説明

有機電界効果型トランジスタ

【課題】溶媒に可溶であり、所謂ウエット・プロセスによって成膜可能である有機半導体分子からチャネル形成領域が構成された有機電界効果型トランジスタを提供する。
【解決手段】有機電界効果型トランジスタは、ゲート電極12、ゲート絶縁層13、チャネル形成領域14及びソース/ドレイン領域15から構成されており、チャネル形成領域14は、4デバイ以上の永久双極子モーメントを有するように化学修飾された有機半導体分子から成り、有機半導体分子を化学修飾する置換基は、好ましくは、電子吸引基である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャネル形成領域が有機半導体分子から成る有機電界効果型トランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多くの電子機器に用いられている薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor,TFT)を含む電界効果型トランジスタ(FET)は、例えば、シリコン半導体基板あるいはシリコン半導体層に形成されたチャネル形成領域及びソース/ドレイン領域、シリコン半導体基板表面あるいはシリコン半導体層表面に形成されたSiO2から成るゲート絶縁層、並びに、ゲート絶縁層を介してチャネル形成領域に対向して設けられたゲート電極から構成されている。あるいは又、支持体上に形成されたゲート電極、ゲート電極上を含む支持体上に形成されたゲート絶縁層、並びに、ゲート絶縁層上に形成されたチャネル形成領域及びソース/ドレイン領域から構成されている。そして、これらの構造を有する電界効果型トランジスタの作製には、非常に高価な半導体製造装置が使用されており、製造コストの低減が強く要望されている。
【0003】
そこで、近年、スピンコート法、印刷法、スプレー法に例示される真空技術を用いない方法に基づき製造が可能な有機半導体材料を用いたFETの研究、開発に注目が集まっており、その性能も実用化レベルまであと一歩というところまで到達している。
【0004】
【非特許文献1】H. Klauk et al., J. Appl. Phys. 92, 5259 (2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、現在、有機トランジスタのチャネル形成領域を構成する材料(有機半導体分子)として、縮合芳香族化合物である2,3,6,7−ジベンゾアントラセン(ペンタセンとも呼ばれる)が最良の性能を示すことが報告されている(例えば、H. Klauk et al., J. Appl. Phys. 92, 5259 (2002) 参照)。しかしながら、ペンタセンは溶媒に不溶であるが故に、トランジスタ作製のためには、高真空下でペンタセンを昇華させて支持体等の下地に蒸着させるというプロセスが必要であり、大型で高価な装置が必要とされる。従って、現在の所、シリコンを用いたFETを製造するプロセスと比較して、ペンタセンといった有機半導体分子を用いるメリットが少ない。
【0006】
それ故、溶媒に可溶であり、スピンコート法、印刷法、スプレー法に例示される真空技術を用いない方法、即ち、所謂ウエット・プロセスに基づき形成、成膜が可能な有機半導体分子(有機半導体材料)であって、しかも、ペンタセンと同程度あるいはそれ以上の特性を有する有機半導体分子(有機半導体材料)が強く求められている。
【0007】
従って、本発明の目的は、溶媒に可溶であり、所謂ウエット・プロセスに基づき形成、成膜が可能である有機半導体分子(有機半導体材料)からチャネル形成領域が構成された有機電界効果型トランジスタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様〜第10の態様に係る有機電界効果型トランジスタは、ゲート電極、ゲート絶縁層、チャネル形成領域、及び、ソース/ドレイン電極から構成された有機電界効果型トランジスタである。
【0009】
そして、本発明の第1の態様に係る有機電界効果型トランジスタにおいては、チャネル形成領域は、4デバイ以上の永久双極子モーメントを有するように化学修飾された有機半導体分子から成ることを特徴とする。尚、有機半導体分子を化学修飾する置換基を、電子吸引基とすることが好ましい。
【0010】
本発明の第2の態様に係る有機電界効果型トランジスタにおいては、チャネル形成領域を構成する有機半導体分子が、
(A)テトラ・カルコゲノ・フルバレン骨格を有し、
(B)分子構造中央に位置する二重結合に対して非対称な構造を有し、且つ、
(C)末端の一方は、電子吸引基で置換されている、
ことを特徴とする。
【0011】
テトラ・カルコゲノ・フルバレン骨格は、カルコゲン原子によって構成されており、一般に、カルコゲン原子とは、O(酸素)、S(硫黄)、Se(セレン)、Te(テルル)、Po(ポロニウム)を指すが、本明細書においては、カルコゲン原子とは、O(酸素)、S(硫黄)、Se(セレン)及びTe(テルル)から成る群から選択された1種類の原子であると定義する。
【0012】
本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る有機電界効果型トランジスタにあっては、チャネル形成領域を構成する有機半導体分子の電子吸引基で置換された末端と反対側の末端は、アルキル基で置換されていることが好ましい。あるいは又、電子吸引基で置換された末端と反対側の末端は、閉環構造であっても開環構造であってもよく、閉環構造である場合、五員環、ベンゼン環、七員環を例示することができる。
【0013】
本発明の第3の態様に係る有機電界効果型トランジスタにあっては、チャネル形成領域は、式(1)の構造を有する有機半導体分子から成ることを特徴とし、
本発明の第4の態様に係る有機電界効果型トランジスタにあっては、チャネル形成領域は、式(2)の構造を有する有機半導体分子から成ることを特徴とし、
本発明の第5の態様に係る有機電界効果型トランジスタにあっては、チャネル形成領域は、式(3)の構造を有する有機半導体分子から成ることを特徴とし、
本発明の第6の態様に係る有機電界効果型トランジスタにあっては、チャネル形成領域は、式(4)の構造を有する有機半導体分子から成ることを特徴とし、
本発明の第7の態様に係る有機電界効果型トランジスタにあっては、チャネル形成領域は、式(5)の構造を有する有機半導体分子から成ることを特徴とし、
本発明の第8の態様に係る有機電界効果型トランジスタにあっては、チャネル形成領域は、式(6)の構造を有する有機半導体分子から成ることを特徴とし、
本発明の第9の態様に係る有機電界効果型トランジスタにあっては、チャネル形成領域は、式(7)の構造を有する有機半導体分子から成ることを特徴とし、
本発明の第10の態様に係る有機電界効果型トランジスタにあっては、チャネル形成領域は、式(8)の構造を有する有機半導体分子から成ることを特徴とする。
【0014】
ここで、Xは、硫黄原子、セレン原子、テルル原子及び酸素原子から成る群から選択された原子(カルコゲン原子)であり、Ewは電子吸引基であり、Rはアルキル基又は水素原子であり、R1,R2はアルキル基又は水素原子である。尚、R1とR2は同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる2種類の電子吸引基から有機半導体分子を構成することもできる。
【0015】

