説明

改良された芳香薬品

それから芳香薬品誘導体が誘導される芳香薬品より、長い貯蔵寿命を有する、改良された芳香薬品誘導体、およびその誘導体を含む芳香剤および香味剤を開示する。具体的には、誘導体は、芳香薬品の芳香の特徴を保持すると同時に、アレルギー特性を低下させ、安定性を増大させかつ/または香りの強さを増大させる。誘導体の製造方法、および誘導体を含む製造物品も開示する。1つの実施形態では、シトラール中の1個または複数の二重結合をチオエーテル、シクロプロピル、オキシランまたはチイラン基で置換することによって誘導体を調製する。シクロプロパン環は1個または2個のより低級アルキル、好ましくはメチル基で置換されてなくても置換されていてもよい。アルキル基は場合によって、例えば、電子供与基、電子吸引基、親水性または疎水性を増大させる基などで置換されていてよい。他の実施形態では、精油中のアルデヒド基をニトリル、メチルエーテルまたはアセタール基で置換することによって、誘導体を調製することができる。アセタール基は化合物に長期間持続する香味または芳香を提供することができ、そこでアセタールは徐々に加水分解して親精油中にアルデヒド基を提供する。いくつかの実施形態では、アルデヒドと、二重結合官能基のうちの少なくとも1つの両方とを、本明細書に記載のようにしてどちらも誘導する。適している製造物品の例にはキャンドル、室内用消臭剤、香料、殺菌性組成物、次亜塩素酸塩(漂白剤)組成物、ビールおよびソーダなどの飲料、入れ歯洗浄錠剤およびトローチ剤、キャンディなどの香味付き経口送達製品が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に香味剤および芳香剤の分野に関する。より具体的には本発明は、天然化合物の安定性の限界および/またはアレルギー性を克服する、芳香薬品をベースとした香料および他の芳香性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの芳香薬品が香味剤および芳香剤工業で使用される。例えば、シトラールはレモンの香りを有しており、このようなものは香味剤および/または芳香剤として多くの製造物品で使用される。しかし多くの芳香薬品は潜在的に反応の影響を受け易くその結果有用寿命が限られることになる、二重結合、アルデヒド基および他の反応基を含んでいる。さらに多くの精油芳香剤はアレルギー反応を引き起こすことが最近確認されており、そうした化合物を市場に出すことは増々困難になってきている。
【0003】
様々な芳香剤を形成するための基礎である多くの芳香薬品はアレルギー誘発物質のリストに掲載されており、多くの商業分野で禁止または制限されている。主として、香料業者のパレットを小さくすることは特定のノーツ(notes)の創造を実質的に不可能にするという理由から、この禁止や制限は疑いなく様々な芳香剤の品質に対して相当な影響を及ぼすことになる。ミュゲアコードを形成するのに使用される芳香薬品の例には、ヒドロキシシトロネラル、リラル(IFF)リリアールおよびボージュナールが含まれる。香料業者の残されているわずかなすずらんの材料はシクラメンアルデヒド、マジャントール(Haarman&Reimer)、マヨール(Firmenich)およびより新しいデュピカル(dupical)(Quest)、エリンタール(elintaal)(Quest)、フローラヒドラール(florahydral)(Givaudan−Roure)などのより粗製の芳香剤である。ローズノーツでもリスト上のゲラニオールとシトロネロールの両方で生み出すことは困難になり、多くの他の古典的で空想的な匂いのノーツおよびテーマ(themes)を実現することは困難となり、香料業者は事実上お手上げである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アレルギー反応を同様にもたらさず、かつ/または改良された有用寿命を有するこれらの化合物の誘導体を開発することが望ましい。さらなる有利な特性には改良された香りの強さおよび安定性が含まれる。本発明はそうした芳香剤および香味剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
芳香剤および香味剤がそれから誘導される親化合物より長い貯蔵寿命を有する改良された芳香剤および香味剤を開示する。具体的には、芳香薬品の芳香の特徴を保持すると同時にアレルギー特性を低下させ、芳香薬品の誘導体がそれから誘導される親化合物より長い貯蔵寿命を有することができる芳香薬品の誘導体を開示する。誘導体の製造方法、および誘導体を含む製造物品も開示する。
【0006】
1つの実施形態では、親化合物は1個または複数の二重結合を含み、誘導体は親分子中の1個または複数の二重結合をチオエーテル結合、シクロプロピル基、オキシラン基またはチイラン基で置換することによって調製される。ここでシクロプロピル基は1個または2個のより低級アルキル、好ましくはメチル基で置換されてなくても置換されていてもよい。アルキル基は場合によって、例えば、電子供与基、電子吸引基、親水性または疎水性を増大させる基などで置換されていてよい。
【0007】
これらの親化合物がさらに1個または複数のアルデヒド基を含む場合、誘導体親分子中の少なくとも1個のアルデヒド基がニトリル、メチルエーテルまたはアセタール基で置換されている誘導体を調製することができる。アセタール基はその化合物に長期間持続する香味または芳香を提供することができ、そこでアセタールは徐々に加水分解して親アルデヒド化合物を提供する。いくつかの実施形態では、適切な分子には、どちらも本明細書で述べるようにして誘導されるアルデヒドと二重結合の両方の官能基が含まれる。
【0008】
第3の実施形態では、親化合物にはベンゼン環が含まれ、その誘導体はベンゼン環をチオフェン環で置換することによって調製される。チオフェンは好ましくは2位および/または3位に、1個または複数のC1−5アルキル基を含んでよい。フェニル基が1つの分子に存在しイソプレニル基が他の分子に存在する、同様の香りを有する複数の知られている化合物が存在する。本発明の第4の実施形態では、親化合物はイソブチル基またはフェニル基を含み、誘導体はイソブチル基またはフェニル基をシクロプロパン化イソプレニル基で置換することによって調製される。
【0009】
適している製造物品の例にはキャンドル、室内用消臭剤、香料、殺菌性組成物、次亜塩素酸塩(漂白剤)組成物、ビールおよびソーダなどの飲料、例えば米国特許第5,571,519号に記載の入れ歯洗浄錠剤(その内容全体を参照により本明細書に合体する)およびトローチ剤、キャンディなどの香味付き経口送達製品が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
芳香剤および香味剤がそれから誘導される親化合物より長い貯蔵寿命を有する改良された芳香剤および香味剤を開示する。この改良は香りの特徴を変えない、より大きい強さおよび/またはより高い化学的安定性の形であってよい。より大きい強さを望む場合、香りの強さを増大させるために例えば亜鉛結合能力を増大させることによって、香りの特徴をそれほど変えることなく芳香剤構造を改変する。より高い安定性を望む場合、化学的安定性に影響を及ぼす1種または複数の構造的特徴を、本明細書で説明のようにして香りの特徴をそれほど変えることなく変えることができる。
【0011】
I.イソドニック分子
本明細書に記載の誘導体は、誘導体がそれからもたらされる化合物に対してイソドニックである。イソドニックということは「本質的に同じ香りプロファイルを有すること」を意味する。しかし、本質的に同じ香りプロファイルを有すると同時に、化合物は改良された安定性、香りの強さ、および/または改良された物理的および/もしくは化学的特性を有することができる。
【0012】
誘導体がそれから誘導される化合物は、芳香薬品、精油中に存在する特定の芳香剤化合物である。誘導体は芳香薬品または個別の化合物から調製することができるが、必ずしもそうする必要はない。すなわち、最終化合物が本明細書に記載のオイルまたは特定の芳香剤化合物の誘導体である限り、化合物を芳香薬品の使用を伴わない合成ストラテジーで誘導することができる。必要なことは化合物が「親」化合物とイソドニックであるということだけである。イソドニック置換(例えば、エン−シクロプロパン置換、エン−オキシラン置換、エン−チイラン置換、エン−チオエーテル置換、イソブチル−フェニル置換およびベンゼン−チオフェン置換)をより詳細に以下に説明する。いくつかの実施形態では、親化合物は、オレフィン性のフェニルおよび/またはチオフェン基に加え、アルデヒド基、ニトリル基、メチルエーテル基および/またはエステル基を含む。これらの実施形態では、上記の置換に加え、以下の追加の置換をさらに行うことができる。すなわち、アルデヒド−ニトリル置換、アルデヒド−メチルエーテル置換、アルデヒド−アセタール置換、アルデヒド−エステル置換、およびこれらの置換の逆(すなわち、メチルエーテル−アルデヒドなど)である。
