操作装置及び携帯端末
【課題】構成を簡略化できる操作装置及び携帯端末を提供すること。
【解決手段】操作部(方向操作部)5が設けられた筐体2を備える操作装置(携帯端末)1であって、筐体2が有する開口部212Aを介して当該筐体2外に露出する複数のキートップ611、及び、当該複数のキートップ611を筐体2内で接続する基部612を有するキー本体61と、各キートップ611に対応する位置に配設され、キートップ611の入力を検出する複数の検出部(スイッチ)71を有する回路基板7とを備える。基部612は、各キートップ611により囲まれる位置に、回路基板7に当接してキートップ611の押下時にキー本体61の傾斜に対する支点となる支点部615を有し、筐体2と、キー本体61との間には、キー本体61を回路基板7側に付勢する付勢部材8が設けられている。
【解決手段】操作部(方向操作部)5が設けられた筐体2を備える操作装置(携帯端末)1であって、筐体2が有する開口部212Aを介して当該筐体2外に露出する複数のキートップ611、及び、当該複数のキートップ611を筐体2内で接続する基部612を有するキー本体61と、各キートップ611に対応する位置に配設され、キートップ611の入力を検出する複数の検出部(スイッチ)71を有する回路基板7とを備える。基部612は、各キートップ611により囲まれる位置に、回路基板7に当接してキートップ611の押下時にキー本体61の傾斜に対する支点となる支点部615を有し、筐体2と、キー本体61との間には、キー本体61を回路基板7側に付勢する付勢部材8が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力操作が行われる操作部が設けられた筐体を備える操作装置及び携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上下左右にそれぞれ入力可能な方向キーを備える電子機器が知られている。このような電子機器として、ゲーム機等の携帯端末や、据置型のゲーム機及びPC(Personal Computer)等に接続されるコントローラを挙げることができる。このようなコントローラとして、上ハーフ及び下ハーフにより構成されるハウジング本体に設けられ、当該ハウジング本体内の回路基板に配設された一対の接点を押圧するキートップ本体を備えたゲーム機用コントローラが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のゲーム機用コントローラでは、キートップ本体は、ハウジング本体の外部に露出する複数のキートップが一体的に形成された構成を有している。そして、キートップが押下されると、キートップ本体と回路基板との間に介装された弾性体(接点ゴム)の脚部が座屈される。当該脚部が座屈されると、脚部の内側に設けられた押圧部が可動接点部を押圧する。そして、可動接点部と、回路基板上の固定接点部とが電気的に接触すると、当該回路基板によりキー入力が検出される。このような弾性体の座屈時にクリック感が生じ、使用者はキー入力を実感できるので、このような弾性体を設けることで、コントローラの操作性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,853,326号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に記載のゲーム機用コントローラでは、上ハーフの開口部端縁にキートップ本体の基部が当接し、また、上ハーフのキートップ中央支持部にキートップ本体の凹部が当接するように、弾性体が当該キートップ本体を回路基板から離間する方向に付勢することで、ハウジング本体内にキートップ本体が維持されている。しかしながら、このような構成では、キートップの押下に応じて脚部が座屈される弾性体を各接点部に応じてそれぞれ設ける必要があり、コントローラの厚さ寸法が大きくなるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、薄型化を図ることができる操作装置及び携帯端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するために、本発明の操作装置は、入力操作が行われる操作部が設けられた筐体を備える操作装置であって、前記操作部は、前記筐体が有する開口部を介して当該筐体外に露出する複数のキートップ、及び、当該複数のキートップを前記筐体内で接続する基部を有するキー本体と、前記複数のキートップに対応する位置にそれぞれ配設され、前記キートップの入力を検出する複数の検出部を有する回路基板とを備え、前記基部は、前記複数のキートップにより囲まれる位置に、前記回路基板に近接する方向に突出し、かつ、当該回路基板に当接して、前記キートップの押下時に前記キー本体の傾斜に対する支点となる支点部を有し、前記筐体と、前記キー本体との間には、当該キー本体を前記回路基板側に付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、キー本体を回路基板側に付勢して、当該キー本体を安定化する付勢部材が、筐体とキー本体との間に設けられるので、キー本体が回路基板から浮き上がることを防ぐことができ、当該回路基板上にキー本体を適切に配置することができる。この際、付勢部材として、弾性を有する平板状の樹脂等を用いることができるので、各キートップに応じた位置にそれぞれ弾性体(接点ゴム)を設ける前述の構成や、コイルばね等のばね部材を用いた場合に比べ、操作部の薄型化を図ることができる。従って、キー本体を安定して回路基板上に位置させることができるほか、当該操作装置の薄型化を図ることができる。
【0009】
本発明では、前記キー本体は、前記支点部が形成される面とは反対側の面における当該支点部に応じた位置に凹部を有し、前記筐体は、前記凹部に応じた位置に形成され、当該凹部内に収納されて前記キー本体を支持する本体支持部を有することが好ましい。
本発明によれば、キー本体において支点部に応じた位置に形成された凹部に、筐体の本体支持部が係合することにより、キー本体の位置ずれを防止できる。従って、キートップが押下された場合でも、当該キー本体を一層安定して回路基板上に位置させることができる。
【0010】
本発明では、前記本体支持部と前記凹部の内面との間には、前記キー本体の変位量に応じた隙間が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、本体支持部と凹部の内面との間に、隙間が形成されていることにより、キートップの押下時にキー本体が傾斜することが妨げられることがないので、当該キー本体の傾斜を容易に行うことができる。また、当該隙間は、キー本体の変位量、すなわち、傾斜量に応じて設定されているので、本体支持部と凹部とが噛み合うことにより、キー本体の必要以上の傾斜を規制することができ、操作部の操作性を向上することができるほか、検出部が必要以上に押圧されることを防ぐことができる。
【0011】
本発明では、前記付勢部材は、前記筐体と、前記キー本体における前記複数のキートップにより囲まれる位置との間に設けられていることが好ましい。すなわち、筐体が前述の本体支持部を備える場合には、前記付勢部材は、前記本体支持部の周囲に設けられていることが好ましい。詳述すると、前記付勢部材は、前記本体支持部の周囲において、当該本体支持部の中心から前記複数のキートップの少なくともいずれかに向かう方向上に設けられていることが好ましい。
【0012】
このような付勢部材として、平面視略円形状、或いは、略環状の付勢部材を例示することができる。
本発明によれば、キートップが押下されてキー本体が傾斜した場合に、当該キートップとは反対側の位置に作用する付勢部材の付勢力により、当該キー本体の傾斜を確実に元に戻すことができる。また、筐体が前述の本体支持部を備え、付勢部材が、当該本体支持部の中心から各キートップに向かう方向上にのみ設けられていれば、付勢部材を本体支持部の周囲全てにわたって配置する必要がないので、付勢部材の製造コストを低減することができる。一方、略環状の付勢部材を採用すれば、当該付勢部材の本体支持部に対する取付を容易に行うことができる。
【0013】
或いは、本発明では、前記キー本体は、前記キートップの外側に延出し、前記筐体における前記開口部の端縁に対向するフランジ部を備え、前記付勢部材は、前記筐体と前記フランジ部との間に設けられていることが好ましい。
本発明によれば、付勢部材の配置位置とは支点部を挟んで反対側に位置するキートップが押下され、当該支点部を支点としてキー本体が傾斜した場合に、付勢部材の付勢力により、当該キー本体を傾斜前の状態に確実に復帰させることができる。この際、付勢部材は、キー本体が有するフランジ部と、筐体との間に設けられるので、キー本体の傾斜に伴って、付勢部材の付勢力をフランジ部、ひいては、キー本体に確実に作用させることができる。従って、付勢部材の付勢力を確実に作用させることができ、キー本体を傾斜前の状態に確実に復帰させることができる。
【0014】
本発明では、前記基部は、前記支点部の周囲に肉厚部を有することが好ましい。
本発明によれば、支点部周辺に肉厚部が形成されているので、キートップの押下によりキー本体が傾斜する際に、支点部周辺にかかる荷重に対する強度を確保することができる。また、これにより、強度確保のために基部全体を厚く形成する必要がないので、基部、ひいては、キー本体の薄型化を一層促進することができる。従って、キー本体の強度の向上、及び、操作装置の薄型化を図ることができる。なお、肉厚部が、支点部を囲むように環状に形成されていれば、どのキートップが押下された場合でも対応できるので、より好適である。
【0015】
本発明では、前記キー本体における前記筐体外に露出する側とは反対側で、かつ、前記キートップに対応する位置には、平板状の弾性体が、前記キー本体と一体的に設けられることが好ましい。
本発明によれば、弾性体がキー本体におけるキートップに応じた位置に当該キー本体と一体的に設けられていることにより、キートップの押下時に当該弾性体が弾性変位することで、柔らかな打感を得ることができる。また、当該弾性変位が解消することで、キー本体の傾斜が解消するので、前述の付勢部材とともに、押下される前の状態に当該キー本体を適切に戻すことができる。
【0016】
また、本発明の携帯端末は、前述の操作装置を備えることを特徴とする。
本発明によれば、前述の操作装置と同様の効果を奏することができる。また、このような操作装置を備えることにより、携帯端末の構成の簡略化を図ることができ、当該携帯端末の製造工程を簡略化することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、操作装置、ひいては、携帯端末の薄型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る携帯端末を示す斜視図。
【図2】前記実施形態における方向操作部の構成を示す断面図。
【図3】前記実施形態における方向操作部の構成を示す断面図。
【図4】前記実施形態における十字キーを上方から見た斜視図。
【図5】前記実施形態における十字キーを下方から見た斜視図。
【図6】前記実施形態におけるスイッチの構成を示す断面図。
【図7】本発明の第2実施形態に係る携帯端末の方向操作部を示す断面図
【図8】前記実施形態における方向操作部の構成を示す断面図。
【図9】前記実施形態における十字キーを上方から見た斜視図。
【図10】前記実施形態における十字キーを下方から見た斜視図。
【図11】本発明の第3実施形態に係る携帯端末の方向操作部を示す断面図。
【図12】前記実施形態における携帯端末の方向操作部を示す断面図。
【図13】前記実施形態の変形である携帯端末の方向操作部を示す断面図。
【図14】前記実施形態の変形である携帯端末の方向操作部を示す断面図。
【図15】本発明の第4実施形態に係る携帯端末の方向操作部を示す断面図。
【図16】前記実施形態における付勢部材を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔1.第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔携帯端末の全体構成〕
図1は、本実施形態に係る携帯端末1を正面側から見た斜視図である。
携帯端末1は、使用者の入力操作に応じて、ディスク及びメモリに記録されたプログラム及びデータを読み出して、ゲームの実行、或いは、映像及び音声の再生を行うものであり、本発明の操作装置及び携帯端末に相当する。
この携帯端末1は、図1に示すように、扁平横長矩形状で、両端部が円弧状に形成された筐体2と、当該筐体2内に収納され、後述する液晶パネル31、十字キー6及び回路基板7(図2及び図3参照)等を備える端末本体とを備えている。
【0020】
〔筐体の構成〕
筐体2は、使用者が携帯端末1を保持した際に、正面側(使用者に対向する側)に位置するフロントケース21と、当該フロントケース21の背面側にねじ固定されるリアケース22とを備えている。
このうち、フロントケース21の正面側略中央には、当該フロントケース21の透光領域211を介して観察される横長矩形状の液晶パネル31が配置されている。また、フロントケース21において当該液晶パネル31を挟む左右両側、及び、液晶パネル31の下側には、各種キーを露出させる複数の開口部212が形成されている。このうち、フロントケース21の左側には、仮想の略正方形の頂点に応じた位置に、後述する方向操作部5を構成する4つのキートップ611の形状及び寸法に応じて形成された4つの開口部212Aが形成されている。また、図1においては図示を省略するが、当該4つの開口部212Aにより囲まれた領域における内面側に、当該キートップ611を有するキー本体61を支持する本体支持部213(図2及び図3参照)が形成されている。
【0021】
液晶パネル31の左側(図1における左側)には、方向操作部5が設けられている。この方向操作部5を構成する十字キー6は、詳しくは後述するが、仮想の略正方形の頂点に応じた位置にそれぞれキートップ611を有し、当該キートップ611は、前述の開口部212Aを介して、筐体2外に露出する。なお、方向操作部5の構成については、後に詳述する。
【0022】
また、十字キー6の下側(同下側)には、フロントケース21に沿って摺動自在な方向キー32が配設されており、また、液晶パネル31の右側(同右側)には、4つの決定キー33及び電源キー(図示省略)が設けられている。
液晶パネル31の下側には、それぞれ所定の機能を端末本体に実行させるキー34〜39が配置されている。また、筐体2の四隅部分は内側に切り欠かれており、上側左右隅部には決定キー40(左側の決定キーを40Lとし、右側の決定キーを40Rとする)が設けられている。
【0023】
筐体2の上面略中央には、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠したminiB端子を挿抜可能な接続端子41が設けられており、この接続端子41を挟むように、開口を介して電極が露出した電力供給端子42が設けられている。
また、当該上面左側には、他の外部機器と赤外線通信を行う受光窓43が設けられ、右側には、リアケース22の背面側に設けられた蓋部材23の開放を規制するロックスライダ44が設けられている。このロックスライダ44を摺動させると、蓋部材23の開放規制が解除され、当該蓋部材23を開けて筐体2内にディスク(図示省略)を収納することができる。
【0024】
〔方向操作部の構成〕
図2及び図3は、方向操作部5の構成を示す断面図である。なお、図2及び図3においては、当該各図の断面に対する奥行き方向に位置するスイッチ71の図示を省略する。
方向操作部5は、本発明の操作部に相当し、図2及び図3に示すように、複数のキートップ611を有する十字キー6と、各キートップ611に応じて配設された複数のスイッチ71を有する回路基板7とを備える。そして、図2に示す状態から、使用者によってキートップ611(図2における左側のキートップ611)が押下され、図3に示すように、当該キートップ611の位置に応じて設けられたスイッチ71が押圧されると、回路基板7が、当該スイッチ71が入力されたことを示す制御信号を端末本体に出力する。
【0025】
〔十字キーの構成〕
図4及び図5は、十字キー6をそれぞれ上方及び下方から見た斜視図である。
十字キー6は、上下左右及び斜方の8方向にそれぞれ入力可能なキーであり、後述する回路基板7上に設けられ、当該回路基板7上に配設されたスイッチ71を押圧する。
