説明

放熱板およびその放熱板の製造方法

【課題】熱抵抗の増大を防止して放熱効率を高くすることができるとともに、組立精度を向上でき、かつ設置空間を節約できる放熱板およびその放熱板の製造方法を提供する。
【解決手段】放熱板1は、少なくとも1つの平面に少なくとも1つの凹溝113が設けられた本体11と、第1の側面121およびこの第1の側面121と表裏関係にある第2の側面122を含み、第1の側面121が凹溝113に接合され、第2の側面122が本体11の表面と同一平面となる少なくとも1つの熱伝導部材12と、閉塞側1111および開放側1112を含み、本体11または熱伝導部材12に設けられる少なくとも1つの溝部111と、嵌入面131および接触面132を含み、溝部111中に嵌設されるもので、嵌入面131が閉塞側111に接合され、接触面132が開放側1112と同一平面となる少なくとも1つのヒートパイプ13と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱板およびその放熱板の製造方法に関し、特に、空間を節約でき、放熱効果を高め、熱抵抗の増大を防止することができる放熱板およびその放熱板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の電子装置は、データの演算機能および処理速度が高まっているため、内部に配置された電子素子から多くの熱が発生する。電子装置は、その発生した熱を即座に排出できない構成であるとき、内部の発生した熱量が少ない場合には電子素子の動作効率が低下し、熱量が極めて大きい場合には電子素子が破損してしまう。
【0003】
そこで、従来の電子素子の上方には、放熱ユニットが配置され、放熱ユニットを介し、電子素子の放熱が行われている。
このような放熱ユニットは、通常、放熱装置または放熱フィンに放熱ファンを組み合せて構成することにより放熱を行う。さらに、ヒートパイプを放熱ユニットに直列接続して構成することにより、このヒートパイプを介して、熱を遠くまで伝導して放熱を行う。
【0004】
しかし、電子装置中の空間は、限定されており、また、通常、電子装置の内部で熱を発生する電子素子は、複数配置されるため、各電子素子に放熱ユニットをそれぞれ配置した場合、各放熱部材間の距離が近すぎ、良好な放熱効果が得られない。
【0005】
従来技術において、表面にヒートパイプが埋設された放熱板を放熱部材とし、前述の従来の放熱装置における欠点を改善したものがある。このような従来の放熱装置に用いられる放熱板は、表面に少なくとも1つの溝部が設けられ、溝部にヒートパイプが埋設されることにより、電子素子の熱を放熱板の低温部に伝導して放熱を行っている。
【0006】
また、ヒートパイプを備えた放熱板の従来技術としては、例えば、特許文献1及び特許文献2に記載されたものがある。
特許文献1には、放熱板及びヒートパイプの他に、電子素子の面接触する受熱壁部と、その受熱壁部の厚さ方向に隔離した状態で放熱板に面接触する放熱壁部とを有する金属薄板からなる枠状体を設け、この枠状体の受熱壁部に、ヒートパイプの一端部を熱受可能な状態に取り付けることにより、放熱を行うとともに、放熱構造の軽量化を図るヒートパイプ式放熱構造に関する技術が開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、ケーシング本体内に、互いに間隔をもって積層された複数の放熱板を備えたもので、ケーシング内の吹き出し口とは異なる側方に熱伝導性材料よりなる放熱ブロック基体を設け、この放熱ブロック基体にヒートパイプを熱的に結合させ、かつこの放熱ブロック基体を複数の放熱板の端部に熱的に結合するように構成した冷却モジュールに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−35979号公報