【0013】
通常の化学的特徴を、基礎構造をそのままにしたまま、したがって香りには実質的に関わらずにケミストリーを変えるように設計された他の特徴で置き換えることによって、芳香薬品の香りの強さおよび/または安定性を改良することができる。置き換えられる適切な化学的特徴の例をより詳細に以下に説明する。
【0014】
二重結合置換および香りに対するその効果
多くの芳香薬品はイソプレニル単位および/または他のC=C二重結合を含む。C=C二重結合は、香りの特徴をそれほど変えることなく、チオエーテル基、−S−で置換することができる。1つの実施形態では、炭素二重結合をチオシクロプロパン環で置換する。この実施形態では、イオウの不対電子は容易にZnと結合し、これは香りのタイプをそれほど変えることなく、香りの強さを増大させる。
【0015】
精油中の1個または複数の(存在すれば)C=C二重結合は、シクロプロパン、オキシラン(OX)またはチイラン(TH)部分で置換できる。この置換によって化合物の香りは実質的に同等に保持され、他方香りの強さは劇的に改良される。香りの強さを測定する1つの方法は、亜鉛結合親和力によるものである。上記の三員環はすべて亜鉛イオンに配位することができる。
【0016】
C=C二重結合をオキシランまたはチイランで置換することの他の利点は、これによってより大きい分子量の分子が生成することである。より大きい分子量は分子の揮発性を低下させ、それによって潜在的にトップノートをミドルノートへ、またはミドルノートをドライダウンノートに変えることができる。
【0017】
芳香剤の性能を改良するために本明細書で説明する手順はシトラールによって最もよく示される。同様の構造的特徴、すなわちC=C二重結合を有する任意の他の芳香剤に直接応用できる。シトラールは、分子の2個の二重結合に関してその位置の一方または両方を、シクロプロパン化されていてよい。したがって、立体異性体を含め以下に示すようにシトラールに対する5つのCP−変異形態がある。
【0018】
【化1】

【0019】
シクロプロパン環はCH部分を含んでよい、または1個または2個のメチル基で置換されていてよい。メチルもしくはジメチル類似体は、非置換シクロプロパン誘導体より、より近接してシトラールと一致する振動スペクトルを有し、非置換シクロプロピル誘導体より甘いにおいを有する。
【0020】
本明細書に記載の誘導体には、二重結合の一方または両方が(非置換のモノアルキルもしくはジアルキルであって、アルキルが置換されていても置換されていなくてもよく、好ましくはメチルである)シクロプロピル基で置換されている誘導体が含まれる。その化合物は、シクロプロピル基と組み合わせてまたはシクロプロピル基に置き換えて、メチルエーテル、ニトリルまたはアセタール基でのアルデヒドの置換を含むことができる。
【0021】
メチル、ジメチルまたは非置換シクロプロパン誘導体の合成は当分野の技術者によく知られており、例えば、ブロモホルム反応を用いてブロモシクロプロパン誘導体を生成させ、続いてメチルリチウムと化学量論的に反応させる。アルデヒド基は一般に反応の間アセタールとして保護され、反応が起こった後、所望の脱保護を行う。しかし、1つの実施形態では、アセタール(例えば、ジメチル、ジエチルもしくはエチレングリコール)は脱保護されてアルデヒドとはならず、したがって、香味剤または芳香剤は部分的にまたは全体的にアセタールを含む。次いで、アセタールは経時的に徐々に加水分解し、レモンの香り/香味を放出することができる。あるいは、1個または2個のシクロプロパン環を含む誘導体は、アルデヒド基の代わりとしてニトリルまたはメチルエーテル基を含むこともできる。
【0022】
これらの簡単な手順によって、芳香薬品または個々の「親」化合物自体に近似した香りプロファイルを有する誘導体が得られる。さらに二重結合を置換することによって、不安定な特徴、すなわち二重結合が除去されているので、誘導体はより大きい潜在力と、より高い酸安定性および漂白剤安定性を有することが多い。
【0023】
同様のことがエポキシド(OX)およびチイラン(TH)環に適用される。C=C二重結合置換と立体異性体の混合したものを数えずに、シトラールだけからでもこれは9つの可能な分子を生み出し、当技術分野でよく知られている方法、すなわち、
シクロプロパニル置換:アルデヒドまたは対応するアルコールのSimmons−Smithシクロプロパン化、次いで、後者からアルデヒドをもたらすペリオジナン酸化
オキシラニル置換:m−クロロ過安息香酸のエポキシ化
チイラニル置換:アンバーライト上での二重結合のブロム化、続く硫化ナトリウムでのS置換
によって、シトラールからの一段合成または二段合成ですべて容易に得ることができる。
【0024】
他の実施形態では、芳香薬品はイソブチル基を含み、そのイソブチル基はフェニル基で置換されている、あるいはその逆もある。
1 Vogel's textbook of practical organic chemistry 5th edition (1989) pp 1106-1108
2 Ibid, ppl 127-1129
3 Choi J et al (1995) Bull. Korean. Chem. Soc., 16, 189-190 Convenient Synthesis of Symmetrical Sulfides from Alkyl Halides and Epoxides
【0025】
ニトリル、メチルエステルまたはアセタール基でのアルデヒド置換
多くの芳香薬品はアルデヒド基も含む。これらの芳香薬品のオドトープ(Odotope)はアルデヒド基をニトリル、メチルエステルまたはアセタール基で置換することによって調製できる。アルデヒド基のニトリル基への変換は当技術分野でよく知られており、例えば米国特許第5,892,092号に記載されている。同092号はアルデヒドからニトリルを生成させる方法を教示している。アルデヒドから生成され、次いでニトリルに変換されるオキシムの例には、アンゼリカオキシム、アレプリンオキシム、α,β−アポシトロネラルオキシム、ベルガモテンオキシム、ピロテレビンオキシム、カンフォレンオキシム、シトロネラルオキシム、シトラールオキシム、クリザンテームオキシム、シクロシトラールオキシム、シクロラバンジュラールオキシム、ファラナールオキシム、ファルネサールオキシム、イソラウラナールオキシム、イケマオキシム、ミルテナールオキシム、フェランドレンオキシム、サフラナールオキシムおよびソルビナールオキシムが含まれる。具体的な例には、アンゼリカオキシム、ベルガモテンオキシム、シクロラバンジュラールオキシム、シトラールオキシム、ファルネサールオキシム、イケマオキシム、イソラウラナールオキシム、フェランドレンオキシムおよびソルビナールオキシムが含まれる。
【0026】
アセタール生成は当分野の技術者によく知られており、一般に酸触媒の存在下でのアルデヒドとアルコールとの反応を用いる。水を失ってアセタールが生成する。使用の際に、アセタールが水性の環境で存在する場合、アセタールはアルデヒドに戻り、それによって徐放性の形の芳香剤を提供することができる。
【0027】
1個または複数の二重結合をさらに含有するアルデヒドを含む芳香薬品は、アルデヒドの代わりにニトリル、メチルエーテルまたはアセタール基も含む、チオエーテル、(非置換のメチルもしくはジメチル)シクロプロピル、オキシランまたはチイラン誘導体に変換することができる。
【0028】
この方法を、その潜在力を増進させるために複数の他の部類の芳香剤に直接適用すとことができる。以下の例はそれぞれ、単一の分子ではなく芳香剤の部類を指す。
【0029】
