説明

検知対象検知サーバ

【課題】検知対象を検知する信頼性を高めることができる検知対象検知サーバを提供する。
【解決手段】検知対象検知サーバ1は、検知対象に設けた検知用タグTを用いて、周辺に検知対象が存在するか否かを検知する検知装置4に無線通信を行うと共に、検知対象の周辺に配置した発信電波を受信する一以上の受信機2にネットワークを介して接続するものであって、受信機情報を得る受信機情報取得手段3と、検知対象位置情報を得る検知対象位置情報取得手段11と、検知対象位置情報を検知装置4に送信する検知対象位置情報送信手段13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知対象を検知する検知対象検知サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タグ(例えば、RFID)を用い、当該タグを検知対象に設けておくことで、検知装置の周囲に、当該検知対象が存在しているか否かを検知する検知対象検知システムがある(例えば、特許文献1参照)。この検知対象検知システムでは、検知装置から電波を短い間隔で定期的に出力することで、この電波を受信したタグが電波を発信し(受信した電波と同じ周波数の電波、発信電波)、この発信電波を、検知装置が検出することで、検知対象の存在を検知していた。
【0003】
なお、このような検知対象検知システムでは、検知対象を人物とし、検知装置を移動することのできる移動型ロボットとすることで、この移動型ロボットが人物を検知した場合、検知した人物に対し、何らかの動作(挨拶、案内等)を行うようにしている。
【特許文献1】特開2005−288554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、検知対象に設けたタグからの電波を用いた通信方式は、周囲環境の影響を受けやすく通信状態が不安定になることがあるために、タグからの発信電波を検出できない場合があり、検知対象を検知する信頼性が低下してしまうという問題がある。
【0005】
また、検知対象の数が増加した場合、移動ロボットの処理負担が増加してしまい、やはり、検知対象を検知する信頼性が低下してしまうという問題がある。
【0006】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、検知対象を検知する信頼性を高めることができる検知対象検知サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、請求項1に記載の検知対象検知サーバは、検知対象に設けた検知用タグを用いて、周辺に前記検知対象が存在するか否かを検知する検知装置に無線通信を行うと共に、前記検知対象の周辺に配置して前記発信電波を受信する一以上の受信機にネットワークを介して接続する検知対象検知サーバであって、受信機情報取得手段と、検知対象位置情報取得手段と、検知対象位置情報送信手段と、を備える構成とした。
【0008】
かかる構成によれば、検知対象検知サーバは、受信機情報取得手段によって、検知用タグから発信された当該検知用タグを識別するタグ識別番号の情報を含む発信電波を受信機が受信した場合に、当該受信機を識別する受信機IDと関連付けて、受信機から少なくともタグ識別番号、電界強度、受信時刻を含む受信機情報を、受信機から送信されることで得る。続いて、検知対象検知サーバは、検知対象位置情報取得手段によって、受信機情報取得手段で取得された受信機情報と、受信機IDと予め対応付けられている当該受信機の設置位置とに基づいて、検知対象の位置を示す検知対象位置情報を得る。そして、検知対象検知サーバは、検知対象位置情報送信手段によって、検知対象位置情報取得手段で得た検知対象位置情報を前記検知装置に送信する。
【0009】
請求項2に記載の検知対象検知サーバは、請求項1に記載の検知対象検知サーバにおいて、前記検知装置が、前記発信電波を受信した際に、当該発信電波に含まれているタグ識別番号を保持するタグ識別番号保持手段と、前記発信電波を受信したことを示す発信電波受信通知信号を、前記検知対象検知サーバに送信する発信電波受信通知信号送信手段を備えており、発信電波受信通知信号受信手段と、タスク保持手段と、判定手段と、削除指示手段と、を備える構成とした。
【0010】
かかる構成によれば、検知対象検知サーバは、発信電波受信通知信号受信手段によって、発信電波受信通知信号送信手段によって送信された発信電波受信通知信号を受信する。また、検知対象検知サーバは、タスク保持手段によって、検知対象に設けられた検知用タグのタグ識別番号と検知装置が検知対象に対し行う動作とを予め関連付けたタスクを保持する。検知対象検知サーバは、判定手段によって、発信電波受信通知信号受信手段で受信された発信電波受信通知信号により、検知装置が受信した発信電波に含まれるタグ識別番号とタスク保持手段に保持されているタスクで関連付けられているタグ識別番号とが一致するか否かを判定する。そして、検知対象検知サーバは、削除指示手段によって、判定手段でタグ識別番号が一致しないと判定された場合、前記検知装置に対し、該当する発信電波に含まれるタグ識別番号を、前記タグ識別番号保持手段から削除するように指示する。
【0011】
請求項3に記載の検知対象検知サーバは、請求項1に記載の検知対象検知サーバにおいて、前記検知装置が自律移動可能な移動ロボットである場合に、タスク保持手段と、移動制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
かかる構成によれば、検知対象検知サーバは、タスク保持手段によって、検知対象に設けられた検知用タグのタグ識別番号と検知装置が検知対象に対し行う動作とを予め関連付けたタスクを保持しており、移動ロボットが発信電波を受信できず、受信機のみが発信電波を受信できた際に、タスク保持手段で保持しているタスクで関連付けられているタグ識別番号と受信機情報に含まれるタグ識別番号とが一致した場合、移動制御手段によって、検知対象の位置に向けて、当該移動ロボットが移動するよう指示する。
