機能液滴吐出ヘッドの機能液充填方法、機能液供給装置および液滴吐出装置、並びに電気光学装置の製造方法および電気光学装置
【課題】機能液タンクから機能液的吐出ヘッドに至るまでの機能液流路および機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に、気泡を残すことなく、機能液の初期充填を行うことができる機能液充填方法、機能液供給装置および液滴吐出装置、並びに電気光学装置の製造方法および電気光学装置を提供する。
【解決手段】機能液流路を介して、機能液タンク61からインクジェット方式の機能液滴吐出ヘッド17に機能液を導入し、機能液流路および機能液滴吐出ヘッド17のヘッド内流路44に対し機能液の初期充填を行う初期充填工程と、初期充填工程に先立ち、機能液流路および機能液滴吐出ヘッド17のヘッド内流路44に洗浄液を通液する洗浄液通液工程と、を備えたこと。
【解決手段】機能液流路を介して、機能液タンク61からインクジェット方式の機能液滴吐出ヘッド17に機能液を導入し、機能液流路および機能液滴吐出ヘッド17のヘッド内流路44に対し機能液の初期充填を行う初期充填工程と、初期充填工程に先立ち、機能液流路および機能液滴吐出ヘッド17のヘッド内流路44に洗浄液を通液する洗浄液通液工程と、を備えたこと。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
機能液タンクから機能液滴吐出ヘッドに至る機能液流路および機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に、機能液を充填する機能液滴吐出ヘッドの機能液充填方法、機能液供給装置および液滴吐出装置、並びに電気光学装置の製造方法および電気光学装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のインク充填方法(機能液充填方法)として、予め界面活性剤溶液あるいは着色成分を除いたインク溶液を保存液としてインクジェットヘッドのヘッド内流路に充填させ、インクジェットヘッドのノズル面側からインクと共に吸引することで、インクを充填する方法が知られている(特許文献1参照)。このような充填方法では、界面活性剤により保存液の表面張力を弱めることで濡れ性を高め、インクジェットヘッドのヘッド内流路の隅々まで保存液を行き渡らせた後、保存液とインクとを置換することができる。
【特許文献1】特開2004−114647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来のインク充填方法では、インクジェットヘッドのヘッド内流路に、気泡を残留させることなくインクを充填することができるが、インクタンクからインクジェットヘッドに至るまでのインク流路では、保存液が充填されていないため、インク充填時に、流路内に気泡が残留してしまう問題が生じる。また、界面活性剤を保存液としてヘッド内流路に長時間充填しておくと、保存液中の不純物が析出して目詰まりが生じてしまうおそれがある。さらに、保存液がヘッド内流路の狭い部分に残り易く、初期充填時に、保存液とインクとが置換せず保存液がインクジェットヘッド内に残留してしまう。その結果、初期充填時に多量のインクを無駄に流すことになったり、経時的に保存液とインクの構成成分とが反応して、副生成物を生産してしまうおそれがある。
【0004】
本発明は、機能液タンクから機能液的吐出ヘッドに至るまでの機能液流路および機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に、気泡を残すことなく、機能液の初期充填を行うことができる機能液滴吐出ヘッドの機能液充填方法、機能液供給装置および液滴吐出装置、並びに電気光学装置の製造方法および電気光学装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の機能液滴吐出ヘッドの機能液充填方法は、機能液流路を介して、機能液タンクからインクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドに機能液を導入し、機能液流路および機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に対し機能液の初期充填を行う初期充填工程と、初期充填工程に先立ち、機能液流路および機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に洗浄液を通液する洗浄液通液工程と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、本発明の機能液供給装置は、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドに機能液を供給する機能液タンクと、機能液滴吐出ヘッドに洗浄液を供給する洗浄液タンクと、機能液タンクおよび洗浄タンクと、機能液滴吐出ヘッドとを接続する機能液流路と、機能液流路の上流端を、機能液タンクと洗浄タンクとの間で流路切替えする流路切替え手段と、機能液滴吐出ヘッドのノズル面に離接自在に密接し、機能液および洗浄液を個々に吸引する吸引手段と、流路切替え手段および吸引手段を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、機能液流路を機能液タンク側に切り替えると共に吸引手段を駆動して、機能液流路および機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に機能液を充填する初期充填動作に先立ち、機能液流路を洗浄液タンク側に切り替えると共に吸引手段を駆動して、機能液流路および機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に洗浄液を通液する洗浄液通液動作を実行することを特徴とする。
【0007】
これらの構成によれば、機能液流路および機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に機能液を充填する前に、洗浄液によってこれら流路内を洗浄するため、これら流路内の異物を洗い流すことができるだけでなく、継手の隅部等に残り易い気泡を洗い流し、流路内面に膜として残る。このため、次に機能液を充填すると、機能液が洗浄液を洗い流すように機能液と置換し、初期充填状態で、機能液流路およびヘッド内流路に気泡が残ることがない。したがって、気泡による機能液滴吐出ヘッドの吐出不良を有効に防止することができる。
【0008】
この場合、洗浄液通液工程では、洗浄液として機能液の溶媒を用いること、或いは洗浄液として界面活性剤を含む溶液を用いることが、好ましい。
【0009】
また、この場合、洗浄液が、機能液の溶媒および界面活性剤を含む溶液のいずれかであることが、好ましい。
【0010】
これらの構成によれば、機能液流路および機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路の機能液に対する親和性を向上させることができ、気泡の残留を有効に防止することができる。なお、界面活性剤は、ブチルジグリコールアセテートであることが好ましい。
【0011】
この場合、洗浄液通液工程では、洗浄液として機能液の溶媒および界面活性剤を含む溶液を用い、溶媒を通液した後、溶液を通液することが、好ましい。
【0012】
また、この場合、洗浄液が、機能液の溶媒および界面活性剤を含む溶液であり、洗浄液タンクは、溶媒を貯留する溶媒タンクと、溶液を貯留する溶液タンクとから成り、流路切り替え手段は、機能液タンクと溶媒タンクと溶液タンクとの相互間で、流路切替え可能に構成され、制御手段は、洗浄液通液動作において、機能液流路を溶媒タンク側に切り替えると共に吸引手段を駆動して、機能液流路および機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に溶媒を通液する溶媒通液動作の後、機能液流路を溶液タンク側に切り替えると共に吸引手段を駆動して、機能液流路および機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に溶液を通液する溶液通液動作を実行することが、好ましい。
【0013】
これらの構成によれば、溶媒により、吐出試験等に用いた機能液をヘッド内流路から円滑に洗い流すことができると共に、溶液により、機能液流路およびヘッド内流路の機能液に対する親和性を向上させることができる。したがって、機能液を初期充填したときに、機能液流路およびヘッド内流路に気泡が残るのを有効に防止することができる。
【0014】
この場合、洗浄液通液工程では、洗浄液として機能液の溶媒および界面活性剤を含む溶液を用い、溶媒を通液した後、溶液を通液し、再度溶媒を通液することが、好ましい。
【0015】
また、この場合、洗浄液が、機能液の溶媒および界面活性剤を含む溶液であり、洗浄液タンクは、溶媒を貯留する溶媒タンクと、溶液を貯留する溶液タンクとから成り、流路切り替え手段は、機能液タンクと溶媒タンクと溶液タンクとの相互間で、流路切替え可能に構成され、制御手段は、洗浄液通液動作において、機能液流路を溶媒タンク側に切り替えると共に吸引手段を駆動して、機能液流路および機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に溶媒を通液する溶媒通液動作の後、機能液流路を溶液タンク側に切り替えると共に吸引手段を駆動して、機能液流路および機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に溶液を通液する溶液通液動作を実行し、再度溶媒通液動作を実行することをが、好ましい。
【0016】
これらの構成によれば、濡れ性が向上した機能液流路およびヘッド内流路に、再度、機能液の溶媒を通液するため、流路内に残留している界面活性剤を完全に洗い流すことができ、界面活性剤が機能液に混入するのを確実に防止することができる。
【0017】
この場合、初期充填工程では、機能液流路を機能液タンクに接続した状態で、機能液滴吐出ヘッドの吐出ノズルから機能液を吸引することで、初期充填が行われ、洗浄液通液工程では、機能液流路を機能液タンクから洗浄液タンクに切替え接続した状態で、機能液滴吐出ヘッドの吐出ノズルから洗浄液を吸引することで、通液が行われることが、好ましい。
【0018】
この構成によれば、機能液の初期充填と同様の吸引動作で、洗浄液の通液を行うことができるため、装置構成を単純化することができる。
【0019】
本発明の液滴吐出装置は、上記に記載の機能液供給装置と、ワークに対し前記機能液滴吐出ヘッドを相対的に移動させながら機能液滴を吐出させる描画装置と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、機能液流路およびヘッド内流路内を洗浄した後、機能液を充填し、ワークに対して描画することができるため、一連の動作を一つの装置で行うことができるため、作業時間を短縮することができると共に、液滴吐出装置を小型化することができる。
【0021】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記した液滴吐出装置を用い、ワーク上に機能液滴による成膜部を形成することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の電気光学装置は、上記した液滴吐出装置を用い、ワーク上に機能液滴による成膜部を形成したことを特徴とする。
【0023】
これらの構成によれば、機能液滴吐出ヘッドの機能維持および機能回復を効率良く行うことができる液滴吐出装置により製造することで、ワークの生産性を向上させることができる。なお、電気光学装置(フラットパネルディスプレイ:FPD)としては、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、PDP装置、電子放出装置等が考えられる。なお、電子放出装置は、いわゆるFED(Field Emission Display)やSED(Surface-conduction Electron-Emitter Display)装置を含む概念である。さらに、電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等を包含する装置が考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して、本発明の機能液供給装置を適用した液滴吐出装置および機能液的吐出ヘッドの機能液充填方法について説明する。この液滴吐出装置は、フラットパネルディスプレイの製造ラインに組み込まれており、例えば、特殊なインクや発光性の樹脂液である機能液を導入した機能液滴吐出ヘッドを用い、液晶表示装置のカラーフィルタや有機EL装置の各画素となる発光素子等を形成するものである。
【0025】
図1に示すように、液滴吐出装置1は、機台2と、機能液滴吐出ヘッド17を有し、機台2上に十字状に載置された描画装置4と、描画装置4に接続した機能液供給装置5と、描画装置4に添設するように機台2上に載置したメンテナンス装置6と、これらを制御する制御装置7と、を備えている。液滴吐出装置1は、機能液供給装置5により機能液の供給を受けながら、制御装置7による制御に基づいて、供給された機能液を吐出させ、ワークWに所定の描画パターンを描画する。また、機能液滴吐出ヘッド17に対して、メンテナンス装置6がメンテナンスを行うようになっている。
【0026】
描画装置4は、ワークWを主走査(X軸方向に移動)させるX軸テーブル11およびX軸テーブル11に直交するY軸テーブル12から成るX・Y移動機構13と、Y軸テーブル12に移動自在に取り付けられたメインキャリッジ13と、メインキャリッジ13に垂設され、複数の機能液滴吐出ヘッド17を搭載したヘッドユニット14と、を有している。
【0027】
X軸テーブル11は、X軸方向の駆動系を構成するX軸モータ(図示省略)駆動のX軸スライダ15を有し、これに吸着テーブル16およびθテーブル3等から成るセットテーブル21を移動自在に搭載して構成されている。同様に、Y軸テーブル12は、Y軸方向の駆動系を構成するY軸モータ(図示省略)駆動のY軸スライダ19を有し、これにヘッドユニット14を支持する上記のメインキャリッジ13をY軸方向に移動自在に搭載して構成されている。なお、X軸テーブル11は、X軸方向に平行に配設されており、機台2上に直接支持されている。一方、Y軸テーブル12は、機台2上に立設した左右の支柱20に支持されており、X軸テーブル11およびメンテナンス装置6を跨ぐようにY軸方向に平行に延在している(図1および図2参照)。
【0028】
液滴吐出装置1では、X軸テーブル11およびY軸テーブル12が交わるエリアがワークWの描画を行う描画エリア27、Y軸テーブル12およびメンテナンス装置6が交わるエリアが機能液滴吐出ヘッド17に対する機能回復および機能維持の処理(メンテナンス)を行う保守エリア22となっており、ワークWに描画を行う場合には描画エリア27に、メンテナンスを行う場合には保守エリア22に、ヘッドユニット14を臨ませるようになっている。
【0029】
メインキャリッジ13は、図2に示すように、Y軸テーブル12のY軸スライダ19に下側から固定される外観「I」形の吊設部材23と、吊設部材23の下面に取り付けられ、ヘッドユニット14のθ方向に対する位置補正を行うためのθ回転機構24と、θ回転機構24の下方に吊設するよう取り付けたキャリッジ本体(キャリッジ)25と、で構成されている。キャリッジ本体25は、位置決め機構を有する枠状フレーム(図示省略)を有し、これに後述の支持フレーム26を介してヘッドユニット14を位置決め状態で固定されている。また、後述する各タンク61,64,65は、メインキャリッジ13上に配置されており、タンク側チューブ67によって、機能液滴吐出ヘッド17と連結している。
【0030】
支持フレーム26は、略方形の枠状に形成されており、図2に示すように、下側からヘッドユニット14、圧力調整弁31の順でこれらを位置決め状態で搭載している。なお、支持フレーム26には、一対のハンドル(図示省略)が取り付けられており、この一対のハンドルを手持ち部位として、支持フレーム26をメインキャリッジ13に着脱できるようになっている。
【0031】
図2に示すように、ヘッドユニット14は、機能液滴吐出ヘッド17と、ヘッド保持部材(図示省略)を介して機能液滴吐出ヘッド17を搭載するヘッドプレートと、を備えている。ヘッドプレートは、支持フレーム26に着脱自在に支持されており、ヘッドユニット14は、支持フレーム26を介してキャリッジ本体25に位置決めして搭載される。
【0032】
図3に示すように、機能液滴吐出ヘッド17は、いわゆる2連のインクジェットヘッドであり、2連の接続針41(機能液導入口)を有する機能液導入部42と、機能液導入部42に連なる2連のヘッド基板43と、ヘッド基板43の下方に連なり機能液で満たされるヘッド内流路44が内部に形成されたヘッド本体45と、を備えている。接続針41は、図外の機能液供給チューブ63に接続され、機能液滴吐出ヘッド17のヘッド本体45に機能液を供給する。ヘッド本体45は、複数の吐出ノズル46が開口したノズル面47を有するノズルプレート48と、ピエゾ圧電素子(図示省略)を設けた圧力室(図示省略)と、各圧力室と各吐出ノズル46とを流路接続する分岐流路(図示省略)と、を有している。ノズル面47には、各分岐流路に連なる多数(180個)の吐出ノズル46から成るノズル列49が形成されている。すなわち、接続針41(機能液導入口)、圧力室、分岐流路および吐出ノズル46に至る流路によりヘッド内流路44が構成されている。機能液滴吐出ヘッド17を吐出駆動すると、圧力室がポンプ様に作用し、吐出ノズル46から機能液滴を吐出させる。
