説明

放射線検出器、放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システムおよび配線容量調整方法

【課題】撮影によって得られた放射線画像の画像ムラの発生を抑制することのできる放射線検出器、放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システムおよび配線容量調整方法を得る。
【解決手段】複数の信号配線3の少なくとも1つに接続された調整素子(コンデンサ5)により、当該複数の信号配線3の各々の配線容量の差が小さくなるように調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出器、放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システムおよび配線容量調整方法に係り、特に、放射線画像を検出する放射線検出器、放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システム、および上記放射線検出器に設けられている信号配線の配線容量を調整する配線容量調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、TFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス基板上に放射線感応層を配置し、X線等の放射線を直接デジタルデータに変換できるFPD(Flat Panel Detector)等の放射線検出器が実用化されている。この放射線検出器を用いた放射線画像撮影装置は、従来のX線フイルムやイメージングプレートを用いた放射線画像撮影装置に比べて、即時に画像を確認でき、連続的に放射線画像の撮影を行う透視撮影(動画撮影)も行うことができるといったメリットがある。
【0003】
ところで、この種の放射線画像撮影装置では、当該放射線画像撮影装置自身によって放射線の照射開始や照射停止、照射量等を検出することができれば、放射線画像撮影装置および放射線源等を統括的に制御する撮影制御装置と放射線源との接続を行う必要がなくなるため、システム構成を簡略化したり、撮影制御装置による制御を簡略化したりするうえで好ましい。
【0004】
この種の放射線の照射状態を検出することのできる放射線画像撮影装置に関する技術として、特許文献1には、複数の第1の光電変換素子と、前記第1の光電変換素子に接続された複数のスイッチ素子と、前記複数のスイッチ素子のオン/オフを切り替える信号が伝達される駆動配線と、前記駆動配線の上方に形成された第2の光電変換素子と、前記第1の光電変換素子および前記第2の光電変換素子に接続されたバイアス線と、を有し、前記第1の光電変換素子および前記第2の光電変換素子は、同一の基板に形成されていることを特徴とする放射線検出装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、入射した放射線を電気信号に変換する変換素子が基板上に複数配設された放射線変換部を有し、前記放射線変換部は、前記変換素子が前記電気信号を転送するスイッチ素子を介して信号線に接続され、画像を生成するための信号を出力する第1の画素と、前記変換素子が直接、信号線に接続され、前記放射線の照射を検出する第2の画素とを備えていることを特徴とする放射線検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−147958号公報
【特許文献2】特開2004−170216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示されている技術では、放射線の照射状態を検出するための画素と放射線画像を検出するための画素の各画素に蓄積された電気信号を出力するための信号配線の各々の配線容量に差が生じてしまい、当該配線容量の差に応じて放射線画像にライン状の画像ムラが生じてしまう場合がある、という問題点があった。
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、撮影によって得られた放射線画像の画像ムラの発生を抑制することのできる放射線検出器、放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システムおよび配線容量調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の放射線検出器は、放射線の照射状態を検出する放射線検出用画素と、被写体を透過した放射線により示される放射線画像を検出する画像検出用画素と、前記放射線検出用画素および前記画像検出用画素の少なくとも一方が接続され、接続された画素による検出状態を示す電気信号が流れる複数の信号配線と、前記複数の信号配線の少なくとも1つに接続され、当該複数の信号配線の各々の配線容量の差が小さくなるように調整する調整素子と、を備えている。
【0010】
請求項1に記載の放射線検出器によれば、放射線の照射状態を検出する放射線検出用画素、および被写体を透過した放射線により示される放射線画像を検出する画像検出用画素の少なくとも一方が接続された複数の信号配線により、接続された画素による検出状態を示す電気信号が流される。
【0011】
ここで、本発明では、前記複数の信号配線の少なくとも1つに接続された調整素子により、当該複数の信号配線の各々の配線容量の差が小さくなるように調整される。
【0012】
このように、請求項1に記載の放射線検出器によれば、複数の信号配線の少なくとも1つに接続された調整素子により、当該複数の信号配線の各々の配線容量の差が小さくなるように調整しているので、撮影によって得られた放射線画像の画像ムラの発生を抑制することができる。
【0013】
なお、本発明は、請求項2に記載の発明のように、前記調整素子が、前記複数の信号配線における最大の配線容量との差分が予め定められた値以上となる前記信号配線に接続されてもよい。これにより、前記予め定められた値の設定値に応じて、所望の画像ムラの抑制効果を得ることができる。
【0014】
特に、請求項2に記載の発明は、請求項3に記載の発明のように、前記調整素子が、容量が前記差分以下であるものとしてもよい。これにより、より確実に画像ムラの発生を抑制することができる。
