説明

映像処理システム及び映像処理方法

【課題】躍動感及び臨場感に満ちた合成映像を提供可能とし、顧客の満足度を十分に向上させることができる映像処理システムを提供すること。
【解決手段】映像処理システム1Aは、被写体90を撮影して被写体映像データを出力する撮影装置10と、撮影装置10の動作内容を示す動作データと、動作データが示す動作内容と連動した映像からなる背景映像データとを通信ネットワーク80を介して配信する配信装置20Aと、通信ネットワーク80を介して配信された背景映像データと、撮影装置10から得られた被写体映像データとの合成処理を行うとともに、合成処理により得られた合成映像データを表示装置40上に表示させる合成再生装置30とを備え、撮影装置10は、配信装置20Aにより配信された動作データに従って被写体90を撮影する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像合成技術が用いられる映像処理システム及び映像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、テレビや映画等の映像コンテンツの制作時において、映像合成技術(例えば、クロマキー合成技術)が用いられている。近年では、このような映像合成技術をカラオケ店等のアミューズメント施設に適用することが検討されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の映像処理システムでは、カラオケ店に設置されたビデオカメラにより被写体(歌唱者)を撮影し、撮影により得られた被写体映像データと、予め用意された背景画像データとをクロマキー合成技術を用いて合成する。合成により得られた合成映像データは、カラオケ店に設置された表示装置上に表示される。これにより、表示装置上には、現実の背景とは異なる背景と共に歌唱者の映像が表示されるため、歌唱者は、擬似的に、テレビ出演しているような体験ができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−175079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の映像処理システムでは、固定された1つのビデオカメラを用いて被写体を撮影するのみであり、且つ、歌唱者の映像と共に表示される背景画像も静止画像であるため、表示される映像が単調なものになってしまい、映像の躍動感及び臨場感に乏しい。
【0006】
したがって、特許文献1に記載の映像処理システムにおいては、当該映像処理システムが導入されたアミューズメント施設(カラオケ店等)を利用する顧客の満足度を十分に向上させることができない問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、躍動感及び臨場感に満ちた合成映像を提供可能とし、顧客の満足度を十分に向上させることができる映像処理システム及び映像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、所定の施設(例えば、カラオケ店又はテーマパーク等)に設置され、被写体(被写体90)を撮影して被写体映像データを出力する撮影装置(撮影装置10)と、前記撮影装置の動作内容を示す動作データと、前記動作データが示す動作内容と連動した映像からなる背景映像データとを通信ネットワーク(通信ネットワーク80)を介して配信する配信装置(配信装置20A)と、前記通信ネットワークを介して配信された前記背景映像データと、前記撮影装置から得られた前記被写体映像データとの合成処理を行うとともに、前記合成処理により得られた合成映像データを表示装置(表示装置40)上に表示させる合成再生装置(合成再生装置30)とを備え、前記撮影装置は、前記配信装置により配信された前記動作データに従って前記被写体を撮影する映像処理システム(映像処理システム1A)であることを要旨とする。
【0009】
本発明の第2の特徴は、所定の施設(例えば、カラオケ店又はテーマパーク等)に設置され、被写体(被写体90)を撮影して被写体映像データを出力する撮影装置(撮影装置10)と、前記撮影装置から通信ネットワーク(通信ネットワーク80)を介して前記被写体映像データを受信し、受信した前記被写体映像データと、背景映像データとの合成処理を行うことにより合成映像データを生成し、生成した前記合成映像データを前記通信ネットワークを介して通信端末(携帯端末100)に配信する配信装置(配信装置20B)とを備え、前記撮影装置は、前記撮影装置の動作内容を示す動作データに従って前記被写体を撮影し、前記背景映像データは、前記動作データが示す動作内容と連動した映像からなる映像処理システム(映像処理システム1B)であることを要旨とする。
【0010】
