説明

有機発光ディスプレイ装置及びその製造方法

【課題】有機発光ディスプレイ装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基板上に形成された薄膜トランジスタの活性層と、活性層及び第1絶縁層上に形成され、第1透明導電層及び第1金属層を備えるゲート電極と、ゲート電極及び第2絶縁層上に形成され、第2絶縁層に形成されたコンタクトホールを通じて前記活性層に連結された第2金属層、第2金属層上に形成された第3金属層、及び第3金属層上に形成された第2透明導電層を備えるソース及びドレイン電極と、第1絶縁層上に形成され、第1透明導電層、第3金属層、及び第2透明導電層を備える画素電極と、画素電極上に配置され、有機発光層を備える中間層と、中間層を挟んで画素電極に対向して配置される対向電極と、を備える有機発光ディスプレイ装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光ディスプレイ装置及びその製造方法に関し、特に製造工程が単純であり、表示品質が優れた有機発光ディスプレイ装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ディスプレイ装置は、正極、負極、及び前記二つの電極間に位置する有機発光層を備えており、正極と負極との間に電圧を印加することで、電子と正孔とが有機発光層内で再結合して光を発光する自発光型のディスプレイ装置である。
【0003】
有機発光ディスプレイ装置は、軽量薄型が可能であるだけでなく、広い視野角、速い応答速度及び少ない消費電力などの長所により、次世代のディスプレイ装置として注目されている。
【0004】
一方、フルカラーを具現する有機発光ディスプレイ装置の場合、色が異なる各画素(例えば、赤色、緑色、青色画素)の有機発光層から出射される各波長の光路長(optical length)を変化させる光共振構造が採用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、製造工程が単純であり、表示品質が優れた有機発光ディスプレイ装置及びその製造方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によれば、基板上に形成された薄膜トランジスタの活性層と、前記活性層及び第1絶縁層上に形成され、第1透明導電層及び第1金属層を備えるゲート電極と、前記ゲート電極及び第2絶縁層上に形成され、前記第2絶縁層に形成されたコンタクトホールを通じて前記活性層に連結された第2金属層、前記第2金属層上に形成された第3金属層、及び前記第3金属層上に形成された第2透明導電層を備えるソース及びドレイン電極と、前記第1絶縁層上に形成され、前記第1透明導電層、前記第3金属層、及び前記第2透明導電層を備える画素電極と、前記画素電極上に配置され、有機発光層を備える中間層と、前記中間層を挟んで前記画素電極に対向して配置される対向電極と、を備える有機発光ディスプレイ装置を提供する。
【0007】
本発明の他の特徴によれば、前記第3金属層は、反射物質を含む。
【0008】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記反射物質は、銀を含む。
【0009】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1透明導電層及び第2透明導電層は、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zink Oxide)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム(In)、IGO(Indium Galium Oxide)、及びAZO(Aluminium Zink Oxide)からなるグループから選択された少なくとも一つ以上を含む。
【0010】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1金属層及び第2金属層は、多層の金属層を含む。
【0011】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1金属層及び第2金属層は、同じ物質である。
【0012】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1金属層及び第2金属層は、アルミニウムを含む。
【0013】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記画素電極の第1透明導電層の端部と、前記第3金属層及び第2透明導電層の端部とは、エッチング面が互いに異なる。
【0014】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記画素電極の第1透明導電層の上部、前記第3金属層の側面、及び前記第2絶縁層の下部に、前記第1金属層が配置される。
【0015】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1金属層及び前記第2絶縁層を貫通して形成されたビアホールを通じて、前記ソース及びドレイン電極のうち一つと連結される。
【0016】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記活性層と同じ物質を含み、前記活性層と同じ層に形成された第1電極、及び前記第1透明導電層を備え、前記第1絶縁層上に形成された第2電極を備えたキャパシタをさらに備える。
【0017】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記キャパシタの第2電極は、前記第1透明導電層上に、前記第3金属層及び前記第2透明導電層をさらに備える。
【0018】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記画素電極は、前記有機発光層から出射された光を一部透過及び一部反射する半透過ミラーでありうる。
