説明

新規の有効な末端分化誘発剤およびその使用方法

【課題】腫瘍性細胞の末端分化を選択的に誘発する新規化合物を提供する。
【解決手段】式(I)で示される化合物である。(式中、R1 およびR2 は、シクロアルキルアミノ、ピリジンアミノ、ピペリジノ、9-プリン-6- アミン、もしくはチアゾールアミノ基であって、R3 およびR4 は、水素原子、ヒドロキシル基、置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルキロキシ、アリーロキシ、アリールアルキロキシまたはピリジン基であり、かつnは 4ないし 8の整数である。)

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
この出願の全体を通して、括弧内のアラビア数字によって種々の刊行物が参照される。これら刊行物の完全な引用は、請求の範囲の直前の明細書末尾に掲載されている。これら刊行物の開示は、全体として、本発明が属する技術の状態をより完全に記述するために、参照としてこの出願に組み込まれる。
【0002】
癌は、細胞ポピュレーションが、増殖および分化を正常に支配する制御メカニズムに対して種々の程度で応答しなくなった疾患である。長年に亘って、癌の化学療法のために下記の二つの戦略が採用されてきた。即ち、 a) 性ホルモンの産生またはその末梢での作用を阻害することにより、ホルモン依存性腫瘍細胞の増殖をブロックすること、及び b) 細胞毒性物質(これは腫瘍性細胞ポピュレーションおよび正常細胞ポピュレーションの両者を損傷する)に曝すことにより、癌細胞を直接殺滅することである。
【0003】
また、比較的最近では、腫瘍性細胞の末端分化(terminal differentiation)の誘発による癌治療も試みられている (1)。細胞培養モデルにおいて、細胞を、サイクリックAMPおよびレチン酸 (2,3)、アクラルビシン(aclarubicin) および他のアントラサイクリン類 (4)を含む種々の刺激剤に曝すことによる分化が報告されている。
【0004】
腫瘍性形質転換は、必ずしも癌細胞の分化能力を破壊しないことを示す多くの証拠がある (1,5,6)。増殖の正常な調節に反応せず、その分化プログラムの発現が阻害されているように思えるが、未だ分化を誘発されて複製を停止することができる腫瘍細胞については多くの例がある。或る種の比較的単純な極性化合物 (5,7-9)、ビタミンDおよびレチン酸の誘導体 (10-12)、ステロイドホルモン類 (13) 、成長因子 (6,14) 、プロテアーゼ類 (15,16)、腫瘍プロモータ類 (17,18)、およびDNA若しくはRNA合成の阻害剤 (4,19-24)を含む種々の薬剤は、種々の形質転換細胞系および原発性ヒト腫瘍の体外移植組織に対して、より分化した特徴の発現を誘発せしめることができる。
【0005】
本願発明の発明者等による初期の研究によって、多くの形質転換細胞系における有効な分化誘発剤である一連の極性化合物が同定された (8,9)。これらの中で、最も有効な誘発剤は、極性/非極性のハイブリッド化合物の N,N'-ヘキサメチレンビスアセトアミド(HMBA)であった (9)。該極性/非極性のハイブリッド化合物を使用して、ネズミ赤白血病細胞(MELC)に対し、発癌性の抑制を伴って赤血球性分化を起こさせることによって、誘発剤に媒介された形質転換細胞の分化を研究するための有用なモデルが証明された (5,7-9)。HMBAに誘発されたMELCの末端赤血球性分化は、多段階プロセスである。培養中のMELC(745A-DS19 )にHMBAを添加する場合、末端分化へのコミットメントが検出されるまでに10〜12時間の潜伏期が存在する。コミットメントは、誘発剤を除去しても、細胞が末端分化を発現する能力として定義される。HMBAに曝し続けると、細胞は累進的に分化する。本願発明の発明者は、比較的低濃度のビンクリスチンに対して耐性化されたMELC細胞ラインが、HMBAの誘発作用に対して顕著に感受性になり、僅かの潜伏期間または潜伏期間なしで分化が誘発され得ることを報告した (26) 。
【0006】
HMBAは、広範な細胞ラインにおいて、分化に一致した発現型変化を誘発することができる (5)。薬物に誘発された効果の特徴は、ネズミ赤白血球細胞系(MELC)において最も広範に研究されている (5,25,27,28)。MELCの分化誘発は、時間および濃度の両者に依存する。殆どの株において、 in vitro で効果を示すために要求される最少濃度は 2〜 3mMである。また、薬物に対する露出を継続することなく、ポピュレーションの実質的な部分(>20%)において分化を誘発させるために、一般的に必要とされる連続的露出の最少持続時間は約36時間である。
【0007】
HMBAの作用の一次標的は知られていない。誘発剤に媒介された分化の経路にプロテインキナーゼCが含まれることを示す証拠が存在する (29) 。in vitroでの研究によって、ヒトの癌の治療における、HMBAの細胞分化剤としての能力を評価するための基礎が提供された (30) 。HMBAについては、幾つかの第一相臨床試験が完了している (31-36)。これらの臨床試験は、該化合物が癌患者において治療的反応を誘発し得ることを示している (35,36)。しかし、これら第一相臨床試験は、一部は投与量に関連した毒性(これは最適血中濃度の達成を妨げる)によって、また長期間に亘る大量の静脈内投与を必要とすることによって、HMBAの潜在的な効能が制限されることを示している。
【0008】
最近、本件の発明者等は、極性基が非極性リンケージによって離間されているHMBAに関連した化合物であって、分子ベースでの活性がHMBAと同等 (37) であるか、または 100倍以上 (38) である多くの化合物を報告した。しかしながら、HMBAおよび関連化合物のような対称な二量体に分類される化合物は、は最良の細胞分化剤ではないことが分かった。
【0009】
予期に反して、最良の化合物はフレキシブルなメチレン鎖によって分離された二つの極性末端基を具備し、該極性末端基の一方または両方が大きな疎水性基であることが見出された。好ましくは、これら二つの極性末端基は相互に異なっており、そのうちの一方のみが大きな疎水性基である。これら化合物の活性は、予期に反してHMBAの 1,000倍、HMBA関連化合物の10倍と高かった。
【0010】
本発明によるこの新規分類に属する化合物は、腫瘍性細胞の末端分化を選択的に誘発するために有用であり、従って患者における腫瘍の治療を補助する。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、下記構造を有する化合物を提供する。
【化9】

【0012】
ここで、R1 およびR2 の各々は、独立に、互いに同等であるか、または互いに異なり;R1 およびR2 が同等である場合には、各々は置換もしくは無置換のアリールアミノ、シクロアルキルアミノ、ピリジンアミノ、ピペリジノ、9-プリン-6- アミン、もしくはチオゾールアミノ基であり;R1 およびR2 が異なる場合には、R1 =R3−N−R4 であって、R3 およびR4 の各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なり、かつ水素原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換の分岐もしくは未分岐アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルキロキシ、アリーロキシ、アリールアルキロキシまたはピリジン基であり、あるいはR3 およびR4 は互いに結合してピペリジン基を形成し、R2 はヒドロキシルアミノ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたはアルキロキシ基であり;かつnは約 4ないし約 8の整数である。
【0013】
また、本発明は、下記構造を有する上記化合物をも提供する。
【化10】

【0014】
ここで、R3 およびR4 の各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なり、かつ水素原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換の分岐もしくは未分岐アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルキロキシ、アリーロキシ、アリールアルキロキシまたはピリジン基であり、あるいはR3 およびR4 は互いに結合してピペリジン基を形成し、R2 はヒドロキシルアミノ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたはアルキロキシ基であり;かつnは約 4ないし約 8の整数である。
【0015】
本発明はまた下記構造を有する上記化合物をも提供する。
【化11】

【0016】
ここで、Rは置換もしくは無置換のアリールアミノ、シクロアルキルアミノ、ピリジンアミノ、ピペリジノ、9-プリン-6- アミン、またはチオゾールアミノ基であり;かつnは約 4ないし約 8の整数である。
【0017】
また、本発明は、下記構造を有する化合物をも提供する。
【化12】

【0018】
ここで、XおよびYの各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつヒドロキシル、アミノもしくはヒドロキシルアミノ基、置換もしくは無置換のアルキロキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルキロキシアミノ、アリーロキシアミノ、アルキロキシアルキルアミノ、またはアリーロキシアルキルアミノ基であり;Rは水素原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル、アリール、アルキロキシ、またはアリーロキシ基であり;並びにmおよびnの各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつ各々約 0ないし約 8の整数である。
【0019】
本発明は、さらに、下記構造を有する化合物をも提供する。
【化13】

【0020】
ここで、XおよびYの各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつヒドロキシル、アミノもしくはヒドロキシルアミノ基、置換もしくは無置換のアルキロキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルキロキシアミノ、アリーロキシアミノ、アルキロキシアルキルアミノ、またはアリーロキシアルキルアミノ基であり;R1 およびR2 の各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつ水素原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル、アリール、アルキロキシ、またはアリーロキシ基であり;並びにm、nおよびoの各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつ各々約 0ないし約 8の整数である。
【0021】
本発明は、さらにまた、下記構造を有する化合物を提供する。
【化14】

