説明

水性エマルジョン組成物および接着剤

【課題】 初期接着力、常態接着力、耐久接着力に優れているとともに、主剤の保存安定性に優れた水性エマルジョン組成物及び接着剤を提供すること。
【解決手段】 側鎖にアルデヒド基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)、エチレン性不飽和単量体及びジエン系単量体から選ばれる少なくとも一種の不飽和単量体からなる重合体(B)、多価イソシアネート化合物、アミン化合物、ヒドラジン化合物から選ばれる少なくとも一種の硬化剤(C)からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側鎖にアルデヒド基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)、不飽和単量体からなる重合体(B)、硬化剤(C)を含有してなる水性エマルジョン組成物及び接着剤に関し、更に詳しくは、常態接着力、初期接着力、耐久接着力(煮沸繰り返し)が強く、主剤の放置安定性に優れた水性エマルジョン組成物及び接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水性エマルジョンやポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVAと略記することがある)のような水性高分子とイソシアネート化合物からなる樹脂組成物は、接着剤、紙用サイジング剤、オーバーコート剤、バインダー等に用いられており、特にホルマリンを含有しない接着剤として、2液反応型の接着剤として多用されている。
【0003】
しかしながら、最近の市場からは、より高度な接着性能、具体的には構造用接着剤としてのより高度な耐久性や、施工性の改良を目的とした初期接着力の向上などが求められている。例えば、PVAを分散剤とした酢酸ビニル系樹脂の水性エマルジョンは初期接着力の点では効果的であるが、耐水性については十分ではなく、その改良を目的に、各種変性PVAを用いることが提案されている。
【0004】
かかる変性PVAとして、エチレン変性のPVA(例えば、特許文献1参照。)、アミン変性のPVA(例えば、特許文献2参照。)、ヒドロキシアルキル変性のPVA(例えば、特許文献3参照。)、スルホン酸変性のPVA(例えば、特許文献4参照。)、カチオン変性のPVA(例えば、特許文献5参照。)、カルボン酸変性のPVA(例えば、特許文献6参照。)などが具体的に提案されている。
【特許文献1】特開平8−259921号公報
【特許文献2】特開平10−219218号公報
【特許文献3】特開平10−25330号公報
【特許文献4】特開平11−181395号公報
【特許文献5】特開平11−181396号公報
【特許文献6】特開平11−256130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者が上記接着剤について詳細に検討したところ、いずれの変性PVAを用いた接着剤も初期接着力、常態接着力、耐久接着力(煮沸繰り返し)が未だ不十分であり、主剤の放置安定性にも問題があることが判明した。
【0006】
すなわち、接着剤に適用した際に初期接着力が十分に発現し、かつ常態接着力、耐久接着力に優れ、さらに主剤の保存安定性にも優れた樹脂組成物が望まれるところである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
しかるに、本発明者はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、側鎖にアルデヒド基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)、不飽和単量体からなる重合体(B)、硬化剤(C)を含有してなる水性エマルジョン組成物および接着剤が、上記目的に合致することを見出し、本発明を完成した。
【発明の効果】
【0008】
本発明の水性エマルジョン組成物及び接着剤は、初期接着力、常態接着力、耐久接着力が強く、さらに主剤の保存安定性が高いため、特に2液型の接着剤として、木/木用接着剤(合板用接着剤、木工用接着剤、パーティクルボード用接着剤等)、木/プラスチック素材用接着剤(PVC合板用接着剤、発泡樹脂/木接着剤等)などに好適である。さらに、パッケージング用接着剤(紙/紙接着剤、紙/プラスチック接着剤、紙/アルミ箔用接着剤等)、布用接着剤(布/プラスチック接着剤、布/紙接着剤、布/木接着剤等)、建材用接着剤(コンクリート/木接着剤、木/各種ボード用接着剤等)として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に用いる側鎖にアルデヒド基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)〔以下ポリビニルアルコール系樹脂をPVAと略記することがある〕について、以下順に詳しく説明する。
【0010】
本発明に用いる側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)は、a)下記一般式(1)で表される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体をケン化して得るか、もしくはb)下記一般式(2)及び(3)から選ばれる少なくとも1種類の不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体をアルカリ触媒でケン化した共重合体ケン化物を、さらに酸性条件下で加水分解する方法のいずれかによって得られる。