【0013】
請求項4に記載の検知対象検知サーバは、請求項1に記載の検知対象検知サーバにおいて、前記検知装置が自律移動可能な移動ロボットであり、複数の当該移動ロボットが備えられている場合に、タスク保持手段と、現在位置情報取得手段と、問い合わせ手段と、移動制御手段と、を備える構成とした。
【0014】
かかる構成によれば、検知対象検知サーバは、タスク保持手段により、検知対象に設けられた検知用タグのタグ識別番号と検知装置が前記検知対象に対し行う動作とを予め関連付けたタスクを保持しており、現在位置情報取得手段によって、各移動ロボットの現在位置情報を得る。そして、検知対象検知サーバは、問い合わせ手段によって、各移動ロボットに対し、タスクを実行中であるか待機中であるかを問い合わせて、回答を得る。そして、検知対象検知サーバは、移動制御手段によって、検知対象位置情報取得手段で得られた検知対象位置情報と、現在位置情報取得手段で得られた移動ロボットの現在位置情報と、問い合わせ手段で得られた回答とに基づいて、移動ロボットの中の一又は複数の移動ロボットに対し、検知対象の位置に向けて移動するように指示する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、検知装置において、検知用タグからの発信電波を受信できない場合が生じても、受信機で受信されるので、検知対象を検知する信頼性が向上する。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、削除指示を検知装置に出力することで、検知装置の処理負荷を軽減することができる。
請求項3に記載の発明によれば、検知した検知対象に向けて、検知装置である移動ロボットを移動させることができる。
請求項4に記載の発明によれば、複数の移動ロボットを制御して、検知した検知対象に向けて、適切な移動ロボットを移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態について、適宜、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、検知対象検知システムの概略図である。この図1に示すように、検知対象検知システムSでは、検知対象を検知するもので、検知対象検知サーバ1と、複数の受信機2(21,22,23,・・・,2n)と、検知装置4と、基地局送受信機6とを備えている。検知対象検知サーバ1、検知装置4の説明に先立ち、検知対象、受信機2、基地局送受信機6について説明する。なお、検知装置4は、この実施形態では、移動可能な移動型ロボットであり、以下の説明で、検知装置4のことをロボットと呼称する場合があり、検知装置4を識別する識別子をロボットIDと呼称する。
【0018】
検知対象は、検知用タグTが設けられた(付着された)人・物(この実施形態では、人のみを図示)である。検知用タグTは、当該検知用タグTを識別するタグ識別番号を予め記憶しており、検知装置4から送信された電波を受信すると、受信した電波に含まれるロボットID及びタグ識別番号の情報を含めた発信電波として出力するものである。つまり、この発信電波には、検知装置4の情報を含んでいると言える。なお、この実施形態では、検知用タグTは、一般的なRFID(Radio Frequency IDentification)である。
【0019】
受信機2は、検知用タグTから発信電波を受信して、検知対象検知サーバ1にネットワークを介して、発信電波の情報として送信するものである。なお、この受信機2は、検知装置4から送信された電波も受信することが可能であるが、この電波は、検知対象検知サーバ1で分類されることになっている。
【0020】
また、この受信機2は、検知用タグTの設けられた人が移動するエリアをカバーできるように、当該エリアの各所に設置されている。例えば、このエリアが、広間等の広範囲なエリアや通路等の細長いエリアであれば、この広範囲なエリアや細長いエリアを網羅するように多数配置されている。
【0021】
さらに、受信機2と検知対象検知サーバ1とは、LAN(Local Area Network)で接続されている。なお、受信機2と検知対象検知サーバ1とが、無線となっていないのは、検知装置4との干渉や受信機2同士との干渉が想定されるためである。
【0022】
基地局送受信機6は、検知対象検知サーバ1から送信された検知対象位置情報(詳細は後記)を検知装置4に無線送信したり、検知装置4から送信された発信電波受信通知信号(詳細は後記)を無線受信したりするものである。
【0023】
なお、検知対象検知サーバ1の機能を、検知装置4に組み込んだ場合、この基地局送受信機6は、受信機2から送信された発信電波の情報を検知装置4に無線送信する機能のみを備えればよいこととなる。なお、この図1では、検知対象を1つ、検知装置4を1台しか図示していないが、これら検知対象や検知装置4を複数備えていてもよい。
【0024】
(検知対象検知サーバの構成)
検知対象検知サーバ1は、受信機2から送信された発信電波の情報を受信し、検知対象の位置を示す検知対象位置情報を、基地局送受信機6を介して、検知装置4に送信するものである。この検知対象検知サーバ1の詳細な構成を図2に示す。
【0025】
この図2に示すように、検知対象検知サーバ1は、受信機情報取得手段3と、監視手段5と、発信電波情報保持手段7と、データ保持手段9と、検知対象位置情報取得手段11と、検知対象位置情報送信手段13と、発信電波受信通知信号受信手段15と、判定手段17と、タスク保持手段19と、削除指示手段21と、移動制御手段23と、現在位置情報取得手段25と、問い合わせ手段27とを備えている。
【0026】
受信機情報取得手段3は、受信機2から送信された発信電波の情報を取得するものである。発信電波の情報とは、受信機2を識別する受信機IDと、タグ識別番号と、電界強度と、受信時刻とを少なくとも含むものである。なお、この受信機情報取得手段3では、発信電波の情報以外に、検知装置4から送信された電波を受信したものを、受信機2から取得する場合がある。