【0016】

【0017】

【0018】

【0019】

【0020】

【0021】

【0022】

【0023】
本発明の第1の態様〜第10の態様に係る有機電界効果型トランジスタ(以下、これらを総称して、単に、本発明の有機電界効果型トランジスタと呼ぶ場合がある)において、電子吸引基(電子説において共鳴効果や誘起効果によって相手から電子をひきつける原子団を指し、電子受容性基とも呼ばれる)は、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO2)、アルデヒド基(−CHO)、チオシアン酸基(−S−C≡N)、カルボン酸基(−COOH)、カルボン酸アルキル基(−COOR)、及び、フッ化アルキル基から成る群から選択された少なくとも1種類の置換基であることが好ましい。
【0024】
上述した有機半導体分子は、一般的に、以下に示す合成経路Aによって、極性基を持つ部位(図1の(1)〜(6)に示す極性基を持つ部位の合成経路を参照)と持たない部位(図2の(A)〜(H)に示す極性基を持たない部位の合成経路を参照)とのクロスカップリング反応によって合成される。これらの組み合わせによって、非対称に極性基によって置換されたテトラ・カルコゲノ・フルバレン骨格を持つ6×8=48種の化合物を示すことができる。但し、ニトロ基を持つ分子に関しては、一般的に、以下に示す合成経路Bに基づき、クロスカップリング反応によって無置換体を合成した後に極性基を修飾する。
【0025】

