説明

放射線画像検出装置及び放射線の照射開始検出方法

【課題】衝撃ノイズによる誤動作を防止しつつ、X線の照射開始を自己検出する。
【解決手段】画素37を制御するための走査線47が行毎に、信号電荷を読み出すための信号線48が列毎に配設された撮像領域51を有するFPD25と、蓄積動作と読み出し動作とを行わせるゲートドライバ52と、X線の照射開始を検出する制御部54と、制御部54がX線の照射開始を検出したときに、蓄積動作が開始するようにゲートドライバ52を制御する制御部54と、画素37から選択された検出画素61を有し、制御部54は、検出画素61が接続された信号線48から少なくとも2回連続して第1の電圧信号Vout1及び第2の電圧信号Vout2を取得し、これらの差に基づいて、照射開始の検出を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を透過した放射線の照射を受けて放射線画像を検出する放射線画像検出装置及び放射線の照射開始検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、画像診断を行うために、放射線、例えば、X線を利用したX線撮影システムが知られている。X線撮影システムは、X線を発生するX線源と、被写体を透過したX線の照射を受けて、X線画像を検出するX線画像検出装置とからなる。X線画像検出装置としては、X線の入射量に応じた信号電荷を蓄積する画素が配列されたTFT(Thin Film transistor)アクティブマトリクス基板を用いて、信号電荷を画素毎に蓄積することで被写体の画像情報を表すX線画像を検出し、これをデジタルな画像データとして出力するFPD(flat panel detedtor)を利用したものが実用化されている。
【0003】
FPDを利用したX線画像検出装置は、フィルムやIP(イメージングプレート)を利用したものと異なり、X線源がX線を照射する照射時間に合わせてFPDが信号電荷を蓄積する蓄積動作を実行するように、X線源との同期制御を行う必要がある。X線画像検出装置を制御するコンソール等の制御装置は、X線源に接続された照射スイッチが操作されてX線の照射が開始されるタイミングとFPDが信号電荷の蓄積動作を開始するタイミングとを同期させるために、照射スイッチが発生する照射開始信号を受信し、これを同期信号としてX線画像検出装置に対して出力する。X線画像検出装置は、同期信号を受信すると、蓄積動作へ移行して撮影を開始する。
【0004】
しかし、X線画像検出装置とX線源とでメーカが異なるものを用いてX線撮影システムを構築する場合には、X線画像検出装置やその制御装置に標準で装備されている同期制御用のインターフェース(ケーブルやコネクタの規格、同期信号の形式等)が、X線源のインターフェースと適合しない場合もある。このため、同期信号を用いることなく、X線画像検出装置でX線の照射開始を自己検出してX線源との同期を取る自己検出技術が各種提案されている(特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−126072号公報
【特許文献2】特表2002−543684号公報
【特許文献3】特開2008−125903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜3に開示される自己検出技術は、X線画像検出装置に衝撃や振動等によるノイズ(以下、衝撃ノイズ)が発生すると、これをX線の照射開始を誤検出してX線画像検出装置が蓄積動作に移行してしまうおそれがある。特許文献1〜3では、衝撃ノイズに起因する誤検出を防止するという課題及びその対策について明示も示唆もなく、何ら考慮されていない。
【0007】
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、X線の照射開始を自己検出するとともに、衝撃ノイズによる誤動作を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の放射線画像検出装置は、放射線源から照射され被写体を透過した放射線を撮像して放射線画像を得る撮像手段であり、放射線の入射量に応じた信号電荷を蓄積する複数の画素が二次元に配列され、各々の前記画素を制御するための走査線が行毎に、前記信号電荷を読み出すための信号線が列毎に配設された撮像領域を有する撮像手段と、前記走査線を通じて駆動信号を出力して各々の前記画素が有するスイッチング素子をオン状態とオフ状態に切り替えることにより前記画素を駆動する駆動手段であり、前記スイッチング素子をオフ状態にして前記画素に前記信号電荷を蓄積させる蓄積動作と、前記スイッチング素子をオン状態にして前記信号線を通じて前記信号電荷を読み出すための読み出し動作を行わせる駆動手段と、前記画素から選ばれた画素であり、前記放射線の照射開始を検出するための検出画素が接続された前記信号線の出力値を第1信号値及び第2信号値として2回連続して取得し、前記第1信号値と前記第2信号値との差に基づいて、前記放射線源による前記放射線の照射開始を検出することを特徴とする。
【0009】
前記第1信号値と前記第2信号値の差を所定の閾値と比較し、前記差が前記閾値以上の値の場合に前記照射開始を検出して蓄積動作を開始させることが好ましい。
【0010】
前記照射開始の一次判定を行って蓄積動作に移行し、前記蓄積動作に移行後に前記第1信号値及び前記第2信号値を取得し、前記第1信号値と前記第2信号値の差に基づいて、前記一次判定による判定結果の正当性を判定する二次判定を行うことが好ましい。
【0011】
前記第1信号値は前記検出画素の前記スイッチング素子をオン状態にして取得され、前記第2信号値は前記検出画素の前記スイッチング素子をオフ状態にして取得されることが好ましい。
【0012】
前記第1信号値及び前記第2信号値は前記検出画素の前記スイッチング素子をオン状態にして取得されることが好ましい。
【0013】
前記一次判定による判定結果が前記放射線の照射による正当なものでない場合に、前記蓄積動作を停止し、前記照射開始の検出を再開させることが好ましい。
【0014】
前記検出画素は複数個配置されており、各々の前記検出画素が接続される前記信号線の出力値に基づいて前記照射開始の検出を行うことが好ましい。
【0015】
前記検出画素は、前記撮像領域の中央付近に配置されていることが好ましい。
【0016】
前記信号線には、前記出力値として前記信号電荷の積分値に応じた電圧を出力する積分アンプが接続されていることが好ましい。
【0017】
前記検出画素及び前記判定用画素が配置された行に対応する画素値を補正する処理を施す補正手段を備えることが好ましい。
【0018】
本発明の放射線の照射開始検出方法は、放射線源から照射され被写体を透過した放射線を撮像して放射線画像を得る撮像手段であり、放射線の入射量に応じた信号電荷を蓄積する複数の画素が二次元に配列され、各々の前記画素を制御するための走査線が行毎に、前記信号電荷を読み出すための信号線が列毎に配設された撮像領域を有する撮像手段と、前記走査線を通じて駆動信号を出力して各々の前記画素が有するスイッチング素子をオン状態とオフ状態に切り替えることにより前記画素を駆動する駆動手段であり、前記スイッチング素子をオフ状態にして前記画素に前記信号電荷を蓄積させる蓄積動作と、前記スイッチング素子をオン状態にして前記信号線を通じて前記信号電荷を読み出す読み出し動作とを行わせる駆動手段とを用い、前記画素から選ばれた画素であり、前記放射線の照射開始を検出するための検出画素が接続された前記信号線の出力値を第1信号値及び第2信号値として2回連続して取得し、前記第1信号値と前記第2信号値との差に基づいて、前記放射線源による前記放射線の照射開始を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、衝撃ノイズによる誤動作を防止しつつ、X線の照射開始を自己検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】X線撮影システムの構成を示す概略図である。