【0022】
ここで、XおよびYの各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつヒドロキシル、アミノもしくはヒドロキシルアミノ基、置換もしくは無置換のアルキロキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルキロキシアミノ、アリーロキシアミノ、アルキロキシアルキルアミノ、またはアリーロキシアルキルアミノ基であり;R1 およびR2 の各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつ水素原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル、アリール、アルキロキシ、またはアリーロキシ基であり;並びにmおよびnの各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつ各々約 0ないし約 8の整数である。
【0023】
本発明はまた、下記構造を有する化合物をも提供する。
【化15】

【0024】
ここで、XおよびYの各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつヒドロキシル、アミノもしくはヒドロキシルアミノ基、置換もしくは無置換のアルキロキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルキロキシアミノ、アリーロキシアミノ、アルキロキシアルキルアミノ、またはアリーロキシアルキルアミノ基であり;並びにmおよびnの各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつ各々約 0ないし約 8の整数である。
【0025】
また、本発明は、下記構造を有する化合物をも提供する。
【化16】

【0026】
ここで、XおよびYの各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつヒドロキシル、アミノもしくはヒドロキシルアミノ基、置換もしくは無置換のアルキロキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルキロキシアミノ、アリーロキシアミノ、アルキロキシアルキルアミノ、またはアリーロキシアルキルアミノ基であり;R1 およびR2 の各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつ水素原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル、アリール、アルキロキシ、またはアリーロキシ基であり;並びにmおよびnの各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつ各々約 0ないし約 8の整数である。
【0027】
さらに、本発明は、下記構造式を有する化合物をも提供する。
【化17】

【0028】
ここで、XおよびYの各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつヒドロキシル、アミノもしくはヒドロキシルアミノ基、置換もしくは無置換のアルキロキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルキロキシアミノ、アリーロキシアミノ、アルキロキシアルキルアミノ、またはアリーロキシアルキルアミノ基であり;かつnは約 0ないし約 8の整数である。
【0029】
さらにまた、本発明は、下記構造を有する化合物をも提供する。
【化18】

【0030】
ここで、XおよびYの各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつヒドロキシル、アミノもしくはヒドロキシルアミノ基、置換もしくは無置換のアルキロキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルキロキシアミノ、アリーロキシアミノ、アルキロキシアルキルアミノ、またはアリーロキシアルキルアミノ基であり;R1 およびR2 の各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつ水素原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル、アリール、アルキロキシ、アリーロキシ、カルボニルヒドロキシルアミノ、もしくはフルオロ基であり;並びにmおよびnの各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつ各々約 0ないし約 8の整数である。
【0031】
本発明はまた、下記構造を有する化合物をも提供する。
【化19】

【0032】
ここで、R1 およびR2 の各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつヒドロキシル、アルキロキシ、アミノ、ヒドロキシルアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルキロキシアミノ、アリーロキシアミノ、アルキロキシアルキルアミノ、またはアリーロキシアルキルアミノ基である。
【0033】
また、本発明は、下記構造で表わされる化合物をも提供する。
【化20】

【0034】
ここで、R1 およびR2 の各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつヒドロキシル、アルキロキシ、アミノ、ヒドロキシルアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルキロキシアミノ、アリーロキシアミノ、アルキロキシアルキルアミノ、またはアリーロキシアルキルアミノ基である。
【0035】
さらに、本発明は、下記構造を有する化合物をも提供する。
【化21】

【0036】
ここで、R1 およびR2 の各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつヒドロキシル、アルキロキシ、アミノ、ヒドロキシルアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルキロキシアミノ、アリーロキシアミノ、アルキロキシアルキルアミノ、またはアリーロキシアルキルアミノ基である。
【0037】
加えて、本発明は、腫瘍性細胞の末端分化を選択的に誘発し、それによりそのような細胞の増殖を阻害する方法であって、これらの細胞を、適切な条件下において、末端分化を選択的に誘発するに有効な上記いずれかの化合物の有効量と接触させることを包含する方法を提供する。
【0038】
本発明はまた、腫瘍性細胞の増殖によって特徴付けられる腫瘍を有する患者の治療方法であって、そのような腫瘍性細胞の末端分化を選択的に誘発し、それによりそれらの増殖を阻害するに有効な上記いずれかの化合物の有効量を前記患者に投与することを包含する方法を提供する。
【0039】
最後に、本発明は、薬剤学的に許容し得る担体および治療上許容し得る量の上記いずれかの化合物を含有する医薬組成物を提供する。
【発明の詳細な記述】
【0040】
本発明は、下記構造を有する化合物を提供する。
【化22】

【0041】
ここで、R1 およびR2 の各々は、独立に、互いに同等であるか、または互いに異なり;R1 およびR2 が同等である場合には、各々は置換もしくは無置換のアリールアミノ、シクロアルキルアミノ、ピリジンアミノ、ピペリジノ、9-プリン-6- アミン、もしくはチオゾールアミノ基であり;R1 およびR2 が異なる場合には、R1 =R3−N−R4 であって、R3 およびR4 の各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なり、かつ水素原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換の分岐もしくは未分岐アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルキロキシ、アリーロキシ、アリールアルキロキシまたはピリジノ基であり、あるいはR3 およびR4 は互いに結合してピペリジン基を形成し、R2 はヒドロキシルアミノ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたはアルキロキシ基であり;かつnは約 4ないし約 8の整数である。
【0042】
また、本発明は、下記構造を有する上記化合物をも提供する。
【化23】

【0043】
ここで、R3 およびR4 の各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なり、かつ水素原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換の分岐もしくは未分岐アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルキロキシ、アリーロキシ、アリールアルキロキシまたはピリジン基であり、あるいはR3 およびR4 は互いに結合してピペリジン基を形成し;R2 はヒドロキシルアミノ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたはアルキロキシ基であり;かつnは約 4ないし約 8の整数である。
【0044】
上記化合物の好ましい態様においては、R2 はヒドロキシルアミノ、ヒドロキシル、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、またはメトキシ基であり、かつnは 6である。最も好ましくは、R4 は水素原子であり、かつR3 は置換もしくは無置換のフェニル基である。
【0045】
このフェニル基は、メチル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、アミノ、アミノカルボニル、メチルシアノ、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素、2,3-ジフルオロ、2,4-ジフルオロ、2,5-ジフルオロ、3,4-ジフルオロ、3,5-ジフルオロ、2,6-ジフルオロ、1,2,3-トリフルオロ、2,3,6-トリフルオロ、2,4,6-トリフルオロ、3,4,5-トリフルオロ、2,3,5,6-テトラフルオロ、2,3,4,5,6-ペンタフルオロ、アジド、ヘキシル、t-ブチル、フェニル、カルボキシル、ヒドロキシル、メトキシ、ベンジロキシ、フェニルアミノオキシ、フェニルメトキシ、フェニルアミノカルボニル、メトキシカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノ、ジメチルアミノカルボニル、またはヒドロキシルアミノカルボニル基で置換されていてもよい。
【0046】
上記化合物の他の好ましい態様においては、R4 が水素原子かつR3 がシクロヘキシル基;R4 が水素原子かつR3 がメトキシ基;R3 およびR4 が各々一緒に結合してピペリジン基を形成する;R4 が水素原子かつR3 がヒドロキシル基;R4 が水素原子かつR3 がベンジロキシ基;R4 が水素原子かつR3 がδ- ピリジン基;R4 が水素原子かつR3 がβ- ピリジン基;R4 が水素原子かつR3 がα- ピリジン基;R3 およびR4 が共にメチル基;またはR4 がメチル基かつR3 がフェニル基である。
【0047】
本発明はまた下記構造を有する化合物をも提供する。
【化24】

【0048】
ここで、Rは置換もしくは無置換のアリールアミノ、シクロアルキルアミノ、ピリジンアミノ、ピペリジノ、9-プリン-6- アミン、またはチオゾールアミノ基であり;かつnは約 4ないし約 8の整数である。
【0049】
上記化合物の好ましい態様において、Rは置換もしくは無置換のフェニルアミノ基である。このフェニルアミノ基は、シアノ、メチルシアノ、ニトロ、カルボキシル、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、トリフルオロメチル、ヒドロキシルアミノカルボニル、N-ヒドロキシルアミノカルボニル、メトキシカルボニル、塩素、フッ素、メチル、メトキシ、2,3-ジフルオロ、2,3-ジフルオロ、2,4-ジフルオロ、2,5-ジフルオロ、2,6-ジフルオロ、3,5-ジフルオロ、2,6-ジフルオロ、2,3,6-トリフルオロ、1,2,3-トリフルオロ、3,4,5-トリフルオロ、2,3,4,5-テトラフルオロ、または2,3,4,5,6-ペンタフルオロ基で置換されていてもよい。
【0050】
上記化合物の他の態様においては、Rはシクロヘキシルアミノ基である。
【0051】
また、本発明は、下記構造を有する化合物をも提供する。
【化25】

【0052】
ここで、XおよびYの各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつヒドロキシル、アミノもしくはヒドロキシルアミノ基、置換もしくは無置換のアルキロキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルキロキシアミノ、アリーロキシアミノ、アルキロキシアルキルアミノ、またはアリーロキシアルキルアミノ基であり;Rは水素原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル、アリール、アルキロキシ、またはアリーロキシ基であり;並びにmおよびnの各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつ各々約 0ないし約 8の整数である。
【0053】
上記化合物の好ましい態様においては、X、YおよびRの各々はヒドロキシル基であり、かつmおよびnの各々は 5である。
【0054】
本発明は、また、下記構造を有する化合物をも提供する。
【化26】