この十字キー6は、図4及び図5に示すように、全体略十字形状を有し、平面視した際に、当該十字キー6の中央を通る直線を中心とした線対称構造を有している。このような十字キー6は、上下左右の各方向に応じた4つのキートップ611、及び、当該各キートップ611を接続して一体化する基部612を有するキー本体61と、各キートップ611に応じてキー本体61の底面側に設けられる弾性部62とが二色成形により一体的に形成されている。
【0026】
キー本体61は、透明樹脂(例えば、アクリル樹脂)により形成されており、基部612は、平面視略十字形状を有している。
基部612における4つの端部の正面側(フロントケース21に対向する側)には、図4に示すように、キートップ611が面外方向に突出するようにそれぞれ形成されている。これらキートップ611は、平面視した際に、それぞれ多角形状(具体的には、五角形状)を有している。
【0027】
詳述すると、キートップ611は、略四角形状と略三角形状とを組み合わせた形状を有している。すなわち、当該キートップ611は、略四角形状の端縁を形成する略平行な二辺と、当該略平行な二辺の一方の端部間を接続するように設けられる略三角形状の二辺と、当該略平行な二辺の他方の端部間を接続する略円弧状の一辺とにより端縁が形成される外形形状を有している。このため、各キートップ611の間であり、キー本体61の中央には、平面視略十字状の溝が形成される。この溝の略中央には、平面視略円形状の凹部613が形成されている。
【0028】
基部612の周縁には、各キートップ611の外側に向かって延出し、4つの開口部212Aの外側に位置するフランジ部6121が形成されており、当該フランジ部6121により、十字キー6は、筐体2外への飛び出しが規制される。このようなフランジ部6121におけるフロントケース21に対向する面は、当該基部612の周縁に向かうに従って厚さ寸法が小さくなる傾斜面6122とされ、同様に、開口部212Aの端縁における傾斜面6122に対向する部位には、当該傾斜面6122に沿って傾斜した傾斜部212B(図2及び図3参照)が形成されている。このため、図3に示すように、十字キー6のいずれかのキートップ611が押下された場合、当該傾斜面6122と、傾斜部212Bとが互いに当接し、十字キー6の傾斜が妨げられることを防ぐとともに、当該傾斜が円滑に行われるので、当該十字キー6の操作性が向上する。
なお、フランジ部6121は、基部612の周縁全てに形成されていなくてもよく、少なくとも、各キートップ611の周縁で、かつ、基部612の中心から最も離れた領域に形成されていればよい。
【0029】
基部612の底面側(後述する回路基板7に対向する側)の略中央には、図5に示すように、当該底面側から見て略円形状に突出した肉厚部614と、当該肉厚部614の略中央の位置から、略半球形状に膨出した支点部615とが形成されている。
このうち、支点部615は、後述する回路基板7と接触し、キートップ611が押下された際に支点となって十字キー6を傾斜させる部位である。この支点部615により、十字キー6の傾斜が円滑に行われる。
ここで、隣接する2つのキートップ611が同時に押下された場合には、十字キー6は、押下位置が回路基板7に近接するように傾斜する。しかしながら、互いに反対側の2つのキートップ611(上下又は左右に位置するキートップ611)が同時に押下された場合には、当該十字キー6は傾斜しない。これにより、相反する方向のキーが同時に入力されることを防ぎ、操作性を向上することができる。
【0030】
肉厚部614は、キートップ611の押下時にかかる荷重に対して、支点部615周囲を補強する部位である。このような肉厚部614が、支点部615周囲に形成されていることにより、補強のために基部612全体を厚く形成する必要がなくなり、基部612の薄型化、ひいては、十字キー6の薄型化を図ることができる。
また、基部612の底面側で、各キートップ611に応じた位置には、当該各キートップ611の形状に応じた凹部616が形成されている。これら凹部616内には、弾性部62が位置している。
【0031】
弾性部62は、本発明の弾性体に相当し、弾性材料(例えば、エラストマ又はシリコンゴム等)により略平板状に形成されている。これら弾性部62の正面側には、キー本体61(詳しくは、キートップ611)を介して照射されたレーザにより、図1に示したような上下左右の各方向を示す記号がそれぞれ表記され、使用者にキーの種別を認識させ、操作性の向上を図っている。また、レーザ照射により、当該記号が表記されるので、図柄が描かれたシール等を貼付する場合に比べ、製造工程の簡略化、及び、デザイン性の向上を図ることができる。
【0032】
このような各弾性部62は、図4及び図5に示すように、キートップ611に応じた形状及び寸法で、当該キートップ611に応じた位置、すなわち、凹部616内にそれぞれ形成される。このため、レーザ照射によって図柄等を形成可能な範囲を大きくすることができる。また、各弾性部62の一部が、前述の肉厚部614の一部を占めることで、透明樹脂により形成されたキー本体61を介して、フロントケース21の内側が観察されることを防ぐことができ、携帯端末1の外観が損なわれることを防ぐことができる。
【0033】
弾性部62の底面(回路基板7に対向する面)は、前述のフランジ部6121の底面と、面一となるように形成されている。また、肉厚部614の底面6141と、当該肉厚部614の一部を占める弾性部62の領域の底面とは、それぞれ面一となる。
このような各弾性部62の底面側略中央には、図5に示すように、当該底面から面外方向に突出する略円筒状の突出部621がそれぞれ形成されている。これら突出部621は、キートップ611が押下され、十字キー6が支点部615を支点として傾斜した際に、当該キートップ611の下方に位置するスイッチ71を押圧する。
【0034】
このような突出部621が弾性部62に形成されていることにより、当該突出部621がスイッチ71を点で押圧することができる。これにより、断面積の大きい弾性部62全体がスイッチ71を押圧する場合に比べ、キートップ611の押下を当該スイッチ71により確実に検出することができる。また、この突出部621の突出寸法を調整することにより、十字キー6の薄型化を図りつつ、当該十字キー6のストローク量を調節することができる。従って、方向操作部5、ひいては、携帯端末1の操作感、及び、入力操作に対する検出の信頼性を向上することができる。
【0035】
なお、これら突出部621の先端部、すなわち、当該突出部621においてスイッチ71に当接する先端部の平面位置(回路基板7からの高さ位置)は、図2及び図3に示すように、当該回路基板7に当接する支点部615より高く、更に、肉厚部614における回路基板7に対向する部位(底面6141)の平面位置より高く設定されている。換言すると、当該先端部は、肉厚部614における当該部位より、キートップ611側に位置する。より具体的には、回路基板7と突出部621の先端部との隙間は、当該回路基板7と肉厚部614の当該部位との隙間より、大きく設定されている。
このうち、回路基板7と肉厚部614との隙間は、キートップ611が押下され、突出部621がスイッチ71を押圧した場合でも、肉厚部614が回路基板7に接触しない程度の寸法に設定されている。
【0036】
このような構成によれば、キートップ611の押下により十字キー6が傾斜した場合でも、弾性部62が当該十字キー6の傾斜を妨げることがない。また、突出部621の先端部の位置(回路基板7と突出部621の先端部との隙間の寸法)を調整することで、十字キー6全体の厚さ寸法を変えることなく、すなわち、当該十字キー6の薄型化を図りつつ、当該十字キー6のストローク量(突出部621がスイッチ71を押圧していない状態から押圧した状態に至るまでの十字キー6の傾斜量)を調整することができる。
なお、キートップ611の押下時に、突出部621がスイッチ71を入力した際の感触(例えば、クリック感)は、突出部621の突出寸法、断面積、剛性及び可撓性等の性質を適宜変更することでも調整することができる。
【0037】
更に、このような弾性部62が、キー本体61とともに二色成形により一体的に形成されていることにより、キー本体61に弾性部材を接着剤等により貼付して弾性部とする場合に比べ、十字キー6、ひいては、携帯端末1の製造工程を簡略化することができる。
【0038】
ここで、支点部615には、弾性部62を形成する弾性材料は含まれておらず、当該支点部615は、キー本体61を構成する樹脂により形成されている。換言すると、十字キー6の底面は、キートップ611に応じた領域のみが弾性材料により形成され、支点部615は当該弾性材料によって形成されてはいない。これは、キートップ611の押下時に荷重がかかる支点部615が弾性材料により形成されていると、当該支点部615の強度が確保できず、十字キー6がフロントケース21及び後述する回路基板7に対して近接及び離間する方向に揺動してしまい、操作感が低下する恐れがあるためである。これに対し、支点部615が剛性を有する透明材料により形成されていることにより、当該支点部615の強度を確保することができ、操作感の低下を防ぐことができる。
【0039】
〔スイッチの構成〕
図6は、スイッチ71の構成を示す断面図である。このうち、図6(A)は、変位する前のスイッチ71の状態を示す断面図であり、図6(B)は、突出部621からの押圧力により変位したスイッチ71の状態を示す断面図である。
スイッチ71は、本発明の検出部に相当し、前述のように、キートップ611に応じた位置にそれぞれ設けられ、全体として、回路基板7上に4つ配設されている。これらスイッチ71は、図6に示すように、回路基板7上にそれぞれ形成された第1接点部72及び第2接点部73と、第1接点部72の一部及び第2接点部73を覆うドーム部75と、当該ドーム部75の内側に形成された第3接点部74とを備えている。
【0040】
第1接点部72は、詳しい図示を省略したが、平面視略円形状に形成され、また、第2接点部73は、第1接点部72の略中央に、当該第1接点部72とは所定の間隔を隔てて平面視略円形状に形成されている。
第3接点部74は、導電性を有する材料がドーム部75の内側に塗布されて形成されている。この第3接点部74は、図6(A)に示すように、端部が第1接点部72と電気的に接続されているが、第2接点部73とは所定の隙間Gを介して離間している。このため、通常時(突出部621により押圧されていないとき)には、第3接点部74と第2接点部73とは電気的に接触していない。
【0041】
ドーム部75は、第1接点部72及び第2接点部73を覆うように設けられており、可撓性を有する金属材料により形成されている。このドーム部75を平面視した際の中心位置は、第2接点部73の中心と略一致している。このようなドーム部75は、キートップ611の押下時に、前述の突出部621により押圧されると、図6(B)に示すように、当該ドーム部75の中央部分が第2接点部73に近接する方向に凹んで反転し、ドーム部75の内側に形成された第3接点部74を第2接点部73に接触させる。これにより、第3接点部74を介して第2接点部73と第1接点部72とが電気的に接続され、これら接点部72,73間で電流が導通する。この電流に基づいて、回路基板7により、スイッチ71が入力されたことが検出される。
【0042】
このようなドーム部75の変形は、突出部621による押圧力、すなわち、使用者によるキートップ611の押圧力が、所定の閾値を越えた場合に生じるため、当該変形が生じた際に、クリック感が生じる。このため、従来の弾性体の座屈時と同様のクリック感を生じさせることができ、方向操作部5の操作性を向上することができる。なお、当該ドーム部75の強度(弾性力)や、隙間Gの大きさを調整することによっても、キー入力時の感触を調整することができる。
【0043】
図2及び図3に戻り、フロントケース21における各開口部212Aに囲まれた領域には、当該フロントケース21の内面(十字キー6に対向する側の面)から面外方向に略円筒状に突出し、全体略T字状を有する本体支持部213が形成されている。この本体支持部213は、フロントケース21と十字キー6とが組み合わさった際に、当該本体支持部213の周縁と、前述の凹部613の内面との間に所定の隙間を持って当該凹部613内に収納される。
【0044】
これら本体支持部213と凹部613との係合により、筐体2内での十字キー6の位置ずれを防止することができるほか、キートップ611が押下されて十字キー6が傾斜した場合でも、当該十字キー6が大きくずれないように回路基板7上に位置させることができる。更に、本体支持部213は、十字キー6の略中央に形成された凹部613と係合するので、十字キー6の操作性が損なわれることを防ぐことができる。
【0045】
なお、この隙間は、十字キー6が傾斜して、突出部621がスイッチ71を押圧した際に、本体支持部213の周縁及び下面と、凹部613の内面とが当接する程度の寸法に設定されている。すなわち、当該隙間は、十字キー6の変位量(傾斜量)に応じて設定されているので、キートップ611の押下時の十字キー6の傾斜が妨げられることがない。これによれば、十字キー6の操作性が損なわれないほか、当該十字キー6が傾斜して、突出部621がスイッチ71を押圧した際に、本体支持部213と凹部613とが噛み合うことにより、十字キー6の必要以上の傾斜を規制することができる。従って、方向操作部5の操作性を向上することができるほか、スイッチ71が必要以上に押圧されることを防ぐことができる。
【0046】
〔付勢部材の構成〕
本体支持部213における十字キー6側への突出部分の周囲には、当該十字キー6とフロントケース21との間に、当該十字キー6を回路基板7に近接する方向に付勢する略環状の付勢部材8が設けられている。この付勢部材8は、弾性を有する樹脂により形成され、当該樹脂は、例えば、ポロン(登録商標)を挙げることができる。
この付勢部材8の厚さ寸法(フロントケース21の内面と十字キー6との間の寸法)は、当該十字キー6の傾き量(スイッチ71を突出部621が押圧していない状態から押圧した状態まで十字キー6が傾いた際の当該十字キー6の移動量)に応じて設定される。この付勢部材8の位置は、十字キー6の支点部615に対応しており、当該付勢部材8は、十字キー6の略中央を回路基板7に向かって付勢する。
【0047】
このような付勢部材8により、十字キー6が回路基板7から浮き上がることを防ぎ、当該回路基板7上に十字キー6を安定して配置することができる。また、また、キートップ611の押下によって十字キー6が傾斜した場合に、当該付勢部材8の付勢力により、当該十字キー6の傾斜を元に戻すことができる。更に、付勢部材8が樹脂により形成されていることにより、当該付勢部材8としてコイルばね等のばね部材を用いた場合に比べ、方向操作部5、ひいては、携帯端末1の薄型化を図ることができる。
【0048】
更に、付勢部材8が本体支持部213の突出部分の周縁を覆うように配置されていることにより、どのキートップ611が押下された場合でも、当該キートップ611とは反対側の位置に、十字キー6の傾斜に抗する付勢力を確実に作用させることができ、押下前の状態に十字キー6を確実に戻すことができる。また、付勢部材8が略環状に形成されていることにより、当該付勢部材8の本体支持部213に対する取付を容易に行うことができる。
【0049】
なお、本実施形態では、付勢部材8は樹脂により構成したが、これに限らず、コイルばねや板ばね等のばね部材により構成してもよい。また、略環状の付勢部材8を採用せずに、フロントケース21と十字キー6との間で、かつ、本体支持部213の中心から各キートップ611に向かう方向上にのみ、付勢部材をそれぞれ設ける構成としてもよい。このような場合、本体支持部213の周縁の全てにわたって付勢部材を配置する必要がないので、付勢部材の製造コストを低減することができる。
【0050】
〔方向操作部の動作〕
以下、方向操作部5の動作について説明する。
開口部212Aを介して筐体2外に露出した4つのキートップ611のいずれも押下されていない状態では、図2に示すように、回路基板7に当接する支点部615と、当該十字キー6とフロントケース21との間で、かつ、本体支持部213の周縁に配置された付勢部材8とにより、十字キー6は、当該回路基板7上に自立している。
【0051】
この状態で、4つのキートップ611のうち、少なくともいずれかが押下された場合(例えば、図3における左側のキートップ611が押下された場合)には、図3に示すように、支点部615を支点として、付勢部材8による付勢力に抗して、十字キー6は傾斜する。この際、支点部615は、十字キー6における回路基板7に近接する端部とは反対側の端部側に、僅かに移動する。
