説明

樹脂モールド装置

【課題】ワークや樹脂材の供給から樹脂モールドを行なって成形品を収納するまでの一連の作業をコンパクトな装置構成で効率よくしかも製品に応じた仕様で樹脂モールドが行える樹脂モールド装置を提供する。
【解決手段】ワーク搬送機構Hに備えた多関節ロボット2の移動範囲を囲んでワーク供給部A、樹脂供給部B、プレス部C及びワーク収納部Fが配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップがキャリア上に保持されたワークを樹脂モールドする樹脂モールド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを複数プレス部に対して供給して樹脂モールドする場合、各プレス部にはローダーによってワーク及び樹脂(タブレット樹脂、液状樹脂、粉末・顆粒状樹脂、或いはペースト状樹脂など)をプレス部に備えたモールド金型に搬入してクランプすることで樹脂モールドされる。このとき、複数プレス部において効率的に樹脂モールドを行なうためには、ローダーや減圧装置を各プレス部において兼用することによるコンパクト化のほかに、成形サイクルを最も遅いプレス部の樹脂モールド動作に合わせて行うことが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−83027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワークを供給しプレス部に対して搬入搬出するだけでなく、成形品の良否判定を行なってから良品のみを加熱硬化させて冷却後のワークを収納する一連の装置をコンパクトに配置し、しかも工程間の連係をとって作業効率を高めたいというニーズがあった。例えば、ワークと共に液状樹脂を供給する場合には、一の液状樹脂供給装置(ディスペンサー)で複数のプレス部にワークを供給する場合、温度管理が必要な液状樹脂の吐出時間が長くなるため、かえって生産効率が落ちてしまうおそれがある。
また、複数プレス部を備え、異なる製品についてワークの供給から樹脂モールドを行なって良品のみを加熱硬化させて収納するまでの一連の作業を効率良く行う装置構成については何ら開示がない。また、これら各工程を行なう装置を単に寄せ集めても設置面積が大きくなり組立作業やメンテナンスに手間がかかるうえに制御動作が複雑になるおそれもある。
【0005】
本発明は上記従来技術の課題を解決し、ワークや樹脂の供給から樹脂モールドを行なって成形品を収納するまでの一連の作業をコンパクトな装置構成で効率よくしかも製品に応じた仕様で樹脂モールドが行える樹脂モールド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
ワークをロボットハンドに保持して各工程間を搬送する回転及び直線移動可能なロボットを備えたワーク搬送機構と、前記ワークを供給するワーク供給部と、前記ワーク供給部から取り出されたワークを樹脂モールドするための樹脂を供給する樹脂供給部と、前記樹脂供給部から供給された樹脂及び前記ワークが搬入されて樹脂モールドされるプレス部と、前記プレス部で樹脂モールドされたワークを収納するワーク収納部と、装置各部の動作を制御する制御部と、を具備し、前記ワーク搬送機構に備えたロボットの移動範囲を囲んで前記ワーク供給部、前記樹脂供給部、前記プレス部及び前記ワーク収納部が配置されていることを特徴とする。
上記構成によれば、ワーク搬送機構に備えたロボットの移動範囲を囲んでワーク供給部、樹脂供給部、プレス部、ワーク収納部などの処理部や制御部がコンパクトに配置され、しかもワークや樹脂の供給から樹脂モールドを行なって成形品を収納するまでの一連の作業を効率よくしかも製品に応じた仕様で樹脂モールドが行うことができる。
【0007】
前記ロボットは、垂直リンクによる上下方向と水平リンクによる水平方向への移動が並行して行われる多関節ロボットが用いられることを特徴とする。
これによれば、多関節ロボットの移動範囲を囲んで配置された各処理部の間でワークを直線的に搬送することができ、各処理部へ搬送するのに要する時間を最短にすることができる。
【0008】
前記プレス部から取り出された成形品の厚さ及び外観を検査して良否判定するするワーク検査部、検査後の良品をキュア炉に収納して樹脂を加熱硬化させる加熱硬化部及び加熱硬化後のワークを冷却する冷却部のいずれか若しくはすべてが、前記ワーク搬送機構に備えたロボットの移動範囲を囲んで配置されていることを特徴とする。
これによれば、ワーク検査やポストキュアや冷却などの処理工程を樹脂モールド装置とは別工程、即ち別の装置で行う必要がなく、各処理工程を集約してコンパクトに配置して工程間の連係をとって迅速な処理が行える。
【0009】
前記ワーク搬送機構は、前記樹脂供給部にワークを搬入する前に、情報読取り部において樹脂供給量や成形条件を含む製品情報を読み取って後工程に搬送することを特徴とする。
上記構成によれば、ワークに応じた樹脂供給量や成形条件を含む製品情報を樹脂供給部に搬入する前に照合することで、製品に応じた成形条件、加熱硬化条件等を誤ることなく樹脂モールドすることができる。
【0010】
前記制御部は、最も時間がかかる処理工程の最小動作サイクルに合わせて多関節ロボットによるワーク供給動作及びワーク取り出し動作のタイミングを制御しかつ優先度の高い工程順を考慮してワーク搬送動作を制御することを特徴とする。
これによれば、プレス部における樹脂モールド動作に合わせてワーク搬送機構の搬送動作を迅速化・効率化する共に、各プレス部の装置稼働率を高めるためにワーク供給動作及びワーク取り出し動作を追従させることができる。
【0011】
前記制御部は、前記ロボットのロボットハンドに代えてレーザー変位計と撮像装置を備えたティーチィングハンドを用いて各工程に備えたティーチング冶具に対するX−Y−Z方向の位置決めを行ない、当該X−Y−Z方向の位置決めに基づいて前記ロボットの動作を制御することを特徴とする。
これによれば、多関節ロボットを組み付ける際にその周囲に設けられる各装置に対して搬入搬出するワークの位置出しが行えるので、樹脂モールド装置の組立自体に精度を求める必要がなく組立作業を簡略化することができる。
【0012】
前記制御部は複数プレス部に対して成形後のワーク搬出動作と次のワークの搬入動作が連続するように多関節ロボットによる搬送動作を制御することで各プレス部において連続して樹脂モールドが行われることを特徴とする。
これにより複数プレス部において連続して樹脂モールド動作が可能になり、装置稼働率が高まり生産効率を高めることができる。
【0013】
前記樹脂供給部には、液状樹脂を供給するディスペンスユニットが複数設けられており、各ディスペンスユニットにおいてワークに吐出された液状樹脂の吐出量を各々計量して供給されることを特徴とする。
これにより、温度管理が必要なディスペンスユニットからワークに対する液状樹脂の吐出動作が効率良くかつ精度良く行えるため、複数プレス部において連続する樹脂モールド動作に追従することができ、生産効率の向上に寄与することができる。
【0014】
前記プレス部に搬入されたワークが下型面より離間してフローティング支持されるか、或いは上型面より離間して吊り下げ保持されることを特徴とする。
これによれば、例えばキャリアプレートに粘着テープを貼って、該粘着テープに半導体チップを粘着させたワークを封止する場合に、金型面からの加熱によって粘着テープの粘着力の低下が始まってキャリアプレート上を流動する樹脂によって半導体チップがキャリアプレートの外側に向かって移動してしまう現象(フライングダイ)を防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