【0027】
また、発信電波の情報には、検知装置4の情報も含まれている。つまり、発信電波には、検知装置4から送信された電波に含まれるロボットIDも含まれているため、この発信電波の情報から検知装置4を特定することができる。すなわち、検知装置4が複数備えられている場合でも、検知対象検知サーバ1は、どの検知装置4が送信した電波を検知用タグTが受信したのかを識別することができる。
【0028】
このため、受信機情報取得手段3には、発信電波の情報であるのか、検知装置4から送信された電波の情報であるのかを分類する種別分類手段3aを備えている。この種別分類手段3aは、タグ識別番号の有無により、発信電波の情報と検知装置4から送信された電波の情報とを分類している。つまり、発信電波の情報には、必ずタグ識別番号が含まれているからである。
【0029】
監視手段5は、受信機情報取得手段3から出力された発信電波の情報と、それ以外の検知装置4から送信された電波の情報とを、種別分類手段3aでの分類に従って、発信電波情報保持手段7に出力するか、データ保持手段9に出力して保持させるものである。
【0030】
また、この監視手段5は、受信機情報取得手段3から出力された発信電波の情報が新規のものであるか、既に、発信電波情報保持手段7に保持されているのかを判断し、保持されていると判断した場合には、破棄するものである。そして、この監視手段5は、発信電波情報保持手段7から発信電波の情報を読み出して、検知対象位置情報取得手段11及び判断手段17に出力するものである。
【0031】
発信電波情報保持手段7は、監視手段5から出力された発信電波の情報(受信機情報)を保持するもので、一般的なハードディスクやメモリ等で構成されている。
データ保持手段9は、監視手段5から出力された(検知装置4から送信された)電波の情報を保持するもので、一般的なハードディスクやメモリ等で構成されている。
【0032】
検知対象位置情報取得手段11は、監視手段5から出力された発信電波の情報(受信機情報)と、受信機IDと予め対応付けられている受信機2の設置位置とに基づいて、検知対象の位置を示す検知対象位置情報を取得するものである。この検知対象位置情報取得手段11には、受信機2の設置位置を予め保持している受信機設置位置保持手段11aを備えている。
【0033】
この検知対象位置情報取得手段11は、発信電波の情報が複数あった場合(同じ検知用タグT(図1参照)から送信されたもので、複数の受信機2で受信された場合)、発信電波を受信したそれぞれの受信機IDと予め対応付けられている受信機2の設置位置とに基づいて、検知対象位置情報を取得する。例えば、3台の受信機2で、同じ検知用タグTから発信された発信電波が受信された場合、受信された電界強度を加味しつつ、3台の受信機2の設置位置から、検知対象位置情報を算出する。
【0034】
さらに、この検知対象位置情報取得手段11は、検知装置4が複数あった場合に、検知装置4それぞれから送信される電波に含まれるロボットIDに基づいて、検知装置4を特定することができる。なお、検知用タグから発信された発信電波に含まれるロボットIDが正確にわからない場合には、検知装置4を特定することができない場合が生じる。
【0035】
検知対象位置情報送信手段13は、検知対象位置情報取得手段11で取得された検知対象位置情報を検知装置4に送信するものである。なお、検知装置4が複数あった場合、検知対象位置情報取得手段11によって、いずれかの検知装置4が特定された場合には、特定した検知装置4のみに検知対象位置情報を送信し、検知装置4が特定されない場合には、すべての検知装置4に検知対象位置情報を送信する。
【0036】
また、この検知対象位置情報送信手段13は、例えば、定期的に複数の検知装置4に検知対象位置情報や、他の検知装置4の位置情報を送信することも可能である。これにより、後記するように、検知装置4が自律移動するロボットの場合、検知対象である人物が多い場所に配置された際でも、検知対象である他の人物や他の検知装置4にぶつかることのないように、目的地(検知対象位置情報で指定される座標)まで移動する経路を自律的に生成することができる。
【0037】
発信電波受信通知信号受信手段15は、検知装置4から送信された発信電波受信通知信号を受信するものである。この発信電波受信通知信号受信手段15で受信された発信電波受信通知信号は、判定手段17に出力される。
【0038】
判定手段17は、発信電波受信信号通知手段15から出力された発信電波受信通知信号と、タスク保持手段19に保持されているタスクとに基づいて、発信電波受信通知信号により検知装置4で受信した発信電波に含まれるタグ識別番号と、タスクで関連付けられているタグ識別番号とが一致するか否かを判定するものである。
【0039】
そして、この判定手段17は、タスク識別番号が一致しないと判定した場合には、削除指示手段21に対し、検知装置4で保持されている発信電波の情報を削除する指示である削除指示を、検知装置4に出力するように通知する。
【0040】
また、この判定手段17は、タスク識別番号が一致したと判定した場合には、移動制御手段23に対し、検知装置4を移動させる指示である移動指示を、検知装置4に出力するように通知する。
【0041】
また、この判定手段17は、監視手段5に対し、発信電波情報保持手段7から発信電波の情報を読み出すように指示し、この監視手段5から受け取った発信電波の情報に含まれるタグ識別番号と、発信電波受信通知信号により検知装置4で受信した発信電波に含まれるタグ識別番号とが一致する否かを判定している。
【0042】
そして、タグ識別番号が一致している場合には、検知装置4で受信した発信電波と、受信機2で受信した発信電波が一致しているので、問題はないが、一致しなかった場合、通常、受信機2で受信した発信電波の数は、検知装置4で受信した発信電波よりも多くなるはずなので、検知装置4において、発信電波が受信できなかったといえる。
