説明

新規オリゴヌクレオチド、および脱色剤として、メラニン色素合成に含まれる酵素の発現を調節するオリゴヌクレオチドの使用

【課題】メラニン色素の合成経路に含まれる必須酵素の1つをコードする遺伝子および遺伝子転写物とハイブリダイズできる新規オリゴヌクレオチド配列、および/または、その誘導体を提供する。
【解決手段】チロシナーゼをコードする遺伝子もしくは遺伝子転写物、またはチロシナーゼ関連タンパク質1(TRP−1)をコードする遺伝子もしくは遺伝子転写物と特異的にハイブリダイズできる新規オリゴヌクレオチド配列。また、化粧用組成物または皮膚病用組成物における脱色剤または漂白剤としての、これらの新規オリゴヌクレオチド配列の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規オリゴヌクレオチド配列およびまた、その誘導体に関する。
【0002】
これらの新規オリゴヌクレオチド配列は、メラニン色素の合成経路に含まれる必須酵素の1つをコードする遺伝子または遺伝子産物とハイブリダイズできる。
【0003】
本発明は、化粧用組成物または皮膚病用組成物における皮膚の脱色剤または漂白剤として、これらの新規オリゴヌクレオチド配列の使用にも関する。
【背景技術】
【0004】
ヒトにおいて、色素沈着は、皮膚、毛包または眼におけるメラニン色素の合成と分配から生じる。色素沈着は遺伝的に予め定まっているが、多くの内的または外的因子によって調整される。メラノサイトによって産生されるメラニンやまた、メラノサイトの数、それらのチロシナーゼ活性やメラニンをケラチノサイトへ輸送するそれらの能力、およびメラニン顆粒を含むメラノソームの大きさは、ヒト皮膚の色の条件となるであろう。各個人について、皮膚の色は、紫外(UV)線からの照射の多かれ少なかれ有意量の関数として主として変動する。換言すれば、各個人について、UV照射の最小量を受けるときの基礎的皮膚色素沈着(それは、各個人の最も薄い皮膚色に対応する)、UV照射のより強い量を受けた場合のより強い皮膚の色素沈着、山の高度で出会いうるような強いUV照射に持続した期間曝されるときの各個人の最も濃い皮膚色に対応する最大の色素沈着までの範囲が存在する。
【0005】
さらに、周知のように、世界の人々において、皮膚色素沈着に関する非常に大きな遺伝的多様性が存在する。すなわち、集団により、上記に規定した基礎的色素沈着に対応する皮膚色は、2つの極端(すなわち、非常に薄いのと非常に濃い)の間に存在するより薄い肌色またはより濃い肌色を示す。また、集団により、基礎的色素沈着と最大色素沈着の間の皮膚の肌色における差異は、多かれ少なかれ重要である。すなわち、薄い皮膚(基礎的色素沈着)をもつある集団に属する個人は、UV照射作用に急速および/または著しく反応し、それ故、これらの個人が、持続した期間、故意に太陽に曝されなかったときでさえ、容易に濃い皮膚色を有し得ることは周知である。本明細書の残りの部分で、これらの個人は、表現「UV照射に非常に反応性のある個人」によって表される。これは、特に、アジア起源の集団または混合−人種集団と命名されたある集団について当てはまる。
【0006】
さらに、個人によって、皮膚におけるより濃い、すなわちより色のついた部分の外観、または皮膚における斑点、特に顔と手における斑点(それは、皮膚にある種の不均一性を与える)が証明される。これらの斑点は、表皮のケラチノサイトにおけるメラニンのかなりの濃度によるものである。
【0007】
皮膚色素沈着の形成の機構は、メラニン合成を含む。この機構は特に複雑であり、スキームとして、以下の主要ステップを含む。
【0008】
【数1】

【0009】
反応のこのシリーズに含まれることが知られる酵素は本質的にチロシナーゼおよびチロシナーゼ関連タンパク質1(TRP−1)である。これらの酵素は、チロシンのドーパ(ジヒドロキシフェニルアラニン)への変換の反応およびドーパのドーパキノンへの変換の反応を特に触媒し、メラニン色素形成を導く。これらの酵素は、メラニン形成の反応機構の間に、個々に含まれるようにはならない。事実、チロシナーゼとTRP−1は酵素複合体を形成する(Winderら、(1994) Cell. Mol. Biol. Res. 40:7-8; Orlowら、(1994) J. of Investigative Dermatology 103: 196-211)。それ故、これらの2つの酵素は、協奏的に作用し、互いの存在無くして決して機能しないように思われる。細胞がTRP−1欠失であるとき、チロシナーゼ活性の喪失が観察されることが知られ(Orlowら、(1994))、このことは、活性であるために、チロシナーゼはTRP−1の存在を必要とすることを意味する(Zhaoら、(1996) J. of Investigative Dermatology 106: 744-752)。
【0010】
本明細書の残りの部分で、メラニンの合成経路に含まれるこれらの必須酵素は、表現「色素沈着に必須の酵素」によって表される。
【0011】
表皮メラノサイトの活性を阻害することによって、表皮メラノサイトに直接的に作用するならば、および/またはメラニン生合成のステップの1つを阻止するならば、分子は、脱色分子であると認められる。これは特に、その分子がメラニン形成に含まれる酵素の1つを阻害するとき、そうであるか、またはその分子がメラニン合成鎖の化学化合物と反応するとき、そうである。
【0012】
公知の脱色物質は特に、ヒドロキノンとその誘導体、アスコルビン酸とその誘導体、胎盤エキス、麹酸、フェルラ酸、アルブチン、ジヒドロキシベンゼン誘導体(WO 00/47045)、グアイアコール誘導体(WO 00/47179)、4−(2,3−ジヒドロキシフェニル)シクロヘキサノール(WO 00/56279)、レゾルシノール誘導体(WO 00/56702)およびフェノールアミド(WO 99/32077)である。これらの物質はある欠点を有し得る。それらは、不安定であり得、高濃度での使用を必要としえ、それらの作用モードに関し特異性を欠き得、または細胞毒性力もしくは刺激力を有し得る。
【0013】
有効で無害の脱色物質の局所使用は特に、化粧品や皮膚病学において望ましい。該物質は特に、特発性黒皮症などのメラノサイト活動過剰による局所性色素過剰症、老年性色素斑点(老年性黒子)として知られる色素斑点などの、良性メラノサイト活動過剰と増殖による局所性色素過剰症、光感受性もしくは瘢痕性色素過剰症などの偶発性色素過剰症、および白斑(vitiligo)などのある種の白斑症(leukodermias)を治療するために用いられる。後者の場合には、皮膚を再び着色することは可能ではないので、脱色区域の縁の周りの色素沈着を、皮膚により均一な色を与えるように軽減させる。
【0014】
脱色物質はまた、肌色、特に顔と手の肌色を明るくし、できるだけ薄い、もしくはできるだけ均一な皮膚色を保存するように、または少なくとも、UV線の色素沈着効果を減少させるように、ある個人、特にUV照射に非常に反応性のある、上記の個人によって、皮膚の漂白剤としても使用される。
【0015】
それ故、プロフェッショナルに直面する問題は、既知物質の欠点を持たない(すなわち、皮膚にとって非刺激性で、非毒性で、および/または非アレルギー性であり、組成物中で安定である)、ヒト皮膚、体毛、または頭髪のための新規脱色物質あるいは新規漂白剤の設計、製造または単離である。
【0016】
メラノサイト機能不全による疾患、特に白斑や他の脱色疾患の治療のためのアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用は、WO 99/25819に記載されている。これらの病理的皮膚状態において、低色素症は、異常に高いテネイシン含量から生じる。該文献に記載されたオリゴヌクレオチドは、テネイシン発現を調節することによって、低色素症に対し作用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
一方、本発明の目的は、メラニン形成のプロセスに作用し、第1に、ほぼ均一な色素沈着の場合に、皮膚、体毛、もしくは頭髪を漂白する、すなわち、それらの色素沈着を減少させるように意図された、第2に、皮膚の色素過剰症(すなわち、皮膚が不均一な色素沈着を示すとき)と闘うように意図された脱色剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の発明者らは、オリゴヌクレオチドが、色素沈着に必須の酵素をコードする遺伝子、または(RNAなどの)遺伝子産物とハイブリダイズできることを見出した。
【0019】
すなわち、メラノサイトにおける色素沈着に必須の酵素の発現を調節する本発明のオリゴヌクレオチドは、上記のメラニン形成反応の上流に含まれる。この活性は、非常に低濃度でさえ存在する。これは、これらのオリゴヌクレオチドの利点を増大させる。さらに、本発明のオリゴヌクレオチドは、細胞毒性を示さない。
【発明の効果】
【0020】
本発明のオリゴヌクレオチドは、通常使用される物質によって提出される問題に理想的な解決策を提供する。チロシナーゼまたはTRP−1の活性を阻害する公知の物質(特に、ヒドロキノンとその誘導体、アスコルビン酸とその誘導体、胎盤エキス、麹酸、およびアルブチン)は、それらの特異性の少なさのために多数の受け入れられない副作用を有する。それ故、本発明は、脱色効果を得るために、色素沈着に必須の酵素を直接阻害する代わりに、該酵素の産生を調節することによって、以前の研究者が出会った問題を解決する。
【0021】
該必須酵素は、複合体の形態で協奏的に機能するので、本発明者らは、提出された問題を解決するために、複合体の酵素の一方または他方の発現を阻害する新規オリゴヌクレオチドを記載した。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のオリゴヌクレオチドはそれ自体新規であり、医薬品として新規である。
【0023】
本発明は、色素沈着に必須な酵素の1つをコードする遺伝子または遺伝子産物とハイブリダイズできる、7〜25、好ましくは9〜25、12〜25、15〜25または18〜25のヌクレオチド数を含むオリゴヌクレオチドに関する。特に、該オリゴヌクレオチドは、チロシナーゼをコードする遺伝子もしくは遺伝子産物、またはチロシナーゼ関連タンパク質1(TRP−1)をコードする遺伝子もしくは遺伝子産物とハイブリダイズできる。
【0024】
より詳細には、本発明は、上記で規定された、そして、チロシナーゼをコードする遺伝子もしくは遺伝子産物またはTRP−1をコードする遺伝子もしくは遺伝子産物と特異的にハイブリダイズできるオリゴヌクレオチドに関する。
【0025】
特に、それは、その配列が以下に示す配列番号1〜11の配列から選択されるオリゴヌクレオチドである。
【0026】
【化1】