【0015】
また、本発明は、請求項4に記載の発明のように、前記調整素子が、前記複数の信号配線の全てに接続されていてもよい。これにより、より高精度で配線容量の差を小さくすることができる。
【0016】
また、本発明は、請求項5に記載の発明のように、前記調整素子を、容量性素子としてもよい。これにより、容量性素子は画像検出用画素および放射線検出用画素と同様の製造プロセスにより構成することができるため、より簡易に製造することができる。
【0017】
また、本発明は、請求項6に記載の発明のように、前記画像検出用画素が、照射された放射線に応じて発生した電荷を蓄積するセンサ部、および前記センサ部によって蓄積された電荷を読み出すためのスイッチング素子を有し、前記放射線検出用画素が、前記センサ部、およびスイッチ端子が短絡された前記スイッチング素子を有してもよい。これにより、略同一の構成で画像検出用画素と放射線検出用画素を構成することができ、画像検出用画素と放射線検出用画素を異なる構成とする場合に比較して、より簡易に製造することができる。
【0018】
特に、請求項6に記載の発明は、請求項7に記載の発明のように、前記調整素子が、前記放射線検出用画素と同様の構成とされていてもよい。これにより、調整素子が放射線検出用画素とは異なる構成とされている場合に比較して、より簡易に製造することができる。
【0019】
さらに、本発明は、請求項8に記載の発明のように、前記調整素子が、接続対象とする前記信号配線における前記放射線検出用画素および前記画像検出用画素の少なくとも一方が接続されている領域より外側の一端部側、当該外側の他端部側、および前記放射線検出用画素および前記画像検出用画素の少なくとも一方の接続数が複数である場合の接続領域の内部の少なくとも1箇所に接続されていてもよい。これにより、調整素子を設ける上での製造上の制約を緩和することができる。
【0020】
一方、上記目的を達成するために、請求項9に記載の放射線画像撮影装置は、請求項1から請求項8の何れか1項記載の放射線検出器と、前記放射線検出器における前記放射線検出用画素が接続された前記信号配線から得られた電気信号に基づいて放射線の照射状態を特定する特定手段と、を備えている。
【0021】
請求項9に記載の放射線画像撮影装置は、本発明の放射線検出器を備えており、特定手段により、前記放射線検出器における前記放射線検出用画素が接続された前記信号配線から得られた電気信号に基づいて放射線の照射状態が特定される。
【0022】
このように、請求項9に記載の放射線画像撮影装置によれば、本発明の放射線検出器が備えられているので、当該放射線検出器と同様に、撮影によって得られた放射線画像の画像ムラの発生を抑制することができる。
【0023】
なお、本発明は、請求項10に記載の発明のように、前記放射線の照射状態を、放射線の照射開始、放射線の照射量、および放射線の照射停止の少なくとも1つとしてもよい。これにより、適用した放射線の照射状態を検出することができる。
【0024】
一方、上記目的を達成するために、請求項11に記載の放射線画像撮影装置は、放射線の照射状態を検出する放射線検出用画素、被写体を透過した放射線により示される放射線画像を検出する画像検出用画素、および前記放射線検出用画素および前記画像検出用画素の少なくとも一方が接続され、接続された画素による検出状態を示す電気信号が流れる複数の信号配線を備えた放射線検出器と、前記放射線検出用画素が接続された前記信号配線から得られた電気信号に基づいて放射線の照射状態を特定する特定手段と、前記複数の信号配線の少なくとも1つに接続され、当該複数の信号配線の各々の配線容量の差が小さくなるように調整する調整素子と、を備えている。
【0025】
請求項11に記載の放射線画像撮影装置によれば、放射線の照射状態を検出する放射線検出用画素、および被写体を透過した放射線により示される放射線画像を検出する画像検出用画素の少なくとも一方が接続された複数の信号配線により、接続された画素による検出状態を示す電気信号が流される。
【0026】
また、本発明では、特定手段により、前記放射線検出用画素が接続された前記信号配線から得られた電気信号に基づいて放射線の照射状態が特定される。
【0027】
ここで、本発明では、前記複数の信号配線の少なくとも1つに接続された調整素子により、当該複数の信号配線の各々の配線容量の差が小さくなるように調整される。
【0028】
このように、請求項11に記載の放射線画像撮影装置によれば、複数の信号配線の少なくとも1つに接続された調整素子により、当該複数の信号配線の各々の配線容量の差が小さくなるように調整しているので、撮影によって得られた放射線画像の画像ムラの発生を抑制することができる。
【0029】
なお、本発明は、請求項12に記載の発明のように、前記複数の信号配線を流れた電気信号を増幅する増幅回路をさらに備え、前記調整素子が、前記増幅回路に接続されていてもよい。
【0030】
一方、上記目的を達成するために、請求項13に記載の放射線画像撮影システムは、請求項9から請求項12の何れか1項記載の放射線画像撮影装置と、前記放射線画像撮影装置による放射線画像の撮影用の放射線を照射する放射線照射装置と、を有している。
【0031】
請求項13に記載の放射線画像撮影システムは、本発明の放射線画像撮影装置を有しており、放射線照射装置により、前記放射線画像撮影装置による放射線画像の撮影用の放射線が照射される。
【0032】
このように、請求項13に記載の放射線画像撮影システムによれば、本発明の放射線画像撮影装置を有しているので、当該放射線画像撮影装置と同様に、撮影によって得られた放射線画像の画像ムラの発生を抑制することができる。
【0033】
さらに、上記目的を達成するために、請求項14に記載の配線容量調整方法は、放射線の照射状態を検出する放射線検出用画素、および被写体を透過した放射線により示される放射線画像を検出する画像検出用画素の少なくとも一方が接続され、接続された画素による検出状態を示す電気信号が流れる複数の信号配線の少なくとも1つに、当該複数の信号配線の各々の配線容量の差が小さくなるように調整する調整素子を接続するものである。
【0034】