【特許文献2】特開2003−297991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の従来の放熱板では、ヒートパイプを埋設するのに都合が良いように、放熱板に大きめの溝部が設けられるため、ヒートパイプと溝部との間に隙間が形成され、熱抵抗が増大し、放熱効率が低下してしまう。また、従来の放熱板は、ヒートパイプと放熱板とのはんだ接合を行うとき、ヒートパイプの表面が熱を受けて膨張するため、組立精度が低くなる。即ち、従来の放熱板は、放熱効率に劣り、組立精度が低いといった問題点があった。
【0010】
また、特許文献1に記載の従来技術は、放熱構造の軽量化を図れるが、受熱壁部と放熱壁部とがその厚さ方向において隔離していることに伴って隙間部が形成されるため、限定された空間及び複数の電子素子を有する電子装置には有効な構成ではなく、また、放熱効率を高くすることができない。
【0011】
さらに、特許文献2に記載の従来技術は、複数の放熱板を積層してケーシング内に設けたため、電子装置内の限定された空間を有効活用できるが、放熱板が複数積層されており、かつ複数の放熱板の端部が、ヒートパイプを内部に設けた放熱ブロック基体に結合しているため、良好な放熱効果が得られず、また、組み立て精度も良くない。
【0012】
そこで、本発明は上述した問題点に鑑みてなされたもので、熱抵抗の増大を防止して放熱効率を高くすることができるとともに、組立精度を向上でき、かつ設置空間を節約できる放熱板およびその放熱板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の課題を解決するために、本発明の放熱板は、少なくとも1つの平面に少なくとも1つの凹溝が設けられた本体と、第1の側面および前記第1の側面と表裏関係にある第2の側面を含み、前記第1の側面が前記凹溝に接合され、前記第2の側面が前記本体の表面と同一平面となる少なくとも1つの熱伝導部材と、閉塞側および開放側を含み、前記本体または前記熱伝導部材に設けられる少なくとも1つの溝部と、嵌入面および接触面を含み、前記溝部中に嵌設されるものであって、前記嵌入面が前記溝部の閉塞側に接合され、前記接触面が前記溝部の開放側と同一平面となる少なくとも1つのヒートパイプと、を具備している。
【0014】
また、本発明の放熱板の製造方法は、本体の一平面に少なくとも1つの凹溝を設けるステップと、前記凹溝の表面に少なくとも1つの溝部を設け、前記溝部中に熱伝導接着剤を塗布するステップと、ヒートパイプを前記溝部に配置し、前記本体およびヒートパイプに圧力を加え、はんだ接合を行うステップと、熱伝導部材の第1の側面を前記凹溝に嵌入し、前記ヒートパイプの接触面に接触させ、はんだ接合を行うステップと、前記熱伝導部材の第2の側面の前記本体の平面より高い部分を除去し、前記熱伝導部材の第2の側面と、前記本体の平面とを同一平面にするステップと、を含む。
【0015】
さらに、本発明の放熱板の製造方法は、本体の一平面に少なくとも1つの凹溝を設けるステップと、熱伝導部材の第1の側面に少なくとも1つの溝部を設け、前記溝部中に熱伝導接着剤を塗布するステップと、ヒートパイプを前記溝部に配置し、前記ヒートパイプおよび熱伝導部材に圧力を加え、はんだ接合を行い、前記ヒートパイプと前記熱伝導部材とを接合するステップと、前記熱伝導部材の第1の側面を前記凹溝に嵌入し、前記ヒートパイプの接触面と前記凹溝の表面とを接触させ、はんだ接合を行うステップと、前記熱伝導部材の第2の側面の前記本体の平面より高い部分を除去し、前記熱伝導部材の第2の側面と前記本体の平面とを同一平面にするステップと、を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明の放熱板およびその放熱板の製造方法によれば、熱抵抗の増大を防止して放熱効率を高くすることができるとともに、組立精度を向上でき、かつ設置空間を節約できるといった利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例に係る放熱板の構造を示す分解斜視図。
【図2】図1の放熱板を組み立てた状態を示す斜視図。