【0033】
次に、図1を参照して、メンテナンス装置6について説明する。メンテナンス装置6は、液滴吐出装置1の非稼働時に、機能液滴吐出ヘッド17のノズル面を封止して吐出ノズル46の乾燥を防止すると共に、機能液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル46から増粘した機能液を吸引除去する保管・吸引ユニット51と、機能液滴吐出ヘッド17のノズル面47に付着する汚れを払拭するワイピングユニット52とを有している。これら両ユニット51,52は、機台2上にX軸方向に延在するように載置された移動テーブル53上に搭載され、この移動テーブル53によってX軸方向に移動可能に構成されている。
【0034】
保管・吸引ユニット51は、機能液滴吐出ヘッド17の捨て吐出を受けるフラッシングボックスの機能を兼ねる封止キャップ54と、封止キャップ54を昇降させるキャップ昇降機構55と、封止キャップ54に接続した状態で機能液滴吐出ヘッド17を吸引するエジェクタや吸引ポンプ等で構成される吸引機構56と、吸引機構56で吸引除去した廃液を回収する廃液タンク57と、を有している。描画休止時には、機能液滴吐出ヘッド17が移動テーブル53上の保守エリア22に移動しており、封止キャップ54は、機能液滴吐出ヘッド17から僅かに離れた位置で、機能液滴吐出ヘッド17のフラッシング(捨て吐出)を受ける。そして、機能液滴吐出ヘッド17が稼動待機状態になると、封止キャップ54が完全に上昇して機能液滴吐出ヘッド17のノズル面47のキャッピングを行い、各機能液滴吐出ヘッド17の全吐出ノズル46を封止する。続いて、キャッピング状態の機能液滴吐出ヘッド17を再駆動する際には、機能液の増粘によるノズル詰りを防止すべく、必要に応じて吸引機構56の駆動を行い、吐出ノズル46から増粘した機能液を吸引する。なお、詳細は後述するが、この吸引機構56および廃液タンク57は、機能液滴吐出ヘッド17に機能液を初期充填する際にも用いられる。
【0035】
同図に示すように、ワイピングユニット52には、ワイピングシート58が繰出し自在且つ巻取り自在に設けられており、繰り出したワイピングシート58を送りながら、且つ移動テーブル53によりワイピングユニット52をX軸方向に移動させつつ、機能液滴吐出ヘッド17のノズル面47を拭き取るようになっている。このため、上記吸引動作等により機能液滴吐出ヘッド17のノズル面に付着した機能液が取り除かれ、吐出した機能液滴の飛行曲がり等が防止される。なお、メンテナンス装置6として、上記の両ユニット51,52に加え、機能液滴吐出ヘッド17から吐出された機能液滴の飛行状態を検査する吐出検査ユニット(図示省略)等を、搭載することが好ましい。
【0036】
次に、図4の系統図を参照して、機能液供給装置5廻りの構成について説明する。機能液供給装置5は、支持フレーム26に支持されており、機能液を貯留する機能液タンク61と、洗浄液を貯留する洗浄液タンク62と、機能液タンク61および洗浄液タンク62と機能液滴吐出ヘッド17とを接続する機能液供給チューブ(機能液供給流路)63と、機能液供給チューブ63に介設した圧力調整弁31と、を有している。この場合、洗浄液タンク62は、装置の組立時やヘッドユニット14の交換時における、いわゆる機能液の機能液滴吐出ヘッド17への初期充填の際に用いるものであり、洗浄液としての機能液の溶媒を貯留する溶媒タンク64と、洗浄液としての界面活性剤を含む溶液を貯留する溶液タンク65と、で構成されている。なお、機能液タンク61は、パック式のタンクであってもよいし、図外のメインタンクから機能液の供給を受けるサブタンクであってもよい。
【0037】
機能液供給チューブ63は、各タンク61,64,65から継手66に至るタンク側チューブ67と、継手66から圧力調整弁31を経て機能液滴吐出ヘッド17に至るヘッド側チューブ68と、を有している。ヘッド側チューブ68は、ヘッドユニット14に組み込まれており、ヘッドユニット14と共に装置に搬入される。一方、各タンク61,64,65およびタンク側チューブ67は、メインキャリッジ13に搭載されており、ヘッドユニット14の交換時等において、タンク側チューブ67とヘッド側チューブ68とが継手66(ワンタッチ接続のカプラ)により離接されるようになっている。
【0038】
タンク側チューブ67は、上流端が溶媒タンク64に接続された溶媒タンク側短チューブ69と、上流端が溶液タンク65に接続された溶液タンク側短チューブ70と、洗浄液切替えバルブ71を介して両タンク側短チューブ69,70の下流端から継手66に至る主タンク側チューブ67と、上流端を機能液タンク61に接続されると共に、下流端を切替バルブ72を介して、主タンク側チューブ67に接続された機能液タンク側短チューブ73とで、構成されている。そして、主タンク側チューブ67の下流端に、主タンク側チューブ67とタンク側チューブ67をワンタッチ接続する継手66が接続されている。なお、請求項にいう流路切替え手段は、洗浄液切替えバルブ71および切替バルブ72により構成されている。
【0039】
ヘッド側チューブ68は、その上流端に継手66に接続されると共に下流端に機能液滴吐出ヘッド17が接続され、中間位置には圧力調整弁31が介設されている。詳細は後述するが、各タンク61,64,65に貯留している各液体は、両バルブ71,72を切り替えると共に、上記保管・吸引ユニット51の吸引機構56(エジェクタまたは吸引ポンプ)を駆動することで、機能液供給チューブ63を介して、機能液滴吐出ヘッド17に通液あるいは充填するようになっている。なお、請求項の機能液供給装置1は、実施形態の機能液供給装置5に保管・吸引ユニット51を加えたものである。
【0040】
圧力調整弁31は、機能液滴吐出ヘッド17の上流側近傍に配置されており、特に図示していないが、機能液タンク61、溶媒タンク64および溶液タンク65に連なる1次室と、機能液滴吐出ヘッド17に連なり液体が減圧される2次室と、1次室と2次室とを連通する連通流路と、連通流路に設けた弁体とを有し、いわゆる大気圧基準の減圧弁を構成している。機能液タンク61が高い位置にあっても、この圧力調整弁31により、機能液滴吐出ヘッド17のノズル面47における機能液の水頭が適切な値になるように調整される。また、1次室側と2次室側とは、弁体により縁切りされており、機能液タンク61側で発生した脈動等が機能液滴吐出ヘッド17まで伝わるのが防止されている(ダンパー機能)。すなわち、ワークWに対する描画に伴って、圧力調整弁31に送られてくる機能液の液圧は、経時的に変化するが、機能液滴吐出ヘッド17は、圧力調整弁31により常に一定の圧力で液滴を吐出するようになっている。
【0041】
制御装置7は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等により主要部が構成され、ワークWに対する描画動作、機能液滴吐出ヘッド17のメンテナンスおよび後述する各種の運転形態別に、両バルブ71,72を切り替え且つ吸引機構56を駆動して通液動作をなどを制御する。
【0042】
次に、上記の機能液供給装置5および上記の保管・吸引ユニット51を用いた機能液滴吐出ヘッド17における一連の機能液充填方法について、図4を参照して説明する。ヘッドユニット14の交換時等においては、継手66(雌側)から上流側のタンク側チューブ67には、それぞれ機能液や洗浄液が既に充填されており、ここでの機能液充填方法は、継手66(雄側)以降のヘッド側チューブ68および機能液滴吐出ヘッド17のヘッド内流路44に機能液を充填するものであり、請求項に言う機能液流路は、継手66以降の圧力調整弁31を含むヘッド側チューブおよびヘッド内流路44となる。この場合、機能液充填方法には、洗浄液を通液する洗浄動作と、機能液を充填する初期充填動作とが行われ、初期充填動作は、吸引による一般的な機能液滴吐出ヘッド17の初期充填に相当する。
【0043】
洗浄動作は、ヘッド側チューブ68および機能液滴吐出ヘッド17のヘッド内流路44に、機能液の溶媒を通液する第1溶媒通液動作と、溶媒と界面活性剤とを有する溶液を流路内に通液する溶液通液動作と、再度機能液の溶媒を流路内に通液する第2溶媒通液動作と、により行われる。
【0044】
第1溶媒通液動作では、まず、洗浄液切替えバルブ71を溶媒タンク64側に切り替えると共に、切替バルブ72を洗浄液タンク62側に切り替えて、溶媒タンク64と機能液滴吐出ヘッド17とを、機能液供給チューブ63を介して連通させた後、吸引機構56を駆動する。これにより、溶媒タンク64に貯留している溶媒は、溶媒タンク側短チューブ69および主タンク側チューブ67を経て、圧力調整弁31を含むヘッド側チューブ68および機能液滴吐出ヘッド17のヘッド内流路44に通液される。
【0045】
同様に、溶液通液動作では、まず、洗浄液切替えバルブ71を溶液タンク65側に切り替えると共に、切替バルブ72を洗浄液タンク62側に切り替えて、溶液タンク65と機能液滴吐出ヘッド17とを、機能液供給チューブ63を介して連通させた後、吸引機構56を駆動する。これにより、溶液タンク65に貯留している溶液を、圧力調整弁31を含むヘッド側チューブ68および機能液滴吐出ヘッド17のヘッド内流路44に通液する。
【0046】
第2溶媒通液動作では、再度、洗浄液切替えバルブ71を溶媒タンク64側に切り替えると共に、切替バルブ72を洗浄液タンク62側に切り替えて、溶媒タンク64と機能液滴吐出ヘッド17とを、機能液供給チューブ63を介して連通させた後、吸引機構56を駆動する。これにより、溶媒タンク64に貯留している溶媒を、圧力調整弁31を含むヘッド側チューブ68および機能液滴吐出ヘッド17のヘッド内流路44に通液する。
【0047】
以上の洗浄動作が完了すると続いて初期充填動作に移行する。初期充填動作では、切替バルブ72を機能液タンク61側に切り替えて、機能液タンク61と機能液滴吐出ヘッド17とを、機能液供給チューブ63を介して連通させる。そして、吸引機構56を駆動することで、機能液タンク61に貯留している機能液を、圧力調整弁31を含むヘッド側チューブ68および機能液滴吐出ヘッド17のヘッド内流路44に通液する。この通液を所定時間行った後、吸引機構56を停止して初期充填を完了する。なお、初期充填の後、機能液滴吐出ヘッド17のワイピングを行って、機能液滴吐出ヘッド17を描画待機状態とする。
【0048】
以上によれば、機能液の溶媒をヘッド側チューブ68および機能液滴吐出ヘッド17のヘッド内流路44に通液することで、ヘッド側チューブ68およびヘッド内流路44を機能液に対して親和性を高めた後、界面活性剤を含む溶液を通液することで流路内の隅部に行き渡らせると共に、異物を除去することができる。そして、再度機能液の溶媒を通液することで、流路内に残留している界面活性剤を洗い流し、流路内の界面活性剤を機能液と置換する。これにより、特に継手66や圧力調整弁31の内部の狭い部分に気泡が残留することなく、機能液をヘッド側チューブ68および機能液滴吐出ヘッド17に充填することができる。
【0049】
なお、洗浄動作は、機能液の溶媒あるいは溶液を通液するだけでもよく、洗浄の順序および洗浄の回数が限定されるものではない。
【0050】
次に、本実施形態の液滴吐出装置1を用いて製造される電気光学装置(フラットパネルディスプレイ)として、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、プラズマディスプレイ(PDP装置)、電子放出装置(FED装置、SED装置)、さらにこれら表示装置に形成されてなるアクティブマトリクス基板等を例に、これらの構造およびその製造方法について説明する。なお、アクティブマトリクス基板とは、薄膜トランジスタ、および薄膜トランジスタに電気的に接続するソース線、データ線が形成された基板をいう。
【0051】
まず、液晶表示装置や有機EL装置等に組み込まれるカラーフィルタの製造方法について説明する。図5は、カラーフィルタの製造工程を示すフローチャート、図6は、製造工程順に示した本実施形態のカラーフィルタ500(フィルタ基体500A)の模式断面図である。
まず、ブラックマトリクス形成工程(S101)では、図6(a)に示すように、基板(W)501上にブラックマトリクス502を形成する。ブラックマトリクス502は、金属クロム、金属クロムと酸化クロムの積層体、または樹脂ブラック等により形成される。金属薄膜からなるブラックマトリクス502を形成するには、スパッタ法や蒸着法等を用いることができる。また、樹脂薄膜からなるブラックマトリクス502を形成する場合には、グラビア印刷法、フォトレジスト法、熱転写法等を用いることができる。
【0052】
続いて、バンク形成工程(S102)において、ブラックマトリクス502上に重畳する状態でバンク503を形成する。即ち、まず図6(b)に示すように、基板501およびブラックマトリクス502を覆うようにネガ型の透明な感光性樹脂からなるレジスト層504を形成する。そして、その上面をマトリクスパターン形状に形成されたマスクフィルム505で被覆した状態で露光処理を行う。
さらに、図6(c)に示すように、レジスト層504の未露光部分をエッチング処理することによりレジスト層504をパターニングして、バンク503を形成する。なお、樹脂ブラックによりブラックマトリクスを形成する場合は、ブラックマトリクスとバンクとを兼用することが可能となる。
このバンク503とその下のブラックマトリクス502は、各画素領域507aを区画する区画壁部507bとなり、後の着色層形成工程において機能液滴吐出ヘッド17により着色層(成膜部)508R、508G、508Bを形成する際に機能液滴の着弾領域を規定する。
【0053】
以上のブラックマトリクス形成工程およびバンク形成工程を経ることにより、上記フィルタ基体500Aが得られる。
なお、本実施形態においては、バンク503の材料として、塗膜表面が疎液(疎水)性となる樹脂材料を用いている。そして、基板(ガラス基板)501の表面が親液(親水)性であるので、後述する着色層形成工程においてバンク503(区画壁部507b)に囲まれた各画素領域507a内への液滴の着弾位置のばらつきを自動補正できる。
【0054】
次に、着色層形成工程(S103)では、図6(d)に示すように、機能液滴吐出ヘッド17によって機能液滴を吐出して区画壁部507bで囲まれた各画素領域507a内に着弾させる。この場合、機能液滴吐出ヘッド17を用いて、R・G・Bの3色の機能液(フィルタ材料)を導入して、機能液滴の吐出を行う。なお、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0055】
その後、乾燥処理(加熱等の処理)を経て機能液を定着させ、3色の着色層508R、508G、508Bを形成する。着色層508R、508G、508Bを形成したならば、保護膜形成工程(S104)に移り、図6(e)に示すように、基板501、区画壁部507b、および着色層508R、508G、508Bの上面を覆うように保護膜509を形成する。
即ち、基板501の着色層508R、508G、508Bが形成されている面全体に保護膜用塗布液が吐出された後、乾燥処理を経て保護膜509が形成される。
そして、保護膜509を形成した後、カラーフィルタ500は、次工程の透明電極となるITO(Indium Tin Oxide)などの膜付け工程に移行する。
【0056】
図7は、上記のカラーフィルタ500を用いた液晶表示装置の一例としてのパッシブマトリックス型液晶装置(液晶装置)の概略構成を示す要部断面図である。この液晶装置520に、液晶駆動用IC、バックライト、支持体などの付帯要素を装着することによって、最終製品としての透過型液晶表示装置が得られる。なお、カラーフィルタ500は図12に示したものと同一であるので、対応する部位には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0057】
この液晶装置520は、カラーフィルタ500、ガラス基板等からなる対向基板521、および、これらの間に挟持されたSTN(Super Twisted Nematic)液晶組成物からなる液晶層522により概略構成されており、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置している。
なお、図示していないが、対向基板521およびカラーフィルタ500の外面(液晶層522側とは反対側の面)には偏光板がそれぞれ配設され、また対向基板521側に位置する偏光板の外側には、バックライトが配設されている。
【0058】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層側)には、図13において左右方向に長尺な短冊状の第1電極523が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極523のカラーフィルタ500側とは反対側の面を覆うように第1配向膜524が形成されている。
一方、対向基板521におけるカラーフィルタ500と対向する面には、カラーフィルタ500の第1電極523と直交する方向に長尺な短冊状の第2電極526が所定の間隔で複数形成され、この第2電極526の液晶層522側の面を覆うように第2配向膜527が形成されている。これらの第1電極523および第2電極526は、ITOなどの透明導電材料により形成されている。
【0059】
液晶層522内に設けられたスペーサ528は、液晶層522の厚さ(セルギャップ)を一定に保持するための部材である。また、シール材529は液晶層522内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するための部材である。なお、第1電極523の一端部は引き回し配線523aとしてシール材529の外側まで延在している。
