説明

放熱器およびヒートパイプ

【課題】 ヒートパイプと放熱器を高性能化、薄型化、軽量化、安価な熱移動手段と放熱手段として提供することを目的とする。
【解決手段】 冷媒流路が複数形成された扁平プラスチック樹脂製の軽量で薄肉の連結した中空穴で構成されたチューブ外面で熱交換を行い、チューブ両端は封印されて、チューブ内部には作動流体が封入されて、管外流体と熱交換を行う為に、独立した複数のヒートパイプを備えた放熱器と熱発生減から熱移動する手段として、作動流体を加圧移動させる手段を備えてヒートパイプ端末から対向する端末に熱移動させるヒートパイプとした。
【効果】 本発明によると、熱移動を効率よく行うヒートパイプと放熱器をプラスチック樹脂で構成して、高性能化、薄型化、軽量化、安価、フレキシブルで電子部品の冷却や燃料電池、磁気冷凍、電気自動車など局部的に発生する大容量の熱を効率的に放熱可能とすると共に熱スイッチや放熱制御も可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートパイプで例えば半導体のような小型の発熱体の冷却に好ましく用いる事ができる、放熱と熱移動及び熱移動制御可能な小型化、薄型化、フレキシブル、軽量化、安価な製品を提供する。
【背景技術】
【0002】
半導体のような小型の発熱素子の冷却装置として使用されるヒートパイプとしてはヒートパイプの一端を受熱ブロックに挿入し、他端に通常アルミなどの放熱フィンを設け熱伝達率の小さい空気側の伝熱性能を補う目的で伝熱面の面積を増大させ送風ファンなどによる冷却が知られている。
【0003】
ヒートパイプは、密封された空洞部を備えており、その空洞部に収容された作動流体の相変態と移動により熱の輸送が行われ、熱の一部は、ヒートパイプを構成する容器を直接伝わって運ばれるが、大部分の熱は、作動流体による相変態と移動によって輸送される。
【0004】
ヒートパイプの吸熱側において、ヒートパイプを構成する容器の材質中を熱伝導して伝わってきた熱により、作動流体が蒸発し、その蒸気がヒートパイプの放熱側に移動する。放熱側では、作動流体の蒸気は冷却され再び液相状態に戻る。そして、液相に戻った作動流体は再び吸熱側に移動する。このような作動流体の相変態や移動によって、熱の輸送がなされる。
【0005】
近年、エレクトロニクス機器は、CPU等の高出力、高集積の部品を内蔵して半導体素子等の各種電子部品は、集積度が極めて高くなり、高速で情報の演算、制御等の処理を行うので、多量の熱を発生する。高出力かつ高集積の部品である半導体素子等の熱を所定の位置に移動し冷却するために、銅・アルミニウム等の金属製のヒートパイプが一般的に用いられている。
【0006】
特許文献1のようにヒートパイプ式ヒートシンクが開示されている。
【0007】
しかしながら、図12に示すように従来のヒートパイプ121は、伝熱性能を補う目的で伝熱面の面積を増大させるために図12に示す、放熱フィン122がヒートパイプの一端に取り付けられており、一定の面積を必要として送風ファンで冷却する構造で外気取入れ口から筐体内に取り入れられた空気は、筐体内の発熱素子の熱によって昇温した空気が放熱フィンを冷却するため、放熱フィンの冷却効率が悪く、ヒートパイプの作動原理を確保するために、発熱素子等の発熱源が水平の位置またはヒートパイプの下側に位置するように配置する必要があり、高性能化、小型化並びに軽量化は困難である。
【0008】
図13によるとヒートパイプの端末に熱交換器を用いて、ヒートパイプからの冷媒は細管がその長手方向に交差する方向に131a、131b、131c、・・・、131nと複数並ぶように配列して面状部を形成し隣接する細管の間隙を直径の約2倍としたことにより管外流体と熱交換を行うものにおいて銅、アルミニウムなどの金属などにより構成して両端部にヘッダ部を備えてヘッダ管112a、112bを用い、細管群の両端部がヘッダ管132a、132bに連結されるように構成した場合には、コンパクトで熱伝達率の大きい細管熱交換器を構成して流体が流れるときの1本あたりの流量が小さくなり、圧力損失が小さくなるという効果が得られる。