【0027】
本発明の主題はまた、その配列が上記の配列番号1〜11の配列の1つである新規産物としてのオリゴヌクレオチドである。
【0028】
本発明の文脈において、表現「チロシナーゼをコードする遺伝子」は、チロシナーゼ遺伝子のゲノム配列を意味するように意図される。同様に、表現「TRP−1をコードする遺伝子」は、TRP−1遺伝子のゲノム配列を意味するように意図される。
【0029】
メラニン形成におけるチロシナーゼとTRP−1の鍵となる役割は、公知である。酵素またはタンパク質をコードするメッセンジャーRNAの発現を調節するために、該メッセンジャーRNAに対し向けられたオリゴヌクレオチドの使用も公知である。しかし、本発明の発明者らによって開発された技術は、脱色の手段としては決して使用されなかった。
【0030】
本発明のオリゴヌクレオチドは、メッセンジャーRNAまたは遺伝子と直接的にハイブリダイズするように決定される。それ故、それらは、遺伝子によって産生されるチロシナーゼまたはTRP−1の量の究極の調節を行うことを可能とする。
【0031】
本明細書において、「ハイブリダイゼーション」という用語は、二重ヘリックスの形態で二本鎖を形成するように、通常核酸の2つの鎖上の相補的塩基の間で、ワトソン−クリック対としても知られる、水素結合の形成を示すように使用される。
【0032】
同一の長さの2つの核酸配列の間の相補性の程度は、アラインメント後、第1配列を、第2配列に相補的な配列と比較することによって決定される。相補性の程度は、比較される2つの配列の間で同一位置のヌクレオチドが同一である同一位置の数を決定し、同一位置のこの数を、位置の総数で割り、得られた結果を100倍し、これらの2つの配列の間の相補性の程度を得ることによって計算される。
【0033】
「特異的ハイブリダイゼーション」という用語は、特異的な結合が望まれる条件下、非標的配列へのオリゴヌクレオチドの非特異的結合を避けるために十分な相補性の程度が存在することを特に意味する。オリゴヌクレオチドは、特異的にハイブリダイズするために、標的核酸配列と100%の相補性を有する必要はないことが理解される。特に、少なくとも約80%に等しい相補性の程度を有するオリゴヌクレオチドは、標的として選択された核酸と特異的にハイブリダイズできる。
【0034】
本発明のオリゴヌクレオチドは好ましくは、色素沈着に必須の酵素をコードする遺伝子または遺伝子産物と特異的にハイブリダイズする。特に、本発明のオリゴヌクレオチドは、チロシナーゼをコードする遺伝子のDNAもしくはTRP−1をコードする遺伝子のDNA、あるいはこれらの遺伝子の一方もしくは他方由来のmRNAとハイブリダイズできる。本発明のオリゴヌクレオチドは、特異的にハイブリダイズするために、同一性と数において十分なヌクレオチド数を含む。この性質は通常「アンチセンス」と言われる。
【0035】
それ故、本発明の主題は、関係する遺伝子のコーディング領域の上流に、もしくはその領域と、あるいはこの遺伝子の翻訳の開始コドンを示す領域と特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドである。
【0036】
本発明の主題はまた、色素沈着に必須の酵素の1つ、特にチロシナーゼまたはTRP−1をコードするDNAかまたはメッセンジャーRNAのいずれかと特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドである。
【0037】
本発明の主題はまた、色素沈着に必須の酵素の1つ、特にチロシナーゼまたはTRP−1をコードする遺伝子またはmRNAの、5’非コーディング領域、開始コドンを示す領域、コーディング領域または3’非コーディング領域のいずれかと特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドである。
【0038】
本発明の文脈において、「チロシナーゼをコードするDNA」または「TRP−1をコードするDNA」という表現は、エキソンとイントロンの両方、特にエキソンを意味するように意図される。
【0039】
・ 配列番号1、配列番号2、配列番号3および配列番号4の配列の本発明のオリゴヌクレオチドは、TRP−1をコードする遺伝子またはmRNAの5’非コーディング領域と特異的にハイブリダイズする;
・ 配列番号5の配列の本発明のオリゴヌクレオチドは、TRP−1をコードする遺伝子またはmRNAの開始コドンを示す領域と特異的にハイブリダイズする;
・ 配列番号6、配列番号7および配列番号8の配列の本発明のオリゴヌクレオチドは、チロシナーゼをコードする遺伝子またはmRNAの5’非コーディング領域と特異的にハイブリダイズする;
・ 配列番号9の配列の本発明のオリゴヌクレオチドは、チロシナーゼをコードする遺伝子またはmRNAのコーディング領域と特異的にハイブリダイズする;
・ 配列番号10の配列の本発明のオリゴヌクレオチドは、チロシナーゼをコードする遺伝子またはmRNAの開始コドンを示す領域と特異的にハイブリダイズする;
・ 配列番号11の配列の本発明のオリゴヌクレオチドは、TRP−1をコードする遺伝子またはmRNAの5’非コーディング領域と特異的にハイブリダイズする;
ということを明記する。
【0040】
本発明の主題はまた、生体利用性の増大、標的配列へのアフィニティの増大、細胞内部取り込みの増大、またはより良好な生物学的安定性もしくは細胞ヌクレアーゼの存在下の安定性の増大などの本発明のオリゴヌクレオチドに所望の物理化学的特徴を付与する、糖成分、ヌクレオベース成分、またはヌクレオチド間骨格への1つ以上の化学修飾を含むオリゴヌクレオチドである。
【0041】
例を挙げると、これらの特徴を付与できる修飾は、ヌクレオシドの糖成分上の2’−O−アルキルや2’−O−フルオロ誘導体、およびヌクレオチド間骨格内のホスホロチオエート誘導体もしくはメチル・ホスホネート誘導体である。
【0042】
本明細書において、「オリゴヌクレオチド」という用語は、天然のホスホジエステル結合を介し互いに結合するヌクレオシドを形成する天然のヌクレオベース基とペンタフラノシル(糖)基から作製されるポリヌクレオチドを指す。それ故、「オリゴヌクレオチド」という用語は、天然サブユニットまたはその密接なホモローグから作製される天然の種または合成の種を指す。
【0043】
「オリゴヌクレオチド」という用語はまた、天然オリゴヌクレオチドと同様の機能をもつが、非天然部分を有し得るコンポーネントをも指し得る。該オリゴヌクレオチドは、修飾された糖成分、修飾されたヌクレオベース成分または修飾されたヌクレオチド間結合を有し得る。可能な修飾のうち、好適な修飾は、糖成分上の2’−O−アルキル誘導体、特に2’−O−エチルオキシメチルもしくは2’−O−メチル誘導体、またはヌクレオチド間骨格のホスホロチオエートもしくはメチル・ホスホネートである。
【0044】
キメラオリゴヌクレオチドは、本発明の優先的な修飾に含まれる。該オリゴヌクレオチドは、少なくとも2つの化学的に異なる領域を含み、各々は少なくとも1つのヌクレオチドを含む。特にそれは、例えば、より良好な生物学的安定性、生体利用性の増大、細胞内取り込みの増大、または標的RNAへのアフィニティの増大などの1つ以上の有益な性質を付与する修飾ヌクレオチドを含む1つ以上の領域を含む。
【0045】
好ましくは、ヌクレオチド間骨格は、完全に、または部分的にホスホジエステル、ホスホロチオエート、もしくはメチル・ホスホネート、またはホスホジエステルおよび/もしくはホスホロチオエートおよび/もしくはメチル・ホスホネート結合の組み合わせからなりうる。
【0046】
それ故、本発明のオリゴヌクレオチドは、そのヌクレオチド間骨格のホスホジエステル基の幾つかが、ホスホロチオエート基および/またはメチル・ホスホネート基で置き換えられていることを特徴とする。
【0047】
あるいは、本発明のオリゴヌクレオチドは、ホスホジエステル基の全てが、ホスホロチオエート基またはメチル・ホスホネート基によって置き換えられることを特徴とする。
【0048】
あるいは、ホスホジエステル基は完全に、または部分的に、ホスホロチオエート基および/またはメチル・ホスホネート基によって置き換えられる。
【0049】
「オリゴヌクレオチド」という用語はまた、オリゴヌクレオチドの上に、プラスミド型の環状投与ベクターまたは核酸型もしくはペプチド型の線形投与ベクターが接ぎ木されたオリゴヌクレオチドをも指し得る。
【0050】
本発明のオリゴヌクレオチドは、医薬品として新規である。
【0051】
本発明の主題はまた、上記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドと化粧用もしくは皮膚病用に許容され得る媒質を含む化粧用組成物もしくは皮膚病用組成物である。このような組成物はまた、所望の効果を強化することを意図した1つ以上の活性剤を含みうる。
【0052】
本発明の主題はまた、ヒト皮膚、体毛もしくは頭髪の脱色もしくは漂白、またはヒト皮膚上の色素斑点の除去もしくは軽減のための、化粧用組成物または皮膚病用組成物の製造における、またはそのための、色素沈着に必須の酵素の1つ、特にチロシナーゼまたはTRP−1をコードする遺伝子の転写産物に対し向けられた少なくとも1つのオリゴヌクレオチド配列の使用である。
【0053】
本発明はまた、特にヒト皮膚、体毛もしくは頭髪の脱色もしくは漂白、およびヒト皮膚上の色素斑点の軽減のための化粧剤として、色素沈着に必須の酵素の1つ、特にチロシナーゼまたはTRP−1をコードする遺伝子または遺伝子産物と特異的にハイブリダイズできるオリゴヌクレオチドの使用に関する。
【0054】
本発明の主題はまた、メラニン合成の阻害剤として化粧用組成物または皮膚病用組成物の製造における、またはそのための、色素沈着に必須の酵素の1つ、特にチロシナーゼまたはTRP−1をコードする遺伝子の転写産物に対し向けられた少なくとも1つのオリゴヌクレオチド配列の使用である。
【0055】
本発明はまた、局所経路を介しての、チロシナーゼおよび/またはTRP−1の過剰発現を生じる疾患の治療または予防を意図した医薬品の製造のための上記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドの使用にも関する。この医薬品は、メラニン合成の阻害、特に皮膚の脱色もしくは漂白のためばかりではなく、特発性黒皮症などのメラノサイト活動過剰による局所性色素過剰症、老年性色素斑点(老年性黒子)などの良性メラノサイト活動過剰と増殖による局所性色素過剰症、および光感受性もしくは病変後瘢痕化などの偶発性色素過剰症の治療もしくは予防、並びに白斑などのある種の白斑症の治療が意図され得る。
【0056】
本発明の主題はまた、ヒト皮膚用の脱色用もしくは漂白用化粧用組成物における、色素沈着に必須の酵素の1つ、特にチロシナーゼまたはTRP−1をコードする遺伝子の転写産物に対し向けられた少なくとも1つのオリゴヌクレオチド配列の使用である。
【0057】
本発明はまた、色素沈着に必須の酵素の1つ、特にチロシナーゼまたはTRP−1の発現を制御するための、上記オリゴヌクレオチドの使用にも関する。
【0058】
本発明の主題はまた、ヒト皮膚用の脱色用もしくは漂白用皮膚病用組成物の製造のための、色素沈着に必須の酵素の1つ、特にチロシナーゼまたはTRP−1をコードする遺伝子の転写産物に対し向けられた少なくとも1つのオリゴヌクレオチド配列の使用でもある。
【0059】
本発明はまた、色素沈着に必須の酵素の1つ、特にチロシナーゼまたはTRP−1をコードする遺伝子の転写産物に対し向けられた少なくとも1つのオリゴヌクレオチド配列を含む化粧用組成物を、色素沈着皮膚に適用することに存する、ヒト皮膚を脱色または漂白する化粧用または皮膚病用処置方法にも関する。
【0060】
本発明の主題はまた、化粧用または皮膚病用に許容され得る媒質中に、色素沈着に必須の酵素の1つ、特にチロシナーゼまたはTRP−1をコードする遺伝子の転写産物に対し向けられた少なくとも1つのオリゴヌクレオチド配列を含むことを特徴とする脱色用組成物である。
【0061】
上記組成物、使用および処置方法のための本発明の好適な実施態様によれば、オリゴヌクレオチドは、その配列が以下に規定されるものの1つであるものである。
【0062】
【化2】

