説明

水分散可能な環状カーボネート官能化ビニルコポリマー系

水分散可能な環状カーボネート官能化ビニルコポリマー結合剤、該結合剤の製造方法、該結合剤を含有する水性分散液、該結合剤、水および(アミン)硬化剤を含む系、ならびに硬化被覆を製造するための該結合剤の使用を提案する。驚くべきことに、本発明による乳化剤基がポリマー鎖に組み込まれている該結合剤が、30質量%超までの固体含有量を有する、安定した水性分散液をもたらすことが見出された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分散可能な環状カーボネート官能化ビニルコポリマー結合剤、該結合剤の製造方法、該結合剤を含有する水性分散液、該結合剤、水および硬化剤を含む系、ならびに硬化被覆を製造するための該結合剤の使用に関する。
【0002】
ポリイソシアネートをベースとする二成分系は、先行技術に該当する。これらの系は、例えば接着剤、シーリング材、目地材として、防錆剤として、およびコーティングに使用される。有利には、それで得られた硬化組成物の高耐酸性、高耐アルカリ性および高耐化学薬品性である。しかしながら、NCO基は湿度に敏感である。そのため、イソシアネートをベースとする、貯蔵安定性の水性系の製造は不可能である。さらに、特にこれらの系が易揮発性である、またはマイグレーションする場合、モノマーで低分子のイソシアネート化合物は毒性学的に憂慮すべきである。
【0003】
ポリウレタンは、環状カーボネート化合物から出発しても得ることができる。環状カーボネート基を持つビニル化合物の重合が、相応するが非置換のビニル化合物に比べて、該基の分子内および分子間の作用のゆえに大きく速まっていることは公知である(Macromolecules,2008,9035−9043)。そのうえ、環状カーボネート化合物は、アミンによって架橋できる。
【0004】
水性系の製造には、水への結合剤の十分な分散性が必要である。結合剤の分子分散性を達成するため、必要な乳化剤が化学的に結合剤の鎖に組み込まれるようになった。
【0005】
WO97/23516A1は、環状カーボネート基とアミン基との反応を含む方法によって架橋できるポリマー系を含む、水性の架橋可能な被覆組成物を記載している。水分散性は、カルボキシレート基を用いて達成される。アミン基は、カルボキシレート基とアジリジンとの反応によって導入される。環状カーボネート基およびアミン基は、同一または異なるポリマー鎖に結合されていてよい。ポリマー系として、(メタ)アクリレートポリマーを含むビニル付加ポリマーおよびポリウレタンが挙げられる。
【0006】
前記一成分系の硬化は、しかし、高められた温度でまたはより長い期間にわたって室温で行われる。アジリジンは、一般に毒性および発ガン性がある。そのうえ、カルボキシレート基は、高められたpH値を水溶液中で示し、これは加水分解安定性およびそれと同時に水性分散液の貯蔵安定性に悪い影響をもたらしうる。
【0007】
JP09278982Aは、少なくとも1個のカーボネート基を有するビニルポリマー、Si原子に結合したOH基もしくは加水分解性基を有するポリシロキサン、および硬化触媒を含む硬化性の樹脂組成物を記載している。JP09278982Aにおいて、線状カーボネート基を有するビニルポリマーが、環状カーボネート基を有するビニルポリマーと関連づけられるにもかかわらず、カーボネート基を有するビニルポリマーの2通りの択一的な実施形態であることが前記特許出願の段落[0021]から即座に明らかになる。
【0008】
EP0737726A1は、表1においてグリセリンカーボネートメタクリレートエステルを別の(メタ)アクリレートモノマーおよびビニルモノマーと組み合わせて挙げているが、乳化剤成分は含まない。
【0009】
本発明の基礎をなす課題は、上述の先行技術の欠点の少なくともいくつかを主として克服することであった。特に、NCO基を含まない水性ビニルコポリマー結合剤は、アジリジンを使用しないで、高い固体含有量を有する硬化性で安定性のある水性分散液をもたらす製造方法において使用できることが望ましい。該水性分散液の貯蔵安定性は、商業的要件を満たすべきである。該分散液は、有機溶剤または付加的な乳化剤を必要とすべきではない。前記結合剤は、容易に製造および使用できるべきである。
【0010】
前記課題は、独立請求項の特徴によって解決される。従属請求項は、好ましい実施形態に関する。
【0011】
驚くべきことに、ビニルコポリマー結合剤であって、そのポリマー鎖に組み込まれた環状カーボネート基を有し、本発明による乳化剤基も同様にポリマー鎖中に組み込まれているビニルコポリマー結合剤が、30質量%以上までの固体含有量を有する安定な水性分散液をもたらすことが判明した。
【0012】
本発明の対象は、水分散可能な環状カーボネート官能化ビニルコポリマー結合剤であって、i)少なくとも1個の環状カーボネート基を有する、少なくとも1種のビニルモノマー(I)から誘導されている構造基と、ii)少なくとも1個の乳化剤基を有する、少なくとも1種のビニルモノマー(II)から誘導されている構造基と、iii)場合により、モノマー(I)および(II)とは異なる、少なくとも1種の共重合性ビニルモノマー(III)から誘導されている構造基とを有する前記ビニルコポリマー結合剤である。
【0013】