従って、請求項14に記載の配線容量調整方法によれば、本発明の放射線検出器と同様に作用するので、当該放射線検出器と同様に、撮影によって得られた放射線画像の画像ムラの発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、複数の信号配線の少なくとも1つに接続された調整素子により、当該複数の信号配線の各々の配線容量の差が小さくなるように調整しているので、撮影によって得られた放射線画像の画像ムラの発生を抑制することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施の形態に係る放射線画像撮影システムの全体構成を示す構成図である。
【図2】第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の電気系の要部構成を示す回路図(一部ブロック図)である。
【図3】実施の形態に係る画素の構成を示す平面図である。
【図4】実施の形態に係る画素の断面図である。
【図5】実施の形態に係る画素の断面図である。
【図6】実施の形態に係る信号検出回路の構成を示す回路図である。
【図7】第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の変形例の電気系の要部構成を示す回路図(一部ブロック図)である。
【図8】第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の変形例の電気系の要部構成を示す回路図(一部ブロック図)である。
【図9】第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の変形例の電気系の要部構成を示す回路図(一部ブロック図)である。
【図10】第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の変形例の電気系の要部構成を示す回路図(一部ブロック図)である。
【図11】第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の変形例の電気系の要部構成を示す回路図(一部ブロック図)である。
【図12】第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の変形例の電気系の要部構成を示す回路図(一部ブロック図)である。
【図13】第2の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の電気系の要部構成を示す回路図(一部ブロック図)である。
【図14】第2の実施の形態に係る信号検出回路の構成を示す回路図である。
【図15】その他の形態に係る画素の構成を示す平面図である。
【図16】その他の形態に係る画素の構成を示す平面図である。
【図17】その他の形態に係る画素の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0038】
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本実施の形態に係る放射線画像撮影システム200の構成について説明する。
【0039】
本実施の形態に係る放射線画像撮影システム200は、放射線(例えば、エックス線(X線)等)を被検体206に照射する放射線照射装置204と、放射線照射装置204から照射され、被検体206を透過した放射線を検出する放射線検出器10を備えた放射線画像撮影装置100と、放射線照射装置204および放射線画像撮影装置100に対して放射線画像の撮影に関する制御を行うと共に、放射線画像撮影装置100から撮影によって得られた放射線画像を示す画像データを取得する制御装置(所謂コンソール)202と、が備えられている。
【0040】
本実施の形態に係る放射線画像撮影システム200では、制御装置202による制御に応じたタイミングで、放射線照射装置204から照射され、予め定められた撮影位置に位置している被検体206を透過することで当該透過領域における放射線画像を担持した放射線が放射線画像撮影装置100に照射される。放射線画像撮影装置100は、照射された放射線に担持された放射線画像を撮影する。
【0041】
次に、図2を参照して、本実施の形態に係る放射線画像撮影装置100の電気系の構成について説明する。なお、ここでは、放射線検出器10として、X線等の放射線を一旦光に変換し、変換した光を電荷に変換する間接変換方式のものを適用した場合について説明する。また、図2では、放射線を光に変換するシンチレータの図示を省略している。
【0042】
同図に示すように、本実施の形態に係る放射線検出器10には、光を受けて電荷を発生し、発生した電荷を蓄積するセンサ部103と、センサ部103に蓄積された電荷を読み出すためのスイッチング素子であるTFT(Thin Film Transistor)スイッチ4と、を含んで構成された画素20が複数、マトリックス状に配置されている。本実施の形態では、シンチレータによって変換された光が照射されることにより、センサ部103が電荷を発生する。
【0043】
本実施の形態に係る画素20は、一方向(図2の横方向、以下「行方向」ともいう。)および当該行方向に対する交差方向(図2の縦方向、以下「列方向」ともいう。)にマトリクス状に複数配置されている。なお、図2では、画素20の配列を簡略化して示しているが、例えば、画素20は行方向および列方向に1024×1024個配置されている。
【0044】
本実施の形態に係る放射線検出器10では、複数の画素20のうち、放射線画像の検出用の画素20Aと、放射線の照射状態の検出用の画素20Bが予め定められている。なお、図2では、画素20Bを破線で囲んでいる。画素20Aは、放射線を検出して放射線が示す画像を生成するために用いられる一方、画素20Bは、放射線の照射状態を検出するために用いられる画素であり、電荷の蓄積期間であっても、電荷を出力する画素である(詳細は後述する。)。
【0045】
一方、本実施の形態に係る放射線検出器10には、基板1(図4参照。図2では図示省略。)上に、TFTスイッチ4をオン/オフするための複数の走査配線101と、センサ部103に蓄積された電荷を読み出すための複数の信号配線3と、が互いに交差して設けられている。本実施の形態では、上記列方向の各画素列に信号配線3が1本ずつ設けられ、上記行方向の各画素列に走査配線101が1本ずつ設けられており、例えば、画素20が行方向および列方向に1024×1024個配置されている場合、信号配線3および走査配線101は1024本ずつ設けられている。
