説明

文書に詳細を印刷する方法および装置

本発明は、文書(21)、特にパスポートに詳細を印刷する方法に関し、以下のステップからなる:a)文書(21)の2つの交差する縁(28、29)を第1カメラ(50)で検出するステップ、b)検出された縁(28、29)の位置を用いて、第1詳細(60)がインプリンされる文書(21)の01欄(20)の位置を計算するステップ、c)印刷される01欄(20)にプリントヘッド(45)を位置付けて第1詳細を印刷するステップ、d)文書(21)の図形要素を第2のカメラ(49)で検出するステップ、e)検出された図形要素の位置を用いて印刷される02欄の位置を計算するステップ、f)印刷される02欄にプリントヘッド(45)を位置付けて第2詳細を印刷するステップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書に詳細を印刷する、特にパスポートに所持人に特有な詳細を印刷する方法および手段に関する。
【背景技術】
【0002】
パスポートは一般的に、製本状の手帳ないし小冊子の形をしており、1ページまたは見開き2ページには事前に印刷された凡例が載っており、この凡例には、凡例に示されたページの種々の箇所にパスポート所持人に関するどんな種類の詳細事項を記入すべきかが示されている。
【0003】
個々の詳細が、用紙の中の正にその目的を意図して作られた欄に正確に位置付けて印刷される必要のある使用例が多く存在し、例えば、自動的に作成される事前印刷された送金用紙が簿記係によって請求書に付加される場合がそれに相当する。そのような場合、例えば請求書番号、顧客番号および/または請求額をそれぞれ、用紙の事前に印刷された文字または他の図形要素にオーバーラップせずに、用紙の意図した箇所に正確に位置付けなければならない。送金案内状のような実質的にシート状の用紙の場合には、これは比較的簡単である。用紙が作られるとき、事前に印刷される項目のパターンが、シートの縁に対してある許容度をもって配置されるからである。したがって、ほとんどの使用例の場合、事前に印刷された用紙の記入に使用されるプリンタが、適切な精度で用紙の縁の位置を検知することができるか、所定位置に用紙の縁を正確に置くことができれば十分であり、その結果、縁の位置がわかれば、記入欄の位置を計算することができ、意図した詳細をその欄に印刷することができる。
【0004】
原則として、そのような技術は、文書の記入欄と事前印刷用紙によって規定された欄が、十分な精度で用紙の縁に対する同じ位置に常に位置することが保証される限り、パスポートなどの公文書に詳細を印刷するためにも使用することができる。しかし、この要件は必ずしも満たすことができるとは限らない。1つの理由は現代のパスポートにおいて増大する情報密度である。
【0005】
例えば、個人用公文書の偽造に対するセキュリティを向上させるために、肉眼によって検知できる詳細を符号化されたものと比較することにより偽造を検知できるように、そのような文書に文書所持人に関する種々の詳細を、肉眼によって検知できる形だけでなく符号化(暗号化)された形でも記録することが考えられている。外国旅行で、人をチェックするプロセスの単純化のために、そしてそれをスピードアップするために、文書所持人に関する情報の少なくとも一部を機械読み取りのために最適化された形にする必要がある。詳細情報の機械による判読可能性は肉眼で読み取り可能なことを必ずしも排除しないが、視覚的な検出に適している例は少なく、したがって文書の迅速な処理のためには、同じ詳細を係官が読みとれるように最適化された形にすることも不可欠である。さらに、そのような情報は以前には普通ではなかったが、パスポートに所持人に関する付加的なバイオメトリック情報を含める努力もなされている。また、情報を印刷するために与えられる欄を、対応すべき大きな情報量のために絶対に必要以上に大きくしないという要件がある。言いかえれば、その欄に情報を印刷することに対する位置の許容範囲は狭い。
【0006】
別の要因は、個々のシートから構成された用紙と異なり、パスポートは、そのシートが事前に印刷される事項を印刷される時と、所持人特有情報が事前印刷欄に記入される時の間で、多くの処理段階を経なければならないことにあり、それらは、パスポートの縁に対して事前印刷欄を正確に位置決めすることを困難にする。事前印刷テキストを印刷した後に、ブランクのパスポートを作成するために、パスポートのシートを手帳の形にまとめ、丈夫なカバーを備え、縁を揃えなければならない。したがって、パスポートの縁に対する事前印刷された欄の位置は、数ミリメートル変動しがちである。パスポート所持人に関する個人情報をパスポートに記入するとき、この変動を補償しなければ、個人情報が事前に印刷された凡例の上に印刷される可能性が生じる。その場合、個人情報の読み取りは困難になり、パスポートを使用不可能にする。
【0007】