【0009】
特許文献2のように細管熱交換器およびそれを用いたヒートパイプが開示されている。
【0010】
しかしながら、細管がその長手方向に交差する方向に複数並ぶように配列して面状部を形成しても冷却面積の増大による設置場所の制限や自然冷却による冷却能力では対応が難しくなり、細管群として1段だけの配列では非効率的であり、アルミや銅の金属パイプの細管で肉厚が0.1〜0.3mmと薄いと劣化や腐食による影響も懸念される。
【0011】
また、特許文献3によると図14に示す強制振動型ヒートパイプ及びその設計方法によれば吸熱部(HOT)と放熱部(COLD)間を蛇行した閉ループ流路を形成して、ヒートパイプ本体として流路内に流体が封入されて放熱側端末にはバイブレーター(141)を設けて、112a方向より加圧すると流体は蛇行しながら142bに移行してバイブレーター(141)の加圧方向を142bとする事により作動すると流体は反対方向に押し戻される事を1/s前後の周波数で繰り返す事により、流路に封入された流体は振動流として隣り合う流路内で逆位相となり、吸熱部(HOT)から放熱部(COLD)側に熱移動が行われて、銅に比べて概ね40倍程度の熱輸送が可能になり、ヒートパイプの構造として薄型化されて高効率化される。
【0012】
しかしながら、部材として銅やアルミなどの金属を使用しており、ノートパソコンなどに応用して本体ケース部内のCPUなどで発生した熱すべてを、本体外部に放熱するのは難しくケース部や他の電子部品などへの影響も考えられ、比較的、影響が少ない放熱手段としてLCD収納部側のケース内に設置する必要が生じるが、この場合、頻繁に行われるケースの開閉操作は金属でフレキシブル化したヒートパイプの対応は困難である。
【特許文献1】特開平8−306836号公報
【特許文献2】特開2003−279274号公報
【特許文献2】特開2002−364991号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来のヒートパイプにおいては、銅、アルミなどの熱伝導性に優れた金属で形成され、両端が閉塞されたパイプからなるもので、内部に水などの作動液が封入されており片端は放熱の為のアルミ板などで構成されるフィン部が設けられているが単位容積あたりの熱交換能力が小さく、フィンの体積が大きくなるという問題があった。
【0014】
本発明は、従来技術のヒートパイプを発展させて電子機器などに実装して半導体などからの受熱をヒートパイプで高効率に熱輸送させると共に移動した熱を効率よく放熱させて安価、フレキシブルでコンパクト、軽量な扁平形プラスックチューブを用いて熱移動を行うと共に放熱手段を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
扁平形プラスチックチューブに細管流路が複数形成されて、冷媒を流通させる断面の厚みを0.5mm以下として、該扁平形プラスチックチューブの外面は熱交換する伝熱面として作用し、複数の扁平形プラスチックチューブを配置させるピッチ間隔を、該扁平形プラスチックチューブの厚みの2倍から4倍として、扁平形プラスチックチューブ両端は閉塞されて、チューブ部内の壁面は親水性物質被膜、減圧されて凝縮性の作動流体を具備して、独立した複数のヒートパイプとして作用する。該扁平形プラスチックチューブ端末の一端は受熱面と放熱面を有する金属の平板に直角に交差して熱的に接続された事を備えた放熱器
【0016】
扁平形プラスチックチューブに細管流路が複数形成されて、冷媒を流通させる断面の厚みを0.5mm以下として、該扁平形プラスチックチューブの外面は熱交換する伝熱面として作用し、該扁平形プラスチックチューブ端末は外部からの発熱を受熱する吸熱部と、対向する端末は放熱部として形成されて、細管流路は閉ループを備え、作動流体が封入されて、加圧機構により、作動流体に圧力を生じさせる事により、該扁平形プラスチックチューブ端末の吸熱部と放熱部間は流体の循環により、熱流体移動、熱移動時間の制御、熱流体移動のON、OFF制御を可能とする事を特徴とするヒートパイプ。