【0011】
【化1】

(但し、式中R、Rは水素またはメチル基またはフェニル基、好ましくは水素またはメチル基、Rは炭素数1〜8のアルキル基、好ましくはメチル基、nは0〜8、好ましくは0〜3、特には0〜1の整数)
【0012】
【化2】

(但し、式中R、Rは水素またはメチル基またはフェニル基、好ましくは水素またはメチル基、R、Rは各々独立して炭素数1〜8のアルキル基、好ましくはメチル基、nは0〜8、好ましくは0〜3、特には0〜1の整数)
【0013】
【化3】

(但し、式中R、Rは水素またはメチル基、R10は炭素数2〜5のアルキレン基、好ましくはエチレン基、nは0〜8、好ましくは0〜3、特には0〜1の整数)
【0014】
まず、a)上記一般式(1)で表される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合物をケン化して側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)を得る方法について説明する。
【0015】
上記一般式(1)で表される不飽和単量体の例としては、アリリデンジアセテート、2−メタリリデンジアセテート、2−フェニルアリリデンジアセテート、クロチリデンジアセテート、シンナミリデンジアセテート、アリリデンジベンゾエート、アリリデンベンゾエートアセテート等が挙げられ、特にR,Rが水素で、Rがメチル基であるアリリデンジアセテートがコストや原料入手のし易さの点で好ましい。また、これらは単独で用いても併用して用いても良い。
【0016】
ビニルエステル系単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられ、工業的な入手のし易さにより酢酸ビニルが好ましく、これらは単独で用いても併用しても良い。
【0017】
上記の単量体以外に、本発明の目的を阻害しない範囲において、更に他の単量体も共重合に利用することができ、かかる他の単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン等を挙げることができる。
【0018】
かかる不飽和単量体とビニルエステル系単量体の共重合に当たっては、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等の公知の重合方法を採用することができるが、通常は溶液重合法が行われる。
【0019】
重合に用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、iso−プロパノール、n−プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類を挙げることができるが、好適にはメタノールが用いられる。
溶媒の使用量は、目的とする共重合体の重合度に合わせて、溶媒の連鎖移動定数を考慮して適宜選択すれば良い。例えば、溶媒がメタノールの時は、溶媒量/上記各種単量体の合計量(重量比)は0.1〜1程度の範囲となる量で使用される。
【0020】
また、重合開始剤としては、例えば2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2′−アゾビスイソブチレイト、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレ−ト、t−ヘキシルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシ−ジ−カーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシ−ジ−カーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシ−ジ−カーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシ−ジ−カーボネート類、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、イソブチラルパーオキサイド等のジアシルパーオキシド類などを挙げることができる。尚、必要に応じて、メルカプタン系化合物等の公知の連鎖移動剤を併用することも可能である。
【0021】
重合は、反応缶に溶媒を仕込んだ後、ビニルエステル系単量体と上記一般式(1)で表される不飽和単量体、重合開始剤を仕込み、35〜200℃程度、好ましくは40〜80℃、更には55〜75℃で重合させる。ビニルエステル系単量体と一般式(1)で表される不飽和単量体は溶媒中に初期に一括仕込みしてもよいが、HANNAの式に従って滴下仕込みすると重合が均一に進行するので好ましい。目的とする平均重合度になるように、ビニルエステル系単量体の重合率を20〜80%とした後、重合禁止剤を仕込んで重合を終了する。その後未反応の単量体を除去して上記一般式(1)で表される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体が得られるのである。
【0022】
次いで、かかる共重合体はケン化されるのであるが、かかるケン化も公知の方法で行うことができる。この時使用されるケン化触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物や、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルコラートの如きアルカリ触媒、更に硫酸、p−トルエンスルホン酸、塩酸等の酸触媒を挙げることができ、好ましくは水酸化ナトリウムが用いられる。
