説明

機器課金システム

【課題】プリペイドカードの盗用を防止でき、プリペイドカードの購入が簡単であり、見舞いに来た者でも購入可能であり、しかも、患者本人が知らないうちにプリペイドカードが清算されてしまう状態を回避する。
【解決手段】機器29、24に対する課金をプリペイドカード3によって管理する機器課金システム1である。制御装置34は、リーダ39でICカード3の患者符号領域18から読取った患者符号と、メモリ37に記憶された患者符号42とが一致するときに、機器29、24を使用可能とし、機器29、24に対する課金処理を行う。さらに、リストバンドリーダ32で読取った患者符号11とメモリ37に記憶された患者符号42とが一致し、さらに清算ボタン33が押されたときに、ライタ39によってプリペイドカード3の清算フラグ16をオン状態に立てる。清算フラグ16がオン状態でICカード3の清算が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば病院の病室等に設置されるテレビ受像機、冷蔵庫等といった機器に関する課金を管理するための機器課金システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、病院の病室等のように一人又は複数人の利用者が宿泊する施設では、そこに設置されたテレビ受像機、冷蔵庫等の機器を利用者が使用料金を負担して使用するという機器利用形態が活用されている。本明細書では、利用者が機器の使用に際して使用料金を課されることを「課金」と呼び、機器を使用する者への課金を処理するためのシステムを機器課金システムと呼ぶことにする。
この機器課金システムが病院の病室に設置される場合を一例として説明すると、磁気カード、ICカード等といったプリペイドカードを患者が予め購入し、このプリペイドカードによって課金を処理することにしたものが、従来から知られている。例えば、特許文献1によれば、プリペイドカードを発券機で購入する際に患者の診察券に基づいてプリペイドカードに診察券番号が記憶される。また、プリペイドカードには使用フラグ領域が設けられている。
この従来の機器課金システムにおいては、プリペイドカードが課金装置に挿入されたときにプリペイドカードに記憶された診察券番号が課金装置内のメモリに記憶される。そして、プリペイドカードの使用フラグ領域が使用状態に設定されていると共に、プリペイドカードの診察券番号と課金装置内のメモリに記憶された番号とが一致するときに、テレビの視聴を可能とし、さらに課金処理を行う。
そして、プリペイドカードの清算を行う際には、清算者が診察券を持参し、プリペイドカードに記憶された診察券番号と持参された診察券の番号とを比較して、それらが一致したときに清算が行われる。
次に、特許文献2に他の従来の機器課金システムが開示されている。この機器課金システムにおいては、ICカードに入金を行うための入金機及びICカードの残度数を精算するための清算機のそれぞれに入力装置であるテンキーを設け、ICカードの購入時に当該ICカードに暗証番号を記憶させ、追加入金時及び精算時に暗証番号を検査することになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−034816公報
【特許文献2】特開2006−178548公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された従来の機器課金システムにおいては、診察券がないとプリペイドカードに識別番号を付与できなかった。また、診察券がないとプリペイドカードの精算が出来なかった。多くの場合、診察券は病院のナースステーションその他の特定の場所に保管される。従って、プリペイドカードの購入時や精算時に操作者が診察券を持っていないということがしばしば起きていた。このように、特許文献1に開示された従来の機器課金システムにおいては、購入時及び精算時にプリペイドカード以外に診察券が必要となるため、操作者にとって操作が煩雑であるという問題があった。また、診察券を入手できない者、例えば見舞いに来院した者はプリペイドカードを購入できないという問題があった。
また、この従来の機器課金システムにおいては、診察券を読取る装置及び診察券番号をプリペイドカードへ印字する装置を発券機に設けなければならず、診察券を読取る装置を清算機に設けなければならず、さらに、課金装置において診察券番号を書き込んだり消したりしなければならなかった。このように、特許文献1に示された従来の機器課金システムにおいては、構成機器の構成が複雑であり、しかも高価であるという問題があった。
また、上記特許文献2に示された従来の機器課金システムにおいては、プリペイドカードに対する入金時及び清算時に操作者が暗証番号を記憶していなければならず、しかも、テンキーを用いた入力操作を行わなければならないので、操作者にとって操作が煩雑であり、場合によっては操作者が暗証番号を忘れてしまい入金及び清算ができなくなるという問題があった。また、暗証番号を知り得ない者、例えば見舞いに来院した者はプリペイドカードを購入できないという問題があった。
【0005】
本発明は、従来装置における上記の問題点を解消するために成されたものであって、プリペイドカードを他人に他の機器で使用されてしまうという盗用を防止でき、プリペイドカードの購入時には診察券等といった特別な識別条件が不要であって購入が簡単であり見舞いに来た者でも購入可能であり、しかも、患者本人が知らないうちにプリペイドカードが清算されてしまう状態を確実に回避しつつ、患者本人以外の者でも簡単に清算可能である機器課金システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、機器の使用に対する課金をプリペイドカードによって管理する機器課金システムにおいて、前記プリペイドカードには、前記機器に対応した符号である機器符号を記憶する機器符号領域、前記機器の使用可能量を示す残度数を記憶する残度数領域、及びオン状態及びオフ状態を選択的にとり得る清算フラグが設けられており、更に、前記機器符号を記憶した記憶手段と、前記機器の利用者を管理するための符号である利用者管理符号及び使用可能な機器を示す機器指示符号を記憶しており該利用者が携帯する携帯記憶手段と、前記携帯記憶手段に記憶された前記機器指示符号を読取るリーダと、前記プリペイドカードの前記利用者符号領域、前記残度数領域、及び前記清算フラグに記憶されたデータを読込むカードリーダと、前記プリペイドカードの前記利用者符号領域、前記残度数領域、及び前記清算フラグにデータを書込むカードライタと、前記利用者によって操作されて前記プリペイドカードに記録された前記精算フラグをオン状態とする清算処理信号を出力する清算指示手段と、前記メモリに記憶された前記機器符号、前記リーダの出力信号、前記カードリーダの出力信号に基づいて、前記機器及び前記カードライタの動作を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記カードリーダにより前記機器符号領域から読取ったデータと前記メモリに記憶された前記機器符号とが一致するときに、前記機器を使用可能とすると共に、前記機器に対する課金処理を行い、さらに、前記リーダで読取った前記機器指示符号と前記記憶手段に記憶された前記機器符号とが一致し、前記清算指示手段から清算処理信号を受け取ったときに、前記カードライタによって前記プリペイドカードの前記清算フラグをオン状態とすることを特徴とする。
【0007】
本発明の機器課金システムによれば、プリペイドカードの機器符号領域内に記憶された機器符号と機器側のメモリ内に記憶された機器符号とが一致することを条件として、機器の使用を許可することにしたので、プリペイドカードを他人に他の機器で使用されてしまうという盗用を防止できる。また、他人が他人のプリペイドカードによって患者の機器を使用することを禁止できる。
例えば、病院等に設置された従来の機器課金システムにおいて、セキュリティを確保するために、プリペイドカードの購入時に診察券に記憶されている診察券番号との照合を条件とするものがあった。しかしながら、診察券は一般的には入院時にナースステーションにおいて管理されるものであるので、プリペイドカードの購入に際して診察券の照合が条件にされる場合には、購入のための手続きが非常に煩雑になって実用的でないという問題があった。また、患者を見舞いに来た者が見舞いのためにプリペイドカードを購入するということもできなかった。これに対し、本発明の機器課金システムにおいては、プリペイドカードの購入時には、診察券の照合その他の条件は何等課されないので、プリペイドカードの購入が非常に簡単になり、患者以外の第三者の購入も可能になった。
さらに、従来の機器課金システムにおいて、プリペイドカードの清算時に診察券番号との照合を条件に課したものがあった。この場合も、診察券が無いと清算ができないという、煩雑な手続きが必要であった。場合によっては、患者自身が清算機又は精算機の所まで行かないと、清算ができなかった。これに対し、本発明では、機器が置かれた所で患者が清算指示手段を操作して使用済みのプリペイドカードに清算フラグを立てれば、そのプリペイドカードに関して誰でも精算機の所で清算を行うことができる。これにより、清算の作業が非常に楽になり、さらに、患者自身がわざわざ精算機の所まで行かなくても、患者の意を受けた者によって清算を行うことができるようになった。このため清算処理が非常に便利で実用的になった。
【0008】
