格子画像の位相解析方法およびそれを用いた物体の変位測定方法ならびに物体の形状測定方法
【課題】 簡単な構成で材料および構造物などの物体の変位や形状やひずみを高精度で検出することができる位相解析方法を提供する。
【解決手段】 撮影された画像の元の輝度値(a)の左もしくは右から(縦方向の場合、上もしくは下から)1番目のスタート点から整数倍画素N(Nは3以上)毎に間引き(b)、左から2番目のスタート点からN画素毎に間引き(c)、左から3番目のスタート点からN画素毎に間引き(d)、抜けた画像データを線形補間することによって、元の画像を同じ解像度の画像を得る。
【解決手段】 撮影された画像の元の輝度値(a)の左もしくは右から(縦方向の場合、上もしくは下から)1番目のスタート点から整数倍画素N(Nは3以上)毎に間引き(b)、左から2番目のスタート点からN画素毎に間引き(c)、左から3番目のスタート点からN画素毎に間引き(d)、抜けた画像データを線形補間することによって、元の画像を同じ解像度の画像を得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種材料の変形応力分布の測定および設計段階または使用中の橋梁、建築物などの大型構造物の変位たわみ量分布などの測定などに好適に実施することができる位相解析方法、この位相解析方法を用いた物体の変位測定方法および形状測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、材料および構造物などの物体の変位・応力測定には、変位計および歪ゲージなど各種の測定機器が用いられでいるが、変位計や歪ゲージによって測定できるのは、あくまでも変位計を設置した場所あるいは歪ゲージを接着等によって取り付けた場所の1個所の情報しか得ることができない。したがって物体全体の変位分布や応力分布を得るには、多数の変位計や歪ゲージを使用する必要があるが、手間やコストなどの問題を有するために実用的ではなく、このような問題を解決するために、次のような先行技術が提案されている。
【0003】
特許文献1には、複数の異方性圧電材料を貼付けた測定用テープを構造部材の表面に接着して、表面電位計を用いて異方性圧電材料の表面電位を測定することによって、部材の応力分布を求めることが提案されている。
【0004】
特許文献1の先行技術では、基本的には1個所ずつ測定プローブで測定を行うため、変形応力分布を得るには多くの時間を要するという問題がある。また、異方性圧電材料そのものに規格サイズがあるため、測定できる間隔や大きさには多くの制限があり、使い勝手が悪いという問題がある。さらに、異方性圧電材料は高価であるので、多くの点、たとえば100万点を測定する必要がある場合、極めて高いコストと多くの手間がかかるという問題がある。さらに、構造物においては、測定装置として表面電位計を構造物に固定した後、移動させることが困難な場所では、この表面電位計を用いて多点測定することが困難であるという問題がある。
【0005】
また、特許文献2には、デジタル画像相関法を利用して変形量を算出し、安価な装置で全視野の変位量を得ることができる技術が提案されている。
【0006】
特許文献2の先行技術では、変位量の算出に多くの計算時間を要するため、リアルタイムで計算結果を見ることができないという問題がある。また、構造物の表面にランダムパターンを貼り付ける必要があるが、ランダムパターンの大きさを変えることが容易ではなく、測定精度に合わせてランダムパターンを作ることが困難であるという問題がある。さらに、測定精度は1/10画素〜1/20画素程度であって、高い測定精度が得られないという問題がある。さらに、この先行技術では、撮影された画像の輝度値を用いるため、環境光の影響を受けやすいという問題がある。
【0007】
【特許文献1】特開2003−185507号公報
【特許文献2】特開2006−329628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、簡単な構成で材料および構造物などの物体の変位を高精度で検出することができる位相解析方法、この位相解析方法を用いた物体の変位測定方法および物体の形状測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、物体の表面に存在する格子模様の所定の領域を光学式カメラで撮影し、
前記撮影された画像に対して、等間隔の画素ごとのサンプリングを、起点の画素を変えながら3回以上の複数回実行し、このサンプリング処理によって得られた間引き画像を補間処理することによってモアレ縞画像を生成し、位相シフト法によって得られるモアレ縞の位相分布を求めることを特徴とする格子画像の位相解析方法である。
【0010】
本発明に従えば、粘着テープ等を使用することによって物体の表面に格子模様を形成し、光学式カメラによって前記格子模様の所定領域を撮影し、その撮影画像に対して起点の画素を変えながら3回以上の複数回サンプリングを行い、その間引き画像を補間処理してモアレ縞画像を生成し、このモアレ縞画像のモアレ縞の位相分布を位相シフト法によって簡単かつ安価に求め、変形応力分布の測定などに利用することができる。
【0011】
また本発明は、物体の表面に存在する規則正しい模様を基準格子とし、力を加える前と後のそれぞれの所定の領域を光学式カメラで撮影するステップと、
撮影された画像に対して、等間隔の画素ごとのサンプリングを、起点の画素を変えながら3回以上の複数回実行し、このサンプリング処理によって得られた間引き画像を補間処理することによってモアレ縞画像を生成し、位相シフト法によって得られるモアレ縞の位相分布を求めるステップと、
変形前後の位相分布から得られる位相差分布から、物体の変位を検出するステップとを含むことを特徴とする物体の変位測定方法である。
【0012】
本発明に従えば、測定したい部分に本発明の粘着テープ等を貼付け、CCDカメラやCMOSカメラなどの光学式撮影装置で撮影し、撮影された画像に対して、等間隔の画素ごとのサンプリングを、起点の画素を変えながら3回以上の複数回実行し、このサンプリング処理によって得られた間引き画像を補間処理することによってモアレ縞画像を生成し、位相シフト法によってモアレ縞の位相分布を求め、変形前後の位相分布から得られる位相差分布から、簡単かつ高精度に変位応力分布を求めて物体の変位を検出することができる。
【0013】
さらに本発明は、物体の表面に存在する規則正しい模様は、測定したい精度に応じたピッチ間隔の矩形波形または正弦状波形の明るさ分布を有する格子パターンが描かれたシート体を貼付けることによって形成され、このシート体に描かれた格子パターンを基準格子として測定を行うことを特徴とする。
【0014】
本発明に従えば、測定したい精度と範囲に合わせてピッチ間隔や大きさを決めることができる。つまり微小な変形を測定したい場合は細かい格子を用いればよい。また大きな変形を測定したい場合には、ピッチ間隔の大きい格子を使用すればよく、要求精度に応じた格子間隔を任意に選択して用いることができる。
【0015】
さらに本発明は、前記位相差分布に基づいて、変位量分布を算出することを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、測定したい精度の10倍〜1000倍のピッチ間隔の矩形波形または正弦波形の明るさ分布を有する格子パターンのシート体を用いるので、高精度で位相解析することができ、したがって高精度で物体の変形を求めることができる。
【0017】
さらに本発明は、前記変位量分布に基づいて、ひずみまたは応力分布を算出することを特徴とする。
【0018】
本発明に従えば、探索などの時間がかかる処理を行っていないため、計算時間が従来に比べて高速であり、短時間で高精度に物体の変形を検出することができる。
【0019】
さらに本発明は、2次元状の格子を用いて、横方向および縦方向の各位相分布を求めることを特徴とする。
【0020】
本発明に従えば、測定に必要な設備は汎用のパーソナルコンピュータ、既存の光学式カメラおよびシート体があれば、横方向および縦方向の各位相分布を求めて高精度の変位測定が可能であるので、安価なコストで物体の変位を高精度で測定することができ、汎用性の高い測定技術を提供することができる。
【0021】
さらに本発明は、物体の表面に格子パターンが描かれたシート体を貼付けることによって、前記物体の表面に格子パターンを形成し、この格子パターンを基準格子として測定することを特徴とする。
【0022】
本発明に従えば、物体の表面にシート体を貼付けることによって物体の表面に格子パターンを形成するので、格子パターンを測定対象面に形成するにあたって、物体表面の性状の制限が緩和され、シート体を貼付けることができればよく、広範囲の物体に対して本発明を実施することができる。
【0023】
さらに本発明は、物体の変位を3次元的に検出することを特徴とする。
さらに本発明は、2次元の位相分布を使って、異なる位置に設置された複数台のカメラの撮影画像内での対応点を検出することを特徴とする。
【0024】
さらに本発明は、前記複数台のカメラの撮影画像内の対応点の検出結果を用いて、物体の3次元形状を測定することを特徴とする。
【0025】
さらに本発明は、前記測定された物体の3次元形状を用いて、物体の表面のひずみ分布を求めることを特徴とする。
【0026】
さらに本発明は、物体の表面に投影機によって格子状のパターンを投影し、
物体の表面に投影された格子模様の所定の領域を光学式カメラで撮影し、
前記撮影された画像に対して、等間隔の画素ごとのサンプリングを、起点の画素を変えながら3回以上の複数回実行し、このサンプリング処理によって得られた間引き画像を補間処理することによってモアレ縞画像を生成し、位相シフト法によって得られるモアレ縞の位相分布から物体の形状を求めることを特徴とする物体の形状測定方法である。
