説明

樹脂製窓の2色射出成形方法

【課題】周縁形状が平滑な樹脂製窓を見栄え良く成形する。
【解決手段】位置決めピン17を樹脂パネル5にその端面から挿入して樹脂パネル5を下方から支持してキャビティ型9に保持した状態で収縮させ、樹脂パネル5の端面の位置決めピン17による支持側の辺を除く3辺とキャビティ型9の成形面16との間に隙間Sを生じさせ、キャビティ型9と第2コア型13とを型締めして第2コア型13の当接面26をキャビティ型9に保持された樹脂パネル5裏面に当接させるとともに突条部27を隙間Sに挿入する。これにより、樹脂パネル5の周壁部3内側と第2コア型13との間に第2キャビティ47が形成され、この状態で、第2キャビティ47内に不透光性樹脂49を射出充填して不透光性の枠部7を成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏面側へ向けて突出する略矩形環状の周壁部を周縁に有する透光性の略矩形板状樹脂パネルを射出成形した後、該樹脂パネルの裏面側に上記周壁部に内側から接するように該周壁部に沿って不透光性の枠部を略矩形環状に射出成形して樹脂製窓を得る2色射出成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、透光性の略矩形板状樹脂パネルと、該樹脂パネルの裏面側に該樹脂パネルの周縁に沿うように略矩形環状に形成された不透光性の枠部とを備えた樹脂製窓を成形する2色射出成形方法が開示されている。この成形方法では、枠部に対応する凹所が形成された固定型と、平坦な成形面を有する第1可動型とで第1キャビティを形成し、この第1キャビティ内に不透光性樹脂を射出充填して枠部を成形する。その後、上記樹脂パネルに対応する凹所が形成された第2可動型と上記固定型及び該固定型に保持された枠部とで第2キャビティを形成し、該第2キャビティ内に透光性樹脂を射出充填して樹脂パネルを成形する。この第2キャビティ内への樹脂の射出は、上記樹脂パネルの端面に対応する上記第2可動型の成形面に形成されたゲートから行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−6533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1では、樹脂パネルの端面にゲート跡が形成されて外部に露出するため、見栄えが悪い。
【0005】
そこで、樹脂パネルを枠部よりも先に射出成形するようにして樹脂パネル成形用の透光性樹脂を射出するためのゲートを枠部に対応する箇所に設けると、枠部によりゲート跡が隠蔽されて見栄えが向上する。しかし、この方法では、樹脂パネルの周縁に裏面側へ向けて突出する周壁部を形成する場合、樹脂パネルの収縮により樹脂パネルの周壁部と当該周壁部の外面に対応する成形型の成形面との間に隙間が生じ、枠部に対応する不透光性樹脂の射出圧により周壁部が隙間側に傾いて樹脂パネル周縁の形状に歪みを生じさせるおそれがある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、周縁形状が平滑な樹脂製窓を見栄え良く成形することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、樹脂パネルの収縮により樹脂パネルと成形型との間に形成される隙間に突条部を挿入して枠部を成形するようにしたことを特徴とする。
【0008】
具体的には、本発明は、裏面側へ向けて突出する略矩形環状の周壁部を周縁に有する透光性の略矩形板状樹脂パネルを射出成形した後、該樹脂パネルの裏面側に上記周壁部に内側から接するように該周壁部に沿って不透光性の枠部を略矩形環状に射出成形して樹脂製窓を得る2色射出成形方法を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0009】
すなわち、請求項1に記載の発明は、上記樹脂パネルの表面及び端面を成形する成形面を有し、上記樹脂パネルの端面の1辺に対応する成形面の長手方向中心位置に位置決めピンが突没可能に設けられたキャビティ型と、上記樹脂パネルの裏面及び周壁部内面を成形する成形面を有し、該成形面の上記枠部に対応する箇所にゲートが形成された第1コア型とを用意し、上記キャビティ型と第1コア型とを型締めして両者間に第1キャビティを形成するとともに上記位置決めピンを成形面から上記第1キャビティ内に突出させ、この状態で第1キャビティ内に透光性樹脂を上記第1コア型のゲートから射出充填して略矩形板状の樹脂パネルを成形する一次射出成形工程と、上記キャビティ型と第1コア型とを型開きし、上記位置決めピンを上記樹脂パネルにその端面から挿入して樹脂パネルを下方から支持して上記キャビティ型に保持した状態で収縮させ、上記樹脂パネルの端面の位置決めピンによる支持側の辺を除く3辺とキャビティ型の成形面との間に隙間を生じさせる樹脂パネル収縮工程と、上記枠部より内側の樹脂パネル裏面に当接する当接面と、枠部の裏面側を成形する成形面とを有し、上記隙間に対応する突条部が形成された第2コア型を用意し、上記キャビティ型と第2コア型とを型締めして上記当接面を上記キャビティ型に保持された樹脂パネル裏面に当接させるとともに上記突条部を上記隙間に挿入して、樹脂パネルの周壁部内側と上記第2コア型との間に第2キャビティを形成し、この状態で、第2キャビティ内に不透光性樹脂を射出充填して不透光性の枠部を成形する二次射出成形工程とを有する。