【0043】
この場合、判定手段17は、受信機2で受信した発信電波であり、受信機情報取得手段3で取得された発信電波の情報に含まれるタグ識別番号と、タスク保持手段19に保持されているタスクで関連付けられているタグ識別番号とが一致するか否かを判定し、一致した場合に、移動制御手段23に対し、検知装置4を移動させる指示である移動指示を、検知装置4に出力するように通知する。
【0044】
なお、この場合、判定手段17では、受信機情報取得手段3で取得された発信電波の情報に含まれるタグ識別番号と、タスク保持手段19に保持されているタスクで関連付けられているタグ識別番号とが一致するか否かを判定し、一致しない場合でも、移動制御手段23に対し、検知装置4を移動させる指示である移動指示を、検知装置4に出力するように通知することは可能である。これは、検知装置4が検知対象に対し、タスクを実行するのではなく、単に、検知対象の存在を検知装置4によって確認するためにする動作である。
【0045】
タスク保持手段19は、タグ識別番号と、検知装置4が検知対象に対し行う動作とを予め関連付けたタスクを保持するもので、一般的なハードディスクやメモリ等によって構成されている。ここで、タスクの例を、図3を参照して説明する。
【0046】
図3に示すように、タスクの例では、タグ識別番号と動作の内容(内容)とが予め関連付けられている。
この図3において、タグ識別番号、Ta、Tb、Tc、Tdに対し、「案内」、「挨拶」、「運搬」、「なし」がそれぞれ関連付けられている。「案内」は、検知対象である人物に対し、当該人物付近まで移動して、予め設定したところまで当該人物を誘導する動作である。また、「挨拶」は、検知対象である人物に対し、移動せずに、会釈等をする動作である。さらに「運搬」は、検知対象が物である場合に、この物を移動させる動作である。さらに「なし」は、検知対象に対し、何の動作もしないことである。
【0047】
この図3に示したように、タグ識別番号と動作とが関連付けられているので、検知対象に対し、検知装置4の周囲に検知対象が存在していることがわかった場合、検知装置4の動作が一義的に決定される。図2に戻る。
【0048】
また、タスク保持手段19では、移動制御手段23で、検知装置4に対しタスクを実行するように指示を出力した場合に、検知装置4が実行中のタスクについて、管理する管理テーブルを保持している。この管理テーブルの例を図4に示す。
【0049】
図4に示すように、管理テーブルは、タスク毎に割り当てられた固有の識別子であるタスクID、タスクの優先度、タスクの重要度、タスクを実行させる検知装置4の識別子であるロボットID、案内や運搬(荷物配達)などのタスクの内容、タスク実行エリア内におけるタスクを開始する位置(開始位置)、タスク実行エリア内におけるタスクを終了する位置(終了位置)、タスクの実行に要する時間(所要時間)、そしてタスクの開始予定時刻(開始時刻)、タスクの終了予定時刻(終了時刻)、そしてタスクの状態などが、情報項目として含まれている。図2に戻る。
【0050】
削除指示手段21は、判定手段17から検知装置4で保持されている発信電波の情報を削除する指示である削除指示を受けた場合に、検知装置4に出力するものである。この削除指示手段21によって、検知装置4で管理される発信電波の情報が削除され、この検知装置4での処理量を減少させることができる。
【0051】
移動制御手段23は、判定手段17から検知装置4を移動させる指示である移動指示を受けた場合に、検知装置4に出力するように通知する。移動制御手段23は、移動指示に従って、検知装置4に対し、移動するように制御する。
【0052】
また、この移動制御手段23は、検知装置4が複数備えられている場合に、問い合わせ手段27によって、各検知装置4が移動可能であるかどうかの問い合わせをさせ、検知装置4からの回答(移動可能、移動不可)を得る。
【0053】
そして、移動制御手段23は、移動可能との回答を得られれば、検知装置4を移動させるように制御する。また、移動制御手段23は、検知装置4が複数備えられている場合には、移動可能との回答を得られた検知装置4の中で、現在位置情報取得手段25によって得られている現在位置情報に基づき、最も検知対象に近い、検知装置4を移動させるように制御する。
【0054】
なお、この場合、移動制御手段23は、受信機情報取得手段3によって、一定時間内に同一の受信機2から発信電波の情報が取得された場合には、検知装置4にタスクが割り当てられているか否かに拘わらず、移動可能との回答を得られた検知装置4を移動させるように制御することも可能である。
【0055】
現在位置情報取得手段25は、検知装置4から定期的に送信されてくる現在位置情報を取得し、移動制御手段23に出力するものである。なお、この現在位置情報は、検知装置4に備えられているジャイロセンサやGPS受信器等から得られたものである。
また、現在位置情報取得手段25は、検知装置4から送信された電波が受信機2で受信され、この受信機2から送られて、データ保持手段9に保持した「検知装置4から送信された電波の情報」に基づいて、当該検知装置4の現在位置情報を計算することも可能である。
【0056】
問い合わせ手段27は、移動制御手段23からの指示に従って、検知装置4に対し、移動可能であるか(与えられたタスクは終了したのか、待機中であるか)の問い合わせをすると共に、検知装置4から送られた回答を受信して、移動制御手段23に出力するものである。図1に戻る。
【0057】
(検知装置の構成)
検知装置4は、自律移動可能な移動型ロボット(以下、ロボットRと記載する場合もある)であり、予め設定した範囲内に検知対象が存在するか否かを、検知用タグTからの発信電波を受信することで検知すると共に、検知対象検知サーバ1から基地局送受信機6を介して送られた検知対象位置情報を得て、移動等の動作を行うものである。