【0027】
本発明に従えば、物体の表面に投影機によって格子状のパターン映像を投影することによって、物体の表面に格子パターンを形成し、光学式カメラによって前記投影された格子パターンを撮影し、その撮影画像に対して起点の画素を変えながら3回以上の複数回サンプリングを行い、その間引き画像を補間処理することによってモアレ画像を生成し、位相シフト法によって得られたモアレ縞の位相分布から物体の形状を検出するので、格子パターンを測定対象面に形成するのあたって、物体表面の性状の制限が緩和され、格子パターンを投影できればよく、広範囲の物体形状を容易に検出することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、簡単かつ高精度に非接触で物体の変位を変位応力分布などの変位を表すパラメータまたは情報として求めることができる。
【0029】
また本発明によれば、測定したい精度と大きさに合わせて格子間隔とサイズを任意に決めることができ、測定対象に応じた測定精度で物体の変位を得ることができる。
【0030】
さらに本発明によれば、測定に必要な装置は格子パターンが描かれたシート体、汎用光学式カメラおよびパーソナルコンピュータだけでよいため、安価に短時間で変位応力分布などの変位に関する情報を測定することができる。
【0031】
さらに本発明によれば、材質および形状などが異なる多くの材料や構造物などの物体の変位測定に適用することができ、広範囲に本発明を実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1は本発明に実施の一形態の物体の変形測定方法で用いられる測定用テープ1の外観を示す斜視図であり、図2は図1に示す測定用テープ1に表示される格子パターン2を示す図である。図2において、図2(a)は縦方向の白黒バイナリ格子を示し、図2(b)は横方向の白黒バイナリ格子を示し、図2(c)は縦方向の白黒バイナリ格子を示し、図2(d)は横方向の正弦波形または余弦波形の明るさ変化をもつ格子を示し、図2(e)は縦横方向の白黒の正方形状の格子を示し、図2(f)は縦横方向の白黒の正方形状の格子(輝度反転)を示し、図2(g)は縦横方向の白黒のドット状の格子を示し、図2(h)は縦横方向の白黒のドット状の格子(輝度反転)を示し、図2(i)は縦横方向の正弦波形または余弦波形の明るさ変化を有する格子を示す。
【0033】
測定用テープ1は、従来の無地の粘着テープの表面に変位量を測定するために目盛りとなる基準格子を印刷したものである。前記印刷された格子パターンは、図2(a)〜図2(i)に示すように、一定間隔の規則正しい模様を有するパターンであり、黒四角「■」と黒丸「●」の形状の白黒格子パターンと正弦波形または余弦波形の明るさ変化を持つ格子によって実現される。その配置は、縦方向または横方向もしくは縦横方向に2次元的に並んでいる。被測定対象とする物体の変形測定を行う際には、このような基準格子を有する測定用テープ1を測定したい個所の表面に直接貼付けて使用することができる。
【0034】
この測定用テープ1を用いて変位を検出できる精度は、格子間隔の1/1000程度であるが、実際の場合、外乱光やカメラのノイズなどの影響によって、精度は実際上、格子間隔の概ね1/100になる。したがって、たとえば10μmの変位を検出したい場合、1mm間隔の格子を用いればよい。
【0035】
このような測定用テープ1は、測定対象の物体に直接貼り付けるだけでよいので、現場で使いやすく、安価であり、迅速に測定して画像解析を実施することができる。画像解析の手法としては、サンプリングモアレ法が用いられ、その原理について次に説明する。
【0036】
図3は位相シフトモアレ法の原理を説明するための図である。サンプリングモアレ法とは、基準格子として4画素ピッチの格子パターンをCCDカメラで1枚撮影し、得られた画像をもとに、4枚の位相シフトされたモアレパターンを生成し、モアレ縞の位相分布を求める手法である。図3(a)に示す基準格子を物体の表面に貼り付けてCCDカメラで撮影するとき、格子の一周期がCCDカメラの4画素になるように調整する。図3(a)における黒点「・」はCCDカメラのサンプリングの中心点を示し、図3(b)は基準格子を示し、図3(c)は図3(b)の基準格子を撮影して得られた画像を示す。
【0037】
CCDカメラでは、画像ピッチの正方形の面積に入射する光量を積分値として検出することになるため、白黒以外に灰色(グレースケール)のデータd1,d2,…が存在する。この段階ではモアレ縞を観察することはできないが、4画素おきに間引き処理、すなわちサンプリング処理を行うと、図3(d)〜図3(g)のように、モアレを見ることができる。図3(d)は左から1番目のサンプリング点から4画素おきに間引くのに対して、図3(e)〜図3(g)はそれぞれ2番目、3番目、4番目のサンプリング点から間引き、位相シフト処理を行う。さらに残りのデータのない3画素の輝度値に前のデータを複製すれば、図3(h)〜図3(k)のような画像が得られ、よりモアレ縞が強調される。
【0038】
まず、測定対象とする物体の画像は、基準格子の間隔が、カメラの3画素以上になるように光学式カメラをセットして撮影することによって得られる。このとき、できるだけカメラの光軸の向きが対象物の撮像面に対して直角となるように、前記カメラを設置することが望ましいが、斜めからの撮影でも解析することができる。
【0039】
前記カメラによって撮影された画像は、基準格子の間隔に相当する画素数N(N≧3)で間引き処理を行う。ここで、Nは整数とするが、Nが整数でなくても解析する方法はある。ここでは、間引きの仕方として、画像の上下左右のいずれかの方向から、最初の画素を基本に、N画素毎に輝度を表すデータを取り出す。次に、2番目の画素からN−1番目まで同様に、N画素毎に輝度を表すデータを取り出す。こうして得られた計N枚中のn番目のモアレ縞の輝度分布は、次の式(1)によって求めることができる。
【0040】
【数1】
【0041】
ここで、IaとIbはそれぞれ輝度振幅と背景輝度である。θはモアレ縞の位相である。
【0042】
図4は位相シフトされた複数のモアレ縞画像を得るために必要な画像処理について説明するための図である。ここでは、間引き数を3とした場合を示す。図4(a)は撮影された画像の元の輝度値を示し、図4(b)は左から1番目のスタート点から3画素毎に間引くことによって得られた輝度値を示す。図4(c)は左から2番目のスタート点から3画素毎に間引くことによって得られた輝度値を示し、図4(d)は左から3番目のスタート点から3画素毎に間引くことによって得られた輝度値を示す。
【0043】
本来基準格子の明るさ分布が図2(c)、図2(d)、図2(i)のような正弦波形または余弦波形であることが最も理想である。しかし、図2(a)、図2(b)、図2(e)、図2(f)、図2(g)、図2(h)のような白黒のバイナリ格子を用いても、平滑化処理等を行うことによって、近似的に式(1)のように表すことができる。また間引く処理を行うと画素サイズはN倍小さくなるが、抜けた画像データを図4(d)に示すように線形補間すれば、元の画像を同じ解像度の画像を得ることができる。なお、線形補間以外の補間手法も同様の効果が得られるものは利用することができる。
【0044】
たとえば、図4(d)では、間引くことによって、画素Aと画素Dの間に抜けたBおよびCのデータを画素AとDのデータから線形補間で求めることができる。
【0045】
モアレ縞の位相θは、これらの位相シフトされた複数枚の画像を用いて次の式(2)によって求めることができる。
【0046】
【数2】
【0047】
特にN=4のとき、式(3)より簡単に求めることができる。
【0048】
【数3】
【0049】
次に、基準格子を貼付けた試料が面内変位する場合を考える。試料全体が変位することによってモアレ縞の位相も変化するため、変位前のx方向とy方向の位相分布をそれぞれφx0,φy0とし、変位後のx方向とy方向の位相分布をそれぞれφx1,φy1とすると、変位前後のx方向とy方向の位相差は、それぞれΔφx=φx1−φx0と、φy=φy1−φy0になる。
【0050】
変位前後の位相差Δφx,Δφyとx方向とy方向の変位量u,vとの関係は、式(4)のようになる。なお、pは格子の間隔であり、使用する測定用テープ1の仕様や撮影された格子の大きさに応じて決定される。
【0051】
【数4】
【0052】
ここで、得られた変位分布u,vを式(5)に示すように、それぞれの方向に微分することによって、x方向とy方向のひずみεx,εyの分布が得られる。
【0053】
【数5】
【0054】
さらに式(5)にヤング率などの材料定数を乗ずると、応力分布を得ることができる。
図5は変位応力分布の測定原理を説明するための図である。左側は画像、右側は横1ラインの断面データを示している。まず、図5(a)に変位前後のそれぞれの格子画像を示す。変形前に比べてわずかに右に変位している。図5(b)は間引き数Nが4のときに間引き処理を行い、抜けたデータを線形補間して得られた4枚の位相シフトされた変位前のモアレ縞画像である。同様に図5(c)は変位後の4枚の位相シフトされたモアレ縞画像である。図5(d)は図4(b)の変位前の位相分布φ0であり、図5(e)は変位後の位相分布φ1である。位相値が変わっていることがわかる。図5(f)は変位前後の位相差分布Δφである。この値を式(4)と式(5)に代入すると、変位分布およびひずみ応力分布が得られる。
【0055】
(実施例1)
