説明

欠陥検査装置および欠陥検査方法

【課題】検査領域の端部における欠陥検査の精度を向上させることが可能な欠陥検査装置および欠陥検査方法を提供する。
【解決手段】光源1A,1Bは互いの照射領域(検査領域)の端部が重なり合うように照射光LA1,LB1をそれぞれ照射する。撮像装置2は正反射光LA2,LB2を受けて光源1A,1Bのそれぞれに対応する2つの画像を生成する。主制御部3は2つの画像を合成して欠陥の有無を判定する。照射光LA1,LB1が互いに異なる方向から被検査面Aを照射することにより、各画像において欠陥を示す領域の位置がわずかにずれる。よって各画像において欠陥を示す領域の面積が小さくても、2つの画像を2つの画像を重ね合わせることによって、合成後の画像において欠陥部を示す領域の面積は大きくなる。これにより検査領域の端部における欠陥検出の精度を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの表面に欠陥が生じていないかどうかを検査する技術に関し、特に検査領域の端部付近の欠陥を検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や家電製品などの筐体として、本体の表面に透明樹脂によるコーティング層が形成された構成のものが使用されている。このような筐体では本体部は一般に樹脂等により形成されて所定の色彩で着色されている。この本体部の表面に上述のコーティング層が形成されることによって表面に光沢や色彩の変化などが生じ、これにより商品価値が高められる。
【0003】
上記のようなコーティング層を有する成形体を製造する工場では、コーティング層の表面に凹凸が生じていないかどうかが検査される。欠陥検出のために現場の作業員による目視検査が従来から行なわれている。しかしながらこの種の筐体を用いた製品の多様化や大量生産に伴い、作業員の負担が大きくなるとともに検査に要する時間も多大になりつつある。そこでこれらの問題を解決するために欠陥検査を自動化することが試みられている。
【0004】
図10は、従来の欠陥検査装置の構成を示す概略図である。
図10を参照して、欠陥検査装置110は、撮像装置112と、主制御部113と、図示しない光源とを備える。光源はワークWの被検査面Aに向けて照射光L1を照射する。照射光L1はワークWの被検査面A上で正反射する。これにより正反射光L2が生じる。なお「正反射」とは入射角と等しい角度で光が反射する現象である。
【0005】
ワークWは光沢を有する検査対象であり、たとえば、金属や表面に透明材の層が形成される樹脂等である。一般的に正反射光成分の大小によって、物体表面の光沢の大小が定められる。つまり「ワークWが光沢を有する」ということは「ワークWの表面で光が正反射する」ということと同じ意味である。
【0006】
図示しない光源と、撮像装置112と、ワークWとの配置は、撮像装置112が正反射光L2を受光できるように予め調整されている。正反射光L2はレンズ121により一旦集光される。撮像装置112の内部に設けられる撮像素子は集光された正反射光を受け取って画像データを生成する。
【0007】
ここで照射光L1が被検査面Aのうちの正常部を照射した場合には、正常部からの正反射光L2はレンズ121に入射する。しかし欠陥Dで正反射した正反射光L2はレンズ121に入射しない。したがって撮像装置112が撮像した画像において、欠陥Dに対応する領域は正常部に対応する領域よりも暗くなる。
【0008】
図10の欠陥Dが凹状の欠陥であっても上述の原理が成り立つ。よって画像上では凹状の欠陥に対応する領域が周囲よりも暗くなる。このように画像上の明度差を利用することで被検査面における凹凸欠陥の有無を自動的に検査することが可能になる。
【0009】
図11は、図10の主制御部113による凹凸欠陥の検査を模式的に示す図である。
図11を参照して、主制御部113は撮像装置112から検査画像IMG1を受ける。主制御部113は検査画像IMG1と、予め記憶するモデル画像IMG2とを比較する。検査画像IMG1には周囲と明度差を有する(すなわち周囲よりも暗い)欠陥領域DA,DBを含む。モデル画像IMG2は撮像装置112が凹凸欠陥のない被検査面を予め撮像することによって得られる画像である。そのため、モデル画像IMG2には周囲と明度差が生じる領域が存在しない。主制御部113は検査画像IMG1とモデル画像IMG2とを比較する。主制御部113は欠陥領域DA,DBの存在により図10の被検査面Aに欠陥が存在すると判定する。
【0010】
一般的にワークの表面は曲面である場合が多い。図10および図11に示す方法を曲面上の欠陥検出に単純に適用した場合には以下に説明する課題が発生する。
【0011】
図12は、被検査面が曲面の場合に、図10の欠陥検査装置110による検査において生じる問題点を説明する図である。
【0012】
図12を参照して、被検査面Aが曲面であるため、照射光L1が斜めに入射する部分(傾斜部分)が被検査面Aに存在する。この傾斜部分からの正反射光L2はレンズ121に入らない。よって被検査面Aが曲面の場合には平面の場合よりも検査領域が狭くなる。
【0013】
このような問題を解決する従来の方法のうち、以下に2つの例を示す。
図13は、被検査面が曲面の場合に広い検査領域を確保できる方法を説明する図である。
【0014】
