説明

支援データの非準拠の使用を伴うモバイルベースの測位

ワイヤレス通信システムにおいてモバイルベースの測位を実行するための装置および方法が提示される。位置推定が、第1の測位方法向けに意図されている支援データに基づいて計算される。モバイルデバイスは、第2の測位方法がネットワークによって明確にサポートされているか否かを無視し、第2の測位方法と、ネットワークによってサポートされるとともに、第2の測位方法とは異なる第1の測位方法向けに意図されている支援データのサブセットとを使用して、位置推定を計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、本出願の譲受人に譲渡され、参照により本明細書に明確に組み込まれている、2009年6月9に出願した「UE−based positioning with proprietary assistance data」という名称の米国特許仮出願第61/185,516号の利益および優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、一般に、ワイヤレスモバイルデバイスの位置を推定するための装置および方法に関する。より詳細には、本開示は、ネットワークによってサポートされない可能性がある位置推定方法を使用するモバイルデバイスに関し、そのネットワークは、異なる位置推定方法向けに意図されている支援データを供給する。
【背景技術】
【0003】
今日、モバイルデバイスは、ネットワークとの通信の際に、一般に認められているモバイル無線標準およびモバイル無線プロトコルに準拠しなければならない。モバイルデバイスが位置推定を計算する際、モバイルデバイスはまず、いずれのモバイルベースの測位方法がネットワークによってサポートされているかを特定する。例えば、モバイルデバイスは、ネットワークによってブロードキャストされたオーバーヘッド情報を監視することが可能である。このオーバーヘッド情報内で、ネットワークは、ネットワークがいずれの測位方法、またはいずれの複数の測位方法をサポートするかを告知することが可能である。代替として、モバイルデバイスは、ネットワーク内のエンティティ(例えば、ロケーションサーバ)からポイントツーポイントでいずれの測位方法をネットワークがサポートするかに関する情報を受信してもよい。代替として、モバイルデバイスは、特定の測位方法に合わせて調整された支援データを要求してもよい。特定の方法に合わせて調整された支援データは、その測位方法によって使用されない無関係なタイプのデータを除外することによって、支援データを短縮する。ネットワークとモバイルデバイスがともに、要求された支援データを使用する共通のモバイルベースの測位方法をサポートする場合、モバイルデバイスは、その特定の共通の測位方法のための支援データを要求し、受信することが可能である。モバイルデバイスが支援データを受信すると、モバイルデバイスは、その支援データを使用して位置推定を計算する。
【0004】
異なる測位方法は、異なるセットの情報を要求する。したがって、各タイプの支援データメッセージは、異なるセットの情報を含む。つまり、ネットワークが、支援データメッセージを、特定の測位方法のための要求されるセットの情報を含むように調整する。その結果、ネットワークは、選択された測位方法のために必要とされる情報だけを送信する。ネットワークは、選択された測位方法に関してモバイルデバイスによって必要とされず、使用されない無関係で、不要な情報を送信しない。
【0005】
モバイルデバイスが、異なるセットの支援データを使用する代替の測位方法を実行したいと望む場合、モバイルデバイスは、その代替の測位方法がネットワークによってサポートされないことをネットワークから知らされる可能性がある。代替として、モバイルデバイスが、ネットワークによってサポートされない測位方法を認識していることも可能である。例えば、その測位方法が、ネットワーク(例えば、3GPP、3GPP2、またはOMAからの標準を実施するワイヤレスネットワーク)が準拠する標準によって定義されていない可能性がある。この場合、モバイルデバイスは、その代替の測位方法を呼び出さず、代わりに、何らかの共通の測位方法に戻る、または測位を全く実行しない。例えば、モバイルデバイスは、第1の測位方法に基づく位置推定をサポートしない可能性があるが、第2の測位方法だけはサポートする。ネットワークが第2の測位方法をサポートしない場合、モバイルデバイスとネットワークは不適合であり、いずれのモバイルベースの測位方法もサポートすることができない。
【0006】
他の場合には、モバイルデバイスが、第1の測位方法に基づいて位置推定を計算することができるが、第2の測位方法に基づいて位置推定を計算することを選択する。第2の測位方法は、計算リソースをそれほど多く使用せず、または要求する電力がより少なく、このことが、モバイルデバイスのバッテリ寿命を長くするなどの、第1の測位方法に優る何らかの利益を有する可能性がある。代替として、第2の測位方法は、或る特定のベンダ独自のものである、または業界標準もしくは業界プロトコルに準拠していない可能性がある。不利なことに、ネットワークが第2の測位方法もサポートしない場合、モバイルデバイスは、第2の測位方法を使用しない。
【発明の概要】
【0007】
開示されるのは、ワイヤレス通信システムにおいてモバイルベースの測位を実行するための装置および方法である。一部の態様によれば、開示されるのは、(第2の)測位方法がネットワークによってサポートされているか否かを無視して、異なる(第1の)測位方法に合わせて調整された支援データのサブセットに基づいて、位置推定を計算するための方法および装置である。
【0008】
一部の態様によれば、開示されるのは、ワイヤレス通信システムにおいてモバイルベースの測位を実行するための方法であり、この方法は、モバイルデバイス内のワイヤレス受信機を使用して、第1の測位方法のための支援データを、第1の測位方法をサポートするネットワークから受信すること、複数の送信機からワイヤレス信号を受信すること、およびそれらのワイヤレス信号と、第1の測位方法のための支援データとを使用して第2の測位方法で位置推定を計算することを備え、第1の測位方法と第2の測位方法は、異なる測位方法である。
【0009】