上記樹脂モールド装置を用いれば、ワークや樹脂の供給から樹脂モールドを行なって成形品を収納するまでの一連の作業をコンパクトな装置構成で効率よくしかも製品に応じた仕様で樹脂モールドが行える樹脂モールド装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】樹脂モールド装置の全体構成例を示す平面レイアウト図である。
【図2】多関節ロボットの側面図及びロボットハンドの説明図である。
【図3】ティーチング用ハンドの高さ方向及びX−Y方向の位置合わせ動作を示す説明図である。
【図4】ワーク供給部の説明図である。
【図5】多関節ロボットによるワーク供給部及びワーク収納部に対するワークの取り出し及び収納動作の説明図である。
【図6】樹脂供給部の一例を示す説明図である。
【図7】プレス部へのワーク搬入搬出動作を示す説明図である。
【図8】圧縮成形動作を示す断面説明図である。
【図9】他例に係る圧縮成形動作を示す断面説明図である。
【図10】他例に係る圧縮成形動作を示す断面説明図である。
【図11】冷却部とワーク検査部の説明図である。
【図12】加熱硬化部のシャッター開閉動作及びワーク収納状態を示す説明図である。
【図13】ワーク搬送機構によるプレス部へのワーク供給動作のタイミングを示すタイミングチャート図である。
【図14】記憶部に記憶させたワークの搬送順序テーブルの一例、処理優先順位テーブルの一例及び搬送順序テーブルの入れ替え例を示す図表である。
【図15】ワーク搬送機構によるワーク搬送動作のタイミングチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る樹脂モールド装置の好適な実施の形態について添付図面と共に詳述する。以下の実施形態では、プレス装置の一例として圧縮成形装置を用い、下型を可動型とし上型を固定型として説明する。
【0018】
(樹脂モールド装置の全体構成)
図1は、本発明に係る樹脂モールド装置の一実施形態である平面レイアウト図である。本実施形態の樹脂モールド装置は、ワーク搬送機構Hに備えた多関節ロボットの移動範囲を囲んでワーク供給部A、樹脂供給部B、プレス部C、ワーク検査部D(冷却部)、加熱硬化部E及びワーク収納部Fのような各処理工程を行う処理部と、これら処理部の動作を制御する制御部Gが配置されている。プレス部Cの近傍には情報読取り部Iが設けられている。また樹脂供給部Bの近傍には、表示部J及び操作部Mが設けられている。このように多関節ロボットの移動範囲を囲んで各工程を配置したことにより、移動距離が短縮されて工程間で効率の良いワーク搬送が実現できる。以下各部の構成について具体的に説明する。
【0019】
図1において、ワークWは、半導体チップがキャリア上に保持されたものが用いられる。このワークWは、例えばE−WLP(Embedded Wafer Level Package)若しくはeWLB (embededd Wafer Lebel BGA)と呼ばれる樹脂封止方法に用いられるものである。具体的には、例えばウエハ搬送治具のような周辺装置を共用するため半導体ウエハと同じサイズとして、直径12インチ(約30cm)の丸型の金属製(SUS等)のキャリアプレートKに熱はく離性を有する粘着シート(粘着テープ)が貼着されており、該粘着シートに複数の半導体チップが行列状に粘着されたものが用いられる。各ワークWの縁部には、製品に関する情報が対応付けられた情報コード(QRコード、バーコード等)が付与されている。なお、キャリアプレートKは矩形状であってもよい。この場合、半導体チップを複数行の行列状配置する場合、半導体チップが配置できないエリアを小さくすることができ成形効率上好ましい。
【0020】
また、ワークWとしては、半導体チップがキャリアプレートK上に保持されたE−WLP(eWLB)用のワークWではなく、再配線層にボールマウントしたウエハを樹脂モールドするウエハレベルパッケージ(WLP)のワークWであってもよい。この場合、可能なときはウエハ自体に情報コードを付与してもよいし、マガジンの各スリット(収納位置)に対して個別に情報コードを付与してもよい。更に、ワークWは半導体チップが実装された樹脂基板やリードフレームであっても良い。
【0021】
(表示部L及び操作部M)
図1に示すように、表示部L及び操作部Mは一体的に配置されている。作業者は、表示部Lに表示された情報を確認しながら、必要に応じて操作部Mを操作して装置内部における各部(例えば多関節ロボット2)の動作を制御可能となっている。また、後述する各種情報の入力や変更を行なうことも可能となっている。なお、通信回線を用いることで装置から離れた位置に表示部と操作部を設けて遠隔操作する構成としてもよい。
【0022】
(ワーク搬送機構H)
図2(A)において、ワーク搬送機構Hは、ワークWをロボットハンド1に保持して各工程間を搬送する回転及び直線移動可能な多関節ロボット2を備えている。多関節ロボット2は、折りたたみ可能な垂直リンク2aによる上下動可能な垂直多関節ロボットと、水平リンク2bを水平面内で回転と移動が可能な水平多関節ロボットとの組み合わせにより構成されている。水平リンク2bの先端にはロボットハンド1が設けられている。2箇所の水平リンク2bとロボットハンド1は各々垂直軸2c,2d,2eを中心に回転可能に軸支されている。上記各リンクは、図示しないサーボモータに備えたエンコーダにより回転量が検出されてフィードバック制御が行われる。このように、多関節ロボット2を備えた構成を採用することにより、垂直リンク2aによって上下方向において任意の位置にロボットハンド1を移動させる動作と、水平リンク2bによって水平方向において任意の位置でロボットハンド1を移動させる動作とを並行して行うことができる。このため、多関節ロボット2の移動範囲を囲んで配置された各処理部の間でワークWを直線的に搬送することができ、各処理部へ搬送するのに要する時間を最短にすることができる。これにより、後述するようにワークWと液状樹脂をプレス部Cへ搬入して樹脂モールドするような次工程にワークWを迅速に搬送することができ、成形品質の向上に寄与することができる。
【0023】
また、図2(B)に示すように、ロボットハンド1は、先端が二又状に分かれることで、ワークWの中央を避けてワークWの外周付近を保持可能となっている。ロボットハンド1には、同図に示すように、先端と根元側の3箇所においてワークWの外周を吸着可能な吸着孔1aとこれに連通する吸引路1bが形成されている。ロボットハンド1は、キャリアプレートKを載置してその裏面を吸着保持するようになっている。尚、ロボットハンド1は、ワークWを吸着保持するほかに、爪で挟み込むように機械的にチャックする方式でも良い。また、ロボットハンド1は垂直軸2eを中心に回転する他に、水平軸を中心に回転することでワークWを反転可能な構成としても良い。
【0024】
また、図1において、多関節ロボット2のベース部3は、直動ガイドレール4に沿って往復移動可能に設けられている。例えば、ベース部3に設けられたナットにボールねじが連繋しており、図示しないサーボモータにより正逆回転駆動することにより、多関節ロボット2が直動ガイドレール4に沿って往復動するようになっている。
【0025】
図3において、多関節ロボット2は、装置組立て時にはロボットハンド1に代えてレーザー変位計6と撮像装置(カメラ)7を備えたティーチングハンド5を用いて各工程のワーク受け渡し位置に備えたティーチング冶具8に対してX−Y−Z方向の位置決めを行なって組み付けられる。例えばティーチング治具8は所定の大きさの矩形板状に形成されたものが用いられる。具体的には、撮像装置7によって撮像される様子を表示部Lに表示しながらティーチングハンド5の概略位置を決める。次いで、レーザー変位計6よりティーチング冶具8に対してレーザー光を照射して図3(A)に示すように垂直リンク2aを上下動させてエッジを検出することで高さ位置(Z方向)を調整し、図3(B)に示すように水平リンク2bを回転させることでティーチングハンド5を左右方向に移動させてエッジを検出することでX−Y方向の位置を調整する。