請求項2は、機器の使用に対する課金をプリペイドカードによって管理する機器課金システムにおいて、前記プリペイドカードには、前記機器の利用者を管理するための符号である利用者符号を記憶する利用者符号領域、前記機器の使用可能量を示す残度数を記憶する残度数領域、及びオン状態及びオフ状態を選択的にとり得る清算フラグが設けられており、更に、前記プリペイドカードの前記利用者符号領域、前記残度数領域、及び前記清算フラグに記憶されたデータを読込むカードリーダと、前記プリペイドカードの前記利用者符号領域、前記残度数領域、及び前記清算フラグにデータを書込むカードライタと、前記利用者符号を記憶しており該利用者が携帯する携帯記憶手段と、前記携帯記憶手段に記憶された前記利用者符号を読取るリーダと、前記利用者符号を記憶した記憶手段と、前記利用者によって操作されて前記プリペイドカードに記録された前記精算フラグをオン状態とする清算処理信号を出力する清算指示手段と、前記記憶手段の利用者符号領域内の記憶内容、前記リーダの出力信号、前記カードリーダの出力信号に基づいて、前記機器及び前記カードライタの動作を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記リーダにより前記携帯記憶手段から読取った前記利用者符号を前記記憶手段の利用者符号領域内に記憶し、前記利用者符号を前記カードライタによって前記プリペイドカードの利用者符号領域内に記憶し、前記カードリーダで前記プリペイドカードの利用者符号領域から読取った利用者符号と前記記憶手段の利用者符号領域内に記憶された利用者符号とが一致するときに前記機器を使用可能とすると共に前記機器に対する課金処理を行い、さらに、前記リーダで読取った前記利用者符号と前記記憶手段の利用者符号領域内に記憶された前記利用者符号とが一致し、さらに前記清算指示手段から清算処理信号を受け取ったときに、前記カードライタによって前記プリペイドカードの清算フラグをオン状態とすることを特徴とする。
本発明の機器課金システムによれば、プリペイドカードの利用者符号領域内に記憶された利用者符号と機器側の記憶媒体内に記憶された利用者符号とが一致することを条件として、機器の使用を許可することにしたので、プリペイドカードを他人に他の機器で使用されてしまうという盗用を防止できる。また、他人が他人のプリペイドカードによって利用者の機器を使用することを禁止できる。
【0009】
請求項3は、開閉可能な金庫と、該金庫の閉状態を保持できるロック装置と、をさらに有しており、前記制御手段は、前記リーダで前記携帯記憶手段から読取った前記機器符号と前記記憶手段の機器符号領域内に記憶された機器符号とが一致するときに前記ロック装置を開状態にすることを特徴とする。
この構成により、課金システムのために使用するリストバンド情報を用いて金庫管理を行うことが可能となり、利用者及び施設側の双方にとって安全な貴重品管理を提供できる。
請求項4は、開閉可能な金庫と、該金庫の閉状態を保持できるロック装置と、をさらに有しており、前記制御手段は、前記リーダで前記携帯記憶手段から読取った前記利用者符号と前記記憶手段の利用者符号領域内に記憶された利用者符号とが一致するときに前記ロック装置を開状態にすることを特徴とする。
この構成により、課金システムのために使用する携帯記憶手段の情報を用いて金庫管理を行うことが可能となり、利用者及び施設側の双方にとって安全な貴重品管理を提供できる。
【0010】
請求項5は、前記記憶手段内に記憶されているデータを初期状態に戻すためのクリア符号を記録したクリア用タグを備え、前記制御手段は、前記クリア符号を受け取ったときに前記利用者符号領域をデータが記憶されていないクリア状態にすることを特徴とする。
本発明に係る機器課金システムにおいて、制御手段は、クリア符号を受け取ったときに記憶媒体内の利用者符号領域をデータが記憶されていないクリア状態にすることができる。これにより、別の利用者に対する課金処理を行うことが可能となる。クリア符号は、リーダ、カードリーダ、その他任意の入力機器を用いて構成できる。
請求項6は、前記カードリーダの読取位置及び前記カードライタの書込位置は共通であることを特徴とする。
本発明に係る機器課金システムにおいて、プリペイドカードの内容を読取る際に該カードを置く位置は、プリペイドカードに情報を書込む際に該カードを置く位置と共通であることが望ましい。つまり、プリペイドカードの読取位置と書込位置とは共通であることが望ましい。これにより、プリペイドカードに対する作業の手間を小さく抑えることができ、装置の外観形状を小さくすることができる。
請求項7は、前記携帯記憶手段に記憶されている前記利用者管理符号、及び前記機器指示符号は、バーコード、及び/又は、RFIDタグにより構成されていることを特徴とする。
携帯記憶手段に記憶する符号は、比較的情報量が少ない場合はバーコードで十分である。しかし、その他の情報を記憶する場合は、バーコードでは不足になる場合がある。そのような時は、RFIDタグに情報を記憶することにより、より多くの情報を記憶することを特徴とするができる。従って、情報量と情報内容によりバーコードとRFIDタグを使い分けることが好ましい。
【0011】
請求項8は、病室内にある機器の使用に対する課金をプリペイドカードによって管理する機器課金システムにおいて、前記プリペイドカードには、前記機器に対応した符号である機器符号を記憶する機器符号領域と、前記機器の使用可能量を示す残度数を記憶する残度数領域と、オン状態及びオフ状態を選択的にとり得る清算フラグとが設けられており、さらに、前記機器符号を記憶したメモリと、患者を管理するための符号である患者管理符号及び使用可能な機器を示す機器指示符号を記憶しており患者の腕に装着されるリストバンドと、前記リストバンドに記憶された前記機器指示符号を読取るリストバンドリーダと、前記プリペイドカードの前記機器符号領域、前記残度数領域及び前記清算フラグに記憶されたデータを読込むプリペイドカードリーダと、前記プリペイドカードの前記機器符号領域、前記残度数領域及び前記清算フラグにデータを書込むプリペイドカードライタと、を有し、前記プリペイドカードリーダ及び前記プリペイドカードライタにおける前記プリペイドカードの読取位置は共通であり、さらに、操作者によって操作されて清算処理信号を出力する清算指示手段と、前記メモリに記憶された前記機器符号、前記リストバンドリーダの出力信号、前記プリペイドカードリーダの出力信号に基づいて、前記機器及び前記プリペイドカードライタの動作を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記プリペイドカードリーダで前記機器符号領域から読取ったデータと、前記メモリに記憶された前記機器符号とが一致するときに、前記機器を使用可能とし、前記機器に対する課金処理を行い、さらに、前記リストバンドリーダで読取った前記機器指示符号と前記メモリに記憶された前記機器符号とが一致し、前記清算指示手段から清算処理信号を受け取ったときに、前記プリペイドカードライタによって前記プリペイドカードの前記清算フラグをオン状態とすることを特徴とする。
【0012】
請求項9は、病室内にある機器の使用に対する課金をプリペイドカードによって管理する機器課金システムにおいて、前記プリペイドカードには、患者を管理するための符号である患者符号を記憶する患者符号領域と、前記機器の使用可能量を示す残度数を記憶する残度数領域と、オン状態及びオフ状態を選択的にとり得る清算フラグとが設けられており、さらに、前記プリペイドカードの前記患者符号領域、前記残度数領域及び前記清算フラグに記憶されたデータを読込むプリペイドカードリーダと、前記プリペイドカードの前記患者符号領域、前記残度数領域及び前記清算フラグにデータを書込むプリペイドカードライタと、前記患者符号を記憶しており患者の腕に装着されるリストバンドと、前記リストバンドに記憶された前記患者符号を読取るリストバンドリーダと、前記患者符号を記憶するための患者符号領域を備えた記憶媒体と、操作者によって操作されて清算処理信号を出力する清算指示手段と、前記記憶媒体の患者符号領域内の記憶内容、前記リストバンドリーダの出力信号、前記プリペイドカードリーダの出力信号に基づいて、前記機器及び前記プリペイドカードライタの動作を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記リストバンドリーダで前記リストバンドから読取った前記患者符号を前記記憶媒体の患者符号領域内に記憶し、前記患者符号を前記プリペイドカードライタによって前記プリペイドカードの患者符号領域内に記憶し、前記プリペイドカードリーダで前記プリペイドカードの患者符号領域から読取った患者符号と前記記憶媒体の患者符号領域内に記憶された患者符号とが一致するときに前記機器を使用可能とすると共に前記機器に対する課金処理を行い、さらに、前記リストバンドリーダで読取った前記患者符号と前記記憶媒体の患者符号領域内に記憶された前記患者符号とが一致し、さらに前記清算指示手段から清算処理信号を受け取ったときに、前記プリペイドカードライタによって前記プリペイドカードの清算フラグをオン状態とすることを特徴とする。
【0013】
請求項10は、前記リストバンドは、前記患者管理符号がバーコードとして印字されており腕に装着されるバンド部分と、前記機器指示符号が記憶されており前記バンド部分に着脱可能に取り付けられたICタグとを有し、前記ICタグは、前記機器指示符号を記憶したメモリと、該メモリに記憶されたデータを処理するプロセッサとを有することを特徴とする。
請求項11は、前記機器は、病室内に設けられた床頭台に設けられたテレビ受像機及び/又は冷蔵庫であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の機器課金システムによれば、プリペイドカードの機器符号領域内に記憶された機器符号と機器側のメモリ内に記憶された機器符号とが一致することを条件として、機器の使用を許可することにしたので、プリペイドカードを他人に他の機器で使用されてしまうという盗用を防止できる。また、他人が他人のプリペイドカードによって利用者の機器を使用することを禁止できる。
