説明

新規なカルボン酸4−フェニルアゾ−フェニルエステル誘導体及びモノアミン神経伝達物質再取り込み阻害薬としてのそれらの使用

本発明はモノアミン神経伝達物質再取り込み阻害薬として有用な式(I)の新規なカルボン酸4−フェニルアゾ−フェニルエステル誘導体に関する。他の面において、本発明は治療のための方法におけるこれらの化合物の使用に関し、そして本発明の化合物を含む製薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノアミン神経伝達物質再取り込み阻害薬として有用な新規なカルボン酸4−フェニルアゾ−フェニルエステル誘導体に関する。
【0002】
他の面において本発明は治療のための方法においてこれらの化合物の使用に関し、そして本発明の化合物を含む製薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
セロトニン選択性再取り込み阻害薬(SSRIs)は現在、うつ病及びパニック障害を包含する幾つかのCNS疾患の治療において効力を提供する。SSRIsは、有効な十分に許容され且つ容易に投与されるものとして精神科医及び初期包括医療(プライマリケア)医師により一般に認められている。しかしながら、それらは多くの望ましくない特徴を伴っている。
【0004】
したがって、ノルアドレナリン及びドーパミン再取り込み活性に対する、セロトニン再取り込みの比のようなモノアミン神経伝達物質セロトニン、ドーパミン及びノルアドレナリンの再取り込みについての活性に関して最適化された薬理学的プロフィールを有する化合物に対する強い必要性がいぜんとして存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
モノアミン神経伝達物質再取り込み阻害薬として活性を示す新規な化合物を提供することが本発明の目的である。
【0006】
任意に、−再取り込み阻害活性に加えて−ニコチン性アセチルコリン受容体、特にニコチン性アセチルコリンα7受容体の調節物質として活性を示す、そして特にニコチン性アセチルコリンα7受容体サブタイプ作動薬として活性を示す化合物を提供することが本発明の追加の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
その第1面において本発明は、下記式Iの化合物、任意のその立体異性体又はそれらの立体異性体の任意の混合物又はその製薬的に許容できる化合物を提供する:
【化1】


(式中、R、R、R、R、n及びQは下に定義したとおりである)。
【0008】
その第2の面において、本発明は、少なくとも1種の製薬的に許容できる担体、賦形剤又は希釈剤と一緒に、治療的に有効な量の本発明の化合物、任意のその立体異性体又はそれらの立体異性体の任意の混合物又はその製薬的に許容できる塩を含む製薬組成物を提供する。
【0009】
追加の面において、本発明は、疾患、障害又は症状が中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に応答性である、ヒトを包含する哺乳動物の疾患又は障害又は症状の治療、予防又は緩和のための製薬組成物の製造のために、本発明の化合物、任意のその立体異性体又はそれらの立体異性体の任意の混合物又はその製薬的に許容できる塩の使用を提供する。
【0010】
なおその上の追加の面において、本発明は、障害、疾患又は症状が中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に応答性である、ヒトを包含する、生きている動物体の疾患又は障害又は症状の治療、予防又は緩和のための方法に関し、その方法は本発明の化合物、任意のその立体異性体又はそれらの立体異性体の任意の混合物又はその製薬的に許容できる塩の治療的に有効な量を、前記治療、予防又は緩和を必要としているそのような生きている動物体に投与する工程を含む。
本発明の他の目的は、以下の詳細な記載及び実施例から当業者に明らかであろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な開示
カルボン酸4−フェニルアゾ−フェニルエステル誘導体
第1の面において、本発明は下記式Iの化合物、任意のその立体異性体又はそれらの立体異性体の任意の混合物又はその製薬的に許容できる塩を提供する:
【化2】

【0012】
(式中、Qはフェニル基を表し、そのフェニル基はハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ及びアルコキシからなる群から独立して選ばれた1つ以上の置換基で任意に置換されており;
nは0又は1であり;
は水素又はアルキルを表し;そして
及びRは一緒になって−CH−CH−、−CH−CH−CH−、又は−CH−CH−CH−CH−を形成し;そしてRは水素を表すか、あるいは
及びRは一緒になって−CH−CH−を形成し;そしてRは水素を表すか、あるいは
、R及びRは各々水素を表す)。
【0013】
式Iの化合物の1態様において、nは1であり;RとRとは一緒になって−CH−CH−を形成し;そしてRは水素を表す。
第2の態様において、nは0であり;そしてRとRとは一緒になって、
−CH−CH−を形成する。
追加の態様において、nは0であり;そしてRとRとは一緒になって、
−CH−CH−CH−を形成する。
【0014】
その上の追加の態様において、nは0であり;そしてRとRとは一緒になって−CH−CH−CH−CH−を形成する。
追加の態様において、nは1であり;RとRとは一緒になって、−CH−CH−を形成し;そしてRは水素を表す。
【0015】
その上の追加の態様において、nは1であり;RとRとは一緒になって、−CH−CH−CH−を形成し;そしてRは水素を表す。
追加の態様においてnは0であり;そしてR及びRは各々水素を表す。
その上の追加の態様において、nは1であり;そしてR及びRは各々水素を表す。
【0016】
追加の態様において、Rはアルキルを表す。特定の態様においてRはメチルを表す。
その上の追加の態様において、Qはフェニルを表す。
【0017】
特定の態様において、本発明の化合物は、
1,4−ジアザ−ビシクロ〔3.2.2〕ノナン−4−カルボン酸4−フェニルアゾ−フェニルエステル;
9−メチル−3,9−ジアザ−ビシクロ〔3.3.1〕ノナン−3−カルボン酸4−フェニルアゾ−フェニルエステル;