【0026】
具体的には、まず、ワーク受渡し位置(図1で各部において破線で示したロボットハンド1の位置)の中心とティーチング冶具8の中心とを合わせるようにティーチング冶具8をセットする。次いで、撮像装置7によって撮像される様子を表示部Lに表示しながら操作部Mを操作して、ティーチング冶具8の手前にティーチングハンド5が位置するように多関節ロボット2を動作させ概略の位置決めを行う。この際に、ティーチングハンド5とティーチング冶具8との距離をレーザー変位計6により計測する。この距離とティーチング治具8の奥行き方向の幅とに基づき、ワーク受渡し位置の中心のティーチングハンド5に対する位置(奥行き方向)が測定される。
【0027】
続いて、ティーチングハンド5をティーチング冶具8に対して左右方向に移動させることで、ティーチング冶具8の両側における縁部の位置がレーザー変位計6の出力値のエッジとして検出される。これらの縁部の位置の中央として、ワーク受渡し位置の中心のティーチングハンド5に対する位置(左右方向)が測定される。次いで、ティーチングハンド5をティーチング冶具8に対して上下方向に移動させることで、ティーチング冶具8の上側における縁部の位置が検出される。この縁部の位置とティーチング冶具8の厚みとに基づき、ワーク受渡し位置のワークを載置する面の高さが測定される。このように、前後方向、左右方向及び上下方向の3方向においてティーチングハンド5に対する距離(位置)情報を取得することで、ワーク搬送機構Hの座標上における各部の受渡し位置の座標が測定される。
【0028】
このように、ティーチングハンド5及びティーチング冶具8を用いることで、各工程のワーク受渡し位置のX−Y−Z方向における正確な座標が取得され記憶部47に記憶され、制御部Gはこれに基づいて多関節ロボット2の動作を制御する。なお、ティーチング冶具8の形状は、X−Y−Z方向における相対的な位置関係が分かれば矩形板以外の形状でもよい。また、後述する加熱硬化部Eや冷却部Nのように1つの装置内に複数の受渡し位置を有する場合は、一部の受渡し位置について座標を取得してそれを元に全ての受渡し位置について算出してもよいし、全てについて座標を取得して受け渡し位置を各々算出してもよい。
【0029】
これによって、多関節ロボット2を組み付ける際にその周囲に設けられる各装置に対して搬入搬出する多関節ロボット2(ワークW)の高精度な位置出しが簡易な構成を用いて行えるので、樹脂モールド装置の組立自体に高い精度を求める必要がなく組立作業を簡略化し装置の立ち上げに要するコストを大幅に削減することができ、総合的には大幅なコストダウンを図ることができる。
【0030】
尚、多関節ロボット2に変えて、水平多関節ロボットや垂直多関節ロボットやその他の種類のロボットやアクチュエータ等を適宜組み合わせたロボットを用いた構成を採用しても良い。また、プレス部Cの数に応じて多関節ロボットを複数台設けることも可能である。この場合、例えば、ワーク供給部Aからプレス部Cまでを一の多関節ロボットによって搬送し、プレス部Cからワーク収納部Fまでを一の多関節ロボットによって搬送するように搬送する範囲を分けることができる。これにより、より多くのワークWを並行して成形することができ、生産性をさらに向上することができる。
【0031】
(ワーク供給部A、ワーク収納部F及び情報読取り部I)
図1において、多関節ロボット2が往復動する直動ガイドレール4の手前側には、ワーク供給部Aとワーク収納部Fが併設されている。具体的には、ワークW(被成形品)を収納した供給マガジン9と、ワークW(成形品)を収納可能な収納マガジン10が2列ずつ併設されている。尚、供給マガジン9と収納マガジン10とは構造が同様であるので、以下では供給マガジン9の構造を代表して説明するものとする。また、2列設けられた供給マガジン9は、同じ種類のワークWを収納する場合でも、異なる種類のワークWを収納する場合でもいずれでも良い。収納マガジン10についても同様である。また、供給マガジン9及び収納マガジン10を1列ずつ設ける構成としてもよく、或いはそれぞれを3列以上設ける構成としてもよい。
【0032】
以下、図4を参照してワーク供給部Aの構成について説明する。多関節ロボット2が移動する搬送エリア11とワーク供給部A(ワーク収納部F)とは仕切り壁12によって遮断されている。ワークWを粉塵や熱などの影響がない環境下で保管するためである。供給マガジン9は、公知のエレベータ機構13によって昇降可能に支持されている。エレベータ機構13は、駆動源により回転する搬送手段(無端状の搬送ベルト、搬送チェーンなど)によって昇降ガイド14に沿って昇降動作するようになっている。エレベータ機構13には供給マガジン9が2段に重ねて載置されている。各供給マガジン9の両側壁にはスリット(凹溝)が対向して形成されており、該スリットにワークWのキャリアプレートKを挿入して支持している。仕切り壁12には、エレベータ機構13の上昇位置付近に取出し口12aが開口して設けられている。取出し口12aは、開閉可能なシャッター15により閉塞されている。シャッター15は、シリンダ、ソレノイドなどの駆動源により開閉するように設けられる。
【0033】
次にワーク供給部AからのワークWの取出し動作に一例について図5(A)〜(C)を参照して説明する。
図5(A)において、エレベータ機構13は昇降ガイド14の上昇位置にあるもとする。このとき、供給マガジン9は最下側のワークWが取出し口12aに対向した位置にある。多関節ロボット2を起動してロボットハンド1を仕切り壁12を隔ててシャッター15に対向する位置まで移動させる。
【0034】
次に、図5(B)に示すように、制御部Gは、駆動源を制御してシャッター15を開放して、ロボットハンド1を取出し口12aから供給マガジン9内に最下側のワークWの下方に進入させる。そして、ワークWにロボットハンド1を接触させるように若干上昇させて受け取った状態で吸着保持し、そのまま凹溝に沿って供給マガジン9から取出し口12aを経て仕切り壁12の外(搬送エリア11)へ搬出する。
【0035】
その後、図5(C)に示すようにシャッター15を閉じ、多関節ロボット2は、ワークWを図1に示す情報読取り部Iに搬送する。また、エレベータ機構13は、次のワークWの取出しに備えて取出し口12aに対向する位置まで所定量下降して待機する。以降のワークWの取出しは同様の動作を繰り返し行われる。
尚、ワーク収納部Fにおいては、成形後のワークWを吸着保持したロボットハンド1が搬送エリア11から収納マガジン10内に凹溝沿って進入してワークWの吸着を解除することでスリットに受け渡す以外は、ワーク供給部Aと同様の動作が行われる。
【0036】
図1において、情報読取り部Iには、コード情報読取り装置16とアライナ16aとが設けられており、供給マガジン9から搬送されたワークWを受け取ったアライナ16aを回転させることでワークWの情報コードをコード情報読取り装置16の直下に移動させる。この際に、ワークWは一定の方向に統一される。コード情報読取り装置16は、ワークWに付与された製品に関する情報コード(QRコード、バーコード等)を読み取る。この情報コードに対応して、記憶部47には、樹脂供給情報(樹脂種別、樹脂供給量、供給時間など)やモールド条件(プレス番号、プレス温度、プレス時間、成形厚など)、キュア情報(キュア温度、キュア時間など)、冷却情報(冷却時間)、などの成形条件が記憶されている。コード情報読取り装置16が読み取った情報コードに対応した成形条件情報に基づいて、搬送しているワークWに対して後述する各工程の処理を行う。多関節ロボット2は成形条件の読み取りが完了したワークWを樹脂供給部Bからワーク収納部Fに至る後の各処理工程へ順次搬送する。