【図2】電子カセッテの構成を示す説明図である。
【図3】X線の照射開始を検出する態様を示すタイミングチャートである。
【図4】衝撃ノイズによる誤動作を防止する態様を示すタイミングチャートである。
【図5】第2実施形態のX線の照射開始を検出する態様を示すタイミングチャートである。
【図6】第2実施形態の衝撃ノイズによる誤動作を防止する態様を示すタイミングチャートである。
【図7】検出画素が複数設けられる例を示す説明図である。
【図8】検出画素が撮像領域の中央付近に設けられる例を示す説明図である。
【図9】第3実施形態においてX線の照射開始を検出する態様を示すタイミングチャートである。
【図10】第3実施形態において衝撃ノイズが発生した場合の態様を示すタイミングチャートである。
【図11】第4実施形態においてX線の照射開始を検出する態様を示すタイミングチャートである。
【図12】第4実施形態において衝撃ノイズが発生した場合の態様を示すタイミングチャートである。
【図13】全行の画素でON読み出しによる電圧信号Vout1とOFF読み出しによる電圧信号Vout2の差分Δを算出する態様を示すタイミングチャートである。
【図14】全行の画素でON読み出しによる電圧信号Vout1とON読み出しによる電圧信号Vout2の差分Δを算出する態様を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
図1に示すように、X線撮影システム10は、被写体Hを載置する天板11を有する撮影台と、被写体Hに向けてX線焦点13からX線を照射するX線源12と、被写体Hを透過したX線の照射を受けて、被写体HのX線画像を検出する電子カセッテ14(放射線画像検出装置)とを備える。X線源12は、X線を発生するX線管とX線の照射野を限定するコリメータとを有する。
【0022】
また、X線撮影システム10は、高電圧発生部16、X線源制御部17、コンソール21、モニタ22を備えている。X線源制御部17には、図示しない操作パネルなどから、管電圧、管電流、照射時間といった撮影条件が入力される。X線源制御部17は、入力された撮影条件を高電圧発生部16に送る。またX線源制御部17には照射開始信号を入力する照射スイッチ23が接続されており、X線源制御部17は、照射スイッチ23から入力される照射開始信号を、高電圧発生部16を通じてX線源12に与える。
【0023】
高電圧発生部16は、X線源制御部17から入力された撮影条件に応じた管電圧や管電流を発生し、発生した管電圧や管電流をX線源12に与える。X線源12は、照射開始信号を受けると、与えられた管電圧や管電流に応じたX線の照射を開始し、照射時間が経過した時点でX線の照射を停止する。
【0024】
コンソール21は、電子カセッテ14を制御する制御装置である。コンソール21に対しては、照射スイッチ23からの照射開始信号は入力されない。コンソール21は、通信部24を介して電子カセッテ14に対して制御信号を送信し、電子カセッテ14が検出したX線画像のデータを受信する。モニタ22は、コンソール21が受信したX線画像を表示する他、コンソール21を操作するための操作画面の表示を行う。
【0025】
また、コンソール21は、補正部31を有する。補正部31は、電子カセッテ14から入力されるX線画像のデータに対して各種画像処理を施して、モニタ22に出力する。例えば、補正部31は、X線画像データに対して、欠陥のある画素の画素値を補間により補正する欠陥補正処理や、撮影したX線画像のデータからオフセット画像を差し引くことにより、暗電荷によるノイズ成分を除去するノイズ除去処理を施す。オフセット画像や欠陥画素のデータはメモリ32に予め記録されている。なお、画素毎の出力値を調節するゲイン補正は、撮影条件等に従って電子カセッテ14の信号処理回路(後述)で行われる。
【0026】
電子カセッテ14は、扁平なほぼ直方体形状の筐体内に、X線画像を検出するFPD25と、FPD25が出力するX線画像のデータを一時的に記憶するメモリ26と、コンソール21との間でメモリ26内のデータや制御信号の通信を行う通信部27とが内蔵されている。通信部27は、例えば、赤外線などの光や電波によって無線通信を行う無線通信部であり、電子カセッテ14は、FPD25などの各部に給電を行うバッテリ(図示しない)を内蔵したワイヤレスタイプである。通信部24,27は、ケーブルを通じて通信を行う有線通信部であってもよいし、電子カセッテ14はバッテリの代わりに商用電源から電源ケーブルを通じて給電を受けるものでも良い。
【0027】
図2において、FPD25は、TFTアクティブマトリクス基板を有し、この基板上にX線の入射量に応じた信号電荷を蓄積する複数の画素37を配列して張る撮像領域51が形成された撮像パネルと、画素37を駆動して信号電荷の読み出しを制御するゲートドライバ52と、画素37から読み出された信号電荷をデジタルデータに変換して出力する信号処理回路53と、ゲートドライバ52と信号処理回路53を制御して、FPD25の動作を制御する制御部54とを備えている。複数の画素37は、所定のピッチで二次元にn行(x方向)×m列(y方向)のマトリクスに配列されている。
【0028】
FPD25は、Xを可視光に変換するシンチレータ(蛍光体)を有し、シンチレータによって変換された可視光を画素37で光電変換する間接変換型である。シンチレータは、画素37が配列された撮像領域51の全面と対向するように配置されている。
【0029】
画素37は、可視光の入射によって電荷を発生する光電変換素子であるフォトダイオード42及びフォトダイオード42が発生した電荷を蓄積するキャパシタからなり、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(TFT)43を備える。
【0030】
フォトダイオード42は、電荷(電子‐正孔対)を発生する半導体層(例えばPIN型)とその上下に上部電極及び下部電極を配した構造を有している。フォトダイオード42は、下部電極にTFT43が接続され、上部電極には、図示しないバイアス線が接続されており、バイアス線を通じてバイアス電圧が印加される。バイアス電圧の印加により半導体層内に電界が生じるため、光電変換により半導体層で発生した電荷(電子‐正孔対)は、一方がプラス、他方がマイナスの極性を持つ上部電極と下部電極に移動し、キャパシタに電荷が蓄積される。
【0031】
TFT43は、ゲート電極が走査線47に接続され、ソース電極が信号線48に接続され、ドレイン電極がフォトダイオード42に接続される。走査線47と信号線48は格子状に配線されており、走査線47は、撮像領域51内の画素37の行数分(n行分)、信号線48は画素37の列数分(m列分)それぞれ配線されている。走査線47はゲートドライバ52に接続され、信号線48は信号処理回路53に接続される。
【0032】
ゲートドライバ52は、TFT43を駆動することにより、X線の入射量に応じた信号電荷を画素37に蓄積する蓄積動作と、画素37から信号電荷を読み出す読み出し動作と、画素リセット動作の3つの動作を行わせる駆動手段である。フォトダイオード42の半導体層には、X線の入射の有無に関わらず暗電荷が発生し、バイアス電圧が印加されているために、暗電荷はキャパシタに蓄積される。画素リセット動作は、画素37において発生する暗電荷を、信号線48を通じて掃き出して画素37をリセットする動作である。制御部54は、通信部27を通じて入力されるコンソール21からの制御信号に基づいて、ゲートドライバ52によって実行される、画素リセット動作、蓄積動作及び読み出し動作の動作タイミングを制御する。