そして、第1電極523と第2電極526とが交差する部分が画素であり、この画素となる部分に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0060】
通常の製造工程では、カラーフィルタ500に、第1電極523のパターニングおよび第1配向膜524の塗布を行ってカラーフィルタ500側の部分を作成すると共に、これとは別に対向基板521に、第2電極526のパターニングおよび第2配向膜527の塗布を行って対向基板521側の部分を作成する。その後、対向基板521側の部分にスペーサ528およびシール材529を作り込み、この状態でカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる。次いで、シール材529の注入口から液晶層522を構成する液晶を注入し、注入口を閉止する。その後、両偏光板およびバックライトを積層する。
【0061】
実施形態の液滴吐出装置1は、例えば上記のセルギャップを構成するスペーサ材料(機能液)を塗布すると共に、対向基板521側の部分にカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる前に、シール材529で囲んだ領域に液晶(機能液)を均一に塗布することが可能である。また、上記のシール材529の印刷を、機能液滴吐出ヘッド17で行うことも可能である。さらに、第1・第2両配向膜524,527の塗布を機能液滴吐出ヘッド17で行うことも可能である。
【0062】
図8は、本実施形態において製造したカラーフィルタ500を用いた液晶装置の第2の例の概略構成を示す要部断面図である。
この液晶装置530が上記液晶装置520と大きく異なる点は、カラーフィルタ500を図中下側(観測者側とは反対側)に配置した点である。
この液晶装置530は、カラーフィルタ500とガラス基板等からなる対向基板531との間にSTN液晶からなる液晶層532が挟持されて概略構成されている。なお、図示していないが、対向基板531およびカラーフィルタ500の外面には偏光板等がそれぞれ配設されている。
【0063】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層532側)には、図中奥行き方向に長尺な短冊状の第1電極533が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極533の液晶層532側の面を覆うように第1配向膜534が形成されている。
対向基板531のカラーフィルタ500と対向する面上には、カラーフィルタ500側の第1電極533と直交する方向に延在する複数の短冊状の第2電極536が所定の間隔で形成され、この第2電極536の液晶層532側の面を覆うように第2配向膜537が形成されている。
【0064】
液晶層532には、この液晶層532の厚さを一定に保持するためのスペーサ538と、液晶層532内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するためのシール材539が設けられている。
そして、上記した液晶装置520と同様に、第1電極533と第2電極536との交差する部分が画素であり、この画素となる部位に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0065】
図9は、本発明を適用したカラーフィルタ500を用いて液晶装置を構成した第3の例を示したもので、透過型のTFT(Thin Film Transistor)型液晶装置の概略構成を示す分解斜視図である。
この液晶装置550は、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置したものである。
【0066】
この液晶装置550は、カラーフィルタ500と、これに対向するように配置された対向基板551と、これらの間に挟持された図示しない液晶層と、カラーフィルタ500の上面側(観測者側)に配置された偏光板555と、対向基板551の下面側に配設された偏光板(図示せず)とにより概略構成されている。
カラーフィルタ500の保護膜509の表面(対向基板551側の面)には液晶駆動用の電極556が形成されている。この電極556は、ITO等の透明導電材料からなり、後述の画素電極560が形成される領域全体を覆う全面電極となっている。また、この電極556の画素電極560とは反対側の面を覆った状態で配向膜557が設けられている。
【0067】
対向基板551のカラーフィルタ500と対向する面には絶縁層558が形成されており、この絶縁層558上には、走査線561および信号線562が互いに直交する状態で形成されている。そして、これらの走査線561と信号線562とに囲まれた領域内には画素電極560が形成されている。なお、実際の液晶装置では、画素電極560上に配向膜が設けられるが、図示を省略している。
【0068】
また、画素電極560の切欠部と走査線561と信号線562とに囲まれた部分には、ソース電極、ドレイン電極、半導体、およびゲート電極とを具備する薄膜トランジスタ563が組み込まれて構成されている。そして、走査線561と信号線562に対する信号の印加によって薄膜トランジスタ563をオン・オフして画素電極560への通電制御を行うことができるように構成されている。
【0069】
なお、上記の各例の液晶装置520,530,550は、透過型の構成としたが、反射層あるいは半透過反射層を設けて、反射型の液晶装置あるいは半透過反射型の液晶装置とすることもできる。
【0070】
次に、図10は、有機EL装置の表示領域(以下、単に表示装置600と称する)の要部断面図である。
【0071】
この表示装置600は、基板(W)601上に、回路素子部602、発光素子部603および陰極604が積層された状態で概略構成されている。
この表示装置600においては、発光素子部603から基板601側に発した光が、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されると共に、発光素子部603から基板601の反対側に発した光が陰極604により反射された後、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されるようになっている。
【0072】
回路素子部602と基板601との間にはシリコン酸化膜からなる下地保護膜606が形成され、この下地保護膜606上(発光素子部603側)に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜607が形成されている。この半導体膜607の左右の領域には、ソース領域607aおよびドレイン領域607bが高濃度陽イオン打ち込みによりそれぞれ形成されている。そして陽イオンが打ち込まれない中央部がチャネル領域607cとなっている。
【0073】
また、回路素子部602には、下地保護膜606および半導体膜607を覆う透明なゲート絶縁膜608が形成され、このゲート絶縁膜608上の半導体膜607のチャネル領域607cに対応する位置には、例えばAl、Mo、Ta、Ti、W等から構成されるゲート電極609が形成されている。このゲート電極609およびゲート絶縁膜608上には、透明な第1層間絶縁膜611aと第2層間絶縁膜611bが形成されている。また、第1、第2層間絶縁膜611a、611bを貫通して、半導体膜607のソース領域607a、ドレイン領域607bにそれぞれ連通するコンタクトホール612a,612bが形成されている。
【0074】
そして、第2層間絶縁膜611b上には、ITO等からなる透明な画素電極613が所定の形状にパターニングされて形成され、この画素電極613は、コンタクトホール612aを通じてソース領域607aに接続されている。
また、第1層間絶縁膜611a上には電源線614が配設されており、この電源線614は、コンタクトホール612bを通じてドレイン領域607bに接続されている。
【0075】
このように、回路素子部602には、各画素電極613に接続された駆動用の薄膜トランジスタ615がそれぞれ形成されている。
【0076】
上記発光素子部603は、複数の画素電極613上の各々に積層された機能層617と、各画素電極613および機能層617の間に備えられて各機能層617を区画するバンク部618とにより概略構成されている。
これら画素電極613、機能層617、および、機能層617上に配設された陰極604によって発光素子が構成されている。なお、画素電極613は、平面視略矩形状にパターニングされて形成されており、各画素電極613の間にバンク部618が形成されている。
【0077】
バンク部618は、例えばSiO、SiO2、TiO2等の無機材料により形成される無機物バンク層618a(第1バンク層)と、この無機物バンク層618a上に積層され、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶媒性に優れたレジストにより形成される断面台形状の有機物バンク層618b(第2バンク層)とにより構成されている。このバンク部618の一部は、画素電極613の周縁部上に乗上げた状態で形成されている。
そして、各バンク部618の間には、画素電極613に対して上方に向けて次第に拡開した開口部619が形成されている。
【0078】
上記機能層617は、開口部619内において画素電極613上に積層状態で形成された正孔注入/輸送層617aと、この正孔注入/輸送層617a上に形成された発光層617bとにより構成されている。なお、この発光層617bに隣接してその他の機能を有する他の機能層をさらに形成しても良い。例えば、電子輸送層を形成することも可能である。
正孔注入/輸送層617aは、画素電極613側から正孔を輸送して発光層617bに注入する機能を有する。この正孔注入/輸送層617aは、正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物(機能液)を吐出することで形成される。正孔注入/輸送層形成材料としては、公知の材料を用いる。
【0079】
発光層617bは、赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)のいずれかに発光するもので、発光層形成材料(発光材料)を含む第2組成物(機能液)を吐出することで形成される。第2組成物の溶媒(非極性溶媒)としては、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な公知の材料を用いることが好ましく、このような非極性溶媒を発光層617bの第2組成物に用いることにより、正孔注入/輸送層617aを再溶解させることなく発光層617bを形成することができる。
【0080】
そして、発光層617bでは、正孔注入/輸送層617aから注入された正孔と、陰極604から注入される電子が発光層で再結合して発光するように構成されている。
【0081】
陰極604は、発光素子部603の全面を覆う状態で形成されており、画素電極613と対になって機能層617に電流を流す役割を果たす。なお、この陰極604の上部には図示しない封止部材が配置される。
【0082】
次に、上記の表示装置600の製造工程を図11〜図19を参照して説明する。
この表示装置600は、図11に示すように、バンク部形成工程(S111)、表面処理工程(S112)、正孔注入/輸送層形成工程(S113)、発光層形成工程(S114)、および対向電極形成工程(S115)を経て製造される。なお、製造工程は例示するものに限られるものではなく必要に応じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合もある。
【0083】
まず、バンク部形成工程(S111)では、図12に示すように、第2層間絶縁膜611b上に無機物バンク層618aを形成する。この無機物バンク層618aは、形成位置に無機物膜を形成した後、この無機物膜をフォトリソグラフィ技術等によりパターニングすることにより形成される。このとき、無機物バンク層618aの一部は画素電極613の周縁部と重なるように形成される。
無機物バンク層618aを形成したならば、図13に示すように、無機物バンク層618a上に有機物バンク層618bを形成する。この有機物バンク層618bも無機物バンク層618aと同様にフォトリソグラフィ技術等によりパターニングして形成される。
このようにしてバンク部618が形成される。また、これに伴い、各バンク部618間には、画素電極613に対して上方に開口した開口部619が形成される。この開口部619は、画素領域を規定する。
【0084】
表面処理工程(S112)では、親液化処理および撥液化処理が行われる。親液化処理を施す領域は、無機物バンク層618aの第1積層部618aaおよび画素電極613の電極面613aであり、これらの領域は、例えば酸素を処理ガスとするプラズマ処理によって親液性に表面処理される。このプラズマ処理は、画素電極613であるITOの洗浄等も兼ねている。
また、撥液化処理は、有機物バンク層618bの壁面618sおよび有機物バンク層618bの上面618tに施され、例えば四フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化処理(撥液性に処理)される。
この表面処理工程を行うことにより、機能液滴吐出ヘッド17を用いて機能層617を形成する際に、機能液滴を画素領域に、より確実に着弾させることができ、また、画素領域に着弾した機能液滴が開口部619から溢れ出るのを防止することが可能となる。
【0085】
そして、以上の工程を経ることにより、表示装置基体600Aが得られる。この表示装置基体600Aは、図1に示した液滴吐出装置1のセットテーブル21に載置され、以下の正孔注入/輸送層形成工程(S113)および発光層形成工程(S114)が行われる。
【0086】
図14に示すように、正孔注入/輸送層形成工程(S113)では、機能液滴吐出ヘッド17から正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物を画素領域である各開口部619内に吐出する。その後、図15に示すように、乾燥処理および熱処理を行い、第1組成物に含まれる極性溶媒を蒸発させ、画素電極(電極面613a)613上に正孔注入/輸送層617aを形成する。
【0087】
次に発光層形成工程(S114)について説明する。この発光層形成工程では、上述したように、正孔注入/輸送層617aの再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いる第2組成物の溶媒として、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な非極性溶媒を用いる。
しかしその一方で、正孔注入/輸送層617aは、非極性溶媒に対する親和性が低いため、非極性溶媒を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617a上に吐出しても、正孔注入/輸送層617aと発光層617bとを密着させることができなくなるか、あるいは発光層617bを均一に塗布できない虞がある。
そこで、非極性溶媒並びに発光層形成材料に対する正孔注入/輸送層617aの表面の親和性を高めるために、発光層形成の前に表面処理(表面改質処理)を行うことが好ましい。この表面処理は、発光層形成の際に用いる第2組成物の非極性溶媒と同一溶媒またはこれに類する溶媒である表面改質材を、正孔注入/輸送層617a上に塗布し、これを乾燥させることにより行う。
このような処理を施すことで、正孔注入/輸送層617aの表面が非極性溶媒になじみやすくなり、この後の工程で、発光層形成材料を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617aに均一に塗布することができる。
【0088】
そして次に、図16に示すように、各色のうちのいずれか(図16の例では青色(B))に対応する発光層形成材料を含有する第2組成物を機能液滴として画素領域(開口部619)内に所定量打ち込む。画素領域内に打ち込まれた第2組成物は、正孔注入/輸送層617a上に広がって開口部619内に満たされる。なお、万一、第2組成物が画素領域から外れてバンク部618の上面618t上に着弾した場合でも、この上面618tは、上述したように撥液処理が施されているので、第2組成物が開口部619内に転がり込み易くなっている。
【0089】
その後、乾燥工程等を行うことにより、吐出後の第2組成物を乾燥処理し、第2組成物に含まれる非極性溶媒を蒸発させ、図17に示すように、正孔注入/輸送層617a上に発光層617bが形成される。この図の場合、青色(B)に対応する発光層617bが形成されている。
【0090】
同様に、機能液滴吐出ヘッド17を用い、図18に示すように、上記した青色(B)に対応する発光層617bの場合と同様の工程を順次行い、他の色(赤色(R)および緑色(G))に対応する発光層617bを形成する。なお、発光層617bの形成順序は、例示した順序に限られるものではなく、どのような順番で形成しても良い。例えば、発光層形成材料に応じて形成する順番を決めることも可能である。また、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0091】
以上のようにして、画素電極613上に機能層617、即ち、正孔注入/輸送層617aおよび発光層617bが形成される。そして、対向電極形成工程(S115)に移行する。
【0092】