このように十字キー6が傾斜すると、押下されたキートップ611に応じた突出部621が、当該突出部621に応じたスイッチ71のドーム部75を押圧する。このドーム部75は、押圧力が所定の閾値を超えた時点で反転し、第3接点部74を第2接点部73に電気的に接触させる。これにより、第2接点部73と第1接点部72とが導通し、回路基板7が、前述の端末本体に、押下位置のスイッチ71が入力された旨の制御信号を出力する。
【0052】
そして、当該キートップ611の押下が解除される(キートップ611から指が離される)と、付勢部材8による付勢力、並びに、弾性部62及びドーム部75の復元力により、押し下げられた十字キー6の傾斜が元に戻り、図2に示した状態となる。
【0053】
ここで、弾性部62(特に突出部621)、付勢部材8及びスイッチ71(特にドーム部75)の剛性は、方向操作部5の操作性を向上する目的で、適宜設定されている。
具体的に、本実施形態では、弾性部62の剛性が最も高く、付勢部材8の剛性が最も低くなるように、それぞれ設定されている。これによれば、弾性部62(突出部621)の剛性が最も高いので、キートップ611の押下時に、スイッチ71のドーム部75を確実に押圧することができ、当該スイッチ71によりキートップ611の押下を確実に検出することができる。また、この際、当該ドーム部75の変形により、クリック感を生じさせることができる。更に、付勢部材8の剛性が最も低いので、当該付勢部材8の付勢力により、キートップ611押下時の十字キー6の傾斜が妨げられないようにすることができる。従って、方向操作部5、ひいては、携帯端末1の操作性を一層向上することができる。
【0054】
以上説明した本実施形態に係る携帯端末1によれば、以下の効果がある。
十字キー6を回路基板7に近接する方向に付勢する付勢部材8が、支点部615に対応する位置、すなわち、各キートップ611により囲まれる十字キー6の位置(十字キー6を平面視した際の略中央の位置)に応じて設けられるので、十字キー6に効率よく付勢力を作用させて、当該十字キー6を回路基板7上に適切に配置することができる。また、各キートップ611に応じた位置にそれぞれ接点ゴムを設けて、十字キー6をフロントケース21の内面に近接する側に付勢する構成に比べ、部品点数を削減することができるほか、方向操作部5ひいては携帯端末1の構成を簡略化することができる。更に、付勢部材8が、弾性を有する樹脂により形成されているので、コイルばね等を用いた場合に比べ、方向操作部5ひいては携帯端末1の薄型化を図ることができる。
【0055】
〔2.第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態に係る携帯端末は、前述の携帯端末1と同様の構成を備える。しかしながら、当該携帯端末1では、十字キー6の弾性部62はキートップ611に応じた形状を有していたのに対し、弾性部の形状が主に変更された点で、当該携帯端末と携帯端末1とは相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
図7及び図8は、本実施形態に係る携帯端末1Aが備える方向操作部5Aの構成を示す断面図である。このうち、図7は、方向操作部5Aを構成する十字キー9Aが押下されていない状態を示す図であり、図8は、十字キー9Aが押下された状態を示す図である。
本実施形態に係る携帯端末1Aは、図7及び図8に示すように、方向操作部5に代えて方向操作部5Aを備えるほかは、前述の携帯端末1と同様の構成を備えている。また、方向操作部5Aは、本発明の操作部に相当し、十字キー6に代えて十字キー9Aを備えるほかは、方向操作部5と同様の構成を備える。
【0057】
図9及び図10は、十字キー9Aを上方及び下方から見た斜視図である。
十字キー9Aは、十字キー6と同様に、開口部212Aを介して筐体2外に露出する複数のキートップ911を除いて当該筐体2内に収納され、キートップ911の押下に応じて傾斜して、回路基板7上のスイッチ71を押圧する。この十字キー9Aは、図9及び図10に示すように、略十字状のキー本体91(図9及び図10)と、弾性部92(図10)とを備えている。
【0058】
キー本体91は、前述のキートップ611と略同形状を有する複数(本実施形態では4つ)のキートップ911と、各キートップ911を接続する基部912とを備え、これらが一体的に形成されている。なお、本実施形態では、これらキートップ911と基部912とを、色のついた樹脂により一体成形することでキー本体91を形成しているが、基部912に各キートップ911を接着するなどして一体化してもよい。
これらキートップ911は、平面視略十字状の基部912の各頂点に応じた位置に配置されている。また、基部912の外縁には、前述の基部612と同様に、キートップ911の外側に延出し、かつ、当該基部912の外側に向かうに従って厚さ寸法が小さくなるテーパー状のフランジ部9121が形成されている。このフランジ部9121の上面は傾斜面9122であり、当該傾斜面9122は、外側に向かうに従って下方に近接するように傾斜している。
【0059】
更に、基部912は、凹部913(図9)、肉厚部914、支点部915及び凹部916(それぞれ図10)を備える。
凹部913は、図9に示すように、各キートップ911により囲まれる基部912の略中央に、平面視略円形状に形成されている。この凹部913内には、前述の本体支持部213が挿入される。
【0060】
肉厚部914は、図10に示すように、基部912の底面側(キートップ911が位置する側とは反対側)の略中央に形成されている。換言すると、当該肉厚部914は、各キートップ911により囲まれる領域に応じて形成されている。この肉厚部914は、底面9141側から見て略円形状に形成され、回路基板7に対向する面が略平坦に形成されている。また、この肉厚部914には、十字キー9における前述の8方向のうちの斜方である4方向(基部912の中央から、隣接するキートップ911の間に向かう方向)に沿って延出し、底面9141と基部912の底面とを接続する4つの架橋部9142が形成されている。このような肉厚部914により、支点部915の周囲が補強される。
【0061】
支点部915は、肉厚部914の略中央、すなわち、基部912の底面側において凹部913に対応した位置に、下方(回路基板7に対向する側)に向かって膨出する略円錐形状に形成され、当該支点部915の先端部分は回路基板7に当接する。このような支点部915は、当該支点部915から各キートップ911に向かう方向、及び、これら各方向の間の方向に沿って形成される複数の架橋部9151を有している。これら架橋部9151の延出方向は、十字キー9Aにより操作可能な前述の8方向に対応している。
凹部916は、基部912の底面側におけるキートップ911に応じた位置にそれぞれ形成されている。詳述すると、各凹部916は、キートップ911の略中央から外側に僅かにずれた位置に中心を有する平面視略円形状に形成されている。これら各凹部916には、弾性部92に接着等により取り付けられる。
【0062】
各弾性部92は、本発明の弾性体に相当し、弾性材料(例えば、シリコンゴム)により形成されている。これら弾性部92は、図8に示すように、凹部916に応じた寸法で、平面視略円形状に形成されている。すなわち、前述の弾性部62は、キートップ911の寸法及び形状に応じて形成されていたのに対し、弾性部92は、多角形状のキートップ911の寸法より小さく形成されている。そして、これら弾性部92は、前述の肉厚部914における回路基板7に対向する部位(底面9141)の平面位置よりキートップ911側に取り付けられている。
【0063】
このような弾性部92は、回路基板7に対向する面の略中央から突出する略円筒状の突出部921をそれぞれ有する。これら突出部921は、各キートップ911の中心より外側に位置し、十字キー9Aが押下された際には、ドーム部75の略中央を押圧する位置に配置されている。これら突出部921における突出方向先端部の位置、すなわち、スイッチ71を押圧する先端部の位置は、肉厚部914における回路基板7に対向する部位(底面9141)の平面位置よりキートップ911側に位置している。
【0064】
〔方向操作部の動作〕
以下、図7及び図8を参照して、方向操作部5Aの動作について説明する。
キートップ911が押下されていない場合では、図7に示すように、凹部913に挿入される本体支持部213の周縁に設けられた付勢部材8の付勢力により、支点部915が回路基板7に当接した状態で、十字キー9Aは、当該回路基板7上で自立する。
この状態で、少なくともいずれかのキートップ911(例えば、図7及び図8における左側のキートップ911)が押下されると、十字キー9Aは、図8に示すように、支点部915を支点として、付勢部材8による付勢力に抗しつつ押下方向に回動する。
【0065】
この十字キー9Aの回動に伴い、押下されたキートップ911に応じた突出部921が、下方に位置するドーム部75を押圧する。これにより、回路基板7が、押下位置のスイッチ71が入力された旨の制御信号を出力する。
一方、キートップ911に対する押下が解除されると、付勢部材8による付勢力、並びに、弾性部92及びドーム部75の復元力により、図7に示した状態に十字キー6が復帰する。
【0066】
ここで、弾性部92、付勢部材8及びドーム部75の剛性は、前述の方向操作部5と同様に、方向操作部5Aの操作性を向上する目的で、適宜設定されている。
具体的に、弾性部92の剛性が最も高く、付勢部材8の剛性が最も低くなるように、それぞれ設定されている。これにより、剛性が最も高い弾性部92(特に突出部921)により、ドーム部75を確実に押圧することができるほか、ドーム部75の変形により、クリック感を生じさせることができる。また、付勢部材8の剛性が最も低いので、当該付勢部材8の付勢力により、十字キー9Aの傾斜が妨げられることを防ぐことができるほか、当該十字キー9Aを傾斜状態から押圧前の状態に確実に復帰させることができる。従って、方向操作部5A、ひいては、携帯端末1の操作性を一層向上することができる。
以上説明した本実施形態に係る携帯端末1Aによれば、前述の携帯端末1と同様の効果を奏することができる。
【0067】
〔3.第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態に係る携帯端末は、前述の携帯端末1Aと同様の構成を備える。しかしながら、当該携帯端末1Aでは、本体支持部213の周縁に配置される付勢部材8により十字キー9Aを付勢する構成であった。これに対し、本実施形態に係る携帯端末では、十字キーの外縁に応じて配置される付勢部材により当該十字キーを付勢する。この点で、当該携帯端末と携帯端末1Aとは相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
図11及び図12は、本実施形態に係る携帯端末1Bが備える方向操作部5Bの構成を示す断面図である。このうち、図11は、十字キー9Bが押下されていない状態を示す図であり、図12は、十字キー9Bが押下された状態を示す図である。
本実施形態に係る携帯端末1Bは、方向操作部5Aに代えて方向操作部5Bを備えるほかは、携帯端末1Aと同様の構成を備える。この方向操作部5Bは、本発明の操作部に相当し、図11及び図12に示すように、十字キー9B、回路基板7及び付勢部材8Bを備える。
このうち、十字キー9Bは、フランジ部9121より更に外側に延出したフランジ部9123を備えるほかは、十字キー9Aと同様の構成を備えている。
【0069】
また、付勢部材8Bは、付勢部材8と同素材により形成され、十字キー9Bを回路基板7に向かって付勢する。この付勢部材8Bは、フランジ部9123に対向するように、開口部212Aの端縁にそれぞれ取り付けられる。
具体的に、付勢部材8Bは、十字キー9Bにおける押下可能な位置に応じて、当該十字キー9Bの中央を中心とする点対象にそれぞれ設けられている。すなわち、付勢部材8Bは、十字キー9Bの中心から各キートップ911に向かう直線上に位置するフランジ部9123の領域、及び、当該中心から各キートップ911の中間を通る直線上に位置するフランジ部9123の領域に対向するように配置される。
【0070】
このため、付勢部材8Bは、それぞれのキートップ911が単独で押下された場合におけるキー本体91の中心から当該キートップ911に向かう4方向、及び、隣接する2つのキートップ911が同時に押下された場合におけるキー本体91の中心から押下位置に向かう4方向の計8方向上に、それぞれ位置されている。なお、フランジ部9123が形成された全て領域に応じて、付勢部材8Bを設けてもよく、或いは、いずれかの4方向上に設けてもよい。
【0071】
このような方向操作部5Bにおいて、いずれのキートップ911も押下されていない場合では、図11に示すように、回路基板7に支点部915が当接した状態で、フランジ部9123の上面に当接する付勢部材8Bの付勢力により、十字キー9Bは、回路基板7上で自立する。
この状態で、少なくともいずれかのキートップ911(例えば、図11及び図12における左側のキートップ911)が押下されると、十字キー9Bは、図12に示すように、押下位置とは反対側の付勢部材8Bの付勢力に抗しつつ、支点部915を支点として押下方向に回動する。この際、押下されたキートップ911に応じた突出部921が、スイッチ71を押圧し、回路基板7が、当該キートップ911の押下を検出する。
【0072】
この後、キートップ911に対する押下を解除すると、スイッチ71(ドーム部75)及び弾性部92の復元力、並びに、押下位置とは反対側の付勢部材8Bの付勢力により、十字キー9Bは、押下前の状態(図11に示した状態)に戻る。
以上説明した本実施形態に係る携帯端末1Bによれば、前述の携帯端末1,1Aと同様の効果を奏することができる。
【0073】
なお、携帯端末1Bでは、キートップ911を露出させる開口部212Aは、当該キートップ911のそれぞれに応じてフロントケース21に形成されているが、1つの開口部により、各キートップ911を露出させる構成としてもよい。
【0074】
図13及び図14は、本実施形態に係る携帯端末1Bの変形である携帯端末1C,1Dをそれぞれ示す図である。
以下、携帯端末1Bの変形である携帯端末1C,1Dについて説明する。
携帯端末1Cは、図13に示すように、フロントケース21及び方向操作部5Bに代えてフロントケース21C及び方向操作部5Cを備えるほかは、携帯端末1Bと同様の構成を備える。また、方向操作部5Cは、十字キー9Bに代えて十字キー9Cを備えるほかは、方向操作部5Bと同様の構成を備える。
【0075】
フロントケース21Cは、フロントケース21と同様に、4つのキートップ911をそれぞれ露出させる4つの開口部212Aを有する。しかしながら、露出された各キートップ911により囲まれる部位に、本体支持部213は設けられていない。
また、十字キー9Cは、十字キー9Bと同様の構成を備えるが、当該十字キー9Bの略中央に形成されていた凹部913は形成されていない。
【0076】
携帯端末1Dは、図14に示すように、フロントケース21に代えてフロントケース21Dを備えるほかは、携帯端末1Cと同様の構成を備える。
フロントケース21Dは、フロントケース21と同様の構成を備えている。しかしながら、フロントケース21Dは、各開口部212Aに代えて、十字キー9Cの全てのキートップ911を露出させる1つの開口部212Dを有し、これに伴って、当該フロントケース21Dは、各キートップ911により囲まれる部位、及び、当該部位に設けられる本体支持部213を備えていない。
【0077】
このような開口部212D内には各キートップ911が位置し、当該開口部212Dの端縁は略十字状に形成されている。すなわち、各キートップ911及び当該各キートップ911により囲まれる基部912の中央部分が、開口部212Dを介して、筐体2の外部に露出する。このような開口部212Dの端縁で、かつ、フロントケース21Dの内面には、対向されるフランジ部9123に当接する前述の付勢部材8Bが設けられている。
【0078】
このような携帯端末1C,1Dにおいても、携帯端末1Bと同様の効果がある。
なお、開口部212D及び十字キー9Cは、平面視略十字状に形成されていたが、これに限らず、当該開口部及び十字キーを平面視略円形状に形成してもよい。この場合、当該十字キーの端縁に沿って略円形状に形成されるフランジ部に対向するように、付勢部材を開口部の端縁に設ける構成としてもよい。この場合においても、付勢部材は略円形状に限らず、前述の8方向上の位置の少なくともいずれか(好ましくは、少なくとも前述の4方向上)に配置されていれば、十字キーに好適に付勢力を作用させることができる。