【0046】
さらに、本実施の形態に係る放射線検出器10には、各信号配線3と並列に共通電極配線25が設けられている。共通電極配線25は、一端部および他端部が並列に接続されており、当該一端部が所定のバイアス電圧を印加する電源110に接続されている。また、各センサ部103は共通電極配線25に接続されており、共通電極配線25を介してバイアス電圧が印加される。
【0047】
ここで、各走査配線101には、接続されているTFTスイッチ4をスイッチングするためのスキャン信号が流れる。このようにスキャン信号が各走査配線101に流れることによって、各TFTスイッチ4がスイッチング(オン/オフ)される。
【0048】
これに対し、各信号配線3には、接続されている画素20のTFTスイッチ4のスイッチング状態に応じて、各画素20に蓄積された電荷に応じた電気信号が流れる。より具体的には、各信号配線3には、当該信号配線3に接続された画素20の何れかのTFTスイッチ4がオンされることにより、蓄積された電荷量に応じた電気信号が流れる。
【0049】
各信号配線3には、各信号配線3に流れ出した電気信号を検出する信号検出回路105が接続されている。また、各走査配線101には、各走査配線101にTFTスイッチ4をオン/オフするためのスキャン信号を出力するスキャン信号制御回路104が接続されている。図2では、信号検出回路105およびスキャン信号制御回路104を1つに簡略化して示しているが、例えば、信号検出回路105およびスキャン信号制御回路104を複数設けて所定本(例えば、256本)毎に信号配線3または走査配線101を接続する。例えば、信号配線3および走査配線101が1024本ずつ設けられている場合、スキャン信号制御回路104を4個設けて256本ずつ走査配線101を接続し、信号検出回路105も4個設けて256本ずつ信号配線3を接続する。
【0050】
本実施の形態に係る信号検出回路105は、信号配線3の各々毎に、入力される電気信号を増幅する増幅回路およびADC(アナログ/デジタル変換器)(共に図6参照。)を内蔵している。信号検出回路105では、各信号配線3より入力される電気信号を増幅回路により増幅し、ADCによりデジタル信号(以下、「画像データ」という。)へ変換する(詳細は後述する。)。
【0051】
信号検出回路105およびスキャン信号制御回路104には、信号検出回路105において変換された画像データに対してノイズ除去などの所定の処理を施すとともに、信号検出回路105に対して信号検出のタイミングを示す制御信号を出力する一方、スキャン信号制御回路104に対してスキャン信号の出力のタイミングを示す制御信号を出力する制御部106が接続されている。
【0052】
本実施の形態に係る制御部106は、マイクロコンピュータによって構成されており、CPU(中央処理装置)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、およびフラッシュメモリ等からなる不揮発性の記憶部を備えている。制御部106は、ROMに記憶されたプログラムをCPUで実行することにより、放射線画像の撮影のための制御を行う。また、制御部106は、上記所定の処理が施された画像データに対して、画素20Bの配設位置における画像データ(画素データ)を周辺の画素データから補間により導出する処理を行って、照射された放射線により示される画像を生成する。
【0053】
図3には、本実施の形態に係る放射線検出器10の構造を示す平面図が示されており、図4には、図3の画素20AにおけるA−A線断面図が示されており、図5には、図3の画素20BにおけるB−B線断面図が示されている。
【0054】
図4に示すように、本実施の形態に係る放射線検出器10の画素20Aは、無アルカリガラス等からなる絶縁性の基板1上に、走査配線101(図3参照。)、ゲート電極2が形成されており、走査配線101とゲート電極2は接続されている(図3参照。)。この走査配線101、ゲート電極2が形成された配線層(以下、この配線層を「第1信号配線層」ともいう。)は、Al若しくはCu、またはAl若しくはCuを主体とした積層膜を用いて形成されているが、これらに限定されるものではない。
【0055】
この第1信号配線層上には、一面に絶縁膜15が形成されており、ゲート電極2上に位置する部位がTFTスイッチ4におけるゲート絶縁膜として作用する。この絶縁膜15は、例えば、SiN 等からなり、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)成膜により形成される。
【0056】
絶縁膜15上のゲート電極2上には、半導体活性層8が島状に形成されている。この半導体活性層8は、TFTスイッチ4のチャネル部であり、例えば、アモルファスシリコン膜からなる。
【0057】
これらの上層には、ソース電極9、およびドレイン電極13が形成されている。このソース電極9およびドレイン電極13が形成された配線層には、ソース電極9、ドレイン電極13とともに、信号配線3が形成されている。ソース電極9は信号配線3に接続されている(図3参照。)。ソース電極9、ドレイン電極13、および信号配線3が形成された配線層(以下、この配線層を「第2信号配線層」ともいう。)は、Al若しくはCu、またはAl若しくはCuを主体とした積層膜を用いて形成されるが、これらに限定されるものではない。当該ソース電極9およびドレイン電極13と半導体活性層8との間には不純物添加アモルファスシリコン等による不純物添加半導体層(図示省略)が形成されている。これらによりスイッチング用のTFTスイッチ4が構成される。なお、TFTスイッチ4は後述する下部電極11により収集、蓄積される電荷の極性によってソース電極9とドレイン電極13が逆となる。
【0058】
これら第2信号配線層を覆い、基板1上の画素20が設けられた領域のほぼ全面(ほぼ全領域)には、TFTスイッチ4や信号配線3を保護するために、TFT保護膜層30が形成されている。このTFT保護膜層30は、例えば、SiN 等からなっており、例えば、CVD成膜により形成される。
【0059】