対向電極形成工程(S115)では、図19に示すように、発光層617bおよび有機物バンク層618bの全面に陰極604(対向電極)を、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等によって形成する。この陰極604は、本実施形態においては、例えば、カルシウム層とアルミニウム層とが積層されて構成されている。
この陰極604の上部には、電極としてのAl膜、Ag膜や、その酸化防止のためのSiO2、SiN等の保護層が適宜設けられる。
【0093】
このようにして陰極604を形成した後、この陰極604の上部を封止部材により封止する封止処理や配線処理等のその他処理等を施すことにより、表示装置600が得られる。
【0094】
次に、図20は、プラズマ型表示装置(PDP装置:以下、単に表示装置700と称する)の要部分解斜視図である。なお、同図では表示装置700を、その一部を切り欠いた状態で示してある。
この表示装置700は、互いに対向して配置された第1基板701、第2基板702、およびこれらの間に形成される放電表示部703を含んで概略構成される。放電表示部703は、複数の放電室705により構成されている。これらの複数の放電室705のうち、赤色放電室705R、緑色放電室705G、青色放電室705Bの3つの放電室705が組になって1つの画素を構成するように配置されている。
【0095】
第1基板701の上面には所定の間隔で縞状にアドレス電極706が形成され、このアドレス電極706と第1基板701の上面とを覆うように誘電体層707が形成されている。誘電体層707上には、各アドレス電極706の間に位置し、且つ各アドレス電極706に沿うように隔壁708が立設されている。この隔壁708は、図示するようにアドレス電極706の幅方向両側に延在するものと、アドレス電極706と直交する方向に延設された図示しないものを含む。
そして、この隔壁708によって仕切られた領域が放電室705となっている。
【0096】
放電室705内には蛍光体709が配置されている。蛍光体709は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の蛍光を発光するもので、赤色放電室705Rの底部には赤色蛍光体709Rが、緑色放電室705Gの底部には緑色蛍光体709Gが、青色放電室705Bの底部には青色蛍光体709Bが各々配置されている。
【0097】
第2基板702の図中下側の面には、上記アドレス電極706と直交する方向に複数の表示電極711が所定の間隔で縞状に形成されている。そして、これらを覆うように誘電体層712、およびMgOなどからなる保護膜713が形成されている。
第1基板701と第2基板702とは、アドレス電極706と表示電極711が互いに直交する状態で対向させて貼り合わされている。なお、上記アドレス電極706と表示電極711は図示しない交流電源に接続されている。
そして、各電極706,711に通電することにより、放電表示部703において蛍光体709が励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0098】
本実施形態においては、上記アドレス電極706、表示電極711、および蛍光体709を、図1に示した液滴吐出装置1を用いて形成することができる。以下、第1基板701におけるアドレス電極706の形成工程を例示する。
この場合、第1基板701を液滴吐出装置1のセットテーブル21に載置された状態で以下の工程が行われる。
まず、機能液滴吐出ヘッド17により、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴としてアドレス電極形成領域に着弾させる。この液体材料は、導電膜配線形成用材料として、金属等の導電性微粒子を分散媒に分散したものである。この導電性微粒子としては、金、銀、銅、パラジウム、またはニッケル等を含有する金属微粒子や、導電性ポリマー等が用いられる。
【0099】
補充対象となるすべてのアドレス電極形成領域について液体材料の補充が終了したならば、吐出後の液体材料を乾燥処理し、液体材料に含まれる分散媒を蒸発させることによりアドレス電極706が形成される。
【0100】
ところで、上記においてはアドレス電極706の形成を例示したが、上記表示電極711および蛍光体709についても上記各工程を経ることにより形成することができる。
表示電極711の形成の場合、アドレス電極706の場合と同様に、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴として表示電極形成領域に着弾させる。
また、蛍光体709の形成の場合には、各色(R,G,B)に対応する蛍光材料を含んだ液体材料(機能液)を機能液滴吐出ヘッド17から液滴として吐出し、対応する色の放電室705内に着弾させる。
【0101】
次に、図21は、電子放出装置(FED装置あるいはSED装置ともいう:以下、単に表示装置800と称する)の要部断面図である。なお、同図では表示装置800を、その一部を断面として示してある。
この表示装置800は、互いに対向して配置された第1基板801、第2基板802、およびこれらの間に形成される電界放出表示部803を含んで概略構成される。電界放出表示部803は、マトリクス状に配置した複数の電子放出部805により構成されている。
【0102】
第1基板801の上面には、カソード電極806を構成する第1素子電極806aおよび第2素子電極806bが相互に直交するように形成されている。また、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bで仕切られた部分には、ギャップ808を形成した導電性膜807が形成されている。すなわち、第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807により複数の電子放出部805が構成されている。導電性膜807は、例えば酸化パラジウム(PdO)等で構成され、またギャップ808は、導電性膜807を成膜した後、フォーミング等で形成される。
【0103】
第2基板802の下面には、カソード電極806に対峙するアノード電極809が形成されている。アノード電極809の下面には、格子状のバンク部811が形成され、このバンク部811で囲まれた下向きの各開口部812に、電子放出部805に対応するように蛍光体813が配置されている。蛍光体813は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の蛍光を発光するもので、各開口部812には、赤色蛍光体813R、緑色蛍光体813Gおよび青色蛍光体813Bが、上記した所定のパターンで配置されている。
【0104】
そして、このように構成した第1基板801と第2基板802とは、微小な間隙を存して貼り合わされている。この表示装置800では、導電性膜(ギャップ808)807を介して、陰極である第1素子電極806aまたは第2素子電極806bから飛び出す電子を、陽極であるアノード電極809に形成した蛍光体813に当てて励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0105】
この場合も、他の実施形態と同様に、第1素子電極806a、第2素子電極806b、導電性膜807およびアノード電極809を、液滴吐出装置1を用いて形成することができると共に、各色の蛍光体813R,813G,813Bを、液滴吐出装置1を用いて形成することができる。
【0106】
第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807は、図22(a)に示す平面形状を有しており、これらを成膜する場合には、図22(b)に示すように、予め第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807を作り込む部分を残して、バンク部BBを形成(フォトリソグラフィ法)する。次に、バンク部BBにより構成された溝部分に、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bを形成(液滴吐出装置1によるインクジェット法)し、その溶剤を乾燥させて成膜を行った後、導電性膜807を形成(液滴吐出装置1によるインクジェット法)する。そして、導電性膜807を成膜後、バンク部BBを取り除き(アッシング剥離処理)、上記のフォーミング処理に移行する。なお、上記の有機EL装置の場合と同様に、第1基板801および第2基板802に対する親液化処理や、バンク部811,BBに対する撥液化処理を行うことが、好ましい。
【0107】
また、他の電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等の装置が考えられる。上記した液滴吐出装置1を各種の電気光学装置(デバイス)の製造に用いることにより、各種の電気光学装置を効率的に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】液滴吐出装置の平面模式図である。
【図2】液滴吐出装置の側面模式図である。
【図3】機能液滴吐出ヘッドの外観斜視図である。
【図4】機能液供給装置の系統図である。
【図5】カラーフィルタ製造工程を説明するフローチャートである。
【図6】(a)〜(e)は、製造工程順に示したカラーフィルタの模式断面図である。
【図7】本発明を適用したカラーフィルタを用いた液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図8】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第2の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図9】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第3の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図10】有機EL装置である表示装置の要部断面図である。
【図11】有機EL装置である表示装置の製造工程を説明するフローチャートである。
【図12】無機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図13】有機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図14】正孔注入/輸送層を形成する過程を説明する工程図である。
【図15】正孔注入/輸送層が形成された状態を説明する工程図である。
【図16】青色の発光層を形成する過程を説明する工程図である。
【図17】青色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図18】各色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図19】陰極の形成を説明する工程図である。
【図20】プラズマ型表示装置(PDP装置)である表示装置の要部分解斜視図である。
【図21】電子放出装置(FED装置)である表示装置の要部断面図である。
【図22】表示装置の電子放出部廻りの平面図(a)およびその形成方法を示す平面図(b)である。
【符号の説明】
【0109】
1…液滴吐出装置 4…描画装置 5…機能液供給装置 7…制御装置 17…機能液滴吐出ヘッド 44…ヘッド内流路 46…吐出ノズル 62…洗浄液タンク 64…溶媒タンク 65…溶液タンク 71…洗浄液切替バルブ 72…切替えバルブ 56…吸引機構 61…機能液タンク 67…タンク側チューブ 68…ヘッド側チューブ W…ワーク
【技術分野】
【0001】
機能液タンクから機能液滴吐出ヘッドに至る機能液流路および機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に、機能液を充填する機能液滴吐出ヘッドの機能液充填方法、機能液供給装置および液滴吐出装置、並びに電気光学装置の製造方法および電気光学装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のインク充填方法(機能液充填方法)として、予め界面活性剤溶液あるいは着色成分を除いたインク溶液を保存液としてインクジェットヘッドのヘッド内流路に充填させ、インクジェットヘッドのノズル面側からインクと共に吸引することで、インクを充填する方法が知られている(特許文献1参照)。このような充填方法では、界面活性剤により保存液の表面張力を弱めることで濡れ性を高め、インクジェットヘッドのヘッド内流路の隅々まで保存液を行き渡らせた後、保存液とインクとを置換することができる。
【特許文献1】特開2004−114647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来のインク充填方法では、インクジェットヘッドのヘッド内流路に、気泡を残留させることなくインクを充填することができるが、インクタンクからインクジェットヘッドに至るまでのインク流路では、保存液が充填されていないため、インク充填時に、流路内に気泡が残留してしまう問題が生じる。また、界面活性剤を保存液としてヘッド内流路に長時間充填しておくと、保存液中の不純物が析出して目詰まりが生じてしまうおそれがある。さらに、保存液がヘッド内流路の狭い部分に残り易く、初期充填時に、保存液とインクとが置換せず保存液がインクジェットヘッド内に残留してしまう。その結果、初期充填時に多量のインクを無駄に流すことになったり、経時的に保存液とインクの構成成分とが反応して、副生成物を生産してしまうおそれがある。
【0004】
本発明は、機能液タンクから機能液的吐出ヘッドに至るまでの機能液流路および機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に、気泡を残すことなく、機能液の初期充填を行うことができる機能液滴吐出ヘッドの機能液充填方法、機能液供給装置および液滴吐出装置、並びに電気光学装置の製造方法および電気光学装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の機能液滴吐出ヘッドの機能液充填方法は、機能液流路を介して、機能液タンクからインクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドに機能液を導入し、機能液流路および機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に対し機能液の初期充填を行う初期充填工程と、初期充填工程に先立ち、機能液流路および機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に洗浄液を通液する洗浄液通液工程と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、本発明の機能液供給装置は、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドに機能液を供給する機能液タンクと、機能液滴吐出ヘッドに洗浄液を供給する洗浄液タンクと、機能液タンクおよび洗浄タンクと、機能液滴吐出ヘッドとを接続する機能液流路と、機能液流路の上流端を、機能液タンクと洗浄タンクとの間で流路切替えする流路切替え手段と、機能液滴吐出ヘッドのノズル面に離接自在に密接し、機能液および洗浄液を個々に吸引する吸引手段と、流路切替え手段および吸引手段を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、機能液流路を機能液タンク側に切り替えると共に吸引手段を駆動して、機能液流路および機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に機能液を充填する初期充填動作に先立ち、機能液流路を洗浄液タンク側に切り替えると共に吸引手段を駆動して、機能液流路および機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に洗浄液を通液する洗浄液通液動作を実行することを特徴とする。
【0007】
これらの構成によれば、機能液流路および機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に機能液を充填する前に、洗浄液によってこれら流路内を洗浄するため、これら流路内の異物を洗い流すことができるだけでなく、継手の隅部等に残り易い気泡を洗い流し、流路内面に膜として残る。このため、次に機能液を充填すると、機能液が洗浄液を洗い流すように機能液と置換し、初期充填状態で、機能液流路およびヘッド内流路に気泡が残ることがない。したがって、気泡による機能液滴吐出ヘッドの吐出不良を有効に防止することができる。
【0008】
この場合、洗浄液通液工程では、洗浄液として機能液の溶媒を用いること、或いは洗浄液として界面活性剤を含む溶液を用いることが、好ましい。
【0009】
また、この場合、洗浄液が、機能液の溶媒および界面活性剤を含む溶液のいずれかであることが、好ましい。
【0010】
これらの構成によれば、機能液流路および機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路の機能液に対する親和性を向上させることができ、気泡の残留を有効に防止することができる。なお、界面活性剤は、ブチルジグリコールアセテートであることが好ましい。
【0011】
この場合、洗浄液通液工程では、洗浄液として機能液の溶媒および界面活性剤を含む溶液を用い、溶媒を通液した後、溶液を通液することが、好ましい。