凡例の単語のように事前印刷された事項の図形要素を検出し、この図形要素に対して印刷される詳細の位置を決定することによって、パスポートに印刷される詳細の位置を固定することは原理的に考えられる。しかし、ページの縁付近に印刷された情報がトリミングで切り取られるかもしれないから、これも完全に満足できない。機械判読可能な詳細が印刷された文書の一部をスキャナのスロットを通す情報の機械式読み取りは、文書の縁に対する機械判読可能な詳細の位置が変動しすぎる場合、かなり困難または不可能になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、機械判読可能なだけでなく肉眼によって読み取り可能な詳細を、文書、特にパスポートなどの手帳の形の文書に高密度に印刷することを可能にする方法および装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1の特徴を持つ方法と、その方法を実行する請求項12に記載の装置によって達成される。少なくとも1つの第1詳細が、文書の2つの縁に対して位置が決定される01欄に印刷されるので、詳細の損壊が防止され、更に、機械読み取りシステムが文書の容易に識別される縁の位置から、この詳細の位置を迅速・簡単に確認することができるので、第1詳細の良好な機械判読可能性が保証される。逆に、少なくとも1つの第2詳細は、その位置が文書中に検出される図形要素に対して決定される02欄に印刷されるので、検出された図形要素または他の図形要素とこの種の第2詳細との望ましくない重ね刷りが防止される。したがって、第2詳細を印刷すべき文書の欄を小さくすることができるので、小さなエリアに大きな情報量を印刷することができる。
【0010】
一般に、パスポートなどの公文書には番号が連続的に付されるか、あるいは、他の方法でその種の個々の文書の特定の情報が備えられており、これによって、文書の所持人に特有な詳細が文書に記入される前であってさえ、文書を識別することが可能になる。文書を個別化し一意的に識別するこの情報を、可能な限り不正防止手段となすために、個別化情報を特に穿孔パターンで形成することができる。そのようなパターンは担当官が判読困難なので、もしも完成文書が印刷された形態の個別化情報を備えていれば、文書の処理に好都合である。ブランクの文書を生産する時にこの印刷を生成するためには、1つの余分な作業を必要とし、ブランク文書のコストが増大する。発明による方法の改良点は、文書から個別化情報を読み取り、その後で文書に戻って情報を印刷することにより、この余分な作業を省くことを可能にする。文書の縁および/または図形要素の検出のためにいずれにしろ必要なカメラを個別化情報の読み取りに使用できるので、また、個別化情報の印刷はユーザ固有の詳細の印刷と併せて実施できるので、文書を個別化する情報の印刷は著しいコスト上昇を引き起こさない。
【0011】
既に述べたように、第1詳細は機械判読可能な形式で印刷すれば好都合である。機械判読をより容易に、より具体的にはスキャナが詳細を検出し易いように、第1詳細を充填キャラクタと横並びに印刷すれば好都合である。
【0012】
好ましくは、印刷される文書の供給は2つの縁の検出とともに行われ、供給方向に実質的に直交する文書の第1縁が、例えばコンベヤに対して固定された簡単なセンサの助けによって供給中に検出され、その後、第1縁が検出された後で、単に文書を所定距離だけ前進させるだけで、文書とプリントヘッドとを供給方向に関して相互に正確に位置付けできる。
【0013】
第2縁を検出し、それに対してプリントヘッドを位置決めするために、ステップa)では、文書の二次元画像が生成され、この画像中に前記第2縁が検出されるのが好ましい。
【0014】
もしも望まれるならば、第1縁を前記画像中に検出し、文書とプリントヘッドを第1縁と直交する方向で位置付けすることにも前記画像を用いることができる。
【0015】
本発明の方法を実行するための装置は文書の画像を生成するための少なくとも1台のカメラを含むが、文書の種々の部分を検出するように配向された少なくとも2台のカメラを含むことが望ましい。例えば、1台のカメラは検出すべき2つの縁の有るべき位置に向け、他のカメラは検出すべき図形特徴の有るべき位置に向けることができる。このようにして、画像の検出は文書表面の小さい部分に限定しておくことが可能なので、処理すべき画像データの量が小さく維持される。さらに、カメラが向けられる選択された領域が小さいほど、プリントヘッドを文書に対して位置決めするのに必要なカメラの解像度は低くなる。したがって、ピクセル数の小さい2台の安価のカメラを、ピクセル数が数倍の単一のかなり高価なカメラの代わりに用いることが、位置決め精度を失うことなく可能となる。2台のカメラの視野は小さくできるので、これらのカメラは複雑な撮像光学系を必要とせず、印刷される文書に対して近接配置でき、したがって装置をコンパクトにできる。
【0016】
もしも、読み取るべき情報が印刷される文書を個別化するものであり、これが紫外光の下で可視のインクで印刷されるならば、個別化情報を可視とするために、少なくとも1台のカメラの視野を紫外光で照明するUV源が装置に含まれていると好都合である。