【0033】
蓄積動作では、TFT43がオフ状態にされ、その間、画素37に信号電荷が蓄積される。蓄積動作の開始と同時に、制御部54は、タイマを作動させて蓄積時間の計時を開始する。蓄積時間は、X線が照射されている間、蓄積動作が継続するように、X線源12の最大照射時間よりも長い時間が設定されている。読み出し動作では、ゲートドライバ52が、TFT43を駆動する駆動パルスであるゲートパルスG1〜Gnを順次発生して、走査線47を1行ずつ順に活性化し、走査線47に接続されたTFT43を1行分ずつオン状態とする。画素37のキャパシタに蓄積された電荷は、TFT43がオン状態になると信号線48に読み出されて、信号処理回路53に入力される。
【0034】
信号処理回路40は、積分アンプ66、マルチプレクサ(MUX)67、及びA/D変換器68を備える。積分アンプ66は、各信号線48に対して個別に接続される。積分アンプ66は、オペアンプとオペアンプの入出力端子間に接続されたキャパシタとからなり、信号線48はオペアンプの一方の入力端子に接続される。もう一方の入力端子はグラウンド(GND)に接続される。積分アンプ66は、信号線48から入力される電荷を積算し、電圧信号D1〜Dmに変換して出力する。各列の積分アンプ66の出力端にはMUX67が接続される。MUX67の出力側には、A/D変換器68が接続される。
【0035】
MUX67は、パラレルに接続される複数の積分アンプ66から順に1つの積分アンプ66を選択肢、選択した積分アンプ66から出力される電圧信号D1〜DmをシリアルにA/D変換器68に入力する。A/D変換器68は、入力された電圧信号D1〜Dmをデジタルデータに変換して、電子カセッテ14の鏡体内に内蔵されるメモリ26に出力する。
【0036】
MUX67によって積分アンプ66から1行分の電圧信号D1〜Dmが読み出されると、制御部54は、積分アンプ66に対してリセットパルス(リセット信号)RSTを出力し、積分アンプ66のリセットスイッチ69をオンにする。これにより、積分アンプ66に蓄積された1ライン(行)目の信号電荷がリセットされる。積分アンプ66がリセットされると、制御部54は、ゲートドライバ52に対して2ライン目のゲートパルスG2の出力を指令して、2ライン目の画素37の信号電荷の読み出しを開始させる。2ライン目移行の読み出しも1ライン目と同様の手順で行われる。
【0037】
全ラインの読み出しが完了すると、1画面分のX線画像を表す画像データがメモリ26に記録される。画像データはメモリ26から読み出されて、通信部27を通じて、コンソール21に出力される。こうして被検体HのX線画像が検出される。
【0038】
また、画素37において発生する暗電荷は、画像データに対してはオフセットノイズとなるので、信号電荷の蓄積動作が開始される前に、画素リセット動作が行われる。画素リセット動作は、例えば、1ラインずつ画素37をリセットする順次リセット方式で行われる。
【0039】
順次リセット方式の場合は、信号電荷の読み出し動作と同様に、ゲートドライバ52が走査線48に対してゲートパルスG1〜Gnを順に発生して画素37のTFT43を1行ずつオン状態にする。TFT43がオン状態になっている間、暗電荷が、画素37から信号線48を通じて積分アンプ66に流れる。画素リセット動作では、読み出し動作と異なり、MUX67による、積分アンプ47に蓄積された電荷の読み出しは行われず、制御部54は、各ゲートパルスG1〜Gnの発生と同期して、リセットパルスRSTを出力し、積分アンプ47をリセットする。
【0040】
さらに、電子カセッテ14は、X線の照射開始を自己検出する照射検出動作を行う。照射検出動作は、前述の画素リセット動作を行いながら、X線の照射開始の照射開始を検出する動作であり、コンソール21から制御部54に撮影条件が入力されたときに開始される。X線の照射開始が検出されると蓄積動作に移行される。
【0041】
FPD25は、X線の照射開始を検出するために用いられる画素(以下、検出画素という)61を備える。検出画素61は、画素37の中から選択されたものであり、その構造は他の画素37と同様である。したがって、検出画素61で発生した信号電荷は、TFT43がオフであればキャパシタに蓄積され、TFT43がオンであれば信号線48に読み出される。検出画素61のTFT43は、同行にある他の画素37とともに走査線47に入力されるゲートパルスG1〜Gn(図2ではG2)によってオンオフが切り替えられる。検出画素61が接続された信号線48上の積分アンプ66が出力する電圧信号(図2ではD3)は、電子カセッテ14の動作状態によらず、電圧信号VoutとしてA/D変換回路68を介して制御部54に入力される。
【0042】
制御部54(照射検出手段,制御手段,検出結果判定手段)は、検出画素61が設けられた信号線48上の積分アンプ66から入力される電圧信号Voutに基づいて、X線の照射開始を検出するとともに、検出した照射開始がX線の照射による正当なものか、衝撃ノイズによる誤検出であるかを判定する。制御部54は、照射開始の検出、及び検出した照射開始がX線の照射による正当なものか否かの判定を以下のように行う。
【0043】
まず、制御部54は、照射検出動作が開始されると、電圧信号Voutの値を監視する。このとき、制御部54は、電圧信号Voutを所定の閾値Th1と比較し、電圧信号Voutが閾値Th1以上の値になったことを照射開始として検出する。
【0044】
制御部54は、照射開始を検出したことを契機として、検出画素61を含む全画素37のTFT43をオフにし、動作状態を照射検出動作から蓄積動作に移行させる。
【0045】
制御部54は、蓄積動作に移行後、TFT43がオンにされることによって検出画素61から読み出される信号電荷を反映した電圧信号Voutを取得する。これに続き、TFT43がオフにされた後に、検出画素61が配設された信号線48上の積分アンプ66から電圧信号Voutを取得する。すなわち、制御部54は、検出画素61について、TFT43をオン状態にして取得される第1の電圧信号Vout(以下、電圧信号Vout1という)と、TFT43をオフ状態にして取得される第2の電圧信号Vout(以下、電圧信号Vout2という)を連続して取得する。
【0046】
そして、制御部54は、2つの電圧信号Vout1及びVout2の差分Δ(=Vout1−Vout2)を算出し、所定の閾値Th2と比較する。後述するように、差分Δは、検出した照射開始が衝撃ノイズによる誤検出であった場合には暗電荷によるノイズ程度の値であり、閾値Th2以上の値になることはない。一方、検出した照射開始がX線の照射による正当なものであった場合、差分Δの値は閾値Th2以上の値となる。したがって、制御部54は、電圧信号Vout1及びVout2の差分Δが閾値Th2未満の場合、検出した照射開始が衝撃ノイズによるものであったと判定し、差分Δが閾値Th2以上の場合、検出した照射開始がX線の照射による正当なものであったと判定する。
【0047】
制御部54は、上述の判定結果に基づいて動作状態を制御する。具体的には、判定結果が、先に検出された照射開始が衝撃ノイズによる誤検出であったことを示すものである場合、制御部54は、速やかに蓄積動作を中止し、照射検出動作を再開させる。一方、判定結果が、先に検出された照射開始がX線の照射による正当なものであったことを示すものである場合、制御部54は、撮影条件によって定められ、照射開始が検出された時点から計時した一定の期間、蓄積動作を行わせた後、読み出し動作を行わせることにより、X線撮影を実行させる。
【0048】