例えば、病院等に設置された従来の機器課金システムにおいて、セキュリティを確保するために、プリペイドカードの購入時に診察券に記憶されている診察券番号との照合を条件とするものがあった。しかしながら、診察券は一般的には入院時にナースステーションにおいて管理されるものであるので、プリペイドカードの購入に際して診察券の照合が条件にされる場合には、プリペイドカードの購入のための手続きが非常に煩雑になって実用的でないという問題があった。また、患者を見舞いに来た者が見舞いのためにプリペイドカードを購入するということもできなかった。これに対し、本発明の機器課金システムにおいては、プリペイドカードの購入時には、診察券の照合その他の条件は何等課されないので、プリペイドカードの購入が非常に簡単になり、患者以外の第三者の購入も可能になった。
さらに、従来の機器課金システムにおいて、プリペイドカードの清算時に診察券番号との照合を条件に課したものがあった。この場合も、診察券が無いと清算ができないという、煩雑な手続きが必要であった。場合によっては、患者自身が清算機又は精算機の所まで行かないと、清算ができなかった。これに対し、本発明では、機器が置かれた所で患者が清算指示手段を操作して使用済みのプリペイドカードに清算フラグを立てれば、そのプリペイドカードに関して誰でも精算機の所で清算を行うことができる。これにより、清算の作業が非常に楽になり、さらに、患者自身がわざわざ精算機の所まで行かなくても、患者の意を受けた者によって清算を行うことができるようになった。このため清算処理が非常に便利で実用的になった。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る機器課金システムの第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る機器課金システムの第2の実施形態を示すブロック図である。
【図3】図1及び図2の機器課金システムの他の主要要素であるリストバンドを示す斜視図であり、(a)は1つの実施形態、(b)は他の1つの実施形態、(c)は他の1つの実施形態を示す図である。
【図4】図1及び図2の機器課金システムの主要要素である床頭台を示す斜視図である。
【図5】図1及び図2の機器課金システムのさらに他の主要要素であるカード販売機を示す正面図である。
【図6】図1及び図2の機器課金システムのさらに他の主要要素であるカード精算機を示す正面図である。
【図7】図1の機器課金システムの動作を示すフローチャートである。
【図8】図2の機器課金システムの動作の一部を示すフローチャートである。
【図9】図2の機器課金システムの動作の他の一部を示すフローチャートである。
【図10】病院内での処理を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る機器課金システムを実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、これ以降の説明では図面を参照するが、その図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
【0017】
図1は、本発明に係る第1の実施形態の機器課金システムをブロック図によって示している。この機器課金システム1は、病院内の複数の病室内に設置される床頭台2と、プリペイドカードとしてのIC(Integrated Circuit)カード3と、患者(利用者)が腕に装着するリストバンド(携帯記憶手段)4と、ICカードの販売機6と、ICカードの精算機7とを有している。複数の床頭台2のそれぞれには固有の識別符号である機器符号が割り当てられている。例えば、機器符号は文字及び/又は数字を含んだ一桁又は複数桁の符号によって構成されている。
なお、本明細書において、「清算」とはICカード等の使用終了時に決まりをつけるための計算のことであり、「精算」とはICカードに関して行われる種々の計算のことである。清算は精算の一種類である。
【0018】
図2は、本発明に係る第2の実施形態の機器課金システムをブロック図によって示している。同じ構成要素には図1と同じ参照番号を付して説明する。図2が図1と異なる点は、入力ユニット31に制御部40と患者符号領域を備えたメモリ53を備え、メモリ37には機器符号領域42を患者符号領域に変更した点である。即ち、図1の第1の実施形態では、床頭台2は固有の識別符号である機器符号が割り当てられているのに対して、図2の第2の実施形態では、床頭台2には固有の識別符号である機器符号は割当てられず、患者符号が割当てられている点が最も大きな相違点である。
【0019】
リストバンドリーダ(リーダ)32は、図3(c)のリストバンド4に記憶されている情報、特にバーコード11を読取るためのデータ読取り機器である。リストバンドリーダ32は周知のバーコードリーダ、例えば光学方式のバーコードリーダによって構成されている。リストバンドリーダ32には制御回路35が付設されており、その制御回路35には制御部40及びメモリ53が含まれている。制御部40はリストバンドリーダ32の出力信号に対して所定の処理を行う。メモリ53は患者符号を記憶するための患者符号領域として機能する。
リストバンドリーダ32は、リストバンド4の患者符号11以外に、クリア用タグ65上にバーコードとして設けられたクリア用符号(クリア符号)66も読み取ることができるようになっている。このクリア用符号66は床頭台2の制御系内のメモリを初期状態に戻すための信号を生成するために用いられる。クリア用タグ65は、通常は看護師によって操作される。尚、バーコードとして1次元バーコード又はQRコードの何れを使用しても構わない。
リストバンド4は、図3(a)に示すように、柔軟性のある薄い合成樹脂によって形成されたバンド部分8と、このバンド部分8に着脱可能に取付けられたICタグ9とを有している。このリストバンド4は入院当初に患者に手渡され、患者が入院している間、常時、患者の腕に嵌められるものである。バンド部分8の一部には、患者を管理する際に使用する符号である患者管理符号11がバーコード形式で記憶されている。この患者管理符号11は、通常、文字及び/又は数字を含んだ複数桁の符号である。
【0020】
ICタグ9はICチップ12を備えている。ICチップ12はマイクロプロセッサ及びメモリを含んでいる。メモリには、文字及び/又は数字を含んだ複数桁の符号13が機器指示符号として記憶されている。機器指示符号13は、病院内に設置されている複数の床頭台2のそれぞれに割り当てられた識別符号である機器符号に対応した符号である。ICタグ9は、通常、病院内のナースステーションに、異なった機器指示符号のものが床頭台2の設置数分だけ備えられているか、或いは、機器指示符号13のみ空白にしたICタグ9をリストバンド4に固定しておき、患者の病室が決定したときに機器符合と対応する機器指示符号13を書き込むようにしても良い。尚、ICタグ9は、非接触式、接触式、両方の方式が可能なもの等、任意に選択できる。従って、患者が入院中に他の病室に移動した場合は、ナースステーションで、当該患者のリストバンド4に取り付けられたICタグ9を、移動した病室の床頭台に割当てられた機器符号が記憶されたICタグ9に取り替えるか、或いは、ICタグ9の機器指示符号13を書き換える。
【0021】
また、リストバンド4は、図3(c)に示すように、柔軟性のある薄い合成樹脂によって形成されたバンド部分8と、このバンド部分8に取り付けられたバーコード印刷部9とを有している。バーコード印刷部9には患者を管理するための識別符号である患者符号11がバーコードによって印刷されている。この患者符号11は、ナースステーションのような病院内の担当部署によって印刷されても良いし、病院外の担当業者によって印刷されても良い。リストバンド4は入院当初に患者に手渡され、患者が入院している間、常時、患者の腕に嵌められるものである。患者符号11は、通常、電子データ的には2値情報の組合せによって形成されるデータであり、概念的には文字及び/又は数字を含んだ複数桁の符号である。
なお、患者符号11はバーコードによって表現されるデータに限られない。例えば、リストバンド4にICチップを取り付け、そのICチップ内に患者符号11を電子データとして記憶させることも可能である。
【0022】
入院患者に対して病室が決まると、その患者に割り当てられた患者管理符号がナースステーション又は別の場所で当該患者のためのリストバンド4に印字される。そして、その決められた病室内の床頭台に割り当てられた機器符号と同じ符号を記憶しているICタグ9が、ナースステーションにおいてそのリストバンド4に装着され、患者の腕に嵌められる。
尚、本実施形態では、携帯記憶手段としてリストバンド4を例に示したが、リストバンドに限らず、携帯可能な記憶手段であれば良い。例えば、首から紐で吊り下げるカード、指輪、腕輪、足首輪、ブローチ、又はストラップ付のRFIDタグ等でも構わない。即ち、本人を特定する情報が記憶された記憶手段で、且つ、常に容易に携帯可能な構成を有するものが好ましい。
【0023】
図1のICカード3はICチップ14を備えている。ICチップ14はマイクロプロセッサ及びメモリを含んでいる。メモリには、清算フラグ16、残度数領域17、機器符号領域18の各記憶領域が設定されている。これらの各記憶領域の詳細は後述する。
床頭台2は、図4に示すように、例えば、幅が400mm〜500mm、奥行きが500mm〜600mm、高さが1200mm〜1500mm程度の収納家具である。この床頭台2は、例えば、病室のベッドの近傍に配置される。この床頭台2は、スライド移動可能な3つの引き出し19a、19b、19cと、出し入れ可能なスライドテーブル21と、固定テーブル22と、天井板23とを有する。