本発明の目的のために、「ビニルモノマー」はエチレン系不飽和化合物を表すものとする。「ビニルモノマー」は、それゆえアリルモノマー、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルも含む。前記構造基が該相応のモノマーから誘導されているという記述は、確かに該相応のモノマーが共重合されるという可能性を含むが、しかし、前記相応の構造基が重合反応に引き続いて化学修飾によって初めて得られるという可能性も含んでいる。
【0014】
環状カーボネート基は、特に五員環または六員環、好ましくは2−オキソ−1,3−ジオキソラン環である。
【0015】
ビニルモノマー(I)として、下記式の化合物、すなわち
【化1】

[式中、R1はHまたはCH3であり;
2はH、アルキル、アリール、アラルキルまたはアルカリール、好ましくはH、C1〜C8−アルキル、C6〜C14−アリール、C7〜C20−アラルキルまたはC7〜C20−アルカリール、および特にHであり;
Xはアルキレン、アリーレン、アラルキレンまたはアルカリーレンであり、これらは場合により(ポリ)エステル基、(ポリ)エーテル基、(ポリ)アミド基、(ポリ)ウレタン基および/または(ポリ)カーボネート基を有し、好ましくはC1〜C8−アルキレン、特にメチレンである]が好ましい。
【0016】
前記ビニルモノマー(I)は、したがって(メタ)アクリル酸エステルである。名称「(メタ)アクリル酸」によって、R1がHまたはCH3であるという条件が考慮に入れられる。つまり、アクリル酸でもメタクリル酸でもよい。名称「(ポリ)エステル基」等々は、1個のエステル基も複数個のエステル基も基「X」に含まれうることを表す。前記ビニルモノマー(I)の特に好ましい代表物質は、グリセリンカーボネートアクリレートである。
【0017】
前記ビニルモノマー(I)は、好ましくは分子量172(グリセリンカーボネートアクリレートの場合)〜約1500である。本発明の範囲では、分子量表示が個々の場合に記されていなくても、単位「g/mol」を基礎とする。
【0018】
前記ビニルモノマー(II)に含まれる乳化剤基は、非イオン性基またはイオン性基である。該ビニルモノマー(II)は、好ましくは分子量が88(エチレングリコールモノビニルエーテルの場合)〜約1500である。
【0019】
前記ビニルコポリマー結合剤の水分散性は、ジオールまたは(ポリ)アルキレングリコールをベースとする非イオン性基を用いて達成できる。「ジオール」とは、ここでは任意の位置に計2個のOH基を持つアルキレン基を表す。それに対して、「アルキレングリコール」はビシナルなジオールを表す(好ましくは、エチレングリコールおよびプロピレングリコール、ならびにそれらの混合物)。語句「(ポリ)」は、モノマー、オリゴマーおよびポリマーを表す。
【0020】
非イオン性乳化剤基の場合、前記ビニルモノマー(II)は、したがってジオール、好ましくはC2〜C8−ジオールまたは(ポリ)アルキレングリコール、ならびにそれらの混合物のビニルエーテル、アリルエーテル、イソプレニルエーテルおよび(メタ)アクリル酸エステルから選択され、末端のOH基はそれぞれC1〜C8−アルコキシ基によって置換されていてよく、ジオール基および(ポリ)アルキレングリコール基はそれぞれ(ポリ)エステル基を鎖中に有していてよい。例としては、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)カプロラクトン(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、エチレングリコールビニルエーテル、メチル(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸−ω−ヒドロキシ−(C12〜C24)−脂肪アルコールエステル−(C2〜C3)(ポリ)アルコキシレート等々が含まれる。
【0021】
前記ビニルコポリマー結合剤の水分散性は、好ましくはイオン性基を用いて達成され、イオン性乳化剤基はスルフェート基、スルホネート基、ホスフェート基および/またはホスホネート基を含む。該イオン性乳化剤基は、第四級アンモニウム基も含んでよい。
【0022】
イオン性基を有する好適なビニルモノマー(II)の例は、なかんずく一般式(IV)
【化2】

[式中、R1は上述の意味を有する。つまり、R1はHまたはCH3であり;
3はH、アルキル、アリール、アラルキルまたはアルカリール、好ましくはH、C1〜C8−アルキル、C6〜C14−アリール、C7〜C20−アラルキルまたはC7〜C20−アルカリール、特に好ましくはCH3およびH、ならびに特にHであり;
YはO、CH2、CH2O、NHまたはCH2NHであり;
ZはOSO3(-)、SO3(-)、OPO3(2-)、OPO3(-)、PO3(2-)、PO3(-)またはN(CH33(+)、特にSO3(-)およびN(CH33(+)であり;
mは0または1であり;ならびに
nは0〜10である]の化合物である。
【0023】
前記スルフェート基、スルホネート基、ホスフェート基および/またはホスホネート基の場合、対イオンとして例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンおよび/またはアンモニウムイオンが考慮の対象になる;前記第四級アンモニウム基の場合、例えばハロゲン化物イオンが考慮の対象になる。しかし、該第四級アンモニウム基は、自体も陰イオン性乳化剤基に対する対イオンになりうるため、乳化剤基は下記に詳述の通り、両性イオン基としても存在することができる。
【0024】
