説明

整流子の製造方法、整流子及び電機子

【課題】材料の無駄を低減でき歩留まりを向上できる整流子の製造方法、整流子及び電機子を提供する。
【解決手段】整流子5の各整流子片11のそれぞれに、独立した別部材で構成された結線爪6を固着したことで、整流子片11とその整流子片11より幅狭の結線爪6とがそれぞれ必要分のみの材料で構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流モータに備えられる整流子の製造方法、整流子及び電機子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、モータに設けられるとともにブラシから供給される電流を巻線に流す整流子は、特許文献1に示すように絶縁樹脂からなる略円筒形状の絶縁体と、その絶縁体の外周に周方向に複数配設される整流子片と、巻線を結線するための結線爪とで構成されており、整流子片と結線爪とが一体に形成されている。
【特許文献1】特開2006−325318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、結線爪は整流子片よりも幅狭であるため、上記のように整流子片と結線爪とを一体に形成する場合、整流子片の幅と、その整流子片の軸方向長さ及び結線爪の長さを足し合わせた長さとを有する板状部材の長方形領域から、結線爪の両側の不要部分をプレス加工にて取り除いて、整流子片の幅よりも狭い結線爪が形成される。そのため、結線爪の両側の不要部分が廃材となっていた。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、材料の無駄を低減でき歩留まりを向上できる整流子の製造方法、整流子及び電機子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、絶縁樹脂により形成された円筒状をなす保持部材の外周に、その保持部材の軸方向に沿って延びる整流子片が周方向に複数並設され、前記整流子片の軸方向端部における周方向の一部から突出する結線爪を有する構成の整流子の製造方法であって、前記各整流子片それぞれに、独立した別部材よりなる前記結線爪が固着されることをその要旨とする。
【0006】
この発明では、各整流子片それぞれに、独立した別部材で構成された結線爪が固着されることで、整流子片とその整流子片より幅狭の結線爪とをそれぞれ必要分のみの材料で構成できるため、材料の無駄を低減することができ歩留まりを向上できる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の整流子の製造方法において、円筒状の金属部材又は板状から円筒状とされた金属部材に前記絶縁樹脂を一体成形して前記保持部材が形成され、その後、前記金属部材を周方向に切り分けて前記各整流子片がそれぞれ形成されることをその要旨とする。
【0008】
この発明では、円筒状の金属部材又は板状から円筒状とされた金属部材に絶縁樹脂を一体成形して保持部材が形成され、その後、金属部材を周方向に切り分けて各整流子片がそれぞれ形成される。これにより、ばらばらの整流子片を扱わずに整流子を形成できるので、作業効率を向上できる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の整流子の製造方法において、前記各整流子片に対する結線爪の固着には、溶接が用いられるものであり、その溶接による固着の後に、前記金属部材に対して前記絶縁樹脂が一体成形されることをその要旨とする。
【0010】
この発明では、各整流子片に対する結線爪の固着には溶接が用いられ、その溶接による固着の後に、金属部材に対して絶縁樹脂が一体成形されることで、溶接により結線爪を固着する際に、発生する熱で絶縁樹脂が変形することを未然に防止できる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の整流子の製造方法において、金属材料から1個の整流子に相当する前記金属部材毎に切断され、その金属部材の切断面に前記結線爪が固着されることをその要旨とする。
【0012】
この発明では、金属材料から1個の整流子に相当する金属部材毎に切断され、その金属部材の切断面に結線爪が固着される。これにより、金属部材毎に切断する際に該金属部材を保持する場合、その保持を継続したまま結線爪を金属部材の切断面に固着でき、作業効率を向上できる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載の整流子の製造方法において、連続する線状部材を前記整流子片に固着した後にその線状部材を切断することで前記結線爪が形成されることをその要旨とする。
【0014】
この発明では、連続する線状部材が整流子片に固着された後にその線状部材が切断されることで結線爪が形成されるため、ばらばらの結線爪を扱わずに該結線爪の固着ができるので、作業効率を向上できる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の整流子の製造方法において、前記各整流子片に対する結線爪の固着が、前記金属部材と前記線状部材とを相対移動させて繰り返されることをその要旨とする。
