説明

束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタンを被覆した複合粉末及びそれを使用した化粧料

【課題】従来の酸化チタンよりも高い透明性と優れた紫外線遮蔽能と感触を有する複合粉末及び該複合粉末を含む化粧料を提供する。
【解決手段】 平均粒子径が0.3〜100μmの有機および無機粉末の粒子表面を棒状粒子が束状に凝集した特定の大きさの束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタンで被覆し、複合粉末とすることで、従来の酸化チタンを配合する場合よりも優れた紫外線遮蔽能と感触や延展性を有する化粧料を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の大きさと形状を有する束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタンを被覆した複合粉末及び当該複合粉末を含有する化粧料に関する。本発明は、特に、前記複合粉末を含有する化粧料であって、肌になめらかに塗布することができ、肌へのきしみ感やざらつき感がなく、より自然な素肌感を演出することができるとともに、高い紫外線遮蔽能を有する化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、紫外線が肌に対し悪影響を及ぼすことが認識され、これを防止するための日焼け止め化粧料の需要は増大している。また、見た目が均一で美しい肌を演出するためのメークアップ化粧料においても紫外線遮蔽効果を高めることが要求されている。これを達成するため、微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛のような紫外線散乱剤や、有機系紫外線吸収剤を使用した化粧料が開発されているが、更に紫外線遮蔽効果を高めることが求められている。このような要求に対しては、紫外線散乱剤や紫外線吸収剤を多く配合することが一般的であるが、微粒子酸化チタン等の紫外線散乱剤を化粧料中に多く配合すると肌でのざらつき感が生じ、化粧膜が厚くなり透明性が低下する。さらに粒子の反射に起因する青味が強く表れて不自然な仕上がりになる等の弊害が生じる場合がある。また、紫外線吸収剤を多く配合することは安全面で問題があり、敏感肌の人が使用した場合には皮膚のかぶれが生じる等の影響や配合量の規制により多く配合できないのが実状である。このようなことより、紫外線散乱剤、特に、酸化チタンにおいて少量の配合で紫外線を遮蔽するような紫外線遮蔽能の高いものの出現が強く望まれている。
【0003】
このような状況を鑑み、本発明者等は、特願2009−15202号において、棒状粒子が束状に配向凝集した粒子形態を有する見掛け平均長軸長が80〜300nmの藁束状ルチル型酸化チタンを提案した。この藁束状酸化チタンは、紫外線遮蔽能が従来の微粒子酸化チタンに比べ高く、なおかつ酸化チタンに特有のきしみ感も小さく良好な感触を提供するものであるが、粒径が大きいため日焼け止め化粧料に使用する際には白さが目立ち、透明性の点で満足できるものでなかった。このため、本発明者等は特願2009−142942号において、棒状の微細粒子が束状に配向凝集した形状を有し、配向凝集した粒子の見掛け平均長軸長が40〜80nmの束状ルチル型酸化チタンを提案した。この束状酸化チタンは、特願2009−15202号の藁束状酸化チタンに比べて一回り小さい短冊状あるいは藁束状粒子であり、透明性と紫外線遮蔽能とを同時に満足するものとなり、日焼け止め化粧料に配合した際の白浮きも小さく良好であった。しかしながら、粒子径を小さくしたことによって酸化チタンに特有のきしみ感が現れること、また、分散力が弱い場合には目標とする透明性が得られない等の問題があった。
【0004】
一方、酸化チタン特有のきしみ感を低減させる方法として従来からいろいろ工夫がなされてきた。例えば、特開平6−9337号(特許文献1)には微粒子酸化チタンを劈開セリサイト等に吸着させる複合粉体を配合してなる粉体化粧料が開示されており、化粧料に配合した際の延展性が良くなるものの、微粒子酸化チタン等の紫外線散乱剤を混合摩砕法で吸着させているために遊離した微粒子酸化チタン粒子等が混在し、きしみ感が残るという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−9337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする問題点は、紫外線遮蔽能の高い束状酸化チタンを配合した化粧料はきしみ感が残り、肌への感触や延展性が良くないことである。従って、本発明の目的は、従来の酸化チタンよりも優れた紫外線遮蔽能と感触を有する束状ルチル型酸化チタンを被覆した複合粉末及び当該複合粉末を含む化粧料を提供することにある。本発明の束状ルチル型酸化チタンを被覆した複合粉末を使用した化粧料は肌へのきしみ感やざらつき感がなく、より自然な素肌感を演出することができるとともに、高い紫外線遮蔽能を有する化粧膜を得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は従来の酸化チタンよりも優れた紫外線遮蔽能を有する束状ルチル型酸化チタンを配合した化粧料の感触や延展性を改良することを目的として検討を行った結果、束状ルチル型酸化チタンを平均粒子径が0.3〜100μmの有機および無機粉末の粒子表面に被覆し、複合粉末とすることで、より優れた紫外線遮蔽能と感触を持つ化粧料が得られることを見出した。更に、延展性の良い藁束状ルチル型酸化チタンを被覆し、複合粉末とした場合には、非常にすぐれた感触性を有する化粧料が得られ、これらの知見に基づいて本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明の束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタンを被覆した複合粉末は、平均粒子径が0.3〜100μmの有機および無機粉末の粒子表面を、棒状の微細粒子が束状に配向凝集した粒子形態で、配向凝集した粒子の見掛け平均長軸長が40〜80nm、配向凝集した粒子の見掛け平均短軸長が15〜40nm、見掛け平均軸比(見掛け平均長軸長/見掛け平均短軸長)が1.2〜5.0で、比表面積が150〜250m/gである束状ルチル型酸化チタンにより、あるいは、一個の粒子の短軸径が3〜10nmの棒状粒子の長軸面が短軸方向に配向凝集した粒子形態で、配向凝集した粒子の見掛け平均長軸長が80〜300nm、配向凝集した粒子の見掛け平均短軸長が30〜150nm、見掛け平均軸比(見掛け平均長軸長/見掛け平均短軸長)が1.1〜4で、配向凝集した粒子の長軸の両端が球形状ないし楕円体形状をした、比表面積が120〜180m/gである藁束状ルチル型酸化チタンにより被覆した複合粉末であることを特徴とする。
【0009】
また、前記束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタンを被覆した複合粉末の粒子表面を無機物及び有機物の一種または二種以上を含む層で被覆することにより酸化チタンを固定化することを特徴とする。
【0010】
また、前記無機物は、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、マグネシウム、チタニウム、ジルコニウム、カルシウム、鉄、セリウム及び錫のうちの一種又は二種以上であることが好ましい。
また、前記有機物は、シリコーン系化合物、各種カップリング剤や脂肪酸化合物のうちの一種又は二種以上であることが好ましい。
