説明

有機電界発光表示装置

【課題】光吸収率を向上したフォトセンサを用いて有機電界発光素子の輝度を調節できる有機電界発光表示装置を提供する。
【解決手段】画素領域Aおよび非画素領域Bを含む基板200と、基板上に形成される第1バッファ層210および第2バッファ層220と、第2バッファ層220上に形成される薄膜トランジスタ230と、薄膜トランジスタ上に形成され、薄膜トランジスタと電気的に接続される有機電界発光素子260と、第2バッファ層と有機電界発光素子との間の非画素領域Bに形成され、外部から入射される青色波長の光を集光するフォトセンサ240とを含み、第1バッファ層は、70〜90nmの厚さに形成され、第2バッファ層は、50〜70nmの厚さに形成され、フォトセンサは、N型ドーピング領域241、1〜10μmの幅を備えるチャンネル領域242およびP型ドーピング領域243で形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子の輝度を調節できる有機電界発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、有機電界発光素子(organic emitting light device)は、アノード電極およびカソード電極からなる一対の電極と、発光層とを含む構造であり、より詳細には、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層および電子輸送層を更に含むことができる。このような構造の有機電界発光素子は、以下のような発光原理により発光する。一旦、アノード電極からの正孔が正孔注入層に注入され、正孔注入層に注入された正孔が正孔輸送層により発光層に輸送される。そして、カソード電極からの電子が電子注入層に注入され、電子注入層に注入された電子が電子輸送層により発光層に輸送される。上述のように、正孔と電子とが発光層に運搬された後、互いに結合し、正孔と電子との結合により、励起子が形成されることで発光層が発光する。
【0003】
以下、図1を参照して従来の有機電界発光表示装置を具体的に説明する。図1は、従来技術に係る有機電界発光表示装置の断面図である。
【0004】
図1を参照すると、有機電界発光表示装置10は、基板100、バッファ層110、薄膜トランジスタ120、平坦化層130、第1電極層140、画素定義膜150、発光層160、第2電極層170を含んで構成される。バッファ層110は、基板100上に形成される。バッファ層110上には、薄膜トランジスタ120が形成される。薄膜トランジスタ120は、半導体層121、ゲート電極122およびソース/ドレイン電極123を含む。薄膜トランジスタ120上には、平坦化層130が形成され、平坦化層130上には、ソース/ドレイン電極123と電気的に接続される第1電極層140が形成され、第1電極層140上には、画素定義膜150が形成される。画素定義膜150は、第1電極層140を少なくとも部分的に露出させる開口部を含む。開口部上には、発光層160が形成される。発光層160は、電子輸送層および電子注入層のうちの少なくとも一つを更に含むことができる。発光層160上および画素定義膜150上には、第2電極層170が形成される。
【0005】
【特許文献1】大韓民国特許公開第2005−0108903号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の有機電界発光表示装置10の発光層160を構成する有機物質は、時間が経過するにつれ劣化するため、画素の輝度が変化し、ディスプレイの画質または明るさが所望の値と異なる値に表示される。そのため、有機電界発光表示装置の長寿命を期待できなくなる。このような問題点を解決するために、有機電界発光表示装置にフォトセンサを形成する方法が提案されている。このような方法は、フォトセンサを介して内部または外部から入射される光エネルギーを電気的信号に変換して、有機電界発光素子の劣化に関係なく、入力される電気的信号に対応した一定の輝度を表示するようにする。しかし、上述した従来のフォトセンサは、光の波長による光吸収率が50%未満と低いため、フォトセンサを用いた有機電界発光素子の輝度を調節するのに限界があるという問題点がある。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、光吸収率を向上させたフォトセンサを用いて有機電界発光素子の輝度を調節できる有機電界発光表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によれば、画素領域および非画素領域を含む基板と、基板上に形成される第1バッファ層および第2バッファ層と、第2バッファ層上に形成される薄膜トランジスタと、薄膜トランジスタ上に形成され、薄膜トランジスタと電気的に接続される有機電界発光素子と、第2バッファ層と有機電界発光素子との間の非画素領域に形成され、外部から入射される青色波長の光を集光するフォトセンサとを含み、第1バッファ層は、70〜90nmの厚さに形成され、第2バッファ層は、50〜70nmの厚さに形成され、フォトセンサは、N型ドーピング領域、1〜10μmの幅を備えるチャンネル領域およびP型ドーピング領域で形成される有機電界発光表示装置が提供される。