図13を参照して、光源101は適切な大きさの検査領域を確保するために、その照射面ができるだけ大きく(たとえばレンズ121の面よりも大きく)なるように設定される。光源101の発光面積を増やすことによって被検査面Aでの検査領域、すなわち照射領域を広げることができる。光源101がLED(Light Emitting Diode)等の発光素子の場合には発光素子の個数を増やすことなどにより発光面積を増やすことができる。
【0015】
しかしながら図13に示す方法の場合には欠陥Dに対して様々な方向から照射光L1が入射する。これにより欠陥Dからの正反射光L2の一部がレンズ121に入射する可能性がある。このような光を以後、「ノイズ光」と称する。
【0016】
ノイズ光が撮像装置に入った場合、検査画像上では正常部と欠陥部との明度差が小さくなる。つまり被検査面が曲面の場合において、検査領域を広げるために光源を大きくすると欠陥の検出精度が低下するという問題が生じる。
【0017】
特開平11−23243号公報(特許文献1)には、図13に示す問題を解決可能な検査装置の例が開示される。この検査装置では、光の強度を調整可能な複数の光源が使用される。
【0018】
上述の検査装置では、まず、予め検出された表面の曲率に基づいて光源の光軸角度や光の強度が調整される。次に、検査装置は複数の光源を順次発光して、各光源に対応した検査領域について欠陥検査を行なう。複数の光源がそれぞれ照射した複数の領域を欠陥検査することによって、上述の検査装置は検査領域を広げることができる。また、各光源の発光タイミングを異ならせることによってノイズ光の発生を防ぐことができる。
【特許文献1】特開平11−23243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
図14は、特開平11−23243号公報(特許文献1)に開示の検査方法の問題点を説明する図である。
【0020】
図14を参照して、被検査面A上の照射領域A1,A2は図示しない2つの光源によりそれぞれ照射される領域である。照射領域A1,A2はX軸上の位置X2において互いの端部が接するように設けられている。X軸上の位置X1,X3は照射領域A1,A2のそれぞれの中央部の位置を示す。
【0021】
図14のグラフにおいて横軸はX軸に平行な軸a上の位置を示し、縦軸は撮像装置に入射する正反射光の強度を示す。グラフの曲線B1は照射領域A1を照射する光源から撮像装置に入射する正反射光の強度の変化を示し、グラフの曲線B2は照射領域A2を照射する光源から撮像装置に入射する正反射光の強度の変化を示す。各検査領域ともに中央部よりも端部のほうが撮像装置に入射する正反射光の強度が弱くなる。
【0022】
図15は、検査領域の端部における欠陥検出を説明する図である。
図15を参照して、検査領域の中央部である位置X3に欠陥が存在する場合には、撮像装置に入射する正反射光の強度がIAだけ低下する。検査領域の中央部では正反射光の強度が大きいので強度差IAも大きい。よって中央部では欠陥の検出精度が高い。
【0023】
一方、検査領域の端部である位置X2では撮像装置に入射する正反射光の強度自体が小さい。位置X2に欠陥D2が存在することで撮像装置に入射する正反射光の強度はIBだけ変化するが、強度差IBは強度差IAに比べて小さい。このことは検査画像において端部では中央部よりも凹凸欠陥による明度差が小さくなることを示す。これにより検査領域の端部における欠陥検出の精度は検査領域の中央部よりも低下する。
【0024】
ワークの被検査面が平面である場合にも、検査領域の端部では欠陥の検出精度が低下する。その理由は撮像装置のレンズの大きさおよび光源の大きさが有限であるためである。
【0025】
図16は、ワークの被検査面が平面の場合に撮像装置が受ける光を説明する図である。
図16を参照して、光源101からの光はワークWにおいて焦点を結び、ワークWを反射する。ワークWからレンズ121に達した光はレンズ121によって集光されて撮像素子122に到達する。図16では理解を容易にするために光源101はワークWに対して撮像装置2と反対側に設けられる。
【0026】
撮像素子122の中央に存在する画素PX1がレンズ121を介して光源101を見た場合には光源101における視野の大きさは光源101の幅W1以下となる。つまり画素PX1は光源101が発した照射光L1をすべて受けることができる。
【0027】
一方、撮像素子122の端部に存在する画素PX2がレンズ121を介して光源101を見た場合には、光源101の一部しか見えない。仮に光源101の幅がW2であれば画素PX2は、光源101が発した照射光L2をすべて受けることができるが、実際には画素PX2は、光源101が発した光の一部しか受けることができない。
【0028】
本発明の目的は、検査領域の端部における欠陥検査の精度を向上させることが可能な欠陥検査装置および欠陥検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明は要約すれば、表面に光沢性がある検査対象に対して光を照射して、反射光により検査対象の表面における欠陥の有無を検査する欠陥検査装置である。欠陥検査装置は、撮像装置と、第1の光源と、第2の光源とを備える。撮像装置は、第1の照射光が検査対象の表面で正反射した光を受光して、検査対象の表面を撮像して第1の検査画像を生成し、第2の照射光が検査対象の表面で正反射した光を受光して、検査対象の表面を撮像して第2の検査画像を生成する。第1の光源は、検査対象の表面で正反射した光が撮像装置で受光されるように、第1の照射光を照射する。第2の光源は、検査対象の表面で正反射した光が撮像装置で受光されるように、かつ、第1の照射光と異なる角度で第2の照射光を照射する。第1および第2の光源は、検査対象の表面において撮像装置が第1の照射光の正反射光を受光できる範囲である第1の正反射領域と、検査対象の表面において撮像装置が第2の照射光の正反射光を受光できる範囲である第2の正反射領域とが重なりを生じるように、第2の照射光を照射する。欠陥検査装置は、主制御部をさらに備える。主制御部は、撮像装置から第1および第2の検査画像を取得して、第1および第2の検査画像を重ね合わせて、検査対象の表面において周囲に比べて凸状または凹状となる欠陥の有無を判定する。
