新規な二フッ化ジェミナル化合物、その製造方法およびその用途
本発明は、構造式(I)で示されるジェミナル−二フッ化化合物に関する。ここで、R1はアミン、アミドまたは酸性官能基によって少なくとも1つ置換されたアルキル鎖からなるグループであり、R2は水素原子H若しくは自由または保護アルコール官能基であり、R3はH、CH3、CH2OH、CH2‐OGP基であり、GPはアルキル、ベンジル(Bn)、トリメチルシリル(TMS)、tert‐ブチルジメチルシリル(TBDMS),tert‐ブチルジフェニルシリル(TBDPS),アセテート(Ac)等の保護基であり、Y,Y’,Y”はY,Y’,Y”=H,OR,N3,NR’R”,SR’’’等である独立基であり、R=H,Bn,Ac,TMS,TBDMS,TBDPS等であり、R’R”=H,アルキル,アリル,Bn、トシラート(Ts),C(=O)‐アルキル,C(=O)‐Bn等であり、R’’’=H,アルキル,Acである。本発明は、上記化合物を抗腫瘍剤、抗ウイルス剤、低血糖剤、抗炎症剤の製造に、および免疫学、美容学および不凍液分子のグリコペプチド・アナログに用いられる化合物に、適用できることに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はジェミナル−二フッ化(gem-difluorinated)化合物の合成方法に関する。より詳細には、抗腫瘍剤、抗ウイルス剤、低血糖剤、抗炎症剤の製造に、若しくは免疫学、美容学および不凍液分子のグリコペプチド・アナログの製造に用いられる複合糖質化合物およびC−配糖体の製造に関するものの、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
近年、フッ化有機分子に関する研究の数は、かなり増加している。このような熱狂的な状況は、該分子の生物学的活動におけるフッ素の影響力が認識されたことによると説明されている。実際に、生体に作用する化合物の生理的特性はフッ素が導入されることによって変化しており、生化学者はフッ素を選択的に導入する新規な方法を熱望している。
【0003】
ところが、新規の重要な生物学的分子に関しての主な貢献は、モノフッ素化処理(monofluorination)およびトリフッ素化処理(trifluorination)において実質的になされている。
【0004】
それにもかかわらず、ジフルオロメチレンCF2基の導入は、抗腫瘍剤として現在臨床試験を受けているゲムシタビン(Gemcitabine(登録商標))(ジェムザール(Gemzar)、リリー社(Lilly))およびビンフルニン(Vinflunine(登録商標))(ピエール・ファーブル社)(図1)などの化合物において重大な重要性を示した。
【0005】
生物学的化合物の選択的なフッ素化処理に対するかかる関心は、フッ素原子の特性そのもの、すなわちその電気陰性度(最も強い電気的陰性元素))およびC−F結合エネルギー(484kJ.mol‐1;C−C:348kJ.mol‐1)に関連している。
【0006】
酸素の代替として、ジフルオロメチレンCF2基は、特に魅力的な候補であることが判った。すなわち、一方では、酸素の電気陰性度(3.5)がCF2基の電気的陰性度(3.3)に近い。また、他方では、アデノシン二リン酸(ADP)型構造のリン酸アナログの酸素の置換に関する1984年に実施された事前調査の間に、図2に示す如く、CF2は両方のフッ素の空間配置によって酸素の四面体と均等物であることが判った。
【0007】
さらに、電気陰性度が非常に近いことから、置換による電気的な影響は最小にされる。
【0008】
故に、図3に示す如きホスホチロシン(phosphotyrosine)およびホスホセリン(phosphoserine)のアナログが、最近合成された。
【0009】
上記化合物は、細胞間信号のトランスダクションに関係しているホスファターゼ酵素の抑制剤である。
【0010】
さらに、複合糖質化合物アナログの合成は、精査中である。これらは、アミノ酸(グリコプロテイン,グリコペプチド)、脂質(糖脂質)、ステロイド若しくはトリテルペン、アルカロイド、ケトン等の他の化合物(アグリコン)と糖質との間を結合することによって形成される化合物である。
【0011】
さらに、後者の、細胞膜の構成要素であるグリコプロテインおよび糖脂質は、多くの生化学プロセス(例えば細胞間の認識または細胞成長制御)に、広く関係している化合物である。上記理由のために、複合糖質化合物は、考慮すべき治療手段であって、抗腫瘍剤若しくは抗ウイルス剤としての用途を見出す。
【0012】
オシド(osidic)結合(アノマー(anomeric)位置にある酸素を含んでいる結合)が存在するために、これらの化合物は、プロテアーゼ酵素およびヒドロラーゼ酵素を含むいくつか酵素系に対して壊れやすい。
【0013】
当該化合物が生物学的特性を保持させるために、オシド結合の酸素の置換は重要である。その結果、当該結合は酵素の過程によって分解されることはない。
【0014】
酸素がCH2と置換することができるアナログは合成されており、安定性が増加しかつ酸素の化合物と同様の立体障害を有するにもかわらず、CH2基は最初の化合物の生物学的特性が良好な類似物を提供していない。
【0015】
酸素が窒素または硫黄によって、さらに最近ではジフルオロメチレン基によって置換された他の種類の化合物が、生物学的媒体における複合糖質化合物に高い安定性を付与するために研究されている。
【0016】
当該O/CF2転位は、特に電子レベル上で酸素を模倣することに適しているようである。すなわち、フッ素原子の双方が酸素の自由電子対の双方の役割をするのである(図2)。
【0017】
いくつかのチームがC−配糖体(アノマー位置の酸素が炭素に置換されている化合物)へ近づくための研究を行っているものの、複合糖質化合物(D‐グルコース、D‐ガラクトース、D‐ガラクトサミン、D‐グルコサミン等)において見られる広範囲の糖類に適用できる有効な方法は今日まで報告されない。
【0018】
したがって、本発明は上記問題を解決することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0019】
当該目的に対して、一般構造式Iのジェミナル−二フッ化C‐配糖体化合物を提案する。
【0020】
【化1】
【0021】
(上記構造式において、R1はアミン、アミドまたは酸性官能基によって少なくとも1つ置換されたアルキル鎖からなるグループであり、R2は水素原子H若しくは自由または保護アルコール官能基であり、R3は特にH、CH3、CH2OH、CH2‐OGP基であり、GPはアルキル、ベンジル(Bn)、トリメチルシリル(TMS)、tert‐ブチルジメチルシリル(TBDMS),tert‐ブチルジフェニルシリル(TBDPS),アセテート(Ac)...等の保護基であり、Y,Y’,Y”はY,Y’,Y”=H,OR,N3,NR’R”,SR’’’である独立基であり、R=H,Bn,Ac,TMS,TBDMS,TBDPS,...であり、R’R”=H,アルキル,アリル,Bn、トシラート(Ts),C(=O)‐アルキル,C(=O)‐Bn,...であり、R’’’=H,アルキル,Acである。)
さらに、一般構造式Iの当該化合物は、一般構造式IIによるラクトン
【0022】
【化2】
【0023】
(上記構造式において、R3は特にH,CH3,CH2−OGP基であり、GPはアルキル、ベンジル(Bn)、トリメチルシリル(TMS)、tert‐ブチルジメチルシリル(TBDMS),tert‐ブチルジフェニルシリル(TBDPS),アセテート(Ac)...等の保護基であり、Y,Y’,Y”は、Y,Y’,Y”=H,OR,N3,NR’R”,SR’’’...である独立基であり、R=H,Bn,Ac,TMS,TBDMS,TBDPS,...であり、R’R”=H,アルキル,アリル,Bn、トシラート(Ts),C(=O)‐アルキル,C(=O)‐Bn,...であり、R’’’=H,アルキル,Acである)と、亜鉛もしくはランタニド誘導体が存在する状況における一般構造式XCF2CO2R8(Xはハロゲン誘導体でありR8はアルキル基,アリール基,...である)で示される少なくとも1つのハロゲン化誘導体と、の間の反応によって得られても良い。
【0024】
当該ランタニド誘導体は、例えば二ヨウ化サマリウムSmI2であることとしても良い。
【0025】
変形例として、当該方法は、チタノセン(titanocene)に結合した亜鉛を使用することとしても良い。
【0026】
構造式I(R2=OH)の化合物から構造式I(R2=H)の化合物に至る脱酸素化は
、直接反応若しくはラジカル反応又はアセテート、トシラート、キサントゲン酸塩、シュウ酸エステル誘導体に続けられたラジカル反応のいずれかによって実施されても良い。
【0027】
ある変形例によれば、ジェミナル−二フッ化化合物は、一般構造式IIIを有することとし
ても良い。
【0028】
【化3】
【0029】
(上記構造式において、R5およびR6は、例えばアミン、アミノ酸、アミノエステル基、ペプチド鎖、タンパク質、炭水化物、ステロイドまたはトリテルペン、アルカロイド、リグナン(lignane)若しくは薬理学的に関心がある化合物が結合されている機能化された炭素鎖等の機能化された置換基若しくは機能化されていない置換基のいずれか、若しくはHである。)
他の変形例によれば、ジェミナル−二フッ化化合物は、一般構造式IVaおよびIVbを有することとしても良い。
【0030】
【化4】
【0031】
(上記構造式において、R5、R6、R7およびR9はアミン、アミノ酸、アミノエステル基、ペプチド鎖、タンパク質、炭水化物、ステロイドまたはトリテルペン、アルカロイド、リグナン(lignane)若しくは薬理学的に関心がある化合物が結合されている機能化された炭素鎖等の機能化された置換基又は機能化されていない置換基のいずれか、若しくはHである。)
構造式Iの化合物を得るために形成されるある中間化合物は、エステル基を含む一般構
造式Vの化合物であることとしても良い。
【0032】
【化5】
【0033】
(上記構造式において、R4は、アルキル、アリール、アリル基等の置換基であっても良く、当該置換基は機能化されたもの若しくは機能されていないものである。)
かかるエステル置換基‐CO2R4は、構造式VIの酸を得るために鹸化されても良い。
【0034】
【化6】
【0035】
当該エステル官能基‐CO2R4は、一般構造式VIIのC−配糖体化合物を得るために、
例えば四水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)または水素化リチウムアルミニウム(LiAlH4)を用いてアルコール基に還元されても良い。
【0036】
【化7】
【0037】
一般構造式VIIの化合物は、一般構造式VIIIの化合物を得るためにSwern酸化,Dess-Marti
n酸化法の如く異なる方法によって、アルデヒドに酸化されても良い。
【0038】
【化8】
【0039】
化合物VIIIは、また、チオエステルおよび還元を経てエステルVからも得られる。
【0040】
化合物VIIIは、ヘミアセタール(hemiacetalic)の形態で得られても良い。
【0041】
構造式Iの非オシド(osidic)化合物(かかる構造式においてR1=CH2−OH)は
、前述した方法のいずれかの方法によって、アルデヒドに酸化されても良い。
【0042】
さらに、他の変形例において、構造式Iの化合物(かかる構造式においてR1=COO
H)は、構造式III(かかる構造式においてR1=‐C(=O)‐NR5R6)の化合物を
得るためにアミン、アルデヒドおよびイソニトリルを用いたUgi反応に使用されても良い。
【0043】
他の変形例によると、一般構造式Iの化合物は、糖質誘導体をアミン(たとえばアミノ
酸またはペプチド)に結合することによって得られても良い。
【0044】
最終的に、CF2基は生化学的な分解過程に特に抵抗し、したがって、非加水分解構造の合成が可能となる。
【0045】
一般構造式I‐VIIIの化合物は、これらの誘導体および薬学的に許容される無機若しくは
有機酸が添加された塩は、タブレット、カプセル、糖衣錠、経口用溶液又は懸濁液、エマルジョン、座薬の形で存在しても良い。さらに、蒸留水、ブドウ糖、澱粉ラクトース、タルク、植物油、エチレングリコール等のような薬学的に許容されている非毒性であり不活発な賦形剤に加えて、得られた組成物は、防腐剤をさらに含むこととしても良い。
【0046】
他の活性成分は、上記組成物に加えられても良い。
【0047】
該組成物における他の許容活性成分および本発明による化合物の量は、患者の年齢、体重および用法によって異なることとしても良い。
【0048】
本発明による化合物を調製するための実施例は、制限しない実施例として後述する。
【0049】
使用した頭字語は、以下のように定義されている。
eq.: 当量
g: グラム
Hz: ヘルツ
mg: ミリグラム
MHz: メガヘルツ
min: 分
mL: ミリリットル
mmol: ミリモル
μmol: ミクロモル
nmol: ナノモル
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下、一般構造式Iのジェミナル−二フッ化複合糖質化合物の調製方法について説明す
る。
【0051】
【化9】
【0052】
当該化合物は、異なる方法によって合成されても良い。
【0053】
ジェミナル−二フッ化複合糖質化合物の合成における工程数が減るように、ラクトン1が球電子物質として使用された(図4)。誘導体2は、亜鉛Znまたは二ヨウ化サマリウムSmI2が存在する状況で、ブロモジフルオロアセテートエチル3の攻撃によってラクトン1から得られた。
【0054】
当該方法は、一般的な方法であり、異なる置換基を有するグルコピラノース(Y,Y’,Y”=OR,N3,NR’R”,SR’’’…)の全ての種類に適用されることができる点に留意する必要がある。また、開始ラクトンは、市販製品から1又は複数の工程によって(例えばグルコース系列において、1つの工程で市販製品を酸化することによって)得られる。
中間C−配糖体化合物6および7の合成(図5および6)
図5の実施例において、0.82gの活性亜鉛(Zn)(0.82g、12.5mmol、7eq.)が、冷却部および吸込み弁を頂部に備えた100mLの2首バイアルに導入される。全体は真空内に置かれ、亜鉛は熱ピストルで略5分間熱せられる。その後、真空状態はアルゴンバルーンで解除される。
【0055】
15mLの無水テトラヒドロフラン(THF)が加えられた後、得られた溶液は還流される。ラクトン4(0.960g、1.782mmol、1eq.)とブロモジフルオロアセテートエチル(BrCF2COOEt)5(0.69mL、5.346mmol、3eq.)及び無水テトラヒドロフラン(15mL)からなりかつアルゴン雰囲気下で調製された混合物とがその中に導入される。
【0056】
当該装置によって還流を2時間30分行い(該反応は溶離剤として酢酸エチル/シクロヘキサン(3:7)混合液を用いた薄層クロマトグラフィ(TLC)によって追跡され)、その後、30mLの1N塩酸溶液及びジクロロメタンが当該溶液に添加される。
【0057】
相が分離されてジクロロメタンによる抽出が実施される(すなわち3×10mLのジクロロメタンが連続的に水相に加えられて抽出される)。有機相は、集められて無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥された後、濾過されて、真空中の蒸発器で濃縮される。
【0058】
分離は、溶離剤として9対1の割合のシクロヘキサン/酢酸エチル混合液を用いてシリカカラムのクロマトグラフィによって行う。集められたフラクションを濃縮した後、生成物6は、黄色がかった油状物において単一のジアステレオ異性体として収率89重量%で得られる。
【0059】
亜鉛の代替として二ヨウ化サマリウムが使われる場合、化合物6は62重量%の収率で両方のジアステレオ異性体((2:1)混合物)の分離可能な混合物として得られる。
【0060】
本明細書に記載されている全ての化合物の分析に使用された装置の特性を以下に示す。
【0061】
1H、l3C、19F NMRスペクトルは、BRUKER DPX 300およびDPX 600分光計で測定された。1H及び13C NMRにおいて、テトラメチルシランが内部標準として使われる。19F−NMRにおいて、外部標準は、トリクロロフルオロメタン(CFCl3)である。化学シフトは百万分率(ppm)で表され、カップリング定数Jはヘルツ(Hz)で表される。
【0062】
なお、以下の略号が、使われた。すなわち、s(singlet),b(broad singlet),d(doublet),t(triplet),q(quadruplet),m(multiplet又はmassive),dd(doublet of doublets)を用いた。
【0063】
赤外スペクトルは、PERKIN−ELMER PARAGON 500のFT−IR装置で測定され、塩化ナトリウム結晶上の液体膜の形でまたは(固体用の)KBrタブレットの形で測定された。吸収周波数は、cm-1によって示されている。
【0064】
質量スペクトルは、FAB JEOL銃(Xe,4kV,l0mA)を備えたJEOL AX 500スペクトロメータによって得られた。
【0065】
カラムクロマトグラフィによる分離は、Kieselgel 60シリカ(230−400メッシュ(メルク))のクロマトグラフィ法によってわずかな圧力の下で行われた。
【0066】
フォローアップが、Kieselgel 60F−254−0.25mm板を備えた薄層クロマトグラフィ(TLC)によって行われる。溶離剤の移動距離に対する所定の支持体上の化合物の移動距離の比率は、移動率(the front ratio)(Rf)と呼ばれている。
【0067】
得られた生成物6の構造を確認するために実行された分析結果を以下に示す。
薄層クロマトグラフィ(TLC)
Rf=0.55,溶離剤:酢酸エチル/シクロヘキサン(3:7)
NMRデータ:
19F−NMR(282MHz;溶媒:重水素化クロロホルム(CDCl3)) ‐117.67,d,2JF-F=256Hz;‐120.03,d,2JF-F=256Hz
1H−NMR(300MHz;溶媒:重水素化クロロホルム(CDCl3))
1.19,t,3J=7.14Hz,3H:CH3(OEt);3.52‐3.70,m,3H(H5+2H6);3.90‐3.95,m,3H:H2+H3+H4,4.18,q,3J=7.14Hz,2H:CH2(OEt);4.39‐5.19,8H,m:4CH2(OBn);7.14‐7.24,20H,m:4x5CH(Ph)
13C−NMR(75.5MHz;溶媒:重水素化クロロホルム(CDCl3)):
14.29,CH3(OEt);63.89(CH2(OEt));68.68,CH2(C6);73.06,CH;73.82,75.47,75.67,76.37:4xCH2(OBn);77.83,CH;78.62,CH;83.79,CH;96.59,dd,2JC‐F=28.l7Hzおよび2JC‐F=26.44Hz,‐CF2C(OH)O‐;112.79,dd,1JC‐F=263.6Hzおよび1JC‐F=259.6Hz,CF2;137−138,CH(Ph);163.32,dd,2JC‐F=31.6Hzおよび2JC‐F=31.0Hz,CFCOOEt.