【0055】
ここで、XおよびYの各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつヒドロキシル、アミノもしくはヒドロキシルアミノ基、置換もしくは無置換のアルキロキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルキロキシアミノ、アリーロキシアミノ、アルキロキシアルキルアミノ、またはアリーロキシアルキルアミノ基であり;R1 およびR2 の各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつ水素原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル、アリール、アルキロキシ、またはアリーロキシ基であり;並びにm、nおよびoの各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつ各々約 0ないし約 8の整数である。
【0056】
上記化合物の好ましい態様においては、XおよびYの各々はヒドロキシル基であり、かつR1 およびR2 の各々はメチル基である。最も好ましくは、nおよびoの各々は 6であり、mは 2である。
【0057】
本発明は、また、下記構造を有する化合物を提供する。
【化27】

【0058】
ここで、XおよびYの各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつヒドロキシル、アミノもしくはヒドロキシルアミノ基、置換もしくは無置換のアルキロキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルキロキシアミノ、アリーロキシアミノ、アルキロキシアルキルアミノ、またはアリーロキシアルキルアミノ基であり;R1 およびR2 の各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつ水素原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル、アリール、アルキロキシ、またはアリーロキシ基であり;並びにmおよびnの各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつ各々約 0ないし約 8の整数である。
【0059】
本発明はまた、下記構造を有する化合物をも提供する。
【化28】

【0060】
ここで、XおよびYの各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつヒドロキシル、アミノもしくはヒドロキシルアミノ基、置換もしくは無置換のアルキロキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルキロキシアミノ、アリーロキシアミノ、アルキロキシアルキルアミノ、またはアリーロキシアルキルアミノ基であり;並びにmおよびnの各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつ各々約 0ないし約 8の整数である。
【0061】
上記化合物の好ましい態様においては、XおよびYの各々はヒドロキシル基であり、かつmおよびnの各々は 5である。
【0062】
また、本発明は、下記構造を有する化合物をも提供する。
【化29】

【0063】
ここで、XおよびYの各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつヒドロキシル、アミノもしくはヒドロキシルアミノ基、置換もしくは無置換のアルキロキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルキロキシアミノ、アリーロキシアミノ、アルキロキシアルキルアミノ、またはアリーロキシアルキルアミノ基であり;R1 およびR2 の各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつ水素原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル、アリール、アルキロキシ、またはアリーロキシ基であり;並びにmおよびnの各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつ各々約 0ないし約 8の整数である。
【0064】
また、本発明は、下記構造式を有する化合物をも提供する。
【化30】

【0065】
ここで、XおよびYの各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつヒドロキシル、アミノもしくはヒドロキシルアミノ基、置換もしくは無置換のアルキロキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルキロキシアミノ、アリーロキシアミノ、アルキロキシアルキルアミノ、またはアリーロキシアルキルアミノ基であり;かつnは約 0ないし約 8の整数である。
【0066】
上記化合物の好ましい態様においては、XおよびYの各々はジメチルアミノ基であり、かつnは 4または 5である。
【0067】
また、本発明は、下記構造を有する化合物をも提供する。
【化31】

【0068】
ここで、XおよびYの各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつヒドロキシル、アミノもしくはヒドロキシルアミノ基、置換もしくは無置換のアルキロキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルキロキシアミノ、アリーロキシアミノ、アルキロキシアルキルアミノ、またはアリーロキシアルキルアミノ基であり;R1 およびR2 の各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつ水素原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル、アリール、アルキロキシ、アリーロキシ、カルボニルヒドロキシルアミノ、もしくはフルオロ基であり;かつmおよびnの各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつ各々約 0ないし約 8の整数である。
【0069】
上記化合物の好ましい態様においては、XおよびYの各々はヒドロキシルアミノ基、R1 はメチル基、R2 は水素原子、並びにmおよびnの各々は 2である。他の好ましい態様においては、XおよびYの各々はヒドロキシルアミノ基、R1 はカルボニルヒドロキシルアミノ基、R2 は水素原子、並びにmおよびnの各々は 5である。さらに好ましい態様においては、XおよびYの各々はヒドロキシルアミノ基、R1 およびR2 はフルオロ基、並びにmおよびnの各々は 2である。
【0070】
本発明はまた、下記構造を有する化合物をも提供する。
【化32】

【0071】
ここで、R1 およびR2 の各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつヒドロキシル、アルキロキシ、アミノ、ヒドロキシルアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルキロキシアミノ、アリーロキシアミノ、アルキロキシアルキルアミノ、またはアリーロキシアルキルアミノ基である。
【0072】
好ましくは、R1 はフェニルアミノ基であり、かつR2 はヒドロキシルアミノ基である。
【0073】
また、本発明は、下記構造で表わされる化合物をも提供する。
【化33】

【0074】
ここで、R1 およびR2 の各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつヒドロキシル、アルキロキシ、アミノ、ヒドロキシルアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルキロキシアミノ、アリーロキシアミノ、アルキロキシアルキルアミノ、またはアリーロキシアルキルアミノ基である。
【0075】
好ましくは、R1 はフェニルアミノ基であり、かつR2 はヒドロキシルアミノ基である。
【0076】
本発明はまた、下記構造を有する化合物をも提供する。
【化34】

【0077】
ここで、R1 およびR2 の各々は、独立に、互いに同等であるか、もしくは互いに異なっており、かつヒドロキシル、アルキロキシ、アミノ、ヒドロキシルアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルキロキシアミノ、アリーロキシアミノ、アルキロキシアルキルアミノ、またはアリーロキシアルキルアミノ基である。
【0078】
好ましい態様においては、R1 またはR2 のいずれかはヒドロキシルアミノ基である。
【0079】
また、本発明は、腫瘍性細胞の末端分化を選択的に誘発し、それによりそのような細胞の増殖を阻害する方法であって、これらの細胞を、適切な条件下において、末端分化を選択的に誘発するに有効な上記いずれかの化合物の有効量と接触させることを包含する方法を提供する。
【0080】
この接触は、期間を延長して、すなわち少なくとも48時間、好ましくは約 4 - 5日以上連続して行なわなければならない。
【0081】
この方法は、イン・ビボまたはイン・ビトロにおいて行なうことができる。この方法をイン・ビトロで行なう場合には、接触は細胞を上記化合物と共にインキュベートすることにより行なうことができる。細胞と接触させる化合物の濃度は、約 1μMないし約25mM、好ましくは 4μMないし約 5mMであるべきである。この濃度は、個々の化合物および腫瘍性細胞の状態に依存する。
【0082】
この方法はまた、最初に細胞を抗腫瘍剤で処置してこれらの細胞を抗腫瘍剤に対して耐性とし、続いて得られた耐性細胞を、適切な条件下において、これらの細胞の末端分化を選択的に誘発するに有効な上記いずれかの化合物の有効量と接触させることを包含してもよい。
【0083】
この抗腫瘍剤は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、ホルモン剤抗生物質、コルヒチン、vinca アルカロイド、L-アスパラギナーゼ、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、ミトーテン、ニトロソ尿素もしくはイミダゾールカルボキサミドのような多くの化学療法剤の1つであればよい。適当な薬剤は、チューブリンの脱分極を促進する薬剤である。好ましくは、この抗腫瘍剤は、コルヒチンまたは vincaアルカロイドであり、特に好ましくはビンブラスチンおよびビンクリスチンである。抗腫瘍剤がビンクリスチンである態様においては、細胞は、好ましくは、約 5mg/mLの濃度のビンクリスチンに耐えるように処理される。細胞を抗腫瘍剤に対して耐性にするための処理は、細胞を少なくとも 3 - 5日の期間薬剤と接触させることにより行なうことができる。得られた細胞と上記いずれかの化合物との接触は、前述の通りに行なう。
【0084】
本発明はまた、腫瘍性細胞の増殖によって特徴付けられる腫瘍を有する患者の治療方法であって、そのような腫瘍性細胞の末端分化を選択的に誘発し、それによりそれらの増殖を阻害するに有効な上記いずれかの化合物の有効量を前記患者に投与することを包含する方法を提供する。
【0085】
本発明の方法は、腫瘍を有するヒト患者の治療を指向する。しかしながら、この方法が他の哺乳動物における腫瘍の治療に有効であろうこともまた確からしい。腫瘍という用語は、腫瘍性細胞の増殖により引き起こされるあらゆるガン、例えば、肺ガン、急性リンパ球ミエローマ、膀胱メラノーマ、腎カルシノーマ、乳ガンもしくは結腸直腸カルシノーマを包含することを意図している。上記化合物の患者への投与は、経口もしくは非経口的に行なうことができる。現時点では、静脈投与が有効であることが実証されている。上記化合物の投与は、期間を延長して、例えば少なくとも 3日、好ましくは 5日間より長く連続的に行なわなければならない。最も好ましい態様においては、この投与は、少なくとも10日間連続して行なわれ、かつ各々において少なくとも10日間連続して投与が行われるインターバルで繰返される。例えば、 5 - 10 日間という短期間から約25 - 35 日間までのインターバルで、そのようなインターバルの各々において少なくとも10日間連続して投与することができる。最適インターバル期間は、患者と腫瘍のタイプによって変化するであろう。例えば、急性白血病、いわゆる脊髄形成異常症候群の罹患率においては、患者が毒性を除いて薬剤に耐性である限りにおいて連続注入が示されるように見受けられ、陽性の応答が存在した。
【0086】
患者に投与される上記化合物の量は、患者において毒性を引き起こすであろう量よりも少ない。特定の態様においては、患者に投与される上記化合物の量は、患者の血漿中の化合物濃度を化合物の毒性レベル以上にする量よりも少ない。好ましくは、患者血漿中の上記化合物の濃度は、約 1.0mMに維持される。約 5gm/m2 /日ないし約30gm/m2 /日、好ましくは約20gm/m2 /日の量の上記化合物を投与することが、患者において毒性を生じることなく有効であることがHMBAを用いて見出されている。本発明を実施するにあたり患者に投与されるべき上記化合物の最適量は、使用される特定の化合物および治療しようとするガンのタイプに依存するであろう。
【0087】
上に列挙される化合物に加えて、この発明は、そのような化合物のホモログおよびアナログの使用を包含することを意図している。この文脈において、ホモログは上記化合物と実質的な構造類似性を有する分子であり、アナログは構造的な類似性とは無関係に実質的な生物学的類似性を有する分子である。
【0088】
この方法はまた、最初に、細胞を抗腫瘍剤に対して耐性にする量の抗腫瘍剤を患者に投与し、続いて、腫瘍性細胞の末端分化を選択的に誘発し、それによりそれらの増殖を阻害するに有効な量の上記いずれかの化合物の有効量を患者に投与することを包含してもよい。
【0089】
この抗腫瘍剤は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、ホルモン剤抗生物質、コルヒチン、vinca アルカロイド、L-アスパラギナーゼ、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、ミトーテン、ニトロソ尿素もしくはイミダゾールカルボキサミドのような多くの化学療法剤の1つであればよい。適当な薬剤は、チューブリンの脱分極を促進する薬剤である。好ましくは、この抗腫瘍剤は、コルヒチンまたは vincaアルカロイドであり、特に好ましくはビンブラスチンおよびビンクリスチンである。抗腫瘍剤がビンクリスチンである態様においては、細胞を約 5mg/mLの濃度のビンクリスチンに対して耐性にする量が投与される。薬剤の投与は、本質的に、上記化合物の投与についての記載と同様に行なわれる。好ましくは、薬剤の投与は少なくとも 3 - 5日間行なわれる。上記いずれの化合物の投与も、前述と同様に行なわれる。
【0090】
本発明はまた、薬剤学的に許容し得る担体、例えば無菌のパイロジェン非含有水、および治療上有効な量の上記いずれかの化合物を含有する医薬組成物を提供する。好ましくは、有効量は、適切な腫瘍性細胞の末端分化を選択的に誘発するに有効であり、かつ患者において毒性を発現する量よりも少ない量である。
【0091】
最後に、本発明は、抗腫瘍剤と組み合わされた上記医薬組成物を提供する。この抗腫瘍剤は、前述のいずれの薬剤であってもよい。
【0092】
本発明を以下の実験の詳細の項で説明する。この項は、本発明の理解を助けるために示すものであり、後述の請求の範囲に示される本発明をいかなる意味でも制限することを意図するものではなく、かつ制限するものと解釈されるべきではない。
【0093】
化学
下記の構造を有する化合物
【化35】