【0019】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記対向電極は、前記有機発光層から出射された光を反射する反射ミラーでありうる。
【0020】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記画素電極のエッジを取り囲み、前記ソース及びドレイン電極を覆う画素定義膜をさらに備える。
【0021】
本発明の他の側面によれば、基板上に半導体層を形成し、前記半導体層をパターニングして、薄膜トランジスタの活性層を形成する第1マスク工程と、前記活性層上に第1絶縁層、第1透明導電層及び第1金属層を形成し、前記第1透明導電層及び第1金属層をパターニングして、画素電極の基底層、及び前記薄膜トランジスタのゲート電極を形成する第2マスク工程と、前記基底層及びゲート電極上に第2絶縁層を形成し、前記第2絶縁層をパターニングして、前記基底層の第1透明導電層を露出させる第1開口、前記薄膜トランジスタのソース及びドレイン領域を露出させるコンタクトホールを形成する第3マスク工程と、前記第1開口及び前記コンタクトホール上に第2金属層を形成し、前記第2金属層をパターニングして、前記ソース及びドレイン領域に連結されるソース及びドレイン電極を形成する第4マスク工程と、前記ソース及びドレイン電極上に第3金属層及び第2透明導電層を形成し、前記第3金属層及び第2透明導電層をパターニングして、前記画素電極の上部層、前記ソース及びドレイン電極のキャッピング層を形成する第5マスク工程と、を含む有機発光ディスプレイ装置の製造方法を提供する。
【0022】
本発明の他の特徴によれば、前記第2マスク工程後、前記ゲート電極をマスクとして、前記ソース及びドレイン領域にイオン不純物をドーピングする。
【0023】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第3マスク工程は、前記第2絶縁層に前記第1開口及びコンタクトホールを形成する第1エッチング工程、及び前記第1開口に露出された前記画素電極の基底層の第1金属層を除去する第2エッチング工程を含む。
【0024】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第3マスク工程は、前記基底層の第1金属層及び前記第2絶縁層を貫通するビアホールを形成する。
【0025】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第4マスク工程において、前記ソース及びドレイン電極は、前記コンタクトホール及び前記ビアホール上に同時に形成される。
【0026】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第5マスク工程後、前記画素電極の上部層を露出させ、前記ソース及びドレイン電極のキャッピング層を覆う第4絶縁膜を形成する。
【0027】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第4絶縁膜は、印刷法で形成される。
【0028】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記画素電極の上部層に有機発光層を備える中間層、及び前記中間層上に対向電極をさらに形成する。
【0029】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第3金属層は、反射物質を含み、前記画素電極の上部層は、光を一部透過及び一部反射する半透過ミラーで形成される。
【0030】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1マスク工程において、前記活性層と同じ物質で同じ層にキャパシタの第1電極を形成し、前記第2マスク工程において、前記第1透明導電層でキャパシタの第2電極を形成する。
【0031】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第3マスク工程後、前記キャパシタの第1電極にイオン不純物をドーピングする。
【発明の効果】
【0032】
前記のような本発明に係る有機発光ディスプレイ装置及びその製造方法は、次のような効果を提供する。
【0033】
第1に、半透過ミラーを構成する第3金属層及び第2透明導電層がソース及びドレイン電極の形成工程後に形成されるため、ソース及びドレイン電極のエッチング液による半透過ミラーの損傷を防止できる。
【0034】
第2に、半透過ミラーを構成する第3金属層及び第2透明導電層がソース及びドレイン電極の形成工程後に形成されるため、材料選択の自由度が高くなる。
【0035】
第3に、ソース及びドレイン電極上にキャッピング層を形成することで、ソース及びドレイン電極の厚さを縮めることができ、配線の腐食を防止して製品寿命を延長させることができる。
【0036】
第4に、5回のマスク工程で半透過ミラーを備えた有機発光ディスプレイ装置を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態に係る有機発光ディスプレイ装置の製造過程を概略的に示した断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る有機発光ディスプレイ装置の製造過程を概略的に示した断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る有機発光ディスプレイ装置の製造過程を概略的に示した断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る有機発光ディスプレイ装置の製造過程を概略的に示した断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