それぞれのケースで、C=C二重結合をCP、OXまたはTHで置換して、類似の香りプロファイルを有するより強い芳香剤をもたらすことができる。ローズオキサイドはフローラル、イオノンはウッディバイオレット、ダマスコンはフルーティローズ、サンダノールはサンダルウッド、リモネンはウッディシトラス、ベルビオンはムスク、リナロールはフローラル−ウッディおよびエチルシトロネリルオキサラートはムスクをもたらす。CP、OXおよびTH置換を有するこれらの化合物のうちの4つについてのグラフを図1a〜図1dに示す。図1aはローズオキサイドのスペクトル、図1bはリナロールのスペクトル、図1cはリモネンのスペクトル、図1dはイオノンのスペクトルを示す。それぞれのケースで、CP、OXおよびTH置換はスペクトル、すなわち香りの特徴にわずかな影響しか及ぼさない。
【0030】
ベンゼン−チオフェン置換
追加のオドトピックな置き換えはベンゼン環に代わるチオフェン環である。例えば、リリアール、シクラメンアルデヒドおよびボージュナール中のフェニル環がチオフェンで置換されている場合、振動スペクトルが重複し、新規の誘導体が同じ香りの特徴を有するだけでなく、香りの強さも増進する。これらの化合物のそれぞれはニトリル、メチルエーテルまたはアセタール官能基で追加的に置換されていてよいアルデヒド基をさらに含む。分子中のフェニル環をチオフェン分子で置換するための合成方法は当分野の技術者によく知られている。
【0031】
親化合物(リリアール、シクラメンアルデヒドおよびボージュナール)およびチオフェン環置換を含む新規の化合物を以下に示す。
【0032】
【化2】

【0033】
ベンゼンからシクロプロパン化イソブチルへの例は、4−メチル−2−フェニル−ペンテン−3−エン−1−アールのフェニル基のシクロプロパン化イソブチル部分による置換である。
【0034】
II.本明細書に記載のケミストリーを用いて改変できる芳香薬品
本明細書に記載の技術は芳香薬品、特にリラル、ヒドロキシシトロネラルおよびアルデヒドならびにシトロネラル、ゲラニオール、ネロールなどを含むシトラールに関連するアルコールを含む芳香薬品に具体的な用途を有している。本明細書に記載のケミストリーを用いて改変できる芳香薬品の例を以下に一覧し、また図4にも示す。
【0035】
本明細書に記載のケミストリーを用いてアセタール、メチルエーテルまたはニトリル基を用いて誘導できるアルデヒド基を有する複数の芳香薬品がある。それに限定されないが、これらにはアンゼリカ、アレプリン、α、β−アポシトロネラル、ベルガモテン、ピロテレビン、カンフォレン、シトロネラル、シトラール、クリザンテーム、シクロシトラール、シクロラバンジュラール(cyclolavandulal)、ファラナール、ファルネサール、イソラウラナール(isolauranal)、イケマ、ミルテナール、フェランドレン、サフラナールオキシムおよびソルビナールオキシムが含まれる。具体的な例には、アンゼリカ、ベルガモテン、シクロラバンジュラール、シトラール、ファルネサール、イケマ、イソラウラナール、フェランドレンアンドリンオキシムおよびソルビナールオキシムが含まれる。
【0036】
エン−チオエーテル、エン−シクロプロパン、エン−オキシラン、および/またはエン−チイラン置換を形成させることによって誘導されるオレフィン性基を含む複数の芳香薬品(そのうちのいくつかを上記に一覧する)がある。以下のものは、本明細書に記載のようにして改変できる具体的な芳香剤であって、香りプロファイルをそれほど変えることなく、二重結合を(非置換の、メチルもしくはジメチル)シクロプロピル誘導体に変換できる、かつ/またはアルデヒド(存在する場合)をアセタール、メチルエーテルまたはニトリルに変換することができる芳香剤である。すなわち、
アミルシナマール(2−ベンジリデンヘプタナールおよびα−アミルシナミンアルデヒドとしても知られている)、
アミルシンナミルアルコール(2−ペンチル−3−フェニルプロペン−2−エン−1−オルおよびα−アミルシナミンアルコールとしても知られる)、
シンナミルアルコール(シナミンアルコールとしても知られる)、
シナマール(3−フェニル−2−プロペナールおよびシナミンアルデヒドとしても知られる)、
シトラール(3,7−ジメチル2,6−オクタジエン−1−アール、シスおよびトランス異性体の混合物としても知られる)、
クマリン(1−ベンゾピラン−2−オンまたはシス−o−クマリン酸ラクトンとしても知られる)、
ユージノール、
ゲラニオール、
ヒドロキシシトロネラル(7−ヒドロキシシトロネラルまたはラウリンとしても知られる)、
リラル(ヒドロキシメチル−ペンチルシクロ−ヘキセンカルボキシアルデヒドおよび4,(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)シクロヘキセン−3−カルボアルデヒドとしても知られる)、
イソユージノール、
ベンゾイルシンナマート(INCI)、(ベンジル3−フェニル−2−プロペノアートまたはシンナメインとしても知られる)、
シトロネロール(3,7−ジメチル−6−オクテノールとしても知られる)、
ファルネソール(3,7,11−トリメチルドデカ−2,6,10−トリエノールとしても知られる)、
ヘキシルシンナムアルデヒド(α−ヘキシルシンナムアルデヒドとしても知られる)、
リリアール(リレストラール、2−(4−tert−ブチルベンジル)プロプリオンアルデヒド、4−(1,1−ジメチルエチル)−α−メチルベンゼンプロパナール、p−tert−ブチル−α−メチルヒドロシンナムアルデヒドとしても知られる)、
d−リモネン((R)−p−メンタ−1,8−ジエンとしても知られる)、
リナロール、
ダマスコンおよび
γ−メチルイオノン(3−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)−3−ブテン−2−オンとしても知られる)である。
【0037】
さらに、化合物をアネトール、アニス油、カラウェー油、カルダモン油、カルボン、コリアンダー油、イエルバサンタ(eriodictyon)、エチルバニリン、ウイキョウ油、甘草、ラベンダー油、レモン油、メントール、ナツメグ油、橙花油、ペパーミント、ローズマリー油、バラ油、スペアミント油、タイム油、トルーバルサムおよびバニリンから選択することができる。
【0038】
追加の例には、アンゼリカ、ベルガモテン、シクロラバンジュラール、シトラール、ファルネサール、イケマ、イソラウラナール、フェランドレンオキシムおよびソルビナールオキシムが含まれる。特にシトラールオキシムはゲラノニトリルに変換することができる。
【0039】
具体的には、リラルは二重結合を含む以下の式を有する。
【0040】
【化3】

【0041】
この化合物のシクロプロピル誘導体を調製した(構造を以下に示す)。
【0042】
【化4】

【0043】
図2に示すように、リラルおよびそのシクロプロパン化誘導体の振動スペクトルは実質的に重複する。リラルとそのシクロプロパン化誘導体(例えば、シクロプロパン環上に1個または2個のC1〜5アルキル基を含む)の芳香は実質的に一致する。リラルの適切なオドトープには、アルデヒドがメチルエーテル、ニトリルまたはアセタールで置換されている、非置換のメチルおよびジメチルシクロプロピル誘導体ならびに非置換のメチルおよびジメチルシクロプロピル誘導体が含まれる。)
これらの新規の誘導体のための親ケトンの例には、α−イオノン、β−イオノン、γ−メチルイオノン、イロンアルファ(irone alpha)、メチルジヒドロジャスモナート、シス−ジャスモン、メチルアミルケトン、カルボン、ダマセノン、α−ダマスコン、メチル−β−ナフチルケトン、カシオン(cassione)およびメントンが含まれる。
【0044】
さらに他の例にはシスおよびトランス−4−メチル−2−フェニル−2−ペンテナールが含まれる。シクロプロピル基による二重結合の置換は親化合物と実質的に重複する振動スペクトルを有する新規化合物を提供する。シスおよびトランス−4−メチル−2−フェニル−2−ペンテナールのスペクトルを図3aおよび図3bにそれぞれ示す。
【0045】
III.精油誘導体を含む製造物品
本明細書に記載の誘導体は、芳香薬品または芳香薬品がそれから誘導される他の「親化合物」を含むことができる、実質的に任意の製造物品中に含むことができる。例としては、漂白剤、洗剤、香味剤および芳香剤、アルコール飲料を含む飲料などが含まれる。誘導体は石鹸、シャンプー、ボディデオドラント剤および発汗抑制剤、繊維処理用の固体もしくは液体洗剤、織物用柔軟剤、家庭用および工業用の使用の両方のための食器または様々な表面の洗浄用の洗剤組成物および/または多目的洗浄剤などの用途に使用することができる。香料の他の最近の用途すなわち、石鹸およびシャワーゲルの香り付け、衛生用品またはヘアーケア製品、ならびにボディデオドラント剤、室内用消臭剤および化粧品調合物、またさらには高級香料、すなわち香水およびオーデコロンなどで最近使用されるように、もちろん化合物の使用は上記製品に限定されない。これらの使用をさらに詳細に以下に説明する。