イオン性基を有する好適なビニルモノマー(II)は、なかんずくRaschig社のRalu(登録商標)MER製品、例えば(3−スルホプロピル)(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル−N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−N−(3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン、ポリエチレングリコール−アリル−(3−スルホプロピル)−ジエーテル塩、3−(メタ)アクリルアミドプロピル−トリメチルアンモニウムハロゲン化物、1−(3−スルホプロピル)−2−ビニルピリジニウムベタインおよび1−(3−スルホプロピル)−4−ビニルピリジニウムベタイン、しかしまたビニルホスホネートおよびビニルスルホネート、BASF SE社のN,N−ジメチル−N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−N−(2−スルホエチル)アンモニウムベタイン、ならびにLubrizol社の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS(登録商標))である。
【0025】
陰イオン性乳化剤基の場合、前記ビニルモノマー(II)は、塩としてまたは遊離酸として使用でき、遊離酸の場合、引き続き水溶液中で塩基の好ましくは化学量論量でもって中和される(ホスフェート基もしくはホスホネート基の場合、好ましくはリン酸一水素もしくはホスホン酸一水素段階までのみ)。
【0026】
前記共重合性ビニルモノマー(III)は、共役ジエン、ビニル芳香族化合物、ビニルハロゲン化物、ビニルエステルおよびビニルエーテル、複素環式ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルニトリル、モノエチレン系不飽和ジカルボン酸のエステル、ならびにそれらの混合物から選択され、好ましくは(メタ)アクリル酸−C1〜C8−アルキルエステル、(メタ)アクリル酸−C6〜C14−アリールエステル、(メタ)アクリル酸−C7〜C20−アラルキルエステルおよびスチレンから選択される。好ましくは、分子量は約50〜約1000である。
【0027】
本発明による結合剤は、好適には260〜2000000の平均分子量(Mn)を、好ましくは2000〜1000000の平均分子量(Mn)を、および特に5000〜500000の平均分子量(Mn)を有する。
【0028】
本発明による結合剤は、好ましくは統計コポリマーである。個々の構造基から成る該結合剤の百分率組成は、幅広い範囲で変えることができ、結合剤の分子は、平均して当然少なくとも1個の、モノマー(I)から誘導されている構造基と、少なくとも1個の、モノマー(II)から誘導されている構造基とを有する。前記結合剤は、好ましくは、モノマー(I)から誘導されている構造基3〜96モル%と、モノマー(II)から誘導されている構造基3〜96モル%と、およびモノマー(III)から誘導されている構造基0〜96モル%とを含む。
【0029】
本発明による結合剤は、十分な水分散性を有するために、少なくとも5質量%の、好ましくは少なくとも10質量%の、および特に少なくとも20質量%の、モノマー(II)から誘導されている構造基を含むのが望ましい。
【0030】
本質的に、本発明による結合剤中にカルボキシレート基は存在せず、好ましくは5モル%より多くのカルボキシレート基は存在せず、特に好ましくは1モル%より多くのカルボキシレート基は存在せず、および特に0.5モル%より多くのカルボキシレート基は存在しない。
【0031】
さらに、前記モノマー(II)および(III)は、本質的に環状カーボネート基と反応性の基を有さず、好ましくは5モル%より多くの反応性基を有さず、および特に1モル%より多くの反応性基を有さない。
【0032】
本発明の更なる対象は、本発明による結合剤の製造方法である。発明による好ましい方法は、前記モノマー(I)、(II)および場合により(III)をラジカル共重合させることを基礎とする。このためには、前記モノマーの混合物を、場合によりラジカル開始剤と合わせて、沸騰する溶剤に滴下し、前記溶剤を留去し、得られた結合剤を水相に移し、イオン性乳化剤基をイオン形態に変換させる。
【0033】
特定の利点は、ここでは環状カーボネート基を有するビニルモノマーのすでに述べた容易な(共)重合性にある。ラジカル共重合は、好ましくは、いわゆる「スターブドフィード型反応器(Starved−Feed−Reactor)」内で行われる。
【0034】
別の方法として、前記モノマーの混合物を、場合により水溶性ラジカル開始剤と合わせて、直接(熱い)水中で共重合することができる。こうして直接、発明による水性分散液が得られる。
【0035】
本発明の更なる対象は、少なくとも1種の発明による結合剤および水を含む水性分散液である。該水性分散液は、固体含有量が少なくとも10質量%、好ましくは少なくとも20質量%、および特に少なくとも30質量%で製造されうる。
【0036】
水に分散した結合剤の粒径は、100nm以下の大きさである。個々の液滴の「コアシェル」構造が想定され、イオン性基およびおそらく環状カーボネート基も液滴の外側の領域に配置されている。
【0037】