IR(cm‐1)
4059.6,3478.5,3089.5,3064.3,3031.6,2923.7,2852.0,2257.3,2925.7,1875.4,1769.3,1663.6,1605.9,1586.4,1497.3,1454.0,1396.7,1372.1,1315.6,1087.7,1027.9,910.6,856.8,802.1,736.7,698.1,648.9,605.5,540.9,462.7
質量分析:FAB+(Xe,4kV,3‐ニトロベンジルアルコール・マトリックス)
686(2%)=(M+Na)+,663(4%)=M+,661(6%),572(3%)=(M‐Bn)+,554(3%)=(M‐Bn‐H2O)+,463(4%),391(12%),307(14%),289(12%),271(16%),181(96%),154(100%),136(84%),107(50%),91(100%),81(46%),69(40%),55(76%),43(64%),29(20%)
誘導体7を得るための脱酸素化は、異なる経路(アセテート、トシラート、キサントゲン酸塩誘導体...を経て直接若しくはラジカル還元)を介して行われても良い。
【0068】
鹸化は、ナトリウム、カリウム又はリチウム水酸化物の水性エタノール溶液またはTHF溶液のいずれかを用いた異なる条件の下で準量的に(quasi-quantitatively)実行されても良い(図6)。
【0069】
テトラヒドロフラン(5mL)もしくはエタノール(5mL)に溶解されたエステル6(0.5g、1.75mmol 1eq.)を含んでいるフラスコに、リシン(lithine)LiOH水溶液(2M、0.75mL、2eq.)または苛性ソーダNaOH水溶液(0.07g、1.6mmol)が加えられた後、12時間連続して撹拌される。エタノールが使われた場合には該媒体は蒸発され、その後ジクロロメタンによって取り出される。混合物は1M塩酸(HCl)によって酸性化された後に、ジクロロメタンによって数回抽出される。有機相は、集められて、MgSO4によって乾燥され、濾過されて濃縮される。
【0070】
得られた生成物は無色の油状物であり、収率は定量的である。
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3,282.5MHz)
‐117.4,d,(2JF-F=258Hz);‐119.1,d(2JF-F=258Hz)
1H−NMR(CDCl3,300MHz):
3.40‐3.60,m,3H,H5およびH6;3.90‐4.00,m,3H,H2,H3およびH4;4.38‐4.79,m,8H,4CH2(OBn);7.05‐7.22,m,20H,H ar.
13C−NMR(CDCl3,75.5MHz)
68.6 (C6);72.2(C5);73.5,75.5,75.9,76.4(4CH2(OBn));77.7,78.5,83.6(C2,C3およびC4);96.0,dd,2JC‐F=27.0Hzおよび2JC‐F=28.7,‐CF2Cl(OH)O‐;112.4,dd,1JC‐F=260.3Hzおよび1JC‐F=259.2Hz,CF2 128.1,128.2,128.4,128.8,128.9,129.0(ar C.);137.2,137.7,137.9,138.6(ar.C,quat)163.6,dd,2JC‐F=30.5Hzおよび2JC‐F=32.8Hz,CF2COOH
化合物6および7からの二フッ化ジェミナル化合物の合成
・アミン類との反応
当該反応性によって、非常に興味深い化合物(すなわちグリコペプチドのアナログ)を得ることが可能になる。
【0071】
化合物6の誘導体は、対応するアミド類に導かれる異なる第1および第2のアミンと化学反応する。使用されるアミン類は、脂肪族アミン、ベンジルアミン又は芳香族アミンと、リジン等のアミノ酸誘導体である(図7)。
【0072】
不活性雰囲気下にあり開始化合物6(50mg;0.075mmol;1eq.)の溶液と、Boc‐リジン‐OMeアセテート8(48mg;0.15mmol;2eq.)のジクロロエタンDCE(3ml)溶液と、を含んでいるフラスコに、トリエチルアミンEt3N(53μl;0.375mmol;5eq.)が加えられる。当該混合物は48時間還流された後、溶媒を蒸発させる。
【0073】
粗生成物の精製は、溶離剤としてシクロヘキサン/酢酸エチル混合液(7対3の割合)を用いてシリカカラムのクロマトグラフィによって実施される。
【0074】
濃縮の後、生成物9は、明るい黄色の固体において収率84重量%で得られる。
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3,282.5MHz)
‐117.4, d,(2JF-F=259Hz);‐121.9,d,(2JF-F=259Hz)
1H−NMR(300MHz,CDCl3)
1.18‐1.60,m,15H,(CH3)3Cおよび(CH2)3;3.06‐3.19,m,2H,CH2N;3.52‐3.69,m,6H,H5;H6およびCO2CH3;3.84‐4.18,m,4H,H2;H3;H4およびCHN;4.36‐4.85,m,8H,4CH2Bn;5.01,d,J=8.3Hz,1H,NHBoc;6.60,m,1H,NH;7.10‐7.23,m,20H,H ar.
13C−NMR(75.5MHz,CDCl3)
22.7,28.8((CH2)2);28.9((CH3)3C);32.5(CH2);39.6(CH2N);52.7(CO2CH3);53.6(CHN);68.7(C6);73.6,75.3,75.8,76.4(4CH2Bn);72.1,77.9,78.6,83.6(C2,C3,C4およびC5);96.1,dd,2JC‐F=27.4Hz(CF2CO(OH));112.5,dd,1JC‐F=261.7Hz(CF2);127.6,127.7,127.8,128.3,128.4,128.5(ar. C),137.5,137.9,138.0,138.3(ar. C quat.);155.6(CO2Me);163.7,dd,2JC‐F=27.4Hz(CF2CONH);173.3(NHCO2tBu)
アラニンのグリコシル化された誘導体は、化合物6(図8)からまたは3つの異なる手順によって化合物7(図9)から形成されても良い。
【0075】
第1の手順Aは、リジンに由来する化合物9に使用されるものと同一である。化合物11の重量収率は、30%(図8)である。
【0076】
第2の手順B(図9)は、以下の通りである。
【0077】
すなわち、BOP(ベンゾトリアゾール‐1‐イルオキシ‐tris(ジメチルアミノ)‐ホスホニウム‐ヘキサフルオロホスフェイト)(35mg;7.87x10‐3mmol;1eq.)と、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(28μL;0.016mmol;2eq.)が酸性物質7(50mg;7.87x10‐3mmol;1eq.)のジクロロメタン(DCM)(2mL)溶液を含んでいる不活性雰囲気下のフラスコに導入される。該反応媒体は、1時間撹拌された後、アラニン10(11mg;7.87x10‐3mmol;1eq.)を含む溶液とDIEA(14μL;7.87xl0‐3mmol;1eq.)のジクロロメタン溶液(2mL)とが当該反応に加えられる。撹拌は24時間続けられる。その後該媒体は、1M塩酸HCl溶液によって洗浄される。有機相は、硫酸マグネシウムによって乾燥され、濾過されて、蒸発される。
【0078】
その後、粗生成物は、溶離剤としてシクロヘキサン/酢酸エチル混合液(7対3の割合)を用いて予備的なシリカ板によって精製される。
【0079】
生成物11は、収率77重量%で含まれている白色の固体として得られる。
【0080】
第3の手順C(図9)は、以下の通りである。
【0081】
酸性物質7(50mg;7.87x10‐3mmol;1eq.)のジクロロメタン溶液(2mL)を含んでいる不活性雰囲気下のフラスコに、BOPCl(ビス‐(2‐オキソ‐3‐オキサゾリジニル)‐ホスフィン)(40mg;7.87x10‐3mmol;1eq.)及びジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(28μL;0.016mmol;2eq.)が導入される。次に、撹拌が1時間続けられた後、アラニン誘導体10(22mg;0.016mmole;2eq.)を含む溶液とジエチルアミンDIEA(44μL;0.023mmole;3eq.)のジクロロメタン溶液(2mL)とを反応に加える。撹拌は24時間続けられ、その後に媒体は1MHCl溶液によって洗浄される。有機相は、硫酸マグネシウムによって乾燥され、濾過されて、蒸発される。
【0082】
粗生成物は、溶離剤としてシクロヘキサン/酢酸エチル混合液(7対3の割合)を用いて予備的なシリカ板によって精製される。
【0083】
生成物11は、収率44重量%の白色の固体として得られる。
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3,282.5MHz)
‐118.0, d(2JF-F=259Hz);‐122.2,d,(2JF-F=259Hz)
1H−NMR(CDCl3,300MHz)
1.26,d,3J=7.2Hz,3H,CH3;3.50‐3.66,m,3H,H5およびH6;3.63,s,3H,CO2CH3;3.89‐3.96,m,3H,H2,H3およびH4;4.40‐4.81,m,10H,NH;CHNおよび4CH2Bn;7.11‐7.21,m,20H,ar.H.
13C−NMR(CDCl3,75.5MHz)
16.7 (CH3);47.2(CHN);51.7(CO2CH3);67.3(C6);72.3,73.9,74.3,75.0(4CH2Bn);70.9,76.2,77.1,82.2(C2,C3,C4およびC5);126.6‐127.4,m(ar. C);136.5,136.9,137.0,137.4(ar.C,quat.);171.0(CO2Me)
以下のアミノ酸(例えばフェニルアラニン,トレオニン,メチオニン,プロリン)との結合反応は、ジペプチドとの反応と同様に(すなわち、手順Cと同一の方法をアラニンとの結合に適用することによって)、結合剤としてBOPClを用いて行われた。
【0084】
生成物12bは、収率42重量%の白色の固体として得られる(図11)。
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3,282.5MHz)
‐117.7,d,(2JF-F=261Hz);‐121.6,d,(2JF-F=261Hz)。
1H−NMR(CDCl3,300MHz)
3.07,m,2H,CH2Ph;3.44‐3.67,m,3H,H5およびH6;3.57,s,3H,CO2CH3;3.91‐3.98,m,3H,H2,H3およびH4;4.25‐4.85,m,10H,NH,CHNおよび4CH2Bn;7.00‐7.14,25H,ar.H
13C−NMR(CDCl3,75.5MHz)
37.5(CH2Ph);52.4(CO2CH3);53.1(CHN);68.3(C6);73.2,75.0,75.3,76.0(4CH2Bn);72.0,77.0,78.2,83.2(C2,C3,C4およびC5);127.3‐129.3,m(ar. C);135.0,137.5,137.9,138.0,138.4(ar. C quat.);170.3(CO2Me)。
【0085】
生成物12cは、28重量%の白色結晶として得られる(図12)。
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3,282.5MHz)
‐118.3,d,(2JF-F=257Hz);‐121.2,d,(2JF-F=257Hz)
1H−NMR(CDCl3,300MHz)
1.12,d,3J=6.4Hz,3H,CH3;3.48‐3.64,m,3H,H5およびH6;3.7,s,3H,CO2CH3;3.89‐4.00,m,3H,H2,H3およびH4;4.22‐4.82,m,11H,NH;CHN,CHOHおよび4CH2Bn;7.0‐7.24,m,20H,ar.H
13C−NMR(CDCl3,75.5MHz)
20.5 (CH3);53.2(CO2CH3);57.8(CHN);68.6(CHOH);68.7(C6);73.5,75.4,75.8,76.4(4CH2Bn);72.2,77.2,78.4,83.6(C2,C3,C4およびC5);128.1‐128.9m(ar. C);137.8,137.9,138.1,138.7(ar. C quat.);170.5(CO2Me)
生成物12dは、36重量%の収率で得られる(図13)。
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3,282.5MHz)
‐117.4,d,(2JF-F=260Hz),‐121.7,d,(2JF-F=260Hz)
1H−NMR(CDCl3,300MHz)
1.89‐1.99,m,2H,CH2;2.09,s,3H,SCH3;2.46,t,3J=7.0Hz,2H,CH2S;3.58‐3.77,m,3H,H5およびH6;3.68,s,3H,CO2CH3;3.96‐4.03,m,3H,H2,H3およびH4;4.43‐4.88,m,10H,NH;CHNおよび4CH2Bn;7.14‐7.30,m,20H,ar.H.
