説明

新規なシリコーン誘導体

【課題】水を含む組成物中においても乳化安定性が高く、シリコーンに比べて、高極性無機化合物や毛髪や皮膚といった生体組織、繊維等の各種基材への親和性が高いシリコーン誘導体を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表わされるシリコーン誘導体。


(一般式(1)において、2n+2個のXのうち少なくとも一つは、一般式−A−Qmで表わされ、その他のX及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜22のアルキル基、若しくはアルコキシ基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数6〜22のアリール基、ポリエーテル基又は水酸基であり、nは0〜300000の整数である。Aは、窒素原子を有する炭化水素基でありQはアミノ酸誘導物基からなりmは1〜10の整数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーン誘導体及びシリコーン誘導体を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーンは、低分子間相互作用、低反応性、無害かつ低刺激性、低摩擦係数、低粘度、高潤滑性、高展延性、高絶縁性等、様々な利点を有する汎用素材である。そのためシリコーンは、繊維処理剤、離型剤、溌水剤、樹脂改質剤、塗料添加剤、電気絶縁剤、熱媒、グリース・コンパウンド、機械用オイル、整泡剤、消泡剤などの各種工業用品や、医薬品、化粧品等様々な用途で用いられている。
しかし、シリコーンを用いた場合、安定な乳化物を調製することが難しいという問題がある。また、シリコーンは、高極性無機化合物や、毛髪又は皮膚といった生体組織、繊維等の基材又は基質表面に対する濡れ性や吸着性が著しく低いという問題もある。これらの問題点に対して、アミノ変性シリコーンが提案され、様々な検討がなされている。
【0003】
特許文献1では、特定のリジン誘導体変性シリコーンと、シリコーン油と、水とを含む油中水型乳化組成物の発明が開示され、乳化安定性が向上することが記載されている。
特許文献2では、ポリオキシアルキレン化合物とシリコーン化合物とを付加反応させた化合物の発明が開示され、シリコーン油に対する乳化安定性が優れていることが記載されている。
特許文献3では、特定のアシル酸性アミノ酸モノシリコーンステロールエステルの発明が開示され、感触が優れていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−169130号公報
【特許文献2】特開2001−039819号公報
【特許文献3】国際公開第2010/114175号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1及び2に記載の化合物では、シリコーンの乳化安定性は、未だ十分ではない。さらに、シリコーン化合物はアルカリや熱に対して、安定性が高ければ、様々な用途・処方に使用でき、例えば一般的に、化粧品用途に使用する際は、弱アルカリ性の処方をすることもあり、原料によっては熱をかける場合もあるが、特許文献3に記載の化合物では、このような安定性が不十分であった。加えて、水と油の両方に対する親和性が高いシリコーン化合物は、未だ得られていない。本発明の課題は、乳化安定性が高く、化合物の安定性が高く、水と油の両方に対する親和性が高く、かつ皮膚刺激性が低い新規なシリコーン誘導体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題に対し鋭意検討した結果、特定の構造を有するシリコーン誘導体が、乳化安定性が高く、安定性が高く、水と油の両方に対する親和性が高く、皮膚刺激性が低いことを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明は、下記の通りである。
[1] 一般式(1)で表わされるシリコーン誘導体。
【化1】


(一般式(1)において、2n+2個のXのうち少なくとも一つは、一般式(2)で表わされ、その他のX及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜22のアルキル基、若しくはアルコキシ基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数6〜22のアリール基、ポリエーテル基、又は水酸基であり、nは0〜300000の整数である。)
【化2】


(一般式(2)において、Aは、窒素原子を有する炭化水素基であり、Qは、一般式(3)で表わされ、mは1〜10の整数である。)
【化3】


(一般式(3)において、Rは炭素数1〜23の炭化水素基であり、Rは水素又は炭素数1〜3の炭化水素基であり、Yはカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基又はそれらの塩であり、j、kはそれぞれ独立に0、1又は2のいずれかの整数であって、j、kは同時に0ではない。)
[2] 一般式(2)が、一般式(4)である[1]に記載のシリコーン誘導体。
【化4】


(一般式(4)において、R、R、Y、j、kは一般式(3)と同様であり、Rは炭素数1〜22の炭化水素基であり、−Z−は−NR’−(R’は水素又は炭素数1〜10の炭化水素基である。)を示す。)
[3] 一般式(5)〜(8)のいずれか一つにより表わされる[2]に記載のシリコーン誘導体。
【化5】


(一般式(5)において、X’はいずれも一般式(4)で表わされ、nは0〜300000の整数である。)
【化6】


(一般式(6)において、X’は一般式(4)で表わされ、Rは、炭素数1〜22のアルキル基、若しくはアルコキシ基、炭素数2〜22のアルケニル基、又は炭素数6〜22のアリール基であり、nは0〜300000の整数である。)
【化7】


(一般式(7)において、2n個のX’のうち少なくとも一つが、一般式(4)で表わされ、その他のX’及びR’は、炭素数1〜22のアルキル基、若しくはアルコキシ基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数6〜22のアリール基、ポリエーテル基、又は水酸基であり、nは0〜300000の整数である。)
【化8】


(一般式(8)において、X’はいずれも一般式(4)で表わされ、2n個のX’’のうち少なくとも一つが、一般式(4)で表わされ、その他のX’’は、炭素数1〜22のアルキル基、若しくはアルコキシ基、炭素数2〜22のアルケニル基、又は炭素数6〜22のアリール基であり、nは0〜300000の整数である。)
[4] 一般式(2)が、一般式(9)である[1]に記載のシリコーン誘導体。
【化9】


(一般式(9)において、R、R、Y、j、kは一般式(3)と同様であり、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜22の炭化水素基である。)
[5] Rが水素であり、Yがカルボキシル基である[1]〜[4]のいずれかに記載のシリコーン誘導体。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載のシリコーン誘導体と、シリコーンとを含む組成物。
[7] [1]〜[5]のいずれかに記載のシリコーン誘導体と、N−アシルアミノ酸型界面活性剤とを含む組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明のシリコーン誘導体は、乳化安定性が高く、安定性が高く、水と油の両方に対する親和性が高く、皮膚刺激性が低いという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、下記一般式(1)で表わされるシリコーン誘導体である。
【化10】


(一般式(1)において、2n+2個のXのうち少なくとも一つは、一般式(2)で表わされ、その他のX及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜22のアルキル基、若しくはアルコキシ基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数6〜22のアリール基、ポリエーテル基、又は水酸基であり、nは0〜300000の整数である。)
【化11】