一部の態様によれば、開示されるのは、ワイヤレス通信システムにおいてモバイルベースの測位を実行するためのモバイルデバイスであり、このデバイスは、第1の測位方法のための支援データを、第1の測位方法をサポートするネットワークから受信し、さらに複数の送信機からワイヤレス信号を受信する少なくとも1つのワイヤレス受信機を備える受信機アセンブリと、それらのワイヤレス信号と、第1の測位方法のための支援データとを使用して第2の測位方法で位置推定を計算するように構成された、受信機アセンブリに結合されたプロセッサとを備え、第1の測位方法と第2の測位方法は、異なる測位方法である。
【0010】
一部の態様によれば、開示されるのは、ワイヤレス通信システムにおいてモバイルベースの測位を実行するためのモバイルデバイスであり、このデバイスは、第1の測位方法のための支援データを、第1の測位方法をサポートするネットワークから、モバイルデバイス内のワイヤレス受信機を用いて受信するための手段と、複数の送信機からワイヤレス信号を受信するための手段と、それらのワイヤレス信号と、第1の測位方法のための支援データとを使用して第2の測位方法で位置推定を計算するための手段とを備え、第1の測位方法と第2の測位方法は、異なる測位方法である。
【0011】
一部の態様によれば、開示されるのは、ワイヤレス通信システムにおいてモバイルベースの測位を実行するためのモバイルデバイスであり、このデバイスは、プロセッサと、メモリとを備え、そのメモリは、第1の測位方法のための支援データを、第1の測位方法をサポートするネットワークから、モバイルデバイス内のワイヤレス受信機を用いて受信し、複数の送信機からワイヤレス信号を受信し、さらにそれらのワイヤレス信号と、第1の測位方法のための支援データとを使用して第2の測位方法で位置推定を計算するソフトウェア命令を含み、第1の測位方法と第2の測位方法は、異なる測位方法である。
【0012】
一部の態様によれば、開示されるのは、ワイヤレス通信システムにおいてモバイルベースの測位を実行するためのモバイルデバイスのための格納されたプログラムコードを備えるコンピュータ可読媒体であり、そのプログラムコードは、第1の測位方法のための支援データを、第1の測位方法をサポートするネットワークから、モバイルデバイス内のワイヤレス受信機を用いて受信し、複数の送信機からワイヤレス信号を受信し、さらにそれらのワイヤレス信号と、第1の測位方法のための支援データとを使用して第2の測位方法で位置推定を計算するプログラムコードを含み、第1の測位方法と第2の測位方法は、異なる測位方法である。
【0013】
その他の態様が、以下の詳細な説明から当業者には明白となるものと理解され、様々な態様が例として示され、説明される。図面および詳細な説明は、例示的な性質のものであり、限定的ではないと見なされるべきものとする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】モバイルデバイスとネットワークの両方によってサポートされる第1の測位方法を使用する、知られているメッセージフローを示す図。
【図2】ネットワークが第1の測位方法をサポートするが、モバイルデバイスによってサポートされる第2の測位方法はサポートしない場合の知られているメッセージフローを示す図。
【図3】或る特定のモバイルデバイスおよび/または或る特定のネットワークによってサポートされる様々な地上測位方法を示す図。
【図4】例示的な支援データメッセージを示す図。
【図5】本発明の一部の実施形態による、ネットワークが第1の測位方法をサポートするが、モバイルデバイスによってサポートされる第2の測位方法はサポートせず、モバイルデバイスはサポートされない第2の測位方法に基づいて位置推定を計算する場合のメッセージフローを示す図。
【図6】図5のモバイルデバイスを示す流れ図である。
【図7】本発明の一部の実施形態によるモバイルデバイスを示す図。
【図8】本発明の一部の実施形態による受信機アセンブリを示す図。
【図9】本発明の一部の実施形態による受信機アセンブリを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付の図面に関連して以下に示される詳細な説明は、本開示の様々な態様の説明であることが意図されており、本開示が実施され得る態様を限定して表すことを意図するものではない。本開示において説明される各態様は、単に本開示の例として、または例示として与えられ、必ずしも、他の態様より好ましい、または有利であると解釈されるべきではない。この詳細な説明は、本開示の徹底的な理解をもたらす目的で、特定の詳細を含む。しかし、本開示は、これらの特定の詳細なしに実施されてもよいことが当業者には明白となろう。一部の場合、よく知られた構造およびデバイスは、本開示の概念を不明瞭にするのを避けるために、ブロック図形態で示される。頭字語、およびその他の記述用語は、単に便宜および簡明のために使用されることが可能であり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0016】
モバイルデバイスおよびネットワークは、様々な測位方法、測位アルゴリズム、および測位技術をサポートする。一部の測位方法は、完全にネットワーク内で実行され、モバイルデバイスからの特別なアクションを全く要求しない。他の測位方法は、ネットワークとの通信なしに、完全にモバイルデバイスによって実行される。さらに他の測位方法は、ネットワークがモバイルデバイスの位置推定を算出するのを助けるモバイルデバイスの支援を要求する。さらに他の測位方法は、モバイルデバイスが位置推定を算出するのを助けるネットワークの支援を要求する。また、測位方法は、地上ベースであっても、衛星ベースであっても、地上ベースと衛星ベースの組合せであってもよい。
【0017】
本発明によれば、考慮されるのは、地上ベースの測位方法、または衛星測位方法と組み合わされた地上ベースの測位方法である種類のネットワークによって支援される測位方法である。ネットワークが、第1の測位方法において使用される送信支援データを供給することによって、モバイルデバイスを支援する。ネットワークから見て、ネットワークは、モバイルデバイスが第1の測位方法を実行して、位置を推定するのを支援している。モバイルデバイスは、この支援データを受信し、しかし、目的とされる第1の測位方法は実行しない。代わりに、モバイルデバイスは、第2の測位方法を実行する。一部の事例では、モバイルデバイスは、支援データのサブセットを使用し、残りの支援データを破棄する。このようにして、モバイルデバイスは、ネットワークによって直接にはサポートされていない可能性がある、非標準の測位方法、サポートされていない測位方法、および/または知的所有権のある測位方法を実行することができ得る。