第1の特徴及び第2の特徴に係る映像処理システムによれば、撮影装置が、動作データに従った動作内容で被写体を撮影するため、例えばカメラ位置等を指定可能になり、被写体の映像についての躍動感を向上させることができる。また、被写体映像データと合成される背景映像データは、動作データが示す動作内容(撮影装置の動作内容)と連動した映像からなるため、被写体の映像の変化に連動した背景映像を提供できる。例えばカメラ位置が変化すると、その変化に応じて背景も変化させることができ、臨場感に満ちた合成映像を提供できる。
【0011】
したがって、第1の特徴及び第2の特徴に係る映像処理システムによれば、躍動感及び臨場感に満ちた合成映像を提供可能とし、顧客の満足度を十分に向上させることができる。
【0012】
本発明の第3の特徴は、本発明の第1又は第2の特徴に係り、前記撮影装置は、少なくとも1つのビデオカメラ(ビデオカメラ11)と、前記動作データに従って前記ビデオカメラを移動させる制御ユニット(制御ユニット12)とを有することを要旨とする。
【0013】
本発明の第4の特徴は、本発明の第1又は第2の特徴に係り、前記撮影装置は、複数のビデオカメラ(ビデオカメラ11a〜11c)と、前記動作データに従って、前記複数のビデオカメラのうち撮影に使用するビデオカメラを切り替える制御ユニット(制御ユニット12)とを有することを要旨とする。
【0014】
本発明の第5の特徴は、所定の施設に設置された撮影装置の動作内容を示す動作データと、前記動作データが示す動作内容と連動した映像からなる背景映像データとを通信ネットワークを介して配信装置が配信するステップ(ステップS103)と、前記撮影装置が、前記配信装置により配信された前記動作データに従って被写体を撮影して被写体映像データを出力するステップ(ステップS105)と、前記通信ネットワークを介して配信された前記背景映像データと、前記撮影装置から得られた前記被写体映像データとの合成処理を行うとともに、前記合成処理により得られた合成映像データを表示装置上に表示させるステップ(ステップS107,S108)とを備える映像処理方法であることを要旨とする。
【0015】
本発明の第6の特徴は、所定の施設に設置された撮影装置の動作内容を示す動作データに従って、前記撮影装置が被写体を撮影して被写体映像データを出力するステップ(ステップS201)と、前記撮影装置から通信ネットワークを介して配信装置が前記被写体映像データを受信するステップ(ステップS202)と、前記配信装置が、受信した前記被写体映像データと、前記動作データが示す動作内容と連動した映像からなる背景映像データとの合成処理を行うことにより合成映像データを生成するステップ(ステップS207)と、前記配信装置が、生成した前記合成映像データを前記通信ネットワークを介して通信端末に配信するステップ(ステップS208)とを備える映像処理方法であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、躍動感及び臨場感に満ちた合成映像を提供可能とし、顧客の満足度を十分に向上させることができる映像処理システム及び映像処理方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る映像処理システムの構成を示す機能ブロック図である。
【図2】構成例1に係る撮影装置の側面図である。
【図3】構成例1に係る撮影装置の平面図である。
【図4】構成例2に係る撮影装置の概略平面図である。
【図5】動作データ及び背景映像データの作成方法を示すフローチャートである。
【図6】動作データの作成に用いられるシミュレータにおける表示画面例を示す図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る映像処理システムの動作シーケンスを示すシーケンス図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る映像処理システムの構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る映像処理システムの動作シーケンスを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、図面を参照して、本発明の第1実施形態、第2実施形態、その他の実施形態を説明する。以下の実施形態における図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0019】
[第1実施形態]
以下において、(1)第1実施形態のシステム構成、(2)第1実施形態のシステム動作、(3)第1実施形態の効果について説明する。
【0020】
(1)第1実施形態のシステム構成
まず、第1実施形態に係る映像処理システム1Aの構成について、(1.1)全体概略構成、(1.2)配信装置20Aの構成、(1.3)合成再生装置30の構成、(1.4)撮影装置10の構成の順で説明する。
【0021】