(一般式(2)において、Aは、窒素原子を有する炭化水素基であり、Qは、一般式(3)で表わされ、mは1〜10の整数である。)
【化12】


(一般式(3)において、Rは炭素数1〜23の炭化水素基であり、Rは水素又は炭素数1〜3の炭化水素基であり、Yはカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基又はそれらの塩であり、j、kはそれぞれ独立に0、1又は2のいずれかの整数であって、j、kは同時に0ではない。)
【0009】
まず一般式(1)について説明する。一般式(1)において、2n+2個のXのうち、1つ以上が、上記一般式(2)で表わされる。そして、一般式(2)で表されるX以外のX(以下、その他のXと称することにする。)及びRは、炭素数1〜22のアルキル基、若しくはアルコキシ基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数6〜22のアリール基、ポリエーテル基、又は水酸基を表わす。
具体的には、炭素数1〜22のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、トリフルオロプロピル等が挙げられる。
炭素数1〜22のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、フェノキシ基等が挙げられる。
炭素数2〜22のアルケニル基としては、ビニル基やアリル基が挙げられる。
炭素数6〜22のアリール基としては、フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。
ポリエーテル基とは、主鎖にエーテル結合を有する直鎖状の高分子の総称であり、ポリアルキレンオキシド、ポリフェニレンオキシド等が挙げられる。
【0010】
その他のX及びRとしては、炭素数1〜12のアルキル基、若しくはアルコキシ基、炭素数2〜12のアルケニル基、又は炭素数6〜12のアリール基、ポリアルキレンオキシドが好ましい。より好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基又はフェニル基であり、さらに好ましくはメチル基、プロピル基又はフェニル基である。このうち、汎用性及び価格の点からはメチル基が、特に好ましい。耐熱性の点からはフェニル基が、特に好ましい。
また、上述のその他のX及びRにおいては、水素がフッ素置換されていてもよい。また、その他のX及びRは、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基又はそれらの塩等などの置換基を有していてもよく、これらの置換基を有することによって弱酸性での溶解性が向上する。
さらに、その他のX及びRはフェニル基、フェノール基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基(炭素数0〜14)、イミノ基、(アミノエチル)アミノ基、(ジメチルアミノエチル)アミノ基、ポリオキシアルキレン基、メルカプト基、及びエポキシ基等の置換基を有していてもよい。これらの置換基は、後述する製造方法において、変性オルガノポリシロキサンが有する官能基が、未反応のまま残ったものである。
一般式(1)中のnは0〜300000の整数である。また、一般式(1)で表されるシリコーン誘導体の分子量としては、通常50〜10,000,000である。
【0011】
次に一般式(2)について説明する。一般式(2)において、Aは、窒素原子を有する炭化水素基である。一般式(2)におけるAは、一般式(3)で表わされるQを、シリコーン化合物に結合させるための結合部に相当する。Aの窒素原子はQと直接結合する。窒素原子が、直接Qと結合しているため、結合が強固となり、化合物としての安定性が高い。そのため、高温や、酸・アルカリの環境下においても、本発明のシリコーン誘導体は、高い乳化安定性を奏することができる。一般式(2)において、mは1〜10である。すなわち、Aにはm個のQが結合している。具体例として、下記にmが1の場合(式(2−1))と、mが2の場合(式(2−2))を示す。なお、mは1〜3が好ましい。より好ましくはmは、1又は2である。
【化13】

【0012】
次に一般式(3)について説明する。一般式(3)において、Rは、炭素数1〜23の炭化水素基を表わす。好ましくは、炭素数が7から17の炭化水素基であり、より好ましくは、炭素数が11から17の炭化水素基である。Rは、直鎖、分岐鎖、又は環状鎖(芳香族炭化水素鎖)のいずれでもよく、置換基を有していてもよい。好ましくは、直鎖である。また、当該炭化水素基は飽和でも不飽和でも使用できるが、飽和であるのが好ましい。
一般式(3)中のRは、水素、又は炭素数1〜3の炭化水素基を表わす。Rが炭素数1〜3の炭化水素基の場合、置換基としてカルボキシル基又はスルホン酸基を有してもよい。炭素数1〜3の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシ(イソ)プロピル基、ジヒドロキシ(イソ)プロピル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基及びスルホエチル基等を挙げることができる。好ましくは、水素である。
【0013】
一般式(3)中のYはカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基又はそれらの塩を表わす。好ましくは、カルボキシル基又はその塩である。
Yが塩である場合、上記カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、又はリン酸エステル基とともに、塩を形成する塩基性物質として、アルキル金属、アルカリ土類金属等が挙げられ、アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム及びリチウム等の金属が挙げられ、アルカリ土類金属としては、カルシウム及びマグネシウム等の金属が挙げられる。また、それ以外の金属として、アルミニウム、亜鉛、鉄、コバルト、チタン、ジルコニウム、及び銀が挙げられる。
【0014】
また、金属以外の塩基性物質としては、特に限定されないが、有機アミン塩、塩基性アミノ酸塩等が挙げられ、有機アミン塩としては、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びトリイソプロパノールアミン等の塩が挙げられ、塩基性アミノ酸塩としては、アルギニン及びリジンの塩が挙げられる。その他にも、アンモニウム塩や多価金属塩等が挙げられる。
また、Yは上記した塩から任意に選ばれる2種以上の塩を含むことができる。
一般式(3)中、j、kはそれぞれ独立に0、1、2のいずれかを表わすが、j、kは同時に0ではない。なお、一般式(1)中のXは、それぞれ異なっていても同一でもよい。Rについても同様に、それぞれ異なっていても同一でもよい。
【0015】
本発明のシリコーン誘導体は、一般式(1)で表わされ、Aに結合するm個のQは、それぞれ、親水基であるYを有している。そのため、本発明のシリコーン誘導体は、シリコーンの特性を有しつつ、かつ、水との親和性が高い。したがって、本発明のシリコーン誘導体は、水を含む組成物中においても乳化安定性が高い。
加えて、本発明のシリコーン誘導体は、シリコーンに比べて、高極性無機化合物や毛髪や皮膚といった生体組織、繊維等の各種基材への親和性が高い。以下に、本発明のシリコーン誘導体の好ましい態様を説明する。
【0016】
一般式(4)について説明する。
本発明は、一般式(2)が、下記一般式(4)で表されるシリコーン誘導体であることが好ましい。
【化14】


(一般式(4)において、R、R、Y、j、kは一般式(3)と同様であり、Rは炭素数1〜22の炭化水素基であり、−Z−は−NR’−(R’は水素又は炭素数1〜10の炭化水素基である。)を示す。)
一般式(4)は、一般式(2)において、Aとmを特定したものである。
は、炭素数1〜22の炭化水素基を表わし、好ましくは炭素数1〜18の炭化水素基である。Rは直鎖、分枝鎖、環状鎖のいずれでもよく、置換基を有していてもよい。また、Rはフッ素置換されていてもよい。
【0017】
−Z−は、−NR’−(R’は水素または炭素数1〜10の炭化水素基を表わす。)である。−Z−が、−NR’であることにより、結合が強固となるため、化合物としての安定性が高い。そのため、高温や、酸・アルカリの環境下においても、結合が切れることがなく、本発明のシリコーン誘導体は、高い乳化安定性を奏すことができ、また、臭気も抑制できる。特に、−Z−が−NH−であると、化合物の安定性の観点から、好ましい。
【0018】
次に一般式(5)〜(8)について説明する。
本発明は、一般式(5)〜(8)のいずれかで表されるシリコーン誘導体であることがより好ましい。
【化15】


(一般式(5)において、X’はいずれも一般式(4)で表わされ、nは0〜300000の整数である。)
【化16】


(一般式(6)において、X’は一般式(4)で表わされ、Rは、炭素数1〜22のアルキル基、若しくはアルコキシ基、炭素数2〜22のアルケニル基、又は炭素数6〜22のアリール基であり、nは0〜300000の整数である。)
【化17】


(一般式(7)において、2n個のX’のうち少なくとも一つが、一般式(4)で表わされ、その他のX’及びR’は、炭素数1〜22のアルキル基、若しくはアルコキシ基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数6〜22のアリール基、ポリエーテル基、又は水酸基であり、nは0〜300000の整数である。)
【化18】