【0079】
〔4.第4実施形態〕
以下、本発明の第4実施形態について説明する。
本実施形態に係る携帯端末は、前述の携帯端末1Aと同様の構成を備える。この携帯端末1Aは、フロントケース21と十字キー9Aとの間に配置され、かつ、当該十字キー9Aを回路基板7に向かって付勢する付勢部材8を備える構成であった。これに対し、本実施形態に係る携帯端末は、十字キーと回路基板との間に配置され、かつ、当該十字キーをフロントケースに向かって付勢する付勢部材を備える。この点で、当該携帯端末と携帯端末1Aとは相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0080】
図15は、本実施形態に係る携帯端末1Eが備える方向操作部5Eの構成を示す断面図である。換言すると、図15は、方向操作部5Eを構成する十字キー9Aが押下されていない状態を示す断面図である。
本実施形態に係る携帯端末1Eは、図15に示すように、フロントケース21及び方向操作部5Aに代えて、フロントケース21E及び方向操作部5Eを備えるほかは、前述の携帯端末1Aと同様の構成及び機能を有する。
【0081】
フロントケース21Eは、本体支持部213に代えて、本体支持部213Eを備えるほかは、フロントケース21と同様の構成を有する。
本体支持部213Eは、本体支持部213と同様に、フロントケース21Eにおける4つの開口部212Aにより囲まれる領域21E1に、回路基板7に向かって突出する略円筒状に形成されている。この本体支持部213Eの先端部は、フロントケース21Eの下面21E2(領域21E1を除く下面21E2)と略同じ位置となる。このため、当該先端部と下面21E2とは、略面一となる。このような本体支持部213Eは、十字キー9Aの凹部913内に挿入される。
【0082】
図16は、回路基板7上に配置された付勢部材8Eを示す平面図である。
方向操作部5Eは、本発明の操作部に相当し、回路基板7、付勢部材8E及び十字キー9Aを備える。
このうち、付勢部材8Eは、図16に示すように、付勢部材8と同素材により環状に形成され、回路基板7上に取り付けられている。詳述すると、付勢部材8Eは、回路基板7において4つのスイッチ71により囲まれた領域内に、当該領域の中心と付勢部材8Eの中心とが一致するように取り付けられる。この付勢部材8Eの中心は、当該付勢部材8E上に配置される十字キー9Aの中心である支点部915の位置と略一致する。このような付勢部材8Eは、架橋部9142,9151と当接して、十字キー9Aをフロントケース21Eに向かって付勢する。
【0083】
具体的に、十字キー9Aが押下されていない状態(非押下状態)では、図15に示すように、当該十字キー9Aは、付勢部材8Eによりフロントケース21Eに向かって付勢される。この際、本体支持部213Eは凹部913内に挿入され、当該本体支持部213Eを除く領域21E1の下面と、凹部913の端縁とは当接する。また、この状態では、フランジ部9121の傾斜面9122(図7参照)と傾斜部212Bとは当接しているが、支点部915と、回路基板7とは離間している。
【0084】
ここで、4つのキートップ911のいずれかが押下された場合、十字キー9Aは、付勢部材8Eの付勢力に抗して回路基板7に近接する方向に移動して、支点部915が回路基板7に当接する。そして、十字キー9Aは、当該支点部915を支点として押下された側に傾斜して、突出部921がドーム部75を押圧する。これにより、十字キー9Aの入力が検出される。
【0085】
キートップ911から指が離れると、付勢部材8Eにおける当該キートップ911に対応する領域の復元力により、十字キー9Aにおける当該キートップ911側がフロントケース21E側に付勢される。これにより、十字キー9Aは、図15に示した非押下状態に復帰する。なお、隣接する2つのキートップ911が押下された場合も同様である。
以上説明した本実施形態の携帯端末1Eによれば、前述の携帯端末1Aと同様の効果を奏することができるほか、付勢部材8と比べて大きな付勢部材8Eが採用されているので、十字キー9Aが非押下状態に復帰する付勢力を、当該十字キー9Aに確実に作用させることができる。
【0086】
〔5.実施形態の変形〕
本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記各実施形態では、筐体2及び方向操作部5,5A〜5C,5Eを備える操作装置として、ゲーム機として構成された携帯端末1,1A〜1Eを挙げたが、本発明はこれに限らず、PDA(Personal Digital Assistant)やノート型PC(Personal Computer)等の他の携帯端末として構成することもできる。また、コンピュータ等の電子機器と有線又は無線で接続され、操作信号を出力するコントローラに、本発明を適用することも可能である。
【0087】
前記第1実施形態では、4つのキートップ611が基部612により一体化されたキー本体61と、弾性部62とが一体成形された十字キー6を挙げ、前記第2〜第4実施形態では、基部912に弾性部92が取り付けられた十字キー9Aを挙げたが、本発明はこれに限らない。例えば、弾性部62に相当する部材をキー本体61に貼付するなどして、これらを一体的に設けた十字キーを採用してもよく、また、基部912と弾性部92とが一体成形された十字キーを採用してもよい。更には、弾性部62,92がない十字キーを採用してもよい。
【0088】
前記各実施形態では、キートップ611,911の数は、4つとしたが、これに限らず、2つ以上であればよい。このような場合、筐体に形成され、当該キートップを露出させる開口部は、各キートップの位置及び数に応じて形成されていてもよく、前述の携帯端末1Dのように、各キートップを露出させる1つの開口部としてもよい。
【0089】
前記各実施形態では、弾性部62,92は、回路基板7に向かって突出し、当該回路基板7に配設されたスイッチ71を押圧する突出部621,921を備えるとしたが、本発明はこれに限らず、突出部621,921は無くてもよい。また、突出部621,921の形状も、略円筒状に限らず、スイッチ71のドーム部75を点で押圧する形状であればよい。
【0090】
前記各実施形態では、支点部615,915は、基部612,912における略中央に形成されるとしたが、本発明はこれに限らず、当該中央の位置からずれていてもよい。例えば、略矩形状の基部において中心を挟んで対向する一対の頂点に応じて一対のキートップ(上下或いは左右の入力操作を行うための一対のキートップ)が配置されている場合には、当該一対の頂点を結ぶ直線に直交する直線上に、複数の支点部があってもよい。
【0091】
前記各実施形態では、支点部615,915の周囲には、肉厚部614,914が形成されるとしたが、本発明はこれに限らず、十字キー6,9(特に基部612,912)の十分な強度を確保することが可能であれば、肉厚部614,914は無くてもよい。また、当該肉厚部614,914の形状も、平面視略円形状に限らず、平面視矩形状等の他の形状であってもよい。更に、支点部915は、架橋部9151が無くてもよい。
【0092】
前記各実施形態では、突出部621,921におけるスイッチ71を押圧する先端部の位置は、肉厚部614,914における回路基板7に対向する部位よりキートップ611,911側に位置するとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、十字キー6,9A〜9Cのストローク量及び操作感等を考慮して、適宜設定してよい。
【0093】
前記第1及び第2実施形態では、フロントケース21の内面と、キー本体61の支点部615に応じた位置との間に、付勢部材8が設けられるとし、また、前記第3実施形態では、フロントケース21,21Cの内面と、フランジ部9123との間に、付勢部材8Bが設けられるとし、更に、前記第4実施形態では、十字キー9Aと回路基板7との間に、付勢部材8Eが設けられるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、十字キー6,9A〜9Cが傾斜状態から非押下状態に復帰することが可能であれば、付勢部材8は無くてもよい。更に、付勢部材の位置は、フロントケースと、十字キーの中央との間でなくともよく、例えば、付勢部材8B,8Eのように、フロントケースと十字キーの周縁との間であってもよい。
【0094】
前記第1〜第4実施形態では、キー本体61,91は、フロントケース21に対向する面側で、かつ、支点部615,915に応じた位置に凹部613,913を有し、フロントケース21は、当該凹部613,913の内面と係合し、これにより十字キー6,9A,9Bを支持する本体支持部213,213Eを有するとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、携帯端末1Cのように、本体支持部及び凹部は無くてもよい。この際、フロントケースと十字キーとの間に配置される付勢部材が、これらに接着される構成とすれば、十字キーの平面位置のずれが抑制される。
【0095】
前記第1及び第2実施形態では、付勢部材8は、本体支持部213を囲む環状に形成されるとしたが、本発明はこれに限らず、付勢部材の形状は、他の形状でもよい。例えば、本体支持部213の周囲に複数の付勢部材を配置する構成としてもよい。この場合、本体支持部213の周囲において、各キートップ611,911の位置(例えば、当該キートップ611,911に近接する位置)及び数に応じて、付勢部材をそれぞれ配置するようにしてもよい。例えば、前述の十字キー6,9Aであれば、4つ、或いは、8つの付勢部材が配置される構成としてもよい。
【0096】
また、本体支持部213がない場合には、開口部212Aにより囲まれたフロントケース21の内面に、各キートップ611により囲まれた十字キー6の中央を回路基板7側に付勢するように、付勢部材を設ける構成としてもよい。更に、十字キー6側に当該内面に近接する方向に突出する突出部を設け、フロントケース21側に当該突出部と係合する凹部を形成し、十字キー6とフロントケース21の内面との間に介装されるように、当該突出部の周囲に付勢部材を設ける構成としてもよい。
また、付勢部材8Bの位置及び形状も、前述のように、適宜設定可能である。加えて、付勢部材8,8B,8Eを組み合わせて、携帯端末1,1A〜1Eに設けてもよい。
同様に、付勢部材8Eは、支点部915を囲む環状に形成されるとしたが、これに限らず、形状、数及び配置位置は、適宜設定してよく、例えば、架橋部9142,9151に応じた位置に、付勢部材を設ける構成としてもよい。
【0097】
前記各実施形態では、弾性部62,92(特に突出部621,921)、付勢部材8,8B,8E及びスイッチ71(特にドーム部75)のうち、弾性部62,92の剛性が最も高く、付勢部材8,8B,8Eの剛性が最も低くなるように、それぞれの剛性が設定されているとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、これらの剛性は、方向操作部5,5A〜5C,5Eの操作性を考慮して、適宜設定可能である。
【0098】
前記第1実施形態では、弾性部62は、キートップ611の形状及び寸法に応じて形成されるとし、また、前記第2〜第4実施形態では、弾性部92は、略円形状に形成されるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、弾性部は、キートップ611,911の位置に応じて形成され、かつ、キートップ611,911と、当該キートップ611,911に応じた配設されるスイッチ71との間に介装されていればよい。例えば、キー本体61におけるスイッチ71に対応する位置に、弾性部62,92に代えて、突出部621,921と同様の材料及び形状の弾性部材を取り付ける構成としてもよい。
【0099】
前記第1実施形態では、キー本体61は、アクリル樹脂等の透明な樹脂により形成されるとしたが、本発明はこれに限らず、例えば、キー本体91のように、色のついた樹脂など、他の材料により形成されていてもよい。この場合、キートップ611の上面(使用者の指に対向する面)に印刷したり、当該上面を加工(彫刻)したり、或いは、異なる樹脂を用いた二色成形により形成されたキートップの一方の樹脂を露出させたりすることで、当該上面に図柄等を表示すればよい。すなわち、十字キーの色及び材質は、適宜設定可能である。例えば、方向を示す三角形の記号をキートップに表記する場合には、略三角柱状の樹脂(例えば、高摺動ABS)を内部に埋め込むようにして、二色成形により十字キーを形成することにより、当該記号を上方から視認することができる。また、このように形成することにより、入力操作及び経年変化等により、当該記号が消えてしまうことを防ぐことができる。
【0100】
前記各実施形態では、検出部としてのスイッチ71は、内面に第3接点部74が形成され、突出部621,921による押圧に応じて変形して、第1接点部72と第2接点部73とを電気的に接続するドーム部75を備える構成としたが、本発明はこれに限らない。すなわち、ドーム部75は無くてもよい。また、金属に限らず、エンボス加工等による樹脂のドーム部であってもよい。また、回路基板7上に第1接点部72及び第2接点部73が形成されるとしたが、所定の間隔を隔てて互いに対向するように配置された第1接点部及び第2接点部を備えるスイッチとしてもよい。すなわち、検出部の構成は、タッチスイッチ等、他の構成でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、コントローラ等の操作装置に利用することができるほか、携帯端末にも好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0102】
1,1A〜1E…携帯端末(操作装置)、2…筐体、5,5A〜5C,5E…方向操作部(操作部)、7…回路基板、8,8B,8E…付勢部材、61,91…キー本体、62,92…弾性部(弾性体)、71…スイッチ(検出部)、212A,212D…開口部、213,213E…本体支持部,611,911…キートップ、613,913…凹部、614,914…肉厚部、615,915…支点部、9123…フランジ部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力操作が行われる操作部が設けられた筐体を備える操作装置及び携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上下左右にそれぞれ入力可能な方向キーを備える電子機器が知られている。このような電子機器として、ゲーム機等の携帯端末や、据置型のゲーム機及びPC(Personal Computer)等に接続されるコントローラを挙げることができる。このようなコントローラとして、上ハーフ及び下ハーフにより構成されるハウジング本体に設けられ、当該ハウジング本体内の回路基板に配設された一対の接点を押圧するキートップ本体を備えたゲーム機用コントローラが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のゲーム機用コントローラでは、キートップ本体は、ハウジング本体の外部に露出する複数のキートップが一体的に形成された構成を有している。そして、キートップが押下されると、キートップ本体と回路基板との間に介装された弾性体(接点ゴム)の脚部が座屈される。当該脚部が座屈されると、脚部の内側に設けられた押圧部が可動接点部を押圧する。そして、可動接点部と、回路基板上の固定接点部とが電気的に接触すると、当該回路基板によりキー入力が検出される。このような弾性体の座屈時にクリック感が生じ、使用者はキー入力を実感できるので、このような弾性体を設けることで、コントローラの操作性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,853,326号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に記載のゲーム機用コントローラでは、上ハーフの開口部端縁にキートップ本体の基部が当接し、また、上ハーフのキートップ中央支持部にキートップ本体の凹部が当接するように、弾性体が当該キートップ本体を回路基板から離間する方向に付勢することで、ハウジング本体内にキートップ本体が維持されている。しかしながら、このような構成では、キートップの押下に応じて脚部が座屈される弾性体を各接点部に応じてそれぞれ設ける必要があり、コントローラの厚さ寸法が大きくなるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、薄型化を図ることができる操作装置及び携帯端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するために、本発明の操作装置は、入力操作が行われる操作部が設けられた筐体を備える操作装置であって、前記操作部は、前記筐体が有する開口部を介して当該筐体外に露出する複数のキートップ、及び、当該複数のキートップを前記筐体内で接続する基部を有するキー本体と、前記複数のキートップに対応する位置にそれぞれ配設され、前記キートップの入力を検出する複数の検出部を有する回路基板とを備え、前記基部は、前記複数のキートップにより囲まれる位置に、前記回路基板に近接する方向に突出し、かつ、当該回路基板に当接して、前記キートップの押下時に前記キー本体の傾斜に対する支点となる支点部を有し、前記筐体と、前記キー本体との間には、当該キー本体を前記回路基板側に付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、キー本体を回路基板側に付勢して、当該キー本体を安定化する付勢部材が、筐体とキー本体との間に設けられるので、キー本体が回路基板から浮き上がることを防ぐことができ、当該回路基板上にキー本体を適切に配置することができる。この際、付勢部材として、弾性を有する平板状の樹脂等を用いることができるので、各キートップに応じた位置にそれぞれ弾性体(接点ゴム)を設ける前述の構成や、コイルばね等のばね部材を用いた場合に比べ、操作部の薄型化を図ることができる。従って、キー本体を安定して回路基板上に位置させることができるほか、当該操作装置の薄型化を図ることができる。