【0046】
香料組成物
化合物は、香り付け成分として単一化合物でまたはその混合物で、好ましくは香料組成物の少なくとも約30重量%の範囲、より好ましくは組成物の少なくとも約60重量%の範囲で使用することができる。化合物は成分を加えることなく、その純粋な状態または混合物で使用することもできる。個々の化合物の臭気的な特徴はそれらの混合物中にも存在し、これらの化合物の混合物を香り付け成分として使用することができる。化合物の混合物を使用することによって分離および/または精製ステップを回避できる場合、これは特に有利である。
【0047】
列挙したすべての用途において、誘導体は単独、あるいは当業界で通常使用される他の香り付け成分、溶媒または補助剤との混合物で使用することができる。これらの共成分の性質および多様さをここでより詳細に説明する必要はなく、さらにそれはあまり労力を要するものではない。当分野の技術者は、その一般的な知見によって、また、香り付けされる製品の性質および所望の臭覚的効果の関数として、共成分を選択することができるであろう。
【0048】
これらの香り付け成分は一般に、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペンヒドロ炭素、イオウおよび窒素含有複素環化合物、ならびに天然もしくは合成由来の芳香薬品などの多様な化学品部類に属する。これらの成分の多くはS.Arctanderの本:香料および香味剤の化学(Perfume and Flavor Chemicals)、1969年、Montclair,N.J.(米国)などの参考書に記載されている。その内容全体またはそのより最近のバージョン、あるいは同種の他の出版物を参照により本明細書に合体する。
【0049】
種々の製品中に誘導体を混ぜ込む割合は広い範囲の値であってよい。この値は、香り付けしようとする物品または製品の性質および追求する香りの効果、ならびに化合物が当業界で通常使用される香り付け共成分、溶媒または補助剤との混合状態で使用される場合の、所与の組成物中の共成分の性質に応じて決まる。
【0050】
例として、誘導体は一般に化合物がその中に混ぜられている香り付け組成物の重量に対するこれらの化合物の約0.1〜約10重量%、またはそれ以上の濃度で存在する。化合物が、先に挙げた様々な消費者用製品の香り付けに直接適用される場合、上記の濃度よりはるかに低い濃度を用いることができる。
【0051】
これらの化合物は香料用の一般的な攻撃的媒体中でも比較的安定である。したがってこれらを、例えば、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、次亜ハロゲン酸塩、特に次亜塩素酸塩、過ホウ酸塩などの過酸化漂白剤などの漂白剤および活性化剤を含む洗剤に使用することができる。これらの化合物はアルミニウム塩を含むものなどのボディデオドラント剤および発汗抑制剤にも使用することができる。これらの実施形態を以下により詳細に説明する。
【0052】
通常の洗剤成分
本明細書に記載の誘導体に加えて、本明細書の組成物は、洗浄性の界面活性剤、場合によって、クリーニング性能の支援または向上のため、洗浄される基材の処理のため、あるいは洗剤組成物のエステティクス(例えば、香料、着色剤、染料等)を改変するための材料を含む1種または複数の追加の洗剤成分を含む。以下に洗浄性の界面活性剤および他の洗剤成分を例示する。
【0053】
合成界面活性剤 本明細書で一般に約0.5〜約90重量%のレベルで有用である洗浄性の合成界面活性剤の非限定的な例には、通常のC11〜18アルキルベンゼンスルファート(「LAS」)、および第一、分枝鎖およびランダムC10〜20アルキルスルファート(「AS」)、式CH(CH(CH(CH)OSO)および式CH(CH(CH(CHCH)OSO)(式中、xおよびyは整数であり、xおよび(y+1)のそれぞれは少なくとも約7、好ましくは少なくとも約9であり、Mは水溶性カチオン、特にオレイルスルファートなどの、ナトリウム、不飽和スルファートである)のC10〜18第二(2,3)アルキルスルファート、C10〜18アルキルアルコキシスルファート(「AExS」;特にEO1〜7エトキシスルファート)、C10〜18アルキルアルコキシカルボキシラート(特にEO1〜5エトキシカルボキシラート)、C10〜18グリセロールエーテル、C10〜18アルキルポリグリコシドおよび対応するこれらのスルファート化ポリグリコシド、ならびにC12〜18α−スルホン酸化脂肪酸エステルが含まれる。望むなら、いわゆる狭いピークを有するアルキルエトキシラートおよびC6〜12アルキルフェノールアルコキシラート(特にエトキシラートおよびエトキシ/プロポキシラート混合体)を含むC12〜18アルキルエトキシラート(「AE」)、C12〜18ベタインおよびスルホベタイン(「サルテイン(sultaine)」)、C10〜18アミンオキシドなどの通常のノニオン性および両性の界面活性剤を、組成物全体に含めることもできる。C10〜18N−アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミドも使用できる。典型的な例にはC12〜18N−メチルグルカミドが含まれる。国際特許出願第9,206,154号を参照されたい。他の糖類由来の界面活性剤にはC10〜18N−(3−メトキシプロピル)グルカミドなどのN−アルコキシポリヒドロキシ脂肪酸アミドが含まれる。N−プロピルからN−ヘキシルのC12〜18グルカミドは泡立ちを低下させるために使用できる。C10〜20の通常の石鹸も使用できるが合成洗剤が好ましい。高度の泡立ちを望むなら、分枝鎖C10〜16石鹸を使用できる。アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤の混合物が特に有用である。他の通常の有用な界面活性剤は標準的な参考書に列挙されている。1972年5月23日発行のNorris、米国特許第3,664,961号も参照されたい。
【0054】
合成洗剤だけを混合した組成物は約0.5〜50%の洗剤レベルを有することが好ましい。石鹸を含む組成物は約10〜約90%の石鹸を含むことが好ましい。
【0055】
本明細書の洗剤組成物は洗浄性の界面活性剤およびプロ芳香剤だけからなってよいが、前記組成物は、洗剤製品に通常使用される他の成分を含むことが好ましい。
【0056】
ビルダー
鉱物硬度の制御を助けるために、場合によって本明細書の組成物中に洗剤ビルダーを含むことができる。無機性ビルダーも有機性ビルダーも使用できる。ビルダーは一般に、微粒子状の汚れの除去を助けるために、織物洗濯用組成物に使用する。
【0057】
ビルダーの濃度は組成物の最終用途およびその所望の物理的形態に応じて広い範囲にわたってよい。存在する場合、組成物は一般に少なくとも約1%のビルダーを含むことになる。液体配合物は典型的には約5〜約50重量%、より典型的には約5〜約30重量%の洗剤ビルダーを含む。顆粒状配合物は典型的には約10〜約80重量%、より典型的には約15〜約50重量%の洗剤ビルダーを含む。しかし、より低いまたはより高いビルダー濃度を除外するものではない。
【0058】
無機性または洗剤ビルダーには、これらに限定されないが、ポリリン酸塩(例としてはトリポリリン酸塩、ピロリン酸塩およびガラス質ポリマー性メタリン酸塩)、ホスホン酸塩およびフィチン酸のアルカリ金属、アンモニウムおよびアラノールアンモニウム塩などのリン酸塩ビルダー、ならびにケイ酸塩、炭酸塩(炭酸水素塩およびセスキ炭酸塩を含む)、硫酸塩およびアルミノケイ酸塩などの非リン酸塩系ビルダーが含まれる。ある場合は非リン酸塩ビルダーが求められる。
【0059】
本明細書での使用に適した有機性ビルダーには、1967年3月7日発行のDiehlの米国特許第3,308,067号、1979年3月13日発行のCrutchfieldの同4,144,226号および1979年3月27日発行のCrutchfieldの同4,246,495号などに開示されているものなどのポリカルボン酸塩ビルダーが含まれる。
【0060】
汚れ除去剤