また、前記束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタンを被覆した複合粉末を含む化粧料を得ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタンを被覆した複合粉末は、平均粒子径が0.3〜100μmの有機および無機粉末の粒子表面を棒状粒子が束状に凝集した特定の大きさの束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタンで被覆したものであり、当該粉末を配合することにより、従来の酸化チタンを使用した化粧料より優れた紫外線遮蔽能と感触や延展性を有する化粧料を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】製造実施例1〜3で得られたサンプルの波長280nm〜400nmでの吸光度曲線である。
【図2】製造実施例1および製造比較例1〜4で得られたサンプルの波長280nm〜400nmでの吸光度曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の複合粉末について詳しく説明する。
本発明の束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタンを被覆した複合粉末は、平均粒子径が0.3〜100μmの有機および無機粉末の粒子表面を、棒状の微細粒子が束状に配向凝集した粒子形態で、配向凝集した粒子の見掛け平均長軸長が40〜80nm、配向凝集した粒子の見掛け平均短軸長が15〜40nm、見掛け平均軸比(見掛け平均長軸長/見掛け平均短軸長)が1.2〜5.0で、比表面積が150〜250m/gである束状ルチル型酸化チタンにより、あるいは、一個の粒子の短軸径が3〜10nmの棒状粒子の長軸面が短軸方向に配向凝集した粒子形態で、配向凝集した粒子の見掛け平均長軸長が80〜300nm、配向凝集した粒子の見掛け平均短軸長が30〜150nm、見掛け平均軸比(見掛け平均長軸長/見掛け平均短軸長)が1.1〜4で、配向凝集した粒子の長軸の両端が球形状ないし楕円体形状をした、比表面積が120〜180m/gである藁束状ルチル型酸化チタンにより被覆したことを特徴とする複合粉末である。
【0014】
(基体粉末)
本発明で使用される平均粒子径が0.3〜100μmである有機および無機粉末から選ばれる基体粉末とは、一般的に化粧品に使用されている粉体であれば特に制限されない。例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、紺青、酸化セリウム、タルク、カオリン、ベントナイト、クレー、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、黒雲母、合成フッ素金雲母、雲母チタン、雲母状酸化鉄、紅雲母、リチア雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪ソウ土、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸バリウム、硫酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、シリカ、ヒドロキシアパタイト、ゼオライト、窒化ホウ素、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、カラミン等の無機粉体やナイロン粉末、シリコーン粉末、シリコーン弾性粉末、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、ポリウレタン粉末、セルロース粉末、ウレタン粉末、シルク粉末、PMMA粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、ベンゾグアナミン粉末、ジスチレンベンゼンポリマー粉末、エポキシ粉末、アクリル粉末、スターチ、カーボンブラック、タール色素、天然色素、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸等の有機粉体などを適宜選択し、使用することができる。好ましくは、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、硫酸バリウム、雲母状酸化鉄等の板状形状の粒子を用いると、粒子表面に被覆する束状あるいは藁束状粒子によって基体粒子表面に凹凸が形成され、鏡面反射を抑制しぎらつき感を抑えることができる。また、肌へ塗布した際に酸化チタンが板状方向へ配向し、被覆面が光に対して正対することで高い紫外線遮蔽能が得られる。さらに、シリカ、セルロースなどの球状粒子を用いると、板状粒子と同様に粒子表面に凹凸が形成されることで拡散反射効果が著しく高くなり、毛穴をぼかす等の効果を付与することができる。基体粉末の平均粒子径は0.3〜100μmが好ましく、より好ましくは0.5〜80μmである。0.3μmより小さい粒子径では、表面被覆に使用する藁束状ルチル型酸化チタンの最大の平均長軸長が300nm、すなわち0.3μmであるので基体粉末よりも被覆粒子が大きく、複合化が困難となる。また、粒子径が100μmよりも大きいと肌に塗布した際の感触が著しく悪化するので好ましくない。
【0015】
(束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタン)
本発明で使用される束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタンとは、棒状の微細粒子が束状に配向凝集した粒子形態で、配向凝集した粒子の見掛け平均長軸長が40〜80nm、配向凝集した粒子の見掛け平均短軸長が15〜40nm、見掛け平均軸比(見掛け平均長軸長/見掛け平均短軸長)が1.2〜5.0で、比表面積が150〜250m/gである短冊状あるいは藁束状ルチル型酸化チタン、あるいは、一個の粒子の短軸径が3〜10nmの棒状粒子の長軸面が短軸方向に配向凝集した粒子形態で、配向凝集した粒子の見掛け平均長軸長が80〜300nm、配向凝集した粒子の見掛け平均短軸長が30〜150nm、見掛け平均軸比(見掛け平均長軸長/見掛け平均短軸長)が1.1〜4で、配向凝集した粒子の長軸の両端が球形状ないし楕円体形状をした、比表面積が120〜180m/gである藁束状ルチル型酸化チタンを指す。従来のルチル型酸化チタンは形状が球状や紡錘状であり、粒子表面が平滑であるのに対し、本発明で使用される束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタンは棒状粒子同士のファンデルワールス力により結合した凝集体であり、その表面は凹凸である。このため、本発明で使用される酸化チタンは紫外線との接触確率が高く、また、粒子表面で散乱・反射した紫外線が粒子表面の凹凸に取り込まれて反射と散乱を繰り返して減衰するため、紫外線遮蔽能が従来の酸化チタンに比べて高いことが特徴である。本発明で使用される酸化チタンの見掛け平均長軸長、見掛け平均短軸長および見掛け平均軸比は、透過型電子顕微鏡写真より、70個の粒子について個々の粒子の長軸長、短軸長および軸比を測定し、それらを平均した値である。
【0016】
(複合粉末の製造方法)
本発明の束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタンを被覆した複合粉末の製造方法について詳細に説明する。本発明の複合粉末は、基体となる有機および無機粉末ならびに被覆に使用する束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタンを水中で混合・分散させ、次いでアルミニウム、ケイ素、亜鉛、マグネシウム、チタニウム、ジルコニウム、カルシウム、鉄、セリウム及び錫等の金属の水溶性塩を添加し、混合溶液の温度ならびにpHを適宜選択して含水酸化物又は酸化物を析出させることにより、基体粒子表面上に束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタンを固定し、被覆処理することにより得られる。
