説明

方向性を有する貴金属単結晶ナノワイヤ及びその製造方法

【課題】本発明は、貴金属酸化物、貴金属またはハロゲン化貴金属を前駆物質として用いて単結晶基板の表面に対して方向性を有する貴金属ナノワイヤ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】反応炉の前端部に配置した前駆物質と、反応炉の後端部に配置した半導体または不導体単結晶基板を、不活性ガスが流れる雰囲気下で熱処理して前記単結晶基板の表面に垂直または水平に成長する貴金属単結晶ナノワイヤ及びその製造方法。本発明は、触媒を使用しない気相輸送法を利用して貴金属ナノワイヤを製造することができ、その工程が簡単でかつ再現性があり、大量生産に適するメリットがある。製造されたナノワイヤは、欠陥や不純物を包含しない完璧な単結晶状態の高純度かつ高品質の貴金属ナノワイヤである。貴金属ナノワイヤは、単結晶基板の表面に対して特定の方向性を有し、その方向性及び配列を制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貴金属酸化物、貴金属またはハロゲン化貴金属を前駆物質として気相輸送法を利用する単結晶基板の表面に対して方向性を有する貴金属ナノワイヤ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に貴金属単結晶ナノワイヤは、その化学的安定性が高く、熱伝導度及び電気伝導度が大きいため、電気、磁気、光学素子及びセンサーへの利用価値が高い。
【0003】
例えば、Auは高い電気及び熱伝導率を有し、Auの光学的特性によって可視光線の領域において高いSERS(表面増強ラマン散乱)効率を示している。このようなAuをナノワイヤの形態に製造する場合、マイクロ電子素子を始めとして光学センサーに至るまで多くの応用分野の発展を期待することができる。殊に、SERSの場合、信号のサイズはAuナノ構造の精密な形態に大きく依存するため、正確な化学またはバイオセンサーを作製するためには、清浄な表面を有するナノワイヤを製造する技術が最も重要である。
【0004】
一般的に、金属ナノ構造体は、SAM(Self−assembled Monolayer)を利用して表面に分子を吸着させることができるので、これを利用してAuナノ構造体の表面に均一に吸着された分子層を形成することができる。Au単結晶ナノワイヤとSAMを利用した分子のSERS現象を観察し、SAMを形成する分子をリンカーとして利用することにより、選択的な生体分子分析及び光素子への活用性が期待される。
【0005】
さらに、例えば、Pdの場合は、センサーへの活用に対して注目されている。
【0006】
しかし、多様でかつ精密なガスセンサーの開発は、科学技術の発展とともに高い精密度が要求される作業分野において未だ重大な課題として残されている。
【0007】
また、感知能力に優れたセンサーの開発は、国内は勿論、先進外国においても低いレベルの状態である。特に、燃料電池の開発とともに、これを商用化する時に発生すると予想される水素の漏洩と、これを感知することができる高感度の燃料電池用水素ガスセンサーの開発は、次世代クリーンエネルギーとして使用される燃料電池の研究と並行されなければならない課題でもある。
【0008】
また、このような水素センサーの開発ほど重要視されていることが、センサーの素材として使われる物質の開発である。その中でも、最も注目を受けている物質の1つがPd金属であって、水素に強い吸着力を示し、自体体積の900倍程度の水素を吸収することのできる金属であるPdをナノワイヤに組み込んで高感度センサーへの応用に対する研究が多様に進行されている。
【0009】
上述のように、貴金属ナノワイヤの電気、磁気または光学素子、センサーなどへの活用価値が非常に高いが、触媒を使用しない気相で貴金属ナノワイヤを合成したとする報告は未だない。既存の貴金属ナノワイヤの合成法は、モールド、界面活性剤、キャッピング剤(capping agent)を利用する液相化学合成法が大部分であり、やはり触媒なしに気相で貴金属ナノワイヤが製造された結果は現在まで報告されたことがない。
【0010】
なお、前記液相化学合成法は、貴金属ナノワイヤの形相調節が難しく、製造された貴金属ナノワイヤの純度が劣るとともに、ナノワイヤに欠陥が存在するか、多結晶体のナノワイヤに合成されるなどの問題がある。さらに、その製造方法が気相合成法に比べて複雑であるため大量生産に適しない問題がある。
【0011】
殊に、素子のサイズを縮少することによって素子の性能を向上させるという技術的課題は、ナノワイヤの合成と特性に関する基礎的研究の必要性を提起する。このようなナノワイヤは、通常、ボトムアップ方式の合成法によって作製されるが、このような合成法の特性上、ナノワイヤは一定秩序の無い位置と方向に成長することになる。このように無秩序に成長されたナノワイヤは、ナノワイヤの実質的な応用を阻害する障害要素として作用するので、大面積の素子を具現化するためには、ナノワイヤの位置と方向に対する精密な制御を可能にする工程が先行しなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述のような従来の問題点を解決するために本発明は、触媒を使用しない気相輸送法を利用して基板に対して方向性を有する高純度、高品質の貴金属単結晶ナノワイヤ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明の他の目的は、本発明の貴金属単結晶ナノワイヤが具備された素子またはセンサーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、大量生産に適するとともに、高品質、高純度の貴金属ナノワイヤの製造方法を提案しているが、これをさらに発展させて貴金属ナノワイヤの成長に対する精密な制御を通じてナノワイヤの位置と方向を調節することのできる製造方法を発見するに至った。これにより、基板上に整列される方向性が調節された貴金属ナノワイヤを通じて3次元素子を具現化することができる基礎を提供することができる。
【0015】
また、垂直成長した貴金属ナノワイヤにCo、Fe、Mnなどの遷移金属を微量にドーピングする場合、強磁性の特性を示すことが知られている。したがって、本発明の垂直成長合成法は、3次元メモリの作製において非常に重要な基礎技術を提供する。
【0016】
本発明の貴金属単結晶ナノワイヤは、貴金属酸化物、貴金属またはハロゲン化貴金属(noble metal halide)を含有する前駆物質を用いて、無触媒の条件下で製造される半導体または不導体(絶縁性)単結晶基板の表面に対して方向性を有することに特徴がある。
【0017】
前記方向性は、基板の表面と基板の上部に製造されるナノワイヤの長軸との方向を意味し、特徴的に基板の表面に対して垂直または水平の方向性を有する。
【0018】
前記貴金属単結晶ナノワイヤは、反応炉の前端部に配置した前記前駆物質と、反応炉の後端部に配置した前記単結晶基板を不活性ガスが流れる雰囲気下で、一定圧力で熱処理することにより製造される。ここで前記の方向性は、前記前駆物質の種類、前記単結晶基板の種類、前記単結晶基板の表面方向、前記熱処理の温度、前記不活性ガスの流量、前記の圧力またはこれらの調節によって制御される。
【0019】