【0026】
本発明の有機電界効果型トランジスタの構造として、具体的には、以下の4種類の構造を例示することができる。尚、本発明の有機電界効果型トランジスタにおいて、チャネル形成領域の延在部をチャネル形成領域延在部と呼ぶ場合がある。
【0027】
即ち、第1の構造を有する有機電界効果型トランジスタは、所謂ボトムゲート/トップコンタクト型であり、
(a)支持体上に形成されたゲート電極、
(b)ゲート電極及び支持体上に形成されたゲート絶縁層、
(c)ゲート絶縁層上に形成されたチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部、並びに、
(d)チャネル形成領域延在部上に形成されたソース/ドレイン電極、
を備えている。
【0028】
また、第2の構造を有する有機電界効果型トランジスタは、所謂ボトムゲート/ボトムコンタクト型であり、
(a)支持体上に形成されたゲート電極、
(b)ゲート電極及び支持体上に形成されたゲート絶縁層、
(c)ゲート絶縁層上に形成されたソース/ドレイン電極、並びに、
(d)ソース/ドレイン電極の間のゲート絶縁層の部分の上に形成されたチャネル形成領域、
を備えている。
【0029】
更には、第3の構造を有する有機電界効果型トランジスタは、所謂トップゲート/トップコンタクト型であり、
(a)支持体上に形成されたチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部、
(b)チャネル形成領域延在部上に形成されたソース/ドレイン電極、
(c)ソース/ドレイン電極及びチャネル形成領域上に形成されたゲート絶縁層、並びに、
(d)ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極、
を備えている。
【0030】
また、第4の構造を有する有機電界効果型トランジスタは、所謂トップゲート/ボトムコンタクト型であり、
(a)支持体上に形成されたソース/ドレイン電極、
(b)ソース/ドレイン電極の間の支持体の部分の上に形成されたチャネル形成領域、
(c)チャネル形成領域上に形成されたゲート絶縁層、並びに、
(d)ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極、
を備えている。
【0031】
本発明の有機電界効果型トランジスタにおいては、チャネル形成領域を、所謂ウエット・プロセスに基づき形成することが好ましい。ここで、ウエット・プロセスとして、スピンコート法;スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法といった各種印刷法;エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、ナイフコーター法、スクイズコーター法、リバースロールコーター法、トランスファーロールコーター法、グラビアコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプレーコーター法、スリットオリフィスコーター法、カレンダーコーター法といった各種コーティング法;浸漬法;キャスティング法;及びスプレー法の内のいずれかを挙げることができる。場合によっては、真空蒸着法やスパッタリング法に例示される物理的気相成長法(PVD法)に基づき、チャネル形成領域を形成することもできる。
【0032】
また、本発明の有機電界効果型トランジスタにおいて、ゲート絶縁層を構成する材料として、酸化ケイ素系材料、窒化ケイ素(SiNY)、Al23、金属酸化物高誘電絶縁膜にて例示される無機系絶縁材料だけでなく、ポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリビニルフェノール(PVP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリカーボネート(PC)、ポリイミドにて例示される有機系絶縁材料を挙げることができるし、これらの組み合わせを用いることもできる。尚、酸化ケイ素系材料として、二酸化シリコン(SiO2)、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、酸化窒化シリコン(SiON)、SOG(スピンオングラス)、低誘電率SiOX系材料(例えば、ポリアリールエーテル、シクロパーフルオロカーボンポリマー及びベンゾシクロブテン、環状フッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化アリールエーテル、フッ化ポリイミド、アモルファスカーボン、有機SOG)を例示することができる。
【0033】
ゲート絶縁層の形成方法として、上述した各種印刷法;上述した各種コーティング法;浸漬法;キャスティング法;スピンコート法;スプレー法;各種CVD法;及び、各種PVD法の内のいずれかを挙げることができる。ここで、PVD法として、(a)電子ビーム加熱法、抵抗加熱法、フラッシュ蒸着等の各種真空蒸着法、(b)プラズマ蒸着法、(c)2極スパッタリング法、直流スパッタリング法、直流マグネトロンスパッタリング法、高周波スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、バイアススパッタリング法等の各種スパッタリング法、(d)DC(direct current)法、RF法、多陰極法、活性化反応法、電界蒸着法、高周波イオンプレーティング法、反応性イオンプレーティング法等の各種イオンプレーティング法を挙げることができる。
【0034】
あるいは又、ゲート絶縁層は、ゲート電極の表面を酸化あるいは窒化することによって形成することができるし、ゲート電極の表面に酸化膜や窒化膜を成膜することで得ることもできる。ゲート電極の表面を酸化する方法として、ゲート電極を構成する材料にも依るが、熱酸化法、O2プラズマを用いた酸化法、陽極酸化法を例示することができる。また、ゲート電極の表面を窒化する方法として、ゲート電極を構成する材料にも依るが、N2プラズマを用いた窒化法を例示することができる。あるいは又、例えば、金(Au)からゲート電極を構成する場合、一端をメルカプト基で修飾された直鎖状炭化水素のように、ゲート電極と化学的に結合を形成し得る官能基を有する絶縁性分子によって、浸漬法等の方法で自己組織的にゲート電極表面を被覆することで、ゲート電極の表面にゲート絶縁層を形成することもできる。
【0035】
更には、本発明の有機電界効果型トランジスタにおいて、ゲート電極やソース/ドレイン電極、各種の配線を構成する材料として、白金(Pt)、金(Au)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ネオジム(Nd)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、銅(Cu)、ルビジウム(Rb)、ロジウム(Rh)、チタン(Ti)、インジウム(In)、錫(Sn)等の金属、あるいは、これらの金属元素を含む合金、これらの金属から成る導電性粒子、これらの金属を含む合金の導電性粒子、ポリシリコン、アモルファスシリコン、錫酸化物、酸化インジウム、インジウム・錫酸化物(ITO)を挙げることができるし、これらの元素を含む層の積層構造とすることもできる。更には、ゲート電極やソース/ドレイン電極を構成する材料として、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸[PEDOT/PSS]といった有機材料を挙げることもできる。
【0036】
ソース/ドレイン電極やゲート電極の形成方法として、これらを構成する材料にも依るが、スピンコート法;各種導電性ペーストや各種導電性高分子溶液を用いた上述の各種印刷法;上述した各種コーティング法;リフトオフ法;シャドウマスク法;電解メッキ法や無電解メッキ法あるいはこれらの組合せといったメッキ法;スプレー法;上述した各種のPVD法;及び、MOCVD法を含む各種のCVD法の内のいずれか、あるいは、更には必要に応じてパターニング技術との組合せを挙げることができる。
【0037】
本発明の有機電界効果型トランジスタにおいて、支持体として、各種のガラス基板や、表面に絶縁層が形成された各種ガラス基板、石英基板、表面に絶縁層が形成された石英基板、表面に絶縁層が形成されたシリコン基板を挙げることができる。更には、支持体として、ポリエーテルスルホン(PES)やポリイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(ポリメタクリル酸メチル,PMMA)やポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルフェノール(PVP)に例示される高分子材料から構成されたプラスチック・フィルムやプラスチック・シート、プラスチック基板を挙げることができ、このような可撓性を有する高分子材料から構成された支持体を使用すれば、例えば曲面形状を有するディスプレイ装置や電子機器への有機電界効果型トランジスタの組込みあるいは一体化が可能となる。支持体として、その他、導電性基板(金等の金属、高配向性グラファイトから成る基板)を挙げることができる。また、本発明の有機電界効果型トランジスタにおいて、有機電界効果型トランジスタの構成、構造によっては、有機電界効果型トランジスタが支持部材上に設けられている場合もあるが、このような場合における支持部材も上述した材料から構成することができる。
【0038】
本発明の有機電界効果型トランジスタを、ディスプレイ装置や各種の電子機器に適用、使用する場合、支持体に多数の有機電界効果型トランジスタを集積したモノリシック集積回路としてもよいし、各有機電界効果型トランジスタを切断して個別化し、ディスクリート部品として使用してもよい。また、有機電界効果型トランジスタを樹脂にて封止してもよい。
【発明の効果】
【0039】
本発明の有機電界効果型トランジスタにおいて、チャネル形成領域は4デバイ以上の永久双極子モーメントを有するように化学修飾された有機半導体分子から成り、あるいは又、チャネル形成領域を構成する有機半導体分子は、(A)テトラ・カルコゲノ・フルバレン骨格を有し、(B)分子構造中央に位置する二重結合に対して非対称な構造を有し、且つ、(C)末端の一方は、電子吸引基で置換されており、あるいは又、チャネル形成領域は、式(1)乃至式(8)の構造を有する有機半導体分子から成るが、係る有機半導体分子は、溶媒に対して高い溶解性を有しており、各種のウエット・プロセスに基づき有機電界効果型トランジスタのチャネル形成領域を容易に形成することが可能となる。
【0040】
ところで、溶解性の向上のみを目的として有機半導体分子にアルキル鎖を導入した場合、有機半導体分子間における相互作用の次元性が低下したり、有機半導体分子間における相互作用の強度が弱められる。即ち、アルキル鎖を導入した場合、有機半導体分子の配列状態に乱れが生じる結果、例えば、有機半導体分子間におけるπ電子共役に低下が生じ、有機半導体分子の導電率が著しく低下する虞がある。然るに、本発明の有機電界効果型トランジスタにおいて、極性が大きく、且つ、他の置換基との相互作用が可能であるような置換基を有機半導体分子を化学修飾する置換基(例えば、電子吸引基)として導入すれば、溶媒への溶解性を向上させることができるだけでなく、この置換基によって導入された分子自身の極性と下地との相互作用により、下地、例えば、SiOXや金属酸化物から成る極性を有する下地への濡れ性が向上する結果、成膜性が向上する。また、有機半導体分子の配列状態に乱れが生じることが無く、あるいは又、少ないので、例えば、有機半導体分子間におけるπ電子共役に低下が生じたり、有機半導体分子の導電率が著しく低下するといった現象が生じ難い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
【実施例1】
【0042】
実施例1は、本発明の第1の態様、第2の態様、及び、第3の態様に係る有機電界効果型トランジスタに関する。即ち、実施例1の有機電界効果型トランジスタは、ゲート電極12、ゲート絶縁層13、チャネル形成領域14、及び、ソース/ドレイン電極15から構成されており、より具体的には、図9の(A)に模式的な一部断面図を示すように、所謂ボトムゲート/トップコンタクト型の実施例1の有機電界効果型トランジスタは、
(a)支持体10,11上に形成され、金薄膜から成るゲート電極12、
(b)ゲート電極12及び支持体10,11上に形成され、厚さ0.3μmのSiO2から成るゲート絶縁層13、
(c)ゲート絶縁層13上に形成され、厚さ0.13μmのチャネル形成領域14及びチャネル形成領域延在部14A、並びに、
(d)チャネル形成領域延在部14A上に形成され、厚さ0.1μmの金薄膜から成るソース/ドレイン電極15、
を備えている。尚、支持体10,11は、ガラス基板から成る基板10、及び、その表面に形成されたSiO2から成る絶縁膜11から構成されており、ゲート電極12及びゲート絶縁層13は、より具体的には、絶縁膜11上に形成されている。
【0043】
そして、チャネル形成領域14は、4デバイ以上の永久双極子モーメントを有するように化学修飾された有機半導体分子から成る。ここで、有機半導体分子を化学修飾する置換基は、電子吸引基である。尚、このようなチャネル形成領域14の構成、構造は、後述する実施例2〜実施例9においても同様である。
【0044】
あるいは又、チャネル形成領域14を構成する有機半導体分子は、
(A)テトラ・カルコゲノ・フルバレン骨格を有し、
(B)分子構造中央に位置する二重結合に対して非対称な構造を有し、且つ、
(C)末端の一方は、電子吸引基で置換されている。
ここで、このようなチャネル形成領域14の構成、構造は、後述する実施例2〜実施例9においても同様である。
【0045】
あるいは又、チャネル形成領域14は、式(1)の構造(但し、Xは、硫黄原子、セレン原子、テルル原子及び酸素原子から成る群から選択された原子であり、Ewは電子吸引基であり、Rはアルキル基又は水素原子である)を有する有機半導体分子から成る。尚、実施例1にあっては、より具体的には、カルコゲン原子「X」は硫黄(S)原子であり、「R」は水素原子であり、MDT−DCM−TTFと称される。
【0046】