【0094】
PhCHONHOC(CHCOOCHの合成
セベリン酸モノメチルエステル(1.9g;0.01mol)、塩化オキザロイル(1.75mL;2.54g;0.02mol)及び0.1mLのDMFのベンゼン(200mL)溶液を室温で一夜撹拌した。溶媒をエバポレートし、オイル状の残渣をクロロホルム(約20mL)に溶解し、o−ベンジルヒドロキシルアミン(2.46g;0.02mol)及びピリジン(1.6mL;1.68g;0.02mol)のクロロホルム(100mL)溶液と混合した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。クロロホルム溶液を水(50mL)、10%塩酸、及び再度水(2×50mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、エバポレートした。個体の残渣をヘキサン(約100mL)中でスラリーにし、濾過した。PhCH2ONHOC(CH2)6COOCH3の収率は2.61g(89%)であった。
【化36】

【0095】
上記のセベリン酸モノベンジルオキシアミドモノメチルエステル(1g;3.4mol)を乾燥メタノール(50mL)に溶解し、5%Pd-C(50mg)を加えた。黒色の懸濁液を水素圧(約50psi)下において室温で一夜振蘯した。触媒を濾過して除き、濾液をエバポレートした。固体の残渣をヘキサン(約20mL)でスラリー化し、濾過した。スベリン酸モノメチルエステルモノヒドロキサミン酸の収率は900mg(95%)であった。
【0096】
1H NMR(DMSO-D6、200MHz),δ(ppm)10.31(s,NHOH,1H);8.89(S,ブロード,NHOH,1H);3.57(s,CH3,3H);2.27(t,J=7.4Hz,CH2COOCH3,2H);1.91(t,J=7.4Hz,CH2CONHOH,2H);1.49(m,4H),1.24(m,4H)。
【化37】

【0097】
スベリン酸モノベンジルオキシアミドモノメチルエステル(1g;3.4mmol)及び水酸化カリウム(210mg;3.75mmol)を10mLのメタノール−水(4:1)混合物に溶解した。反応混合物を2時間還流し、溶媒をエバポレートした。固体の残渣を5mLの水に溶解し、濃塩酸で約pH5に酸性化した。白色の沈殿物を濾過し、乾燥し、酢酸エチル−ヘキサンから結晶化した。スベリン酸モノベンジルオキシアミドの収率は、820mg(86%)であった。この生成物をメタノール(50mL)に溶解し、5%Pd-C(50mg)を加えた。反応混合物を水素(50psi)下で一夜振蘯した。触媒を濾過によって除き、濾液をエバポレートした。固体の残渣をヘキサン中でスラリー化し、濾過した。スベリン酸モノヒドロキサミン酸の収率は、520mg(81%)であった。
【0098】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)11.96(s,ブロード,COOH,1H);10.31(s,NHOH,1H);8.63(s,ブロード,NHOH,1H);2.17(s,J=7.4Hz,CH2COOH,2H);1.91(s,CH2CONHOH,2H);1.46(m,4H);1.22(m,4H)。
【0099】
下記の構造を有する化合物
【化38】

【0100】
一般的方法
(o−ベンジルヒドロキシルアミン(2.46g;0.02mol)、相当するアミン(0.02mol)及び塩化スベロイルのピリジン(500mL)溶液を室温で一夜撹拌した。溶媒をエバポレートし、半固体の残渣を1000mLのクロロホルム−メタノール(4:1)に溶解した。得られた溶液を水(2×100mL)10%塩酸(3×100mL)、及び再度水(2×100mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、エバポレートした。固体の残渣をメタノール(100mL)に溶解し、5%Pd-Cを加えた。黒色の懸濁液を水素圧(約50psi)下で一夜振蘯した。触媒を濾過によって除き、濾液をエバポレートした。酢酸エチル−テトラヒドロフランを用いシリカゲルカラムクロマトグラフィーで標的化合物を単離した。
【化39】

【0101】
収率1.1g(26%)
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)10.93(s,NHOCH3,1H);10.32(s,NHOH,1H);8.66(s,NHOH,1H);3.55(s,CH3,3H);1.91(t,J=7.6Hz,CH2CO-,4H);1.45(m,4H);1.20(m,4H)。
【化40】

【0102】
収率1.2g(21%)
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)10.31(s,NHOH,1H);8.60(s,ブロード,NHOH,1H);7.57(d,J=7.6Hz,NH-C6H11,1H);3.40(m,CH-NH,1H);1.99(t,J=7Hz,CH2CONHC6H11,2H);1.91(t,J=7.6Hz,CH2CONHOH,2H);1.63(m,4H);1.44(m,4H);1.20(m,4H)。
【化41】

【0103】
収率870mg(20%)
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)10.31(s,NHOH,1H);8.67(s,ブロ一ド,NHOH,1H);2.85(d,J=30Hz,N(CH3)2,6H);2.24(t,J=7.4Hz,CH2CON(CH3),2H);1.91(t,J=7.4Hz,CH2COONHOH,2H);1.50(m,4H);1.20(m,4H)。
【化42】

【0104】
収率1.4g(27%)
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)10.31(s,NHOH,1H);8.67(s,NHOH,1H);3.40(2t,CH2N,4H);2.20(t,J=7.4Hz,CH2CON(CH2)5,2H);1.91(t,J=7.4Hz,CH2CONOH,2H);1.10-1.60(m,ブロード,14H)。
【0105】
下記の構造を有する化合物
【化43】

【0106】
o−ベンジルヒドロキシルアミン(1.23g;0.01mol)、o−(トリメチルシリル)ヒドロキシルアミン(1.1g;0.01mol)、ピリジン(1.6mL;1.7g;0.02mol)及び塩化スベロイル(1.8mL;2.11g;0.01mol)のクロロホルム(500mL)溶液を室温で一夜撹拌した。反応懸濁液を、メタノール(100mL)で希釈し、10%塩酸(3×100mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、エバポレートした。固体の残渣を酢酸エチル−テトラヒドロフラン(4:1)でシリカゲルカラムクロマドグラフイーにかけた。収率は500mg(17%)であった。
【0107】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)11.09(s,NHOCH2C6H5,1H);10.31(s,NHOH,1H);8.67(s,ブロード,NHOH,1H);7.36(s,C6H5,5H);4.76(s,CH2C6H5,2H);1.92(t,J=7.4Hz,CH2CO-,4H);1.45(m,4H);1.20(m,4H)。
【0108】
下記の構造を有する化合物
【化44】