(一般式(8)において、X’はいずれも一般式(4)で表わされ、2n個のX’’のうち少なくとも一つが、一般式(4)で表わされ、その他のX’’は、炭素数1〜22のアルキル基、若しくはアルコキシ基、炭素数2〜22のアルケニル基、又は炭素数6〜22のアリール基であり、nは0〜300000の整数である。)
【0019】
一般式(5)〜(8)から選ばれる式で表されるシリコーン誘導体は、一般式(2)を一般式(4)により特定し、さらに、前記一般式(1)において、2n+2個のXの中で、一般式(4)で表わされるXの位置を特定したものである。
一般式(5)で表わされるシリコーン誘導体は、シリコーンの両末端に、一般式(4)で表わされるX’を有する両末端型のシリコーン誘導体である。
一般式(6)で表わされるシリコーン誘導体は、シリコーンの片末端に、一般式(4)で表わされるX’を有する片末端型のシリコーン誘導体である。
一般式(7)で表わされるシリコーン誘導体は、シリコーンの側鎖に、一般式(4)で表わされるX’を有する側鎖型のシリコーン誘導体である。
一般式(8)で表わされるシリコーン誘導体は、シリコーンの両末端と側鎖に、前記一般式(4)で表わされるX’及びX’’を有する側鎖両末端型のシリコーン誘導体である。
一般式(5)〜(8)において、CHは、フッ素置換されていてもよい。また、CHは、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基又はそれらの塩等などの置換基を有していてもよい。Rについても一般式(1)で述べた通り、置換基を有していてもよく、フッ素置換されていてもよい。
上記一般式(5)〜(8)で表されるシリコーン誘導体は、シリコーンの特性を有しつつ、かつ、水との親和性が高いので、乳化安定性が高く、また、高極性無機化合物や毛髪や皮膚といった生体組織、繊維等の各種基材への親和性が高い。
【0020】
次に一般式(9)について説明する。本発明は、前記一般式(2)が、一般式(9)で表されるシリコーン誘導体であることが好ましい。
【化19】


(一般式(9)において、R、R、Y、j、kは一般式(3)と同様であり、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜22の炭化水素基である。)
【0021】
一般式(9)は、一般式(2)において、Aとmを特定したものである。
一般式(9)において、R、R、Y、j、kについては、一般式(3)で述べた通りである。R、Rは、一般式(4)における、Rと同様である。
一般式(9)の部分を含む一般式(1)で表わされるシリコーン誘導体は、シリコーンの特性を有しつつ、かつ、親水基を有しているため水との親和性も高いので、乳化安定性が高く、また、高極性無機化合物や毛髪や皮膚といった生体組織、繊維等の各種基材への親和性が高い。
【0022】
次に本発明のシリコーン誘導体を含む組成物について説明する。
本発明の組成物は、前記一般式(1)で表されるシリコーン誘導体と、シリコーンとを含む。本発明のシリコーン誘導体は、シリコーンとの親和性が高いため、シリコーンを含む組成物において、シリコーンを安定に乳化させることができる。また、さらに水を含む組成物においても、本発明のシリコーン誘導体は、親水基を有しているため、シリコーンを安定に乳化させることができる。そのため、本発明の組成物は、乳化安定性が極めて高い。
【0023】
シリコーン(油)としては、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等)、環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)等が挙げられる。
【0024】
また、(A)本発明のシリコーン誘導体と、(B)N−アシルアミノ酸型界面活性剤とを含む組成物は、皮膚への刺激性が小さく、かつ、低濃度でも非常に優れた界面活性作用を有する。
本発明において、(B)N−アシルアミノ酸型界面活性剤のN−アシルアミノ酸とは、アミノ酸のアミノ基に、炭素数2〜24の飽和又は不飽和の脂肪酸から誘導されるアシル基を導入したものである。N−アシルアミノ酸中のアミノ酸残基はα−アミノ酸、β−アミノ酸、γ−アミノ酸やω−アミノ酸等各種アミノ酸であり、アミノ基はN−メチル体、N−エチル体であってもよい。また光学異性体すなわちD−体、L−体、ラセミ体のいずれでもよい。
【0025】
アミノ酸の具体例としては、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、アラニン、ランチオニン、β−メチルランチオニン、シスタチオニン、ジエンコール酸、フェリニン、アミノマロン酸、β−オキシアスパラギン酸、α−アミノ−α−メチルコハク酸、β−オキシグルタミン酸、γ−オキシグルタミン酸、γ−メチルグルタミン酸、γ−メチレングルタミン酸、γ−メチル−γ−オキシグルタミン酸、α−アミノアジピン酸、α,α’−ジアミノアジピン酸、β,β’−ジアミノアジピン酸、α−アミノ−γ−オキシアジピン酸、α−アミノピメリン酸、α−アミノ−γ−オキシピメリン酸、β−アミノピメリン酸、α−アミノスベリン酸、α−アミノセバシン酸、パントテン酸等である。
【0026】
アシル基の具体例としては、炭素原子数2〜24の飽和又は不飽和の脂肪酸から誘導されるものであればよく、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。
【0027】
N−アシルアミノ酸は、N−アシル−L−アミノ酸であることが生分解性の点から好ましい。
本発明の組成物において、(A)本発明のシリコーン誘導体と、(B)N−アシルアミノ酸型界面活性剤とを、(A)/(B)の質量比が、1/100〜100/1の組成で含有するものが好ましい。前記範囲であれば、皮膚などへの刺激性がより小さく、かつ、低濃度でもさらに優れた界面活性作用がある。
【0028】
次に本発明のシリコーン誘導体の水溶液について説明する。
本発明のシリコーン誘導体は、そのままでも用途に応じて用いることができるが、水溶液の状態としても用いることができる。組成物の性質や状態によっては、常温で固体として取り扱うことが困難な場合もあり、その場合には水溶液として取り扱うことが好ましい。本発明のシリコーン誘導体を含有する水溶液は、シリコーン誘導体と塩基性物質との間に塩を形成させることで(中和)調製することができる。
本発明のシリコーン誘導体の水溶液における、シリコーン誘導体の含有量(濃度)は、その用途に応じて適宜調整することができる。好ましくは、0.001〜99.999wt%の濃度範囲であり、より好ましくは0.01〜80wt%の濃度範囲内で使用することができる。
また、このシリコーン誘導体の水溶液中に、さらにその他の界面活性剤、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤を適宜含有してもよい。
【0029】
以下で、本発明のシリコーン誘導体の製造方法について説明する。
前記一般式(1)で示されるシリコーン誘導体の製造方法としては、下記一般式(10)で示されるN−アシル酸性アミノ酸無水物と、アミノ基を1つ以上有する変性オルガノポリシロキサン化合物とを、無溶媒で又は溶媒存在下に室温〜250℃で反応させることにより得ることができる。
【化20】