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の樹脂製窓の2色射出成形方法において、上記一次射出成形工程では、上記樹脂パネルを圧縮成形することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の樹脂製窓の2色射出成形方法において、上記位置決めピンに対向するキャビティ型の成形面の長手方向中心位置には、補助位置決めピンが突没可能に設けられ、上記一次射出成形工程では、上記透光性樹脂の射出充填を、さらに上記補助位置決めピンを成形面から突出させた状態で行うことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂製窓の2色射出成形方法において、上記位置決めピンは、上記周壁部に対応する位置にその突出長さが上記周壁部の厚み以上となるように設けられ、上記二次射出成形工程では、上記位置決めピンを上記樹脂パネルから後退させた状態で、上記不透光性樹脂の射出充填時に、上記位置決めピンの後退により上記周壁部に形成された貫通孔に樹脂を行き渡らせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、第1コア型のゲートが枠部に対応する箇所に形成され、樹脂パネルのゲート跡が枠部により隠蔽されるので、見栄えが向上する。
【0014】
また、第2コア型の突条部が周壁部とキャビティ型の成形面との間の隙間に挿入されるので、第2キャビティ内への樹脂の射出圧力による周壁部の外側への傾きを防止し、樹脂パネル周縁の形状を平滑にすることができる。
【0015】
また、樹脂パネルをその端面の一辺の長手方向中心位置で位置決めピンにより位置決めし、かつ上記端面の一辺を金型に接した状態で収縮させるので、残りの3辺とキャビティ型の成形面との間に所定の幅で隙間が形成される。したがって、あらかじめ第2コア型の突条部の幅を上記隙間の幅と等しく設定することにより、第2キャビティ内への樹脂の射出による周壁部の外側への傾きを確実に防止し、樹脂パネル周縁の形状を確実に平滑にすることができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、樹脂パネルを圧縮成形するので、パネル面における歪みの発生を防止できる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、樹脂パネルが位置決めピンと補助位置決めピンとにより上下から支持されるので、キャビティ型と第1コア型とを型開きしてからキャビティ型と第2コア型とを型締めするまでの過程で樹脂パネルがキャビティ型から落下することを防止できる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、位置決めピンに対応する貫通孔が樹脂によって塞がれてその開口が露出しないので、見栄えが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る成形方法により射出成形された樹脂製窓の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る成形方法において、第1キャビティ内に透光性樹脂を射出する工程を示す成形工程図である。
【図3】本発明の実施形態に係る成形方法において、樹脂パネルを圧縮成形する工程を示す成形工程図である。
【図4】本発明の実施形態に係る成形方法において、キャビティ型と第1コア型とを型開きする工程を示す成形工程図である。
【図5】図4に対応するキャビティ型の正面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る成形方法において、樹脂パネルをキャビティ型に保持した状態でキャビティ型を回転させる工程を示す成形工程図である。
【図7】図6に対応するキャビティ型の正面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る成形方法において、キャビティ型と第2コア型とを型締めする工程と第1キャビティ内に透光性樹脂を射出する工程とを同時進行させた状態を示す成形工程図である。