【0023】
また、かかるケン化時の溶媒としては、メタノール、エタノール、iso−プロパノール、酢酸メチル、ベンゼン、ヘキサン等が挙げられ、好適にはメタノールが用いられる。また、残存酢酸基のブロック性の調整を目的として、これらの溶媒を任意に組み合わせて誘電率をコントロールしながらケン化を行ってもよい。
【0024】
ケン化温度は特に制限はないが、10〜70℃が好ましく、更には30〜50℃、特には35〜45℃の範囲から選ばれる。
上記の如きケン化を行うに当たっては、連続式でもバッチ式でもよいが、粒子径の制御の意味から好ましくはバッチ式が採用される。かかるバッチ式のケン化装置としては、ニーダー、リボンブレンダー等を挙げることができる。
【0025】
次に、b)上記一般式(2)及び(3)から選ばれる少なくとも1種類の不飽和単量体とビニルエステル系単量体を共重合して側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)を製造する方法について説明する。
【0026】
上記一般式(2)で表される不飽和単量体の具体的な例としては、(メタ)アクロレインジメチルアセタール、(メタ)アクロレインジエチルアセタール、3−メチル−3−ブテナールジメチルアセタール、3−メチル−3−ブテナールジエチルアセタール、3−ブテナールジメチルアセタール、3−ブテナールジエチルアセタール、2−(2−プロペニル)−1,3−ジオキソラン、4−ペンテナールジメチルアセタール、4−ペンテナールジエチルアセタール、5−ヘキセナールジメチルアセタール、5−ヘキセナールジエチルアセタール、6−ヘプテナールジメチルアセタール、6−ヘプテナールジエチルアセタール、7−オクテナールジメチルアセタール、7−オクテナールジエチルアセタール等を挙げることができる。
【0027】
また、上記一般式(3)で表される不飽和単量体の具体的な例としては、2−ビニル−1,3−ジオキソラン、2−イソプロペニル−1,3−ジオキソラン、2−(2−メチル−2−プロペニル)−1,3−ジオキソラン、2−(3−ブテニル)−1,3−ジオキソラン、2−(5−ペンテニル)−1,3−ジオキソラン、2−(6−ヘキセニル)−1,3−ジオキソラン、2−(1−ヘプテニル)−1,3−ジオキソラン等が挙げられる。
【0028】
上記の単量体を使用して目的のPVA(A)を得る方法として具体的には、上記一般式(2)及び(3)から選ばれる少なくとも1種類の不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体を、i)アルカリ条件下でケン化して共重合体のケン化物とし、更にそれを酸処理してアルデヒド基を生成させる方法、ii)酸性条件下で加水分解し、ビニルエステル基のケン化とアルデヒド基の生成とを同時に起こらせしめる方法、が挙げられ、さらには、iii)かかる共重合体を使用する際、その系を酸性条件とすることで、系中でアルデヒド基を生成させる方法も可能である。
【0029】
i)の方法の場合、共重合体の製造方法は上記一般式(1)で表される不飽和単量体を用いた重合の場合と同様に実施される。ケン化はアルカリ条件で行う必要があり、その実施にあたっては、前述のアルカリ触媒を用いて同様に実施すればよい。
酸処理する方法は、得られた共重合体ケン化物を含む水溶液に塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸や、酢酸、蟻酸等の有機酸等から選ばれる少なくとも1種類の酸を添加して水溶液を酸性にすればよく、その時のpHは1〜6.5、好ましくは1.5〜6、より好ましくは2〜5.5の範囲に調整される。pHが1より低い場合は塗工する際の作業環境に注意が必要となる等用途での制約が多くなる場合があり、6.5より高いとアルデヒド基への生成が十分に行われない場合がある。pH調製の時の温度は特には制限されないが、通常常温で実施され、必要に応じて加温される。
【0030】
ii)の方法の場合、共重合体に上記酸の水溶液を添加して、上記イ)の場合と同様にpH調整すればよい。
【0031】
iii)の方法の場合、かかる共重合体を使用する際に、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸や、酢酸、蟻酸などの有機酸から選ばれる少なくとも1種類の酸を併用し、系を酸性にすればよく、そのときのpHは1〜6.5が好ましく、特には1.5〜6、更には2〜5.5の範囲が好ましい。
【0032】
かくして側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)が得られるのであるが、かかる側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)のケン化度は特に限定されないが、70モル%以上(更には75モル%以上、特に80モル%以上)であることが好ましく、かかるケン化度が70モル%未満では、得られるPVAの水溶性が乏しくなり、水溶液とすることが難しくなることがあり好ましくない。
さらに、該PVA(A)のJIS K6726に準拠して測定される平均重合度も特に限定されないが、200〜4000(更には300〜3000、特には400〜2000)であることが好ましく、かかる平均重合度が200未満では水性エマルジョンの分散安定性が不充分になることがあり、逆に4000を越えると乳化重合時の安定性が低下することがあり好ましくない。
【0033】