【0030】
好ましくは、第1および第2の光源は、所定範囲から、検査対象の表面に向け、入射角度に幅を持たせて第1および第2の照射光をそれぞれ照射する。撮像装置は、検査対象の表面で正反射した光を、所定の大きさを有する開口部に受ける。
【0031】
「所定範囲」とは、第1および第2の光源が点光源ではなく、光を照射するための一定の大きさを持つ範囲を意味する。「入射角度に幅を持たせて」とは、所定範囲内の任意の場所から拡散光を照射する場合や発散光や収束光を照射する場合を含む。照射する角度に広がりを持つ光をいう。また、一旦集光した後に広がる光を含み、平行光を除く。これにより、検査対象の正反射光を受光し得る表面上の領域、すなわち検査可能な領域が大きくなる。これは検査対象が曲面である場合にも検査領域の拡大に有効である。
【0032】
所定の大きさを有する開口領域とは、有限の大きさを有する開口領域を意味する。撮像素子自体が有限の大きさを持つことによって開口領域の大きさが有限になる。また、受光レンズを介して撮像することにより開口領域の大きさが有限になる。この構成によると、照射光の広がり、あるいは開口領域の端部で照射光の進行が遮られることにより、第1および第2の正反射領域の周辺部分の受光感度は中心部分に比べて低下する場合がある。受光感度の低い周辺部分について、第1の正反射領域と第2の正反射領域とが重なるようにし、第1および第2の検査画像を重ね合わせて欠陥の有無を判定するので、感度の低い領域においても安定した欠陥検査が可能になる。
【0033】
好ましくは、主制御部は、第1および第2の検査画像を重ね合わせるに先立って、第1および第2の検査画像の各々に2値化処理を施す。
【0034】
より好ましくは、主制御部は、第1および第2の検査画像を重ね合わせた合成画像に含まれる複数の画素に対してラベリング処理を施す。主制御部は、合成画像において、複数の画素のうち同一のラベルが付加された画素によって形成される領域の面積が所定値より大きい場合には、領域に欠陥が存在すると判定する。
【0035】
好ましくは、第1および第2の照射光は、互いに特性が異なる光である。主制御部は、第1および第2の光源を同時に点灯させる。撮像装置は、特性の違いに応じて受光した正反射光を分離して、第1および第2の照射光にそれぞれ対応する第1および第2の検査画像を生成する。
【0036】
より好ましくは、特性は、ピーク波長である。
好ましくは、主制御部は、第1および第2の光源を順次点灯させる。
【0037】
本発明の他の局面に従うと、表面に光沢性がある検査対象に対して光を照射して、反射光を撮像装置によって受光することにより検査対象の表面における欠陥の有無を検査する欠陥検査方法である。欠陥検査方法は、第1の光源を用いて、第1の照射光を、検査対象の表面で第1の照射光が正反射した光が撮像装置に受光されるように照射するとともに、第2の光源を用いて、第2の照射光を、第1の照射光とは異なる角度で、かつ、検査対象の表面で第2の照射光が正反射した光が撮像装置に受光されるように照射するステップを備える。照射するステップにおいて、検査対象の表面において撮像装置が第1の照射光の正反射光を受光できる範囲である第1の正反射領域と、検査対象の表面において撮像装置が第2の照射光の正反射光を受光できる範囲である第2の正反射領域とが重なりを生じるように、第1および第2の照射光を照射する。欠陥検査方法は、撮像装置を用いて、第1の照射光が検査対象の表面で正反射した光を受光して、検査対象の表面を撮像して第1の検査画像を生成し、第2の照射光が検査対象の表面で正反射した光を受光して、検査対象の表面を撮像して第2の検査画像を生成するステップと、第1および第2の検査画像を重ね合わせて検査対象の表面において周囲に比べて凸状または凹状となる欠陥の有無を判定するステップとをさらに備える。
【0038】
好ましくは、第1および第2の光源は、所定範囲から、検査対象の表面に向け、入射角度に幅を持たせて第1および第2の照射光をそれぞれ照射する。撮像装置は、検査対象の表面で正反射した光を、所定の大きさを有する開口領域に受ける。
【0039】
「所定範囲」とは、第1および第2の光源が点光源ではなく、光を照射するための一定の大きさを持つ範囲を意味する。「入射角度に幅を持たせて」とは、所定範囲内の任意の場所から拡散光を照射する場合や発散光や収束光を照射する場合を含む。照射する角度に広がりを持つ光をいう。また、一旦集光した後に広がる光を含み、平行光を除く。これにより、検査対象の正反射光を受光し得る表面上の領域、すなわち検査可能な領域が大きくなる。これは検査対象が曲面である場合にも検査領域の拡大に有効である。
【0040】
所定の大きさを有する開口領域とは、有限の大きさを有する開口領域を意味する。撮像素子自体が有限の大きさを持つことによって開口領域の大きさが有限になる。また、受光レンズを介して撮像することにより開口領域の大きさが有限になる。この構成によると、照射光の広がり、あるいは開口領域の端部で照射光の進行が遮られることにより、第1および第2の正反射領域の周辺部分の受光感度は中心部分に比べて低下する場合がある。受光感度の低い周辺部分について、第1の正反射領域と第2の正反射領域とが重なるようにし、第1および第2の検査画像を重ね合わせて欠陥の有無を判定するので、感度の低い領域においても安定した欠陥検査が可能になる。
