説明

新規な徐放性医薬組成物とその製法

少なくとも1種の活性物質もしくはその互変異性形態、類似体、異性体、多形体、溶媒和物、またはその塩を含む新規な徐放性医薬組成物。好ましくは抗ウイルス活性物質が供給される。前記組成物を調製する方法、および該組成物の使用方法も提供する。本発明の徐放性組成物は活性物質を長期間所望のように送達し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な徐放性医薬組成物、およびそのような組成物で、好ましくは優れたバイオアベイラビリティを有する活性物質を含有するものの調製方法に係わる。本発明は特に、抗ウイルス活性物質を含有する医薬組成物、そのような組成物の調製方法、およびそのような組成物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品の分野において徐放性製品の利点は周知であり、その一つに、医薬を所与の期間にわたってゆっくり放出することができ、その際同一レベルの達成に必要な投与回数が減ることで患者の適合性が向上することがある。胃内に長期間留まる活性物質送達剤形を提供する様々な試みが以前から開示されている。
【0003】
特許文献1は、活性物質から成る芯を、活性物質の胃への送達を制御する外皮で包んだ極小丸剤を含有するヒドロゲル貯留体(hydrogel reservoir)を記載している。ヒドロゲルが胃内で膨潤し、この活性物質貯留体が暫時胃で保持されることを容易にする。特許文献2は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマーの数平均分子量が小さいものと、大きいものと、活性物質との混合物を含み、胃内で膨潤する剤形を記載している。特許文献3は、活性物質およびポリマーマトリックスを含み、胃で保持される制御放出剤形を記載しており、前記マトリックスは、ポリエチレンオキサイド、およびヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、メチルセルロースを含めたセルロース系ポリマー誘導体、ならびにマルトデキストリン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、アルギネート、ゼラチン、天然ガムといった非セルロース系誘導体などの、胃内環境で液体と接触すると膨張する膨潤可能な水溶性ポリマーと、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、イオン交換樹脂、微晶質セルロースなどの水分誘引剤(hydro attractant)との混合物から成る。特許文献4および5は、抗真菌薬、抗生物質および抗ウイルス薬のように局所的に作用する物質などの有効成分を送達するための凝集固体剤形を調製する方法の改良を記載している。特許文献6は、基体と、基体上に設けられた封入被膜とを含む固体キャリアの形態の医薬組成物を記載しており、この組成物は治療有効量の疎水性医薬有効成分と、有効可溶化量、即ち投与時に有効成分の持続的可溶化を容易にするのに有効な量の1種以上の親水性界面活性剤とを含有する。特許文献7は、生体適合性の親水性ポリマーおよびその中に組み込まれた薬理活性物質から各々構成される複数の異なる候補剤形を製造することにより、in vivoで所定の薬物放出プロファイルを有する、患者への投与のために最適化された制御放出剤形を選択する方法を記載している。特許文献8は、親水性で水膨潤性のポリマー中に分散した固形薬物の複数の固体粒子を含む、薬物溶液を胃内へ放出するための経口薬徐放剤形を記載している。
【0004】
ファムシクロビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、ガンシクロビル等、数種の抗ウイルス活性物質が存在する。ファムシクロビルは経口薬であり、I型およびII型単純疱疹(口唇ヘルペスおよび陰部ヘルペス)ならびに水痘−帯状疱疹(帯状ヘルペスおよび水疱瘡)を含めた疱疹ウイルスに対して活性な抗疱疹ウイルスヌクレオシド類似体であるペンシクロビルのジアセチル−6−デオキシプロドラッグである。ウイルスに対して活性なのはペンシクロビルである。ペンシクロビルはウイルス由来のチミジンキナーゼによりリン酸化されてペンシクロビル一リン酸となり、これが細胞キナーゼによってペンシクロビル三リン酸に変換される。この物質は、ウイルスの自己再生に必須であるウイルスDNAの複製を阻害する。ファムシクロビルはアシクロビルと同じウイルスに対して活性であるが、作用がより長く持続する。従って、毎日の摂取回数がより少なくて済む。ファムシクロビルは1994年にUSFDAによって使用が認可された。ファムシクロビルは急速な生体内変化を遂げて、活性な抗ウイルス性化合物のペンシクロビルとなり、この化合物はI型(HSV−1)およびII型(HSV−2)の単純疱疹ウイルスならびに水痘−帯状疱疹ウイルス(VZV)に対して阻害活性を有する。ペンシクロビル三リン酸は、いずれもin vitro培養されたHSV−1感染細胞においては10時間、HSV−2感染細胞においては20時間、そしてVZV感染細胞では7時間の細胞内半減期を有する。ただし、臨床上の有意性は未知である。アシクロビルは、I型単純疱疹ウイルス(HSV−1)、II型単純疱疹ウイルス(HSV−2)、および水痘−帯状疱疹ウイルス(VZV)に対してin vitroでもin vivoでも阻害活性を有する合成プリンヌクレオシド類似体である。バラシクロビル塩酸は、抗ウイルス薬アシクロビルのL−バリルエステルの塩酸塩である。バラシクロビルは口唇ヘルペス(herpes labialis)および帯状疱疹(herpes zoster)の治療に用いられる。また、正常な免疫系を有する患者の陰部ヘルペスの治療にも用いられる。シメチジンは、壁細胞のヒスタミンH受容体においてヒスタミンの作用を競合的に阻害するヒスタミンH受容体アンタゴニストである。メトホルミンは、基礎および食後血糖値を共に低下させて2型糖尿病患者のグルコース負荷を改善する抗過血糖薬である。メトホルミンは肝臓のグルコース産生を減少させ、腸のグルコース吸収を抑え、また、末梢でのグルコースの取り込みおよび利用を増加させることによりグルコース感受性を改善する。カプトプリルは、アンギオテンシンIをアンギオテンシンIIに変換する酵素であるアンギオテンシンI変換酵素(ACE)の特異的競合阻害剤である。この薬物の高血圧症および心不全に対する有益な効果は主として、レニン−アンギオテンシン−アルドステロン系の抑制に起因する。カプトプリルはアンギオテンシンIからアンギオテンシンIIへの変換をACEの阻害によって妨げる。ブプロピオンは、ドパミン再取り込み阻害剤であると同時にノルエピネフリン再取り込み阻害剤でもあり、しばしば禁煙補助薬として用いられる。トラマドールは中枢系に作用する合成オピオイド鎮痛薬であり、親代謝物M1をμオピオイド受容体に結合させること、ならびにノルエピネフリンおよびセロトニンの再取り込みを微弱にではあるが阻害することを含む相補的な二つの機序によって作用する。オキシカルバゼピンは、主としてその10−モノヒドロキシ代謝物(MHD)を介して作用を及ぼす抗てんかん薬である。オキシカルバゼピンとその代謝物MHDの発作抑制効果は、電圧感受性のナトリウムチャンネルをブロックし、それによって過度に興奮した神経膜を落ち着かせ、繰り返されるニューロンの発火を抑え、シナプスパルスの伝搬を低減することによって発揮される。レベチラセタムは、てんかんに罹患した成人および4歳以上の小児における発作の部分的開始の治療で用いられる補助療法として示唆される抗てんかん薬である。フェキソフェナジン塩酸は、枯草熱およびアレルギー症状の治療に用いられる抗ヒスタミン薬である。