【図3】図2の放熱板の断面図。
【図4】本発明の他の実施例に係る放熱板の構造を示す分解斜視図。
【図5】図4の放熱板を組み立てた状態を示す斜視図。
【図6】図5の放熱板の断面図。
【図7】本発明の一実施例に係る放熱板の製造方法を示す流れ図。
【図8】図7に示す放熱板の製造方法を説明するための放熱板の断面図。
【図9】図7に示す放熱板の製造方法を説明するための放熱板の断面図。
【図10】図7に示す放熱板の製造方法を説明するための放熱板の断面図。
【図11】図7に示す放熱板の製造方法を説明するための放熱板の断面図。
【図12】図7に示す放熱板の製造方法を説明するための放熱板の断面図。
【図13】図7に示す放熱板の製造方法を説明するための放熱板の断面図。
【図14】本発明の他の実施例に係る放熱板の製造方法を示す流れ図。
【図15】図14に示す放熱板の製造方法を説明するための放熱板の断面図。
【図16】図14に示す放熱板の製造方法を説明するための放熱板の断面図。
【図17】図14に示す放熱板の製造方法を説明するための放熱板の断面図。
【図18】図14に示す放熱板の製造方法を説明するための放熱板の断面図。
【図19】図14に示す放熱板の製造方法を説明するための放熱板の断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
(一実施例)
図1から図3は、本発明の放熱板の一実施例に係り、図1は一実施例に係る放熱板の構造を示す分解斜視図、図2は、図1の放熱板を組み立てた状態を示す斜視図、図3は、図2の放熱板の断面図である。
【0019】
図1に示すように、本実施例の放熱板1は、本体11と、少なくとも1つの熱伝導部材12と、少なくとも1つの溝部111と、少なくとも1つのヒートパイプ13とを含んで構成される。
【0020】
本体11は、少なくとも一方の平面112に設けられた少なくとも1つの凹溝113を有して構成される。
【0021】
熱伝導部材12は、第1の側面121と、この第1の側面121と表裏関係にある第2の側面122とを有している。この熱伝導部材12は、凹溝113の形状に合わせた形状に形成される。従って、熱伝導部材12は、凹溝113に嵌装される。
【0022】
熱伝導部材12を凹溝113に嵌装した場合、熱伝導部材12の第1の側面121は、凹溝113に接合される。また、第2の側面122は、本体11の平面112と同一平面となる。
【0023】
本体11に設けられた溝部111は、閉塞側1111および開放側1112を有して構成される。
【0024】
ヒートパイプ13は、嵌入面131および接触面132を含み、溝部111中に嵌装される。この場合、ヒートパイプ13の嵌入面131は、溝部111の閉塞側1111に接合される。また、ヒートパイプの13の接触面132は、溝部111の開放側1112と同一平面となる。
【0025】
溝部111の閉塞側1111には、図3に示すように、熱伝導接着剤15が塗布される。この場合、熱伝導接着剤15は、はんだペーストである。
なお、熱伝導接着剤15は、はんだペーストに限定されるものではなく、その他の熱伝導性を有する接着剤を用いても良い。
【0026】
ヒートパイプ13の接触面132は、嵌入面131と表裏関係の側面に位置し、この接触面132の両端と嵌入面131の両端とは連接される。この接触面132は、図3に示すように、平面であり、また、嵌入面131は、前述の閉塞側1111の形状と同一の形状に形成されている。
【0027】
また、熱伝導部材12は、銅およびアルミニウムを含む部材を用いて構成されている。なお、熱伝導部材12は、このような胴およびアルミニウムを含む部材に限定されるものではなく、他の熱伝導性を有する部材を用いて構成しても良い。
【0028】
このように、本実施例の放熱板1では、ヒートパイプ13が溝部111に熱伝導接着剤15によって隙間無く嵌装されるとともに、熱伝導部材12の第1の側面121が凹溝113の表面と接合した状態で、この熱伝導部材12と本体11とヒートパイプ13とが接合して固定されるので、ヒートパイプ13と溝部111との間には隙間が生じない(図3参照)。