このTFT保護膜層30上には、塗布型の層間絶縁膜12が形成されている。この層間絶縁膜12は、低誘電率(比誘電率εr=2〜4)の感光性の有機材料(例えば、ポジ型感光性アクリル系樹脂:メタクリル酸とグリシジルメタクリレートとの共重合体からなるベースポリマーに、ナフトキノンジアジド系ポジ型感光剤を混合した材料など)により1〜4μmの膜厚で形成されている。
【0060】
本実施の形態に係る放射線検出器10では、この層間絶縁膜12によって層間絶縁膜12上層と下層に配置される金属間の容量を低く抑えている。また、一般的にこのような材料は平坦化膜としての機能も有しており、下層の段差が平坦化される効果も有する。本実施の形態に係る放射線検出器10では、この層間絶縁膜12およびTFT保護膜層30のドレイン電極13と対向する位置にコンタクトホール17が形成されている。
【0061】
層間絶縁膜12上には、コンタクトホール17を埋めつつ、画素領域を覆うようにセンサ部103の下部電極11が形成されており、この下部電極11は、TFTスイッチ4のドレイン電極13と接続されている。この下部電極11は、後述する半導体層21が1μm前後と厚い場合には導電性があれば材料に制限がほとんどない。このため、Al系材料、ITOなど導電性の金属を用いて形成すれば問題ない。
【0062】
一方、半導体層21の膜厚が薄い場合(0.2〜0.5μm前後)、半導体層21で光の吸収が十分でないため、TFTスイッチ4への光照射によるリーク電流の増加を防ぐため、遮光性メタルを主体とする合金、若しくは積層膜とすることが好ましい。
【0063】
下部電極11上には、フォトダイオードとして機能する半導体層21が形成されている。本実施の形態では、半導体層21として、n+層、i層、p+層(n+アモルファスシリコン、アモルファスシリコン、p+アモルファスシリコン)を積層したPIN構造のフォトダイオードを採用しており、下層からn+層21A、i層21B、p+層21Cを順に積層して形成する。i層21Bは、光が照射されることにより電荷(一対の自由電子と自由正孔)が発生する。n+層21Aおよびp+層21Cは、コンタクト層として機能し、下部電極11および後述する上部電極22とi層21Bとを電気的に接続する。
【0064】
各半導体層21上には、それぞれ個別に上部電極22が形成されている。この上部電極22には、例えば、ITOやIZO(酸化亜鉛インジウム)などの光透過性の高い材料を用いている。本実施の形態に係る放射線検出器10では、上部電極22や半導体層21、下部電極11を含んでセンサ部103が構成されている。
【0065】
層間絶縁膜12、半導体層21および上部電極22上には、上部電極22に対応する一部で開口27Aを持ち、各半導体層21を覆うように、塗布型の層間絶縁膜23が形成されている。
【0066】
この層間絶縁膜23上には、共通電極配線25がAl若しくはCu、またはAl若しくはCuを主体とした合金あるいは積層膜で形成されている。共通電極配線25は、開口27A付近にコンタクトパッド27が形成され、層間絶縁膜23の開口27Aを介して上部電極22と電気的に接続される。
【0067】
一方、図5に示すように、放射線検出器10の画素20Bでは、ソース電極9とドレイン電極13とが接触するようにTFTスイッチ4が形成されている。すなわち、画素20Bでは、TFTスイッチ4のソースとドレインが短絡している。これにより、画素20Bでは、下部電極11に収集された電荷がTFTスイッチ4のスイッチング状態にかかわらず信号配線3に流れ出す。
【0068】
このように形成された放射線検出器10には、必要に応じてさらに光吸収性の低い絶縁性の材料により保護膜が形成されて、その表面に光吸収性の低い接着樹脂を用いてGOS等からなるシンチレータが貼り付けられる。
【0069】
次に、図6を参照して、本実施の形態に係る信号検出回路105の構成について説明する。
【0070】
同図に示すように、本実施の形態に係る信号検出回路105は、増幅回路50およびADC54を備えて構成されている。なお、図6では図示を省略するが、増幅回路50は、信号配線3毎に設けられている。すなわち、信号検出回路105は、放射線検出器10の信号配線3の数と同数の増幅回路50を備えて構成されている。
【0071】
ここで、増幅回路50は、チャージアンプ回路で構成されており、オペアンプ等のアンプ52と、アンプ52に並列に接続されたコンデンサCと、アンプ52に並列に接続された電荷リセット用のスイッチSW1と、を備えて構成されている。
【0072】
増幅回路50では、電荷リセット用のスイッチSW1がオフの状態で画素20のTFTスイッチ4により電荷(電気信号)が読み出され、コンデンサCにTFTスイッチ4により読み出された電荷が蓄積されて、蓄積された電荷量に応じてアンプ52から出力される電圧値が増加するようになっている。
【0073】
また、制御部106は、電荷リセット用のスイッチSW1に電荷リセット信号を印加して電荷リセット用のスイッチSW1のオン/オフ状態を制御するようになっている。なお、電荷リセット用のスイッチSW1がオン状態とされると、アンプ52の入力側と出力側とが短絡され、コンデンサCの電荷が放電される。
【0074】
ADC54は、S/H(サンプルホールド)スイッチSWがオン状態とされている際に、増幅回路50から入力されたアナログ信号である電気信号をデジタル信号に変換する機能を有するものである。ADC54は、デジタル信号に変換した電気信号(画像データ)を制御部106に順次出力する。
【0075】
なお、本実施の形態に係るADC54には、信号検出回路105に備えられた全ての増幅回路50から出力された電気信号が入力される。すなわち、本実施の形態に係る信号検出回路105は、増幅回路50(信号配線3)の数にかかわらず、単一のADC54を備えている。
【0076】
本実施の形態に係る放射線画像撮影装置100では、画素20Bが接続された信号配線3の少なくとも1つ(図2の場合、D2またはD6の少なくとも一方の信号配線3)の電気信号を信号検出回路105の増幅回路50で増幅し、制御部106が、信号検出回路105のADCによって変換されたデジタル信号の値を予め定めた放射線検出用の閾値と比較し、閾値以上となったか否かにより放射線が照射されたか否かの検出を行っており、制御装置202からの制御信号を必要としない、いわゆる同期フリーを実現している。なお、制御部106による放射線が照射されたか否かの検出は、放射線検出用の閾値と比較することによる方法に限らず、例えば、検出回数等、予め設定した他の条件に基づいて検出するようにしてもよい。
