説明

撮像装置

【課題】色シェーディングに対する補正を行うと共に、その補正値を基に固定パターンノイズ、欠陥画素補正、ハイライトエッジ偽色低減、輝度信号生成に使用し画質改善を行う。
【解決手段】被写体を撮影し複数の画像信号を出力する固体撮像素子と、シェーディング補正値を記録しているシェーディング補正値記録部と、シェーディング補正値からの各画素に対する補正値を算出するズーム部と、前記ズーム部で算出した補正値をもとに固体撮像素子からの画像信号を補正するシェーディング補正部と、前記ズーム部で算出した補正値を基に閾値を補正し固定パターンノイズを除去するノイズリダクション部、ならびに欠陥画素補正部、偽色低減部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像画像における、シェーディング補正を行う撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の撮像装置のシェーディング補正に関する技術としては、例えば、特許文献1に、「撮影画像を取得する画像取得手段と、この撮影画像と対応する想定した画像500を画面500内の位置に応じたサイズに異ならせた複数のブロック501〜508・・・に分割した場合の、ブロック同士の境界画素点における各色に対する基準ゲインデータ(例えば各ブロックの角部の基準ゲインデータG1〜G4)を予め記憶するゲイン情報記憶手段と、このゲイン情報記憶手段に記憶された基準ゲインデータに連動してブロックの各画素に対する各色毎のゲイン位置を内挿補間演算によって算出する内挿補間手段と内挿補間手段により算出されたゲイン値と基準データに連動して撮影画像に対する色シェーディング補正を行うシェーディング補正手段とを備える。」と開示されている。
【0003】
また、従来の画像装置のシェーディング補正におけるノイズ低減技術としては、例えば、特許文献2に、「シェーディング補正装置は、AGC回路3と、A/D変換回路4と、シェーディング補正回路5と、ノイズ低減回路6とを備えている。固体撮像素子2から出力された信号は、AGC回路3と、A/D変換回路4とシェーディング補正回路5を経てノイズ低減回路6に入力される。画像信号はノイズ低減回路6で、ノイズ低減調整係数、シェーディング補正信号(b)、AGC増幅信号(a)に応じて、色フィルタ毎にノイズ低減処理の制御を行う。ノイズ低減回路の出力信号により、輝度信号生成回路7で輝度信号、色信号生成回路9で色信号が生成される。この構成により輝度信号のみならず色信号のS/N比を改善することが可能となる。」と開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−121612号公報
【特許文献2】特開2006−237686号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のシェーディング補正技術では、シェーディングの分解能を変えるためには画像の分割数を変更する必要があるため、一度分割数を決めた場合、容易に変更できない。 撮像素子が変わり分解能の変更が必要な場合は、それに応じた補正情報を新たに作る必要がある。
【0006】
また、撮像素子からの信号に重畳しているノイズは、画素ごとの感度のばらつきなどにより発生するノイズなどに代表される、撮像素子の画素が受光する光量に依存してノイズレベルが変化する光量依存ノイズと、温度等の違いにより変化する暗電流ノイズなど、撮像素子の画素が受光する光量に依存せず一定のノイズレベルとなる光量非依存ノイズとがある。
光量依存ノイズをN1とし、光量をS1とし、
N1=f(S1)・・・(1)
となる依存関係があるとする。このとき、撮像素子からの出力をD、光非依存ノイズをN2とするならば、
D=S1+N1+N2=S1+f(S1)+N2・・・(2)
となる。シェーディング補正後の信号をD´、シェーディング補正係数をkとすると、
D´=k×D=k×S1+k×f(S1)+k×N2 ・・・(3)
一方で、シェーディングが発生していなかった場合は、光量をS2とすると、
D=S2+f(S2)+N2・・・(4)
ここで、S2=K×S1であるから、
D=k×S1+f(k×S1)+N2・・・(5)
上式から、元々期待されている信号(5)式と、シェーディング補正後の信号(3)式では、ノイズレベルが異なり、かつ光量依存ノイズと光量非依存ノイズが信号Dに重畳される際の比率も異なってくる。 よって、シェーディング補正の比率に応じて一定の割合でノイズが増えるわけではなく、また必ずしもノイズは増加するとは限らないため、従来技術においては最適なノイズ除去を行うことができないという問題がある。