【0029】
すなわち、ヒートパイプ13と溝部111との間の隙間がなくなるので、熱抵抗の増大を防止することができるため、放熱効率を高くすることができる。
【0030】
また、ヒートパイプ13の接触面132は、平面であり、また、ヒートパイプ12の嵌入面131は、溝部111の閉塞側1111の形状と同一の形状に形成されているので、ヒートパイプ13と本体11の溝部111とのはんだ接合、およびヒートパイプ13と熱伝導部材12とのはんだ接合を行い、ヒートパイプ13が熱により膨張したとしても確実に固定することができるので、組立精度を向上できる。
【0031】
また、熱伝導部材12の第2の側面122は、本体11の平面112と同一の平面上に配置されるため、電子装置内の空間を節約することができる。
【0032】
従って、本実施例によれば、熱抵抗の増大を防止して放熱効率を高くすることができるとともに、組立精度を向上でき、かつ設置空間を節約できる放熱板1の実現が可能となる。
【0033】
(他の実施例)
図4から図6は、本発明の放熱板の他の実施例に係り、図4は他の実施例に係る放熱板の構造を示す分解斜視図、図5は、図4の放熱板を組み立てた状態を示す斜視図、図6は、図5の放熱板の断面図である。
【0034】
本実施例の放熱板は、前記溝部1111を本体11に設けたものではなく、熱伝導部材12に設けて構成したことが前記実施例と異なる。
【0035】
図4に示すように、本実施例の放熱板1は、本体11と、少なくとも1つの熱伝導部材12と、少なくとも1つの溝部111と、少なくとも1つのヒートパイプ13とを含んで構成される。
【0036】
本体11は、少なくとも一方の平面112に設けられた少なくとも1つの凹溝113を有して構成される。
【0037】
熱伝導部材12は、第1の側面121と、この第1の側面121と表裏関係にある第2の側面122とを有している。この熱伝導部材12は、凹溝113の形状に合わせた形状に形成される。従って、熱伝導部材12は、凹溝113に嵌装される。
【0038】
熱伝導部材12が凹溝113に嵌装した場合、熱伝導部材12の第1の側面121は、凹溝113に接合される。また、第2の側面122は、本体11の平面112と同一平面となる。
【0039】
本実施例では、ヒートパイプ13を嵌装する溝部1111は、熱伝導部材12の第1の側面121側に設けられている。
この熱伝導部材12に設けられた溝部111は、閉塞側1111および開放側1112を有して構成される。
【0040】
ヒートパイプ13は、嵌入面131および接触面132を含み、熱伝導部材12の溝部111中に嵌装される。この場合、ヒートパイプ13の嵌入面131は、溝部111の閉塞側1111に接合される。また、ヒートパイプの13の接触面132は、溝部111の開放側1112と同一平面となる。
【0041】
溝部111の閉塞側1111には、図6に示すように、熱伝導接着剤15が塗布される。この場合、熱伝導接着剤15は、はんだペーストである。
なお、熱伝導接着剤15は、前記実施例と同様、はんだペーストに限定されるものではなく、その他の熱伝導性を有する接着剤を用いても良い。
【0042】
ヒートパイプ13の接触面132は、嵌入面131と表裏関係の側面に位置し、この接触面132の両端と嵌入面131の両端とは連接される。この接触面132は、図6に示すように、平面であり、また、嵌入面131は、前述の閉塞側1111の形状と同一の形状に形成されている。
【0043】
また、熱伝導部材12は、前記実施例と同様、銅およびアルミニウムを含む部材を用いて構成されている。なお、熱伝導部材12は、このような胴およびアルミニウムを含む部材に限定されるものではなく、他の熱伝導性を有する部材を用いて構成しても良い。
【0044】