【0017】
さらに装置には、文書に印刷される情報の少なくとも一部または同じ意味を持つ情報を、印刷される文書のデータ媒体に無線で送ることを可能にする無線インターフェースを装備することができる。
【0018】
装置のプリントヘッドは圧電操作式のインクジェット・プリントヘッドであることが望ましい。このプリントヘッドは、例えば熱電操作式のプリントヘッドとして、より低い温度で作動し、したがって紫外線に強い顔料インキを使用することを可能にする。
【0019】
発明のさらなる特徴と利点は、添付図を参照する以下の実施形態の説明から明らかになろう。次のものが示される:
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
パスポート(図2を参照)は、慣例通りに手帳または小冊子21の形で、カバー22で装丁された複数のページ23、24を備える。これらのページの1つまたは2つ23は発行機関によって記入された所持人に関する詳細を含み、他のページ24は一般にビザ用として利用可能になっている。国際民間航空機関(ICAO)による提案に従って、図1に示されたパスポートのための一様な国際的フォーマットは、外国旅行における種々の国籍の旅行者に関する個人情報のチェックの自動化を簡単にする意図で将来導入されることになっている。従って、パスポート所持人に関する詳細は単一ページ23に要約され、パスポート番号とともに、01欄〜19欄に記入される。パスポート21を結合する継ぎ目25は、図1に示されるページの上端を形成し、機械判読可能ゾーン20は継ぎ目25から遠いページ23の外端部に位置する。ページ23の端部に機械判読可能ゾーン20が配置されるために、それを自動的に読むことができるように自動スキャナのストッパにページ23の縁を当てることが可能である。
【0021】
実際には、図1に示すものと異なり、01欄〜19欄は印刷された線によって互いに区別されない。その代わりに、各欄はもっぱらその左下隅の事前に印刷された凡例によって指示され、凡例のテキストは、その欄に記入される詳細の種類を指定し、凡例はこれらの詳細に重ね刷りされてはならない。
【0022】
図3は、パスポートに個人情報を印刷するプリンタを概要図で示す。プリンタはハウジング32を有し、その蓋31が開いた状態で示されている。ハウジング32の左側から突出している供給台33に、印刷されるパスポート21を置くことができる。供給台33は、ハウジング32を横に貫通して、右側の送出し開口57へ延びる親板34の一部である。図5の側面図で良く判るように、親板34は、2つのコンベアベルト35が延びる第1プレート部36と、第1プレート部36と平行で、それよりわずかに高いレベルで延びる第2プレート部37と、垂直の支柱(ストラット)38とを含む。印刷されるパスポート21の前部26は、カバー22の表半分と印刷されるページ23(それはカバー26の内表紙または文書の第2ページ、つまりパスポートの第1シートの裏でもよい)とを含み、第2プレート部37に載置され、カバー22の表半分の側縁は支柱38と接触する。パスポートを結合している継ぎ目25は、第2プレート部37との境界付近の第1プレート部36上に位置する。パスポート21の他のすべてのシートとカバー26の裏半分を含む後部27は第1プレート部36のコンベアベルト35に載置される。プレート部36および37の高さの差は、異なるプレート部上に位置するパスポート21の部分26および27の厚さの差と等しい。したがって、パスポート21のさらなる処理において、2つの開かれたページを印刷用の同じ高さにすることが可能である。
【0023】
ガイドリブ40が入口開口39の上方でハウジング32から突出している。入口開口39でのパスポートの損傷を防ぐために、完全に平坦でない開かれたパスポート21のページは、パスポート21がコンベアベルト35の助けによってハウジング32内に引き込まれる間に、これらのリブ40によって徐々に平らになるよう押しつけられる。ガイドリブ40は入口開口39の幅全体にわたって配分されてもよい。しかし、ここに示す実施例では、他方より高く位置するプレート部37の上方に2本のガイドリブ40だけがある。プレート部36の上方では、無線アンテナ41がハウジング32に回動可能に取り付けられ、パスポート21のカバーの裏半分にアンテナとともに組込まれた半導体メモリへ、パスポート所持人に関するデータの送信を行なう。
【0024】
ハウジング32の内部では、複数の圧接ローラ42が2つのコンベアベルト35それぞれの上に設けられている。これらのローラ42は上下動可能で、プレート部36に載置されたパスポート21の後部27をコンベアベルト35に対して押圧するために図外のばねによって下方へ押圧され、したがって、パスポート21の正確に直線的な供給を保証する。図示の実施例で、圧接ローラ42はそれぞれ、供給方向を横切って延びる横ロッド44にアーム43を介して枢支連結しているが、他の取付け方法も可能である。
【0025】