【0041】
好ましくは、判定するステップに先立って、第1および第2の検査画像の各々に2値化処理を施すステップをさらに備える。
【0042】
より好ましくは、判定するステップにおいて、第1および第2の検査画像を重ね合わせた合成画像に含まれる複数の画素に対してラベリング処理を施し、合成画像において、複数の画素のうち同一のラベルが付加された画素によって形成される領域の面積が所定値より大きい場合には、領域に欠陥が存在すると判定する。
【0043】
好ましくは、第1および第2の照射光は、互いに特性が異なる光である。照射するステップにおいて、第1および第2の光源を同時に点灯させる。生成するステップにおいて、特性の違いに応じて撮像装置が受光した正反射光を分離して、第1および第2の照射光にそれぞれ対応する第1および第2の検査画像を生成する。
【0044】
より好ましくは、特性は、ピーク波長である。
好ましくは、照射するステップにおいて、第1および第2の光源を順次点灯させる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、検査領域の全般にわたり精度良く欠陥検査を行なうことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下において、本発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。
【0047】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1の欠陥検査装置の基本構成を示す図である。
【0048】
図1を参照して、欠陥検査装置100は、ワークW(検査対象)において光沢性のある表面の欠陥の有無を検査する。なお、欠陥とは凹凸欠陥(周囲よりも凸状または凹状となる欠陥)を意味する。
【0049】
ワークWは、たとえば金属や表面に透明材がコーティングされた樹脂等である。なお図1ではワークWの表面(被検査面A)は曲面であるが、ワークWの表面は平面であってもよい。
【0050】
欠陥検査装置100は、複数の光源1A,1Bと、撮像装置2と、主制御部3とを備える。
【0051】
光源1Aは被検査面Aに向けて照射光LA1を照射する。よって被検査面A上に照射領域A1が形成される。照射光LA1は被検査面A上で正反射する。これにより正反射光LA2が生じる。
【0052】
光源1Bは被検査面Aに向けて照射光LB1を照射する。よって被検査面A上に照射領域A2が形成される。照射領域A2は照射領域A1の少なくとも端部と重なりが生じるように形成される。照射光LB1は被検査面A上で正反射する。これにより正反射光LB2が生じる。なお、照射領域A1,A2は欠陥検査装置100における検査領域である。
【0053】
つまり、光源1Aは、被検査面Aで正反射した光(正反射光LA2)が撮像装置2で受光されるように、照射光LA1を照射する。光源1Bは、被検査面Aで正反射した光(正反射光LB2)が撮像装置2で受光されるように、照射光LB1を照射する。光源1Bは、照射光LA1とは異なる角度で照射光LB1を照射する。光源1A,1Bは、被検査面Aにおいて、撮像装置2が照射光LA1の正反射光を受光できる範囲である第1の正反射領域(照射領域A1)と、被検査面Aにおいて撮像装置2が照射光LB2の正反射光を受光できる範囲である第2の正反射領域(照射領域A2)とが重なりを生じるように、照射光LA1,LB1をそれぞれ照射する。光源1A,1Bの位置は相対的に定められる。
【0054】
照射光LA1,LB1は「特性が異なる」光であり、具体的にはピーク波長が互いに異なる(すなわち互いに色が異なる)光である。正反射光LA2,LB2は撮像装置2に入射する。たとえば光源1Aは赤色光を発する光源であり、光源1Bは青色光を発する光源である。たとえば光源1A,1Bはいずれも複数個のLEDを具備している。
【0055】
撮像装置2は正反射光LA2,LB2を集光して、正反射光LA2の受光に応じて被検査面Aを撮像して検査画像PAを生成するとともに、正反射光LABの受光に応じて被検査面Aを撮像して検査画像PBを生成する。撮像装置2は、正反射光LA2,LB2の特性(すなわちピーク波長)の違いに応じて、照射光LA1,LB1にそれぞれ対応する検査画像PA,PBを生成する。
【0056】
より具体的に説明すると、撮像装置2はカラー画像撮像装置(カラーカメラ)である。一般的にカラーカメラはカラーフィルタやプリズム等を備えることによって、入射する光を青色、赤色、緑色の光に色分解することができる。これにより撮像装置2は赤色の画像と青色の画像とを出力することができる。
【0057】
主制御部3は、光源1A,1Bが同時に点灯するように光源1A,1Bを制御する。また主制御部3は撮像装置2から2つの検査画像PA,PBを受ける。主制御部3は被検査面Aにおける欠陥の有無を検査画像PA,PBを重ね合わせて判定する。
【0058】
主制御部3は、光源制御部35と、欠陥認識部30とを含む。光源制御部35は光源1A,1Bの点灯および消灯のタイミングを制御したり、各光源の光量を調整したりする。欠陥認識部30は撮像装置2から受ける2つの検査画像を重ね合わせた合成画像において周囲と異なる領域の面積が所定値以上ある場合にはその領域が被検査面A上の欠陥であると認識する。