【0017】
粒子表面に被覆処理する束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタンの被覆量は、基体粒子に対して3〜85重量%であり、好ましくは5〜80重量%である。被覆量が3重量%より少ないと紫外線遮蔽能が劣り、85重量%より多いと被覆する酸化チタンが凝集した状態で被覆層を形成し、滑らかな感触が得られなくなるので好ましくない。
【0018】
基体粒子表面上に束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタンを固定し、被覆処理するための金属の含水酸化物又は酸化物の総量は、被覆に使用する束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタン添加量の10重量%〜200重量%であり、好ましくは15重量%〜180重量%である。添加量が10重量%より低いと束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタンが完全に基体粒子表面に固定化できず、添加量が200重量%より高いと金属の含水酸化物又は酸化物の被膜が厚くなりすぎて化粧品に配合した際の分散性が悪くなり、紫外線遮蔽能が低下するだけでなく感触も悪くなるために好ましくない。
【0019】
(束状あるいは藁束状酸化チタンの製造方法)
本発明の被覆に使用する束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタンは、酸可溶性チタン化合物を塩酸酸性下で脂肪族ヒドロキシ酸化合物を添加して加熱加水分解を行うことにより得られる。すなわち、酸可溶性チタン化合物に塩酸を添加して加熱加水分解を行ってルチル型酸化チタンを合成する際に、特定の条件下で脂肪族ヒドロキシ酸化合物を添加して加水分解を行うと生成するルチル型酸化チタンの軸比が小さくなり、棒状の微細粒子が3次元に凝集し粒径が制御された束状あるいは藁束状形状をした粒子が生成する。加水分解条件は原料である酸可溶性チタン化合物の酸溶解性により適宜調整することが必要である。例えば、硫酸チタニル溶液又は四塩化チタン溶液をアルカリ中和して得られるオルソチタン酸を使用する場合には、脂肪族ヒドロキシ酸化合物の濃度をTiOに対し0.5〜7重量%添加し、TiO濃度を50〜140g/L、好ましくは60〜120g/L、塩酸濃度を60〜170g/L、好ましくは70〜160g/L、に調整した後、30〜80℃、好ましくは35〜70℃の温度で加水分解することにより得られる。ただし、条件によっては未反応のチタン化合物が残るので反応を完結するため加水分解後、さらに、95℃以上の温度で4〜8時間熟成を行うことが好ましい。なお、束状ルチル型酸化チタン粒子の場合には、熟成時間が長くなると凝集が崩れ単独で挙動する棒状粒子が生成し、分散が悪くなり、透明性が悪くなるので、熟成時間は8時間以内が適当である。本発明の被覆に使用する束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタンに使用できる酸可溶性チタン化合物としては、塩酸可溶のチタン化合物であれば使用できる。硫酸チタニルや四塩化チタンを低温でアルカリ中和して得られるオルソチタン酸が好ましいが、メタチタン酸をアルカリで処理したチタン酸のアルカリ塩を用いても得ることができる。本発明の被覆に使用する束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタンを生成させる際に添加する脂肪族ヒドロキシ酸化合物としては、例えば、グリコール酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、サリチル酸、リンゴ酸、イソクエン酸およびこれらの塩の一種または二種以上のものを用いることができる。
【0020】
(表面処理)
本発明の複合粉末は、ルチル型酸化チタンの固定化並びに化粧料を製造する際の分散媒体中での分散安定性および耐久性向上のため、該複合粉末粒子表面をアルミニウム、ケイ素、亜鉛、マグネシウム、チタニウム、ジルコニウム、カルシウム、鉄、セリウム及び錫等の金属の含水酸化物又は酸化物にて被覆する。これに用いられる前記金属塩には何ら使用制限はなく、特定のものに限定されるものではない。更に、これらの複合粉末は化粧料に配合する前に、あらかじめ撥水及び/又は撥油化処理が施されていることが好ましく、当該処理を行うための材料としては、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン化合物、シラン系、アルミニウム系、チタニウム系およびジルコニウム系等のカップリング剤、パーフルオロアルキルリン酸化合物等のフッ素化合物、炭化水素、レシチン、アミノ酸、ポリエチレン、ロウ、金属石けん等が挙げられる。
【0021】
(併用可能な無機顔料及び有機顔料)
本発明の化粧料には、通常の化粧料に使用される無機顔料、有機顔料等の各種成分を必要に応じて併用できる。併用できる無機顔料は、酸化チタン、酸化亜鉛、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、紺青、酸化セリウム、タルク、カオリン、ベントナイト、クレー、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、黒雲母、合成フッ素金雲母、雲母チタン、雲母状酸化鉄、紅雲母、リチア雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪ソウ土、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸バリウム、硫酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、シリカ、ヒドロキシアパタイト、ゼオライト、窒化ホウ素、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、カラミン等およびこれらの複合体であり、同じく併用できる有機顔料は、ナイロン粉末、シリコーン粉末、シリコーン弾性粉末、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、ポリウレタン粉末、セルロース粉末、ウレタン粉末、シルク粉末、PMMA粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、ベンゾグアナミン粉末、ジスチレンベンゼンポリマー粉末、エポキシ粉末、アクリル粉末、スターチ、カーボンブラック、タール色素、天然色素、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸等およびこれらの複合体等である。
【0022】
(配合可能な成分)
本発明の化粧料は、上記成分の他に、目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲内で他の成分を配合することができる。例えば、本発明の化粧料には、さらに水、油性成分、色素、pH調整剤、保湿剤、増粘剤、界面活性剤、分散剤、安定化剤、着色剤、防腐剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、殺菌剤、血行促進剤、皮膚賦活剤、収斂剤、冷感剤、消炎剤、紫外線吸収剤、香料等も、本発明の目的を達する範囲内で適宜配合することができる。
【0023】
(化粧料の剤型)