【0007】
また、特許文献2では、シェーディング補正による増加したノイズを除去することについてふれているが、欠陥画素補正については触れていない。欠陥画素補正にも補正する画素に対してHとVの位置からアドレスを求め補間するアドレス傷補正と、リアルタイムに補正対象画素と周辺の同色画素との差分から傷と判断し補正する方法がある。特に後者の場合、判定要素に信号レベルと傷判定用閾値を用いており、シェーディング補正を行うと周辺画素との信号レベルの差分が大きくなり、その結果、判定に影響するという問題がある。
【0008】
また、特許文献2では、ハイライトエッジ偽色ついても触れておらず、ハイライトエッジ偽色においても、レンズによっては高輝度周辺や被写体のエッジ部分にある偽色が大きくなる。その偽色を抑制する場合、エッジ部の輝度レベルを検出し、ある閾値以上ではそのエッジ部周辺の画像信号に補正を掛けて偽色を抑制させている。 この場合もシェーディング補正を行うと画像信号レベルが大きくなり、補正に影響するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の撮像装置は、例えば、撮像素子の撮像面に結像された光像を光電変化し複数の色信号を出力する撮像素子手段と、撮像素子の変換効率のばらつきにより発生するシェーディングに対してシェーディング補正をするため必要な補正情報を記録しているシェーディング補正値記録手段と、前記シェーディング補正値記録部から使用領域分読み出し処理画像サイズに拡大し、各画素に対する補正値を算出するズーム処理手段と、前記撮像素子部から出力された画像信号を前記ズーム処理手段から得られたシェーディング補正値を基にシェーディング補正するシェーディング補正処理手段と、前記シェーディング補正処理手段から出力された画像信号を前記ズーム処理手段から出力されたシェーディング補正値に連動して固定パターンノイズを除去するノイズリダクション処理手段と、前記ノイズリダクション処理手段から出力された画像信号を前記ズーム処理手段から出力されたシェーディング補正値に連動して欠陥画素を補正する欠陥画素補正手段と、前記欠陥画素補正手段から出力された画像信号のハイライトエッジ近傍にある偽色を前記ズーム処理手段から出力されたシェーディング補正値に連動して偽色を低減する偽色低減処理手段とを備える。
【0010】
この構成により、シェーディング補正の分解能が可変できるとともに、シェーディング補正により増加する固定パターンノイズを、シェーディング補正値に連動して低減し、また、シェーディング補正により増加した信号レベルをシェーディング補正値に連動して最適化し、欠陥画素補正処理、ハイライトエッジ近傍の偽色補正処理を行う。
【0011】
また、本発明の撮像装置の前記ズーム部では、例えば、前記シェーディング補正値記録部から読み出す使用領域を可変でき、それに応じて画面全体に展開し、各画素に対する補正値を求める機能を有す。
【0012】
この構成により、前記シェーディング補正値記録部の情報量を変えることなくシェーディング補正の分解能をかえることができ、例えば、使用領域を大きくとることによって、シェーディング補正の分解能は上がり、使用領域を小さくとるとシェーディング補正の分解能は下がる。よって、例えば撮像素子が変わりシェーディング補正値の変更が必要な場合でも容易に対応することができる。
【0013】
また、本発明の撮像装置の前記ノイズリダクション処理部では、例えば、入力した画像信号から信号レベルを算出し、さらに光量依存性ノイズ、光量非依存性ノイズの成分に分離し、前記ズーム部からのシェーディング補正値と信号レベルから、光量依存性ノイズ、光量非依存性ノイズに対して、それぞれのノイズ低減係数を求め、その係数を基に適正なノイズリダクション処理を行う機能を有す。
【0014】
この構成により、シェーディング処理により強調された固定ノイズパターンも前記ズーム部から出力されたシェーディング補正値に連動して補正かけることで、適切な固定ノイズパターンのノイズ低減効果を得ることができる。
【0015】
また、本発明の撮像装置の前記欠陥画素補正部は、例えば、HとVの位置から補間するアドレス傷補正ではなく、リアルタイムに周辺画素との差分から傷と判断し補正するタイプであり、前記ノイズリダクション処理部より出力された画像信号から信号レベルを算出し、補正対象画素と周辺の同色画素との信号レベルの差分が大きい場合、傷と判定しており、この場合もシェーディング補正を行うと信号レベルが大きくなるため、前記ズーム部からのシェーディング補正値に連動して閾値を補正することに適切な欠陥画素補正を行う機能を有す。