(1.1)全体概略構成
図1は、第1実施形態に係る映像処理システム1Aの構成を示す機能ブロック図である。第1実施形態では、映像処理システム1Aは、合成映像を提供可能な通信カラオケシステムとして構成されている。
【0022】
図1に示すように、映像処理システム1Aは、撮影装置10、配信装置20A、合成再生装置30、表示装置40、マイクロフォン50、操作装置60、及びスピーカ70を有する。撮影装置10、合成再生装置30、表示装置40、マイクロフォン50、操作装置60、及びスピーカ70は、カラオケ店5内に設置される。
【0023】
撮影装置10は、被写体90を撮影して被写体映像データを出力する。撮影装置10の詳細な構成例については後述する。第1実施形態においては、歌唱者を被写体90とする場合について説明する。
【0024】
表示装置40は、入力される映像データに応じて映像を表示するディスプレイである。マイクロフォン50は、歌唱者(被写体90)が発する音声を電気信号に変換する。スピーカ70は、電気信号を音声に変換する。
【0025】
操作装置60は、各種押ボタンを有しており、例えば歌唱者(被写体90)からの入力操作を受け付けるリモートコントローラ(いわゆる、リモコン)である。なお、タッチパネル型の操作装置60であってもよい。
【0026】
合成再生装置30と通信ネットワーク80との間には、図示を省略するルータ装置等が設けられる。通信ネットワーク80は、インターネット等のWAN又は専用回線等のLAN、あるいはこれらを組み合わせて構成されている。
【0027】
配信装置20Aは、通信ネットワーク80に接続されるサーバである。配信装置20Aは、撮影装置10の動作内容を示す動作データと、当該動作データが示す動作内容と連動した映像からなる背景映像データとを通信ネットワーク80を介して配信する。動作データ及び背景映像データの作成方法については後述する。撮影装置10は、配信装置20Aにより配信された動作データに従って被写体90を撮影する。
【0028】
合成再生装置30は、通信ネットワーク80を介して配信された背景映像データと、撮影装置10から得られた被写体映像データとの合成処理を行うとともに、合成処理により得られた合成映像データを表示装置40上に表示させる。
【0029】
以下においては、合成処理としてクロマキー合成技術を使用する一例について説明するが、他の合成技術を使用してもよい。このような映像合成技術としては、例えば、(a)赤外光による深度測定による合成技術、(b)ソフトクロマキー、(c)画像分割と特徴量マッチングに基づいたオブジェクト追跡システム等がある。
【0030】
クロマキー合成技術では、所定の色(例えば青又は緑)のカーテンまたはスクリーンなどの前に位置する被写体90を撮影し、撮影により得られた被写体映像データから当該所定の色のデータを消去し、被写体部分のデータのみを抽出する。このようにして抽出された被写体部分のデータを背景映像データに重畳することで合成映像データが得られる。
【0031】
一方、赤外光による深度測定による合成技術とは、赤外線を使用して奥行きを測定し、必要な人物(被写体)だけを抜き取ってリアルタイムで背景と合成する技術であり、青又は緑の布を背景とする必要のない技術である。また、ソフトクロマキーとは、ソフトウェアにより背景色と被写体の輪郭の色変化を計算し、背景を置き換える技術である。画像分割と特徴量マッチングに基づいたオブジェクト追跡システムとは、パターンマッチング等を用いた画像認識技術を応用したものであり、近年研究が進められているものである(例えば、特許第3861157号)。
【0032】
(1.2)配信装置20Aの構成
引き続き図1を参照して、配信装置20Aの構成について説明する。配信装置20Aは、記憶部21、検索部22、及び通信部23を有する。
【0033】
記憶部21は、背景映像データ、動作データ、及び楽曲データを予め記憶している。楽曲データとは、カラオケの楽曲における音声データ及び字幕データ等である。背景映像データ及び動作データは互いに対応付けられている。背景映像データ及び動作データの組は、楽曲データと対応付けられている。
【0034】
検索部22は、楽曲の配信を要求する配信要求に応じて、楽曲データ、背景映像データ、及び動作データを記憶部21から検索する。
【0035】
通信部23は、各種の通信処理を行う。具体的には、配信要求を受信したり、検索部22によって検索された楽曲データ、背景映像データ、及び動作データを配信したりする。
【0036】
(1.3)合成再生装置30の構成
引き続き図1を参照して、合成再生装置30の構成について説明する。合成再生装置30は、通信部31、制御部32、映像合成部33、音声処理部34を有する。第1実施形態において合成再生装置30は通信カラオケ装置として構成されるが、本発明と関連しない構成については説明を省略する。
【0037】