【特許文献1】米国特許第4,851,232号
【特許文献2】米国特許第4,871,548号
【特許文献3】米国特許第6,548,083号
【特許文献4】米国特許第6,395,303号
【特許文献5】米国特許第6,866,867号
【特許文献6】米国特許出願公開第2003215496号
【特許文献7】米国特許出願公開第2004185105号
【特許文献8】米国特許第5,007,790号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
経口型の徐放性送達系に関する先行技術文献が幾つか存在するものの、薬物を特定の所望方法で安定的かつ一律に放出する徐放性薬物送達系を開発する必要性はなお存在する。本発明の発明者等は知的努力を惜しまずに幅広く研究し、異なるポリマーおよび他の好適な添加剤を含む持続系に抗ウイルス薬を配合したものを用いて幾つかの実験を行ない、先行技術に比して有意に優る徐放系を提供するに至った。
【0006】
本発明は、少なくとも1種の活性物質もしくはその互変異性形態、類似体、異性体、多形体、溶媒和物、誘導体、またはその塩と、少なくとも1種のpH非依存性ポリマーと、少なくともガムを含む持続系とを、場合によっては、医薬に許容可能な1種以上の添加剤と共に含む新規な徐放性医薬組成物を提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、少なくとも1種の活性物質もしくはその互変異性形態、類似体、異性体、多形体、溶媒和物、誘導体、またはその塩と、少なくとも1種のpH非依存性ポリマーと、少なくともガムおよびメタクリル酸ポリマーを含む持続系とを、場合によっては、医薬に許容可能な1種以上の添加剤と共に含む新規な徐放性医薬組成物を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、少なくとも1種の活性物質もしくはその互変異性形態、類似体、異性体、多形体、溶媒和物、誘導体、またはその塩と、少なくとも1種のpH非依存性ポリマーと、少なくともガムを含む持続系と、少なくとも1種の賦形剤と、少なくとも1種の無機塩とを、場合によっては、医薬に許容可能な1種以上の添加剤と共に含む新規な徐放性医薬組成物を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、好ましくは抗ウイルス薬、抗潰瘍薬、抗高血圧薬、抗糖尿病薬、抗鬱薬、抗ヒスタミン薬、抗てんかん薬、鎮痛薬を含む群から選択される少なくとも1種の活性物質もしくはその互変異性形態、類似体、異性体、多形体、溶媒和物、誘導体、またはその塩と、少なくとも1種のpH非依存性ポリマーと、少なくともガムを含む持続系とを、場合によっては、医薬に許容可能な1種以上の添加剤と共に含む新規な徐放性医薬組成物を提供することも目的とする。
【0010】
本発明は、少なくとも1種の活性物質、好ましくは、アシクロビル、ファムシクロビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、ガンシクロビル、リトナビル、ロピナビル、サキナビル等を含む群から選択される抗ウイルス薬;シメチジン;ラニチジン;カプトプリル;メトホルミン;ブプロピオン;フェキソフェナジン;オキシカルバゼピン;レベチラセタム;トラマドール等もしくはこれらの互変異性形態、類似体、異性体、多形体、溶媒和物、誘導体、またはその塩を含む新規な徐放性医薬組成物を提供することも目的とする。
【0011】
本発明は、活性物質としてのファムシクロビルもしくはその互変異性形態、類似体、異性体、多形体、溶媒和物、誘導体、またはその塩と、少なくとも1種のpH非依存性ポリマーと、少なくともガムを含む持続系とを、場合によっては、医薬に許容可能な1種以上の添加剤と共に含む新規な徐放性医薬組成物を提供することも目的とする。
【0012】
本発明は、上記のような組成物を調製する方法の提供も目的とする。
【0013】
本発明は、上記のような組成物を調製する方法であって、
i) 活性物質、または場合によっては活性物質とpH非依存性ポリマーとの混合物を顆粒化する工程、
ii) 得られた顆粒を、場合によっては1種以上の無機塩、および/または医薬に許容可能な他の添加剤と共に持続系と混合する工程、および
iii) 混合物を製剤して適当な剤形とする工程
を含む方法を提供することも目的とする。
【0014】
上記のような組成物を使用する方法であって、その組成物を必要とする患者に有効量の該組成物を投与することを含む方法の提供も、本発明の目的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、少なくとも1種の活性物質を含む新規な徐放性医薬組成物を提供する。一実施形態において活性物質は、抗ウイルス薬、抗潰瘍薬、抗高血圧薬、抗糖尿病薬、CNS抑制薬、抗ヒスタミン薬、鎮痙薬、鎮痛薬、もしくはその互変異性形態、類似体、異性体、多形体、溶媒和物、またはその塩を含む群から選択されるが、この群に限定はされない。
【0016】
本発明の一実施形態において、少なくとも1種の活性物質、好ましくは、アシクロビル、ファムシクロビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、ガンシクロビル、リトナビル、ロピナビル、サキナビル等を含む群から選択される抗ウイルス薬;シメチジン;ラニチジン;カプトプリル;メトホルミン;ブプロピオン;フェキソフェナジン;オキシカルバゼピン;レベチラセタム;トラマドール等もしくはこれらの互変異性形態、類似体、異性体、多形体、溶媒和物、誘導体、またはその塩を含む新規な徐放性医薬組成物が提供される。好ましくは、活性物質は抗ウイルス薬であり、より好ましくはファムシクロビルである。
【0017】
本発明の組成物は、1種以上の活性物質もしくはその互変異性形態、類似体、異性体、多形体、溶媒和物、誘導体、またはその塩と、少なくとも1種のpH非依存性ポリマーと、少なくともガムを含む持続系と、場合によっては、医薬に許容可能な1種以上の添加剤とを含む。一実施形態において、持続系はメタクリル酸ポリマーを付加的に含む。一実施形態において、本発明の組成物は少なくとも1種の無機塩および/または賦形剤を付加的に含む。
【0018】