【0037】
(樹脂供給部Bの構成)
図1において、ワーク供給部Aに隣接して樹脂供給部Bが設けられている。樹脂供給部Bには複数のシリンジを回転可能に保持したリボルバ式のシリンジ供給部17を挟んで両側にディスペンスユニット18が2系統設けられている。なお、樹脂供給部Bは、樹脂の冷却と除湿のために内部の温度と湿度を調節可能となっている。また、装置側面には扉が設けられており、作業者がシリンジを交換可能となっている。
【0038】
図6において、シリンジ保持部17は、保持部本体17aに回転ホルダー17bが回転可能に支持されている。シリンジ19は、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂といった熱硬化性樹脂を所定量ずつ貯留し、回転ホルダー17bの上部に設けられたフランジ部17cに周方向で6箇所に設けられた凹部17dに保持されている。また、回転ホルダー17bの下方にはシリンジ19の先端に設けられたチューブノズル19aから万一液状樹脂が漏出してもこれを受け止めるための樹脂受け部17eが設けられている。保持部本体17aの上部にはモータ20が組み付けられており、モータ20のモータ軸20aはフランジ部17cと連繋している。モータ20を起動すると、回転ホルダー17bは所定方向に回転するように設けられている。尚、回転ホルダー17bの下端部においてチューブノズル19aが位置する高さにピンチバルブ19bが設けられており、各シリンジ19のチューブノズル19aを押し挟み閉止することで液だれを防いでいる。
【0039】
次に、図6において、一方のディスペンスユニット18について説明する。なお、他方のディスペンスユニット18もシリンジ供給部17を挟んで反対側に反転した配置に同様の構成を有するため説明を省略する。ディスペンスユニット18は、シリンジ保持部17に対して接離動可能なユニット本体18aにピストン保持部18bが上下動可能に保持されている。ピストン保持部18bの上部にはピストン18cが上下動可能に設けられている。また、ピストン保持部18bには、ピストン18cより下方にシリンジ19を受け取って保持するチャック18dが設けられている。また、チャック18dより下方には、シリンジ19やチューブノズル19aの姿勢を保持するガイド部18eが設けられている。ユニット本体18aは図示しない駆動源(モータ、シリンダ等)を起動すると液材吐出位置より退避した待機位置からシリンジ保持部17へ近接してチャック18dにシリンジ19を保持する。ユニット本体18aはシリンジ19を保持したまま液材吐出位置Jへ移動してピンチバルブ19bを開放し、ピストン18cを図示しないシリンダやモータなどの駆動源により下動させてシリンジ19内に圧入することでチューブノズル19aより液状樹脂を吐出しワークWに供給する。所定量の液状樹脂をワークW上に供給したら、ピストン18cの動作を停止しピンチバルブ19bによってチューブノズル19aが閉じて、液だれによる供給樹脂量の変動や装置内の汚染を防止するようになっている。
【0040】
また、ユニット本体18aの近傍には捨て打ちカップ20が回転可能に設けられている。捨て打ちカップ21は、シリンジ19から液状樹脂を吐出する際に、チューブノズル19a先端側の比較的品質が劣化した液状樹脂を吐出するため設けられている。捨て打ちカップ21は、ワークWに液状樹脂を吐出する前に液材吐出位置Jへ回転移動して不要樹脂が捨て打ちされる。
【0041】
また、液材吐出位置Jには、ロボットハンド1から受け取ったワークWを載置するワーク載置部22が設けられている。ロボットハンド1で支持突起22aが挟まれる位置まで樹脂供給部B内に進入させることにより(図1,6参照)、ワークWはロボットハンド1に保持された状態でキャリアプレートKが支持突起22a上に搬送される。ワーク載置部22にはロボットハンド1に吸着保持されたワークWの吸着が解かれて載置され、ワークWはキャリアプレートKが支持突起22aに支持される。ワーク載置部22には、重量計23が設けられており、ワークWの重さとワークWに吐出される液状樹脂の重さが計量される。液状樹脂の吐出量は、製品に応じて成形条件として記憶されており、目標値に対して所定の精度(例えば±0.3g程度)で吐出される。この場合、実際に樹脂が供給された樹脂の供給情報(樹脂供給部番号、シリンジ番号、樹脂供給量、供給開始から供給終了時刻など)がこのワークWに対応する稼働情報として記憶される。
【0042】
また、樹脂供給部Bでは、ピストン18cの上下方向の位置に応じてディスペンスユニット18にセットされたシリンジ19内における液状樹脂の残量を監視しシリンジ19の交換を自動的に行う。交換が必要と判断されたときには、使用後のシリンジ19をシリンジ保持部17に戻すと共に、樹脂が充填済みの使用前のシリンジ19を自動的に受け取る構成となっている。この場合、例えばシリンジ保持部17に保持されたシリンジ19が全て使用後済みとなったときに、シリンジ保持部17に保持されたシリンジ19を交換するように表示部Jに表示して作業者に指示を出す。これにより、ディスペンスユニット18に装填されたシリンジ19から樹脂供給を継続しながらシリンジ19の交換も行うことができるため、シリンジ19交換のために装置を停止する必要がなく、装置のスループットの向上に寄与することができる。
【0043】
液状樹脂が吐出されたワークWは、ワーク載置部22よりロボットハンド1に吸着保持されてプレス部Cへ搬送される。この場合、例えば樹脂供給部Bからプレス部Cへの移動に要する時間が長くなった場合、供給した液状樹脂封が吸湿してしまったり、プレス部Cに搬入する前に加熱されてしまったりするなどの不具合が発生することがある。しかしながら、多関節ロボット2を用いてワークWを短時間で移動可能な構成にしたことにより、例えばエアシリンダ等により移動可能とした所定の搬送経路上を動作させる構成と比較して、短時間かつ均一な時間で移動することができる。
【0044】
以上のように構成された2つのディスペンスユニット18でシリンジ供給部17を併用しシリンジ19の交換を自動的に行うことができる構成とすることにより、途切れなく樹脂供給を行うことができ、コンパクトな構成で複数プレス部Cにおいて連続する樹脂モールド動作に追従することができ、生産効率の向上に寄与することができる。
【0045】
尚、上記実施形態は液状樹脂を供給する装置構成について説明したが、他の樹脂(タブレット樹脂、粉末・顆粒状樹脂、或いはペースト状樹脂、シート状樹脂など)の供給装置をワークの形態に応じて適宜選択可能である。また、粉末・顆粒状樹脂などの場合には、ロボットハンド1に樹脂搬送用の構成を設け、樹脂供給部B内では樹脂をワークW上に直接供給しない構成を採用してもよい。この場合、ロボットハンド1がワークW及び樹脂を各々プレス部Cに搬入し、当該プレス部C内で加熱溶融してからワークWに触れて樹脂モールドするので、成形品質の向上に寄与することができる。
【0046】
(プレス部C)
次に図7乃至図10を参照してプレス部Cの構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態では複数のプレス部Cが直動ガイドレール4より奥側に併設されている。一例としてプレス部Cを2台設けたが、1台であっても3台以上であっても良い。またプレス部Cは同じ製品を樹脂モールドするモールド金型を備えていても、異なる製品を樹脂モールドするモールド金型を備えていてもいずれでも良い。プレス部Cの搬送エリア11に臨む側には仕切り壁24が設けられており、該仕切り壁24には開口部24aが設けられている。開口部24は開閉可能なシャッター25によって通常は閉塞されている。シャッター25は、シリンダ、ソレノイドなどの駆動源により開閉するように設けられる。