【0058】
このロボットRの詳細な構成を図5に示す。この図5に示すように、ロボットRは、頭部R1、腕部R2、脚部R3、胴部R4および背面格納部R5に加えて、これら各部R1〜R5の適所に、カメラC,C、スピーカS、マイクMC,MC、画像処理部10、音声処理部20、記憶部30、主制御部40、自律移動制御部50、無線通信部60、バッテリ70、対象検知部80、および周辺状態検知部90を備えている。
【0059】
[ロボット]
このロボットRは、当該ロボットRの向いている方向を検出するジャイロセンサSR1や、予め設定された地図上におけるロボットRの存在する位置座標を取得するためのGPS(Global Positioning System)受信器SR2を有している。
【0060】
[カメラ]
カメラ(視覚センサ)C,Cは、ロボットRの前方移動方向側の映像をデジタルデータとして取り込むことができるものであり、例えば、カラーCCD(Charge-Coupled Device)カメラが使用される。カメラC,Cは、左右に平行に並んで配置され、撮影した画像は画像処理部10に出力される。このカメラC,Cと、スピーカSおよびマイクMC,MCは、いずれも頭部R1の内部に配設される。スピーカ(音声出力手段)Sは、音声処理部20で音声合成された所定の音声を発することができる。
【0061】
[画像処理部]
画像処理部(画像処理手段)10は、カメラC,Cが撮影した画像(撮影画像)を処理して、撮影された画像からロボットRの周囲の状況を把握するため、周囲の障害物や人物の認識を行う部分である。この画像処理部10は、ステレオ処理部11a、移動体抽出部11bおよび顔認識部11cを含んで構成される。
【0062】
ステレオ処理部11aは、左右のカメラC,Cが撮影した2枚の画像の一方を基準としてパターンマッチングを行い、左右の画像中の対応する各画素の視差を計算して視差画像を生成し、生成した視差画像および元の画像を移動体抽出部11bに出力する。なお、この視差は、ロボットRから撮影された物体までの距離を表すものである。
【0063】
移動体抽出部11bは、ステレオ処理部11aから出力されたデータに基づき、撮影した画像中の移動体を抽出するものである。移動する物体(移動体)を抽出するのは、移動する物体が人物であると推定して、人物の認識をするためである。
【0064】
移動体の抽出をするために、移動体抽出部11bは、過去の数フレーム(コマ)の画像を記憶しており、最も新しいフレーム(画像)と、過去のフレーム(画像)を比較して、パターンマッチングを行い、各画素の移動量を計算し、移動量画像を生成する。そして、視差画像と、移動量画像とから、カメラC,Cから所定の距離範囲内で、移動量の多い画素がある場合に、人物があると推定し、その所定距離範囲のみの視差画像として、移動体を抽出し、顔認識部11cへ移動体の画像を出力する。
【0065】
顔認識部11cは、抽出した移動体の一部分の大きさ、形状などから顔領域および顔の位置を認識する。なお、同様にして、抽出した移動体の一部分の大きさ、形状などから手の位置も認識される。
【0066】
認識された顔の位置は、ロボットRが移動するときの情報として、また、その人とのコミュニケーションを取るため、主制御部40に出力される。
【0067】
[音声処理部]
音声処理部20は、音声合成部21aと、音声認識部21bおよび音源定位部21cを有する。
音声合成部21aは、主制御部40が決定し、出力してきた発話行動の指令に基づき、文字情報(テキストデータ)から音声データを生成し、スピーカSに音声を出力する部分である。音声データの生成には、予め記憶部30に記憶している文字情報(テキストデータ)と音声データとの対応関係を利用する。なお、音声データは、管理用コンピュータ3から取得され、記憶部30に保存される。
【0068】
音声認識部(音声認識手段)21bは、マイクMC,MCから音声データが入力され、入力された音声データから文字情報(テキストデータ)を生成し、主制御部40に出力するものである。なお、音声データと文字情報(テキストデータ)との対応関係は、記憶部30に予め記憶されている。
【0069】
音源定位部21cは、マイクMC,MC間の音圧差および音の到達時間差に基づいて音源位置(ロボットRが認識する平面状の位置)を特定し、主制御部40に出力するものである。音源位置は、例えば、ロボットRの立っている方向(z軸方向)周りの回転角θzで表される。
【0070】
[記憶部]
記憶部30は、例えば、一般的なハードディスク等から構成され、検知対象検知サーバ1から送信された情報(検知対象位置情報等)を記憶するものである。また、記憶部30は、後記するように、主制御部40の各種動作を行うために必要な情報を記憶している。
【0071】
さらに、この記憶部30は、検知対象検知サーバ1と同様に、対象検知部80で検知された発信電波の情報(発信電波情報保持手段7と同様)を保持していると共に、検知対象検知サーバ1からのデータ(検知対象位置情報)も保持している。
【0072】
[主制御部]
主制御部40は、画像処理部10、音声処理部20、記憶部30、自律移動制御部50、無線通信部60、対象検知部80、および周辺状態検知部90を統括制御するものである。また、ジャイロセンサSR1、およびGPS受信器SR2が検出したデータは、主制御部40に出力され、ロボットRの行動を決定するために利用される。また、これらのジャイロセンサSR1およびGPS受信器SR2が検出したデータは、現在位置情報として、無線通信部60から検知対象検知サーバ1に送信される。
【0073】
この主制御部40は、例えば、検知対象検知サーバ1と通信を行うための制御、検知対象検知サーバ1から出力された移動制御の指示に基づいて、所定のタスクを実行するための制御、ロボットRを目的地(検知対象位置情報で指定される座標又は検知対象である人物が移動するエリアの座標)に移動させるための制御、人物を識別するための制御、人物と対話するための制御を行うために、種々の判断を行ったり、各部の動作のための指令を生成したりする。なお、ロボットRを移動させる目的地に、「検知対象である人物が移動するエリアの座標」を含めているのは、この目的地が検知対象である人物がいる場所(例えば、会議室等)となり得るためである。