4−メチル−ピペラジン−1−カルボン酸4−フェニルアゾ−フェニルエステル;
4−メチル−〔1,4〕ジアゼパン−1−カルボン酸4−フェニルアゾ−フェニルエステル;
8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ〔3.2.1〕オクタン−3−カルボン酸4−フェニルアゾ−フェニルエステル;
10−メチル−8,10−ジアザ−ビシクロ〔4.3.1〕デカン−8−カルボン酸4−フェニルアゾ−フェニルエステル;
10−メチル−3,10−ジアザ−ビシクロ〔4.3.1〕デカン−3−カルボン酸4−フェニルアゾ−フェニルエステル;
9−メチル−3,9−ジアザ−ビシクロ〔4.2.1〕ノナン−3−カルボン酸4−フェニルアゾ−フェニルエステル;又は
その製薬的に許容できる塩である。
【0018】
上記のような態様の2つ以上の任意の組み合わせは本発明の範囲内であると考えられる。
【0019】
置換基の定義
本発明に関して、ハロはフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを表す。
本発明に関して、アルキル基は、一価の飽和直鎖又は分枝鎖の炭化水素鎖を示す。炭化水素鎖は好ましくは、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、第三級ペンチル、ヘキシル及びイソヘキシルを包含する1〜6個の炭素原子を含有する(C1−6−アルキル)。好ましい態様において、アルキルはブチル、イソブチル、第二級ブチル及び第三級ブチルを包含するC1−4−アルキル基を表す。本発明の他の好ましい態様において、アルキルは、特にメチル、エチル、プロピル又はイソブチルであることができるC1−3−アルキル基を表す。
アルコキシは、アルキルが上に定義されたようなO−アルキルである。
【0020】
製薬的に許容できる塩
本発明の化合物は、意図した投与のために適当な任意形で提供されることができる。適当な形は、本発明の化合物の、製薬的に(即ち生理学的に)許容できる塩及びプレドラッグ又はプロドラッグ形を包含する。
【0021】
製薬的に許容できる付加塩の例は限定なしに、塩酸塩、臭化水素塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコニット酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ケイ皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩(embonate)、エナント酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、フタル酸塩、サリチル酸塩、ゾルビン酸塩、ステアリン酸塩、こはく酸塩、酒石酸塩、トルエン−p−スルホン酸塩、等のような非毒性無機及び有機酸付加塩を包含する。そのような塩は、周知であって且つ当業界において記載された方法により、形成されることができる。
【0022】
本発明の化合物の製薬的に許容できる陽イオン塩の例は、限定なしに、陰イオン基を含有する本発明の化合物の、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、リチウム、コリン、リシン、及びアンモニウムの塩、等を包含する。そのような陽イオンの塩を、周知であって且つ当業界に記載された方法により形成することができる。
【0023】
製薬的に許容できると考えられることができない、シュウ酸のような他の酸は本発明の化合物及びその製薬的に許容できる酸付加塩を得るにあたっての中間体として有用な塩を製造するのに有用であることができる。
【0024】
本発明に関して、N−含有化合物の“オニウム塩”はまた、製薬的に許容できる塩として考えられる。好ましい“オニウム塩”は、アルキル−オニウム塩、シクロアルキル−オニウム塩、及びシクロアルキルアルキル−オニウム塩を包含する。
【0025】
本発明の化合物のプレ−ドラッグ及びプロ−ドラッグ形の例は、親化合物の1つ以上の反応性又は誘導体化可能な基において修正された化合物を包含する本発明に従う物質の適当なプロドラッグの例を包含する。特に重要なものの中には、カルボキシル基、ヒドロキシル基又はアミノ基において修正された化合物がある。適当な誘導体の例はエステル又はアミドである。
【0026】
本発明の化合物を、水、エタルール、等のような製薬的に許容できる溶媒と一緒に可溶性又は不溶性の形で提供できる。可溶性形はまた、一水和物、二水和物、半水和物、三水和物、四水和物、等のような水和された形を包含する。一般に可溶性形は本発明の目的のために不溶性形に均等であると考えられる。
【0027】
立体異性体
本発明の化合物が、鏡像異性体、ジアステレオマー又はシス−トランス異性体を包含する種々異なる立体異性体形で存在することができることは当業者に認識されるだろう。
本発明は、ラセミ混合物を包含する全てのそのような立体異性体及びそれらの任意の混合物を包含する。
【0028】
既知の方法及び技術によりラセミ形を、光学対掌体に分割することができる。(鏡像異性体中間体を包含する)鏡像異性体化合物を分離する1つの方法は、−化合物がキラル酸である場合において−光学的に活性なアミンを使用し、酸を用いての処理によりジアステレオマー分割塩を遊離することによる。光学対掌体にラセミ体を分割するための他の方法は光学的に活性なマトリックス上へのクロマトグラフィに基づいている。したがって、本発明のラセミ化合物を、例えばD−又はL−(酒石酸塩、マンデル酸塩又はショウノウスルホン酸塩の)塩の例えば分別結晶化によりそれらの光学対掌体に分割することができる。
【0029】
本発明の化合物はまた、本発明の化合物を、(+)又は(−)フェニルアラニン、(+)又は(−)フェニルグリシン、(+)又は(−)カンファン酸から誘導されたカルボン酸のような光学的に活性なカルボン酸と反応させることによるジアステレオマーアミドの形成により、又は本発明の化合物を、光学的に活性なクロロギ酸、等と反応させることによるジアステレオマーカルバメートの形成により、また分割されることができる。
【0030】
光学異性体を分割するための追加の方法は当業界に既知である。そのような方法はニューヨークのジョンウイレーアンドソンズ発行の“Enatiomers,Racemates,and Resolution”(1981)に記載されている方法を包含する。
【0031】