得られた側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)のアルデヒド基の含有量は、0.1〜30モル%(更には0.5〜25モル%、特には1〜20モル%)であることが好ましく、かかるアルデヒド基の含有量が0.1モル%より少ないと接着剤の耐水性が不足することがあり、逆に30モル%を越えるとPVA製造時の乾燥工程において不溶解物が発生することがあるため好ましくない。
尚、アルデヒド基の含有量は、高分子化学、第15巻、第156号、第249〜254頁(1958)に記載の方法によって調製したp−ニトロフェニルヒドラジンとアルデヒド基含有ポリビニルアルコール(完全ケン化品)との反応物を、H−NMR(DMSO−d6,60℃)で測定して、δ=8.0〜8.1ppmのピーク強度の合計値(X)とδ=4.6〜4.0ppmのピーク強度の合計値(Y)から以下の式で算出する。
アルデヒド基の含有量(モル%)=〔0.5X/(0.5X+Y)〕×100
【0034】
また、かかるPVA(A)の1,2−グリコール量としては特に限定されないが、1〜4モル%程度が好ましい。1,2−グリコール量はNMRによって算出することができる。
さらに、かかるPVA(A)の残存酢酸基のブロック性についても特には限定されないが、ブロックキャラクター[η]の値として0.3〜0.8程度が好ましい。
尚、ここで言うブロックキャラクター[η]とは、13C−NMRの測定(内部標準物質として3−(trimethylsilyl)propionic−2,2,3,3,−d4 acid,sodiumsaltを使用)により、40〜49ppmの範囲に見られるメチレン炭素部分に基づくピーク[(OH,OH)dyad=46〜49ppmの吸収、(OH,OR)dyad=43.5〜45.5ppmの吸収、(OR,OR)dyad=40〜43ppmの吸収、但し、ORはO−酢酸基を表す]の吸収強度比から求められるもので、より具体的には下記式より算出される値である。
[η]=(OH,OR)/2〔(OH)×(OR)〕
〔但し、(OH,OR)、(OH)、(OR)は、いずれもモル分率で計算するものとする。また、(OH)は13C−NMRの積分比より算出されるケン化度(モル分率)で、(OR)はその時の酢酸基のモル分率を示すものである。〕
【0035】
つぎに、不飽和単量体からなる重合体(B)について説明する。
かかる重合体(B)は、エチレン性不飽和単量体及びジエン系単量体から選ばれる少なくとも一種の不飽和単量体からなる重合体であリ、酢酸ビニル単独重合体、酢酸ビニルとアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等の不飽和酸及びこれらのエステルとの共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、α,β−不飽和カルボン酸含有エチレン−酢酸ビニル共重合体、ブタジエンーアクリロニトリル共重合体、クロロプレン、ブチルゴム、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどを具体的に挙げることができ、中でもエチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレン性不飽和単量体からなる重合体やスチレン−ブタジエン共重合体等のジエン系単量体からなる重合体を用いることが好ましい。
【0036】
つぎに、硬化剤(C)について説明する。
かかる硬化剤(C)としては、多価イソシアネート化合物、アミン化合物、ヒドラジン化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物である。
【0037】
かかる多価イソシアネート化合物(C)としては、芳香族系、脂肪族系、環式脂肪族系、又は脂環式ポリイソシアネート又はその混合物が挙げられ、中でも具体的には2,4−トリレンジイソシアネート又は2,6−トリレンジイソシアネート等のトリレンジイソシアネート(TDI)、及びこれらの混合物、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート(H−MDI)、ポリフェニルメタンポリイソシアネート(クルードMDI)、変性ジフェニルメタンジイソシアネート(変性MDI)、水添化キシリレンジイソシアネート(H−XDI)、トリメチロールプロパン−TDIアダクト、キシリレンジイソシアネート(XDI)、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMXDI)等の芳香族系ポリイソシアネート或いはこれらポリイソシアネートの三量体化合物、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂肪族系ポリイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、これらポリイソシアネートとポリオールの反応生成物等が挙げられ、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)が好適に用いられる。
【0038】
かかるアミン化合物(C)としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、N−アミノエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミンなどの脂肪族ポリアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ノルボルナンジアミンなどの脂環式ポリアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、2、4’−トルイレンジアミン、メタキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミンなどを挙げることができる。