る有機発光ディスプレイ装置の製造過程を概略的に示した断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る有機発光ディスプレイ装置の製造過程を概略的に示した断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る有機発光ディスプレイ装置の製造過程を概略的に示した断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る有機発光ディスプレイ装置の製造過程を概略的に示した断面図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る有機発光ディスプレイ装置の製造過程を概略的に示した断面図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る有機発光ディスプレイ装置の製造過程を概略的に示した断面図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る有機発光ディスプレイ装置の製造過程を概略的に示した断面図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る有機発光ディスプレイ装置の製造過程を概略的に示した断面図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る有機発光ディスプレイ装置の製造過程を概略的に示した断面図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る有機発光ディスプレイ装置の製造過程を概略的に示した断面図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る有機発光ディスプレイ装置の製造過程を概略的に示した断面図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る有機発光ディスプレイ装置の製造過程を概略的に示した断面図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る有機発光ディスプレイ装置の製造過程を概略的に示した断面図である。
【図18】前記製造方法により形成された有機発光ディスプレイ装置を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、添付された図面に示した本発明の望ましい実施形態を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。
【0039】
まず、図1ないし図18を参照して、本発明の一実施形態に係る有機発光ディスプレイ装置及びその製造方法を説明する。
【0040】
図1ないし図17は、本実施形態に係る有機発光ディスプレイ装置の製造過程を概略的に示した断面図であり、図18は、前記製造方法により形成された有機発光ディスプレイ装置を概略的に示した断面図である。
【0041】
図1を参照すれば、基板10上にバッファ層11及び半導体層12が順次に形成されている。
【0042】
基板10は、SiOを主成分とする透明材質のガラス材で形成される。基板10上には、基板10の平滑性及び不純元素の浸透の遮断のために、SiO及び/またはSiNxなどを含むバッファ層11がさらに備えられる。
【0043】
バッファ層11及び半導体層12は、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deosition)法、APCVD(Atmospheric Pressure CVD)法、LPCVD(Low Pressure CVD)法など多様な堆積方法により堆積される。
【0044】
バッファ層11上には、半導体層12が堆積される。半導体層12は、非晶質シリコンまたは結晶質シリコンからなることができる。この時、結晶質シリコンは、非晶質シリコンを結晶化して形成されてもよい。非晶質シリコンを結晶化する方法は、RTA(Rapid Thermal Annealing)法、SPC(Solid Phase Crystallzation)法、ELA(Excimer Laser Annealing)法、MIC(Metal Induced Crystallzation)法、MILC(Metal Induced Lateral Crystallzation)法、SLS(Sequential Lateral Solidification)法など多様な方法により結晶化される。
【0045】
図2を参照すれば、半導体層12上に第1フォトレジストP1を塗布し、光遮断部M11及び光透過部M12を備えた第1フォトマスクM1を利用して第1マスク工程を実施する。
【0046】
図2には詳細に示していないが、露光装置(図示せず)で第1フォトマスクM1に露光した後、現像、エッチング及びストリッピングまたはアッシングのような一連の工程を経る。
【0047】
図3を参照すれば、第1フォトマスク工程の結果によって、前記半導体層12はパターニングされて、薄膜トランジスタの活性層212、及びキャパシタの第1電極312になる。
【0048】
図4を参照すれば、図3の構造物上に第1絶縁層13、第1透明導電層14及び第1金属層15が順次に積層される。
【0049】
第1絶縁層13は、SiO、SiNxからなる単層または複層を備え、薄膜トランジスタのゲート絶縁膜及びキャパシタの誘電層の役割を行う。
【0050】
第1透明導電層14は、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zink Oxide)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム(In)、IGO(Indium Galium Oxide)及びAZO(Aluminium Zink Oxide)からなるグループから選択された少なくとも一つ以上を含む。