【0012】
また、この場合、洗浄液が、機能液の溶媒および界面活性剤を含む溶液であり、洗浄液タンクは、溶媒を貯留する溶媒タンクと、溶液を貯留する溶液タンクとから成り、流路切り替え手段は、機能液タンクと溶媒タンクと溶液タンクとの相互間で、流路切替え可能に構成され、制御手段は、洗浄液通液動作において、機能液流路を溶媒タンク側に切り替えると共に吸引手段を駆動して、機能液流路および機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に溶媒を通液する溶媒通液動作の後、機能液流路を溶液タンク側に切り替えると共に吸引手段を駆動して、機能液流路および機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に溶液を通液する溶液通液動作を実行することが、好ましい。
【0013】
これらの構成によれば、溶媒により、吐出試験等に用いた機能液をヘッド内流路から円滑に洗い流すことができると共に、溶液により、機能液流路およびヘッド内流路の機能液に対する親和性を向上させることができる。したがって、機能液を初期充填したときに、機能液流路およびヘッド内流路に気泡が残るのを有効に防止することができる。
【0014】
この場合、洗浄液通液工程では、洗浄液として機能液の溶媒および界面活性剤を含む溶液を用い、溶媒を通液した後、溶液を通液し、再度溶媒を通液することが、好ましい。
【0015】
また、この場合、洗浄液が、機能液の溶媒および界面活性剤を含む溶液であり、洗浄液タンクは、溶媒を貯留する溶媒タンクと、溶液を貯留する溶液タンクとから成り、流路切り替え手段は、機能液タンクと溶媒タンクと溶液タンクとの相互間で、流路切替え可能に構成され、制御手段は、洗浄液通液動作において、機能液流路を溶媒タンク側に切り替えると共に吸引手段を駆動して、機能液流路および機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に溶媒を通液する溶媒通液動作の後、機能液流路を溶液タンク側に切り替えると共に吸引手段を駆動して、機能液流路および機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に溶液を通液する溶液通液動作を実行し、再度溶媒通液動作を実行することをが、好ましい。
【0016】
これらの構成によれば、濡れ性が向上した機能液流路およびヘッド内流路に、再度、機能液の溶媒を通液するため、流路内に残留している界面活性剤を完全に洗い流すことができ、界面活性剤が機能液に混入するのを確実に防止することができる。
【0017】
この場合、初期充填工程では、機能液流路を機能液タンクに接続した状態で、機能液滴吐出ヘッドの吐出ノズルから機能液を吸引することで、初期充填が行われ、洗浄液通液工程では、機能液流路を機能液タンクから洗浄液タンクに切替え接続した状態で、機能液滴吐出ヘッドの吐出ノズルから洗浄液を吸引することで、通液が行われることが、好ましい。
【0018】
この構成によれば、機能液の初期充填と同様の吸引動作で、洗浄液の通液を行うことができるため、装置構成を単純化することができる。
【0019】
本発明の液滴吐出装置は、上記に記載の機能液供給装置と、ワークに対し前記機能液滴吐出ヘッドを相対的に移動させながら機能液滴を吐出させる描画装置と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、機能液流路およびヘッド内流路内を洗浄した後、機能液を充填し、ワークに対して描画することができるため、一連の動作を一つの装置で行うことができるため、作業時間を短縮することができると共に、液滴吐出装置を小型化することができる。
【0021】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記した液滴吐出装置を用い、ワーク上に機能液滴による成膜部を形成することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の電気光学装置は、上記した液滴吐出装置を用い、ワーク上に機能液滴による成膜部を形成したことを特徴とする。
【0023】
これらの構成によれば、機能液滴吐出ヘッドの機能維持および機能回復を効率良く行うことができる液滴吐出装置により製造することで、ワークの生産性を向上させることができる。なお、電気光学装置(フラットパネルディスプレイ:FPD)としては、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、PDP装置、電子放出装置等が考えられる。なお、電子放出装置は、いわゆるFED(Field Emission Display)やSED(Surface-conduction Electron-Emitter Display)装置を含む概念である。さらに、電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等を包含する装置が考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して、本発明の機能液供給装置を適用した液滴吐出装置および機能液的吐出ヘッドの機能液充填方法について説明する。この液滴吐出装置は、フラットパネルディスプレイの製造ラインに組み込まれており、例えば、特殊なインクや発光性の樹脂液である機能液を導入した機能液滴吐出ヘッドを用い、液晶表示装置のカラーフィルタや有機EL装置の各画素となる発光素子等を形成するものである。
【0025】
図1に示すように、液滴吐出装置1は、機台2と、機能液滴吐出ヘッド17を有し、機台2上に十字状に載置された描画装置4と、描画装置4に接続した機能液供給装置5と、描画装置4に添設するように機台2上に載置したメンテナンス装置6と、これらを制御する制御装置7と、を備えている。液滴吐出装置1は、機能液供給装置5により機能液の供給を受けながら、制御装置7による制御に基づいて、供給された機能液を吐出させ、ワークWに所定の描画パターンを描画する。また、機能液滴吐出ヘッド17に対して、メンテナンス装置6がメンテナンスを行うようになっている。
【0026】
描画装置4は、ワークWを主走査(X軸方向に移動)させるX軸テーブル11およびX軸テーブル11に直交するY軸テーブル12から成るX・Y移動機構13と、Y軸テーブル12に移動自在に取り付けられたメインキャリッジ13と、メインキャリッジ13に垂設され、複数の機能液滴吐出ヘッド17を搭載したヘッドユニット14と、を有している。
【0027】
X軸テーブル11は、X軸方向の駆動系を構成するX軸モータ(図示省略)駆動のX軸スライダ15を有し、これに吸着テーブル16およびθテーブル3等から成るセットテーブル21を移動自在に搭載して構成されている。同様に、Y軸テーブル12は、Y軸方向の駆動系を構成するY軸モータ(図示省略)駆動のY軸スライダ19を有し、これにヘッドユニット14を支持する上記のメインキャリッジ13をY軸方向に移動自在に搭載して構成されている。なお、X軸テーブル11は、X軸方向に平行に配設されており、機台2上に直接支持されている。一方、Y軸テーブル12は、機台2上に立設した左右の支柱20に支持されており、X軸テーブル11およびメンテナンス装置6を跨ぐようにY軸方向に平行に延在している(図1および図2参照)。
【0028】
液滴吐出装置1では、X軸テーブル11およびY軸テーブル12が交わるエリアがワークWの描画を行う描画エリア27、Y軸テーブル12およびメンテナンス装置6が交わるエリアが機能液滴吐出ヘッド17に対する機能回復および機能維持の処理(メンテナンス)を行う保守エリア22となっており、ワークWに描画を行う場合には描画エリア27に、メンテナンスを行う場合には保守エリア22に、ヘッドユニット14を臨ませるようになっている。
【0029】
メインキャリッジ13は、図2に示すように、Y軸テーブル12のY軸スライダ19に下側から固定される外観「I」形の吊設部材23と、吊設部材23の下面に取り付けられ、ヘッドユニット14のθ方向に対する位置補正を行うためのθ回転機構24と、θ回転機構24の下方に吊設するよう取り付けたキャリッジ本体(キャリッジ)25と、で構成されている。キャリッジ本体25は、位置決め機構を有する枠状フレーム(図示省略)を有し、これに後述の支持フレーム26を介してヘッドユニット14を位置決め状態で固定されている。また、後述する各タンク61,64,65は、メインキャリッジ13上に配置されており、タンク側チューブ67によって、機能液滴吐出ヘッド17と連結している。
【0030】
支持フレーム26は、略方形の枠状に形成されており、図2に示すように、下側からヘッドユニット14、圧力調整弁31の順でこれらを位置決め状態で搭載している。なお、支持フレーム26には、一対のハンドル(図示省略)が取り付けられており、この一対のハンドルを手持ち部位として、支持フレーム26をメインキャリッジ13に着脱できるようになっている。
【0031】
図2に示すように、ヘッドユニット14は、機能液滴吐出ヘッド17と、ヘッド保持部材(図示省略)を介して機能液滴吐出ヘッド17を搭載するヘッドプレートと、を備えている。ヘッドプレートは、支持フレーム26に着脱自在に支持されており、ヘッドユニット14は、支持フレーム26を介してキャリッジ本体25に位置決めして搭載される。
【0032】
図3に示すように、機能液滴吐出ヘッド17は、いわゆる2連のインクジェットヘッドであり、2連の接続針41(機能液導入口)を有する機能液導入部42と、機能液導入部42に連なる2連のヘッド基板43と、ヘッド基板43の下方に連なり機能液で満たされるヘッド内流路44が内部に形成されたヘッド本体45と、を備えている。接続針41は、図外の機能液供給チューブ63に接続され、機能液滴吐出ヘッド17のヘッド本体45に機能液を供給する。ヘッド本体45は、複数の吐出ノズル46が開口したノズル面47を有するノズルプレート48と、ピエゾ圧電素子(図示省略)を設けた圧力室(図示省略)と、各圧力室と各吐出ノズル46とを流路接続する分岐流路(図示省略)と、を有している。ノズル面47には、各分岐流路に連なる多数(180個)の吐出ノズル46から成るノズル列49が形成されている。すなわち、接続針41(機能液導入口)、圧力室、分岐流路および吐出ノズル46に至る流路によりヘッド内流路44が構成されている。機能液滴吐出ヘッド17を吐出駆動すると、圧力室がポンプ様に作用し、吐出ノズル46から機能液滴を吐出させる。
【0033】
次に、図1を参照して、メンテナンス装置6について説明する。メンテナンス装置6は、液滴吐出装置1の非稼働時に、機能液滴吐出ヘッド17のノズル面を封止して吐出ノズル46の乾燥を防止すると共に、機能液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル46から増粘した機能液を吸引除去する保管・吸引ユニット51と、機能液滴吐出ヘッド17のノズル面47に付着する汚れを払拭するワイピングユニット52とを有している。これら両ユニット51,52は、機台2上にX軸方向に延在するように載置された移動テーブル53上に搭載され、この移動テーブル53によってX軸方向に移動可能に構成されている。
【0034】
保管・吸引ユニット51は、機能液滴吐出ヘッド17の捨て吐出を受けるフラッシングボックスの機能を兼ねる封止キャップ54と、封止キャップ54を昇降させるキャップ昇降機構55と、封止キャップ54に接続した状態で機能液滴吐出ヘッド17を吸引するエジェクタや吸引ポンプ等で構成される吸引機構56と、吸引機構56で吸引除去した廃液を回収する廃液タンク57と、を有している。描画休止時には、機能液滴吐出ヘッド17が移動テーブル53上の保守エリア22に移動しており、封止キャップ54は、機能液滴吐出ヘッド17から僅かに離れた位置で、機能液滴吐出ヘッド17のフラッシング(捨て吐出)を受ける。そして、機能液滴吐出ヘッド17が稼動待機状態になると、封止キャップ54が完全に上昇して機能液滴吐出ヘッド17のノズル面47のキャッピングを行い、各機能液滴吐出ヘッド17の全吐出ノズル46を封止する。続いて、キャッピング状態の機能液滴吐出ヘッド17を再駆動する際には、機能液の増粘によるノズル詰りを防止すべく、必要に応じて吸引機構56の駆動を行い、吐出ノズル46から増粘した機能液を吸引する。なお、詳細は後述するが、この吸引機構56および廃液タンク57は、機能液滴吐出ヘッド17に機能液を初期充填する際にも用いられる。
【0035】
同図に示すように、ワイピングユニット52には、ワイピングシート58が繰出し自在且つ巻取り自在に設けられており、繰り出したワイピングシート58を送りながら、且つ移動テーブル53によりワイピングユニット52をX軸方向に移動させつつ、機能液滴吐出ヘッド17のノズル面47を拭き取るようになっている。このため、上記吸引動作等により機能液滴吐出ヘッド17のノズル面に付着した機能液が取り除かれ、吐出した機能液滴の飛行曲がり等が防止される。なお、メンテナンス装置6として、上記の両ユニット51,52に加え、機能液滴吐出ヘッド17から吐出された機能液滴の飛行状態を検査する吐出検査ユニット(図示省略)等を、搭載することが好ましい。
【0036】
次に、図4の系統図を参照して、機能液供給装置5廻りの構成について説明する。機能液供給装置5は、支持フレーム26に支持されており、機能液を貯留する機能液タンク61と、洗浄液を貯留する洗浄液タンク62と、機能液タンク61および洗浄液タンク62と機能液滴吐出ヘッド17とを接続する機能液供給チューブ(機能液供給流路)63と、機能液供給チューブ63に介設した圧力調整弁31と、を有している。この場合、洗浄液タンク62は、装置の組立時やヘッドユニット14の交換時における、いわゆる機能液の機能液滴吐出ヘッド17への初期充填の際に用いるものであり、洗浄液としての機能液の溶媒を貯留する溶媒タンク64と、洗浄液としての界面活性剤を含む溶液を貯留する溶液タンク65と、で構成されている。なお、機能液タンク61は、パック式のタンクであってもよいし、図外のメインタンクから機能液の供給を受けるサブタンクであってもよい。
【0037】
機能液供給チューブ63は、各タンク61,64,65から継手66に至るタンク側チューブ67と、継手66から圧力調整弁31を経て機能液滴吐出ヘッド17に至るヘッド側チューブ68と、を有している。ヘッド側チューブ68は、ヘッドユニット14に組み込まれており、ヘッドユニット14と共に装置に搬入される。一方、各タンク61,64,65およびタンク側チューブ67は、メインキャリッジ13に搭載されており、ヘッドユニット14の交換時等において、タンク側チューブ67とヘッド側チューブ68とが継手66(ワンタッチ接続のカプラ)により離接されるようになっている。
【0038】
タンク側チューブ67は、上流端が溶媒タンク64に接続された溶媒タンク側短チューブ69と、上流端が溶液タンク65に接続された溶液タンク側短チューブ70と、洗浄液切替えバルブ71を介して両タンク側短チューブ69,70の下流端から継手66に至る主タンク側チューブ67と、上流端を機能液タンク61に接続されると共に、下流端を切替バルブ72を介して、主タンク側チューブ67に接続された機能液タンク側短チューブ73とで、構成されている。そして、主タンク側チューブ67の下流端に、主タンク側チューブ67とタンク側チューブ67をワンタッチ接続する継手66が接続されている。なお、請求項にいう流路切替え手段は、洗浄液切替えバルブ71および切替バルブ72により構成されている。
【0039】
ヘッド側チューブ68は、その上流端に継手66に接続されると共に下流端に機能液滴吐出ヘッド17が接続され、中間位置には圧力調整弁31が介設されている。詳細は後述するが、各タンク61,64,65に貯留している各液体は、両バルブ71,72を切り替えると共に、上記保管・吸引ユニット51の吸引機構56(エジェクタまたは吸引ポンプ)を駆動することで、機能液供給チューブ63を介して、機能液滴吐出ヘッド17に通液あるいは充填するようになっている。なお、請求項の機能液供給装置1は、実施形態の機能液供給装置5に保管・吸引ユニット51を加えたものである。
【0040】
圧力調整弁31は、機能液滴吐出ヘッド17の上流側近傍に配置されており、特に図示していないが、機能液タンク61、溶媒タンク64および溶液タンク65に連なる1次室と、機能液滴吐出ヘッド17に連なり液体が減圧される2次室と、1次室と2次室とを連通する連通流路と、連通流路に設けた弁体とを有し、いわゆる大気圧基準の減圧弁を構成している。機能液タンク61が高い位置にあっても、この圧力調整弁31により、機能液滴吐出ヘッド17のノズル面47における機能液の水頭が適切な値になるように調整される。また、1次室側と2次室側とは、弁体により縁切りされており、機能液タンク61側で発生した脈動等が機能液滴吐出ヘッド17まで伝わるのが防止されている(ダンパー機能)。すなわち、ワークWに対する描画に伴って、圧力調整弁31に送られてくる機能液の液圧は、経時的に変化するが、機能液滴吐出ヘッド17は、圧力調整弁31により常に一定の圧力で液滴を吐出するようになっている。
【0041】
制御装置7は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等により主要部が構成され、ワークWに対する描画動作、機能液滴吐出ヘッド17のメンテナンスおよび後述する各種の運転形態別に、両バルブ71,72を切り替え且つ吸引機構56を駆動して通液動作をなどを制御する。
【0042】