13C−NMR(CDCl3,75.5MHz)
15.7(CH2);29.9(SCH3);31.6(CH2S);51.8(CO2CH3);53.2(CHN);68.6(C6);73.6,75.4,75.8,76.4(4CH2Bn);72.4,77.4,78.5,85.6(C2,C3,C4およびC5);128.1‐128.9,m(ar. C);137.9,138.3,138.5,138.8(ar. C quat.);171.5(CO2Me).
生成物12eは、収率32重量%の白色結晶として得られる(図14)。
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3,282.5MHz)
‐112.6,d,(2JF-F=267Hz);‐113.7,d,(2JF-F=261Hz);‐117.2,d,(2JF-F=261Hz);‐117.3,d,(2JF-F=267Hz)。
1H−NMR(CDCl3,300MHz)
1.52‐1.89,m,4H,(CH2)2;3.5‐3.63,m,3H,H5およびH6;3.67,s,3H,CO2CH3;3.82‐4.06,m,5H,CH2N;H2;H3およびH4;4.33‐4.92,m,9H,CHNおよび4CH2Bn;7.10‐7.20,m,20H,ar.H.
生成物12fは、収率17重量%の白色結晶として得られる(図15)。
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3,282.5MHz)
‐117.6, d,(2JF-F=257Hz);‐122.4,d,(2JF-F=257Hz)。
1H−NMR(CDCl3,300MHz)
1.35,d,3J=7.2Hz,3H,CH3,3.05,m,2H,CH2Ph;3.5‐3.71,m,3H,H5およびH6;3.70,s,3H,CO2CH3;3.89‐4.01,m,3H,H2;H3およびH4;4.26‐4.89,m,11H,NH,2CHNおよび4CH2Bn;6.05,m,1H,NH;7.10‐7.20,m,25H,ar.H
化合物7は、化合物13‐17を得るために、ベンジルアミン18等のアミン、アルデヒド19、およびイソシアネートエチル20等のイソニトリルとのUGI反応に使用されても良い。
【0086】
すなわち、セレクチンと四糖類(シアリルルイスX(sialyl LewisX)(sLex))との間の結合の阻害剤である治療用化合物(マンノ−およびフコペプチド(fucopeptides))の合成が達成される経路が得られる。
【0087】
白血球は、多くの炎症および免疫学的な現象において、重要な役割を行う。これらの現象の多くにおいて、第1のステップは、内皮細胞と血中を流れる白血球との間の相互作用である。
【0088】
分子の研究、特に当該相互作用に関係している細胞の表面に対するものにおいて、白血球と内皮細胞は、それらの表面においてセレクチンと称される特定のレクチンを有することが判っている。これらは、カルシウム依存性分子の一系統の細胞粘着分子である。sLexは、セレクチン間を結合することに関係するリガンドのうちの1つであり、これによって、急性疾患(例えばリウマチ関節症、乾癬、ガン)に至っている内皮組織の上で、白血球の粘着力が生じる。
【0089】
従って、sLexを阻害する小型分子の開発は、魅力的な治療法のアプローチである。
化合物13の合成(図17):
全ての試薬は、乾燥メタノールによって希釈されて1Mの濃度にされる。
【0090】
25mLフラスコにおいて、ヘキサナール溶液(0.081mL;0.675mmol)がベンジルアミン溶液18(0.059mL;0.54mmole)と共に配置され、該混合物は2時間に亘って室温でアルゴン雰囲気の下で撹拌される。
【0091】
次に、イソシアネートエチル20(0.074mL;0.675mmol)の溶液と酸性物質7としてのジェミナル−二フッ化D‐グルコースの溶液(286mg;0.45mmol)とが加えられ、当該混合物は室温で、24時間に亘ってアルゴン雰囲気の下で撹拌される。
【0092】
その後、メタノールは蒸発されて、生成物の精製は、溶離剤として酢酸エチル/シクロヘキサン混合液(1:9乃至2:8の割合の範囲)の勾配でシリカカラムのクロマトグラフィによって実施される。
TLC
Rf=0.18,溶離剤:酢酸エチル/シクロヘキサン(2:8)
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3)
‐104.39(d,2JF-F=260.1Hz);‐104.85(d,2JF-F=257.9);‐108.61(d,2JF-F=255.8Hz));‐108.89(d,2JF-F=254.7Hz);‐108.95(d,2JF-F=260.1Hz);‐112.49(d,2JF-F=255.8Hz);‐114.35(d,2JF-F=254.7Hz);‐116.17(d,2JF-F=257.9Hz)
1H−NMR(CDCl3)
0.69,t,3H,H2O,3JH19‐H20=6.9Hz;0.90‐1.10,m,6H,1.15,t,5H,H1,3JH1‐H2=7.1Hz;3.41‐3.74,m,4H;3.78‐3.99,m,4H;4.07,q,2H,H2,3JH1‐H2=7.lHz;4.36‐4.55,m,4H;4.61‐6.97,m,8H;6.76,t,0.7H,H5,3JH4‐H5=5.5Hz;6.82,t,0.3H,H5 rotamer,3JH4‐H5=5.3Hz;7.00‐7.26,m,25H,HPh
質量分析:(直接導入,FAB+):
M+Na=959.6
M+K=975.7
化合物14の合成(図18):
全ての試薬は、乾燥メタノールによって希釈されて1Mの濃度にされる。
【0093】
トリメチルアセトアルデヒド溶液(0.073mL;0.675mmol)がベンジルアミン18(0.059mL;0.54mmol)を有する25mLフラスコ内に投入され、当該混合物は室温で2時間に亘ってアルゴン雰囲気の下で撹拌される。
【0094】
次に、イソシアネートエチル20(0.074mL;0.675mmol)の溶液と、酸性物質7としてのジェミナル−二フッ化D‐グルコースの溶液(286mg;0.45mmol)とが加えられ、当該混合物は室温で24時間に亘ってアルゴン雰囲気の下で撹拌される。
【0095】
メタノールは蒸発されて、生成物の精製が溶離剤として酢酸エチル/シクロヘキサン混合液(1:9乃至3:7の割合の範囲)を用いてシリカカラムのクロマトグラフィによって実施される。
【0096】
得られた生成物は、2つのジアステレオ異性体の形の黄色の油状物であり、これらは分離される。
第1のジアステレオ異性体14aの分析
TLC
Rf= 0.70,溶離剤:酢酸エチル/シクロヘキサン(4:6)
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3)
‐105.31(d,2JF-F=267.0Hz);‐106.69(d,2JF-F=267.0Hz)
1H−NMR(CDCl3)
0.99,s,9H,H18;1.16,t,3H,H1,3JH1‐H2=6.9Hz;3.39‐3.65,m,4H;3.90,dd,2H,J=8.9Hz;4.00‐4.15,q,3H,H2,3JH1‐H2=6.9Hz;4.37,d,1H,J=11.7Hz;4.49,t,2H,J=10.7Hz;4.69‐4.97,m,7H;5.53,s,1H,H7;6.49,m,1H,H5;7.08‐7.27,m,25H,HPh
質量分析:(直接導入,FAB+):
M+Na=945.4
第2のジアステレオ異性体14bの分析
TLC
Rf=0.65,溶離剤:酢酸エチル/シクロヘキサン(4:6)
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3)
‐107.15(d,2JF-F=255.7Hz)
1H−NMR(CDCl3)
1.02,s, 9H,H18;1.16,t,3H,H1,3JH1‐H2=7.0Hz;3.52‐4.00,m,9H;4.09,q,2H,H2,3JH1‐H2=7.0Hz;4.33‐4.86,m,8H;4.97,dd,2H,H16,H16',2JH16‐H16'=17.3Hz;5.33,s,1H,H7;6.49,m,1H,H5;6.98‐7.27,m,25H,HPh
質量分析:(MALDI+):
M+Na=945.4
化合物15の合成(図19):
全試薬は、乾燥メタノールによって希釈されて1Mの濃度にされる。
【0097】
3,4,5‐トリメトキシベンズアルデヒド22の溶液(0.132g;0.675mmol)がベンジルアミン溶液19(0.059mL;0.54mmole)と共に25mLのフラスコに投入され、当該混合物はアルゴン雰囲気下で2時間にわたって室温で撹拌される。
【0098】
次に、イソシアノアセテートエチル20(0.074mL;0.675mmol)の溶液と酸性物質7としてのジェミナル−二フッ化D‐グルコースの溶液(286mg;0.45mmol)とが加えられ、当該混合物をアルゴン雰囲気下で2時間にわたって室温で撹拌する。
【0099】
メタノールは蒸発されて、生成物の精製は溶離剤として酢酸エチル/シクロヘキサン混合液(1:9乃至3:7の割合の範囲)の勾配でシリカカラムのクロマトグラフィによって実施される。
【0100】
得られた生成物は2つのジアステレオ異性体15a、l5bを含む黄色の油状物であり、これらは分離される。
第1のジアステレオ異性体15aの分析
TLC
Rf=0.41,溶離剤:酢酸エチル/シクロヘキサン(4:6)
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3)
‐111.63,s
1H−NMR(CDCl3)
1.18,t,3H,H1,3JH1‐H2=7.2Hz;3.38,t,1H,J=6.6Hz;3.58,s,9H,H17 3.65,s,4H;3.93‐4.14,m,7H;4.40‐4.53,m,3H;4.70‐4.87,m,3H;4.86,dd,2H,H16,H16',2JH16‐H16'=16.9Hz;5.33,s,1H;6.38,s,1H,H7;6.43,t,1H,H5,3JH4‐H5=4.5Hz;6.90‐7.25,m,27H,Hph
質量分析:(直接導入,FAB+):
M+Na=1055.7
第2のジアステレオ異性体15bの分析
TLC
Rf=0.32,溶離剤:酢酸エチル/シクロヘキサン(4:6)
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3)
‐108.12(d,2JF-F=251.9Hz);‐115.19(d,2JF-F=251.9Hz)
1H−NMR(CDCl3)
1.17,t,3H,H1,3JH1‐H2=7.0Hz;3.32‐3.41,m,1H;3.65,s,9H,H17;3.70,s,3H;3.78‐3.98,m,5H;4.08,q,4H,H2,3JH1‐H2=7.0Hz;4.32,s,2H;4.60,dd,2H,J=10.54Hz;4.67,s,2H;4.87,s,1H;5.09,s,1H;6.30,t,1H,H5,3JH4‐H5=4.9Hz;6.52,s,2H,H7;6.86‐7.23,m,271,HPh
質量分析:(直接導入,FAB+):
M+Na=1055.7
化合物16の合成(図20)
全試薬は、乾燥メタノールによって1Mの濃度に希釈される。
【0101】
ベンズアルデヒド溶液(0.059mL;0.675mmol)はベンジルアミン18の溶液(0.059mL;0.54mmol)と共に25mLのフラスコ内に投入され、当該混合物はアルゴン雰囲気下で室温で2時間に亘って撹拌される。
【0102】
次に、イソシアノアセテートエチル20(0.074mL;0.675mmol)の溶液と酸性物質7としての二フッ化ジェミナルD‐グルコースの溶液(286mg;0.45mmol)が加えられ、当該混合物はアルゴン雰囲気下で2時間にわたって室温で撹拌される。
【0103】
メタノールは蒸発されて、生成物の精製は溶離剤として酢酸エチル/シクロヘキサン混合液(1:9乃至3:7の割合の範囲)の勾配でシリカカラムのクロマトグラフィによって実施される。
【0104】
得られた生成物は2つのジアステレオ異性体16a、l6bを含む形態で得られ、それらは分離される。
第1のジアステレオ異性体16aの分析
TLC
Rf=0.26,溶離剤:酢酸エチル/シクロヘキサン(3:7)
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3)
‐111.66,s,2F
1H−NMR(CDCl3):
1.15,t,3H,H1,3JH1‐H2=7.0Hz;3.52‐3.79,m,3H;3.83,dd,1H,J=4.5Hz;3.90‐4.01,m,4H,4.07,q,2H,H2,J=7.0Hz;4.36‐4.52,m,4H;4.68‐4.82,m,5H;4.94,dd,2H,H16,2JH16‐H16'=15.8Hz;5.20,s,1H,H7;6.29,t,1H,H5,3JH4‐H5=4.5Hz;6.96‐7.23,m,30H,HPh
13C−NMR(CDCl3):
14.2,C1;41,6,C4;52.0,61.6,C2;66.2,68.5,71.7,73.5,75.1,75.4,75.9,77.5,78.6,83.5,96.9,t,C10,2JCl0‐F=27.6Hz;114.3,t,C9,1JC-F=262.9Hz;126.9,127.2,127.7,127.8,127.9,128.0,128.1,128.2,128.3,128.4,128.5,128.5,128.6,128.8,130.0,133.0,136.3,137.8,138.0,128.6,165.1,t,C8,2JC8‐F=26.4Hz;168.3;169.7
質量分析:(MALDI+):
M+Na=965.5
M+K=981.5
第2のジアステレオ異性体16bの分析
TLC
Rf=0.71,溶離剤:酢酸エチル/シクロヘキサン(5:5)
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3)
‐107.71(d,2JF-F=253.lHz);‐115.09(d,2JF-F=253.lHz)
1H−NMR(CDCl3)
1.16,t,3H,H1,3JH1‐H2=7.0Hz,3.35‐3.40,m,1H;3.51‐3.70,m,4H;3.84‐4.00,m,5H;4.08,q,2H,H2,3JH1‐H2=7.0Hz;4.23,s,1H;4.62,dd,2H,J=9.98Hz;4.67,s,1H;4.81,d,1H,J=3.8Hz;4.98,s,1H;5.08,d,1H,H16またはH16',2JH16‐H16'=18.0Hz;6.08,t,1H,H5,3JH4‐H5=4.9Hz;6.76‐6.85,m,1H;6.95‐7.29,m,30H,Hph
質量分析:(MALDI+):
M+Na=965.4
M+K=981.3
化合物17の合成(図21):