【0016】
この構成により、シェーディング処理により増加した信号レベルでも閾値に対して前記ズーム部から出力されたシェーディング補正値に連動して補正かけることで、適正な閾値で欠陥画素補正を行うことができる。
【0017】
また、本発明の撮像装置の前記偽色低減部では、例えば、ハイライト周辺のエッジ部の輝度レベルを検出し、ある閾値以上ではそのエッジ部周辺の画像信号に補正を掛けて偽色を抑制させる。この場合もシェーディング補正を行うとハイライト周辺の画像信号レベルが大きくなるため、前記ズーム部からのシェーディング補正値に連動して画像信号に補正をかけることによって適切なハイライトエッジ近傍の偽色低減処理を行う機能を有す。
【0018】
この構成により、シェーディング処理により増加した信号レベルでも前記ズーム部からのシェーディング補正値に連動して画像信号に補正かけることで、ハイライトエッジ近傍の偽色低減処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のシェーディング補正は、例えば、シェーディング補正時に前記シェーディング補正値記録部からの使用領域を可変できる構成にすることにより、シェーディング補正の分解能を変えることができる。 使用領域を大きくすると、シェーディング補正の分解能が上がり、使用領域を小さくとるとシェーディング補正の分解能は下がる。よって、例えば撮像素子が変わりシェーディング補正値の変更が必要な場合でも容易に対応することが可能となる。
【0020】
本発明の撮像装置の前記ノイズリダクション処理部では、例えば、入力した画像信号から信号レベルを算出し、さらに光量依存性ノイズと光量非依存性ノイズに分離し、前記ズーム部からのシェーディング補正値と信号レベルから、ノイズ成分ごとのノイズ低減係数を求め、それらの係数を基にノイズリダクション処理することにより、適切なノイズ低減効果を得ることが可能となる。
【0021】
本発明の欠陥画素補正は、例えば、シェーディング処理により増加した信号レベルでも前記ズーム部から出力されたシェーディング補正値に連動して閾値に補正かけることで、適正な欠陥画素補正を行うことが可能となる
本発明の偽色低減処理は、例えば、シェーディング処理により増加した信号レベルでもシェーディング補正値に連動して画像信号に正かけることで、適正なハイライトエッジ近傍の偽色低減処理を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に係る撮像装置について図面を用いて説明する。
【0023】
図1は本発明の実施の形態の撮像装置を示す図である。この撮像装置では、レンズ部1、撮像素子部2、信号処理部3、撮像素子IF部4、タイミングジェネレーター5、シェーディング補正値記録部6、ズーム部7、シェーディング補正部8、画質制御部9、ノイズリダクション部10、欠陥画素補正部11、偽色低減部12、YC信号処理部13、マイコン14などから構成されている。
【0024】
レンズ部1には、光学系のフォーカスレンズ、ズームレンズを備えるだけでなく、光調整用の絞り機能を備えている。また、マイコン15からの制御により絞り調整や、フォーカス調整、ズーム調整が可能な構成である。
【0025】
撮像素子部2はレンズ部1を通して撮像される映像をR,G,Bの各成分毎に光電変換して色信号として出力する。 このときの出力フォーマットは撮像素子によってまちまちである。撮像素子としては、CCDイメージセンサーやCMOSイメージセンサーがある。
【0026】
撮像素子IF部3は、撮像素子部2から送られてくる色信号を後段の信号処理に適した画像信号を生成し、シェーディング補正部8に出力する。
【0027】
タイミングジェネレーター部5は、基本クロックより動作に必要なH−SyncやV−Syncを生成、各部に出力する。 また、撮像素子部2に必要な動作クロックを発生、出力する機能を有す。
【0028】
シェーディング補正値記録部6は、シェーディング補正に使用するシェーディング補正値が予め記録されている。 このシェーディング補正値のサイズは、撮像素子の有効画素数のN分の1倍と縮小されたサイズから有効画素数分あってもよい。例えば、撮像素子の有効画像領域とシェーディング補正値との関係を図5に示す。これは、横32、縦18に分割し、その破線の交点、例えば符号28にシェーディング補正値を有している。