X線源12及び電子カセッテ14を用いて撮影を行うにあたっては、X線源制御部17と電子カセッテ14のそれぞれに対して撮影条件が設定される。撮影条件は、X線源12が照射するX線のエネルギースペクトルを決める管電圧、X線の単位時間あたりの照射量を決める管電流、X線を照射する照射時間である。撮影条件は、撮影部位、被写体Hの年齢等によって変わる。
【0049】
電子カセッテ14に対しては、コンソール21を通じて撮影条件が設定される。電子カセッテ14は、設定された撮影条件に応じて積分アンプ66のゲインなどを設定する。コンソール21には、撮影条件が異なる複数の撮影メニューが用意されており、これらの撮影メニューが操作画面に選択可能に表示される。操作画面において撮影メニューが選択されると、それに応じた撮影条件が電子カセッテ14に設定される。コンソール21から撮影条件が入力されると、制御部54は、その入力を撮影準備開始指示として受け取る。制御部54は、撮影準備開始指示が入力されると、照射検出動作を開始させる。
【0050】
まず、電子カセッテ14が起動すると、FPD25は、撮影準備開始指示の入力を待機する待機状態に入る。待機状態は、ゲートドライバ52、信号処理回路53が制御部54からの指令により動作可能な状態である。待機状態においては、例えば順次リセット方式による画素リセット動作が繰り返し実行される。なお、待機状態においては、照射検出動作は開始されていないため、制御部54は、衝撃ノイズ等により電圧信号Voutが閾値Th1以上の値になっても、照射開始を検出しない。
【0051】
コンソール21において撮影メニューが選択されると、電子カセッテ14に撮影条件が入力される。制御部54は、撮影条件の入力を撮影準備開始指示の入力として受け取り、照射検出動作を開始させる。そして、制御部54は、検出画素61が接続された信号線58の積分アンプ66から電圧信号Voutを取得し、監視を開始する。
【0052】
図3に示すように、照射検出動作が開始されてからX線の照射開始(時刻T0)までの間、電圧信号Voutは、リセット動作に応じて暗電荷によるノイズ(以下、暗電荷ノイズという)の値となる。制御部54がX線の照射開始を検出するために電圧信号Voutと比較する閾値Th1は、暗電荷ノイズよりも大きな値に設定されている。このため、衝撃ノイズ等が発生しなければ、照射検出動作の開始後X線の照射開始前までの間に、制御部54が照射開始を検出することはない。
【0053】
ある時刻T0に照射スイッチ23が押され、X線源12からX線が照射されると、電圧信号Voutは、検出画素61で発生した信号電荷が積分アンプ66に流入することにより、ノイズレベルV0を超える値を示すようになる。制御部54は、電圧信号Voutと閾値Th1とを比較し、はじめて電圧信号Voutが閾値Th1以上の値になった時点T1をX線の照射開始時点として検出する。制御部54は、X線の照射開始を検出すると、ゲートドライバ52を制御して、全画素37のTFT43をオフにする。これにより、蓄積動作が開始される。
【0054】
また、制御部54は、照射検出動作から蓄積動作に移行させると、蓄積動作に移行後はじめて積分アンプ66に入力するリセットパルスRSTに同期して、検出画素61が配設された行の走査線47にゲートパルス(G2)を入力させる。これにより、検出画素61及び検出画素61と同行に配設された画素37は、蓄積動作に移行後1回目のリセットパルスRST間の区間αにおいて、TFT43をオンにされ、検出画素61に蓄積された信号電荷は、区間αにおいて積分アンプ66に読み出される。区間αにおいて積分アンプ66が出力する電圧信号Voutは、検出された照射開始がX線の照射による正当なものか否かの判定に利用される第1の電圧信号Vout1として制御部54に入力される。
【0055】
このように蓄積動作の開始後にTFT43をオンにした状態で検出画素61の読み出しを行わせると、制御部54は、検出画素61が配設された行の走査線47へのゲートパルス(G2)の入力を終了させる。したがって、区間αの次のリセットパルスRST間の区間β以降では、検出画素61及び検出画素61と同行の画素37のTFT43を再びオフになる。これにより、区間β以降で、検出画素61及び検出画素61と同行の画素37の実質的な蓄積期間が開始される。
【0056】
制御部54には区間αにおいて第1の電圧信号Vout1が入力されると、これに続く区間βにおいて、検出画素61のTFT43がオフにされた状態での積分アンプ66の出力値が第2の電圧信号Vout2として入力される。第2の電圧信号Vout2の取得は、TFT43がオフの状態で行われるので、検出画素61で発生した信号電荷は失われない。
【0057】
なお、上述のように、蓄積動作の開始後に検出画素61について、TFT43をオンにした電圧信号Vout1の読み出し(以下、ON読み出しという)と、TFT43をオフにした電圧信号Vout2の読み出し(以下、OFF読み出しという)が連続で行われる間、検出画素61が配設されていない行の画素37は、一貫してTFT43がオフにされており、時刻T0以降は信号電荷を蓄積し続ける。
【0058】
制御部54は、ON読み出しによって取得した第1の電圧信号Vout1と、OFF読み出しによって取得した第2の電圧信号Vout2の差分Δを算出する。本例の場合、第1の電圧信号Vout1は、区間αで検出画素61で発生した信号電荷(暗電荷を含む)を反映した値であり、閾値Th1を超える大きさである。一方、第2の電圧信号Vout2はOFF読み出しで取得した電圧信号であり、区間βにおいて検出画素61で発生した信号電荷等は積分アンプ66に流入していないので、その値はほぼ0である。したがって、制御部54が算出する差分Δは、ほぼ第1の電圧信号Vout1の値に等しい。
【0059】
制御部54は、算出した差分Δを閾値Th2と比較することにより、先に検出した照射開始がX線の照射による正当なものか、衝撃ノイズによる誤検出かを判定する。閾値Th2は、本例のようにX線の照射があった場合の差分Δが閾値Th2以上の値となり、後述するように衝撃ノイズが照射開始と誤検出された場合には差分Δが閾値Th2を上回らない値に予め設定されている。このため、本例の場合には、差分Δは閾値Th2以上の値となるので、制御部54は、先に検出した照射開始がX線の照射による正当なものであると判定する。
【0060】
検出された照射開始がX線の照射による正当なものであったことが確認されると、制御部54は、照射開始が検出された時点T0から計時した一定の期間、蓄積動作を行わせることにより、各画素37に信号電荷を蓄積させた後、読み出し動作を行わせ、X線画像のデータを出力させる。なお、蓄積動作を行う時間は撮影条件によって定められる。
【0061】
一方、電子カセッテ14に衝撃や振動等が加わり、衝撃ノイズが発生した場合には以下のように動作する。
【0062】
図4に示すように、衝撃ノイズが発生した場合、電圧信号Voutは、衝撃ノイズと暗電荷ノイズとが重畳した波形となる。暗電荷ノイズは、X線の入射の有無に関わらずFPD25を駆動しているだけで画素37に発生する電荷に起因したノイズであるため、積分アンプ66においてはリセットパルスRSTの入力によりリセットされる。一方、衝撃ノイズは、衝撃ノイズは、積分アンプ66に蓄積された信号電荷の量には関わりなく、積分アンプ66の出力に直接的に重畳されるので、リセットパルスRSTの入力によってもリセットされない。
【0063】
前述のように閾値Th1は、暗電荷ノイズよりも大きく設定されているので、暗電荷ノイズだけでは電圧信号Voutが閾値Th1以上の値になることはないが、電圧信号Voutに衝撃ノイズが重畳されると、電圧信号VoutはX線の照射がなくても閾値Th1以上の値になることがある。ここでは、ある時刻T3に衝撃ノイズによって電圧信号Voutが閾値Th1以上の値になったとする。