(2{ベンジル‐[2,2‐ジフルオロ‐2‐(3(R),4(S)‐tris‐ベンジルオキシ‐6(R)‐ベンジルオキシ‐メチル‐2(R)‐ヒドロキシテトラヒドロ‐ピラン‐2‐イル)‐アセチル]‐アミン}‐2‐フェニルアセチルアミノ)‐酢酸エチルエステル16aの第1のジアステレオ異性体(0.139g;0.147mmol)が、6.6mLのメタノールおよびスパーテルからの木炭上の少量の10%のパラジウム(Pd/C)と共に25mLのフラスコ内に配置される。真空にした後に、水素バルーンが設置されて、一晩、室温で撹拌される。
【0105】
溶液はセライト(celite)に濾過された後に蒸発されて、白色結晶として生成物17が得られる。
NMRデータ:
19F‐NMR(CD3OD)
‐108.37(d,2JF-F=261.7Hz);‐109.29(d,2JF-F=256.8Hz)‐111.04(d,2JF-F=261.7Hz);‐115.44(d,2JF-F=256.8Hz);‐120.50,s
1H−NMR(CD3OD)
1.19,t,3H,H1,3JH1‐H2=7.1Hz;3.39‐3.52,m,1H;3.59‐3.98,m,7H;4.04−4.19,m,2H;4.28,dd,1H,2J=17.7Hz;5.22,dd,1H,H16,H16',2JH16‐HI6'=17.7Hz;5.67,s,1H,H7;6.69‐7.40,m,10H,HPh
質量分析:(直接導入,FAB+):
M+Na=605.0
ブドウ糖系列において、アミド21の調製について記載する(図22)。
【0106】
アルゴン雰囲気下の50mLフラスコにおいて、エステル6(0.193g、0.291mmnol、1eq.)が無水ジクロロメタン(5mL)に溶解される。パラ‐メトキシベンジルアミン22(0.057mL、0.436mmol、1.5eq.)が加えられた後、当該混合物は一晩撹拌される。該溶液は、その後に真空内で蒸発される。
【0107】
精製は、溶離剤としてシクロヘキサン/酢酸エチル混合液(9:1の割合)を用いてシリカカラムのクロマトグラフィによって実施される。
【0108】
濃縮後、生成物21は56重量%の収率で白色固体として得られた。
【0109】
得られた生成物21の構造を確認するために分析が行われ、結果を以下に示す。
TLC
Rf= 0.52,溶離剤:酢酸エチル/シクロヘキサン(3:7)
NMRデータ:
19F‐NMR(282MHz;溶媒:重水素化クロロホルム(CDCl3)):‐117.38、d、JF‐F=257Hz;‐121.90、d、JF‐F=257Hz
1H−NMR(300MHz;溶媒:重水素化クロロホルム(CDCl3))
3.3‐5、m、16H(cycle+4xOBn);3.66、s、3H:CH3(OMe);6.73、d、J=8.4Hz、2H:2CH(PMB);7.07、d、J=8.4Hz、2H:2CH(PMB);7.14‐7.24、m、20H:4x5CH(Ph)
13C−NMR(75.5MHz;溶媒:重水素化クロロホルム(CDCl3)):
43.35,CH2(PMB);55.68、CH3(OMe)、68.68、CH2(C6);73.06、CH;73.82,75.47,75.67,76.37:4xCH2(OBn);77.83、CH;78.62、CH;83.79、CH;96.59、dd、JC‐F=28.17HzおよびJC‐F=26.44Hz、‐CF2CH(OH)O‐;112.79、dd、JC‐F=263.6HzおよびJC‐F=259.6Hz、CF2;114.60、2CH(PMB);137−138 CH(Ph+PMB);159.71、C quat.(C−OMe PBM);163.32、dd、JC‐F=31.6HzおよびJC‐F=31.0Hz,CF2CONH
エステル官能基の還元
二フッ化アセチレートC−配糖体のエステル官能基を他の官能基変換することによって、広範囲にわたる複合糖質が、得られる。ジフルオロメチレングループの当該αエステル官能基の反応性、特にその還元性が、調査された。
【0110】
化合物2(または6)のエステル官能基は、四水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)または水素化リチウムアルミニウム(LiAlH4)によって還元されてアルコール官能基になり、化合物23(図22)が得られる。当該化合物のアルコール官能基は、その後Swern法,Dess-Martin法等の異なる方法によってアルデヒド官能基に酸化されて、化合物24が得られる。ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAH)によるアルコールからアルデヒドへの直接の還元が非オシド化合物になり得る点に留意する必要がある。
・アルコール26へのエステル25の還元(図23)
エステル25(30mg;45nmol;1eq.)と、四水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)(5mg;134nmol;3eq.)と、5mLのエタノール(EtOH)とが25mLのフラスコ内に投入される。
【0111】
該溶液は、室温で一晩撹拌された後に、真空内で蒸発乾固される。
【0112】
該白い沈殿物は、10mlの水および10mlのジクロロメタンによって再溶解される。
【0113】
相分離されると、水相はジクロロメタン(2x10mL)によって抽出され、有機相は集められて、無水マグネシウム硫酸塩によって乾燥されて、真空中で蒸発されて、86重量%の収率で24mgのアルコール26(38nmol)が得られる。
【0114】
得られた生成物26の構造を確かめるために分析が実行され、その結果は、その結果を以下す。:
TLC
Rf=0.44,溶離剤:シクロヘキサン/酢酸エチル(8:2)
NMRデータ:
19F‐NMR(282MHz,溶媒:重水素化クロロホルム(CDCl3)):
‐110.68、dm、2JF-F=259.7Hz,JF-H測定できず;‐117.8、dm、2JF-F=259.7Hz、JF‐H測定できず
1H−NMR(300MHz、溶媒:重水素化クロロホルム(CDCl3))
0.00、s、6H(2xCH3 TBDMS);0.84、s、9H(3xCH3 TBDMS);3.39‐4.96、m、15H;7.23‐7.33、m、15H(3x5CH Ph)
13C−NMR(75.5MHz,溶媒:重水素化クロロホルム(CDCl3))
‐DEPT135‐5.04および‐5.09、2CH3(TBDMS)、26.25、3CH3(TBDMS);62.37,CH2(C6);64.16、CH2,t,2JC‐F=31Hz(CF2CH2OH);73.23,74.87 et 75.64、3xCH2(OBn);73.45、74.80、79.52、および84.81、4xCH(C2 a C5);78.15、CH、dd、2JC‐F=26および29Hz;128.1‐128.9、3x5CH(OBn)
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】
【技術分野】
【0001】
本発明はジェミナル−二フッ化(gem-difluorinated)化合物の合成方法に関する。より詳細には、抗腫瘍剤、抗ウイルス剤、低血糖剤、抗炎症剤の製造に、若しくは免疫学、美容学および不凍液分子のグリコペプチド・アナログの製造に用いられる複合糖質化合物およびC−配糖体の製造に関するものの、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
近年、フッ化有機分子に関する研究の数は、かなり増加している。このような熱狂的な状況は、該分子の生物学的活動におけるフッ素の影響力が認識されたことによると説明されている。実際に、生体に作用する化合物の生理的特性はフッ素が導入されることによって変化しており、生化学者はフッ素を選択的に導入する新規な方法を熱望している。
【0003】
ところが、新規の重要な生物学的分子に関しての主な貢献は、モノフッ素化処理(monofluorination)およびトリフッ素化処理(trifluorination)において実質的になされている。
【0004】
それにもかかわらず、ジフルオロメチレンCF2基の導入は、抗腫瘍剤として現在臨床試験を受けているゲムシタビン(Gemcitabine(登録商標))(ジェムザール(Gemzar)、リリー社(Lilly))およびビンフルニン(Vinflunine(登録商標))(ピエール・ファーブル社)(図1)などの化合物において重大な重要性を示した。
【0005】
生物学的化合物の選択的なフッ素化処理に対するかかる関心は、フッ素原子の特性そのもの、すなわちその電気陰性度(最も強い電気的陰性元素))およびC−F結合エネルギー(484kJ.mol‐1;C−C:348kJ.mol‐1)に関連している。
【0006】
酸素の代替として、ジフルオロメチレンCF2基は、特に魅力的な候補であることが判った。すなわち、一方では、酸素の電気陰性度(3.5)がCF2基の電気的陰性度(3.3)に近い。また、他方では、アデノシン二リン酸(ADP)型構造のリン酸アナログの酸素の置換に関する1984年に実施された事前調査の間に、図2に示す如く、CF2は両方のフッ素の空間配置によって酸素の四面体と均等物であることが判った。
【0007】
さらに、電気陰性度が非常に近いことから、置換による電気的な影響は最小にされる。
【0008】
故に、図3に示す如きホスホチロシン(phosphotyrosine)およびホスホセリン(phosphoserine)のアナログが、最近合成された。
【0009】
上記化合物は、細胞間信号のトランスダクションに関係しているホスファターゼ酵素の抑制剤である。
【0010】
さらに、複合糖質化合物アナログの合成は、精査中である。これらは、アミノ酸(グリコプロテイン,グリコペプチド)、脂質(糖脂質)、ステロイド若しくはトリテルペン、アルカロイド、ケトン等の他の化合物(アグリコン)と糖質との間を結合することによって形成される化合物である。
【0011】
さらに、後者の、細胞膜の構成要素であるグリコプロテインおよび糖脂質は、多くの生化学プロセス(例えば細胞間の認識または細胞成長制御)に、広く関係している化合物である。上記理由のために、複合糖質化合物は、考慮すべき治療手段であって、抗腫瘍剤若しくは抗ウイルス剤としての用途を見出す。
【0012】
オシド(osidic)結合(アノマー(anomeric)位置にある酸素を含んでいる結合)が存在するために、これらの化合物は、プロテアーゼ酵素およびヒドロラーゼ酵素を含むいくつか酵素系に対して壊れやすい。
【0013】
当該化合物が生物学的特性を保持させるために、オシド結合の酸素の置換は重要である。その結果、当該結合は酵素の過程によって分解されることはない。
【0014】
酸素がCH2と置換することができるアナログは合成されており、安定性が増加しかつ酸素の化合物と同様の立体障害を有するにもかわらず、CH2基は最初の化合物の生物学的特性が良好な類似物を提供していない。
【0015】
酸素が窒素または硫黄によって、さらに最近ではジフルオロメチレン基によって置換された他の種類の化合物が、生物学的媒体における複合糖質化合物に高い安定性を付与するために研究されている。
【0016】
当該O/CF2転位は、特に電子レベル上で酸素を模倣することに適しているようである。すなわち、フッ素原子の双方が酸素の自由電子対の双方の役割をするのである(図2)。
【0017】
いくつかのチームがC−配糖体(アノマー位置の酸素が炭素に置換されている化合物)へ近づくための研究を行っているものの、複合糖質化合物(D‐グルコース、D‐ガラクトース、D‐ガラクトサミン、D‐グルコサミン等)において見られる広範囲の糖類に適用できる有効な方法は今日まで報告されない。
【0018】
したがって、本発明は上記問題を解決することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0019】
当該目的に対して、一般構造式Iのジェミナル−二フッ化C‐配糖体化合物を提案する。
【0020】
【化1】
【0021】
(上記構造式において、R1はアミン、アミドまたは酸性官能基によって少なくとも1つ置換されたアルキル鎖からなるグループであり、R2は水素原子H若しくは自由または保護アルコール官能基であり、R3は特にH、CH3、CH2OH、CH2‐OGP基であり、GPはアルキル、ベンジル(Bn)、トリメチルシリル(TMS)、tert‐ブチルジメチルシリル(TBDMS),tert‐ブチルジフェニルシリル(TBDPS),アセテート(Ac)...等の保護基であり、Y,Y’,Y”はY,Y’,Y”=H,OR,N3,NR’R”,SR’’’である独立基であり、R=H,Bn,Ac,TMS,TBDMS,TBDPS,...であり、R’R”=H,アルキル,アリル,Bn、トシラート(Ts),C(=O)‐アルキル,C(=O)‐Bn,...であり、R’’’=H,アルキル,Acである。)
さらに、一般構造式Iの当該化合物は、一般構造式IIによるラクトン
【0022】
【化2】
【0023】
(上記構造式において、R3は特にH,CH3,CH2−OGP基であり、GPはアルキル、ベンジル(Bn)、トリメチルシリル(TMS)、tert‐ブチルジメチルシリル(TBDMS),tert‐ブチルジフェニルシリル(TBDPS),アセテート(Ac)...等の保護基であり、Y,Y’,Y”は、Y,Y’,Y”=H,OR,N3,NR’R”,SR’’’...である独立基であり、R=H,Bn,Ac,TMS,TBDMS,TBDPS,...であり、R’R”=H,アルキル,アリル,Bn、トシラート(Ts),C(=O)‐アルキル,C(=O)‐Bn,...であり、R’’’=H,アルキル,Acである)と、亜鉛もしくはランタニド誘導体が存在する状況における一般構造式XCF2CO2R8(Xはハロゲン誘導体でありR8はアルキル基,アリール基,...である)で示される少なくとも1つのハロゲン化誘導体と、の間の反応によって得られても良い。
【0024】
当該ランタニド誘導体は、例えば二ヨウ化サマリウムSmI2であることとしても良い。
【0025】
変形例として、当該方法は、チタノセン(titanocene)に結合した亜鉛を使用することとしても良い。
【0026】
構造式I(R2=OH)の化合物から構造式I(R2=H)の化合物に至る脱酸素化は
、直接反応若しくはラジカル反応又はアセテート、トシラート、キサントゲン酸塩、シュウ酸エステル誘導体に続けられたラジカル反応のいずれかによって実施されても良い。
【0027】
ある変形例によれば、ジェミナル−二フッ化化合物は、一般構造式IIIを有することとし
ても良い。
【0028】
【化3】
【0029】
(上記構造式において、R5およびR6は、例えばアミン、アミノ酸、アミノエステル基、ペプチド鎖、タンパク質、炭水化物、ステロイドまたはトリテルペン、アルカロイド、リグナン(lignane)若しくは薬理学的に関心がある化合物が結合されている機能化された炭素鎖等の機能化された置換基若しくは機能化されていない置換基のいずれか、若しくはHである。)
他の変形例によれば、ジェミナル−二フッ化化合物は、一般構造式IVaおよびIVbを有することとしても良い。
【0030】
【化4】
【0031】