【0017】
扁平形プラスチックチューブに細管流路が複数形成されて、冷媒を流通させる断面の厚みを0.5mm以下として、該扁平形プラスチックチューブの外面は熱交換する伝熱面として作用し、該扁平形プラスチックチューブ端末は外部より受熱する吸熱部と、対向する端末の放熱部との間で蛇行する閉ループ流路を備えて、作動流体が封入されて、該作動流体に逆位相となる圧力を加圧機構により印加する事を特徴とするヒートパイプ。
【0018】
前記放熱器又はヒートパイプが扁平形プラスチックチューブで構成した請求項1〜3のいずれかの記載を用いて構成したことを特徴とする放熱器およびヒートパイプ。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の放熱器によれば冷媒を流通させる扁平形チューブ断面の厚みを0.5mm以下として伝熱チューブをプラスチック部材で構成する事により軽量化、安価、生産性にすぐれる。
【0020】
請求項1に記載の放熱器によれば、プラスチックチューブ面状部外面で受熱手段と放熱手段を有しており、フィンを必要としないので小型化、薄型化が可能になる。
【0021】
請求項1に記載の放熱器によれば独立した複数の流体を流通させるプラスチックチューブで、受熱、放熱サイクルを構成する事により熱交換が高効率に行える。
【0022】
請求項2に記載のヒートパイプによれば、プラスチック部材とする事により、肉厚を0.1ミリ程度の薄肉とした場合に熱伝導率は銅やアルミと比較しても差はなく軽量化も可能になる。
【0023】
請求項2に記載のヒートパイプによれば、流体の移動を一方向に強制的に熱移動の高速化が可能でより大量の熱移動が可能となる。
【0024】
請求項2に記載のヒートパイプによれば、流体の移動量を制御又は、ON、OFF制御が可能となる。
【0025】
請求項3に記載のヒートパイプによれば、ヒートパイプのフレキシブル化により熱移動が任意の位置に移動可能となる。
【0026】
請求項4によれば、ヒートパイプと放熱器の組み合わせにより、高速な移動と放熱が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0028】
実施の形態1.図1は第1の実施の形態のマルチヒートパイプを示す斜視図、図2は図1に示す扁平形プラスチックューブ(以下、単にチューブという)の断面図、図3は図2−1aに示すチューブの要部拡大断面図を示し、図4は放熱器を横から見た断面図を示し、図5は放熱量と動力を示す特性図、図6はチューブ内の構造を示す断面図を示す。
【0029】
本実施の形態の放熱器1は、図1に示すように、複数本のチューブ2と、所定のピッチ間隔で受熱面と放熱面を有する各チューブ2の一端部を受熱平板3の放熱面に一端が直角に交差して熱的に接続、固定されて、図4に示す熱伝導性接着剤などにより、接合されており、対向する端面は開放されている。
【0030】
本発明に使用される、チューブ2はポリカーボネート樹脂、POM、ABS、ナイロン、PP、PE、ABS、PMMA、PET等の汎用プラスチックはもちろん、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂−スチレン系樹脂−ポリアミド系樹脂混合樹脂、フッ素系樹脂および、ポリカーボネート系樹脂から成る群から選ばれる少なくとも1種の樹脂で溶融して得られる樹脂組成物を押出成形される。
【0031】
この放熱器1の、各チューブ2は図6に示す細管流路5は各々独立して両端末は閉じてチューブ2内面は減圧されて、適量の作動流体が封入されており、作動流体8として、水、変圧器油、パーフロロカーボンなどの熱輸送媒体、アルコール、シリコンオイル、及び代替フロン系冷媒などを好ましく用いることができるが、本発明ではエタノールを用いているが、これらのみに限定されるものではなく水を含む冷媒など、各種の気体、液体冷媒であってもよい。
【0032】
図6において、チューブ2は複数の細管断面を中空形状とした長尺状を、なすチューブ2で約0.5mm幅の断面部は、作動流体8の伝熱性能を向上させて、細管流路5の壁面10は親水性処理として無機酸化物の二酸化珪素などをスパッタリング法による成膜を行う。