本発明の化粧料は公知の方法で製造することができ、化粧料の剤型としては粉末状、粉末固形状、クリーム状、乳液状、ローション状、油性液状、油性固形状、ペースト状等のいずれの状態であってもよく、例えばメークアップベース、ファンデーション、コンシーラー、フェースパウダー、コントロールカラー、日焼け止め化粧料、口紅、リップクリーム、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、チークカラー、マニキュア、ボディーパウダー、パヒュームパウダー、ベビーパウダー等のメークアップ化粧料、スキンケア化粧料、ヘアケア化粧料などとすることができる。
【0024】
(化粧料中への配合量)
これらの化粧料中の束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタンを被覆した複合粉末の配合量は、各種化粧料の要求特性に応じて任意に設定することができるが、化粧料に使用した際に肌になめらかに塗布することができ、肌へのきしみ感やざらつき感がなく、良好な紫外線遮蔽能を発現させるためには0.1〜70重量%、好ましくは1〜65重量%である。0.1重量%より少ないと紫外線遮蔽能が得られず、70重量%を超える配合量では紫外線遮蔽能は良好であるが、肌へのきしみ感やざらつき感が強くなり、また、隠蔽力の出過ぎによって化粧膜が不自然な仕上がりになるために好ましくない。
【実施例】
【0025】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、以下の実施例は単に例示のために示すものであり、発明の範囲がこれによって制限されるものではない。
【0026】
[製造実施例1]
(被覆に使用するルチル型酸化チタンの合成)
160g/Lの炭酸ナトリウム溶液中に硫酸チタニル溶液を、液温が25℃を越えないようにゆっくりと滴下し、pHが10になった時点で硫酸チタニル溶液の滴下を止めた。この中和で得られたオルソチタン酸の白色沈殿をろ過し、十分洗浄した。次に、洗浄したオルソチタン酸ケーキを希塩酸によりリパルプし塩酸濃度20g/Lに調整し25℃にて3時間解膠を行った。その後、濃塩酸並びにクエン酸を添加してTiO濃度80g/L、塩酸濃度80g/L、クエン酸濃度0.8g/Lに調整した。次に、撹拌しながら加温し液温を40℃に合わせ、撹拌しながら40℃で20時間加水分解を行い、ルチル型酸化チタンを合成した。得られたルチル型酸化チタンを透過型電子顕微鏡で観察したところ、見掛け平均長軸長が80nm、見掛け平均短軸長が20nm、見掛け平均軸比が4.0、比表面積が172m/gの棒状粒子が束状に配向して凝集した束状(短冊状)粒子であった。得られた束状(短冊状)ルチル型酸化チタン含有スラリーを撹拌しながら苛性ソーダ溶液を添加し、pHを7.0に調整した。ろ過、洗浄を行った後にTiOとして200g/Lとなるように純水でリパルプした。
【0027】
(基体粒子への被覆処理)
1Lガラスビーカー中に合成した束状ルチル型酸化チタンのリパルプスラリーをTiOとして100g分採取し、純水を加えて容量を1Lに希釈した。次いで撹拌しながら三信マイカFSE(平均粒径10μm:三信鉱工製)100gを添加して均一に分散させた。分散液の温度を70℃に調整し、束状ルチル型酸化チタンに対しAlとして30重量%のアルミン酸ナトリウム溶液を撹拌しながらゆっくりと添加し、1時間撹拌保持を行った後に希硫酸を添加してpHを7.0に調整した。ろ過、洗浄、乾燥し、束状ルチル型酸化チタンを被覆した複合粉末(サンプルA)を得た。
【0028】
[製造実施例2]
被覆に使用するルチル型酸化チタンの合成条件を変更し、見掛け平均長軸長が106nm、見掛け平均短軸長が88nm、見掛け平均軸比が1.2、比表面積が165m/gである棒状粒子が束状に配向して凝集した藁束状ルチル型酸化チタンを合成した。この藁束状ルチル型酸化チタンのリパルプスラリーをTiOとして100g分採取し、撹拌しながら三信マイカFSE(平均粒径10μm:三信鉱工製)100gを添加して均一に分散させた。次に分散液の温度を70℃に調整し、藁束状ルチル型酸化チタンに対しAlとして35重量%のアルミン酸ナトリウム溶液を撹拌しながらゆっくりと添加し、1時間撹拌保持を行った後に希硫酸を添加してpHを7.0に調整した。ろ過、洗浄、乾燥し、藁束状ルチル型酸化チタンを被覆した複合粉末(サンプルB)を得た。
【0029】
[製造実施例3]
被覆に使用するルチル型酸化チタンの合成条件を変更し、見掛け平均長軸長が165nm、見掛け平均短軸長が75nm、見掛け平均軸比が2.2、比表面積が173m/gである棒状粒子が束状に配向して凝集した藁束状ルチル型酸化チタンを合成した。この藁束状ルチル型酸化チタンのリパルプスラリーを被覆に用いること以外は製造実施例1と同様にして藁束状ルチル型酸化チタンを被覆した複合粉末(サンプルC)を得た。
【0030】
[製造比較例1]
製造実施例1において、束状ルチル型酸化チタンを添加しないこと以外は製造実施例1と同様にして被覆処理を行った(サンプルD)。
【0031】
[製造比較例2]
製造実施例1で得た束状ルチル型酸化チタンをTiOとして200g/Lにリパルプしたスラリーを加温し、70℃に調整した。次いでTiOに対しAlとして15%のアルミン酸ナトリウムを撹拌しながらゆっくりと添加し、1時間撹拌を行った後、希硫酸を添加しpHを6.5に調整した。ろ過、洗浄、乾燥および粉砕を行って表面処理束状ルチル型酸化チタンを作製した。この表面処理束状ルチル型酸化チタン100gと三信マイカFSE100gをフードプロセッサーに採取し、3分間粉砕を行って乾式による複合粉末を得た。(サンプルE)
【0032】
[製造比較例3]
製造実施例1において、束状ルチル型酸化チタンに対するAlの添加量を5重量%としたこと以外は製造実施例1と同様にして複合処理を行ったが、ろ過および洗浄中に基体表面へ被覆されなかった束状ルチル型酸化チタンが流出し、ろ液は白濁していた。また、乾燥後の複合粉末は硬いものであった(サンプルF)。
【0033】
[製造比較例4]
製造実施例1において、束状ルチル型酸化チタンを平均粒子径が0.3μmの顔料級ルチル型酸化チタン(チタン工業製 KR−310)に変更すること以外は製造実施例1と同様にしてルチル型酸化チタンを被覆した複合粉末(サンプルG)を得た。
【0034】
[複合粉末の評価項目および評価方法]
(紫外線遮蔽能)
60mLガラス瓶にトリエチルヘキサノインを20g採取し、ラボディスパーで撹拌しながら製造実施例1〜3で得られたA〜Cのサンプルおよび製造比較例1〜4で得られたD〜Gのサンプル5gを添加し、3000rpmで5分間分散した。分散液をNo.10バーコーターを使用して石英ガラス板に塗布し、V−670型分光光度計(日本分光製)を用いて波長280〜400nmの吸光度を測定した結果を図1および図2に示した。
【0035】
図1および図2から明らかなように、製造実施例1〜3で得た束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタンを被覆した複合粉末は、製造比較例1〜4で得た複合粉末に比べて紫外線遮蔽能が高く、束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタンを被覆した効果が明確に現れていた。
【0036】
[実施例1〜3、比較例1〜4:パウダーファンデーション]
製造実施例1〜3で得られたA〜Cのサンプルおよび製造比較例1〜3で得られたD〜Gのサンプルにメチルハイドロジェンポリシロキサンを表面処理し、表1に示した配合割合でヘンシェルミキサーにより均一に撹拌混合した。撹拌混合物をハンマーミルで粉砕した後に所定量を金皿に充填し、圧縮成型してパウダーファンデーションを作製した。
【0037】
【表1】