本発明は、活性物質、好ましくは優れたバイオアベイラビリティを有する活性物質の新規な徐放性医薬組成物に係わる。活性物質が抗ウイルス薬である実施形態では本発明は、本発明による抗ウイルス剤組成物をウイルスに感染した患者に投与して該患者のウイルス感染症を改善するか、少なくとも最小限に抑える方法にも係わる。
【0019】
組成物は製剤して適当な剤形とされ、治療濃度の活性物質を長期間供給する。本発明の新規な組成物は活性物質を約6〜20時間、好ましくは約10〜16時間放出する。この放出は主として拡散とそれに続く侵食、即ち、活性物質を含有するポリマーブレンドが侵食により徐々に製剤を離れる間に活性物質が周囲環境へと溶け出すことによって実現する。本発明で用いるポリマー系は新規であり、所望の活性物質放出プロファイルをもたらすべく機能する。本発明の組成物は、好ましくは水溶性薬物に適するが、水に難溶性の薬物および非水溶性薬物も本発明の範囲内と見なされる。一実施形態において、本発明の組成物は徐放製剤であり、その際まずpH非依存性ポリマーを用いて薬物を顆粒化または被覆し、第1の外側バリアが設けられる。次に、得られたブレンドを、アニオン性およびカチオン性ポリマーのブレンドと二価カチオンとを含む持続系と混合して、薬物放出に対する外側バリアが設けられ、用量が一気に放出されるチャンスが低減される。一実施形態において、本発明の組成物は胃および/または胃腸管上部において好ましく吸収される活性物質に有用であることが好ましい。別の実施形態では、本発明の組成物は胃保持型の剤形に製剤され、この剤形は胃腸管内で長期間保持されて、活性物質の徐放もしくは制御放出を実現する。
【0020】
一実施形態において、本発明で用いる賦形剤は、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、デンプン、微晶質セルロース、キシリトール、フルクトース、スクロース、デキストロース、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム等、またはこれらの混合物を含む群から選択されるが、この群に限定はされない。
【0021】
別の実施形態において、本発明のpH非依存性ポリマーはセルロース系ポリマー等を含む非限定的な群から選択される。pH非依存性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ヒドロキシプロピルエチルセルロース;カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロースなどのカルボキシアルキルセルロース;ポリエチレングリコール(PEG(R) 6000、PEG(R) 10000)、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのコポリマー(Poloxamer 407、Poloxamer 188等)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP、Kollidon(R) 12 PF、Kollidon(R) 17 PF、Kollidon(R) K15、Kollidon(R) K30、Kollidon(R) K90)、ビニルピロリドン、ビニルアセテート、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピリジン−N−オキサイド、ビニルピロリドンと長鎖α−オレフィンとのコポリマー、ビニルピロリドンとビニルイミダゾールとのコポリマー、ポリ(ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドのコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのコポリマー、ビニルピロリドンおよびジメチルアミノエチルメタクリレートの四級化コポリマー、ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートのターポリマー、ビニルピロリドンおよびメタクリルアミドプロピル−トリメチルアンモニウムクロライドのコポリマー、カプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートのターポリマー、スチレンおよびアクリル酸のコポリマー、ポリカルボン酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA、Mowiol(R) 40−88)、場合によっては加水分解されたポリビニルアセテート、エチルアクリレートとメタクリレートおよびメタクリル酸とのコポリマー、マレイン酸と不飽和炭化水素とのコポリマー、およびこれらのポリマーの混合重合生成物、多糖ガム、即ちキサンタンガム、ビーガム(veegum)、カンテン、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、オクラガム、アルギン酸、他のアルギネート(例えばアルギン酸ナトリウムHVCR、アルギン酸プロピレングリコールエステル)、ベントナイト、アラビノグラクチン、ペクチン、トラガカントガム、スクレログルカン、デキストラン、アミロース、アミロペクチン、デキストリン、シクロデキストリン等を非限定的に含めた天然および改質(半合成)ガム、またはこれらの好適混合物を含む群から選択されるが、この群に限定はされない。
【0022】
本発明の好ましい実施形態において、本発明のセルロース系ポリマーは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースといったヒドロキシアルキルセルロース;エチルセルロース(FMCから入手可能なエチルセルロースの水性分散液であるAquacoat(R)、およびColorconから入手可能なエチルセルロースの水性分散液であるSurelease(R)の、E−7−7050、E−7−7060、E−7−7100、E−7−19010、E−7−19060といった様々な等級の製品)、メチルセルロース等のアルキルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ヒドロキシプロピルエチルセルロース;カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等のカルボキシアルキルセルロース;またはこれらの好適混合物を含む群から選択されるが、この群に限定はされない。一実施形態において、本発明で用いるセルロース系ポリマーは活性物質上に該ポリマーから成る薄いバリア層を形成し、活性物質が初期に一気に放出されないように制御する。
【0023】
本発明の一実施形態において、持続系は少なくとも1種のガムを含む。本発明の別の実施形態では、持続系はさらにメタクリル酸ポリマーを含む。本発明の別の実施形態では、持続系はアニオン性ガムと、カチオン性または中性メタクリル酸ポリマーとを含む。本発明のさらに別の実施形態では、持続系はガムをイオン交換樹脂と共に含む。
【0024】