基板に対して特定の方向性を有する貴金属ナノワイヤは、好ましくは、前駆物質が1000〜1200℃に維持されるとともに、前記単結晶基板は、800〜1100℃に維持され、前記反応炉の前端部(前駆物質)から前記反応炉の後端部(単結晶基板)の方に前記不活性ガスを50〜200sccmで流し、前記熱処理は3〜20torrの圧力で行うことによって製造される。
【0020】
このとき、前記前駆物質は、貴金属酸化物、貴金属またはハロゲン化貴金属が使用可能であり、これを利用して貴金属単結晶ナノワイヤを製造することができる。前記貴金属酸化物は、酸化金、酸化銀、酸化パラジウム、酸化白金、酸化イリジウム、酸化オスミウム、酸化ロジウムまたは酸化ルテニウムを使用することができる。前記の貴金属酸化物を利用して金、銀、パラジウム、白金、イリジウム、オスミウム、ロジウムまたはルテニウム単結晶ナノワイヤを製造することができる。前記貴金属は、金、銀、パラジウム、白金、イリジウム、オスミウム、ロジウム、またはルテニウムを使用することができ、前記ハロゲン化貴金属は、フルオロ化貴金属、塩化貴金属、臭化貴金属またはヨウ化貴金属から選択されることが好ましく、より好ましくは、塩化貴金属、臭化貴金属またはヨウ化貴金属から選択することができ、最も好ましくは、塩化貴金属である。前記ハロゲン化貴金属の貴金属は、金、銀、パラジウム、白金、イリジウム、オスミウム、ロジウムまたはルテニウムから選択されることができ、前記ハロゲン化貴金属はハロゲン化貴金属水化物を包含する。
前記前駆物質は、貴金属酸化物または貴金属であることが好ましい。
【0021】
前記貴金属酸化物は、酸化金または酸化パラジウムから選択され、前記貴金属は、金またはパラジウムから選択され、前記ハロゲン化貴金属は、ハロゲン化金またはハロゲン化パラジウムから選択されることが好ましい。
【0022】
前記貴金属単結晶ナノワイヤは、貴金属バルクと同一の結晶構造を有する特徴があり、高純度かつ高結晶性を有し、基板に多数の貴金属ナノワイヤがランダムでない特定の配列で形成されることに特徴がある。
【0023】
また、前記貴金属単結晶ナノワイヤは、前記単結晶基板の表面に対して垂直に成長する垂直方向性を有する特徴がある。
【0024】
前記垂直方向性を有する貴金属単結晶ナノワイヤは、貴金属バルクと同一の結晶構造を有し、ファセット面形状の特徴がある。このとき、前記ファセット面形状は、結晶を構成する全ての面に表面が構成されていないことを意味し、貴金属ナノワイヤの短軸または長軸を包含する特定断面の外周上において接線の傾きが不連続的に変化することを意味する。
【0025】
前記垂直成長した貴金属単結晶ナノワイヤは、Au単結晶ナノワイヤであり、前記Au単結晶ナノワイヤは、面心立方構造(Face Centered Cubic Structure)である特徴がある。また、前記Au単結晶ナノワイヤは、ファセット面形状である特徴があり、Au単結晶ナノワイヤの長軸断面の外周上において接線の傾きが不連続的に変わる特徴がある。前記Au単結晶ナノワイヤの成長方向は、<110>である特徴があり、これによって基板の表面に対してAu単結晶ナノワイヤの<110>が垂直である方向性を有する。好ましくは、サファイア単結晶基板の{0001}表面に対する前記Au単結晶ナノワイヤの<110>方向が垂直である特徴がある。
【0026】
前記垂直成長した貴金属単結晶ナノワイヤは、Pd単結晶ナノワイヤであり、前記Pd単結晶ナノワイヤは、面心立方構造である特徴がある。また、前記Pd単結晶ナノワイヤは、ファセット面形状である特徴があり、Pd単結晶ナノワイヤの長軸断面の外周上において接線の傾きが不連続的に変わる特徴がある。前記Pd単結晶ナノワイヤの成長方向は<110>である特徴がある。好ましくは、サファイア単結晶基板の{0001}表面に対して前記Pd単結晶ナノワイヤの<110>方向が垂直である特徴がある。
【0027】
基板表面に対して垂直方向性を有する前記貴金属ナノワイヤは、前記前駆物質が1000〜1200℃に維持されるとともに、前記単結晶基板は850〜1100℃に維持され、3〜8torrの圧力下で前記反応炉の前端部から前記反応炉の後端部の方に前記不活性ガスが50〜200sccmで流れる条件下で行われることが好ましい。
【0028】
前記貴金属単結晶ナノワイヤは、前記単結晶基板の表面に対して平行に水平成長する水平の方向性を有する特徴がある。
【0029】
前記単結晶基板の表面に対して平行に水平成長した貴金属単結晶ナノワイヤは、Au単結晶ナノワイヤであり、前記Au単結晶ナノワイヤは、面心立方構造であることに特徴があり、前記単結晶基板の表面とAu単結晶ナノワイヤの{110}または{111}面が平行する特徴がある。
【0030】
好ましくは、前記単結晶基板は、{0001}表面のサファイア基板であり、前記単結晶基板の{0001}面に対して前記Au単結晶ナノワイヤの{110}面が平行する方向性を有する。
【0031】
好ましくは、前記単結晶基板は、{11−20}表面のサファイア基板であり、前記単結晶基板の{11−20}面に対して前記Au単結晶ナノワイヤの{111}面が平行する方向性を有する。
【0032】
前記単結晶基板の表面と平行して水平成長した貴金属単結晶ナノワイヤは、Pd単結晶ナノワイヤであり、前記Pd単結晶ナノワイヤは、面心立方構造である特徴がある。このとき、Pd単結晶ナノワイヤが製造される前記単結晶基板は{0001}表面のサファイア基板であることが好ましい。
【0033】
基板表面に対して水平の方向性を有する前記貴金属ナノワイヤは、前記前駆物質が1000〜1200℃に維持されるとともに、前記単結晶基板は800〜950℃に維持され、15〜20torrの圧力下で前記反応炉の前端部から前記反応炉の後端部の方に前記不活性ガスが50〜200sccmで流れる条件下で行われることが好ましい。
【0034】
本発明における前記単結晶基板は、4族単結晶基板、3−5族単結晶基板、2−6族単結晶基板、4−6族単結晶基板、サファイア単結晶基板、酸化ケイ素単結晶基板、及びこれらの積層基板であり、好ましくは、サファイア単結晶基板である。
【0035】
本発明による貴金属単結晶ナノワイヤの製造方法は、反応炉の前端部に配置した貴金属酸化物、貴金属またはハロゲン化貴金属を包含する前駆物質と、反応炉の後端部に配置した半導体または不導体単結晶基板を、不活性ガスが流れる雰囲気下、一定の圧力で熱処理することにより前記単結晶基板の表面に対して方向性を有する貴金属単結晶ナノワイヤが製造される特徴を有する。
【0036】
前記の方向性とは、基板の表面と、基板の上部にて製造されるナノワイヤの長軸との方向を意味し、前記貴金属単結晶ナノワイヤの長軸が前記単結晶基板の表面に対して垂直または水平の方向性を有する特徴がある。
【0037】
本発明による製造方法において、前記方向性は、前記前駆物質の種類、前記単結晶基板の種類、前記単結晶基板の表面方向、前記熱処理の条件、前記不活性ガスの流量、前記圧力またはこれらの組合せによって調節される特徴がある。
【0038】
