対して、合成係数x=2/3、合成係数y=1/3で画像メモリ22,24の画像を線形合成する(S12)。
【0039】
Iピクチャが含まれる場合(S11)、画像更新直後の最初のピクチャがIピクチャかどうかを判定する(S13)。最初のピクチャがIピクチャである場合(S13)、画像更新前の画像をIピクチャ用に選択し、以後の最初のフレームに対して、合成係数x=1/3、合成係数y=2/3で画像メモリ22,24の画像を線形合成し、2番目のフレームに対して、合成係数x=2/3、合成係数y=1/3で、画像メモリ22,24の画像を線形合成する(S14)。この例のように、時間的に連続する複数のピクチャに対して、合成係数x,yをピクチャ毎に変更しながら、画像メモリ22,24の画像を線形合成することを、傾斜合成と呼ぶことにする。
【0040】
画像更新直後の最初のピクチャがIピクチャでない場合(S13)、Iピクチャの前の画像に対して、合成係数x,yをそれぞれ1/2に設定して、画像メモリ22,24の画像を線形合成する(S15)。
【0041】
図6(a)〜(i)及び図7(a)〜(i)は、図3(a)〜(i)と同じ内容を示す。図6(f)に示す合成係数xと、図6(g)に示す合成係数yは、図5に示すフローに従って決定される。他方、図7(f)に示す合成係数xと、図6(g)に示す合成係数yは、一定である。
【0042】
画像更新タイミング後の2フレームについて、単純に傾斜合成を適用する場合、図7に例示するように、画像更新タイミング後の2ピクチャがI〜B、B〜Iとなり、合成画像は図7(h)になる。Iピクチャとして符号化されるIとIが複数画像からの合成画像となるため、GOP全体の画質が低下してしまう。
【0043】
これに対し、図6に示すように、本実施例では、GOP構成情報をも参照して、合成係数x,yと合成範囲(開始と終了)を制御するので、画質低下を解消又は軽減できる。具体的には、I〜Bのように画像更新タイミング後の最初のピクチャがIピクチャの場合、画像更新前のピクチャを採用し(x=0,y=1)、Iピクチャの次のピクチャからの2ピクチャについて、画像メモリ22,24の画像を線形合成する。また、B〜Iのように、画像更新タイミング後の最初のピクチャがIピクチャでない場合、図6(f),(g)に示すように、Iピクチャの前のピクチャに対して、画像メモリ22,24の画像を線形合成する。
【0044】
このように合成係数x,yと合成範囲を制御することで、ピクチャIとIは、画像メモリ22,24の一方の画像のみからなる。また、ピクチャB〜B及びBは、画像更新タイミングの前後の画像を線形合成した画像からなる。
【0045】
以上のように、本実施例では、画像更新タイミングとGOP構造情報より、時間的に連続する2画像の合成係数を制御することで、Iピクチャの画像の画質を高く保ちながら、滑らかな画像を記録できる。
【実施例3】
【0046】
図8は、本発明の実施例3の概略構成ブロック図を示す。図1に示す実施例と同じ作用の構成要素には、同じ符号を付してある。実施例1とは異なる部分を説明する。画像合成制御装置60は、符号化器30からのGOP構造情報のみならず、バッファ32からの残量情報をも参照して、画像合成装置26の合成計数x,yを決定する。
【0047】
図9は、図8に示す実施例の動作例を示す。図9(a)〜(i)は、図3(a)〜(i)と同様の内容を示す。図9(j)は、通常の量子化ステップで符号化する場合の符号化データ量を示す指数を示す。ここでは、すべてのマクロブロックをフレーム内符号化するIピクチャの場合の符号化ータ量の指数を最大値の7とし、予測参照画像との差分値がない場合のフレーム間符号化の場合の符号化データ量の指数を最低値の1としている。図9(k)は、バッファ32の残量の指数を示す。この残量指数が0でアンダーフローとなる。記録媒体に出力するデータ量(指数)を3とすると、バッファ32の残量(指数)は、符号化データ量と、記録媒体に出力するデータ量との差分値により増減する。
【0048】
図9では、B〜P、I13〜B15のようにバッファ残量が多い場合は、複数のピクチャにわたり非0の合成係数x,yを使用する傾斜合成を用いることで、滑らかな画像を記録する。B〜P10のようにバッファ残量が少ない場合は、一方の画像を選択する選択合成を用いることで、符号化時のデータ量を削減している。
【0049】
このように、本実施例では、記録レートを均一化するためのバッファ32がアンダーフローしそうな場合には、画像合成を2値制御することにより符号化データ量を削減し、バッファ32がアンダーフローしそうでない場合は、傾斜合成又は等分合成を利用することで、よりなめらかな画像を記録する。
【実施例4】
【0050】
図10は、本発明の実施例4の概略構成ブロック図を示す。図1に示す実施例と同じ作用の構成要素には、同じ符号を付してある。実施例1とは異なる部分を説明する。
【0051】
露出評価値算出装置70は、A/D変換器20から出力される画像信号を、画面内で複数のエリアに分割し、エリアごとに輝度に基づく露出評価値を算出し、画像合成制御装置72に出力する。画像合成制御装置72は、符号化器30からのGOP構造情報と、画像更新タイミング前後の露出評価値の変化量とに応じて、画像合成装置26の合成係数x,yを決定する。
【0052】
図11は、図10に示す実施例の動作例を示す。図11(a)〜(j)は、図9(a)〜(j)と同様の内容を示す。図11(k)は、画像更新タイミング前後の露出評価値の変化量を示す。露出評価値の変化量の大小と、画像間の差分値は、比例している場合が多い。
