説明

樹脂封止装置および当該樹脂封止装置における樹脂の搬送方法

【課題】複数種類の樹脂を1つの搬送機構で適宜持ち替えて搬送する場合においても、異なる種類の樹脂の混入を防止する。
【解決手段】金型に対して複数種類の樹脂を搬送するローダ130を備えた樹脂封止装置であって、樹脂を収容するために樹脂の種類毎に専用に用意され、且つローダ130に着脱・交換可能とされた複数種類の樹脂ホルダ170を備え、ローダ130が、当該ローダ130に装着された樹脂ホルダ170を介して該樹脂を搬送可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップ等を樹脂にて封止する樹脂封止装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂封止装置では、その運転に伴って金型表面に封止材料である樹脂などが付着物として堆積する等により、高品質な樹脂封止が阻害される場合がある。そこで定期的にまたは不定期にこれら金型表面の付着物を取り除くべく、金型表面のクリーニングが必要となる。クリーニングの手法としては、種々考えられる。例えば、特許文献1に記載される樹脂封止装置においては、通常の樹脂封止に使用される樹脂ではなく、クリーニング専用の樹脂を用いてクリーニングが行われている。ここでは必要となるタイミングで、これらクリーニング用樹脂を搬送機構(ローダ)によって金型へと搬送した上で金型のプレス作業を行い、金型表面の付着物を当該クリーニング用樹脂側に再付着させるという手法によりクリーニングが行われている。また、このクリーニング用樹脂の金型への搬送は、通常の封止用樹脂を金型へと搬送する搬送機構に頼っている(即ち、1つの搬送機構によって封止用樹脂とクリーニング用樹脂を適宜持ち替えて搬送している。)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−172997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、1つの搬送機構によって異なる種類の樹脂を適宜持ち替えて搬送した場合には、樹脂の混入が生じるといった問題があった。即ち、ある種類の樹脂の搬送の際に搬送機構に付着残存した僅かな樹脂が、他の種類の樹脂の搬送の際に剥離し、金型内に供給されてしまうという問題である。具体的には、例えば、クリーニング作業を行った後の樹脂封止作業において、搬送機構に付着残存したクリーニング用樹脂のカスが本来の封止用樹脂に混入して金型内に供給されるような場合である。このような樹脂の混入が起これば、必然的に樹脂封止品質が低下してしまう。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するべくなされたものであって、複数種類の樹脂を1つの搬送機構で適宜持ち替えて搬送する場合においても、異なる種類の樹脂の混入を防止可能な樹脂封止装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、金型に対して複数種類の樹脂を搬送する搬送機構を備えた樹脂封止装置であって、前記樹脂を収容するために前記樹脂の種類毎に専用に用意され、且つ前記搬送機構に着脱・交換可能とされた複数の樹脂ホルダを備え、前記搬送機構が、該搬送機構に装着された前記樹脂ホルダを介して該樹脂ホルダに収容されている前記樹脂を搬送可能とすることにより、上記課題を解決するものである。即ち、樹脂をその種類に応じて専用の樹脂ホルダに収容し、前記搬送機構が、前記樹脂に触れることなく(当該樹脂との非接触を保ったままで)前記樹脂ホルダを保持して搬送することによって、異なる種類の樹脂の混入を完全に防ぐことが可能となっている。
【0007】
また、前記搬送機構が、更に、被成形品をクランプして保持可能な第1、第2のチャック機構と、該第1、第2のチャック機構を相対的に水平方向に移動させることが可能な水平移動機構と、を備え、該水平移動機構により前記第1、第2のチャック機構を当接・離間させることにより前記樹脂ホルダの着脱・交換を可能に構成すれば、単一の搬送機構で樹脂のみならず被成形品を同時に搬送できると共に、当該スライドによってチャック爪の間隔を金型における被成形品の配置間隔に合わせて調整することが可能となる。
【0008】
また、前記複数の樹脂ホルダが定められた位置に配置され、該定められた位置における前記樹脂ホルダの有無を検知することにより、前記搬送機構による前記樹脂の保持・非保持を検出したり、前記定められた位置に応じて前記樹脂の種類を識別してもよい。
【0009】