図6および図7に実験装置の光学系を示す。ここでは、単純な3点曲げを受ける板のたわみ測定を行った。試験片5は長さ1000mm、幅30mm、厚さ2.0mmのアルミ板である。表面に間隔が2mmの格子が印刷された測定用テープ1を貼付けた。この試験片5を支点間距離800mmの支点6,7上に設置し、中央部におもり8を載せて荷重を加えた。実際の変位量を知るために、荷重を加えた場所の真下にレーザ式変位センサ9を設置し、荷重を加えた前後の変位量を測定した。また、図7の平面図に示すように、カメラ11を被測定物(本実施例では、試験片5)の真正面に設置することが難しい場合、シフトレンズ12を用いたあおり系の配置で参照符11aのように、カメラ11を設置して実験を行えばよい。それでも困難な場合は、カメラを斜めに設置して撮影を行ってもよい。
【0056】
図8に測定結果を示す。図8(a)の左図は変形前の画像であり、y方向に4画素ごとに画像の間引きを行い、抜けたデータ部分を補間すると図8(b)の左図のような位相シフトされた4枚のモアレ縞画像を得ることができる。この4枚の画像から変形前のモアレ縞の位相分布を求めた結果を、図8(c)の左図に示す。
【0057】
同様に、図8(a)の右図は変形後の画像であり、y方向に4画素ごとに画像の間引きを行い、抜けたデータ部分を補間すると、図8(b)の右図のような位相シフトされた4枚のモアレ縞画像を得ることができる。
【0058】
この4枚の画像から変形後のモアレ縞の位相分布を求めた結果を、図8(c)の右図に示す。図8(c)の左図および図8(c)の右図から求めた各位相差分布を、図8(d)に示す。この位相差分布に対して、式(4)から図8(e)の変位分布を得ることができる。
【0059】
図8(e)の横1ラインの断面データを図8に示す。同図から試験片5の板がたわんでいる様子がわかる。同じ場所において、レーザ式変位センサ9で測定したところ、299.7μmの変位があるのに対して、本方法では301.2μmの変位を検出したことから、誤差は1.5μmであり、精度よく変位を検出することが確認できた。よって実際の橋や高層ビルなどの大型構造物に適用した場合であっても、同様に変位分布が得られるものと考えられる。
【0060】
(実施例2)
図10に実験装置を示す。面内変位の検出精度を確認するために、150mm×150mmの基準格子(格子間隔1.016mm)を予め貼り付けた試料を1軸の移動ステージ上に設置し、x方向に1μmずつ20回移動させながら、それぞれの位置において画像撮影を行った。移動ステージの移動分解能は0.1μmである。
【0061】
実験では、ソニー製のデジタルインターフェイス(XCD−X700)のCCDカメラを使用し、1024画素×768画素の8bitのグレースケールの画像を得た。このとき、格子間隔である1.016mm間隔がカメラの4画素となるように、モアレ縞を観察しながらカメラの位置を調整した。すなわち、このとき撮影におけるCCDカメラのサンプリング間隔は0.254mmである。得られた画像に対して間引き処理と画像データ補間処理を行い、それぞれの位置の位相分布を求めた後、変位前後の位相差分布から式(4)によって変位量を算出した。
【0062】
図11に本方法によって検出されたx方向の変位量と実際の移動ステージに与えた変位量との関係を示す。黒丸「●」は中央120×120画素の平均値であり、白丸「○」は中央1点の値である。図10より、平均値を用いた場合、1.016mm間隔の格子に対して平均誤差0.31μm、最大誤差0.71μmであった。平均誤差0.31μmは使用した格子間隔の0.03%に相当し、画素数に換算すると0.0012画素になる。
【0063】
実験結果から非常に高い精度で変位を検出できることが確認された。一方、1点の場合はやや誤差が大きい。その原因として、平均値に比べて1点の場合は、CCDカメラのランダムノイズ等の影響を受けやすいことが考えられる。このような場合、同じ画像に対して連続的に複数枚の画像を取得し、画像平均を施すことで精度の向上が期待できる。
【0064】
(実施例3)
これまで測定対象物の表面に測定用テープを直接貼付けてから測定を行ったが、測定対象物の表面に始めから規則正しい模様がある場合、その模様をうまく利用することができる。その一例として高層ビルの揺れを検出する方法について述べる。
【0065】
図12に高層ビルの写真を示す。ここでは中央の枠内の対象部分(図13(a))において、ビルの構造材料が作る部材の模様を基準格子と見なすことができる。このとき、構造物上の模様の1周期の間隔は、カメラ上では概ね7画素に相当する。したがって、x方向に7画素ごとに画像の間引き処理をすると、図13(b)に示すような位相がシフトされた7枚のモアレ縞画像を得ることができ、式(2)によって、図13(c)に示すようなモアレ縞の位相分布を求めることができる。ビルが揺れる(変位がある)と、この位相分布も変化するので、ビルの揺れ前後の位相差分布からビルの揺れを検出することができる。
【0066】
[サンプリングモアレ法]
次に、本発明のサンプリングモアレ法による位相解析方法について説明する。サンプリングモアレ法の特徴は、1枚の画像で解析可能であり、撮影・解析ともに高速化が可能であり、格子間隔の1/100〜1/1000の高精度化を図ることができ、これらを低コストで実現することができることである。
【0067】
(元の格子画像の位相解析方法)
位相シフトモアレ法により得られたx,y方向のモアレパターンの位相分布から格子画像のx方向、y方向の位相分布を求める方法について述べる。N画素毎にサンプリングすることによって得られたモアレ縞は、撮影した格子画像と1間隔がN画素である格子画像とを重ね合わすことにより得られるモアレ縞に相当する、またその位相値は変形前後の格子の位相値の差から求まる。よってモアレパターンの位相分布は、撮影した格子画像の位相分布と、N画素で1間隔を成す格子の位相分布との差から求めることができる。
【0068】
図14に示すように、1間隔がN画素(この場合は4画素を例とする)、すなわちN画素で1周期を成す位相分布画像を予め作成し、それを参照画像とする。参照画像の位相分布をθR、モアレパターンの位相分布をθm、撮影した格子の位相分布をθgとすると、モアレの発生原理より、式(6)に示す関係が成り立つ。
θm=θg−θR …(6)
【0069】
この式(6)を変形して次の式(7)を得る。これにより格子の位相分布が求まる。2次元格子の場合であっても、x,y方向それぞれにおいて参照画像を作成して、それぞれのモアレパターン画像との演算を行うと、格子のx方向、y方向の位相分布が得られる。
θg=θm+θR …(7)
【0070】
式(7)より、変形前後における元の格子の位相値をθg0、θg1とすると、変位量は、θg1−θg0となり、
θg1−θg0=(θm1−θR)−(θm0−θR)
=θm1−θm0 …(8)
【0071】
式(8)より、元格子の変形量は、結果的にモアレの位相差分布から直接求められることになり、画像を斜めから撮影しても正しく変位分布を求めることができる。
【0072】
(複数台のカメラ型形状計測方法)
複数台のカメラの撮影画像内の対応点の検出結果を用いることで、以下のようにして物体の3次元形状と物体の表面のひずみ分布を求めることができる。
【0073】
図15に、格子画像と格子の位相、位相接続された格子の位相の関係を示す。格子には順に通し番号をつける。格子の位相は2πの範囲の値として得られる。図15の場合は−πからπの間でノコギリ波状に繰り返している。連続的に位相が変化する範囲を同じ格子の範囲とみなし、画素ごとに、格子の通し番号に2πを乗算した値を元の位相値に加える操作を行うことで位相接続を行うことができる。位相接続された位相を2πで割ると,小数化された格子の番号の分布となる。すなわち、この操作をすることで、画素と格子の位置を精密に対応づけることができるようになる。
【0074】
図16に、2次元格子と位相接続されたx方向とy方向の格子の位相を模式的に示す。2次元格子の場合、方向別に位相接続された位相分布を求めると、画素ごとに2次元の位相値(φx,φy)を得ることができる。2次元格子の場合は,2次元の位相値(φx,φy)から2次元格子上の1点を特定することができる。
【0075】
図17に、2次元格子が貼付けられた物体と2台のカメラの配置を示す。また、図18に2次元格子が貼付けられた物体を2台のカメラで撮影した画像を示す。それぞれのカメラには2次元格子画像が撮影されるので、画素ごとに2次元の位相値を求めることによって、物体上の1点と,各カメラで撮影された画像内での画素の対応がわかる。左右のカメラで撮影された画像における対応点がわかれば、あらかじめ2台のカメラの校正を行っておくことで、その物体上の1点の3次元座標を求めることができる。それを物体上の多くの点について行うことで、その物体の形状を求めることができる。
【0076】
また、計測対象物体が変形する際に、変形前後において上述の形状計測を行っておく。この形状計測手法では、物体表面に固定された格子パターンの対応点における3次元座標が得られるため、物体表面の2点間の距離が変形前後でどのように変化するかを求めることによって、物体表面のひずみを計算することができる。多くの点でひずみを計算するとひずみ分布を得ることができる。
【0077】
(投影型形状測定方法)
z=0の基準面をR0、基準面からz方向に距離zだけ移動させた基準面をR1とする。x−y平面を基準面と平行にとり、被測定物の高さ方向をz軸とする。この空間座標は、(x,y,z)で表される。まず、物体上の任意の点(x,y,z)と、カメラの同一画素に撮影されるR0,R1上の点(x0,y0,0),(x1,y1,z1)の位相値を、位相解析法を用いて求める。その後、(x,y,z)の位相値を求める。図19に示す2枚の基準面R0,R1を用いたときの関係から、次の式(9)が得られる。
【0078】
【数6】
【0079】
式(9)をzについて整理すると、次の式(10)になる。
【0080】
【数7】
【0081】
式(10)から点zの座標が求まる。ただし、式(9)および式(10)は、カメラと基準面R0の距離hに比べて十分大きい場合に成り立つ。
【0082】
(測定物体の高さ分布)