【0064】
制御部54は、照射検出動作中において電圧信号Voutが閾値Th1以上の値になったことを照射開始として検出するので、その内訳が衝撃ノイズと暗電荷ノイズであり、X線の照射によるシグナルが含まれていない本例のような場合であっても、時刻T3を照射開始として検出する。
【0065】
制御部54は、照射開始を検出すると、前述の例と同様に全画素37のTFT43をオフにし、蓄積動作を開始させる。また、制御部54は、蓄積動作を開始させると、リセットパルスRSTに同期して検出画素61が配設された行の走査線47にゲートパルス(G2)を入力することにより、蓄積動作の開始後はじめてのリセットパルスRST間の区間αにおいて、検出画素61のTFT43をオンにする。これにより、制御部54にはON読み出しによる第1の電圧信号Vout1が入力される。また、制御部54は、次のリセットパルスRST間の区間β以降において、検出画素61のTFT43をオフにすることにより、検出画素61に実質的な蓄積動作を開始させる。このため、制御部54には、区間βにおけるOFF読み出しによる第2の電圧信号Vout2が入力される。
【0066】
制御部54は、こうして取得した第1電圧信号Vout1及び第2電圧信号Vout2の差分Δを算出し、これを閾値Th2と比較することによって、先に検出した照射開始がX線の照射による正当なものか否かを判定する。本例の場合、照射開始はX線によるものではなく、衝撃ノイズによるものなので、第1の電圧信号Vout1は、蓄積動作開始後から区間αにおいて発生した暗電荷ノイズと衝撃ノイズが重畳された値である。一方、第2電圧信号Vout2は、OFF読み出しによるものなので、区間βで発生した暗電荷ノイズは反映されず、衝撃ノイズによる値である。
【0067】
衝撃ノイズは、区間α及び区間βでほぼ同じ値とみなすことができるので、差分Δを算出することによってほぼキャンセルされ、制御部54が算出する差分Δは、蓄積動作開始後から区間αの間に検出画素61で発生した暗電荷ノイズの程度であり、X線の照射による場合に算出される差分Δと比較して極めて小さい。したがって、制御部54は、算出した差分Δを閾値Th2と比較し、差分Δが閾値Th2よりも小さいことに基づいて、先に検出した照射開始が衝撃ノイズによる誤検出であったと判定する。
【0068】
検出された照射開始が衝撃ノイズによるものでることが確認されると同時に、制御部54は、全画素37のTFT43をオンにし、照射検出動作を再開させる。但し、制御部54は、時点T3から衝撃ノイズが減衰するまでの時間τが経過した後に、電圧信号Vout1の監視を開始する。このため、同じ衝撃ノイズによって再び照射開始を誤検出することが防がれる。なお、所定時間τは衝撃の具体的態様等によらず概ね一定であるとみなせ、予め設定される。
【0069】
上述のように、X線撮影システム10においては、電子カセッテ14が検出画素61の出力を監視してX線の照射開始を検出し、これに基づいて蓄積動作を開始するので、X線源12及びX線源12側の装置類と接続されていなくてもX線源12の動作に同期してX線撮影を行うことができる。さらに、X線撮影システム10は、上述のようにX線の照射開始を検出するとともに、蓄積動作の開始後に連続して第1の電圧信号Vout1及び第2の電圧信号Vout2を取得して、これらの差分Δに基づいて、先に検出した照射開始がX線の照射による正当なものか衝撃ノイズによる誤検出かを判定し、検出した照射開始がX線の照射による正当なものであればX線撮影を完遂する一方、検出した照射開始が衝撃ノイズによる誤検出あった場合には速やかに照射検出動作を再開する。これにより、衝撃ノイズによって撮影が実行されてしまう誤動作を防止することができる。
【0070】
なお、上述の第1実施形態では、ON読み出しによる電圧信号Vout1とOFF読み出しによる電圧信号Vout2を連続して取得し、これらの差分Δに基づいて、検出された照射開始がX線の照射による正当なものか、衝撃ノイズによる誤検出かを判定する例を説明したがこれに限らない。例えば、以下に第2実施形態として説明するように、蓄積動作に移行後、検出画素61についてON読み出しによる電圧信号を2回連続で取得し、これらの電圧信号の差分Δに基づいて検出した照射開始がX線の照射による正当なものか、衝撃ノイズによる誤検出かを判定するようにしても良い。
【0071】
[第2実施形態]
検出した照射開始が、X線の照射による正当なものか否かの判定を、ON読み出しによる電圧信号を2連続で取得して行う場合も、X線撮影システム10の構成は前述の第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0072】
図5に示すように、X線が照射された場合、X線の照射開始時点T0以前の電圧信号Vout、ゲートパルスG1〜Gn等の挙動は前述の第1実施形態と同様である。また、制御部54がX線の照射開始を検出する態様も同様である。すなわち、時刻T0にX線源12からX線の照射が開始されると、電圧信号Voutが閾値Th1以上の値となり、制御部54は電圧信号Voutが閾値Th1以上の値となった時点T1を、X線の照射開始として検出する。制御部54は、X線の照射開始を検出すると、全画素37のTFT43をオフにすることにより、蓄積動作を開始させる。
【0073】
次に、制御部54は、積分アンプ66に2回目に入力されるリセットパルスRSTのタイミングに同期して、検出画素61が配設された走査線47にゲートパルス(G2)を入力させる。これにより、蓄積動作の開始後、2回目にリセットパルスRST間の区間βにおいて、検出画素61のTFT43がオンにされ、区間αの間に検出画素61で発生する信号電荷は積分アンプ66に読み出される。こうしてON読み出しされた区間βにおける電圧信号Voutは、第1の電圧信号Vout1として制御部54に入力される。
【0074】
また、区間βにおいてON読み出しを行わせた後、次のリセットパルスRST間の区間γにおいて、制御部54は、検出画素61が配設された走査線47に再びゲートパルス(G2)を入力させることにより、区間γにおいても検出画素61のTFT43をオンにし、区間γの間に検出画素61で発生する信号電荷を積分アンプ66に読み出させる。これにより、区間γにおいても、制御部54に入力される第2の電圧信号Vout2もON読み出しによるものとなる。
【0075】
制御部54は、こうして2回の連続したON読み出しにより取得した第1の電圧信号Vout1と第2の電圧信号Vout2の差分Δを算出し、これを閾値Th2と比較することによって、先に検出した照射開始がX線の照射による正当なものか否かを判定する。
【0076】
第1の電圧信号Vout1は、蓄積動作の開始後、区間βまで(概ね区間α〜区間βの間)に検出信号61に蓄積された信号電荷によるものである。一方、第2の電圧信号Vout2は、区間γにおいて検出画素61で発生した信号電荷によるものである。
【0077】
積分アンプ66へのリセットパルスRSTの入力間隔は一定であり、X線の照射線量も一定である。このため、検出画素61で発生する信号電荷の量は、区間α,区間β,区間γで概ね等しい。したがって、本例の場合、制御部54が算出する差分Δは、蓄積動作の開始時点T1から区間β初端のリセットパルスRSTの入力までの間に、検出画素61で発生した信号電荷の量に応じた値となり、閾値Th2以上の値となる。したがって、制御部54は、算出した差分Δが閾値Th2以上の値であることから、先に検出した照射開始がX線の照射による正当なものであったと判定する。
【0078】
制御部54は、先に検出された照射開始がX線の照射による正当なものであったことを確認すると、照射開始を検出した時点T1から所定の期間、蓄積動作を行わせた後、読み出し動作に移行することによってX線撮影を実行させる。