【0063】
本発明の化粧用または皮膚病用組成物は局所使用に適切であり、それ故、化粧用または皮膚病用に許容され得る媒質、すなわち、皮膚と適合性のある媒質を含む。本発明のオリゴヌクレオチド配列は、組成物の総重量の0.00001%〜10%、好ましくは0.0003%〜3%の範囲の量で存在し得る。
【0064】
本発明の組成物は、局所適用のために通常使用される全ての医薬形態、特に、水性、水性−アルコールもしくは油性溶液の形態で、水中油型、油中水型もしくはマルチプルエマルションの形態で、水性ゲルもしくは油性ゲルの形態で、液体産物、ペースト産物もしくは固体無水産物の形態で、水相もしくは油相中の、ナノ球体やナノカプセルなどの重合粒子の分散の形態で、または米国特許第4,508,703号に記載のイオン性もしくは非イオン性型の液体ベシクルの分散の形態で提供し得る。
【0065】
この組成物は多かれ少なかれ流動性であり得、白もしくは色のついたクリーム、軟膏、ミルク、ゲル、ローション、セラム、ペーストまたはムースの外観を有し得る。それは場合によっては、エーロゾルの形態で皮膚に適用し得る。それはまた、粉末でもよく、もしくはそうでなくともよい固体形態で、例えば、スティックもしくはぎっしり詰まった粉末の形態でも提供し得る。それはまた、パッチの形態で、鉛筆の形態で、ブラシの形態で、および顔もしくは手の斑点への局所適用を可能とする塗薬用具の形態で提供し得る。それは、医療産物または化粧産物として使用され得る。
【0066】
公知の様式において、本発明の組成物はまた、親水性もしくは親油性ゲル化剤、親水性もしくは親油性活性剤、保存剤、抗酸化剤、溶剤、香料、充填剤、遮蔽剤、色素、臭い吸収剤および染料などの、化粧品や皮膚病学で普通であるアジュバントを含みうる。これらの種々のアジュバントの量は、考慮分野で通常使用される量である。性質により、これらのアジュバントは、脂肪相、水性相、液体ベシクル、またはナノ粒子中に導入され得る。
【0067】
本発明の化粧用組成物または皮膚病用組成物がエマルションであるとき、脂肪相の割合は、一般的に、組成物の総重量に対し5〜80重量%、好ましくは5〜50重量%の範囲でありうる。エマルション形態の組成物で使用される油、乳化剤および乳化補助剤は、考慮分野で通常使用されるものから選択される。乳化剤および乳化補助剤は、一般的に組成物の総重量に対し0.3〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%の範囲の割合で組成物に存在する。
【0068】
本発明のオリゴヌクレオチドと組み合わせて使用し得る油として、鉱油(液体ワセリン)、植物起源の油(アボカド油、大豆油)、動物起源の油(ラノリン)、合成油(ペルヒドロスクアレン)、シリコーン油(シクロメチコン)およびフルオロ油(ペルフルオロポリエーテル)に言及できる。脂肪アルコール(セチルアルコール)、脂肪酸およびワックス(カルナウバワックス、オゾケライト)も脂肪物質として使用できる。
【0069】
本発明のオリゴヌクレオチドと組み合わせて使用できる乳化剤および乳化補助剤は、例えば、PEG−20 ステアレートなどの、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステルや、グリセリルステアレートなどの、グリセロールの脂肪酸エステルに言及できる。
【0070】
本発明のオリゴヌクレオチドと組み合わせて使用できる親水性ゲル化剤として、特に、カルボキシビニルポリマー(カルボマー)、アクリレート/アルキルアクリレートコポリマーなどのアクリル酸コポリマー、ポリアクリルアミド、ポリサッカライド、天然ゴムおよび粘土に言及できる。親油性ゲル化剤として、ベントンなどの改変粘土、脂肪酸の金属塩、疎水性シリカおよびポリエチレンに言及できる。
【0071】
本発明の主題は、少なくとも1つの上記オリゴヌクレオチドと1つ以上の他の活性剤を含む化粧用または皮膚病用組成物である。
【0072】
本発明はまた、1つ以上の活性剤と組み合わせて、同時に、もしくは別々に、または時間をかけた方法で投与するように意図された医薬品の製造のための、少なくとも1つの上記オリゴヌクレオチドの使用に関する。
【0073】
本発明のオリゴヌクレオチドと組み合わせて使用でき、純粋に使用する、またはこれらの分子を含む抽出物起源の活性剤は、特に以下の化合物である。エラグ酸とその誘導体;ヒドロキノン;アルブチン;レゾルシノールとその誘導体;ビタミンCとその誘導体;パントテネート・スルホネートとその誘導体;麹酸;胎盤エキス;アルファ−メラノサイト−刺激ホルモン(α−MSH)もしくはそのレセプターまたは副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を、直接的または間接的に妨害する分子;グリセロール、グリコールまたはプロピレングリコールなどのポリオール;ビタミン;サリチル酸とその誘導体などの角質溶解剤または落屑剤;単独または接ぎ木された、乳酸またはリンゴ酸などのα−ヒドロキシ酸;アスコルビン酸とその誘導体;レチノイン酸;レチンアルデヒド;リポソーム調製物中でありうるし、またはそうでないこともありうるレチノールと、パルミテート、プロピオネートまたはアセテートなどのその誘導体;トコフェロールとその誘導体、チオタウリン、ハイポタウリン、アミノグアニジン、チアミン・ピロホスフェート、ピリドキサミン、リシン、ヒスチジン、アルギニン、フェニルアラニン、ピリドキシン、アデノシン・トリホスフェートなど、単独で、または組み合わせての抗グリケーション剤または抗酸化剤;グリチルレチン酸ステアリルなどの抗炎症剤;無痛化剤とその混合物、微粉状酸化亜鉛、酸化チタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタンおよびメトキシケイヒ酸オクチルなどの化学的または物理的日焼け止め;並びにデオキシリボ核酸または核酸。不適合の場合、これらの他の活性剤および/または本発明のオリゴヌクレオチドは、小球体、特に、米国特許第4,508,703号に記載のイオン性または非イオン性両親媒性脂質から作製されるベシクル中に導入され得る。
【0074】
以下の実施例は、本発明を限定すること無しに本発明を説明する。
【0075】
インビトロの培養培地での安定性のために、そして通常の実施に従い、実施例2〜4は、ホスホロチオエート誘導体で行い、実施例5〜12は、ホスホロチオエート誘導体またはホスホジエステル誘導体で等しく準備された。
【0076】
以下の実施例では、全てのパーセンテージは、異なるように記載されていなければ、重量による。
【実施例】
【0077】
実施例1:オリゴヌクレオチド合成
実施例として、標準ホスホルアミダイト誘導体化学による自動合成器(PerseptiveBiosystems Expedite モデル8909)を用い、製造者のプロトコルを用いて、オリゴヌクレオチドを合成した。会社Perseptive Biosystemsによってβ−シアノエチルジイソプロピルホスホルアミダイトが供給された。ホスホジエステルオリゴヌクレオチドについて、ヨウ素溶液を用いてホスファイト酸化工程を実施した。ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドに関して、無水アセトニトリル中の3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン1,1−ジオキシドの0.05M溶液を用いて、ホスファイト酸化工程を実施した。カラム(Controlled Pore Glass, Perseptive Biosystems)からの切断、および33%水性アンモニア溶液を用いて55℃、18時間の処理による配列の全脱保護の後、酢酸ナトリウムの存在下、エタノール中で沈殿させることによって、オリゴヌクレオチドを精製した。塩化ナトリウムの勾配を用いた溶離によるイオン交換クロマトグラフィーによって、および酢酸トリエチルアンモニウムの存在下でアセトニトリルの勾配を用いた溶離によるC18逆相クロマトグラフィーによって、高速液体クロマトグラフィーの制御を実施した。
【0078】
合成したオリゴヌクレオチドを表1に記載する。それらは、配列番号1から配列番号11まで番号付けられた、この表の最初の11の配列である。それらの脱色活性は、以下の実施例で報告する研究の主題であった。
【0079】
表1では、配列の各端部の下に付けられた番号は、起源の配列におけるオリゴヌクレオチドの位置を示す。
【0080】
配列は、それぞれ、ヒトチロシナーゼcDNAの「HUMTYRA」と呼ばれる配列(Shibaharaら、Tohoku J. Exp. Med. 156: 403(1988)により発行)(Genbank登録番号M27160)、ヒトTRP−1 cDNAの「HSTYRRP」と呼ばれる配列(Cohenら、Nucl. Acides Res. 18: 2807(1990)により発行)(Genbank登録番号X51420)および「AF001295」と呼ばれるTRP−1の別の配列 (Boxら、Mamm. Genome 9:50(1998)により発行)(Genbank登録番号AF001295)由来である。
【0081】
さらに、チロシナーゼまたはTRP−1をコードする遺伝子または遺伝子の産物に関して、本発明のオリゴヌクレオチドの特異性を確認するための比較として、本発明の配列番号2に基づく2つのオリゴヌクレオチドを合成した。すなわち:
※ 表1に配列番号12で示した、「センスコントロール」と呼ばれる配列。これは配列番号2の塩基の順序を逆にしてなる。
※ 同様に表1に配列番号13で示した、「スクランブルコントロール」と呼ばれる配列。これは配列番号2の塩基と性質および数が同じ塩基を含むが、任意の順序で配置されている。
【0082】
【表1】