【0009】
本発明では、前記キー本体は、前記支点部が形成される面とは反対側の面における当該支点部に応じた位置に凹部を有し、前記筐体は、前記凹部に応じた位置に形成され、当該凹部内に収納されて前記キー本体を支持する本体支持部を有することが好ましい。
本発明によれば、キー本体において支点部に応じた位置に形成された凹部に、筐体の本体支持部が係合することにより、キー本体の位置ずれを防止できる。従って、キートップが押下された場合でも、当該キー本体を一層安定して回路基板上に位置させることができる。
【0010】
本発明では、前記本体支持部と前記凹部の内面との間には、前記キー本体の変位量に応じた隙間が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、本体支持部と凹部の内面との間に、隙間が形成されていることにより、キートップの押下時にキー本体が傾斜することが妨げられることがないので、当該キー本体の傾斜を容易に行うことができる。また、当該隙間は、キー本体の変位量、すなわち、傾斜量に応じて設定されているので、本体支持部と凹部とが噛み合うことにより、キー本体の必要以上の傾斜を規制することができ、操作部の操作性を向上することができるほか、検出部が必要以上に押圧されることを防ぐことができる。
【0011】
本発明では、前記付勢部材は、前記筐体と、前記キー本体における前記複数のキートップにより囲まれる位置との間に設けられていることが好ましい。すなわち、筐体が前述の本体支持部を備える場合には、前記付勢部材は、前記本体支持部の周囲に設けられていることが好ましい。詳述すると、前記付勢部材は、前記本体支持部の周囲において、当該本体支持部の中心から前記複数のキートップの少なくともいずれかに向かう方向上に設けられていることが好ましい。
【0012】
このような付勢部材として、平面視略円形状、或いは、略環状の付勢部材を例示することができる。
本発明によれば、キートップが押下されてキー本体が傾斜した場合に、当該キートップとは反対側の位置に作用する付勢部材の付勢力により、当該キー本体の傾斜を確実に元に戻すことができる。また、筐体が前述の本体支持部を備え、付勢部材が、当該本体支持部の中心から各キートップに向かう方向上にのみ設けられていれば、付勢部材を本体支持部の周囲全てにわたって配置する必要がないので、付勢部材の製造コストを低減することができる。一方、略環状の付勢部材を採用すれば、当該付勢部材の本体支持部に対する取付を容易に行うことができる。
【0013】
或いは、本発明では、前記キー本体は、前記キートップの外側に延出し、前記筐体における前記開口部の端縁に対向するフランジ部を備え、前記付勢部材は、前記筐体と前記フランジ部との間に設けられていることが好ましい。
本発明によれば、付勢部材の配置位置とは支点部を挟んで反対側に位置するキートップが押下され、当該支点部を支点としてキー本体が傾斜した場合に、付勢部材の付勢力により、当該キー本体を傾斜前の状態に確実に復帰させることができる。この際、付勢部材は、キー本体が有するフランジ部と、筐体との間に設けられるので、キー本体の傾斜に伴って、付勢部材の付勢力をフランジ部、ひいては、キー本体に確実に作用させることができる。従って、付勢部材の付勢力を確実に作用させることができ、キー本体を傾斜前の状態に確実に復帰させることができる。
【0014】
本発明では、前記基部は、前記支点部の周囲に肉厚部を有することが好ましい。
本発明によれば、支点部周辺に肉厚部が形成されているので、キートップの押下によりキー本体が傾斜する際に、支点部周辺にかかる荷重に対する強度を確保することができる。また、これにより、強度確保のために基部全体を厚く形成する必要がないので、基部、ひいては、キー本体の薄型化を一層促進することができる。従って、キー本体の強度の向上、及び、操作装置の薄型化を図ることができる。なお、肉厚部が、支点部を囲むように環状に形成されていれば、どのキートップが押下された場合でも対応できるので、より好適である。
【0015】
本発明では、前記キー本体における前記筐体外に露出する側とは反対側で、かつ、前記キートップに対応する位置には、平板状の弾性体が、前記キー本体と一体的に設けられることが好ましい。
本発明によれば、弾性体がキー本体におけるキートップに応じた位置に当該キー本体と一体的に設けられていることにより、キートップの押下時に当該弾性体が弾性変位することで、柔らかな打感を得ることができる。また、当該弾性変位が解消することで、キー本体の傾斜が解消するので、前述の付勢部材とともに、押下される前の状態に当該キー本体を適切に戻すことができる。
【0016】
また、本発明の携帯端末は、前述の操作装置を備えることを特徴とする。
本発明によれば、前述の操作装置と同様の効果を奏することができる。また、このような操作装置を備えることにより、携帯端末の構成の簡略化を図ることができ、当該携帯端末の製造工程を簡略化することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、操作装置、ひいては、携帯端末の薄型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る携帯端末を示す斜視図。
【図2】前記実施形態における方向操作部の構成を示す断面図。
【図3】前記実施形態における方向操作部の構成を示す断面図。
【図4】前記実施形態における十字キーを上方から見た斜視図。
【図5】前記実施形態における十字キーを下方から見た斜視図。
【図6】前記実施形態におけるスイッチの構成を示す断面図。
【図7】本発明の第2実施形態に係る携帯端末の方向操作部を示す断面図
【図8】前記実施形態における方向操作部の構成を示す断面図。
【図9】前記実施形態における十字キーを上方から見た斜視図。
【図10】前記実施形態における十字キーを下方から見た斜視図。
【図11】本発明の第3実施形態に係る携帯端末の方向操作部を示す断面図。
【図12】前記実施形態における携帯端末の方向操作部を示す断面図。
【図13】前記実施形態の変形である携帯端末の方向操作部を示す断面図。
【図14】前記実施形態の変形である携帯端末の方向操作部を示す断面図。
【図15】本発明の第4実施形態に係る携帯端末の方向操作部を示す断面図。
【図16】前記実施形態における付勢部材を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔1.第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔携帯端末の全体構成〕
図1は、本実施形態に係る携帯端末1を正面側から見た斜視図である。
携帯端末1は、使用者の入力操作に応じて、ディスク及びメモリに記録されたプログラム及びデータを読み出して、ゲームの実行、或いは、映像及び音声の再生を行うものであり、本発明の操作装置及び携帯端末に相当する。
この携帯端末1は、図1に示すように、扁平横長矩形状で、両端部が円弧状に形成された筐体2と、当該筐体2内に収納され、後述する液晶パネル31、十字キー6及び回路基板7(図2及び図3参照)等を備える端末本体とを備えている。
【0020】
〔筐体の構成〕
筐体2は、使用者が携帯端末1を保持した際に、正面側(使用者に対向する側)に位置するフロントケース21と、当該フロントケース21の背面側にねじ固定されるリアケース22とを備えている。
このうち、フロントケース21の正面側略中央には、当該フロントケース21の透光領域211を介して観察される横長矩形状の液晶パネル31が配置されている。また、フロントケース21において当該液晶パネル31を挟む左右両側、及び、液晶パネル31の下側には、各種キーを露出させる複数の開口部212が形成されている。このうち、フロントケース21の左側には、仮想の略正方形の頂点に応じた位置に、後述する方向操作部5を構成する4つのキートップ611の形状及び寸法に応じて形成された4つの開口部212Aが形成されている。また、図1においては図示を省略するが、当該4つの開口部212Aにより囲まれた領域における内面側に、当該キートップ611を有するキー本体61を支持する本体支持部213(図2及び図3参照)が形成されている。
【0021】
液晶パネル31の左側(図1における左側)には、方向操作部5が設けられている。この方向操作部5を構成する十字キー6は、詳しくは後述するが、仮想の略正方形の頂点に応じた位置にそれぞれキートップ611を有し、当該キートップ611は、前述の開口部212Aを介して、筐体2外に露出する。なお、方向操作部5の構成については、後に詳述する。
【0022】
また、十字キー6の下側(同下側)には、フロントケース21に沿って摺動自在な方向キー32が配設されており、また、液晶パネル31の右側(同右側)には、4つの決定キー33及び電源キー(図示省略)が設けられている。
液晶パネル31の下側には、それぞれ所定の機能を端末本体に実行させるキー34〜39が配置されている。また、筐体2の四隅部分は内側に切り欠かれており、上側左右隅部には決定キー40(左側の決定キーを40Lとし、右側の決定キーを40Rとする)が設けられている。
【0023】
筐体2の上面略中央には、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠したminiB端子を挿抜可能な接続端子41が設けられており、この接続端子41を挟むように、開口を介して電極が露出した電力供給端子42が設けられている。
また、当該上面左側には、他の外部機器と赤外線通信を行う受光窓43が設けられ、右側には、リアケース22の背面側に設けられた蓋部材23の開放を規制するロックスライダ44が設けられている。このロックスライダ44を摺動させると、蓋部材23の開放規制が解除され、当該蓋部材23を開けて筐体2内にディスク(図示省略)を収納することができる。
【0024】
〔方向操作部の構成〕
図2及び図3は、方向操作部5の構成を示す断面図である。なお、図2及び図3においては、当該各図の断面に対する奥行き方向に位置するスイッチ71の図示を省略する。
方向操作部5は、本発明の操作部に相当し、図2及び図3に示すように、複数のキートップ611を有する十字キー6と、各キートップ611に応じて配設された複数のスイッチ71を有する回路基板7とを備える。そして、図2に示す状態から、使用者によってキートップ611(図2における左側のキートップ611)が押下され、図3に示すように、当該キートップ611の位置に応じて設けられたスイッチ71が押圧されると、回路基板7が、当該スイッチ71が入力されたことを示す制御信号を端末本体に出力する。
【0025】
〔十字キーの構成〕
図4及び図5は、十字キー6をそれぞれ上方及び下方から見た斜視図である。
十字キー6は、上下左右及び斜方の8方向にそれぞれ入力可能なキーであり、後述する回路基板7上に設けられ、当該回路基板7上に配設されたスイッチ71を押圧する。
この十字キー6は、図4及び図5に示すように、全体略十字形状を有し、平面視した際に、当該十字キー6の中央を通る直線を中心とした線対称構造を有している。このような十字キー6は、上下左右の各方向に応じた4つのキートップ611、及び、当該各キートップ611を接続して一体化する基部612を有するキー本体61と、各キートップ611に応じてキー本体61の底面側に設けられる弾性部62とが二色成形により一体的に形成されている。
【0026】
キー本体61は、透明樹脂(例えば、アクリル樹脂)により形成されており、基部612は、平面視略十字形状を有している。
基部612における4つの端部の正面側(フロントケース21に対向する側)には、図4に示すように、キートップ611が面外方向に突出するようにそれぞれ形成されている。これらキートップ611は、平面視した際に、それぞれ多角形状(具体的には、五角形状)を有している。
【0027】
詳述すると、キートップ611は、略四角形状と略三角形状とを組み合わせた形状を有している。すなわち、当該キートップ611は、略四角形状の端縁を形成する略平行な二辺と、当該略平行な二辺の一方の端部間を接続するように設けられる略三角形状の二辺と、当該略平行な二辺の他方の端部間を接続する略円弧状の一辺とにより端縁が形成される外形形状を有している。このため、各キートップ611の間であり、キー本体61の中央には、平面視略十字状の溝が形成される。この溝の略中央には、平面視略円形状の凹部613が形成されている。
【0028】
基部612の周縁には、各キートップ611の外側に向かって延出し、4つの開口部212Aの外側に位置するフランジ部6121が形成されており、当該フランジ部6121により、十字キー6は、筐体2外への飛び出しが規制される。このようなフランジ部6121におけるフロントケース21に対向する面は、当該基部612の周縁に向かうに従って厚さ寸法が小さくなる傾斜面6122とされ、同様に、開口部212Aの端縁における傾斜面6122に対向する部位には、当該傾斜面6122に沿って傾斜した傾斜部212B(図2及び図3参照)が形成されている。このため、図3に示すように、十字キー6のいずれかのキートップ611が押下された場合、当該傾斜面6122と、傾斜部212Bとが互いに当接し、十字キー6の傾斜が妨げられることを防ぐとともに、当該傾斜が円滑に行われるので、当該十字キー6の操作性が向上する。
なお、フランジ部6121は、基部612の周縁全てに形成されていなくてもよく、少なくとも、各キートップ611の周縁で、かつ、基部612の中心から最も離れた領域に形成されていればよい。
【0029】
基部612の底面側(後述する回路基板7に対向する側)の略中央には、図5に示すように、当該底面側から見て略円形状に突出した肉厚部614と、当該肉厚部614の略中央の位置から、略半球形状に膨出した支点部615とが形成されている。
このうち、支点部615は、後述する回路基板7と接触し、キートップ611が押下された際に支点となって十字キー6を傾斜させる部位である。この支点部615により、十字キー6の傾斜が円滑に行われる。
ここで、隣接する2つのキートップ611が同時に押下された場合には、十字キー6は、押下位置が回路基板7に近接するように傾斜する。しかしながら、互いに反対側の2つのキートップ611(上下又は左右に位置するキートップ611)が同時に押下された場合には、当該十字キー6は傾斜しない。これにより、相反する方向のキーが同時に入力されることを防ぎ、操作性を向上することができる。
【0030】
肉厚部614は、キートップ611の押下時にかかる荷重に対して、支点部615周囲を補強する部位である。このような肉厚部614が、支点部615周囲に形成されていることにより、補強のために基部612全体を厚く形成する必要がなくなり、基部612の薄型化、ひいては、十字キー6の薄型化を図ることができる。