【図9】本発明の実施形態に係る成形方法において、第2キャビティ内に不透光性樹脂を射出する工程と樹脂パネルを圧縮成形する工程とを同時進行させた状態を示す成形工程図である。
【図10】本発明の実施形態に係る成形方法において、キャビティ型と第2コア型とを型開きする工程とキャビティ型と第1コア型とを型開きする工程とを同時進行させた状態を示す成形工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は、車両の天井に形成された窓用開口部に該開口部を閉塞するように取り付けられる樹脂製窓1を示す。この樹脂製窓1を得るには、まず、裏面側へ向けて突出する略矩形環状の周壁部3を周縁に有する透光性の略矩形板状樹脂パネル5を射出成形する。その後、樹脂パネル5の裏面側に上記周壁部3に内側から接するように該周壁部3に沿って不透光性の枠部7を略矩形環状に射出成形する。
【0022】
図2〜10は、本発明の実施形態に係る樹脂製窓1の2色射出成形方法を示す。この樹脂製窓1の成形には、キャビティ型(固定型)9、第1コア型(可動型)11、及び第2コア型(可動型)13を用いる。具体的な成形方法を説明する前に、これらの型構造について説明する。
【0023】
上記キャビティ型9は、両側面に鉛直方向に延びる同形状の成形面16を有している。また、キャビティ型9は、鉛直方向に延びるキャビティ回転軸15により上下方向から支持されて図示しない駆動装置による駆動で回転する。また、図5及び図7に示すように、キャビティ型9の両側方には、キャビティ型9の縦面に当接してキャビティ回転軸15周りの回動を規制する回転規制ピン14が、図示しない駆動手段による駆動で進退可能に設けられている。
【0024】
上記キャビティ型9の各成形面16は、上記樹脂パネル5の表面及び端面を成形するものである。また、キャビティ型9の下方の水平方向中央には、流体圧シリンダ18が各成形面16に対応して1基ずつ配設されている。各流体圧シリンダ18の内側(成形面)側には、位置決めピン17が、キャビティ型9の上記樹脂パネル5の端面の1辺(図5及び図7の下側の一辺)に対応する成形面16aの長手方向中心位置で突没可能に配設されている。
【0025】
また、キャビティ型9の上方の水平方向中央には、流体圧シリンダ20が各成形面16に対応して1基ずつ配設されている。各流体圧シリンダ20の内側(成形面)側には、補助位置決めピン19が、上記位置決めピン17に対向するキャビティ型9の成形面16bにおける上記周壁部3に対応する長手方向中心位置で突没可能に配設されている。なお、これら位置決めピン17及び補助位置決めピン19の突出長さは上記周壁部3の厚み以上に設定されている。
【0026】
上記第1コア型11は、上記樹脂パネル5の裏面及び周壁部3内面を成形する成形面21を有する。第1コア型11の成形面の上記枠部7に対応する箇所には、ゲート23が形成されている。該ゲート23はランナー29の一端に形成され、該ランナー29の他端はスプルー31の一端に連通し、該スプルー31の他端は射出機(図示せず)のノズル33に連通している。
【0027】
上記第2コア型13は、上記枠部7より内側の樹脂パネル5裏面に当接する当接面26と、枠部7の裏面側を成形する成形面25を有している。該成形面25には、上記樹脂パネル5とキャビティ型9の成形面16との隙間S(後述)に対応する突条部27が突設されている。また、成形面25にはゲート35が形成され、該ゲート35はランナー37の一端に形成され、該ランナー37の他端はスプルー39の一端に連通し、該スプルー39の他端は射出機(図示せず)のノズル41に連通している。
【0028】
次に、本実施形態に係る2色射出成形方法について説明する。ここでは、図2に示すように、キャビティ型9と第1コア型11とを型締めして第1キャビティ43を形成するとともにキャビティ型9と第2コア型13とを型締めした状態で成形工程を開始するものとする。図2の状態では、第1コア型11側の位置決めピン17及び補助位置決めピン19は、流体圧シリンダ18,20の伸張作動によって共に成形面16から突出して第1キャビティ43内に進出しているが、第2コア型13側の位置決めピン17及び補助位置決めピン19は、成形面16から突出していない。また、キャビティ型9は、回転規制ピン14により両側方から押圧されて回転を規制されている。この状態で、まず、透光性樹脂45を射出機のノズル33から射出することにより、透光性樹脂45をスプルー31及びランナー29を経てゲート23から第1キャビティ43内に射出充填する。なお、上記透光性樹脂45として、PC(ポリカーボネート)、PMMA(アクリル)等を用いることができる。
【0029】
次に、図3に示すように、第1コア型11をキャビティ型9に対してさらに接近させる。これにより、図4及び図5に示すように、略矩形環状の周壁部3を外周縁に有する略矩形板状の樹脂パネル5が圧縮成形される。このように樹脂パネル5を圧縮成形することにより、パネル面における歪みの発生を防止できる。