本発明の洗濯用洗剤において汚れ除去剤を使用することが望ましい。適切な汚れ除去剤には、1990年11月6日のJ.J.ScheibelおよびE.P.Gosselinkの米国特許第4,968,451号のもの(このようなエステルオリゴマーは、(a)アリルアルコールをエトキシ化すること、(b)(a)の生成物と、ジメチルテレフタレート(「DMT」)および1,2−プロピレングリコール(「PG」)とを二段エステル交換/オリゴマー化手順で反応させること、および(c)水の中で(b)の生成物とメタ重亜硫酸ナトリウムとを反応させることによって調製することができる);例えばポリ(エチレングリコール)メチルエーテル、DMT、PGおよびポリ(エチレングリコール)(「PEG」)のエステル交換/オリゴマー化によって製造される、1987年12月8日のGosselinkらの米国特許第4,711,730号のノニオン性の末端キャップした1,2−プロピレン/ポリオキシエチレンテレフタレートポリエステル;エチレングリコール(「EG」)、PG、DMTおよびNa−3,6−ジオキサ−8−ヒドロキシオクタンスルホナートからのオリゴマーなどの、1988年1月26日のGosselinkの米国特許第4,721,580号の部分的におよび全体的にアニオン性の末端キャップしたオリゴマー性エステル;例えば、DMT、Me−キャップPEGおよびEGおよび/もしくはPG、あるいはDMT、EGおよび/もしくはPG、Me−キャップPEGおよびNa−ジメチル−5−スルホイソフタレートの組合せから製造される、1987年10月27日のGosselinkの米国特許第4,702,857号のノニオン性キャップをしたブロックポリエステルオリゴマー性化合物;ならびに1989年10月31日のMaldonado、Gosselinkらの米国特許第4,877,896号のアニオン性、特にスルホアロイル、末端キャップしたテレフタレートエステル(後者は洗濯用および織物コンディショニング用の両方の製品に有用な典型的なSRA’であり、例としては、m−スルホ安息香酸モノナトリウム塩、PGおよびDMTから製造されるエステル組成物である。場合によって、しかし好ましくはPEG、例えばPEG3400を加える)などが含まれる。他の好ましい汚れ除去剤は米国特許第5,415,807号に記載のスルホン酸化された末端キャップタイプである。
【0061】
選択の可能性のある他の成分
本明細書の組成物は酵素、漂白剤、織物柔軟剤、移染抑制剤、泡抑制剤およびキレ−ト剤などの、すべて当技術分野でよく知られている他の成分を含んでよい。
【0062】
本発明の洗剤組成物を定義するための洗剤組成物のpHは、20℃で蒸留水中の1%の濃度の洗剤組成物で測定されるものである。本明細書の洗剤組成物は約7.1〜約13、より典型的には液体洗剤で約7.5〜約9.5、顆粒洗剤で約8〜約12のpHを有する。
【0063】
通常の香料製造用材料を有するまたは有していない洗剤を用いた配合
本明細書に記載の誘導体は、単独で使用して基幹の洗剤成分、とりわけ界面活性剤と単純に混合することができるが、これらの誘導体を、(a)1種または複数の合成洗剤を含む非芳香化洗剤ベースと(b)本明細書に記載の誘導体の1つまたは複数とを混合した3つの部分の配合物にすることも望ましい。1つの実施形態では、アルデヒドとアセタールの両方が存在し、その結果アルデヒドは望ましいインパッケージ(in−package)およびインユース(in−use)(洗浄時)の芳香を提供し、同時にアセタールは洗濯された繊維織物に長期間の芳香をもたらす。
【0064】
本発明の洗剤を配合する場合、天然または合成由来の膨大な知られている芳香剤成分を用いて完全に配合された芳香剤を調製することができる。天然の原料物質の範囲には、易揮発性成分だけでなく、中揮発性成分および弱揮発性成分も包含することができ、合成の原料物質の範囲には、以下の例示的な集りから明らかである、実際的なすべての部類の芳香性物質の代表的なものを含むことができる。ツリーモスアブソリュート、メボウキ油、柑橘類果実油(ベルガモット油、マンダリン油など)、マトリックスアブソリュート、マートル油、パルマローザ油、パチョリ油、プチグレン油パラグァイ、ヨモギ油などの天然産物、ファルネソール、ゲラニオール、リナロール、ネロール、フェニルエチルアルコール、ロジノール、シンナミンアルコールなどのアルコール、シトラール、Helional(商標)、α−ヘキシル−シンナムアルデヒド、ヒドロキシシトロネラル、Lilial(商標)(p−tert−ブチル−α−メチルジヒドロシンナムアルデヒド)、メチルアオニルアセトアルデヒドなどのアルデヒド、アリルイオノン、α−イオノン、β−イオノン、イソラルデイン(isoraldein)(イソメチル−α−イオノン))、メチルイオノンなどのケトン、アリルフェノキシアセテート、サルチル酸ベンジル、シンナミルプロピオナート、酢酸シトロネリル、シトロネリルエトキソラート、酢酸デシル、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルブチラート、エチルアセトアセテート、エチルアセチルアセテート、ヘキセニルイソブチラート、酢酸リナリル、メチルジヒドロジャスモナート、酢酸スチラリル、酢酸ベチベリルなどのエステル、γ−ウンデカラクトンラクトン、ムスクケトン、インドール、p−メンタ−8−チオール−3−オン、およびメチル−ユージノールなどの香料製造でよく使用される様々な成分などである。同様に、当技術分野で知られている通常の任意の芳香性のアセタールまたはケタールを、通常配合される香料(c)の任意選択の成分として、本発明の組成物に加えることができる。このような通常の芳香性のアセタールおよびケタールには、よく知られているメチルアセタールやエチルアセタール、およびケタール、ならびにベンズアルデヒドをベースとしたアセタールまたはケタール(フェニルエチル部分を含むもの)、または名称「オキソ−テトラリンおよびオキソ−インダンのアセタールおよびケタール」の米国特許(Givaudan Corpに譲渡されている1992年1月28日発行の米国特許第5,084,440号を参照されたい)に記載されているものなどのより最近に開発された化学品が含まれる。もちろん他の最近の合成化学品を、完全に配合した洗剤のための香料組成物に含むことができる。これらにはGivaudanに譲渡されている1994年7月26日の米国特許第5,332,725号に記載のアルキル置換のオキソ−テトラリンおよびオキソ−インダンのエノールエーテル、あるいはGivaudanに譲渡されている1991年12月9日の米国特許第5,264,615号に記載のシッフ塩基が含まれる。プロ芳香性材料は、通常の芳香剤とは別にして本発明の洗剤組成物に加えることが好ましい。
【0065】
他の特殊な目的の芳香送達化合物を有する配合物
本明細書に記載の誘導体を含む洗剤は、望むなら、場合によって、芳香の実質性を向上させる能力を有する他の知られている化合物をさらに含んでよい。そうした化合物には、これらに限定されないが、米国特許第4,055,634号に記載のイソブチルアルミニウムジフェラニラートなどのアルミニウムアルコキシド、あるいは米国特許第3,947,574号および同3,779,932号に記載のものなどの、知られている芳香性材料のチタナートエステルおよびジルコナートエステルまたはオリゴエステルが含まれる。これらのそれぞれの内容の全体を参照により本明細書に合体する。そうした有機アルミニウム、有機チタンまたは有機亜鉛誘導体を使用する場合、これらは本発明の配合物に当技術分野で知られている濃度で混ぜることができる。
【0066】
飲料組成物
本明細書に記載の改良された香味剤を、飲料に混入させて、飲料に様々な香味を付与することができる。好ましい香味はレモンであるが、さらにローズ、シナモン、ライムなどの香味が含まれる。飲料組成物はコーラ飲料組成物であってよく、またコーヒー、茶、乳製品飲料、果汁飲料水、柑橘飲料水、レモン−ライム飲料水、ビール、モルト飲料または他の香味付き飲料であってもよい。飲料は液体形態でも粉末形態でもよい。
【0067】
飲料組成物は1種または複数の香味剤;人工着色剤、ビタミン添加剤、保存剤、カフェイン添加剤、水、酸味剤、増粘剤、緩衝剤、乳化剤および/または果汁濃縮物を含むこともできる。
【0068】