【0038】
[複合粉末を用いた化粧料の評価項目および評価方法]
(官能試験)
実施例1〜3および比較例1〜3で作製したパウダーファンデーションをパネラー10人に使用させ、表2の官能試験項目について5段階に分けて官能評価し、その平均点より判定した。
(評価基準)
非常に良好:5点 良好:4点 普通:3点 やや不良:2点 不良:1点
(判定基準)
4.0〜5.0点:◎ 3.0〜4.0点未満:○ 2.0〜3.0点未満:△ 1.0〜2.0点未満:×
【0039】
(紫外線遮蔽能)
得られたパウダーファンデーションを住友3M社製トランスポアテープに2mg/cmの塗布量となるように均一に塗布し、Labsphere社製 UV−1000S SPFアナライザーを用いてin vitro SPF値を測定した。
【0040】
【表2】

【0041】
表2に示したように、官能試験の結果、本発明の実施例1〜3により得られたパウダーファンデーションは、いずれも比較例1〜4で得られたパウダーファンデーションに比べ、塗布時ののび、なめらかさに優れてざらつきが少なく、また、塗布後においても透明感に優れ、適度なカバー力により白浮きも発生せず、自然な素肌感のある仕上がりであった。さらに、化粧持ちも良好で素肌感が持続する優れたものであった。また、invitroSPFの結果からも実施例1〜3により得られたパウダーファンデーションは比較例1〜4で得られたパウダーファンデーションに比べてSPFが高く、良好な紫外線遮蔽能を有していた。このように、束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタンを被覆した複合粉末を化粧料に配合することにより、肌になめらかに塗布することができ、肌へのきしみ感やざらつき感がなく、自然な素肌感を演出するとともに高い紫外線遮蔽能を有する化粧料を提供できた。
[実施例4:パウダーファンデーション]
【0042】
【表3】

【0043】
(製造方法)
A:成分1〜13を混合して均一に粉砕する。
B:成分15〜17を均一混合し、Aに加えて均一にした。
C:Bに成分14を添加し、金型にプレス成型してパウダーファンデーションを得た。
【0044】
得られたパウダーファンデーションは、滑らかで軽く伸び広がり、付着性に優れおさまりも良く、さらに、べたつきがなく汗等にも強く、化粧持続性にも優れると共に、使用感及び使用性に優れたパウダーファンデーションであった。
[実施例5:プレストパウダー]
【0045】
【表4】