更に、前記搬送機構を、前記樹脂ホルダの着脱により前記樹脂の保持・非保持を検出可能としたり、前記樹脂ホルダに、前記樹脂の種類に応じた識別標識を設け、該識別標識(例えば樹脂ホルダの少なくとも一部の形状、模様、色彩またはこれらの組み合わせ)により前記樹脂の種類を識別可能とすれば、当該識別情報を樹脂封止装置の制御等に利用することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明を適用することにより、異なる種類の樹脂の混入を防止でき、樹脂封止品質を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態の一例について詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態の一例である樹脂封止装置100の概略構成図である。図2は、ローダ130の側断面図である。図3は、図2における矢示IV‐IV線に沿う断面図である。図4は、チャック部の拡大正面図である。図5乃至図13は、チャック部の樹脂ホルダ着脱・交換の工程を示した図である。
【0013】
なお説明の都合上、図1における紙面左右方向をX方向、同上下方向をY方向、これらX方向及びY方向のいずれにも直交する方向をZ方向(高さ方向)として説明する。
【0014】
<樹脂封止装置の構成>
樹脂封止装置100は、当該装置の基台となるベース部101上に、樹脂封止前の被成形品が供給される基板供給部102と、樹脂封止後の成形品が収納される成形品収納部104と、これら基板供給部102及び成形品収納部104との間に並んで配置される2つの金型106とが直線的に配置されている。本実施形態における基盤供給部102は、通常の樹脂封止に使用される被成形品(リードフレーム)の供給の他に、指示により、クリーニングに使用されるクリーニング用の被成形品(ダミーフレーム)を供給することが可能とされている。更に基板供給部102の近傍には、基板供給部102から取り出された被成形品を旋回させて向きを整える旋回テーブル103、旋回テーブル103によって向きが整えられた後に被成形品を所定の温度にまで加熱し保温するプレヒータ部105が配置されている。更にこれら旋廻テーブル103およびプレヒータ部105と並んで、封止材料としての樹脂タブレットが供給される樹脂タブレット供給部(樹脂供給部)109が配置されている。樹脂タブレット供給部109からの樹脂の供給は、樹脂ホルダ170内に樹脂タブレットを収容することにより行われる。なお、本実施形態においては、当該樹脂供タブレット供給部109によって、通常の樹脂封止に使用される樹脂の他に、金型クリーニングに使用するクリーニング用樹脂が供給可能とされている。また、クリーニング用樹脂の供給は、クリーニング用樹脂専用の樹脂ホルダ170に対して行われる構成とされている。
【0015】
一方、成形品収納部104の近傍には、樹脂封止後の成形品が冷却される冷却ステージ(冷却部)107、冷却ステージ107にて冷却された成形品の不要部分(カル部)が取り出されるゲートブレーク部108が配置されている。
【0016】
また、ベース部101には基板供給部102、成形品収納部104、金型106の並びと平行して、X方向ガイド120が設置されている。このX方向ガイド120上には、ローダ130及びアンローダ140が当該ガイドに沿って自由に移動することが可能に配置されている。これらローダ130及びアンローダ140は、複数配置された金型106に対する搬送機構として機能する。即ち、ローダ130は、基板供給部102から供給される樹脂封止前の被成形品および樹脂タブレット供給部109から供給される樹脂タブレットを所定のタイミングで金型106へと搬入する。一方、アンローダ140は、それぞれの金型106にて樹脂封止された成形品を搬出し成形品収納部104へと収納する機能を有している。
【0017】
なお、本実施形態においては、前述したように金型106が2つ配置されているが、必ずしも2つに限定されるものではなく、1つまたは3つ以上の金型が配置されていてもよい。更に、基板供給部102と成形品収納部104とが同じ側に配置されていたり、更にローダ130及びアンローダ140が単一の搬送機構によって実現されていても良い。
【0018】
次に、図2乃至図4を用いて搬送機構としてのローダ130について詳細に説明する。なお、ここではローダ130について説明するが、アンローダ140についても略同様の機構が採用されている。
【0019】