【0018】
地上の、ネットワークによって支援される測位方法の例には、E−OTD(Enhanced Observed Time Difference:強化観測時間差)、A−FLT(Advanced Forward Link Trilateration:高度順方向リンク三辺測量)、OTDOA(Observed Time Difference of Arrival:観測到達時間差)、E−CID(Enhanced Cell Identity:強化セルID)、CID(セルID)、およびA−GPS(Assisted Global Positioning System:支援された全地球測位システム)が含まれる。「GPS」という用語は、任意の衛星測位システムを指す総称である(ときとして、GNSS(Global Navigation Satellite System:全地球航法衛星システム)とも呼ばれる)。AFLT、E−OTD、およびOTDOAは、ネットワークにおける基地局に対するタイミング測定に基づく測位方法である。各方法は、調整されたセットの支援データを要求する。例えば、E−OTD支援データは、基地局座標情報を含む。E−OTD、OTDOA、E−CID、およびA−GPSは、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)によって定義される測位方法である。A−FLTおよびA−GPSは、第3世代パートナーシッププロジェクト2(3GPP2)によって定義される測位方法である。IEEEなどの他の組織が、E−OTD、OTDOA、およびA−FLTと類似する他の地上タイミングベースの測位方法を定義している。
【0019】
図1は、知られている第1のモバイルデバイス10とネットワーク30の両方によってサポートされる第1の測位方法を使用する、知られているメッセージフローを示す。第1のモバイルデバイス10は、第1のセットの支援データを使用する第1の測位方法をサポートし、第1の測位方法は、この事例では、ネットワークによって支援されるモバイルベースの方法である。第1の測位方法は、第1のモバイルデバイス10によってサポートされる唯一の測位方法であることが可能である。代替として、第1のモバイルデバイス10が、他の地上型の支援される方法、および支援されない方法、さらに/またはGNSS型の支援される方法、および支援されない方法をサポートすることも可能である。この例において、ネットワーク30も同様に、第1の測位方法をサポートし、第1のセットの支援データを第1のモバイルデバイス10に供給する。
【0020】
100で、ネットワーク30が、第1の測位方法を含む或る特定のセットの測位方法をネットワーク30がサポートすることができることを示すオーバーヘッドメッセージをブロードキャストする。例えば、セルブロードキャストサービス(CBS)チャネルが使用されることが可能である。代替として、第1のモバイルデバイス10が、ネットワーク30から能力情報を要求してもよく、ネットワーク30は、ネットワークによってサポートされる測位方法を含む応答メッセージで応答することが可能である。代替として、第1のモバイルデバイス10が、ネットワーク30が第1の測位方法をサポートすると想定してもよい(例えば、その方法が広く展開されていることが予期されるため)。第1の測位方法は、ネットワーク30によってサポートされる唯一の測位方法であることが可能である。代替として、ネットワーク30は、さらなるネットワークによって支援される方法、および/またはモバイルによって支援されない方法をサポートしてもよい。
【0021】
110で、第1のモバイルデバイス10が、位置推定を算出するのに必要とされる支援データをデバイス10が欠いていることを特定し、第1の測位方法に適用可能な支援データを求める要求を送る。120で、ネットワーク30が、第1の測位方法のための要求された支援データで応答する。130で、第1のモバイルデバイス10が、第1の測位方法に合わせて調整されている、受信されたばかりの支援データに基づいて、第1の測位方法を使用して位置推定を算出する。
【0022】
図2は、ネットワーク30が第1の測位方法をサポートするが、モバイルデバイスによってサポートされる第2の測位方法はサポートしない場合の知られているメッセージフローを示す。この事例では、知られている第2のモバイルデバイス15が、第2の測位方法に合わせて調整された第2のセットの支援データを要求する第2の測位方法をサポートするが、ネットワーク30によってサポートされる第1の測位方法はサポートしない。140で、第2のモバイルデバイス15が、デバイス15が第2の測位方法を使用して位置推定を算出しようと試みることを決定する。第2のモバイルデバイス15が、第2の測位方法のための支援データを要求する。これに応答して、150で、ネットワーク30が、第2の方法に合わせて調整された支援データを使用する第2の測位方法をネットワーク30がサポートしないという理由で、その要求が拒否されたことを示して応答する。
【0023】
図3は、或る特定のモバイルデバイスおよび/または或る特定のネットワーク30によってサポートされる様々な地上測位方法を示す。この適合性チャートは、いずれのモバイルベースの地上測位方法が、例示的なモバイルデバイス(例えば、第1のモバイルデバイス10、または第2のモバイルデバイス15)によってサポートされ、いずれの方法が、例示的なネットワーク30によってサポートされるかを示す。この例では、モバイルデバイスは、E−CID(第4の方法)をサポートするが、A−FLT(第1の方法)、OTDOA(第2の方法)、またはE−OTD(第3の方法)はサポートしない。ネットワーク30は、A−FLT、OTDOA、およびE−OTDをサポートするが、E−CIDはサポートしない。したがって、ネットワーク30とモバイルデバイスの組合せは、これらの方法のいずれもサポートしない。この場合には、モバイルデバイスは、E−CID(第4の方法)に合わせて調整された支援データを要求することができず、このため、モバイルデバイスは、位置推定を計算するのにE−CIDを実行しない。
【0024】