下段の引き出し19aの中には機器としての冷蔵庫24が格納されている。中段の引き出し19bは開閉が自由であり、その中に任意の物を収納できる。上段の引き出し19cの中には金庫26が格納されている。また、上段引き出し19cの内部の手前部分にはロック装置27が設けられている。ロック装置27は、オン状態のときに引き出し19cをロック状態、すなわち引き出し移動不可能状態にする。一方、ロック装置27は、オフ状態のときに引き出し19cの出し入れ移動を自由とする。なお、ロック装置27は自動ロック装置であり、引き出し19cを収納すると自動的にロック状態、すなわちオン状態となる。ロック装置27のオン状態とオフ状態との切り替えは図1においてリストバンドリーダ32の出力信号に従って行われる。
【0024】
図4において、スライドテーブル21はスライド移動によって出し入れ自由なテーブルである。固定テーブル22上には回転盤28が置かれ、その回転盤28の上に機器としてのテレビ受像機29が設置されている。テレビ受像機29は表示部が液晶表示装置によって構成された、いわゆる液晶テレビである。固定テーブル22の前部には入力ユニット31が置かれている。この入力ユニット31には、リストバンドリーダ32及び清算ボタン33が設けられている。
リストバンドリーダ32は、リストバンド4に記憶されている情報、特にICタグ9のICチップ12のメモリ内に記憶された機器指示符号13(図3(a)参照)を読取るためのデータ読取り機器である。ICタグ9が非接触式の場合は、リストバンドリーダ32は電力供給用の磁界を発生させるための磁界生成部や、データをやり取りする通信部等を備えている。一方、ICタグ9が接触式であれば、リストバンドリーダ32はICチップの端子と導通をとるための接触端子を備えている。
図4のスライドテーブル21の上方であって固定テーブル22の下方の床頭台2の内部に、制御装置34が設けられている。この制御装置34は、図1及び図2に示すように、演算制御部であるCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)36と、メモリ37と、タイマ装置38と、ICカードリーダ/ライタ39とを有している。各機器はバス44によって電気的につながれている。
【0025】
メモリ37は、半導体メモリ、機械式メモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等といった各種の記憶媒体によって構成されている。機械式メモリとしては、CD(Compact Disk)、HD(ハードディスク)、DVD(Digital Versatile Disk)が考えられる。
図1のメモリ37の内部には課金プログラム41及び機器符号領域42が設けられている。課金プログラム41は、テレビ受像機29及び冷蔵庫24を使用する者に対して使用料を課する処理の手順を記憶している。機器符号領域42は、床頭台2に割り当てられた符号である機器符号を記憶した領域である。機器符号は文字及び/又は数字を含んだ一桁又は複数桁の符号であり、例えば0001、0002、…等といった数字とすることができる。
また、図2のメモリ37の内部には課金プログラム41及び患者符号領域42が設けられている。課金プログラム41は、機器としてのテレビ受像機29及び機器としての冷蔵庫24を使用する者に対して使用料を課する処理の手順を記憶している。患者符号領域42は、患者符号を記憶するための領域である。
【0026】
CPU36は、メモリ37に記憶された課金プログラム41に従って演算制御を行って課金機能を達成する。タイマ装置38は、テレビ受像機29及び冷蔵庫24への通電時間を計測してその時間に対応した信号をバス44へ出力する。また、タイマ装置38は、CPU36からの指令に基づいて、テレビ受像機29及び冷蔵庫24への通電を制御する。
ICカードリーダ/ライタ39は、ICカード3が保有するデータを読取るリーダ機能と、ICカード3へデータを書込むライタ機能を併せて有する機器である。そして、ICカードリーダ/ライタ39は図4に示すように、ICカード3のための挿入口43を有している。この挿入口43はリーダ部分とライタ部分とに共通したカードの挿入口である。データの読込み及び書込みは、例えば、データ通信によって行われる。これ以降、ICカードリーダ/ライタ39がリーダとして機能する場合は単にICカードリーダ39と呼び、ICカードリーダ/ライタ39がライタとして機能する場合は単にICカードライタ39と呼ぶことがある。
【0027】
カード販売機6は、図5に示すように、金銭投入口45と、カード種選択ボタン46と、金銭処理装置47と、金銭支払口48と、制御装置49と、カード貯留部50と、カード搬送装置51と、カード排出口52とを有している。カード貯留部50には、使用可能度数が異なった未使用ICカード、例えば¥5、000用カード50a及び¥3、000用カード50bの2種類が用意されている。カード種選択ボタン46には、異なった種類のカードから希望のものを選択するための複数のボタンが設けられる。本実施形態では、¥5、000カードを選択するためのボタン46aと、¥3、000カードを選択するためのボタン46bとの2種類が設けられている。もちろん、ICカードの種類としては、上記の2種類以外に必要に応じて任意に設定できる。
なお、ICカードの度数(すなわち、金額)の中には、保証金として¥500の度数が含まれている。この保証金はICカードの回収を促進するために設定されているものであり、後述するカード精算機にICカードを投入したときに、カードの回収に協力したという意味でカード使用者に¥500を返還するものである。
【0028】
カード購入者は、金銭投入口45に金銭を投入し、希望の種類のボタン46を操作、例えば押圧する。投入された金銭の額は金銭処理装置47によって計算され、その結果は信号として制御装置49へ伝送される。また、購入者によって選択されたカード種類が信号として制御装置49へ伝送される。金銭処理装置47は釣銭を計算し、その釣銭が金銭支払口48から払い出される。
制御装置49は購入者によって選択されたカード種を認識し、対応するICカード50a又は50bを所定枚数取り出し、搬送装置51によって搬送させて、カード排出口52から排出して購入者へ提供する。このICカード3には清算フラグ16、残度数領域17及び機器符号領域18が設けられている。当初は、清算フラグ16はオフ状態であり、残度数領域17には最大使用度数が記憶されており、機器符号領域18には未だ機器符号は記憶されていない。
【0029】
カード精算機7は、図6に示すように、カード投入口54と、カード読取装置55と、計算装置56と、制御装置57と、金銭払出装置58と、金銭払出口59と、カード搬送装置61と、カード収納装置62とを有している。カード読取装置55は、ICカード3内の清算フラグ16、残度数領域17及び機器符号領域18の各領域内に記憶されたデータを読取る。
計算装置56は、読取装置55から伝送された残度数データに基づいてカード使用者への払戻し金額を計算する。このとき、保証金¥500を加算する。計算された払戻し金額は信号として出力されて金銭払出装置58へ伝送される。読取装置55は清算フラグ16がオン状態であるかオフ状態であるかを読取る。読取ったデータは制御装置57へ伝送される。制御装置57は伝送された清算フラグ16内のデータに基づいて、金銭払出装置58及びカード搬送装置61の動作を制御する。
金銭払出装置58は、制御装置57からの指示に基づいて、計算装置56から伝送された払戻し金額の信号に従って、必要な金種の紙幣又は硬貨を自身に内蔵している収納部から取り出して金銭払出口59へ排出し、カード使用者へ払い戻す。カード搬送装置61は、制御装置57からの指示に基づいて、読取装置55による読取処理が終了したICカード3をカード収納部62へ搬送する。カード収納部62へ回収されたICカード3は必要に応じて再利用に供される。
【0030】
以下、上記構成より成る第1の実施形態に係る機器課金システムの動作について説明する。
本機器課金システムは、入院した患者が病室内に設置された図4の床頭台2に配備された機器としてのテレビ受像機29及び同じく機器としての冷蔵庫24を使用することに対する課金を管理するものである。患者は、床頭台2の引き出し19c内に配備された金庫26を利用できるが、本実施形態ではこの金庫26の使用に対しては課金を行わない。しかしながら、必要に応じて、金庫26の使用に対して課金を行うことにしても良い。
【0031】
図10において、患者は入院に際して医事課へ出向く(工程P1)。医事課は、入院患者に関する情報を書込むための用紙を作成し、さらに当該患者のための診察券を作成する。患者が既に診察券を保有している場合には、その診察券を流用する。
次に、患者は、看護師に連れられて又は自分だけで、自分が入る病室を担当するナースステーションへ出向く(工程P2)。このナースステーションにおいて、看護師が図3(a)のリストバンド4を患者のために作成して患者の腕に装着する。
リストバンド4は患者を識別するための患者管理符号11をバーコード形式で記憶している。このバーコード11は看護師がナースステーションにおいてバンド部分8に印刷等によって形成しても良いし、あるいは、異なったバーコード11が形成されている複数のリストバンド4を予めナースステーションに用意しておいても良い。
【0032】
通常、ナースステーションは複数の病室を管理する。それらの病室内のそれぞれには、通常、1個又は複数個のベッドが設置されている。そして、個々のベッドに図3の床頭台2が付設されている。複数の床頭台2のそれぞれには、それらを識別するための符号である機器符号、例えば0001、0002、…等といった数字が個別に割り当てられている。これらの機器符号は、図1の床頭台2の制御装置34のメモリ37の機器符号領域42内に記憶されている。