【0039】
上記水性エマルジョンに上記アミン化合物(C)を添加する場合、急激に架橋反応が起こり、エマルジョンがゲル化する場合があるので、無機酸、有機酸を添加し系のpHを10以下(更には9以下、特には8以下)にすることが好ましく、かかる添加により最終的な接着性の目的を阻害することなく、エマルジョン液の状態での反応を抑制し、ポットライフを改良することができる。
【0040】
ここで使用される酸としては、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、プロピオン酸、アクリル酸、シュウ酸、クエン酸等の有機酸を挙げることができる。
【0041】
かかるヒドラジン化合物(C)としては、ヒドラジン、ヒドラジンヒドラード、ヒドラジンの塩酸,硫酸,硝酸,亜硫酸,リン酸,チオシアン酸,炭酸等の無機塩類およびギ酸,シュウ酸等の有機塩類、ヒドラジンのメチル,エチル,プロピル,ブチル,アリル等の一置換体、1,1−ジメチル,1,1−ジエチル,4−n−ブチル−メタルなどの対称二置換体などを挙げることができ、さらに、ジヒドラジンとして、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、ダイマー酸ジヒドラジド等が挙げられ、特公平2−4607号公報に記載のジヒドラジド化合物等の2塩基酸ヒドラジド、カルボヒドラジド、2,4−ジヒドラジノ−6−メチルアミノ−sym−トリアジン、ポリ(メタ)アクリル酸ヒドラジド等も挙げることができる。
【0042】
また、上記水性エマルジョンに上記ヒドラジン系化合物(C)を添加する場合、急激に架橋反応が起こり、エマルジョンがゲル化する場合があるので、水溶性アミン化合物、ケトン化合物を添加することが好ましく、かかる添加により最終的な接着性の目的を阻害することなく、エマルジョン液の状態での反応を抑制し、ポットライフを改良することができる。
【0043】
ここで使用される水溶性アミン化合物としては、アンモニア、モノエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−エチレンジアミン、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシエチル)−アミノメタン等の第一級アルカノールアミン、ジエタノールアミン、メチルエタノールアミン、ブチルメタノールアミン、N−アセチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等の第二級アルカノールアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の第三級アルカノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、アリルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等の第一級アルキルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン等の第二級アルキルアミン、トリメチルアミン等の第三級アルキルアミン、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシンなどのアミノ酸、アミノ安息香酸、アミノカプロン酸、アミノ酪酸、アミノドデカン酸などのアミノカルボン酸、アミノエチル化アクリルポリマーなどが挙げられ、これらは単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
【0044】
また、ここで使用される水溶性ケトン化合物としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられ、これらは単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
【0045】
かくして得られた本発明の水性エマルジョン組成物は、2液反応型の接着剤、紙用サイジング剤、オーバーコート剤、バインダー等に有用であり、特に接着剤用途に有用で、かかる用途についてさらに説明するが、これに限定されるものではない。
接着剤用途に供するにあたっては、通常、側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)と不飽和単量体からなる重合体(B)を含有する水性エマルジョンからなる主剤と硬化剤(C)を混合した後、被着体に塗工して接着したりすることができる。
【0046】
本発明の水性エマルジョン組成物は、上記(A)〜(C)を含有してなるもので、これらが水性エマルジョン組成物中に含まれればよく、特に制限はないが、好適には上記の側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)を分散剤として、エチレン性不飽和単量体からなる重合体(B)を分散質とした水性エマルジョンと硬化剤(C)を含有するものが用いられる。かかる水性エマルジョンを作製するにあたっては、ア)(A)を乳化剤あるいは保護コロイドとして(B)を乳化重合する方法、イ)(B)の溶液あるいは溶融液を(A)の存在下で後乳化する方法、ウ)任意の方法で得られた(B)の水性エマルジョンに(A)を添加してより安定なエマルジョンを製造する方法等を挙げることができ、これらについて具体的に説明するが、これらの方法に限定されるものではない。