使用してよい人工着色剤にはカラメル色素、黄色6号および黄色5号が含まれる。有用なビタミン添加剤にはビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC(アスコルビン酸)、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン酸および葉酸が含まれる。適切な保存剤には安息香酸ナトリウムまたは安息香酸カリウムが含まれる。使用してよい塩には、塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび塩化マグネシウムが含まれる。乳化剤の例はアラビアゴムおよび高純度ゴムであり、有用な増粘剤はペクチンである。適切な酸味剤にはクエン酸、リン酸およびリンゴ酸が含まれ、可能性のある緩衝剤にはクエン酸ナトリウムおよびクエン酸カリウムが含まれる。
【0069】
1つの実施形態では、飲料は炭酸コーラ飲料である。pHは一般に約2.8であり、これらの組成物用のシロップを作製するために以下の成分、すなわち、本明細書に記載の誘導体1つまたは複数を含む香味剤濃縮物(22.22ml)、80%リン酸(5.55g)、クエン酸(0.267g)、カフェイン(1.24g)、人工甘味料、シュガーまたはコーンシロップ(味つけのためで、実際の甘味料に応じて)およびクエン酸カリウム(4.07g)を使用することができる。飲料組成物は、例えば前記のシロップを、炭酸水250mlに対してシロップ50mlの割合で、炭酸水と混ぜることによって調製できる。
【0070】
他の実施形態では、飲料はビールまたはモルト飲料である。ビールおよびモルト飲料用の好ましい香味剤には、レモン、ライムおよびレモン−ライムが含まれる。香味剤は、両方の二重結合のうちの1つがシクロプロパン基で置換されているシトラール誘導体であって、シクロプロパン基が独立に非置換であるか、あるいは1個もしくは2個のアルキルまたは置換アルキル基、好ましくはメチル基を含んでよい誘導体を含むことが有利である。香味剤の量は味に応じて調節することができる。
【0071】
経口送達製品
本明細書に記載の誘導体の1種または複数を含む香味付きの食品および薬剤組成物も調製することができる。当分野の技術者によく知られている技術を用いて、誘導体を通常の食料品に混ぜ込むことができる。あるいは、誘導体をポリマー性の粒子中に混入させ、次いでこれを、通常固体または半固体の基材である経口送達可能なマトリックス材料中および/または表面上に分散させることができる。咀しゃくできる組成物に使用する場合、組成物が咀しゃくされたときに、経口送達可能なポリマー性マトリックス材料中に誘導体が放出され、口の中に保持され、それによって組成物の香味を長引かせる。乾燥した粉末および混合物の場合、製品が消費されたときに香味がもたらされる、あるいは組成物がさらに処理されたときに香味がマトリックス材料中に放出される。2つの香味剤をポリマー性粒子と組み合わせる場合、添加剤の相対的な量を選択して、化合物を同時放出させ、かつ化合物を使い尽くすことができる。
【0072】
1つの実施形態では、香味付きの組成物には、経口送達可能なマトリックス材料、すなわちポリマー性粒子が個別に内部細孔のネットワークを明示し、かつ消化管中で非分解性である、経口送達可能なマトリックス材料中に分散された多数の水溶性ポリマー性粒子、および内部細孔ネットワーク中に捕捉された本明細書に記載の1種または複数の誘導体が含まれる。マトリックスが、噛まれて口中で溶解して、あるいは液体添加、ドライブレンド、攪拌、混合、加熱、ベーキングおよび料理からなる群から選択されるさらなる処理を受けて、誘導体が放出される。経口送達可能なマトリックス材料は、ゴム、ラテックス材料、結晶化した砂糖、無定形の砂糖、フォンダン、ヌガー、ジャム、ジェリー、ペースト、パウダー、ドライブレンド、脱水食品ミックス、ベークした物品、バター、パン生地、錠剤およびトローチ剤からなる群から選択される。
【0073】
チューインガム
香味のないガムベースを本明細書に記載のシトラールまたは他の適切な誘導体と混合して所望の香味濃度にすることができる。一般にブレードミキサーを約110F(43℃)に加熱し、軟化させるためにガムベースを予備加熱し、次いでガムベースをミキサーに加え、約30秒間混合する。次いで香味付きの誘導体をミキサーに加え、適度の時間混合する。次いでガムをミキサーから取り出し、暖かい間にワックス紙の上でロールしてスティックの厚さにする。
【0074】
徐放性配合物
1つの実施形態では、本明細書に記載の誘導体を、制御した形で芳香を放出できる系に混ぜ込むことができる。これらには、室内用消臭剤、洗濯用洗剤、織物用柔軟剤、脱臭剤、ローションおよび他の家庭用品などの基材が含まれる。芳香剤は一般に1種または複数の本明細書に記載の芳香薬品の誘導体であり、それぞれは異なった量で存在する。米国特許第4,587,129号には、最大で90重量%の芳香剤または香油を含有するゲル物品の調製方法が記載されている。その内容全体を参照により本明細書に合体する。これらのゲル物品はヒドロキシ(低級アルコキシ)2−アルケノアート、ヒドロキシ(低級アルコキシ)低級アルキル2−アルケノアートまたはヒドロキシポリ(低級アルコキシ)低級アルキル2−アルケノアート、およびポリエチレン系不飽和架橋剤を有するポリマーから調製することができる。これらの材料は継続的な徐放特性、すなわち、芳香成分を長期間にわたって放出する特性を有する。アセタール基を含めるために、アルデヒド基を含むこれらの誘導体の全部または一部を改変することが有利である。このアセタール基は加水分解してアルデヒド化合物を生成しながら、配合物に長期間にわたる芳香の放出をもたらすことができる。
【0075】
これによって本発明の主題を開示してきたが、本発明の多くの変更形態、置換形態および変異形態がそれに照らして可能であることは明らかなはずである。具体的に説明した形以外で本発明を実行できることを理解されたい。そうした変更形態、置換形態および変異形態は本出願の範囲内であるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1a】ローズオキサイドのシクロプロピル誘導体の振動スペクトルを示す図である。
【図1b】リナロールのシクロプロピル誘導体の振動スペクトルを示す図である。
【図1c】リモネンのシクロプロピル誘導体の振動スペクトルを示す図である。
【図1d】イオノンのシクロプロピル誘導体の振動スペクトルを示す図である。
【図2】リラルのシクロプロピル誘導体の振動スペクトルを示す図である。
【図3a】シス−4−メチル−2−フェニル−2−ペンテナールの振動スペクトルを示す図である。
【図3b】トランス−4−メチル−2−フェニル−2−ペンテナールの振動スペクトルを示す図である。
【図4】本明細書で説明するケミストリーを用いて改変できる芳香薬品の代表的な一覧表を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香薬品中の少なくとも1個の二重結合を三員環で置換しており、前記三員環は二重結合がそれから誘導される2個の炭素を含み、そのそれぞれが酸素、イオウまたはC(R)基と結合しており、
Rは独立してH、C1〜5アルキルまたはC1〜5置換アルキルであり、
置換アルキル基上の置換基がハロ、ヒドロキシ、チオール、チオエーテル、アミン、カルボン酸、エステル、ニトロ、シアノ、スルホン酸、尿素およびチオ尿素からなる群から選択される
少なくとも1個の二重結合を含む芳香薬品の誘導体。
【請求項2】
少なくとも1個のRがメチルである請求項1に記載の誘導体。
【請求項3】
芳香薬品中の少なくとも1個の二重結合をチオエーテル結合で置換している少なくとも1個の二重結合を含む芳香薬品の誘導体。
【請求項4】
芳香薬品中の少なくとも1個のフェニル環をチオフェン環で置換している少なくとも1個のフェニル環を含む芳香薬品の誘導体。
【請求項5】
芳香薬品が少なくとも1個のアルデヒド基を含み、芳香薬品中の少なくとも1個のアルデヒド基を、ニトリル、メチルエーテル、エステルまたはアセタール基でさらに置換している請求項1から4のいずれかに記載の誘導体。
【請求項7】
香料製造業界で通常使用される他の香り付け成分、溶媒または補助剤と一緒に請求項1から6のいずれかに記載の化合物を含む組成物。
【請求項8】
化合物が少なくとも30重量%の量で存在する請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
化合物が請求項1から6のいずれかに記載の化合物の少なくとも60重量%の量で存在する請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