ナースステーションには、図3(a)に示すICタグ9がリストバンド4から外された状態で複数、用意されている。これら複数のICタグ9内のICチップ12には、床頭台2の機器符号と同じ符号である機器指示符号13が1つずつ記憶されている。つまり、ナースステーションには、個々の床頭台2の機器符号と同じ機器指示符号を記憶したICタグ9が床頭台2の数分だけ用意されている。
【0033】
看護師がナースステーションにおいて患者の腕にリストバンド4を装着する際、同看護師は、これから患者が利用することになる床頭台2に割り当てられている機器符号と同じ機器指示符号13が記憶されているICタグ9を、図3(a)に示すようにリストバンド4のバンド部分8に装着する。こうして、患者は、リストバンド4を腕に嵌めることにより、患者管理符号11及び機器指示符号13の両方を身に着けたことになる。リストバンド4を身に着けた患者は、割り当てられた病室へ看護師に案内されて又は自分自身で入る(工程P3)。患者は入院の間、常時、リストバンド4を腕に嵌めている。
病室へ入った患者が腕に取付けたリストバンド4のICタグ9を図4の入力ユニット31のリストバンドリーダ32の読取領域に当てると、図1において、リストバンドリーダ32の出力端子に信号が出力され、その信号が金庫ロック装置27へ伝送され、これによりロック装置27がオフ状態、すなわち開状態となる。ロック装置27が開状態になると、該当する引き出し19cは患者が自由に出し入れできる状態になる。患者は必要に応じて、引き出し19cを引き出して、所持物を金庫26へ収納する。ロック装置27は自動ロック装置であり、患者が引き出し19cを床頭台2の中へ引き込めると、ロック装置27は自動的にオン状態となり、引き出し19c従って金庫26がロック状態となる。
【0034】
次に、患者が床頭台2に置かれたテレビ受像機29又は冷蔵庫24を利用しようとする場合、患者はまず、図5のカード販売機6の所へ行き、料金を支払ってICカード3を購入する。このとき、ICカード3内の清算フラグ16はオフ状態であり、残度数領域17は最大の使用可能度数であり、機器符号領域18内にはまだ機器符号は記憶されていない。
ICカード3を入手した患者は、テレビ受像機29又は冷蔵庫24の使用に際して、ICカード3を図1及び図4において、制御装置34のICカードリーダ/ライタ39のカード挿入口43へ差し入れる。CPU36は、図7において、ICカード3(図1参照)が挿入口43へ挿入されたと判断すると(ステップS1でYES)、そのICカード3の機器符号領域18内に機器符号が記憶されているかどうかをチェックする。
ICカードが初めて使われた場合には、機器符号領域18内にはまだ機器符号が記憶されていないので(ステップS2でNO)、CPU36は、図1のメモリ37の機器符号領域42に記憶されている機器符号を読み出して、ICカードライタ39を使用してICカード3の機器符号領域18内に当該機器符号を記憶させる(ステップS3)。
【0035】
そして、ステップS5へ進んで、テレビ受像機29及び冷蔵庫24に対する課金処理を開始する。具体的には、ICカード3の残度数領域17内に残度数が存在している限りにおいてテレビ受像機29及び冷蔵庫24の使用を可能とする。また、テレビ受像機29及び冷蔵庫24の使用時間に応じて残度数を減算し、減算結果を残度数領域17内に上書きする。さらに、残度数領域17内の残度数が0(ゼロ)になったときに、テレビ受像機29及び冷蔵庫24の使用を不可能とする。例えば、これらの機器への通電ができないように制御する。
患者は、テレビ受像機29及び冷蔵庫24を使用しないときには、ICカード3をICカードリーダ/ライタ39から取り外しておくことにより、残度数が無駄に減少することを回避できる。或いは、テレビ受像機29のスイッチをOFFしたときは、課金を行わないようにしてもよい。患者が再度、テレビ受像機29及び冷蔵庫24を使用したいときには、ICカード3を再度、カード挿入口43へ挿入する。今度は、ICカード3の機器符号領域18内に機器符号が記憶されているので(ステップS2でYES)、ステップS4へ進んでICカード3内に記憶された機器符号18と床頭台2のメモリ37内の機器符号42とが同じか違うかが判定され、同じであれば(ステップS4でYES)、ステップS5へ進んで課金処理を行う。
【0036】
以上のように、ICカード3側の機器符号と床頭台2側の機器符号とが一致するか否かをチェックした上で、テレビ受像機29及び冷蔵庫24の使用を許可するようにしたので、不正なICカードの使用を禁止できる。具体的には、他人がICカードを盗用することを禁止できる。
【0037】
次に、患者が退院その他の理由により、テレビ受像機29及び冷蔵庫24を使用しなくなった場合には、患者はICカード3を清算する。この場合には、患者は、自身の身に着けているリストバンド4(図3(a)参照)のICタグ9を、図1及び図4においてリストバンドリーダ32の読取位置に当て、同時に清算ボタン33を操作、すなわち押圧する。
すると、CPUは、図7のステップS6及びS7のそれぞれにおいて「YES」と判定し、リストバンド4側の機器指示符号13が床頭台2側の機器符号(図1の符号42)と同じかどうかをチェックする(ステップS8)。そして、一致していれば(ステップS9でYES)、正規の患者からの指示であると判断して、ICカードライタ39を使ってICカード3内の清算フラグ16を立てる(すなわち、オン状態にする)(ステップS10)。そしてさらに、ICカードライタ39を使ってICカード3内の機器符号18を消去する。
【0038】
以上のようにしてICカード3内の清算フラグ16が立っているICカード3を患者又はその他の者が図6のカード精算機7の所まで持ち運び、さらに投入口54へそのICカード3を挿入すると、清算フラグ16内のデータが読取られて制御装置57へ伝送され、さらに、残度数領域17内の残度数が読取られて計算装置56へ伝送される。
制御装置57は、清算フラグ16が立っていることを条件として、金銭払出装置58及びカード搬送装置61を作動させて、残度数に見合った払戻金を払出口59から払出し、さらに使用済みICカード3をカード搬送装置61によってカード収納装置62内へ回収する。
【0039】
以上のように本実施形態の機器課金システムによれば、図1において、ICカード3の機器符号領域18内に記憶された機器符号と、床頭台2の機器符号とが一致することを条件として機器、すなわちテレビ受像機29及び冷蔵庫24の使用を許可することにしたので、ICカード3を他人に他の機器で使用されてしまうという盗用を防止できる。また、他人が他人のICカード3によって患者のテレビ受像機29や冷蔵庫24を使用することを禁止できる。尚、患者が入院中に他の病室に移動した場合は、ナースステーションで、当該患者のリストバンド4に取り付けられたICタグ9を、移動した病室の床頭台に割当てられた機器符号が記憶されたICタグ9に取り替えるか、或いは、ICタグ9の機器指示符号13を書き換える。
【0040】
従来のシステムにおいて、セキュリティを確保するために、ICカードの購入時に診察券に記憶されている診察券番号との照合を条件とするものがあった。しかしながら、診察券は一般的には入院時にナースステーションにおいて管理されるものであるので、ICカードの購入に際して診察券の照合が条件とされる場合には、購入のための手続きが非常に煩雑になって実用的でないという問題があった。また、患者を見舞いに来た者が見舞いのためにICカードを購入するということもできなかった。これに対し、本実施形態のシステムにおいては、ICカードの購入時には、診察券の照合その他の条件は何等課されないので、ICカードの購入が非常に簡単になり、患者以外の第三者の購入も可能になった。
さらに、従来のシステムにおいて、ICカードの清算時に診察券番号との照合を条件に課したものがあった。この場合も、診察券が無いと清算ができないという、煩雑な手続きが必要であった。場合によっては、患者自身が清算機又は精算機の所まで行かないと、清算ができなかった。これに対し、本実施形態では、図1及び図4に示す床頭台2の所で患者が清算ボタン33を操作して使用済みのICカード3に清算フラグ16を立てれば、そのICカード3に関して誰でも精算機7の所で清算を行うことができる。これにより、清算の作業が非常に楽になり、さらに、患者自身がわざわざ精算機の所まで行かなくても、患者の意を受けた者によって清算を行うことができるようになった。このため清算処理が非常に便利で実用的になった。
【0041】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、上記実施形態では、プリペイドカードとして、主に、非接触式のICカードを考えた。しかしならが、プリペイドカードはその他任意のカードを用いることもでき、例えば、接触式のICカードでも良く、非接触及び接触両用のICカードでも良く、あるいはICカードでない磁気検知方式のカードでも良い。
また、上記実施形態では、図3(a)に示すように、患者管理符号11をバーコード形式で記憶している周知のリストバンド4に、床頭台符号に対応した機器指示符号13を記憶したICタグ9を取付ける実施例を挙げた。しかしながら、患者に対する機器指示符号の付与の仕方としては、ICタグを用いた上記の方法に限られず、任意の方法を採用できる。例えば、図3(b)に示すように、患者管理符号11をバーコード形式で記憶している周知のリストバンド64において、患者管理符号11の隣の領域に機器指示符号13をバーコード形式で記憶するようにしても良い。
【0042】