インクジェット・プリントヘッド45が、レール46上でそれ自体公知の方法で供給方向を横切って変位可能であり、4個のインクカートリッジを保持し、1個の黒カートリッジ47と3個のカラーカートリッジ48が、パスポート所持人のカラー写真をパスポートに印刷することを可能にする。
【0026】
2台のカメラ49、50がハウジング32内でプレート部37の上方に取り付けられ、供給方向でプリントヘッド45の移動範囲より上流で、プレート部37上に破線で示された視野51を観察する。
【0027】
供給方向での2台のカメラの間に、光学センサ52がプレート部37に設けられている。センサ52は好ましくは光電バリヤとして実施され、プレート部37の上方に位置したその光源は図面から省略されているが、プレート部37の開口に設けられたフォトセルは見えている。
【0028】
プリンタが起動され、コンベアベルト35がパスポート21を供給し始めると、パスポート21がフォトセルに入射する光を遮断する光電バリヤ52によってパスポートの前端28が検出される。前端28の正確な検出を可能にするために、一旦この端28がセンサ52を最初に通過すると、コンベアベルト35の供給方向を少なくとも一度逆にし、供給速度を遅くするように構成でき、これによって、前端を十分な精度でセンサ52に位置させるまで、前端28を減速状態で光電バリヤに対して2回または3回通過させることが可能になる。
【0029】
一旦これが達成されると、コンベアベルト35は所定距離だけ当初の供給方向に再び動かされ、その結果、パスポート21の前端28は右側のカメラ50の視野51内に入る。カメラ50によって与えられる画像は、この画像中での位置に基づいて前端28の位置をチェックするために使用できる。しかし、カメラ50は主として、印刷されるページの側縁29を検出する役目をする。印刷されるページがパスポート21の内表紙である場合、検出される側縁29は通常支柱38に直接位置する。しかし、印刷されるページ23がパスポートの内部シートの片側である場合、その側縁29は、図2に見られるように、カバー22の縁から明らかに変位しているかも知れない。印刷されるシートの側縁29を検出するために、カメラ50に接続されたプロセッサ(図示せず)は、支柱38とプレート部37との間に必ず含まれる縁に加えて、その縁(側縁29)と平行な別のラインが視野51内に特定できるか否かをチェックする。確認できなければ、印刷されるページが支柱38に正確に位置すると仮定され、そうでなければ、検出された別のラインが印刷されるページの縁29であると仮定される。
【0030】
プロセッサはプリンタ自身の構成要素でもよく、あるいはパスポートに印刷されるデータをプリンタに供給するホストコンピュータに属したものとすることができる。
【0031】
カメラ50によって与えられる画像から、プロセッサは、印刷されるページのプリンタ内における位置を正確に推定することができるが、そのページに有る凡例の位置については、パスポート21が作成される精度によって数ミリメートル変動し得るので、正確に推定することはできない。その凡例を検出するためにカメラ49が設けられている。図6に示される状態では、少なくとも、その時点でパスポートのシリアルナンバーが既に記入されたパスポート21の05欄はカメラ49の視野51内に位置する。プロセッサはカメラ49によって与えられる画像中の凡例を特定し、この凡例位置の位置から、そしてページ23の既知のレイアウトから、01欄〜19欄のすべての印刷可能領域の正確な位置を確認する。さらに、パスポートのシリアルナンバーを構成する数字を確認する。
【0032】
そして、図7に示すように、パスポート21は前方へ送られ、プリントヘッド45の移動範囲内に入る。その過程でパスポート21は光電バリヤ52から遠ざかる。単数枚葉印刷用として設計されたほとんどのインクジェットプリンタは、プリンタ・コントローラに接続されたセンサ52のようなセンサを有し、このセンサは、ページの印刷が始まる前に、コントローラがそのページの前端をプリントヘッドに対して正確に位置決めすること、及び、印刷を中止してページを排出し、新しいページを供給するためにページ後端を検出することを可能にする。もしも、この種の従来のコントローラが本発明によるプリンタのプロセッサとして使用される場合は、パスポート21の後縁がセンサ52を通過することによって、パスポートが排出され、新しいパスポート送込みが試みられる。一方では、従来のDIN A4シートに比べてパスポートのサイズが小さいので、他方では、センサ52とプリントヘッド45の間の距離が、カメラ49、50を置くためのパスポートのページの必要な長さとほとんど同じ程度に大きくなければならないので、パスポートの印刷はページの非常に小さい部分にのみ可能である。この問題を回避しながら、できるだけ安い標準プリンタ部品を使用して発明によるプリンタを実現するために、第2センサ53が、パスポート21の供給経路に沿って、プリントヘッド45に到達する直前に位置する。2つのセンサ52、53は両方とも、論理和ゲートを介してマイクロプロセッサの共通信号入力に接続され、2つのセンサ52、53の少なくとも一方がパスポート21を検出している限り、印刷可能な紙が存在することをプロセッサに伝える。したがって、後縁がセンサ53を通過するまでは、パスポートへ印刷し続けることが、言いかえればページのほとんど全エリアに印刷することが可能である。