図4は、例示的な支援データメッセージ40を示す。支援データメッセージ40は、ブロードキャストで、またはポイントツーポイントメッセージを介して通信されることが可能である。この場合、ネットワーク30からの支援データメッセージ40は、地上支援データ42(例えば、第1の方法のための)と、衛星ベースの方法のためのGNSS支援データ44をともに含む。支援データメッセージ40、地上支援データ42、および/またはGNSS支援データ44は、別のメッセージ(登録メッセージなどの)の一部であることも、地上支援データ42またはGNSS支援データ44のいずれかを通信することに専用の別個のメッセージの中に入っていることも可能である。前述したとおり、地上支援データ42は、特定の測位方法に合わせて調整される。この例では、地上支援データ42は、ネットワーク30における基地局のセットをリストアップする基地局アルマナック(almanac)を含む。各基地局に関する情報は、基地局ノードのタイプ(例えば、基地局ノードが、CDMA2000であるか、UMTS NodeBであるか、LTE eNodeBであるか、GSM(登録商標) BTSアクセスポイントタイプもしくはWiFiアクセスポイントタイプの基地局であるか)を含む。また、その情報は、ノードの識別情報(ID)、ならびにノードの緯度と経度、送信電力、およびタイミング情報も含む。タイミング情報は、ノードの送信タイミングと、絶対GPS時間などの他の何らかのソースのタイミング、またはモバイルデバイス20にサービスを提供するノードの送信タイミングとの間の関係を供給することが可能である。また、この例における支援データメッセージ40は、オプションの衛星支援データまたはGNSS支援データ44も含む。一部の実施形態において、GNSS支援データ44は、含められない。地上支援データ42は、地上位置推定と衛星位置推定を組み合わせる、または一方を他方より選好する方法に合わせて調整されることが可能である。
【0025】
図5は、本発明の一部の実施形態による、ネットワーク30が第1の測位方法をサポートするが、モバイルデバイスによってサポートされる第2の測位方法はサポートせず、モバイルデバイスはサポートされない第2の測位方法に基づいて位置推定を計算する場合のメッセージフローを示す。一部の実施形態は、ネットワークによって意図される用法によらない仕方で地上支援データ42を使用するモバイルデバイス20を使用する。この場合、例えば、ネットワーク30は、第1のセットの地上支援データ42を使用する第1の測位方法をサポートするが、第2の測位方法はサポートしない。他方、モバイルデバイス20は、第2の測位方法をサポートする。
【0026】
ステップ200で、モバイルデバイス20が、ネットワークによってサポートされる第1の測位方法のための支援データを要求する。代替として、ネットワーク30は、(1)要請のないブロードキャストメッセージによって、(2)地上支援データ42を前の応答に添付する、または付加することによって、さらに/または(3)モバイルデバイス20に送られるコマンド(例えば、モバイルデバイス20がデバイス20のロケーション推定を獲得して、戻すようにさせるネットワーク30からのコマンド)に添付することによって、第1の測位方法のための地上支援データ42をモバイルデバイス20に供給してもよい。
【0027】
210で、ネットワーク30が、第1の測位方法に合わせて調整された第1のセットの地上支援データ42で応答する。220で、モバイルデバイス20が、受信されたばかりの地上支援データ42のサブセットを使用して、第2の測位方法を使用して位置推定を算出する。実際、モバイルデバイス20は、1つの測位方法向けに意図されている地上支援データ42を別の方法に適応させることによって、ネットワーク30の限界を無視する。ネットワークによってサポートされる測位方法に制限される、知られているモバイルデバイス(第1のモバイルデバイス10、または第2のモバイルデバイス15などの)とは異なり、モバイルデバイス20は、第1の測位方法によって使用されることが意図されている地上支援データ42を代替の測位方法のために利用する。
【0028】
本発明によれば、第1の測位方法が、ネットワーク30によってサポートされ、第2の測位方法が、モバイルデバイス20によってサポートされる。モバイルデバイス20は、第2の測位方法に加えて、必然的にではないが、第1の測位方法をサポートすることが可能である。しかし、ネットワーク30は、モバイルデバイス20が実行する第2の測位方法をサポートしない可能性がある。例えば、第1の測位方法が、OTDOA(観測到達時間差)測位方法とE−CID(強化セルID)測位方法のいずれか一方を含むことが可能である。第2の測位方法は、OTDOA測位方法とE−CID測位方法のいずれか他方を含むことが可能である。
【0029】
モバイルデバイス20は、第2の測位方法が、第1の測位方法と比べて、使用する処理がより少なく、さらに/または計算がそれほど複雑でないという理由で、第2の測位方法を選択することが可能である。モバイルデバイス20は、第2の測位方法が、ネットワークによってサポートされる方法と比べて、使用するバッテリ電力がより少ないという理由で、第2の測位方法を選択することが可能である。代替として、モバイルデバイス20は、第2の測位方法が、ネットワーク30から利用可能な地上支援データ42のサブセットだけを使用するという理由で、第2の測位方法を選択してもよい。代替として、モバイルデバイス20は、第2の測位方法が、少なくとも1つの点、例えば、第1の固定の精度に到達する時間がより短い、さらに/またはより精度が高いことで、より良好なパフォーマンスを示すという理由で、第2の測位方法を選択してもよい。代替として、モバイルデバイス20は、第2の測位方法が、モバイルデバイス20のユーザまたは供給業者によって選好されるという理由で、第2の測位方法を選択してもよい。代替として、モバイルデバイス20は、非標準の測位方法が、ネットワーク30、および/またはネットワーク30によって実施される標準によってサポートされていないという理由で、第2の測位方法を選択してもよい。
【0030】