【0053】
図11で、B〜P、I13〜B15のように露出評価値の差分値が小さい場合、傾斜合成を適用することで、滑らかな画像を記録する。また、B〜P10のように差分値が大きい場合は、選択合成を用いることで符号化データ量を削減する。
【0054】
このように、本実施例では、露出評価値の変化が大きい場合には、選択合成を適用し、露出評価値の変化が小さい場合は、傾斜合成を適用することで、全体として、符号化データ量を削減しつつ、滑らかな画像の記録を実現する。
【0055】
動画像の圧縮符号化方式としてMPEGを例に説明したが、本発明は、画面により符号化データ量がダイナミックに変動する他の符号化方式を利用する場合にも適用可能であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施例1の概略構成ブロック図である。
【図2】図2は、画像合成装置26の動作フローチャートである。
【図3】GOP構造情報と画像更新タイミングに従い合成比率を適応的に2値制御する本実施例の動作例である。
【図4】合成比率を制御しない場合の画像合成動作例である。
【図5】実施例2における、2つの画像の合成係数をGOP構造情報に従い適応的に決定する動作のフローチャートである。
【図6】実施例2の動作例である。
【図7】画像更新タイミング後の2フレームについて、GOP構造情報を参照せずに、固定合成係数値で画像を合成する場合の動作例である。
【図8】実施例3の概略構成ブロック図である。
【図9】実施例3の動作例である。
【図10】実施例4の概略構成ブロック図である。
【図11】実施例4の動作例である。
【符号の説明】
【0057】
10:レンズ
12:絞り
14:撮像素子
16:CDS回路
18:AGC回路
20:A/D変換器
22,24:画像メモリ
26:画像合成装置
28:カメラ信号処理装置
30:符号化器
32:バッファ
34:記録媒体
36:シャッタ速度制御装置
38:CPU
40:画像合成制御装置
60:画像合成制御装置
70:露出評価値算出装置
72:画像合成制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常速度よりも低速の撮影速度で撮影画像信号を出力する撮像手段(14)と、
前記撮像手段による撮影画像信号を順次更新して記憶する複数の画像メモリ(22,24)と、
前記通常速度に応じた速度で、前記画像メモリに記憶されている画像の一つを選択出力する画像選択手段(26)と、
前記通常速度に応じた速度で、前記合成手段の出力画像を圧縮符号化する符号化手段(30)と、
前記複数の画像メモリの画像更新タイミングと前記符号化手段における符号化構造情報に応じて、前記画像合成手段の選択を制御する選択制御手段(40)
とを具備することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
通常速度よりも低速の撮影速度で撮影画像信号を出力する撮像手段(14)と、
前記撮像素子による撮影画像信号を順次更新して記憶する複数の画像メモリ(22,24)と、
前記通常速度に応じた速度で、前記画像メモリに記憶されている画像を合成出力する画像合成手段(26)と、
前記通常速度に応じた速度で、前記合成手段の出力画像を圧縮符号化する符号化手段(30)と、
前記複数の画像メモリの画像更新タイミングと前記符号化手段における符号化構造情報に応じて、前記画像合成手段の合成を制御する画像合成制御手段(40,60,72)
とを具備することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
前記画像合成手段は、前記画像合成制御手段により制御される合成係数で前記画像メモリに記憶されている画像を合成出力する手段であり、
前記画像合成制御手段は、前記画像更新タイミングに続く1以上の画面の画像に対して、前記符号化手段における符号化構造情報に応じて、前記画像合成手段の前記合成係数を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
更に、前記符号化手段の出力データを記録前に一時記憶するバッファ(32)を具備し、
前記画像合成制御手段(60)は、前記バッファの記憶データ量にも応じて、前記画像合成手段の前記合成係数を制御する
ことを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
更に、前記撮像手段の露出変化状態を示す露出評価値を算出する露出評価値算出手段(70)を具備し、
前記画像合成制御手段(72)は、前記露出評価値算出手段の露出評価値にも応じて、前記画像合成手段の前記合成係数を制御する
ことを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮像手段は、光学像を電気信号に変換する撮像素子(14)と、当該撮像素子の露光時間を制御するシャッタ制御手段(36)とを具備することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−113112(P2008−113112A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−293585(P2006−293585)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】