さらに別の実施形態において、本発明で用いるガムは、キサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、カラゲナンガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アカシアガム、トラガカントガム、カンテン等、またはこれらの混合物を含む群から選択されるが、この群に限定はされない。
【0025】
さらに別の実施形態において、持続系のメタクリル酸ポリマーはアニオン性、カチオン性、中性または双生イオン性ポリマーを含む非限定的な群から選択される。一実施形態においてこのポリマーは、Eudragit(R) EPO、Eudragit(R) RLまたはEudragit(R) RS)といったアンモニオメタクリレートコポリマー、Eudragit(R) NE30Dなどのメタクリル酸エステル中性コポリマー、ジメチルアミノエチルメタクリレート−メタクリル酸エステルコポリマー、Eudragit(R) RLPO、Eudragit(R) RSPO、またはこれらの混合物を含む群から選択されるが、この群に限定はされない。
【0026】
別の実施形態において、イオン交換樹脂は、Amberlite(R) IR 120B、Amberlite(R) IR 200C、Amberlite(R) IRA 68、Amberlite(R) IRP 64、Dowex(R) 50W、Dowex(R) MSC−1、DouLite(R) C−20、DouLite(R) C−25Dといったカチオン交換樹脂ならびにAmberlite(R) IRA 400、Amberlite(R) IRA 900、Dowex(R) 1、DouLite(R) A−101D、DouLite(R) AP143、DouLite(R) A−7、Indion(R) 454、Amberlite(R) IRA 68およびAmberlite(R) IRA 45などのアニオン交換樹脂、またはこれらの混合物の中から選択されるが、前記選択肢に限定はされない。
【0027】
本発明の持続系には、アルギネート、キトサン、スクレログルカンなどの親水性多糖、および半合成多糖、特に、メチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムもしくはカルボキシメチルセルロースカルシウムといったその塩、ヒドロキシプロピルセルロースもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロースもしくはセルロース誘導体、またはポリビニルピロリドン、アクリル酸およびメタクリル酸由来のポリマーとその塩、例えばポリアクリレート(Carbopol(R))などの合成親水性ポリマー、またはポリリジンなどのアミノ酸ポリマーおよびビニルメチルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、またはこれらの混合物を含む群から選択されるが、この群に限定はされない他のポリマーを用いることもできる。
【0028】
本発明で用いる好適な無機塩の例には、カルシウム塩、亜鉛塩、鉄塩、マグネシウム塩、バリウム塩、ストロンチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等、またはこれらの混合物が非限定的に含まれる。好ましくは無機塩は、単独でかまたは組み合わせて用いられる硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、酸化物、水酸化物、塩酸塩の形態を取る。
【0029】
本発明の組成物に用いる、医薬に許容可能な添加剤は、当業者が通常用いる一群の添加剤、例えば稀釈剤、崩壊剤、結合剤、賦形剤、増量剤、有機酸、着色剤、安定剤、防腐剤、滑沢剤、流動化剤、キレート剤等の中から選択される。本発明で用いる崩壊剤には、デンプン、一部予備糊化させたトウモロコシデンプン(Starch 1500(R))、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム等が非限定的に含まれる。本発明で用いる滑沢剤には、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、硬化植物油等が非限定的に含まれる。
【0030】
キサンタンガムはアニオン性であり、膨潤機構によって薬物放出を制御する。Eudragit(R) EPOはカチオン性ポリマーであり、キサンタンガムと作用し合ってゲルを形成する。硫酸カルシウムは非水溶性の無機物質であり、キサンタンガムに二価カチオンを供給してゲルの粘度を高め、形成されるゲルに強度を付与することでその早期断片化を阻止し、このように剤形の全一性を保つことにより、個々の剤形間での薬物放出の変動を低減する。
【0031】
本発明の医薬組成物は、錠剤、カプセル剤といった経口剤形、パッチなどに製剤し得る。一実施形態において、本発明の組成物は錠剤の形態を取る。錠剤は直接打錠、乾式圧縮(スラッグ法)、または顆粒化によって製造し得る。顆粒化は水性または非水性の方法で行なう。用いる非水性溶媒は、エタノール、イソプロピルアルコールまたは塩化メチレンを含む群から選択される。一実施形態において本発明の組成物は、圧縮錠剤、すりこみ錠剤、押出またはフィルム流延製品等の形態を取る。
【0032】
別の実施形態において、本発明は上述のような組成物を調製する方法も提供する。一実施形態において本発明の方法は、活性物質、または場合によっては活性物質とpH非依存性ポリマーとの混合物を顆粒化すること、得られた顆粒を持続系および無機塩と混合し、その際場合によっては、医薬に許容可能な他の添加剤を加えること、および混合物を製剤して適当な剤形とすることを含む。
【0033】
本発明のさらに別の実施形態では、上述のような組成物の使用方法が提供される。アシクロビル、ファムシクロビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、ガンシクロビルなどの抗ウイルス薬を含む組成物はHIV感染症などのウイルス感染症の治療に有用である。シメチジン、ラニチジンなどのヒスタミンH受容体アンタゴニストを含む組成物は潰瘍、胃食道逆流疾患(GERD)および糜爛性食道炎の治療に用いられる。カプトプリルを含む本発明の組成物は、アンギオテンシンIからアンギオテンシンIIへの変換をACE、即ちペプチジルジペプチドカルボキシヒドロラーゼの阻害によって妨げるのに用いられ、高血圧症および心不全に対して有効である。メトホルミンを含む本発明の組成物は経口型の抗過血糖剤として2型糖尿病の処置に有用である。ブプロピオンを含む組成物はニコチンを用いない禁煙補助剤として有用である。トラマドールを含む組成物はオピオイド鎮痛剤として有用である。オキシカルバゼピンおよびレベチラセタムを含む組成物は発作の治療に有用である。フェキソフェナジンを含む組成物はヒスタミンH受容体アンタゴニストとして有用である。
【0034】