(上記構造式において、R5、R6、R7およびR9はアミン、アミノ酸、アミノエステル基、ペプチド鎖、タンパク質、炭水化物、ステロイドまたはトリテルペン、アルカロイド、リグナン(lignane)若しくは薬理学的に関心がある化合物が結合されている機能化された炭素鎖等の機能化された置換基又は機能化されていない置換基のいずれか、若しくはHである。)
構造式Iの化合物を得るために形成されるある中間化合物は、エステル基を含む一般構
造式Vの化合物であることとしても良い。
【0032】
【化5】
【0033】
(上記構造式において、R4は、アルキル、アリール、アリル基等の置換基であっても良く、当該置換基は機能化されたもの若しくは機能されていないものである。)
かかるエステル置換基‐CO2R4は、構造式VIの酸を得るために鹸化されても良い。
【0034】
【化6】
【0035】
当該エステル官能基‐CO2R4は、一般構造式VIIのC−配糖体化合物を得るために、
例えば四水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)または水素化リチウムアルミニウム(LiAlH4)を用いてアルコール基に還元されても良い。
【0036】
【化7】
【0037】
一般構造式VIIの化合物は、一般構造式VIIIの化合物を得るためにSwern酸化,Dess-Marti
n酸化法の如く異なる方法によって、アルデヒドに酸化されても良い。
【0038】
【化8】
【0039】
化合物VIIIは、また、チオエステルおよび還元を経てエステルVからも得られる。
【0040】
化合物VIIIは、ヘミアセタール(hemiacetalic)の形態で得られても良い。
【0041】
構造式Iの非オシド(osidic)化合物(かかる構造式においてR1=CH2−OH)は
、前述した方法のいずれかの方法によって、アルデヒドに酸化されても良い。
【0042】
さらに、他の変形例において、構造式Iの化合物(かかる構造式においてR1=COO
H)は、構造式III(かかる構造式においてR1=‐C(=O)‐NR5R6)の化合物を
得るためにアミン、アルデヒドおよびイソニトリルを用いたUgi反応に使用されても良い。
【0043】
他の変形例によると、一般構造式Iの化合物は、糖質誘導体をアミン(たとえばアミノ
酸またはペプチド)に結合することによって得られても良い。
【0044】
最終的に、CF2基は生化学的な分解過程に特に抵抗し、したがって、非加水分解構造の合成が可能となる。
【0045】
一般構造式I‐VIIIの化合物は、これらの誘導体および薬学的に許容される無機若しくは
有機酸が添加された塩は、タブレット、カプセル、糖衣錠、経口用溶液又は懸濁液、エマルジョン、座薬の形で存在しても良い。さらに、蒸留水、ブドウ糖、澱粉ラクトース、タルク、植物油、エチレングリコール等のような薬学的に許容されている非毒性であり不活発な賦形剤に加えて、得られた組成物は、防腐剤をさらに含むこととしても良い。
【0046】
他の活性成分は、上記組成物に加えられても良い。
【0047】
該組成物における他の許容活性成分および本発明による化合物の量は、患者の年齢、体重および用法によって異なることとしても良い。
【0048】
本発明による化合物を調製するための実施例は、制限しない実施例として後述する。
【0049】
使用した頭字語は、以下のように定義されている。
eq.: 当量
g: グラム
Hz: ヘルツ
mg: ミリグラム
MHz: メガヘルツ
min: 分
mL: ミリリットル
mmol: ミリモル
μmol: ミクロモル
nmol: ナノモル
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下、一般構造式Iのジェミナル−二フッ化複合糖質化合物の調製方法について説明す
る。
【0051】
【化9】
【0052】
当該化合物は、異なる方法によって合成されても良い。
【0053】
ジェミナル−二フッ化複合糖質化合物の合成における工程数が減るように、ラクトン1が球電子物質として使用された(図4)。誘導体2は、亜鉛Znまたは二ヨウ化サマリウムSmI2が存在する状況で、ブロモジフルオロアセテートエチル3の攻撃によってラクトン1から得られた。
【0054】
当該方法は、一般的な方法であり、異なる置換基を有するグルコピラノース(Y,Y’,Y”=OR,N3,NR’R”,SR’’’…)の全ての種類に適用されることができる点に留意する必要がある。また、開始ラクトンは、市販製品から1又は複数の工程によって(例えばグルコース系列において、1つの工程で市販製品を酸化することによって)得られる。
中間C−配糖体化合物6および7の合成(図5および6)
図5の実施例において、0.82gの活性亜鉛(Zn)(0.82g、12.5mmol、7eq.)が、冷却部および吸込み弁を頂部に備えた100mLの2首バイアルに導入される。全体は真空内に置かれ、亜鉛は熱ピストルで略5分間熱せられる。その後、真空状態はアルゴンバルーンで解除される。
【0055】
15mLの無水テトラヒドロフラン(THF)が加えられた後、得られた溶液は還流される。ラクトン4(0.960g、1.782mmol、1eq.)とブロモジフルオロアセテートエチル(BrCF2COOEt)5(0.69mL、5.346mmol、3eq.)及び無水テトラヒドロフラン(15mL)からなりかつアルゴン雰囲気下で調製された混合物とがその中に導入される。
【0056】
当該装置によって還流を2時間30分行い(該反応は溶離剤として酢酸エチル/シクロヘキサン(3:7)混合液を用いた薄層クロマトグラフィ(TLC)によって追跡され)、その後、30mLの1N塩酸溶液及びジクロロメタンが当該溶液に添加される。
【0057】
相が分離されてジクロロメタンによる抽出が実施される(すなわち3×10mLのジクロロメタンが連続的に水相に加えられて抽出される)。有機相は、集められて無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥された後、濾過されて、真空中の蒸発器で濃縮される。
【0058】
分離は、溶離剤として9対1の割合のシクロヘキサン/酢酸エチル混合液を用いてシリカカラムのクロマトグラフィによって行う。集められたフラクションを濃縮した後、生成物6は、黄色がかった油状物において単一のジアステレオ異性体として収率89重量%で得られる。
【0059】
亜鉛の代替として二ヨウ化サマリウムが使われる場合、化合物6は62重量%の収率で両方のジアステレオ異性体((2:1)混合物)の分離可能な混合物として得られる。
【0060】
本明細書に記載されている全ての化合物の分析に使用された装置の特性を以下に示す。
【0061】
1H、l3C、19F NMRスペクトルは、BRUKER DPX 300およびDPX 600分光計で測定された。1H及び13C NMRにおいて、テトラメチルシランが内部標準として使われる。19F−NMRにおいて、外部標準は、トリクロロフルオロメタン(CFCl3)である。化学シフトは百万分率(ppm)で表され、カップリング定数Jはヘルツ(Hz)で表される。
【0062】
なお、以下の略号が、使われた。すなわち、s(singlet),b(broad singlet),d(doublet),t(triplet),q(quadruplet),m(multiplet又はmassive),dd(doublet of doublets)を用いた。
【0063】
赤外スペクトルは、PERKIN−ELMER PARAGON 500のFT−IR装置で測定され、塩化ナトリウム結晶上の液体膜の形でまたは(固体用の)KBrタブレットの形で測定された。吸収周波数は、cm-1によって示されている。
【0064】
質量スペクトルは、FAB JEOL銃(Xe,4kV,l0mA)を備えたJEOL AX 500スペクトロメータによって得られた。
【0065】
カラムクロマトグラフィによる分離は、Kieselgel 60シリカ(230−400メッシュ(メルク))のクロマトグラフィ法によってわずかな圧力の下で行われた。
【0066】
フォローアップが、Kieselgel 60F−254−0.25mm板を備えた薄層クロマトグラフィ(TLC)によって行われる。溶離剤の移動距離に対する所定の支持体上の化合物の移動距離の比率は、移動率(the front ratio)(Rf)と呼ばれている。
【0067】
得られた生成物6の構造を確認するために実行された分析結果を以下に示す。
薄層クロマトグラフィ(TLC)
Rf=0.55,溶離剤:酢酸エチル/シクロヘキサン(3:7)
NMRデータ:
19F−NMR(282MHz;溶媒:重水素化クロロホルム(CDCl3)) ‐117.67,d,2JF-F=256Hz;‐120.03,d,2JF-F=256Hz
1H−NMR(300MHz;溶媒:重水素化クロロホルム(CDCl3))
1.19,t,3J=7.14Hz,3H:CH3(OEt);3.52‐3.70,m,3H(H5+2H6);3.90‐3.95,m,3H:H2+H3+H4,4.18,q,3J=7.14Hz,2H:CH2(OEt);4.39‐5.19,8H,m:4CH2(OBn);7.14‐7.24,20H,m:4x5CH(Ph)
13C−NMR(75.5MHz;溶媒:重水素化クロロホルム(CDCl3)):
14.29,CH3(OEt);63.89(CH2(OEt));68.68,CH2(C6);73.06,CH;73.82,75.47,75.67,76.37:4xCH2(OBn);77.83,CH;78.62,CH;83.79,CH;96.59,dd,2JC‐F=28.l7Hzおよび2JC‐F=26.44Hz,‐CF2C(OH)O‐;112.79,dd,1JC‐F=263.6Hzおよび1JC‐F=259.6Hz,CF2;137−138,CH(Ph);163.32,dd,2JC‐F=31.6Hzおよび2JC‐F=31.0Hz,CFCOOEt.
IR(cm‐1)
4059.6,3478.5,3089.5,3064.3,3031.6,2923.7,2852.0,2257.3,2925.7,1875.4,1769.3,1663.6,1605.9,1586.4,1497.3,1454.0,1396.7,1372.1,1315.6,1087.7,1027.9,910.6,856.8,802.1,736.7,698.1,648.9,605.5,540.9,462.7
質量分析:FAB+(Xe,4kV,3‐ニトロベンジルアルコール・マトリックス)
686(2%)=(M+Na)+,663(4%)=M+,661(6%),572(3%)=(M‐Bn)+,554(3%)=(M‐Bn‐H2O)+,463(4%),391(12%),307(14%),289(12%),271(16%),181(96%),154(100%),136(84%),107(50%),91(100%),81(46%),69(40%),55(76%),43(64%),29(20%)
誘導体7を得るための脱酸素化は、異なる経路(アセテート、トシラート、キサントゲン酸塩誘導体...を経て直接若しくはラジカル還元)を介して行われても良い。
【0068】
鹸化は、ナトリウム、カリウム又はリチウム水酸化物の水性エタノール溶液またはTHF溶液のいずれかを用いた異なる条件の下で準量的に(quasi-quantitatively)実行されても良い(図6)。
【0069】
テトラヒドロフラン(5mL)もしくはエタノール(5mL)に溶解されたエステル6(0.5g、1.75mmol 1eq.)を含んでいるフラスコに、リシン(lithine)LiOH水溶液(2M、0.75mL、2eq.)または苛性ソーダNaOH水溶液(0.07g、1.6mmol)が加えられた後、12時間連続して撹拌される。エタノールが使われた場合には該媒体は蒸発され、その後ジクロロメタンによって取り出される。混合物は1M塩酸(HCl)によって酸性化された後に、ジクロロメタンによって数回抽出される。有機相は、集められて、MgSO4によって乾燥され、濾過されて濃縮される。
【0070】
得られた生成物は無色の油状物であり、収率は定量的である。
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3,282.5MHz)
‐117.4,d,(2JF-F=258Hz);‐119.1,d(2JF-F=258Hz)
1H−NMR(CDCl3,300MHz):
3.40‐3.60,m,3H,H5およびH6;3.90‐4.00,m,3H,H2,H3およびH4;4.38‐4.79,m,8H,4CH2(OBn);7.05‐7.22,m,20H,H ar.
13C−NMR(CDCl3,75.5MHz)
68.6 (C6);72.2(C5);73.5,75.5,75.9,76.4(4CH2(OBn));77.7,78.5,83.6(C2,C3およびC4);96.0,dd,2JC‐F=27.0Hzおよび2JC‐F=28.7,‐CF2Cl(OH)O‐;112.4,dd,1JC‐F=260.3Hzおよび1JC‐F=259.2Hz,CF2 128.1,128.2,128.4,128.8,128.9,129.0(ar C.);137.2,137.7,137.9,138.6(ar.C,quat)163.6,dd,2JC‐F=30.5Hzおよび2JC‐F=32.8Hz,CF2COOH
化合物6および7からの二フッ化ジェミナル化合物の合成
・アミン類との反応
当該反応性によって、非常に興味深い化合物(すなわちグリコペプチドのアナログ)を得ることが可能になる。
【0071】
化合物6の誘導体は、対応するアミド類に導かれる異なる第1および第2のアミンと化学反応する。使用されるアミン類は、脂肪族アミン、ベンジルアミン又は芳香族アミンと、リジン等のアミノ酸誘導体である(図7)。
【0072】
不活性雰囲気下にあり開始化合物6(50mg;0.075mmol;1eq.)の溶液と、Boc‐リジン‐OMeアセテート8(48mg;0.15mmol;2eq.)のジクロロエタンDCE(3ml)溶液と、を含んでいるフラスコに、トリエチルアミンEt3N(53μl;0.375mmol;5eq.)が加えられる。当該混合物は48時間還流された後、溶媒を蒸発させる。
【0073】
粗生成物の精製は、溶離剤としてシクロヘキサン/酢酸エチル混合液(7対3の割合)を用いてシリカカラムのクロマトグラフィによって実施される。
【0074】
濃縮の後、生成物9は、明るい黄色の固体において収率84重量%で得られる。
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3,282.5MHz)
‐117.4, d,(2JF-F=259Hz);‐121.9,d,(2JF-F=259Hz)
1H−NMR(300MHz,CDCl3)
1.18‐1.60,m,15H,(CH3)3Cおよび(CH2)3;3.06‐3.19,m,2H,CH2N;3.52‐3.69,m,6H,H5;H6およびCO2CH3;3.84‐4.18,m,4H,H2;H3;H4およびCHN;4.36‐4.85,m,8H,4CH2Bn;5.01,d,J=8.3Hz,1H,NHBoc;6.60,m,1H,NH;7.10‐7.23,m,20H,H ar.