前述の解析原理を用いて実際に図19に示す被測定対象物を測定する手順について説明する。この実験では、カメラと投影面の距離hは960mm、プロジェクタと投影面の距離は650mm、基準板間隔は2.0mmで行った。実験環境は、図14の場合と同様である。被測定対象物は、縦幅a1=50mm、横幅b1=40mm、厚みt1=1mmの第1板体、縦幅a2=100mm、横幅b2=80mm、厚みt2=1mmの第2板体、縦幅a3=150mm、横幅b3=120mm、厚みt3=1mmの第3板体、および縦幅a4=200mm、横幅b4=150mm、厚みt4=3mmの第4板体が、この順序に同心上に積層された構成である。
【0083】
図20に投影画像をCCDカメラで撮影した結果を示す。図21は図22の画像を用いて間引き処理をして得られたモアレパターン画像を示す。図22はモアレパターンの位相分布画像を示す。図23に測定物体の高さ分布画像を示す。図24に図23のAの横1ラインを抜き出した高さの断面形状を示す。図25に図23のBの縦1ラインを抜き出した高さの断面形状を示す。
【0084】
表1はAの横1ラインを抜き出したときの平均値と標準偏差を示し、表2は表1から求めた実測値と測定した高さから求めた誤差を示す。表2にBの縦1ラインを抜き出したときの平均値と標準偏差を示す。なお、実測値はハイトゲージで測定した。平均誤差および標準偏差ともに0.1mm未満であり、精度よく測定することができた。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明に実施の一形態の物体の変形測定方法で用いられる測定用テープ1の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示す測定用テープ1に表示される格子パターン2を示す図であり、図2(a)は縦方向の白黒バイナリ格子を示し、図2(b)は横方向の白黒バイナリ格子を示し、図2(c)は縦方向の白黒バイナリ格子を示し、図2(d)は横方向の正弦波形または余弦波形の明るさ変化をもつ格子を示し、図2(e)は縦横方向の白黒正方形状格子を示し、図2(f)は縦横方向の白黒正方形状格子(輝度反転)を示し、図2(g)は縦横方向の白黒ドット状格子を示し、図2(h)は縦横方向の白黒ドット状格子(輝度反転)を示し、図2(i)は縦横方向の正弦波形または余弦波形の明るさ変化をもつ格子を示す。
【図3】位相シフトモアレ法の原理を説明するための図であり、図3(a)は基準格子を物体の表面に貼り付けてCCDカメラのサンプリングの中心点を示し、図3(b)は基準格子を示し、図3(c)は図3(b)の基準格子を撮影して得られた画像を示す。図3(c)は画像ピッチの正方形の面積に入射する光量を積分値として検出される白黒以外の灰色(グレースケール)のデータd1,d2,…を示し、図3(d)〜図3(g)は4画素おきに間引き処理したときの画像を示し、図3(h)〜図3(k)はデータのない3画素の輝度値に前のデータを複製して得られたモアレ縞を示す。
【図4】位相シフトされた複数のモアレ縞画像を得るための画像処理手順を説明するための図であり、間引き数を3とした場合を示す。図3(a)は撮影された画像の元の輝度値を示し、図3(b)は左から1番目のスタート点から3画素毎に間引くことによって得られた輝度値を示し、図3(c)は左から2番目のスタート点から3画素毎に間引くことによって得られた輝度値を示し、図3(d)は左から3番目のスタート点から3画素毎に間引くことによって得られた輝度値を示す。
【図5】変位応力分布測定の原理を示す図であり、図5(a)は変位前後の格子画像を示し、図5(b)は変位前のモアレ縞画像を示し、図5(c)は変位後のモアレ縞画像を示し、図5(d)は変位前の位相分布を示し、図5(e)は変位後の位相分布を示し、図5(f)は変位前後の位相差分布を示す。
【図6】アルミ板の変形分布測定の光学のレイアウトを示す側面図である。
【図7】アルミ板の変形分布測定の光学のレイアウトを示す平面図である。
【図8】図4における変位分布の測定結果を示す図であり、図8(a)は変形前の画像を示し、図8(b)は変形後の画像を示し、図8(c)は変形前の位相シフトされたモアレ縞画像を示し、図8(d)は変形後の位相シフトされたモアレ縞画像を示し、図8(e)は変形前のモアレ縞の位相分布を示し、図8(f)は変形後のモアレ縞の位相分布を示し、図8(g)は図8(c)の変形前の位相分布と変形後の位相分布との位相差分布を示し、図8(e)は変位分布を示す。
【図9】図6のラインBのおけるアルミ板のたわみ形状を示す図である。
【図10】変位の検出精度の確認実験の光学系と装置の写真を示す図である。
【図11】実験結果と実際の変位の精度比較を示す図である。
【図12】高層ビルの写真である。
【図13】図10の中央領域の解析結果を示し、図13(a)は撮影画像であり、図13(b)は7画素ごとの間引きによって得られたモアレ縞画像を示し、図13(c)は図13(b)の7枚の位相シフトされた画像から求めた位相分布を示す。
【図14】1間隔がN画素で1周期を成す位相分布の参照画像を示す図である。
【図15】格子画像と格子の位相、位相接続された格子の位相の関係を示す図である。
【図16】2次元格子と位相接続されたx方向とy方向の格子の位相を模式的に示す図である。
【図17】2次元格子が貼付けられた物体と2台のカメラの配置を示す図である。
【図18】2次元格子が貼付けられた物体を2台のカメラで撮影した画像を示す図である。
【図19】測定対象物の形状を示す図である。
【図20】投影画像をCCDカメラで撮影した結果を示す図である。
【0088】
【図21】図20の画像を用いて間引き処理をして得られたモアレパターン画像を示す。
【図22】モアレパターンの位相分布画像を示す。
【図23】測定物体の高さ分布画像を示す。
【図24】図23のAの横1ラインを抜き出した位相値を示す。
【図25】図23のBの縦1ラインを抜き出した位相値を示す。
【符号の説明】
【0089】
1 測定用テープ
2 格子パターン
3 物体の表面
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種材料の変形応力分布の測定および設計段階または使用中の橋梁、建築物などの大型構造物の変位たわみ量分布などの測定などに好適に実施することができる位相解析方法、この位相解析方法を用いた物体の変位測定方法および形状測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、材料および構造物などの物体の変位・応力測定には、変位計および歪ゲージなど各種の測定機器が用いられでいるが、変位計や歪ゲージによって測定できるのは、あくまでも変位計を設置した場所あるいは歪ゲージを接着等によって取り付けた場所の1個所の情報しか得ることができない。したがって物体全体の変位分布や応力分布を得るには、多数の変位計や歪ゲージを使用する必要があるが、手間やコストなどの問題を有するために実用的ではなく、このような問題を解決するために、次のような先行技術が提案されている。
【0003】
特許文献1には、複数の異方性圧電材料を貼付けた測定用テープを構造部材の表面に接着して、表面電位計を用いて異方性圧電材料の表面電位を測定することによって、部材の応力分布を求めることが提案されている。
【0004】
特許文献1の先行技術では、基本的には1個所ずつ測定プローブで測定を行うため、変形応力分布を得るには多くの時間を要するという問題がある。また、異方性圧電材料そのものに規格サイズがあるため、測定できる間隔や大きさには多くの制限があり、使い勝手が悪いという問題がある。さらに、異方性圧電材料は高価であるので、多くの点、たとえば100万点を測定する必要がある場合、極めて高いコストと多くの手間がかかるという問題がある。さらに、構造物においては、測定装置として表面電位計を構造物に固定した後、移動させることが困難な場所では、この表面電位計を用いて多点測定することが困難であるという問題がある。
【0005】
また、特許文献2には、デジタル画像相関法を利用して変形量を算出し、安価な装置で全視野の変位量を得ることができる技術が提案されている。
【0006】
特許文献2の先行技術では、変位量の算出に多くの計算時間を要するため、リアルタイムで計算結果を見ることができないという問題がある。また、構造物の表面にランダムパターンを貼り付ける必要があるが、ランダムパターンの大きさを変えることが容易ではなく、測定精度に合わせてランダムパターンを作ることが困難であるという問題がある。さらに、測定精度は1/10画素〜1/20画素程度であって、高い測定精度が得られないという問題がある。さらに、この先行技術では、撮影された画像の輝度値を用いるため、環境光の影響を受けやすいという問題がある。
【0007】
【特許文献1】特開2003−185507号公報
【特許文献2】特開2006−329628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、簡単な構成で材料および構造物などの物体の変位を高精度で検出することができる位相解析方法、この位相解析方法を用いた物体の変位測定方法および物体の形状測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、物体の表面に存在する格子模様の所定の領域を光学式カメラで撮影し、
前記撮影された画像に対して、等間隔の画素ごとのサンプリングを、起点の画素を変えながら3回以上の複数回実行し、このサンプリング処理によって得られた間引き画像を補間処理することによってモアレ縞画像を生成し、位相シフト法によって得られるモアレ縞の位相分布を求めることを特徴とする格子画像の位相解析方法である。
【0010】