【0079】
一方、図6に示すように、衝撃ノイズが生じた場合、制御部54は、電圧信号Voutが閾値Th1以上の値になった時点T3を照射開始として検出する。したがって、制御部54は、全画素37のTFT43をオフにすることにより蓄積動作を開始させる。その後、制御部54は、区間βにおいて検出画素61から信号電荷を読み出させる。これにより、制御部54には、検出画素61をON読み出しした第1の電圧信号Vout1が入力される。また、制御部54は、区間γにおいても検出画素61が配設された走査線47にゲートパルス(G2)を入力し、検出画素61から信号電荷を読み出させる。これにより、制御部54には、区間γで検出画素61をON読み出しした第2の電圧信号Vout2が入力される。
【0080】
制御部54は、上述のようにして取得した第1の電圧信号Vout1及び第2の電圧信号Vout2の差分Δを算出する。本例の場合、第1の電圧信号Vout1は、蓄積動作の開始後から区間βまでに蓄積された暗電荷による暗電荷ノイズと、区間βにおける衝撃ノイズが重畳されたものである。また、第2の電圧信号Vout2は、区間γで発生した暗電荷による暗電荷ノイズと、区間γにおける衝撃ノイズが重畳されたものである。したがって、制御部54が算出する差分Δは、次のような値になる。例えば、衝撃ノイズの正負が一致する場面では、区間βと区間γに重畳された衝撃ノイズによる値がキャンセルされて小さくなり、かつ、区間β及び区間γで発生する暗電荷ノイズの量はほぼ等しいのでキャンセルされてほぼ0になるので、差分Δは、高々区間αで蓄積された暗電荷ノイズの程度となり、閾値Th2を超えることはない。また、図6に示す例のように、区間βと区間γで衝撃ノイズの正負が丁度逆転するような場面では、区間βと区間γで発生した暗電荷ノイズがキャンセルされてほぼ0になるのは同様だが、衝撃ノイズは加算されることになる。しかし、衝撃ノイズの正負が丁度逆転するようなところではそもそも衝撃ノイズは極めて小さいので、区間β及び区間γの衝撃ノイズが加算されたとしても、その値は小さい。したがって、こうした場合であっても、差分Δが閾値Th2を超えることはない。
【0081】
こうしたことから、衝撃ノイズによって照射開始が検出された場合、制御部54は、差分Δが閾値Th2よりも小さい値であることに基づいて、検出した照射開始が衝撃ノイズによる誤検出であると判定する。制御部54は、検出された照射開始が衝撃ノイズによる誤検出であることを確認すると、全画素37のTFT43をオンにすることにより、照射検出動作を再開させる。また、制御部54は、時点T3から衝撃ノイズが減衰するまでの時間τを経過した後に、電圧信号Vout1の監視を開始する。
【0082】
上述のように、連続したON読み出しによる電圧信号Vout1及びVout2を用いても、検出した照射開始がX線の照射による正当なものか、衝撃ノイズによる誤検出かの判定は可能である。
【0083】
なお、上述の第1実施形態及び第2実施形態では、検出画素61が1つ設けられている例を説明したが、図7に示すように、検出画素61は複数設けられていても良い。また、図示しないが、例えば、1行分の画素37を全て検出画素61として用いても良い。検出画素61を複数設ける場合、例えば、各々の検出画素61が接続される信号線48上の積分アンプ66の出力値に基づいて、検出した照射開始が正当であるか否かを判定し、判定結果が所定数以上(所定数未満)の場合に検出結果が正当(誤検出)であると判定すれば良い。
【0084】
このように、検出画素61が複数設けられている場合、被写体Hに特にX線を透過し難い箇所が含まれているようなときに、これに検出画素61が覆われて照射検出ができなくなってしまうことを防止することができる。また、検出画素61が複数設けられていると、照射開始の検出及びこれが正当であるか否かの判定をより正確に行うことができる。
【0085】
また、上述の第1実施形態及び第2実施形態では、図示の便宜上、検出画素61が撮像領域51の隅に一つ設けられている例を説明したが、図8に示すように、検出画素61は、撮像領域51の中央又は中央付近に設けられていることが好ましい。前述のように検出画素61を複数設ける場合には、これらのうち少なくとも1つは撮像領域51の中央あるいは中央近傍に設けられていることが好ましい。こうして検出画素61を撮像領域51の中央付近に設けておくことで、X線の照射位置の中心や撮影範囲の中心と、撮像領域51の中心とがズレた状態で撮影が行われても、正確にX線の照射開始を検出することができる。
【0086】
なお、上述の第1実施形態及び第2実施形態では、照射開始の検出に閾値Th1を用い、検出した照射開始がX線の照射による正当なものか否かの判定に閾値Th2を用いる例を説明したが、閾値Th1及び閾値Th2は同じ値でも良い。
【0087】
また、上述の第1実施形態及び第2実施形態では、閾値Th2が閾値Th1よりも大きな値に設定されている例を説明したが、閾値Th2は閾値Th1よりも小さい値に設定しても良い。但し、閾値Th1は、できるだけ小さい値であることが好ましい。閾値Th1が小さいほど照射開始を素早く検出することができ、照射開始を検出するまでに失われるX線を少なくすることができるからである。一方、閾値Th2は、できるだけ大きい値であることが好ましい。閾値Th2は、検出した照射開始が正当なものであるか否かをチェックするためのものであり、検出した照射開始がX線の照射による正当なものであれば、差分Δは衝撃ノイズの振幅と比べて大きい値となる。このため、閾値Th2を大きな値(例えば、閾値Th1よりも大きな値)に設定しておくことで、検出した照射開始がX線の照射による正当なものであるか否かの判定をより確実に行うことができる。
【0088】
なお、上述の第1実施形態及び第2実施形態では、照射開始を検出して、照射検出動作から蓄積動作に移行したときに、最初のリセットパルスRST間の区間αと次の区間βにおいて、検出された照射開始がX線の照射による正当なものか否かの判定を行う例を説明したが、X線の照射によるものか否かの判定を行うタイミングはこれに限らない。検出した照射開始がX線の照射による正当なものか否かの判定は、少なくとも衝撃ノイズが減衰する期間τが経過するまでに行えば良い。衝撃ノイズが減衰する期間τが経過した後であってもX線の照射によるものか否かの判定は可能であるが、検出した照射開始が衝撃ノイズによる誤検出であった場合に、X線の照射開始を検出可能な期間に長期的な空白期間が生じることを防ぐためである。同様の理由から、検出した照射開始がX線の照射による正当なものであるか否かの判定を行うタイミングは、上述の第1実施形態及び第2実施形態のように蓄積動作に移行した後、できるだけ早いタイミングであることが好ましい。
【0089】
なお、上述の第1実施形態及び第2実施形態で説明した態様では、検出した照射開始がX線の照射による正当なものであるか否かの判定のために、検出画素61及び検出画素61と同行の画素37の信号電荷が読み出されてしまうことになる。このため、電子カセッテ14を用いて撮影されたX線画像のデータは、検出画素61及び検出画素61を含む行の画素37の画素値が小さく、画像として欠陥となることがある。こうした検出画素61及び検出画素61を含む行の画素37の欠陥は、コンソール21の補正部31によって補間等により補正してからモニタ22に出力される。また、電子カセッテ14において、検出画素61及び検出画素61の行を含む画素37の読み出し時に、積分アンプ66のゲインを調節することによって補正しても良い。
【0090】
なお、上述の第1実施形態及び第2実施形態では、補正部31がコンソール21に設けられている例を説明したが、補正部31は電子カセッテ14に設けられていても良い。