標識化化合物
本発明の化合物を、それらの標識化された形で又は標識化されていない形で用いることができる。本発明に関して、標識化化合物は、自然界に通常見い出される原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子により置き換えられた1つ以上の原子を有する。標識化は、前記化合物の容易な量的検出を可能にするだろう。
【0032】
本発明の標識化化合物は、種々の診断方法において、診断ツール、放射性指示薬(ラジオトレーサー)又はモニター剤として、そしてインビボ受容体映像化のために有用であることができる。
本発明の標識化異性体、好ましくは標識として少なくとも1つの放射性核種を含有している。陽電子(ポジトロン)放出性放射性核種はすべて、使用のために候補物である。本発明に関して放射性核種は、好ましくはH(重水素)、H(三重水素)、11C、13C、14C、131I、125I、123I及び18Fから選ばれる。
【0033】
本発明の標識化異性体を検出するための物理的方法は、ポジトロン(陽電子)放出断層撮影法(PET)、単光子映像化コンピュタ断層撮影法(SPECT)、核磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)、核磁気共鳴映像法(MRI)及びコンピュターX線体軸断層撮影法(CAT)及びそれらの組み合わせから選ばれることができる。
【0034】
製造の方法
本発明の化合物は、化学合成のために慣用の方法、例えば実施例に記載されている方法により製造されることができる。本出願において記載された方法のための出発物質は既知であるか、又は市販の化学剤から慣用の方法により容易に製造されることができる。
【0035】
また、本発明の1つの化合物を、慣用の方法を用いて本発明の他の化合物に変換することができる。
本明細書において記載された反応の最終生成物を、慣用の技術、例えば抽出、結晶化、蒸留、クロマトグラフィー、等により単離することができる。
【0036】
生物学的活性
本発明の化合物を、例えばWO97/30997(ニューロサーチA/S(NeuroSearch A/S))に記載されているような神経終末粒子においてのモノアミンドーパミン、ノルアドレナリン及びセロトニンの再取り込みを阻害するそれらの能力について試験することができる。これらの試験において観察されるバランスの取れた活性に基づいて、本発明の化合物は、疾患、障害又は症状が中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に応答性である、ヒトを包含する、哺乳動物の疾患又は障害又は症状の治療、予防又は緩和のために有用であると考えられる。
【0037】
特定の態様において、本発明の化合物は、下記の疾患、障害又は症状の治療、予防又は緩和のために有用であると考えられる:
気分障害、うつ病、非定型うつ病、疼痛に続くうつ病、大うつ病性障害、気分変調性障害、双極性障害、双極性I障害、双極性II障害、循環気質障害、一般的医療状態による気分障害、物質誘発気分障害、仮性認知症、ガンザー症候群、強迫性障害、パニック障害、広場恐怖症なしのパニック障害、広場恐怖症を有するパニック障害、パニック障害の既往症なしの広場恐怖症、パニック発作、記憶障害、記憶喪失、注意欠陥多動障害、肥満症、不安、全般性不安障害、摂食障害、パーキンソン病、パーキンソン症候、認知症、加齢認知症、老年認知症、アルツハイマー病、ダウン症候群、後天性免疫不全症候群認知症複合、加齢記憶機能不全、特異的恐怖症、社会恐怖症、社会不安障害、外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、慢性ストレス障害、薬物嗜癖、薬物乱用、薬物乱用傾向、コカイン乱用、ニコチン乱用、タバコ乱用、アルコール嗜癖、アルコール依存症、盗癖、中毒性物質の使用の停止により起こされた禁断症状、疼痛、慢性疼痛、炎症性疼痛、神経障害疼痛、糖尿病性神経障害疼痛、片頭痛、緊張タイプ頭痛、慢性緊張タイプ頭痛、うつ病に伴う疼痛、線維筋痛症、関節炎、骨関節炎、関節リウマチ、背部痛、癌痛、過敏性腸疼痛、過敏性腸症候群、術後疼痛、乳房切除後疼痛症候群(PMPS)、脳卒中後疼痛、薬物誘発神経障害、糖尿病神経障害、交感神経依存性疼痛、三叉神経痛、歯痛、筋膜疼痛、幻肢痛、多食症、月経前症候群、月経前神経不安症、後発黄体期症候群、外傷後症候群、慢性疲労症候群、遷延性植物状態、尿失禁、ストレス性尿失禁、切迫尿失禁、夜間失禁、セックス機能不全、早期射精、勃起困難、勃起機能不全、早期女性オルカズム、脚不穏症候群、周期的四肢動作障害、摂食障害、神経性食欲不振症、睡眠障害、広汎性発達障害、自閉症、アスペルガー障害、レット障害、小児期崩壊性障害、学習障害、運動能力障害、無言症、抜毛癖、睡眠発作(ナルコレプシー)、脳卒中後うつ病、脳卒中誘発脳障害、脳卒中誘発神経障害、ジル ド ラ トウレット病、耳鳴、チック障害、身体異型症、反抗挑戦性障害又は脳卒中後能力障害。好ましい態様において本化合物は、うつ病の治療、予防又は緩和のために有用であると考えられる。
【0038】
活性製薬成分(API)の適当な投与量は、約0.1〜約1000mgAPI/日の範囲、さらに好ましくは約10〜約500mgAPI/日、最も好ましくは約30〜約100mgAPI/日の範囲内にあると現在では考えられ、しかしながら、投与の正確な様式、投与される形、考えられる指針、患者及び特に包含される患者の体重、そしてさらに担当の医師及び獣医師の優先選択性及び経験に依存している。
本発明の好ましい化合物は、1マイクロモル未満及びマイクロモル範囲、即ち1μMより下から約100μMまでの範囲で生物学的活性を示している。
【0039】
ニコチン性アセチルコリン受容体活性
本発明の化合物は、WO2006/087306(ニューロサーチ A/S(NeuroSearch A/S))において記載されているように、ニコチン性アセチルコリンα7受容体に結合するそれらの能力について試験されることができる。
【0040】
製薬組成物
他の面において本発明は、本発明の化合物の治療的に有効な量を含む新規な製薬組成物を提供する。
【0041】
治療において使用するための本発明の化合物は、そのままの化合物の形で投与されることができるけれども、1種以上のアジュバント、賦形剤、担体、緩衝剤、希釈剤及び/又は他の慣習の製薬補助物質と一緒に、活性成分を、任意に生理学的に許容できる塩の形で、製薬組成物中に導入することが好ましい。