【0009】
フォトセンサは、第2バッファ層の非画素領域上において、第2バッファ層の画素領域上に形成される薄膜トランジスタと所定の間隔をおいて形成されてよい。
【0010】
第1バッファ層は、シリコン酸化膜(SiO)から形成されてもよく、第2バッファ層は、シリコン窒化膜(SiN)から形成されてよい。フォトセンサは、第2バッファ層の非画素領域上に形成されるN型ドーピング領域と、N型ドーピング領域と1〜10μmの間隔をおいて配置され、第2バッファ層の非画素領域上に形成されるP型ドーピング領域と、N型ドーピング領域とP型ドーピング領域との間に形成されるチャンネル領域とを含んで構成されてよく、N型ドーピング領域、P型ドーピング領域およびチャンネル領域の何れもが、単一平面上に位置することができる。
【0011】
フォトセンサは、外部から入射される青色波長の光を集光し、青色波長の光吸収率に応じて、集光した青色波長の光を所定の電気的信号に変換して出力することができる。
【0012】
フォトセンサから出力される電気的信号は、有機電界発光素子から発光される光の輝度を調節することができる。
【0013】
本発明によれば、基板上の非画素領域に外部から入射される青色波長の光を集光するフォトセンサを形成し、フォトセンサのチャンネル領域の幅を最適化し、かつフォトセンサの下部に形成されるバッファ層の厚さを、青色波長の光を集光するのに最適な厚さに調節することによって、フォトセンサの光吸収率を増加することができる。従って、フォトセンサによって青色波長の光から変換される電気的信号を用いて、有機電界発光素子の輝度を効率良く所望の輝度に調節することができる。このため、長時間使用による有機電界発光素子の劣化により発生する輝度の変化を最小化でき、有機電界発光表示装置の寿命を伸ばすことができる。さらに、画素ごとに備えられる有機電界発光素子に、所望の電流が流れるように制御することで、有機電界発光表示装置の高精細化による高品質の画像を提供できる。
【0014】
青色波長の帯域は、450〜480nmであってよい。
【0015】
フォトセンサは、非晶質シリコン層で形成されてよい。
【0016】
有機電界発光素子は、背面発光構造であってよい。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、基板上の非画素領域に外部から入射される青色波長の光を集光するフォトセンサを形成し、フォトセンサのチャンネル領域の幅を最適化して、かつフォトセンサの下部に形成されるバッファ層の厚さを調節することで、フォトセンサの光吸収率を向上することができる。これにより、フォトセンサで変換される電気的信号を用いて有機電界発光素子の輝度を所望の輝度に調節することができる。このため、長時間使用による有機電界発光素子の劣化により発生する輝度の変化を最小化でき、有機電界発光表示装置の寿命を伸ばすことができる。さらに、画素ごとに備えられる有機電界発光素子に、所望の電流が流れるように制御することで、有機電界発光表示装置の高精細化による高品質の画像を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
図2は、本発明の実施形態に係るフォトセンサの断面図である。
【0020】
図2を参照すると、フォトセンサ240は、N型ドーピング領域241と、N型ドーピング領域241と約1〜10μmの間隔をおいて形成されるP型ドーピング領域243と、N型ドーピング領域241とP型ドーピング領域243との間に形成されるチャンネル領域242とを含んで構成される。N型ドーピング領域241、P型ドーピング領域243およびチャンネル領域242の何れもが、単一平面上に位置する。
【0021】
フォトセンサ240は、まず、非晶質シリコン層などで形成され、非晶質シリコン層を所定の熱処理により多結晶シリコン層に結晶化させる。その後、多結晶シリコン層の第1領域に、N型不純物を高濃度イオン注入してN型ドーピング領域241を形成する。P型ドーピング領域243も、このような方法により、多結晶シリコン層の第2領域にP型不純物を高濃度イオン注入して形成される。
【0022】