このとき、前記前駆物質は、貴金属酸化物、貴金属またはハロゲン化貴金属を使用することができ、これを利用して貴金属単結晶ナノワイヤを製造することができる。前記貴金属酸化物は、酸化金、酸化銀、酸化パラジウム、酸化白金、酸化イリジウム、酸化オスミウム、酸化ロジウムまたは酸化ルテニウムを使用することができ、前記の貴金属酸化物を利用して、金、銀、パラジウム、白金、イリジウム、オスミウム、ロジウムまたはルテニウム単結晶ナノワイヤを製造することができる。前記貴金属は、金、銀、パラジウム、白金、イリジウム、オスミウム、ロジウムまたはルテニウムを使用することができ、前記ハロゲン化貴金属は、フルオロ化貴金属、塩化貴金属、臭化貴金属またはヨウ化貴金属から選択されることが好ましく、より好ましくは、塩化貴金属、臭化貴金属、またはヨウ化貴金属から選択されることが好ましく、最も好ましくは、塩化貴金属である。前記ハロゲン化貴金属の貴金属は、金、銀、パラジウム、白金、イリジウム、オスミウム、ロジウム、またはルテニウムから選択されるものであり、前記ハロゲン化貴金属は、ハロゲン化貴金属水化物を包含する。
前記前駆物質は、貴金属酸化物または貴金属であることが好ましい。
【0039】
前記貴金属酸化物は、酸化金または酸化パラジウムから選択され、前記貴金属は、金またはパラジウムから選択され、前記ハロゲン化貴金属は、ハロゲン化金またはハロゲン化パラジウムから選択されることが好ましい。
【0040】
前記単結晶基板は、4族単結晶基板、3−5族単結晶基板、2−6族単結晶基板、4−6族単結晶基板、サファイア単結晶基板、酸化ケイ素単結晶基板及びこれらの積層基板の中いずれか1つであり、サファイア単結晶基板が好ましい。
【0041】
本発明による製造方法において、前記貴金属単結晶ナノワイヤが前記単結晶基板の表面に対して垂直に成長する特徴があり、このとき、前記前駆物質は1000〜1200℃に維持されるとともに、前記単結晶基板は850〜1100℃に維持されることが好ましく、前記反応炉の前端部から前記反応炉の後端部の方に不活性ガスを50〜200sccmで流す条件下にすることが好ましく、前記熱処理は3〜8torrの圧力下で行われることが好ましい。垂直成長する貴金属単結晶ナノワイヤが製造される前記単結晶基板は、{0001}面のサファイア単結晶基板であることが好ましい。
【0042】
前記前駆物質は、酸化金または金であり、前記垂直成長した貴金属単結晶ナノワイヤは、Au単結晶ナノワイヤであることを特徴とする。
【0043】
また、前記前駆物質は、酸化パラジウムまたはパラジウムであり、前記垂直成長する貴金属単結晶ナノワイヤは、Pd単結晶ナノワイヤであることを特徴とする。
【0044】
本発明による製造方法において、前記貴金属単結晶ナノワイヤが前記単結晶基板の表面に対して平行に水平成長する特徴があり、このとき、前記前駆物質は1000〜1200℃に維持されるとともに、前記単結晶基板は800〜950℃に維持されることが好ましく、前記反応炉の前端部から前記反応炉の後端部の方に前記不活性ガスを50〜200sccmで流す条件下にすることが好ましく、前記熱処理は15〜20torrの圧力下で行うことが好ましい。
【0045】
水平成長する貴金属単結晶ナノワイヤが製造される前記単結晶基板は、サファイア単結晶であることが好ましく、前記サファイア単結晶基板の表面は{0001}面または{11−20}面であることを特徴とする。
【0046】
前記前駆物質は、酸化金または金であり、前記水平成長する貴金属単結晶ナノワイヤは、Au単結晶ナノワイヤであることを特徴とする。
また、前記前駆物質は、酸化パラジウムまたはパラジウムであり、前記水平成長する貴金属単結晶ナノワイヤは、Pd単結晶ナノワイヤであることを特徴とする。
【0047】
本発明の製造方法によって製造された貴金属単結晶ナノワイヤは、電気素子、光素子、磁気素子、メモリ素子またはMEMS構造体に具備される特徴がある。
本発明の貴金属単結晶ナノワイヤは、電気素子、光素子、磁気素子、メモリ素子またはMEMS構造体などに具備されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0048】
本発明の製造方法の一実施形態では、触媒を使用しない気相輸送法を利用して貴金属ナノワイヤを製造することができるので、その工程が簡単でかつ再現性があり、大量生産に適するメリットがあり、製造された貴金属ナノワイヤが、高結晶性、固形相であり、高純度の単結晶状態である貴金属ナノワイヤであることを特徴とし、単結晶基板と、製造された貴金属ナノワイヤとが特定の方向性を有する特徴がある。
【0049】
また、基板に対して特定の方向性を有するように貴金属ナノワイヤを制御することができ、かつ再現することもでき、単純な製造工程を利用して大量生産することによって貴金属ナノワイヤ自体に対する物理的、光学的、電磁気的性質を研究する契機をもたらし、さらに、金属の中、電気伝導度及び熱伝度率が良く、化学的に安定的な高純度かつ高品質のAu単結晶ナノワイヤ及びPd単結晶ナノワイヤを提供することにより、これを利用する高敏感度、高効率の電気素子、光素子、または磁気素子の活用方法を提供するとともに、殊に、基板表面に対して方向性を有する貴金属ナノワイヤを利用して3次元MEMS構造体または3次元メモリ素子の分野で効果的に活用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下、添付図面を参照して、本発明の貴金属単結晶ナノワイヤ及びその製造方法を詳細に説明する。添付図面は、本発明を実施する好適な例を挙げて当業者に本発明の思想を説明するために提供されるものである。したがって、本発明は、添付の図面に限定するものではなく、他の形態で具体化させることもできる。また、明細書の全体にかけて同一の参照符号は同一の構成要素を示すことにする。
【0051】
なお、使用される技術用語などは他の定義がない限り、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が通常的に理解している意味であり、下記の説明及び添付図面において本発明の要旨と混同される可能性のある公知機能及び構成に対する説明は省略する。
【0052】
本発明の基板に対して方向性を有する貴金属ナノワイヤの製造方法は、反応炉の前端部に配置した貴金属酸化物、貴金属またはハロゲン化貴金属を包含する前駆物質と、反応炉の後端部に配置した半導体または不導体単結晶基板を、不活性ガスが流れる雰囲気下、一定の圧力で熱処理することにより、前記単結晶基板の表面に方向性を有する貴金属単結晶ナノワイヤを形成する特徴を有する。
【0053】
より詳細には、前記熱処理によって気化された前駆物質が、前記不活性ガスの流れによって輸送されて前記単結晶基板の表面にて貴金属の核生成及び核成長を起して前記単結晶基板の表面に対して垂直または水平の方向性を有する貴金属単結晶ナノワイヤを製造する特徴を有する。
【0054】
本発明の製造方法は、触媒の使用なしに、貴金属酸化物、貴金属またはハロゲン化貴金属を前駆物質として使用するのみで、単結晶基板上に貴金属ナノワイヤを形成させる方法であって、触媒を使用することなく気相状態の物質移動経路を通じて貴金属単結晶ナノワイヤを製造するため、その工程が簡単でかつ再現性があり、不純物のない高純度のナノワイヤを製造することができるメリットがある。
【0055】
また、前記核生成及び核成長条件を制御して、基板の表面に対して垂直または水平の方向性を有しながら、互いに接触することなく互いに独立して、均一かつ特定の方向に配列される貴金属単結晶ナノワイヤを製造することができる。
【0056】