(一般式(10)において、Rは炭素数1〜23の炭化水素基を表わし、Rは水素又は炭素数1〜3の炭化水素基を表わし、j、kは0、1、2のいずれかであり、かつj、kは同時に0ではない。)
【0030】
原料として使用される一般式(10)で示されるN−アシル酸性アミノ酸無水物とは、酸性アミノ酸がN−アシル化された無水物である。N−アシル酸性アミノ酸無水物は、光学異性体であるD−体、L−体、ラセミ体のいずれであってもよい。特に、L−体であるL−酸性アミノ酸が、生分解性に優れることから好ましい。
酸性アミノ酸は、分子中に存在するカルボキシル基の数がアミノ基より多いものである。例えば、カルボキシル基とアミノ基の数がそれぞれ2個と1個であるモノアミノジカルボン酸などが挙げられる。アミノ基の水素は、炭素数1〜3の炭化水素基で置換されていてもよい。
酸性アミノ酸の具体例としては、N−アシルグルタミン酸、アスパラギン酸、ランチオニン、β−メチルランチオニン、シスタチオニン、ジエンコール酸、フェリニン、アミノマロン酸、β−オキシアスパラギン酸、α−アミノ−α−メチルコハク酸、β−オキシグルタミン酸、γ−オキシグルタミン酸、γ−メチルグルタミン酸、γ−メチレングルタミン酸、γ−メチル−γ−オキシグルタミン酸、α−アミノアジピン酸、α−アミノ−γ−オキシアジピン酸、α−アミノピメリン酸、α−アミノ−γ−オキシピメリン酸、β−アミノピメリン酸、α−アミノスベリン酸、α−アミノセバシン酸、パントテン酸等である。これらの中でも、酸性アミノ酸がL−酸性アミノ酸である場合が、生分解性が特に優れることから好ましい。
【0031】
また原料として使用される、アミノ基を1つ以上有する変性オルガノポリシロキサン化合物としては、例えば、アミノ変性オルガノポリシロキサンなどが挙げられる。アミノ変性オルガノポリシロキサンを用いると、本発明のシリコーン誘導体の生成純度、安定性が向上する。なお、変性部位は両末端、片末端、側鎖型、側鎖両末端型のいずれでもよい。
前記変性オルガノポリシロキサン化合物は、アミノ基に由来する結合を作ることができ、アミノ基により酸アミド結合が作られる。この結合が、前記一般式(2)における−A−に相当する。
また、変性オルガノポリシロキサン化合物は上記した官能基以外の置換基を有していてもよい。さらに、変性オルガノポリシロキサン化合物は、光学異性体であるD−体、L−体、ラセミ体のいずれであってもよく、各異性体であってもよい。
【0032】
アミノ基から選ばれる官能基を1つ以上有する変性オルガノポリシロキサン化合物の具体例としては、アミノ変性オルガノポリシロキサン(信越シリコーン;KF−868,KF−865,KF−864,KF−859,KF−393,KF−860,KF−877,KF−880,KF−8004,KF−8002,KF−8005,KF−867,X−22−3820W,KF−869,KF−861,X−22−3939A,PAM−E,KF−8010,X−22−161A,X−22−161B,KF−8012,KF−8008,X−22−1660B−3,KF−857,KF−8001,KF−862,X−22−9192,KF−858、東レ・ダウコーディング;BY16−205,FZ−3760,SF8417,BY16−849,BY16−892,FZ−3785,BY16−872,BY16−213,BY16−203,BY16−898,BY16−890,BY16−891,BY16−893,BY16−871,BY16−853U、チッソ;FM−3311,FM−3321,FM−3325、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ;TSF4702,TSF4703,TSF4704,TSF4705,TSF4706,TSF4707,TSF4708,TSF4709,XF42−B1989,XF42−B8922,XF42−C0330,XF49−C1109,SILSOFT A−553,SILSOFT A−843,SILSOFT A−858,XF42−A3335、旭化成ワッカーシリコーン;WACKER L652,WACKER L653,WACKER L655,WACKER L656,WACKER FINISH WR1100,WACKER FINISH WR1200,WACKER FINISH WR1300,WACKER FINISH WR1600,WACKER FINISH WT1250,WACKER FINISH WT1650など)等が挙げられる。
【0033】
N−アシル酸性アミノ酸無水物と変性オルガノポリシロキサン化合物とを反応させる際、溶媒を使用してもよい。反応の際に使用する溶媒としては、水、水と有機溶媒との混合溶媒、又はテトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、四塩化炭素、クロロホルム及びアセトン等の不活性溶媒が挙げられる。反応温度としては、−5℃〜200℃、かつ上記化合物の融点以上の温度で混合し、反応させることが好ましい。
一般式(1)で示される化合物の別の製造方法としては、N−アシル酸性アミノ酸無水物ではなくN−アシル酸性アミノ酸モノ低級エステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル)と、前記変性オルガノポリシロキサン化合物とを反応させることによっても得られる。
N−アシル酸性アミノ酸モノ低級エステルと変性オルガノポリシロキサン化合物とを、ジメチルホルムアミド等の適当な溶媒中に溶解し、炭酸カリウム等の触媒を加え、減圧下において−5℃〜250℃で加熱反応させた後、反応溶媒を除去することで得られる。または、溶媒を用いずに無溶媒で加熱溶融し、水酸化ナトリウム等の触媒を加えて室温〜250℃でエステル交換反応させることによっても得ることもできる。この場合に用いるN−アシル酸性アミノ酸モノ低級エステルは、N−アシル−L−酸性アミノ酸モノ低級エステルであることが好ましい。
【0034】
あるいは、シリコーン誘導体は、前記一般式(10)で示されるN−アシル酸性アミノ酸無水物と、変性オルガノポリシロキサン化合物とをいずれかの融点以上の温度で、又はテトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、四塩化炭素、クロロホルム、アセトン等の不活性溶媒を使用して−5〜200℃で混合して反応させることで得ることもできる。
この場合に用いるN−アシル酸性アミノ酸無水物も、N−アシル−L−酸性アミノ酸無水物であることが好ましい。ここで、N−アシル酸性アミノ酸無水物は、N−アシル酸性アミノ酸と脱水剤、例えば、無水酢酸等の無水カルボン酸等とを反応することにより得ることができる。
【0035】
前記一般式(1)で示される化合物の別の製造方法としては、N−アシル酸性アミノ酸無水物ではなくN−アシル酸性アミノ酸と、前記変性オルガノポリシロキサン化合物とを反応させることによっても得られる。
N−アシル酸性アミノ酸と変性オルガノポリシロキサン化合物とを、トルエン等の適当な溶媒中に溶解し、必要に応じ触媒を加え、−5℃〜250℃で加熱反応させた後、反応溶媒を除去することで得られる。または、溶媒を用いずに無溶媒で加熱溶融し、必要に応じ触媒を加えて室温〜250℃で反応させることによっても得ることもできる。この場合に用いるN−アシル酸性アミノ酸は、N−アシル−L−酸性アミノ酸であることが好ましい。
【0036】
さらに、上述の方法で得られたシリコーン誘導体をアルカリで中和することによって、そのアルカリ塩を得ることができる。これらの方法で得られるシリコーン誘導体は、適宜精製手段により一般式(1)で示されるシリコーン誘導体を単離することができる。
以下で、具体的に例を示して、本発明のシリコーン誘導体の製造における反応を説明する。
例えば下記一般式(11)で表されるシリコーン誘導体は、前記一般式(10)のN−アシル酸性アミノ酸無水物と、アミノ変性オルガノポリシロキサンとを反応させることで製造できる。
【化21】