先行技術によるカルボキシレート基で分散される結合剤と比べた主な利点は、例えばスルホン酸イオン基またはホスホン酸水素イオン基などの本発明によるイオン性乳化剤基が、カルボキシレート基よりもアルカリ性が弱いことにその根拠がある。それゆえ、水性分散液中で、環状カーボネート基のよりゆるやかな加水分解が行われ、これは該分散液の貯蔵安定性を促進させる。そのため、前記結合剤の30質量%の水性分散液の貯蔵性は、一般的に少なくとも1年である。
【0038】
例えばスルホネート基のより完全な解離およびより高い電荷密度のゆえに、少ない乳化剤でより安定した分散液を得ることが可能であり、これは本発明による結合剤の更なる利点である。
【0039】
本発明の更なる対象は、少なくとも1種の発明による結合剤、水および少なくとも1種の硬化剤、ならびに場合により触媒、添加剤および/または助剤を含む系である。
【0040】
前記硬化剤は、好ましくはアミンである。環状カーボネート基とアミン基との高い反応性のゆえに、本発明による系は、好適には二成分系として形成され、該系において前記結合剤成分および水は、好ましくは一方の成分を表し、前記硬化剤は、好ましくはもう一方の成分を表す。
【0041】
本発明による系は、それゆえ前記結合剤成分および水以外に、さらに好ましくは少なくとも1個のHNR34基[式中、R3およびR4は互いに独立してH、脂肪族基、芳香族基、脂肪芳香族基、脂環式基もしくは複素環式基であり、好ましくはH、C1〜C8−アルキル、C6〜C14−アリール、C7〜C20−アラルキルもしくはC7〜C20−アルカリールまたはC5〜C8−シクロアルキルであり、その際、R3およびR4は同時にHではなく、R3およびR4は一緒になって脂環式系、好ましくは五員環ないし八員環を形成しうる]を有するアミン成分(または2個もしくは複数個の該アミン成分からなる混合物)を含む。
【0042】
環状カーボネート基の前記HNR34基に対するモル比は、好適には20:1〜0.2:1、好ましくは10:1〜0.4:1、特に好ましくは5:1〜0.5:1、および特に2:1〜0.5:1である。
【0043】
前記アミン成分は、低分子または高分子であってよい。低分子アミン成分の平均分子量(Mn)は、好適には45(エチルアミンの場合)〜約1000、特に60〜300である。高分子アミン成分の分子量の上限は、約5000000であり、下限は約1000である。好ましくは、高分子アミン成分は800〜2000000の平均分子量(Mn)を、特に1000〜1000000の平均分子量(Mn)を有する。
【0044】
単官能性アミンが、過剰な環状カーボネート基の反応に適している一方で、二官能性または多官能性アミンは、前記結合剤成分の架橋に適している。前記アミン成分は、線状でも分岐状でもよい。前記アミン成分の骨格は、脂肪族構造、芳香族構造、脂肪族−芳香族構造、脂環式構造および複素環式構造を有することができる。アミン官能基自体は、脂肪族である。つまり、アミン窒素は芳香族環の一部ではない。
【0045】
単官能性アミンとして、低分子の第一級および第二級アルキルアミン、アリールアミン、アラルキルアミン、アルカリールアミンならびにシクロアルキルアミンが好ましい。
【0046】
二官能性アミンとして、アルキレンジアミンおよび/またはシクロアルキレンジアミンが好ましい。例えば、ジアミノエタン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、ジアミノシクロペンタン、ジアミノシクロヘキサン、ジアミノシクロヘプタン、イソホロンジアミン等々が好ましい。イソホロンジアミンは、両アミン基の異なる反応性の付加的利点を有し、これはポットライフの延長に利用できる。
【0047】
多官能性アミンとして、アミノ官能化ポリアルキレングリコールが好ましい。例えばHuntsman Corp.社のJeffamine(登録商標)、例えばJeffamine D−230、D−400、D−2000、D−4000、T−403、T−3000、T−5000、ED−600、ED−2003、または一般式H2N−(CH2CH2−NH)o−CH2CH2−NH2[式中、o=1〜10]のアミン、例えばジエチレントリアミンが好ましい。高分子アミン成分として、ポリアミン、樹枝状ポリアミン、ポリイミン(例えば、BASF SE社のLupasol(登録商標)タイプのポリエチレンイミン)、ポリアミド、ポリアミノアミド、ポリウレタン、ポリビニルアミンまたはそれらの混合物から選択されるポリマーが好ましい。
【0048】
本発明による系において有機(助)溶剤もしくは「合体剤」は不要である、という特定の利点がある。本発明による系は、もっぱら水ベースで形成され、少量の相容性のある不活性溶剤は確かに問題にはならないだろうが、健康的観点、環境および作業場の安全性を顧慮して避けるのが望ましい。このため、有機溶剤の使用を不要にし、それでもなお該成分の容易な混和性が達成されうるには、アミン成分は、好ましくは液状および/または十分に水溶性である。
【0049】
特定の一実施形態において、本発明による系は、環状カーボネート基とアミン基との反応を促進させるための触媒を含む。これは、好適には、例えばアルカリ金属水酸化物等の塩基の触媒的に有効な量である。該触媒は、前記結合剤成分の分散液または前記アミン成分に含まれうる。
【0050】