ローダ130は、ベース部101に設けられた2本のX方向ガイド120の上に配置されている。即ち、このローダ130は、X方向ガイド120に沿ってベース部101上を自在に移動することが可能とされている。ローダ130のローダ本体(本体部)131は、側面(X方向)から見ると略L字形状に構成されている。このL字形状の長辺部分(図2において左右方向)に沿って、ローダ本体131にはスライドレール(ガイド部)134が設けられている。このスライドレール134には、1本のスライドレール134に対して2つのスライド体133が嵌合している。更にこの2つのスライド体133は、アーム部132に連結固定されている。即ち、ローダ本体131内に収容されているアーム部132は、このスライドレール134及びスライド体133を介してローダ本体131に対してスライド可能に支持されている。なお、本実施形態ではアーム部132がローダ本体131に対してスライド可能に構成されているが、スライドすること自体は本発明の必須の構成要素ではない。更に、アーム部132におけるスライド体133の連結位置よりも金型106側(即ちスライド先側)には、スライドレール134に当接するように1つのスライドレール134に対して4つの支持ローラ135が設けられている。更にこの支持ローラ135よりも金型106側(即ちスライド先側)には上下機構137を介してチャック部136が垂設されている。なお、図2および図3ではチャック部136を簡略化して示しているため、図4を参照しつつその構造を詳細に説明する。
【0020】
チャック部136は、上下機構137を介してアーム部132から垂設されており、上下機構137を作動させることによって、適宜上下に(Z方向に)昇降させることが可能とされている。チャック部136は、上下機構137と連結されたチャック部本体150と、このチャック部本体150の下面に第1スライドガイド151を介してスライド可能に連結されたスライドプレート152と、更に、このスライドプレートに第2スライドガイド153を介してスライド可能に連結された爪プレート154と、当該爪プレート154に固定されたチャック爪155とを有した構成とされている。なお、第1スライドガイド151および第2スライドガイド153はいずれもX方向(図4における左右方向)にスライド可能である。これらスライドプレート152、第2スライドガイド153、爪プレート154、チャック爪155によって、1つのチャック機構139を構成している。チャック部本体150には、このようなチャック機構139がX方向に位置を異ならせて合計2つ配置構成されている(第1、第2のチャック機構139A、139B)。その結果2つのチャック機構(第1、第2のチャック機構)139が、それぞれ第1スライドガイド151に沿って相対的にスライドすることで、お互いの距離を広げたり狭めたりすること(当接・離間)が可能とされている。即ち、この第1スライドガイド151が、第1、第2のチャック機構139A、139Bを相対的に水平方向へ移動させることが可能な「水平移動機構」として機能する。また、スライドプレート152には、ホルダフック部156が設けられている。このホルダフック部156は、スライドプレート152における「他方のチャック機構側」に設けられている。即ち、第1のチャック機構139Aに備わるスライドプレート152においては第2のチャック機構139B側に、一方、第2のチャック機構139Bに備わるスライドプレート152においては第1のチャック機構側139A側に設けられている。
【0021】
また、チャック部本体150の上面にはクランプアクチュエータ157が設置固定されており、当該クランプアクチュエータ157のロッド157Aがチャック部本体150の下面側に突出可能に配置されている。
【0022】
また、樹脂タブレット180を収容可能な樹脂ホルダ170には、複数の樹脂タブレット収容部170Aが設けられており、1つの樹脂タブレット収容部170Aに対してそれぞれ1つ以上の樹脂タブレット180が収納可能に構成されている(図11(B)を合わせて参照)。また、樹脂ホルダ170には、(Y方向)前後にそれぞれ1つずつ張出部170Bが形成されている。
【0023】
なお、図5乃至図13においては、便宜上、上下機構137を省略し図示している。
【0024】
<樹脂封止装置全体の作用>
続いて樹脂封止装置100の作用について説明する。
【0025】
最初に、基板供給部102から樹脂封止前の一枚の被成形品が旋廻テーブル103へと搬送される。この搬送は図示せぬ搬送ハンドによって行われる。旋廻テーブル103に一枚の被成形品が搬送されると旋廻テーブル103が回転する。その後もう1枚の被成形品が旋廻テーブル103へと搬送され、計2枚の被成形品が旋廻テーブル103上に配置される。その後ローダ130によって2枚の被成形品が同時にプレヒータ105部に搬送される。ここでは、ローダ130のアーム部132がY方向にスライドした上で、チャック部136における爪プレート154のスライドによりチャック爪155が開き、被成形品をクランプし保持し搬送する。プレヒータ部105では、被成形品が所定の温度にまで加熱され保温される。プレヒータ105部は本実施形態では2つ設けられており、そのうちのいずれか(空いている側)に搬送される。