また、基部612の底面側で、各キートップ611に応じた位置には、当該各キートップ611の形状に応じた凹部616が形成されている。これら凹部616内には、弾性部62が位置している。
【0031】
弾性部62は、本発明の弾性体に相当し、弾性材料(例えば、エラストマ又はシリコンゴム等)により略平板状に形成されている。これら弾性部62の正面側には、キー本体61(詳しくは、キートップ611)を介して照射されたレーザにより、図1に示したような上下左右の各方向を示す記号がそれぞれ表記され、使用者にキーの種別を認識させ、操作性の向上を図っている。また、レーザ照射により、当該記号が表記されるので、図柄が描かれたシール等を貼付する場合に比べ、製造工程の簡略化、及び、デザイン性の向上を図ることができる。
【0032】
このような各弾性部62は、図4及び図5に示すように、キートップ611に応じた形状及び寸法で、当該キートップ611に応じた位置、すなわち、凹部616内にそれぞれ形成される。このため、レーザ照射によって図柄等を形成可能な範囲を大きくすることができる。また、各弾性部62の一部が、前述の肉厚部614の一部を占めることで、透明樹脂により形成されたキー本体61を介して、フロントケース21の内側が観察されることを防ぐことができ、携帯端末1の外観が損なわれることを防ぐことができる。
【0033】
弾性部62の底面(回路基板7に対向する面)は、前述のフランジ部6121の底面と、面一となるように形成されている。また、肉厚部614の底面6141と、当該肉厚部614の一部を占める弾性部62の領域の底面とは、それぞれ面一となる。
このような各弾性部62の底面側略中央には、図5に示すように、当該底面から面外方向に突出する略円筒状の突出部621がそれぞれ形成されている。これら突出部621は、キートップ611が押下され、十字キー6が支点部615を支点として傾斜した際に、当該キートップ611の下方に位置するスイッチ71を押圧する。
【0034】
このような突出部621が弾性部62に形成されていることにより、当該突出部621がスイッチ71を点で押圧することができる。これにより、断面積の大きい弾性部62全体がスイッチ71を押圧する場合に比べ、キートップ611の押下を当該スイッチ71により確実に検出することができる。また、この突出部621の突出寸法を調整することにより、十字キー6の薄型化を図りつつ、当該十字キー6のストローク量を調節することができる。従って、方向操作部5、ひいては、携帯端末1の操作感、及び、入力操作に対する検出の信頼性を向上することができる。
【0035】
なお、これら突出部621の先端部、すなわち、当該突出部621においてスイッチ71に当接する先端部の平面位置(回路基板7からの高さ位置)は、図2及び図3に示すように、当該回路基板7に当接する支点部615より高く、更に、肉厚部614における回路基板7に対向する部位(底面6141)の平面位置より高く設定されている。換言すると、当該先端部は、肉厚部614における当該部位より、キートップ611側に位置する。より具体的には、回路基板7と突出部621の先端部との隙間は、当該回路基板7と肉厚部614の当該部位との隙間より、大きく設定されている。
このうち、回路基板7と肉厚部614との隙間は、キートップ611が押下され、突出部621がスイッチ71を押圧した場合でも、肉厚部614が回路基板7に接触しない程度の寸法に設定されている。
【0036】
このような構成によれば、キートップ611の押下により十字キー6が傾斜した場合でも、弾性部62が当該十字キー6の傾斜を妨げることがない。また、突出部621の先端部の位置(回路基板7と突出部621の先端部との隙間の寸法)を調整することで、十字キー6全体の厚さ寸法を変えることなく、すなわち、当該十字キー6の薄型化を図りつつ、当該十字キー6のストローク量(突出部621がスイッチ71を押圧していない状態から押圧した状態に至るまでの十字キー6の傾斜量)を調整することができる。
なお、キートップ611の押下時に、突出部621がスイッチ71を入力した際の感触(例えば、クリック感)は、突出部621の突出寸法、断面積、剛性及び可撓性等の性質を適宜変更することでも調整することができる。
【0037】
更に、このような弾性部62が、キー本体61とともに二色成形により一体的に形成されていることにより、キー本体61に弾性部材を接着剤等により貼付して弾性部とする場合に比べ、十字キー6、ひいては、携帯端末1の製造工程を簡略化することができる。
【0038】
ここで、支点部615には、弾性部62を形成する弾性材料は含まれておらず、当該支点部615は、キー本体61を構成する樹脂により形成されている。換言すると、十字キー6の底面は、キートップ611に応じた領域のみが弾性材料により形成され、支点部615は当該弾性材料によって形成されてはいない。これは、キートップ611の押下時に荷重がかかる支点部615が弾性材料により形成されていると、当該支点部615の強度が確保できず、十字キー6がフロントケース21及び後述する回路基板7に対して近接及び離間する方向に揺動してしまい、操作感が低下する恐れがあるためである。これに対し、支点部615が剛性を有する透明材料により形成されていることにより、当該支点部615の強度を確保することができ、操作感の低下を防ぐことができる。
【0039】
〔スイッチの構成〕
図6は、スイッチ71の構成を示す断面図である。このうち、図6(A)は、変位する前のスイッチ71の状態を示す断面図であり、図6(B)は、突出部621からの押圧力により変位したスイッチ71の状態を示す断面図である。
スイッチ71は、本発明の検出部に相当し、前述のように、キートップ611に応じた位置にそれぞれ設けられ、全体として、回路基板7上に4つ配設されている。これらスイッチ71は、図6に示すように、回路基板7上にそれぞれ形成された第1接点部72及び第2接点部73と、第1接点部72の一部及び第2接点部73を覆うドーム部75と、当該ドーム部75の内側に形成された第3接点部74とを備えている。
【0040】
第1接点部72は、詳しい図示を省略したが、平面視略円形状に形成され、また、第2接点部73は、第1接点部72の略中央に、当該第1接点部72とは所定の間隔を隔てて平面視略円形状に形成されている。
第3接点部74は、導電性を有する材料がドーム部75の内側に塗布されて形成されている。この第3接点部74は、図6(A)に示すように、端部が第1接点部72と電気的に接続されているが、第2接点部73とは所定の隙間Gを介して離間している。このため、通常時(突出部621により押圧されていないとき)には、第3接点部74と第2接点部73とは電気的に接触していない。
【0041】
ドーム部75は、第1接点部72及び第2接点部73を覆うように設けられており、可撓性を有する金属材料により形成されている。このドーム部75を平面視した際の中心位置は、第2接点部73の中心と略一致している。このようなドーム部75は、キートップ611の押下時に、前述の突出部621により押圧されると、図6(B)に示すように、当該ドーム部75の中央部分が第2接点部73に近接する方向に凹んで反転し、ドーム部75の内側に形成された第3接点部74を第2接点部73に接触させる。これにより、第3接点部74を介して第2接点部73と第1接点部72とが電気的に接続され、これら接点部72,73間で電流が導通する。この電流に基づいて、回路基板7により、スイッチ71が入力されたことが検出される。
【0042】
このようなドーム部75の変形は、突出部621による押圧力、すなわち、使用者によるキートップ611の押圧力が、所定の閾値を越えた場合に生じるため、当該変形が生じた際に、クリック感が生じる。このため、従来の弾性体の座屈時と同様のクリック感を生じさせることができ、方向操作部5の操作性を向上することができる。なお、当該ドーム部75の強度(弾性力)や、隙間Gの大きさを調整することによっても、キー入力時の感触を調整することができる。
【0043】
図2及び図3に戻り、フロントケース21における各開口部212Aに囲まれた領域には、当該フロントケース21の内面(十字キー6に対向する側の面)から面外方向に略円筒状に突出し、全体略T字状を有する本体支持部213が形成されている。この本体支持部213は、フロントケース21と十字キー6とが組み合わさった際に、当該本体支持部213の周縁と、前述の凹部613の内面との間に所定の隙間を持って当該凹部613内に収納される。
【0044】
これら本体支持部213と凹部613との係合により、筐体2内での十字キー6の位置ずれを防止することができるほか、キートップ611が押下されて十字キー6が傾斜した場合でも、当該十字キー6が大きくずれないように回路基板7上に位置させることができる。更に、本体支持部213は、十字キー6の略中央に形成された凹部613と係合するので、十字キー6の操作性が損なわれることを防ぐことができる。
【0045】
なお、この隙間は、十字キー6が傾斜して、突出部621がスイッチ71を押圧した際に、本体支持部213の周縁及び下面と、凹部613の内面とが当接する程度の寸法に設定されている。すなわち、当該隙間は、十字キー6の変位量(傾斜量)に応じて設定されているので、キートップ611の押下時の十字キー6の傾斜が妨げられることがない。これによれば、十字キー6の操作性が損なわれないほか、当該十字キー6が傾斜して、突出部621がスイッチ71を押圧した際に、本体支持部213と凹部613とが噛み合うことにより、十字キー6の必要以上の傾斜を規制することができる。従って、方向操作部5の操作性を向上することができるほか、スイッチ71が必要以上に押圧されることを防ぐことができる。
【0046】
〔付勢部材の構成〕
本体支持部213における十字キー6側への突出部分の周囲には、当該十字キー6とフロントケース21との間に、当該十字キー6を回路基板7に近接する方向に付勢する略環状の付勢部材8が設けられている。この付勢部材8は、弾性を有する樹脂により形成され、当該樹脂は、例えば、ポロン(登録商標)を挙げることができる。
この付勢部材8の厚さ寸法(フロントケース21の内面と十字キー6との間の寸法)は、当該十字キー6の傾き量(スイッチ71を突出部621が押圧していない状態から押圧した状態まで十字キー6が傾いた際の当該十字キー6の移動量)に応じて設定される。この付勢部材8の位置は、十字キー6の支点部615に対応しており、当該付勢部材8は、十字キー6の略中央を回路基板7に向かって付勢する。
【0047】
このような付勢部材8により、十字キー6が回路基板7から浮き上がることを防ぎ、当該回路基板7上に十字キー6を安定して配置することができる。また、また、キートップ611の押下によって十字キー6が傾斜した場合に、当該付勢部材8の付勢力により、当該十字キー6の傾斜を元に戻すことができる。更に、付勢部材8が樹脂により形成されていることにより、当該付勢部材8としてコイルばね等のばね部材を用いた場合に比べ、方向操作部5、ひいては、携帯端末1の薄型化を図ることができる。
【0048】
更に、付勢部材8が本体支持部213の突出部分の周縁を覆うように配置されていることにより、どのキートップ611が押下された場合でも、当該キートップ611とは反対側の位置に、十字キー6の傾斜に抗する付勢力を確実に作用させることができ、押下前の状態に十字キー6を確実に戻すことができる。また、付勢部材8が略環状に形成されていることにより、当該付勢部材8の本体支持部213に対する取付を容易に行うことができる。
【0049】
なお、本実施形態では、付勢部材8は樹脂により構成したが、これに限らず、コイルばねや板ばね等のばね部材により構成してもよい。また、略環状の付勢部材8を採用せずに、フロントケース21と十字キー6との間で、かつ、本体支持部213の中心から各キートップ611に向かう方向上にのみ、付勢部材をそれぞれ設ける構成としてもよい。このような場合、本体支持部213の周縁の全てにわたって付勢部材を配置する必要がないので、付勢部材の製造コストを低減することができる。
【0050】
〔方向操作部の動作〕
以下、方向操作部5の動作について説明する。
開口部212Aを介して筐体2外に露出した4つのキートップ611のいずれも押下されていない状態では、図2に示すように、回路基板7に当接する支点部615と、当該十字キー6とフロントケース21との間で、かつ、本体支持部213の周縁に配置された付勢部材8とにより、十字キー6は、当該回路基板7上に自立している。
【0051】
この状態で、4つのキートップ611のうち、少なくともいずれかが押下された場合(例えば、図3における左側のキートップ611が押下された場合)には、図3に示すように、支点部615を支点として、付勢部材8による付勢力に抗して、十字キー6は傾斜する。この際、支点部615は、十字キー6における回路基板7に近接する端部とは反対側の端部側に、僅かに移動する。
このように十字キー6が傾斜すると、押下されたキートップ611に応じた突出部621が、当該突出部621に応じたスイッチ71のドーム部75を押圧する。このドーム部75は、押圧力が所定の閾値を超えた時点で反転し、第3接点部74を第2接点部73に電気的に接触させる。これにより、第2接点部73と第1接点部72とが導通し、回路基板7が、前述の端末本体に、押下位置のスイッチ71が入力された旨の制御信号を出力する。
【0052】
そして、当該キートップ611の押下が解除される(キートップ611から指が離される)と、付勢部材8による付勢力、並びに、弾性部62及びドーム部75の復元力により、押し下げられた十字キー6の傾斜が元に戻り、図2に示した状態となる。
【0053】
ここで、弾性部62(特に突出部621)、付勢部材8及びスイッチ71(特にドーム部75)の剛性は、方向操作部5の操作性を向上する目的で、適宜設定されている。
具体的に、本実施形態では、弾性部62の剛性が最も高く、付勢部材8の剛性が最も低くなるように、それぞれ設定されている。これによれば、弾性部62(突出部621)の剛性が最も高いので、キートップ611の押下時に、スイッチ71のドーム部75を確実に押圧することができ、当該スイッチ71によりキートップ611の押下を確実に検出することができる。また、この際、当該ドーム部75の変形により、クリック感を生じさせることができる。更に、付勢部材8の剛性が最も低いので、当該付勢部材8の付勢力により、キートップ611押下時の十字キー6の傾斜が妨げられないようにすることができる。従って、方向操作部5、ひいては、携帯端末1の操作性を一層向上することができる。
【0054】
以上説明した本実施形態に係る携帯端末1によれば、以下の効果がある。
十字キー6を回路基板7に近接する方向に付勢する付勢部材8が、支点部615に対応する位置、すなわち、各キートップ611により囲まれる十字キー6の位置(十字キー6を平面視した際の略中央の位置)に応じて設けられるので、十字キー6に効率よく付勢力を作用させて、当該十字キー6を回路基板7上に適切に配置することができる。また、各キートップ611に応じた位置にそれぞれ接点ゴムを設けて、十字キー6をフロントケース21の内面に近接する側に付勢する構成に比べ、部品点数を削減することができるほか、方向操作部5ひいては携帯端末1の構成を簡略化することができる。更に、付勢部材8が、弾性を有する樹脂により形成されているので、コイルばね等を用いた場合に比べ、方向操作部5ひいては携帯端末1の薄型化を図ることができる。
【0055】
〔2.第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態に係る携帯端末は、前述の携帯端末1と同様の構成を備える。しかしながら、当該携帯端末1では、十字キー6の弾性部62はキートップ611に応じた形状を有していたのに対し、弾性部の形状が主に変更された点で、当該携帯端末と携帯端末1とは相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
図7及び図8は、本実施形態に係る携帯端末1Aが備える方向操作部5Aの構成を示す断面図である。このうち、図7は、方向操作部5Aを構成する十字キー9Aが押下されていない状態を示す図であり、図8は、十字キー9Aが押下された状態を示す図である。
本実施形態に係る携帯端末1Aは、図7及び図8に示すように、方向操作部5に代えて方向操作部5Aを備えるほかは、前述の携帯端末1と同様の構成を備えている。また、方向操作部5Aは、本発明の操作部に相当し、十字キー6に代えて十字キー9Aを備えるほかは、方向操作部5と同様の構成を備える。
【0057】
図9及び図10は、十字キー9Aを上方及び下方から見た斜視図である。