通信部31は、各種の通信処理を行う。具体的には、配信要求を送信したり、配信された楽曲データ、背景映像データ、及び動作データを受信したりする。
【0038】
制御部32は、合成再生装置30が具備する各種の機能を制御する。また、制御部32は、各種の機能に用いるデータを記憶するメモリ等を有する。制御部32は、操作装置60に対する入力操作により得られた入力データに応じて、通信部31、映像合成部33、及び音声処理部34を制御する。
【0039】
映像合成部33は、背景映像データと被写体映像データとの合成処理を行う。映像合成部33は、合成処理により得られた合成映像データに字幕データを重畳して表示装置40に転送する。音声処理部34は、マイクロフォン50から得られた音声データと、楽曲データにおける音声データとを処理してスピーカ70に転送する。
【0040】
(1.4)撮影装置10の構成
次に、撮影装置10の構成について、(1.4.1)撮影装置10の構成例1、(1.4.2)撮影装置10の構成例2の順で説明する。
【0041】
(1.4.1)撮影装置10の構成例1
撮影装置10の構成例1においては、カメラ位置・角度を変更可能な撮影装置10、すなわちモーションコントロール装置を使用する。図2は、構成例1に係る撮影装置10Aの側面図であり、図3は、撮影装置10Aの平面図である。
【0042】
図2及び図3に示すように、撮影装置10Aは、ビデオカメラ11、制御ユニット12、ステージ部13、アーム部14、及びクロマキー背景部15を有する。
【0043】
ビデオカメラ11は、アーム部14に配設され、アーム部14に沿う方向(z軸方向)に移動可能に構成されている。制御ユニット12は、動作データに従ってビデオカメラを移動させる。制御ユニット12は、通信機能を有している。ステージ部13は、上下方向に移動可能に構成されている。アーム部14は、弓状であり、ステージ部13に垂直な直線を中心にθ軸方向に回動可能に構成されている。クロマキー背景部15は、アーム部14の回動に伴って回動する。なお、撮影装置10Aの更に詳細な構成については、特許第4195606号公報を参照されたい。
【0044】
(1.4.2)撮影装置10の構成例2
撮影装置10の構成例2においては、複数のビデオカメラのうち撮影に使用するビデオカメラを切り替え可能な構成について説明する。図4は、構成例2に係る撮影装置10Bの構成を示す概略平面図である。
【0045】
ビデオカメラ11a〜11cのそれぞれは、撮影角度と撮影サイズが予め定められており、図示を省略する昇降バーに取り付けられている。被写体90の身長を入力すると、昇降バーが自動的に昇降して、被写体が撮影フレームに収まる高さに調整される。ビデオカメラ11a〜11cは、動作データに従って、例えば楽曲のテンポに合わせて自動的にスイッチングされる。
【0046】
(2)第1実施形態のシステム動作
次に、映像処理システム1Aにおける動作について、(2.1)動作データ及び背景映像データの作成方法、(2.2)映像処理システム1Aの動作シーケンスの順で説明する。
【0047】
(2.1)動作データ及び背景映像データの作成方法
上述したように、動作データ及び背景映像データは、互いに同期・連動した内容のデータである。以下において、動作データ及び背景映像データの作成方法について、(2.1.1)作成方法1、(2.1.2)作成方法2の2つの方法を説明する。
【0048】
(2.1.1)作成方法1
図5(a)は、動作データ及び背景映像データの作成方法1を示すフローチャートである。作成方法1においては、動作データは、コンピュータを用いたシミュレーションにより作成される(図6参照)。
【0049】
ステップS101において、シミュレータ上で動作データが作成される。当該シミュレータの表示画面においては、図6に示すように、例えば撮影装置10の動作内容を表す波形が表示されるウィンドウW1と、当該動作内容に応じた撮影イメージを表す疑似的な被写体が表示されるウィンドウW2とを含む。なお、図6は、構成例1に係る撮影装置10Aを使用する場合の表示画面を示している。ウィンドウW1では、z軸及びθ軸の動作に加えて、ビデオカメラ11のパン・チルト動作が指定可能になっている。
【0050】
ステップS102において、シミュレータ上で作成された動作データを用いて背景映像データが作成される。背景映像データは、コンピュータグラフィックス(CG)により作成してもよく、実際に撮影装置10を動作データに従って動作させて任意の背景(風景又は美術セット等)を撮影させることで作成してもよい。
【0051】
(2.1.2)作成方法2
図5(b)は、動作データ及び背景映像データの作成方法2を示すフローチャートである。
【0052】
ステップS101において、実際に撮影装置10を例えば手動により動作させて任意の背景(風景又は美術セット等)を撮影し、背景映像データを得る。その際、撮影装置10の動作内容をトレースして記憶しておくことで、動作データを作成することができる。