【0074】
また、この主制御部40は、検知対象検知サーバ1から送信され、無線通信部60で受信された検知対象位置情報を、記憶部30に出力して記憶させる。
【0075】
また、この主制御部40は、対象検知部80によって、受信機2(図1参照)から発信された発信電波を受信した場合、発信電波の情報を記憶部30に記憶させると共に、発信電波受信通知信号を、無線通信部60から、検知対象検知サーバ1に送信する。
【0076】
さらに、この主制御部40は、検知対象検知サーバ1から送信された削除指示に従って、記憶部30に記憶させた発信電波の情報(発信電波に含まれるタグ識別番号)を削除させる。
【0077】
さらにまた、この主制御部40は、検知対象検知サーバ1から送信された、移動可能であるか否かの問い合わせについて、移動可能であるか否かを判定し、移動可能であると判定した場合には、移動可能であるとの回答を、移動可能でないと判定した場合には、移動不可であるとの回答を、無線通信部60から、検知対象検知サーバ1に送信する。
【0078】
[自律移動制御部]
自律移動制御部50は、主制御部40の指示に従い頭部R1、腕部R2、脚部R3および胴部R4を駆動するものである。この自律移動制御部50は、図示を省略するが、頭部R1の首関節を駆動させる首制御部、腕部R2の手の先の指関節を駆動させる手制御部、腕部R2の肩関節、肘関節、手首関節を駆動させる腕制御部、脚部R3に対して胴部R4を水平方向に回転駆動させる腰制御部、脚部R3の股関節、膝関節、足首関節を駆動させる足制御部を有している。これら首制御部、手制御部,腕制御部、腰制御部および足制御部は、頭部R1、腕部R2、脚部R3および胴部R4を駆動するアクチュエータに駆動信号を出力する。
【0079】
[無線通信部]
無線通信部60は、検知対象検知サーバ1とデータの送受信を行う通信装置である。無線通信部60は、公衆回線通信装置61aおよび無線通信装置61bを有する。
公衆回線通信装置61aは、携帯電話回線やPHS(Personal Handyphone System)回線などの公衆回線を利用した無線通信手段である。一方、無線通信装置61bは、IEEE802.11b規格に準拠するワイヤレスLANなどの、近距離無線通信による無線通信手段である。
無線通信部60は、検知対象検知サーバ1からの接続要求に従い、公衆回線通信装置61aまたは無線通信装置61bを選択して検知対象検知サーバ1とデータ通信を行う。
【0080】
バッテリ70は、ロボットRの各部の動作や処理に必要な電力の供給源である。このバッテリ70は、充電式の構成をもつものが使用され、バッテリ補給エリア(図示せず)で電力が補給される。
【0081】
[対象検知部]
対象検知部(対象検知手段)80は、ロボットRの周囲に検知用タグTを備える人物が存在するか否かを検知するものである。対象検知部80は、複数の送信部81(図5では1つのみ表示した)を備える。これら送信部81は、ロボットRの頭部R1外周に沿って前後左右などに配設される(図示は省略する)。対象検知部80は、送信部81から、各移動ロボットを識別する周波数の電波をそれぞれ発信すると共に、この電波を受信した検知用タグTから発信された発信電波を受信する。
【0082】
さらに、この対象検知部80は、光通信を行うことで、ロボットRから見た検知用タグTの角度も取得できるようになっている。そして、この対象検知部80は、ロボットRから見た検知用タグTの角度と、当該検知用タグTから発信された発信電波の電界強度とを取得することで、ロボットRから見た(r、θ)座標(絶対座標)を取得することができる。
【0083】
従って、対象検知部80は、発信電波に基づいて、検知用タグTの位置(距離および方向)を、人物の位置として特定することができる。さらに、対象検知部80は、送信部81から電波を送信するだけではなく、ロボットIDを示す信号を含む電波を図示しないアンテナから発信する。これにより、この電波を受信した検知用タグTは、電波を発信したロボットRを正しく特定することができる。
【0084】
なお、この対象検知部80では、検知用タグTからの発信電波の情報を記憶部30に記憶させる。また、対象検知部80および検知用タグTについての詳細は、例えば、特開2005−291716号公報に開示されている。
【0085】
[周辺状態検知部]
周辺状態検知部90は、ロボットRの周辺状態を検知するものであり、ジャイロセンサSR1やGPS受信器SR2によって検出された現在位置情報(自己位置データ)を取得可能になっている。また、周辺状態検知部90は、探索域に向かってスリット光を照射するレーザ照射部91と、探索域に向かって赤外線を照射する赤外線照射部92と、スリット光または赤外線が照射された探索域を撮像する床面カメラ93とを有する。この周辺状態検知部90は、床面カメラ93で撮像したスリット光画像(スリット光が照射されたときの画像)を解析して路面状態を検出する。また、周辺状態検知部90は、床面カメラ93で撮像した赤外線画像(赤外線が照射されたときの画像)を解析してマークM(図示せず)を検出し、検出されたマークMの位置(座標)からマークMとロボットRとの相対的な位置関係を計算する。なお、周辺状態検知部90についての詳細は、例えば、特開2006−167844号公報に開示されている。
【0086】
(検知対象検知サーバの動作 その1)
次に、図6に示すフローチャートを参照して、検知対象検知サーバ1の動作について説明する(適宜、図1、2参照)。なお、この検知対象検知サーバ1の動作は、検知装置4(ロボットR)が複数の場合の動作である。