チャンネル領域242は、N型不純物およびP型不純物を高濃度イオン注入されない多結晶シリコン層である真性半導体層であって、N型ドーピング領域241とP型ドーピング領域243との間に形成される。チャンネル領域242は、表面を介して外部から入射される光に応じて電荷を生成して電気的信号に変換させる。このとき、チャンネル領域242の幅(W)は、約1〜10μmに形成される。これは、フォトセンサ240の青色波長帯の光吸収率を約50%以上に向上することができるからである。チャンネル領域242の幅(W)は、約1μmに形成するのが、最も好ましい。これは、フォトセンサ240の青色波長帯の光吸収率が約50%以上となり、N型ドーピング領域241とP型ドーピング領域243との接合面積を減少させて、ピクセルの開口率を向上できるからである。これに対し、チャンネル領域242の幅(W)を1μm未満に形成する場合、フォトセンサ240の青色波長の光吸収率が50%未満となり、フォトセンサ240を用いて有機電界発光素子の輝度を効率良く調節することができない。つまり、フォトセンサ240の青色波長の光吸収率が低いと、チャンネル領域242において十分な量の電荷を生成できないため、有機電界発光素子の輝度を調節できない。また、チャンネル領域242の幅(W)を10μmよりも広く形成する場合、有機電界発光表示装置20におけるフォトセンサ240の占める空間が大きくなり、開口率を低下させることになる。
【0023】
その後、N型ドーピング領域241にアノード電圧を印加し、P型ドーピング領域243にカソード電圧を印加する。これにより、チャンネル領域242は、完全空乏(Depletion layer)状態となり、青色波長すなわち、約450〜480nm波長で入射される光のエネルギーを吸収して電荷を生成し蓄積して、これを電気的信号に変換することができる。
【0024】
図3は、本発明の実施形態に係るフォトセンサを備える有機電界発光表示装置の断面図である。
【0025】
図3を参照すると、本発明の実施形態に係る有機電界発光表示装置20は、基板200、第1バッファ層210、第2バッファ層220、薄膜トランジスタ230、有機電界発光素子260、フォトセンサ240を含んで構成される。基板200は、画素領域Aと非画素領域Bを含む。第1バッファ層210および第2バッファ層220は、基板200上に形成される。より詳細に説明すると、基板200上に第1バッファ層210が形成され、第1バッファ層210上に第2バッファ層220が形成される。薄膜トランジスタ230は、第2バッファ層220上に形成される。有機電界発光素子260は、薄膜トランジスタ230上に形成され、薄膜トランジスタ230と電気的に接続される。フォトセンサ240は、第2バッファ層220と有機電界発光素子260との間の非画素領域Bに形成され、外部から入射される青色波長の光を集光する。第1バッファ層210は、約70〜90nmの厚さに形成され、第2バッファ層220は、約50〜70nmの厚さに形成される。フォトセンサ240は、N型ドーピング領域241、約1〜10μmの幅を備えるチャンネル領域242およびP型ドーピング領域243で形成される。
【0026】
基板200は、ガラス、プラスチック、シリコンまたは合成樹脂などのような絶縁性を備える材質から形成されてよく、ガラス基板のような透明基板が好ましい。基板200は、有機電界発光素子260を含み、画素領域Aと非画素領域Bを含む。画素領域Aは、画像が表示される領域であり、非画素領域Bは、基板200の画素領域Aを除いた全ての領域を定義する。
【0027】
第1バッファ層210は、基板200上に形成される。第1バッファ層210は、シリコン酸化膜(SiO)などで70〜90nmの厚さに形成され、最も好ましくは、80nmに形成される。第2バッファ層220は、シリコン窒化膜(SiN)などで50〜70nmの厚さに形成され、最も好ましくは、60nmに形成される。上述したような第1バッファ層210および第2バッファ層220の厚さは、外部から入射される青色波長の光をフォトセンサ240で集光するための最適の厚さである。また、第1バッファ層210の厚さを70nm未満に形成し、第2バッファ層220の厚さを50nm未満に形成した場合、第1バッファ層210および第2バッファ層220は、後続して工程する薄膜トランジスタ230およびフォトセンサ240の形成中に侵入し得る不純物を防止することができない。これに対し、第1バッファ層210の厚さを90nm超過に形成し、第2バッファ層220の厚さを70nm超過に形成した場合、有機電界発光表示装置20の厚さが厚くなり、超軽量化および超薄型化の傾向に相応しくない。このような、第1バッファ層210および第2バッファ層220は、後続して工程する薄膜トランジスタ230およびフォトセンサ240の形成中に不純物の拡散を防止することができる。
【0028】
薄膜トランジスタ230は、第2バッファ層220の画素領域A上に形成される。薄膜トランジスタ230は、半導体層231、ゲート電極232およびソース/ドレイン電極233を含む。薄膜トランジスタ230の半導体層231は、第2バッファ層220上に形成される非晶質シリコンをレーザなどを用いて結晶化したポリシリコン(LTPS、Low Temperature Poly Silicone)を利用できる。半導体層231上には、ゲート絶縁層が形成される。薄膜トランジスタ230のゲート電極232は、ゲート絶縁層上に所定のパターンで形成される。ゲート電極232上には、層間絶縁層が形成される。