【0109】
水酸化カリウム(2.24g;0.04mol)及びo−ベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩の30mLテトラヒドロフラン−水(1:1)冷混合溶液に塩化6−ブロモヘキサノイル(3.1mL;4.27g:0.02mol)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌した。溶媒をエバポレートし、固体の残渣をクロロホルム(200mL)と水(100mL)の間で分配した。クロロホルム層を10%塩酸(3×50mL)及び水(2×50mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、エバポレートした。生成物を酢酸エチル−ヘキサンから結晶化することにより精製した。N−ベンジルオキシ−6−ブロモヘキサノイルアミンの収率は、4.7g(78%)であった。N−ベンジルオキシ−6−ブロモヘキサノイルアミン(4.5g;15mmol)及びシアン化ナトリウム(7.35g;0.15mol)のジメチルスルホキシド(250mL)溶液を130℃で一夜加熱した。溶媒をエバポレートし、固体の残渣をクロロホルム(300mL)と水(300mL)の間で分配した。クロロホルム層を水(5×100mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、エバポレートした。オイル状の残渣を酢酸エチル−テトラヒドロフラン(4:1)を溶出液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。N−ベンジルオキシ−6−シアノヘキサノイルアミドの収率は、1.62g(43%)であった。この生成物をメタノール(50mL)に溶解し、5%Pd−C(100mg)を加えた。黒色の懸濁液を水素圧(約50psi)下で一夜振蘯した。触媒を濾過によって分離し、濾液をエバポレートした。固体の残渣をヘキサン(約20mL)中でスラリー化し、濾過した。N−ヒドロキシ−6−シアノヘキサノイルアミドの収率は、900mg(全工程の収率30%)であった。
【0110】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)10.32(s,NHOH,1H);8.65(s,NHOH,1H);2.45(t,J=7Hz,CH2CN,2H);1.93(t,J=7Hz,CH2CONHOH,2H);1.49(m,4H);1.33(m,2H)。
【0111】
下記の構造を有する化合物
【化45】

【0112】
一般的方法
二酸ジクロリド(diacid dichloride)(0.01mol)を、水酸化カリウム(1.12g;0.02mol)及び相当するアミン(0.01mol)の30mLテトラヒドロフラン−水(1:1)の冷混合溶液(0℃)に加えた。反応混合物を室温で約1時間撹拌し、溶媒をエバポレートし、固体の残渣をクロロホルム(300mL)及び水(300mL)の間で分配した。幾つかの場合には、すべての固体を溶解するのに小量のメタノールが必要である。有機層を10%水酸化カリウム(3×30mL)で洗浄した。塩基性の水抽出物を10%塩酸で酸性化した。沈殿を濾過によって集め、乾燥し、酢酸エチルからの結晶化、又は酢酸エチル−テトラヒドロフラン(4:1)によるシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。収率は20〜37%である。
【化46】

【0113】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)11.97(s,COOH,1H);9.84(s,NH,1H);7.57(d,J=7.4Hz,オルト芳香族プロトン,2H);7.26(t,J=8.4Hz,メタ芳香族プロトン,2H);6.99(t,J=7.4Hz,パラ芳香族プロトン,1H);2.27(t,J=7Hz,CH2CONHPh,2H);2.18(t,J=7.2Hz,2H);1.52(m,4H);1.28(m,4H)。
【化47】

【0114】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)11.95(s,COOH,1H);10.20(s,NH,1H);8.10(s,芳香族プロトン,1H);7.75(m,芳香族プロトン,1H);7.45(m,芳香族プロトン,2H);2.28(t,J=7.4Hz,CH2CONHAr,2H);2.21(t,J=7.2Hz,CH2COOH,2H);1.46(m,4H);1.20(m,4H)。
【化48】

【0115】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)11.95(s,COOH,1H);10.29(s,NH,1H);7.75(s,芳香族プロトン,4H);2.33(t,J=7.2Hz,CH2CONHAr,2H);2.18(t,J=7.4Hz,CH2COOH,2H);1.53(m,4H);1.27(m,4H)。
【化49】

【0116】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)11.98(s,ブロード,COOH,1H);10.48(s,NH,1H);8.21(d,J=9.2Hz,芳香族プロトン,2H);7.82(d,J=9.2Hz,芳香族プロトン,2H);2.36(t,J=7.4Hz,CH2CONHAr,2H);2.18(t,J=7.2Hz,CH2COOH,2H);1.55(m,4H);1.29(m,4H)。
【化50】

【0117】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)12.00(s,ブロード,COOH,1H);10.24(s,NH,1H);8.38(d,J=5.8Hz,芳香族プロトン,2H);7.55(d,J=5.8Hz,芳香族プロトン,2H);2.33(t,J=7.2Hz,CH2CONHAr,2H);2.18(t,7.2Hz,CH2COOH,2H);1.52(m,4H);1.27(m,4H)。
【化51】

【0118】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)11.95(s,COOH,1H);7.58(d,J=8Hz);3.50(m,CH,1H);2.17(t,J=7.2Hz,CH2COOH,2H);2.00(t,J=7Hz,CH2CONH-,2H);1.60(m,4H);1.46(m,6H);1.20(m,8H)。
【0119】
同様の方法で、以下の化合物を調製し、特徴づけた。
【化52】

【0120】
但し、n=4、5、6、7、及び8であり;Rは水素;
2−、3−、及び4−シアノ;2−、3−、及び4−ニトロ;2−、3−、及び4−メチルシアノ;2−、3−、及び4−トリフルオロメチル;2−、3−、及び4−フルオロである。
【化53】

【0121】
但し、n=4、5、6、7、及び8である。
【化54】

【0122】
但し、n=4、5、6、7、及び8である。
【化55】

【0123】
但し、n=4、5、6、7、及び8である。
【化56】

【0124】
但し、n=4、5、6、7、及び8である。
【化57】

【0125】
但し、n=4、5、6、7、及び8である。
【化58】

【0126】
但し、Rは2−、3−、及び4−カルボニル;2−、3−、及び4−アミノカルボニル;2−、3−、及び4−メチルアミノカルボニル;2−、3−、4−ジメチルアミノカルボニル;2−、3−、及び4−クロロ;2−、3−、及び4−ブロモ;2−、3−、及び4−ヨード;2−、3−、及び4−メチル;2−、3−、及び4−メトキシ;2−、3−、及び4−ヒドロキシ;2−、3−、及び4−アミノ;2−、3−、及び4−ジメチルアミノである。
【0127】
下記の構造を有する化合物
【化59】

【0128】
但し、n=4、5、6、及び7である。
【0129】
一般的方法A
o−ベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩(3.2g;0.02mol)及び相当する二酸ジクロリド(0.04mol)のピリジン(500mL)懸濁液を室温で3日間撹拌した。水(10mL)を加え、撹拌を一夜続けた。溶媒をエバポレートし、固体の残渣を、テトラヒドロフラン−メタノールでシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。二酸の生成物をメタノール(100mL)に溶解し、5%Pd-C(100mg)を加えた。反応懸濁液を水素圧(約50psi)下で一夜振蘯した。触媒を濾過によって除き、固体の残渣を熱メタノール(5×50mL)で洗浄した。メタノール性の濾液を合わせ、エバポレートした。固体の残渣をアセトン中でスリー化し、濾過した。収率は10〜20%であった。
【0130】
一般的方法B
o−ベンジルヒドロキシルアミン(2.46g;0.02mol)及び相当するジカルボン酸モノベンジルエステルモノ酸クロリド(0.04mol)のピリジン(500mL)溶液を室温で一夜撹拌した。溶媒をエバポレートした。半固体の残渣をクロロホルム(300mL)に溶解し、5%塩酸(2×50mL)、10水酸化カリウム(3×100mL)及び水(2×100mL)で抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、エバポレートした。固体の残渣を酢酸エチルでシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。トリベンジル生成物をメタノール(100mL)に溶解し、5%Pd-C(100mg)を加えた。反応懸濁液を水素圧(約50psi)下室温で一夜振蘯した。固体を濾過によって除き、熱メタノール(5×50mL)で洗浄した。メタノール濾過液を合わせ、固体の残渣になるまでエバポレートした。該固体残渣を冷却したアセトンでスラリー化し、濾過した。標的化合物の収率は30〜60%であった。
【化60】

【0131】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)11.53(s,COOH,1H);2.41(t,J=7.2Hz,CH2CON(OH)COCH2,4H);1.52(m,8H);1.22(m,H)。
【0132】
MS(FAB,グリセリン)346(M+1)。
【0133】
以下の構造を有する化合物
【化61】