【0033】
複数の小さい円筒状のローラ54を回転させるロッド56が、プレート部37の上方で、センサ53とプリントヘッド45の移動範囲との間に、供給方向を横切って位置する。ロッドは、プレート部37の上方に位置するパスポート21の部分26が遊びをもって通過するギャップ55がローラ54とプレート部37の間に存在するように固定されている。パスポートの印刷される表面の高さがローラ54の下側によって定められるように、開かれたパスポート21のページ23がローラ54を下から押圧する。ロッド56の高さは、パスポートの両部分26、27の上端どうしが正確に同じ高さに位置するように決められているので好都合である。したがって、もしも、特定種類のパスポートに対して両ページの印刷が意図される場合、印刷に際して、プリントヘッド45が、パスポートの両半分上を単一の運動で移動するように構成し、且つ、両半分に一行ずつ同じ品質で同時に印刷するように構成することが可能である。
【0034】
カメラ49からの画像に基づいて得られる05欄の凡例位置についての情報にもとづき、プロセッサは、すべての01欄〜19欄の印刷可能な領域の位置を計算し、プリントヘッドがこれらの領域の1つを通過するときに、これらの印刷領域に入力されるべき詳細を印刷させる。これによって、パスポート所持人の名前および出生地あるいは写真など、人に見られることを前提とした詳細を含む01欄〜19欄に関しては、これらの詳細を常に、凡例に対して適切に配向された正確な場所に、但し、必要であればパスポート毎にページの縁からの間隔を異ならせて印刷できるようになる。逆に、機械判読可能ゾーン20への印刷に際しては、機械判読可能な詳細の個々の特徴が、印刷された表面の縁に対する位置という観点で、常に一定で反復可能な関係で表されるように、パスポートの縁として検出された位置が印刷の位置を決めるための基準として使用される。したがって、ページ23上における機械判読可能な文字の正確な位置を決定するためには、機械読取りシステムは先ずパスポートの縁を検出することだけが必要となる。文字認識において故意にそれらの領域だけが検査されるので、パスポートの機械読取りはかなり単純化され、したがって高速化できる。機械読取り可能ゾーンに印刷された詳細59(図2を参照)は、01欄〜19欄に印刷された詳細のうちの少なくとも幾つかを含むことができ、その中にはカメラ49からの画像中で確認された事前に印刷されたパスポート番号60も含まれる。詳細の印刷をする必要がない機械判読可能ゾーン20の領域は、充填用キャラクタ61で埋められる。
【0035】
もしも、例えば、穿孔されたシリアルナンバー58から、或いは、カバー中の半導体メモリに格納され、アンテナ41によって読み取り可能な個別化情報から、シリアルナンバーを識別可能であるなどの理由で、印刷されるパスポートが05欄にシリアルナンバーを持たない場合は、穿孔58が視野51内に位置するようにカメラ49、50の一方を適切に配置する、又は、個別化情報をアンテナ41の助けで読み取り可能で、プリンタ自体によって05欄に記入できるようにすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】ICAOによってパスポート用として推薦されたページレイアウト
【図2】開かれたパスポート
【図3】本発明によるパスポート印刷装置の概略平面図
【図4】図3のIV−IV線に沿う装置の概略断面図
【図5】装置の側面図
【図6】印刷されるパスポートの先端が検出された時の装置をハウジングを略して示した平面図
【図7】パスポートの印刷中における装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の各ステップを備えた、文書に詳細を印刷する方法:
a)文書(21)の互いに交差する2つの縁(28、29)を検出するステップ;
b)検出された縁(28、29)の位置から、第1詳細(60)が印刷される文書(21)の第1欄(20)の位置を計算するステップ;
c)印刷される前記第1欄(20)にプリントヘッド(45)を配置し、前記第1詳細(60)を印刷するステップ;
特徴として以下のステップを有する:
d)前記文書(21)の図形要素を検出するステップ;
e)検出された図形要素の位置から、印刷されるべき第2欄(01、02、...、19)の位置を計算するステップ;
f)印刷されるべき前記02欄(01、02、...、19)に前記プリントヘッド(45)を配置して、前記第2詳細を印刷するステップ。
【請求項2】
以下のさらなるステップを特徴とする請求項1に記載の方法:
g)文書(21)から、文書を個別化する情報片(05、58)を読み取るステップ;及び