【0029】
ズーム部7はシェーディング補正値記録部6から使用領域分だけを読み出し、処理画像サイズに拡大する。 上記拡大した際、各画素において補正値の有る画素と無い画素が存在する。補正値の無い画素については、もっとも近い4つの補正値から距離に応じて補間データを作成する。補間方法については、どのような方法でもかまわない。
【0030】
例えば、図5のシェーディング補正記録部6の全領域から、使用領域としては横4、縦3と小さい使用領域(小)26を選択した場合、その補正値を画面全体に展開した図を図6に示す。
【0031】
上記の図6に対して、C1ライン上の各画素の補正レベルを示した図を図7に示す。この場合、各画素の補正値は、シェーディング補正記録部6から読み出された補正値から、例えば、直線補間した場合である。
【0032】
例えば、図5のシェーディング補正記録部6の領域から、使用領域としては横16、縦9と大きい使用領域(大)27を選択した場合、その補正値を画面全体に展開した図を図8に示す。
【0033】
上記の図8に対して、C2ライン上の各画素の補正レベルを示した図を図9に示す。この場合も、各画素の補正値は、シェーディング補正記録部6から読み出された補正値から、例えば、直線補間した場合である。上記図7と図9を比べると図7は分解能が低く、図9は分可能が高いことがわかる。
【0034】
このように前記ズーム部によって、シェーディング補正値記録部6の記録容量を変えることなく、シェーディングの分解能を変えることができる。
【0035】
シェーディング補正部8は、ズーム部7からの出力されたシェーディング補正値をもとに、撮像素子IF部4から送られてくる画像信号に対して補正処理を施し、後段のノイズリダクション処理部10に画像信号を出力する。
シェーディング処理部7で行われる処理について、入力される画像信号をISとし、ズーム部7からの出力されたシェーディング補正値をH、補正された画像信号をOSとした場合、以下の関係が成り立つ。
OS=IS×H ・・・・(6)
ノイズリダクション処理部10は、ズーム部7からの出力されたシェーディング補正値に連動して、シェーディング処理部8から出力された画像信号の固定ノイズパターン中の光量依存型ノイズと光量非依存型ノイズに対するノイズ低減係数を算出し、その係数に基づきノイズ低減処理を行い、後段の欠陥画素補正部11に画像信号を出力する。
【0036】
ノイズリダクション処理部10で行われるシェーディング補正値の画質改善への適用例について説明する。
【0037】
図2にノイズリダクション処理部10で補正する構成図を示す。信号レベル生成部15で画像信号から信号レベルが生成され、光量依存補正量算出部16aと光量非依存補正量算出部16bに出力される。
【0038】
光量依存補正量算出部16aでは、信号レベル生成部15からの信号により光量依存型ノイズ成分を抜き出し、そのノイズレベルと、ズーム部7からのシェーディング補正値と、信号レベル生成部15からの信号レベルからノイズ低減係数を算出し、光量依存型ノイズリダクション演算部17aに出力される。
【0039】
光量非依存補正量算出部16bでは、信号レベル生成部15からの信号により光量非依存型ノイズ成分を抜き出し、そのノイズレベルと、ズーム部7からのシェーディング補正値と、ノイズ低減係数を算出し、光量非依存型ノイズリダクション演算部17bに出力される。
【0040】
光量依存型ノイズリダクション演算部17aでは、入力した画像信号に対して、光量依存補正量算出部16aからのノイズ低減係数を基にノイズリダクション処理を行う。
【0041】
光量非依存型ノイズリダクション演算部17bでは、入力した画像信号に対して、光量非依存補正量算出部16bからのノイズ低減係数を基にノイズリダクション処理を行う。
【0042】
このノイズリダクション処理部10で行われる処理について、(3)式に対して、光量依存補正量算出部16aからのノイズ低減係数をαを、光量依存補正量算出部16bからのノイズ低減係数をβとしたとき、以下の式が成り立つ。
D=k×S1+α×k×f(S1)+β×k×N2 ・・・(7)
欠陥画素補正部11では、ズーム部7からの出力されたシェーディング補正値をもとに、ノイズリダクション部10から出力された画像信号の欠陥画素に対して補正を行い、後段の偽色低減処理部12に画像信号を出力する。
【0043】