【0047】
図7(A)において、プレス部CはワークWをクランプして樹脂モールドするモールド金型が装着された公知のプレス装置26を備えている。プレス装置26は、上型プラテン27に上型(例えば固定型)28、下型プラテン29に下型(例えば可動型)30が各々組み付けられている。下型30に搬入されたワークWを上型28とでクランプすることにより圧縮成形される。上型プラテン27と下型プラテン29は四隅をタイバー31が挿通しており、モールド金型の開閉動作をガイドしている。
【0048】
また、プレス部Cにはプレス装置26から搬送エリア11にかけて往復動可能なローダー32が設けられている。また、シャッター25により開口部24aが覆われた手前側の搬送エリア11には、ワーク載置部33が設けられている。ワーク載置部33には、ロボットハンド1に吸着保持された液状樹脂が塗布されたワークWが受け渡され、或いはプレス装置26からローダー32によって取出されたワークWが受け渡される。
【0049】
また、仕切り壁24の開口部24aにはレール34がプレス装置26内からワーク載置部33の上方を含む搬送エリア11に至る領域に敷設されている。ローダー32はレール34に沿って搬送エリア11からプレス装置26との間を往復動する。レース34は開口部24aの両側に設けられておりシャッター25の開閉動作に干渉することがない。ローダー32はワーク載置部33の上方に待機しており、ワークWをロボットハンド1から受け取って下型30へ搬入し、成形後のワークWを下型30からワーク載置部33へ取出す。
【0050】
図7(A)において、キャビティが形成されている上型28が組み付けられた上型プラテン27には、破線で示すようにフィルム供給装置35が設けられている。フィルム供給装置35は上型28のクランプ面を覆う長尺状のリリースフィルム36(図8(A)参照)をリール間で繰り出し及び巻き取りを行う装置である。リリースフィルムは上型面に公知の吸引機構により吸着保持されるようになっている。リリースフィルム36としては、モールド金型の加熱温度に耐えられる耐熱性を有するもので、金型面より容易に剥離するものであって、柔軟性、伸展性を有するフィルム材、例えば、PTFE、ETFE、PET、FEP、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリジン等が好適に用いられる。
【0051】
ワークWのプレス部Cへの搬入搬出動作及びプレス動作について説明する。図7(A)において、プレス装置26の上型28と下型30とは型開きした状態にあり、仕切り壁24のシャッター25は開口部24aを閉塞した状態にある。ロボットハンド1に吸着保持されたワークWはワーク載置部33に載置されて吸着が解除されて受け渡される。ロボットハンド1が退避すると、図7(B)に示すようにローダー32がワーク載置部33よりワークWをハンドにより掴みシャッター25が開放した状態で開口部24aよりプレス装置26内に進入して下型30にワークWをセットする。
【0052】
下型30にワークWがセットされた状態を図8(A)に示す。ワークWをセットしたローダー32はプレス装置26から開口部24aを経て搬送エリア11に戻るとシャッター25が閉じて、プレス装置26がワークWをクランプして圧縮成形が行われる。図8(B)に示すように、下型30が上昇して上型28との間でワークWがクランプされる。上型28のキャビティ28aを含むクランプ面にはリリースフィルム36が吸着保持されている。
【0053】
また、圧縮成形が終了すると、図8(C)に示すようにプレス装置26が型開きし、ワークWはリリースフィルム36が吸着された上型28より離型し、下型30に載置されたままの状態にある。シャッター25が開放されるとローダー32が搬送エリア11からプレス装置26内に進入して下型30に載置されたワークWを掴んで搬送エリア11へ取出してワーク載置部33に受け渡す(図7(A)参照)。
【0054】
ここでプレス装置26の他例について図9及び図10を参照して説明する。
上述したプレス装置26と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。例えばE−WLP成形のようにワークWとしてキャリアプレートKに粘着テープを貼って、該粘着テープに半導体チップを粘着させたものを封止するときには、加熱により半導体チップを樹脂で封止した成形品をキャリアプレートKから取り外す処理を樹脂モールド後に行っている。このようなワークWを用いた成形では、プレス装置26の下型30に直接搬入したときから加熱によって粘着テープの粘着力の低下が始まってキャリアプレートK上を流動する樹脂によって半導体チップがキャリアプレートKの外側に向かって移動してしまう可能性がある(いわゆるフライングダイ)。
【0055】
そこで、図9(A)において、下型30にフロートピン37を設けてワークWが直接下型面に触れないようにしても良い。フロートピン37は、下型30より内蔵されたコイルばね38等によりピン先端が上型面に向けて突出するように常時付勢されている。コイルばね38はワークWを載置した状態で、フロートピン37が下型30内に完全に退避しない(ワークWと下型面との間にクリアランスが生じる)程度のばね係数のあるものが好ましい。尚、ワークWがフロートピン37により下型面よりフローティング支持されると、ローダー32(図7(A)参照)のハンドと下型30との干渉を防いでかつワークWを掴み易くなるという利点がある。
【0056】
図9(A)は型開きしたプレス装置26にワークWが搬入された状態を示す。ワークWは、フロートピン37を押し下げながらも下型面より離間した状態でフローティング支持されている。これにより、粘着テープの加熱を遅らせることができる。
【0057】
図9(B)は、プレス装置26が型閉じした状態を示す。ワークWは上型28と下型30とでクランプされており、フロートピン37はコイルばね38を圧縮して下型30内へ退避した状態にある。
【0058】
圧縮成形が完了するとプレス装置26が型開きする。図9(C)に示すように、下型30が下動すると、ワークWはモールド面がリリースフィルム36に覆われた上型28より離型し、かつ下型30のフロートピン37がコイルばね38の弾性力によって突出するため、下型30よりフローティング支持される。この状態で搬送エリア11に待機する前述したローダー32によりワークWがワーク載置部33へ搬出される。また、制御部Gは、例えば成形したプレス部Cの番号、金型温度曲線、クランプ圧力曲線、成形厚、フィルム使用量等の実際の成形条件を稼働情報として記憶部47に記憶する。
【0059】
次にプレス装置26の他例について図10を参照して説明する。
図8及び図9では下型30に対してワークWを搬入する構成になっていたが、上型28に対してワークWを搬入する構成としてもよい。たとえば、該ロボットハンド1が液状樹脂の塗布されたワークWをチャックハンドにより掴んで反転して上型28に供給する構成とすることができる。この場合、ある程度チクソ性が高く樹脂モールド前の状態で反転させても樹脂が落下しない程度の粘度を有するエポキシ樹脂等を用いるのが好ましい。
【0060】
本実施形態における上型28は、キャリアプレートKの縁部で開閉してこれを支持可能な爪部28bを有してワークWを保持可能に構成される。図10(A)は型開きしたプレス装置26にワークWが搬入された状態を示す。ワークWは、キャリアプレートKが上型28のクランプ面から離間した状態で爪部28bによって上型28に吊り下げ保持(フローティング支持)されている。この場合、クランプするまで上型28のクランプ面からキャリアプレートKを離して保持することにより、液状樹脂への加熱を抑制される。これにより、液状樹脂の粘度が加熱によって一時的に低下して液状樹脂が下型30に落下してしまうような事態を効果的に回避できる。また、E−WLPに用いられる粘着シートの加熱を遅らせることもでき、フライングダイの防止にも有効である。