【0083】
実施例2:正常ヒトメラノサイト(NHM)に対する、本発明のオリゴヌクレオチドの脱色効果
実施例1の表1にある、本発明のオリゴヌクレオチド(配列番号1〜配列番号11)を、メラニン形成に対するそれらの作用について、それ故メラノサイトによるメラニン色素の産生を調節するそれらの能力について研究する。「センスコントロール」(配列番号12)および「スクランブルコントロール」(配列番号13)オリゴヌクレオチドもまた、比較の要素として、この作用について研究する。
【0084】
メラニン形成の反応機構の間、チロシナーゼおよびTRP−1が酵素複合体を形成し、この複合体がL−ドーパのドーパキノンへの、次いでドーパクロムへの変換を触媒することが思い出される。これらの2つの酵素は協力して作用し、それらはお互いがないと決して機能しないようである。実際、TRP−1に対して指向したアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いることによって細胞をTRP−1枯渇させる場合、チロシナーゼ(「ドーパオキシダーゼ」とも呼ばれる)活性の減少が観察される。チロシナーゼはまた、その多機能特性のため、「ドーパオキシダーゼ」とも呼ばれる;実際、チロシンのドーパへの酸化の間にドーパオキシダーゼと同じ機能を実行する。
【0085】
本アッセイの原理は、基質として用いたL−ドーパのドーパクロムへの変換におけるドーパオキシダーゼについての反応速度を測定することに基づく。ドーパクロムの発現は、所定の時間間隔で光学濃度を測定することによって定量され、これによって、試験した各オリゴヌクレオチドに関して、およびコントロールアッセイに関して、ドーパオキシダーゼについての反応速度を計算することが可能となる。得られる結果に基づいて、それ故試験したオリゴヌクレオチドのメラニン形成に対する作用を評価することが可能である。コントロールアッセイと比較した反応速度の低下は、酵素活性の減少、およびその結果としてのメラニン色素の形成の減少、それ故脱色効果に対応する。
【0086】
メラノサイト培養物の調製およびオリゴヌクレオチドでの処理
メラノサイトをコーカソイド系の子供の包皮から得る。皮膚フラグメントをPBS(Gibco, Paisley, GB)、次いで70%エタノールですすぐ。PBSでの最後の洗浄後、最小限の真皮を含む細い1mmの細片に皮膚を切断する。細片を0.25%トリプシン溶液(Gibco, Paisley, GB)中、4℃で一晩インキュベートすることによって、真皮および表皮を分離する。インキュベーション後、細胞をメスでこすることによって表皮細胞を回収する。ウシ胎仔血清(Gibco, Paisley, GB)を10%(V/V)含むE−199培地(Gibco, Paisley, GB)中に細胞を置くことによって、トリプシンの作用を停止させる。ホモジナイズし、表面に浮遊する角質細胞の除去後、細胞懸濁物を濾過し、遠心分離し、そしてペレットを接着培地(培地1)中に置く。その組成を以下の表に与える。ここで、EGFは表皮成長因子を示す。
【0087】
【表2】