この欠陥画素補正部11は、前述した通りアドレス傷補正ではなく、リアルタイムに周辺画素との差分から傷と判断し補正するタイプである。
【0044】
欠陥画素補正部11へのシェーディング補正値の適用例について説明する。
【0045】
図3に欠陥補正部11で補正する構成図を示す。閾値補正18では、ズーム部7からのシェーディング補正値に連動して閾値の補正し、判定部20に補正した閾値を出力する。
【0046】
信号レベル生成部19で画像信号から信号レベルが生成され、判定部20に出力される。判定部20では、閾値補正18で補正された閾値をもとに、信号レベル生成部19で生成された信号レベルに対して、欠陥画素の判定が行われ、その結果を欠陥画素補正演算部21に出力される。
【0047】
欠陥画素補正演算部21では、判定部20からの結果をもとに入力された画像信号に対して欠陥補正される。 欠陥画素補正の手段については、欠陥画素のレベルが低減できるのであれば、どのような方法でもよい。
【0048】
偽色低減部12では、ズーム部7からの出力されたシェーディング補正値をもとに、欠陥画素補間部11から出力された画像信号に対して、ハイライトエッジ近傍の偽色低減処理を施し、後段のYC信号処理部13に画像信号を出力する。
【0049】
偽色低減部12へのシェーディング補正値の適用例について説明する。
【0050】
図4に偽色低減部12で補正する構成図を示す。輝度レベル生成部21で画像信号から輝度レベルが算出され、判定部23に出力される。判定部23では、輝度レベル生成部21で算出された輝度レベルに対して、予め設定された閾値に対して高輝度なのかを判定し、その結果を補正量演算部24に出力する。補正量算出部24では、判定部23で高輝度だと判断された画素に対して、近傍にある画素に対してズーム部7からのシェーディング補正値をもとに補正量を算出し、偽色低減演算部25に出力する。
【0051】
偽色低減演算部25では、判定部23で高輝度だと判定された画素の近傍にある画素に対して、
補正演算部24より出力された補正値をもとに入力された画像信号に対して、偽色低減処理を施し、後段のYC信号処理13に画像信号を出力する。 偽色低減演算部25の処理について、偽色が低減される処理であれば、どのような方法でもよい。
【0052】
YC信号処理部13は偽色低減部11から出力された画像信号について、Y/C分離し検波や輝度調整、色調整、ガンマ補正、色差マトリックス処理などをほどこし、映像信号として出力する機能を有す。
【0053】
本発明では、以下の形態をとることもできる。
【0054】
図1では、シェーディング処理部8の後ろにノイズリダクション部10、欠陥画素補正部11、偽色低減部12があったが、ノイズリダクション部10、欠陥画素補正部11、偽色低減部12はシェーディング処理部8の前にあってもかまわない。
【0055】
ノイズリダクション部10、欠陥画素補正部11、偽色低減部12で行う補正について、ズーム部7からのシェーディング補正値で補正するだけでなく、必要に応じてオフセットを設けたり、更に各部毎に補正値を儲けズーム部7からのシェーディング補正値と連動する機能を有してもかわない。
【0056】
本特許に対して扱う画像信号は、撮像素子からの信号、輝度信号、RGB信号、またはRGB以外の色信号でもかまわない。
【0057】
以上のように、本発明に係る撮像装置は、色シェーディングを行う際、シェーディング補正に対して容易に分解能を変更でき、また、シェーディング補正値に基づき、固定パターンノイズの低減、欠陥画素補正の適正化、偽色処理の適正化、輝度レベルの適正化などの画質改善に対してすぐれた効果を有し、撮像素子の信号に対してシェーディング補正装置、ノイズ低減装置、欠陥画素補正装置、偽色処理装置を備えた撮像装置としては有用である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る撮像装置の全体構成図である。
【図2】ノイズリダクション部の補正構成図である。
【図3】欠陥画素補正部の補正構成図である。
【図4】偽色低減部の補正構成図である。
【図5】画素全体に対するシェーディング補正値テーブルと、使用領域の概念図である。
【図6】実画像に対して、使用領域(小)を適応させたとき図である。
【図7】図5のC1のライン上の各画素のレベルを示す図である。
【図8】実画像に対して、使用領域(大)を適応させたとき図である。
【図9】図7のC2のライン上の各画素のレベルを示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1 レンズ部