【0091】
なお、上述の第1実施形態及び第2実施形態では、待機動作中に行毎に画素37を順次リセットする例を説明したが、待機動作中に行う画素37のリセットは全画素37を同時にリセットする同時リセットであっても良い。また、上述の実施形態では、待機動作中に画素37の順次リセットを繰り返し行う例を説明したが、照射検出動作に移行したときに、検出画素61のTFT43がオンにされた途端に、電圧信号Voutが閾値Th1以上の値になり、X線の照射も衝撃ノイズもない状態で蓄積動作に移行されてしまう等の照射検出動作への支障がなければ、任意のタイミング及び頻度でリセットを行って良い。例えば、少なくとも照射検出動作に移行する直前に画素37のリセットを行うようにすれば良い。
【0092】
なお、上述の第1,第2実施形態では、電圧信号Vout1が閾値Th1以上の値になったときに、これがX線による正当なものであっても、衝撃ノイズによるものであっても、これを照射開始として検出し、その後、検出した照射開始がX線の照射による正当なものか否かを判定する例を説明したが、衝撃ノイズの場合には照射開始を検出せず、X線が照射された場合の正当な照射開始だけを確実に検出することがより好ましい。以下、X線の照射による正当な照射開始だけを確実に検出する態様を第3,第4実施形態として説明する。なお、この場合も、X線撮影システムの構成は、第1,第2実施形態のX線撮影システム10と同様であるので、説明は省略する。また、第1,第2実施形態と同様の動作についても説明を省略する。
【0093】
[第3実施形態]
図9に示すように、照射検出動作が開始されると、制御部54は、検出画素61から、ON読み出しによる電圧信号Vout1を取得するとともに、これに連続してOFF読み出しによる電圧信号Vout2を取得する。この電圧信号Vout1及びVout2の取得は、画素リセットのためのリセットパルスRSTの入力と同期して行われる。すなわち、ゲートパルスG2の入力とともに制御部54は電圧信号Vout1を取得し、これに続けて電圧信号Vout2を取得する。こうして電圧信号Vout1及びVout2を取得すると、制御部54は、電圧信号Vout1及びVout2の差分Δを算出し、閾値Th3と比較する。
【0094】
X線が照射される前の状態では、電圧信号Vout1及びVout2はノイズレベルであり、差分Δはほぼ0である。このため、X線が照射される前の状態では、差分Δが閾値Th3を超えることはなく、制御部54は照射開始を検出しない。その後、ある時刻T0にX線が照射されると、電圧信号VoutはX線の入射量に応じた値となる。このとき、検出画素61から電圧信号Vout1及びVout2を連続取得すると、その差分Δは閾値Th3以上の値となる。このように差分Δが閾値Th3以上の値となったことをもって、制御部54はX線の照射開始を検出し、蓄積動作を開始させる。
【0095】
図10に示すように、衝撃ノイズが発生した場合も、制御部54は上述と同様に電圧信号Vout1及びVout2を連続取得し、その差分Δを算出する。衝撃ノイズは、電圧信号Vout1及びVout2を連続取得する極短時間ではほぼ変化が無いので、衝撃ノイズによって電圧信号Vout1や電圧信号Vout2自体がノイズレベルを超える大きな値になったとしても、差分Δはほぼ0であり、閾値Th3以上の値になることはない。このため、制御部54は、衝撃ノイズが発生しても照射開始を検出することはなく、照射検出動作を継続する。
【0096】
このように、差分Δに基づいて照射開始を検出することにより、衝撃ノイズでは照射開始を検出することはなく、X線が照射された場合の正当な照射開始だけを照射開始として正確に検出することができるようになる。また、前述の第1,第2実施形態のX線撮影システム10よりも、より早く正確に照射開始を検出することができる。
【0097】
ここでは、ON読み出しによる電圧信号Vout1とOFF読み出しによる電圧信号Vout2の差分Δを照射開始の検出に用いる例を説明したが、これに限らず、2回の連続したON読み出しによる電圧信号Vout1及びVout2の差分Δを用いて照射開始の検出を行うことができる。以下、2回の連続したON読み出しによる電圧信号Vout1及びVout2の差分Δに基づいて照射開始の検出を行う例を、第4実施形態として説明する。
【0098】
[第4実施形態]
図11に示すように、照射検出動作が開始されると、制御部54は、検出画素61からON読み出しによる電圧信号Vout1及びVout2を連続取得する。この電圧信号Vout1及びVout2の取得は、画素リセットのためのリセットパルスRSTの入力と同期して行われる。但し、本例においては、画素リセット動作のために入力されるゲートパルスは、検出画素61の行(G2)に対して2回連続で入力され、これらの連続して入力されるゲートパルスG2に同期して電圧信号Vout1及びVout2が取得される。制御部54は、こうして取得した電圧信号Vout1及びVout2の差分Δを算出し、閾値Th3と比較する。
【0099】
X線が照射される前の状態では、電圧信号Vout1及びVout2はノイズレベルであり、差分Δはほぼ0である。このため、X線が照射される前の状態では、差分Δが閾値Th3を超えることは無く、制御部54は照射開始を検出しない。その後、ある時刻T0にX線が照射されると、電圧信号VoutはX線の丹生りゃ量に応じた値となる。このとき、検出画素61からON読み出しによる電圧信号Vout1及びVout2を連続取得すると、電圧信号Vout1の信号値は電圧信号Vout2の信号値よりも大きい。これは、電圧信号Vout1は、X線の照射が開始されてから電圧信号Vout1の取得時までに検出画素61で累積的に蓄積された信号電荷に応じた値であり、電圧信号Vout2は、電圧信号Vout1の取得後、検出画素61でリセットパルスRSTの入力間隔1個分で蓄積される信号電荷に応じた値であるからである。このため、上述のように取得された電圧信号Vout1及びVout2の差分Δは、ノイズレベルを超え、閾値Th3以上の値となる。制御部54は、差分Δが閾値Th3以上の値となったことをもって照射開始を検出し、蓄積動作を開始させる。
【0100】
図12に示すように、衝撃ノイズが発生すると、制御部54は上述と同様に電圧信号Vout1及びVout2を連続取得し、その差分Δを算出する。衝撃ノイズは、電圧信号Vout1及びVout2を連続取得する極短時間ではほぼ変化が無いので、衝撃ノイズによって電圧信号Vout1及びVout2がノイズレベルを超える大きな値になったとしても、差分Δはほぼ0であり、閾値Th3以上の値にはならない。したがって、制御部54は、衝撃ノイズが発生しても照射開始を検出することなく、照射検出動作を継続する。
【0101】
このように、ON読み出しによる電圧信号Vout1及びVout2の差分Δに基づいて照射開始を検出することができる。ON読み出しによる電圧信号Vout1及びVout2の差分Δに基づいて照射開始を検出する場合も、前述の第3実施形態と同様に、衝撃ノイズでは照射開始を検出することはなく、X線が照射された場合の正当な照射開始だけを照射開始として正確に検出することができる。また、前述の第1,第2実施形態のX線撮影システム10よりも、より早く正確に照射開始を検出することができる。
【0102】
なお、上述の第3,第4実施形態では、検出画素61から電圧信号Vout1及びVout2の取得する例を説明したが、電圧信号Vout1及びVout2を検出画素61の行の画素リセットに同期して行うので、X線の照射タイミングによっては、他の行の画素をリセットしている間、僅かながら照射開始の検出が遅れることがある。こうした照射開始の検出の遅れを改善するためには、以下のようにすることが好ましい。
【0103】