前記単結晶基板上の核生成及び成長によって生成された貴金属単結晶ナノワイヤの長軸は、前記単結晶基板の表面に対して垂直または水平の関係を保持し、このような垂直または水平の方向性は、前記前駆物質の種類、単結晶基板の種類、単結晶基板の表面方向、熱処理の条件、不活性ガスの流量、圧力またはこれらの条件を調整して制御することができる。
【0057】
より詳細には、前記反応炉の前端部(前駆物質)及び反応炉の後端部(単結晶基板)の温度をそれぞれ調節し、前記不活性ガスの流量と前記熱処理の時に利用される熱処理管内の圧力を調節して目的の貴金属単結晶の表面相及び各表面エネルギーを調節するとともに、最終的に単結晶基板の上部において貴金属の核生成駆動力、核成長駆動力、核生成速度及び核成長速度を調節しながら貴金属の核生成及び成長によって単結晶基板に対して特定の方向性を有する貴金属ナノワイヤを製造することができる。
【0058】
このとき、前記単結晶基板は、目的とする貴金属単結晶の核生成、特に、2次元核生成が容易に起る不導体または半導体単結晶の表面であり、格子不整合によって誘導される弾性応力(elastic stressまたはelastic strain)及び線欠陥(dislocation)が発生しないように適切に選択しなければならない。
【0059】
貴金属単結晶の核生成の容易性は、目的とする貴金属単結晶ナノワイヤの物質、目的とする貴金属単結晶ナノワイヤの低指数面などの原子構造、前記単結晶基板の物質、前記単結晶基板の表面方向、またはこれらの要素を調整することによって決定される。
【0060】
さらに、目的とする貴金属単結晶ナノワイヤの物質が同一である場合、前記単結晶基板の物質、前記単結晶基板の表面方向、またはこれらの条件を調整することによって、貴金属単結晶ナノワイヤの核生成及び核成長がそれぞれ異なるようになり、最終的に基板に対する貴金属単結晶ナノワイヤの方向性が制御される。
【0061】
上述のように、前記不導体または半導体単結晶基板は、目的とする貴金属単結晶ナノワイヤの核生成が容易に起り、前記熱処理の条件下で化学的/熱的に安定的な半導体または不導体であれば、特に限定されることなく、使用することができる。具体的には、シリコン単結晶、ゲルマニウム単結晶またはシリコンゲルマニウム単結晶から選択された4族単結晶、ガリウム砒素単結晶、インジウムリン単結晶またはガリウムリン単結晶から選択された3−5族単結晶、2−6族単結晶と、4−6族単結晶、サファイア単結晶、酸化ケイ素単結晶及びこれらの積層基板の中いずれか1つから選択することができる。
【0062】
例えば、目的とする貴金属単結晶ナノワイヤがAuまたはPdの単結晶ナノワイヤである場合、低コストで購入が容易であり、熱力学的に安定的な面である低指数の表面において貴金属の核生成が容易に起るサファイア単結晶基板を使用することが実質的でかつ好適である。
【0063】
上述したように、前記単結晶基板の表面に対して方向性を有する貴金属ナノワイヤを製造するためには、貴金属の最初の核生成及び核成長段階を制御することが必要である。この制御における核心的条件は、熱処理配管内の圧力、反応炉の前端部(前駆物質)及び反応炉の後端部(基板)の熱処理温度及び不活性ガスの流速である。
【0064】
理論的かつ実験的結果を通じて、結晶性を有する全ての物質は、表面エネルギーに影響を与える温度、圧力、雰囲気、不純物などによって表面の原子的構造が変化するsingular−rough相変態が起ると知られている。前記の相変態に最も大きな影響を与える要素として温度を挙げることができるが、高温で熱力学的に安定的な単結晶の形状は、角張っていない丸い形状であり、このとき、表面の原子は原子的に不規則な構造を有するようになる。また、低温においては、エントロピーエネルギーより単結晶の結晶方向によるbroken bondエネルギーの影響が大きくなり、角張った形状を有することになる。前記角張った形状を構成する各面は表面エネルギーの少ない結晶方向の面等であり、このとき、表面は原子的にも扁平な構造を有すると知られている。
【0065】
このような熱力学的表面の相変態は、粒子の核生成及び成長に大きい影響を与えるが、表面の原子的構造が不規則な構造(rough structure)である場合、核生成及び核成長が起るが、表面の構造が原子的に扁平な構造(singular structure)である場合、2−D核生成及び側面成長(lateral growth)が起るようになる。
【0066】
本発明の単結晶基板の表面に対して特定の方向性を有するように整列された貴金属ナノワイヤの製造方法は、貴金属の熱力学的に安定的な表面相を、熱処理の温度及び圧力を利用して制御するとともに、不活性ガスの流量を調節して前記単結晶基板の表面に伝達される核生成及び核成長駆動力を調節して前記のような整列された方向性を得ることになった。
【0067】
上述した核生成及び核成長に影響を与える条件を調節するためには、好ましくは、前記前駆物質は1000〜1200℃に維持されるとともに、前記単結晶基板は800〜1100℃に維持されることが好ましく、前記反応炉の前端部(前駆物質)から前記反応炉の後端部(単結晶基板)の方に前記不活性ガスを50〜200sccmで流すことが好ましく、前記熱処理は3〜20torrの圧力下で行うことが好ましい。
【0068】
上述した好ましい温度、圧力及び不活性ガスの流量などの範囲から外れる場合は、単結晶基板の表面に対する方向性を喪失するか、ナノワイヤの形態でないロッドまたは粒子形相の貴金属が得られ、単結晶体ではなく多結晶体で構成されたナノワイヤが生成される。
【0069】
前記単結晶基板の表面に対して垂直の方向性を有するように整列された貴金属ナノワイヤを製造するためには、前記前駆物質を、1000〜1200℃に維持するとともに、前記単結晶基板は850〜1100℃に維持することが好ましく、前記反応炉の前端部(前駆物質)から前記反応炉の後端部(単結晶基板)の方に前記不活性ガスを50〜200sccmで流すことが好ましく、前記熱処理は3〜8torrの圧力下で行うことが好ましい。
【0070】
前記単結晶基板の表面に対して水平の方向性を有するように整列された貴金属ナノワイヤを製造するためには、前記前駆物質を1000〜1200℃に維持するとともに、前記単結晶基板は800〜950℃に維持することが好ましく、前記反応炉の前端部(前駆物質)から前記反応炉の後端部(単結晶基板)の方に前記不活性ガスを50〜200sccmで流すことが好ましく、前記熱処理は15〜20torrの圧力下で行われることが好ましい。
【0071】
熱処理の時間もやはり前記の温度、不活性ガスの流れ及び熱処理時の圧力条件によって最適化されなければならないが、30分〜2時間の間、熱処理することが好ましい。前記の熱処理を行う時間の間、不活性ガスによって気化された前駆物質が単結晶基板に移動して核生成及び核成長に供されるようになるが、これと同時に単結晶基板には既に形成された貴金属の間で気相及び基板表面を通じる貴金属の移動が起って粒子の成長が起るようになる。
【0072】
したがって、前記の熱処理の後に、貴金属ナノワイヤが形成された単結晶基板から前駆物質を除去した状態でさらに熱処理を行い、単結晶基板に対して方向性を有して整列された貴金属ナノワイヤの密度やサイズなどを調節することもできる。
【0073】