次に、上記の機能液供給装置5および上記の保管・吸引ユニット51を用いた機能液滴吐出ヘッド17における一連の機能液充填方法について、図4を参照して説明する。ヘッドユニット14の交換時等においては、継手66(雌側)から上流側のタンク側チューブ67には、それぞれ機能液や洗浄液が既に充填されており、ここでの機能液充填方法は、継手66(雄側)以降のヘッド側チューブ68および機能液滴吐出ヘッド17のヘッド内流路44に機能液を充填するものであり、請求項に言う機能液流路は、継手66以降の圧力調整弁31を含むヘッド側チューブおよびヘッド内流路44となる。この場合、機能液充填方法には、洗浄液を通液する洗浄動作と、機能液を充填する初期充填動作とが行われ、初期充填動作は、吸引による一般的な機能液滴吐出ヘッド17の初期充填に相当する。
【0043】
洗浄動作は、ヘッド側チューブ68および機能液滴吐出ヘッド17のヘッド内流路44に、機能液の溶媒を通液する第1溶媒通液動作と、溶媒と界面活性剤とを有する溶液を流路内に通液する溶液通液動作と、再度機能液の溶媒を流路内に通液する第2溶媒通液動作と、により行われる。
【0044】
第1溶媒通液動作では、まず、洗浄液切替えバルブ71を溶媒タンク64側に切り替えると共に、切替バルブ72を洗浄液タンク62側に切り替えて、溶媒タンク64と機能液滴吐出ヘッド17とを、機能液供給チューブ63を介して連通させた後、吸引機構56を駆動する。これにより、溶媒タンク64に貯留している溶媒は、溶媒タンク側短チューブ69および主タンク側チューブ67を経て、圧力調整弁31を含むヘッド側チューブ68および機能液滴吐出ヘッド17のヘッド内流路44に通液される。
【0045】
同様に、溶液通液動作では、まず、洗浄液切替えバルブ71を溶液タンク65側に切り替えると共に、切替バルブ72を洗浄液タンク62側に切り替えて、溶液タンク65と機能液滴吐出ヘッド17とを、機能液供給チューブ63を介して連通させた後、吸引機構56を駆動する。これにより、溶液タンク65に貯留している溶液を、圧力調整弁31を含むヘッド側チューブ68および機能液滴吐出ヘッド17のヘッド内流路44に通液する。
【0046】
第2溶媒通液動作では、再度、洗浄液切替えバルブ71を溶媒タンク64側に切り替えると共に、切替バルブ72を洗浄液タンク62側に切り替えて、溶媒タンク64と機能液滴吐出ヘッド17とを、機能液供給チューブ63を介して連通させた後、吸引機構56を駆動する。これにより、溶媒タンク64に貯留している溶媒を、圧力調整弁31を含むヘッド側チューブ68および機能液滴吐出ヘッド17のヘッド内流路44に通液する。
【0047】
以上の洗浄動作が完了すると続いて初期充填動作に移行する。初期充填動作では、切替バルブ72を機能液タンク61側に切り替えて、機能液タンク61と機能液滴吐出ヘッド17とを、機能液供給チューブ63を介して連通させる。そして、吸引機構56を駆動することで、機能液タンク61に貯留している機能液を、圧力調整弁31を含むヘッド側チューブ68および機能液滴吐出ヘッド17のヘッド内流路44に通液する。この通液を所定時間行った後、吸引機構56を停止して初期充填を完了する。なお、初期充填の後、機能液滴吐出ヘッド17のワイピングを行って、機能液滴吐出ヘッド17を描画待機状態とする。
【0048】
以上によれば、機能液の溶媒をヘッド側チューブ68および機能液滴吐出ヘッド17のヘッド内流路44に通液することで、ヘッド側チューブ68およびヘッド内流路44を機能液に対して親和性を高めた後、界面活性剤を含む溶液を通液することで流路内の隅部に行き渡らせると共に、異物を除去することができる。そして、再度機能液の溶媒を通液することで、流路内に残留している界面活性剤を洗い流し、流路内の界面活性剤を機能液と置換する。これにより、特に継手66や圧力調整弁31の内部の狭い部分に気泡が残留することなく、機能液をヘッド側チューブ68および機能液滴吐出ヘッド17に充填することができる。
【0049】
なお、洗浄動作は、機能液の溶媒あるいは溶液を通液するだけでもよく、洗浄の順序および洗浄の回数が限定されるものではない。
【0050】
次に、本実施形態の液滴吐出装置1を用いて製造される電気光学装置(フラットパネルディスプレイ)として、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、プラズマディスプレイ(PDP装置)、電子放出装置(FED装置、SED装置)、さらにこれら表示装置に形成されてなるアクティブマトリクス基板等を例に、これらの構造およびその製造方法について説明する。なお、アクティブマトリクス基板とは、薄膜トランジスタ、および薄膜トランジスタに電気的に接続するソース線、データ線が形成された基板をいう。
【0051】
まず、液晶表示装置や有機EL装置等に組み込まれるカラーフィルタの製造方法について説明する。図5は、カラーフィルタの製造工程を示すフローチャート、図6は、製造工程順に示した本実施形態のカラーフィルタ500(フィルタ基体500A)の模式断面図である。
まず、ブラックマトリクス形成工程(S101)では、図6(a)に示すように、基板(W)501上にブラックマトリクス502を形成する。ブラックマトリクス502は、金属クロム、金属クロムと酸化クロムの積層体、または樹脂ブラック等により形成される。金属薄膜からなるブラックマトリクス502を形成するには、スパッタ法や蒸着法等を用いることができる。また、樹脂薄膜からなるブラックマトリクス502を形成する場合には、グラビア印刷法、フォトレジスト法、熱転写法等を用いることができる。
【0052】
続いて、バンク形成工程(S102)において、ブラックマトリクス502上に重畳する状態でバンク503を形成する。即ち、まず図6(b)に示すように、基板501およびブラックマトリクス502を覆うようにネガ型の透明な感光性樹脂からなるレジスト層504を形成する。そして、その上面をマトリクスパターン形状に形成されたマスクフィルム505で被覆した状態で露光処理を行う。
さらに、図6(c)に示すように、レジスト層504の未露光部分をエッチング処理することによりレジスト層504をパターニングして、バンク503を形成する。なお、樹脂ブラックによりブラックマトリクスを形成する場合は、ブラックマトリクスとバンクとを兼用することが可能となる。
このバンク503とその下のブラックマトリクス502は、各画素領域507aを区画する区画壁部507bとなり、後の着色層形成工程において機能液滴吐出ヘッド17により着色層(成膜部)508R、508G、508Bを形成する際に機能液滴の着弾領域を規定する。
【0053】
以上のブラックマトリクス形成工程およびバンク形成工程を経ることにより、上記フィルタ基体500Aが得られる。
なお、本実施形態においては、バンク503の材料として、塗膜表面が疎液(疎水)性となる樹脂材料を用いている。そして、基板(ガラス基板)501の表面が親液(親水)性であるので、後述する着色層形成工程においてバンク503(区画壁部507b)に囲まれた各画素領域507a内への液滴の着弾位置のばらつきを自動補正できる。
【0054】
次に、着色層形成工程(S103)では、図6(d)に示すように、機能液滴吐出ヘッド17によって機能液滴を吐出して区画壁部507bで囲まれた各画素領域507a内に着弾させる。この場合、機能液滴吐出ヘッド17を用いて、R・G・Bの3色の機能液(フィルタ材料)を導入して、機能液滴の吐出を行う。なお、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0055】
その後、乾燥処理(加熱等の処理)を経て機能液を定着させ、3色の着色層508R、508G、508Bを形成する。着色層508R、508G、508Bを形成したならば、保護膜形成工程(S104)に移り、図6(e)に示すように、基板501、区画壁部507b、および着色層508R、508G、508Bの上面を覆うように保護膜509を形成する。
即ち、基板501の着色層508R、508G、508Bが形成されている面全体に保護膜用塗布液が吐出された後、乾燥処理を経て保護膜509が形成される。
そして、保護膜509を形成した後、カラーフィルタ500は、次工程の透明電極となるITO(Indium Tin Oxide)などの膜付け工程に移行する。
【0056】
図7は、上記のカラーフィルタ500を用いた液晶表示装置の一例としてのパッシブマトリックス型液晶装置(液晶装置)の概略構成を示す要部断面図である。この液晶装置520に、液晶駆動用IC、バックライト、支持体などの付帯要素を装着することによって、最終製品としての透過型液晶表示装置が得られる。なお、カラーフィルタ500は図12に示したものと同一であるので、対応する部位には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0057】
この液晶装置520は、カラーフィルタ500、ガラス基板等からなる対向基板521、および、これらの間に挟持されたSTN(Super Twisted Nematic)液晶組成物からなる液晶層522により概略構成されており、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置している。
なお、図示していないが、対向基板521およびカラーフィルタ500の外面(液晶層522側とは反対側の面)には偏光板がそれぞれ配設され、また対向基板521側に位置する偏光板の外側には、バックライトが配設されている。
【0058】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層側)には、図13において左右方向に長尺な短冊状の第1電極523が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極523のカラーフィルタ500側とは反対側の面を覆うように第1配向膜524が形成されている。
一方、対向基板521におけるカラーフィルタ500と対向する面には、カラーフィルタ500の第1電極523と直交する方向に長尺な短冊状の第2電極526が所定の間隔で複数形成され、この第2電極526の液晶層522側の面を覆うように第2配向膜527が形成されている。これらの第1電極523および第2電極526は、ITOなどの透明導電材料により形成されている。
【0059】
液晶層522内に設けられたスペーサ528は、液晶層522の厚さ(セルギャップ)を一定に保持するための部材である。また、シール材529は液晶層522内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するための部材である。なお、第1電極523の一端部は引き回し配線523aとしてシール材529の外側まで延在している。
そして、第1電極523と第2電極526とが交差する部分が画素であり、この画素となる部分に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0060】
通常の製造工程では、カラーフィルタ500に、第1電極523のパターニングおよび第1配向膜524の塗布を行ってカラーフィルタ500側の部分を作成すると共に、これとは別に対向基板521に、第2電極526のパターニングおよび第2配向膜527の塗布を行って対向基板521側の部分を作成する。その後、対向基板521側の部分にスペーサ528およびシール材529を作り込み、この状態でカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる。次いで、シール材529の注入口から液晶層522を構成する液晶を注入し、注入口を閉止する。その後、両偏光板およびバックライトを積層する。
【0061】
実施形態の液滴吐出装置1は、例えば上記のセルギャップを構成するスペーサ材料(機能液)を塗布すると共に、対向基板521側の部分にカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる前に、シール材529で囲んだ領域に液晶(機能液)を均一に塗布することが可能である。また、上記のシール材529の印刷を、機能液滴吐出ヘッド17で行うことも可能である。さらに、第1・第2両配向膜524,527の塗布を機能液滴吐出ヘッド17で行うことも可能である。
【0062】
図8は、本実施形態において製造したカラーフィルタ500を用いた液晶装置の第2の例の概略構成を示す要部断面図である。
この液晶装置530が上記液晶装置520と大きく異なる点は、カラーフィルタ500を図中下側(観測者側とは反対側)に配置した点である。
この液晶装置530は、カラーフィルタ500とガラス基板等からなる対向基板531との間にSTN液晶からなる液晶層532が挟持されて概略構成されている。なお、図示していないが、対向基板531およびカラーフィルタ500の外面には偏光板等がそれぞれ配設されている。
【0063】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層532側)には、図中奥行き方向に長尺な短冊状の第1電極533が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極533の液晶層532側の面を覆うように第1配向膜534が形成されている。
対向基板531のカラーフィルタ500と対向する面上には、カラーフィルタ500側の第1電極533と直交する方向に延在する複数の短冊状の第2電極536が所定の間隔で形成され、この第2電極536の液晶層532側の面を覆うように第2配向膜537が形成されている。
【0064】
液晶層532には、この液晶層532の厚さを一定に保持するためのスペーサ538と、液晶層532内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するためのシール材539が設けられている。
そして、上記した液晶装置520と同様に、第1電極533と第2電極536との交差する部分が画素であり、この画素となる部位に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0065】
図9は、本発明を適用したカラーフィルタ500を用いて液晶装置を構成した第3の例を示したもので、透過型のTFT(Thin Film Transistor)型液晶装置の概略構成を示す分解斜視図である。
この液晶装置550は、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置したものである。
【0066】
この液晶装置550は、カラーフィルタ500と、これに対向するように配置された対向基板551と、これらの間に挟持された図示しない液晶層と、カラーフィルタ500の上面側(観測者側)に配置された偏光板555と、対向基板551の下面側に配設された偏光板(図示せず)とにより概略構成されている。
カラーフィルタ500の保護膜509の表面(対向基板551側の面)には液晶駆動用の電極556が形成されている。この電極556は、ITO等の透明導電材料からなり、後述の画素電極560が形成される領域全体を覆う全面電極となっている。また、この電極556の画素電極560とは反対側の面を覆った状態で配向膜557が設けられている。
【0067】
対向基板551のカラーフィルタ500と対向する面には絶縁層558が形成されており、この絶縁層558上には、走査線561および信号線562が互いに直交する状態で形成されている。そして、これらの走査線561と信号線562とに囲まれた領域内には画素電極560が形成されている。なお、実際の液晶装置では、画素電極560上に配向膜が設けられるが、図示を省略している。
【0068】
また、画素電極560の切欠部と走査線561と信号線562とに囲まれた部分には、ソース電極、ドレイン電極、半導体、およびゲート電極とを具備する薄膜トランジスタ563が組み込まれて構成されている。そして、走査線561と信号線562に対する信号の印加によって薄膜トランジスタ563をオン・オフして画素電極560への通電制御を行うことができるように構成されている。
【0069】
なお、上記の各例の液晶装置520,530,550は、透過型の構成としたが、反射層あるいは半透過反射層を設けて、反射型の液晶装置あるいは半透過反射型の液晶装置とすることもできる。
【0070】
次に、図10は、有機EL装置の表示領域(以下、単に表示装置600と称する)の要部断面図である。
【0071】
この表示装置600は、基板(W)601上に、回路素子部602、発光素子部603および陰極604が積層された状態で概略構成されている。
この表示装置600においては、発光素子部603から基板601側に発した光が、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されると共に、発光素子部603から基板601の反対側に発した光が陰極604により反射された後、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されるようになっている。
【0072】
回路素子部602と基板601との間にはシリコン酸化膜からなる下地保護膜606が形成され、この下地保護膜606上(発光素子部603側)に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜607が形成されている。この半導体膜607の左右の領域には、ソース領域607aおよびドレイン領域607bが高濃度陽イオン打ち込みによりそれぞれ形成されている。そして陽イオンが打ち込まれない中央部がチャネル領域607cとなっている。
【0073】