本発明による系は、場合によりなおもそれ自体公知の添加剤および/または助剤を含む。これらの剤は、結合剤成分の分散液もしくはアミン成分に含まれうる、または前記2種の成分の混合後に初めて添加されうる。添加剤として、好適には、塩、例えば塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の塩;硬セッコウ、セッコウ、チョーク;酸化物、例えば二酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の酸化物;水酸化物、例えば水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物;着色顔料、例えば二酸化チタン、酸化鉄等の着色顔料;カーボン、例えばカーボンブラック、グラファイト、膨張黒鉛等のカーボン;金属顔料、例えばアルミニウム等の金属顔料;吸水性充填剤、例えばセメント等の吸水性充填剤;アルミノケイ酸塩、例えばタルク、カオリン等々のアルミノケイ酸塩が使用される。助剤として、市販の可塑剤、安定剤、UV吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、湿潤添加剤等々が使用されうる。
【0051】
本発明の更なる対象は、硬化被覆を製造するための、特に水性接着剤、装飾被覆、室内もしくは室外用コーティング、フロアコーティング、防錆、「トップコート」、「ベースコート」として、厚い層でも使用するための、本発明による結合剤の使用である。
【0052】
前記系の硬化は、前記成分の混合後にアミン基と環状カーボネート基との反応によって行われる。ポットライフは数分から複数時間の範囲、好ましくは約30分〜約1時間の範囲にある。硬化は、0℃〜50℃で、好ましくは10℃〜40℃で、および特に室温で行われる。前記系は、すでに30分後には乾ききり、そして遅くとも24時間後に耐ブロッキング性で硬化しているのが好ましい。
【0053】
本発明を、ここで以下の例を用いて詳細に説明する:
【0054】
実施例
製造例1
7.0gのベンジルメタクリレート、1.0gのグリセリンカーボネートアクリレート、2.0gの3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(乳化剤)、1.0gのジベンゾイルペルオキシド(開始剤)および15mlのメトキシプロパノールを混ぜ合わせ、均質の混合物が生じるまで攪拌した。250mlフラスコ内で30mlのメトキシプロパノールを還流させながら沸騰させた。そこに前記均質混合物を10ml/時の速度で滴加した。引き続きさらに15分間還流させながら沸騰させた。その後メトキシプロパノールを留去した。発生したポリマーを40mlのアセトンに溶かした。該溶液に20mlの水を加えた。該混合物からアセトンを留去した。こうして作られた水性分散液は、30質量%の固体含有量を有した。
【0055】
製造例2
4.0gのベンジルメタクリレート、3.0gのメチルメタクリレート、1.0gのグリセリンカーボネートアクリレート、2.0gの3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(乳化剤)、1.0gのジベンゾイルペルオキシド(開始剤)および15mlのメトキシプロパノールを混ぜ合わせ、均質の混合物が生じるまで攪拌した。250mlフラスコ内で30mlのメトキシプロパノールを還流させながら沸騰させた。そこへ前記均質混合物を10ml/時の速度で滴加した。引き続きさらに15分間還流させながら沸騰させた。その後メトキシプロパノールを留去した。発生したポリマーを40mlのアセトンに溶かした。該溶液に20mlの水を加えた。前記混合物からアセトンを留去した。こうして作られた水性分散液は、30質量%の固体含有量を有した。
【0056】
製造例3
3.0gのベンジルメタクリレート、3.0gのメチルメタクリレート、1.0gのアクリル酸、1.0gのグリセリンカーボネートアクリレート、2.0gの3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(乳化剤)、1.0gのジベンゾイルペルオキシド(開始剤)および15mlのメトキシプロパノールを混ぜ合わせ、均質の混合物が生じるまで攪拌した。250mlフラスコ内で30mlのメトキシプロパノールを還流させながら沸騰させた。そこへ前記均質混合物を10ml/時の速度で滴加した。引き続きさらに15分間還流させながら沸騰させた。その後メトキシプロパノールを留去した。発生したポリマーを40mlのアセトンに溶かした。該溶液に20mlの水を加えた。前記混合物からアセトンを留去した。こうして作られた水性分散液は、30質量%の固体含有量を有した。
【0057】
製造例4
3.0gのベンジルメタクリレート、3.0gのメチルメタクリレート、2.0gのグリセリンカーボネートアクリレート、2.0gの3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(乳化剤)、1.0gのジベンゾイルペルオキシド(開始剤)および15mlのメトキシプロパノールを混ぜ合わせ、均質の混合物が生じるまで攪拌した。250mlフラスコ内で30mlのメトキシプロパノールを還流させながら沸騰させた。そこへ前記均質混合物を10ml/時の速度で滴加した。引き続きさらに15分間還流させながら沸騰させた。その後メトキシプロパノールを留去した。発生したポリマーを40mlのアセトンに溶かした。該溶液に20mlの水を加えた。前記混合物からアセトンを留去した。こうして作られた水性分散液は、30質量%の固体含有量を有した。
【0058】
製造例5〜6
製造例3および4を本質的に同一の結果を伴って繰り返した。その際、(3−スルホプロピル)アクリレートカリウム塩(Ralu(登録商標)MER SPA)を乳化剤成分として使用した。