さらに別の実施形態では、用いる活性物質に応じて本発明の組成物を、ウイルス感染症、潰瘍、胃食道逆流疾患(GERD)、糜爛性食道炎の中から選択される1種以上の疾病または障害の治療に用いられる医薬、アンギオテンシンIからアンギオテンシンIIへの変換をACEの阻害によって妨げるための医薬、心不全治療用の医薬、2型糖尿病処置用の医薬、およびニコチンを用いない禁煙補助剤である医薬の製造に使用することが提供される。一実施形態において、本発明の組成物はHIV感染症の処置に有用である。
【0035】
本発明の実施形態を、以下の実施例によって具体的に示す。これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0036】
通し番号 成分 mg/錠
1. ファムシクロビル 125.0
2. ラクトース 5.6
3. 水性エチルセルロース分散液
(Surelease(R) E−7−19010) 4.0
4. キサンタンガム 9.8
5. 硫酸カルシウム 11.5
6. メタクリル酸ポリマー(Eudragit(R) EPO) 3.4
7. ステアリン酸マグネシウム 0.9
【0037】
手順:
i) ファムシクロビルおよびラクトースを、水性エチルセルロース分散液を用いて顆粒化し、乾燥した。
ii) キサンタンガムと硫酸カルシウムとを混合し、その後、メタクリル酸ポリマーを添加して十分に混合した。
iii) 上記工程(ii)の混合物をスラッグとし、これを22号篩に通して破砕し、工程(i)の乾燥顆粒と混合した。
iv) 上記工程(iii)のブレンドをステアリン酸マグネシウムで滑沢にし、圧縮して錠剤とした。
【実施例2】
【0038】
通し番号 成分 mg/錠
1. ファムシクロビル 250.0
2. ラクトース 81.0
3. 水性エチルセルロース分散液
(Surelease(R) E−7−19060) 44.0
4. グアーガム 50.0
5. 硫酸カルシウム 20.0
6. メタクリル酸ポリマー(Eudragit(R) RSPO) 40.0
7. ステアリン酸亜鉛 10.0
【0039】
手順:
i) ファムシクロビルおよびラクトースを、水性エチルセルロース分散液を用いて顆粒化し、乾燥した。
ii) グアーガムと硫酸カルシウムとを混合し、その後、メタクリル酸ポリマーを添加して十分に混合した。
iii) 上記工程(ii)の混合物をスラッグとし、これを22号篩に通して破砕し、工程(i)の乾燥顆粒と混合した。
iv) 上記工程(iii)のブレンドをステアリン酸亜鉛で滑沢にし、圧縮して錠剤とした。
【実施例3】
【0040】
通し番号 成分 mg/錠
1. アシクロビル 800.0
2. デキストロース 51.0
3. 水性ヒドロキシプロピルメチルセルロース分散液 44.0
4. グアーガム 80.0
5. 硫酸マグネシウム 120.0
6. メタクリル酸ポリマー(Eudragit(R) RLPO) 40.0
7. ステアリン酸マグネシウム 10.0
【0041】
手順:
i) アシクロビルおよびデキストロースを、水性ヒドロキシプロピルメチルセルロース分散液を用いて顆粒化し、乾燥した。
ii) グアーガムと硫酸マグネシウムとを混合し、その後、メタクリル酸ポリマーを添加して十分に混合した。
iii) 上記工程(ii)の混合物を工程(i)の顆粒と混合した。得られたブレンドをスラッグとし、これを22号篩に通して破砕した。
iv) 上記工程(iii)の顆粒をステアリン酸マグネシウムで滑沢にし、圧縮して錠剤とした。
【実施例4】
【0042】
通し番号 成分 mg/カプセル
1. ガンシクロビル 500.0
2. ラクトース 55.0
3. ポリビニルピロリドン(Kollidon(R) K15) 40.0
4. キサンタンガム 80.0
5. リン酸カリウム 20.0
6. イオン交換樹脂(Amberlite(R) IR 120B) 40.0
7. ヒドロキシプロピルメチルセルロース 30.0
8. 一部予備糊化させたトウモロコシデンプン
(Starch 1500(R)) 170.0
9. ステアリン酸亜鉛 10.0
【0043】
手順:
i) ガンシクロビルおよびラクトースを、ポリビニルピロリドンを用いて顆粒化し、乾燥した。
ii) キサンタンガムとリン酸カリウムとを混合し、その後、イオン交換樹脂を添加して十分に混合してから、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、一部予備糊化させたトウモロコシデンプン、およびステアリン酸亜鉛を添加し、混合した。
iii) 上記工程(ii)の混合物を工程(i)の顆粒と混合した。
iv) 上記工程(iii)のブレンドをステアリン酸亜鉛で滑沢にし、硬ゼラチンカプセルに充填した。
【実施例5】
【0044】
通し番号 成分 mg/カプセル
1. ガンシクロビル 500.0
2. ラクトース 75.0
3. ポリビニルピロリドン(Kollidon(R) K15) 40.0
4. キサンタンガム 80.0
5. メタクリル酸ポリマー(Eudragit(R) RS) 40.0
6. ヒドロキシプロピルメチルセルロース 30.0
7. 一部予備糊化させたトウモロコシデンプン
(Starch 1500(R)) 170.0
8. ステアリン酸亜鉛 10.0
【0045】
手順:
i) ガンシクロビルおよびラクトースを、ポリビニルピロリドンを用いて顆粒化し、乾燥した。
ii) キサンタンガムにメタクリル酸ポリマーを添加して十分に混合し、続いてヒドロキシプロピルメチルセルロース、一部予備糊化させたトウモロコシデンプン、およびステアリン酸亜鉛を添加し、混合した。
iii) 上記工程(ii)の混合物を工程(i)の顆粒と混合した。
iv) 上記工程(iii)のブレンドをステアリン酸亜鉛で滑沢にし、硬カプセルに充填した。
【実施例6】
【0046】
通し番号 成分 mg/錠
1. バラシクロビル塩酸 556.0
(バラシクロビル500.0mg当量)
2. スクロース 96.0
3. カルボキシメチルセルロースナトリウム 26.0
4. ローカストビーンガム 50.0
5. 炭酸カルシウム 20.0
6. メタクリル酸ポリマー(Eudragit(R) EPO) 70.0
7. ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC E5) 70.0
8. ステアリン酸 10.0
【0047】
手順:
i) バラシクロビル塩酸とスクロースとを混合し、カルボキシメチルセルロースナトリウムを用いて顆粒化し、棚型乾燥機で乾燥した。この製剤の他の成分は40号篩に掛けた。
ii) ローカストビーンガムと炭酸カルシウムとを混合し、続いてメタクリル酸ポリマーおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを添加し、混合した。
iii) 工程(ii)の混合物をスラッグとし、これを破砕して得られた顆粒を30号篩に通した。
iv) 上記工程(iii)の顆粒を工程(i)の乾燥顆粒と混合した。
v) 工程(iv)の混合で得られたブレンドをステアリン酸で滑沢にし、次いで圧縮して錠剤とした。
【実施例7】
【0048】
通し番号 成分 mg/錠
1. バラシクロビル塩酸 556.0
(バラシクロビル500.0mg当量)