まず、検知対象検知サーバ1は、受信機情報取得手段3によって、受信機2からデータ入力(受信機情報を取得する又はロボットRから送信された電波の情報を取得)(ステップS1)。そうすると、検知対象検知サーバ1は、監視手段5によって、発信電波情報保持手段7を検索し(ステップS2)、新規データであるか否かを判定する(ステップS3)。
【0087】
検知対象検知サーバ1は、新規データでないと判定した場合(ステップS3、No)、データ(受信機情報)を破棄する(ステップS4)。検知対象検知サーバ1は、新規データであると判定した場合(ステップS3、Yes)、受信機情報取得手段3の種別分類手段3aによって、データの種別を分類し(ステップS5)、検知用タグからのデータか否かを判定する(受信機情報であるか否かを判定する)(ステップS6)。
【0088】
そして、検知対象検知サーバ1は、検知用タグからのデータでないと判定した場合(ステップS6、No)には、サブデータ(ロボットRから送信された電波の情報)として、監視手段5を介して、データ保持手段9に保存させる(ステップS7)。
【0089】
また、検知対象検知サーバ1は、検知用タグからのデータであると判定した場合(ステップS6、Yes)、タグデータとして、監視手段5を介して、発信電波情報保持手段7に保持させる(ステップS8)。そして、検知対象検知サーバ1は、検知対象位置情報取得手段11によって、検知対象位置情報を取得し、発信電波に含まれるロボットIDからロボットRを特定する(ステップS9)。
【0090】
そして、検知対象検知サーバ1は、ロボットRを特定できた否かを判定し(ステップS10)、特定できなかった場合(ステップS10、No)、すべてのロボットRへ検知対象位置情報を送信し(ステップS11)、特定できたと判定した場合(ステップS10、Yes)、特定したロボットRへ検知対象位置情報を送信する(ステップS12)。
【0091】
(検知対象検知サーバの動作 その2)
次に、図7に示すフローチャートを参照して、検知対象検知サーバ1の動作について説明する(適宜、図1、2参照)。なお、この検知対象検知サーバ1の動作は、検知装置4(ロボットR)が複数の場合で、且つ、定期的に複数の検知装置4(ロボットR)に検知対象位置情報や、他の検知装置4の位置情報を送信する動作である。
【0092】
まず、検知対象検知サーバ1は、受信機情報取得手段3によって、受信機2からデータ入力(受信機情報を取得する又はロボットRから送信された電波の情報を取得)(ステップS21)。そうすると、検知対象検知サーバ1は、監視手段5によって、発信電波情報保持手段7を検索し(ステップS22)、新規データであるか否かを判定する(ステップS23)。
【0093】
検知対象検知サーバ1は、新規データでないと判定した場合(ステップS3、No)、データ(受信機情報)を破棄する(ステップS24)。検知対象検知サーバ1は、新規データであると判定した場合(ステップS23、Yes)、受信機情報取得手段3の種別分類手段3aによって、データの種別を分類し(ステップS25)、検知用タグからのデータか否かを判定する(受信機情報であるか否かを判定する)(ステップS26)。
【0094】
そして、検知対象検知サーバ1は、検知用タグからのデータでないと判定した場合(ステップS6、No)には、サブデータ(ロボットRから送信された電波の情報)として、監視手段5を介して、データ保持手段9に保存させる(ステップS27)。
【0095】
また、検知対象検知サーバ1は、検知用タグからのデータであると判定した場合(ステップS6、Yes)、タグデータとして、監視手段5を介して、発信電波情報保持手段7に保持させる(ステップS28)。そして、検知対象検知サーバ1は、検知対象位置情報取得手段11によって、検知対象位置情報を取得し、すべてのロボットRにサブデータと検知対象位置情報とを送信する(ステップS29)。
【0096】
(検知装置(ロボット)の動作)
次に、図8に示すフローチャートを参照して、ロボットRの動作について説明する(適宜、図1、5参照)。
ロボットRは、対象検知部80を介して、検知用タグTからのデータ(発信電波の情報)を受信する(ステップS31)。また、検知対象検知サーバ1からデータ(検知対象位置情報)を、無線通信部60を介して、受信する(ステップS32)。
【0097】
そして、ロボットRは、主制御部40によって、記憶部30に記憶されているデータを検索し(ステップS33)、新規データであるか否かを判定する(ステップS34)。ロボットRは、新規データでないと判定した場合(ステップS34、No)、データ(タグデータ)を破棄する(ステップS35)。
【0098】
また、ロボットRは、主制御部40によって、新規データであると判定した場合(ステップS34、Yes)、データの種別分類をして(ステップS36)、検知用タグを識別するタグ識別番号に基づいて、タグデータ(受信機2又は対象検知部80で受信した検知用タグからのデータ)である否かを判定する(ステップS37)。
【0099】
ロボットRは、主制御部40によって、タグデータでないと判定した場合(ステップS37、No)、記憶部30に他のロボットRの現在位置情報として保存させ(ステップS38)、動作を終了する。
【0100】
そして、ロボットRは、主制御部40によって、タグデータであると判定した場合(ステップS37、Yes)、記憶部30にタグデータとして保存させ(ステップS39)、画像データ等の他のデータと統合する(ステップS40)。また、ロボットRは、主制御部40によって、記憶部30に記憶されている人物の人名を検索し(ステップS41)、人マップデータ(人物がどのように配置されているかを示したもの)を送信する(ステップS42)。