検出画素61はX線の照射開始を検出するために通常の画素37の中から選ばれたものであり、検出画素61は通常の画素37と構造等の違いはない。したがって、1列分の画素37(あるいは全画素37)を検出画素61として用いる。そして、図13に示すように、ON読み出しによる電圧信号Vout1とOFF読み出しによる電圧信号Vout2の差分Δに基づいて照射開始を検出する場合、画素リセットのためのゲートパルスの入力間隔を調節し、各行の画素でON読み出しとOFF読み出しを連続して行うようにする。また、ON読み出しによる電圧信号Vout1及びVout2の差分Δに基づいて照射開始を検出する場合、各行で2回連続でゲートパルスを入力することにより、画素リセットのためにON読み出しを2回連続で行うようにする。こうすることで、間断なく、照射開始の検出が行われ、X線の照射開始のタイミングによらず、遅延無く照射開始を検出することができる。
【0104】
なお、上述の第1〜第4実施形態では、照射検出動作中に、順次リセット方式にてリセット動作を行う例を説明したがこれに限らない。照射検出動作中は、全画素37のTFT43をオンにしても良い。照射検出動作中に全画素37のTFT43をオンにしておくと、常に全画素37がリセットされた状態を保てるので、照射開始の検出と同時に蓄積動作に移行しても、オフセットノイズを抑えることができる。上述の実施形態のように、照射検出動作中に、全画素37のTFT43をオンにしておかない場合、照射検出動作を開始してからの経過時間が長いと、画素37に画質に影響を与える程に暗電荷が蓄積することがあるので、照射開始の検出後、蓄積動作に移行するときに画素37のリセットを行うことが好ましい。
【0105】
なお、上述の第1〜第4実施形態では、第1の電圧信号Vout1と第2の電圧信号Vout2の差分Δを算出するときに、電圧信号Vout1,Vout2の正負を含めて差分Δを算出する例を説明したが、差分Δとして電圧信号Vout1,Vout2の絶対値の差を算出しても良い。
【0106】
なお、上述の第1〜第4実施形態では、FPD25として間接変換型のパネルを例に説明したが、X線を直接電気信号に変換する直接変換型パネルを用いても良い。
【符号の説明】
【0107】
10 X線撮影システム
11 天板
12 X線源
13 X線焦点
14 電子カセッテ
16 高電圧発生部
17 X線源制御部
21 コンソール
22 モニタ
23 照射スイッチ
24,27 通信部
25 FPD
26,32 メモリ
31 補正部
36 X線変換層
37 画素
47 走査線
48 信号線
51 撮像領域
52 ゲートドライバ
53 信号処理回路
54 制御部
61 検出画素
66 積分アンプ
67 MUX
68 A/D変換器
69 リセットスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線源から照射され被写体を透過した放射線を撮像して放射線画像を得る撮像手段であり、放射線の入射量に応じた信号電荷を蓄積する複数の画素が二次元に配列され、各々の前記画素を制御するための走査線が行毎に、前記信号電荷を読み出すための信号線が列毎に配設された撮像領域を有する撮像手段と、
前記走査線を通じて駆動信号を出力して各々の前記画素が有するスイッチング素子をオン状態とオフ状態に切り替えることにより前記画素を駆動する駆動手段であり、前記スイッチング素子をオフ状態にして前記画素に前記信号電荷を蓄積させる蓄積動作と、前記スイッチング素子をオン状態にして前記信号線を通じて前記信号電荷を読み出すための読み出し動作を行わせる駆動手段と、
前記画素から選ばれた画素であり、前記放射線の照射開始を検出するための検出画素が接続された前記信号線の出力値を第1信号値及び第2信号値として2回連続して取得し、前記第1信号値と前記第2信号値との差に基づいて、前記放射線源による前記放射線の照射開始を検出することを特徴とする放射線画像検出装置。
【請求項2】
前記第1信号値と前記第2信号値の差を所定の閾値と比較し、前記差が前記閾値以上の値の場合に前記照射開始を検出して蓄積動作を開始させることを特徴とする請求項1記載の放射線画像検出装置。
【請求項3】
前記照射開始の一次判定を行って蓄積動作に移行し、前記蓄積動作に移行後に前記第1信号値及び前記第2信号値を取得し、前記第1信号値と前記第2信号値の差に基づいて、前記一次判定による判定結果の正当性を判定する二次判定を行うことを特徴とする請求項1記載の放射線画像検出装置。
【請求項4】
前記第1信号値は前記検出画素の前記スイッチング素子をオン状態にして取得され、前記第2信号値は前記検出画素の前記スイッチング素子をオフ状態にして取得されることを特徴とする請求項1または2記載の放射線画像検出装置。
【請求項5】
前記第1信号値及び前記第2信号値は前記検出画素の前記スイッチング素子をオン状態にして取得されることを特徴とする請求項1または2記載の放射線画像検出装置。
【請求項6】
前記一次判定による判定結果が前記放射線の照射による正当なものでない場合に、前記蓄積動作を停止し、前記照射開始の検出を再開させることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の放射線画像検出装置。
【請求項7】
前記検出画素は複数個配置されており、各々の前記検出画素が接続される前記信号線の出力値に基づいて前記照射開始の検出を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の放射線画像検出装置。
【請求項8】
前記検出画素は、前記撮像領域の中央付近に配置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の放射線画像検出装置。
【請求項9】
前記信号線には、前記出力値として前記信号電荷の積分値に応じた電圧を出力する積分アンプが接続されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の放射線画像検出装置。
【請求項10】
前記検出画素及び前記判定用画素が配置された行に対応する画素値を補正する処理を施す補正手段を備えることを特徴とする請求項3〜12のいずれか1項に記載の放射線画像検出装置。
【請求項11】
放射線源から照射され被写体を透過した放射線を撮像して放射線画像を得る撮像手段であり、放射線の入射量に応じた信号電荷を蓄積する複数の画素が二次元に配列され、各々の前記画素を制御するための走査線が行毎に、前記信号電荷を読み出すための信号線が列毎に配設された撮像領域を有する撮像手段と、前記走査線を通じて駆動信号を出力して各々の前記画素が有するスイッチング素子をオン状態とオフ状態に切り替えることにより前記画素を駆動する駆動手段であり、前記スイッチング素子をオフ状態にして前記画素に前記信号電荷を蓄積させる蓄積動作と、前記スイッチング素子をオン状態にして前記信号線を通じて前記信号電荷を読み出す読み出し動作とを行わせる駆動手段とを用い、前記画素から選ばれた画素であり、前記放射線の照射開始を検出するための検出画素が接続された前記信号線の出力値を第1信号値及び第2信号値として2回連続して取得し、前記第1信号値と前記第2信号値との差に基づいて、前記放射線源による前記放射線の照射開始を検出することを特徴とする放射線の照射開始検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−161552(P2012−161552A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25851(P2011−25851)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】