【0051】
第1金属層15は、Al,Pt,Pd,Ag,Mg,Au,Ni,Nd,Ir,Cr,Li,Ca,Mo,Ti,W,Cuのうち選択された一つ以上の金属を含む。本実施形態において、第1金属層15は、アルミニウムを含む。
【0052】
一方、前記第1金属層15は、多層の金属層15a,15b,15cを備えるが、本実施形態では、Al層15bを中心として上下側のそれぞれにMo層15a,15cが形成された3層構造(Mo/Al/Mo)が採用された。しかし、本発明は、これに限定されず、多様な材料及び多様な層で前記第1金属層15を形成できる。
【0053】
図5を参照すれば、前記第1金属層15上に第2フォトレジストP2を塗布し、光遮断部M21及び光透過部M22を備えた第2フォトマスクM2を利用して第2マスク工程を実施する。
【0054】
図6を参照すれば、第2マスク工程の結果によって、前記第1透明導電層14及び第1金属層15は、それぞれ画素電極の基底層114,115、薄膜トランジスタのゲート電極214,215、及び前記キャパシタの第2電極314,315にパターニングされる。
【0055】
図7を参照すれば、前記第2マスク工程の結果により形成されたゲート電極214,215をセルフアラインマスクとして使用して、活性層212にイオン不純物をドーピングする。その結果、活性層212は、イオン不純物がドーピングされたソース及びドレイン領域212a,212b、その間のチャネル領域212cを備えることになる。すなわち、ゲート電極214,215をセルフアラインマスクとして使用することで、別途のフォトマスクを設けることなく、ソース及びドレイン領域212a,212bを形成できる。
【0056】
図8を参照すれば、前記第2マスク工程の結果の構造物上に第2絶縁層16及び第3フォトレジストP3を塗布し、光遮断部M31及び光透過部M32を備えた第3フォトマスクM3を利用して第3マスク工程を実施する。
【0057】
図9を参照すれば、第3マスク工程の結果によって、第2絶縁層16には、前記画素電極の基底層114,115を開口させる第1開口116a、前記薄膜トランジスタのソース及びドレイン領域212a,212bを露出させるコンタクトホール216a,216b、及び前記キャパシタの第2電極314,315を開口させる第2開口316が形成される。
【0058】
図9は、前記第2絶縁層16に対するエッチング工程後、第1開口116aに露出された画素電極の基底層115、及び第2開口316に露出されたキャパシタの第2電極315をエッチングして除去した状態を示している。
【0059】
一方、前記第1開口116aとコンタクトホール216a,216bとの間に、第2絶縁層16が除去されていない画素電極の第1透明導電層114上には、第1金属層115aが残存する。この第1金属層115aと第2絶縁層16とを貫通するビアホール116bも、前記第3マスク工程で形成される。
【0060】
図10を参照すれば、図9の構造物上に第2金属層17を形成する。
【0061】
第2金属層17は、前記第1金属層15と同様に、Al,Pt,Pd,Ag,Mg,Au,Ni,Nd,Ir,Cr,Li,Ca,Mo,Ti,W,Cuのうち選択された一つ以上の金属を含む。本実施形態において、第2金属層17は、前記第1金属層15と同様にアルミニウムを含む。
【0062】
また、前記第2金属層17は、多層の金属層17a,17b,17cを含むが、本実施形態では、第1金属層15と同様に、Al層17bを中心として上下側のそれぞれにMo層17a,17cが形成された3層構造(Mo/Al/Mo)が採用された。しかし、本発明は、これに限定されず、多様な材料及び多様な層で前記第2金属層17を形成できる。
【0063】
図11を参照すれば、前記第2金属層17上に第4フォトレジストP4を塗布し、光遮断部M41及び光透過部M42を備えた第4フォトマスクM4を利用した第4マスク工程を実施する。
【0064】
図12を参照すれば、画素電極の第1開口116a及びキャパシタの第2開口316上の第2金属層17は除去され、ビアホ―ル116b及びコンタクトホール216a,216bに形成された第2金属層17は、それぞれ画素電極の第1透明導電層114、及びソース及びドレイン領域212a,212bと電気的に接続されて、ソース及びドレイン電極217a,217bを形成する。
【0065】
図13を参照すれば、ゲート電極215が除去されたキャパシタの第1透明導電層314にイオン不純物をドーピングして、半導体層12で形成されたキャパシタの第1電極312の導電性を高めることによって、キャパシタの容量を増加させることができる。
【0066】
図14を参照すれば、図13の構造物上に第3金属層18及び第2透明導電層19を順次に形成する。
【0067】
第3金属層18は、反射物質を含む。本実施形態では、反射物質としてAgを使用したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、反射性質を有する多様な物質が前記第3金属層18に使用可能である。
【0068】
第2透明導電層19は、前述した第1透明導電層14と同様に、ITO,IZO,ZnO,In,IGO及びAZOを含むグループから選択された少なくとも一つ以上を含む。
【0069】
図15を参照すれば、前記第3金属層18及び第2透明導電層19上に第5フォトレジストP5を塗布し、光遮断部M51及び光透過部M52を備えた第5フォトマスクM5を利用した第5マスク工程を実施する。
【0070】
図16を参照すれば、前記第5マスク工程の実施結果、前記第3金属層18及び第2透明導電層19は、画素電極の上部層118,119、ソース電極217aを覆うキャッピング層218a,219a及びドレイン電極217bを覆うキャッピング層218b,219bとなる。
【0071】