【0101】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態には限定されない。例えば、本実施形態では、検知対象検知サーバ1を検知装置4(ロボットR)の外部に設けているが、図1の破線で示したように、受信機2から基地局送受信機6に発信電波の情報を出力するようにして、検知装置4でこの発信電波の情報を受信できるようにすれば、検知対象検知サーバ1の主要な構成(検知装置4と送受信に用いていた構成を除く)を検知装置4に組み込むことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の実施形態に係る検知対象検知システムの概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係る検知対象検知サーバのブロック図である。
【図3】タスクの例を示した図である。
【図4】管理テーブルの例を示した図である。
【図5】検知装置(ロボット)のブロック図である。
【図6】検知対象検知サーバの動作(その1)を示したフローチャートである。
【図7】検知対象検知サーバの動作(その2)を示したフローチャートである。
【図8】検知装置(ロボット)の動作を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0103】
1 検知対象検知サーバ
2 受信機
3 受信機情報取得手段
3a 種別分類手段
5 監視手段
7 発信電波情報保持手段
9 データ保存手段
11 検知対象位置情報取得手段
11a 受信機設置位置保持手段
13 検知対象位置情報送信手段
15 発信電波受信通知信号受信手段
17 判定手段
19 タスク保持手段
21 削除指示手段
23 移動制御手段
25 現在位置情報取得手段
27 問い合わせ手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知対象に設けた検知用タグを用いて、周辺に前記検知対象が存在するか否かを検知する検知装置に無線通信を行うと共に、前記検知対象の周辺に配置され、前記検知用タグが発信する発信電波を受信する一以上の受信機にネットワークを介して接続する検知対象検知サーバであって、
前記検知用タグから発信された当該検知用タグを識別するタグ識別番号の情報を含む発信電波を前記受信機が受信した場合に、当該受信機を識別する受信機IDと関連付けて、前記受信機から少なくとも前記タグ識別番号、電界強度、受信時刻を含む受信機情報を、前記受信機から送信されることで得る受信機情報取得手段と、
この受信機情報取得手段で取得された受信機情報と、前記受信機IDと予め対応付けられている当該受信機の設置位置とに基づいて、前記検知対象の位置を示す検知対象位置情報を得る検知対象位置情報取得手段と、
この検知対象位置情報取得手段で得た検知対象位置情報を前記検知装置に送信する検知対象位置情報送信手段と、
を備えることを特徴とする検知対象検知サーバ。
【請求項2】
前記検知装置は、前記発信電波を受信した際に、当該発信電波に含まれているタグ識別番号を保持するタグ識別番号保持手段と、前記発信電波を受信したことを示す発信電波受信通知信号を、前記検知対象検知サーバに送信する発信電波受信通知信号送信手段を備えており、
この発信電波受信通知信号送信手段によって送信された発信電波受信通知信号を受信する発信電波受信通知信号受信手段と、
前記検知対象に設けられた検知用タグのタグ識別番号と前記検知装置が前記検知対象に対し行う動作とを予め関連付けたタスクを保持するタスク保持手段と、
前記発信電波受信通知信号受信手段で受信された発信電波受信通知信号により、前記検知装置が受信した発信電波に含まれるタグ識別番号と前記タスク保持手段に保持されているタスクで関連付けられているタグ識別番号とが一致するか否かを判定する判定手段と、
この判定手段でタグ識別番号が一致しないと判定された場合、前記検知装置に対し、該当する発信電波に含まれるタグ識別番号を、前記タグ識別番号保持手段から削除するように指示する削除指示手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の検知対象検知サーバ。
【請求項3】
前記検知装置が自律移動可能な移動ロボットである場合に、
前記検知対象に設けられた検知用タグのタグ識別番号と前記検知装置が前記検知対象に対し行う動作とを予め関連付けたタスクを保持するタスク保持手段と、
前記移動ロボットが前記発信電波を受信できず、前記受信機のみが前記発信電波を受信できた際に、前記タスク保持手段で保持しているタスクで関連付けられているタグ識別番号と前記受信機情報に含まれるタグ識別番号とが一致した場合、前記検知対象の位置に向けて、当該移動ロボットを移動するように指示する移動制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の検知対象検知サーバ。
【請求項4】
前記検知装置が自律移動可能な移動ロボットであり、複数の当該移動ロボットが備えられている場合に、
前記検知対象に設けられた検知用タグのタグ識別番号と前記検知装置が前記検知対象に対し行う動作とを予め関連付けたタスクを保持するタスク保持手段と、
各移動ロボットの現在位置情報を得る現在位置情報取得手段と、
各移動ロボットに対し、前記タスクを実行中であるか待機中であるかを問い合わせて、回答を得る問い合わせ手段と、
前記検知対象位置情報取得手段で得られた検知対象位置情報と、前記現在位置情報取得手段で得られた移動ロボットの現在位置情報と、前記問い合わせ手段で得られた回答とに基づいて、前記移動ロボットの中の一又は複数の移動ロボットに対し、前記検知対象の位置に向けて移動するように指示する移動制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の検知対象検知サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−139250(P2009−139250A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316587(P2007−316587)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】