【0059】
このように光源1A,1Bは互いの検査領域(照射領域)の端部が重なり合うように照射光LA1,LB1をそれぞれ照射する。撮像装置2は正反射光LA2,LB2を受けて光源1A,1Bのそれぞれに対応する2つの画像を生成する。主制御部3は2つの画像を合成して欠陥の有無を判定する。照射光LA1,LB1が互いに異なる方向から被検査面Aを照射することにより、各画像において欠陥を示す領域の位置がわずかにずれる。よって各画像において欠陥を示す領域の面積が小さくても、2つの画像を2つの画像を重ね合わせることによって、合成後の画像において欠陥部を示す領域の面積は大きくなる。これにより検査領域の端部における欠陥検出の精度を向上させることができる。
【0060】
なお図1では複数の光源として光源1A,1Bを示すが、本発明の欠陥検査装置においては少なくとも2つの光源が備えられていればよい。
【0061】
次に、光源1A,1Bの配置についてより詳しく説明する。
図2は、図1の光源1A,1Bの配置をより詳細に説明する図である。
【0062】
図2を参照して、光源1Aはプレート型光源であり、光源1Bはリング型の光源である。また、被検査面Aのある点Pに撮像装置2の焦点があっているものとする。光源1A,1Bは、有限の大きさを有する発光領域から、入射角度に幅を持たせて照射光LA1,LB1をそれぞれ照射する。また、撮像装置21は、所定の大きさを有する開口領域(レンズ21)に正反射光を受ける。
【0063】
撮像装置2のレンズ21に入射した光は撮像素子22上の画素PX1で結像する。結像点(画素PX1)から被検査面Aを見たときに、画素PX1の視野F内に光源1Aの照射面および光源1Bからの照射面が含まれている(照射光LA1,LB1が視野F内を通過する)場合には被検査面A上の点Pに照射される光の正反射光は全て画素PX1上に結像する。つまり「結像点(画素PX1)における視野」内に光源1A、1Bの照射面が両方含まれるように光源1A,1Bを配置することによって、点Pで正反射した光源1A,1Bの正反射光のいずれも画素PX1により撮像できる。
【0064】
撮像装置2はワークWの上方に光軸を鉛直方向に向けて配置される。撮像装置2の光軸にはハーフミラー4が設けられる。光源1Aはハーフミラー4の側方に設けられる。被検査面Aからの正反射光はハーフミラー4を透過して撮像装置2に入射する。
【0065】
図3は、図1の主制御部3の構成をより詳細に説明する図である。
図3を参照して、主制御部3は、CPU(Central Processing Unit)31と、メモリ32と、入力部33と、出力部34と、光源制御部35と、カメラ制御部36と、検査画像メモリ37と、モデル画像メモリ38と、パラメータ保存用メモリ39とを備える。
【0066】
CPU31は主制御部3の全体の動作を制御する。メモリ32はCPU31上で実行されるプログラムを格納する。入力部33は、検査に必要な条件やパラメータなどを入力するものであり、たとえばキーボードやマウス等により構成される。出力部34は、検査結果を出力するものであり、外部装置やモニタ装置(いずれも図示せず)に対するインターフェース回路により構成される。
【0067】
光源制御部35は、CPU31からの指示に応じて光源1A,1Bの各々の点灯および消灯や光量を制御する。カメラ制御部36は、CPU31からの指示に応じて撮像装置2の動作を制御する。これにより撮像装置2は検査画像を生成する。
【0068】
検査画像メモリ37は、各光源により撮像された被検査面の画像データを格納する。モデル画像メモリ38は、検査に先立って良品のワークが撮像されたときに生成されたモデル画像が格納される。なお撮像装置2から送られる検査画像およびモデル画像は画像バスを介して検査画像メモリ37およびモデル画像メモリ38にそれぞれ格納される。
【0069】
パラメータ保存用メモリ39は検査に必要な各種パラメータを格納する。各種パラメータは、たとえば後述する差分演算画像を2値化するための2値化しきい値、欠陥の有無を判別するための判定用しきい値、光源1A,1Bの光量の調整値などである。なお、モデル画像と同様に、これらのパラメータの値は検査に先立って特定される。
【0070】
ここで、CPU(Central Processing Unit)31と、メモリ32と、入力部33と、出力部34と、カメラ制御部36と、検査画像メモリ37と、モデル画像メモリ38と、パラメータ保存用メモリ39とは図1の欠陥認識部30に含まれる。また、主制御部3に含まれるこれらのブロックは、CPUバスを介してデータのやり取りを互いに行なう。
【0071】
図4は、図2の主制御部3が実行する検査処理の流れを示すフロー図である。
図4および図3を参照して、処理が開始されると、まずステップS1において、CPU31および光源制御部35はパラメータ保存用メモリ39に保存された条件(パラメータ)に基づき、光量を調整して、光源1A,1Bを同時に点灯する。
【0072】
次にステップS2において、CPU31およびカメラ制御部36は撮像装置2を制御する。これにより撮像装置2は撮像を行なって各光源に対応する検査画像を出力する。検査画像は検査画像メモリ37に格納される。
【0073】
次に、ステップS3においてCPU31はモデル画像メモリ38からモデル画像を読出し、検査画像メモリ37に格納される検査画像とモデル画像との差分画像を生成する。
【0074】