【0088】
細胞集団の計数後、細胞を200000/cm2の割合でフラスコ中に接種する。湿度を飽和させ、かつ5%のCO2を含む大気中、37℃で細胞を維持する。細胞を接着させた後、接着培地をKSFM培地(Gibco, Paisley, GB)で置き換え、これを48時間毎に取り替える。
【0089】
そのようにして培養中に置いた表皮細胞によって、ケラチノサイト−メラノサイト共培養物を得ることが可能となる。この共培養物が約70%の集密になるとすぐに、KSFM培地を選択培地(培地2)で置き換える。この選択培地は、メラノサイトの増殖を促進し、その組成は以下の表にある。ここで、IBMXは3−イソブチル−1−メチルキサンチンを示し、PMAはホルボール12−ミリステート13−アセテートを示す。
【0090】
【表3】

【0091】
48〜72時間後、0.1%トリプシン−0.05%EDTA混合物(Gibco, Paisley, GB)を室温で1〜2分間用い、細胞をフラスコから引き離す。得られる細胞懸濁物を遠心分離し、選択培地に最懸濁させる。24〜48時間後、トリプシン−EDTA(0.1%−0.05%)混合物を用い、室温で1〜2分間、細胞を再び処理し、次いでメラノサイトに特異的な増殖培地(培地3)に再接種する。
【0092】
培地3は10%の培地2と90%の培地Aとからなる。培地Aはケラチノサイト培地SFM(Gibco, 17005-034)である。
【0093】
この段階では、得られる細胞集団は純粋であり、正常ヒトメラノサイト(NHM)のみからなる。
【0094】
研究前、強力な代謝活性化剤、例えばホルボールエステルまたはIBMXを含まない培地(培地4)にNHMを1週間置く。
【0095】
培地4は10%の培地Bと90%の上記の培地Aとからなる。培地Bの組成は以下の表に記載する。
【0096】
【表4】

【0097】
200μlの培地4中、ウェル当たり10000細胞の割合で、NHMを96ウェルマイクロプレート(Falcon, Franklin Lakes, NJ, USA)に接種する。
【0098】
試験するオリゴヌクレオチドを、それぞれ10nM、100nM、250nM、500nMおよび1μMの濃度で、研究培地中でその場で調製する。種々のオリゴヌクレオチドでの処理は、7日間毎日行う。各濃度について、3回のアッセイを実施する。
【0099】
ドーパオキシダーゼ活性についての反応速度の測定
7日間にわたって分けられたこれらの処理の終わりに、チロシナーゼすなわち「ドーパオキシダーゼ」活性を測定する。
【0100】
細胞をPBSですすぎ、次いで、PBS(Gibco, 14190-094)中の溶解緩衝剤(0.5% Triton X100(Sigma, T-9284))50μlをウェルに加え、プレートを4℃で1時間振盪する。各ウェルに50μlの基質(10mM L−DOPA、Sigma)を加えることによって、反応を開始させる。光学濃度読み取り器であるマイクロプレート読み取り器340 ATTC(SLT-Labinstrument, Grodig/Salzburg, Austria)を用い、一定に振盪しつつ、37℃で1時間、2分毎に450nmで、ドーパクロムの発現を測定する。反応速度を計算し、10-4OD単位/分として表す。
【0101】
オリゴヌクレオチドで処理した培養物について、およびコントロール(処理していない)培養物について、得られた結果を表2(σ:標準偏差)に与える。
【0102】
【表5】