h)文書(21)に個別化情報を印刷するステップ。
【請求項3】
ステップg)では、英数字で構成された前記個別化情報(05、58)に対して文字認識動作が行なわれること、及び、ステップh)では、検出された文字が、読み取られた文字と異なる形式を用いて印刷されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップg)で読み取られた前記個別化情報が穿孔パターン(58)であることを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
ステップg)で読み取られた前記個別化情報が、印刷された英数字、特に、UV光の下でのみ可視となるインクで印刷された英数字からなることを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項6】
前記第1詳細(60)が機械判読可能な形式で印刷されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1詳細(60)が充填用キャラクタ(61)と横並びに印刷されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2詳細が肉眼で読取り可能な形式で印刷されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップa)では、文書(21)が供給され、供給方向に実質的に直交する文書(21)の第1縁(28)が供給時に検出されること、及び、ステップc)が、検出後に文書(21)を所定距離だけさらに供給方向に供給することを含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップa)では、文書の二次元画像が生成され、その画像中で2つの縁(28、29)の少なくとも一方が検出されることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップa)では、文書のカバー(22)の縁と文書(21)の印刷されるページ(23)の隣接縁(29)とが識別され、ステップc)では、プリントヘッド(45)と文書(21)とを相対的に位置付けするためにページ(23)の縁(29)が使用されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
可動式のプリントヘッド(45)と、文書(21)の縁(28、29)と図形要素の少なくとも一つを検出するための少なくとも1台のカメラ(49、50)と、検出された縁と図形要素とに基づいてプリントヘッド(45)を配置する制御ユニットとを備える請求項1から11のいずれか一項に記載の方法を実行する装置。
【請求項13】
文書(21)の種々の部分を検出するように配向された少なくとも2台のカメラ(49、50)を備えることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
印刷される文書(21)をプリントヘッド(45)の印刷領域へ供給するコンベヤ(34、35)を含むことを特徴とする請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
文書(21)の縁(28)を検出するための、供給方向を横切るように配向されたセンサ(52、53)がコンベヤ(34、35)上に配置されていることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
少なくとも1台のカメラの視野を紫外光で照射するためのUV源を含むことを特徴とする請求項12〜15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
印刷される文書(21)のデータ媒体との無線通信を行うための無線インターフェース(41)を含むことを特徴とする請求項12〜16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
プリントヘッド(45)が圧電操作式のインクジェット・プリントヘッドであることを特徴とする請求項12〜17のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−501556(P2008−501556A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526263(P2007−526263)
【出願日】平成17年6月4日(2005.6.4)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006011
【国際公開番号】WO2005/120850
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(506406984)セーフ・アイディ・ソリューションズ・アー・ゲー (1)
【Fターム(参考)】