【0047】
種々の電子吸引基Ewにおける永久双極子モーメントの計算結果を、表2に示す。また、参考のために、式(1)において、電子吸引基EwをCH3に置き換えた場合の、それぞれの永久双極子モーメントの計算結果を、比較例1として、表3に示す。尚、永久双極子モーメントの計算は、MOPAC(PM3)を用い、雰囲気を真空とした条件で行った。
【0048】
電子吸引基Ewがカルボン酸メチル(−COOMe)である実施例1における有機半導体分子は、図1の(3)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(C)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができる。
【0049】
こうして得られた有機半導体分子、MDT−DCM−TTFのクロロホルムに対する溶解度は、20ミリグラム/ミリリットル以上であった。また、こうして得られたMDT−DCM−TTFのクロロホルム溶液を用いてスピンコート法といったコーティング法に基づき形成されたチャネル形成領域を有する有機電界効果型トランジスタのテスト品(図3の模式的な一部断面図を参照)の移動度は、4×10-3cm2・V-1・秒-1であり、オン/オフ比は104以上であった。ここで、図3に示した有機電界効果型トランジスタのテスト品におけるゲート電極は、高濃度にドープされたシリコン半導体基板から成り、ゲート絶縁層は、シリコン半導体基板の表面を酸化して得られた厚さ100nmのSiO2から成り、ソース/ドレイン電極は、Crから成る厚さ5nmの密着層(図示せず)上に形成された厚さ50nmのAu層から成る。尚、図3に示した有機電界効果型トランジスタのテスト品のゲート電圧を変化させたときのドレイン電圧とドレイン電流の関係を図4に示し、動作特性を図5に示す。また、有機電界効果型トランジスタのテスト品におけるチャネル形成領域の薄膜X線回折でおいては、図6に示すように、明瞭なピークが観測され、分子極性の存在によりスピンコートによってSiO2から成るゲート絶縁層上に自己組織的に配列した有機半導体膜が形成されていることが確認された。
【0050】
以下、実施例1のボトムゲート/トップコンタクト型のTFTの製造方法の概要を説明する。
【0051】
[工程−100]
先ず、支持体(ガラス基板10、及び、その表面にSiO2から成る絶縁膜11が形成されている)上にゲート電極12を形成する。具体的には、絶縁膜11上に、ゲート電極12を形成すべき部分が除去されたレジスト層(図示せず)を、リソグラフィ技術に基づき形成する。その後、密着層としてのチタン(Ti)層(図示せず)、及び、ゲート電極12としての金(Au)層を、順次、真空蒸着法にて全面に成膜し、その後、レジスト層を除去する。こうして、所謂リフトオフ法に基づき、ゲート電極12を得ることができる。
【0052】
[工程−110]
次に、ゲート電極12を含む支持体(絶縁膜11)上にゲート絶縁層13を形成する。具体的には、SiO2から成るゲート絶縁層13を、スパッタリング法に基づきゲート電極12及び絶縁膜11上に形成する。ゲート絶縁層13の成膜を行う際、ゲート電極12の一部をハードマスクで覆うことによって、ゲート電極12の取出部(図示せず)をフォトリソグラフィ・プロセス無しで形成することができる。
【0053】
[工程−120]
次に、ゲート絶縁層13上に、チャネル形成領域14及びチャネル形成領域延在部14Aを形成する。具体的には、先に説明した有機半導体分子から、スピンコート法といったウエット・プロセスに基づき、チャネル形成領域14及びチャネル形成領域延在部14Aをゲート絶縁層13上に形成することができる。
【0054】
[工程−130]
その後、チャネル形成領域延在部14Aの上に、チャネル形成領域14を挟むようにソース/ドレイン電極15を形成する。具体的には、全面に、密着層としてのチタン(Ti)層(図示せず)、及び、ソース/ドレイン電極15としての金(Au)層を、順次、真空蒸着法に基づき形成する。こうして、図9の(A)に示した構造を得ることができる。ソース/ドレイン電極15の成膜を行う際、チャネル形成領域延在部14Aの一部をハードマスクで覆うことによって、ソース/ドレイン電極15をフォトリソグラフィ・プロセス無しで形成することができる。
【0055】
[工程−140]
最後に、全面にパッシベーション膜である絶縁層(図示せず)を形成し、ソース/ドレイン電極15の上方の絶縁層に開口部を形成し、開口部内を含む全面に配線材料層を形成した後、配線材料層をパターニングすることによって、ソース/ドレイン電極15に接続された配線(図示せず)が絶縁層上に形成された、ボトムゲート/トップコンタクト型の有機電界効果型トランジスタを得ることができる。
【0056】
尚、有機電界効果型トランジスタは、図9の(A)に示した所謂ボトムゲート/トップコンタクト型に限定されず、その他、所謂ボトムゲート/ボトムコンタクト型、所謂トップゲート/トップコンタクト型、所謂トップゲート/ボトムコンタクト型とすることもできる。
【0057】
図9の(B)に模式的な一部断面図を示す、所謂ボトムゲート/ボトムコンタクト型の有機電界効果型トランジスタは、
(a)支持体10,11上に形成されたゲート電極12、
(b)ゲート電極12及び支持体10,11上に形成されたゲート絶縁層13、
(c)ゲート絶縁層13上に形成されたソース/ドレイン電極15、並びに、
(d)ソース/ドレイン電極15の間のゲート絶縁層13の部分の上に形成されたチャネル形成領域14、
を備えている。
【0058】
以下、ボトムゲート/ボトムコンタクト型のTFTの製造方法の概要を説明する。
【0059】
[工程−200]
先ず、[工程−100]と同様にして、支持体(絶縁膜11)上にゲート電極12を形成した後、[工程−110]と同様にして、ゲート電極12及び絶縁膜11上にゲート絶縁層13を形成する。
【0060】
[工程−210]
次に、ゲート絶縁層13の上に金(Au)層から成るソース/ドレイン電極15を形成する。具体的には、ゲート絶縁層13上に、ソース/ドレイン電極15を形成すべき部分が除去されたレジスト層をリソグラフィ技術に基づき形成する。そして、[工程−100]と同様にして、レジスト層及びゲート絶縁層13上に、密着層としてのチタン(Ti)層(図示せず)、及び、ソース/ドレイン電極15としての金(Au)層を、順次、真空蒸着法にて成膜し、その後、レジスト層を除去する。こうして、所謂リフトオフ法に基づき、ソース/ドレイン電極15を得ることができる。
【0061】
[工程−220]
その後、[工程−120]と同様の方法に基づき、ソース/ドレイン電極15の間のゲート絶縁層13の部分の上にチャネル形成領域14を形成する。こうして、図9の(B)に示した構造を得ることができる。
【0062】
[工程−230]
最後に、[工程−140]と同様の工程を実行することで、ボトムゲート/ボトムコンタクト型の有機電界効果型トランジスタを得ることができる。
【0063】
図10の(A)に模式的な一部断面図を示す、所謂トップゲート/トップコンタクト型の有機電界効果型トランジスタは、
(a)支持体10,11上に形成されたチャネル形成領域14及びチャネル形成領域延在部14A、
(b)チャネル形成領域延在部14A上に形成されたソース/ドレイン電極15、
(c)ソース/ドレイン電極15及びチャネル形成領域14上に形成されたゲート絶縁層13、並びに、
(d)ゲート絶縁層13上に形成されたゲート電極12、