2 撮像素子部
3 信号処理部
4 撮像素子I/F部(撮像素子からのRAWデータをRGBに変換する処理部)
5 タイミングジェネレーター部
6 シェーディング補正値記録部
7 ズーム部(使用領域から実画像サイズに拡大する処理部)
8 シェーディング補正部
9 画質制御部
10 ノイズリダクション処理部
11 欠陥画素補正部
12 偽色低減処理部
13 YC信号処理部(Y処理,C処理, ガンマ処理など)
14 マイコン部
15 信号レベル生成部
16a 光量依存型補正量算出部
16b 光量非依存型補正量算出部
17a 光量依存型ノイズリダクション演算部
17b 光量非依存型ノイズリダクション演算部
18 閾値補正部
19 信号レベル生成部
20 判定部
21 欠陥画素補正演算部
22 輝度レベル生成部
23 判定部
24 補正量算出部
25 偽色低減演算部
26 使用領域(小)
27 使用領域(大)
28 シェーディング補正値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の光像を撮像素子の受光面に結像させる撮像レンズと、
受光面に結像された光像を光電変換により電気的な信号に変換する撮像素子と、
前記撮像素子から得られた電気的な信号を一般的な画像規格の輝度信号や色信号に変換する信号処理部と、
前記信号処理部において、撮像面に結像される光像の変換効率のばらつきにより発生する色シェーディングの補正値を任意の代表的な座標毎に記録するシェーディング補正値記録部と、
前記シェーディング補正値記録部から任意領域の補正値を取得し、処理画像サイズの解像度に合わせて拡大し各画素に対する補正値を算出するズーム部と、
前記ズーム部から得られた各画素の補正値を用いて色シェーディングを補正する色シェーディング補正部と、
前記ズーム部から得られた各画素の補正値に連動させて、輝度信号や色信号を生成する画像信号処理における画質制御パラメータを変更する画質制御部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記画質制御部は、前記ズーム部から算出された補正値に連動して固定パターンノイズ除去の強度を変更するノイズリダクション処理部と、前記ズーム部から算出された補正値に連動して欠陥画素判定基準を変更する欠陥画素補正部と、前記ズーム部から算出された補正値に連動してハイライトエッジの偽色低減処理を制御する偽色低減処理部とのうちの一つ、若しくは二つ以上を備えることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像装置であって、
前記ズーム部はシェーディング補正値記憶部から使用領域に相当する補正値を読み出し、その情報を基に画像全体の各画素の補間値を算出する装置であって、シェーディング補正値記録部の情報量を変更することなく、シェーディング補正の分解能を可変できることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の撮像装置であって、
前記ノイズリダクション処理部は、画像信号に重畳されている光量依存型ノイズと光量非依存型ノイズに対して、画像信号レベルとズーム部から算出されたシェーディング補正値に連動して、ノイズ成分ごとのノイズ低減係数を求め、その係数を基に適性に成分ごとのノイズリダクション処理を行い画質改善させることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項2または3に記載の撮像装置であって、
前記欠陥画素補正部はズーム部から算出されたシェーディング補正値に連動して欠陥画素補正の閾値を補正して画質改善させることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項2または3に記載の撮像装置であって、
前記ハイライトエッジ偽色低減部はシェーディング補正値に連動して、画像信号のハイライトエッジ近傍にある偽色に対して適正に補正して画質改善させることを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−56817(P2010−56817A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218970(P2008−218970)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】