本発明に従えば、粘着テープ等を使用することによって物体の表面に格子模様を形成し、光学式カメラによって前記格子模様の所定領域を撮影し、その撮影画像に対して起点の画素を変えながら3回以上の複数回サンプリングを行い、その間引き画像を補間処理してモアレ縞画像を生成し、このモアレ縞画像のモアレ縞の位相分布を位相シフト法によって簡単かつ安価に求め、変形応力分布の測定などに利用することができる。
【0011】
また本発明は、物体の表面に存在する規則正しい模様を基準格子とし、力を加える前と後のそれぞれの所定の領域を光学式カメラで撮影するステップと、
撮影された画像に対して、等間隔の画素ごとのサンプリングを、起点の画素を変えながら3回以上の複数回実行し、このサンプリング処理によって得られた間引き画像を補間処理することによってモアレ縞画像を生成し、位相シフト法によって得られるモアレ縞の位相分布を求めるステップと、
変形前後の位相分布から得られる位相差分布から、物体の変位を検出するステップとを含むことを特徴とする物体の変位測定方法である。
【0012】
本発明に従えば、測定したい部分に本発明の粘着テープ等を貼付け、CCDカメラやCMOSカメラなどの光学式撮影装置で撮影し、撮影された画像に対して、等間隔の画素ごとのサンプリングを、起点の画素を変えながら3回以上の複数回実行し、このサンプリング処理によって得られた間引き画像を補間処理することによってモアレ縞画像を生成し、位相シフト法によってモアレ縞の位相分布を求め、変形前後の位相分布から得られる位相差分布から、簡単かつ高精度に変位応力分布を求めて物体の変位を検出することができる。
【0013】
さらに本発明は、物体の表面に存在する規則正しい模様は、測定したい精度に応じたピッチ間隔の矩形波形または正弦状波形の明るさ分布を有する格子パターンが描かれたシート体を貼付けることによって形成され、このシート体に描かれた格子パターンを基準格子として測定を行うことを特徴とする。
【0014】
本発明に従えば、測定したい精度と範囲に合わせてピッチ間隔や大きさを決めることができる。つまり微小な変形を測定したい場合は細かい格子を用いればよい。また大きな変形を測定したい場合には、ピッチ間隔の大きい格子を使用すればよく、要求精度に応じた格子間隔を任意に選択して用いることができる。
【0015】
さらに本発明は、前記位相差分布に基づいて、変位量分布を算出することを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、測定したい精度の10倍〜1000倍のピッチ間隔の矩形波形または正弦波形の明るさ分布を有する格子パターンのシート体を用いるので、高精度で位相解析することができ、したがって高精度で物体の変形を求めることができる。
【0017】
さらに本発明は、前記変位量分布に基づいて、ひずみまたは応力分布を算出することを特徴とする。
【0018】
本発明に従えば、探索などの時間がかかる処理を行っていないため、計算時間が従来に比べて高速であり、短時間で高精度に物体の変形を検出することができる。
【0019】
さらに本発明は、2次元状の格子を用いて、横方向および縦方向の各位相分布を求めることを特徴とする。
【0020】
本発明に従えば、測定に必要な設備は汎用のパーソナルコンピュータ、既存の光学式カメラおよびシート体があれば、横方向および縦方向の各位相分布を求めて高精度の変位測定が可能であるので、安価なコストで物体の変位を高精度で測定することができ、汎用性の高い測定技術を提供することができる。
【0021】
さらに本発明は、物体の表面に格子パターンが描かれたシート体を貼付けることによって、前記物体の表面に格子パターンを形成し、この格子パターンを基準格子として測定することを特徴とする。
【0022】
本発明に従えば、物体の表面にシート体を貼付けることによって物体の表面に格子パターンを形成するので、格子パターンを測定対象面に形成するにあたって、物体表面の性状の制限が緩和され、シート体を貼付けることができればよく、広範囲の物体に対して本発明を実施することができる。
【0023】
さらに本発明は、物体の変位を3次元的に検出することを特徴とする。
さらに本発明は、2次元の位相分布を使って、異なる位置に設置された複数台のカメラの撮影画像内での対応点を検出することを特徴とする。
【0024】
さらに本発明は、前記複数台のカメラの撮影画像内の対応点の検出結果を用いて、物体の3次元形状を測定することを特徴とする。
【0025】
さらに本発明は、前記測定された物体の3次元形状を用いて、物体の表面のひずみ分布を求めることを特徴とする。
【0026】
さらに本発明は、物体の表面に投影機によって格子状のパターンを投影し、
物体の表面に投影された格子模様の所定の領域を光学式カメラで撮影し、
前記撮影された画像に対して、等間隔の画素ごとのサンプリングを、起点の画素を変えながら3回以上の複数回実行し、このサンプリング処理によって得られた間引き画像を補間処理することによってモアレ縞画像を生成し、位相シフト法によって得られるモアレ縞の位相分布から物体の形状を求めることを特徴とする物体の形状測定方法である。
【0027】
本発明に従えば、物体の表面に投影機によって格子状のパターン映像を投影することによって、物体の表面に格子パターンを形成し、光学式カメラによって前記投影された格子パターンを撮影し、その撮影画像に対して起点の画素を変えながら3回以上の複数回サンプリングを行い、その間引き画像を補間処理することによってモアレ画像を生成し、位相シフト法によって得られたモアレ縞の位相分布から物体の形状を検出するので、格子パターンを測定対象面に形成するのあたって、物体表面の性状の制限が緩和され、格子パターンを投影できればよく、広範囲の物体形状を容易に検出することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、簡単かつ高精度に非接触で物体の変位を変位応力分布などの変位を表すパラメータまたは情報として求めることができる。
【0029】
また本発明によれば、測定したい精度と大きさに合わせて格子間隔とサイズを任意に決めることができ、測定対象に応じた測定精度で物体の変位を得ることができる。
【0030】
さらに本発明によれば、測定に必要な装置は格子パターンが描かれたシート体、汎用光学式カメラおよびパーソナルコンピュータだけでよいため、安価に短時間で変位応力分布などの変位に関する情報を測定することができる。
【0031】
さらに本発明によれば、材質および形状などが異なる多くの材料や構造物などの物体の変位測定に適用することができ、広範囲に本発明を実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1は本発明に実施の一形態の物体の変形測定方法で用いられる測定用テープ1の外観を示す斜視図であり、図2は図1に示す測定用テープ1に表示される格子パターン2を示す図である。図2において、図2(a)は縦方向の白黒バイナリ格子を示し、図2(b)は横方向の白黒バイナリ格子を示し、図2(c)は縦方向の白黒バイナリ格子を示し、図2(d)は横方向の正弦波形または余弦波形の明るさ変化をもつ格子を示し、図2(e)は縦横方向の白黒の正方形状の格子を示し、図2(f)は縦横方向の白黒の正方形状の格子(輝度反転)を示し、図2(g)は縦横方向の白黒のドット状の格子を示し、図2(h)は縦横方向の白黒のドット状の格子(輝度反転)を示し、図2(i)は縦横方向の正弦波形または余弦波形の明るさ変化を有する格子を示す。
【0033】
測定用テープ1は、従来の無地の粘着テープの表面に変位量を測定するために目盛りとなる基準格子を印刷したものである。前記印刷された格子パターンは、図2(a)〜図2(i)に示すように、一定間隔の規則正しい模様を有するパターンであり、黒四角「■」と黒丸「●」の形状の白黒格子パターンと正弦波形または余弦波形の明るさ変化を持つ格子によって実現される。その配置は、縦方向または横方向もしくは縦横方向に2次元的に並んでいる。被測定対象とする物体の変形測定を行う際には、このような基準格子を有する測定用テープ1を測定したい個所の表面に直接貼付けて使用することができる。
【0034】
この測定用テープ1を用いて変位を検出できる精度は、格子間隔の1/1000程度であるが、実際の場合、外乱光やカメラのノイズなどの影響によって、精度は実際上、格子間隔の概ね1/100になる。したがって、たとえば10μmの変位を検出したい場合、1mm間隔の格子を用いればよい。
【0035】
このような測定用テープ1は、測定対象の物体に直接貼り付けるだけでよいので、現場で使いやすく、安価であり、迅速に測定して画像解析を実施することができる。画像解析の手法としては、サンプリングモアレ法が用いられ、その原理について次に説明する。
【0036】
図3は位相シフトモアレ法の原理を説明するための図である。サンプリングモアレ法とは、基準格子として4画素ピッチの格子パターンをCCDカメラで1枚撮影し、得られた画像をもとに、4枚の位相シフトされたモアレパターンを生成し、モアレ縞の位相分布を求める手法である。図3(a)に示す基準格子を物体の表面に貼り付けてCCDカメラで撮影するとき、格子の一周期がCCDカメラの4画素になるように調整する。図3(a)における黒点「・」はCCDカメラのサンプリングの中心点を示し、図3(b)は基準格子を示し、図3(c)は図3(b)の基準格子を撮影して得られた画像を示す。
【0037】
CCDカメラでは、画像ピッチの正方形の面積に入射する光量を積分値として検出することになるため、白黒以外に灰色(グレースケール)のデータd1,d2,…が存在する。この段階ではモアレ縞を観察することはできないが、4画素おきに間引き処理、すなわちサンプリング処理を行うと、図3(d)〜図3(g)のように、モアレを見ることができる。図3(d)は左から1番目のサンプリング点から4画素おきに間引くのに対して、図3(e)〜図3(g)はそれぞれ2番目、3番目、4番目のサンプリング点から間引き、位相シフト処理を行う。さらに残りのデータのない3画素の輝度値に前のデータを複製すれば、図3(h)〜図3(k)のような画像が得られ、よりモアレ縞が強調される。