【0103】
【表6】

【0104】
【表7】

【0105】
本発明のオリゴヌクレオチド(配列番号1〜配列番号11)でメラノサイト培養物を処理することにより、ドーパオキシダーゼ活性についての反応速度の減少が導かれることが、表2にある結果から明確に分かる。この減少は、配列番号1〜配列番号6のオリゴヌクレオチドについて特に明確である。
【0106】
一方、配列番号2のオリゴヌクレオチドに関しての比較のために試験したオリゴヌクレオチド、すなわち配列番号12の「センスコントロール」および配列番号13の「スクランブルコントロール」について、ドーパオキシダーゼ活性についての反応速度の増加は、試験した各濃度で顕著である。例えば、100nMの濃度では、「センスコントロール」および「スクランブルコントロール」について、反応速度はそれぞれ2.2%および11.7%増加し、一方、本発明による配列番号2のアンチセンスオリゴヌクレオチドの場合は28.8%減少する。
【0107】
本発明のオリゴヌクレオチド(これはドーパオキシダーゼ活性についての反応速度を減少させる)の活性は、チロシナーゼをコードするかまたはTRP−1をコードする標的メッセンジャーRNAとの、該オリゴヌクレオチドの特異的ハイブリダイゼーションに起因することが、後者の観察から推定することができる。
【0108】
結果として、このオリゴヌクレオチド/mRNA相互作用は、標的化メッセンジャーRNAによって行われる情報の翻訳を妨げ、それ故、使用するアンチセンス配列に応じてチロシナーゼまたはTRP−1の細胞内発現の減少を導く。言い換えれば、この相互作用は、チロシナーゼまたはTRP−1の新合成(neosynthesis)を減少させる。これらの酵素の天然の再生ゆえに、これは、細胞中のチロシナーゼおよびTRP−1の量の減少、およびその結果としてメラニンの合成と一致したこれらの酵素の活性の減少を導く。実際、本発明のオリゴヌクレオチドは、メラノサイト中に既に存在するチロシナーゼに作用する代わりに、チロシナーゼおよびTRP−1の再生を減少させることによって作用する。
【0109】
メラノサイトに対するこの作用の結果は、これらの細胞のメラニンを合成する能力が減少し、それ故場合および関係する個体に応じて、漂白または脱色効果が生み出されることである。
【0110】
実施例3:ムラートの成人ドナー由来の正常ヒトメラノサイトに対する、本発明のオリゴヌクレオチドの脱色効果
ここで使用するメラノサイトは、ムラートの成人ドナーの大腿由来の皮膚から得る。皮膚断片をPBS(Gibco, Paisley, GB)でリンスし、次いでPBS中50%まで希釈した70%エタノール(V/V)で洗浄する。PBSによる洗浄後、コーンカッターを使用して皮膚断片をこする。得られる小片を0.05%トリプシン(Difco Laboratories, WestMolesy, GB)中で37℃1時間こすり、解離させる。次いで、表皮を、ウシ胎仔血清(FCS, Gibco, Paisley, GB)を10%含むE−199培地(Gibco, Paisley, GB)中に回収する。ホモジナイズし、表面に浮遊する角質層断片を除去した後、細胞懸濁物をろ過し、次いで遠心分離する。得られる細胞ペレットを実施例2に記載した培地1中にとる。細胞をカウントし、トリパンブルー排除アッセイを用いて、Thoma細胞において細胞生存度を測定する。表皮細胞を、80000細胞/cm2の割合で、フラスコ中の培地1に最終的に接種する。湿気を飽和させCO2を5%含む雰囲気で、37℃で細胞を維持する。
【0111】
培地1を培地6と交換する。培地6の組成は下記の表に明記する。表中、B−FGFは塩基性線維芽細胞成長因子を示し、PdBuはホルボール12,13−ジブチラートを示す。
【0112】
【表8】

【0113】
この培地を1〜2週間、48時間ごとに新しくする。
【0114】
このメラノサイトの選択の後、培地6を培地7に換えることによって、NHM増殖を促す。
【0115】
培地7は、培地C(10%)と上述した培地A(90%)からなり、PdBu(Sigma,
P-1269)を補充する(培地中での最終濃度は0.25μg/ml)。
【0116】
【表9】

【0117】
この段階では、得られる細胞集団は純粋なものである。それはNHMのみからなる。
【0118】
NHMを、培地6中、96ウェルマイクロプレート(Falcon, Franklin Lakes, NJ, USA)に接種する。24時間後、培地を培地8と交換する(これをこの研究の最後まで使用する)。培地8の組成を以下に記載する。
【0119】
【表10】

【0120】
オリゴヌクレオチド(配列番号2)を50nM、100nM、250nM、500nMおよび1μMの濃度で、研究培地に即座に加える。この処理を7日間毎日行う。各濃度について、6回のアッセイを行う。
【0121】
ドーパオキシダーゼ活性の反応速度の測定
7日間に分けたこれらの処理の終わりに、ドーパオキシダーゼ活性を測定する。これらの測定は実施例2と同じ方法で行う。反応速度を計算し、10-4OD単位/分として表す。
【0122】
オリゴヌクレオチド(配列番号2)で処理した培養物および未処理コントロール培養物について得られる結果を表3に示す(σ:標準偏差)。
【0123】
【表11】

【0124】
上記結果により、極めて低いオリゴヌクレオチド濃度(100nM)以上で、ドーパオキシダーゼ活性の反応速度は極めてかなり減少することが観察される。
【0125】
従って、実施例2の結論で既に説明したように、本発明のオリゴヌクレオチドは、メラノサイトがメラニンを合成する能力を減少させる。本アッセイにおいて、この減少が関係者の遺伝的性質とは関係がないことが示される。
【0126】
本実施例では、浅黒い肌の色に相当する基本的な色素沈着を有するムラートのドナーを含んでいるので、本発明のオリゴヌクレオチドの使用は、漂白効果、すなわち皮膚の色を明るくすることを導くだろう。
【0127】
実施例4:本発明のオリゴヌクレオチドによる、正常ヒトメラノサイトにおけるUV誘導メラニン形成の阻害の研究
上記実施例の結果に引き続き、本アッセイの目的は、メラノサイトを刺激により(この場合、UVB紫外線照射(280〜320nm)により)活性化した場合、本発明のオリゴヌクレオチドもまた活性であるかどうかを確認することである。換言すれば、オリゴヌクレオチドが、メラニン形成の刺激とは無関係に、メラノサイトのドーパオキシダーゼ活性を減少させる能力を評価することを含んでいる。
【0128】
この趣旨で、本アッセイは、コーカソイド系の成人ドナー由来のメラノサイトに関する。ここで使用するメラノサイトは、乳房形成術由来の皮膚から得る。これらのメラノサイトを得る技術は、実施例3で使用し記載したものと同じである。
【0129】
実験は35mmディッシュで行う。メラノサイトを35mmディッシュ(Falcon, Flanklin Lakes, NJ. USA)に、1ディッシュあたり、250000細胞および培地8(2ml)の割合で接種する。培地8の組成は実施例3に記載する。オリゴヌクレオチド(配列番号2)、また8mJ/cm2のUVB照射(Bio-Energie, Vilbert-Lourmat, Marne-la-Vallee, France)による処理を接種後24時間後に始める。
【0130】
各UVB照射の前に、NHMをPBS(2ml/ディッシュ)中に置く。照射後、オリゴヌクレオチド(配列番号2)を含むかもしれないし、含まないかもしれない培地8(2ml)中に細胞を再び置く。
【0131】
オリゴヌクレオチド(配列番号2)を研究培地(実施例3の培地7)に、100nM、250nMおよび500nMの濃度で即座に加える。
【0132】
オリゴヌクレオチドによるこれらの処理を9日間毎日行う。照射は、5日目と6日目以外は毎日行う。各濃度について、3回のアッセイを行う。
【0133】
ドーパオキシダーゼ活性の反応速度の測定
これらの処理(すなわちオリゴヌクレオチドでの9日間の処理と7回の照射)の終わりに、ドーパオキシダーゼ活性を測定する。
【0134】
この趣旨で、NHMを500μlの0.1%トリプシン−0.05%EDTAを用いて35mmディッシュから引き離し、フェノールレッド(Gibco)を含まず10%のウシ胎仔血清を補充したE−199培地(1.5ml)にとる。この細胞懸濁物のアリコート部分を細胞の計測に使用し、その他は遠心分離し、得られるメラノサイトのペレットを50μlの溶解緩衝液に取り出して、実施例2に記載したようにドーパオキシダーゼの反応速度を測定する。
【0135】
ドーパオキシダーゼ活性の反応速度を計算し、10-4OD単位/分/106NHMとして表す。得られる結果を表4に示す(σ:標準偏差)。
【0136】
【表12】