【0042】
好ましい態様において本発明は、本発明の化合物又は製薬的に許容できる塩又はその誘導体を、1種以上の製薬的に許容できる担体、及び任意に当業界に知られ且つ用いられている他の治療及び/又は予防成分と一緒に、含む製薬組成物を提供する。担体(1種又は複数種)は配合物の他の成分と相容れることができ、そしてその受容者にとって有害で無い意味で“許容できるもの”でなければならない。
【0043】
本発明の製薬組成物は、経口、経直腸、経気管支、経鼻、経肺、(頬及び舌下を包含する)局所、経皮膚、経膣、又は(皮膚、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、動脈内、脳内、眼球内の注射及び注入を包含する)非経口投与のために適当である組成物、又は粉末又は液体エアゾール投与を包含する吸入又は吹き込みによることができ、又は持続放出システムによることができる、投与のために適当な形にある組成物であることができる。持続放出システムの適当な例は、本発明の化合物を含有する固体疎水性重合体の半透過性マトリックスを含み、そのマトリックスが形状化物品、例えばフィルム又は微小カプセル(マイクロカプセル)の形にあることができる。
【0044】
慣用のアジュバント、担体又は希釈剤と一緒に、本発明の化合物は、このようにして製薬組成物及びその単位投与量の形の中に入れられることができる。そのような形は、全て経口使用のための、固体、特に錠剤、充てんカプセル、粉末及びペレット形を包含し、そして液体、特に水性又は非水性溶液、懸濁液、乳濁液(エマルジョン)、エリキシル剤、及びそれらを充てんしたカプセルを包含し、経直腸投与のための坐剤を包含し、そして非経口使用のための消毒した注射可能な溶液を包含する。そのような製薬組成物及びその単位投与量形は、追加の活性化合物又は活性素(active principles)と共に、又はそれら無しに、慣用の割合で慣用の成分を含むことができ、そしてそのような単位投与量形は使用されるべき意図される毎日の投与量範囲と同等の任意な適当な有効な量の活性成分を含有することができる。
【0045】
本発明の化合物を広い種々の経口及び非経口投与形で投与することができる。以下の投与形が本発明の化合物又は本発明の化合物の製薬的に許容できる塩、のいずれかを活性成分として含むことができることは当業者に明らかであろう。
【0046】
本発明の化合物から製薬組成物を調製するために製薬的に許容できる担体は、固体又は液体のいずれかであることができる。固体形製剤は粉末、錠剤、ピル、カプセル、カシェ剤(オブラート)、坐剤及び分散可能な顆粒を包含する。固体担体は希釈剤、香味料、可溶化剤、潤滑剤、懸濁剤、結合剤、保存料、錠剤崩壊剤又はカプセル化用材料としてまた働くことができる1種以上の物質であることができる。
【0047】
粉末において担体は、微粉砕活性成分との混合物にある微粉砕固体である。
錠剤において活性成分は、適当な割合で必要な結合能力を有する担体と混合され、そして所望の形及び寸法に圧縮される。
【0048】
粉末及び錠剤は、好ましくは5又は10パーセントから約70パーセントまでの活性化合物を含有する。適当な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、でんぷん、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、低融点ワックス、ココアバター、等である。“製剤(preparation)”と言う用語は、カプセルを提供する担体としてのカプセル化用材料との活性化合物の配合物を包含することが意図され、該カプセルにおいて、担体を有する又は担体なしでの、活性成分が担体により取り囲まれ、このようにして活性成分は担体と組み合わされる。同様に、カシェ剤(オブラート)及びトローチ剤(ローゼンジ)が包含される。錠剤、粉末、カプセル、ピル、カシェ剤及びトローチ剤(ローゼンジ)は、経口投与のために適当な固体形として使用されることができる。
【0049】
坐剤を調製するために、脂肪酸グリセリドの混合物又はココアバターのような低融点ワックスをまず溶融し、そしてかき混ぜることによるようにして活性成分をその中に均質に分散させる。溶融した均質な混合物を次に都合のよい寸法の型中に注入し、放置冷却し、それにより固化させる。
【0050】
経膣投与のために適当な組成物は、活性成分に加えて、適当であると当業界に知られているような担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡体又はスプレーとして提供されることができる。
【0051】
液体製剤は、溶液、懸濁液及び乳濁液(エマルジョン)、例えば水溶液又は水−プロピレングリコール溶液を包含する。例えば非経口注射液製剤は、水性ポリエチレングリコール溶液中の溶液として配合されることができる。
【0052】
したがって、本発明に従う化合物、(例えば注射、例えばボーラス注射又は連続注入による)非経口投与のために配合されることができ、そしてアンプル、予備充てんシリンジ、小容量注入、又は添加保存料を有する多数回投与容器において単位投与量形で提供されることができる。本組成物は、油性又は水性担体中の懸濁液、溶液又は乳濁液(エマルジョン)のような形をとることができ、そして懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤のような配合剤を含有することができる。別法として、活性成分は、使用前に適当な担体、例えば滅菌した発熱性物質無しの水と共に構成するために、滅菌化固体の滅菌下単離により、又は溶液からの凍結乾燥により得られた粉末形にあることができる。
【0053】
経口使用のために適当な水溶液は、水中に活性成分を溶解し、そして所望に応じて適当な着色剤、香味料、安定剤及び濃稠化剤を加えることにより調製されることができる。
【0054】
経口使用のために適当な水性懸濁液は、天然又は合成のゴム、樹脂、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースのような粘性材料又は他の周知の懸濁剤と共に、水中に微粉砕活性成分を分散させることにより造られることができる。
【0055】