CPU31は、光源1Aが被検査面を照射することにより得られる検査画像と、その検査画像に対応するモデル画像とで、対応関係にある画素間の濃度値の差を求める。この濃度差の値を用いることにより、モデル画像に対する明度の差の度合を示す画像データが生成される。なお差分画像は各光源に対応して生成される。
【0075】
ステップS4において、CPU31は所定の2値化しきい値を用いて、差分画像から2値化画像を生成する。この処理は複数の差分画像の各々に対して行なわれる。
【0076】
ステップS41において、CPU31は複数の2値化画像を重ね合わせることによって合成画像を生成する。
【0077】
ステップS5において、CPU31は合成画像にラベリング処理を施す。ここでラベリング処理とは、連結している画素に同じラベルを付加することで複数の領域をグループとして分類する処理であり、画像処理において広く用いられる。
【0078】
ラベリング処理の手法には様々な種類があるが、代表的な手法である4近傍によるラベリング処理では、まず、画像上でラベルが付加されていない画素を見つけ、その画素に新しいラベルを付加する。次に、その画素に対して±x方向および±y方向の4方向に連結している画素に同じラベルを付加する。そして同じラベルを付加した画素と4方向に連結している画素に対して、同じラベルを付加する。画像内にラベルを付加する画素がある限り、この操作を繰返す。
【0079】
なお、連結している画素に代えて、所定画素数だけ離れた範囲内にある画素に対して同一ラベルを付加する処理を行なってもよい。
【0080】
本実施の形態ではこのラベリング処理により、検査画像においてモデル画像と明度差が生じている領域(複数の画素のうち同一のラベルが付加された画素によって形成される領域)が特定される。
【0081】
ステップS6において、CPU31は同一のラベルが付加された複数の画素によって形成される領域毎に、その領域の面積を計測する。そしてCPU31は、計測した面積が所定値以上の大きさであれば、その領域は凹凸欠陥が存在する領域であると判定する。そして、その認識結果に基づき、CPU31は欠陥の有無を最終判定する。この処理は複数の2値化画像の各々に対して行なわれる。
【0082】
ステップS7においてCPU31は上記の判別結果を出力部34に出力する。CPU31が判別結果を出力すると全体の処理が終了する。
【0083】
図5は、実施の形態1の欠陥検査装置による効果を説明する第1の図である。
図5を参照して、検査領域の端部に欠陥Dが設けられているものとする。欠陥Dに対して光源1A,1Bが照射光LA1,LB1をそれぞれ照射すると、欠陥Dに対する照射光LA1,LB1の入射角度が異なる。よって、欠陥Dにおいて正反射光が撮像されない部分(図1の主制御部3で欠陥と認識される部分)は光源1Aが欠陥Dを照射した場合には欠陥部DA1となり、光源1Bが欠陥Dを照射した場合には欠陥部DA2となる。
【0084】
このように、検査画像に反映される欠陥の位置は光源1Aを点灯した場合と光源1Bを点灯した場合とではずれている。よって光源1A,1Bのそれぞれに対応する2つの検査画像を重ねあわした合成画像では欠陥部の面積が大きくなる。
【0085】
図6は、実施の形態1の欠陥検査装置による効果を説明する第2の図である。
図6を参照して、光源が1つの場合には検査画像において欠陥部の面積が小さいため、欠陥部とホワイトノイズとの区別が不可能である。一方、光源が複数の場合には複数の検査画像を合成することで欠陥部の面積が大きくなるので欠陥部とホワイトノイズとの区別が容易になる。よって検査領域の端部においても欠陥を検出できる。
【0086】
図7は、実施の形態1の欠陥検査装置による検査領域を説明する図である。
図7を参照して、被検査面A上の照射領域A1,A2は図1の照射領域A1,A2にそれぞれ対応する。照射領域A2は照射領域A1を含むように形成される。つまり照射領域A1の少なくとも端部は照射領域A2に重なっている。
【0087】
位置P1〜P3は照射領域A1,A2に存在する欠陥の位置である。位置P2は照射領域A1の境界部を示す。
【0088】
図8は、実施の形態1の欠陥検査装置が図7に示す検査領域を検査した結果を説明する図である。
【0089】
図8を参照して、光源が1つの場合に得られる検査画像と、光源が2つの場合に得られる合成画像とを、位置P1〜P3に対応付けて示す。なお、主制御部3が欠陥を検出可能か否かを示すため、画像の左上には「○」(検出可能)と「×」(検出不可能)とのいずれか一方の記号を付してある。
【0090】
光源1A,1Bの一方のみ用いて照射領域A1の境界部(位置P2)を撮像した場合には検査画像における欠陥部の面積が小さいので欠陥を検出することができない。これに対して図1の光源1A,1Bの2つを用いて位置P2の付近を撮像すると検査画像では欠陥部を示す領域の面積が大きくなるので欠陥を検出することができる。また位置P1,P3においては単独の光源だけで欠陥を検出することができる。
【0091】
なお以上の説明においては「特性の異なる照射光」として、「ピーク波長(すなわち色)が異なる光」を示したが、本発明において「特性の異なる照射光」とは、上記のような光に限定されず、たとえば偏光方向や位相や強度等が異なる光であってもよい。
【0092】
以上のように実施の形態1によれば、複数の光源にそれぞれ対応する検査画像を重ね合わせて欠陥検査を行なうことで、検査領域(照射領域)の端部における欠陥の検出精度を高めることができる。
【0093】
[実施の形態2]
実施の形態2の欠陥検査装置の全体構成は図1に示す欠陥検査装置100の構成と同様である。よって実施の形態2の欠陥検査装置の構成については以後の説明を繰返さない。また、実施の形態2の欠陥検査装置が備える主制御部のブロック図は図3に示すブロック図と同様であるので、以後の説明は繰返さない。