第1の測位方法のためのネットワーク30によって供給される地上支援データ42を使用する際、モバイルデバイス20は、その支援データのサブセットを使用して、第2の測位方法を実行する。例えば、モバイルデバイス20およびネットワーク30が、図3のとおりの測位方法をサポートし、図4のとおり支援データメッセージ40が、ネットワーク30によって供給される場合、OTDOAのための地上支援データ42がネットワークによって供給されることが可能であるが、モバイルデバイス20によって、E−CIDのために使用されることが可能である。この場合には、モバイルデバイス20は、地上支援データ42の中のノードタイミング情報を無視し、その情報のサブセット(例えば、各ノードの緯度と経度、およびノード送信電力)だけを利用することが可能である。情報の、このサブセットは、モバイルデバイス20が、E−CIDを使用して位置推定を獲得するのに十分である可能性がある(例えば、モバイルデバイス20は、近くのノードの受信信号強度を測定し、この測定された信号強度を、各ノードの、供給された送信電力、および緯度と経度と組み合わせて、デバイス20のロケーションの推定を獲得することが可能である)。E−CIDを実行する際、モバイルデバイス20は、モバイルデバイス20がOTDOA測位を実行していたとすると要求される、各ノードの相対タイミングを測定することを行わないことが可能である。その結果、モバイルデバイス20は、ネットワーク30によってサポートされる方法とは異なる測位方法を実行することが可能であるが、それでも、ネットワーク30によって供給される支援データ40を使用して、サポートされていない方法を実行することができる。さらに、この例において、ネットワーク30が、図4に示される地上支援データ42のすべてを供給するわけではない場合、モバイルデバイス20は、それでも、その情報のサブセットを使用して、ネットワーク30によって意図されるのとは異なる方法を使用して、デバイス20のロケーションを獲得することができ得る。例えば、支援データ42が、各ノードに関するタイプ、ID、緯度、経度、およびタイミング情報を含むが、信号電力は含まない場合、モバイルデバイス20は、各ノードに関する緯度と経度だけを使用して、しかしタイミング情報は使用せずに、E−CID測位方法の異なる変種を使用して、デバイス20のロケーションを獲得することが可能である。例えば、モバイルデバイス20は、モバイルデバイス20における各ノードの受信信号強度に応じて重みが割り当てられた、支援データ42の中で供給されるノードロケーションの加重平均に基づいて、ロケーション推定を獲得することが可能である。
【0031】
図6は、図5のモバイルデバイス20の流れ図を示す。300で、モバイルデバイス20が、ネットワーク30に入る。モバイルデバイス20は、ネットワーク30と通信して、いずれの測位方法がサポートされているかを特定する。この例では、モバイルデバイス20は、ネットワーク30が第1の測位方法をサポートするが、第2の測位方法はサポートしないことを特定する。この事例では、モバイルデバイス20は、第1の測位方法に関連付けられた、ネットワークによって供給される地上支援データ42を使用して、サポートされていない第2の測位方法を実行することを意図している。
【0032】
310で、モバイルデバイス20が、第1の測位方法を実行することをサポートするという名目で、ネットワーク30から地上支援データ42を要求する。320で、モバイルデバイス20が、第1の測位方法のための地上支援データ42を含む応答をネットワーク30から受信する。
【0033】
330で、モバイルデバイス20が、1つまたは複数の基地局、または他の地上送信機からワイヤレス信号を受信するようにデバイス20の受信機を調整する。受信機は、そのワイヤレス信号を分析して、基地局信号の特性を特定する。この特性は、使用される特定の測位方法に依存する。例えば、モバイルデバイス20は、基地局信号の間の相対時間差、または或る信号が各基地局とモバイルデバイス20の間の片道で、または往復で伝送される絶対時間を算出することが可能である。この時間差が、三辺測量のために距離を算出するのに使用されることが可能である。また、モバイルデバイスは、受信信号強度またはパスロス、あるいは信号対雑音比特性などの、基地局信号の他の特性を特定することも可能である。それらの特性は、モバイルと送信機の間の距離を算出するために使用されることが可能であり、あるいは或る特定の区域の信号フィンガープリントのデータベースを使用して、ロケーション依存の予期される信号特性と比較されることが可能である。
【0034】
340で、モバイルデバイス20が、第2の測位方法と、第1の測位方法向けに意図されている地上支援データ42に基づいて特定された特性とを使用して、位置推定を計算する。また、モバイルデバイス20は、衛星測位を地上測位と組み合わせることも可能である。例えば、アルゴリズムが、地上測位方法によって算出された位置推定、および衛星測位方法によって算出された別の位置推定に重みを付けることが可能である。
【0035】
図7は、本発明の一部の実施形態によるモバイルデバイスを示す。モバイルデバイス20は、ワイヤレス通信システムにおいてモバイルベースの測位を実行し、少なくとも1つのワイヤレス受信機を含む受信機アセンブリ400を含む。受信機アセンブリ400は、(1)第1の測位方法をサポートするネットワーク30から、第1の測位方法のための地上支援データ42を受信するための手段、および(2)複数の送信機からワイヤレス信号を受信するための手段として動作する。受信機アセンブリ400は、(1)第1の測位方法をサポートするネットワーク30から、第1の測位方法のための地上支援データ42を受信するとともに、(2)1つまたは複数の送信機からワイヤレス信号を受信する。
【0036】
また、モバイルデバイス20は、受信機アセンブリ400に結合されたプロセッサ440も含む。プロセッサ440は、ワイヤレス信号と、第1の測位方法のための地上支援データ42とを使用して第2の測位方法で位置推定を計算するための手段として動作する。プロセッサ440は、専用マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピュータ(RISC)プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、ディジタルシグナルプロセッサ(DSP)などであることが可能である。プロセッサ440は、ワイヤレス信号と、第1の測位方法のための地上支援データ42とを使用して第2の測位方法で位置推定を計算するように構成され、第1の測位方法と第2の測位方法は異なる。
【0037】
モバイルデバイス20は、プロセッサ440とは別個であるメモリ450、および/またはプロセッサ440に組み込まれたメモリ450を含む。メモリ450は、(1)第1の測位方法をサポートするネットワーク30から第1の測位方法のための地上支援データ42を、モバイルデバイス内の受信機アセンブリ400を用いて受信し、(2)複数の送信機からワイヤレス信号を受信し、さらに(3)それらのワイヤレス信号と、第1の測位方法のための地上支援データ42とを使用して第2の測位方法で位置推定を計算する実行可能コードの形態のソフトウェア命令を含むことが可能である。同様に、このソフトウェアは、RAM、EPROM、EEPROM、ディスク、ハードドライブ、磁気ドライブ、光ドライブなどのコンピュータ可読媒体に書き込まれることも可能である。