経口投与のために製剤を使用の直前に液体形に変換するために意図される、固体形製剤がまた包含される。そのような液体形は溶液、懸濁液及び乳濁液(エマルジョン)を包含する。活性成分に加えて、そのような製剤は着色剤、香味料、安定剤、緩衝剤、人工及び天然甘味料、分散剤、濃稠化剤、可溶化剤、等を含むことができる。
【0056】
表皮に局所投与のために、本発明の化合物を、軟膏、クリーム又はローションとして又は経皮貼布として、配合することができる。軟膏及びクリームを、例えば適当な濃稠化剤及び/又はゲル化剤の添加と共に水性又は油性基材を用いて配合することができる。ローションは水性又は油性基材を用いて配合されることができ、そして一般に乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、濃稠化剤又は着色剤の1種以上をまた、含有するだろう。
【0057】
口に局所投与するために適当な組成物は、風味づけされた基材、通常スクロース及びアカシア(アラビアゴム)又はトラガカントゴム中に活性剤を含む、ローゼンジ(トローチ、薬用ドロップ);ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシア(アラビアゴム)のような、不活性基材中に活性成分を含むパスチリ(トローチ、香錠);及び適当な液体担体に活性成分を含む口内洗浄液を包含する。
【0058】
溶液又は懸濁液は、慣用手段、例えば滴下器、ピペット又はスプレーを用いることにより、鼻腔に直接に適用される。本組成物は単一投与形又は多投与形で提供されることができる。
【0059】
呼吸道への投与は、活性成分を、クロロフルオロ炭素(CFC)、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン又はジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適当なガスのような適当な噴射剤を有する加圧パック中に提供するエアゾール配合物の手段によりまた、達成されることができる。エアゾールは都合よくはまたレシチンのような界面活性剤を含有することができる。薬剤の投与量を、計量バルブを設けることにより制御することができる。
【0060】
別法として活性成分は、乾燥粉末、例えばラクトース、でんぷん、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなでんぷん誘導体及びポリビニルピロリドン(PVP)のような適当な粉末基材中の化合物の粉末混合物の形で提供されることができる。都合よくは粉末担体は鼻腔中でゲルを形成するだろう。粉末組成物は、例えばゼラチンのカプセル又はカートリッジ、又は粉末が吸入器により投与されることができるブリスターパック(blister packs)において単位投与量形で提供されることができる。
【0061】
経鼻組成物を包含する呼吸道への投与のために意図される組成物において本化合物は、例えば5ミクロン以下の程度の小さな粒子寸法を一般に有するだろう。そのような粒子寸法を、当業界に知られている手段、例えば微粉状化により得ることができる。
所望の場合、活性成分の持続放出を提供するために適した組成物を使用することができる。
【0062】
本製薬製剤は、単位投与量形にあるのが好ましい。そのような形態において、その製剤は適当な量の活性成分を含有する単位投与量に小区分に分けられる。単位投与量形は包装された製剤であることができ、その包装は包装された錠剤、カプセル及び小瓶又はアンプル中の粉末のような個々の量の製剤を含有する。また単位投与量形は、それ自体のカプセル、錠剤、カシェ剤(オブラート)又はローゼンジ(トローチ、舐剤)であることができるか、又はそれは包装された形での任意のこれらの適当な数のものであることができる。
【0063】
経口投与のための錠剤又はカプセル、及び静脈内投与及び連続注入のための液体が好ましい組成物である。
配合及び投与のための技術についてのさらに詳細を、Remington’s Pharmaceutical Sciences(ペンシルベニア州、イーストンのMaack Publishing Co.発行)の最も最近の版に見い出すことができる。
【0064】
実際の投与量は、治療される病気の種類及び重症度により左右され、そして医師の自由裁量内にあり、そして所望の治療効果を生成するために、本発明の特定の状況への投与量の滴定により変化させることができる。しかしながら、現在では個々の投与当たり、活性成分の約0.1〜約500mg、好ましくは約1〜約100mg、最も好ましくは約1〜約10mgを含有する製薬組成物が治療処置のために適当であると考えられる。
【0065】
活性成分を、1日当たり1回投与又は数回投与で投与することができる。満足すべき結果を、或る場合においては0.1μg/kg i.v.及び1μg/kg p.o.程の低さの投与量で得ることができる。投与量範囲の上限は現在では、約10mg/kg i.v.及び100mg/kg p.o.であると考えられる。好ましい範囲は約0.1μg/kg〜約10mg/kg/日i.v.及び約1μg/kg〜約100mg/kg/日p.o.である。
【0066】
治療方法
他の面において本発明は、疾患、障害又は症状が中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に応答性である、ヒトを包含する生きている動物体の疾患又は障害又は症状の治療、予防又は緩和のための方法を提供し、そしてその方法は、本発明の化合物の有効量を、前記治療、予防又は緩和を必要としているヒトを包含するそのような生きている動物体に投与することを含む。
【0067】
適当な投与量範囲は、通常のような、投与の正確な様式、投与される形態、投与が向けられている指針、包含される患者、患者の体重、そしてさらに担当の医師又は獣医師の優先選択性及び経験に依存して、毎日0.1〜1000mg、好ましくは毎日10〜500mg、特に毎日30〜100mgであると現在は考えられる。疾患の治療のために当業界に知られている化合物と組み合わせて投与する場合、投与計画を減少させることができる。
【実施例】
【0068】
本発明は、以下の例に言及してさらに例示され、それらの例は特許請求されたような本発明の範囲に対していかなる方法であっても限定することが意図されない。
【0069】
調製例
空気感受性化学剤又は中間体を包含する全ての反応を、窒素下及び無水溶媒中で行った。一連の操作方法において、硫酸マグネシウムを乾燥剤として使用し、そして溶媒を減圧下に蒸発させた。