2. カルボキシメチルセルロースナトリウム 86.0
3. ローカストビーンガム 50.0
4. 炭酸カルシウム 116.0
5. ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC E5) 70.0
6. ステアリン酸 10.0
【0049】
手順:
i) バラシクロビル塩酸を、カルボキシメチルセルロースナトリウムを用いて顆粒化し、棚型乾燥機で乾燥した。この製剤の他の成分は40号篩に掛けた。
ii) ローカストビーンガムと炭酸カルシウムとを混合し、続いてヒドロキシプロピルメチルセルロースを添加し、混合した。
iii) 工程(ii)の混合物をスラッグとし、これを破砕して得られた顆粒を30号篩に通した。
iv) 上記工程(iii)の顆粒を工程(i)の乾燥顆粒と混合した。
v) 工程(iv)の混合で得られたブレンドをステアリン酸で滑沢にし、次いで圧縮して錠剤とした。
【実施例8】
【0050】
通し番号 成分 mg/錠
1. ラニチジン塩酸 336.0
(ラニチジン300.0mg当量)
2. マンニトール 80.0
3. ポリビニルアルコール(Mowiol(R) 40) 42.0
4. グアーガム 50.0
5. 酸化マグネシウム 20.0
6. メタクリル酸ポリマー(Eudragit(R) EPO) 40.0
7. ヒドロキシプロピルエチルセルロース 30.0
8. ステアリン酸マグネシウム 10.0
9. デンプングリコール酸ナトリウム 70.0
【0051】
手順:
i) ラニチジン塩酸とマンニトールとを混合し、ポリビニルアルコールを用いて顆粒化し、棚型乾燥機で乾燥した。この製剤の他の成分は40号篩に掛けた。
ii) グアーガムと酸化マグネシウムとを混合し、続いてメタクリル酸ポリマーおよびヒドロキシプロピルエチルセルロースを添加し、混合した。
iii) 工程(ii)の混合物をスラッグとし、これを破砕して得られた顆粒を30号篩に通した。
iv) 上記工程(iii)の顆粒を工程(i)の乾燥顆粒と混合した。
v) 工程(iv)の混合で得られたブレンドをステアリン酸マグネシウムおよびデンプングリコール酸ナトリウムと混合し、次いで圧縮して錠剤とした。
【実施例9】
【0052】
通し番号 成分 mg/錠
1. フェキソフェナジン塩酸 240.0
2. デキストロース 78.0
3. 水性エチルセルロース分散液
(Surelease(R) E−7−7050) 44.0
4. カラヤガム 50.0
5. 硫酸カルシウム 20.0
6. メタクリル酸ポリマー(Eudragit(R) RLPO) 70.0
7. ステアリン酸亜鉛 10.0
8. クロスカルメロースナトリウム 80.0
【0053】
手順:
i) フェキソフェナジン塩酸とデキストロースとを混合し、水性エチルセルロース分散液を用いて顆粒化し、棚型乾燥機で乾燥した。この製剤の他の成分は40号篩に掛けた。
ii) カラヤガムと硫酸カルシウムとを混合し、続いてメタクリル酸ポリマーおよびクロスカルメロースナトリウムを添加し、混合した。
iii) 混合物をスラッグとし、これを破砕して得られた顆粒を30号篩に通した。
iv) 上記工程(iii)の顆粒を工程(i)の乾燥顆粒と混合した。
v) 工程(iv)の混合で得られたブレンドをステアリン酸亜鉛で滑沢にし、次いで圧縮して錠剤とした。
【実施例10】
【0054】
通し番号 成分 mg/カプセル
1. カプトプリル 240.0
2. マンニトール 83.0
3. ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel(R)) 39.0
4. カラゲナンガム 50.0
5. 塩化カルシウム 20.0
6. メタクリル酸ポリマー(Eudragit(R) RSPO) 40.0
7. ステアリン酸カルシウム 10.0
8. 一部予備糊化させたトウモロコシデンプン
(Starch 1500(R)) 70.0
【0055】
手順:
i) カプトプリルとマンニトールとを混合し、ヒドロキシプロピルセルロースを用いて顆粒化し、棚型乾燥機で乾燥した。この製剤の他の成分は40号篩に掛けた。
ii) カラゲナンガムと塩化カルシウムとを混合し、続いてメタクリル酸ポリマーおよび一部予備糊化させたトウモロコシデンプンを添加し、混合した。
iii) 工程(ii)の混合物をスラッグとし、これを破砕して得られた顆粒を30号篩に通した。
iv) 上記工程(iii)の顆粒を工程(i)の乾燥顆粒と混合した。
v) 工程(iv)の混合で得られたブレンドをステアリン酸カルシウムで滑沢にし、次いで硬カプセルに充填した。
【実施例11】
【0056】
通し番号 成分 mg/錠
1. ブプロピオン塩酸 240.0
2. ラクトース 78.0
3. 水性エチルセルロース分散液
(Surelease(R) E−7−19010) 44.0
4. アカシアガム 50.0
5. 硫酸カリウム 20.0
6. メタクリル酸ポリマー(Eudragit(R) RS) 40.0
7. ステアリン酸マグネシウム 10.0
【0057】
手順:
i) ブプロピオン塩酸とラクトースとを混合し、水性エチルセルロース分散液を用いて顆粒化し、棚型乾燥機で乾燥した。この製剤の他の成分は40号篩に掛けた。
ii) アカシアガムと硫酸カリウムとを混合し、続いてメタクリル酸ポリマーを添加し、混合した。
iii) 工程(ii)の混合物をスラッグとし、これを破砕して得られた顆粒を30号篩に通した。
iv) 上記工程(iii)の顆粒を工程(i)の乾燥顆粒と混合した。
v) 工程(iv)の混合で得られたブレンドをステアリン酸マグネシウムで滑沢にし、次いで圧縮して錠剤とした。
【実施例12】
【0058】
通し番号 成分 mg/錠
1. メトホルミン塩酸 150.0
2. マンニトール 78.0
3. ポリエチレングリコール(PEG(R) 6000) 44.0
4. カラヤガム 50.0
5. 硫酸カリウム 20.0
6. メタクリル酸ポリマー(Eudragit(R) RSPO) 40.0
7. ステアリン酸亜鉛 10.0
8. デンプングリコール酸ナトリウム 70.0
【0059】
手順:
i) メトホルミン塩酸とマンニトールとを混合し、ポリエチレングリコールを用いて顆粒化し、棚型乾燥機で乾燥した。この製剤の他の成分は40号篩に掛けた。
ii) カラヤガムと硫酸カリウムとを混合し、続いてメタクリル酸ポリマーおよびデンプングリコール酸ナトリウムを添加し、混合した。
iii) 工程(ii)の混合物をスラッグとし、これを破砕して得られた顆粒を30号篩に通した。
iv) 上記工程(iii)の顆粒を工程(i)の乾燥顆粒と混合した。
v) 工程(iv)の混合で得られたブレンドをステアリン酸亜鉛で滑沢にし、次いで圧縮して錠剤とした。
【実施例13】
【0060】
通し番号 成分 mg/錠
1. オキシカルバゼピン 60.0
2. ラクトース 16.0
3. 水性エチルセルロース分散液
(Surelease(R) E−7−19010) 3.0
4. ローカストビーンガム 5.0
5. 硫酸カルシウム 10.0