【0029】
薄膜トランジスタ230のソース/ドレイン電極233は、層間絶縁層上に形成され、ゲート絶縁層および層間絶縁層に形成されるコンタクトホールを介して、半導体層231の両側にそれぞれ電気的に接続される。ゲート絶縁層および層間絶縁層は、半導体層231とゲート電極232との間、ゲート電極232とソース/ドレイン電極233との間を絶縁する役割を果たす。
【0030】
一方、フォトセンサ240は、第2バッファ層220の非画素領域B上に形成される。フォトセンサ240は、P−i(intrinsic)−N構造であり、より具体的には、正の電圧が印加されるN型ドーピング領域241と、N型ドーピング領域241と所定の間隔、約1〜10μmの間隔をおいて配置され、負の電圧が印加されるP型ドーピング領域243と、N型ドーピング領域241とP型ドーピング領域243との間に形成され、約1〜10μmの幅を備えるチャンネル242とを含む。フォトセンサ240は、第2バッファ層220の非画素領域B上において、第2バッファ層220の画素領域A上に形成される薄膜トランジスタ230と所定の間隔をおいて形成される。また、フォトセンサ240上には、ゲート絶縁層、層間絶縁層が位置する。
【0031】
一般に、フォトセンサ240は、光エネルギーを電気エネルギーに変換して光信号から電気的信号(電流または電圧)を得る1種の光センサであって、ダイオードの接合部に光検出機能を与えてなされた半導体素子である。このようなフォトセンサは、基本的に、光子吸収により電子または正孔が生成されることで、ダイオードの伝導度が光信号に応じて変調される原理を利用する。すなわち、フォトセンサ240の電流は、本質的にキャリアの光学的生成率によって変化し、このような特性は、時間が経過するにつれて変化する光信号を電気的信号に変換させるものである。
【0032】
フォトセンサ240は、まず、外部から入射される青色波長帯の光を集光できる非画素領域Bにおいて、非晶質シリコン層などで形成され、このような非晶質シリコン層を所定の熱処理により多結晶シリコン層に結晶化させる。その後、多結晶シリコン層の第1領域にN型不純物を高濃度イオン注入してN型ドーピング領域241を形成する。P型ドーピング領域243も、このような方法により、第1領域と水平方向に所定の間隔をおいて位置する多結晶シリコン層の第2領域にP型不純物を高濃度イオン注入して形成される。
【0033】
チャンネル領域242は、N型不純物およびP型不純物が高濃度イオン注入されない多結晶シリコン層である真性半導体層であり、N型ドーピング領域241とP型ドーピング領域243との間に形成される。チャンネル領域242は、表面を介して入射する光に応じて電荷を生成し、電気エネルギーに変換させる。このとき、チャンネル領域242の幅は、約1〜10μmに形成される。これは、所望の青色波長の光吸収率を約50%以上にすることができるからである。つまり、本発明の実施形態において、フォトセンサ240は、外部から入射される青色波長の光を集光し、上述のフォトセンサ240自身の青色波長の光吸収率に応じて、集光した青色波長の光をチャンネル領域242によって所定の電気的信号に変換して出力することができる。
【0034】
その後、N型ドーピング領域241にアノード電圧を印加し、P型ドーピング領域243にカソード電圧を印加する。これにより、チャンネル領域242は、完全空乏状態となり、青色波長帯、すなわち、外部から入射される約450〜480nmの波長領域を備える光のエネルギーを吸収して電荷を生成し蓄積することで、青色波長の光を電気的信号として出力することができる。
【0035】
このように、有機電界発光素子260の基準値の輝度と比較して、発光層262の輝度が基準値を超えるか、または基準値に満たない場合、出力される電気的信号は、有機電界発光素子260の輝度を調節することができる。これにより、有機電界発光素子260の発光層262で発生した光の輝度を所望の輝度に維持でき、所望の基準値に対応する輝度を表示することができる。
【0036】
以下で、フォトセンサ240で生成された電気的信号を用いた有機電界発光素子260の輝度の調節について、説明する。例えば、フォトセンサ240によって生成された電気的信号は、実際の輝度値(発光層262から放出される光の輝度値)と既に設定された基準の輝度値とを比較するために、比較部に入力される。さらに具体的に説明すると、フォトセンサ240から電気的信号が出力される際、電気的信号、つまり、実際の輝度値(発光層262から放出される光の輝度値)に相当する信号が、既に設定された基準の輝度値より低い場合、比較部は、有機電界発光素子260の発光層262から放出された光の輝度値を増加するために、制御信号を生成する。同様に、フォトセンサ240から出力された電気的信号が既に設定された基準の輝度値より高い場合、比較部は、有機電界発光素子260の発光層262から放出された光の輝度値を低減するために、制御信号を出力する。