画素電極の上部層118,119は、反射物質を含む第3金属層18と第2透明導電層19とで構成されるため、反射物質を含む第3金属層118の厚さを適当に調節することで、光を一部透過または一部反射させる。すなわち、一部透過及び一部反射が可能な画素電極の上部層118,119は、光共振構造を採用する有機発光ディスプレイ装置の半透過ミラーとして使われる。
【0072】
本実施形態において、半透過ミラーとして機能する画素電極の上部層118,119は、前述したゲート電極214,215及び画素電極の基底層114,115を形成する第2マスク工程、画素電極の基底層114,115の一部をエッチングする第3マスク工程、及びソース及びドレイン電極217a,217bを形成する第4マスク工程以後に形成される。すなわち、半透過ミラーとして機能する画素電極の上部層118,119は、第5マスク工程でソース及びドレイン電極のキャッピング層218a,219a,218b,219bの形成時、前記画素電極の基底層114,115を形成する第1透明導電層の上部に形成される。
【0073】
半透過ミラーの機能を行う第3金属層18と第2透明導電層19とを備える画素電極の上部層118,119を、ゲート電極214,215を形成する第2マスク工程で形成したならば、すなわち、ゲート電極の下部層214が第3金属層18と第2透明導電層19とをさらに備えるように形成した場合、ゲート電極の全体の積層厚が厚くなるので、ゲート電極及びゲート電極に連結された配線(図示せず)の形成が不利になる。
【0074】
また、かかる半透過ミラーが画素電極を構成する第1金属層15の下部に形成されれば、画素電極に形成された第1金属層15を除去する第3マスク工程で、半透過ミラーは、前記第1金属層15を除去するためのエッチング液による損傷を受ける。特に、本実施形態のように半透過ミラーがAgを含み、第1金属層15がAlを含む場合、前記半透過ミラーのアルミニウムエッチング液による損傷は深刻となる。
【0075】
また、ソース及びドレイン電極217a,217bを形成する第4マスク工程でも、半透過ミラーは、前記半透過ミラー上に形成される第2金属層17を除去するためのエッチング工程で損傷を受ける。特に、本実施形態のように半透過ミラーがAgを含み、第2金属層17がAlを含む場合、前記半透過ミラーのアルミニウムエッチング液による損傷は深刻となる。
【0076】
しかし、本発明は、ソース及びドレイン電極217a,217bの形成工程後に半透過ミラーを形成することで、ソース及びドレイン電極217a,217bを構成する第2金属層17のエッチング液による半透過ミラーの損傷を防止できる。したがって、半透過ミラーを構成する材料を選択するにおいて自由度が高くなる。
【0077】
また、本発明は、ソース及びドレイン電極217a,217b上にキャッピング層218a,218b,219a,219bを形成することで、キャッピング層218a,218b,219a,219bの厚さ程度、ソース及びドレイン電極217a,217b及びソース及びドレイン電極217a,217bに連結された配線(図示せず)を薄く形成できる。したがって、配線のパターン形成が容易である。また、前記配線は、キャッピング層218a,218b,219a,219bで保護されるため、配線の腐食を抑制して製品の寿命を延長させることができる。
【0078】
また、本発明は、画素電極が半透過ミラーの機能を行えるため、対向電極を反射ミラーで構成して、光共振構造の有機発光ディスプレイ装置を容易に形成できる。本発明に係る光共振構造は、全体的に5回のマスク工程で形成できるため、少ないマスク工程で有機発光ディスプレイ装置を製造できる。
【0079】
一方、図16にはキャパシタの第2電極314が前述した第1透明導電層14のみを備えるものとして示されているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、前記第1透明導電層14を備える第1電極314上に、第3金属層18及び第2透明導電層19がさらに形成され得ることはいうまでもない。
【0080】
図17を参照すれば、画素電極の上部層118,119のエッジ及びソース及びドレイン電極217a,217b上に、画素定義膜(Pixel Define Layer:PDL)を形成する第4絶縁層20が形成される。画素定義膜は、発光領域を定義する役割以外に、画素電極の上部層118,119のエッジと、後述する対向電極22との間隔を広げて、画素電極の上部層118,119のエッジ部分で電界が集中する現象を防止することで、画素電極114,118,119と対向電極22との短絡を防止する役割を行う。
【0081】
前記第4絶縁層20は、有機絶縁膜または無機絶縁膜で形成される。また、第4絶縁層20は、フォトマスクを利用してパターニングするが、本実施形態では、マスク工程の回数を減らすために、インクジェットプリンティングまたはスクリーンプリンティングなどで形成した。
【0082】
図18を参照すれば、画素電極の上部層118,119に、有機発光層21aを備える中間層21及び対向電極22を形成する。
【0083】
有機発光層21aは、低分子または高分子有機物が使われる。
【0084】
有機発光層21aが低分子有機物で形成される場合、中間層21は、有機発光層21aを中心として、画素電極114,118,119の方向にホール輸送層(Hole Transport Layer:HTL)及びホール注入層(Hole Injection Layer:HIL)などが積層され、対向電極22の方向に電子輸送層(Electron Transport Layer:ETL)及び電子注入層(Electron Injection Layer:EIL)などが積層される。その他にも、必要に応じて多様な層が積層される。この時、使用可能な有機材料も、銅フタロシアニン(CuPc)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N′−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)などをはじめとして多様に適用可能である。
【0085】