また、上記の実施形態では、課金の対象である機器としてテレビ受像機29及び冷蔵庫24の両方を考えたが、機器はそれらのうちのいずれか1つであっても良い。また、テレビ受像機及び冷蔵庫以外の任意の機器としても良い。また、上記の実施形態では、課金の終了を指示するための清算指示手段としてボタン型のスイッチを用いることを考えたが、他の任意の構造のスイッチを用いることができることはもちろんである。
また、カード販売機6は、複数の金種のカードを販売する構成となっているが、操作性及び患者の利便性を考慮して、1種類のカード(例えば、1,000円のみ)にして、カードの保証金を返金するのではなく、カード回収費として(例えば、1枚100円)患者に返金して、残金の精算を行わないようにする方法も考えられる。即ち、患者が1,000円のICカードを購入した場合は、精算時には、残金の有無に拘わらず回収費100円のみを返金するように制御することにより、床頭台2の制御装置34は、課金する必要がなくなり制御が簡略化される。その結果、不正なICカードの精算を抑制する効果が期待できる。
【0043】
次に、上記構成より成る第2の実施形態に係る機器課金システムの動作について図8及び図9のフローチャート及び図10の工程図を参照しつつ説明する。
本機器課金システムは、入院した患者が病室内に設置された図4の床頭台2に配備された機器としてのテレビ受像機29及び同じく機器としての冷蔵庫24を使用することに対する課金を管理するものである。患者は、床頭台2の引き出し19c内に配備された金庫26を利用できるが、本実施形態ではこの金庫26の使用に対しては課金を行わない。しかしながら、必要に応じて、金庫26の使用に対して課金を行うことにしても良い。
図10において、患者は入院に際して病院内の医事課へ出向く(工程P1)。医事課は、入院患者に関する情報を書込むための用紙を作成し、さらに当該患者のための診察券を作成する。患者が既に診察券を保有している場合には、その診察券を流用する。
【0044】
次に、患者は、看護師に連れられて又は自分だけで、自分が入る病室を担当するナースステーションへ出向く(工程P2)。このナースステーションにおいて、看護師が図3(c)のリストバンド4を患者のために作成して患者の腕に装着する。
リストバンド4は患者を識別するための患者符号11をバーコード形式で記憶している。この患者符号11は、患者の健康状態や診察結果を管理する際に患者を識別するために使用される識別符号である。このような患者符号11を利用した患者の管理手法は、現在、既に広く実施されている。このバーコード11は看護師がナースステーションにおいてバーコード印刷部9に印刷等によって形成しても良いし、あるいは、所定の外部部署で予めバーコードを印刷しておいたリストバンド4をナースステーションに用意しておいても良い。
【0045】
通常、ナースステーションは複数の病室を管理する。それらの病室内のそれぞれには、通常、1個又は複数個のベッドが設置されている。そして、個々のベッドに図4の床頭台2が付設されている。
看護師がナースステーションにおいて患者の腕にリストバンド4を装着することにより、患者を識別するための患者符号11が患者に割り当てられたことになる。リストバンド4を身に着けた患者は、割り当てられた病室へ看護師に案内されて又は自分自身で入る(工程P3)。患者は入院している間、常時、リストバンド4を腕に嵌めている。
病室へ入った患者が腕に取付けたリストバンド4のバーコード11を図4の入力ユニット31のリストバンドリーダ32の読取領域に当てると、図2において、リストバンドリーダ32の出力端子に信号が出力され、その出力信号が制御回路35へ伝送される。このとき制御回路35の制御部40は、図8のステップS11においてバーコードリーダ32の読取部にリストバンド4やクリア用タグ65等といった読取物が提示されたと判断し(ステップS11でYES)、信号が患者符号であるときには(ステップS12でYES)、その患者符号を読取り(ステップS13)、さらにその患者符号を本体制御装置34(図2参照)側へ出力する(ステップS14)。
さらに、制御部40は、メモリ53内に患者符号が記憶されていないときには、読取った患者符号をそのメモリ53内に記憶する(ステップS15、S16)。次に、制御部40は、読取った患者符号とメモリ53内の患者符号とを比較し(ステップS17)、それらが同じであれば(ステップS18でYES)、図2の金庫ロック装置27のロック状態を解除する(ステップS19)。これにより、患者は図4において上段引き出し19cを自由に引き出して金庫26を使用できる。患者が貴重品を持っている場合には、その貴重品を金庫26の中に収納する。ロック装置27は自動ロック装置であり、患者が引き出し19cを床頭台2の中へ引き込めると、ロック装置27は自動的にオン状態となり、引き出し19c従って金庫26がロック状態となる。
【0046】
このように、金庫26は、患者が身に着けているリストバンド4に付された患者符号11だけによって開けることができるようになっているので、患者以外の者は開けることができず、それ故、万全な安全確保を実現できる。特に、リストバンド4は患者が常に身に着けているものであり、他人が入手することはほとんど無いので、盗難の発生をほぼ確実に解消できる。これにより、患者及び病院に大きな安心を提供できる。
【0047】
図2において、患者がリストバンド4をリストバンドリーダ32に提示するのに代えて、看護師がクリア用タグ65をリストバンドリーダ32に提示すれば(図8のステップS20)、入力ユニット35内の制御部40は、クリア用符号66に対応した信号を本体制御装置34側へ出力する(ステップS21)。そしてこの場合、制御部40は、ステップS22において、図2の患者符号領域(メモリ)53内のデータ、すなわち患者符号をクリア、すなわち消去する。この看護師によるクリア処理は、患者が別の病室に移動したり、患者が退院した後に、別の患者の入院に備えるために行われ処理である。即ち、患者は、入院中に個室から大部屋に、或いは大部屋から個室に、或いは他の大部屋又は他の個室に移動することが良くある。このような場合、床頭台2に固有の機器符合が割当てられていると、病室を移動したとき、移動先の病室にある床頭台を使用することができなくなる。即ち、床頭台を使用するためには、図1の第1の実施形態で説明したとおり、リストバンド4のICタグ9を交換するか、データを書き換える必要が出てくる。そこで本実施形態では、リストバンド4には、患者管理符号11を記録し、メモリ37の患者符号領域42の内容とリストバンド4の患者管理符号11を同一のデータとすることにより、患者が移動する場合は、看護師によりクリア用タグ65でメモリ37の患者符号領域42に記憶されている患者管理符号11を消去して、次の患者が使用できないようにする。そして、移動先の床頭台2に移動した患者のリストバンド4に記録されている患者管理符号11をリストバンドリーダ32で読み取り、そのデータを患者符号領域42に記憶する。この結果、床頭台2に固有の機器符合を設ける必要がなく、患者は移動した病室の床頭台を使用することができる。
【0048】
以下、図2のメモリ37内に格納された課金プログラム41及びそれに従って演算及び制御を実行するCPU36によって実現される機能について説明する。
患者が床頭台2に置かれたテレビ受像機29又は冷蔵庫24を利用しようとする場合、患者はまず、図5のカード販売機6の所へ行き、料金を支払ってICカード3を購入する。このとき、ICカード3内の清算フラグ16はオフ状態であり、残度数領域17は最大の使用可能度数であり、患者符号領域18内にはまだ患者符号は記憶されていない。
ICカード3を入手した患者は、テレビ受像機29又は冷蔵庫24の使用に際して、図2又は図4においてリストバンド4をリストバンドリーダ32に提示し、さらに、購入したICカード3を、制御装置34のICカードリーダ39のカード挿入口43へ差し入れる。このとき、入力ユニット31の制御部40は、図8のステップS14でリストバンド4内の患者符号11を本体側制御装置34へ伝送し、制御装置34は図9のステップS31で患者符号11が伝送されたことを判断する。
【0049】
床頭台2が今回の患者によって初めて使用される場合、制御装置34のメモリ37の患者符号領域42内には未だ患者符号は記憶されていない。患者符号領域42内に患者符号のデータが無い場合、CPU36は、伝送された患者符号を当該記憶領域42内に記憶する(ステップS32、S33)。一方、患者符号領域42内に既に患者符号が記憶されている場合には(ステップS32でYES)、CPU36は、伝送された患者符号とメモリ37の患者符号領域42内の患者符号とを比較する(ステップS34)。
本体側制御装置34へ伝送された患者符号とメモリ37の患者符号領域42内の患者符号とが一致した場合(ステップS35でYES)、CPU36はICカードリーダ39にICカード3が提示されているかどうかをチェックする(ステップS36)。ICカードが初めて使われる場合には、ICカード3の患者符号領域18内には未だ患者符号が記憶されていないので(ステップS37でNO)、CPU36は、メモリ37の患者符号領域42内に記憶されている患者符号を読み出して、ICカードライタ39を使用してICカード3の患者符号領域18内に当該患者符号を記憶させる(ステップS38)。
患者符号領域18内に患者符号が記憶されている場合には、ステップS39においてICカード3内の患者符号とメモリ37内の患者符号とが比較され、それらが一致することを条件として(ステップS40でYES)テレビ受像機29及び冷蔵庫24の使用を許可すると共に、課金処理を開始する(ステップS41)。
【0050】