【0094】
実施の形態2の欠陥検査装置は図1における照射光LA1,LB1のピーク波長が同じである点(すなわち特性が同じである)点で実施の形態1と異なる。また、主制御部3は光源1A,1Bを順次点灯する。これらの点で実施の形態2の欠陥検査装置は実施の形態1の欠陥検査装置と異なる。
【0095】
照射光LA1,LB1のピーク波長が同じ場合には光源1A,1Bを同時に点灯させることはできない。その理由は、光源1A,1Bを同時に点灯すると光源の面積を広げることになるからである。その理由は図13に示すように、光源の面積が大きくなると撮像装置2にノイズ光が入射するので欠陥検出の精度が低下するからである。このため実施の形態2では光源1A,1Bを順次点灯する。
【0096】
図9は、実施の形態2の欠陥検査装置における検査処理の流れを示すフロー図である。
図9および図4を参照して、図9のフロー図ではステップS2の後にステップS21,S22が追加される点で図4に示すフロー図と異なる。図9のフロー図における他のステップでの処理は図4のフロー図において対応するステップの処理と同様である。よって、以下ではステップS21,S22に関する処理を説明し、他のステップにおける処理の説明は繰返さない。
【0097】
次に、図9および図3を参照しながら図9のフロー図を説明する。ステップS1においてまず光源1Aが点灯される。そうするとステップS21においてCPU31は光源1Aを消灯する。次にステップS22においてCPU31は光源1A,1Bをすべて点灯したか否かを判定する。光源1A,1Bをすべて点灯した場合(ステップS22においてYES)、処理はステップS3に進む。一方、まだ光源1Bを点灯していない場合(ステップS22においてNO)、処理は再びステップS1に戻る。CPU31は光源1A,1Bを点灯するまでステップS1〜S21の処理を繰返す。これにより光源1A,1Bが順次点灯される。なお、光源1A,1Bを点灯させる順序は逆でもよい。
【0098】
図9に示すフローに従って検査処理を実行することで2つの検査画像を重ね合わせた合成画像では欠陥部の面積が大きくなる。よって実施の形態2によれば実施の形態1と同様に、検査領域の端部における欠陥の検出精度を向上させることができる。
【0099】
また、実施の形態2によれば照射光の波長を光源ごとに変える必要がない。よって、実施の形態2では、たとえばカラーカメラに代えて白黒カメラを撮像装置に用いることができる等、欠陥検査装置の構成の自由度を高めることができる。
【0100】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】実施の形態1の欠陥検査装置の基本構成を示す図である。
【図2】図1の光源1A,1Bの配置をより詳細に説明する図である。
【図3】図1の主制御部3の構成をより詳細に説明する図である。
【図4】図2の主制御部3が実行する検査処理の流れを示すフロー図である。
【図5】実施の形態1の欠陥検査装置による効果を説明する第1の図である。
【図6】実施の形態1の欠陥検査装置による効果を説明する第2の図である。
【図7】実施の形態1の欠陥検査装置による検査領域を説明する図である。
【図8】実施の形態1の欠陥検査装置が図7に示す検査領域を検査した結果を説明する図である。
【図9】実施の形態2の欠陥検査装置における検査処理の流れを示すフロー図である。
【図10】従来の欠陥検査装置の構成を示す概略図である。
【図11】図10の主制御部113による凹凸欠陥の検査を模式的に示す図である。
【図12】被検査面が曲面の場合に、図10の欠陥検査装置110による検査において生じる問題点を説明する図である。
【図13】被検査面が曲面の場合に広い検査領域を確保できる方法を説明する図である。
【図14】特開平11−23243号公報(特許文献1)に開示の検査方法の問題点を説明する図である。
【図15】検査領域の端部における欠陥検出を説明する図である。
【図16】ワークの被検査面が平面の場合に撮像装置が受ける光を説明する図である。
【符号の説明】
【0102】
1A,1B,101 光源、2 撮像装置、3,113 主制御部、4 ハーフミラー、21,121 レンズ、22,122 撮像素子、30 欠陥認識部、32 メモリ、33 入力部、34 出力部、35 光源制御部、36 カメラ制御部、37 検査画像メモリ、38 モデル画像メモリ、39 パラメータ保存用メモリ、100,110 欠陥検査装置、A 被検査面、A1,A2 照射領域、D,D2 欠陥、DA,DB 欠陥領域、DA1,DA2 欠陥部、F 視野、IMG1,PA,PB 検査画像、IMG2 モデル画像、LA1,LB1 照射光、LA2,LB2 正反射光、P1〜P3 位置、PX1,PX2 画素、S1〜S41 ステップ、W ワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に光沢性がある検査対象に対して光を照射して、反射光により前記検査対象の表面における欠陥の有無を検査する欠陥検査装置であって、
第1の照射光が前記検査対象の表面で正反射した光を受光して、前記検査対象の表面を撮像して第1の検査画像を生成し、第2の照射光が前記検査対象の表面で正反射した光を受光して、前記検査対象の表面を撮像して第2の検査画像を生成する撮像装置と、
前記検査対象の表面で正反射した光が前記撮像装置で受光されるように、前記第1の照射光を照射する第1の光源と、