【0047】
〔ア)乳化重合による方法〕
水、側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)及び重合触媒の存在下にエチレン性不飽和単量体及び/又はジエン系単量体等を一時又は連続的に添加して、加熱、撹拌する如き通常の乳化重合法や、水、側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)及び重合触媒の存在下に、エチレン性不飽和単量体及び/又はジエン系単量体を側鎖にアルデヒド基を有するPVAの水溶液に混合分散した分散液(プレエマルジョン)を一時又は連続的に添加して、加熱、撹拌する如き乳化重合法が実施し得る。
【0048】
側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)の使用量としては、エマルジョンの樹脂分等によって多少異なるが、通常乳化重合反応系のモノマー全体に対して下限を0.5重量%(更には1重量%、特には3重量%)とすることが好ましく、上限を40重量%(更には35重量%、特には30重量%)とすることが好ましい。
【0049】
かかる使用量が0.5重量%未満ではポリマー粒子の安定な乳化状態で維持することが困難となり、逆に40重量%を越えると耐水性が低下することとなり好ましくない。
【0050】
重合開始剤としては、普通過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、臭素酸カリウム等がそれぞれ単独で又は酸性亜硫酸ナトリウムと併用して、更には過酸化水素−酒石酸、過酸化水素−鉄塩、過酸化水素−アスコルビン酸−鉄塩、過酸化水素−ロンガリット、過酸化水素−ロンガリット−鉄塩等の水溶性のレドックス系の重合開始剤が用いられ、また、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の油溶性の重合開始剤も用いることができる。
【0051】
重合開始剤の添加方法としては、特に制限はなく、初期に一括添加する方法や重合の経過に伴って連続的に添加する方法等を採用することができる。
上記の乳化重合においては、乳化分散安定剤として、水溶性高分子や非イオン性活性剤、アニオン性活性剤を併用することもできる。
【0052】
水溶性高分子としては、側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)以外の、未変性PVA、カルボキシル基含有PVA、PVAのホルマール化物、アセタール化物、ブチラール化物、ウレタン化物、スルホン酸、カルボン酸等のとのエステル化物等のPVA、ビニルエステルとそれと共重合可能な単量体との共重合体ケン化物等が挙げられる。ビニルエステルと共重合可能な単量体としてはエチレン、ブチレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩類、アルキルビニルエーテル類、ビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
【0053】
また、上記のPVA以外の水溶性高分子として、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アミノメチルヒドロキシプロピルセルロース、アミノエチルヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体類、デンプン、トラガント、ペクチン、グルー、アルギン酸又はその塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸又はその塩ポリメタクリル酸又はその塩、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、酢酸ビニルとマレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等不飽和酸との共重合体、スチレンと上記不飽和酸との共重合体、ビニルエーテルと上記不飽和酸との共重合体及び前記共重合体の塩類又はエステル類が挙げられる。
【0054】
非イオン性活性剤としては、例えばポリオキシエチレン−アルキルエーテル型、ポリオキシエチレン−アルキルフェノール型、ポリオキシエチレン−多価アルコールエステル型、多価アルコールと脂肪酸とのエステル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックポリマー等が挙げられる。
【0055】
アニオン性活性剤としては、例えば高級アルコール硫酸塩、高級脂肪酸アルカリ塩、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩等が挙げられる。
更に、フタル酸エステル、リン酸エステル等の可塑剤、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等のpH調整剤等も併用され得る。
【0056】
〔イ)後乳化による方法〕
後乳化方法によりエマルジョンを製造するに当たっては、側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)を水に溶解し、これに溶液状のエチレン性不飽和単量体及び/又はジエン系単量体等からなる重合体を滴下し撹拌するか、溶液状態の該重合体中に該PVA水溶液を滴下し撹拌すればよい。エマルジョン化に当たり加熱等の必要は特にないが、必要であれば45〜85℃程度に加熱すればよい。乳化する物質としては上記の重合体が好ましいが、上記の重合体以外にもエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、尿素−ホルマリン初期縮合物、フェノール−ホルムアルデヒド初期縮合物、アルキッド樹脂、ケテンダイマー、ロジン、シリコン樹脂、ワックス、ポリプロピレン、ポリエチレン、アスファルト等を挙げることができる。