【0016】
この発明では、金属部材と線状部材とが相対移動されて各整流子片に対する結線爪の固着が繰り返されることで、整流子片と結線爪とを固着させる例えば溶接装置等を数多く設ける必要がなく、整流子の製造装置の簡素化に寄与できる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の整流子の製造方法において、前記各整流子片に対する結線爪の固着には、アーク溶接が用いられるものであり、前記結線爪及び前記整流子片の少なくとも一方の固着部位の一部又は全部が先細形状に形成されることをその要旨とする。
【0018】
この発明では、整流子片に対する結線爪の固着にはアーク溶接が用いられ、結線爪及び整流子片の少なくとも一方の固着部位の一部又は全部が先細形状に形成される。これにより、固着部位の一部又は全部が先細形状となることから、所望位置にてアークを発生することが可能となる。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の整流子の製造方法において、連続する線状部材を前記整流子片に固着した後にその線状部材を切断することで前記結線爪が形成されるものであり、前記線状部材の切断時に、同時に前記結線爪の固着部位が先細形状に形成されることその要旨とする。
【0020】
この発明では、連続する線状部材が整流子片に固着された後にその線状部材が切断されることで結線爪が形成され、線状部材の切断時に、同時に結線爪の固着部位が先細形状に形成される。これにより、作業工数が増加せず、作業効率の向上に寄与できる。
【0021】
請求項9に記載の発明は、絶縁樹脂により形成された円筒状をなす保持部材の外周に、その保持部材の軸方向に沿って延びる整流子片が周方向に複数並設され、前記整流子片の軸方向端部における周方向の一部から突出する結線爪を有する構成の整流子であって、前記各整流子片それぞれに、独立した別部材よりなる前記結線爪が固着されてなることをその要旨とする。
【0022】
この発明では、各整流子片それぞれに、独立した別部材で構成された結線爪が固着されることで、整流子片とその整流子片より幅狭の結線爪とをそれぞれ必要分のみの材料で構成できる。つまり、材料の無駄を低減でき歩留まりの向上が可能な整流子を提供できる。
【0023】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の整流子の結線爪に巻線が結線されて構成されたことを特徴とする電機子。
この発明によれば、材料の無駄を低減でき歩留まりの向上が可能な整流子を用いた電機子を提供できる。
【発明の効果】
【0024】
従って、上記記載の発明によれば、材料の無駄を低減でき歩留まりを向上できる整流子の製造方法、整流子及び電機子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、マグネットを有する固定子(図示略)に対して回転可能に支持される電機子1は、回転軸2に固定された電機子コア3に巻線4が巻回されてなる。回転軸2には整流子5が固定されており、整流子5の電機子コア3側の端部に設けられた結線爪6に巻線4の端部が結線されている。
【0026】
図2(a)(b)に示すように、整流子5は、略円筒状をなす絶縁樹脂製の保持部材10と、複数(本実施形態では8個)の整流子片11とを備えてなる。保持部材10は、その内周面に軸方向に貫通し回転軸2が圧入される貫通孔12が形成されている。
【0027】
また、各整流子片11は、整流子5の軸方向に沿って延びる略長方形の板状をなしている。各整流子片11は、その長手方向が軸方向に沿うように、保持部材10の外周面に固定されている。整流子片11の内周面の周方向中央には、保持部材10と整流子片11との係合度を高めるためのダブテール部13が軸方向に延びるように一体形成され保持部材10内に埋設されている。各整流子片11は、保持部材10の外周面において、隣接する各整流子片11間に間隙11aを有して、周方向に等角度間隔に配置されている。
【0028】
図2(b)に示すように、各整流子片11の下端部(電機子コア3側の端部であり、図において左側)11bには、巻線4(図1参照)の端部が結線される結線爪6がそれぞれ備えられている。各結線爪6は、各整流子片11の幅よりもその幅が狭く形成された断面矩形の棒状(断面円形や台形等でも可)をなしており、各整流子片11の下端部11bから径方向外側に突出している。このような各結線爪6は、整流子片11とは別部材で構成され、溶接により各整流子片11に対して固着されている。
【0029】
次に、上記構成の整流子5の製造手順について図1〜図3を用いて説明する。
まず、略円筒状の金属部材20が準備される。この金属部材20の軸方向一方の開口端部20aには、周方向の等角度間隔に、即ち各整流子片11となる部分の周方向中央部分に8個の結線爪6がそれぞれ抵抗溶接により固着される。