【0061】
図10(B)は、プレス装置26が型閉じした状態を示す。ワークWは上型28と下型30とでクランプされて圧縮成形される。圧縮成形が完了するとプレス装置26が型開きする。図10(C)に示すように、下型30が下動すると、ワークWはモールド面がリリースフィルム36に覆われた下型30より離型し、かつ上型28に吸着保持されたままになる。この状態で搬送エリア11に待機する前述した多関節ロボット2のロボットハンド1を反転させてプレス装置26内へ進入させて、ワークWを掴んだまま上型28面への吸着を解除することで、ロボットハンド1に受け渡して搬出することができる。
この場合には、プレス部Cに設けたワーク搬入搬出装置32を省略して、ロボットハンド1を反転させた状態で直接型開きしたプレス装置26に進入させてワークWを上型28に吸着保持させ、成形後のワークWを上型28より受け取ってプレス装置26から取り出すことが可能になる。
【0062】
(ワーク検査部D)
次にワーク検査部Dの構成について図11を参照して説明する。図11において、ベース部39には直動レール39aが設けられている。この直動レール39aには可動ステージ40がレール長手方向に往復動可能に設けられている。可動ステージ40は例えば公知の駆動機構、ナット部がボールねじに連繋し、該ボールねじをモータにより正逆回転駆動することにより直動レール39a上を往復動するようになっている。
【0063】
可動ステージ40は直動レール39の一端側であるワーク受取位置に待機している。この可動ステージ40に、プレス部Cで圧縮成形されたワークWがロボットハンド1によって載置され吸着を解除されて受け渡される。受け渡し位置にある可動ステージ40のワーク搬送機構H側には、レーザー変位計41がワークWの上下一対で設けられており、ロボットハンド1によってワークWが可動ステージ40に載置される前に該レーザー変位計41によってレーザー光を照射してワークWの厚みが計測される。制御部Gは、測定した厚みを稼働情報として記憶部47に記憶する。この場合、ワークWの厚みからキャリアプレートKの厚みを差し引くことで成形品の厚みを算出可能である。また、可動ステージ40は、直動レール39の一端側より他端側に移動する。この直動レール39の他端側の上方には外観検査部42が設けられている。外観検査部42では、成形品を一括或いは分割して撮像して外観観察によって未充填、フローマークまたはフライングダイのような成形不良がないか否かが検査される。成形の良否と不良がある場合には不良の種類や撮像画像を稼働情報として記憶部47に記憶する。検査が終了すると、ワークWを載置した可動ステージ40が受け渡し位置へ戻って、ロボットハンド1に受け渡されて、加熱硬化部Eへ搬送される。
尚、異常(想定を上回る未充填など)が検出されたときには表示部Jにその旨を通知し、装置全体の動作を止めてメンテナンスすることで、不良品が連続生産されるのを防ぐことができる。
【0064】
(加熱硬化部E)
次に加熱硬化部Eの構成について図12(A)(B)を参照して説明する。加熱硬化部Eにはキュア炉43が設けられており、検査後のワークWをロボットハンド1によりキュア炉43に収納してモールド樹脂を120℃から150℃程度で加熱硬化(ポストキュア)することで加熱硬化を完了させる。図12(A)において、キュア炉43内には、対向配置されたスリット43aが高さ方向に所定ピッチで形成されこのピッチでワークWが保持されるようになっている。ワークWをキュア炉43に収納するときには、いずれかに形成されたスリット43aに沿ってワークWを挿入して保持するようになっている。
【0065】
図1においてキュア炉43の搬送エリア11を囲む側には内扉44が設けられており、装置外面側には外扉45が開閉可能に設けられている。図12(A)に示すように、内扉44には2段分のスリット43a位置に対応して開口部44aが設けられている。内扉44の内方には開閉扉46が各開口部44aを常時遮断するように個別に開閉可能に設けられている。また、同図及び図1に示すように、12段のスリット43aを平面視で2列備えることで、総数で24枚のワークWを並行してポストキュアすることが可能となっている。
【0066】
この場合、プレス部Cで樹脂モールドしてからポストキュアを開始するまでの時間が長くなった場合、樹脂モールド部分に反りが発生してしまうことがある。しかしながら、多関節ロボット2を用いて高さ方向にもワークWをスムーズに移動可能な構成にしたことにより、高さの異なる所望のスリット43aに対していずれも短時間で移動可能となっている。このように、搬送に要する時間が成形品質に影響のあるモールド装置では多関節ロボット2による搬送時間の短縮の効果は特に大きい。
【0067】
図12(B)において、一つの開閉扉46を開放すると2枚分のワークWをロボットハンド1によって上下2段のスリット43aに各々挿入して保持させることができる。このように開閉扉46を個別に開閉することで開閉面積を小さくしてワークWを収納取出しすることができるので、炉内の温度の低下を防ぎ、かつ搬送エリア11側への放熱を抑制することができる。
【0068】
ワーク検査部Dにおいて検査されたワークWはロボットハンド1に吸着保持されてキュア炉43へ搬送される。図12(A)に示すようにキュア炉43は開閉扉46が閉塞されて所定温度に加熱されている。例えば最上位置のスリット43aにワークWを挿入するときは、ロボットハンド1が内扉44に近づくと制御部Gが図示しない駆動機構を制御して図12(B)に示すように最上位置のスリット43aに対向する開閉扉46が開放し、ロボットハンド1が炉内に進入してワークWをスリット43aに沿って挿入する。そして、ロボットハンド1の吸着を解いてワークWをキュア炉43に受け渡してからロボットハンド1がキュア炉43から退避する。ロボットハンド1が内扉44より離れると開閉扉46を閉塞する。以上の動作が繰り返し行われる。ワークWをキュア炉43に収納してから所定時間経過すると、再度ロボットハンド1がキュア炉43内に進入して、ワークWを吸着保持したままキュア炉43より搬出し冷却部へ搬送するようになっている。
【0069】
(冷却部N)
図11に示すように冷却部Nは、ワーク検査部Dの上方における空間に、冷却用マガジン48が設けられている。冷却用マガジン48内の両側壁には、対向配置されたスリット48aが高さ方向に所定ピッチで形成されておりこのピッチでワークWを保持可能に構成されている。この場合、ロボットハンド1を任意の高さに移動可能な多関節ロボット2によって、所定のスリット48aに対してワークWを受渡し可能となっている。成形品の加熱硬化が完了したワークWはロボットハンド1により吸着保持されたまま冷却部Nのスリット48a(受け渡し位置)へ搬送されて吸着を解除されて受け渡される。この状態で所定時間放置することでワークWが自然冷却される。尚、冷却部は、ワーク検査部Dとは別個に設けることも可能であるが、ワーク検査部D上の空いているエリアを利用することで装置をコンパクトに構成することができる。
【0070】
(ワーク収納部F)
ワーク収納部Dの構成は前述したようにワーク供給部Aの構成と同様である。ロボットハンド1は、冷却部で冷却されたワークWを可動ステージ40より受け取って隣接する収納マガジン10へ搬送して収納する。
【0071】
(制御部G)