このように、本実施例の放熱板1では、ヒートパイプ13が、熱伝導部材12の溝部111に熱伝導接着剤15によって隙間無く嵌装されるとともに、熱伝導部材12の第1の側面121が凹溝113の表面と接合した状態で、この熱伝導部材12と本体11とヒートパイプ13とが接合して固定されるので、前記実施例と同様にヒートパイプ13と溝部111との間には隙間が生じない(図6参照)。
【0045】
すなわち、ヒートパイプ13と溝部111との間の隙間がなくなるので、熱抵抗の増大を防止することができるため、放熱効率を高くすることができる。
【0046】
また、ヒートパイプ13の接触面132は、平面であり、また、ヒートパイプ12の嵌入面131は、溝部111の閉塞側1111の形状と同一の形状に形成されているので、ヒートパイプ13と熱伝導部材12の溝部111とのはんだ接合、およびヒートパイプ13と本体11とのはんだ接合を行い、ヒートパイプ13が熱により膨張したとしても確実に固定することができるので、組立精度を向上できる。
【0047】
また、熱伝導部材12の第2の側面122は、本体11の平面112と同一の平面上に配置されるため、電子装置内の空間を節約することができる。
【0048】
従って、本実施例によれば、溝部1111を熱伝導部材12に設けて構成した場合でも、前記実施例と同様に、熱抵抗の増大を防止して放熱効率を高くすることができるとともに、組立精度を向上でき、かつ設置空間を節約できる放熱板1の実現が可能となる。
【0049】
次に、本発明の一実施例及び他の実施例に係る放熱板の製造方法について、図7から図19を用いて説明する。なお、図7から図13は、前記一実施例の放熱板に対応し、図8から図19は、前記他の実施例の放熱板に対応している。
【0050】
まず、前記一実施例に係る放熱板(図1から図3参照)の製造方法について、図7から図13を用いて説明する。
図7から図13は、本発明の一実施例に係る放熱板の製造方法を説明するための図であり、図7は、一実施例に係る放熱板の製造方法を示す流れ図、図8から図13は、図7に示す放熱板の製造方法(各種ステップ)を説明するための放熱板の断面図をそれぞれ示している。
【0051】
本発明の一実施例に係る放熱板の製造方法は、図7に示すように、ステップ21からステップ25までの各種ステップを含んでいる。
【0052】
すなわち、作業者は、ステップ21の手順により、本体11の一平面に少なくとも1つの凹溝113を設ける(図8参照)。この場合、作業者は、本体11の平面112に、ミーリング加工またはその他の加工法により、少なくとも1つの凹溝113を設ける。
【0053】
なお、本実施例では、ミーリング加工を例に挙げて説明するが、それだけに限定されることはなく、その他の加工法を用いても良い。
【0054】
また、凹溝113は、方形、円形またはその他の形状に構成しても良い。本実施例では、方形を例に挙げて説明するが、それだけに限定されるものではなく、嵌装される熱伝導部材12の形状に対応する形状に構成すれば良い。
【0055】
そして、作業者は、ステップ22の手順により、凹溝113の表面に少なくとも1つの溝部111を設け、この溝部111中に熱伝導接着剤15を塗布する(図9参照)。
【0056】
この場合、溝部111は、凹溝113の表面にミーリング加工またはその他の切削加工により、形成される。そして、この溝部111中に熱伝導接着剤15が塗布される。
【0057】
なお、この熱伝導接着剤15は、はんだペースト(棒状はんだ)である。勿論、熱伝導接着剤15は、それ以外の熱伝導性があり、接着効果を有する熱伝導物質を用いても良い。
【0058】
その後、作業者は、ステップ23の手順により、ヒートパイプ13を溝部111に嵌入した後、本体11およびヒートパイプ13に圧力を加え、はんだ接合を行う(図10参照)。
【0059】
この場合、作業者は、ヒートパイプ13を溝部111中に嵌入し、ヒートパイプ13と溝部111とを調整して密着するように嵌合する。その後、作業者は、本体11をプレス機械5の上金型51と下金型52との間に配置し、プレス機械5を介して本体11およびヒートパイプ13に圧力を加え、ヒートパイプ13を溝部111中に圧入し、ヒートパイプ13を溝部111に密着して接合する(図11参照)。