【0038】
まず、測定対象とする物体の画像は、基準格子の間隔が、カメラの3画素以上になるように光学式カメラをセットして撮影することによって得られる。このとき、できるだけカメラの光軸の向きが対象物の撮像面に対して直角となるように、前記カメラを設置することが望ましいが、斜めからの撮影でも解析することができる。
【0039】
前記カメラによって撮影された画像は、基準格子の間隔に相当する画素数N(N≧3)で間引き処理を行う。ここで、Nは整数とするが、Nが整数でなくても解析する方法はある。ここでは、間引きの仕方として、画像の上下左右のいずれかの方向から、最初の画素を基本に、N画素毎に輝度を表すデータを取り出す。次に、2番目の画素からN−1番目まで同様に、N画素毎に輝度を表すデータを取り出す。こうして得られた計N枚中のn番目のモアレ縞の輝度分布は、次の式(1)によって求めることができる。
【0040】
【数1】
【0041】
ここで、IaとIbはそれぞれ輝度振幅と背景輝度である。θはモアレ縞の位相である。
【0042】
図4は位相シフトされた複数のモアレ縞画像を得るために必要な画像処理について説明するための図である。ここでは、間引き数を3とした場合を示す。図4(a)は撮影された画像の元の輝度値を示し、図4(b)は左から1番目のスタート点から3画素毎に間引くことによって得られた輝度値を示す。図4(c)は左から2番目のスタート点から3画素毎に間引くことによって得られた輝度値を示し、図4(d)は左から3番目のスタート点から3画素毎に間引くことによって得られた輝度値を示す。
【0043】
本来基準格子の明るさ分布が図2(c)、図2(d)、図2(i)のような正弦波形または余弦波形であることが最も理想である。しかし、図2(a)、図2(b)、図2(e)、図2(f)、図2(g)、図2(h)のような白黒のバイナリ格子を用いても、平滑化処理等を行うことによって、近似的に式(1)のように表すことができる。また間引く処理を行うと画素サイズはN倍小さくなるが、抜けた画像データを図4(d)に示すように線形補間すれば、元の画像を同じ解像度の画像を得ることができる。なお、線形補間以外の補間手法も同様の効果が得られるものは利用することができる。
【0044】
たとえば、図4(d)では、間引くことによって、画素Aと画素Dの間に抜けたBおよびCのデータを画素AとDのデータから線形補間で求めることができる。
【0045】
モアレ縞の位相θは、これらの位相シフトされた複数枚の画像を用いて次の式(2)によって求めることができる。
【0046】
【数2】
【0047】
特にN=4のとき、式(3)より簡単に求めることができる。
【0048】
【数3】
【0049】
次に、基準格子を貼付けた試料が面内変位する場合を考える。試料全体が変位することによってモアレ縞の位相も変化するため、変位前のx方向とy方向の位相分布をそれぞれφx0,φy0とし、変位後のx方向とy方向の位相分布をそれぞれφx1,φy1とすると、変位前後のx方向とy方向の位相差は、それぞれΔφx=φx1−φx0と、φy=φy1−φy0になる。
【0050】
変位前後の位相差Δφx,Δφyとx方向とy方向の変位量u,vとの関係は、式(4)のようになる。なお、pは格子の間隔であり、使用する測定用テープ1の仕様や撮影された格子の大きさに応じて決定される。
【0051】
【数4】
【0052】
ここで、得られた変位分布u,vを式(5)に示すように、それぞれの方向に微分することによって、x方向とy方向のひずみεx,εyの分布が得られる。
【0053】
【数5】
【0054】
さらに式(5)にヤング率などの材料定数を乗ずると、応力分布を得ることができる。
図5は変位応力分布の測定原理を説明するための図である。左側は画像、右側は横1ラインの断面データを示している。まず、図5(a)に変位前後のそれぞれの格子画像を示す。変形前に比べてわずかに右に変位している。図5(b)は間引き数Nが4のときに間引き処理を行い、抜けたデータを線形補間して得られた4枚の位相シフトされた変位前のモアレ縞画像である。同様に図5(c)は変位後の4枚の位相シフトされたモアレ縞画像である。図5(d)は図4(b)の変位前の位相分布φ0であり、図5(e)は変位後の位相分布φ1である。位相値が変わっていることがわかる。図5(f)は変位前後の位相差分布Δφである。この値を式(4)と式(5)に代入すると、変位分布およびひずみ応力分布が得られる。
【0055】
(実施例1)
図6および図7に実験装置の光学系を示す。ここでは、単純な3点曲げを受ける板のたわみ測定を行った。試験片5は長さ1000mm、幅30mm、厚さ2.0mmのアルミ板である。表面に間隔が2mmの格子が印刷された測定用テープ1を貼付けた。この試験片5を支点間距離800mmの支点6,7上に設置し、中央部におもり8を載せて荷重を加えた。実際の変位量を知るために、荷重を加えた場所の真下にレーザ式変位センサ9を設置し、荷重を加えた前後の変位量を測定した。また、図7の平面図に示すように、カメラ11を被測定物(本実施例では、試験片5)の真正面に設置することが難しい場合、シフトレンズ12を用いたあおり系の配置で参照符11aのように、カメラ11を設置して実験を行えばよい。それでも困難な場合は、カメラを斜めに設置して撮影を行ってもよい。
【0056】
図8に測定結果を示す。図8(a)の左図は変形前の画像であり、y方向に4画素ごとに画像の間引きを行い、抜けたデータ部分を補間すると図8(b)の左図のような位相シフトされた4枚のモアレ縞画像を得ることができる。この4枚の画像から変形前のモアレ縞の位相分布を求めた結果を、図8(c)の左図に示す。
【0057】
同様に、図8(a)の右図は変形後の画像であり、y方向に4画素ごとに画像の間引きを行い、抜けたデータ部分を補間すると、図8(b)の右図のような位相シフトされた4枚のモアレ縞画像を得ることができる。
【0058】
この4枚の画像から変形後のモアレ縞の位相分布を求めた結果を、図8(c)の右図に示す。図8(c)の左図および図8(c)の右図から求めた各位相差分布を、図8(d)に示す。この位相差分布に対して、式(4)から図8(e)の変位分布を得ることができる。
【0059】
図8(e)の横1ラインの断面データを図8に示す。同図から試験片5の板がたわんでいる様子がわかる。同じ場所において、レーザ式変位センサ9で測定したところ、299.7μmの変位があるのに対して、本方法では301.2μmの変位を検出したことから、誤差は1.5μmであり、精度よく変位を検出することが確認できた。よって実際の橋や高層ビルなどの大型構造物に適用した場合であっても、同様に変位分布が得られるものと考えられる。
【0060】
(実施例2)
図10に実験装置を示す。面内変位の検出精度を確認するために、150mm×150mmの基準格子(格子間隔1.016mm)を予め貼り付けた試料を1軸の移動ステージ上に設置し、x方向に1μmずつ20回移動させながら、それぞれの位置において画像撮影を行った。移動ステージの移動分解能は0.1μmである。
【0061】
実験では、ソニー製のデジタルインターフェイス(XCD−X700)のCCDカメラを使用し、1024画素×768画素の8bitのグレースケールの画像を得た。このとき、格子間隔である1.016mm間隔がカメラの4画素となるように、モアレ縞を観察しながらカメラの位置を調整した。すなわち、このとき撮影におけるCCDカメラのサンプリング間隔は0.254mmである。得られた画像に対して間引き処理と画像データ補間処理を行い、それぞれの位置の位相分布を求めた後、変位前後の位相差分布から式(4)によって変位量を算出した。
【0062】
図11に本方法によって検出されたx方向の変位量と実際の移動ステージに与えた変位量との関係を示す。黒丸「●」は中央120×120画素の平均値であり、白丸「○」は中央1点の値である。図10より、平均値を用いた場合、1.016mm間隔の格子に対して平均誤差0.31μm、最大誤差0.71μmであった。平均誤差0.31μmは使用した格子間隔の0.03%に相当し、画素数に換算すると0.0012画素になる。
【0063】
実験結果から非常に高い精度で変位を検出できることが確認された。一方、1点の場合はやや誤差が大きい。その原因として、平均値に比べて1点の場合は、CCDカメラのランダムノイズ等の影響を受けやすいことが考えられる。このような場合、同じ画像に対して連続的に複数枚の画像を取得し、画像平均を施すことで精度の向上が期待できる。
【0064】
(実施例3)
これまで測定対象物の表面に測定用テープを直接貼付けてから測定を行ったが、測定対象物の表面に始めから規則正しい模様がある場合、その模様をうまく利用することができる。その一例として高層ビルの揺れを検出する方法について述べる。
【0065】
図12に高層ビルの写真を示す。ここでは中央の枠内の対象部分(図13(a))において、ビルの構造材料が作る部材の模様を基準格子と見なすことができる。このとき、構造物上の模様の1周期の間隔は、カメラ上では概ね7画素に相当する。したがって、x方向に7画素ごとに画像の間引き処理をすると、図13(b)に示すような位相がシフトされた7枚のモアレ縞画像を得ることができ、式(2)によって、図13(c)に示すようなモアレ縞の位相分布を求めることができる。ビルが揺れる(変位がある)と、この位相分布も変化するので、ビルの揺れ前後の位相差分布からビルの揺れを検出することができる。
【0066】
[サンプリングモアレ法]
次に、本発明のサンプリングモアレ法による位相解析方法について説明する。サンプリングモアレ法の特徴は、1枚の画像で解析可能であり、撮影・解析ともに高速化が可能であり、格子間隔の1/100〜1/1000の高精度化を図ることができ、これらを低コストで実現することができることである。