十字キー9Aは、十字キー6と同様に、開口部212Aを介して筐体2外に露出する複数のキートップ911を除いて当該筐体2内に収納され、キートップ911の押下に応じて傾斜して、回路基板7上のスイッチ71を押圧する。この十字キー9Aは、図9及び図10に示すように、略十字状のキー本体91(図9及び図10)と、弾性部92(図10)とを備えている。
【0058】
キー本体91は、前述のキートップ611と略同形状を有する複数(本実施形態では4つ)のキートップ911と、各キートップ911を接続する基部912とを備え、これらが一体的に形成されている。なお、本実施形態では、これらキートップ911と基部912とを、色のついた樹脂により一体成形することでキー本体91を形成しているが、基部912に各キートップ911を接着するなどして一体化してもよい。
これらキートップ911は、平面視略十字状の基部912の各頂点に応じた位置に配置されている。また、基部912の外縁には、前述の基部612と同様に、キートップ911の外側に延出し、かつ、当該基部912の外側に向かうに従って厚さ寸法が小さくなるテーパー状のフランジ部9121が形成されている。このフランジ部9121の上面は傾斜面9122であり、当該傾斜面9122は、外側に向かうに従って下方に近接するように傾斜している。
【0059】
更に、基部912は、凹部913(図9)、肉厚部914、支点部915及び凹部916(それぞれ図10)を備える。
凹部913は、図9に示すように、各キートップ911により囲まれる基部912の略中央に、平面視略円形状に形成されている。この凹部913内には、前述の本体支持部213が挿入される。
【0060】
肉厚部914は、図10に示すように、基部912の底面側(キートップ911が位置する側とは反対側)の略中央に形成されている。換言すると、当該肉厚部914は、各キートップ911により囲まれる領域に応じて形成されている。この肉厚部914は、底面9141側から見て略円形状に形成され、回路基板7に対向する面が略平坦に形成されている。また、この肉厚部914には、十字キー9における前述の8方向のうちの斜方である4方向(基部912の中央から、隣接するキートップ911の間に向かう方向)に沿って延出し、底面9141と基部912の底面とを接続する4つの架橋部9142が形成されている。このような肉厚部914により、支点部915の周囲が補強される。
【0061】
支点部915は、肉厚部914の略中央、すなわち、基部912の底面側において凹部913に対応した位置に、下方(回路基板7に対向する側)に向かって膨出する略円錐形状に形成され、当該支点部915の先端部分は回路基板7に当接する。このような支点部915は、当該支点部915から各キートップ911に向かう方向、及び、これら各方向の間の方向に沿って形成される複数の架橋部9151を有している。これら架橋部9151の延出方向は、十字キー9Aにより操作可能な前述の8方向に対応している。
凹部916は、基部912の底面側におけるキートップ911に応じた位置にそれぞれ形成されている。詳述すると、各凹部916は、キートップ911の略中央から外側に僅かにずれた位置に中心を有する平面視略円形状に形成されている。これら各凹部916には、弾性部92に接着等により取り付けられる。
【0062】
各弾性部92は、本発明の弾性体に相当し、弾性材料(例えば、シリコンゴム)により形成されている。これら弾性部92は、図8に示すように、凹部916に応じた寸法で、平面視略円形状に形成されている。すなわち、前述の弾性部62は、キートップ911の寸法及び形状に応じて形成されていたのに対し、弾性部92は、多角形状のキートップ911の寸法より小さく形成されている。そして、これら弾性部92は、前述の肉厚部914における回路基板7に対向する部位(底面9141)の平面位置よりキートップ911側に取り付けられている。
【0063】
このような弾性部92は、回路基板7に対向する面の略中央から突出する略円筒状の突出部921をそれぞれ有する。これら突出部921は、各キートップ911の中心より外側に位置し、十字キー9Aが押下された際には、ドーム部75の略中央を押圧する位置に配置されている。これら突出部921における突出方向先端部の位置、すなわち、スイッチ71を押圧する先端部の位置は、肉厚部914における回路基板7に対向する部位(底面9141)の平面位置よりキートップ911側に位置している。
【0064】
〔方向操作部の動作〕
以下、図7及び図8を参照して、方向操作部5Aの動作について説明する。
キートップ911が押下されていない場合では、図7に示すように、凹部913に挿入される本体支持部213の周縁に設けられた付勢部材8の付勢力により、支点部915が回路基板7に当接した状態で、十字キー9Aは、当該回路基板7上で自立する。
この状態で、少なくともいずれかのキートップ911(例えば、図7及び図8における左側のキートップ911)が押下されると、十字キー9Aは、図8に示すように、支点部915を支点として、付勢部材8による付勢力に抗しつつ押下方向に回動する。
【0065】
この十字キー9Aの回動に伴い、押下されたキートップ911に応じた突出部921が、下方に位置するドーム部75を押圧する。これにより、回路基板7が、押下位置のスイッチ71が入力された旨の制御信号を出力する。
一方、キートップ911に対する押下が解除されると、付勢部材8による付勢力、並びに、弾性部92及びドーム部75の復元力により、図7に示した状態に十字キー6が復帰する。
【0066】
ここで、弾性部92、付勢部材8及びドーム部75の剛性は、前述の方向操作部5と同様に、方向操作部5Aの操作性を向上する目的で、適宜設定されている。
具体的に、弾性部92の剛性が最も高く、付勢部材8の剛性が最も低くなるように、それぞれ設定されている。これにより、剛性が最も高い弾性部92(特に突出部921)により、ドーム部75を確実に押圧することができるほか、ドーム部75の変形により、クリック感を生じさせることができる。また、付勢部材8の剛性が最も低いので、当該付勢部材8の付勢力により、十字キー9Aの傾斜が妨げられることを防ぐことができるほか、当該十字キー9Aを傾斜状態から押圧前の状態に確実に復帰させることができる。従って、方向操作部5A、ひいては、携帯端末1の操作性を一層向上することができる。
以上説明した本実施形態に係る携帯端末1Aによれば、前述の携帯端末1と同様の効果を奏することができる。
【0067】
〔3.第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態に係る携帯端末は、前述の携帯端末1Aと同様の構成を備える。しかしながら、当該携帯端末1Aでは、本体支持部213の周縁に配置される付勢部材8により十字キー9Aを付勢する構成であった。これに対し、本実施形態に係る携帯端末では、十字キーの外縁に応じて配置される付勢部材により当該十字キーを付勢する。この点で、当該携帯端末と携帯端末1Aとは相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
図11及び図12は、本実施形態に係る携帯端末1Bが備える方向操作部5Bの構成を示す断面図である。このうち、図11は、十字キー9Bが押下されていない状態を示す図であり、図12は、十字キー9Bが押下された状態を示す図である。
本実施形態に係る携帯端末1Bは、方向操作部5Aに代えて方向操作部5Bを備えるほかは、携帯端末1Aと同様の構成を備える。この方向操作部5Bは、本発明の操作部に相当し、図11及び図12に示すように、十字キー9B、回路基板7及び付勢部材8Bを備える。
このうち、十字キー9Bは、フランジ部9121より更に外側に延出したフランジ部9123を備えるほかは、十字キー9Aと同様の構成を備えている。
【0069】
また、付勢部材8Bは、付勢部材8と同素材により形成され、十字キー9Bを回路基板7に向かって付勢する。この付勢部材8Bは、フランジ部9123に対向するように、開口部212Aの端縁にそれぞれ取り付けられる。
具体的に、付勢部材8Bは、十字キー9Bにおける押下可能な位置に応じて、当該十字キー9Bの中央を中心とする点対象にそれぞれ設けられている。すなわち、付勢部材8Bは、十字キー9Bの中心から各キートップ911に向かう直線上に位置するフランジ部9123の領域、及び、当該中心から各キートップ911の中間を通る直線上に位置するフランジ部9123の領域に対向するように配置される。
【0070】
このため、付勢部材8Bは、それぞれのキートップ911が単独で押下された場合におけるキー本体91の中心から当該キートップ911に向かう4方向、及び、隣接する2つのキートップ911が同時に押下された場合におけるキー本体91の中心から押下位置に向かう4方向の計8方向上に、それぞれ位置されている。なお、フランジ部9123が形成された全て領域に応じて、付勢部材8Bを設けてもよく、或いは、いずれかの4方向上に設けてもよい。
【0071】
このような方向操作部5Bにおいて、いずれのキートップ911も押下されていない場合では、図11に示すように、回路基板7に支点部915が当接した状態で、フランジ部9123の上面に当接する付勢部材8Bの付勢力により、十字キー9Bは、回路基板7上で自立する。
この状態で、少なくともいずれかのキートップ911(例えば、図11及び図12における左側のキートップ911)が押下されると、十字キー9Bは、図12に示すように、押下位置とは反対側の付勢部材8Bの付勢力に抗しつつ、支点部915を支点として押下方向に回動する。この際、押下されたキートップ911に応じた突出部921が、スイッチ71を押圧し、回路基板7が、当該キートップ911の押下を検出する。
【0072】
この後、キートップ911に対する押下を解除すると、スイッチ71(ドーム部75)及び弾性部92の復元力、並びに、押下位置とは反対側の付勢部材8Bの付勢力により、十字キー9Bは、押下前の状態(図11に示した状態)に戻る。
以上説明した本実施形態に係る携帯端末1Bによれば、前述の携帯端末1,1Aと同様の効果を奏することができる。
【0073】
なお、携帯端末1Bでは、キートップ911を露出させる開口部212Aは、当該キートップ911のそれぞれに応じてフロントケース21に形成されているが、1つの開口部により、各キートップ911を露出させる構成としてもよい。
【0074】
図13及び図14は、本実施形態に係る携帯端末1Bの変形である携帯端末1C,1Dをそれぞれ示す図である。
以下、携帯端末1Bの変形である携帯端末1C,1Dについて説明する。
携帯端末1Cは、図13に示すように、フロントケース21及び方向操作部5Bに代えてフロントケース21C及び方向操作部5Cを備えるほかは、携帯端末1Bと同様の構成を備える。また、方向操作部5Cは、十字キー9Bに代えて十字キー9Cを備えるほかは、方向操作部5Bと同様の構成を備える。
【0075】
フロントケース21Cは、フロントケース21と同様に、4つのキートップ911をそれぞれ露出させる4つの開口部212Aを有する。しかしながら、露出された各キートップ911により囲まれる部位に、本体支持部213は設けられていない。
また、十字キー9Cは、十字キー9Bと同様の構成を備えるが、当該十字キー9Bの略中央に形成されていた凹部913は形成されていない。
【0076】
携帯端末1Dは、図14に示すように、フロントケース21に代えてフロントケース21Dを備えるほかは、携帯端末1Cと同様の構成を備える。
フロントケース21Dは、フロントケース21と同様の構成を備えている。しかしながら、フロントケース21Dは、各開口部212Aに代えて、十字キー9Cの全てのキートップ911を露出させる1つの開口部212Dを有し、これに伴って、当該フロントケース21Dは、各キートップ911により囲まれる部位、及び、当該部位に設けられる本体支持部213を備えていない。
【0077】
このような開口部212D内には各キートップ911が位置し、当該開口部212Dの端縁は略十字状に形成されている。すなわち、各キートップ911及び当該各キートップ911により囲まれる基部912の中央部分が、開口部212Dを介して、筐体2の外部に露出する。このような開口部212Dの端縁で、かつ、フロントケース21Dの内面には、対向されるフランジ部9123に当接する前述の付勢部材8Bが設けられている。
【0078】
このような携帯端末1C,1Dにおいても、携帯端末1Bと同様の効果がある。
なお、開口部212D及び十字キー9Cは、平面視略十字状に形成されていたが、これに限らず、当該開口部及び十字キーを平面視略円形状に形成してもよい。この場合、当該十字キーの端縁に沿って略円形状に形成されるフランジ部に対向するように、付勢部材を開口部の端縁に設ける構成としてもよい。この場合においても、付勢部材は略円形状に限らず、前述の8方向上の位置の少なくともいずれか(好ましくは、少なくとも前述の4方向上)に配置されていれば、十字キーに好適に付勢力を作用させることができる。
【0079】
〔4.第4実施形態〕
以下、本発明の第4実施形態について説明する。
本実施形態に係る携帯端末は、前述の携帯端末1Aと同様の構成を備える。この携帯端末1Aは、フロントケース21と十字キー9Aとの間に配置され、かつ、当該十字キー9Aを回路基板7に向かって付勢する付勢部材8を備える構成であった。これに対し、本実施形態に係る携帯端末は、十字キーと回路基板との間に配置され、かつ、当該十字キーをフロントケースに向かって付勢する付勢部材を備える。この点で、当該携帯端末と携帯端末1Aとは相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0080】
図15は、本実施形態に係る携帯端末1Eが備える方向操作部5Eの構成を示す断面図である。換言すると、図15は、方向操作部5Eを構成する十字キー9Aが押下されていない状態を示す断面図である。
本実施形態に係る携帯端末1Eは、図15に示すように、フロントケース21及び方向操作部5Aに代えて、フロントケース21E及び方向操作部5Eを備えるほかは、前述の携帯端末1Aと同様の構成及び機能を有する。
【0081】
フロントケース21Eは、本体支持部213に代えて、本体支持部213Eを備えるほかは、フロントケース21と同様の構成を有する。
本体支持部213Eは、本体支持部213と同様に、フロントケース21Eにおける4つの開口部212Aにより囲まれる領域21E1に、回路基板7に向かって突出する略円筒状に形成されている。この本体支持部213Eの先端部は、フロントケース21Eの下面21E2(領域21E1を除く下面21E2)と略同じ位置となる。このため、当該先端部と下面21E2とは、略面一となる。このような本体支持部213Eは、十字キー9Aの凹部913内に挿入される。
【0082】
図16は、回路基板7上に配置された付勢部材8Eを示す平面図である。
方向操作部5Eは、本発明の操作部に相当し、回路基板7、付勢部材8E及び十字キー9Aを備える。
このうち、付勢部材8Eは、図16に示すように、付勢部材8と同素材により環状に形成され、回路基板7上に取り付けられている。詳述すると、付勢部材8Eは、回路基板7において4つのスイッチ71により囲まれた領域内に、当該領域の中心と付勢部材8Eの中心とが一致するように取り付けられる。この付勢部材8Eの中心は、当該付勢部材8E上に配置される十字キー9Aの中心である支点部915の位置と略一致する。このような付勢部材8Eは、架橋部9142,9151と当接して、十字キー9Aをフロントケース21Eに向かって付勢する。
【0083】
具体的に、十字キー9Aが押下されていない状態(非押下状態)では、図15に示すように、当該十字キー9Aは、付勢部材8Eによりフロントケース21Eに向かって付勢される。この際、本体支持部213Eは凹部913内に挿入され、当該本体支持部213Eを除く領域21E1の下面と、凹部913の端縁とは当接する。また、この状態では、フランジ部9121の傾斜面9122(図7参照)と傾斜部212Bとは当接しているが、支点部915と、回路基板7とは離間している。
【0084】
ここで、4つのキートップ911のいずれかが押下された場合、十字キー9Aは、付勢部材8Eの付勢力に抗して回路基板7に近接する方向に移動して、支点部915が回路基板7に当接する。そして、十字キー9Aは、当該支点部915を支点として押下された側に傾斜して、突出部921がドーム部75を押圧する。これにより、十字キー9Aの入力が検出される。
【0085】
キートップ911から指が離れると、付勢部材8Eにおける当該キートップ911に対応する領域の復元力により、十字キー9Aにおける当該キートップ911側がフロントケース21E側に付勢される。これにより、十字キー9Aは、図15に示した非押下状態に復帰する。なお、隣接する2つのキートップ911が押下された場合も同様である。