香り付け成分として、請求項1から6のいずれかに記載の化合物、または化合物の混合物を含有する香り付け組成物または香り付けされた物品。
【請求項11】
化合物または化合物の混合物が当業界で通常使用される他の香り付け成分、溶媒または補助剤と混合されて存在する請求項10に記載の香り付け組成物。
【請求項12】
香水またはオーデコロン、石鹸、バス用もしくはシャワー用ゲル、シャンプーまたは他のヘヤーケア製品、化粧品調合物、ボディデオドラント剤または発汗抑制剤、室内用消臭剤、繊維用洗剤もしくは柔軟剤あるいは汎用性家庭用洗浄剤の形態の請求項10に記載の香り付けされた物品。
【請求項13】
香り付け成分として請求項1から6のいずれかに記載の化合物、または化合物の混合物を含有するボディデオドラント剤または発汗抑制剤。
【請求項14】
化合物または化合物の混合物が当業界で通常使用される他の香り付け成分、溶媒または補助剤と混合されて存在する請求項13に記載のボディデオドラント剤または発汗抑制剤。
【請求項15】
香り付け成分として請求項1から6のいずれかに記載の化合物、または化合物の混合物を含有する洗剤。
【請求項16】
化合物または化合物の混合物が当業界で通常使用される他の香り付け成分、溶媒または補助剤と混合されて存在する請求項15に記載の洗剤。
【請求項17】
請求項1から6のいずれかに記載のシトラール誘導体を含む漂白剤組成物。
【請求項18】
請求項1から6のいずれかに記載のシトラール誘導体を含む飲料。
【請求項19】
ビール、モルトリカー、レモネードおよびコーラからなる群から選択される請求項18に記載の飲料。
【請求項20】
請求項1に記載のシトラール誘導体を含む香味付き経口送達製品。
【請求項21】
有効量の請求項1から6のいずれかに記載の化合物または化合物の混合物を前記組成物または前記物品に加えることを含む香り付け組成物または香り付けされた物品の香りの改良、向上または改変のための方法。
【請求項22】
化合物または化合物の混合物が当業界で通常使用される他の香り付け成分、溶媒または補助剤と混合されて存在する請求項21に記載の方法。
【請求項23】
化合物が少なくとも30重量%の量で存在する請求項21に記載の方法。
【請求項24】
精油がアンゼリカ、アレプリン、α,β−アポシトロネラル、ベルガモテン、ピロテレビン、カンフォレン、シトロネラル、シトラール、クリザンテーム、シクロシトラール、シクロラバンジュラール、ファラナール、ファルネサール、イソラウラナール、イケマ、ミルテナール、フェランドレン、サフラナールオキシムおよびソルビナールオキシムからなる群から選択される請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
【請求項25】
精油がアミルシナマール、アミルシンナミルアルコール、シンナミルアルコール、シナマール、シトラール、クマリン、ユージノール、ゲラニオール、ヒドロキシシトロネラル、リラル、イソユージノール、ベンゾイルシンナマート、シトロネロール、ファルネソール、ヘキシルシンナムアルデヒド、リリアール、d−リモネン、リナロール、デマスカノンおよびγ−メチルイオノンからなる群から選択される請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
【請求項26】
精油がアネトール、アニス油、カラウェー油、カルダモン油、カルボン、コリアンダー油、イエルバサンタ、エチルバニリン、ウイキョウ油、甘草、ラベンダー油、レモン油、メントール、ナツメグ油、橙花油、ペパーミント、ローズマリー油、バラ油、スペアミント油、タイム油、トルーバルサムおよびバニリンからなる群から選択される請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
【請求項27】
精油がリリアール、シクラメンアルデヒド、ボージュナールおよびシトラールからなる群から選択される請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香薬品中の少なくとも1個の二重結合を三員環で置換しており、前記三員環は二重結合がそれから誘導される2個の炭素を含み、そのそれぞれがイオウまたはC(R)基と結合しており、
Rが独立にH、C1〜5アルキルまたはC1〜5置換アルキルであり、
置換アルキル基上の置換基がハロ、ヒドロキシ、チオール、チオエーテル、アミン、カルボン酸、エステル、ニトロ、シアノ、スルホン酸、尿素およびチオ尿素からなる群から選択され、
前記芳香薬品中の少なくとも1個のアルデヒド基をニトリル、メチルエーテル、エステルまたはアセタール基でさらに置換している
少なくとも1個の二重結合および少なくとも1個のアルデヒド基を含む芳香薬品の誘導体。
【請求項2】
誘導体が少なくとも1個のC(R)基を含み、C(R)基の少なくとも1個のRがメチルである請求項1に記載の誘導体。
【請求項3】
芳香薬品中の少なくとも1個の二重結合を三員環で置換しており、前記三員環は二重結合がそれから誘導される2個の炭素を含み、そのそれぞれがイオウと結合している、少なくとも1個の二重結合を含む芳香薬品の誘導体。
【請求項4】
芳香薬品中の少なくとも1個の二重結合をチオエーテル結合で置換している少なくとも1個の二重結合を含む芳香薬品の誘導体。
【請求項5】
芳香薬品中の少なくとも1個のフェニル環をチオフェン環で置換している少なくとも1個のフェニル環を含む芳香薬品の誘導体。
【請求項6】
芳香薬品が少なくとも1個のアルデヒド基を含み、芳香薬品中の少なくとも1個のアルデヒド基を、ニトリル、メチルエーテル、エステルまたはアセタール基でさらに置換している請求項3から5のいずれかに記載の誘導体。
【請求項7】
芳香薬品がアンゼリカ、アレプリン、α,β−アポシトロネラル、ベルガモテン、ピロテレビン、カンフォレン、シトロネラル、シトラール、クリザンテーム、シクロシトラール、シクロラバンジュラール、ファラナール、ファルネサール、イソラウラナール、イケマ、ミルテナール、フェランドレン、サフラナールオキシムおよびソルビナールオキシムからなる群から選択される請求項1から6のいずれかに記載の誘導体。
【請求項8】
芳香薬品がアミルシナマール、アミルシンナミルアルコール、シンナミルアルコール、シナマール、シトラール、クマリン、ユージノール、ゲラニオール、ヒドロキシシトロネラル、リラル、イソユージノール、ベンゾイルシンナマート、シトロネロール、ファルネソール、ヘキシルシンナムアルデヒド、リリアール、d−リモネン、リナロール、デマスカノンおよびγ−メチルイオノンからなる群から選択される請求項1から6のいずれかに記載の誘導体。
【請求項9】
芳香薬品がアネトール、アニス油、カラウェー油、カルダモン油、カルボン、コリアンダー油、イエルバサンタ、エチルバニリン、ウイキョウ油、甘草、ラベンダー油、レモン油、メントール、ナツメグ油、橙花油、ペパーミント、ローズマリー油、バラ油、スペアミント油、タイム油、トルーバルサムおよびバニリンからなる群から選択される請求項1から6のいずれかに記載の誘導体。
【請求項10】
精油がリリアール、シクラメンアルデヒド、ボージュナールおよびシトラールからなる群から選択される請求項1から6のいずれかに記載の誘導体。
【請求項11】
芳香薬品がクマリンである請求項5に記載の誘導体。
【請求項12】
香料製造業界で通常使用される他の香り付け成分、溶媒または補助剤と一緒に請求項1から6のいずれかに記載の化合物を含む誘導体。
【請求項13】
誘導体が少なくとも30重量%の量で存在する請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
誘導体が少なくとも60重量%の量で存在する請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
香り付け成分として、請求項1から6のいずれかに記載の誘導体、または誘導体の混合物を含有する香り付け組成物または香り付けされた物品。
【請求項16】
誘導体または誘導体の混合物が香料製造業界で通常使用される他の香り付け成分、溶媒または補助剤と混合されて存在する請求項15に記載の香り付け組成物。
【請求項17】
香水またはオーデコロン、石鹸、バス用もしくはシャワー用ゲル、シャンプーまたは他のヘヤーケア製品、化粧品調合物、ボディデオドラント剤または発汗抑制剤、室内用消臭剤、繊維用洗剤もしくは柔軟剤あるいは汎用性家庭用洗浄剤の形態の請求項16に記載の香り付けされた物品。
【請求項18】