【0059】
製造例7
1.0gの(3−スルホプロピル)メタクリレートカリウム塩(Ralu(登録商標)MER SPM)を、20gの1−メトキシ−2−プロパノールおよび1.0gの水に溶かした。該溶液に、攪拌しながらベンジルメタクリレート(4.5g)、メチルメタクリレート(4.0g)、グリセリンカーボネートアクリレート(1.0g)およびジベンゾイルペルオキシド(1.0g)を加えた。こうして得られた溶液を、沸騰する15gの1−メトキシ−2−プロパノールに約4時間をかけて滴下した。沸騰温度でさらに30分間攪拌した。引き続き該溶剤を真空で留去した。室温まで冷却した後、淡黄色の、わずかに混濁した固体が得られた。最終秤量:10.4g。残留物を40mlのアセトンに溶かした;引き続き20gの水に少量ずつ混ぜ入れた。ロータリーエバポレーターの中でアセトンを完全に取り除いた。室温まで冷却した後、安定した、白色で、低粘性の分散液が残留した。最終秤量:30.3g、固体含有量:31.74質量%、分子量(Mn):1100g/mol、PDI(多分散性指数):1.8(THF−GPC)。
【0060】
製造例8
a)沸騰する1−メトキシ−2−プロパノール(20g)に、ベンジルメタクリレート(2.0g)、メチルメタクリレート(4.0g)、グリセリンカーボネートアクリレート(2.0g)、3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(「Dimapaquat」;2.0g)、ジベンゾイルペルオキシド(1.0g)および15gの1−メトキシ−2−プロパノールから成る混合物を攪拌しながら約10ml/時で加えた。引き続きさらに30分間(計約3.5時間)還流させながら沸騰させた。次いで前記溶剤をロータリーエバポレーターで完全に留去した。暗黄色ないし淡橙色の、わずかに混濁した9.9gの液体(室温では固体)が得られた。残留物を40mlのアセトンに溶かした。振りながら、20gの水を少量ずつ混ぜ入れた。アセトンをロータリーエバポレーターで完全に取り除いた;生成物を室温まで冷却した。橙色の、混濁した、室温でさえも安定な29.8gの分散液が得られた(該分散液は、室温で複数日間保管した後も安定状態を保った)。
b)バッチa)を、3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドを使用せずに繰り返した。黄色ないし淡橙色の、わずかに混濁した8.8gの液体が得られ、室温では固体になった。残留物を40mlのアセトンに溶かした。振りながら、20gの水を少量ずつ混ぜ入れたところ、白色の沈殿物が生じた。アセトンをロータリーエバポレーターで完全に取り除き、生成物を室温まで冷却した。白色ないし淡黄色の、混濁した、高粘性の、室温では固体の下相および澄明な上部の水相を有する28.5gの二相混合物が得られた。
c)バッチa)もしくはb)を繰り返した。その際、2.0gの3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドはアセトンに溶かしてから加えた。しかしながら、この3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドは溶解せず、下相として沈殿した。振りながら、20gの水を少量ずつ混ぜ入れた。約25分後、依然として二相を認識できた(上部の、帯白色の、わずかに混濁した相および帯黄色の、高粘性の下相)。アセトンをロータリーエバポレーターで完全に取り除き、生成物を室温まで冷却した。白色ないし淡黄色の、混濁した、高粘性の、室温では固体の下相および澄明な、上部の水相を有する28.7gの二相混合物が得られた。
バッチa)、b)およびc)は、乳化剤成分がその乳化効果を発揮するには、該乳化剤成分がポリマー中に重合導入されていなければならないことを明確に示している。ポリマー中に重合導入されていない同一量の乳化剤成分は、効果を示さない。
d)3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドを1.0gのみ(つまり約10質量%)にしてバッチa)を繰り返した。前記結果はなかなか再現しにくかったが、ここでもまだ安定した水性分散液が得られた。
【0061】
使用例1
製造例1による30質量%の結合剤分散液100gに、0.25gのシリコーン消泡剤(Byk−Chemie GmbH社のBYK−028)、0.5gのシリコーンベースの湿潤添加剤(Byk−Chemie GmbH社のBYK−333)、および0.1gの酸化防止剤(市販のブチルヒドロキシトルエン(BHT))を加えて、攪拌した。該混合物に5gのイソホロンジアミンを5gの水に加えて、300回転/分で3分間攪拌した。前記混合物を厚さ100μmの層としてポリエチレンシート上で室温で硬化させた。24時間後、乾燥した、澄明な、不粘着性および耐ブロッキング性の層が得られた。
【0062】
使用例2
製造例2による30質量%の結合剤分散液100gに、0.25gのシリコーン系消泡剤(Byk−Chemie GmbH社のBYK−028)、0.5gのシリコーンベースの湿潤添加剤(Byk−Chemie GmbH社のBYK−333)、および0.1gの酸化防止剤(市販のブチルヒドロキシトルエン(BHT))を加えて、攪拌した。該混合物に2gのジエチレントリアミンおよび3gのJeffamin D−148を5gの水に加えて、300回転/分で3分間攪拌した。前記混合物を厚さ100μmの層としてポリエチレンシート上で室温で硬化させた。24時間後、乾燥した、澄明な、不粘着性および耐ブロッキング性の層が得られた。