【0070】
1,4−ジアザビシクロ〔3.2.2〕ノナン(中間体化合物)
表題の化合物を、J.Med.Chem.1993、36、第2311頁〜第2320頁に従って(そして下記のやや修正された方法に従って)調製した。
【0071】
1,4−ジアザビシクロ〔3.2.2〕ノナン(中間体化合物)
無水ジオキサン(130ml)中の1,4−ジアザビシクロ〔3.2.2〕ノナン−3−オン(15.8g;113ミリモル)の溶液にアルゴン下、LiAlH(4.9g;130ミリモル)を加えた。6時間その混合物を還流させ、次に、放置して室温に到達させた。反応混合物に水(ジオキサンの10ml中5ml)を滴下して加え、その混合物を0.5時間かき混ぜ、次にガラスフィルターに通過させて濾過した。溶媒を蒸発させ、そして残留物を、90℃(0.1ミリバール)でクーゲルロール(Kugelrohr)装置を用いて蒸留して無色吸湿性物質として1,4−ジアザビシクロ〔3.2.2〕ノナン(11.1g;78%)を生成した。
【0072】
1,4−ジアザビシクロ〔3.2.2〕ノナン−3−オン(中間体化合物)
90mlの水中の3−キヌクリジノン塩酸塩(45g;278ミリモル)の溶液にヒドロキシルアミン塩酸塩(21g;302ミリモル)及び酢酸ナトリウム(CHCOOH x 3HO;83g;610ミリモル)を加え、1時間70℃で混合物をかき混ぜ、次に0℃に冷却させた。分離した結晶物質を(洗浄することなしに)濾過し、真空乾燥して40.0gのオキシムを生成した。
【0073】
予め120℃に加熱したポリりん酸(190g)に2時間の間、少しずつ該3−キヌクリジノンオキシム(40.0g)を加えた。反応中溶液の温度を130℃に維持した。全てのオキシムの添加後、その溶液を同じ温度で20分間かき混ぜ、次にエナメル塗装容器に移し、そして放置して室温に到達させた。酸性の混合物を、炭酸カリウムの溶液(300mlの水中の500g)により中和し、そして2000mlのフラスコに移し、300mlの水で希釈し、そしてクロロホルム(3x600ml)で抽出した。合併した有機抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を蒸発させ、そして固体残留物を真空乾燥させてラクタムの混合物の30.0g(77%)を生成した。
【0074】
得られた混合物を1,4−ジオキサン(220ml)から結晶化させて、融点211〜212℃を有する無色大結晶として1,4−ジアザビシクロ〔3.2.2〕ノナン−3−オンの15.8g(40.5%)を得た。
【0075】
1,4−ジアザ−ビシクロ〔3.2.2〕ノナン−4−カルボン酸4−フェニルアゾ−フェニルエステルフマル酸塩
4−フェニルアゾフェノール(1.0g、5.04g)、ピリジン(0.52g、6.6ミリモル)及びジクロロメタン(40ml)の混合物を、0℃でトルエン(12.5g、25.2ミリモル)中のホスゲン及びジクロロメタン(25ml)中の混合物に滴下して加え、そして同じ温度で1時間かき混ぜた。その混合物を15時間室温でかき混ぜた。混合物を蒸発させ、そしてトルエンと同時蒸発させた。形成された4−フェニルアゾ−フェニルクロロホルメートをDME(50ml)中に溶解し、次に室温で1,4−ジアザビシクロ〔3.2.2〕ノナン(0.64g、5.04ミリモル)を添加し、次に室温で一夜かき混ぜた。水性水酸化ナトリウム(1M)を加え、DMEを蒸発させ、そして混合物をクロロホルムで抽出した。溶媒としてクロロホルム、10%メタノール及び1%水性アンモニアを用いてシリカゲル上でクロマトグラフィにかけて粗製生成物を得た。収量1.68g(95%)。フマル酸で飽和されたジエチルエーテルとメタノールとの(9:1)混合物の添加により対応する塩を得た。収量1.39g(62%)。〔M+H〕+のLC−ESI−HRMSは351.1827Daを示す。計算値351.182101Da,偏差 1.7ppm
【0076】
9−メチル−3,9−ジアザ−ビシクロ〔3.3.1〕ノナン−3−カルボン酸4−フェニルアゾ−フェニルエステルフマル酸塩は、
9−メチル−3,9−ジアザ−ビシクロ〔3.3.1〕ノナン及び4−フェニルアゾフェノールから、方法Aに従って調製された。〔M+H〕+のLC−ESI−HRMSは365.1984Daを示す。計算値365.197751Da,偏差 1.8ppm。
【0077】
4−メチル−ピベラジン−1−カルボン酸4−フェニルアゾ−フェニルエステル遊離塩基は、
1−メチルピペラジン及び4−フェニルアゾフェノールから、方法Aに従って調製された。〔M+H〕+のLC−ESI−HRMSは325.1678Daを示す。計算値325.166451Da,偏差 4.1ppm。
【0078】
4−メチル−〔1,4〕ジアゼパン−1−カルボン酸4−フェニルアゾ−フェニルエステルフマル酸塩は、
1−メチル−〔1,4〕ジアゼパン及び4−フェニルアゾフェノールから、方法Aに従って調製された。〔M+H〕+のLC−ESI−HRMSは339.1804Daを示す。計算値339.182101Da,偏差 −5ppm。
【0079】
8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ〔3.2.1〕オクタン−3−カルボン酸−4−フェニルアゾ−フェニルエステル遊離塩基は、
8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ〔3.2.1〕オクタン及び4−フェニルアゾフェノールから、方法Aに従って調製された。〔M+H〕+のLC−ESI−HRMSは、351.1813Daを示す。計算値351.182101Da,偏差 −2.3ppm。
【0080】
10−メチル−8,10−ジアザ−ビシクロ〔4.3.1〕デカン−8−カルボン酸4−フェニルアゾ−フェニルエステルフマル酸塩は、
10−メチル−8,10−ジアザ−ビシクロ〔4.3.1〕デカン及び4−フェニルアゾフェノールから、方法Aに従って調製された。〔M+H〕+のLC−ESI−HRMSは379.2144Daを示す。計算値379.213401Da、偏差 2.6ppm。
【0081】
10−メチル−3,10−ジアザ−ビシクロ〔4.3.1〕デカン−3−カルボン酸4−フェニルアゾ−フェニルエステルフマル酸塩は、
10−メチル−3,10−ジアザ−ビシクロ〔4.3.1〕デカン及び4−フェニルアゾフェノールから、方法Aに従って調製された。〔M+H〕+のLC−ESI−HRMSは379.2119Daを示す。計算値379.213401Da,偏差 −4ppm。