【0077】
ところで、以上のように構成された放射線検出器10では、放射線画像の検出用の画素20Aと放射線の照射状態の検出用の画素20Bとが接続されている信号配線3(以下、「特定信号配線3」という。)と、画素20Aのみが接続されている信号配線3(以下、「通常信号配線3」という。)と、が混在している。なお、本実施の形態に係る放射線検出器10では、各特定信号配線3に接続されている画素20Bの数が同数とされている。
【0078】
ここで、各信号配線3には、接続されている画素20の容量成分が付加されるため、特定信号配線3と通常信号配線3とでは、配線容量が異なることになり、この結果、撮影によって得られた放射線画像にライン状の画像ムラ(アーティファクト)が生じてしまう。
【0079】
そこで、本実施の形態に係る放射線画像撮影装置100では、図2に示すように、放射線検出器10の通常信号配線3の各々に対して、特定信号配線3と通常信号配線3との配線容量の差分以下の容量のコンデンサ5を接続する。
【0080】
なお、本実施の形態に係る放射線画像撮影装置100では、コンデンサ5が、各信号配線3における最大の配線容量との差分が予め定められた値(本実施の形態では、当該最大の配線容量の5分の1の容量)以上となる信号配線3に接続されている。
【0081】
例えば、信号配線3そのものの配線容量が200pFであり、信号配線3の抵抗値が10kΩであり、画素20の各々の容量が1pFであり、1本の特定信号配線3に接続されている画素20Bの数が100個である場合を考える。この場合、通常信号配線3の配線容量は200pFで、時定数は2μ秒である一方、特定信号配線3の配線容量は300pFで、時定数は3μ秒である。
【0082】
この場合に、通常信号配線3の各々に対して、特定信号配線3と通常信号配線3との配線容量の差分(ここでは、100pF)以下の50pFの容量のコンデンサ5を1つずつ接続した場合を考える。この場合、通常信号配線3の配線容量が250pFとなり、時定数が2.5μ秒となる一方、特定信号配線3の配線容量は300pF、時定数は3μ秒のままである。従って、特定信号配線3と通常信号配線3との時定数の差を小さくすることができ、特定信号配線3と通常信号配線3との信号遅延時間を短縮することができる結果、上記ライン状の画像ムラの発生を抑制することができる。
【0083】
なお、この際、コンデンサ5は、放射線検出器10の積層構造内に、センサ部103や、TFTスイッチ4等と同一の製造プロセスにて構成してもよいし、放射線検出器10に対して後付けでコンデンサ5を搭載するようにしてもよい。
【0084】
以上詳細に説明したように、本実施の形態の放射線検出器10によれば、複数の信号配線(本実施の形態では、信号配線3)の少なくとも1つに接続された調整素子(本実施の形態では、コンデンサ5)により、当該複数の信号配線の各々の配線容量の差が小さくなるように調整しているので、撮影によって得られた放射線画像の画像ムラの発生を抑制することができる。
【0085】
また、本実施の形態に係る放射線検出器10によれば、前記調整素子が、前記複数の信号配線における最大の配線容量との差分が予め定められた値以上となる前記信号配線に接続されているので、前記予め定められた値の設定値に応じて、所望の画像ムラの抑制効果を得ることができる。
【0086】
また、本実施の形態に係る放射線検出器10によれば、前記調整素子が、容量が前記差分以下であるものとしているので、より確実に画像ムラの発生を抑制することができる。
【0087】
また、本実施の形態に係る放射線検出器10によれば、前記調整素子を、容量性素子としているので、容量性素子は画像検出用画素(本実施の形態では、画素20A)および放射線検出用画素(本実施の形態では、画素20B)と同様の製造プロセスにより構成することができるため、より簡易に製造することができる。
【0088】
また、本実施の形態に係る放射線検出器10によれば、画像検出用画素が、照射された放射線に応じて発生した電荷を蓄積するセンサ部(本実施の形態では、センサ部103)、および前記センサ部によって蓄積された電荷を読み出すためのスイッチング素子(本実施の形態では、TFTスイッチ4)を有し、前記放射線検出用画素が、前記センサ部、およびスイッチ端子が短絡された前記スイッチング素子を有するものとしているので、略同一の構成で画像検出用画素と放射線検出用画素を構成することができ、画像検出用画素と放射線検出用画素を異なる構成とする場合に比較して、より簡易に製造することができる。
【0089】
一方、本実施の形態に係る放射線画像撮影装置100によれば、以上のような放射線検出器10が備えられているので、当該放射線検出器10と同様に、撮影によって得られた放射線画像の画像ムラの発生を抑制することができる。
【0090】
特に、本実施の形態に係る放射線画像撮影装置100では、前記放射線の照射状態として、放射線の照射開始を適用しているので、当該照射開始を検出することができる。
【0091】
さらに、本実施の形態に係る放射線画像撮影システム200によれば、以上のような放射線画像撮影装置100を有しているので、当該放射線画像撮影装置100と同様に、撮影によって得られた放射線画像の画像ムラの発生を抑制することができる。
【0092】
なお、本実施の形態では、信号配線3の画素20が接続されている領域の外側の一端部側(本実施の形態では、信号検出回路105側の端部側)に調整素子(コンデンサ5)を接続した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、一例として図7に示すように、信号配線3の画素20が接続されている領域の外側の他端部側に調整素子(同図では、コンデンサ6)を接続する形態としてもよい。また、一例として図8に示すように、上記一端部側および上記他端部側の双方に調整素子(同図では、コンデンサ5、コンデンサ6)を接続する形態としてもよい。
【0093】