【0038】
図8および図9は、本発明の一部の実施形態による受信機アセンブリ400を示す。図8において、受信機アセンブリ400は、ネットワーク30からの支援データメッセージ40と、ワイヤレス基地局信号の両方が含まれる地上信号を受信するのに使用される第1の受信機410を含む。一部の場合には、ワイヤレス基地局信号は、同一のネットワーク30内の基地局から来る。他の場合には、ワイヤレス基地局信号は、ネットワーク30の外部の基地局から来る。第1の受信機410は、CDMA標準、TDMA標準、または他のモバイル無線標準などの標準に基づいて、ワイヤレス信号を受信するように構成される。
【0039】
2つまたは3つの受信機を含むことが可能な代替の受信機アセンブリ400を示す図9。第1の受信機410は、前述したとおり、ネットワーク30から地上信号を受信するものとされる。第2の受信機420もまた、ネットワーク30とは異なるネットワークから地上信号を受信するのに使用される。その異なるネットワークは、ネットワーク30とは異なる標準を使用することが可能である。例えば、ネットワーク30が、CDMAネットワークであることが可能であり、その異なるネットワークが、TDMAネットワークであることが可能である。
【0040】
図8または図9の受信機アセンブリ400の一部であることが可能な第3の受信機430が、衛星から衛星測位システム(SPS)信号を受信するのに使用される。第3の受信機430は、GPS受信機、または類似したGNSS受信機であることが可能である。
【0041】
前述した受信機のそれぞれは、プロセッサ440に結合され、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで実施されることが可能である。前述した第1の受信機410、および第2の受信機420は、トランシーバの一部であることが可能である。例えば、第1の受信機410は、モバイル無線トランシーバ内に見られる受信機−送信機の一部であることが可能である。
【0042】
本明細書で使用されるモバイルデバイスとは、セルラ通信デバイスもしくは他のワイヤレス通信デバイス、パーソナル通信システム(PCS)デバイス、パーソナルナビゲーションデバイス(PND)、パーソナル情報マネージャ(PIM)、携帯情報端末(PDA)、ラップトップモバイルデバイス、あるいはワイヤレス通信および/またはナビゲーション信号を受信することができる他の適切なモバイルデバイスなどのデバイスを指す。また、モバイルデバイスという用語は、短距離のワイヤレス接続、赤外線接続、有線接続、または他の接続によるなどして、パーソナルナビゲーションデバイス(PND)と通信するデバイスを含むことも意図しており、そのデバイスにおいて、またはPDNにおいて衛星信号受信が行われるか、支援データ受信が行われるか、さらに/または位置関連の処理が行われるかにかかわらない。また、モバイルデバイスには、インターネット、Wi−Fi、または他のネットワークを介するなどして、サーバと通信することができる、ワイヤレス通信デバイス、コンピュータ、ラップトップなどを含むすべてのデバイスが含まれることが意図されており、そのデバイスにおいて、サーバにおいて、あるいはそのネットワークに関連する別のデバイスにおいて衛星信号受信が行われるか、支援データ受信が行われるか、さらに/または位置関連の処理が行われるかにかかわらない。また、上記のものの動作可能な任意の組合せもまた、「モバイルデバイス」とみなされる。
【0043】
本明細書で説明される方法は、用途に応じて様々な手段によって実施されることが可能である。例えば、これらの方法は、ハードウェアで、ファームウェアで、ソフトウェアで、または以上の任意の組合せで実施されることが可能である。ハードウェアが関与する実施形態の場合、処理ユニットは、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、ディジタルシグナルプロセッサ(DSP)、ディジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明される機能を実行するように設計された他の電子ユニット、あるいは以上の組合せの内部に実装されることが可能である。
【0044】
ファームウェアおよび/またはソフトウェアで実施される場合、それらの機能は、コンピュータ可読媒体上に1つまたは複数の命令またはコードとして格納されることが可能である。例には、データ構造が符号化されたコンピュータ可読媒体、およびコンピュータプログラムが符号化されたコンピュータ可読媒体が含まれる。コンピュータ可読媒体には、物理的コンピュータ記憶媒体が含まれる。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされることが可能な任意の利用可能な媒体であることが可能である。例として、限定としてではなく、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMもしくは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ、半導体ストレージ、または他のストレージデバイス、あるいは命令またはデータ構造の形態で所望されるプログラムコードを格納するのに使用されることが可能であり、コンピュータによってアクセスされることが可能である他の任意の媒体を備えることが可能であり、本明細書で使用されるディスク(disk)およびディスク(disc)には、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、ディジタルバーサタイルディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、およびブルーレイ(登録商標)ディスクが含まれ、ただし、ディスク(disk)は、通常、磁気的にデータを再現するのに対して、ディスク(disc)は、レーザを使用して光学的にデータを再現する。また、以上の媒体の組合せも、コンピュータ可読媒体の範囲内に含められなければならない。
【0045】