本発明の製造方法において使用可能な前駆物質としては、貴金属酸化物、貴金属またはハロゲン化貴金属があり、これらを利用して貴金属単結晶ナノワイヤを製造することができる。前記の貴金属酸化物は、酸化金、酸化銀、酸化パラジウム、酸化白金、酸化イリジウム、酸化オスミウム、酸化ロジウムまたは酸化ルテニウムを使用することができ、前記の貴金属酸化物を利用して金、銀、パラジウム、白金、イリジウム、オスミウム、ロジウムまたはルテニウム単結晶ナノワイヤを製造することができる。前記貴金属は、金、銀、パラジウム、白金、イリジウム、オスミウム、ロジウム、または、ルテニウムが使用可能であり、前記ハロゲン化貴金属は、フルオロ化貴金属、塩化貴金属、臭化貴金属またはヨウ化貴金属から選択されることが好ましく、塩化貴金属、臭化貴金属またはヨウ化貴金属から選択されることがより好ましく、塩化貴金属であることが最も好ましい。前記ハロゲン化貴金属の貴金属は、金、銀、パラジウム、白金、イリジウム、オスミウム、ロジウムまたはルテニウムから選択され、前記ハロゲン化貴金属は、ハロゲン化貴金属水化物を包含する。
前記前駆物質は、貴金属酸化物または貴金属であることが好ましい。
【0074】
また、貴金属ナノワイヤの磁性特性を調節するために、前記前駆物質は、遷移金属物質をさらに包むことができる。前記遷移金属物質は、Co、Fe、Mg、Mn、Cr、Zr、Cu、Zn、V、Ti、Nb、Yまたはこれらの混合物とすることができる。
【0075】
前記前駆物質として、酸化金、金またはハロゲン化金、好ましくは、酸化金または金を利用して前記単結晶基板の表面に対して方向性を有する整列されたAu単結晶ナノワイヤを製造することができ、前記前駆物質として酸化パラジウム、パラジウムまたはハロゲン化パラジウム、好ましくは、酸化パラジウムまたはパラジウムを利用して前記単結晶基板の表面に対して方向性を有する整列されたPd単結晶ナノワイヤを製造することができる。
【0076】
このとき、前記ハロゲン化金は、フルオロ化金、塩化金、臭化金またはヨウ化金から選択されることが好ましく、前記ハロゲン化パラジウムは、フルオロ化パラジウム、塩化パラジウム、臭化パラジウムまたはヨウ化パラジウムから選択されることが好ましい。
【0077】
本発明の製造方法の優秀性を実験的に立証するべく、本発明の製造方法に従って、Au、PdO、AuまたはPdを前駆物質として使用し、基板に対して方向性を有するAu単結晶ナノワイヤ及びPd単結晶ナノワイヤをそれぞれ製造した。以下、実施例1〜5によって詳細に説明する。
【0078】
(実施例1)
反応炉で気相輸送法を利用して基板に対して垂直配向されたAu単結晶ナノワイヤを製造した。
前記反応炉は、前端部と後端部に区別されるとともに、独立的に加熱体及び温度調節装置を備えている。反応炉内の配管は、直径1インチ、長さ60cmサイズの石英材質のものを使用した。
【0079】
先ず、反応炉の前端部の中心部には前駆物質であるAu(Sigma−Aldrich、334057)0.02gを仕込んだ高純度アルミナ材質のボート型容器を載置した。また、反応炉の後端部の中心部には、単結晶基板の表面が(0001)面であるサファイア単結晶を配置した。
次いで、アルゴン気体を反応炉の前端部から導入して反応炉の後端部に排気するようにした。このとき、反応炉の前記後端部には、真空ポンプが装着され、該真空ポンプによって石英製配管内の圧力を5torrに維持するとともに、MFC(Mass Flow Controller)を利用して100sccmのアルゴン気体が流れるようにした。
【0080】
反応炉の前端部(前駆物質が仕込まれているアルミナ材ボート型容器(以下、前駆物質と略記する。))の温度は1100℃に維持し、反応炉の後端部(シリコン基板)の温度は、900℃に維持した状態で30分間熱処理してAu単結晶ナノワイヤを製造した。
【0081】
(実施例2)
反応炉において気相輸送法を利用して基板に対して垂直配向されたPd単結晶ナノワイヤを製造した。
熱処理の温度、前駆物質、不活性ガスの流量、圧力などの他は、実施例1と同一の条件及び装置を利用してPd単結晶ナノワイヤを製造した。
【0082】
前駆物質としてはPdO(Sigma−Aldrich、203971)0.05gを使用し、真空ポンプを利用して石英製配管内の圧力を6torrに維持した。
【0083】
アルゴン気体が140sccmで流れる状態を維持しながら反応炉の前端部(前駆物質)の温度を1100℃に維持し、反応炉の後端部(サファイア基板)の温度は900℃に維持した状態で30分間熱処理してPd単結晶ナノワイヤを製造した。
【0084】
(実施例3)
反応炉において気相輸送法を利用して基板に対して水平配向されたAu単結晶ナノワイヤを製造した。
熱処理の温度、圧力、及び不活性ガスの流量の他は、実施例1と同一の条件及び装置を利用してAu単結晶ナノワイヤを製造した。
【0085】
真空ポンプを利用して石英製配管内の圧力を17torrに維持しながら、アルゴン気体が80sccmで流れる状態で反応炉の前端部(前駆物質)の温度を1100℃に維持し、反応炉の後端部(サファイア基板)の温度は850℃に維持した状態で30分間熱処理してAu単結晶ナノワイヤを製造した。
【0086】
(実施例4)
反応炉で気相輸送法を利用して基板に対して水平配向されたAu単結晶ナノワイヤを製造した。
(11−20)面であるサファイア単結晶基板を使用したことの他は、前記実施例3と同一の条件及び装置を利用してAu単結晶ナノワイヤを製造した。
【0087】
(実施例5)
反応炉で気相輸送法を利用して基板に対して水平配向されたPd単結晶ナノワイヤを製造した。
熱処理の温度、圧力、及び不活性ガスの流量の他は、実施例2と同一の条件及び装置を利用してPd単結晶ナノワイヤを製造した。
【0088】
真空ポンプによって石英製配管内の圧力を20torrに維持しながら、アルゴン気体が100sccmで流れる状態で反応炉の前端部(前駆物質)の温度を1100℃に維持し、反応炉の後端部(サファイア基板)の温度は850℃に維持した状態で30分間熱処理してPd単結晶ナノワイヤを製造した。
【0089】
(実施例6)
Au前駆物質を使用し、基板に対して垂直配向されたAu単結晶ナノワイヤを製造した。前記の前駆物質としてAu0.02gを使用したことの他は、実施例1と同一の条件によってAu単結晶ナノワイヤを製造した。
【0090】
(実施例7)
Pd前駆物質を使用し、基板に対して垂直配向されたPd単結晶ナノワイヤを製造した。前記の前駆物質としてPd0.05gを使用したことの他は、実施例2と同一の条件によってPd単結晶ナノワイヤを製造した。
【0091】
(実施例8)
Au前駆物質を使用し、基板に対して水平配向されたAu単結晶ナノワイヤを製造した。前記の前駆物質としてAuを使用したことの他は、実施例3と同一の条件によってAu単結晶ナノワイヤを製造した。
【0092】
(実施例9)
Pd前駆物質を使用し、基板に対して水平配向されたPd単結晶ナノワイヤを製造した。前記の前駆物質としてPdを使用したことの他は、実施例5と同一の条件によってPd単結晶ナノワイヤを製造した。
【0093】