具体的には、ICカード3の残度数領域17内に残度数が存在している限りにおいてテレビ受像機29及び冷蔵庫24の使用を可能とする。また、テレビ受像機29及び冷蔵庫24の使用時間に応じて残度数を減算し、減算結果を残度数領域17内に上書きする。さらに、残度数領域17内の残度数が0(ゼロ)になったときに、テレビ受像機29及び冷蔵庫24の使用を不可能とする。例えば、これらの機器への通電ができないように制御する。
患者は、テレビ受像機29及び冷蔵庫24を使用しないときには、ICカード3をICカードリーダ/ライタ39から取り外しておくことにより、残度数が無駄に減少することを回避できる。患者が再度、テレビ受像機29及び冷蔵庫24を使用したいときには、ICカード3を再度、カード挿入口43へ挿入する。今度は、ICカード3の患者符号領域18内に患者符号が記憶されているので(ステップS37でYES)、ステップS39へ進んでICカード3内に記憶された患者符号とメモリ37内の患者符号とが同じか違うかが判定され(ステップS39)、同じであれば(ステップS40でYES)、ステップS41へ進んでテレビ受像機29及び冷蔵庫24の使用を許可し、さらに課金処理を行う。
【0051】
以上のように、ICカード3側の患者符号と床頭台2側の患者符号とが一致するか否かをチェックした上で、テレビ受像機29及び冷蔵庫24の使用を許可するようにしたので、不正なICカード3の使用を禁止できる。具体的には、他人がICカードを盗用することを禁止できる。
【0052】
次に、患者が退院その他の理由により、テレビ受像機29及び冷蔵庫24を使用しなくなった場合には、患者はICカード3を清算する。この場合には、患者は、自身の身に着けているリストバンド4(図3(c)参照)を、図2又は図4においてリストバンドリーダ32の読取位置に当てて提示し、同時に清算ボタン33を操作、すなわち押圧する。
すると、CPU36は、図9のステップS42において清算ボタン33が押されたと判断し(ステップS42でYES)、さらにステップS43において患者符号が入力ユニット31から伝送されたと判断する(ステップS43でYES)。さらに、伝送された患者符号と本体側制御装置34のメモリ37内の患者符号とを比較し(ステップS44)、一致していれば(ステップS45でYES)、正規の患者からの指示であると判断して、ICカードライタ39を使ってICカード3内の清算フラグ16を立てる(すなわち、オン状態にする)(ステップS46)。
【0053】
以上のようにしてICカード3内の清算フラグ16が立っているICカード3を患者又はその他の者が図6のカード精算機7の所まで持ち運び、さらに投入口54へそのICカード3を挿入すると、清算フラグ16内のデータが読取られて制御装置57へ伝送され、さらに、残度数領域17内の残度数が読取られて計算装置56へ伝送される。
制御装置57は、清算フラグ16が立っていることを条件として、金銭払出装置58及びカード搬送装置61を作動させて、残度数に見合った払戻金を払出口59から払出し、さらに使用済みICカード3をカード搬送装置61によってカード収納装置62内へ回収する。清算フラグ16が立っていなければ、制御装置57は清算処理を行わない。これにより、患者の意に反した不正な清算を禁止できる。
図2において、看護師又はその他の者によってクリア用タグ65が入力ユニット31のリストバンドリーダ32に提示されると、図8のステップS21においてクリア用信号が生成され、そのクリア用信号が図9のステップS47において認識され(ステップS47でYES)、ステップS48において各メモリ内の情報が消去、すなわちクリアされる。具体的には、図2の本体側制御装置34のメモリ37の患者符号領域42内のデータ及び入力ユニット31の制御回路35の患者符号領域53内のデータの両方がクリアされる。これにより、当該病室に入院する次の患者が床頭台2のテレビ受像機29及び冷蔵庫24を課金によって使用でき、さらに金庫26をリストバンド4の提示によって使用できることの準備が完了する。
【0054】
以上のように本実施形態の機器課金システムによれば、図2において、ICカード3の患者符号領域18内に記憶された患者符号と、床頭台2の制御装置34のメモリ37内の患者符号とが一致することを条件として機器、すなわちテレビ受像機29及び冷蔵庫24の使用を許可することにしたので、ICカード3を他人によって他の床頭台2で使用されてしまうという盗用を防止できる。また、患者以外の他人が他人のICカード3によってその患者のテレビ受像機29や冷蔵庫24を使用することを禁止できる。
従来のシステムにおいて、セキュリティを確保するために、ICカードの購入時に診察券に記憶されている診察券番号との照合を条件とするものがあった。しかしながら、診察券は一般的には入院時にナースステーションにおいて管理されるものであるので、ICカードの購入に際して診察券の照合が条件とされる場合には、ICカードの購入のための手続きが非常に煩雑になって実用的でないという問題があった。また、患者を見舞いに来た者が見舞いのためにICカードを購入するということもできなかった。これに対し、本実施形態のシステムにおいては、ICカードの購入時には、診察券の照合その他の条件は何等課されないので、ICカードの購入が非常に簡単になり、しかも患者以外の第三者の購入も可能になった。
さらに、従来のシステムにおいて、ICカードの清算時に診察券番号との照合を条件に課したものがあった。この場合も、診察券が無いと清算ができないという、煩雑な手続きが必要であった。場合によっては、患者自身が清算機又は精算機の所まで行かないと、清算ができなかった。これに対し、本実施形態では、図2又は図4に示す床頭台2の所で患者が清算ボタン33を操作して使用済みのICカード3に清算フラグ16を立てれば、そのICカード3に関して誰でも精算機7の所で清算を行うことができる。これにより、清算の作業が非常に楽になり、さらに、患者自身がわざわざ精算機の所まで行かなくても、患者の意を受けた者によって清算を行うことができるようになった。このため清算処理が非常に便利で実用的になった。
【0055】
(その他の実施形態)
また、上記実施形態では、図3(c)に示すように、患者符号11をバーコード形式で記憶している周知のリストバンド4のバーコードを利用する方式の実施例を挙げた。しかしながら、患者に対する患者符号の付与の仕方としては、バーコードを用いた上記の方法に限られず、その他の任意の方法を採用できる。例えば、リストバンド4にICチップを取付け、そのICチップ内に患者符号11を電子データとして記憶する方法を採用することもできる。
なお、この場合には、図2の入力ユニット31内のリストバンドリーダ32として、光学読取方式のバーコードリーダに代えて、接触式又は非接触式のデータ通信手法が採用される。
【0056】
また、上記の実施形態では、課金の対象である機器としてテレビ受像機29及び冷蔵庫24の両方を考えたが、機器はそれらのうちのいずれか1つであっても良い。また、テレビ受像機及び冷蔵庫以外の任意の機器としても良い。また、上記の実施形態では、課金の終了を指示するための清算指示手段としてボタン型のスイッチを用いることを考えたが、他の任意の構造のスイッチを用いることができることはもちろんである。
上記実施形態では、図2において、本体側制御装置34及び入力ユニット31側の制御回路35という2つの制御手段を個別に用いたが、これに代えて、本体側制御装置34の1つによって全ての制御を行うことも可能である。この場合には、入力ユニット31の中には光学機構としてのリストバンドリーダ32が設けられるだけで、制御部やメモリは入力ユニット31の中には不要となる。
以上、本実施形態では、病室に頭床台2を設置した場合について説明したが、それに限定するものではなく、例えば、ホテル、旅館等の宿泊施設に適用しても構わない。
【符号の説明】
【0057】
1.機器課金システム、2.床頭台、3.ICカード(プリペイドカード)、4.リストバンド、6.カード販売機、7.カード精算機、8.バンド部分、9.ICタグ、11.患者管理符号(バーコード)、12.ICチップ、13.機器指示符号、14.ICチップ、16.清算フラグ、17.残度数領域、18.機器符号領域、19a 19b 19c.引き出し、21.スライドテーブル、22.固定テーブル、23.天井板、24.冷蔵庫(機器)、26.金庫、27.ロック装置、28.回転盤、29.テレビ受像機(機器)、31.入力ユニット、32.リストバンドリーダ、33.清算ボタン(清算指示手段)、34.制御装置、37.メモリ、40.制御部、43.カード挿入口、44.バス、45.金銭投入口、46.カード種選択ボタン、47.金銭処理装置、48.金銭支払口、49.制御装置、50.カード貯留部、51.カード搬送装置、52.カード排出口、53.患者符号領域(メモリ)、54.カード投入口、55.カード読取装置、56.計算装置、57.制御装置、58.金銭払出装置、59.金銭払出口、61.カード搬送装置、62.カード収納装置、64.リストバンド、65.クリア用タグ、66.クリア符号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の使用に対する課金をプリペイドカードによって管理する機器課金システムにおいて、
前記プリペイドカードには、前記機器に対応した符号である機器符号を記憶する機器符号領域、前記機器の使用可能量を示す残度数を記憶する残度数領域、及びオン状態及びオフ状態を選択的にとり得る清算フラグが設けられており、
更に、前記機器符号を記憶した記憶手段と、
前記機器の利用者を管理するための符号である利用者管理符号及び使用可能な機器を示す機器指示符号を記憶しており該利用者が携帯する携帯記憶手段と、
前記携帯記憶手段に記憶された前記機器指示符号を読取るリーダと、
前記プリペイドカードの前記利用者符号領域、前記残度数領域、及び前記清算フラグに記憶されたデータを読込むカードリーダと、