【0060】
その後、作業者は、ステップ24の手順により、熱伝導部材12の第1の側面121を凹溝113に嵌入し、ヒートパイプ13の接触面に接触させ、はんだ接合を行う。
【0061】
この場合、作業者は、熱伝導部材12を凹溝113に嵌入し、熱伝導部材12の第1の側面121を凹溝113の表面と接触させると同時に、ヒートパイプ13ともに密着するように接合させる。その後、最後に、作業者は、はんだ接合を行い、本体11とヒートパイプ13と熱伝導部材12とはんだ接合して固定すると同時に、隙間をなくす(図12参照)。
【0062】
そして、作業者は、ステップ25の手順により、熱伝導部材12の第2の側面122の本体の平面より高い部位を除去し、熱伝導部材の第2の側面122と本体11の平面113とを同一平面にする。
【0063】
この場合、作業者は、除去加工を行うことにより、熱伝導部材12の第2の側面122の本体11の平面112より高い部位を除去し、熱伝導部材12の第2の側面122と本体11の平面112とを同一の平面上にする(図13参照)。これにより、電子装置内の空間を節約でき、熱抵抗の増大を防止することができる。
【0064】
なお、上述の除去加工は、ミーリング加工、研削加工または平削り加工である。本実施例では、図13に示すように、研削加工を行ったもので、例えば、砥石4を介し、第2の側面122の本体11の平面112より高い部位を取り除くようにしている。
【0065】
従って、このような製造方法を実施することによって、熱抵抗の増大を防止して放熱効率を高くすることができるとともに、組立精度を向上でき、かつ設置空間を節約できる、上述した一実施例の放熱板1の製造が可能となる。
【0066】
次に、前記他の実施例に係る放熱板(図4から図6参照)の製造方法について、図14から図19を用いて説明する。
図14から図19は、本発明の他の実施例に係る放熱板の製造方法を説明するための図であり、図14は、他の実施例に係る放熱板の製造方法を示す流れ図、図15から図19は、図14に示す放熱板の製造方法(各種ステップ)を説明するための放熱板の断面図をそれぞれ示している。
【0067】
本発明の他の実施例に係る放熱板の製造方法は、図14に示すように、ステップ31からステップ35までの各種ステップを含んでいる。
【0068】
すなわち、作業者は、ステップ31の手順により、本体11の一平面に少なくとも1つの凹溝113を設ける(図15参照)。この場合、作業者は、本体11の平面112に、ミーリング加工またはその他の加工法により、少なくとも1つの凹溝113を設ける。
【0069】
なお、本実施例では、ミーリング加工を例に挙げて説明するが、それだけに限定されることはなく、その他の加工法を用いても良い。
【0070】
また、凹溝113は、方形、円形またはその他の形状に構成しても良い。本実施例では、方形を例に挙げて説明するが、それだけに限定されるものではなく、嵌装される熱伝導部材の形状に対応する形状に構成すれば良い。
【0071】
そして、作業者は、ステップ32の手順により、熱伝導部材12の第1の側面121に少なくとも1つの溝部111を設け、この溝部111中に熱伝導接着剤15を塗布する(図16参照)。
【0072】
この場合、溝部111は、熱伝導部材12の第1の側面121にミーリング加工またはその他の切削加工により、形成される。そして、この溝部111中に熱伝導接着剤15が塗布される。
【0073】
なお、この熱伝導接着剤15は、はんだペースト(棒状はんだ)である。勿論、熱伝導接着剤15は、それ以外の熱伝導性があり、接着効果を有する熱伝導物質を用いても良い。
【0074】
その後、作業者は、ステップ33の手順により、ヒートパイプ13を溝部111に嵌入した後、ヒートパイプ13および熱伝導部材12に圧力を加え、はんだ接合を行う(図17参照)。
【0075】
この場合、作業者は、ヒートパイプ13を溝部111中に嵌入し、ヒートパイプ13を調整してヒートパイプ13の表面と、溝部111の閉塞側1111の表面とを密着するように嵌合する。