【0137】
上記結果は本発明のオリゴヌクレオチドが、UVB照射の影響下刺激を受けたメラノサイトの場合、ドーパオキシダーゼ活性の反応速度を、極めてかなり減少させることを明確に示している。
【0138】
従って、本発明のオリゴヌクレオチドは、先の実施例で示されたような、基底の活性状態にあるメラノサイトがメラニンを合成する能力を減少させるだけでなく、活性化状態にあるメラノサイトのこの能力も減少させる。それ故、これらのオリゴヌクレオチドはまた、特に日光に存在する紫外線照射により誘発される色素沈着を予防または軽減するために使用され得る。
【0139】
実施例5:顔の肌の色を明るくするためのパウダー
マイクロセルロース 20.00%
ラウリルスルホ酢酸ナトリウム 15.00%
オリゴヌクレオチド(配列番号5)(ホスホジエステル) 1.00%
香料、着色料、保存剤 適量
タルク 適量で100%
【0140】
このパウダーは2つの作用を有する。それは、皮膚の汚れを落とすことを可能にし、さらに、数日間定期的に使用した場合、それは、肌の色を明るくすることを可能にする。それは、顔の皮膚に1日1〜2回適用され得る。
【0141】
実施例6:顔用脱色デイエマルションゲル
グリセロール 5.00%
カプリル酸/カプリン酸/コハク酸トリグリセリド 5.00%
メトキシケイヒ酸オクチル 1.00%
ジメチコンコポリオール 0.50%
アクリレート/C10−C30アルキルアクリレートクロスポリマー 0.50%
オリゴヌクレオチド(配列番号3)(ホスホジエステル) 0.01%
中和剤 適量
保存剤、香料、着色料 適量
水 適量で100%
【0142】
多かれ少なかれ日光からまたは直接太陽光からさえ激しい照射に曝されているいくらかの個人は、明るい肌の色を維持し、色素性の斑点の出現をさけたいと思っている。上記エマルションゲルの使用は、この目的を達成することを可能とするだろう。この組成物は通常朝、顔に適用する。それは、顔の色素沈着に対して、予防的および治癒的の両方で作用する(それは等しいかもしれないし等しくないかもしれない)。
【0143】
実施例7:色素斑点を予防するためのSPF30保護液
揮発性ペンタシクロメチコン 49.00%
二酸化チタン 15.00%
メトキシケイヒ酸オクチル 7.50%
グリセロール 5.00%
フェニルトリメチコン 5.00%
ジメチコンコポリオール 3.00%
ポリメチルメタクリレート 2.50%
ブチルメトキシジベンゾイルメタン 1.00%
オリゴヌクレオチド(配列番号2)(ホスホジエステル) 0.1%
中和剤、香料、保存料、抗酸化剤 適量
水 適量で100%
【0144】
この組成物は、色素斑点の出現を、この現象が起こりやすい個体において、予防するために、太陽からの激しい照射に曝される前に、使用されるものである。高濃度の日焼け止めの存在が、メラニンレベルの低下の結果である生来の保護の減少を補填することを可能とすることに留意すべきである。
【0145】
実施例8:脱色フェイスクリーム
グリセリルステアレート+Peg−100ステアレート 5.00%
硬化ポリイソブテン 4.00%
マグネシウムアスコルビルホスフェート 3.30%
トリカプリル酸/カプリン酸グリセリル 3.00%
スクアレン 3.00%
グリセロール 2.00%
ミツロウ 1.50%
セテアリルオクタノエート 1.50%
セチルアルコール 1.00%
ステアリルアルコール 1.00%
ジメチコン 1.00%
キサンタンガム 0.30%
エチレンジアミンテトラ酢酸 0.20%
クエン酸 0.10%
クエン酸ナトリウム 0.10%
オリゴヌクレオチド(配列番号6)(ホスホジエステル) 0.10%
中和剤、香料、保存剤 適量
水 適量で100%
【0146】
このクリームの使用は、老年性色素斑点または光線性色素斑点を軽減するかまたは除去することによって、皮膚の色素沈着の不規則性を処置することを可能とする。それは、皮膚の色を均一にし、肌の色を明るくする。
【0147】
実施例9:肌の色を明るくするためのフェイスローション
エチルアルコール 30.00%
PPG−3ミリスチルエーテル 5.00%
グリセロール 2.00%
カルボマー 0.20%
ポリソルベート20 0.20%
オリゴヌクレオチド(配列番号4)(ホスホロチオエート) 0.01%
中和剤、香料、保存剤 適量
水 適量で100%
【0148】
この肌の色を明るくするためのローションは、化粧を落とし、肌の汚れを落とした後に、使用される。
【0149】
実施例10:肌の色を明るくするためのフェイスセラム
【0150】
【表13】

【0151】
この非常に濃縮されたセラム組成物1滴を、通常フェイスクリームの塗布前に顔に適用する。このセラムは、肌の色を明るくすることを達成するかまたは維持するために、1〜2週間の処置として通常は使用される。
【0152】
実施例11:頭髪を明るくするためのヘアローション
水 適量で100%
アルコール 50%
パンテニルエチルエーテル 0.5%
酢酸DL−α−トコフェロール 0.2%
ポリソルベート60 1%
オリゴヌクレオチド(配列番号1)(ホスホロチオエート) 0.01%
香料 0.2%
グリセロール 0.5%
着色料 適量
【0153】
このローションは、頭髪を徐々に明るくするために必要な期間、朝晩、髪に適用する。この期間は通常数週である。
【0154】
実施例12:ハンドクリーム(抗斑点ゲルクリーム)
カプリル酸/カプリン酸ジグリセリルスクシネート 6%
オクチルオクタノエート 2.5%
メトキシケイヒ酸オクチル 6%
オリゴヌクレオチド(配列番号5)(ホスホジエステル) 0.001%
フェニルトリメチコン 2.5%
ベンゾフェノン−3 0.5%
ヒアルロン酸ナトリウム 0.05%
キサンタンガム 0.2%
アクリレート/C10−C30アルキルアクリレートコポリマー 0.5%
グリセロール 2%
PEG150 3%
中和剤、着色剤、香料、保存剤 適量
精製水 適量で100%
【0155】
このクリームは、手の老年性色素斑点(老年性黒子)に、その着色を軽減するため、直接適用すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メラニン合成経路に含まれる必須酵素の1つをコードする遺伝子または遺伝子産物とハイブリダイズできる、18〜25のクレオチド数を含むオリゴヌクレオチドであって、該酵素がチロシナーゼ関連タンパク質1(TRP−1)であり、且つ該オリゴヌクレオチドが配列番号1〜配列番号5及び配列番号11のいずれか1つと少なくとも80%に等しい相補性の程度を有することを特徴とするオリゴヌクレオチド。
【請求項2】
20ヌクレオチドからなることを特徴とする請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
配列が、以下:
【化1】