【0037】
本発明のシリコーン誘導体およびその組成物の用途の代表例としては、例えば工業用洗浄剤及び処理剤原料、家庭用(衣料、台所、住居、食器等)洗剤原料、香粧品原料、皮膚外用剤原料、食品用原料、医薬品用原料、乳化(重合)用原料、農薬用原料、繊維加工用原料(精錬剤、染色助剤、柔軟剤、撥水剤)、防汚加工剤、コンクリート用混和剤、印刷インキ用原料、潤滑油用原料、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、分散剤、脱墨剤、表面処理剤等を挙げられる。
これらの用途は、本発明の特徴の一つである皮膚などへの低刺激性、および低濃度での界面活性能、生分解性を活かした有用な用途と言える。これらの用途に使用される場合、本発明は用途に応じて配合組成物(洗浄剤組成物、または香粧品組成物等)として調製される。配合組成物中における本発明品の配合量は特に限定されず、その用途に応じて配合される。好ましくは、0.001〜99.999wt%であり、より好ましくは0.01〜80wt%の範囲である。
【0038】
以下で、より詳細に本発明のシリコーン誘導体の用途について説明する。
本発明の用途である香粧品原料および皮膚外用剤原料について説明する。
本発明に於ける香粧品とは、薬事法に言う医薬部外品および化粧品の総称である。具体的には、医薬部外品、化粧品、清浄用化粧品、頭髪用化粧品、基礎化粧品、メークアップ化粧品、香水類、日焼け・日焼け止め化粧品、爪化粧品、口唇化粧品、口腔化粧品、浴用化粧が挙げられる。
医薬部外品としては、口中清涼剤、腋臭防止剤、てんか粉類、養毛剤、除毛剤、染毛剤、パーマネントウェーブ用剤、浴用剤、薬用化粧品、薬用歯磨き類などを列挙することができる。
化粧品としては、清浄用化粧品、頭髪用化粧品、基礎化粧品、メークアップ化粧品、香水類、日焼け・日焼け止め化粧品、爪化粧品、口唇化粧品、口腔化粧品、浴用化粧品等が挙げられる。
【0039】
清浄用化粧品としては、化粧石鹸、洗顔料(クリーム・ペースト状、液・ジェル状、顆粒・粉末状、エアゾール使用など)、シャンプー、リンス等が挙げられる。
頭髪用化粧品としては、染毛料、ヘアトリートメント剤(クリーム状、ミスト状、オイル状、ジェル状その他の形態の物および枝毛コート剤を含む)、ヘアセット剤(髪油、セットローション、カーラーローション、ポマード、チック、びんつけ油、ヘアスプレー、ヘアミスト、ヘアリキッド、ヘアフォーム、ヘアジェル、ウォーターグリース)等が挙げられる。
基礎化粧品としては、一般クリーム、乳液(クレンジングクリーム、コールドクリーム、バニシングクリーム、ハンドクリームなど)、ひげ剃り用クリーム(アフターシェービングクリーム、シェービングクリームなど)、化粧水(ハンドローション、一般化粧水など)、オーデコロン、ひげ剃り用ローション(アフターシェービングローション、シェービングローションなど)、化粧油、パック等が挙げられる。
メークアップ化粧品としては、おしろい(クリームおしろい、固形おしろい、粉おしろい、タルカムパウダー、練りおしろい、ベビーパウダー、ボディパウダー、水おしろいなど)、パウダー、ファンデーション(クリーム状、液状、固形など)、ほお紅、まゆずみ、アイクリーム、アイシャドウマスカラ、アイライナー等が挙げられる。
【0040】
香水類としては、一般香水、練り香水、粉末香水等が挙げられる。
日焼け・日焼け止め化粧品としては、日焼け・日焼け止めクリーム、日焼け・日焼け止めローション、日焼け・日焼け止めオイル等が挙げられる。
爪化粧品としては、爪クリーム、エナメル、エナメル除去液等が挙げられる。
口唇化粧品としては、口紅、リップクリーム等が挙げられる。
口腔化粧品としては、歯磨き等が挙げられる。
浴用化粧としては、バスソルト、バスオイル、バブルバス等が挙げられる。
【0041】
特に、本発明は、清浄用化粧品、頭髪用化粧品、基礎化粧品、メークアップ化粧品に用いることが好ましい。
また、本発明は、通常香粧品に用いられる各種の添加剤と併用することができる。添加剤としては、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、高分子界面活性剤、油脂、炭化水素、ロウ、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、揮発性又は不揮発性の油分、保湿剤、水溶性及び油溶性高分子、増粘・増泡成分、金属イオン封鎖剤、防腐剤、pH調整剤、ふけ・かゆみ防止剤、紫外線吸収剤、美白剤、血行促進剤、局所刺激剤、抗炎症剤、収斂剤、清涼剤、酸化防止剤が上げられ、具体的には、以下のものが挙げられる。
【0042】
アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩(石鹸)、アルキル硫酸エステル塩(AS)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(AES)、アルファ−オレフィンスルホン酸塩(AOS)、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩(SAS)、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルファースルホン化脂肪酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシル−N−メチルタウリン塩、硫酸化油脂、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、ナフタリンスルフォン酸塩ホルマリン縮合物等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン類、アルキルアミドベタイン類、アルキルスルホベタイン類、イミダゾリニウムベタイン類等が挙げられる。
【0043】
ノニオン性界面活性剤としては、脂肪酸アルキロールアミド、アルキルアミンオキサイド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステル等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、第1〜第3級脂肪アミン塩、塩化アルキルアンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、ジアルキルモルフォリニウム塩等が挙げられる。
高分子界面活性剤としては、アルギン酸ナトリウム、デンプン誘導体、トラガントゴム等が挙げられる。天然界面活性剤としては、レシチン、ラノリン、コレステロール、サポニン等が挙げられる。
【0044】
油脂としては、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ油、ゴマ油、サフラワー油、大豆油、椿油、パーシック油、ひまし油、ミンク油、綿実油、モクロウ、ヤシ油、卵黄油、パーム油、パーム核油、合成トリグリセライド等が挙げられる。
炭化水素としては、流動パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、イソパラフィン等が挙げられる。
ロウとしては、ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナバロウ、キャンデリラロウおよびその誘導体等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、ウンデシレン酸、ラノリン脂肪酸、硬質ラノリン脂肪酸、軟質ラノリン脂肪酸等が挙げられる。
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール、水添ラノリンアルコール、へキシルデカノール、オクチルドデカノール等が挙げられる。
エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル等が挙げられる。
【0045】
揮発性又は不揮発性の油分としては、金属石鹸、ストレートシリコーン油、変成シリコーン油等のシリコーン類等が挙げられる。
ポリオール類としては、グリセリン、1,3−ブタンジオール、プロパンジオール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
保湿剤としては、トリメチルグリシン、ソルビトール、ピロリドンカルボン酸塩類、乳酸塩類、ヒアルロン酸塩類等が挙げられる。
水溶性及び油溶性高分子としては、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸塩、グアーガム、ローカストビンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体、両性メタクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム、ポリアクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、シリコーンレジン等が挙げられる。
【0046】
増粘・増泡成分としては、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルメチルグリコシド、テトラデセンスルホン酸塩等が挙げられる。
金属イオン封鎖剤としては、エチレンジアミン四酢酸およびその塩類、ヒドロキシエチレンジアミン3酢酸およびその塩類、リン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルコン酸、ポリリン酸塩類、メタリン酸塩、ヒノキチール類等が挙げられる。
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル類、安息香酸およびその塩類、フェノキシエタノール、ヒノキチール等が挙げられる。
pH調整剤としては、クエン酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等が挙げられる。
【0047】
ふけ・かゆみ防止剤としては、その他トリクロロルカルバニリド、サリチル酸、ジンクピリチオン、イソプロピルメチルフェノール等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキシ桂皮酸誘導体、サリチル酸誘導体等が挙げられる。
美白剤としては、アルブチン、コウジ酸、アスコルビン酸、ヒノキチールおよびその誘導体等が挙げられる。
【0048】
血行促進剤としては、センブリエキス、セファランチン、ビタミンEおよびその誘導体、ガンマーオリザノール等が挙げられる。
局所刺激剤としては、トウガラシチンキ、ショオウキョウチンキ、カンタリスチンキ、ニコチン酸ベンジルエステル等が挙げられる。
抗炎症剤としては、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸誘導体、アラントイン、アズレン、アミノカプロン酸、ヒドロコルチゾン等が挙げられる。
収斂剤としては、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、スルホ石炭酸亜鉛、タンニン酸等が挙げられる。
清涼剤としては、メントール、カンフル等が挙げられる。
酸化防止剤としては、高分子シリコーン、環状シリコーン等のシリコーン系物質、トコフェロール類、BHA、BHT、没食子酸、NDGA等が挙げられる。
【0049】
その他にも、各種ビタミンやアミノ酸などの栄養剤、抗ヒスタミン剤、女性ホルモン剤、毛根賦活剤、精製水等などを含むことができる。
特に、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンジオレイン酸メチルグルコシド、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、テトラデセンスルホン酸塩、ミリスチン酸塩類、ミリスチルジメチルアミンとの併用は粘度、起泡力を増加させる点で有用である。また、本発明と各両イオン性界面活性剤との併用は刺激性を一層低減させるという点に於いてきわめて有用である。その他、化粧品原料基準、化粧品種別成分配合規格に記載されているものも併用できる。また、上述の添加剤は、適宜2種以上併用できる。
本発明に於ける皮膚外用剤とは、医薬品、医薬部外品、又は化粧品等の分野にて、皮膚に適用される組成物を意味する。その剤型は、本発明の効果を失わない限り限定されない。皮膚外用剤の具体例としては、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、浴用剤等、従来皮膚外用剤に用いるものであればいずれでもよい。また、シート状基剤に担持されたものも含む。皮膚外用剤において、本発明のシリコーン誘導体は、皮膚外用剤の基剤に配合して利用される。
本発明における皮膚外用剤は、皮膚外用剤に用いられる成分を必要に応じて適宜配合し、目的とする剤形に応じて、製造される。上述の添加剤以外に、皮膚外用剤に用いられる成分としては、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、液体油脂、ロウ類、固体油脂、炭化水素油、固体油脂、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油が挙げられる。
【0050】
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸(以下PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル、N,N−ジメチルPABAメチルエステル等の安息香酸系紫外線吸収剤、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤、オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート、トリメトキシ桂皮酸メチルビス(トリメチルシロキサン)シリルイソペンチル等の桂皮酸系紫外線吸収剤、3−(4’−メチルベンジリデン)−d,1−カンファー、3−ベンジリデン−d,1−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン、ジモルホリノピリダジノン等が挙げられる。
