説明

放熱組立体

【課題】安価且つ簡単な構成により発熱体の冷却効率を高めることができる放熱組立体を提供することを課題とする。
【解決手段】実施形態によれば、正方形の接触面を介してパワーアンプ2をヒートシンク4に取り付けた放熱組立体10であって、ヒートシンク4の放熱フィン8と交差する方向に接触面2aの対角線が沿う姿勢でPA2をヒートシンク4に斜めに取り付けた放熱組立体10を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば、デジタル放送システムの送信機に組み込まれた電力増幅器(PA:パワーアンプ)などの発熱体を空冷する放熱組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、デジタル放送システムの送信機に組み込まれたPAは、比較的高温に発熱することが知られている。このように高温になる電子部品の放熱手段として、例えば、比較的構造が単純で安価な空冷式の放熱器が用いられる。この種の放熱器の一例として、PAなどの発熱体を取り付けた面と反対の面に複数枚の放熱フィンを有するものが知られている。放熱フィンには、発熱体からの熱が伝達され、放熱フィンの間を流通する空気によってこの熱が大気中に放熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−142637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の放熱器は、できるだけ簡単な構成で効率良く発熱体を冷却することが望ましい。冷却効率を高めるためには、放熱フィンの間隔を狭くしたり、放熱フィンの間に流す冷却風の流速を上げたり、放熱フィンの高さを高くしたりする方法が考えられる。
【0005】
しかし、放熱フィンの間隔を狭くし過ぎると、空気の流れが悪くなって冷却効率が低下してしまう。また、冷却風の流速を高めるため、より能力の高いファンを用いた場合、騒音が発生してしまったり、装置コストが高くなったりする。さらに、放熱フィンを高く(大きく)した場合、装置構成が大型化してしまう。
【0006】
よって、安価且つ簡単な構成により発熱体の冷却効率を高めることができる放熱組立体の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、矩形の接触面を介して発熱体を放熱体に取り付けた放熱組立体であって、放熱フィンの並び方向に接触面の対角線が沿う姿勢で発熱体を放熱体に斜めに取り付けた放熱組立体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、実施形態に係る放熱組立体の一例を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1の放熱組立体を矢印IIA方向から見た側面図(a)、および図1の放熱組立体を矢印IIB方向から見た底面図(b)である。
【図3】図3は、図2に対応した比較例の側面図(a)、および底面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1には、実施形態に係る放熱組立体10の斜視図を示してある。また、図2(a)には、この放熱組立体10を図1中矢印IIA方向から見た側面図を示してあり、図2(b)には、この放熱組立体10を図1中矢印IIB方向から見た底面図を示してある。
【0010】
本実施形態の放熱組立体10は、例えば、デジタル放送システムの送信機(図示せず)に組み込まれた電力増幅器2(PA:パワーアンプ)(以下、単にPA2と称する)と、ヒートシンク4と、を密着させて組み合わせた構造を有する。PA2は、発熱体として機能し、ヒートシンク4は、放熱体として機能する。
【0011】
PA2は、薄い正方形のブロック形状を有し、ヒートシンク4の平らな取付面4aに全面で接触する平らな接触面2aを有する。PA2が正方形のブロック形状であるため、この接触面2aも正方形である。
【0012】
ヒートシンク4は、熱伝導率が良好なアルミニウムや銅などの金属、或いはセラミックなどにより形成されている。また、ヒートシンク4は、PA2を取り付ける取付面4aを有する薄い矩形ブロック形状のベース板6、および取付面4aと反対のベース板6の裏面6aから一体に互いに等しいピッチで突設された複数枚(本実施形態では9枚)の同じ形の放熱フィン8を有する。
【0013】
本実施形態では、複数枚の放熱フィン8は、ベース板6と一体に成形されている。しかし、これら複数枚の放熱フィン8は、ベース板6に対してロウ付けやカシメなどにより別体として固定されても良い。
【0014】