で示される配列番号1〜5または配列番号11の配列の1つである、請求項2に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
オリゴヌクレオチドの糖成分、ヌクレオベース成分、またはヌクレオチド間骨格への1つ以上の化学修飾を含むオリゴヌクレオチドであって、該修飾が、生体利用性の増大、標的核酸へのアフィニティの増大、細胞内部取り込みの増大、またはより良好な生物学的安定性もしくは細胞ヌクレアーゼの存在下の安定性の増大を付与する、請求項1〜3のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項5】
オリゴヌクレオチドの糖成分が2’−O−フルオロまたは2’−O−アルキル置換基を含むことを特徴とする請求項4に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項6】
オリゴヌクレオチドの糖成分が2’−O−エチルオキシメチルまたは2’−O−メチル置換基を含むことを特徴とする請求項5に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項7】
オリゴヌクレオチドのヌクレオチド間骨格のホスホジエステル基の幾つかが、ホスホロチオエート基で置き換えられていることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項8】
オリゴヌクレオチドのヌクレオチド間骨格のホスホジエステル基の幾つかが、メチル・ホスホネート基で置き換えられていることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項9】
ホスホジエステル基の全てがホスホロチオエート基で置き換えられていることを特徴とする請求項8に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項10】
ホスホジエステル基の全てがメチル・ホスホネート基で置き換えられていることを特徴とする請求項9に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項11】
ホスホジエステル基が完全に、または部分的に、ホスホロチオエート基および/またはメチル・ホスホネート基で置き換えられていることを特徴とする請求項7または8に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項12】
オリゴヌクレオチド上に、核酸型もしくはペプチド型の線形投与ベクターまたはプラスミド型の環状投与ベクターが接ぎ木された、請求項1〜11のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む医薬品。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれかに記載の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドと、化粧用に許容され得る媒質を含む化粧用組成物。
【請求項15】
ヒト皮膚、体毛、または頭髪の脱色または漂白のための、請求項14に記載の化粧用組成物。
【請求項16】
請求項1〜12のいずれかに記載の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドと、皮膚病用に許容され得る媒質を含む、メラニン合成の阻害に使用するための皮膚病用組成物。
【請求項17】
メラノサイト活動過剰による局所性色素過剰症、良性メラノサイト活動過剰と増殖による局所性色素過剰症、偶発性色素過剰症、またはある種の白斑症の治療または予防のための、請求項16に記載の皮膚病用組成物。
【請求項18】
特発性黒皮症、老年性色素斑点(老年性黒子)、光感受性もしくは瘢痕性色素過剰症、又は白斑の治療または予防のための、請求項17に記載の皮膚病用組成物。
【請求項19】
エラグ酸とその誘導体;レゾルシノールとその誘導体;ビタミンCとその誘導体;パントテネート・スルホネートとその誘導体;アルファ−メラノサイト−刺激ホルモン(α−MSH)もしくはそのレセプターまたは副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を、直接的または間接的に妨害する分子;グリセロール、グリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択されるポリオール;ビタミン;サリチル酸とその誘導体からなる群から選択される角質溶解剤または落屑剤;単独または接ぎ木された、乳酸またはリンゴ酸からなる群から選択されるα−ヒドロキシ酸;アスコルビン酸とその誘導体;レチノイン酸;レチンアルデヒド;レチノールと、パルミテート、プロピオネートおよびアセテートからなる群から選択されるその誘導体;トコフェロールとその誘導体、チオタウリン、ハイポタウリン、アミノグアニジン、チアミン・ピロホスフェート、ピリドキサミン、リシン、ヒスチジン、アルギニン、フェニルアラニン、ピリドキシおよびアデノシン・トリホスフェートからなる群から選択される、単独で、または組み合わせての抗グリケーション剤または抗酸化剤;グリチルレチン酸ステアリルからなる群から選択される抗炎症剤;無痛化剤とその混合物、微粉状酸化亜鉛、酸化チタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタンおよびメトキシケイヒ酸オクチルからなる群から選択される化学的または物理的日焼け止め;並びにデオキシリボ核酸または核酸から選択される1つ以上の活性剤を含む、請求項14〜18のいずれかに記載の化粧用または皮膚病用組成物。
【請求項20】
レチノールと、パルミテート、プロピオネートおよびアセテートからなる群から選択されるその誘導体が、リポソーム調製物中であることを特徴とする請求項19に記載の化粧用または皮膚病用組成物。
【請求項21】
オリゴヌクレオチドが、全組成物の0.00001〜10重量%に相当することを特徴とする請求項14〜20のいずれかに記載の化粧用または皮膚病用組成物。
【請求項22】
オリゴヌクレオチドが、全組成物の0.0003〜3重量%に相当することを特徴とする請求項21に記載の化粧用または皮膚病用組成物。
【請求項23】
局所適用のために通常使用される形態で提供されることを特徴とする請求項14〜22のいずれかに記載の化粧用または皮膚病用組成物。
【請求項24】
水性、水性−アルコールもしくは油性溶液の形態で、水中油型、油中水型もしくはマルチプルエマルションの形態で、水性ゲルもしくは油性ゲルの形態で、液体産物、ペースト産物もしくは固体無水産物の形態で、水相もしくは油相中の重合粒子の分散の形態で、またはイオン性もしくは非イオン性型の液体ベシクルの分散の形態で提供されることを特徴とする請求項23に記載の化粧用または皮膚病用組成物。
【請求項25】
重合粒子がナノ球体又はナノカプセルである、請求項24に記載の化粧用または皮膚病用組成物。
【請求項26】
エラグ酸とその誘導体;ヒドロキノン;アルブチン;レゾルシノールとその誘導体;ビタミンCとその誘導体;パントテネート・スルホネートとその誘導体;麹酸;胎盤エキス;アルファ−メラノサイト−刺激ホルモン(α−MSH)もしくはそのレセプターまたは副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を、直接的または間接的に妨害する分子;グリセロール、グリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択されるポリオール;ビタミン;サリチル酸とその誘導体からなる群から選択される角質溶解剤または落屑剤;単独または接ぎ木された、乳酸およびリンゴ酸からなる群から選択されるα−ヒドロキシ酸;アスコルビン酸とその誘導体;レチノイン酸;レチンアルデヒド;レチノールと、パルミテート、プロピオネートおよびアセテートからなる群から選択されるその誘導体;トコフェロールとその誘導体、チオタウリン、ハイポタウリン、アミノグアニジン、チアミン・ピロホスフェート、ピリドキサミン、リシン、ヒスチジン、アルギニン、フェニルアラニン、ピリドキシンおよびアデノシン・トリホスフェートからなる群から選択される、単独で、または組み合わせての抗グリケーション剤または抗酸化剤;グリチルレチン酸ステアリルからなる群から選択される抗炎症剤;無痛化剤とその混合物、微粉状酸化亜鉛、酸化チタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタンおよびメトキシケイヒ酸オクチルからなる群から選択される化学的または物理的日焼け止め;並びにデオキシリボ核酸または核酸から選択される1つ以上の活性剤と組み合わせて、同時に、もしくは別々に、または時間をかけた方法で投与するための、請求項14〜18及び21〜25のいずれかに記載の化粧用または皮膚病用組成物。
【請求項27】
レチノールと、パルミテート、プロピオネートおよびアセテートからなる群から選択されるその誘導体が、リポソーム調製物中であることを特徴とする請求項26に記載の化粧用または皮膚病用組成物。

【公開番号】特開2010−90145(P2010−90145A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−277485(P2009−277485)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【分割の表示】特願2007−210519(P2007−210519)の分割
【原出願日】平成13年2月9日(2001.2.9)
【出願人】(302071210)
【Fターム(参考)】