【0067】
(元の格子画像の位相解析方法)
位相シフトモアレ法により得られたx,y方向のモアレパターンの位相分布から格子画像のx方向、y方向の位相分布を求める方法について述べる。N画素毎にサンプリングすることによって得られたモアレ縞は、撮影した格子画像と1間隔がN画素である格子画像とを重ね合わすことにより得られるモアレ縞に相当する、またその位相値は変形前後の格子の位相値の差から求まる。よってモアレパターンの位相分布は、撮影した格子画像の位相分布と、N画素で1間隔を成す格子の位相分布との差から求めることができる。
【0068】
図14に示すように、1間隔がN画素(この場合は4画素を例とする)、すなわちN画素で1周期を成す位相分布画像を予め作成し、それを参照画像とする。参照画像の位相分布をθR、モアレパターンの位相分布をθm、撮影した格子の位相分布をθgとすると、モアレの発生原理より、式(6)に示す関係が成り立つ。
θm=θg−θR …(6)
【0069】
この式(6)を変形して次の式(7)を得る。これにより格子の位相分布が求まる。2次元格子の場合であっても、x,y方向それぞれにおいて参照画像を作成して、それぞれのモアレパターン画像との演算を行うと、格子のx方向、y方向の位相分布が得られる。
θg=θm+θR …(7)
【0070】
式(7)より、変形前後における元の格子の位相値をθg0、θg1とすると、変位量は、θg1−θg0となり、
θg1−θg0=(θm1−θR)−(θm0−θR)
=θm1−θm0 …(8)
【0071】
式(8)より、元格子の変形量は、結果的にモアレの位相差分布から直接求められることになり、画像を斜めから撮影しても正しく変位分布を求めることができる。
【0072】
(複数台のカメラ型形状計測方法)
複数台のカメラの撮影画像内の対応点の検出結果を用いることで、以下のようにして物体の3次元形状と物体の表面のひずみ分布を求めることができる。
【0073】
図15に、格子画像と格子の位相、位相接続された格子の位相の関係を示す。格子には順に通し番号をつける。格子の位相は2πの範囲の値として得られる。図15の場合は−πからπの間でノコギリ波状に繰り返している。連続的に位相が変化する範囲を同じ格子の範囲とみなし、画素ごとに、格子の通し番号に2πを乗算した値を元の位相値に加える操作を行うことで位相接続を行うことができる。位相接続された位相を2πで割ると,小数化された格子の番号の分布となる。すなわち、この操作をすることで、画素と格子の位置を精密に対応づけることができるようになる。
【0074】
図16に、2次元格子と位相接続されたx方向とy方向の格子の位相を模式的に示す。2次元格子の場合、方向別に位相接続された位相分布を求めると、画素ごとに2次元の位相値(φx,φy)を得ることができる。2次元格子の場合は,2次元の位相値(φx,φy)から2次元格子上の1点を特定することができる。
【0075】
図17に、2次元格子が貼付けられた物体と2台のカメラの配置を示す。また、図18に2次元格子が貼付けられた物体を2台のカメラで撮影した画像を示す。それぞれのカメラには2次元格子画像が撮影されるので、画素ごとに2次元の位相値を求めることによって、物体上の1点と,各カメラで撮影された画像内での画素の対応がわかる。左右のカメラで撮影された画像における対応点がわかれば、あらかじめ2台のカメラの校正を行っておくことで、その物体上の1点の3次元座標を求めることができる。それを物体上の多くの点について行うことで、その物体の形状を求めることができる。
【0076】
また、計測対象物体が変形する際に、変形前後において上述の形状計測を行っておく。この形状計測手法では、物体表面に固定された格子パターンの対応点における3次元座標が得られるため、物体表面の2点間の距離が変形前後でどのように変化するかを求めることによって、物体表面のひずみを計算することができる。多くの点でひずみを計算するとひずみ分布を得ることができる。
【0077】
(投影型形状測定方法)
z=0の基準面をR0、基準面からz方向に距離zだけ移動させた基準面をR1とする。x−y平面を基準面と平行にとり、被測定物の高さ方向をz軸とする。この空間座標は、(x,y,z)で表される。まず、物体上の任意の点(x,y,z)と、カメラの同一画素に撮影されるR0,R1上の点(x0,y0,0),(x1,y1,z1)の位相値を、位相解析法を用いて求める。その後、(x,y,z)の位相値を求める。図19に示す2枚の基準面R0,R1を用いたときの関係から、次の式(9)が得られる。
【0078】
【数6】
【0079】
式(9)をzについて整理すると、次の式(10)になる。
【0080】
【数7】
【0081】
式(10)から点zの座標が求まる。ただし、式(9)および式(10)は、カメラと基準面R0の距離hに比べて十分大きい場合に成り立つ。
【0082】
(測定物体の高さ分布)
前述の解析原理を用いて実際に図19に示す被測定対象物を測定する手順について説明する。この実験では、カメラと投影面の距離hは960mm、プロジェクタと投影面の距離は650mm、基準板間隔は2.0mmで行った。実験環境は、図14の場合と同様である。被測定対象物は、縦幅a1=50mm、横幅b1=40mm、厚みt1=1mmの第1板体、縦幅a2=100mm、横幅b2=80mm、厚みt2=1mmの第2板体、縦幅a3=150mm、横幅b3=120mm、厚みt3=1mmの第3板体、および縦幅a4=200mm、横幅b4=150mm、厚みt4=3mmの第4板体が、この順序に同心上に積層された構成である。
【0083】
図20に投影画像をCCDカメラで撮影した結果を示す。図21は図22の画像を用いて間引き処理をして得られたモアレパターン画像を示す。図22はモアレパターンの位相分布画像を示す。図23に測定物体の高さ分布画像を示す。図24に図23のAの横1ラインを抜き出した高さの断面形状を示す。図25に図23のBの縦1ラインを抜き出した高さの断面形状を示す。
【0084】
表1はAの横1ラインを抜き出したときの平均値と標準偏差を示し、表2は表1から求めた実測値と測定した高さから求めた誤差を示す。表2にBの縦1ラインを抜き出したときの平均値と標準偏差を示す。なお、実測値はハイトゲージで測定した。平均誤差および標準偏差ともに0.1mm未満であり、精度よく測定することができた。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明に実施の一形態の物体の変形測定方法で用いられる測定用テープ1の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示す測定用テープ1に表示される格子パターン2を示す図であり、図2(a)は縦方向の白黒バイナリ格子を示し、図2(b)は横方向の白黒バイナリ格子を示し、図2(c)は縦方向の白黒バイナリ格子を示し、図2(d)は横方向の正弦波形または余弦波形の明るさ変化をもつ格子を示し、図2(e)は縦横方向の白黒正方形状格子を示し、図2(f)は縦横方向の白黒正方形状格子(輝度反転)を示し、図2(g)は縦横方向の白黒ドット状格子を示し、図2(h)は縦横方向の白黒ドット状格子(輝度反転)を示し、図2(i)は縦横方向の正弦波形または余弦波形の明るさ変化をもつ格子を示す。
【図3】位相シフトモアレ法の原理を説明するための図であり、図3(a)は基準格子を物体の表面に貼り付けてCCDカメラのサンプリングの中心点を示し、図3(b)は基準格子を示し、図3(c)は図3(b)の基準格子を撮影して得られた画像を示す。図3(c)は画像ピッチの正方形の面積に入射する光量を積分値として検出される白黒以外の灰色(グレースケール)のデータd1,d2,…を示し、図3(d)〜図3(g)は4画素おきに間引き処理したときの画像を示し、図3(h)〜図3(k)はデータのない3画素の輝度値に前のデータを複製して得られたモアレ縞を示す。
【図4】位相シフトされた複数のモアレ縞画像を得るための画像処理手順を説明するための図であり、間引き数を3とした場合を示す。図3(a)は撮影された画像の元の輝度値を示し、図3(b)は左から1番目のスタート点から3画素毎に間引くことによって得られた輝度値を示し、図3(c)は左から2番目のスタート点から3画素毎に間引くことによって得られた輝度値を示し、図3(d)は左から3番目のスタート点から3画素毎に間引くことによって得られた輝度値を示す。
【図5】変位応力分布測定の原理を示す図であり、図5(a)は変位前後の格子画像を示し、図5(b)は変位前のモアレ縞画像を示し、図5(c)は変位後のモアレ縞画像を示し、図5(d)は変位前の位相分布を示し、図5(e)は変位後の位相分布を示し、図5(f)は変位前後の位相差分布を示す。
【図6】アルミ板の変形分布測定の光学のレイアウトを示す側面図である。
【図7】アルミ板の変形分布測定の光学のレイアウトを示す平面図である。
【図8】図4における変位分布の測定結果を示す図であり、図8(a)は変形前の画像を示し、図8(b)は変形後の画像を示し、図8(c)は変形前の位相シフトされたモアレ縞画像を示し、図8(d)は変形後の位相シフトされたモアレ縞画像を示し、図8(e)は変形前のモアレ縞の位相分布を示し、図8(f)は変形後のモアレ縞の位相分布を示し、図8(g)は図8(c)の変形前の位相分布と変形後の位相分布との位相差分布を示し、図8(e)は変位分布を示す。
【図9】図6のラインBのおけるアルミ板のたわみ形状を示す図である。
【図10】変位の検出精度の確認実験の光学系と装置の写真を示す図である。
【図11】実験結果と実際の変位の精度比較を示す図である。
【図12】高層ビルの写真である。
【図13】図10の中央領域の解析結果を示し、図13(a)は撮影画像であり、図13(b)は7画素ごとの間引きによって得られたモアレ縞画像を示し、図13(c)は図13(b)の7枚の位相シフトされた画像から求めた位相分布を示す。