を備えている。
【0064】
以下、トップゲート/トップコンタクト型のTFTの製造方法の概要を説明する。
【0065】
[工程−300]
先ず、支持体(ガラス基板10、及び、その表面にSiO2から成る絶縁膜11が形成されている)上に、[工程−120]と同様の方法に基づき、チャネル形成領域14及びチャネル形成領域延在部14Aを形成する。
【0066】
[工程−310]
次いで、チャネル形成領域延在部14A上に、チャネル形成領域14を挟むようにソース/ドレイン電極15を形成する。具体的には、全面に、密着層としてのチタン(Ti)層(図示せず)、及び、ソース/ドレイン電極15としての金(Au)層を、順次、真空蒸着法に基づき形成する。ソース/ドレイン電極15の成膜を行う際、チャネル形成領域延在部14Aの一部をハードマスクで覆うことによって、ソース/ドレイン電極15をフォトリソグラフィ・プロセス無しで形成することができる。
【0067】
[工程−320]
次いで、ソース/ドレイン電極15及びチャネル形成領域14上に、ゲート絶縁層13を形成する。具体的には、PVAをスピンコーティング法にて全面に成膜することで、ゲート絶縁層13を得ることができる。
【0068】
[工程−330]
その後、ゲート絶縁層13上にゲート電極12を形成する。具体的には、密着層としてのチタン(Ti)層(図示せず)、及び、ゲート電極12としての金(Au)層を、順次、真空蒸着法にて全面に成膜する。こうして、図10の(A)に示した構造を得ることができる。ゲート電極12の成膜を行う際、ゲート絶縁層13の一部をハードマスクで覆うことによって、ゲート電極12をフォトリソグラフィ・プロセス無しで形成することができる。最後に、[工程−140]と同様の工程を実行することで、トップゲート/トップコンタクト型の有機電界効果型トランジスタを得ることができる。
【0069】
図10の(B)に模式的な一部断面図を示す、所謂トップゲート/ボトムコンタクト型の有機電界効果型トランジスタは、
(a)支持体10,11上に形成されたソース/ドレイン電極15、
(b)ソース/ドレイン電極15の間の支持体10,11の部分の上に形成されたチャネル形成領域14、
(c)チャネル形成領域14上に形成されたゲート絶縁層13、並びに、
(d)ゲート絶縁層13上に形成されたゲート電極12、
を備えている。
【0070】
以下、トップゲート/ボトムコンタクト型のTFTの製造方法の概要を説明する。
【0071】
[工程−400]
先ず、支持体(ガラス基板10、及び、その表面にSiO2から成る絶縁膜11が形成されている)上に、ソース/ドレイン電極15を形成する。具体的には、絶縁膜11上に、密着層としてのチタン(Ti)層(図示せず)、ソース/ドレイン電極15としての金(Au)層を真空蒸着法に基づき形成する。ソース/ドレイン電極15の成膜を行う際、支持体(絶縁膜11)の一部をハードマスクで覆うことによって、ソース/ドレイン電極15をフォトリソグラフィ・プロセス無しで形成することができる。
【0072】
[工程−410]
その後、ソース/ドレイン電極15の間の支持体(絶縁膜11)上に、[工程−120]と同様の方法に基づき、チャネル形成領域14を形成する。実際には、ソース/ドレイン電極15の上にチャネル形成領域延在部14Aが形成される。
【0073】
[工程−420]
次に、ソース/ドレイン電極15及びチャネル形成領域14上に(実際には、チャネル形成領域14及びチャネル形成領域延在部14A上に)、[工程−320]と同様にして、ゲート絶縁層13を形成する。
【0074】
[工程−430]
その後、[工程−330]と同様にして、ゲート絶縁層13上にゲート電極12を形成する。こうして、図10の(B)に示した構造を得ることができる。最後に、[工程−140]と同様の工程を実行することで、トップゲート/ボトムコンタクト型の有機電界効果型トランジスタを得ることができる。
【0075】
尚、以下に説明する実施例2〜実施例9における有機電界効果型トランジスタも、ボトムゲート/トップコンタクト型、ボトムゲート/ボトムコンタクト型、トップゲート/トップコンタクト型、トップゲート/ボトムコンタクト型の有機電界効果型トランジスタのいずれかとすることができるし、上述した方法に基づき製造することができる。
【実施例2】
【0076】
実施例2は、実施例1の変形である。実施例2にあっても、チャネル形成領域14は、式(1)の構造を有する有機半導体分子(但し、カルコゲン原子「X」は硫黄(S)原子であり、「R」は水素原子であり、MDT−DC−TTFと称される有機半導体分子)であり、実施例2にあっては、電子吸引基Ewはシアノ基(−CN)である。このような有機半導体分子は、図1の(2)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(C)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができる。
【0077】
このMDT−DC−TTFの単結晶X線構造解析を行い決定した結晶構造を図7に示し、結晶構造を基に計算したHOMOバンド構造を図8に示す。結晶学的データは、以下の表1のとおりである。結晶構造及びバンド構造から明らかなように、この物質は(001)面内で2次元的なHOMOバンド構造を有している。
【0078】
[表1]
晶系:単斜晶系 P21/n
a = 8.7571(15)Å
b = 5.7798(10)Å
c =23.310(3) Å
β =96.579(2)度
V =1172.0(3)Å3
Z =4
R =0.04852
【0079】
尚、図1の(1)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(C)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき有機半導体分子を合成することもできるし、図1の(4)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(C)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき有機半導体分子を合成することもできるし、図1の(5)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(C)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき有機半導体分子を合成することもできるし、図1の(6)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(C)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき有機半導体分子を合成することもできる。
【実施例3】
【0080】
実施例3は、本発明の第1の態様、第2の態様、及び、第4の態様に係る有機電界効果型トランジスタに関する。
【0081】
実施例3にあっては、チャネル形成領域14は、式(2)の構造(但し、Xは、硫黄原子、セレン原子、テルル原子及び酸素原子から成る群から選択された原子であり、Ewは電子吸引基であり、Rはアルキル基又は水素原子である)を有する有機半導体分子から成る。尚、実施例3にあっては、より具体的には、カルコゲン原子「X」は硫黄(S)原子であり、「R」は水素原子である。
【0082】