前記プリペイドカードの前記利用者符号領域、前記残度数領域、及び前記清算フラグにデータを書込むカードライタと、
前記利用者によって操作されて前記プリペイドカードに記録された前記精算フラグをオン状態とする清算処理信号を出力する清算指示手段と、
前記メモリに記憶された前記機器符号、前記リーダの出力信号、前記カードリーダの出力信号に基づいて、前記機器及び前記カードライタの動作を制御する制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、
前記カードリーダにより前記機器符号領域から読取ったデータと前記メモリに記憶された前記機器符号とが一致するときに、前記機器を使用可能とすると共に、前記機器に対する課金処理を行い、
さらに、前記リーダで読取った前記機器指示符号と前記記憶手段に記憶された前記機器符号とが一致し、前記清算指示手段から清算処理信号を受け取ったときに、前記カードライタによって前記プリペイドカードの前記清算フラグをオン状態とすることを特徴とする機器課金システム。
【請求項2】
機器の使用に対する課金をプリペイドカードによって管理する機器課金システムにおいて、
前記プリペイドカードには、前記機器の利用者を管理するための符号である利用者符号を記憶する利用者符号領域、前記機器の使用可能量を示す残度数を記憶する残度数領域、及びオン状態及びオフ状態を選択的にとり得る清算フラグが設けられており、
更に、前記プリペイドカードの前記利用者符号領域、前記残度数領域、及び前記清算フラグに記憶されたデータを読込むカードリーダと、
前記プリペイドカードの前記利用者符号領域、前記残度数領域、及び前記清算フラグにデータを書込むカードライタと、
前記利用者符号を記憶しており該利用者が携帯する携帯記憶手段と、
前記携帯記憶手段に記憶された前記利用者符号を読取るリーダと、
前記利用者符号を記憶した記憶手段と、
前記利用者によって操作されて前記プリペイドカードに記録された前記精算フラグをオン状態とする清算処理信号を出力する清算指示手段と、
前記記憶手段の利用者符号領域内の記憶内容、前記リーダの出力信号、前記カードリーダの出力信号に基づいて、前記機器及び前記カードライタの動作を制御する制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、
前記リーダにより前記携帯記憶手段から読取った前記利用者符号を前記記憶手段の利用者符号領域内に記憶し、前記利用者符号を前記カードライタによって前記プリペイドカードの利用者符号領域内に記憶し、前記カードリーダで前記プリペイドカードの利用者符号領域から読取った利用者符号と前記記憶手段の利用者符号領域内に記憶された利用者符号とが一致するときに前記機器を使用可能とすると共に前記機器に対する課金処理を行い、
さらに、前記リーダで読取った前記利用者符号と前記記憶手段の利用者符号領域内に記憶された前記利用者符号とが一致し、さらに前記清算指示手段から清算処理信号を受け取ったときに、前記カードライタによって前記プリペイドカードの清算フラグをオン状態とすることを特徴とする機器課金システム。
【請求項3】
開閉可能な金庫と、該金庫の閉状態を保持できるロック装置と、をさらに有しており、
前記制御手段は、前記リーダで前記携帯記憶手段から読取った前記機器符号と前記記憶手段の機器符号領域内に記憶された機器符号とが一致するときに前記ロック装置を開状態にすることを特徴とする請求項1に記載の機器課金システム。
【請求項4】
開閉可能な金庫と、該金庫の閉状態を保持できるロック装置と、をさらに有しており、
前記制御手段は、前記リーダで前記携帯記憶手段から読取った前記利用者符号と前記記憶手段の利用者符号領域内に記憶された利用者符号とが一致するときに前記ロック装置を開状態にすることを特徴とする請求項2に記載の機器課金システム。
【請求項5】
前記記憶手段内に記憶されているデータを初期状態に戻すためのクリア符号を記録したクリア用タグを備え、
前記制御手段は、前記クリア符号を受け取ったときに前記利用者符号領域をデータが記憶されていないクリア状態にすることを特徴とする請求項2又は4に記載の機器課金システム。
【請求項6】
前記カードリーダの読取位置及び前記カードライタの書込位置は共通であることを特徴とする請求項1又は2に記載の機器課金システム。
【請求項7】
前記携帯記憶手段に記憶されている前記利用者管理符号、及び前記機器指示符号は、バーコード、及び/又は、RFIDタグにより構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の機器課金システム。
【請求項8】
病室内にある機器の使用に対する課金をプリペイドカードによって管理する機器課金システムにおいて、
前記プリペイドカードには、前記機器に対応した符号である機器符号を記憶する機器符号領域と、前記機器の使用可能量を示す残度数を記憶する残度数領域と、オン状態及びオフ状態を選択的にとり得る清算フラグとが設けられており、さらに、
前記機器符号を記憶したメモリと、
患者を管理するための符号である患者管理符号及び使用可能な機器を示す機器指示符号を記憶しており患者の腕に装着されるリストバンドと、
前記リストバンドに記憶された前記機器指示符号を読取るリストバンドリーダと、
前記プリペイドカードの前記機器符号領域、前記残度数領域及び前記清算フラグに記憶されたデータを読込むプリペイドカードリーダと、
前記プリペイドカードの前記機器符号領域、前記残度数領域及び前記清算フラグにデータを書込むプリペイドカードライタと、を有し、
前記プリペイドカードリーダ及び前記プリペイドカードライタにおける前記プリペイドカードの読取位置は共通であり、さらに、
操作者によって操作されて清算処理信号を出力する清算指示手段と、
前記メモリに記憶された前記機器符号、前記リストバンドリーダの出力信号、前記プリペイドカードリーダの出力信号に基づいて、前記機器及び前記プリペイドカードライタの動作を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記プリペイドカードリーダで前記機器符号領域から読取ったデータと、前記メモリに記憶された前記機器符号とが一致するときに、前記機器を使用可能とし、前記機器に対する課金処理を行い、さらに、
前記リストバンドリーダで読取った前記機器指示符号と前記メモリに記憶された前記機器符号とが一致し、前記清算指示手段から清算処理信号を受け取ったときに、前記プリペイドカードライタによって前記プリペイドカードの前記清算フラグをオン状態とすることを特徴とする機器課金システム。
【請求項9】
病室内にある機器の使用に対する課金をプリペイドカードによって管理する機器課金システムにおいて、
前記プリペイドカードには、患者を管理するための符号である患者符号を記憶する患者符号領域と、前記機器の使用可能量を示す残度数を記憶する残度数領域と、オン状態及びオフ状態を選択的にとり得る清算フラグとが設けられており、
さらに、前記プリペイドカードの前記患者符号領域、前記残度数領域及び前記清算フラグに記憶されたデータを読込むプリペイドカードリーダと、
前記プリペイドカードの前記患者符号領域、前記残度数領域及び前記清算フラグにデータを書込むプリペイドカードライタと、
前記患者符号を記憶しており患者の腕に装着されるリストバンドと、
前記リストバンドに記憶された前記患者符号を読取るリストバンドリーダと、
前記患者符号を記憶するための患者符号領域を備えた記憶媒体と、
操作者によって操作されて清算処理信号を出力する清算指示手段と、
前記記憶媒体の患者符号領域内の記憶内容、前記リストバンドリーダの出力信号、前記プリペイドカードリーダの出力信号に基づいて、前記機器及び前記プリペイドカードライタの動作を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記リストバンドリーダで前記リストバンドから読取った前記患者符号を前記記憶媒体の患者符号領域内に記憶し、
前記患者符号を前記プリペイドカードライタによって前記プリペイドカードの患者符号領域内に記憶し、
前記プリペイドカードリーダで前記プリペイドカードの患者符号領域から読取った患者符号と前記記憶媒体の患者符号領域内に記憶された患者符号とが一致するときに前記機器を使用可能とすると共に前記機器に対する課金処理を行い、
さらに、前記リストバンドリーダで読取った前記患者符号と前記記憶媒体の患者符号領域内に記憶された前記患者符号とが一致し、さらに前記清算指示手段から清算処理信号を受け取ったときに、前記プリペイドカードライタによって前記プリペイドカードの清算フラグをオン状態とすることを特徴とする機器課金システム。
【請求項10】
前記リストバンドは、
前記患者管理符号がバーコードとして印字されており腕に装着されるバンド部分と、
前記機器指示符号が記憶されており前記バンド部分に着脱可能に取り付けられたICタグとを有し、
前記ICタグは、前記機器指示符号を記憶したメモリと、該メモリに記憶されたデータを処理するプロセッサとを有することを特徴とする請求項8に記載の機器課金システム。
【請求項11】
前記機器は、病室内に設けられた床頭台に設けられたテレビ受像機及び/又は冷蔵庫であることを特徴とする請求項8又は9に記載の機器課金システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−28728(P2011−28728A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108373(P2010−108373)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(509158473)
【Fターム(参考)】