【0076】
その後、作業者は、ヒートパイプ13および熱伝導部材12をプレス機械5の上金型51と下金型52との間に配置してプレス加工を行い、ヒートパイプ13を溝部111中に圧入し、溝部111に密着するように接合する。また、作業者は、プレス加工を行うと同時に、はんだ接合を行い、ヒートパイプ13と溝部111とをさらに安定的に固定する(図17参照)。これにより、前記製造方法と同様に、ヒートパイプ13と溝部111との間の隙間がなくなるため、熱抵抗の増大を防止することができる。
【0077】
そして、作業者は、ステップ34の手順により、熱伝導部材12の第1の側面121を凹溝113に嵌入し、ヒートパイプ13の接触面132と凹溝113とを接触させ、はんだ接合を行う。
【0078】
この場合、作業者は、熱伝導部材12を予め本体11の平面112に設けられた凹溝113に嵌入し、ヒートパイプ13の接触面132と、凹溝113の表面とを接触させる。その後、最後に、作業者は、熱伝導部材12とヒートパイプ13と凹溝113とのはんだ接合を行い、熱伝導部材12とヒートパイプ13と凹溝113とを密着するように接合して固定すると同時に、隙間をなくして熱抵抗の増大を防止する(図18参照)。
【0079】
そして、作業者は、ステップ35の手順により、熱伝導部材12の第2の側面122の本体の平面より高い部位を除去し、熱伝導部材の第2の側面122と本体11の平面113とを同一平面にする。
【0080】
この場合、作業者は、除去加工を行うことにより、熱伝導部材12の第2の側面122の本体11の平面112より高い部位を除去し、熱伝導部材12の第2の側面122と本体11の平面112とを同一の平面上にする(図19参照)。これにより、電子装置内の空間を節約でき、熱抵抗の増大を防止することができる。
【0081】
なお、上述の除去加工は、前記製造方法と同様、ミーリング加工、研削加工または平削り加工である。本実施例では、図19に示すように、研削加工を行ったもので、例えば、砥石4を介し、第2の側面122の本体11の平面112より高い部位を取り除くようにしている。
【0082】
従って、このような製造方法を実施することによって、熱抵抗の増大を防止して放熱効率を高くすることができるとともに、組立精度を向上でき、かつ設置空間を節約できる、上述した他の実施例の放熱板1の製造が可能となる。
【0083】
本発明は、以上述べた実施の形態及び変形例のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0084】
1…放熱板、
11…本体、
111…溝部、
1111…閉塞側、
1112…開放側、
112…平面、
113…凹溝、
12…熱伝導部材、
121…第1の側面、
122…第2の側面、
13…ヒートパイプ、
131…嵌入面、
132…接触面、
15…熱伝導接着剤、
4…砥石、
5…プレス機械、
51…上金型、
52…下金型。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの平面に少なくとも1つの凹溝が設けられた本体と、
第1の側面および前記第1の側面と表裏関係にある第2の側面を含み、前記第1の側面が前記凹溝に接合され、前記第2の側面が前記本体の表面と同一平面となる少なくとも1つの熱伝導部材と、
閉塞側および開放側を含み、前記本体または前記熱伝導部材に設けられる少なくとも1つの溝部と、
嵌入面および接触面を含み、前記溝部中に嵌設されるものであって、前記嵌入面が前記溝部の閉塞側に接合され、前記接触面が前記溝部の開放側と同一平面となる少なくとも1つのヒートパイプと、
を具備したことを特徴とする放熱板。
【請求項2】
前記溝部の閉塞側には、熱伝導接着剤が塗布されることを特徴とする請求項1に記載の放熱板。
【請求項3】
前記熱伝導接着剤は、はんだペーストであることを特徴とする請求項2に記載の放熱板。
【請求項4】