【図14】1間隔がN画素で1周期を成す位相分布の参照画像を示す図である。
【図15】格子画像と格子の位相、位相接続された格子の位相の関係を示す図である。
【図16】2次元格子と位相接続されたx方向とy方向の格子の位相を模式的に示す図である。
【図17】2次元格子が貼付けられた物体と2台のカメラの配置を示す図である。
【図18】2次元格子が貼付けられた物体を2台のカメラで撮影した画像を示す図である。
【図19】測定対象物の形状を示す図である。
【図20】投影画像をCCDカメラで撮影した結果を示す図である。
【0088】
【図21】図20の画像を用いて間引き処理をして得られたモアレパターン画像を示す。
【図22】モアレパターンの位相分布画像を示す。
【図23】測定物体の高さ分布画像を示す。
【図24】図23のAの横1ラインを抜き出した位相値を示す。
【図25】図23のBの縦1ラインを抜き出した位相値を示す。
【符号の説明】
【0089】
1 測定用テープ
2 格子パターン
3 物体の表面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の表面に存在する格子模様の所定の領域を光学式カメラで撮影し、
前記撮影された画像に対して、等間隔の画素ごとのサンプリングを、起点の画素を変えながら3回以上の複数回実行し、このサンプリング処理によって得られた間引き画像を補間処理することによってモアレ縞画像を生成し、位相シフト法によって得られるモアレ縞の位相分布を求めることを特徴とする格子画像の位相解析方法。
【請求項2】
物体の表面に存在する規則正しい模様を基準格子とし、力を加える前と後のそれぞれの所定の領域を光学式カメラで撮影するステップと、
撮影された画像に対して、等間隔の画素ごとのサンプリングを、起点の画素を変えながら3回以上の複数回実行し、このサンプリング処理によって得られた間引き画像を補間処理することによってモアレ縞画像を生成し、位相シフト法によって得られるモアレ縞の位相分布を求めるステップと、
変形前後の位相分布から得られる位相差分布から、物体の変位を検出するステップとを含むことを特徴とする物体の変位測定方法。
【請求項3】
物体の表面に存在する規則正しい模様は、測定したい精度に応じたピッチ間隔の矩形波形または正弦状波形の明るさ分布を有する格子パターンが描かれたシート体を貼付けることによって形成され、このシート体に描かれた格子パターンを基準格子として測定を行うことを特徴とする請求項2に記載の物体の変位測定方法。
【請求項4】
前記位相差分布に基づいて、変位量分布を算出することを特徴とする請求項2または3に記載の物体の変位測定方法。
【請求項5】
前記変位量分布に基づいて、ひずみまたは応力分布を算出することを特徴とする請求項4に記載の物体の変位測定方法。
【請求項6】
請求項1の方法により得られたモアレ縞の位相分布と、そのとき用いたサンプリング間隔で決められる位相分布とによって、演算処理により格子の位相分布を求めることを特徴とする位相解析方法。
【請求項7】
2次元状の格子を用いて、横方向および縦方向の各位相分布を求めることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載の物体の変位測定方法。
【請求項8】
物体の表面に格子パターンが描かれたシート体を貼付けることによって、前記物体の表面に格子パターンを形成し、この格子パターンを基準格子として測定することを特徴とする請求項2に記載の物体の変位測定方法。
【請求項9】
物体の変位を3次元的に検出することを特徴とする請求項8に記載の物体の変位測定方法。
【請求項10】
2次元の位相分布を使って、異なる位置に設置された複数台のカメラの撮影画像内での対応点を検出することを特徴とする請求項8に記載の物体の変位測定方法。
【請求項11】
前記複数台のカメラの撮影画像内の対応点の検出結果を用いて、物体の3次元形状を測定することを特徴とする請求項10に記載の物体の変位測定方法。
【請求項12】
前記測定された物体の3次元形状を用いて、物体の表面のひずみ分布を求めることを特徴とする請求項11に記載の物体の変位測定方法。
【請求項13】
物体の表面に投影機によって格子状のパターンを投影し、
物体の表面に投影された格子模様の所定の領域を光学式カメラで撮影し、
前記撮影された画像に対して、等間隔の画素ごとのサンプリングを、起点の画素を変えながら3回以上の複数回実行し、このサンプリング処理によって得られた間引き画像を補間処理することによってモアレ縞画像を生成し、位相シフト法によって得られるモアレ縞の位相分布から物体の形状を求めることを特徴とする物体の形状測定方法。
【請求項1】
物体の表面に存在する格子模様の所定の領域を光学式カメラで撮影し、
前記撮影された画像に対して、等間隔の画素ごとのサンプリングを、起点の画素を変えながら3回以上の複数回実行し、このサンプリング処理によって得られた間引き画像を補間処理することによってモアレ縞画像を生成し、位相シフト法によって得られるモアレ縞の位相分布を求めることを特徴とする格子画像の位相解析方法。
【請求項2】
物体の表面に存在する規則正しい模様を基準格子とし、力を加える前と後のそれぞれの所定の領域を光学式カメラで撮影するステップと、
撮影された画像に対して、等間隔の画素ごとのサンプリングを、起点の画素を変えながら3回以上の複数回実行し、このサンプリング処理によって得られた間引き画像を補間処理することによってモアレ縞画像を生成し、位相シフト法によって得られるモアレ縞の位相分布を求めるステップと、
変形前後の位相分布から得られる位相差分布から、物体の変位を検出するステップとを含むことを特徴とする物体の変位測定方法。
【請求項3】
物体の表面に存在する規則正しい模様は、測定したい精度に応じたピッチ間隔の矩形波形または正弦状波形の明るさ分布を有する格子パターンが描かれたシート体を貼付けることによって形成され、このシート体に描かれた格子パターンを基準格子として測定を行うことを特徴とする請求項2に記載の物体の変位測定方法。
【請求項4】
前記位相差分布に基づいて、変位量分布を算出することを特徴とする請求項2または3に記載の物体の変位測定方法。
【請求項5】
前記変位量分布に基づいて、ひずみまたは応力分布を算出することを特徴とする請求項4に記載の物体の変位測定方法。
【請求項6】
請求項1の方法により得られたモアレ縞の位相分布と、そのとき用いたサンプリング間隔で決められる位相分布とによって、演算処理により格子の位相分布を求めることを特徴とする位相解析方法。
【請求項7】
2次元状の格子を用いて、横方向および縦方向の各位相分布を求めることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載の物体の変位測定方法。
【請求項8】
物体の表面に格子パターンが描かれたシート体を貼付けることによって、前記物体の表面に格子パターンを形成し、この格子パターンを基準格子として測定することを特徴とする請求項2に記載の物体の変位測定方法。
【請求項9】
物体の変位を3次元的に検出することを特徴とする請求項8に記載の物体の変位測定方法。
【請求項10】
2次元の位相分布を使って、異なる位置に設置された複数台のカメラの撮影画像内での対応点を検出することを特徴とする請求項8に記載の物体の変位測定方法。
【請求項11】
前記複数台のカメラの撮影画像内の対応点の検出結果を用いて、物体の3次元形状を測定することを特徴とする請求項10に記載の物体の変位測定方法。
【請求項12】
前記測定された物体の3次元形状を用いて、物体の表面のひずみ分布を求めることを特徴とする請求項11に記載の物体の変位測定方法。
【請求項13】
物体の表面に投影機によって格子状のパターンを投影し、
物体の表面に投影された格子模様の所定の領域を光学式カメラで撮影し、
前記撮影された画像に対して、等間隔の画素ごとのサンプリングを、起点の画素を変えながら3回以上の複数回実行し、このサンプリング処理によって得られた間引き画像を補間処理することによってモアレ縞画像を生成し、位相シフト法によって得られるモアレ縞の位相分布から物体の形状を求めることを特徴とする物体の形状測定方法。
【図1】
【図4】
【図6】
【図7】
【図11】
【図17】
【図18】
【図19】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図5】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図4】
【図6】
【図7】
【図11】
【図17】
【図18】
【図19】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図5】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2009−264852(P2009−264852A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113236(P2008−113236)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年10月23日 社団法人日本機械学会発行の「日本機械学会 M&M2007 材料力学カンファレンス講演予稿集」に発表
【出願人】(504145283)国立大学法人 和歌山大学 (62)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年10月23日 社団法人日本機械学会発行の「日本機械学会 M&M2007 材料力学カンファレンス講演予稿集」に発表
【出願人】(504145283)国立大学法人 和歌山大学 (62)
【Fターム(参考)】
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