【0082】
9−メチル−3,9−ジアザ−ビシクロ〔4.2.1〕ノナン−3−カルボン酸4−フェニルアゾ−フェニルエステルフマル酸塩は、
9−メチル−3,9−ジアザ−ビシクロ〔4.2.1〕ノナン及び4−フェニルアゾフェノールから、方法Aに従って調製された。〔M+H〕+のLC−ESI−HRMSは365.1989Daを示す。計算値365.197751Da,偏差 3.1ppm。
【0083】
生物学的データ
インビトロ阻害活性
本発明の化合物を、WO97/16451に記載されているように神経終末粒子におけるモノアミン神経伝達物質ドーパミン(DA)、ノルアドレナリン(NA)及びセロトニン(5−HT)の再取り込みを阻害するその能力について試験した。
【0084】
試験値は、IC50H−DA、H−NA又はH−5−HTの特異的結合を50%だけ阻止する被験物質の濃度(μM))として与えられる。
本発明の化合物を試験することにより得られた試験結果は下記の表から明らかである。
【0085】
【表1】

【0086】
ラット脳におけるH−α−ブンガロトキシン結合のインビトロ阻止
この例において、ニコチン受容体のαサブタイプへの結合に対する本発明の化合物の親和性を測定確認した。
α−ブンガロトキシンは、コブラ科ElapidaeへびBungarus
multicinctusの毒液から単離されたペプチドである。それは、神経細胞及び神経筋ニコチン受容体に高い親和性を有し、そこではそれは有力な拮抗薬として働く。H−α−ブンガロトキシンは、脳に見いだされるαサブユニット異性形及び神経筋接合部におけるα異性形により形成されたニコチン性アセチルコリン受容体を標識化する。
【0087】
組織調製
調製を0〜4℃で行う。雄ウィスターラット(150〜250g)を、ウルトラ−ターラックス(Ultra−Turrax)ホモジナイザーを用いて118mMのNaCl、4.8mMのKCl、1.2mMのMgSO及び2.5mMのCaClを含有する20mMヘペス(Hepes)緩衝液(pH7.5)の15ml中で10秒間均質化する。その組織懸濁液を、10分間27,000xgで遠心分離に付す。上澄み液を捨て、そしてペレットを、新しい緩衝液の20ml中で10分間27,000xgでの遠心分離により2回洗浄し、次に最終ペレットを、0.01%BSAを含有する新しい緩衝液(最初の組織のg当たり35ml)中に再懸濁させ、そして結合アッセイのために使用する。
【0088】
アッセイ
均質化液の500μlの分別量を、被験溶液の25μl及びH−α−ブンガロトキシン(2nM、最終濃度)の25μlに添加し、混合し、そして37℃で2時間インキュベートする。(−)−ニコチン(1mM、最終濃度)を用いて非特異結合を測定する。インキュベーション後、0.05%PEIを含有する氷冷ヘペス緩衝液の5mlにサンプルを加え、そして吸引下にて(少なくとも6時間0.1%PEI中に予め浸された)ワットマン(Whatman)GF/Cガラス繊維フィルター上に直接に注ぎ、そして直ちに2x5ml氷冷緩衝液で洗浄する。
【0089】
フィルター上の放射能の量を、慣用の液体シンチレーション計数により測定する。特異的結合は、全結合マイナス非特異的結合である。
【0090】
試験値は、IC50H−α−ブンガロトキシンの特異的結合を50%だけ阻止する被験物質の濃度)として与えられる。
これらの実験の結果を下記表2に示す。
【0091】
【表2】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iの化合物、任意のその立体異性体又はそれらの立体異性体の任意の混合物又はその製薬的に許容できる塩:
【化1】


(式中、Qはフェニル基を表し、そのフェニル基はハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ及びアルコキシからなる群から独立して選ばれた1つ以上の置換基で任意に置換されており;
nは0又は1であり;
は水素又はアルキルを表し;そして
及びRは一緒になって−CH−CH−、−CH−CH−CH−、又は−CH−CH−CH−CH−を形成し;そしてRは水素を表すか、あるいは
及びRは一緒になって−CH−CH−を形成し;そしてRは水素を表すか、あるいは
、R及びRは各々水素を表す)。
【請求項2】
nが1であり;RとRとは一緒になって−CH−CH−を形成し;そしてRは水素を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
nが0であり;そしてRとRとは一緒になって、−CH−CH−を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
nが0であり;そしてRとRとは一緒になって−CH−CH−CH−を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
nが0であり;そしてRとRとは一緒になって−CH−CH−CH−CH−を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
nが1であり;RとRとは一緒になって、−CH−CH−を形成し;そしてRが水素を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
nが1であり;RとRとは一緒になって、−CH−CH−CH−を形成し;そしてRが水素を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
nが0であり;そしてR及びRが各々、水素を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
nが1であり;そしてR及びRは各々、水素を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
がアルキルを表す、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
Qがフェニルを表す、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
1,4−ジアザ−ビシクロ〔3.2.2〕ノナン−4−カルボン酸4−フェニルアゾ−フェニルエステル;
9−メチル−3,9−ジアザ−ビシクロ〔3.3.1〕ノナン−3−カルボン酸4−フェニルアゾ−フェニルエステル;