また、回路素子部602には、下地保護膜606および半導体膜607を覆う透明なゲート絶縁膜608が形成され、このゲート絶縁膜608上の半導体膜607のチャネル領域607cに対応する位置には、例えばAl、Mo、Ta、Ti、W等から構成されるゲート電極609が形成されている。このゲート電極609およびゲート絶縁膜608上には、透明な第1層間絶縁膜611aと第2層間絶縁膜611bが形成されている。また、第1、第2層間絶縁膜611a、611bを貫通して、半導体膜607のソース領域607a、ドレイン領域607bにそれぞれ連通するコンタクトホール612a,612bが形成されている。
【0074】
そして、第2層間絶縁膜611b上には、ITO等からなる透明な画素電極613が所定の形状にパターニングされて形成され、この画素電極613は、コンタクトホール612aを通じてソース領域607aに接続されている。
また、第1層間絶縁膜611a上には電源線614が配設されており、この電源線614は、コンタクトホール612bを通じてドレイン領域607bに接続されている。
【0075】
このように、回路素子部602には、各画素電極613に接続された駆動用の薄膜トランジスタ615がそれぞれ形成されている。
【0076】
上記発光素子部603は、複数の画素電極613上の各々に積層された機能層617と、各画素電極613および機能層617の間に備えられて各機能層617を区画するバンク部618とにより概略構成されている。
これら画素電極613、機能層617、および、機能層617上に配設された陰極604によって発光素子が構成されている。なお、画素電極613は、平面視略矩形状にパターニングされて形成されており、各画素電極613の間にバンク部618が形成されている。
【0077】
バンク部618は、例えばSiO、SiO2、TiO2等の無機材料により形成される無機物バンク層618a(第1バンク層)と、この無機物バンク層618a上に積層され、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶媒性に優れたレジストにより形成される断面台形状の有機物バンク層618b(第2バンク層)とにより構成されている。このバンク部618の一部は、画素電極613の周縁部上に乗上げた状態で形成されている。
そして、各バンク部618の間には、画素電極613に対して上方に向けて次第に拡開した開口部619が形成されている。
【0078】
上記機能層617は、開口部619内において画素電極613上に積層状態で形成された正孔注入/輸送層617aと、この正孔注入/輸送層617a上に形成された発光層617bとにより構成されている。なお、この発光層617bに隣接してその他の機能を有する他の機能層をさらに形成しても良い。例えば、電子輸送層を形成することも可能である。
正孔注入/輸送層617aは、画素電極613側から正孔を輸送して発光層617bに注入する機能を有する。この正孔注入/輸送層617aは、正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物(機能液)を吐出することで形成される。正孔注入/輸送層形成材料としては、公知の材料を用いる。
【0079】
発光層617bは、赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)のいずれかに発光するもので、発光層形成材料(発光材料)を含む第2組成物(機能液)を吐出することで形成される。第2組成物の溶媒(非極性溶媒)としては、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な公知の材料を用いることが好ましく、このような非極性溶媒を発光層617bの第2組成物に用いることにより、正孔注入/輸送層617aを再溶解させることなく発光層617bを形成することができる。
【0080】
そして、発光層617bでは、正孔注入/輸送層617aから注入された正孔と、陰極604から注入される電子が発光層で再結合して発光するように構成されている。
【0081】
陰極604は、発光素子部603の全面を覆う状態で形成されており、画素電極613と対になって機能層617に電流を流す役割を果たす。なお、この陰極604の上部には図示しない封止部材が配置される。
【0082】
次に、上記の表示装置600の製造工程を図11〜図19を参照して説明する。
この表示装置600は、図11に示すように、バンク部形成工程(S111)、表面処理工程(S112)、正孔注入/輸送層形成工程(S113)、発光層形成工程(S114)、および対向電極形成工程(S115)を経て製造される。なお、製造工程は例示するものに限られるものではなく必要に応じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合もある。
【0083】
まず、バンク部形成工程(S111)では、図12に示すように、第2層間絶縁膜611b上に無機物バンク層618aを形成する。この無機物バンク層618aは、形成位置に無機物膜を形成した後、この無機物膜をフォトリソグラフィ技術等によりパターニングすることにより形成される。このとき、無機物バンク層618aの一部は画素電極613の周縁部と重なるように形成される。
無機物バンク層618aを形成したならば、図13に示すように、無機物バンク層618a上に有機物バンク層618bを形成する。この有機物バンク層618bも無機物バンク層618aと同様にフォトリソグラフィ技術等によりパターニングして形成される。
このようにしてバンク部618が形成される。また、これに伴い、各バンク部618間には、画素電極613に対して上方に開口した開口部619が形成される。この開口部619は、画素領域を規定する。
【0084】
表面処理工程(S112)では、親液化処理および撥液化処理が行われる。親液化処理を施す領域は、無機物バンク層618aの第1積層部618aaおよび画素電極613の電極面613aであり、これらの領域は、例えば酸素を処理ガスとするプラズマ処理によって親液性に表面処理される。このプラズマ処理は、画素電極613であるITOの洗浄等も兼ねている。
また、撥液化処理は、有機物バンク層618bの壁面618sおよび有機物バンク層618bの上面618tに施され、例えば四フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化処理(撥液性に処理)される。
この表面処理工程を行うことにより、機能液滴吐出ヘッド17を用いて機能層617を形成する際に、機能液滴を画素領域に、より確実に着弾させることができ、また、画素領域に着弾した機能液滴が開口部619から溢れ出るのを防止することが可能となる。
【0085】
そして、以上の工程を経ることにより、表示装置基体600Aが得られる。この表示装置基体600Aは、図1に示した液滴吐出装置1のセットテーブル21に載置され、以下の正孔注入/輸送層形成工程(S113)および発光層形成工程(S114)が行われる。
【0086】
図14に示すように、正孔注入/輸送層形成工程(S113)では、機能液滴吐出ヘッド17から正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物を画素領域である各開口部619内に吐出する。その後、図15に示すように、乾燥処理および熱処理を行い、第1組成物に含まれる極性溶媒を蒸発させ、画素電極(電極面613a)613上に正孔注入/輸送層617aを形成する。
【0087】
次に発光層形成工程(S114)について説明する。この発光層形成工程では、上述したように、正孔注入/輸送層617aの再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いる第2組成物の溶媒として、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な非極性溶媒を用いる。
しかしその一方で、正孔注入/輸送層617aは、非極性溶媒に対する親和性が低いため、非極性溶媒を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617a上に吐出しても、正孔注入/輸送層617aと発光層617bとを密着させることができなくなるか、あるいは発光層617bを均一に塗布できない虞がある。
そこで、非極性溶媒並びに発光層形成材料に対する正孔注入/輸送層617aの表面の親和性を高めるために、発光層形成の前に表面処理(表面改質処理)を行うことが好ましい。この表面処理は、発光層形成の際に用いる第2組成物の非極性溶媒と同一溶媒またはこれに類する溶媒である表面改質材を、正孔注入/輸送層617a上に塗布し、これを乾燥させることにより行う。
このような処理を施すことで、正孔注入/輸送層617aの表面が非極性溶媒になじみやすくなり、この後の工程で、発光層形成材料を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617aに均一に塗布することができる。
【0088】
そして次に、図16に示すように、各色のうちのいずれか(図16の例では青色(B))に対応する発光層形成材料を含有する第2組成物を機能液滴として画素領域(開口部619)内に所定量打ち込む。画素領域内に打ち込まれた第2組成物は、正孔注入/輸送層617a上に広がって開口部619内に満たされる。なお、万一、第2組成物が画素領域から外れてバンク部618の上面618t上に着弾した場合でも、この上面618tは、上述したように撥液処理が施されているので、第2組成物が開口部619内に転がり込み易くなっている。
【0089】
その後、乾燥工程等を行うことにより、吐出後の第2組成物を乾燥処理し、第2組成物に含まれる非極性溶媒を蒸発させ、図17に示すように、正孔注入/輸送層617a上に発光層617bが形成される。この図の場合、青色(B)に対応する発光層617bが形成されている。
【0090】
同様に、機能液滴吐出ヘッド17を用い、図18に示すように、上記した青色(B)に対応する発光層617bの場合と同様の工程を順次行い、他の色(赤色(R)および緑色(G))に対応する発光層617bを形成する。なお、発光層617bの形成順序は、例示した順序に限られるものではなく、どのような順番で形成しても良い。例えば、発光層形成材料に応じて形成する順番を決めることも可能である。また、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0091】
以上のようにして、画素電極613上に機能層617、即ち、正孔注入/輸送層617aおよび発光層617bが形成される。そして、対向電極形成工程(S115)に移行する。
【0092】
対向電極形成工程(S115)では、図19に示すように、発光層617bおよび有機物バンク層618bの全面に陰極604(対向電極)を、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等によって形成する。この陰極604は、本実施形態においては、例えば、カルシウム層とアルミニウム層とが積層されて構成されている。
この陰極604の上部には、電極としてのAl膜、Ag膜や、その酸化防止のためのSiO2、SiN等の保護層が適宜設けられる。
【0093】
このようにして陰極604を形成した後、この陰極604の上部を封止部材により封止する封止処理や配線処理等のその他処理等を施すことにより、表示装置600が得られる。
【0094】
次に、図20は、プラズマ型表示装置(PDP装置:以下、単に表示装置700と称する)の要部分解斜視図である。なお、同図では表示装置700を、その一部を切り欠いた状態で示してある。
この表示装置700は、互いに対向して配置された第1基板701、第2基板702、およびこれらの間に形成される放電表示部703を含んで概略構成される。放電表示部703は、複数の放電室705により構成されている。これらの複数の放電室705のうち、赤色放電室705R、緑色放電室705G、青色放電室705Bの3つの放電室705が組になって1つの画素を構成するように配置されている。
【0095】
第1基板701の上面には所定の間隔で縞状にアドレス電極706が形成され、このアドレス電極706と第1基板701の上面とを覆うように誘電体層707が形成されている。誘電体層707上には、各アドレス電極706の間に位置し、且つ各アドレス電極706に沿うように隔壁708が立設されている。この隔壁708は、図示するようにアドレス電極706の幅方向両側に延在するものと、アドレス電極706と直交する方向に延設された図示しないものを含む。
そして、この隔壁708によって仕切られた領域が放電室705となっている。
【0096】
放電室705内には蛍光体709が配置されている。蛍光体709は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の蛍光を発光するもので、赤色放電室705Rの底部には赤色蛍光体709Rが、緑色放電室705Gの底部には緑色蛍光体709Gが、青色放電室705Bの底部には青色蛍光体709Bが各々配置されている。
【0097】
第2基板702の図中下側の面には、上記アドレス電極706と直交する方向に複数の表示電極711が所定の間隔で縞状に形成されている。そして、これらを覆うように誘電体層712、およびMgOなどからなる保護膜713が形成されている。
第1基板701と第2基板702とは、アドレス電極706と表示電極711が互いに直交する状態で対向させて貼り合わされている。なお、上記アドレス電極706と表示電極711は図示しない交流電源に接続されている。
そして、各電極706,711に通電することにより、放電表示部703において蛍光体709が励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0098】
本実施形態においては、上記アドレス電極706、表示電極711、および蛍光体709を、図1に示した液滴吐出装置1を用いて形成することができる。以下、第1基板701におけるアドレス電極706の形成工程を例示する。
この場合、第1基板701を液滴吐出装置1のセットテーブル21に載置された状態で以下の工程が行われる。
まず、機能液滴吐出ヘッド17により、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴としてアドレス電極形成領域に着弾させる。この液体材料は、導電膜配線形成用材料として、金属等の導電性微粒子を分散媒に分散したものである。この導電性微粒子としては、金、銀、銅、パラジウム、またはニッケル等を含有する金属微粒子や、導電性ポリマー等が用いられる。
【0099】
補充対象となるすべてのアドレス電極形成領域について液体材料の補充が終了したならば、吐出後の液体材料を乾燥処理し、液体材料に含まれる分散媒を蒸発させることによりアドレス電極706が形成される。
【0100】
ところで、上記においてはアドレス電極706の形成を例示したが、上記表示電極711および蛍光体709についても上記各工程を経ることにより形成することができる。
表示電極711の形成の場合、アドレス電極706の場合と同様に、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴として表示電極形成領域に着弾させる。
また、蛍光体709の形成の場合には、各色(R,G,B)に対応する蛍光材料を含んだ液体材料(機能液)を機能液滴吐出ヘッド17から液滴として吐出し、対応する色の放電室705内に着弾させる。
【0101】
次に、図21は、電子放出装置(FED装置あるいはSED装置ともいう:以下、単に表示装置800と称する)の要部断面図である。なお、同図では表示装置800を、その一部を断面として示してある。
この表示装置800は、互いに対向して配置された第1基板801、第2基板802、およびこれらの間に形成される電界放出表示部803を含んで概略構成される。電界放出表示部803は、マトリクス状に配置した複数の電子放出部805により構成されている。
【0102】
第1基板801の上面には、カソード電極806を構成する第1素子電極806aおよび第2素子電極806bが相互に直交するように形成されている。また、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bで仕切られた部分には、ギャップ808を形成した導電性膜807が形成されている。すなわち、第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807により複数の電子放出部805が構成されている。導電性膜807は、例えば酸化パラジウム(PdO)等で構成され、またギャップ808は、導電性膜807を成膜した後、フォーミング等で形成される。
【0103】
第2基板802の下面には、カソード電極806に対峙するアノード電極809が形成されている。アノード電極809の下面には、格子状のバンク部811が形成され、このバンク部811で囲まれた下向きの各開口部812に、電子放出部805に対応するように蛍光体813が配置されている。蛍光体813は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の蛍光を発光するもので、各開口部812には、赤色蛍光体813R、緑色蛍光体813Gおよび青色蛍光体813Bが、上記した所定のパターンで配置されている。
【0104】
そして、このように構成した第1基板801と第2基板802とは、微小な間隙を存して貼り合わされている。この表示装置800では、導電性膜(ギャップ808)807を介して、陰極である第1素子電極806aまたは第2素子電極806bから飛び出す電子を、陽極であるアノード電極809に形成した蛍光体813に当てて励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0105】