6. メタクリル酸ポリマー(Eudragit(R) RL) 50.0
7. ステアリン酸カルシウム 1.0
【0061】
手順:
i) オキシカルバゼピンとラクトースとを混合し、水性エチルセルロース分散液を用いて顆粒化し、棚型乾燥機で乾燥した。この製剤の他の成分は40号篩に掛けた。
ii) ローカストビーンガムと硫酸カルシウムとを混合し、続いてメタクリル酸ポリマーを添加し、混合した。
iii) 工程(ii)の混合物をスラッグとし、これを破砕して得られた顆粒を30号篩に通した。
iv) 上記工程(iii)の顆粒を工程(i)の乾燥顆粒と混合した。
v) 工程(iv)の混合で得られたブレンドをステアリン酸カルシウムで滑沢にし、次いで圧縮して錠剤とした。
【実施例14】
【0062】
通し番号 成分 mg/錠
1. レベチラセタム 66.98
2. マンニトール 2.01
3. 水性エチルセルロース分散液
(Surelease(R) E−7−7050) 5.00
4. グアーガム 5.00
5. 硫酸カルシウム 15.00
6. メタクリル酸ポリマー(Eudragit(R) RLPO) 5.00
7. ステアリン酸マグネシウム 1.00
【0063】
手順:
i) レベチラセタムとマンニトールとを混合し、水性エチルセルロース分散液を用いて顆粒化し、棚型乾燥機で乾燥した。この製剤の他の成分は40号篩に掛けた。
ii) グアーガムと硫酸カルシウムとを混合し、続いてメタクリル酸ポリマーを添加し、混合した。
iii) 工程(ii)の混合物をスラッグとし、これを破砕して得られた顆粒を30号篩に通した。
iv) 上記工程(iii)の顆粒を工程(i)の乾燥顆粒と混合した。
v) 工程(iv)の混合で得られたブレンドをステアリン酸マグネシウムで滑沢にし、次いで圧縮した。
【実施例15】
【0064】
通し番号 成分 mg/錠
1. トラマドールHCl 20.0
2. ラクトース 52.0
3. ヒドロキシプロピルメチルセルロース
(Methocel(R) K15M) 4.0
4. トラガカントガム 10.0
5. 硫酸カリウム 10.0
6. メタクリル酸ポリマー(Eudragit(R) NE30D) 3.0
7. ステアリン酸亜鉛 1.0
【0065】
手順:
i) トラマドールHClとラクトースとを混合し、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いて顆粒化し、棚型乾燥機で乾燥した。この製剤の他の成分は40号篩に掛けた。
ii) トラガカントガムと硫酸カリウムとを混合し、続いてメタクリル酸ポリマーを添加し、混合した。
iii) 工程(ii)の混合物をスラッグとし、これを破砕して得られた顆粒を30号篩に通した。
iv) 上記工程(iii)の顆粒を工程(i)の乾燥顆粒と混合した。
v) 工程(iv)の混合で得られたブレンドをステアリン酸亜鉛で滑沢にし、次いで圧縮した。
【実施例16】
【0066】
通し番号 成分 mg/錠
1. メトホルミンHCl 66.00
2. デキストロース 6.00
3. 水性エチルセルロース分散液
(Surelease(R) E−7−7050) 3.80
4. ローカストビーンガム 10.60
5. 硫酸カルシウム 10.56
6. メタクリル酸ポリマー(Eudragit(R) EPO) 3.00
7. ステアリン酸カルシウム 1.00
【0067】
手順:
i) メトホルミンHClとデキストロースとを混合し、水性エチルセルロース分散液を用いて顆粒化し、棚型乾燥機で乾燥した。この製剤の他の成分は40号篩に掛けた。
ii) ローカストビーンガムと硫酸カルシウムとを混合し、続いてメタクリル酸ポリマーを添加し、混合した。
iii) 工程(ii)の混合物をスラッグとし、これを破砕して得られた顆粒を30号篩に通した。
iv) 上記工程(iii)の顆粒を工程(i)の乾燥顆粒と混合した。
v) 工程(iv)の混合で得られたブレンドをステアリン酸カルシウムで滑沢にし、次いで圧縮した。
【実施例17】
【0068】
通し番号 成分 mg/錠
1. ラニチジン塩酸 336.0
(ラニチジン300.0mg当量)
2. マンニトール 80.0
3. ポリビニルアルコール(Mowiol(R) 40) 42.0
4. グアーガム 50.0
5. 酸化マグネシウム 20.0
6. イオン交換樹脂(Amberlite(R) IR 200C) 40.0
7. ヒドロキシプロピルエチルセルロース 30.0
8. ステアリン酸マグネシウム 10.0
9. デンプングリコール酸ナトリウム 70.0
【0069】
手順:
i) ラニチジン塩酸とマンニトールとを混合し、ポリビニルアルコールを用いて顆粒化し、棚型乾燥機で乾燥した。この製剤の他の成分は40号篩に掛けた。
ii) グアーガムと酸化マグネシウムとを混合し、続いてイオン交換樹脂およびヒドロキシプロピルエチルセルロースを添加し、混合した。
iii) 工程(ii)の混合物をスラッグとし、これを破砕して得られた顆粒を30号篩に通した。
iv) 上記工程(iii)の顆粒を工程(i)の乾燥顆粒と混合した。
v) 工程(iv)の混合で得られたブレンドをステアリン酸マグネシウムおよびデンプングリコール酸ナトリウムと混合し、次いで圧縮して錠剤とした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の活性物質もしくはその互変異性形態、類似体、異性体、多形体、溶媒和物、誘導体、またはその塩と、少なくとも1種のpH非依存性ポリマーと、少なくともガムを含む持続系とを、場合によっては、医薬に許容可能な他の添加剤と共に含む新規な徐放性医薬組成物。
【請求項2】
活性物質が、単独でかまたは組み合わせて用いられる抗ウイルス薬、シメチジン、ラニチジン、カプトプリル、メトホルミン、ブプロピオン、フェキソフェナジン、オキシカルバゼピン、レベチラセタム、トラマドールもしくはこれらの互変異性形態、類似体、異性体、多形体、溶媒和物、誘導体、またはその塩を含む群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
活性物質が抗ウイルス薬である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
抗ウイルス薬が、単独でかまたは組み合わせて用いられるアシクロビル、ファムシクロビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、ガンシクロビル、リトナビル、ロピナビル、サキナビルもしくはこれらの互変異性形態、類似体、異性体、多形体、溶媒和物、誘導体、またはその塩を含む群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
活性物質がファムシクロビルもしくはその互変異性形態、類似体、異性体、多形体、溶媒和物、誘導体、またはその塩である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