【0033】
また、図4においてチューブ2の一端部は受熱平板3の放熱面に設けられた凹状の溝部4に挿入されて熱伝導の高い接着剤7で固定されて受熱平板3とチューブ2間は熱的に接続された構造として、チューブ2は一定のピッチ間隔でチューブ2は配列されて、受熱平板3からチューブ2に伝熱され、受熱平板3の下部面は半導体(図時せず)等よりの吸熱部である。
【0034】
また、図2は細管断面形状が内径0.5φ以下の中空丸穴1C、または、中空楕円穴1d、または、0.5×0.5mm以下の中空角穴1a、または、中空長角穴、または、外周面に凹凸部を有した中空穴1b、または、星形形状穴1eで形成されて、中空穴は2a、2b、2c、・・・、2n(nは2以上の整数)によって平面状に形成された面状部を形成する。
【0035】
なお、本実施の形態の放熱器1においては、図6に示した前記流体8と熱交換する伝熱面9の材質を、プラスチックとしてチューブ2の外面で構成している。
【0036】
伝熱面9をチューブ2の外面のみによって図3に示すように、各プラスチックチューブ2を配置させるピッチ間隔(以下、単にピッチPという)を、該チューブ2の厚みTの2倍から4倍としている。
【0037】
チューブ2を配置させるピッチPを該チューブ2の厚みTの2倍から4倍とすると、空気側熱伝達率をより一層向上させることができ、極めて高い熱交換効率を発揮させることができる。
【0038】
図5は、チューブ間隔(ピッチP)をチューブ2の厚さTで割った値(PT)に対する放熱量と動力(ファン動力)との比(放熱量/動力)の変化を示す特性図であり、縦軸は放熱量と動力の比で、数字が大きいほど熱交換率良く、横軸はPTを示す。
【0039】
この特性図からわかるように、前記PTを2から4の間に設定すれば、熱交換効率を大幅に高めることができる。
【0040】
上記第1の実施の形態における細管の肉厚は特に限定されるものではないが、圧力損失を少なくする意味ではできるだけ薄い方が好ましいが、実際には、耐管内圧力、耐熱温度、製造技術上の面などから、例えば肉厚約0.1〜0.2mm程度のものを好ましく用いることができて、従来の銅やアルミなどの金属と熱伝導性能において差はなくなりプラスチック樹脂で構成する事が可能になる。
【0041】
また、本実施の形態の放熱器1においては、チューブ2の厚みを0.5mm以下とすれば、0.5mm超とした場合に比べてチューブ2の本数が増え、該チューブ2に形成された流路5の総断面積を充分に確保でき、冷媒の流通抵抗を大幅に低減させることができる。
【0042】
図1に示す受熱平板3の放熱面に設けられた、チューブ2は図6に示す、細管流路5は独立して各々単独のヒートパイプとして動作して、受熱平板3の放熱面より一定の温度に達した段階で各々のヒートパイプ内の流体8は相変態と移動により、上部端末11bに到達し、外部に設けられた電動ファン(図時せず)により、流体8はチューブ2の伝熱面より冷却される。
【0043】
冷却されて一定温度以下になった、ヒートパイプ内の流体8は液相状態となり、親水性処理した壁面10を伝わって受熱平板3の放熱面11aに到達する。
【0044】
前記ヒートパイプ1は流体8の相変態と移動によって、熱の移動がなされる。
【0045】
したがって、図1に示す、本実施の形態の放熱器1によれば、プラスチック樹脂素材にすることから、より一層の高性能化、小型化、及び軽量化を実現できる。
【0046】
上記により5cm×5cm程の面に独立した複数のチューブを並列に一定のピッチで配置すると、複数の独立したヒートパイプとして作用することにより熱を効果的に放熱する。
【実施例2】
【0047】