【0134】
ジカルボン酸のモノメチルエステルモノ酸クロリド(0.02mol)及びN,N’−ジメチル−1,ω−ジアミノアルカン(0.01mol)のピリジン(500mL)溶液を室温で一夜撹拌した。溶媒をエバポレートし、オイル状の残渣をクロロホルム(300mL)に溶解した。クロロホルム溶液を水(3×50mL)、10%水酸化カリウム(3×50mL)、10%塩酸(3×50mL)及び再度水(3×50mL)で洗浄した。有機層を乾燥し、エバポレートした。オイル状の残渣を、80%メタノール(100mL)中の水酸化カリウム(1.2g;0.021mol)に溶解した。反応混合物を2時間還流した。溶媒をエバポレートし、固体の残渣を水(50mL)に溶解し、クロロホルム(3×50mL)で抽出した。水溶液を約pH5に酸性化し、濃縮(約10mLの容積まで)した。水溶液又は懸濁液を冷却し、結晶を濾過によって分離した。固体生成物を酢酸エチルから結晶化して精製した。収率は40〜60%であった。
【化62】

【0135】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)8.15(s,ブロード,COOH,2H);3.52+3.45(2s,CH2N,4H);3.01+2.93(2s,CH3N,6H);2.30(4t,CH2CO,8H);1.60(m,8H);1.32(m,8H)。
【0136】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)3.44+3.336+3.36(3s,CH2N,4H;2.94+2.90+2.79(3s,CH3N,6H);2.27+2.23+2.12(3t,CH2CO,8H);1.46(m,8H);1.23(m,8H)。
【0137】
以下の構造を有する化合物
【化63】

【0138】
6−アミノカプリン酸(2.6g;0.02mol)及び塩化テレフタロイル(2g;0.01mol)のピリジン(500mL)溶液を室温で一夜(約12時間)、更に90℃で23時間撹拌した。溶媒をエバポレートし、固体の残渣を水(10mL)から4回結晶化した。収率は800mg(19%)であった。
【0139】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)12.8(s,ブロード,COOH,2H);8.54+7.72(2t,NH,2H);3.24+2.98(2m,NHCH2,4H);2.20+2.03(2m,CH2CO,4H);1.50(m,8H);1.32(m,4H)。
【0140】
下記の構造を有する化合物
【化64】

【0141】
アニリン(2.75g;0.03mol)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(2.08;0.03mol)及び水酸化カリウム(5.50g;0.09mol)の50%テトラヒドロフラン(20mL)中の混合物に、室温で塩化テレフタロイル(6g;0.03mol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液をゆっくり加えた。反応懸濁液を30分室温で撹拌した。溶媒をエバポレートした。固体の残渣を熱メタノール(1000mL)中でスラリー化し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。メタノール溶液を濾過して除き、濾液をエバポレートした。固体の残渣を、20mLの冷メタノールでスラリー化し、濾過した。白色結晶をエーテル(5×50mL)で洗浄し、乾燥した。収率は4.6g(39%)であった。
【0142】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)11.35(s,ブロード,NHOH,1H);10.35(s,NHPh,1H);9.19(s,NHOH,1H);8.03(d,J=8Hz,テレフタル性プロトン,2H);7.89(d,J=8Hz,テレフタル性プロトン,2H);7.82(d,J=7.4Hz,オルトアニリドプロトン,2H);7.34(t,J=7.4Hz,メタアニリドプロトン,2H);7.10(t,J=7.4Hz,パラアニリドプロトン,1H)。
【0143】
下記の構造を有する化合物
【化65】

【0144】
1,4−フェニレンジアクリル酸(2.18g;0.01mol)の塩化チオニル(50mL;81.55g;0.68mol)溶液を一夜還流した。過剰の塩化チオニルをエバポレートした。固体をテトラヒドロフラン(20mL)に溶解し、これを、水酸化カリウム(1.12g;0.02mol)及びアニリンの50%テトラヒドロフランの冷溶液(0℃)に加えた。反応混合物を室温で30分撹拌した。溶媒をエバポレートした。固体の残渣を水中でスラリー化し、濾過した。白色結晶を小量のメタノールに溶解し、テトラヒドロフランでシリカゲルカラム上において精製した。収率は315mg(10%)であった。
【0145】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)10.80(s,NHOH,1H);10.23(s,NHPh,1H);9.09(s,NHOH,1H);7.69(d,J=7.6Hz,オルトアニリドプロトン,2H);7.64(s,フェニレンプロトン,4H);7.55(d,J=15.8Hz,PhNHOCCH=CH-,1H);7.40(d,J=15.8Hz,HONHOCCH=CH-,1H);7.33(t,J=7.8Hz,メタアニリドプロトン,2H);7.06(t,J=7.2Hz,パラアニリドプロトン,1H);6.89(d,15.8Hz,PhNHOCCH=CH-,1H);6.51(d,J=15.8Hz,HOHNOCCH=CH-,1H)。
【0146】
下記の構造を有する化合物
【化66】

【0147】
但し、n=4、5、6、7、及び8である。
【0148】
トリエチルアミン(1.4mL;1.0g;0.01mol)、相当するアミン(0.01mol)及び二酸ジクロリド(0.005mol)のクロロホルム溶液を室温で5時間撹拌した。反応混合物が透明になったら、これを水(5×100mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、固体の残渣になるまでエバポレートした。反応の途中で結晶が生成した場合は、該結晶を濾過して除いた。濾過で得られた固体若くはエバポレーションによって得られた固体の残渣を酢酸エチル、テトラヒドロフラン、メタノール、又はこれらの混合物から結晶化した。収率は、60〜90%であった。
【化67】

【0149】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)10.23(s,NH,2H);7.82(d,J=9Hz,芳香族プロトン,4H);7.60(d,J=9Hz,芳香族プロトン,4H);2.31(t,J=7.4Hz,CH2CO,4H);2.61(m,4H);1.32(m,4H)。
【化68】

【0150】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)10.48(s,NH,2H);8.18(d,J=9.2Hz,芳香族プロトン,4H);7.81(d,J=9.2Hz,芳香族プロトン,4H);2.37(t,J=7.2Hz,CH2CO-,4H);1.60(m,4H);1.33(m,4H)。
【化69】

【0151】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)9.91(s,NH,2H);7.58(d,J=8.6Hz,芳香族プロトン,4H);7.26(d,J=8.6Hz,芳香族プロトン,4H);3.94(s,CH2CN,4H);2.29(t,J=7.4Hz,CH2CO-,4H);1.60(m,4H);1.31(m,4H)。
【化70】

【0152】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)10.08(s,CONHAr,2H);7.79(d,J=8.6Hz,芳香族プロトン,4H);7.63(d,J=8Hz,芳香族プロトン,4H);7.22(s,H3CNCO-,2H);3.32(s,CH3,6H);2.31(t,J=7Hz,CH2C-,6H);1.59(m,4H);1.31(m,4H)。
【化71】

【0153】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)10.90(s,ブロード,NHOH,2H);10.05(s,NHAr,2H);8.90(s,ブロード,NHOH,2H);7.68(d,J=9Hz,芳香族プロトン,4H);7.62(d,J=9Hz,芳香族プロトン,4H);2.31(t,J=7.2Hz,CH2CO-,4H);1.59(m,4H);1.30(m,4H)。
【化72】

【0154】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)10.06(s,ブロード,NH,2H);8.71(d,J=2.6Hz,芳香族プロトン,2H);7.31(d+d,芳香族プロトン,2H);2.32(t,J=7.4Hz,CH2CO-,4H);1.59(m,4H);1.33(m,4H)。
【化73】

【0155】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)12.00(s,ブロード,NH,2H);7.43(d,J=3.6Hz,芳香族プロトン,2H);7.16(d,J=3.6Hz,芳香族プロトン,2H);2.41(t,J=7.2Hz,CH2CONH-,4H);1.58(m,4H);1.28(m,4H)。
【0156】
同様の方法で、以下の化合物を調製し、特徴化した。
【化74】

【0157】
但し、n=4、5、6、7、及び8である。すべての化合物は、対称的であり、Rは、2−、3−、及び4−シアノ;2−、3−、及び4−メチフレシアノ;2−、3−、及び4−ニトロ;2−、3−、及び4−カルボキシ;2−、3−、4−アミノカルボニル;2−、3−、及び4−メチルアミノカルボニル;2−、3−、及び4−ジメチルアミノカルボニル;並びに2−、3−、及び4−トリフルオロメチルである。
【化75】

【0158】
但し、Rは4−ヒドロキシルアミノカルボニル;4−メトキジカルボニル;2−、3−、及び4−クロロ;2−、3−、及び4−フルオロ;2−、3−、及び4−メチル2−、3−、及び4−メトキシ;2,3−ジフルオロ;2,4−ジフルオロ;2,5−ジフルオロ;2,6−ジフルオロ;1,2,3−トリフルオロ;3,4,5−トリフルオロ;2,3,5,6−テトラフルオロ;2,3,4,5,6−ペンタフルオロである。
【化76】