【0026】
一方、樹脂タブレット供給部109からは、封止材料としての樹脂タブレット180が樹脂ホルダ170(既にローダ130に保持されている樹脂ホルダ)の収容部170Aへと供給される。その後、プレヒータ部105にて保温されている被成形品、および、樹脂タブレット180が収容された樹脂ホルダ170が樹脂ホルダごとローダ130によって金型106へと搬送される。
【0027】
金型106において樹脂封止が完了すると、今後はアンローダ140によって樹脂封止後のワークが冷却ステージ107へと搬送される。冷却ステージ107では、樹脂封止後のワークが所定の温度にまで冷却される。その後再びアンローダ140によって、ワークが冷却ステージ107からゲートブレーク部108へと搬送される。ここではワークの不要部分、即ち、カル部に相当する樹脂がゲートブレークされて取り除かれる。不要部分は破棄され、残ったワークが製品収納部104へとアンローダ140によって搬送される。
【0028】
このような手順が繰り返されることによって樹脂封止が連続して行われる。
【0029】
また、所定のタイミングで、金型106のクリーニングが行われる。このタイミングは、樹脂封止の回数や、時間等により自動的に、若しくは作業者の操作によって行われる。クリーニング作業の指示がなされると、基盤供給部102からはクリーニング用の被成形品(ダミーフレーム)が供給され、一方、樹脂タブレット供給部109からは、クリーニング用樹脂タブレットが供給される。このクリーニング用樹脂タブレットは、専用の樹脂ホルダ(クリーニング用樹脂タブレット専用の樹脂ホルダ)170に収容される形で供給される。
【0030】
その後、ローダ130がこれらクリーニング用の被成形品およびクリーニング用樹脂タブレットを金型106へと搬送することとなるが、当該搬送は、通常の封止用樹脂を収容していた樹脂ホルダ170とクリーニング用樹脂を収容している樹脂ホルダ170を着脱・交換した上で行なわれる。
【0031】
この着脱・交換作業について図5乃至図13を参照しつつ詳細に説明する。ここではローダ130の一部であるチャック部136のみを取り出して説明している。
【0032】
現在保持している樹脂ホルダ170(即ち、封止用樹脂専用の樹脂ホルダ)の取り外しは以下のように行なわれる。
【0033】
最初に、図5に示したように、クランプアクチュエータ157のロッド157Aが上昇し、樹脂ホルダ170の押圧が解除される。続いて樹脂タブレット供給部109が上昇して樹脂ホルダ170に当接し、更に、当該樹脂ホルダ170の張出部170Bとホルダフック部156との当接が解かれる程度にまで樹脂ホルダ170を持ち上げる(図6参照)。その状態で、チャック機構139が外側へとスライドする(即ち、スライドプレート152が第1スライドガイド151に沿ってスライドし、2つのチャック機構139が離間する。)。その結果、ホルダフック部156が樹脂ホルダ170の張出部170Bの下側の位置から退避する(図7参照)。その後、図8に示したように、クランプアクチュエータ157のロッド157Aが再度突出し、樹脂ホルダ170の上面を押圧すると共に、樹脂タブレット供給部109が下降することによって、樹脂ホルダ170がチャック部136、即ちローダ130から取り外されることとなる(図9参照)。
【0034】
次に、クリーニング用樹脂タブレット180が収容された樹脂ホルダ170の装着が行われる。
【0035】
最初に、2つのチャック機構139がそれぞれ外側(図10において左右に)に開いた状態とされる(このとき、それぞれのチャック機構139におけるチャック爪155によってクリーニング用の被成形品(ダミーフレーム)が保持されていてもよい。)。この状態で、樹脂タブレット供給部109が上昇し、樹脂ホルダ170を2つのチャック機構139の間に搬送してくる(図10参照)。なお、本実施形態では樹脂タブレット供給部109側が上昇しているが、代わりに、チャック部136側が下降してもよい。
【0036】
続いて、図11に示したように、それぞれのチャック機構139のスライドプレート152が第1スライドガイド151に沿って内側へとスライドする。この動作によって、スライドプレート152に備わるホルダフック部156が樹脂ホルダ170における張出部170Bの下側へと進入する。なお、図11(B)にて示したように、上昇した樹脂ホルダ170は、チャック部本体150から下方向に突出した位置決めピン158によってのXY方向の位置決めが行われる。