香り付け成分として請求項1から6のいずれかに記載の誘導体、または誘導体の混合物を含有するボディデオドラント剤または発汗抑制剤。
【請求項19】
誘導体または誘導体の混合物が当業界で通常使用される他の香り付け成分、溶媒または補助剤と混合されて存在する請求項18に記載のボディデオドラント剤または発汗抑制剤。
【請求項20】
香り付け成分として請求項1から6のいずれかに記載の誘導体、または誘導体の混合物を含有する洗剤。
【請求項21】
誘導体または誘導体の混合物が当業界で通常使用される他の香り付け成分、溶媒または補助剤と混合されて存在する請求項20に記載の洗剤。
【請求項22】
請求項1から6のいずれかに記載の誘導体を含む漂白剤組成物。
【請求項23】
請求項1から6のいずれかに記載の誘導体を含む飲料。
【請求項24】
ビール、モルトリカー、レモネードおよびコーラからなる群から選択される請求項23に記載の飲料。
【請求項25】
請求項1から6のいずれかに記載の誘導体を含む香味付き経口送達製品。
【請求項26】
有効量の請求項1から6のいずれかに記載の誘導体または誘導体の混合物を前記組成物または前記物品に加えることを含む香り付け組成物または香り付けされた物品の香りの改良、向上または改変のための方法。
【請求項27】
誘導体または誘導体の混合物が香料製造業界で通常使用される他の香り付け成分、溶媒または補助剤と混合されて存在する請求項26に記載の方法。
【請求項28】
誘導体が少なくとも30重量%の量で存在する請求項21に記載の方法。
【請求項29】
芳香薬品中の少なくとも1個の二重結合を三員環で置換しており、前記三員環は二重結合がそれから誘導される2個の炭素を含み、そのそれぞれがイオウまたはC(R)基と結合しており、
Rが独立にH、C1〜5アルキルまたはC1〜5置換アルキルであり、
置換アルキル基上の置換基がハロ、ヒドロキシ、チオール、チオエーテル、アミン、カルボン酸、エステル、ニトロ、シアノ、スルホン酸、尿素およびチオ尿素からなる群から選択され、
前記芳香薬品中の少なくとも1個のアルデヒド基をニトリル、メチルエーテル、エステルまたはアセタール基でさらに置換している
少なくとも1個の二重結合および少なくとも1個のアルデヒド基を含む芳香薬品の誘導体を、香料製造業界で通常使用される他の香り付け成分、溶媒または補助剤と一緒に含む組成物。
【請求項30】
芳香薬品中の少なくとも1個の二重結合を三員環で置換しており、前記三員環は二重結合がそれから誘導される2個の炭素を含み、そのそれぞれがイオウと結合している少なくとも1個の二重結合を含む芳香薬品の誘導体を、香料製造業界で通常使用される他の香り付け成分、溶媒または補助剤と一緒に含む組成物。
【請求項31】
芳香薬品中の少なくとも1個の二重結合をチオエーテル結合で置換している少なくとも1個の二重結合を含む芳香薬品の誘導体を、香料製造業界で通常使用される他の香り付け成分、溶媒または補助剤と一緒に含む組成物。
【請求項32】
芳香薬品中の少なくとも1個のフェニル環をチオフェン環で置換している少なくとも1個のフェニル環を含む芳香薬品の誘導体を、香料製造業界で通常使用される他の香り付け成分、溶媒または補助剤と一緒に含む組成物。
【請求項33】
誘導体が少なくとも30重量%の量で存在する請求項29から32のいずれかに記載の組成物。
【請求項34】
誘導体が少なくとも60重量%の量で存在する請求項29から32のいずれかに記載の組成物。
【請求項35】
請求項29から32のいずれかに記載の組成物を含む香り付け組成物または香り付けされた物品。
【請求項36】
香水またはオーデコロン、石鹸、バス用もしくはシャワー用ゲル、シャンプーまたは他のヘヤーケア製品、化粧品調合物、ボディデオドラント剤または発汗抑制剤、室内用消臭剤、繊維用洗剤もしくは柔軟剤あるいは汎用性家庭用洗浄剤の形態の請求項35に記載の香り付けされた物品。
【請求項37】
香り付け成分として請求項29から33のいずれかに記載の組成物を含むボディデオドラント剤または発汗抑制剤。
【請求項38】
芳香薬品中の少なくとも1個の二重結合を三員環で置換しており、前記三員環は二重結合がそれから誘導される2個の炭素を含み、そのそれぞれがイオウまたはC(R)基と結合しており、
Rが独立にH、C1〜5アルキルまたはC1〜5置換アルキルであり、
置換アルキル基上の置換基がハロ、ヒドロキシ、チオール、チオエーテル、アミン、カルボン酸、エステル、ニトロ、シアノ、スルホン酸、尿素およびチオ尿素からなる群から選択され、
前記芳香薬品中の少なくとも1個のアルデヒド基をニトリル、メチルエーテル、エステルまたはアセタール基でさらに置換している
少なくとも1個の二重結合および少なくとも1個のアルデヒド基を含む芳香薬品の誘導体を含む洗剤または漂白剤組成物。
【請求項39】
芳香薬品中の少なくとも1個の二重結合を三員環で置換しており、前記三員環は二重結合がそれから誘導される2個の炭素を含み、そのそれぞれがイオウと結合している少なくとも1個の二重結合を含む芳香薬品の誘導体を含む洗剤または漂白剤組成物。
【請求項40】
芳香薬品中の少なくとも1個の二重結合をチオエーテル結合で置換している少なくとも1個の二重結合を含む芳香薬品の誘導体を含む洗剤または漂白剤組成物。
【請求項41】
芳香薬品中の少なくとも1個のフェニル環をチオフェン環で置換している少なくとも1個のフェニル環を含む芳香薬品の誘導体を含む洗剤または漂白剤組成物。
【請求項42】
芳香薬品中の少なくとも1個の二重結合を三員環で置換しており、前記三員環は二重結合がそれから誘導される2個の炭素を含み、そのそれぞれがイオウまたはC(R)基と結合しており、
Rが独立にH、C1〜5アルキルまたはC1〜5置換アルキルであり、
置換アルキル基上の置換基がハロ、ヒドロキシ、チオール、チオエーテル、アミン、カルボン酸、エステル、ニトロ、シアノ、スルホン酸、尿素およびチオ尿素からなる群から選択され、
前記芳香薬品中の少なくとも1個のアルデヒド基をニトリル、メチルエーテル、エステルまたはアセタール基でさらに置換している
少なくとも1個の二重結合および少なくとも1個のアルデヒド基を含む芳香薬品の誘導体を含む香味付き経口送達製品。
【請求項43】
芳香薬品中の少なくとも1個の二重結合を三員環で置換しており、前記三員環は二重結合がそれから誘導される2個の炭素を含み、そのそれぞれがイオウと結合している少なくとも1個の二重結合を含む芳香薬品の誘導体を含む香味付き経口送達製品。
【請求項44】
芳香薬品中の少なくとも1個の二重結合をチオエーテル結合で置換している少なくとも1個の二重結合を含む芳香薬品の誘導体を含む香味付き経口送達製品。
【請求項45】
芳香薬品中の少なくとも1個のフェニル環をチオフェン環で置換している少なくとも1個のフェニル環を含む芳香薬品の誘導体を含む香味付き経口送達製品。
【請求項46】
製品が飲料である請求項42から45のいずれかに記載の香味付き経口送達製品。
【請求項47】
少なくとも1個の二重結合をシクロプロパンまたはチイラン環に変換することを含む、少なくとも1個の二重結合を含む芳香薬品の酸性または酸化的雰囲気での安定性を向上させる方法。
【請求項48】
芳香薬品が少なくとも1個のアルデヒド基をさらに含み、少なくとも1個のアルデヒド基を、−OCH、−C(OR)H、−CN、−C(=O)CH、−NC、−C≡C−R(アルキン)、オキシム、C(=O)OR(RはC1〜5アルキル)およびシュウ酸エステル(式中、RはH、C1〜5アルキルまたはC1〜5置換のアルキルである)からなる群から選択される官能基へ変換させることをさらに含む請求項47に記載の方法。
【請求項49】
少なくとも1個の二重結合をチオエーテル結合に変換することを含む、少なくとも1個の二重結合を含む芳香薬品の酸性または酸化的雰囲気での安定性を向上させる方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−506316(P2006−506316A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−554619(P2003−554619)
【出願日】平成14年7月12日(2002.7.12)
【国際出願番号】PCT/US2002/022120
【国際公開番号】WO2003/053902
【国際公開日】平成15年7月3日(2003.7.3)
【出願人】(504181579)フレキシトラル・インコーポレイテツド (2)
【Fターム(参考)】