コンピュータ可読媒体上に格納されることに加えて、命令および/またはデータは、通信装置に含められる伝送媒体上の信号として提供されることが可能である。例えば、通信装置は、命令およびデータを示す信号を有するトランシーバを含むことが可能である。それらの命令およびデータは、1つまたは複数の処理ユニットに、特許請求の範囲に概略が述べられる機能を実施させるように構成される。つまり、通信装置は、開示される機能を実行する情報を示す信号を有する伝送媒体を含む。第1の時点で、通信装置に含められる伝送媒体は、開示される機能を実行する情報の第1の部分を含むことが可能であるのに対して、第2の時点で、通信装置に含められる伝送媒体は、開示される機能を実行する情報の第2の部分を含むことが可能である。
【0046】
本明細書で使用される位置特定技術は、ワイヤレスワイドエリアネットワーク(WWAN)、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)、ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク(WPAN)などの様々なワイヤレス通信ネットワークに関連して実施されることが可能である。「ネットワーク」という用語と「システム」という用語は、しばしば、互換的に使用される。WWANは、符号分割多元接続(CDMA)ネットワーク、時分割多元接続(TDMA)ネットワーク、周波数分割多元接続(FDMA)ネットワーク、直交周波数分割多元接続(OFDMA)ネットワーク、シングルキャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)ネットワーク、ロングタームエボリューション(LTE)ネットワーク、WiMAX(IEEE802.16)ネットワークなどであることが可能である。CDMAネットワークは、cdma2000、広帯域CDMA(W−CDMA)などの1つまたは複数の無線アクセス技術(RAT)を実施することが可能である。Cdma2000は、IS−95標準、IS−2000標準、およびIS−856標準を含む。TDMAネットワークは、グローバルシステムフォーモバイルコミュニケーションズ(GSM)、ディジタルアドバンストモバイルフォンシステム(D−AMPS)、または他の何らかのRATを実施することが可能である。GSMおよびW−CDMAは、「第3世代パートナーシッププロジェクト」(3GPP)と名付けられたコンソーシアムからの文書において説明される。Cdma2000は、「第3世代パートナーシッププロジェクト2」(3GPP2)と名付けられたコンソーシアムからの文書において説明される。3GPP文書および3GPP2文書は、公開されている。WLANは、IEEE802.11xネットワークであることが可能であり、さらにWPANは、Bluetooth(登録商標)ネットワーク、IEEE802.15xネットワーク、または他の何らかのタイプのネットワークであることが可能である。また、これらの技術は、WWAN、WLAN、および/またはWPANの任意の組合せに関連して実施されることも可能である。
【0047】
衛星測位システム(SPS)は、通常、エンティティが、送信機から受信された信号に少なくとも部分的に基づいて、地球上、または地球上空の、それらのエンティティのロケーションを特定することを可能にするように位置付けられた送信機のシステムを含む。そのような送信機は、通常、決まった数のチップの繰り返す擬似ランダム雑音(PN)符号で印が付けられた信号を送信し、地上ベースの制御局上に、ユーザ機器上に、さらに/または宇宙ビークル上に配置されることが可能である。或る特定の例において、そのような送信機は、地球周回衛星ビークル(SV)上に配置されることが可能である。例えば、全地球測位システム(GPS)、ガリレオ、グロナス、またはコンパスなどの全地球航法衛星システム(GNSS)の配置における或るSVが、その配置における他のSVによって送信されるPN符号とは区別できるPN符号で印が付けられた信号を送信することが可能である(例えば、GPSの場合と同様に各衛星に関して異なるPN符号を使用して、またはグロナスの場合と同様に異なる周波数上で同一の符号を使用して)。いくつかの態様によれば、本明細書で提示される技術は、SPSのための全地球システム(例えば、GNSS)に限定されない。例えば、本明細書で提供される技術は、例えば、日本上空の準天頂衛星システム(QZSS)、インド上空のインド地域航法衛星システム(IRNSS)、中国上空の北斗などの様々な地域システム、および/または1つまたは複数の全地球航法衛星システムおよび/または地域航法衛星システムに関連付けられる、もしくはそれ以外でそのようなシステムのために使用可能にされることが可能である様々な補強システム(例えば、衛星ベースの補強システム(SBAS))に適用される、またはそれ以外でそのようなシステムのために使用可能にされることが可能である。例として、限定としてではなく、SBASには、例えば、広域補強システム(WAAS)、欧州静止衛星航法オーバーレイシステム(EGNOS)、多機能衛星補強システム(MSAS)、GPSによって支援された静止衛星補強航法システム、もしくはGPS−静止衛星補強航法システム(GAGAN)などの、完全性情報、差分補正などをもたらす補強システムが含まれる。このため、本明細書で使用されるSPSには、1つまたは複数の全地球航法衛星システム、および/または地域航法衛星システム、および/または補強システムの任意の組合せが含まれることが可能であり、さらにSPS信号には、そのような1つまたは複数のSPSに関連するSPS信号、SPS様の信号、および/またはその他の信号が含まれることが可能である。
【0048】
開示される態様の以上の説明は、任意の当業者が本開示を作成する、または使用することを可能にするように与えられる。これらの態様の様々な変形が、当業者には明白となり、さらに本明細書で定義される一般的な原理は、本開示の趣旨または範囲を逸脱することなく、他の態様に適用されることが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイルデバイス内で実行される、ワイヤレス通信システムにおいてモバイルベースの測位を実行するための方法であって、
前記モバイルデバイス内のワイヤレス受信機を使用して、第1の測位方法のための支援データを、前記第1の測位方法をサポートするネットワークから受信すること、
複数の送信機からワイヤレス信号を受信すること、および