【0159】
下記の構造を有する化合物
【化77】

【0160】
但し、n=4、5、6、7、及び8である。
【0161】
一般的方法 A
二酸ジクロリド(0.01mol)を、水酸化カリウム(1.68g;0.03mol)ヒドロキシルアミン塩酸塩(0.7g;0.01mol)及び相当するアニリン(0.01mol)の50%テトラヒドロフラン(100mL)の撹拌溶液に加えた。得られた反応混合物を30分室温で撹拌し、溶媒を固体の残渣になるまでエバポレートした。この固体の浅渣をメタノール(約100mL)中でスラリー化し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。メタノール溶液を濾過によって分離し、固体の残渣になるまでエバポレートした。生成物を、酢酸エチル−テトラヒドロフラン(ほとんどの場合3:1)でシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより生成した。
【0162】
一般的方法B
相当する二酸のモノメチルエステル(0.01mol)、塩化オキサリル(0.03mol)、及び数滴のDMFのベンゼン(500mL)溶液を室温で一夜撹拌した。溶媒をエバポレートし、オイル状の残渣を乾燥ベンゼン(3×50mL)に溶解し、再度エバポレートした。対応するジカルボン酸のモノエステルモノ酸クロリドのテトラヒドロフラン(50mL)溶液を相当するアミン(0.01mol)及びピリジン(1.6mL;1.6g;0.02mol)のテトラヒドロフラン(200mL)冷溶液に加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。溶媒をエバポレートし、残渣をクロロホルム(300mL)に溶解し、クロロホルム溶液を10%塩酸(3×50mL)、10%水酸化カリウム(3×50mL)及び水(3×50mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、エバポレートして純粋なジカルボン酸のモノエステルモノアミドを得た。生成物を水酸化カリウム(0.56g;0.01mol)を含有する80%メタノールに溶解した。反応混合物を2時間還流し、固体の残渣になるまでエバポレートした。残渣を水(約20mL)に溶解し、10%塩酸で約pH5に酸性化した。ジカルボン酸のモノ酸モノアミド(monoacid monoamide)を沈殿物の濾過、又はクロロホルムでの水溶液の抽出によって単離した。単離されたジカルボン酸のモノ酸モノアミドを、ピリジン(o−ベンジルヒドロキシルアミン0.01mol当たり約100mL)中において当量のo−ベンジルヒドロキシルアミン及び1,3−ジシクロヘキシルカルボシイミドと混合し、室温で一夜撹拌した。溶媒をエバポレートし、固体の残渣をクロロホルム(500mL)及び10%塩酸(300mL)の問で分配した。有機層を水(3×100mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を固体の残渣になるまでエバポレートした。この固体の残渣を大量のテトラヒドロフランに溶解し、短いシリカゲルカラムを通して濾過した。粗生成物をメタノール(100mL)に溶解し、5%Pd-Cを加えた。反応懸濁液を水素圧(約50psi)下で一夜振蘯した。触媒を濾過によって分離し、濾液を固体の残渣になるまでエバポレートした。固体の残渣をヘキサン中でスラリー化し、濾過した。ほぼ純粋な生成物をこの方法で単離した。必要であれば、酢酸エチル−テトラヒドロフランを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで、更に精製を行った。収率は35%から65%であった。
【0163】
一般的方法C
o−ベンジルヒドロキシルアミン(1.23;0.01mol)、相当するアミン(0.01mol)、及びジカルボン酸ジクロリド(0.01mol)のピリジン(500mL)溶液を室温で一夜撹拌した。溶媒をエバポレートした。白色の固体残渣は、1H NMRの判定により、2種類の対称なアミン及び目的の非対称アミンを含有していた。固体の残渣をメタノール中でスラリー化し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾液をエバポレートし、固体の残渣をメタノール(約100mL)に溶解した。このメタノール溶液に、5%Pd-C(100mg)を加え、黒色の懸濁液を水素圧(約50psi)下で一夜振蘯した。触媒を濾過によって分離し、濾液をエバポレートした。生成物を酢酸エチル−テトラヒドロフランを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで単離した。収率は20から35%であった。
【0164】
一般的方法D
トリエチルアミン(3mL;2.18g;0.021.5mol)、相当するアミン(0.01mol)、o−(トリメチルシリル)ヒドロキシルアミン(1.05g、0.01mol)、及び相当するジカルボン酸の二酸クロリド(0.01mol)のクロロホルム溶液を室温で一夜撹拌した。溶媒をエバポレートし、残渣を、メタノール(約10mL)に溶解し、このメタノール溶液に、10%塩化アンモニウム(約10mL)を加えた。得られた懸濁液を50℃で2時間撹拌した。溶媒をエバポレートした。固体の残渣をメタノール(300mL)中でスラリー化し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。メタノール溶液を濾過によって分離し、固体の残渣になるまでエバポレートした。生成物を、酢酸エチル−テトラヒドロフランを用いシリカゲルカラムクロマトグラフィーで単離した。収率は20から33%であった。
【化78】

【0165】
元素分析:計算値 63.62 7.63 10.60
実測値 63.58 7.59 10.48
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)10.31(s,NHOH,1H);9.83(s,NHPh,1H);8.64(s,NHOH,1H);7.57(d,J=8.2Hz,オルト芳香族プロトン,2H);7.26(t,J=8.4Hz,メタ芳香族プロトン,2H);6.99(t,パラ芳香族プロトン,2H);2.27(t,J=7.4Hz,CH2CONHPh,1H);1.93(t,J=7.2Hz,CH2CONHOH,2H);1.52(m,4H);1.26(m,4H)。
【0166】
MF(Fab,グリセリン)172,204,232,249,265,(100%,M+1)。
【化79】

【0167】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)10.31(s,NHOH,1H);10.08(s,NHPh,1H);8.64(s,NHOH,1H);7.78(d,J=7.6Hz,芳香族プロトン,1H);7.66(t,J=7.4Hz,芳香族プロトン,1H);7.48(d,J=7.8Hz,芳香族プロトン,1H);7.29(t,J=7.4Hz,芳香族プロトン,1H);2.34(t,J=7Hz,CH2CONHAr,2H);1.93(t,J=7.4Hz,CH2CONHOH,2H);1.58(m,4H);1.27(m,4H)。
【化80】

【0168】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)10.31(s,NHOH,1H);10.21(s,NHPh,1H);8.65(s,NHOH,1H);8.09(s,芳香族プロトン,1H);7.77(m,芳香族プロトン,1H);7.49(m,芳香族プロトン,1H);2.31(t,J=7.2Hz,CH2CONHAr,2H);1.93(t,J=7.2Hz,CH2CONHOH,2H);1.51(m,4H)。
【化81】

【0169】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)10.35(s,NHAr,1H);10.31(s,NHOH,1H);8.63(s,NHOH+芳香族プロトン,2H);7.88(d,J=8Hz,芳香族プロトン,2H);7.57(t,J=8Hz,芳香族プロトン,1H);2.33(t,J=7.6Hz,CH2CONHAr,2H);1.93(t,J=7.4Hz,CH2CONHOH,2H);1.52(m,4H);1.27(m 4H)。
【化82】

【0170】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)10.33(s,NHOH,1H);10.15(s,NHAr,1H);10.09(s,NHPh,1H);8.66(s,NHOH,1H);7.91(d,J=8.6Hz,芳香族プロトン,2H);7.76(d,J=7.8Hz,オルトアニリンプロトン,2H);7.71(d,J=8.6Hz,芳香族プロトン,2H);7.33(t,J=7.6Hz,メタアニリンプロトン,2H);7.07(t,J=7.4Hz,パラアニリンプロトン);2.33(t,J=7.5Hz,CH2NHAr,2H);1.93(t,J=7.2Hz,CH2CNHH,2H);1.51(m,4H);1.28(m 4H)。
【化83】

【0171】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)10.32(s,NHOH,1H);10.21(s,NHAr,1H);8.65(s,NHOH,1H);7.31(dのd,J=10Hz(2.2Hz),芳香族プロトン,2H);6.84(tのt,J=9.4Hz(2.4Hz),芳香族プロトン,1H);2.29(t,CH2CONHAr,2H);1.93(t,J=7.2Hz,CH2CONHOH,2H);1.51(m,4H);1.26(m 4H)。
【0172】
同様な方法で以下の化合物を調製し、特徴づけた。
【化84】

【0173】
但し、n=4、5、6、7、及び8;Rは2−、3−、4−シアノ;2−、3−、及び4−メチルシアノ;2−、3−、及び4−ニトロ;2−、3−、及び4−カルボキシ;2−、3−、及び4−アミノカルボニル;2−、3−、及び4−メチルアミノカルボニル;2−、3−、及び4−ジメチルアミノカルボニル;並びに2−、3−、及び4−トリフルオロメチルである。
【化85】

【0174】
但し、Rは、4−ヒドロキシアミノカルボニル;4−メトキジカルボニル;4−テトラゾイル;2−、3−、及び4−クロロ;2−、3−、及び4−フルオロ;2−、3−、及び4−メチル;2−、3−、及び4−メトキシ;2,3−ジフルオロ;2,4−ジフルオロ;2,5−ジフルオロ;2,6−ジフルオロ;1,2,3−トリフルオロ;3,4,5−トリフルオロ;2,4,5−トリフルオロ;2,4,6−トリフルオロ;2,3,6−トリフルオロ;2,3,5,6−テトラフルオロ;2,3,4,5,6−ペンダフルオロ;2−、3−、及び4−フエニル;2−、3−、及び4−ベンジルオキシ;4−ヘキシル;並びに4−t−ブチルである。
【化86】

【0175】
下記の構造を有する化合物
【化87】

【0176】
但し、n=4、5、6、7及び8である。;Rは水素又はメチルである。
【0177】
(二酸ジクロリド(0.01mol)を、水酸化カリウム(1.69g;0.03mol)、アニリン若しくははN−メチルアニリン(0.01mol)、及びジメチルアミン塩酸塩(0.805g;0.01mol)の50%テトラヒドロフラン(100mL)の撹拌溶液に加えた。反応混合物を室温で30分撹拌した。溶媒をクロロホルム(400mL)及び(300mL)の間で分配した。有機層を10%塩酸(3×100mL)、10%水酸化カリウム(3×100mL)、及び水(2×100mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、エバポレートした。固体の残渣をヘキサン中でスラリー化し、濾過した。収率は25〜34%であった。
【化88】