【0053】
(2.2)映像処理システム1Aの動作シーケンス
図7は、映像処理システム1Aの動作シーケンスを示すシーケンス図である。
【0054】
ステップS101において、合成再生装置30は、操作装置60を用いて選択された楽曲の配信を要求する配信要求を、通信ネットワーク80を介して配信装置20Aに送信する。配信装置20Aは、当該配信要求を受信する。
【0055】
ステップS102において、配信装置20Aは、配信要求で選択されている楽曲に対応する楽曲データ、背景映像データ、及び動作データを検索する。
【0056】
検索された楽曲データ、背景映像データ、及び動作データは、ステップS103において、通信ネットワーク80を介して配信装置20Aから合成再生装置30に配信される。
【0057】
合成再生装置30は、楽曲データ、背景映像データ、及び動作データを受信する。合成再生装置30は、受信した楽曲データ及び背景映像データを一旦記憶する。
【0058】
ステップS104において、合成再生装置30は、受信した動作データを撮影装置10に転送する。撮影装置10は、動作データを受信する。
【0059】
ステップS105において、撮影装置10は、受信した動作データに従って被写体90の撮影を開始する。撮影により得られた被写体映像データは、撮影装置10から合成再生装置30にリアルタイムで転送される(ステップS106)。合成再生装置30は、被写体映像データを受信する。
【0060】
ステップS107において、合成再生装置30は、撮影装置10から受信した被写体映像データと、配信装置20Aから受信した背景映像データとの合成処理を開始する。
【0061】
ステップS108において、合成再生装置30は、合成処理により得られた合成映像データの再生を開始すると共に、配信装置20Aから受信した楽曲データの再生を開始する。
【0062】
なお、ステップS105〜ステップS108の各処理は、当該楽曲の再生が完了するまで継続される。
【0063】
(3)第1実施形態の効果
第1実施形態によれば、撮影装置10が、配信装置20Aから配信される動作データに従った動作内容で被写体を撮影するため、例えばカメラ位置等を指定可能になり、被写体90の映像についての躍動感を向上させることができる。また、被写体映像データと合成される背景映像データは、動作データが示す動作内容(撮影装置の動作内容)と連動した映像からなるため、被写体の映像の変化に連動した背景映像を提供でき、その結果、臨場感に満ちた合成映像を表示装置40上に表示させることができる。
【0064】
[第2実施形態]
以下において、(1)第2実施形態のシステム構成、(2)第2実施形態のシステム動作、(3)第2実施形態の効果について説明する。ただし、第1実施形態と異なる点についてのみ説明し、重複する説明を省略する。
【0065】
(1)第2実施形態のシステム構成
図8は、第2実施形態に係る映像処理システム1Bの構成を示すブロック図である。第2実施形態では、映像処理システム1Bは、合成映像を提供可能な映像配信システムとして構成されている。
【0066】
図8に示すように、映像処理システム1Bは、撮影装置10、配信装置20B、携帯端末100を有する。撮影装置10は、第1実施形態と同様にして構成される。配信装置20Bは、第1実施形態で説明した構成に加え、映像合成部24を有している。
【0067】
携帯端末100は、携帯電話端末又はPHS端末等、無線通信機能を有する通信端末装置である。携帯端末100は、入力装置及び表示装置を有する。第2実施形態に係る通信ネットワーク80は、移動体通信ネットワークを含んでいる。当該移動体通信ネットワークは、携帯端末100との無線通信を行う無線基地局又はアクセスポイント等を具備する。
【0068】
撮影装置10は、テーマパークに設置される。撮影装置10は、動作データに従って被写体90(不図示)を撮影して被写体映像データを出力する。配信装置20Bは、撮影装置10から通信ネットワーク80を介して被写体映像データを受信し、受信した被写体映像データと、動作データが示す動作内容と連動した映像からなる背景映像データとの合成処理を行うことにより合成映像データを生成し、生成した合成映像データを通信ネットワーク80を介して携帯端末100に配信する。
【0069】
(2)第2実施形態のシステム動作
図9は、映像処理システム1Bの動作シーケンスを示すシーケンス図である。以下においては、映像処理システム1Bをテーマパークに適用した場合のサービス例を説明する。
【0070】
ステップS201において、撮影装置10は、予め撮影装置10に記憶されている動作データに従って被写体90(入園者)を撮影する。撮影装置10は、所定の時間(例えば30秒間程度)において被写体90を撮影する。
【0071】