一方、有機発光層21aが高分子有機物で形成される場合には、中間層21は、有機発光層21aを中心として、画素電極114,118,119の方向にホール輸送層のみが備えられる。ホール輸送層は、ポリ−(2,4)−エチレン−ジヒドロキシチオフェン(PEDOT)やポリアニリン(PANI)などを使用して、インクジェットプリンティングやスピンコーティング法により第1電極層50a,50b,50cの上部に形成できる。この時、使用可能な有機材料として、ポリフェニレンビニレン(PPV)系及びポリフルオレン系などの高分子有機物を使用でき、インクジェットプリンティングやスピンコーティングまたはレーザーを利用した熱転写方式などの通常の方法でカラーパターンを形成できる。
【0086】
このように、有機発光層21aを備える中間層21は、各画素別に、有機発光層21aの厚さや、有機発光層21aを除いた中間層21に備えられた他の有機層(図示せず)の厚さを異にして形成することによって、光共振構造を具現できる。
【0087】
中間層21上には、共通電極として対向電極22が堆積される。本実施形態に係る有機発光ディスプレイ装置の場合、画素電極114,118,119は、アノード電極として使われ、対向電極22は、カソード電極として使われる。電極の極性は、逆に適用され得ることはいうまでもない。
【0088】
そして、対向電極22は、光共振構造を具現するために、反射物質を含む反射電極で構成できる。この時、前記対向電極22は、Al,Mg,Li,Ca,LiF/Ca及びLiF/Alから選択された一つ以上の物質を含む。
【0089】
一方、図18には示していないが、対向電極22上には、外部の水分や酸素などから有機発光層21aを保護するための密封部材(図示せず)及び吸湿剤(図示せず)などがさらに備えられる。
【0090】
本発明は、図面に示した実施形態を参考にして説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想により決まらねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、有機発光ディスプレイ装置関連の技術分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0092】
10 基板
11 バッファ層
12 半導体層
13 第1絶縁層
14 第1透明導電層
15 第1金属層
16 第2絶縁層
17 第2金属層
18 第3金属層
19 第2透明導電層
20 第4絶縁層
21 中間層
21a 有機発光層
22 対向電極
114,118,119 画素電極
212 活性層
212a ソース領域
212b ドレイン領域
212c チャネル領域
214,215 ゲート電極
217a ソース電極
217b ドレイン電極
218a,219a ソース電極のキャッピング層
218b,219b ドレイン電極のキャッピング層
312 キャパシタの第1電極
314 キャパシタの第2電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された薄膜トランジスタの活性層と、
前記活性層及び第1絶縁層上に形成され、第1透明導電層及び第1金属層を備えるゲート電極と、
前記ゲート電極及び第2絶縁層上に形成され、前記第2絶縁層に形成されたコンタクトホールを通じて前記活性層に連結された第2金属層、前記第2金属層上に形成された第3金属層、及び前記第3金属層上に形成された第2透明導電層を備えるソース及びドレイン電極と、
前記第1絶縁層上に形成され、前記第1透明導電層、前記第3金属層、及び前記第2透明導電層を備える画素電極と、
前記画素電極上に配置され、有機発光層を備える中間層と、
前記中間層を挟んで前記画素電極に対向して配置される対向電極と、を備えることを特徴とする有機発光ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記第3金属層は、反射物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記反射物質は、銀を含むことを特徴とする請求項2に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記第1透明導電層及び第2透明導電層は、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zink Oxide)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム(In)、IGO(Indium Galium Oxide)、及びAZO(Aluminium Zink Oxide)からなるグループから選択された少なくとも一つ以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項5】
前記第1金属層及び第2金属層は、多層の金属層を備えることを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項6】
前記第1金属層及び第2金属層は、同じ物質からなることを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項7】
前記第1金属層及び第2金属層は、アルミニウムを含むことを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項8】
前記画素電極の第1透明導電層の端部と、前記第3金属層及び第2透明導電層の端部とは、エッチング面が互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項9】
前記画素電極の第1透明導電層の上部、前記第3金属層の側面、及び前記第2絶縁層の下部に、前記第1金属層が配置されたことを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項10】