実施の形態2.図7aは本発明の実施の形態2に係るヒートパイプ7を上面よりの断面図、7bは側面よりの断面図、図8は斜視断面図でヒートパイプ7全体はプラスチック樹脂で構成されて、図8に示した流体と熱交換する伝熱面の壁14を、チューブ外面で構成して、図7aより使用されるチューブ12はポリカーボネート樹脂、POM、ABS、ナイロン、PP、PE、ABS、PMMA、PET等の汎用プラスチックはもちろん、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂−スチレン系樹脂−ポリアミド系樹脂混合樹脂、フッ素系樹脂および、ポリカーボネート系樹脂から成る群から選ばれる少なくとも1種の樹脂で溶融して得られる樹脂組成物を押出成形される。
【0048】
図8に示すチューブ12は複数の直線流路15を備えて、直線流路数は中心点13より吸熱側流路16aと、放熱側流路16bに流路を均等に分配されて閉ループを形成される構造として、流路断面形状は図2に示す内径0.5φ以下の中空丸穴1C、または、中空楕円穴1d、または、0.5×0.5mm以下の中空角穴1a、または、中空長角穴、または、外周面に凹凸部を有した中空穴1b、または、星形形状穴1eで形成されて、中空穴は2a、2b、2c、・・・、2n(nは2以上の整数)によって平面状に形成された面状部とした。
【0049】
また、本実施の形態2のヒートパイプ7は、チューブの肉厚を0.1〜0.2mmと薄肉としており、従来の銅やアルミなどの金属と熱伝導性能において差はなくなり、プラスチック樹脂で構成する事が可能になり、冷媒21と熱交換する伝熱面を、図8で示す細管を仕切る壁面14で伝熱作用を構成している。
【0050】
このヒートパイプ7の、流路内15には冷媒21が封入されており、冷媒21として、水、変圧器油、パーフロロカーボンなどの熱輸送媒体、アルコール、シリコンオイル、及び代替フロン系冷媒などを好ましく用いることができるが、本発明ではエタノールを用いているが、これらのみに限定されるものではなく水を含む冷媒など、各種の気体、液体冷媒であってもよい。
【0051】
図9及び図8に示す、加圧機構22は、液入口部20b‘と16a及び液出口部20a’と16bが接続されて、ピストン方式やダイアフラム方式(図示せず)等によるポンプの、発生圧力により加圧して、図8に示す冷媒21をポンプで、閉ループ内を循環19(17a〜17b)させることにより、図7bに示す高温の冷媒21をチューブ端末18aから対向する端末18bに移動して、アルミや銅などの熱伝導性の優れた金属の平板25bに伝熱される。
【0052】
また、図7bに示した平板25bに伝熱された熱は、外部に設ける放熱手段(図示省略)と熱的に接続される事により、移動された熱は放熱処理されて、冷媒21は吸熱側18aに移動する閉ループを構成している。
【0053】
また、図14に示すヒートパイプ140では、冷媒(矢印方向)を蛇行させて閉ループとする場合に循環ではなく、冷媒(矢印方向)を一定間隔の距離を加圧機構(図示せず)より、圧力を加えて流体方向142aと142bの方向に対して反復振動させて高温のHOT側からCOLD側へ熱移動をして放熱する。この場合は流体(矢印方向)に伝熱された熱はチューブの直線流路の壁面と流体(矢印方向)を伝熱体としてHOT側に熱移動する。
【0054】
冷媒21に圧力を生じさせる加圧機構22の流体液出口部20a‘と液入口部20b‘は図7aに示したチューブ12の20aと20bに接続されて、図9に示したピストン方式やダイアフラム方式などの圧力ポンプ22を、電源投入により、動作させる事によって、流体に圧力を加える事で作動流体とする事が可能である
【0055】
圧力を加えるポンプにおいては、ノートパソコン等、省スペースを要する場合は圧電方式やダイアフラム等が有利であり、高速移動等を要する場合はピストン方式等、使用用途により加圧手段は選択する。
【0056】
上記により、ヒートパイプ7による熱移動は、圧力ポンプの吐出圧力、又は、ポンプ動作時間を変化させる事により、熱移動時間の制御も可能になる。
【0057】
また、圧力ポンプの動作を外部制御信号により、ON、OFFする事により、熱スイッチとして、制御も可能になる
【実施例3】
【0058】
実施の形態3. 図10は本発明の模式的に示す斜視図であり、ヒートパイプ7に示すノートパソコン23に応用して、CPU24(中央処理装置)(詳細は省略)よりの発熱をヒートパイプ7の吸熱部側に設けられた熱伝導の優れた平板(図示省略)間をシリコングリース等で密着させて固定する。