ステップS202において、撮影装置10は、撮影により得られた被写体映像データを、通信ネットワーク80を介して配信装置20Bに送信する。その際、撮影装置10は、撮影により得られた被写体映像データを識別する識別情報を通信ネットワーク80を介して配信装置20Bに送信する。配信装置20Bは、被写体映像データ及びその識別情報を受信し、受信した被写体映像データ及び識別情報を対応付けて記憶する。なお、被写体90(入園者)には、当該識別情報と、映像配信用のWebサイトのURL(あるいは当該URLに対応するQRコード)とが記載されたカードが渡される。
【0072】
ステップS203において、被写体90(入園者)が所持する携帯端末100は、通信ネットワーク80を介して配信装置20Bにアクセスする。例えば、カードに記載されたURL(あるいは当該URLに対応するQRコード)を携帯端末100に入力することで配信装置20Bにアクセス可能である。
【0073】
ステップS204において、配信装置20Bは、携帯端末100からのアクセスに応じて、情報入力用のWebページを通信ネットワーク80を介して携帯端末100に送信する。
【0074】
ステップS205において、携帯端末100は、被写体映像データを識別する識別情報を通信ネットワーク80を介して配信装置20Bに送信する。例えば、カードに記載された識別情報を携帯端末100に入力することで配信装置20Bにアクセス可能である。配信装置20Bは、識別情報を受信する。
【0075】
ステップS206において、配信装置20Bは、受信した識別情報に対応する被写体映像データを検索する。また、配信装置20Bは、当該被写体映像データに対応する背景映像データを検索する。
【0076】
ステップS207において、配信装置20Bは、ステップS206において検索された被写体映像データと背景映像データとの合成処理を行う。
【0077】
ステップS208において、配信装置20Bは、合成処理により得られた合成映像データを、通信ネットワーク80を介して携帯端末100に配信する。例えば配信装置20Bは、メール等のメッセージを利用して合成映像データを配信する。
携帯端末100は、合成映像データを受信する。
【0078】
ステップS209において、携帯端末100は、受信した合成映像データを再生し、携帯端末100のディスプレイ上に表示させる。
【0079】
(3)第2実施形態の効果
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、被写体90の映像についての躍動感を向上させることができ、且つ、被写体の映像の変化に連動した背景映像を提供できるため、臨場感に満ちた合成映像を携帯端末100のディスプレイ上に表示させることができる。
【0080】
[その他の実施形態]
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0081】
上述した第1実施形態及び第2実施形態は、互いに組み合わせて実施可能である。例えば、第1実施形態に係る映像処理システム1Aを第2実施形態に係る合成映像配信システムに適用し、第2実施形態に係る映像処理システム1Bを第1実施形態に係る通信カラオケシステムに適用してもよい。
【0082】
上述した第1実施形態及び第2実施形態は、オーディションシステムに応用することができる。具体的には、複数の撮影装置のそれぞれで得られた背景映像データから、当該複数の撮影装置に対応する複数の合成映像データを生成し、当該複数の合成映像データを同期再生する応用例がある。さらに、映像処理システム1A及び映像処理システム1Bをテレビや映画等の映像コンテンツの制作に応用してもよい。また、撮影装置10は、カラオケ店やアミューズメントパークに限らず、野球場、ファミリーレストラン、コンビニエンスストア等、任意の施設に設置してもよい。
【0083】
上述した第1実施形態では、動作データは、配信装置20Aから合成再生装置30を経由して撮影装置10に配信されていたが、合成再生装置30を経由せずに配信装置20Aから撮影装置10に動作データが配信されてもよい。
【0084】
上述した撮影装置10Aにおいては、移動可能なビデオカメラ11を1つのみ設ける一例について説明したが、移動可能なビデオカメラ11を複数設けてもよい。
【0085】
上述した第2実施形態では、配信装置20Bが携帯端末100に合成映像データを配信していたが、携帯端末100に限らず、デスクトップPC等の固定型の端末に合成映像データを配信してもよい。また、上述した第2実施形態では、動作データが予め撮影装置10に記憶されている一例について説明したが、第1実施形態と同様に配信装置20Bから撮影装置10に動作データを配信してもよい。さらに、第2実施形態では、映像処理システム1Bをテーマパークに適用する一例について説明したが、テーマパークに限らず、任意のアミューズメント施設に適用することができる。
【0086】