また、一例として図9に示すように、信号配線3の画素20が接続されている領域の内部に調整素子(同図では、コンデンサ7)を接続する形態としてもよく、一例として図10に示すように、上記一端部側、上記他端部側、および上記内部の全てに調整素子(同図では、コンデンサ5、コンデンサ6、コンデンサ7)を接続する形態としてもよい。さらに、図示は省略するが、調整素子は、上記一端部および上記内部の2箇所に接続してもよく、上記他端部および上記内部の2箇所に接続してもよい。
【0094】
また、上記実施の形態では、通常信号配線3のみに調整素子を接続した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、一例として図11に示すように、通常信号配線3に加えて、特定信号配線3に調整素子(同図では、コンデンサ5’)を接続する形態としてもよい。なお、この形態においても、通常信号配線3に接続する場合と同様、上記他端部側および上記内部の何れか1箇所、または上記一端部側、上記他端部側、および上記内部の複数の組み合わせの各箇所に調整素子を接続する形態としてもよい。この場合、より高精度で配線容量の差を小さくすることができる。
【0095】
また、この場合、各特定信号配線3に接続される画素20Bの数を同一とする必要はなく、調整素子の容量を個別に設定することにより、より高精度に各信号配線3の配線容量を合わせ込むことができる。
【0096】
さらに、上記実施の形態では、本発明の調整素子としてコンデンサを適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、一例として図12に示すように、画素20Bと同様の構成とされた画素20Cを調整素子として適用する形態としてもよい。なお、この形態においても、本発明の調整素子としてコンデンサを適用する場合と同様、上記一端部側、上記他端部側および上記内部の何れか1箇所、または上記一端部側、上記他端部側、および上記内部の複数の組み合わせの各箇所に画素20Cを接続する形態としてもよい。この場合、調整素子が画素20Bとは異なる構成とされている場合に比較して、より簡易に製造することができる。
【0097】
[第2の実施の形態]
上記第1の実施の形態では、放射線検出器10に本発明の調整素子を設けた場合の形態例について説明したが、本第2の実施の形態では、上記調整素子を放射線検出器10には設けず、放射線画像撮影装置100の他の部分に設ける場合の形態例について説明する。
【0098】
まず、図13を参照して、本第2の実施の形態に係る放射線画像撮影装置100の電気系の構成について説明する。なお、図13における図2と同一の構成要素には図2と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0099】
図13に示すように、本実施の形態に係る放射線画像撮影装置100は、放射線検出器10にコンデンサ5が設けられていない点のみが、上記第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置100と異なっている。
【0100】
次に図14を参照して、本第2の実施の形態に係る信号検出回路105の構成について説明する。なお、図14における図6と同一の構成要素には図6と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0101】
図14に示すように、本実施の形態に係る信号検出回路105は、増幅回路50におけるアンプ52とS/HスイッチSWとの間にコンデンサ56が並列に接続されている点のみが上記第1の実施の形態とは異なっている。コンデンサ56は本発明の調整素子として機能するものであり、上記第1の実施の形態と同様に、特定信号配線3と通常信号配線3との配線容量の差分以下の容量とされている。
【0102】
なお、本実施の形態に係る放射線画像撮影装置100では、調整素子(コンデンサ56)を通常信号配線3に接続された増幅回路50のみに接続しているが、これに限らず、通常信号配線3に加えて、特定信号配線3に接続された増幅回路50に調整素子を接続してもよい。
【0103】
また、本実施の形態に係る放射線画像撮影装置100では、調整素子を増幅回路50の中に設けているが、これに限らず、調整素子は、各信号配線3からADC54に至る接続配線上の何れの位置に設けてもよい。
【0104】
このように、本第2の実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様の略効果を奏することができると共に、放射線検出器10として従来品を用いることができる。
【0105】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0106】
また、上記の実施の形態は、請求項にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明を抽出できる。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0107】
例えば、上記各実施の形態では、放射線検出器として間接変換方式のものを適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、放射線をアモルファスセレン等の半導体層で電荷に直接変換する直接変換方式のものを放射線検出器として適用する形態としてもよい。
【0108】
また、上記各実施の形態では、画素20Bにより検出対象としている放射線の照射状態として、放射線の照射開始を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、上記放射線の照射開始に加えて、放射線の照射量、放射線の照射停止の1つ、または複数の組み合わせを適用する形態としてもよい。この場合も、上記各実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0109】
また、上記各実施の形態では、画素20Bを画素20Aと同様のセンサ部103およびTFTスイッチ4を備えたものとして構成した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、画素20Bを画素20Aとを異なる構成とする形態としてもよい。
【0110】