13C−NMR(75.5MHz,CDCl3)
22.7,28.8((CH2)2);28.9((CH3)3C);32.5(CH2);39.6(CH2N);52.7(CO2CH3);53.6(CHN);68.7(C6);73.6,75.3,75.8,76.4(4CH2Bn);72.1,77.9,78.6,83.6(C2,C3,C4およびC5);96.1,dd,2JC‐F=27.4Hz(CF2CO(OH));112.5,dd,1JC‐F=261.7Hz(CF2);127.6,127.7,127.8,128.3,128.4,128.5(ar. C),137.5,137.9,138.0,138.3(ar. C quat.);155.6(CO2Me);163.7,dd,2JC‐F=27.4Hz(CF2CONH);173.3(NHCO2tBu)
アラニンのグリコシル化された誘導体は、化合物6(図8)からまたは3つの異なる手順によって化合物7(図9)から形成されても良い。
【0075】
第1の手順Aは、リジンに由来する化合物9に使用されるものと同一である。化合物11の重量収率は、30%(図8)である。
【0076】
第2の手順B(図9)は、以下の通りである。
【0077】
すなわち、BOP(ベンゾトリアゾール‐1‐イルオキシ‐tris(ジメチルアミノ)‐ホスホニウム‐ヘキサフルオロホスフェイト)(35mg;7.87x10‐3mmol;1eq.)と、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(28μL;0.016mmol;2eq.)が酸性物質7(50mg;7.87x10‐3mmol;1eq.)のジクロロメタン(DCM)(2mL)溶液を含んでいる不活性雰囲気下のフラスコに導入される。該反応媒体は、1時間撹拌された後、アラニン10(11mg;7.87x10‐3mmol;1eq.)を含む溶液とDIEA(14μL;7.87xl0‐3mmol;1eq.)のジクロロメタン溶液(2mL)とが当該反応に加えられる。撹拌は24時間続けられる。その後該媒体は、1M塩酸HCl溶液によって洗浄される。有機相は、硫酸マグネシウムによって乾燥され、濾過されて、蒸発される。
【0078】
その後、粗生成物は、溶離剤としてシクロヘキサン/酢酸エチル混合液(7対3の割合)を用いて予備的なシリカ板によって精製される。
【0079】
生成物11は、収率77重量%で含まれている白色の固体として得られる。
【0080】
第3の手順C(図9)は、以下の通りである。
【0081】
酸性物質7(50mg;7.87x10‐3mmol;1eq.)のジクロロメタン溶液(2mL)を含んでいる不活性雰囲気下のフラスコに、BOPCl(ビス‐(2‐オキソ‐3‐オキサゾリジニル)‐ホスフィン)(40mg;7.87x10‐3mmol;1eq.)及びジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(28μL;0.016mmol;2eq.)が導入される。次に、撹拌が1時間続けられた後、アラニン誘導体10(22mg;0.016mmole;2eq.)を含む溶液とジエチルアミンDIEA(44μL;0.023mmole;3eq.)のジクロロメタン溶液(2mL)とを反応に加える。撹拌は24時間続けられ、その後に媒体は1MHCl溶液によって洗浄される。有機相は、硫酸マグネシウムによって乾燥され、濾過されて、蒸発される。
【0082】
粗生成物は、溶離剤としてシクロヘキサン/酢酸エチル混合液(7対3の割合)を用いて予備的なシリカ板によって精製される。
【0083】
生成物11は、収率44重量%の白色の固体として得られる。
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3,282.5MHz)
‐118.0, d(2JF-F=259Hz);‐122.2,d,(2JF-F=259Hz)
1H−NMR(CDCl3,300MHz)
1.26,d,3J=7.2Hz,3H,CH3;3.50‐3.66,m,3H,H5およびH6;3.63,s,3H,CO2CH3;3.89‐3.96,m,3H,H2,H3およびH4;4.40‐4.81,m,10H,NH;CHNおよび4CH2Bn;7.11‐7.21,m,20H,ar.H.
13C−NMR(CDCl3,75.5MHz)
16.7 (CH3);47.2(CHN);51.7(CO2CH3);67.3(C6);72.3,73.9,74.3,75.0(4CH2Bn);70.9,76.2,77.1,82.2(C2,C3,C4およびC5);126.6‐127.4,m(ar. C);136.5,136.9,137.0,137.4(ar.C,quat.);171.0(CO2Me)
以下のアミノ酸(例えばフェニルアラニン,トレオニン,メチオニン,プロリン)との結合反応は、ジペプチドとの反応と同様に(すなわち、手順Cと同一の方法をアラニンとの結合に適用することによって)、結合剤としてBOPClを用いて行われた。
【0084】
生成物12bは、収率42重量%の白色の固体として得られる(図11)。
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3,282.5MHz)
‐117.7,d,(2JF-F=261Hz);‐121.6,d,(2JF-F=261Hz)。
1H−NMR(CDCl3,300MHz)
3.07,m,2H,CH2Ph;3.44‐3.67,m,3H,H5およびH6;3.57,s,3H,CO2CH3;3.91‐3.98,m,3H,H2,H3およびH4;4.25‐4.85,m,10H,NH,CHNおよび4CH2Bn;7.00‐7.14,25H,ar.H
13C−NMR(CDCl3,75.5MHz)
37.5(CH2Ph);52.4(CO2CH3);53.1(CHN);68.3(C6);73.2,75.0,75.3,76.0(4CH2Bn);72.0,77.0,78.2,83.2(C2,C3,C4およびC5);127.3‐129.3,m(ar. C);135.0,137.5,137.9,138.0,138.4(ar. C quat.);170.3(CO2Me)。
【0085】
生成物12cは、28重量%の白色結晶として得られる(図12)。
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3,282.5MHz)
‐118.3,d,(2JF-F=257Hz);‐121.2,d,(2JF-F=257Hz)
1H−NMR(CDCl3,300MHz)
1.12,d,3J=6.4Hz,3H,CH3;3.48‐3.64,m,3H,H5およびH6;3.7,s,3H,CO2CH3;3.89‐4.00,m,3H,H2,H3およびH4;4.22‐4.82,m,11H,NH;CHN,CHOHおよび4CH2Bn;7.0‐7.24,m,20H,ar.H
13C−NMR(CDCl3,75.5MHz)
20.5 (CH3);53.2(CO2CH3);57.8(CHN);68.6(CHOH);68.7(C6);73.5,75.4,75.8,76.4(4CH2Bn);72.2,77.2,78.4,83.6(C2,C3,C4およびC5);128.1‐128.9m(ar. C);137.8,137.9,138.1,138.7(ar. C quat.);170.5(CO2Me)
生成物12dは、36重量%の収率で得られる(図13)。
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3,282.5MHz)
‐117.4,d,(2JF-F=260Hz),‐121.7,d,(2JF-F=260Hz)
1H−NMR(CDCl3,300MHz)
1.89‐1.99,m,2H,CH2;2.09,s,3H,SCH3;2.46,t,3J=7.0Hz,2H,CH2S;3.58‐3.77,m,3H,H5およびH6;3.68,s,3H,CO2CH3;3.96‐4.03,m,3H,H2,H3およびH4;4.43‐4.88,m,10H,NH;CHNおよび4CH2Bn;7.14‐7.30,m,20H,ar.H.
13C−NMR(CDCl3,75.5MHz)
15.7(CH2);29.9(SCH3);31.6(CH2S);51.8(CO2CH3);53.2(CHN);68.6(C6);73.6,75.4,75.8,76.4(4CH2Bn);72.4,77.4,78.5,85.6(C2,C3,C4およびC5);128.1‐128.9,m(ar. C);137.9,138.3,138.5,138.8(ar. C quat.);171.5(CO2Me).
生成物12eは、収率32重量%の白色結晶として得られる(図14)。
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3,282.5MHz)
‐112.6,d,(2JF-F=267Hz);‐113.7,d,(2JF-F=261Hz);‐117.2,d,(2JF-F=261Hz);‐117.3,d,(2JF-F=267Hz)。
1H−NMR(CDCl3,300MHz)
1.52‐1.89,m,4H,(CH2)2;3.5‐3.63,m,3H,H5およびH6;3.67,s,3H,CO2CH3;3.82‐4.06,m,5H,CH2N;H2;H3およびH4;4.33‐4.92,m,9H,CHNおよび4CH2Bn;7.10‐7.20,m,20H,ar.H.
生成物12fは、収率17重量%の白色結晶として得られる(図15)。
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3,282.5MHz)
‐117.6, d,(2JF-F=257Hz);‐122.4,d,(2JF-F=257Hz)。
1H−NMR(CDCl3,300MHz)
1.35,d,3J=7.2Hz,3H,CH3,3.05,m,2H,CH2Ph;3.5‐3.71,m,3H,H5およびH6;3.70,s,3H,CO2CH3;3.89‐4.01,m,3H,H2;H3およびH4;4.26‐4.89,m,11H,NH,2CHNおよび4CH2Bn;6.05,m,1H,NH;7.10‐7.20,m,25H,ar.H
化合物7は、化合物13‐17を得るために、ベンジルアミン18等のアミン、アルデヒド19、およびイソシアネートエチル20等のイソニトリルとのUGI反応に使用されても良い。
【0086】
すなわち、セレクチンと四糖類(シアリルルイスX(sialyl LewisX)(sLex))との間の結合の阻害剤である治療用化合物(マンノ−およびフコペプチド(fucopeptides))の合成が達成される経路が得られる。
【0087】
白血球は、多くの炎症および免疫学的な現象において、重要な役割を行う。これらの現象の多くにおいて、第1のステップは、内皮細胞と血中を流れる白血球との間の相互作用である。
【0088】
分子の研究、特に当該相互作用に関係している細胞の表面に対するものにおいて、白血球と内皮細胞は、それらの表面においてセレクチンと称される特定のレクチンを有することが判っている。これらは、カルシウム依存性分子の一系統の細胞粘着分子である。sLexは、セレクチン間を結合することに関係するリガンドのうちの1つであり、これによって、急性疾患(例えばリウマチ関節症、乾癬、ガン)に至っている内皮組織の上で、白血球の粘着力が生じる。
【0089】
従って、sLexを阻害する小型分子の開発は、魅力的な治療法のアプローチである。
化合物13の合成(図17):
全ての試薬は、乾燥メタノールによって希釈されて1Mの濃度にされる。
【0090】
25mLフラスコにおいて、ヘキサナール溶液(0.081mL;0.675mmol)がベンジルアミン溶液18(0.059mL;0.54mmole)と共に配置され、該混合物は2時間に亘って室温でアルゴン雰囲気の下で撹拌される。
【0091】
次に、イソシアネートエチル20(0.074mL;0.675mmol)の溶液と酸性物質7としてのジェミナル−二フッ化D‐グルコースの溶液(286mg;0.45mmol)とが加えられ、当該混合物は室温で、24時間に亘ってアルゴン雰囲気の下で撹拌される。
【0092】
その後、メタノールは蒸発されて、生成物の精製は、溶離剤として酢酸エチル/シクロヘキサン混合液(1:9乃至2:8の割合の範囲)の勾配でシリカカラムのクロマトグラフィによって実施される。
TLC
Rf=0.18,溶離剤:酢酸エチル/シクロヘキサン(2:8)
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3)
‐104.39(d,2JF-F=260.1Hz);‐104.85(d,2JF-F=257.9);‐108.61(d,2JF-F=255.8Hz));‐108.89(d,2JF-F=254.7Hz);‐108.95(d,2JF-F=260.1Hz);‐112.49(d,2JF-F=255.8Hz);‐114.35(d,2JF-F=254.7Hz);‐116.17(d,2JF-F=257.9Hz)
1H−NMR(CDCl3)
0.69,t,3H,H2O,3JH19‐H20=6.9Hz;0.90‐1.10,m,6H,1.15,t,5H,H1,3JH1‐H2=7.1Hz;3.41‐3.74,m,4H;3.78‐3.99,m,4H;4.07,q,2H,H2,3JH1‐H2=7.lHz;4.36‐4.55,m,4H;4.61‐6.97,m,8H;6.76,t,0.7H,H5,3JH4‐H5=5.5Hz;6.82,t,0.3H,H5 rotamer,3JH4‐H5=5.3Hz;7.00‐7.26,m,25H,HPh
質量分析:(直接導入,FAB+):
M+Na=959.6
M+K=975.7
化合物14の合成(図18):
全ての試薬は、乾燥メタノールによって希釈されて1Mの濃度にされる。
【0093】
トリメチルアセトアルデヒド溶液(0.073mL;0.675mmol)がベンジルアミン18(0.059mL;0.54mmol)を有する25mLフラスコ内に投入され、当該混合物は室温で2時間に亘ってアルゴン雰囲気の下で撹拌される。
【0094】
次に、イソシアネートエチル20(0.074mL;0.675mmol)の溶液と、酸性物質7としてのジェミナル−二フッ化D‐グルコースの溶液(286mg;0.45mmol)とが加えられ、当該混合物は室温で24時間に亘ってアルゴン雰囲気の下で撹拌される。
【0095】
メタノールは蒸発されて、生成物の精製が溶離剤として酢酸エチル/シクロヘキサン混合液(1:9乃至3:7の割合の範囲)を用いてシリカカラムのクロマトグラフィによって実施される。
【0096】
得られた生成物は、2つのジアステレオ異性体の形の黄色の油状物であり、これらは分離される。
第1のジアステレオ異性体14aの分析
TLC
Rf= 0.70,溶離剤:酢酸エチル/シクロヘキサン(4:6)
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3)
‐105.31(d,2JF-F=267.0Hz);‐106.69(d,2JF-F=267.0Hz)
1H−NMR(CDCl3)
0.99,s,9H,H18;1.16,t,3H,H1,3JH1‐H2=6.9Hz;3.39‐3.65,m,4H;3.90,dd,2H,J=8.9Hz;4.00‐4.15,q,3H,H2,3JH1‐H2=6.9Hz;4.37,d,1H,J=11.7Hz;4.49,t,2H,J=10.7Hz;4.69‐4.97,m,7H;5.53,s,1H,H7;6.49,m,1H,H5;7.08‐7.27,m,25H,HPh
質量分析:(直接導入,FAB+):
M+Na=945.4
第2のジアステレオ異性体14bの分析
TLC