この場合も、他の実施形態と同様に、第1素子電極806a、第2素子電極806b、導電性膜807およびアノード電極809を、液滴吐出装置1を用いて形成することができると共に、各色の蛍光体813R,813G,813Bを、液滴吐出装置1を用いて形成することができる。
【0106】
第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807は、図22(a)に示す平面形状を有しており、これらを成膜する場合には、図22(b)に示すように、予め第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807を作り込む部分を残して、バンク部BBを形成(フォトリソグラフィ法)する。次に、バンク部BBにより構成された溝部分に、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bを形成(液滴吐出装置1によるインクジェット法)し、その溶剤を乾燥させて成膜を行った後、導電性膜807を形成(液滴吐出装置1によるインクジェット法)する。そして、導電性膜807を成膜後、バンク部BBを取り除き(アッシング剥離処理)、上記のフォーミング処理に移行する。なお、上記の有機EL装置の場合と同様に、第1基板801および第2基板802に対する親液化処理や、バンク部811,BBに対する撥液化処理を行うことが、好ましい。
【0107】
また、他の電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等の装置が考えられる。上記した液滴吐出装置1を各種の電気光学装置(デバイス)の製造に用いることにより、各種の電気光学装置を効率的に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】液滴吐出装置の平面模式図である。
【図2】液滴吐出装置の側面模式図である。
【図3】機能液滴吐出ヘッドの外観斜視図である。
【図4】機能液供給装置の系統図である。
【図5】カラーフィルタ製造工程を説明するフローチャートである。
【図6】(a)〜(e)は、製造工程順に示したカラーフィルタの模式断面図である。
【図7】本発明を適用したカラーフィルタを用いた液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図8】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第2の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図9】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第3の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図10】有機EL装置である表示装置の要部断面図である。
【図11】有機EL装置である表示装置の製造工程を説明するフローチャートである。
【図12】無機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図13】有機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図14】正孔注入/輸送層を形成する過程を説明する工程図である。
【図15】正孔注入/輸送層が形成された状態を説明する工程図である。
【図16】青色の発光層を形成する過程を説明する工程図である。
【図17】青色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図18】各色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図19】陰極の形成を説明する工程図である。
【図20】プラズマ型表示装置(PDP装置)である表示装置の要部分解斜視図である。
【図21】電子放出装置(FED装置)である表示装置の要部断面図である。
【図22】表示装置の電子放出部廻りの平面図(a)およびその形成方法を示す平面図(b)である。
【符号の説明】
【0109】
1…液滴吐出装置 4…描画装置 5…機能液供給装置 7…制御装置 17…機能液滴吐出ヘッド 44…ヘッド内流路 46…吐出ノズル 62…洗浄液タンク 64…溶媒タンク 65…溶液タンク 71…洗浄液切替バルブ 72…切替えバルブ 56…吸引機構 61…機能液タンク 67…タンク側チューブ 68…ヘッド側チューブ W…ワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能液流路を介して、機能液タンクからインクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドに機能液を導入し、前記機能液流路および前記機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に対し機能液の初期充填を行う初期充填工程と、
前記初期充填工程に先立ち、前記機能液流路および前記機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に洗浄液を通液する洗浄液通液工程と、を備えたことを特徴とする機能液滴吐出ヘッドの機能液充填方法。
【請求項2】
前記洗浄液通液工程では、前記洗浄液として前記機能液の溶媒を用いることを特徴とする請求項1に記載の機能液滴吐出ヘッドの機能液充填方法。
【請求項3】
前記洗浄液通液工程では、前記洗浄液として界面活性剤を含む溶液を用いることを特徴とする請求項1に記載の機能液滴吐出ヘッドの機能液充填方法。
【請求項4】
前記洗浄液通液工程では、前記洗浄液として前記機能液の溶媒および界面活性剤を含む溶液を用い、
前記溶媒を通液した後、前記溶液を通液することを特徴とする請求項1に記載の機能液滴吐出ヘッドの機能液充填方法。
【請求項5】
前記洗浄液通液工程では、前記洗浄液として前記機能液の溶媒および界面活性剤を含む溶液を用い、
前記溶媒を通液した後、前記溶液を通液し、再度前記溶媒を通液することを特徴とする請求項1に記載の機能液滴吐出ヘッドの機能液充填方法。
【請求項6】
前記初期充填工程では、前記機能液流路を前記機能液タンクに接続した状態で、前記機能液滴吐出ヘッドの吐出ノズルから機能液を吸引することで、前記初期充填が行われ、
前記洗浄液通液工程では、前記機能液流路を前記機能液タンクから洗浄液タンクに切替え接続した状態で、前記機能液滴吐出ヘッドの吐出ノズルから洗浄液を吸引することで、前記通液が行われることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の機能液滴吐出ヘッドの機能液充填方法。
【請求項7】
インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドに機能液を供給する機能液タンクと、
前記機能液滴吐出ヘッドに洗浄液を供給する洗浄液タンクと、
前記機能液タンクおよび前記洗浄タンクと、前記機能液滴吐出ヘッドとを接続する前記機能液流路と、
前記機能液流路の上流端を、前記機能液タンクと前記洗浄タンクとの間で流路切替えする流路切替え手段と、
前記機能液滴吐出ヘッドのノズル面に離接自在に密接し、前記機能液および前記洗浄液を個々に吸引する吸引手段と、
前記流路切替え手段および前記吸引手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記機能液流路を前記機能液タンク側に切り替えると共に前記吸引手段を駆動して、前記機能液流路および前記機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に機能液を充填する初期充填動作に先立ち、
前記機能液流路を前記洗浄液タンク側に切り替えると共に前記吸引手段を駆動して、前記機能液流路および前記機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に洗浄液を通液する洗浄液通液動作を実行することを特徴とする機能液供給装置。
【請求項8】
前記洗浄液が、前記機能液の溶媒および界面活性剤を含む溶液のいずれかであることを特徴とする請求項7に記載の機能液供給装置。
【請求項9】
前記洗浄液が、前記機能液の溶媒および界面活性剤を含む溶液であり、
前記洗浄液タンクは、前記溶媒を貯留する溶媒タンクと、前記溶液を貯留する溶液タンクとから成り、
前記流路切り替え手段は、前記機能液タンクと前記溶媒タンクと前記溶液タンクとの相互間で、流路切替え可能に構成され、
前記制御手段は、洗浄液通液動作において、前記機能液流路を前記溶媒タンク側に切り替えると共に前記吸引手段を駆動して、前記機能液流路および前記機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に前記溶媒を通液する溶媒通液動作の後、
前記機能液流路を前記溶液タンク側に切り替えると共に前記吸引手段を駆動して、前記機能液流路および前記機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に前記溶液を通液する溶液通液動作を実行することを特徴とする請求項7に記載の機能液供給装置。
【請求項10】
前記洗浄液が、前記機能液の溶媒および界面活性剤を含む溶液であり、
前記洗浄液タンクは、前記溶媒を貯留する溶媒タンクと、前記溶液を貯留する溶液タンクとから成り、
前記流路切り替え手段は、前記機能液タンクと前記溶媒タンクと前記溶液タンクとの相互間で、流路切替え可能に構成され、
前記制御手段は、洗浄液通液動作において、前記機能液流路を前記溶媒タンク側に切り替えると共に前記吸引手段を駆動して、前記機能液流路および前記機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に前記溶媒を通液する溶媒通液動作の後、
前記機能液流路を前記溶液タンク側に切り替えると共に前記吸引手段を駆動して、前記機能液流路および前記機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に前記溶液を通液する溶液通液動作を実行し、
再度前記溶媒通液動作を実行することを特徴とする請求項7に記載の機能液供給装置。
【請求項11】
請求項7ないし10のいずれかに記載の機能液供給装置と、ワークに対し前記機能液滴吐出ヘッドを相対的に移動させながら機能液滴を吐出させる描画装置と、を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項12】
請求項11に記載の液滴吐出装置を用い、前記ワーク上に機能液滴による成膜部を形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項13】
請求項11に記載の液滴吐出装置を用い、前記ワーク上に機能液滴による成膜部を形成したことを特徴とする電気光学装置。
【請求項1】
機能液流路を介して、機能液タンクからインクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドに機能液を導入し、前記機能液流路および前記機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に対し機能液の初期充填を行う初期充填工程と、
前記初期充填工程に先立ち、前記機能液流路および前記機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に洗浄液を通液する洗浄液通液工程と、を備えたことを特徴とする機能液滴吐出ヘッドの機能液充填方法。
【請求項2】
前記洗浄液通液工程では、前記洗浄液として前記機能液の溶媒を用いることを特徴とする請求項1に記載の機能液滴吐出ヘッドの機能液充填方法。
【請求項3】
前記洗浄液通液工程では、前記洗浄液として界面活性剤を含む溶液を用いることを特徴とする請求項1に記載の機能液滴吐出ヘッドの機能液充填方法。
【請求項4】
前記洗浄液通液工程では、前記洗浄液として前記機能液の溶媒および界面活性剤を含む溶液を用い、
前記溶媒を通液した後、前記溶液を通液することを特徴とする請求項1に記載の機能液滴吐出ヘッドの機能液充填方法。
【請求項5】
前記洗浄液通液工程では、前記洗浄液として前記機能液の溶媒および界面活性剤を含む溶液を用い、
前記溶媒を通液した後、前記溶液を通液し、再度前記溶媒を通液することを特徴とする請求項1に記載の機能液滴吐出ヘッドの機能液充填方法。
【請求項6】
前記初期充填工程では、前記機能液流路を前記機能液タンクに接続した状態で、前記機能液滴吐出ヘッドの吐出ノズルから機能液を吸引することで、前記初期充填が行われ、
前記洗浄液通液工程では、前記機能液流路を前記機能液タンクから洗浄液タンクに切替え接続した状態で、前記機能液滴吐出ヘッドの吐出ノズルから洗浄液を吸引することで、前記通液が行われることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の機能液滴吐出ヘッドの機能液充填方法。
【請求項7】
インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドに機能液を供給する機能液タンクと、
前記機能液滴吐出ヘッドに洗浄液を供給する洗浄液タンクと、
前記機能液タンクおよび前記洗浄タンクと、前記機能液滴吐出ヘッドとを接続する前記機能液流路と、
前記機能液流路の上流端を、前記機能液タンクと前記洗浄タンクとの間で流路切替えする流路切替え手段と、
前記機能液滴吐出ヘッドのノズル面に離接自在に密接し、前記機能液および前記洗浄液を個々に吸引する吸引手段と、
前記流路切替え手段および前記吸引手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記機能液流路を前記機能液タンク側に切り替えると共に前記吸引手段を駆動して、前記機能液流路および前記機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に機能液を充填する初期充填動作に先立ち、
前記機能液流路を前記洗浄液タンク側に切り替えると共に前記吸引手段を駆動して、前記機能液流路および前記機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に洗浄液を通液する洗浄液通液動作を実行することを特徴とする機能液供給装置。
【請求項8】
前記洗浄液が、前記機能液の溶媒および界面活性剤を含む溶液のいずれかであることを特徴とする請求項7に記載の機能液供給装置。
【請求項9】
前記洗浄液が、前記機能液の溶媒および界面活性剤を含む溶液であり、
前記洗浄液タンクは、前記溶媒を貯留する溶媒タンクと、前記溶液を貯留する溶液タンクとから成り、
前記流路切り替え手段は、前記機能液タンクと前記溶媒タンクと前記溶液タンクとの相互間で、流路切替え可能に構成され、
前記制御手段は、洗浄液通液動作において、前記機能液流路を前記溶媒タンク側に切り替えると共に前記吸引手段を駆動して、前記機能液流路および前記機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に前記溶媒を通液する溶媒通液動作の後、
前記機能液流路を前記溶液タンク側に切り替えると共に前記吸引手段を駆動して、前記機能液流路および前記機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に前記溶液を通液する溶液通液動作を実行することを特徴とする請求項7に記載の機能液供給装置。
【請求項10】
前記洗浄液が、前記機能液の溶媒および界面活性剤を含む溶液であり、
前記洗浄液タンクは、前記溶媒を貯留する溶媒タンクと、前記溶液を貯留する溶液タンクとから成り、
前記流路切り替え手段は、前記機能液タンクと前記溶媒タンクと前記溶液タンクとの相互間で、流路切替え可能に構成され、
前記制御手段は、洗浄液通液動作において、前記機能液流路を前記溶媒タンク側に切り替えると共に前記吸引手段を駆動して、前記機能液流路および前記機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に前記溶媒を通液する溶媒通液動作の後、
前記機能液流路を前記溶液タンク側に切り替えると共に前記吸引手段を駆動して、前記機能液流路および前記機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に前記溶液を通液する溶液通液動作を実行し、
再度前記溶媒通液動作を実行することを特徴とする請求項7に記載の機能液供給装置。
【請求項11】
請求項7ないし10のいずれかに記載の機能液供給装置と、ワークに対し前記機能液滴吐出ヘッドを相対的に移動させながら機能液滴を吐出させる描画装置と、を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項12】
請求項11に記載の液滴吐出装置を用い、前記ワーク上に機能液滴による成膜部を形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項13】
請求項11に記載の液滴吐出装置を用い、前記ワーク上に機能液滴による成膜部を形成したことを特徴とする電気光学装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2009−112885(P2009−112885A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−285391(P2007−285391)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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