前記実施例1で製造されたナノワイヤの物理的特性は、前記実施例6で製造されたナノワイヤと類似し、前記実施例2で製造されたナノワイヤの物理的特性は、前記実施例7で製造されたナノワイヤと類似し、前記実施例3で製造されたナノワイヤの物理的特性は、前記実施例8で製造されたナノワイヤと類似し、前記実施例5で製造されたナノワイヤの物理的特性は、前記実施例9で製造されたナノワイヤと類似であった。したがって、以下の分析における単結晶ナノワイヤの特性は、実施例1〜実施例5に基づいて説明する。
【0094】
つまり、前記実施例1〜実施例5によって製造された貴金属単結晶ナノワイヤを分析して基板に対する方向性を有する貴金属単結晶ナノワイヤの品質、形象及び純度などを分析し、その結果を添付の図面を参照しながら説明する。
【0095】
図1〜図4は、実施例1によって製造されたAu単結晶ナノワイヤに対する測定分析の結果である。
【0096】
まず、図1(a)は、サファイア単結晶の基板上に製造されたAu単結晶ナノワイヤのSEM写真図である。図1から分るように、本発明の実施例1のAu単結晶ナノワイヤは、単結晶基板の表面に対して垂直に成長配列された特徴を示している。また、多量の単結晶ナノワイヤが製造されるとともに、ナノワイヤが長軸方向にまっすぐ伸びた形状を有し、ナノワイヤが互に接触することなく個別的に分離されたAu単結晶ナノワイヤが製造されている。
【0097】
また、図1(b)の高配率SEM写真によってAu単結晶ナノワイヤのファセット面形状を巨視的に示している。
【0098】
図2は、Au単結晶ナノワイヤのXRDによる構造回折の結果である。
図2の回折結果から分るように、回折の頂点移動(peak shift)なしにバルクのAu回折結果と正確に一致し、製造されたAu単結晶ナノワイヤの面心立方構造(FCC Structure)を示している。
前記のように製造されたAu単結晶ナノワイヤの構造及び形状をTEMを利用して詳細に観察した。
【0099】
図3(a)〜(c)の結果から分るように、製造されたAu単結晶ナノワイヤが滑らかな表面を有しながら、ファセット面形状であることを確認することができる。
【0100】
図3(a)のSAED(制限視野電子回折:Selected Area Electron Diffraction)パターンを通じて、製造されたAu単結晶ナノワイヤが単一の結晶体からなる単結晶体であることを確認することができ、
図3(a)と(b)を通じてAu単結晶ナノワイヤの成長方向(長軸)が<110>方向であることを確認することができる。また、図3(c)の結果からナノワイヤが完璧な単結晶体であることを確認することができる。
【0101】
前記図1〜図3(c)の結果によって、前記Au単結晶ナノワイヤの成長方向に対して垂直方向の断面は、断面外周上の接線の傾き値が不連続的に変化するファセット面形状を有し、前記ファセット面形状のナノワイヤのファセット面形状を形成する各面は{111}{110}{100}のような低指数面であることを確認することができる。
【0102】
図4は、TEM装備に装着されたEDS(Energy Dispersive Spectroscopy)を利用してAu単結晶ナノワイヤの成分を分析した結果を示している。図4の結果から分るように、グリッド(grid)のような測定装備の特性上、副次的に測定された物質を除くと、製造されたナノワイヤがAuのみでなっていることを確認することができる。
【0103】
図5〜図8は、実施例2によって製造されたPd単結晶ナノワイヤに対する測定分析の結果である。
【0104】
図5(a)は、サファイア単結晶の基板上に製造されたPd単結晶ナノワイヤのSEM写真図である。同図から分るように、50〜150nmの直径と5〜10μmの長さを有する多量のナノワイヤが単結晶基板の表面に対して垂直に成長配列されていることを確認することができる。また、ナノワイヤが長軸方向にまっすぐ伸びた形状を有し、ナノワイヤが互に接触することなく個別的に分離されたPd単結晶ナノワイヤが製造されることを確認することができる。さらに、図1(b)の高配率SEM写真によってPd単結晶ナノワイヤのファセット面形状を巨視的に示していることを確認することができる。
【0105】
図6は、Pd単結晶ナノワイヤのXRDによる構造回折の結果である。
図6の回折結果から分るように、製造されたPd単結晶ナノワイヤがバルクのPd回折結果と一致し、面心立方構造を示していることを確認することができる。
【0106】
前記のように製造されたPd単結晶ナノワイヤの構造及び形状をTEMを利用して詳細に観察した。
【0107】
図7(a)〜(c)の結果から分るように、製造されたPd単結晶ナノワイヤが滑らかな表面を有しながら、ファセット面形状を有していることを確認することができる。
【0108】
図7(a)のSAEDパターンを通じて製造されたPd単結晶ナノワイヤが単一の結晶体からなる単結晶体であることを確認することができ、Pd単結晶ナノワイヤの成長方向(長軸)が<110>方向であることを確認することができる。また、前記ファセット面形状のナノワイヤの表面を形成する各面は{111}{110}{100}のような低指数面であることを確認することができる。さらに、図7(c)のHRTEMイメージを通じて、製造された単結晶ナノワイヤが欠陥のない高結晶性を有していることを確認することができる。
【0109】
図8は、TEM装備に装着されたEDSを利用してPd単結晶ナノワイヤの成分を分析した結果を示している。
図13は、Pd単結晶ナノワイヤのSEM写真である。
図8及び図13の結果から分るように、グリッドのような測定装備の特性上副次的に測定された物質を除くと、製造されたナノワイヤがPdのみでなっていることを確認することができる。
【0110】
上述のように、本発明の実施例1及び実施例2によって製造された貴金属ナノワイヤを分析した結果、本発明の貴金属ナノワイヤは、その物質の種類と関係なしに共通的に単結晶基板の表面に対して垂直成長して配列される特徴を有し、高品質の単結晶体であり、不純物を包含しない高純度のナノワイヤであることを確認することができた。また、基板上に多量のナノワイヤを形成し、それぞれのナノワイヤが互に接触することなく、個別的に分離されていることを確認した。なお、結晶学的な特徴として、本発明の貴金属単結晶ナノワイヤは、貴金属バルクと同一の結晶構造を有し、単結晶ナノワイヤの成長方向(長軸)が<100>方向であり、ファセット面形状であることを確認することができる。
【0111】
図9と図10は、実施例3で製造されたAu単結晶ナノワイヤに対する測定分析の結果である。
【0112】
図9は、サファイア単結晶基板で製造されたAu単結晶ナノワイヤのSEM写真図である。
図9から分るように、単結晶基板の表面に対して水平方向に成長配列された多量のナノワイヤが製造されていることを確認することができる。
【0113】
図10は、製造されたAu単結晶ナノワイヤとサファイア基板の界面における高解像TEM写真であり、図10の右側上部の電子回折パターンから分るように、製造されたAu単結晶ナノワイヤが純粋な単結晶からなっており、バルクAuと同一の面心立方構造を有していることを確認することができる。また、製造されたAu単結晶ナノワイヤと前記単結晶基板の結晶学的関係をTEMを利用して詳細に観察した結果、図10の結果から分るように、製造されたAu単結晶ナノワイヤの(110)面とサファイア単結晶表面である(0001)面がエピタキシャルに成長されていることを確認することができる。
【0114】