【0030】
この場合、図3(a)に示すように、金属部材20の軸方向一方の開口端部20aは、溶接前において、先端部に向かうほど先細となる断面台形状の接続部20bを有している。そして、金属部材20のその接続部20bに対し、後に結線爪6となる連続する線状部材21の先端部が軸直交方向に当接され、金属部材20の開口端部20a側の外側面20cには+電極22が当接、線状部材21の側面21aには−電極23が開口端部20a(接続部20b)に向かって加圧するように当接され、両電極22,23間に所定時間の溶接電流が流される。これにより、金属部材20と線状部材21との当接部間や断面台形状をなす接続部20bが抵抗大となることから主として溶融し、その後の溶接電流の供給停止により金属部材20と線状部材21とが固着される。このように固着が行われると、図3(b)に示すように金属部材20と線状部材21とが接続された状態となり、該線状部材21が所定長さで切断されて結線爪6が形成される。そして、他の結線爪6もこれらを繰り返して金属部材20に対して固着される。
【0031】
次いで、筒状の金属部材20の内側に絶縁樹脂よりなる保持部材10が一体成形される。このとき、金属部材20の内周面に設けられるダブテール部13が保持部材10内に内接されるとともに、該保持部材10の中心に貫通孔12が形成される。保持部材10を成形した後、該保持部材10にて保持される略円筒状の金属部材20が周方向に切り分けられるアンダーカット処理が行われることで、図2(a)に示すように、複数の整流子片11が互いに間隙11aを有して周方向に並んで形成される。
【0032】
尚、上記した金属部材20(整流子片11)と線状部材21(結線爪6)とを抵抗溶接による固着以外に、例えば図4(a)(b)に示すように、線状部材21の側面21aから金属部材20の開口端部20aに向かってレーザ光を照射するレーザ溶接にて互いを固着してもよい。また、例えば図5(a)(b)に示すように、金属部材20と線状部材21に同様に電極22,23を当接させ、金属部材20と線状部材21とを微小近接状態からアーク放電を発生させるアーク溶接にて互いを固着してもよい。この場合、金属部材20の開口端部20aに、アーク発生位置を所望位置とする断面三角形状の接続突起20dを設けるとよい。この他、図6(a)(b)に示すようにタングステン電極を用いる所謂TIG溶接や、プラズマ溶接等を用いてもよい。
【0033】
次に、上述の記載と重複する部分もあるが、整流子5を含めた電機子1の製造手順について図7に示すフローに従って説明する。尚、この図7では、線状部材21(結線爪6)が金属部材20の開口端部20aに対して軸方向に固着される態様にて説明している。
【0034】
まず、連続する金属材料から1個の整流子5に相当する円筒状の金属部材20が切断されて準備される(ステップS10:整流子片金属材準備工程)。次いで、この金属部材20の軸方向一方の前記切断により形成された開口端部20aには、周方向の等角度間隔(各整流子片11となる部分の周方向中央部分)に結線爪6が溶接にて固着される。この場合、連続する線状部材21から所定長さで切断されることで結線爪6が形成されるとともに、次の結線爪6の固着位置まで金属部材20を軸中心に所定角度回転させて全部の結線爪6の固着が繰り返される(ステップS20:結線爪接続工程)。尚、線状部材21側を金属部材20の軸中心で回転させて固着させてもよく、また金属部材20及び線状部材21の両者を回転させて固着させてもよい。
【0035】
次いで、円筒状の金属部材20の内側に絶縁樹脂よりなる保持部材10が一体成形される(ステップS30:絶縁樹脂成形工程)。この成形時に、保持部材10の中心に貫通孔12が同時に形成される。その後、円筒状の金属部材20が周方向に切り分けられるアンダーカット加工が行われ、各整流子片11が形成される(ステップS40:アンダーカット工程)。そして、結線爪6の先端側は、径方向外側から若干上方に向けて折り返され、巻線4の掛け止めが行い易いようにして整流子5が完成する。
【0036】
そして、整流子5は、結線爪6が設けられている側の端部が回転軸2に対して固定された電機子コア3と軸方向に対向するように、保持部材10の貫通孔12にその回転軸2が圧入されて回転軸2に対して固定される。そして、電機子コア3に巻回された巻線4が各整流子片11に形成された結線爪6に掛け止められて電気的接続処理がなされて結線される(ステップS50:巻線処理工程)。このようにして、直流モータの電機子1が完成されている。
【0037】
以上記述した本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)各整流子片11それぞれに、独立した別部材で構成された結線爪6が固着されることで、整流子片11とその整流子片11より幅狭の結線爪6とをそれぞれ必要分のみの材料で構成できるため、材料の無駄を低減することができ歩留まりを向上できる。