pH非依存性ポリマーがセルロース系ポリマー、ポリエチレングリコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのコポリマー、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン、ビニルアセテート、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピリジン−N−オキサイド、ビニルピロリドンと長鎖α−オレフィンとのコポリマー、ビニルピロリドンとビニルイミダゾールとのコポリマー、ポリ(ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドのコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのコポリマー、ビニルピロリドンおよびジメチルアミノエチルメタクリレートの四級化コポリマー、ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートのターポリマー、ビニルピロリドンおよびメタクリルアミドプロピル−トリメチルアンモニウムクロライドのコポリマー、カプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートのターポリマー、スチレンおよびアクリル酸のコポリマー、ポリカルボン酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、場合によっては加水分解されたポリビニルアセテート、エチルアクリレートとメタクリレートおよびメタクリル酸とのコポリマー、マレイン酸と不飽和炭化水素とのコポリマー、および前記ポリマーの混合重合生成物、多糖ガム、またはこれらの混合物を含む群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
セルロース系ポリマーがヒドロキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、またはこれらの混合物を含む群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
ガムがキサンタンガム、ビーガム、カンテン、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、オクラガム、アルギン酸もしくは誘導体、アラビノグラクチン、ペクチン、トラガカントガム、スクレログルカン、デキストラン、アミロース、アミロペクチン、またはこれらの好適混合物を含む群から選択される、請求項1および6に記載の組成物。
【請求項9】
1種以上の無機塩および/または1種以上の賦形剤を付加的に含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
無機塩がカルシウム塩、亜鉛塩、鉄塩、マグネシウム塩、バリウム塩、ストロンチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、またはこれらの混合物を含む群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
賦形剤がラクトース、マンニトール、ソルビトール、デンプン、微晶質セルロース、キシリトール、フルクトース、スクロース、デキストロース、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、またはこれらの混合物を含む群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
持続系がメタクリル酸ポリマーをも含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
メタクリル酸ポリマーがアンモニオメタクリレートコポリマー、メタクリル酸エステル中性コポリマー、ジメチルアミノエチルメタクリレート−メタクリル酸エステルコポリマー、またはこれらの混合物を含む群から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
持続系がイオン交換樹脂をも含み、このイオン交換樹脂はカチオン交換樹脂もしくはアニオン交換樹脂、またはこれらの混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
医薬に許容可能な添加剤が稀釈剤、崩壊剤、結合剤、増量剤、有機酸、着色剤、安定剤、防腐剤、滑沢剤、流動化剤、キレート剤を単独でかまたは組み合わせて含む群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
少なくとも1種の活性物質もしくはその互変異性形態、類似体、異性体、多形体、溶媒和物、またはその塩と、少なくとも1種のpH非依存性ポリマーと、少なくとも1種のガムを含む持続系とを、場合によっては、医薬に許容可能な他の添加剤と共に含む新規な徐放性医薬組成物を調製する方法であって、
i) 活性物質、または場合によっては活性物質とpH非依存性ポリマーとの混合物を顆粒化する工程、
ii) 得られた顆粒を、場合によっては1種以上の無機塩、および/または医薬に許容可能な他の添加剤と共に持続系と混合する工程、および
iii) 混合物を製剤して適当な剤形とする工程
を含む方法。
【請求項17】
請求項1に記載の医薬組成物を使用する方法であって、この医薬組成物を必要とする患者に有効量の該組成物を投与することを含む方法。
【請求項18】
ウイルス感染症、潰瘍、胃食道逆流疾患(GERD)、疼痛、発作、糜爛性食道炎、高血圧症、心不全の中から選択される1種以上の疾病または障害の治療、2型糖尿病の処置、ニコチンを用いない禁煙補助剤などに適用される、請求項17に記載の医薬組成物使用方法。
【請求項19】
請求項1に記載の組成物の、HIV感染症などのウイルス感染症、潰瘍、胃食道逆流疾患(GERD)、疼痛、発作、糜爛性食道炎、高血圧症、心不全の中から選択される1種以上の疾病または障害の治療に用いられる医薬、2型糖尿病処置用の医薬、ニコチンを用いない禁煙補助剤である医薬などの製造への使用。
【請求項20】
実質的に本明細書に記載され、かつ実施例によって具体的に示された医薬組成物。
【請求項21】
実質的に本明細書に記載され、かつ実施例によって具体的に示された医薬組成物調製方法。

【公表番号】特表2009−500318(P2009−500318A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519142(P2008−519142)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際出願番号】PCT/IN2006/000225
【国際公開番号】WO2007/000779
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(500445631)パナセア バイオテック リミテッド (29)
【Fターム(参考)】