サファイア単結晶表面でエピタキシャルに成長したAu単結晶ナノワイヤが<110>の成長方向を有することができるとともに、Au単結晶ナノワイヤの長軸<110>がサファイア単結晶表面の<11−20>方向と平行であることを確認することができる。これによって、図9のように水平成長した多量のAu単結晶ナノワイヤが<11−20>と結晶学的に同一の6つの方向に3角形または6角形に配列された構造を有することを確認することができる。
【0115】
図11〜図12は、実施例4を通じて製造されたAu単結晶ナノワイヤに対する測定分析の結果である。
【0116】
図11は、a面のサファイア単結晶基板上に製造されたAu単結晶ナノワイヤのSEM写真図である。実施例3のように、単結晶基板の表面に対して水平に成長配列された多量のナノワイヤが製造されていることを確認することができる。しかし、Au単結晶ナノワイヤの長軸<110>が単結晶基板の<11−20>と結晶学的に同一の6つの方向に配列された構造を有する実施例3とは異なり、単一の方向に配列されたAu単結晶ナノワイヤが製造されていることを示している。
【0117】
図12は、製造されたAu単結晶ナノワイヤとサファイア基板の界面の高配率TEM写真である。図12の右側上部の電子回折パターンから分るように、製造されたAu単結晶ナノワイヤが純粋な単結晶からなっており、バルクAuと同一の面心立方構造を有していることを確認することができる。また、製造されたAu単結晶ナノワイヤと前記単結晶基板の結晶学的関係をTEMを利用して詳細に観察した結果、実施例3の結果と類似にAu単結晶ナノワイヤが<110>の成長方向を有することを確認することができる。製造されたAu単結晶ナノワイヤの(11−1)面とサファイア単結晶の表面である(11−20)面がエピタキシャルに成長されているとともに、Au単結晶ナノワイヤの長軸方向である<110>方向とa面サファイア単結晶基板の<0001>方向が平行であることを確認することができる。これによって、図11のように水平成長した多量のAu単結晶ナノワイヤが<0001>の単一方向に配列されていることを特認することができる。
【0118】
また、実施例3及び実施例4で製造されたAu単結晶ナノワイヤをTEM装備に装着されたEDSを利用して成分分析した結果、実施例1と同様にグリットのような測定装備の特性上副次的に測定された物質を除くと、製造されたナノワイヤがAuのみでなっている純粋なAu単結晶ナノワイヤであることが確認された。
【0119】
図13は、実施例5で製造されたPd単結晶ナノワイヤのSEM写真図である。実施例3及び実施例4における基板に対して平行に成長したAu単結晶ナノワイヤのように、基板に対して平行に成長したPd単結晶ナノワイヤが製造されていることを示しているTEMを利用して結晶構造の分析を行った結果、実施例2と類似に単結晶のPd単結晶ナノワイヤが製造され、TEM装備に装着されたEDSを利用して成分分析した結果、Pdのみでなっている純粋なPd単結晶ナノワイヤであることが確認された。
【0120】
実施例1〜実施例5を通じて、貴金属酸化物、貴金属またはハロゲン化貴金属を含有する前駆物質を用いて、無触媒条件下で製造された、純粋な単結晶体であり、内部欠陥が少ない高品質かつ高純度の貴金属ナノワイヤが一定の方向性を有して、基板の上部に形成されることを確認することができる。このような方向性が前記前駆物質の種類、前記単結晶基板の種類、前記単結晶基板の表面方向、前記熱処理の温度、前記不活性ガスの流量、前記圧力またはこれらの調節によって制御することができることを確認することができた。
【0121】
以上、本発明の貴金属ナノワイヤの製造方法及びこの製造方法によって製造された貴金属ナノワイヤは、基板の表面に対する方向性及びナノワイヤのサイズ及び形状の制御が可能であり、また再現可能で単純な製造工程を通じて高純度かつ高品質のナノワイヤを大量生産することによって、貴金属ナノワイヤ自体に対する物理的、光学的、電磁気的性質を研究することのできる基盤を提供する。また、金属の中、電気伝導度及び熱伝導率が良く、化学的に安定的な貴金属ナノワイヤを利用して電気素子、光素子または磁気素子の特性を向上させることができ、そのサイズを減少することができる。
【0122】
殊に、貴金属ナノワイヤの表面特性を利用する分光装置に利用されるか、生物学的情報検出装置(バイオセンサー)や、光、電気、磁気、熱または振動、またはこれらの組合せを検出するセンサー装置などに利用して検出特性を調節し、センサーの敏感度、正確性、再現性を向上させることができる。
【0123】
また、単結晶基板の表面に対する垂直配列を利用してMEMS構造体、3次元メモリ素子等の作製に活用することができる。
【0124】
なお、上述した実施例及び図面の説明において、特定の前駆物質、特定の単結晶基板のように限定して説明したが、これは本発明の全般的な理解のためであり、本発明は、前記の実施例などに限定されるものではなく、本発明の属する分野で通常の知識を有する者であれば、このような記載から多様な修正及び変形も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明の実施例1によって製造されたAu単結晶ナノワイヤのSEM写真図である。
【図2】本発明の実施例1によって製造されたAu単結晶ナノワイヤのXRD図である。
【図3】本発明の実施例1によって製造されたAu単結晶ナノワイヤのTEM図であって、(a)は(b)のAu単結晶ナノワイヤの制限視野回折図であり、(b)はAu単結晶ナノワイヤの暗視野像であり、(c)は(b)の高解像TEM写真である。
【図4】本発明の実施例1によって製造されたAu単結晶ナノワイヤのEDS図である。
【図5】本発明の実施例2によって製造されたPd単結晶ナノワイヤのSEM写真である。
【図6】本発明の実施例2によって製造されたPd単結晶ナノワイヤのXRD図である。
【図7】本発明の実施例2によって製造されたPd単結晶ナノワイヤのTEM図であって、(a)は(b)のPd単結晶ナノワイヤの制限視野回折図であり、(b)はPd単結晶ナノワイヤの暗視野像であり、(c)は高解像TEM写真である。
【図8】本発明の実施例2によって製造されたPd単結晶ナノワイヤのEDS図である。
【図9】本発明の実施例3によって製造されたAu単結晶ナノワイヤのSEM写真である。
【図10】本発明の実施例3によって製造されたAu単結晶ナノワイヤと基板の界面高解像TEM写真である。
【図11】本発明の実施例4によって製造されたAu単結晶ナノワイヤのSEM写真である。
【図12】本発明の実施例4によって製造されたAu単結晶ナノワイヤと基板の界面高解像TEM写真である。
【図13】本発明の実施例5によって製造されたPd単結晶ナノワイヤのSEM写真図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貴金属酸化物、貴金属またはハロゲン化貴金属を含有する前駆物質を用いて無触媒の条件下で製造された半導体または不導体単結晶基板の表面に対して方向性を有する貴金属単結晶ナノワイヤ。
【請求項2】
前記方向性は、垂直または水平の方向性である請求項1に記載の貴金属単結晶ナノワイヤ。
【請求項3】
前記貴金属酸化物は、酸化金または酸化パラジウムから選択され、前記貴金属は、金またはパラジウムから選択され、前記ハロゲン化貴金属は、ハロゲン化金またはハロゲン化パラジウムから選択される請求項1又は2に記載の貴金属単結晶ナノワイヤ。