前記画素電極の第1透明導電層は、前記第1金属層及び前記第2絶縁層を貫通して形成されたビアホールを通じて、前記ソース及びドレイン電極のうち一つと連結されることを特徴とする請求項9に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項11】
前記活性層と同じ物質を含み、前記活性層と同じ層に形成された第1電極、及び前記第1透明導電層を備え、前記第1絶縁層上に形成された第2電極を備えたキャパシタをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項12】
前記キャパシタの第2電極は、前記第1透明導電層上に、前記第3金属層及び前記第2透明導電層をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項13】
前記画素電極は、前記有機発光層から出射された光を一部透過及び一部反射する半透過ミラーであることを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項14】
前記対向電極は、前記有機発光層から出射された光を反射する反射ミラーであることを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項15】
前記画素電極のエッジを取り囲み、前記ソース及びドレイン電極を覆う画素定義膜をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項16】
基板上に半導体層を形成し、前記半導体層をパターニングして薄膜トランジスタの活性層を形成する第1マスク工程と、
前記活性層上に第1絶縁層、第1透明導電層及び第1金属層を形成し、前記第1透明導電層及び第1金属層をパターニングして、画素電極の基底層及び前記薄膜トランジスタのゲート電極を形成する第2マスク工程と、
前記基底層及びゲート電極上に第2絶縁層を形成し、前記第2絶縁層をパターニングして、前記基底層の第1透明導電層を露出させる第1開口、前記薄膜トランジスタのソース及びドレイン領域を露出させるコンタクトホールを形成する第3マスク工程と、
前記第1開口及び前記コンタクトホール上に第2金属層を形成し、前記第2金属層をパターニングして、前記ソース及びドレイン領域に連結されるソース及びドレイン電極を形成する第4マスク工程と、
前記ソース及びドレイン電極上に第3金属層及び第2透明導電層を形成し、前記第3金属層及び第2透明導電層をパターニングして、前記画素電極の上部層、前記ソース及びドレイン電極のキャッピング層を形成する第5マスク工程と、を含むことを特徴とする有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項17】
前記第2マスク工程後、前記ゲート電極をマスクとして、前記ソース及びドレイン領域にイオン不純物をドーピングすることを特徴とする請求項16に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項18】
前記第3マスク工程は、前記第2絶縁層に前記第1開口及びコンタクトホールを形成する第1エッチング工程、及び前記第1開口に露出された前記画素電極の基底層の第1金属層を除去する第2エッチング工程を含むことを特徴とする請求項16に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項19】
前記第3マスク工程は、前記基底層の第1金属層及び前記第2絶縁層を貫通するビアホールを形成することをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項20】
前記第4マスク工程において、前記ソース及びドレイン電極は、前記コンタクトホール及び前記ビアホール上に同時に形成されることを特徴とする請求項19に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項21】
前記第5マスク工程後、前記画素電極の上部層を露出させ、前記ソース及びドレイン電極のキャッピング層を覆う第4絶縁膜を形成することを特徴とする請求項16に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項22】
前記第4絶縁膜の形成は、マスク工程を使用しないことを特徴とする請求項21に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項23】
前記画素電極の上部層に有機発光層を備える中間層、及び前記中間層上に対向電極をさらに形成することを特徴とする請求項16に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項24】
前記第3金属層は、反射物質を含み、前記画素電極の上部層は、光を一部透過及び一部反射する半透過ミラーで形成されることを特徴とする請求項16に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項25】
前記第1マスク工程において、前記活性層と同じ物質で同じ層にキャパシタの第1電極を形成し、前記第2マスク工程において、前記第1透明導電層でキャパシタの第2電極を形成することを特徴とする請求項16に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項26】
前記第3マスク工程後、前記キャパシタの第1電極にイオン不純物をドーピングすることを特徴とする請求項25に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−49126(P2012−49126A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173749(P2011−173749)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】