【0037】
また他の実施形態として、有機電界発光素子260から吸収した光量に応じてフォトセンサ240は、電流または電圧を生成し、電流または電圧を制御部に供給する。その結果、制御部は、発光層262から放出される光に対応して、発光層262の輝度値を制御するために各々制御信号を生成する。以上より、フォトセンサ240は、有機電界発光素子260の発光層262で生成される光の輝度値を所望の値に維持することができる。
【0038】
平坦化層250は、薄膜トランジスタ230上に形成され、窒化膜、酸化膜などの何れかより構成される。
【0039】
有機電界発光素子260は、平坦化層250上に形成され、有機電界発光素子260は、薄膜トランジスタ230と電気的に接続される。有機電界発光素子260は、第1電極層261、発光層262および第2電極層263を含む。
【0040】
有機電界発光素子260の第1電極層261は、平坦化層250上に形成され、平坦化層250の一領域をエッチングして、ソース/ドレイン電極233の何れかが露出するように形成されるビアホールを介して、ソース/ドレイン電極233の何れかと電気的に接続される。
【0041】
画素定義膜270は、平坦化層250上に形成され、第1電極層261を少なくとも部分的に露出させる開口部(図示せず)を含む。画素定義膜270は、アクリル(Acryl)系有機化合物、ポリアミド、ポリイミドなどの有機絶縁物質の何れか1つから形成され、これらに限定されない。
【0042】
有機電界発光素子260の発光層262は、第1電極層261を部分的に露出させる開口部上に形成される。発光層262は、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および電子注入層のうち、少なくとも一つを更に含むことができる。このような発光層262は、第1電極層261と第2電極層263から注入される正孔および電子の結合により、光を放出する。
【0043】
有機電界発光素子260の第2電極層263は、発光層262上および画素定義膜270上に形成される。また、本発明の実施形態の有機電界発光素子260は、背面発光構造であって、第2電極層263の少なくとも一層は、反射膜である金属膜などで形成される。つまり、有機電界発光素子260は、発光層262で生成された光を、有機電界発光素子260の背面に相当する基板200側の第1電極層261より放出する。よって、平坦化層250、ゲート絶縁層、層間絶縁層は、光を透過する材料で形成されることが、望ましい。
【0044】
図4は、本発明の実施形態に係る青色波長の外部光を集光するフォトセンサの光吸収率を表すグラフである。
【0045】
図4を参照すると、グラフのX軸は、光の波長領域を示し、Y軸は、フォトセンサの光吸収率を示す。より詳細には、フォトセンサ240の下部に形成される第1バッファ層210の厚さが80nm、および第2バッファ層220の厚さが60nmである場合、チャンネル領域242の幅を変化させた時のフォトセンサ240の青色波長の光に対する光吸収率を表すグラフである。
【0046】
例えば、青色波長帯域C、すなわち、約450〜480nm波長帯域でチャンネル領域242の幅が1μmである場合、光吸収率は約80%である。また、チャンネル領域242の幅が2μm〜10μmの間の幅を備える場合、光吸収率は90%以上となる。
【0047】
上記の図4の実験結果によると、第1バッファ層210の厚さを80nm、および第2バッファ層220の厚さを60nmと設定し、チャンネル領域242の幅(W)が1〜10μmである場合、フォトセンサ240の光吸収率が、青色波長帯域C(約450〜480nm)で約80%以上を示す。これに対し、チャンネル領域242の幅が1μm未満である場合、フォトセンサ240の光吸収率が20%〜40%となるため、充分な電荷を生成できず、フォトセンサ240を用いて有機電界発光素子260の輝度を制御することができなくなる。
【0048】
以上、本発明の実施形態によれば、基板上の非画素領域に外部から入射される青色波長の光を集光するフォトセンサを形成し、フォトセンサのチャンネル領域の幅を最適化して、フォトセンサの下部に形成されるバッファ層の厚さを調節することによって、フォトセンサの光吸収率を増加することができる。よって、フォトセンサにより青色波長の光から変換される電気的信号を用いて、有機電界発光素子(発光層)の輝度を調節できる。このため、長時間使用による有機電界発光素子の劣化により発生する輝度の変化を最小化でき、有機電界発光表示装置の寿命を伸ばすことができる。さらに、画素ごとに備えられる有機電界発光素子に、所望の電流が流れるように制御することで、有機電界発光表示装置の高精細化による高品質の画像を提供できる。