【0046】
(製造方法)
A:成分1〜7を混合粉砕する。
B:Aをヘンシェルミキサーに移し、成分8〜12を加えて均一になるよう撹拌混合する。
C:Bをアトマイザーにて粉砕し、これをアルミ皿にプレス成型してプレストパウダーを得た。
得られたプレストパウダーは、塗布時の伸び、滑らかさに優れ、さらに、塗布後においても自然な仕上がりであることが確認された。
[実施例6:2WAYケーキファンデーション]
【0047】
【表5】

【0048】
(製造方法)
A:成分9〜13を加熱溶解する。
B:成分1〜8をヘンシェルミキサーで混合し、これにAを混合する。
C:Bをアトマイザーにて粉砕し、アルミ皿にプレス成型して2WAYケーキファンデーションを得た。
【0049】
得られた2WAYケーキファンデーションは、塗布時ののび、なめらかさに優れ、さらに、塗布後においても透明感に優れ適度なカバー力により白浮きも発生せず、自然な素肌感のある仕上がりであることが確認された。
[実施例7:油性ケーキファンデーション]
【0050】
【表6】

【0051】
(製造方法)
A:成分1〜6をヘンシェルミキサーにて混合し、均一に粉砕する。
B:成分8〜16を加熱溶解し、Aを加え均一に撹拌する。
C:脱泡後トレイにバルクを流し込み、室温まで徐冷し、油性ケーキファンデーションを得た。
【0052】
得られた油性ケーキファンデーションは、塗布時ののび、なめらかさに優れ、さらに、塗布後においても透明感に優れ適度なカバー力により白浮きも発生せず、自然な素肌感のある仕上がりであることが確認された。
[実施例8:スティックファンデーション]
【0053】
【表7】

【0054】
(製造方法)
A:成分12〜16をヘンシェルミキサーにて混合する。
B:全量が仕込める容器に成分1〜11を秤量し、加熱溶解する。
C:別の容器に成分17〜21を秤量し加熱溶解する。
D:BにAを加え均一に分散させ、Cを加えて乳化する。
E:脱泡後モールドにバルクを流し込み、室温まで徐冷し、スティックファンデーションを得た。
【0055】
得られたスティックファンデーションは、塗布時ののび、なめらかさに優れ、さらに、塗布後においても透明感に優れ適度なカバー力により白浮きも発生せず、自然な素肌感のある仕上がりであることが確認された。
[実施例9:W/O乳化型ファンデーション]
【0056】
【表8】

【0057】
(製造方法)
A:成分12〜14をヘンシェルミキサーにて撹拌混合する。
B:成分1〜11にAを加え、撹拌機にて均一に分散する。
C:別の容器に成分15〜19を加熱溶解する。
D:BにCを加え乳化後、室温まで冷却し、W/O乳化型ファンデーションを得た。
【0058】
得られたW/O乳化型ファンデーションは、塗布時ののび、なめらかさに優れ、さらに、塗布後においても透明感に優れ適度なカバー力により白浮きも発生せず、自然な素肌感のある仕上がりであることが確認された。
[実施例10:O/W乳化型ファンデーション]
【0059】
【表9】

【0060】
(製造方法)
A:成分1〜7を85℃にて加熱溶解する。
B:成分8〜10を混合粉砕する。
C:成分11〜15を85℃に加熱し、溶解混合する。
D:AにBを加え均一に分散し、これにCを徐々に添加し乳化を行い、室温まで撹拌冷却する。ついで、適当な容器に充填しO/W乳化型ファンデーションを得た。
【0061】
得られたO/W乳化型ファンデーションは、塗布時ののび、なめらかさに優れ、さらに、塗布後においても透明感に優れ適度なカバー力により白浮きも発生せず、自然な素肌感のある仕上がりであることが確認された。
[実施例11:保湿O/Wクリーム]
【0062】
【表10】

【0063】
(製造方法)
A:成分3〜5を混合し、均一に分散する。
B:成分1、2及びAを混合し、均一に混合する。
C:成分6〜12を均一に混合する。
D:撹拌下、CにBを徐添して乳化し、保湿O/Wクリームを得た。
【0064】
得られた保湿O/Wクリームは、ベタツキや油っぽさがなくサラッとしており、のび広がりが軽くきしみ感もなく、さっぱりとした使用感、清涼感を有し、またしっとりとしてみずみずしく温度や経時による変化がなく、使用性、安定性にも非常に優れていることが確認された。
[実施例12:O/Wクリーム]
【0065】
【表11】

【0066】
(製造方法)
A:成分1〜8を加熱混合し、均一にする。
B:成分9〜13、及び15を混合、加熱する。
C:撹拌下、BにAを徐添して乳化し、冷却後、成分14を添加し、O/Wクリームを得た。
【0067】
得られたO/Wクリームは、ベタツキや油っぽさがなくサラッとしており、のび広がりが軽く、しかも密着感に優れ、収まりも良く、さっぱりとした使用感、清涼感を有し、またしっとりとしてみずみずしく、温度や経時による変化がなく、使用性、安定性にも非常に優れていることが確認された。
[実施例13:W/O型クリーム]
【0068】
【表12】

【0069】
(製造方法)
A:成分1〜8を均一に混合する。
B:成分9〜13、及び成分15を均一に混合する。
C:撹拌下、AにBを徐添して乳化し、成分14を添加してW/Oクリームを得た。
【0070】
得られたW/Oクリームは、きしみ感もなくのび広がりが軽く、密着性に優れおさまりも良く、しっとりとしてみずみずしく、さっぱりとした使用感、清涼感を与えるとともに、化粧持ちもよく、温度や経時による変化がなく、使用性、安定性にも非常に優れていることが確認された。
[実施例14:ボディーローション]
【0071】
【表13】