紫外線散乱剤としては、酸化チタン、微粒子酸化チタン、酸化亜鉛、微粒子酸化亜鉛、酸化鉄、微粒子酸化鉄、酸化セリウム等の粉末が挙げられる。
これら紫外線散乱剤は、通常、針状、紡錘状、球状、粒状の粉末が使用される。また、粒子径が0.1μm以下の微粒子粉末が好ましい。
【0051】
メチルハイドロジェンポリシロキサンやシランカップリング剤などのシリコーン処理、金属石鹸処理、パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩やパーフルオロアルキルシラン等のフッ素処理、デキストリン脂肪酸エステル処理等により、疎水化処理した紫外線散乱剤も好ましい。
液体油脂としては、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
固体油脂としては、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0052】
ロウ類としては、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
炭化水素油としては、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュワックス等が挙げられる。
【0053】
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
高級アルコールとしては、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等)、分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、コハク酸2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンランダム重合体メチルエーテル等が挙げられる。
その他には、エタノール等の低級アルコール、ブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、フィチン等の酸化防止剤、安息香酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、ヘキサクロロフェン等の抗菌剤、アシルサルコシン酸(例えばラウロイルサルコシンナトリウム)、グルタチオン等の有機酸、ビタミンAおよびその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2およびその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15およびその誘導体等のビタミンB類、アスコルビン酸、アスコルビン酸硫酸エステル(塩)、アスコルビン酸リン酸エステル(塩)、アスコルビン酸ジパルミテート等のビタミンC類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、δ−トコフェロール、酢酸トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン等のビタミン類、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、γ−オリザノール、アラントイン、グリチルリチン酸(塩)、グリチルレチン酸およびその誘導体、ヒノキチオール、ビサボロール、チモール、イノシトール、サイコサポニン、ニンジンサポニン、ヘチマサポニン、ムクロジサポニン等のサポニン類、パントテニルエチルエーテル、エチニルエストラジオール、トラネキサム酸、アルブチン、セファランチン、プラセンタエキス等の各種薬剤、ギシギシ、クララ、コウホネ、オレンジ、セージ、ノコギリソウ、ゼニアオイ、センブリ、タイム、トウキ、トウヒ、バーチ、スギナ、ヘチマ、マロニエ、ユキノシタ、アルニカ、ユリ、ヨモギ、シャクヤク、アロエ、クチナシ、サワラ、セイヨウサンザシエキス、セイヨウオトギリソウエキス、アイリス・インエキス、アセンヤクエキス、イチョウ葉エキス、イブキジャコウエキス、ウイキョウエキス、ウーロン茶エキス、ウオーターリリーエキス、エイジツエキス、エンメイソウエキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オドリコソウエキス、カンゾウエキス、クチナシエキス、紅茶エキス、セイカリュウエキス、トルメンチラエキス、バラエキス、ヘチマエキス、ペパーミントエキス、ローズマリーエキス、ローヤルゼリーエキス等の植物の抽出物、色素、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキセチレンソルビタン、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリコールジエーテル、ラウロイルジエタノールアマイド、脂肪酸イソプロパノールアマイド、マルチトールヒドロキシ脂肪酸エーテル、アルキル化多糖、アルキルグルコシド、シュガーエステル等の非イオン性活性剤、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン性界面活性剤、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル、ロート油、リニアドデシルベンゼン硫酸、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油マレイン酸、アシルメチルタウリン等のアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、δ−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、フェノキシエタノール、パラベン等の防腐剤、α−ヒドロキシ酸、N,N,N−トリメチルグリシン(TMG)、L−セリン、マロン酸、またはコハク酸等の角質剥離剤等が挙げられる。
【実施例】
【0054】
以下で、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら限定させるものではない。本発明の実施例で用いる評価手段などは以下の通りである。
1)反応生成物の確認
H−NMR及び13C−NMRを用いて、反応生成物の確認を行った。
【0055】
2)シリコーン誘導体の評価
(A)反応率
実施例で得られるものに含まれる、前記一般式(1)で表わされるシリコーン誘導体の含有割合を求め、反応率とした。N−アシル酸性アミノ酸誘導体と、変性オルガノポリシロキサン化合物とが、全て反応した場合、反応率は100%である。未反応のN−アシル酸性アミノ酸誘導体がある場合、100%より低い反応率となる。以下の方法で行った。
GPCカラム(東ソー製、TSK−GEL G2000HXL(7.8mm×300mm)+TSK−GEL G1000HHR(7.8mm×300mm))を備えた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)において、溶離液としてTHFを用い、示差屈折率検出器(島津製作所製;RID−10A)を用いて各成分の分析を行った。
【0056】
(B)シリコーン誘導体の臭気
健常男子10人のパネラーが官能評価した。評価基準を以下に記す。
臭気がないとした人が7人以上の場合:○(良)
臭気がないとした人が4〜6人の場合:△(可)
臭気がないとした人が3人以下の場合:×(不可)
【0057】
(C)シリコーン誘導体の皮膚刺激性
健常男子10人のパネラーが1週間連続使用した後、皮膚刺激性の有無を評価した。評価基準を以下に記す。
刺激性がないとした人が7人以上の場合:○(良)
刺激性がないとした人が4〜6人の場合:△(可)
刺激性がないとした人が3人以下の場合:×(不可)
【0058】
(D)化合物安定性
シリコーン誘導体に水酸化ナトリウム水溶液を添加して、シリコーン誘導体の固形分が1%、pH9になるよう調整し、40℃で1ヶ月保管した。その後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、各成分の分析を行った。
シリコーン誘導体の安定性が崩れると、N−アシル酸性アミノ酸誘導体が増えるため、化合物安定性は全ピーク面積に対するN−アシル酸性アミノ酸誘導体に該当するピーク面積の割合の変化により、評価した。評価の基準は以下の通りである。
保管後にけるN−アシル酸性アミノ酸誘導体に該当するピーク面積の割合が、初期に対して0〜10%増加 :○(良)
保管後にけるN−アシル酸性アミノ酸誘導体に該当するピーク面積の割合が、初期に対して10%を超えて増加:×(不可)
【0059】
(E)シリコーン誘導体の着色度
健常男子10人のパネラーが目視評価した。評価基準を以下に記す。
白色〜淡黄色とした人が7人以上の場合:○(良)
白色〜淡黄色とした人が4〜6人の場合:△(可)
白色〜淡黄色とした人が3人以下の場合:×(不可)
【0060】
(F)乳化安定性
ポリジメチルシロキサン(6cst)50%、精製水49.97%、供試乳化剤0.03%の水溶液を全体で150gになるように調整し、ホモミキサーを用いて10000rpmで5分乳化した。乳化物を50℃で3日間放置し、乳化状態を観察した。水層と乳化層の2層を観測したときに、以下の基準で乳化安定性を評価した。
白濁の乳化物が確認でき、水層に油が確認されない状態:○(乳化できている)
乳化層の上部に透明な油が少量確認できる状態 :△(乳化が壊れかけている)
乳化層の上部に透明な油が大量に確認できる状態 :×(乳化できていない)
【0061】
実施例1
両末端アミノ変性シリコーン(信越シリコーン;KF−8010)70.0gをアセトン292.0g中で混合した。この混合溶液を攪拌しながら室温下でN−ラウロイル−L−グルタミン酸無水物55.2gを30分かけて添加し、3時間反応を実施した。24時間攪拌を継続した後、反応溶媒から溶媒を除去し、シリコーン誘導体124.0gを得た。反応生成物はNMRにより確認した。分析、評価結果を表1に示す。
【0062】
実施例2
両末端アミノ変性シリコーン(信越シリコーン;KF−8010)70.0gをアセトン222.3g中で混合した。この混合溶液を攪拌しながら室温下でN−ラウロイル−L−グルタミン酸無水物25.3gを30分かけて添加し、3時間反応を実施した。24時間攪拌を継続した後、反応溶媒から溶媒を除去し、シリコーン誘導体92.0gを得た。反応生成物はNMRにより確認した。分析、評価結果を表1に示す。
【0063】
実施例3
実施例1において、反応工程における条件を、N−ラウロイル−L−グルタミン酸無水物をN−ラウロイル−D−グルタミン酸無水物とした以外は実施例1と同じ条件で実施し、シリコーン誘導体124.2gを得た。反応生成物はNMRにより確認した。分析、評価結果を表1に示す。
【0064】
実施例4
両末端アミノ変性シリコーン(信越シリコーン;KF−8010)70.0gをアセトン313.4g中で混合した。この混合溶液を攪拌しながら常温下でN−パルミトイル−L−グルタミン酸無水物65.3gを30分かけて添加し、50℃下で3時間反応を実施した。さらに常温にて24時間攪拌を継続した後、反応溶媒から溶媒を除去し、シリコーン誘導体123.4gを得た。反応生成物はNMRにより確認した。分析、評価結果を表1に示す。
【0065】
実施例5
両末端アミノ変性シリコーン(信越シリコーン;KF−8010)65.0gをアセトン304.2g中で混合した。この混合溶液を攪拌しながら常温下でN−ステアロイル−L−グルタミン酸無水物65.4gを30分かけて添加し、50℃下で5時間反応を実施した。さらに常温にて24時間攪拌を継続した後、反応溶媒から溶媒を除去し、シリコーン誘導体120.4gを得た。反応生成物はNMRにより確認した。分析、評価結果を表1に示す。
【0066】
実施例6
側鎖型アミノ変性シリコーン(信越シリコーン;KF−868)2.0gをアセトン135.3g中で混合した。この混合溶液を攪拌しながら常温下でN−ラウロイル−L−グルタミン酸無水物56.0gを30分かけて添加し、50℃下で5時間反応を実施した。さらに常温にて24時間攪拌を継続した後、反応溶媒から溶媒を除去し、シリコーン誘導体57.7gを得た。反応生成物はNMRにより確認した。分析、評価結果を表1に示す。
【0067】
実施例7
側鎖両末端型アミノ変性シリコーン(信越シリコーン;KF−862)25.0gをアセトン265.4g中で混合した。この混合溶液を攪拌しながら常温下でN−ラウロイル−L−グルタミン酸無水物88.7gを45分かけて添加し、50℃下で5時間反応を実施した。さらに常温にて24時間攪拌を継続した後、反応溶媒から溶媒を除去し、シリコーン誘導体110.7gを得た。反応生成物はNMRにより確認した。分析、評価結果を表1に示す。
【0068】
比較例1
両末端カルビノール変性シリコーン(信越シリコーン;KF−6001)65.0gをアセトン210.0g中で混合した。この混合溶液を攪拌しながら50℃下でN−ミリストイル−L−グルタミン酸無水物25.0gを30分かけて添加し、5時間反応を実施した。さらに常温にて24時間攪拌を継続した後、反応溶媒から溶媒を除去し、シリコーン誘導体85.4gを得た。反応生成物はNMRにより確認した。分析、評価結果を表1に示す。
【0069】
比較例2
片末端カルビノール変性シリコーン(信越シリコーン;X−22−170BX)65.0gをアセトン176.9g中で混合した。この混合溶液を攪拌しながら50℃下でN−パルミトイル−L−グルタミン酸無水物10.8gを10分かけて添加し、5時間反応を実施した。さらに常温にて24時間攪拌を継続した後、反応溶媒から溶媒を除去し、シリコーン誘導体73.2gを得た。反応生成物はNMRにより確認した。分析、評価結果を表1に示す。
【0070】
比較例3
側鎖型メルカプト変性シリコーン(信越シリコーン;KF−2001)50.0gをアセトン274.3g中で混合した。この混合溶液を攪拌しながら50℃下でN−ラウロイル−L−グルタミン酸無水物67.6gを30分かけて添加し、5時間反応を実施した。さらに常温にて24時間攪拌を継続した後、反応溶媒から溶媒を除去し、シリコーン誘導体116.4gを得た。反応生成物はNMRにより確認した。分析、評価結果を表1に示す。
【表1】