また、上記各実施の形態では、ソースとドレインが短絡されたTFTスイッチ4を備えた画素20Bを用いる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図15に示すように、ドレイン電極13の途中から接続配線82を形成して信号配線3と接続するようにしてもよい。この場合も、TFTスイッチ4のソースとドレインは実質的に短絡していることとなる。上記実施の形態や図15に示すように、TFTスイッチ4のソースとドレインを短絡させる場合、図16に示すようにゲート電極2を走査配線101から離して形成するようにしてもよい。
【0111】
また、例えば、図17に示すように、画素20Bでは、接続配線82を形成して接続配線82及びコンタクトホール17を介して、センサ部103と信号配線3とを接続し、ドレイン電極13とコンタクトホール17の間を電気的に切断してもよい。
【0112】
その他、上記各実施の形態で説明した放射線画像撮影システム、放射線画像撮影装置、放射線検出器、信号検出回路の構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したり、構成を変更したりすることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0113】
3 信号配線
4 TFTスイッチ
5,5’ コンデンサ(調整素子)
6 コンデンサ(調整素子)
7 コンデンサ(調整素子)
10 放射線検出器
20 画素
20A 画素(画像検出用画素)
20B 画素(放射線検出用画素)
20C 画素(調整素子)
56 コンデンサ(調整素子)
100 放射線画像撮影装置
101 走査配線
103 センサ部
104 スキャン信号制御回路
105 信号検出回路
106 制御部
110 電源
200 放射線画像撮影システム
202 制御装置
204 放射線照射装置
206 被検体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線の照射状態を検出する放射線検出用画素と、
被写体を透過した放射線により示される放射線画像を検出する画像検出用画素と、
前記放射線検出用画素および前記画像検出用画素の少なくとも一方が接続され、接続された画素による検出状態を示す電気信号が流れる複数の信号配線と、
前記複数の信号配線の少なくとも1つに接続され、当該複数の信号配線の各々の配線容量の差が小さくなるように調整する調整素子と、
を備えた放射線検出器。
【請求項2】
前記調整素子は、前記複数の信号配線における最大の配線容量との差分が予め定められた値以上となる前記信号配線に接続される
請求項1記載の放射線検出器。
【請求項3】
前記調整素子は、容量が前記差分以下である
請求項2記載の放射線検出器。
【請求項4】
前記調整素子は、前記複数の信号配線の全てに接続されている
請求項1記載の放射線検出器。
【請求項5】
前記調整素子は、容量性素子である
請求項1から請求項4の何れか1項記載の放射線検出器。
【請求項6】
前記画像検出用画素は、照射された放射線に応じて発生した電荷を蓄積するセンサ部、および前記センサ部によって蓄積された電荷を読み出すためのスイッチング素子を有し、
前記放射線検出用画素は、前記センサ部、およびスイッチ端子が短絡された前記スイッチング素子を有する
請求項1から請求項5の何れか1項記載の放射線検出器。
【請求項7】
前記調整素子は、前記放射線検出用画素と同様の構成とされている
請求項6記載の放射線検出器。
【請求項8】
前記調整素子は、接続対象とする前記信号配線における前記放射線検出用画素および前記画像検出用画素の少なくとも一方が接続されている領域より外側の一端部側、当該外側の他端部側、および前記放射線検出用画素および前記画像検出用画素の少なくとも一方の接続数が複数である場合の接続領域の内部の少なくとも1箇所に接続されている
請求項1から請求項7の何れか1項記載の放射線検出器。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れか1項記載の放射線検出器と、
前記放射線検出器における前記放射線検出用画素が接続された前記信号配線から得られた電気信号に基づいて放射線の照射状態を特定する特定手段と、
を備えた放射線画像撮影装置。
【請求項10】
前記放射線の照射状態は、放射線の照射開始、放射線の照射量、および放射線の照射停止の少なくとも1つである
請求項9記載の放射線画像撮影装置。
【請求項11】
放射線の照射状態を検出する放射線検出用画素、被写体を透過した放射線により示される放射線画像を検出する画像検出用画素、および前記放射線検出用画素および前記画像検出用画素の少なくとも一方が接続され、接続された画素による検出状態を示す電気信号が流れる複数の信号配線を備えた放射線検出器と、
前記放射線検出用画素が接続された前記信号配線から得られた電気信号に基づいて放射線の照射状態を特定する特定手段と、
前記複数の信号配線の少なくとも1つに接続され、当該複数の信号配線の各々の配線容量の差が小さくなるように調整する調整素子と、
を備えた放射線画像撮影装置。
【請求項12】
前記複数の信号配線を流れた電気信号を増幅する増幅回路をさらに備え、
前記調整素子は、前記増幅回路に接続されている
請求項11記載の放射線画像撮影装置。
【請求項13】
請求項9から請求項12の何れか1項記載の放射線画像撮影装置と、
前記放射線画像撮影装置による放射線画像の撮影用の放射線を照射する放射線照射装置と、
を有する放射線画像撮影システム。
【請求項14】
放射線の照射状態を検出する放射線検出用画素、および被写体を透過した放射線により示される放射線画像を検出する画像検出用画素の少なくとも一方が接続され、接続された画素による検出状態を示す電気信号が流れる複数の信号配線の少なくとも1つに、当該複数の信号配線の各々の配線容量の差が小さくなるように調整する調整素子を接続する
配線容量調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−12962(P2013−12962A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144931(P2011−144931)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】