複数枚の放熱フィン8は、互いに平行にベース板6の裏面6aから垂直に立設され、図2(b)に矢印で示す冷却風の方向に沿って延設されている。言い換えると、上述した放熱組立体10は、複数枚の放熱フィン8が冷却風の流れ方向に沿う姿勢で図示しない送信機に組み込まれる。冷却風は、送信機に組み込まれたファン(図示せず)によって形成され、その流量および流速は、当該ヒートシンクの放熱効率を最高にできる値に設定されている。
【0015】
しかして、PA2で発生した熱は、その接触面2aを介してヒートシンク4の取付面4aに伝達されてベース板6で拡散される。そして、ベース板6で拡散された熱は、複数枚の放熱フィン8へ伝達される。さらに、複数枚の放熱フィン8に伝達された熱は、これら複数枚の放熱フィン8の間を流通する空気によって大気中へ放熱される。これにより、PA2が効果的に冷却される。
【0016】
放熱組立体10における上記のような熱の伝わり方を考えると、PA2の熱がヒートシンク4に伝達されるとき、ヒートシンク4のベース板6の中央近く、すなわちPA2が対向した領域の温度が先に上昇し、徐々にベース板6の外側に熱が広がることが理解できる。このため、PA2に対向した位置に突設された放熱フィン8a(図2a)の方が、PA2に対向していない位置に突設された放熱フィン8b(図2a)より先に温度が上昇し、熱の伝達効率が高くなる。
【0017】
言い換えると、PA2に対向していない放熱フィン8bには、ベース板6の面方向に拡散した熱が伝達されることになり、PA2に対向している放熱フィン8aへの伝熱(PA2の熱が直接的に伝えられる)と比較して、熱の伝達効率が悪くなる。
【0018】
このため、例えば、図3(a)および図3(b)に比較例として示すように、PA2をヒートシンク4に対して真っ直ぐ取り付けると、PA2に対向する放熱フィン8aの枚数が少なくなり、十分な放熱性能を発揮できない。
【0019】
これに対し、本実施形態のように、PA2の接触面2aの対角線が、冷却風の流れ方向と直交する方向、すなわち放熱フィン8の並び方向に沿う姿勢で、PA2をヒートシンク4に斜めに取り付けることで、PA2に対向する放熱フィン8aの枚数を増やすことができ、放熱効果を高めることができる。
【0020】
具体的には、図3(a)および図3(b)に示す比較例のようにPA2を真っ直ぐ取り付けた場合、PA2に対向する放熱フィン8aの枚数は3枚であるが、図2(a)および図2(b)に示す本実施形態のようにPA2を斜めに取り付けた場合、PA2に対向する放熱フィン8aの枚数は5枚になり、その分、放熱効果を高めることができる。
【0021】
以上のように、本実施形態によると、ヒートシンク4(放熱体)の形状やサイズを変えることなく、PA2(発熱体)のヒートシンク4に対するレイアウトを変更するだけで、放熱組立体10としての放熱効果を高めることができ、安価且つ簡単な構成でPA2の冷却効率を高めることができる。
【0022】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0023】
例えば、上述した実施形態では、放送システムのPA2を冷却するための放熱組立体10に本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず、比較的高温になる他の発熱体を冷却するため、本発明を適用することができる。
【0024】
また、上述した実施形態では、正方形の接触面2aを有する発熱体2の放熱構造について説明したが、これに限らず、発熱体の形状は矩形であればいかなる形状であっても良い。
【符号の説明】
【0025】
2…パワーアンプ、2a…接触面、4…ヒートシンク、4a…取付面、6…ベース板、8…放熱フィン、8a…PAに対向した放熱フィン、8b…PAに対向していない放熱フィン、10…放熱組立体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の接触面を有する発熱体と、
この発熱体の上記接触面を接触せしめて取り付けた取付面を有し、冷却風の流れ方向に沿って延びた複数枚の放熱フィンを上記取付面と反対の面から突設した放熱体と、を有し、
上記流れ方向と交差する上記複数の放熱フィンの並び方向に上記接触面の対角線が沿う姿勢で上記発熱体を上記放熱体に斜めに取り付けた放熱組立体。
【請求項2】
上記発熱体は、正方形の接触面を有する請求項1の放熱組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−104705(P2012−104705A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252906(P2010−252906)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】