Rf=0.65,溶離剤:酢酸エチル/シクロヘキサン(4:6)
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3)
‐107.15(d,2JF-F=255.7Hz)
1H−NMR(CDCl3)
1.02,s, 9H,H18;1.16,t,3H,H1,3JH1‐H2=7.0Hz;3.52‐4.00,m,9H;4.09,q,2H,H2,3JH1‐H2=7.0Hz;4.33‐4.86,m,8H;4.97,dd,2H,H16,H16',2JH16‐H16'=17.3Hz;5.33,s,1H,H7;6.49,m,1H,H5;6.98‐7.27,m,25H,HPh
質量分析:(MALDI+):
M+Na=945.4
化合物15の合成(図19):
全試薬は、乾燥メタノールによって希釈されて1Mの濃度にされる。
【0097】
3,4,5‐トリメトキシベンズアルデヒド22の溶液(0.132g;0.675mmol)がベンジルアミン溶液19(0.059mL;0.54mmole)と共に25mLのフラスコに投入され、当該混合物はアルゴン雰囲気下で2時間にわたって室温で撹拌される。
【0098】
次に、イソシアノアセテートエチル20(0.074mL;0.675mmol)の溶液と酸性物質7としてのジェミナル−二フッ化D‐グルコースの溶液(286mg;0.45mmol)とが加えられ、当該混合物をアルゴン雰囲気下で2時間にわたって室温で撹拌する。
【0099】
メタノールは蒸発されて、生成物の精製は溶離剤として酢酸エチル/シクロヘキサン混合液(1:9乃至3:7の割合の範囲)の勾配でシリカカラムのクロマトグラフィによって実施される。
【0100】
得られた生成物は2つのジアステレオ異性体15a、l5bを含む黄色の油状物であり、これらは分離される。
第1のジアステレオ異性体15aの分析
TLC
Rf=0.41,溶離剤:酢酸エチル/シクロヘキサン(4:6)
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3)
‐111.63,s
1H−NMR(CDCl3)
1.18,t,3H,H1,3JH1‐H2=7.2Hz;3.38,t,1H,J=6.6Hz;3.58,s,9H,H17 3.65,s,4H;3.93‐4.14,m,7H;4.40‐4.53,m,3H;4.70‐4.87,m,3H;4.86,dd,2H,H16,H16',2JH16‐H16'=16.9Hz;5.33,s,1H;6.38,s,1H,H7;6.43,t,1H,H5,3JH4‐H5=4.5Hz;6.90‐7.25,m,27H,Hph
質量分析:(直接導入,FAB+):
M+Na=1055.7
第2のジアステレオ異性体15bの分析
TLC
Rf=0.32,溶離剤:酢酸エチル/シクロヘキサン(4:6)
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3)
‐108.12(d,2JF-F=251.9Hz);‐115.19(d,2JF-F=251.9Hz)
1H−NMR(CDCl3)
1.17,t,3H,H1,3JH1‐H2=7.0Hz;3.32‐3.41,m,1H;3.65,s,9H,H17;3.70,s,3H;3.78‐3.98,m,5H;4.08,q,4H,H2,3JH1‐H2=7.0Hz;4.32,s,2H;4.60,dd,2H,J=10.54Hz;4.67,s,2H;4.87,s,1H;5.09,s,1H;6.30,t,1H,H5,3JH4‐H5=4.9Hz;6.52,s,2H,H7;6.86‐7.23,m,271,HPh
質量分析:(直接導入,FAB+):
M+Na=1055.7
化合物16の合成(図20)
全試薬は、乾燥メタノールによって1Mの濃度に希釈される。
【0101】
ベンズアルデヒド溶液(0.059mL;0.675mmol)はベンジルアミン18の溶液(0.059mL;0.54mmol)と共に25mLのフラスコ内に投入され、当該混合物はアルゴン雰囲気下で室温で2時間に亘って撹拌される。
【0102】
次に、イソシアノアセテートエチル20(0.074mL;0.675mmol)の溶液と酸性物質7としての二フッ化ジェミナルD‐グルコースの溶液(286mg;0.45mmol)が加えられ、当該混合物はアルゴン雰囲気下で2時間にわたって室温で撹拌される。
【0103】
メタノールは蒸発されて、生成物の精製は溶離剤として酢酸エチル/シクロヘキサン混合液(1:9乃至3:7の割合の範囲)の勾配でシリカカラムのクロマトグラフィによって実施される。
【0104】
得られた生成物は2つのジアステレオ異性体16a、l6bを含む形態で得られ、それらは分離される。
第1のジアステレオ異性体16aの分析
TLC
Rf=0.26,溶離剤:酢酸エチル/シクロヘキサン(3:7)
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3)
‐111.66,s,2F
1H−NMR(CDCl3):
1.15,t,3H,H1,3JH1‐H2=7.0Hz;3.52‐3.79,m,3H;3.83,dd,1H,J=4.5Hz;3.90‐4.01,m,4H,4.07,q,2H,H2,J=7.0Hz;4.36‐4.52,m,4H;4.68‐4.82,m,5H;4.94,dd,2H,H16,2JH16‐H16'=15.8Hz;5.20,s,1H,H7;6.29,t,1H,H5,3JH4‐H5=4.5Hz;6.96‐7.23,m,30H,HPh
13C−NMR(CDCl3):
14.2,C1;41,6,C4;52.0,61.6,C2;66.2,68.5,71.7,73.5,75.1,75.4,75.9,77.5,78.6,83.5,96.9,t,C10,2JCl0‐F=27.6Hz;114.3,t,C9,1JC-F=262.9Hz;126.9,127.2,127.7,127.8,127.9,128.0,128.1,128.2,128.3,128.4,128.5,128.5,128.6,128.8,130.0,133.0,136.3,137.8,138.0,128.6,165.1,t,C8,2JC8‐F=26.4Hz;168.3;169.7
質量分析:(MALDI+):
M+Na=965.5
M+K=981.5
第2のジアステレオ異性体16bの分析
TLC
Rf=0.71,溶離剤:酢酸エチル/シクロヘキサン(5:5)
NMRデータ:
19F‐NMR(CDCl3)
‐107.71(d,2JF-F=253.lHz);‐115.09(d,2JF-F=253.lHz)
1H−NMR(CDCl3)
1.16,t,3H,H1,3JH1‐H2=7.0Hz,3.35‐3.40,m,1H;3.51‐3.70,m,4H;3.84‐4.00,m,5H;4.08,q,2H,H2,3JH1‐H2=7.0Hz;4.23,s,1H;4.62,dd,2H,J=9.98Hz;4.67,s,1H;4.81,d,1H,J=3.8Hz;4.98,s,1H;5.08,d,1H,H16またはH16',2JH16‐H16'=18.0Hz;6.08,t,1H,H5,3JH4‐H5=4.9Hz;6.76‐6.85,m,1H;6.95‐7.29,m,30H,Hph
質量分析:(MALDI+):
M+Na=965.4
M+K=981.3
化合物17の合成(図21):
(2{ベンジル‐[2,2‐ジフルオロ‐2‐(3(R),4(S)‐tris‐ベンジルオキシ‐6(R)‐ベンジルオキシ‐メチル‐2(R)‐ヒドロキシテトラヒドロ‐ピラン‐2‐イル)‐アセチル]‐アミン}‐2‐フェニルアセチルアミノ)‐酢酸エチルエステル16aの第1のジアステレオ異性体(0.139g;0.147mmol)が、6.6mLのメタノールおよびスパーテルからの木炭上の少量の10%のパラジウム(Pd/C)と共に25mLのフラスコ内に配置される。真空にした後に、水素バルーンが設置されて、一晩、室温で撹拌される。
【0105】
溶液はセライト(celite)に濾過された後に蒸発されて、白色結晶として生成物17が得られる。
NMRデータ:
19F‐NMR(CD3OD)
‐108.37(d,2JF-F=261.7Hz);‐109.29(d,2JF-F=256.8Hz)‐111.04(d,2JF-F=261.7Hz);‐115.44(d,2JF-F=256.8Hz);‐120.50,s
1H−NMR(CD3OD)
1.19,t,3H,H1,3JH1‐H2=7.1Hz;3.39‐3.52,m,1H;3.59‐3.98,m,7H;4.04−4.19,m,2H;4.28,dd,1H,2J=17.7Hz;5.22,dd,1H,H16,H16',2JH16‐HI6'=17.7Hz;5.67,s,1H,H7;6.69‐7.40,m,10H,HPh
質量分析:(直接導入,FAB+):
M+Na=605.0
ブドウ糖系列において、アミド21の調製について記載する(図22)。
【0106】
アルゴン雰囲気下の50mLフラスコにおいて、エステル6(0.193g、0.291mmnol、1eq.)が無水ジクロロメタン(5mL)に溶解される。パラ‐メトキシベンジルアミン22(0.057mL、0.436mmol、1.5eq.)が加えられた後、当該混合物は一晩撹拌される。該溶液は、その後に真空内で蒸発される。
【0107】
精製は、溶離剤としてシクロヘキサン/酢酸エチル混合液(9:1の割合)を用いてシリカカラムのクロマトグラフィによって実施される。
【0108】
濃縮後、生成物21は56重量%の収率で白色固体として得られた。
【0109】
得られた生成物21の構造を確認するために分析が行われ、結果を以下に示す。
TLC
Rf= 0.52,溶離剤:酢酸エチル/シクロヘキサン(3:7)
NMRデータ:
19F‐NMR(282MHz;溶媒:重水素化クロロホルム(CDCl3)):‐117.38、d、JF‐F=257Hz;‐121.90、d、JF‐F=257Hz
1H−NMR(300MHz;溶媒:重水素化クロロホルム(CDCl3))
3.3‐5、m、16H(cycle+4xOBn);3.66、s、3H:CH3(OMe);6.73、d、J=8.4Hz、2H:2CH(PMB);7.07、d、J=8.4Hz、2H:2CH(PMB);7.14‐7.24、m、20H:4x5CH(Ph)
13C−NMR(75.5MHz;溶媒:重水素化クロロホルム(CDCl3)):
43.35,CH2(PMB);55.68、CH3(OMe)、68.68、CH2(C6);73.06、CH;73.82,75.47,75.67,76.37:4xCH2(OBn);77.83、CH;78.62、CH;83.79、CH;96.59、dd、JC‐F=28.17HzおよびJC‐F=26.44Hz、‐CF2CH(OH)O‐;112.79、dd、JC‐F=263.6HzおよびJC‐F=259.6Hz、CF2;114.60、2CH(PMB);137−138 CH(Ph+PMB);159.71、C quat.(C−OMe PBM);163.32、dd、JC‐F=31.6HzおよびJC‐F=31.0Hz,CF2CONH
エステル官能基の還元
二フッ化アセチレートC−配糖体のエステル官能基を他の官能基変換することによって、広範囲にわたる複合糖質が、得られる。ジフルオロメチレングループの当該αエステル官能基の反応性、特にその還元性が、調査された。
【0110】
化合物2(または6)のエステル官能基は、四水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)または水素化リチウムアルミニウム(LiAlH4)によって還元されてアルコール官能基になり、化合物23(図22)が得られる。当該化合物のアルコール官能基は、その後Swern法,Dess-Martin法等の異なる方法によってアルデヒド官能基に酸化されて、化合物24が得られる。ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAH)によるアルコールからアルデヒドへの直接の還元が非オシド化合物になり得る点に留意する必要がある。
・アルコール26へのエステル25の還元(図23)
エステル25(30mg;45nmol;1eq.)と、四水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)(5mg;134nmol;3eq.)と、5mLのエタノール(EtOH)とが25mLのフラスコ内に投入される。
【0111】
該溶液は、室温で一晩撹拌された後に、真空内で蒸発乾固される。
【0112】
該白い沈殿物は、10mlの水および10mlのジクロロメタンによって再溶解される。
【0113】
相分離されると、水相はジクロロメタン(2x10mL)によって抽出され、有機相は集められて、無水マグネシウム硫酸塩によって乾燥されて、真空中で蒸発されて、86重量%の収率で24mgのアルコール26(38nmol)が得られる。
【0114】
得られた生成物26の構造を確かめるために分析が実行され、その結果は、その結果を以下す。:
TLC
Rf=0.44,溶離剤:シクロヘキサン/酢酸エチル(8:2)
NMRデータ:
19F‐NMR(282MHz,溶媒:重水素化クロロホルム(CDCl3)):
‐110.68、dm、2JF-F=259.7Hz,JF-H測定できず;‐117.8、dm、2JF-F=259.7Hz、JF‐H測定できず
1H−NMR(300MHz、溶媒:重水素化クロロホルム(CDCl3))
0.00、s、6H(2xCH3 TBDMS);0.84、s、9H(3xCH3 TBDMS);3.39‐4.96、m、15H;7.23‐7.33、m、15H(3x5CH Ph)
13C−NMR(75.5MHz,溶媒:重水素化クロロホルム(CDCl3))
‐DEPT135‐5.04および‐5.09、2CH3(TBDMS)、26.25、3CH3(TBDMS);62.37,CH2(C6);64.16、CH2,t,2JC‐F=31Hz(CF2CH2OH);73.23,74.87 et 75.64、3xCH2(OBn);73.45、74.80、79.52、および84.81、4xCH(C2 a C5);78.15、CH、dd、2JC‐F=26および29Hz;128.1‐128.9、3x5CH(OBn)
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式
【化1】
で示され、
R1はアミン、アミドまたは酸性官能基によって少なくとも1つ置換されたアルキル鎖からなるグループであり、
R2は水素原子H若しくは自由または保護アルコール官能基であり、
R3は特にH、CH3、CH2OH、CH2‐OGP基であり、GPはアルキル、ベンジル(Bn)、トリメチルシリル(TMS)、tert‐ブチルジメチルシリル(TBDMS),tert‐ブチルジフェニルシリル(TBDPS),アセテート(Ac)等の保護基であり、
Y,Y’,Y”はY,Y’,Y”=H,OR,N3,NR’R”,SR’’’等である独立基であり、
R=H,Bn,Ac,TMS,TBDMS,TBDPS等であり、
R’R”=H,アルキル,アリル,Bn、トシラート(Ts),C(=O)‐アルキル,C(=O)‐Bnであり、
R’’’=H,アルキル,Acである、ジェミナル−二フッ化化合物。
【請求項2】
一般構造式
【化2】
で示されるC−配糖体からなり、
R5およびR6はアミン、アミノ酸、アミノエステル基、ペプチド鎖、タンパク質、炭水化物、ステロイドまたはトリテルペン、アルカロイド、リグナン若しくは薬理学的に関心がある化合物が結合されている機能化された炭素鎖等の機能化された置換基若しくは機能化されていない置換基のいずれか、若しくはHであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項3】
一般構造式