【請求項4】
前記貴金属単結晶ナノワイヤは、前記単結晶基板の表面に対して垂直に成長している請求項2又は3に記載の貴金属単結晶ナノワイヤ。
【請求項5】
前記前駆物質は、酸化金または金であり、前記垂直成長した貴金属単結晶ナノワイヤは、Au単結晶ナノワイヤである請求項4に記載の貴金属単結晶ナノワイヤ。
【請求項6】
前記Au単結晶ナノワイヤは、面心立方構造であり、長軸の方向が<110>である請求項5に記載の貴金属単結晶ナノワイヤ。
【請求項7】
前記前駆物質は、酸化パラジウムまたはパラジウムであり、前記垂直成長した貴金属単結晶ナノワイヤは、Pd単結晶ナノワイヤである請求項4に記載の貴金属単結晶ナノワイヤ。
【請求項8】
前記Pd単結晶ナノワイヤは、面心立方構造であり、前記Pd単結晶ナノワイヤの長軸の方向が<110>である請求項7に記載の貴金属単結晶ナノワイヤ。
【請求項9】
前記貴金属単結晶ナノワイヤは、貴金属バルクと同一の結晶構造を有し、ファセット面形状である請求項4に記載の貴金属単結晶ナノワイヤ。
【請求項10】
前記前駆物質が、1000〜1200℃に維持されるとともに、前記単結晶基板は850〜1100℃に維持され、3〜8torrの圧力下で反応炉の前端部から反応炉の後端部の方に不活性ガスを50〜200sccmで流すことによって、前記単結晶基板の表面に対して垂直成長したものである請求項4に記載の貴金属単結晶ナノワイヤ。
【請求項11】
前記貴金属単結晶ナノワイヤは、前記単結晶基板の表面に対して平行に水平成長したものである請求項2に記載の貴金属単結晶ナノワイヤ。
【請求項12】
前記前駆物質は、酸化金または金であり、前記単結晶基板の表面に対して平行に水平成長する貴金属単結晶ナノワイヤは、Au単結晶ナノワイヤである請求項11に記載の貴金属単結晶ナノワイヤ。
【請求項13】
前記単結晶基板は、{0001}面のサファイア基板であり、前記単結晶基板の{0001}面と前記Au単結晶ナノワイヤの面心立方構造{110}面とが平行である請求項12に記載の貴金属単結晶ナノワイヤ。
【請求項14】
前記単結晶基板は、{11−20}面のサファイア基板であり、前記単結晶基板の{11−20}面と前記Au単結晶ナノワイヤの面心立方構造{111}面が平行である請求項12に記載の貴金属単結晶ナノワイヤ。
【請求項15】
前記前駆物質は、酸化パラジウムまたはパラジウムであり、前記単結晶基板の表面に対して平行に水平成長する貴金属単結晶ナノワイヤは、Pd単結晶ナノワイヤである請求項11に記載の貴金属単結晶ナノワイヤ。
【請求項16】
前記Pd単結晶ナノワイヤは、面心立方構造である請求項15に記載の貴金属単結晶ナノワイヤ。
【請求項17】
前記単結晶基板は、{0001}面のサファイア基板である請求項15に記載の貴金属単結晶ナノワイヤ。
【請求項18】
前記前駆物質が1000〜1200℃に維持されるとともに、前記単結晶基板は800〜950℃に維持され、15〜20torrの圧力下で前記反応炉の前端部から前記反応炉の後端部の方に不活性ガスを50〜200sccmで流すことによって、前記単結晶基板の表面に対して平行に水平成長したものである請求項11に記載の貴金属単結晶ナノワイヤ。
【請求項19】
前記単結晶基板は、サファイア単結晶基板である請求項1に記載の貴金属単結晶ナノワイヤ。
【請求項20】
反応炉の前端部に配置した貴金属酸化物、貴金属またはハロゲン化貴金属を含有する前駆物質と、反応炉の後端部に配置した半導体または不導体単結晶基板を、不活性ガスが流れる雰囲気下、一定圧力で熱処理することにより、前記単結晶基板の表面に対して方向性を有する貴金属単結晶ナノワイヤを形成することを特徴とする貴金属単結晶ナノワイヤの製造方法。
【請求項21】
前記貴金属単結晶ナノワイヤの長軸は、前記単結晶基板の表面に対して垂直または水平の方向性を有する請求項20に記載の貴金属単結晶ナノワイヤの製造方法。
【請求項22】
前記方向性は、前記前駆物質の種類、前記単結晶基板の種類、前記単結晶基板の表面方向、前記熱処理の条件、前記不活性ガスの流量、前記圧力またはこれらの組合せで調節する請求項20に記載の貴金属単結晶ナノワイヤの製造方法。
【請求項23】
前記貴金属単結晶ナノワイヤは、前記単結晶基板の表面に対して垂直成長する請求項20に記載の貴金属単結晶ナノワイヤの製造方法。
【請求項24】
前記前駆物質を1000〜1200℃に維持し、前記単結晶基板は850〜1100℃に維持する請求項23に記載の貴金属単結晶ナノワイヤの製造方法。
【請求項25】
前記反応炉の前端部から前記反応炉の後端部の方に前記不活性ガスを50〜200sccmで流す請求項24に記載の貴金属単結晶ナノワイヤの製造方法。
【請求項26】
前記熱処理を、3〜8torrの圧力下で行う請求項25に記載の貴金属単結晶ナノワイヤの製造方法。
【請求項27】
前記貴金属単結晶ナノワイヤは、前記単結晶基板の表面に対して平行に水平成長する請求項20に記載の貴金属単結晶ナノワイヤの製造方法。
【請求項28】
前記前駆物質を1000〜1200℃に維持し、前記単結晶基板を800〜950℃に維持する請求項27に記載の貴金属単結晶ナノワイヤの製造方法。
【請求項29】
前記反応炉の前端部から前記反応炉の後端部の方に前記不活性ガスを50〜200sccmで流す請求項28に記載の貴金属単結晶ナノワイヤの製造方法。
【請求項30】
前記熱処理を、15〜20torrの圧力下で行う請求項29に記載の貴金属単結晶ナノワイヤの製造方法。
【請求項31】
前記貴金属酸化物は、酸化金または酸化パラジウムから選択され、前記貴金属は、金またはパラジウムから選択され、前記ハロゲン化貴金属は、ハロゲン化金またはハロゲン化パラジウムから選択される請求項20に記載の貴金属単結晶ナノワイヤの製造方法。
【請求項32】
前記単結晶基板は、4族単結晶基板、3−5族単結晶基板、2−6族単結晶基板、4−6族単結晶基板、サファイア単結晶基板、酸化ケイ素単結晶基板及びこれらの積層基板の中いずれか1つである請求項20に記載の貴金属単結晶ナノワイヤの製造方法。
【請求項33】
請求項20〜請求項32の中いずれか1項に記載の製造方法によって製造された貴金属単結晶ナノワイヤが具備された電気素子、光素子、磁気素子、メモリ素子またはMEMS構造体を包含する素子。
【請求項34】
請求項1〜請求項19の中いずれか1項に記載の貴金属単結晶ナノワイヤが具備された電気素子、光素子、磁気素子、メモリ素子またはMEMS構造体を包含する素子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2010−95407(P2010−95407A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−268048(P2008−268048)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(592127149)韓国科学技術院 (129)
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】373−1,Gusung−dong,Yuseong−ku,Daejeon 305−701 KR
【Fターム(参考)】