【0059】
熱移動方向としてパソコン本体側はHDD(図示せず)や半導体が収納されており、熱的な影響を避けてLCD(図示省略)が収納されているケースカバー側に熱移動している。
【0060】
圧力ポンプ電源(詳細は省略)としてDC1.5V〜5V前後で0.5/s〜1/sの周波数及び電圧を印加する事によりヒートパイプ7内の流体は移動される。
【0061】
ヒートパイプ7の放熱側(図示は省略)には放熱手段としてケースカバー側のスペースは限られている為に従来、応用されているアルミフィン27などの厚みを薄くして放熱させる。
【0062】
この時に自然放熱、もしくは小型電動ファン(図示省略)などによる強制的な放熱手段により、排熱は矢印29より筐体外に放出させる。
【0063】
ノートパソコンの場合は本体部とケースカバー部はチルト構造により折りたたみが可能な構造であるが、本発明のヒートパイプ7によればプラスチック部材の選択によりフレキシブル構造28のヒートパイプ7とする事が可能である。
【0064】
実施の形態4.図11は本発明の実施の形態1に係る放熱器1および、実施の形態2に係るヒートパイプ7を一体化して発熱体の冷却に利用した例を模式的に示す斜視図である。
【0065】
図11において、例えばパソコンなど各種電子制御装置などの電子機器内の筐体30の内部に発熱体であるCPU24(中央処理装置)(詳細図示省略)が収容されている。
【0066】
CPU24(中央処理装置)(詳細図示省略)とヒートパイプ7は熱的に結合して設けられた平板25aと圧接して取り付けられるが、 熱伝導を高める為にCPU24(中央処理装置)(詳細図示省略)と平板25aの接触部にはシリコングリースなどを塗布して密着させて、熱伝導を向上させて固定される事として取り付ける。
【0067】
ヒートパイプ7のチューブはプラスチック製でフレキシブルな構造であり、筐体30内の任意の位置に曲げた形状でも配置が可能であり、チューブの厚みも0.5mmと薄型で設置面積も少なく、筐体30内に配置する事が可能である。
【0068】
図11に示すヒートパイプ7内部には図8に示す冷媒21として、エタノール、アンモニアや水などが適量封入されており(図示省略)図11に示すCPU24よりの発熱は、ヒートパイプ7内の冷媒21に、ポンプ22(詳細は省略)で、加圧されて、冷媒21は対向するヒートパイプの放熱側端末に移動する閉ループとする。
【0069】
この時、放熱側端末に移動した高温の冷媒21は放熱側端末に設けられた伝熱性の高い銅やアルミなどの素材で構成された平板(図示省略)より放熱器1に熱伝導されて、並列した複数のチューブ方向より電動ファン32などにより、複数のチューブ2は外気と熱交換を行い、排熱は矢印33で示す筐体30に設けられた通気穴より排出されて熱交換が行われる。
【0070】
この時、ヒートパイプ7はフレキシブル構造であり、筐体30内の任意の位置に設置可能である。
【0071】
上記のように構成された実施の形態4においては、比較的大容量の熱移動及び熱交換が可能であり、プラスチック素材の選択やヒートパイプ7内の作動流体の移動量や移動スピードなどの設計において大容量の放熱回路構成とする事も可能である。
【0072】
上記の様に、実施の形態1で示した放熱器1の動作により単位体積あたりの熱交換量を増大できるため、ヒートパイプの放熱能力の増大、ひいてはCPU24の大容量化が可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】第一の実施の形態の放熱器を示す斜視図である。
【図2】図1に示すチューブのA−A線断面図である。
【図3】図2に示すチューブの拡大断面図である。
【図4】図1に示す側面からの断面図である。
【図5】チューブ間隔(ピッチP)をチューブの厚さTで割った値(PT)に対する放熱量と動力(ファン動力)との比(放熱量/動力)の変化を示す特性図第2−1の実施の形態の熱交換器を示す斜視図である。
【図6】図1に示すチューブの模式図である。