【0030】
そして、図4に示すように、上記第1コア型11を後退させて上記キャビティ型9と第1コア型11とを型開きすると同時に、第2コア型13を後退させて次の工程に備える。この状態では、図5にも示すように、上記樹脂パネル5の端面とキャビティ型9の成形面16とは当接している。そして、上記位置決めピン17及び補助位置決めピン19を上記樹脂パネル5にその端面から挿入して樹脂パネル5を上下から支持してキャビティ型9に保持した状態で収縮させる。樹脂パネル5は、図7における左右方向には、位置決めピン17を基準に収縮し、上下方向には、重力により位置決めピン17が設けられた下方の成形面16aを基準に収縮する。
【0031】
樹脂パネル5が収縮すると、回転規制ピン14を後退させ、その後、図6に示すように、キャビティ型9をキャビティ回転軸15周りに図示しない駆動装置により180度回転させ、回転規制ピン14を進出させてキャビティ型9の回転を規制する。このとき、樹脂パネル5が位置決めピン17と補助位置決めピン19とにより上下から支持されているので、キャビティ型9からの落下が防止される。この状態で、図6及び図7に示すように、樹脂パネル5の収縮により、樹脂パネル5の端面の位置決めピン17による支持側の辺を除く3辺とキャビティ型9の成形面16との間に隙間Sが生じている。
【0032】
次に、図8に示すように、第2コア型13側で、位置決めピン17と補助位置決めピン19とを流体圧シリンダ18,20の収縮作動によって後退させる。これにより、位置決めピン17に対応する貫通孔51と補助位置決めピン19に対応する貫通孔53とが上記周壁部3に形成される。その後、第2コア型13を進出させて上記キャビティ型9と第2コア型13とを型締めして第2コア型13の当接面26をキャビティ型9に保持された樹脂パネル5裏面に当接させるとともに突条部27を上記隙間Sに挿入する。これにより、樹脂パネル5の周壁部3内側と第2コア型13との間に第2キャビティ47が形成される。また、この過程で、第1コア型11を進出させてキャビティ型9と第1コア型11とを型締めして第1キャビティ43を形成し、第1コア型11側の位置決めピン17と補助位置決めピン19とを流体圧シリンダ18,20の伸張作動によって第1キャビティ43内に進出させる。そしてこの状態で、図2に基づいて説明した要領で、透光性樹脂45をゲート23から第1キャビティ43内に射出充填する。
【0033】
次に、図9に示すように、不透光性樹脂49を射出機のノズル41から射出することにより、不透光性樹脂49をスプルー39及びランナー37を経てゲート35から第2キャビティ47内に射出充填して上記貫通孔51,53に不透光性樹脂49を行き渡らせる。このとき、第2コア型13の突条部27が隙間Sに挿入されているので、第2キャビティ47内への不透光性樹脂49の射出圧力による周壁部3の外側への傾きが防止され、樹脂パネル5周縁の形状が平滑になる。なお、上記不透光性樹脂49として、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PC/ABSアロイ(ポリカーボネート/アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)等を用いることができる。また、この過程で、図3に基づいて説明した要領で、第1コア型11側では、透光性樹脂45を第1キャビティ43内に充填して第1コア型11をキャビティ型9に対してさらに接近させる。
【0034】
そして、第2コア型13側で不透光性樹脂49が完全に固まり、樹脂パネル5の裏面側に周壁部3に沿って不透光性の枠部7が一体に形成された樹脂製窓1が成形される。その後、図10に示すように、上記第2コア型13を後退させて上記キャビティ型9と第2コア型13とを型開きし、樹脂製窓1を取り出す。一方、第1コア型11側では、図4に基づいて説明した要領で、第1コア型11を後退させてキャビティ型9と第1コア型11とを型開きする。
【0035】
上述した工程を繰り返すことで、キャビティ型9の両側面で樹脂製窓1の成形を連続して行える。
【0036】
したがって、本実施形態によれば、第1コア型11のゲート23が枠部7に対応する箇所に形成され、樹脂パネル5のゲート跡が枠部7により隠蔽されるので、見栄えが向上する。
【0037】
また、樹脂パネル5をその端面の一辺の長手方向中心位置で位置決めピン17により位置決めし、かつ上記端面の一辺を金型に接した状態で収縮させるので、残りの3辺とキャビティ型9の成形面16との間に所定の幅で隙間Sが形成される。したがって、あらかじめ第2コア型13の突条部27の幅を上記隙間Sの幅と等しく設定することにより、第2キャビティ47内への不透光性樹脂49の射出による周壁部3の外側への傾きを確実に防止し、樹脂パネル5周縁の形状を確実に平滑にすることができる。