【0049】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】従来技術の有機電界発光表示装置の断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るフォトセンサの断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るフォトセンサを備える有機電界発光表示装置の断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る青色波長の外部光を集光するフォトセンサの光吸収率を表すグラフである。
【符号の説明】
【0051】
200 基板
210 第1バッファ層
220 第2バッファ層
230 薄膜トランジスタ
240 フォトセンサ
250 平坦化層
260 有機電界発光素子
270 画素定義膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素領域および非画素領域を含む基板と;
前記基板上に形成される第1バッファ層および第2バッファ層と;
前記第2バッファ層上に形成される薄膜トランジスタと;
前記薄膜トランジスタ上に形成され、前記薄膜トランジスタと電気的に接続される有機電界発光素子と;
前記第2バッファ層と前記有機電界発光素子との間の前記非画素領域に形成され、外部から入射される青色波長の光を集光するフォトセンサと;
を含み、
前記第1バッファ層は、70〜90nmの厚さに形成され、前記第2バッファ層は、50〜70nmの厚さに形成され、
前記フォトセンサは、N型ドーピング領域、1〜10μmの幅を備えるチャンネル領域およびP型ドーピング領域で形成されることを特徴とする、有機電界発光表示装置。
【請求項2】
前記フォトセンサは、前記第2バッファ層の前記非画素領域上において、前記第2バッファ層の前記画素領域上に形成される前記薄膜トランジスタと所定の間隔をおいて形成されることを特徴とする、請求項1に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項3】
前記第1バッファ層は、シリコン酸化膜で形成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項4】
前記第2バッファ層は、シリコン窒化膜で形成されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の有機電界発光表示装置。
【請求項5】
前記フォトセンサは、
前記第2バッファ層の前記非画素領域上に形成される前記N型ドーピング領域と;
前記N型ドーピング領域と1〜10μmの間隔をおいて配置され、前記第2バッファ層の前記非画素領域上に形成される前記P型ドーピング領域と;
前記N型ドーピング領域と前記P型ドーピング領域との間に形成される前記チャンネル領域と;
を含んで構成され、
前記N型ドーピング領域、前記P型ドーピング領域および前記チャンネル領域の何れもが、単一平面上に位置することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の有機電界発光表示装置。
【請求項6】
前記フォトセンサは、外部から入射される前記青色波長の光を集光し、青色波長の光吸収率に応じて、集光した前記青色波長の光を所定の電気的信号に変換して出力することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の有機電界発光表示装置。
【請求項7】
前記フォトセンサから出力される前記電気的信号は、前記有機電界発光素子から発光される光の輝度を調節することを特徴とする、請求項6に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項8】
前記青色波長の帯域は、450〜480nmであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の有機電界発光表示装置。
【請求項9】
前記フォトセンサは、非晶質シリコン層で形成されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の有機電界発光表示装置。
【請求項10】
前記有機電界発光素子は、背面発光構造であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の有機電界発光表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−273985(P2007−273985A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−84309(P2007−84309)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】