【図7】第2の実施の形態のヒートパイプの正面と側面からの断面図である。
【図8】第2の実施のヒートパイプの模式図である。
【図9】第2の実施の圧力ポンプの一例である。
【図10】第2の実施の形態の筐体内に放熱器とヒートパイプ応用の斜視図である。
【図11】第3の実施の形態の筐体内に放熱器とヒートパイプ応用の斜視図である。
【図12】参考文献1のヒートパイプの構成図である。
【図13】参考文献2の細管群熱交換器の斜視図である。
【図14】参考文献3のヒートパイプの断面図である。
【符号の説明】
【0074】
1 放熱器
1a、1b、1c、1d、1e チューブ穴断面
2 チューブ
2a、2b、2c、・・・、2n 中空穴の面上部
3 受熱平板
4 溝部
5 細管流路
6 受熱平板の受熱側
7a、7b ヒートパイプ断面
8 作動流体
9 チューブ伝熱面
10 細管壁面
11a、11b 端末
12 ヒートパイプ用チューブ
13 流路数の中心点
14 流路壁面
15 直線流路
16a、16b 吸熱、放熱流路 、
17a、17b 流体方向
18a、18b
19 冷媒の循環方向
20a、20a ヒートパイプの入、出流路
21 冷媒
22 加圧機構
23 ノートパソコン
24 CPU
25a、25b 平板
26 通気穴
27 アルミ製のフィン
28 ヒートパイプのフレキシブル構造
29 ケースカバーよりの排熱方向
30 パソコン筐体
31 熱伝導用平板
32 電動ファン
33 排熱の流出方向


【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平形プラスチックチューブに細管流路が複数形成されて、冷媒を流通させる断面の厚みを0.5mm以下として、該扁平形プラスチックチューブの外面は熱交換する伝熱面として作用し、複数の扁平形プラスチックチューブを配置させるピッチ間隔を、該扁平形プラスチックチューブの厚みの2倍から4倍として、扁平形プラスチックチューブ両端は閉塞されて、チューブ部内の壁面は親水性物質被膜、減圧されて凝縮性の作動流体を具備して、独立した複数のヒートパイプとして作用する。該扁平形プラスチックチューブ端末の一端は受熱面と放熱面を有する金属の平板に直角に交差して熱的に接続された事を備えた放熱器
【請求項2】
扁平形プラスチックチューブに細管流路が複数形成されて、冷媒を流通させる断面の厚みを0.5mm以下として、該扁平形プラスチックチューブの外面は熱交換する伝熱面として作用し、該扁平形プラスチックチューブ端末は外部からの発熱を受熱する吸熱部と、対向する端末は放熱部として形成されて、細管流路は閉ループを備え、作動流体が封入されて、加圧機構により、作動流体に圧力を生じさせる事により、該扁平形プラスチックチューブ端末の吸熱部と放熱部間は流体の循環により、熱流体移動、熱移動時間の制御、熱流体移動のON、OFF制御を可能とする事を特徴とするヒートパイプ。
【請求項3】
扁平形プラスチックチューブに細管流路が複数形成されて、冷媒を流通させる断面の厚みを0.5mm以下として、該扁平形プラスチックチューブの外面は熱交換する伝熱面として作用し、該扁平形プラスチックチューブ端末は外部より受熱する吸熱部と、対向する端末の放熱部との間で蛇行する閉ループ流路を備えて、作動流体が封入されて、該作動流体に逆位相となる圧力を加圧機構により印加する事を特徴とするヒートパイプ。
【請求項4】
前記放熱器又はヒートパイプが扁平形プラスチックチューブで構成した請求項1〜3のいずれかの記載を用いて構成したことを特徴とする放熱器およびヒートパイプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−46868(P2006−46868A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−231891(P2004−231891)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【出願人】(302061462)
【Fターム(参考)】