【0038】
(2)円筒状の金属部材20に絶縁樹脂を一体成形して保持部材10が形成され、その後、金属部材20を周方向に切り分けて各整流子片11がそれぞれ形成される。これにより、ばらばらの整流子片11を扱わずに整流子5を形成できるので、作業効率を向上できる。
【0039】
(3)各整流子片11に対する結線爪6の固着には抵抗溶接が用いられ、その溶接による固着の後に、金属部材20に対して保持部材10を一体成形したことで、溶接により結線爪6を固着する際に、発生する熱で絶縁樹脂よりなる保持部材10が変形することを未然に防止できる。
【0040】
(4)金属材料から1個の整流子5に相当する金属部材20毎に切断され、その金属部材20の切断面としての開口端部20aに結線爪6が固着される。これにより、金属部材20毎に切断する際に該金属部材20を保持する場合、その保持を継続したまま結線爪6を金属部材20の開口端部20aに固着でき、作業効率を向上できる。
【0041】
(5)連続する線状部材21が整流子片11に固着された後にその線状部材21が切断されることで結線爪6が形成されるため、ばらばらの結線爪6を扱わずに該結線爪6の固着ができるので、作業効率を向上できる。
【0042】
(6)金属部材20を軸中心に所定角度回転させることにより金属部材20と線状部材21とが相対移動され、各整流子片11に対する結線爪6の固着が繰り返されることで、整流子片11と結線爪6とを固着させる例えば溶接装置等を数多く設ける必要がなく、整流子5の製造装置の簡素化に寄与できる。
【0043】
(7)図5(a)(b)に示すような整流子片11に対する結線爪6の固着にアーク溶接が用いられた場合に、整流子片11(金属部材20)の固着部位である下端部11b(開口端部20a)を先細形状となるように断面三角形状の接続突起20dを形成したことで、接続突起20dにむけてアークを発生させることができる。即ち、所望位置にてアークを発生することが可能となる。
【0044】
(8)整流子片11と結線爪6とが別部材にて構成されるため、従来の様な互いが同じ硬さ、同じ組成、同じ金属で構成するのではなく、異なる硬さ、異なる組成、異なる金属で構成することが可能となる。
【0045】
尚、本発明の実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、予め円筒状の金属部材20から整流子5を製造しているが、例えば、図8に示すように、矩形板状の金属部材30から形成してもよい。
【0046】
即ち、連続する金属材料から1個の整流子5に相当する矩形板状の金属部材30が切断されて準備される(ステップS11:板状金属部材準備工程)。この金属部材30の短手方向一方の端部30aには、等間隔に(各整流子片11となる部分の周方向中央部分)に結線爪6が溶接により固着される。この場合、連続する線状部材21から所定長さで切断されることで結線爪6が形成されるとともに、次の結線爪6の固着位置まで金属部材30を長手方向に移動させて全部の結線爪6の固着が繰り返される(ステップS21:結線爪接続工程)。次いで、板状の金属部材30を円筒状に曲げ、円筒状の金属部材20とされる(ステップS25:金属部材丸め加工工程)。その後は上記図7と同様のステップS30〜S50を経て電機子1を製造することもできる。
【0047】
・上記実施の形態では、図2のように金属部材20(整流子片11)の開口端部20aに線状部材21(結線爪6)を軸直交方向に固着し、また図7のように金属部材20(整流子片11)の開口端部20aに線状部材21(結線爪6)を軸方向に固着したが、その他で例えば、図9(a)に示すように、金属部材20(整流子片11)の外側面20cに対して線状部材21(結線爪6)を軸直交方向固着してもよい。尚、図9(b)のように、巻線4の結線が行い易いように予めL字状とした結線爪6aを用いてもよい。
【0048】
・上記実施の形態では、図3や図5のように、溶接を行い易くする先細形状の接続部20bや接続突起20dを金属部材20(整流子片11)側に設けたが、線状部材21(結線爪6)側に設けてもよい。またこの場合、線状部材21(結線爪6)を軸方向に固着する場合等、線状部材21の切断時にその先細形状を形成すれば、作業工数が増加せず、作業効率の向上に寄与できる。
【0049】
・上記実施の形態では、巻線4が接する結線爪6や整流子片11(金属部材20)に対するメッキ処理については述べていないが、接する表面にメッキ処理を行ってもよい。例えば、図10(a)(b)に示すように、結線爪6(線状部材21)の巻線4との接触面にSnメッキ処理を行ってメッキ層Wを予め形成するとともに、整流子片11の同じく巻線4との接触面の一部にSnメッキ処理を行ってメッキ層Wを予め形成しておき、メッキ層Wを有する結線爪6と整流子片11とが固着される。この場合、結線爪6と整流子片11とが別部材にて構成されているため、Snメッキ処理を容易に行うことが可能となる。また、結線爪6と整流子片11とを個別にメッキ処理を行うことができるため、必要最小限のメッキ処理で済む。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本実施の形態における電機子の概略構成を示す図である。