【0072】
(製造方法)
A:成分1〜6を均一に混合する。
B:成分7〜10を均一に混合する。
C:撹拌下、BにAを徐添して混合し、ボディーローションを得た。
【0073】
得られたボディーローションは、ベタツキや油っぽさがなくサラサラッとしており、のび広がりが軽く、しっとりとしてみずみずしく、さっぱりとした使用感、清涼感を与えるとともに、温度や経時による変化がなく、使用性、安定性にも非常に優れていることが確認された。
[実施例15:サンカットクリーム]
【0074】
【表14】

【0075】
(製造方法)
A:成分5の一部に成分7を加えて均一にし、成分8、9を添加して分散する。
B:成分1〜4、及び成分5の残部、6を均一に混合する。
C:成分10〜12、及び成分14を混合して、均一にする。
D:CをBに添加して乳化し、A及び成分12を加えてサンカットクリームを得た。
【0076】
得られたサンカットクリームは、かすかに塗布面がわかるため、肌上にムラなく塗布でき、さらにベタツキがなくのび広がりが非常に軽く、しかも密着感に優れ、おさまりもよく、油っぽさがなくてさっぱりとした使用感を与えると共に、耐水性や撥水性、耐汗性が良好で化粧持ちも非常に優れ、化粧崩れしにくく、温度や経時による変化がなく安定性にも優れていることが確認された。
[実施例16:サンカットクリーム]
【0077】
【表15】

【0078】
(製造方法)
A:成分5の一部に成分10を溶解し、成分9を均一に分散する。
B:成分1〜4、成分5の残部、6〜8及びAを均一に混合する。
C:成分11〜14を混合する。
D:CをBに添加して乳化し、サンカットクリームを得た。
【0079】
得られたサンカットクリームは、ムラなく塗布でき、のび広がりが軽く、しかも密着感に優れ、きしみ感もなくおさまりもよく、ベタツキや油っぽさがなくてさっぱりとした使用感を与えると共に、耐水性や撥水性、耐汗性が良好で化粧持ちも非常に優れ、化粧崩れしにくく、温度や経時による変化がなく安定性にも優れていることが確認された。
[実施例17:プレス状チークカラー]
【0080】
【表16】

【0081】
(製造方法)
A:成分1〜8を均一に分散する。
B:成分9〜11を加熱混合する。
C:BをAに添加して均一に混合し、金皿にプレス成型してプレス状チークカラーを得た。
【0082】
得られたプレス状チークカラーは、のび広がりが軽くて油っぽさや粉っぽさがなく、きしみもなく、肌への付着性にも優れ、さっぱりとした使用感を与えると共にしっとりとしていて、耐水性や撥水性、耐汗性が良好で持ちも良く、化粧崩れしにくく、温度や経時による変化がなく安定性にも優れていることが確認された。
[実施例18:ルースパウダー]
【0083】
【表17】

【0084】
(製造方法)
A:成分1〜7を混合粉砕する。
B:Aをヘンシェルミキサーに移し、成分8〜10を加えて均一になるよう撹拌混合する。
C:Bをアトマイザーにて粉砕し、これを充填しルースパウダーを得た。
【0085】
得られたルースパウダーは、塗布時ののび、なめらかさに優れ、さらに、塗布後においても透明感に優れ適度なカバー力により白浮きも発生せず、自然な素肌感のある仕上がりであることが確認された。
[実施例19:口紅]
【0086】
【表18】

【0087】
(製造方法)
A:成分1〜12を加熱混合し均一に撹拌する。
B:Aを脱泡後モールドにバルクを流し込み、急冷し、口紅を得た。
【0088】
得られた口紅は、ツヤ感に優れ、密着感があり適度な伸びを保持し、通常の顔料級酸化チタンを使用した製剤では塗布色と外観色が同じ色調の製剤を得るのが困難であるが、本実施例で得られた口紅は、塗布色と外観色が同等であることが確認された。
[実施例20:リップグロス]
【0089】
【表19】

【0090】
(製造方法)
A:成分1〜5を85℃に加熱し均一に溶解させる。
B:Aに、成分6〜8を加え均一に分散させる。
C:高温で容器に充填し、室温まで急冷し、リップグロスを得た。
得られたリップグロスは、密着性、経時安定性に優れ、塗布色と外観色が同等であることが確認された。
[実施例21:アイライナー]
【0091】
【表20】

【0092】
(製造方法)
A:成分7に5,6を加え、これに1〜3を添加し、コロイドミルで処理する。
B:成分4,8,9を混合し、70℃でAを加えて均一に分散した後、冷却、充填しアイライナーを得た。
得られたアイライナーは、密着性、化粧持続性、色調に優れたことが確認された。
[実施例22:マスカラ]
【0093】
【表21】

【0094】
(製造方法)
A:成分7〜11をヘンシェルミキサーにて撹拌混合する。
B:成分1〜6にAを加え、撹拌機にて均一に分散する。
C:別の容器に成分12〜20を加熱溶解する。
D:BにCを加え乳化後、40℃まで冷却し、成分21を加え、室温まで冷却し、マスカラを得た。
得られたマスカラは、適度なツヤ感を有し、眉毛への付き、化粧持続性、色調に優れたものであることが確認された。
[実施例23:クリームアイシャドウ]
【0095】
【表22】