図1において、制御部Gは、CPU(中央演算処理装置)やROM、RAMなどの記憶部47を備え、前述した装置各部の動作を制御する。記憶部47には各種制御プログラムが記憶されているほかに、ワーク搬送対象候補リストや搬送順序情報やワークWに付されたコード情報が記憶されている。CPUは、ROMより必要なプログラムをRAMに読み出して実行させ、RAMを用いて入力情報を一次的に記憶させたり入力情報に応じた演算処理を行ったりして制御プログラムに基づいてコマンドを出力する。
【0072】
制御部Gには、ワーク供給部Aの稼働情報(受け渡し済みの供給マガジンスリット番号)、コード情報読取り装置16の稼働情報(レシピ情報;樹脂条件、モールド条件、キュア条件、冷却条件)、樹脂供給部Bの情報(シリンジ番号;(樹脂の種類、樹脂の解凍時刻、収容総量)、使用料(供給毎/総量)、供給開始/完了時刻)、プレス部Cの稼働情報(金型温度曲線、クランプ圧力曲線、成形厚、フィルム使用量)、キュア炉43の稼働情報(炉内温度)、ワーク検査部Dの稼働情報(フライングダイ、成形厚)、ワーク収納部Fの情報(受取済みスリットの位置)などの情報が随時入力され、各部に必要なコマンドを出力する。制御部Gは、このような稼働情報や上述した成形条件などをワークWに紐付けして記憶する。これにより、成形後のワークWについての実際の製造条件等を確認することができる。例えば成形後のワークWのキャリアプレートKの情報コードを読取ることで、成形条件と稼働情報とを確認することができ、実際の成形品と関連する情報を容易に閲覧可能としたことにより、成形条件の最適化に利用可能となっている。
尚、制御部Gはワーク搬送機構Hを囲むように配置されているが、例えばコントローラのように有線若しくは無線により遠隔操作できるものであっても良い。
【0073】
図13は4枚のワークW(1〜4)を一の供給マガジンから順次供給して一の収納マガジンに収納するまでの搬送手順を示すタイミングチャートの一例である。ディスペンスユニット18f,18g及びプレス装置26a,26bを用い、キュア炉43のスリット43aの数が24箇所あり、冷却部Nの冷却用マガジン48のスリット48aの数が4箇所である装置構成を想定している。この場合、それぞれの処理工程における処理サイクルは、個別の装置において要する処理時間を最大同時処理数(本実施例では装置数やスリット数)によって除した時間となる。このため、比較的長時間の処理時間を要する加熱硬化部Eは多くのスリット43aを設けることで同時に処理を行うことができる最大数を増やすことで、装置全体として処理がそこで滞らないような装置構成となっている。
【0074】
しかしながら、処理サイクルを一致させることはできないため、処理サイクルが最も長くなる処理を行う処理部に対するワークWの搬入タイミング及び搬出タイミングに基づいて、他の処理部に対するワークWの搬入タイミング及び搬出タイミングを決定している。図13においては、プレス装置26a,26bにおける処理サイクルが最も長くなっているため、ワーク供給部AからワークW3を搬出するタイミングを逆算して決めている。この場合、プレス装置26aにおけるワークW1とワークW3の樹脂モールドの間、同様にプレス装置26bにおけるワークW2とワークW4の樹脂モールドの間に無駄な時間が発生しないように各ワークW(1〜4)の供給のタイミングが決められている。具体的には、プレス装置26aのワークW1に対する樹脂モールドが完了して空き状態になったとき次のワークW3がプレス装置26aに搬入できるようにタイミングを逆算して決めている。図14(A)は、図13の破線四角で囲まれた領域のワーク搬送順序を示す表図である。このときには、ワーク番号1がプレス装置26aから検査へ搬送されると次のワーク番号3がディスペンスユニット18fからプレス装置26aに搬入され、ワーク番号1の検査が終了するとキュア炉43に搬入される。
同様にワーク番号2がプレス装置26bからワーク検査部D(レーザー変位計41及び外観検査部42)へ搬送されると次のワーク番号4がディスペンスユニット18gからプレス装置26bに搬入され、ワーク番号2の検査が終了するとキュア炉43に搬入されるようになっている。このように、複数のワークWを各処理部で並行処理する場合に各処理部へのワークWの搬入搬出に要する待ち時間を最小とすることで、装置全体として効率的に処理を進めることが可能となっている。
【0075】
図14(B)は、記憶部47に優先度の高い処理を記憶させた処理優先順位テーブルの一例を示す。多関節ロボット2は、この処理優先順位テーブルの優先順位に基づいてワークWの搬送順が制御される。本図に示すように、多関節ロボット2がワークWを搬送する優先順位を予め指示することにより、ワークWを搬送する処理の開始時間が近いときには、各処理の優先順位に応じて搬送順番を適宜入れ替えることができる。これにより、優先度の高低を考慮し、図示するような目的でできるだけ早く搬送したほうがよい優先度の高いワークWから搬送することができるため、成形品質を向上させることができる。
【0076】
図14(C)は、搬送順序の入れ替え例を示す搬送順序テーブルの一例を示す。図14(C)は、ワークWを冷却部Nからワーク収納部Fへ搬送した後に樹脂供給部Bからプレス部Cへ搬送する順番を入れ替える例を示す。このように、ワークWの冷却部Nからワーク収納部Fへの搬送のように、優先順位が低く、いつ搬送しても成形品質に影響を及ぼさない処理は後回しにすることで、装置全体としての処理効率を向上させながら成形品質の向上にも寄与することができる。尚、搬送順の入れ替えの優先順位は予め制御プログラムされていても良いし後からコマンド入力により変更しても良い。
【0077】
以上のように、ワークWの搬送順序を処理サイクルや搬送の優先順位に応じて決定することによって、プレス部Cにおける樹脂モールド動作に合わせてワーク搬送機構Hの搬送動作を迅速化・効率化すると共に、各プレス部Cの装置稼働率を高めるためにワーク供給動作及びワーク取り出し動作を追従させることができる。また、トラブルやメンテナンスなどで一部を停止しなければならないようなときには、各処理部の最大同時処理数を適宜変更することで処理サイクルが変更するため、これに応じて搬送順序を再設定することができる。このため、トラブルやメンテナンスの際にも複雑な処理設定を行うことなく生産可能となっている。
【0078】
図15は、他例に係るワーク搬送動作のタイミングチャートである。図14と異なるのは、2つの供給マガジン9a,9bからワークW1〜4を交互に供給して2つの収納マガジン10a,10bに交互に収納する構成となっている。この場合、複数種類のワークWに対して、複数種類の複数種類(例えば2種類)の樹脂を供給し、複数種類の金型を備えたプレス部に対して、複数種類のワークWを選択的に供給し樹脂モールドすることができる。ディスペンスユニット18f,18g及びプレス装置26a,26bを用い、キュア炉43のスリット43aの数が24箇所ある装置構成は同様である。
【0079】
この場合、ディスペンスユニット18f,18gに種類の異なる樹脂が充填された複数種類のシリンジ19をシリンジ供給部17に装填し、一対のディスペンスユニット18f,18gに選択的に供給する構成とする。これにより、複数種類の液状樹脂をディスペンスユニット18f,18gごとに並行して供給可能とすることで、複数の樹脂材質を用いて複数種類の製品を製造する混合生産(ミックスプロダクション)を行うことができる。また、プレス装置26a,26bに種類の異なる金型がセットし、供給マガジン9a,9bごとにプレス装置26a,26bに対して選択的に搬入する構成とする。これにより、複数種類の金型を用いた樹脂モールドを並行して実施することができ、異なる樹脂モールドの条件の成形品の混合生産(ミックスプロダクション)を行うことができる。
【0080】