【0071】
実施例1で得られたシリコーン誘導体と、実施例2で得られたシリコーン誘導体を用いて、N−アシル酸性アミノ酸誘導体/シリコーン官能基モル比率の算出と、着色度の評価を行った。その結果を表2に示す。
N−アシル酸性アミノ酸誘導体/シリコーン官能基モル比率とは、シリコーンが有する官能基と、アシルアミノ酸との比率を表わしている。1より大きいモル比率は、シリコーンが有する官能基よりアシルアミノ酸が多いことを示している。
実施例1では、N−アシル酸性アミノ酸誘導体/シリコーン官能基モル比率が約1であり、反応率が97%であるから、両末端アミノ変性シリコーンが有する官能基のほぼ全てが反応している。一方、実施例2では、N−アシル酸性アミノ酸誘導体/シリコーン官能基モル比率が約0.5であり、反応率が92%であるから、両末端アミノ変性シリコーンが有する官能基のうち、約半分、つまり片方の官能基がアシルアミノ酸と反応していることがわかる。
着色度の評価結果から、シリコーンが有する官能基のほぼ全てが反応している実施例1のシリコーン誘導体は、着色度がより良好であることが分かる。
【表2】

【0072】
実施例8〜14
実施例1〜7で得た組成物を水酸化ナトリウム水溶液で完全に中和した後、これを乾燥して中和したシリコーン誘導体の粉末を得た。そのシリコーン誘導体を乳化剤として用いて乳化安定性を評価した。その結果を表3に示す。
【0073】
比較例4〜6
比較例1〜3で得た組成物を水酸化ナトリウム水溶液で完全に中和した後、これを乾燥して中和したシリコーン誘導体の粉末を得た。そのシリコーン誘導体を乳化剤として用いて乳化安定性を評価した。その結果を表3に示す。
【0074】
比較例7〜12
実施例1、6、7及び比較例1〜3で反応に用いた変性シリコーンを、そのまま乳化剤として用いて乳化安定性を評価した。その結果を表3に示す。
【表3】