また、映像処理システム1Bをアパレル関連サービスに応用することによって、顧客がマネキンとなるようなサービスを提供できる。例えば、被写体(顧客)の映像データと商品のデータとを合成することで、様々な角度からの複数の試着イメージを短時間で提供できる。あるいは、顧客の想定する行楽地や観光スポットなどを背景として、商品購入後のイメージをより鮮明にすることもできる。なお、被写体(顧客)の撮影時には専用着衣(位置マーカー)を用いることが好ましい。商品のデータベースには、複数の形状パターンを登録しておくことが好ましい。ただし、サービス効率を高めるためには、顧客を規定の姿勢で撮影してもよい。
【0087】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0088】
1A,1B…映像処理システム、5…カラオケ店、10,10A,10B…撮影装置、11,11a〜11c…ビデオカメラ、12…制御ユニット、13…ステージ部、14…アーム部、15…クロマキー背景部、20A,20B…配信装置、21…記憶部、22…検索部、23…通信部、24…映像合成部、30…合成再生装置、31…通信部、32…制御部、33…映像合成部、34…音声処理部、40…表示装置、50…マイクロフォン、60…操作装置、70…スピーカ、80…通信ネットワーク、90…被写体、100…携帯端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の施設に設置され、被写体を撮影して被写体映像データを出力する撮影装置と、
前記撮影装置の動作内容を示す動作データと、前記動作データが示す動作内容と連動した映像からなる背景映像データとを通信ネットワークを介して配信する配信装置と、
前記通信ネットワークを介して配信された前記背景映像データと、前記撮影装置から得られた前記被写体映像データとの合成処理を行うとともに、前記合成処理により得られた合成映像データを表示装置上に表示させる合成再生装置と
を備え、
前記撮影装置は、前記配信装置により配信された前記動作データに従って前記被写体を撮影する映像処理システム。
【請求項2】
所定の施設に設置され、被写体を撮影して被写体映像データを出力する撮影装置と、
前記撮影装置から通信ネットワークを介して前記被写体映像データを受信し、受信した前記被写体映像データと、背景映像データとの合成処理を行うことにより合成映像データを生成し、生成した前記合成映像データを前記通信ネットワークを介して通信端末に配信する配信装置と
を備え、
前記撮影装置は、前記撮影装置の動作内容を示す動作データに従って前記被写体を撮影し、
前記背景映像データは、前記動作データが示す動作内容と連動した映像からなる映像処理システム。
【請求項3】
前記撮影装置は、
少なくとも1つのビデオカメラと、
前記動作データに従って前記ビデオカメラを移動させる制御ユニットと
を有する請求項1又は2に記載の映像処理システム。
【請求項4】
前記撮影装置は、
複数のビデオカメラと、
前記動作データに従って、前記複数のビデオカメラのうち撮影に使用するビデオカメラを切り替える制御ユニットと
を有する請求項1又は2に記載の映像処理システム。
【請求項5】
所定の施設に設置された撮影装置の動作内容を示す動作データと、前記動作データが示す動作内容と連動した映像からなる背景映像データとを通信ネットワークを介して配信装置が配信するステップと、
前記撮影装置が、前記配信装置により配信された前記動作データに従って被写体を撮影して被写体映像データを出力するステップと、
前記通信ネットワークを介して配信された前記背景映像データと、前記撮影装置から得られた前記被写体映像データとの合成処理を行うとともに、前記合成処理により得られた合成映像データを表示装置上に表示させるステップと
を備える映像処理方法。
【請求項6】
所定の施設に設置された撮影装置の動作内容を示す動作データに従って、前記撮影装置が被写体を撮影して被写体映像データを出力するステップと、
前記撮影装置から通信ネットワークを介して配信装置が前記被写体映像データを受信するステップと、
前記配信装置が、受信した前記被写体映像データと、前記動作データが示す動作内容と連動した映像からなる背景映像データとの合成処理を行うことにより合成映像データを生成するステップと、
前記配信装置が、生成した前記合成映像データを前記通信ネットワークを介して通信端末に配信するステップと
を備える映像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−273308(P2010−273308A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125865(P2009−125865)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(508330685)株式会社フジテレビジョン (13)
【Fターム(参考)】