【0063】
使用例3
製造例1による30質量%の結合剤分散液100gに、0.25gのシリコーン消泡剤(Byk−Chemie GmbH社のBYK−028)、0.5gのシリコーンベースの湿潤添加剤(Byk−Chemie GmbH社のBYK−333)、および0.1gの酸化防止剤(市販のブチルヒドロキシトルエン(BHT))を加えて、攪拌した。該混合物に2gのジエチレントリアミンおよび3gのイソホロンジアミンを5gの水に加え、300回転/分で3分間攪拌した。該混合物を厚さ100μmの層としてポリエチレンシート上で室温で硬化させた。24時間後、乾燥した、澄明な、不粘着性および耐ブロッキング性の層が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分散可能な環状カーボネート官能化ビニルコポリマー結合剤であって、
i)少なくとも1個の環状カーボネート基を有する、少なくとも1種のビニルモノマー(I)から誘導されている構造基と、
ii)少なくとも1個の乳化剤基を有する、少なくとも1種のビニルモノマー(II)から誘導されている構造基と、
iii)場合により、モノマー(I)および(II)とは異なる、少なくとも1種の共重合性ビニルモノマー(III)から誘導されている構造基と
を有する前記ビニルコポリマー結合剤。
【請求項2】
前記環状カーボネート基が五員環または六員環、好ましくは2−オキソ−1,3−ジオキソラン環であることを特徴とする請求項1記載の結合剤。
【請求項3】
前記モノマー(I)が
【化1】

[式中、R1はHまたはCH3であり;
2はH、アルキル、アリール、アラルキルまたはアルカリールであり、好ましくはH、C1〜C8−アルキル、C6〜C14−アリール、C7〜C20−アラルキルまたはC7〜C20−アルカリールおよび特にHであり;
Xはアルキレン、アリーレン、アラルキレンまたはアルカリーレンであり、これらは場合により(ポリ)エステル基、(ポリ)エーテル基、(ポリ)アミド基、(ポリ)ウレタン基および/または(ポリ)カーボネート基を有し、好ましくはC1〜C8−アルキレン、特にメチレンである]であることを特徴とする請求項1または2記載の結合剤。
【請求項4】
前記モノマー(I)が分子量172〜1500を有することを特徴とする請求項3記載の結合剤。
【請求項5】
前記乳化剤基が非イオン性基またはイオン性基であり、かつ前記モノマー(II)が分子量88〜1500を有することを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の結合剤。
【請求項6】
前記モノマー(II)は、非イオン性乳化剤基の場合、ジオール、好ましくはC2〜C8−ジオール、または(ポリ)アルキレングリコールならびにそれらの混合物のビニルエーテル、アリルエーテル、イソプレニルエーテルおよび(メタ)アクリル酸エステルから選択され、末端のOH基がそれぞれC1〜C8−アルコキシ基によって置換されていてよく、かつジオール基および(ポリ)アルキレングリコール基がそれぞれ(ポリ)エステル基を鎖中に有しうることを特徴とする請求項5記載の結合剤。
【請求項7】
前記イオン性乳化剤基が、スルフェート基、スルホネート基、ホスフェート基および/またはホスホネート基を含むことを特徴とする請求項5記載の結合剤。
【請求項8】
前記イオン性乳化剤基が、第四級アンモニウム基を有することを特徴とする請求項5または7記載の結合剤。
【請求項9】
前記共重合性ビニルモノマー(III)が、共役ジエン、ビニル芳香族化合物、ビニルハロゲン化物、ビニルエステルおよびビニルエーテル、複素環式ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルニトリル、モノエチレン系不飽和ジカルボン酸のエステル、ならびにそれらの混合物から選択され、好ましくは、(メタ)アクリル酸−C1〜C8−アルキルエステル、(メタ)アクリル酸−C6〜C14−アリールエステル、(メタ)アクリル酸−C7〜C20−アラルキルエステルおよびスチレンから選択されることを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項に記載の結合剤。
【請求項10】
前記モノマー(III)が、分子量42〜1000を有することを特徴とする請求項9記載の結合剤。
【請求項11】
平均分子量(Mn)が260〜2000000、好ましくは2000〜1000000および特に5000〜500000を有する請求項1から10までのいずれか1項に記載の結合剤。
【請求項12】
モノマー(I)から誘導されている構造基3〜96モル%と、
モノマー(II)から誘導されている構造基3〜96モル%と、
モノマー(III)から誘導されている構造基0〜96モル%と
を有する請求項1から11までのいずれか1項に記載の結合剤。
【請求項13】
本質的にカルボキシレート基は結合剤中に存在せず、好ましくは5モル%より多くのカルボキシレート基は存在せず、特に好ましくは1モル%より多くのカルボキシレート基は存在せず、および特に0.5モル%より多くのカルボキシレート基は存在しないことを特徴とする請求項1から12までのいずれか1項に記載の結合剤。
【請求項14】