【0083】
種々の電子吸引基Ewにおける永久双極子モーメントの計算結果を、表2に示す。また、参考のために、式(2)において、電子吸引基EwをCH3に置き換えた場合の、それぞれの永久双極子モーメントの計算結果を、比較例3として表3に示す。
【0084】
実施例3における有機半導体分子は、図1の(1)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(D)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(2)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(D)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(3)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(D)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(4)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(D)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(5)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(D)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(6)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(D)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができる。
【実施例4】
【0085】
実施例4は、本発明の第1の態様、第2の態様、及び、第5の態様に係る有機電界効果型トランジスタに関する。
【0086】
実施例4にあっては、チャネル形成領域14は、式(3)の構造(但し、Xは、硫黄原子、セレン原子、テルル原子及び酸素原子から成る群から選択された原子であり、Ewは電子吸引基であり、Rはアルキル基又は水素原子である)を有する有機半導体分子から成る。尚、実施例4にあっては、より具体的には、カルコゲン原子「X」は硫黄(S)原子であり、「R」は水素原子である。
【0087】

【0088】
種々の電子吸引基Ewにおける永久双極子モーメントの計算結果を、表2に示す。また、参考のために、式(3)において、電子吸引基EwをCH3に置き換えた場合の、それぞれの永久双極子モーメントの計算結果を、比較例4として、表3に示す。
【0089】
実施例4における有機半導体分子は、図1の(1)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(E)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(2)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(E)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(3)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(E)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(4)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(E)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(5)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(E)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(6)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(E)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができる。
【実施例5】
【0090】
実施例5は、本発明の第1の態様、第2の態様、及び、第6の態様に係る有機電界効果型トランジスタに関する。
【0091】
実施例5にあっては、チャネル形成領域14は、式(4)の構造(但し、Xは、硫黄原子、セレン原子、テルル原子及び酸素原子から成る群から選択された原子であり、Ewは電子吸引基であり、Rはアルキル基又は水素原子である)を有する有機半導体分子から成る。尚、実施例5にあっては、より具体的には、カルコゲン原子「X」は硫黄(S)原子であり、「R」は水素原子である。
【0092】

【0093】
種々の電子吸引基Ewにおける永久双極子モーメントの計算結果を、表2に示す。また、参考のために、式(4)において、電子吸引基EwをCH3に置き換えた場合の、それぞれの永久双極子モーメントの計算結果を、比較例5として、表3に示す。
【0094】
実施例5における有機半導体分子は、図1の(1)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(H)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(2)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(H)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(3)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(H)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(4)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(H)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(5)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(H)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(6)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(H)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができる。
【実施例6】
【0095】
実施例6は、本発明の第1の態様、第2の態様、及び、第7の態様に係る有機電界効果型トランジスタに関する。
【0096】
実施例6にあっては、チャネル形成領域14は、式(5)の構造(但し、Xは、硫黄原子、セレン原子、テルル原子及び酸素原子から成る群から選択された原子であり、Ewは電子吸引基であり、Rはアルキル基又は水素原子である)を有する有機半導体分子から成る。尚、実施例6にあっては、より具体的には、カルコゲン原子「X」は硫黄(S)原子であり、「R」は水素原子である。
【0097】