前記ヒートパイプの接触面は、前記嵌入面と表裏関係の側面に位置し、前記接触面の両端と前記嵌入面の両端とが連接されたものであって、前記接触面の形状は平面であり、前記嵌入面の形状は前記閉塞側と同一の形状であることを特徴とする請求項1に記載の放熱板。
【請求項5】
前記熱伝導部材は、銅およびアルミニウムを含む部材を用いて構成したことを特徴とする請求項1に記載の放熱板。
【請求項6】
本体の一平面に少なくとも1つの凹溝を設けるステップと、
前記凹溝の表面に少なくとも1つの溝部を設け、前記溝部中に熱伝導接着剤を塗布するステップと、
ヒートパイプを前記溝部に配置し、前記本体およびヒートパイプに圧力を加え、はんだ接合を行うステップと、
熱伝導部材の第1の側面を前記凹溝に嵌入し、前記ヒートパイプの接触面に接触させ、はんだ接合を行うステップと、
前記熱伝導部材の第2の側面の前記本体の平面より高い部分を除去し、前記熱伝導部材の第2の側面と、前記本体の平面とを同一平面にするステップと、
を含むことを特徴とする放熱板の製造方法。
【請求項7】
前記熱伝導部材は、銅およびアルミニウムを含む部材を用いて構成したことを特徴とする請求項6に記載の放熱板の製造方法。
【請求項8】
前記ヒートパイプは、プレス加工により前記溝部に圧入されることを特徴とする請求項6に記載の放熱板の製造方法。
【請求項9】
前記熱伝導接着剤は、はんだペーストであることを特徴とする請求項6に記載の放熱板の製造方法。
【請求項10】
前記熱伝導部材の第2の側面の前記本体の平面より高い部分を除去するステップは、ミーリング加工、研削加工または平削り加工によって行われることを特徴とする請求項6に記載の放熱板の製造方法。
【請求項11】
前記溝部は、閉塞側および開放側を含み、前記熱伝導接着剤は、前記閉塞側に塗布されることを特徴とする請求項9に記載の放熱板の製造方法。
【請求項12】
本体の一平面に少なくとも1つの凹溝を設けるステップと、
熱伝導部材の第1の側面に少なくとも1つの溝部を設け、前記溝部中に熱伝導接着剤を塗布するステップと、
ヒートパイプを前記溝部に配置し、前記ヒートパイプおよび熱伝導部材に圧力を加え、はんだ接合を行い、前記ヒートパイプと前記熱伝導部材とを接合するステップと、
前記熱伝導部材の第1の側面を前記凹溝に嵌入し、前記ヒートパイプの接触面と前記凹溝の表面とを接触させ、はんだ接合を行うステップと、
前記熱伝導部材の第2の側面の前記本体の平面より高い部分を除去し、前記熱伝導部材の第2の側面と前記本体の平面とを同一平面にするステップと、
を含むことを特徴とする放熱板の製造方法。
【請求項13】
前記熱伝導部材は、銅およびアルミニウムを含む部材を用いて構成したことを特徴とする請求項12に記載の放熱板の製造方法。
【請求項14】
前記ヒートパイプは、プレス加工により前記溝部に圧入されることを特徴とする請求項12に記載の放熱板の製造方法。
【請求項15】
前記熱伝導接着剤は、はんだペーストであることを特徴とする請求項12に記載の放熱板の製造方法。
【請求項16】
前記熱伝導部材の第2の側面の前記本体の平面より高い部分を除去するステップは、ミーリング加工、研削加工または平削り加工によって行われることを特徴とする請求項12に記載の放熱板の製造方法。
【請求項17】
さらに、
前記ヒートパイプおよび前記熱伝導部材に圧力が加えられ、はんだ接合が行われた後、前記ヒートパイプの前記溝部から露出した部分が除去されるステップを含むことを特徴とする請求項12に記載の放熱板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−3604(P2011−3604A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143567(P2009−143567)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(504115301)奇▲こう▼科技股▲ふん▼有限公司 (82)
【Fターム(参考)】