前記検査対象の表面で正反射した光が前記撮像装置で受光されるように、かつ、前記第1の照射光と異なる角度で前記第2の照射光を照射する第2の光源とを備え、
前記第1および第2の光源は、前記検査対象の表面において前記撮像装置が前記第1の照射光の正反射光を受光できる範囲である第1の正反射領域と、前記検査対象の表面において前記撮像装置が前記第2の照射光の正反射光を受光できる範囲である第2の正反射領域とが重なりを生じるように、前記第2の照射光を照射し、
前記撮像装置から第1および第2の検査画像を取得して、前記第1および第2の検査画像を重ね合わせて、前記検査対象の表面において周囲に比べて凸状または凹状となる欠陥の有無を判定する主制御部をさらに備える、欠陥検査装置。
【請求項2】
前記第1および第2の光源は、所定範囲から、前記検査対象の表面に向け、入射角度に幅を持たせて前記第1および第2の照射光をそれぞれ照射し、
前記撮像装置は、前記検査対象の表面で正反射した光を、所定の大きさを有する開口領域に受ける、請求項1に記載の欠陥検査装置。
【請求項3】
前記主制御部は、前記第1および第2の検査画像を重ね合わせるに先立って、前記第1および第2の検査画像の各々に2値化処理を施す、請求項1に記載の欠陥検査装置。
【請求項4】
前記主制御部は、前記第1および第2の検査画像を重ね合わせた合成画像に含まれる複数の画素に対してラベリング処理を施し、前記合成画像において、前記複数の画素のうち同一のラベルが付加された画素によって形成される領域の面積が所定値より大きい場合には、前記領域に欠陥が存在すると判定する、請求項3に記載の欠陥検査装置。
【請求項5】
前記第1および第2の照射光は、互いに特性が異なる光であり、
前記主制御部は、前記第1および第2の光源を同時に点灯させ、
前記撮像装置は、前記特性の違いに応じて受光した正反射光を分離して、前記第1および第2の照射光にそれぞれ対応する前記第1および第2の検査画像を生成する、請求項1に記載の欠陥検査装置。
【請求項6】
前記特性は、ピーク波長である、請求項5に記載の欠陥検査装置。
【請求項7】
前記主制御部は、前記第1および第2の光源を順次点灯させる、請求項1に記載の欠陥検査装置。
【請求項8】
表面に光沢性がある検査対象に対して光を照射して、反射光を撮像装置によって受光することにより前記検査対象の表面における欠陥の有無を検査する欠陥検査方法であって、
第1の光源を用いて、第1の照射光を、前記検査対象の表面で前記第1の照射光が正反射した光が前記撮像装置に受光されるように照射するとともに、第2の光源を用いて、第2の照射光を、前記第1の照射光とは異なる角度で、かつ、前記検査対象の表面で前記第2の照射光が正反射した光が前記撮像装置に受光されるように照射するステップを備え、
前記照射するステップにおいて、前記検査対象の表面において前記撮像装置が前記第1の照射光の正反射光を受光できる範囲である第1の正反射領域と、前記検査対象の表面において前記撮像装置が前記第2の照射光の正反射光を受光できる範囲である第2の正反射領域とが重なりを生じるように、前記第1および第2の照射光を照射し、
前記撮像装置を用いて、前記第1の照射光が前記検査対象の表面で正反射した光を受光して、前記検査対象の表面を撮像して第1の検査画像を生成し、第2の照射光が前記検査対象の表面で正反射した光を受光して、前記検査対象の表面を撮像して第2の検査画像を生成するステップと、
前記第1および第2の検査画像を重ね合わせて前記検査対象の表面において周囲に比べて凸状または凹状となる欠陥の有無を判定するステップとをさらに備える、欠陥検査方法。
【請求項9】
前記第1および第2の光源は、所定範囲から、前記検査対象の表面に向け、入射角度に幅を持たせて前記第1および第2の照射光をそれぞれ照射し、
前記撮像装置は、前記検査対象の表面で正反射した光を、所定の大きさを有する開口領域に受ける、請求項8に記載の欠陥検査方法。
【請求項10】
前記判定するステップに先立って、前記第1および第2の検査画像の各々に2値化処理を施すステップをさらに備える、請求項8に記載の欠陥検査方法。
【請求項11】
前記判定するステップにおいて、前記第1および第2の検査画像を重ね合わせた合成画像に含まれる複数の画素に対してラベリング処理を施し、前記合成画像において、前記複数の画素のうち同一のラベルが付加された画素によって形成される領域の面積が所定値より大きい場合には、前記領域に欠陥が存在すると判定する、請求項10に記載の欠陥検査方法。
【請求項12】
前記第1および第2の照射光は、互いに特性が異なる光であり、
前記照射するステップにおいて、前記第1および第2の光源を同時に点灯させ、
前記生成するステップにおいて、前記特性の違いに応じて前記撮像装置が受光した正反射光を分離して、前記第1および第2の照射光にそれぞれ対応する前記第1および第2の検査画像を生成する、請求項8に記載の欠陥検査方法。
【請求項13】
前記特性は、ピーク波長である、請求項12に記載の欠陥検査方法。
【請求項14】
前記照射するステップにおいて、前記第1および第2の光源を順次点灯させる、請求項8に記載の欠陥検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−240432(P2007−240432A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−65980(P2006−65980)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】