【0098】
種々の電子吸引基Ewにおける永久双極子モーメントの計算結果を、表2に示す。また、参考のために、式(5)において、電子吸引基EwをCH3に置き換えた場合の、それぞれの永久双極子モーメントの計算結果を、比較例6として、表3に示す。
【0099】
実施例6における有機半導体分子は、図1の(1)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(F)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(2)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(F)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(3)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(F)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(4)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(F)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(5)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(F)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(6)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(F)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができる。
【実施例7】
【0100】
実施例7は、本発明の第1の態様、第2の態様、及び、第8の態様に係る有機電界効果型トランジスタに関する。
【0101】
実施例7にあっては、チャネル形成領域14は、式(6)の構造(但し、Xは、硫黄原子、セレン原子、テルル原子及び酸素原子から成る群から選択された原子であり、Ewは電子吸引基であり、Rはアルキル基又は水素原子である)を有する有機半導体分子から成る。尚、実施例7にあっては、より具体的には、カルコゲン原子「X」は硫黄(S)原子であり、「R」は水素原子である。
【0102】

【0103】
種々の電子吸引基Ewにおける永久双極子モーメントの計算結果を、表2に示す。また、参考のために、式(6)において、電子吸引基EwをCH3に置き換えた場合の、それぞれの永久双極子モーメントの計算結果を、比較例7として、表3に示す。
【0104】
実施例7における有機半導体分子は、図1の(1)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(G)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(2)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(G)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(3)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(G)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(4)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(G)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(5)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(G)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(6)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(G)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができる。
【実施例8】
【0105】
実施例8は、本発明の第1の態様、第2の態様、及び、第9の態様に係る有機電界効果型トランジスタに関する。
【0106】
実施例8にあっては、チャネル形成領域14は、式(7)の構造(但し、Xは、硫黄原子、セレン原子、テルル原子及び酸素原子から成る群から選択された原子であり、Ewは電子吸引基であり、Rはアルキル基又は水素原子である)を有する有機半導体分子から成る。尚、実施例8にあっては、より具体的には、カルコゲン原子「X」は硫黄(S)原子であり、「R1」及び「R2」は、アルキル基Cn2n+1(より具体的には、メチル基)である。
【0107】

【0108】
種々の電子吸引基Ewにおける永久双極子モーメントの計算結果を、表2に示す。また、参考のために、式(7)において、電子吸引基EwをCH3に置き換えた場合の、それぞれの永久双極子モーメントの計算結果を、比較例8として、表3に示す。
【0109】
実施例8における有機半導体分子は、図1の(1)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(A)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(2)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(A)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(3)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(A)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(4)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(A)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(5)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(A)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(6)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(A)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができる。
【実施例9】
【0110】
実施例9は、本発明の第1の態様、第2の態様、及び、第10の態様に係る有機電界効果型トランジスタに関する。
【0111】
実施例9にあっては、チャネル形成領域14は、式(8)の構造(但し、Xは、硫黄原子、セレン原子、テルル原子及び酸素原子から成る群から選択された原子であり、Ewは電子吸引基であり、Rはアルキル基又は水素原子である)を有する有機半導体分子から成る。尚、実施例9にあっては、より具体的には、カルコゲン原子「X」は硫黄(S)原子であり、「R1」及び「R2」は、アルキル基Cn2n+1(より具体的には、メチル基)である。
【0112】

【0113】
種々の電子吸引基Ewにおける永久双極子モーメントの計算結果を、表2に示す。また、参考のために、式(8)において、電子吸引基EwをCH3に置き換えた場合の、それぞれの永久双極子モーメントの計算結果を、比較例9として、表3に示す。
【0114】
実施例9における有機半導体分子は、図1の(1)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(B)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(2)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(B)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(3)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(B)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(4)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(B)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(5)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(B)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができるし、図1の(6)に示す合成経路を経て得られた物質と、図2の(B)に示す合成経路を経て得られた物質のクロスカップリング反応に基づき合成することができる。
【0115】
[表2]

【0116】
[表3]