さらに、樹脂に応じて成形厚を変更して製造したり、金型に応じて樹脂の供給量を変更したりすることができ、多数の条件を並行して実行することが可能となっている。このように、本発明に係る樹脂モールド装置によれば、ワークW毎にキャリアプレートKに表示されて情報コードを用いて装置内で製品に関する情報を読み取り、これに基づいて各部における処理を実行し、必要に応じて処理順序の並び替えのような動作の設定変更を可能な構成としている。このため、動作の設定を個別に指定したり、トラブル発生時に設定を変更したりする必要がなく待ち時間がなくなるため、装置の生産性の向上に寄与することができる。
【0081】
上記樹脂モールド装置を用いれば、ワークWや樹脂の供給から樹脂モールドを行なって成形品を検査しポストキュアを行って収納するまでの一連の作業をコンパクトな装置構成で効率よくしかも製品に応じた仕様で樹脂モールドが行える樹脂モールド装置を提供することができる。
【0082】
上述した樹脂モールド装置は、樹脂供給部Bにディスペンスユニット18f,18gをプレス部Cにプレス装置26a,26bを2台ずつ設けたが更に増やしてもよい。またワーク搬送機構Hに備えた多関節ロボット2も1台に限らず複数台設けて、搬送エリアを分担させてワークWの搬送を行うことも可能である。
また、プレス装置26は圧縮成形装置に限らずトランスファモールド装置であってもよく、減圧空間を形成してモールドを行っても良い。
また、成形前後のワークWを1つのマガジンに収容することで、ワーク供給部Aとワーク収納部Fとを共用してもよい。この場合、樹脂モールド後のワークWによって樹脂モールド前のワークWが加熱されることを防止するために、樹脂モールド後に冷却してから収納するのが好ましい。
【符号の説明】
【0083】
A ワーク供給部
B 樹脂供給部
C プレス部
D ワーク検査部
E 加熱硬化部
F ワーク収納部
G 制御部
H ワーク搬送機構
I 情報読取り部
N 冷却部
W ワーク
K キャリアプレート
1 ロボットハンド
1a 吸着孔
1b 28b 吸引路
2 多関節ロボット
2a 垂直リンク
2b 水平リンク
2c,2d,2e 垂直軸
3,39 ベース部
4 直動ガイドレール
5 ティーチングハンド
6 レーザー変位計
7 撮像装置
8 ティーチング冶具
9,9a,9b 供給マガジン
10,10a,10b収納マガジン
11 搬送エリア
12,24 仕切り壁
12a 取出し口
13 エレベータ機構
14 昇降ガイド
15,25 シャッター
16 コード情報読取り装置
17 シリンジ供給部
17a 保持部本体
17b 回転ホルダー
17c フランジ部
17d 凹部
17e 樹脂受け部
18,18f,18g ディスペンスユニット
18a ユニット本体
18b ピストン保持部
18c ピストン
18d チャック
18e ガイド部
19 シリンジ
19a チューブノズル
19b ピンチバルブ
20 モータ
20a モータ軸
21 捨て打ちカップ
22,33 ワーク載置部
22a 支持突起
23 重量計
24a 開口部
26,26a,26b プレス装置
27 上型プラテン
28 上型
28a,30a キャビティ
28b 爪部
29 下型プラテン
30 下型
31 タイバー
32 ローダー
34 レール
35 フィルム供給装置
36 リリースフィルム
37 フロートピン
38 コイルばね
39a 直動レール
40 可動ステージ
41 レーザー変位計
42 外観検査部
43 キュア炉
43a,48a スリット
44 内扉
45 外扉
46 開閉扉
47 記憶部
48 冷却用マガジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークをロボットハンドに保持して各工程間を搬送する回転及び直線移動可能なロボットを備えたワーク搬送機構と、
前記ワークを供給するワーク供給部と、
前記ワーク供給部から取り出されたワークを樹脂モールドするための樹脂を供給する樹脂供給部と、
前記樹脂供給部から供給された樹脂及び前記ワークが搬入されて樹脂モールドされるプレス部と、
前記プレス部で樹脂モールドされたワークを収納するワーク収納部と、
装置各部の動作を制御する制御部と、を具備し、
前記ワーク搬送機構に備えたロボットの移動範囲を囲んで前記ワーク供給部、前記樹脂供給部、前記プレス部及び前記ワーク収納部が配置されていることを特徴とする樹脂モールド装置。
【請求項2】
前記ロボットは、垂直リンクによる上下方向と水平リンクによる水平方向への移動が並行して行われる多関節ロボットが用いられることを特徴とする請求項1記載の樹脂モールド装置。
【請求項3】
前記プレス部から取り出された成形品の厚さ及び外観を検査して良否判定するワーク検査部が、前記ワーク搬送機構に備えたロボットの移動範囲を囲んで配置されていることを特徴とする請求項1記載の樹脂モールド装置。
【請求項4】
樹脂モールド後のワークをキュア炉に収納して樹脂を加熱硬化させる加熱硬化部が、前記ワーク搬送機構に備えたロボットの移動範囲を囲んで配置されていることを特徴とする請求項1記載の樹脂モールド装置。
【請求項5】
樹脂モールド後のワークを冷却する冷却部が、前記ワーク搬送機構に備えたロボットの移動範囲を囲んで配置されていることを特徴とする請求項1記載の樹脂モールド装置。
【請求項6】
前記ワーク搬送機構は、前記プレス部にワークを搬入する前に、情報読取り部にて成形条件を含む製品情報を読み取って後工程に搬送することを特徴とする請求項1記載の樹脂モールド装置。
【請求項7】
前記制御部は、最も時間がかかる処理工程の最小動作サイクルに合わせてロボットによるワーク供給動作及びワーク取り出し動作のタイミングを制御しかつ優先度の高い工程順を考慮してワーク搬送動作を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の樹脂モールド装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記ロボットのロボットハンドに代えてレーザー変位計と撮像装置を備えたティーチングハンドを用いて各工程に備えたティーチング冶具に対するX−Y−Z方向の位置決めを行ない、当該X−Y−Z方向の位置決めに基づいて前記ロボットの動作を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の樹脂モールド装置。
【請求項9】
前記制御部は複数プレス部に対して成形後のワーク搬出動作と次のワークの搬入動作が連続するように前記ロボットによる搬送動作を制御することで各プレス部において連続して樹脂モールドが行われることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の樹脂モールド装置。
【請求項10】
前記樹脂供給部には、液状樹脂を供給するディスペンスユニットが複数設けられており、各ディスペンスユニットにおいてワークに吐出された液状樹脂の吐出量を各々計量して供給されることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の樹脂モールド装置。
【請求項11】
前記プレス部に搬入されたワークが下型面より離間してフローティング支持されるか、或いは上型面より離間して吊り下げ保持されることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の樹脂モールド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−114285(P2012−114285A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262681(P2010−262681)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000144821)アピックヤマダ株式会社 (194)
【Fターム(参考)】