4−メチル−ピペラジン−1−カルボン酸4−フェニルアゾ−フェニルエステル;
4−メチル−〔1,4〕ジアゼパン−1−カルボン酸4−フェニルアゾ−フェニルエステル;
8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ〔3.2.1〕オクタン−3−カルボン酸4−フェニルアゾ−フェニルエステル;
10−メチル−8,10−ジアザ−ビシクロ〔4.3.1〕デカン−8−カルボン酸4−フェニルアゾ−フェニルエステル;
10−メチル−3,10−ジアザ−ビシクロ〔4.3.1〕デカン−3−カルボン酸4−フェニルアゾ−フェニルエステル;
9−メチル−3,9−ジアザ−ビシクロ〔4.2.1〕ノナン−3−カルボン酸4−フェニルアゾ−フェニルエステル;又は
その製薬的に許容できる塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
少なくとも1種の製薬的に許容できる担体、賦形剤又は希釈剤と一緒に、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物、任意のその立体異性体又はそれらの立体異性体の任意の混合物又はその製薬的に許容できる塩の治療的に有効な量を含む、製薬組成物。
【請求項14】
医薬の製造のための、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物、任意のその立体異性体又はそれらの立体異性体の任意の混合物又はその製薬的に許容できる塩の使用。
【請求項15】
疾患、障害又は症状が、中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に応答性である、ヒトを包含する哺乳動物の疾患又は障害又は症状の治療、予防又は緩和のための製薬組成物の製造のための、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
疾患、障害又は症状が:気分障害、うつ病、非定型うつ病、疼痛に続くうつ病、大うつ病性障害、気分変調性障害、双極性障害、双極性I障害、双極性II障害、循環気質障害、一般的医療状態による気分障害、物質誘発気分障害、仮性認知症、ガンザー症候群、強迫性障害、パニック障害、広場恐怖症なしのパニック障害、広場恐怖症を有するパニック障害、パニック障害の既往症なしの広場恐怖症、パニック発作、記憶障害、記憶喪失、注意欠陥多動障害、肥満症、不安、全般性不安障害、摂食障害、パーキンソン病、パーキンソン症候、認知症、加齢認知症、老年認知症、アルツハイマー病、ダウン症候群、後天性免疫不全症候群認知症複合、加齢記憶機能不全、特異的恐怖症、社会恐怖症、社会不安障害、外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、慢性ストレス障害、薬物嗜癖、薬物乱用、薬物乱用傾向、コカイン乱用、ニコチン乱用、タバコ乱用、アルコール嗜癖、アルコール依存症、盗癖、中毒性物質の使用の停止により起こされた禁断症状、疼痛、慢性疼痛、炎症性疼痛、神経障害疼痛、糖尿病性神経障害疼痛、片頭痛、緊張タイプ頭痛、慢性緊張タイプ頭痛、うつ病に伴う疼痛、線維筋痛症、関節炎、骨関節炎、関節リウマチ、背部痛、癌痛、過敏性腸疼痛、過敏性腸症候群、術後疼痛、乳房切除後疼痛症候群(PMPS)、脳卒中後疼痛、薬物誘発神経障害、糖尿病神経障害、交感神経依存性疼痛、三叉神経痛、歯痛、筋膜疼痛、幻肢痛、多食症、月経前症候群、月経前神経不安症、後発黄体期症候群、外傷後症候群、慢性疲労症候群、遷延性植物状態、尿失禁、ストレス性尿失禁、切迫尿失禁、夜間失禁、セックス機能不全、早期射精、勃起困難、勃起機能不全、早期女性オルカズム、脚不穏症候群、周期的四肢動作障害、摂食障害、神経性食欲不振症、睡眠障害、広汎性発達障害、自閉症、アスペルガー障害、レット障害、小児期崩壊性障害、学習障害、運動能力障害、無言症、抜毛癖、睡眠発作(ナルコレプシー)、脳卒中後うつ病、脳卒中誘発脳障害、脳卒中誘発神経障害、ジル ド ラ トウレット病、耳鳴、チック障害、身体異型症、反抗挑戦性障害、又は脳卒中後能力障害である、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
障害、疾患又は症状が、中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に応答性である、ヒトを包含する、生きている動物体の疾患又は障害又は症状の治療、予防又は緩和のための方法であって、その方法が請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物又は任意のその立体異性体又はそれらの立体異性体の任意の混合物又はその製薬的に許容できる塩の治療的に有効な量を、前記治療、予防又は緩和を必要としているそのような生きている動物体に投与する工程を含む、上記方法。
【請求項18】
医薬として使用するための、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物、任意のその立体異性体又はそれらの立体異性体の任意の混合物又はその製薬的に許容できる塩。
【請求項19】
疾患、障害又は症状が、中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に応答性である、ヒトを包含する、哺乳動物の疾患又は障害又は症状の治療、予防又は緩和における使用のための、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物、任意のその立体異性体又はそれらの立体異性体の任意の混合物又はその製薬的に許容できる塩。

【公表番号】特表2011−504909(P2011−504909A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535373(P2010−535373)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際出願番号】PCT/EP2008/066296
【国際公開番号】WO2009/068595
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(505377201)ノイロサーチ アクティーゼルスカブ (135)
【Fターム(参考)】