前記ワイヤレス信号と、前記第1の測位方法のための前記支援データとを使用して第2の測位方法で位置推定を計算することを備え、
前記第1の測位方法と前記第2の測位方法は、異なる測位方法である方法。
【請求項2】
前記異なる測位方法は、OTDOA(観測到達時間差)測位方法とE−CID(強化セルID)測位方法のいずれか1つを備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記異なる測位方法は、前記OTDOA(観測到達時間差)測位方法と前記強化セルID測位方法の異なるいずれか1つをさらに備える請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記モバイルデバイスによる、前記支援データを要求することをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記支援データは、複数の基地局のそれぞれに関するロケーションを備える請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記モバイルデバイスは、前記第1の測位方法をサポートしない請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ネットワークは、前記第2の測位方法をサポートしない請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の測位方法は、前記支援データのサブセットだけを使用する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の測位方法は、非標準型である請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の測位方法は、前記第1の測位方法と比べて、計算がそれほど複雑でない請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ワイヤレス通信システムにおいてモバイルベースの測位を実行するためのモバイルデバイスであって、
第1の測位方法のための支援データを、前記第1の測位方法をサポートするネットワークから受信し、および複数の送信機からワイヤレス信号を受信する少なくとも1つのワイヤレス受信機を備える受信機アセンブリと、
前記ワイヤレス信号と、前記第1の測位方法のための前記支援データとを使用して第2の測位方法で位置推定を計算するように構成された、前記受信機アセンブリに結合されたプロセッサとを備え、
前記第1の測位方法と前記第2の測位方法は、異なる測位方法であるモバイルデバイス。
【請求項12】
前記受信機アセンブリは、
前記第1の測位方法のための前記支援データを、前記第1の測位方法をサポートする前記ネットワークから受信する第1の受信機と、
前記複数の送信機から前記ワイヤレス信号を受信する第2の受信機とを備える請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記第1の受信機は、モバイル無線トランシーバを備える請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記複数の送信機は、衛星からの信号を備える請求項11に記載のデバイス。
【請求項15】
前記複数の送信機は、基地局からの信号を備える請求項11に記載のデバイス。
【請求項16】
前記モバイルデバイスは、前記第1の測位方法をサポートしない請求項11に記載のデバイス。
【請求項17】
前記ネットワークは、前記第2の測位方法をサポートしない請求項11に記載のデバイス。
【請求項18】
前記第2の測位方法は、非標準型である請求項11に記載のデバイス。
【請求項19】
前記第2の測位方法は、前記第1の測位方法と比べて、計算がそれほど複雑でない請求項11に記載のデバイス。
【請求項20】
ワイヤレス通信システムにおいてモバイルベースの測位を実行するためのモバイルデバイスであって、
第1の測位方法のための支援データを、モバイルデバイス内部で、前記第1の測位方法をサポートするネットワークから受信するための手段と、
複数の送信機からワイヤレス信号を受信するための手段と、
前記ワイヤレス信号と、前記第1の測位方法のための前記支援データとを使用して第2の測位方法で位置推定を計算するための手段とを備え、
前記第1の測位方法と前記第2の測位方法は、異なる測位方法であるモバイルデバイス。
【請求項21】
プロセッサと、メモリとを備える、ワイヤレス通信システムにおいてモバイルベースの測位を実行するためのモバイルデバイスであって、
前記メモリは、
前記第1の測位方法のための支援データを、前記第1の測位方法をサポートするネットワークから、モバイルデバイス内のワイヤレス受信機を用いて受信し、
複数の送信機からワイヤレス信号を受信し、
さらに前記ワイヤレス信号と、前記第1の測位方法のための前記支援データとを使用して第2の測位方法で位置推定を計算するソフトウェア命令を含み、
前記第1の測位方法と前記第2の測位方法は、異なる測位方法であるモバイルデバイス。
【請求項22】
ワイヤレス通信システムにおいてモバイルベースの測位を実行するためのモバイルデバイスのための格納されたプログラムコードを備えるコンピュータ可読媒体であって、
前記プログラムコードは、第1の測位方法のための支援データを、前記第1の測位方法をサポートするネットワークから、前記モバイルデバイス内のワイヤレス受信機を用いて受信し、
複数の送信機からワイヤレス信号を受信し、
さらに前記ワイヤレス信号と、前記第1の測位方法のための前記支援データとを使用して第2の測位方法で位置推定を計算するプログラムコードを含み、
前記第1の測位方法と前記第2の測位方法は、異なる測位方法であるコンピュータ可読媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2012−529658(P2012−529658A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515110(P2012−515110)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/038017
【国際公開番号】WO2010/144607
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】