【0117】
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。有機電界効果型トランジスタの構造や構成、製造条件、製造方法は例示であり、適宜変更することができる。本発明によって得られた有機電界効果型トランジスタ(TFT)を、ディスプレイ装置や各種の電子機器に適用、使用する場合、支持体や支持部材に多数のTFTを集積したモノリシック集積回路としてもよいし、各TFTを切断して個別化し、ディスクリート部品として使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】図1は、実施例において挙げた有機半導体物質を合成して得るための極性基を有する物質を例示した図である。
【図2】図2は、実施例において挙げた有機半導体物質を合成して得るための極性基を有していない物質を例示した図である。
【図3】図3は、実施例1における有機電界効果型トランジスタのテスト品の模式的な一部断面図である。
【図4】図4は、実施例1における有機電界効果型トランジスタのテスト品において、ゲート電圧を変化させたときのドレイン電圧とドレイン電流の関係を示すグラフである。
【図5】図5は、実施例1における有機電界効果型トランジスタのテスト品の動作特性を示すグラフである。
【図6】図6は、実施例1における有機電界効果型トランジスタのテスト品におけるチャネル形成領域の薄膜X線回折の結果を示すチャートである。
【図7】図7に、実施例1におけるMDT−DC−TTFの単結晶X線構造解析を行い、決定した結晶構造を示す図である。
【図8】図8は、実施例1におけるMDT−DC−TTFの結晶構造を基に計算したHOMOバンド構造を示す図である。
【図9】図9の(A)は、所謂ボトムゲート/トップコンタクト型の有機電界効果型トランジスタの模式的な一部断面図であり、図9の(B)は、所謂ボトムゲート/ボトムコンタクト型の有機電界効果型トランジスタの模式的な一部断面図である。
【図10】図10の(A)は、所謂トップゲート/トップコンタクト型の有機電界効果型トランジスタの模式的な一部断面図であり、図10の(B)は、所謂トップゲート/ボトムコンタクト型の有機電界効果型トランジスタの模式的な一部断面図である。
【符号の説明】
【0119】
10・・・基板、11・・・絶縁膜、12・・・ゲート電極、13・・・ゲート絶縁層13、14・・・チャネル形成領域、14A・・・チャネル形成領域延在部、15・・・ソース/ドレイン電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極、ゲート絶縁層、チャネル形成領域、及び、ソース/ドレイン電極から構成された有機電界効果型トランジスタであって、
チャネル形成領域は、4デバイ以上の永久双極子モーメントを有するように化学修飾された有機半導体分子から成ることを特徴とする有機電界効果型トランジスタ。
【請求項2】
有機半導体分子を化学修飾する置換基は、電子吸引基であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界効果型トランジスタ。
【請求項3】
電子吸引基は、シアノ基、ニトロ基、アルデヒド基、チオシアン酸基、カルボン酸基、カルボン酸アルキル基、及び、フッ化アルキル基から成る群から選択された少なくとも1種類の置換基であることを特徴とする請求項2に記載の有機電界効果型トランジスタ。
【請求項4】
ゲート電極、ゲート絶縁層、チャネル形成領域、及び、ソース/ドレイン電極から構成された有機電界効果型トランジスタであって、
チャネル形成領域を構成する有機半導体分子は、
(A)テトラ・カルコゲノ・フルバレン骨格を有し、
(B)分子構造中央に位置する二重結合に対して非対称な構造を有し、且つ、
(C)末端の一方は、電子吸引基で置換されている、
ことを特徴とする有機電界効果型トランジスタ。
【請求項5】
チャネル形成領域を構成する有機半導体分子の電子吸引基で置換された末端と反対側の末端は、アルキル基で置換されていることを特徴とする請求項4に記載の有機電界効果型トランジスタ。
【請求項6】
電子吸引基は、シアノ基、ニトロ基、アルデヒド基、チオシアン酸基、カルボン酸基、カルボン酸アルキル基、及び、フッ化アルキル基から成る群から選択された少なくとも1種類の置換基であることを特徴とする請求項4に記載の有機電界効果型トランジスタ。
【請求項7】
ゲート電極、ゲート絶縁層、チャネル形成領域、及び、ソース/ドレイン電極から構成された有機電界効果型トランジスタであって、
チャネル形成領域は、式(1)の構造(但し、Xは、硫黄原子、セレン原子、テルル原子及び酸素原子から成る群から選択された原子であり、Ewは電子吸引基であり、Rはアルキル基又は水素原子である)を有する有機半導体分子から成ることを特徴とする有機電界効果型トランジスタ。

【請求項8】
ゲート電極、ゲート絶縁層、チャネル形成領域、及び、ソース/ドレイン電極から構成された有機電界効果型トランジスタであって、
チャネル形成領域は、式(2)の構造(但し、Xは、硫黄原子、セレン原子、テルル原子及び酸素原子から成る群から選択された原子であり、Ewは電子吸引基であり、Rはアルキル基又は水素原子である)を有する有機半導体分子から成ることを特徴とする有機電界効果型トランジスタ。

【請求項9】
ゲート電極、ゲート絶縁層、チャネル形成領域、及び、ソース/ドレイン電極から構成された有機電界効果型トランジスタであって、
チャネル形成領域は、式(3)の構造(但し、Xは、硫黄原子、セレン原子、テルル原子及び酸素原子から成る群から選択された原子であり、Ewは電子吸引基であり、Rはアルキル基又は水素原子である)を有する有機半導体分子から成ることを特徴とする有機電界効果型トランジスタ。

【請求項10】
ゲート電極、ゲート絶縁層、チャネル形成領域、及び、ソース/ドレイン電極から構成された有機電界効果型トランジスタであって、
チャネル形成領域は、式(4)の構造(但し、Xは、硫黄原子、セレン原子、テルル原子及び酸素原子から成る群から選択された原子であり、Ewは電子吸引基であり、Rはアルキル基又は水素原子である)を有する有機半導体分子から成ることを特徴とする有機電界効果型トランジスタ。

【請求項11】
ゲート電極、ゲート絶縁層、チャネル形成領域、及び、ソース/ドレイン電極から構成された有機電界効果型トランジスタであって、
チャネル形成領域は、式(5)の構造(但し、Xは、硫黄原子、セレン原子、テルル原子及び酸素原子から成る群から選択された原子であり、Ewは電子吸引基であり、Rはアルキル基又は水素原子である)を有する有機半導体分子から成ることを特徴とする有機電界効果型トランジスタ。

【請求項12】
ゲート電極、ゲート絶縁層、チャネル形成領域、及び、ソース/ドレイン電極から構成された有機電界効果型トランジスタであって、
チャネル形成領域は、式(6)の構造(但し、Xは、硫黄原子、セレン原子、テルル原子及び酸素原子から成る群から選択された原子であり、Ewは電子吸引基であり、Rはアルキル基又は水素原子である)を有する有機半導体分子から成ることを特徴とする有機電界効果型トランジスタ。

【請求項13】
ゲート電極、ゲート絶縁層、チャネル形成領域、及び、ソース/ドレイン電極から構成された有機電界効果型トランジスタであって、
チャネル形成領域は、式(7)の構造(但し、Xは、硫黄原子、セレン原子、テルル原子及び酸素原子から成る群から選択された原子であり、Ewは電子吸引基であり、R1,R2はアルキル基又は水素原子である)を有する有機半導体分子から成ることを特徴とする有機電界効果型トランジスタ。

【請求項14】
ゲート電極、ゲート絶縁層、チャネル形成領域、及び、ソース/ドレイン電極から構成された有機電界効果型トランジスタであって、
チャネル形成領域は、式(8)の構造(但し、Xは、硫黄原子、セレン原子、テルル原子及び酸素原子から成る群から選択された原子であり、Ewは電子吸引基であり、R1,R2はアルキル基又は水素原子である)を有する有機半導体分子から成ることを特徴とする有機電界効果型トランジスタ。

【請求項15】
電子吸引基は、電子吸引基は、シアノ基、ニトロ基、アルデヒド基、チオシアン酸基、カルボン酸基、カルボン酸アルキル基、及び、フッ化アルキル基から成る群から選択された少なくとも1種類の置換基であることを特徴とする請求項7乃至請求項14のいずれか1項に記載の有機電界効果型トランジスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−278692(P2006−278692A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−95276(P2005−95276)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】