以上説明した本実施形態の携帯端末1Eによれば、前述の携帯端末1Aと同様の効果を奏することができるほか、付勢部材8と比べて大きな付勢部材8Eが採用されているので、十字キー9Aが非押下状態に復帰する付勢力を、当該十字キー9Aに確実に作用させることができる。
【0086】
〔5.実施形態の変形〕
本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記各実施形態では、筐体2及び方向操作部5,5A〜5C,5Eを備える操作装置として、ゲーム機として構成された携帯端末1,1A〜1Eを挙げたが、本発明はこれに限らず、PDA(Personal Digital Assistant)やノート型PC(Personal Computer)等の他の携帯端末として構成することもできる。また、コンピュータ等の電子機器と有線又は無線で接続され、操作信号を出力するコントローラに、本発明を適用することも可能である。
【0087】
前記第1実施形態では、4つのキートップ611が基部612により一体化されたキー本体61と、弾性部62とが一体成形された十字キー6を挙げ、前記第2〜第4実施形態では、基部912に弾性部92が取り付けられた十字キー9Aを挙げたが、本発明はこれに限らない。例えば、弾性部62に相当する部材をキー本体61に貼付するなどして、これらを一体的に設けた十字キーを採用してもよく、また、基部912と弾性部92とが一体成形された十字キーを採用してもよい。更には、弾性部62,92がない十字キーを採用してもよい。
【0088】
前記各実施形態では、キートップ611,911の数は、4つとしたが、これに限らず、2つ以上であればよい。このような場合、筐体に形成され、当該キートップを露出させる開口部は、各キートップの位置及び数に応じて形成されていてもよく、前述の携帯端末1Dのように、各キートップを露出させる1つの開口部としてもよい。
【0089】
前記各実施形態では、弾性部62,92は、回路基板7に向かって突出し、当該回路基板7に配設されたスイッチ71を押圧する突出部621,921を備えるとしたが、本発明はこれに限らず、突出部621,921は無くてもよい。また、突出部621,921の形状も、略円筒状に限らず、スイッチ71のドーム部75を点で押圧する形状であればよい。
【0090】
前記各実施形態では、支点部615,915は、基部612,912における略中央に形成されるとしたが、本発明はこれに限らず、当該中央の位置からずれていてもよい。例えば、略矩形状の基部において中心を挟んで対向する一対の頂点に応じて一対のキートップ(上下或いは左右の入力操作を行うための一対のキートップ)が配置されている場合には、当該一対の頂点を結ぶ直線に直交する直線上に、複数の支点部があってもよい。
【0091】
前記各実施形態では、支点部615,915の周囲には、肉厚部614,914が形成されるとしたが、本発明はこれに限らず、十字キー6,9(特に基部612,912)の十分な強度を確保することが可能であれば、肉厚部614,914は無くてもよい。また、当該肉厚部614,914の形状も、平面視略円形状に限らず、平面視矩形状等の他の形状であってもよい。更に、支点部915は、架橋部9151が無くてもよい。
【0092】
前記各実施形態では、突出部621,921におけるスイッチ71を押圧する先端部の位置は、肉厚部614,914における回路基板7に対向する部位よりキートップ611,911側に位置するとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、十字キー6,9A〜9Cのストローク量及び操作感等を考慮して、適宜設定してよい。
【0093】
前記第1及び第2実施形態では、フロントケース21の内面と、キー本体61の支点部615に応じた位置との間に、付勢部材8が設けられるとし、また、前記第3実施形態では、フロントケース21,21Cの内面と、フランジ部9123との間に、付勢部材8Bが設けられるとし、更に、前記第4実施形態では、十字キー9Aと回路基板7との間に、付勢部材8Eが設けられるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、十字キー6,9A〜9Cが傾斜状態から非押下状態に復帰することが可能であれば、付勢部材8は無くてもよい。更に、付勢部材の位置は、フロントケースと、十字キーの中央との間でなくともよく、例えば、付勢部材8B,8Eのように、フロントケースと十字キーの周縁との間であってもよい。
【0094】
前記第1〜第4実施形態では、キー本体61,91は、フロントケース21に対向する面側で、かつ、支点部615,915に応じた位置に凹部613,913を有し、フロントケース21は、当該凹部613,913の内面と係合し、これにより十字キー6,9A,9Bを支持する本体支持部213,213Eを有するとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、携帯端末1Cのように、本体支持部及び凹部は無くてもよい。この際、フロントケースと十字キーとの間に配置される付勢部材が、これらに接着される構成とすれば、十字キーの平面位置のずれが抑制される。
【0095】
前記第1及び第2実施形態では、付勢部材8は、本体支持部213を囲む環状に形成されるとしたが、本発明はこれに限らず、付勢部材の形状は、他の形状でもよい。例えば、本体支持部213の周囲に複数の付勢部材を配置する構成としてもよい。この場合、本体支持部213の周囲において、各キートップ611,911の位置(例えば、当該キートップ611,911に近接する位置)及び数に応じて、付勢部材をそれぞれ配置するようにしてもよい。例えば、前述の十字キー6,9Aであれば、4つ、或いは、8つの付勢部材が配置される構成としてもよい。
【0096】
また、本体支持部213がない場合には、開口部212Aにより囲まれたフロントケース21の内面に、各キートップ611により囲まれた十字キー6の中央を回路基板7側に付勢するように、付勢部材を設ける構成としてもよい。更に、十字キー6側に当該内面に近接する方向に突出する突出部を設け、フロントケース21側に当該突出部と係合する凹部を形成し、十字キー6とフロントケース21の内面との間に介装されるように、当該突出部の周囲に付勢部材を設ける構成としてもよい。
また、付勢部材8Bの位置及び形状も、前述のように、適宜設定可能である。加えて、付勢部材8,8B,8Eを組み合わせて、携帯端末1,1A〜1Eに設けてもよい。
同様に、付勢部材8Eは、支点部915を囲む環状に形成されるとしたが、これに限らず、形状、数及び配置位置は、適宜設定してよく、例えば、架橋部9142,9151に応じた位置に、付勢部材を設ける構成としてもよい。
【0097】
前記各実施形態では、弾性部62,92(特に突出部621,921)、付勢部材8,8B,8E及びスイッチ71(特にドーム部75)のうち、弾性部62,92の剛性が最も高く、付勢部材8,8B,8Eの剛性が最も低くなるように、それぞれの剛性が設定されているとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、これらの剛性は、方向操作部5,5A〜5C,5Eの操作性を考慮して、適宜設定可能である。
【0098】
前記第1実施形態では、弾性部62は、キートップ611の形状及び寸法に応じて形成されるとし、また、前記第2〜第4実施形態では、弾性部92は、略円形状に形成されるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、弾性部は、キートップ611,911の位置に応じて形成され、かつ、キートップ611,911と、当該キートップ611,911に応じた配設されるスイッチ71との間に介装されていればよい。例えば、キー本体61におけるスイッチ71に対応する位置に、弾性部62,92に代えて、突出部621,921と同様の材料及び形状の弾性部材を取り付ける構成としてもよい。
【0099】
前記第1実施形態では、キー本体61は、アクリル樹脂等の透明な樹脂により形成されるとしたが、本発明はこれに限らず、例えば、キー本体91のように、色のついた樹脂など、他の材料により形成されていてもよい。この場合、キートップ611の上面(使用者の指に対向する面)に印刷したり、当該上面を加工(彫刻)したり、或いは、異なる樹脂を用いた二色成形により形成されたキートップの一方の樹脂を露出させたりすることで、当該上面に図柄等を表示すればよい。すなわち、十字キーの色及び材質は、適宜設定可能である。例えば、方向を示す三角形の記号をキートップに表記する場合には、略三角柱状の樹脂(例えば、高摺動ABS)を内部に埋め込むようにして、二色成形により十字キーを形成することにより、当該記号を上方から視認することができる。また、このように形成することにより、入力操作及び経年変化等により、当該記号が消えてしまうことを防ぐことができる。
【0100】
前記各実施形態では、検出部としてのスイッチ71は、内面に第3接点部74が形成され、突出部621,921による押圧に応じて変形して、第1接点部72と第2接点部73とを電気的に接続するドーム部75を備える構成としたが、本発明はこれに限らない。すなわち、ドーム部75は無くてもよい。また、金属に限らず、エンボス加工等による樹脂のドーム部であってもよい。また、回路基板7上に第1接点部72及び第2接点部73が形成されるとしたが、所定の間隔を隔てて互いに対向するように配置された第1接点部及び第2接点部を備えるスイッチとしてもよい。すなわち、検出部の構成は、タッチスイッチ等、他の構成でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、コントローラ等の操作装置に利用することができるほか、携帯端末にも好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0102】
1,1A〜1E…携帯端末(操作装置)、2…筐体、5,5A〜5C,5E…方向操作部(操作部)、7…回路基板、8,8B,8E…付勢部材、61,91…キー本体、62,92…弾性部(弾性体)、71…スイッチ(検出部)、212A,212D…開口部、213,213E…本体支持部,611,911…キートップ、613,913…凹部、614,914…肉厚部、615,915…支点部、9123…フランジ部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力操作が行われる操作部が設けられた筐体を備える操作装置であって、
前記操作部は、
前記筐体が有する開口部を介して当該筐体外に露出する複数のキートップ、及び、当該複数のキートップを前記筐体内で接続する基部を有するキー本体と、
前記複数のキートップに対応する位置にそれぞれ配設され、前記キートップの入力を検出する複数の検出部を有する回路基板とを備え、
前記基部は、前記複数のキートップにより囲まれる位置に、前記回路基板に近接する方向に突出し、かつ、当該回路基板に当接して、前記キートップの押下時に前記キー本体の傾斜に対する支点となる支点部を有し、
前記筐体と、前記キー本体との間には、当該キー本体を前記回路基板側に付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の操作装置において、
前記キー本体は、前記支点部が形成される面とは反対側の面における当該支点部に応じた位置に凹部を有し、
前記筐体は、前記凹部に応じた位置に形成され、当該凹部内に収納されて前記キー本体を支持する本体支持部を有することを特徴とする操作装置。
【請求項3】
請求項2に記載の操作装置において、
前記本体支持部と前記凹部の内面との間には、前記キー本体の変位量に応じた隙間が形成されていることを特徴とする操作装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の操作装置において、
前記付勢部材は、前記筐体と、前記キー本体における前記複数のキートップにより囲まれる位置との間に設けられていることを特徴とする操作装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の操作装置において、
前記キー本体は、前記キートップの外側に延出し、前記筐体における前記開口部の端縁に対向するフランジ部を備え、
前記付勢部材は、前記筐体と前記フランジ部との間に設けられていることを特徴とする操作装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の操作装置において、
前記基部は、前記支点部の周囲に肉厚部を有することを特徴とする操作装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の操作装置において、
前記キー本体における前記筐体外に露出する側とは反対側で、かつ、前記キートップに対応する位置には、平板状の弾性体が、前記キー本体と一体的に設けられることを特徴とする操作装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の操作装置を備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項1】
入力操作が行われる操作部が設けられた筐体を備える操作装置であって、
前記操作部は、
前記筐体が有する開口部を介して当該筐体外に露出する複数のキートップ、及び、当該複数のキートップを前記筐体内で接続する基部を有するキー本体と、
前記複数のキートップに対応する位置にそれぞれ配設され、前記キートップの入力を検出する複数の検出部を有する回路基板とを備え、
前記基部は、前記複数のキートップにより囲まれる位置に、前記回路基板に近接する方向に突出し、かつ、当該回路基板に当接して、前記キートップの押下時に前記キー本体の傾斜に対する支点となる支点部を有し、
前記筐体と、前記キー本体との間には、当該キー本体を前記回路基板側に付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の操作装置において、
前記キー本体は、前記支点部が形成される面とは反対側の面における当該支点部に応じた位置に凹部を有し、
前記筐体は、前記凹部に応じた位置に形成され、当該凹部内に収納されて前記キー本体を支持する本体支持部を有することを特徴とする操作装置。
【請求項3】
請求項2に記載の操作装置において、
前記本体支持部と前記凹部の内面との間には、前記キー本体の変位量に応じた隙間が形成されていることを特徴とする操作装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の操作装置において、
前記付勢部材は、前記筐体と、前記キー本体における前記複数のキートップにより囲まれる位置との間に設けられていることを特徴とする操作装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の操作装置において、
前記キー本体は、前記キートップの外側に延出し、前記筐体における前記開口部の端縁に対向するフランジ部を備え、
前記付勢部材は、前記筐体と前記フランジ部との間に設けられていることを特徴とする操作装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の操作装置において、
前記基部は、前記支点部の周囲に肉厚部を有することを特徴とする操作装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の操作装置において、
前記キー本体における前記筐体外に露出する側とは反対側で、かつ、前記キートップに対応する位置には、平板状の弾性体が、前記キー本体と一体的に設けられることを特徴とする操作装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の操作装置を備えることを特徴とする携帯端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−251022(P2010−251022A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97303(P2009−97303)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】
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