【0037】
続いて、図12に示したように、クランプアクチュエータ157のロッド157Aが突出し、樹脂ホルダ170の上面を押圧する。これにより、図13に示したように、樹脂ホルダ170の張出部170Bがホルダフック部156に当接する。即ち、樹脂ホルダ170がホルダフック部156によって保持されることとなる。続いて樹脂タブレット供給部109が下降する。このような一連の工程を経て、封止用樹脂専用の樹脂ホルダとクリーニング用樹脂専用の樹脂ホルダとの着脱・交換作業が完了する。
【0038】
その後ローダ130によって、クリーニング用の被成形品(ダミーフレーム)およびクリーニング用樹脂が金型へと搬送・投入され、クリーニング作業が行われる。また、クリーニング作業が終了した際には、再度樹脂ホルダの着脱・交換が行われ、封止用樹脂専用の樹脂ホルダ170を用いて、封止用樹脂の搬送が行われる。
【0039】
このように本発明では、樹脂を搬送するに際して樹脂の種類毎の専用の樹脂ホルダに樹脂を収容した上で樹脂ホルダを保持しているため、搬送機構が樹脂に直接触れることがない。また、異なる種類の樹脂を搬送する場合には、樹脂ホルダごと交換し搬送する。その結果、異なる種類の樹脂を搬送する場合においても、樹脂の混入が生じることはない。
【0040】
なお、樹脂ホルダの着脱・交換は、上記の実施形態においては搬送する樹脂の種類が変わる時点でのみ行っているが、予め樹脂が収容された樹脂ホルダが多数容易され、毎回の搬送の際に樹脂ホルダをその都度交換するような構成を採用してもよい。この場合も樹脂の種類に応じた専用の樹脂ホルダとされている限りにおいて、同様の効果を発揮し得る。
【0041】
なお、樹脂ホルダ170からの樹脂タブレット180の放出、並びに、樹脂ホルダへのタブレット樹脂の収容は、例えば図14に示すように、外部に配置されたシリンダ190等によって、タブレットシャッタ170Cを開閉することにより行われる。
【0042】
また、本実施形態では、単一のローダ130よって樹脂および被成形品の搬送が実現されており、装置のコンパクト化に寄与している。また、ローダ130には被成形品を保持可能な2組のチャック機構139が備わっており、当該2組のチャック機構139を水平移動させることにより樹脂ホルダ170の着脱・交換を実現している。このような構成を採用した結果、当該スライドによってチャック機構139の間隔を金型における被成形品の配置間隔に合わせて調整することが可能となる。
【0043】
また、複数の樹脂ホルダ170をその種類に応じて(収容する樹脂の種類に応じて)特定の場所に(当該樹脂封止装置100上の定められた場所)に予め配置しておき、当該特定の場所において、配置された樹脂ホルダ170の有無を検知することにより、ローダ130による樹脂の保持・非保持を検出したり、更に、この特定の位置に応じて保持する樹脂の種類を識別してもよい。即ち、ある特定の場所に在るべき樹脂ホルダ170が無くなれば、その場所に対応した種類の樹脂がローダ130によって保持されていると判断することが可能となる。
【0044】
また、ローダ130が、樹脂ホルダ170の着脱により該樹脂ホルダに収容された前記樹脂の保持・非保持を検出可能としたり、樹脂ホルダ170に、樹脂の種類に応じた識別標識を設け、該識別標識(例えば樹脂ホルダ170の少なくとも一部の形状、模様、色彩またはこれらの組み合わせ)により樹脂の種類を識別可能とすれば、当該識別情報を樹脂封止装置の制御等に利用することが可能となる。
【0045】
なお、本実施形態では、「封止用樹脂」と「クリーニング用樹脂」という2種類の樹脂を例に説明しているが、これに限られるものではない。例えば、製品に応じて性質の異なる複数種類の樹脂が用いられる場合にも適用可能である。
【0046】
また、樹脂としてタブレット形状の樹脂を例に説明しているが、その他、粉状、粒状等の樹脂であっても同様の効果を発揮し得る。
【産業上の利用可能性】
【0047】
トランスファ成形、圧縮成形等の封止形式を問わず、広く樹脂封止装置に利用することが可能である。特に、複数の金型を並列的に配置した複数プレス型の樹脂封止装置に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態の一例である搬送機構を備えた樹脂封止装置100の概略構成図
【図2】搬送機構としてのローダ130の側断面図
【図3】図2における矢示IV‐IV線に沿う断面図
【図4】チャック部の拡大正面図