【0178】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)9.82(s,NHPh,1H);7.58(d,J=7.6Hz,オルト芳香族プロトン,2H);7.26(t,J=7.4Hz,メタ芳香族プロトン,2H);6.99(t,J=7.4Hz,パラ芳香族プロトン,1H);2.85(d,1=28Hz,N(CH3)2,6H);2.28(t,J=7.2Hz,CH2CO,2H);2.24(t,J=7.4Hz,CH2CO,2H);1.51(m,4H);1.29(m 4H)。
【化89】

【0179】
1H NMR(DMSO-D6,200MHz),δ(ppm)7.30(m,C6H5,5H);3.13(s,H3CNPh,3H);2.83(d,J=26Hz,N(CH3)2,6H)2.17(t,J=7.6Hz,CH2CON(CH3)2,2H);1.98(t,J=7.4Hz,CH2CON(CH3)Ph,2H);1.41(s,4H);1.11(m 4H)。
【表1】

【0180】

【0181】

【0182】

【0183】

【0184】

【0185】

【0186】

【表2】

【参照文献】
【0187】





【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造を有する化合物。
【化1】

ここで、XおよびYの夫々は独立に、相互に同じであるかまたは相互に異なり、且つヒドロキシル基、アミノ基もしくはヒドロキシアミノ基、置換もしくは非置換のアルキルオキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アルキルオキシアミノ基、アリールオキシアミノ基、アルキルオキシアルキルアミノ基、またはアリールオキシアルキルアミノ基であり;mおよびnの夫々は独立に、相互に同じであるかまたは異なり、且つ夫々が0〜8の整数である。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、XおよびYの夫々がヒドロキシル基であり、mおよびnの夫々が5である化合物。
【請求項3】
下記構造を有する化合物。
【化2】

ここで、XおよびYの夫々は独立に、相互に同じであるかまたは相互に異なり、且つヒドロキシル基、アミノ基もしくはヒドロキシアミノ基、置換もしくは非置換のアルキルオキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アルキルオキシアミノ基、アリールオキシアミノ基、アルキルオキシアルキルアミノ基、またはアリールオキシアルキルアミノ基であり;R1 およびR2 の夫々は独立に、相互に同じであるかまたは異なり、且つ水素原子、ヒドロキシル基、置換もしくは非置換のアルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、またはアリールオキシ基であり;mおよびnの夫々は独立に、相互に同じであるかまたは異なり、且つ夫々が0〜8の整数である。
【請求項4】
下記構造を有する化合物。
【化3】

ここで、XおよびYの夫々は独立に、相互に同じであるかまたは相互に異なり、且つヒドロキシル基、アミノ基もしくはヒドロキシアミノ基、置換もしくは非置換のアルキルオキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アルキルオキシアミノ基、アリールオキシアミノ基、アルキルオキシアルキルアミノ基、またはアリールオキシアルキルアミノ基であり;nは、XおよびYが両方ともジアルキルアミノでないとして、1〜8の整数である。
【請求項5】
下記構造を有する化合物。
【化4】

ここで、XおよびYの夫々は独立に、相互に同じであるかまたは相互に異なり、且つヒドロキシル基、アミノ基もしくはヒドロキシアミノ基、置換もしくは非置換のアルキルオキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アルキルオキシアミノ基、アリールオキシアミノ基、アルキルオキシアルキルアミノ基、またはアリールオキシアルキルアミノ基であり(ただし、Xがヒドロキシまたはアルキルオキシであるとき、Yはヒドロキシまたはアルキルオキシではあり得ない);R1 およびR2 の夫々は独立に、相互に同じであるかまたは異なり、且つ水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、カルボニルヒドロキシルアミノ基、またはフルオロ基であり(ただし、R1 およびR2 の両方が水素原子ではない);mおよびnの夫々は独立に、相互に同じであるかまたは異なり、且つ夫々が1〜8の整数である。
【請求項6】
請求項5に記載の化合物であって、XおよびYの夫々がヒドロキシルアミノ基であり;R1 がメチル基であり;R2 は水素原子であり;mおよびnの夫々が2である化合物。
【請求項7】
請求項5に記載の化合物であって、XおよびYの夫々がヒドロキシルアミノ基であり;R1 がカルボニルヒドロキシルアミノ基であり;R2 は水素原子であり;mおよびnの夫々が5である化合物。
【請求項8】
請求項5に記載の化合物であって、XおよびYの夫々がヒドロキシルアミノ基であり;R1 およびR2 の夫々がフルオロ基であり;mおよびnの夫々が2である化合物。
【請求項9】
下記構造を有する化合物。
【化5】

ここで、R1 およびR2 の夫々は独立に、相互に同じであるかまたは異なり、且つヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ヒドロキシルアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アルキルオキシアミノ基、アリールオキシアミノ基、アルキルオキシアルキルアミノ基、アリールオキシアルキルアミノ基であり、R1基およびR2基の両方がヒドロキシル基またはアリールアミノ基ではない。
【請求項10】
請求項9に記載の化合物であって、R1 はフェニルアミノ基であり、R2 はヒドロキシルアミノ基である化合物。
【請求項11】
下記構造を有する化合物。
【化6】

ここで、R1 およびR2 の夫々は独立に、相互に同じであるかまたは異なり、且つヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ヒドロキシルアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アルキルオキシアミノ基、アリールオキシアミノ基、アルキルオキシアルキルアミノ基、アリールオキシアルキルアミノ基である(但し、R1およびR2の両方がヒドロキシルアミノ基ではない)。
【請求項12】
請求項11に記載の化合物であって、R1 はフェニルアミノ基であり、R2 はヒドロキシルアミノ基である化合物。
【請求項13】
下記構造を有する化合物。
【化7】

ここで、R1 およびR2 の夫々は独立に、相互に同じであるかまたは異なり、且つヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アミノ基、ヒドロキシルアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アルキルオキシアミノ基、アリールオキシアミノ基、アルキルオキシアルキルアミノ基、アリールオキシアルキルアミノ基である(但し、R1およびR2の両方がヒドロキシルアミノ基ではない)。
【請求項14】
請求項13に記載の化合物であって、R1 はヒドロキシルアミノ基である化合物。
【請求項15】
請求項13に記載の化合物であって、R2 はヒドロキシルアミノ基である化合物。
【請求項16】
下記構造を有する化合物。
【化8】

ここで、Rはシアノ、メチルシアノ、ニトロ、カルボキシル、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、トリフルオロメチル、ヒドロキシルアミノカルボニル、N-ヒドロキシルアミノカルボニル、メトキシカルボニル、クロロ、フルオロ、メチル、メトキシ、2,3-ジフルオロ、2,4-ジフルオロ、2,5-ジフルオロ、2,6-ジフルオロ、3,5-ジフルオロ、2,3,6-トリフルオロ、2,4,6-トリフルオロ、1,2,3-トリフルオロ、3,4,5-トリフルオロ、2,3,4,5-テトラフルオロ、または2,3,4,5,6-ペンタフルオロ基で置換されたフェニルアミノ基であり;nは4〜8の整数である。
【請求項17】
腫瘍性細胞の末端分化を選択的に誘導し、それによってかかる細胞の増殖を阻害するための薬学的組成物を製造する方法であって、前記薬学的組成物は、末端分化を選択的に誘導するために有効な請求項1,3,4,5,9,11,13または16に記載の化合物の有効量を含有する方法。
【請求項18】
腫瘍性細胞の増殖を特徴とする腫瘍を有する患者を治療するための薬学的組成物を製造する方法であって、前記薬学的組成物は、末端分化を選択的に誘導するために有効な請求項1,3,4,5,9,11,13または16に記載の化合物の有効量を含有する方法。
【請求項19】
腫瘍性細胞の末端分化を選択的に誘導し、それによってかかる細胞の増殖を阻害するための薬学的組成物であって、薬学的に許容可能なキャリアと、治療的に有効な量の請求項1,3,4,5,9,11,13または16に記載の化合物とを含有する組成物。
【請求項20】
腫瘍性細胞の増殖を特徴とする腫瘍を有する患者を治療するための薬学的組成物であって、薬学的に許容可能なキャリアと、治療的に有効な量の請求項1,3,4,5,9,11,13または16に記載の化合物とを含有する組成物。
【請求項21】
請求項19または20に記載の薬学的組成物であって、前記有効量が、患者において毒性を生じる量未満である組成物。
【請求項22】
請求項19または20に記載の薬学的組成物であって、抗腫瘍剤と組合された組成物。

【公開番号】特開2007−291110(P2007−291110A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−114876(P2007−114876)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【分割の表示】特願2002−337049(P2002−337049)の分割
【原出願日】平成4年10月5日(1992.10.5)
【出願人】(399026731)スローン − ケタリング・インスティテュート・フォー・キャンサー・リサーチ (15)
【出願人】(592104782)ザ・トラスティーズ・オブ・コランビア・ユニバーシティー・イン・ザ・シティー・オブ・ニューヨーク (21)
【氏名又は名称原語表記】THE TRUSTEES OF COLUMBIA UNIVERSITY IN THE CITY OF NEW YORK
【Fターム(参考)】