前記モノマー(II)および(III)が、本質的に環状カーボネート基と反応性の基を有さず、好ましくは5モル%より多くの反応性基を有さず、および特に1モル%より多くの反応性基を有さないことを特徴とする請求項1から13までのいずれか1項に記載の結合剤。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項に記載の前記結合剤の製造方法であって、前記モノマー(I)、(II)および場合により(III)をラジカル共重合させることを特徴とする前記方法。
【請求項16】
前記モノマーの混合物を、場合によりラジカル開始剤と合わせて、沸騰する溶剤中に滴下することで重合を行い、該溶剤を留去し、得られた結合剤を水相に移し、イオン化可能な乳化剤基をイオン形態に変換させることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記モノマーの混合物を、場合により水溶性ラジカル開始剤と合わせて、直接水中で共重合させることで重合を行うことを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項18】
請求項1から14までのいずれか1項に記載の少なくとも1種の結合剤および水を含む水性分散液。
【請求項19】
少なくとも10質量%の固体含有量、好ましくは少なくとも20質量%の固体含有量、および特に少なくとも30質量%の固体含有量を有する請求項18記載の水性分散液。
【請求項20】
請求項1から14までのいずれか1項に記載の少なくとも1種の結合剤、水および少なくとも1種の硬化剤、ならびに場合により触媒、添加剤および/または助剤を含む系。
【請求項21】
二成分系であり、好ましくは別の成分と隔離された硬化剤成分を有する二成分系であることを特徴とする請求項20記載の系。
【請求項22】
前記硬化剤が、少なくとも1個のNHR34基[式中、R3およびR4は互いに独立して、H、脂肪族基、芳香族基、脂肪芳香族基、脂環式基もしくは複素環式基であり、好ましくはH、C1〜C8−アルキル、C6〜C14−アリール、C7〜C20−アラルキルもしくはC7〜C20−アルカリールまたはC5〜C8−シクロアルキルであり、その際、R3およびR4は同時にHではなく、R3およびR4は一緒になって脂環式系、好ましくは五員環ないし八員環を形成しうる]を有するアミンであることを特徴とする請求項20または21記載の系。
【請求項23】
環状カーボネート基の前記HNR34基に対する比率が、20:1〜0.2:1、好ましくは10:1〜0.4:1、特に好ましくは5:1〜0.5:1、および特に2:1〜0.5:1であることを特徴とする請求項20から22までのいずれか1項に記載の系。
【請求項24】
前記アミンが単官能性、二官能性または多官能性であり、アルキルアミン、アリールアミン、アラルキルアミン、アルカリールアミン、シクロアルキルアミン、アルキレンジアミン、シクロアルキレンジアミン、アミノ官能化ポリアルキレングリコール、ポリアミン、ポリイミン、ポリアミド、ポリアミノアミド、ポリウレタン、ポリビニルアミンおよびそれら混合物から選択されることを特徴とする請求項20から23までのいずれか1項に記載の系。
【請求項25】
触媒として触媒的に有効な量の塩基が存在することを特徴とする請求項20から24までのいずれか1項に記載の系。
【請求項26】
添加剤として、塩、例えば塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の塩;硬セッコウ、セッコウ、チョーク;酸化物、例えば二酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の酸化物;水酸化物、例えば水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物;着色顔料、例えば二酸化チタン、酸化鉄等の着色顔料;カーボン、例えばカーボンブラック、グラファイト、膨張黒鉛等のカーボン;金属顔料、例えばアルミニウム等の金属顔料;吸水性充填剤、例えばセメント等の吸水性充填剤;アルミノケイ酸塩、例えばタルク、カオリン等々のアルミノケイ酸塩が使用され、助剤として、可塑剤、安定剤、UV吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、湿潤添加剤等々が使用されることを特徴とする請求項20から25までのいずれか1項に記載の系。
【請求項27】
請求項1から14までの少なくともいずれか1項に記載の結合剤を、硬化被覆を製造するために用いる使用。

【公表番号】特表2013−506019(P2013−506019A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530194(P2012−530194)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061756
【国際公開番号】WO2011/035982
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(503343336)コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー (139)
【氏名又は名称原語表記】Construction Research & Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.−Albert−Frank−Strasse 32, D−83308 Trostberg, Germany
【Fターム(参考)】