【0075】
実施例15
以下に組成を示すスタイリングスプレー組成物を調製した。噴射剤以外の原料を、エタノールを加えて溶解し、濾過を行って缶に充填し、バルブを装着後に、噴射剤を充填した。スタイリングスプレー組成物は、皮膚刺激性が低く、感触も優れていた。
【表4】

【0076】
実施例16
以下に組成を示すスタイリングローション組成物を、エチルアルコールに原料を加え均一に溶解混合して、調製した。スタイリングローション組成物は、皮膚刺激性が少なく、感触も良かった。
【表5】

【0077】
実施例17
以下に組成を示すスタイリングムース組成物を、噴射剤以外をホモミキサーで均一に乳化させて、缶に充填し、バルブ装着後、噴射剤とガスを充填して、調製した。スタイリングムースは、皮膚刺激性が低く、感触も優れていた。
【表6】

【0078】
実施例18
以下に組成を示すヘアワックス組成物を、ホモミキサーで均一に乳化して、調製した。ヘアワックス組成物は、感触がよく、皮膚刺激性も低かった。
【表7】

【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明のシリコーン誘導体は、乳化安定性が高く、皮膚刺激性が低く、各種基材への親和性が高いことから、工業用洗浄剤及び処理剤原料、家庭用(衣料、台所、住居、食器等)洗剤原料、香粧品原料、皮膚外用剤原料、食品用原料、医薬品用原料、乳化(重合)用原料、農薬用原料、繊維加工用原料(精錬剤、染色助剤、柔軟剤、撥水剤)、防汚加工剤、コンクリート用混和剤、印刷インキ用原料、潤滑油用原料、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、分散剤、脱墨剤、表面処理剤などに用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表わされるシリコーン誘導体。
【化1】


(一般式(1)において、2n+2個のXのうち少なくとも一つは、一般式(2)で表わされ、その他のX及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜22のアルキル基、若しくはアルコキシ基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数6〜22のアリール基、ポリエーテル基、又は水酸基であり、nは0〜300000の整数である。)
【化2】


(一般式(2)において、Aは、窒素原子を有する炭化水素基であり、Qは、一般式(3)で表わされ、mは1〜10の整数である。)
【化3】


(一般式(3)において、Rは炭素数1〜23の炭化水素基であり、Rは水素又は炭素数1〜3の炭化水素基であり、Yはカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基又はそれらの塩であり、j、kはそれぞれ独立に0、1又は2のいずれかの整数であって、j、kは同時に0ではない。)
【請求項2】
一般式(2)が、一般式(4)である請求項1に記載のシリコーン誘導体。
【化4】


(一般式(4)において、R、R、Y、j、kは一般式(3)と同様であり、Rは炭素数1〜22の炭化水素基であり、−Z−は−NR’−(R’は水素又は炭素数1〜10の炭化水素基である。)を示す。)
【請求項3】
一般式(5)〜(8)のいずれか一つにより表わされる請求項2に記載のシリコーン誘導体。
【化5】


(一般式(5)において、X’はいずれも一般式(4)で表わされ、nは0〜300000の整数である。)
【化6】


(一般式(6)において、X’は一般式(4)で表わされ、Rは、炭素数1〜22のアルキル基、若しくはアルコキシ基、炭素数2〜22のアルケニル基、又は炭素数6〜22のアリール基であり、nは0〜300000の整数である。)
【化7】


(一般式(7)において、2n個のX’のうち少なくとも一つが、一般式(4)で表わされ、その他のX’及びR’は、炭素数1〜22のアルキル基、若しくはアルコキシ基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数6〜22のアリール基、ポリエーテル基、又は水酸基であり、nは0〜300000の整数である。)
【化8】


(一般式(8)において、X’はいずれも一般式(4)で表わされ、2n個のX’’のうち少なくとも一つが、一般式(4)で表わされ、その他のX’’は、炭素数1〜22のアルキル基、若しくはアルコキシ基、炭素数2〜22のアルケニル基、又は炭素数6〜22のアリール基であり、nは0〜300000の整数である。)
【請求項4】
一般式(2)が、一般式(9)である請求項1に記載のシリコーン誘導体。
【化9】


(一般式(9)において、R、R、Y、j、kは一般式(3)と同様であり、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜22の炭化水素基である。)
【請求項5】
が水素であり、Yがカルボキシル基である請求項1〜4のいずれか一項に記載のシリコーン誘導体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリコーン誘導体と、シリコーンとを含む組成物。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリコーン誘導体と、N−アシルアミノ酸型界面活性剤とを含む組成物。

【公開番号】特開2012−219122(P2012−219122A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83465(P2011−83465)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】