【化3】
で示される複合糖質化合物からなり、
R5、R6、R7およびR9はアミン、アミノ酸、アミノエステル基、ペプチド鎖、タンパク質、炭水化物、ステロイドまたはトリテルペン、アルカロイド、リグナン若しくは薬理学的に関心がある化合物が結合されている機能化された炭素鎖等の機能化された置換基若しくは機能化されていない置換基のいずれか、若しくはHであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項4】
亜鉛もしくはランタニド誘導体が存在する状況における一般構造式XCF2CO2R8で示されるハロゲン化誘導体とラクトンとの間の反応を含み、
Xはハロゲン誘導体でありR8はアルキル基,アリール基であることを特徴とする、構造式
【化4】
で示されるジェミナル−二フッ化化合物の製造方法
(ここで、前記構造式においてR1はアミン、又はアミド官能基によって少なくとも1つ置換されたアルキル鎖からなるグループであり、
R2は水素原子H若しくは自由または保護アルコール官能基であり、
R3は特にH、CH3、CH2OH、CH2‐OGP基であり、GPはアルキル、ベンジル(Bn)、トリメチルシリル(TMS)、tert‐ブチルジメチルシリル(TBDMS),tert‐ブチルジフェニルシリル(TBDPS),アセテート(Ac)等の保護基であり、
Y,Y’,Y”はY,Y’,Y”=H,OR,N3,NR’R”,SR’’’等である独立基であり、
R=H,Bn,Ac,TMS,TBDMS,TBDPS等であり、
R’R”=H,アルキル,アリル,Bn、トシラート(Ts),C(=O)‐アルキル,C(=O)‐Bn等であり、
R’’’=H,アルキル,Ac等である)。
【請求項5】
前記ランタニド誘導体は二ヨウ化サマリウムであることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記糖質誘導体は対応する市販の糖質から1つ以上のステップによって得られることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項7】
前記反応の後に脱酸素化が行われることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項8】
R8グループはアルコールに還元されるエステル官能基からなることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項9】
R8グループはアルコールに還元された後にアルデヒド又はヘミアセタールに酸化される若しくは直接アルデヒドに還元されるエステル官能基からなることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項10】
アミン、アルデヒドおよびイソニトリルを用いたUgi反応を含む、ことを特徴とする、構造式
【化5】
で示されるジェミナル−二フッ化化合物の製造方法
(ここで、前記構造式においてR1は−C(=O)−NR5R6であり、R5およびR6はアミン、アミノ酸、アミノエステル官能基、ペプチド鎖、タンパク質、炭水化物、ステロイドまたはトリテルペン、アルカロイド、リグナン若しくは薬理学的に関心がある化合物が結合されている機能化された炭素鎖等の機能化された置換基若しくは機能化されていない置換基のいずれか、若しくはHであり、
R2は水素原子H若しくは自由または保護アルコール官能基であり、
R3は特にH、CH3、CH2OH、CH2‐OGP基であり、GPはアルキル、ベンジル(Bn)、トリメチルシリル(TMS)、tert‐ブチルジメチルシリル(TBDMS),tert‐ブチルジフェニルシリル(TBDPS),アセテート(Ac)等の保護基であり、
Y,Y’,Y”は、Y,Y’,Y”=H,OR,N3,NR’R”,SR’’’等である独立基であり、
R=H,Bn,Ac,TMS,TBDMS,TBDPS等であり、
R’R”=H,アルキル,アリル,Bn、トシラート(Ts),C(=O)‐アルキル,C(=O)‐Bn等であり、
R’’’=H,アルキル,Acである)。
【請求項11】
アミンを用いた糖質誘導体の結合反応を含む、ことを特徴とする、
構造式
【化6】
で示されるジェミナル−二フッ化化合物の製造方法
(ここで、前記構造式においてR1は−C(=O)−NR5R6であり、R5およびR6はアミン、アミノ酸、アミノエステル基、ペプチド鎖、タンパク質、炭水化物、ステロイドまたはトリテルペン、アルカロイド、リグナン若しくは薬理学的に関心がある化合物が結合されている機能化された炭素鎖等の機能化された置換基若しくは機能化されていない置換基のいずれか、若しくはHであり、
R2は水素原子H若しくは自由または保護アルコール官能基であり、
R3は特にH、CH3、CH2OH、CH2‐OGPからなるグループであり、GPはアルキル、ベンジル(Bn)、トリメチルシリル(TMS)、tert‐ブチルジメチルシリル(TBDMS),tert‐ブチルジフェニルシリル(TBDPS),アセテート(Ac)等の保護基であり、
Y,Y’,Y”は、Y,Y’,Y”=H,OR,N3,NR’R”,SR’’’等である独立基であり、
R=H,Bn,Ac,TMS,TBDMS,TBDPS等であり、
R’R”=H,アルキル,アリル,Bn、トシラート(Ts),C(=O)‐アルキル,C(=O)‐Bn等であり、
R’’’=H,アルキル,Acである)。
【請求項12】
請求項1乃至3のうちの少なくとも1つの化合物、もしくは該化合物の誘導体の1つ、もしくは薬学的に許容される有機又は無機酸を加えることによって得られた該化合物の塩の1つを含むことを特徴とする組成物。
【請求項13】
請求項1乃至3の何れか1に記載のジェミナル−二フッ化化合物を使用した抗腫瘍薬。
【請求項14】
請求項1乃至3の何れか1に記載のジェミナル−二フッ化化合物を使用した抗ウイルス薬。
【請求項15】
請求項1乃至3の何れか1に記載のジェミナル−二フッ化化合物を使用した低血糖薬。
【請求項16】
請求項1乃至3の何れか1に記載のジェミナル−二フッ化化合物を使用した免疫学的な化合物。
【請求項17】
請求項1乃至3の何れか1に記載のジェミナル−二フッ化化合物を使用した抗炎症用化合物。
【請求項18】
請求項1乃至3の何れか1に記載のジェミナル−二フッ化化合物を使用した美容用化合物。
【請求項19】
請求項1乃至3の何れか1に記載のジェミナル−二フッ化化合物を使用したグリコペプチド・アナログを含む不凍液分子。
【請求項1】
構造式
【化1】
で示され、
R1はアミン、アミドまたは酸性官能基によって少なくとも1つ置換されたアルキル鎖からなるグループであり、
R2は水素原子H若しくは自由または保護アルコール官能基であり、
R3は特にH、CH3、CH2OH、CH2‐OGP基であり、GPはアルキル、ベンジル(Bn)、トリメチルシリル(TMS)、tert‐ブチルジメチルシリル(TBDMS),tert‐ブチルジフェニルシリル(TBDPS),アセテート(Ac)等の保護基であり、
Y,Y’,Y”はY,Y’,Y”=H,OR,N3,NR’R”,SR’’’等である独立基であり、
R=H,Bn,Ac,TMS,TBDMS,TBDPS等であり、
R’R”=H,アルキル,アリル,Bn、トシラート(Ts),C(=O)‐アルキル,C(=O)‐Bnであり、
R’’’=H,アルキル,Acである、ジェミナル−二フッ化化合物。
【請求項2】
一般構造式
【化2】
で示されるC−配糖体からなり、
R5およびR6はアミン、アミノ酸、アミノエステル基、ペプチド鎖、タンパク質、炭水化物、ステロイドまたはトリテルペン、アルカロイド、リグナン若しくは薬理学的に関心がある化合物が結合されている機能化された炭素鎖等の機能化された置換基若しくは機能化されていない置換基のいずれか、若しくはHであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項3】
一般構造式
【化3】
で示される複合糖質化合物からなり、
R5、R6、R7およびR9はアミン、アミノ酸、アミノエステル基、ペプチド鎖、タンパク質、炭水化物、ステロイドまたはトリテルペン、アルカロイド、リグナン若しくは薬理学的に関心がある化合物が結合されている機能化された炭素鎖等の機能化された置換基若しくは機能化されていない置換基のいずれか、若しくはHであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項4】
亜鉛もしくはランタニド誘導体が存在する状況における一般構造式XCF2CO2R8で示されるハロゲン化誘導体とラクトンとの間の反応を含み、
Xはハロゲン誘導体でありR8はアルキル基,アリール基であることを特徴とする、構造式
【化4】
で示されるジェミナル−二フッ化化合物の製造方法
(ここで、前記構造式においてR1はアミン、又はアミド官能基によって少なくとも1つ置換されたアルキル鎖からなるグループであり、
R2は水素原子H若しくは自由または保護アルコール官能基であり、
R3は特にH、CH3、CH2OH、CH2‐OGP基であり、GPはアルキル、ベンジル(Bn)、トリメチルシリル(TMS)、tert‐ブチルジメチルシリル(TBDMS),tert‐ブチルジフェニルシリル(TBDPS),アセテート(Ac)等の保護基であり、
Y,Y’,Y”はY,Y’,Y”=H,OR,N3,NR’R”,SR’’’等である独立基であり、
R=H,Bn,Ac,TMS,TBDMS,TBDPS等であり、
R’R”=H,アルキル,アリル,Bn、トシラート(Ts),C(=O)‐アルキル,C(=O)‐Bn等であり、
R’’’=H,アルキル,Ac等である)。
【請求項5】
前記ランタニド誘導体は二ヨウ化サマリウムであることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記糖質誘導体は対応する市販の糖質から1つ以上のステップによって得られることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項7】
前記反応の後に脱酸素化が行われることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項8】
R8グループはアルコールに還元されるエステル官能基からなることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項9】
R8グループはアルコールに還元された後にアルデヒド又はヘミアセタールに酸化される若しくは直接アルデヒドに還元されるエステル官能基からなることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項10】
アミン、アルデヒドおよびイソニトリルを用いたUgi反応を含む、ことを特徴とする、構造式
【化5】
で示されるジェミナル−二フッ化化合物の製造方法
(ここで、前記構造式においてR1は−C(=O)−NR5R6であり、R5およびR6はアミン、アミノ酸、アミノエステル官能基、ペプチド鎖、タンパク質、炭水化物、ステロイドまたはトリテルペン、アルカロイド、リグナン若しくは薬理学的に関心がある化合物が結合されている機能化された炭素鎖等の機能化された置換基若しくは機能化されていない置換基のいずれか、若しくはHであり、
R2は水素原子H若しくは自由または保護アルコール官能基であり、
R3は特にH、CH3、CH2OH、CH2‐OGP基であり、GPはアルキル、ベンジル(Bn)、トリメチルシリル(TMS)、tert‐ブチルジメチルシリル(TBDMS),tert‐ブチルジフェニルシリル(TBDPS),アセテート(Ac)等の保護基であり、
Y,Y’,Y”は、Y,Y’,Y”=H,OR,N3,NR’R”,SR’’’等である独立基であり、
R=H,Bn,Ac,TMS,TBDMS,TBDPS等であり、
R’R”=H,アルキル,アリル,Bn、トシラート(Ts),C(=O)‐アルキル,C(=O)‐Bn等であり、
R’’’=H,アルキル,Acである)。
【請求項11】
アミンを用いた糖質誘導体の結合反応を含む、ことを特徴とする、
構造式
【化6】
で示されるジェミナル−二フッ化化合物の製造方法
(ここで、前記構造式においてR1は−C(=O)−NR5R6であり、R5およびR6はアミン、アミノ酸、アミノエステル基、ペプチド鎖、タンパク質、炭水化物、ステロイドまたはトリテルペン、アルカロイド、リグナン若しくは薬理学的に関心がある化合物が結合されている機能化された炭素鎖等の機能化された置換基若しくは機能化されていない置換基のいずれか、若しくはHであり、
R2は水素原子H若しくは自由または保護アルコール官能基であり、
R3は特にH、CH3、CH2OH、CH2‐OGPからなるグループであり、GPはアルキル、ベンジル(Bn)、トリメチルシリル(TMS)、tert‐ブチルジメチルシリル(TBDMS),tert‐ブチルジフェニルシリル(TBDPS),アセテート(Ac)等の保護基であり、
Y,Y’,Y”は、Y,Y’,Y”=H,OR,N3,NR’R”,SR’’’等である独立基であり、
R=H,Bn,Ac,TMS,TBDMS,TBDPS等であり、
R’R”=H,アルキル,アリル,Bn、トシラート(Ts),C(=O)‐アルキル,C(=O)‐Bn等であり、
R’’’=H,アルキル,Acである)。
【請求項12】
請求項1乃至3のうちの少なくとも1つの化合物、もしくは該化合物の誘導体の1つ、もしくは薬学的に許容される有機又は無機酸を加えることによって得られた該化合物の塩の1つを含むことを特徴とする組成物。
【請求項13】
請求項1乃至3の何れか1に記載のジェミナル−二フッ化化合物を使用した抗腫瘍薬。
【請求項14】
請求項1乃至3の何れか1に記載のジェミナル−二フッ化化合物を使用した抗ウイルス薬。
【請求項15】
請求項1乃至3の何れか1に記載のジェミナル−二フッ化化合物を使用した低血糖薬。
【請求項16】
請求項1乃至3の何れか1に記載のジェミナル−二フッ化化合物を使用した免疫学的な化合物。
【請求項17】
請求項1乃至3の何れか1に記載のジェミナル−二フッ化化合物を使用した抗炎症用化合物。
【請求項18】
請求項1乃至3の何れか1に記載のジェミナル−二フッ化化合物を使用した美容用化合物。
【請求項19】
請求項1乃至3の何れか1に記載のジェミナル−二フッ化化合物を使用したグリコペプチド・アナログを含む不凍液分子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2006−508048(P2006−508048A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−526949(P2004−526949)
【出願日】平成15年7月23日(2003.7.23)
【国際出願番号】PCT/FR2003/002330
【国際公開番号】WO2004/014928
【国際公開日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【出願人】(505021762)アンスティテュ ナティオナル デ シアンセ アプリケ ド ルーアン(イーエヌエスアー) (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年7月23日(2003.7.23)
【国際出願番号】PCT/FR2003/002330
【国際公開番号】WO2004/014928
【国際公開日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【出願人】(505021762)アンスティテュ ナティオナル デ シアンセ アプリケ ド ルーアン(イーエヌエスアー) (1)
【Fターム(参考)】
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