【図2】(a)は同上の整流子の底面図、(b)はA−A断面図である。
【図3】(a)(b)は、同上の整流子の部分断面図である。
【図4】(a)(b)は、整流子の変形例を説明するための部分断面図である。
【図5】(a)(b)は、整流子の変形例を説明するための部分断面図である。
【図6】(a)(b)は、整流子の変形例を説明するための部分断面図である。
【図7】電機子の製造工程を示した説明図である。
【図8】電機子の製造工程の変形例を示した説明図である。
【図9】(a)(b)は、別例における整流子の部分断面図である。
【図10】(a)(b)は、別例における結線爪及び整流子片のメッキ処理を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0051】
1…電機子、4…巻線、5…整流子、6,6a…結線爪、10…保持部材、11…整流子片、20,30…金属部材、20a…開口端部(切断面)、21…線状部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁樹脂により形成された円筒状をなす保持部材の外周に、その保持部材の軸方向に沿って延びる整流子片が周方向に複数並設され、前記整流子片の軸方向端部における周方向の一部から突出する結線爪を有する構成の整流子の製造方法であって、
前記各整流子片それぞれに、独立した別部材よりなる前記結線爪が固着されることを特徴とする整流子の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の整流子の製造方法において、
円筒状の金属部材又は板状から円筒状とされた金属部材に前記絶縁樹脂を一体成形して前記保持部材が形成され、その後、前記金属部材を周方向に切り分けて前記各整流子片がそれぞれ形成されることを特徴とする整流子の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の整流子の製造方法において、
前記各整流子片に対する結線爪の固着には、溶接が用いられるものであり、
その溶接による固着の後に、前記金属部材に対して前記絶縁樹脂が一体成形されることを特徴とする整流子の製造方法。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の整流子の製造方法において、
金属材料から1個の整流子に相当する前記金属部材毎に切断され、その金属部材の切断面に前記結線爪が固着されることを特徴とする整流子の製造方法。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載の整流子の製造方法において、
連続する線状部材を前記整流子片に固着した後にその線状部材を切断することで前記結線爪が形成されることを特徴とする整流子の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の整流子の製造方法において、
前記各整流子片に対する結線爪の固着が、前記金属部材と前記線状部材とを相対移動させて繰り返されることを特徴とする整流子の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の整流子の製造方法において、
前記各整流子片に対する結線爪の固着には、アーク溶接が用いられるものであり、
前記結線爪及び前記整流子片の少なくとも一方の固着部位の一部又は全部が先細形状に形成されることを特徴とする整流子の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の整流子の製造方法において、
連続する線状部材を前記整流子片に固着した後にその線状部材を切断することで前記結線爪が形成されるものであり、
前記線状部材の切断時に、同時に前記結線爪の固着部位が先細形状に形成されることを特徴とする整流子の製造方法。
【請求項9】
絶縁樹脂により形成された円筒状をなす保持部材の外周に、その保持部材の軸方向に沿って延びる整流子片が周方向に複数並設され、前記整流子片の軸方向端部における周方向の一部から突出する結線爪を有する構成の整流子であって、
前記各整流子片それぞれに、独立した別部材よりなる前記結線爪が固着されてなることを特徴とする整流子。
【請求項10】
請求項9に記載の整流子の結線爪に巻線が結線されて構成されたことを特徴とする電機子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−131046(P2009−131046A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−303197(P2007−303197)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】