【0096】
(製造方法)
A:成分1〜6を混合し、成分7〜10を加えて均一に混合、分散する。
B:成分11〜12を混合する。
C:BをAに添加して乳化し、クリームアイシャドウを得た。
【0097】
以上のようにして得られたクリームアイシャドウは、のび広がりが軽くて油っぽさや粉っぽさがなく、きしみもなく、肌への付着性にも優れ、さっぱりとした使用感を与えると共にしっとりとしていて、耐水性や撥水性、耐汗性が良好で持ちも良く、化粧崩れしにくく、温度や経時による変化がなく安定性にも優れていることが確認された。
[実施例24:アイシャドー]
【0098】
【表23】

【0099】
(製造方法)
A:成分1〜5を混合粉砕する。
B:Aをヘンシェルミキサーに移し、別に混合した成分6〜10を加えて均一になるよう撹拌混合する。
C:Bをアトマイザーにて粉砕した。これをアルミ皿にプレス成型してアイシャドーを得た。
得られたアイシャドーは、化粧持続性、密着性、色調、使用性に優れたものであることが確認された。
[実施例25:ネイルエナメル]
【0100】
【表24】

【0101】
(製造方法)
A:成分2、3の一部に成分8〜9を溶解しよく練り合わせる。
B:Aに成分2、3 の残部成分1、4〜7および10を添加混合し、容器に充填しネイルエナメルを得た。
得られたネイルエナメルは、爪に対する密着性、経時安定性、色調に優れたものであることが確認された。
[実施例26:固形状油中多価アルコール乳化ホホ紅]
【0102】
【表25】

【0103】
(製造方法)
A:成分1〜8を80℃に加熱し、均一に混合する。
B:成分9〜12を均一に混合し、Aに添加し、均一に分散する。
C:成分13、15を混合し、80℃に加熱する。
D:CをBに加えて乳化し、成分14を添加して金皿に流し込んで冷却し、固形状油中多価アルコール乳化ホホ紅を得た。
【0104】
得られた固形状油中多価アルコール乳化ホホ紅は、のび広がりが軽くて、ベタツキや油っぽさもなく、肌への付着性に優れ、白浮きもなく後肌のしっとした、経時的に安定性の良い、非水系の固形状油中多価アルコール乳化ホホ紅であることが確認された。
[実施例27:ほほ紅]
【0105】
【表26】

【0106】
(製造方法)
A:成分5〜8を加熱溶解させる。
B:成分1〜4をヘンシェルミキサーで混合し、これにAを混合する。
C:Bをアトマイザーにて粉砕し、金皿に成型しほほ紅を得た。
得られたほほ紅は、塗布時の伸び、滑らかさに優れ、さらに、外観色と塗布色に違いがない自然な仕上がりであることが確認された。
[実施例28:クリーム状口紅]
【0107】
【表27】

【0108】
(製造方法)
A:成分2の一部に、成分9〜12を混合し、ローラーにて分散する。
B:成分1、2の残部及び3〜6を加熱し、均一に混合する。
C:BにAを添加して均一に混合する。
D:成分7、8を混合し加温、Cに加えて乳化する。
E:成分13、14をDに添加し、クリーム状口紅を得た。
【0109】
得られたクリーム状口紅は、のびが軽くて唇に伸ばしやすく、ベタツキや油っぽさもなく、しかし、しっとしていて乾きを感じないもので、白浮きもにじみもなく、化粧持ちがよく、経時的に安定性の良い、クリーム状口紅であることが確認された。
[実施例29:洗顔フォーム]
【0110】
【表28】

【0111】
(製造方法)
A:成分1〜9を混合し加熱溶解する。
B:別の容器に成分10、11を秤量し、Aに加え、けん化を行う。
C;Bに成分12〜15を加え、均一に撹拌混合した後室温まで冷却する。ついで、適当な容器に充填し洗顔フォームを得た。
得られた洗顔フォームは、外観が綺麗な白色を呈し、洗浄特性を損なわず、泡立ち、泡持ちに優れたものであることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が0.3〜100μmの有機および無機粉末の粒子表面を、束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタンで被覆したことを特徴とする複合粉末。
【請求項2】
棒状の微細粒子が束状に配向凝集した粒子形態で、配向凝集した粒子の見掛け平均長軸長が40〜80nm、配向凝集した粒子の見掛け平均短軸長が15〜40nm、見掛け平均軸比(見掛け平均長軸長/見掛け平均短軸長)が1.2〜5.0で、比表面積が150〜250m/gである束状ルチル型酸化チタンで被覆した、請求項1記載の複合粉末。
【請求項3】
一個の粒子の短軸径が3〜10nmの棒状粒子の長軸面が短軸方向に配向凝集した粒子形態で、配向凝集した粒子の見掛け平均長軸長が80〜300nm、配向凝集した粒子の見掛け平均短軸長が30〜150nm、見掛け平均軸比(見掛け平均長軸長/見掛け平均短軸長)が1.1〜4で、配向凝集した粒子の長軸の両端が球形状ないし楕円体形状をした、比表面積が120〜180m/gである藁束状ルチル型酸化チタンで被覆した、請求項1記載の複合粉末。
【請求項4】
有機および無機粉末の粒子表面を束状あるいは藁束状ルチル型酸化チタンで被覆した後、更に無機物及び有機物の一種または二種以上で含む層で被覆することにより酸化チタンを固定化したことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の複合粉末。
【請求項5】
粒子表面を被覆する無機物がアルミニウム、ケイ素、亜鉛、マグネシウム、チタニウム、ジルコニウム、カルシウム、鉄、セリウム及び錫のうちの一種又は二種以上である、請求項4記載の複合粉末。
【請求項6】
粒子表面を被覆する有機物がシリコーン系化合物、各種カップリング剤や脂肪酸化合物のうちの一種又は二種以上である、請求項4記載の複合粉末。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の複合粉末を含有することを特徴とする化粧料。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−25602(P2012−25602A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163926(P2010−163926)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【出願人】(000109255)チタン工業株式会社 (17)
【Fターム(参考)】