【図5】チャック部の樹脂ホルダ着脱・交換工程を示した図
【図6】チャック部の樹脂ホルダ着脱・交換工程を示した図
【図7】チャック部の樹脂ホルダ着脱・交換工程を示した図
【図8】チャック部の樹脂ホルダ着脱・交換工程を示した図
【図9】チャック部の樹脂ホルダ着脱・交換工程を示した図
【図10】チャック部の樹脂ホルダ着脱・交換工程を示した図
【図11】チャック部の樹脂ホルダ着脱・交換工程を示した図
【図12】チャック部の樹脂ホルダ着脱・交換工程を示した図
【図13】チャック部の樹脂ホルダ着脱・交換工程を示した図
【図14】樹脂ホルダの概略構成図
【符号の説明】
【0049】
100…樹脂封止装置
101…ベース部
102…基板供給部
103…旋回テーブル
104…成形品収納部
105…プレヒータ
106…金型
107…冷却ステージ
108…ゲートブレーク
109…樹脂タブレット供給部
120…X方向ガイド
130…ローダ
131…ローダ本体
132…アーム部
133…スライド体
134…スライドレール
136…チャック部
137…上下機構
140…アンローダ
150…チャック部本体
151…第1スライドガイド
152…スライドプレート
153…第2スライドガイド
154…爪プレート
155…チャック爪
156…ホルダフック部
157…クランプアクチュエータ
157A…ロッド
158…位置決めピン
170…樹脂ホルダ
170A…樹脂タブレット収容部
170B…張出部
180…樹脂タブレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型に対して複数種類の樹脂を搬送する搬送機構を備えた樹脂封止装置であって、
前記樹脂を収容するために前記樹脂の種類毎に専用に用意され、且つ前記搬送機構に着脱・交換可能とされた複数の樹脂ホルダを備え、
前記搬送機構が、該搬送機構に装着された前記樹脂ホルダを介して該樹脂ホルダに収容されている前記樹脂を搬送可能とされている
ことを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記搬送機構が、更に、被成形品をクランプして保持可能な第1、第2のチャック機構と、該第1、第2のチャック機構を相対的に水平方向に移動させることが可能な水平移動機構と、を備え、
該水平移動機構により前記第1、第2のチャック機構を当接・離間させることにより前記樹脂ホルダの着脱・交換が可能とされている
ことを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記複数の樹脂ホルダが定められた位置に配置され、
該定められた位置における前記樹脂ホルダの有無を検知することにより、前記搬送機構による前記樹脂の保持・非保持を検出する
ことを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記定められた位置に応じて前記樹脂の種類を識別する
ことを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項5】
請求項1または2において、
前記搬送機構が、前記樹脂ホルダの着脱により前記樹脂の保持・非保持を検出する
ことを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項6】
請求項1、2または5において、
前記樹脂ホルダが、前記樹脂の種類に応じた識別標識を有し、
前記搬送機構が、該識別標識により前記樹脂の種類を識別する
ことを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記識別標識が、前記樹脂ホルダの少なくとも一部の形状、模様、色彩またはこれらの組み合わせから成る
ことを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項8】
金型に対して複数種類の樹脂を搬送する搬送機構を備えた樹脂封止装置における樹脂の搬送方法であって、
前記樹脂を、その種類に応じて専用の樹脂ホルダに収容し、
前記搬送機構が、前記樹脂に触れることなく前記樹脂ホルダを保持して搬送する
ことを特徴とする樹脂封止装置における樹脂の搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−28902(P2009−28902A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191956(P2007−191956)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】