【0038】
また、位置決めピン17及び補助位置決めピン19に対応する貫通孔51,53が不透光性樹脂49によって塞がれてその開口が露出しないので、見栄えが向上する。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、例えば、裏面側へ向けて突出する略矩形環状の周壁部を周縁に有する透光性の略矩形板状樹脂パネルを射出成形した後、該樹脂パネルの裏面側に上記周壁部に内側から接するように該周壁部に沿って不透光性の枠部を略矩形環状に射出成形して樹脂製窓を得る2色射出成形方法として有用である。
【符号の説明】
【0040】
1 樹脂製窓
3 周壁部
5 樹脂パネル
7 枠部
9 キャビティ型
11 第1コア型
13 第2コア型
16,16a,16b 成形面
17 位置決めピン
19 補助位置決めピン
21 成形面
23 ゲート
25 成形面
26 当接面
27 突条部
43 第1キャビティ
45 透光性樹脂
47 第2キャビティ
49 不透光性樹脂
51 貫通孔
S 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面側へ向けて突出する略矩形環状の周壁部を周縁に有する透光性の略矩形板状樹脂パネルを射出成形した後、該樹脂パネルの裏面側に上記周壁部に内側から接するように該周壁部に沿って不透光性の枠部を略矩形環状に射出成形して樹脂製窓を得る2色射出成形方法であって、
上記樹脂パネルの表面及び端面を成形する成形面を有し、上記樹脂パネルの端面の1辺に対応する成形面の長手方向中心位置に位置決めピンが突没可能に設けられたキャビティ型と、上記樹脂パネルの裏面及び周壁部内面を成形する成形面を有し、該成形面の上記枠部に対応する箇所にゲートが形成された第1コア型とを用意し、上記キャビティ型と第1コア型とを型締めして両者間に第1キャビティを形成するとともに上記位置決めピンを成形面から上記第1キャビティ内に突出させ、この状態で第1キャビティ内に透光性樹脂を上記第1コア型のゲートから射出充填して略矩形板状の樹脂パネルを成形する一次射出成形工程と、
上記キャビティ型と第1コア型とを型開きし、上記位置決めピンを上記樹脂パネルにその端面から挿入して樹脂パネルを下方から支持して上記キャビティ型に保持した状態で収縮させ、上記樹脂パネルの端面の位置決めピンによる支持側の辺を除く3辺とキャビティ型の成形面との間に隙間を生じさせる樹脂パネル収縮工程と、
上記枠部より内側の樹脂パネル裏面に当接する当接面と、枠部の裏面側を成形する成形面とを有し、上記隙間に対応する突条部が形成された第2コア型を用意し、上記キャビティ型と第2コア型とを型締めして上記当接面を上記キャビティ型に保持された樹脂パネル裏面に当接させるとともに上記突条部を上記隙間に挿入して、樹脂パネルの周壁部内側と上記第2コア型との間に第2キャビティを形成し、この状態で、第2キャビティ内に不透光性樹脂を射出充填して不透光性の枠部を成形する二次射出成形工程とを有する樹脂製窓の2色射出成形方法。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂製窓の2色射出成形方法において、
上記一次射出成形工程では、上記樹脂パネルを圧縮成形することを特徴とする樹脂製窓の2色射出成形方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の樹脂製窓の2色射出成形方法において、
上記位置決めピンに対向するキャビティ型の成形面の長手方向中心位置には、補助位置決めピンが突没可能に設けられ、
上記一次射出成形工程では、上記透光性樹脂の射出充填を、さらに上記補助位置決めピンを成形面から突出させた状態で行うことを特徴とする樹脂製窓の2色射出成形方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂製窓の2色射出成形方法において、
上記位置決めピンは、上記周壁部に対応する位置にその突出長さが上記周壁部の厚み以上となるように設けられ、
上記二次射出成形工程では、上記位置決めピンを上記樹脂パネルから後退させた状態で、上記不透光性樹脂の射出充填時に、上記位置決めピンの後退により上記周壁部に形成された貫通孔に樹脂を行き渡らせることを特徴とする樹脂製窓の2色射出成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−51109(P2011−51109A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199434(P2009−199434)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(390026538)ダイキョーニシカワ株式会社 (492)
【Fターム(参考)】