【0057】
側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)の使用量としては、要求されるエマルジョンの樹脂分等によって多少異なるが、通常乳化対象物に対して0.5〜40重量%、好ましくは1〜35重量%程度の範囲から選択される。必要であれば、該樹脂と共にポリオキシエチレン−アルキルエーテル型、ポリオキシエチレン−アルキルフェノール型、多価アルコールエステル型等の非イオン性活性剤、又は高級アルキルアミン塩等のカチオン性活性剤を適宜併用することもできる。又これらの活性剤は乳化対象物の方に混合しておくことも可能である。
【0058】
必要であればポリオキシエチレン−アルキルエーテル型、ポリオキシエチレン−アルキルフェノール型、多価アルコールエステル型等の非イオン性活性剤、又は高級アルキルアミン塩等のカチオン性活性剤を始めとし、前記した乳化重合時に使用される各種界面活性剤が何れも併用可能である。又これらの活性剤は乳化対象物の方に混合しておくことも可能である。更にフタル酸エステル、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等のpH調整剤も併用され得る。
【0059】
〔ウ)後添加による方法〕
この方法は任意の方法で得られた合成樹脂のエマルジョンに側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)を添加するもので、対象となるエマルジョンとしては、スチレン/ブタジエン系エマルジョン、シス−1,4ポリイソプレンエマルジョン、クロロプレンエマルジョン、アクリロニトリル/ブタジエンエマルジョン、ビニルピリジンエマルジョン、メチルメタクレート/ブタジエンエマルジョン、ポリウレタンエマルジョン、アクリルエステル系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、エチレン/酢酸ビニル系エマルジョン、塩化ビニル系エマルジョン、ポリスチレンエマルジョン、ポリエチレンエマルジョン、シリコーンエマルジョン、ポリブテンエマルジョン、チオコールエマルジョンなどが挙げられ、中でもエチレン性不飽和単量体またはジエン系単量体の重合体のエマルジョンが好ましい。
【0060】
エマルジョンに側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)を添加する場合、該PVAを水溶液としてから添加する時にはエマルジョンを室温にて、撹拌しながらこれに該水溶液を添加するだけでよいが、該PVAの粉末を添加する時には、エマルジョンを撹拌しながら該粉末を添加し、50〜85℃に加温すれば短時間で均一な混合が終了するので好ましい。
【0061】
側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)の使用量は、エマルジョン固形分に対して
0.5〜40重量%(更には1〜35重量%)程度の範囲が好ましい。
また、水性エマルジョンは、上記の側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)が保護コロイド剤として用いられたものであってもよい。
【0062】
上記で得られる水性エマルジョンは、上記の如く側鎖にアルデヒド基を有するPVAを含有するもので、水性エマルジョン中の側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)の最終的な含有割合は、特に限定されないが、固形分比で0.5〜40重量%(さらに1〜35重量%、特に3〜30重量%)とすることが好ましく、かかる含有割合が0.5重量%未満では、接着剤に供したときの接着強度、耐水性が低くなり、逆に40重量%を越えると接着剤に供したときに接着層が水で膨潤しやすく、接着強度が低下する傾向にあり好ましくない。
上記のア)〜ウ)の任意の手法を用いることにより水性エマルジョンを得ることは可能であるが、接着剤に供したときの接着強度、耐水性、基材への浸透性の制御の自由度点等を考慮すれば、ウ)の手法が特に好ましい。
【0063】
かかる(A)と(B)からなる主剤と硬化剤(C)との混合割合は、主剤100重量部に対して(C)を1〜200重量部とすることが好ましく、さらには5〜100重量部、特には40〜80重量部である。かかる(C)がこの範囲より少ないと接着強度や耐水性が低下し、逆にこの範囲を超えると作業性が低下したり、接着層中に発泡による空孔が出来たりして好ましくない。
【0064】
かかる接着剤には、さらに増量剤として、小麦粉、澱粉類、脱脂大豆粉、クレー、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン等を主剤に配合することができる。これらの増量剤は使用目的により配合量が異なるが、一般的には、水性エマルジョン中の固形分100重量部に対して、200重量部以下が好ましく、さらに好ましくは150重量部以下、特に好ましくは100重量部以下である。かかる配合量が200重量部を超えると接着剤の流動性が低下し、被着材に対する均一な塗工が困難となって好ましくない。
【0065】
また、かかる接着剤には、その特性を損なわない範囲で、さらにエチレングリコール、プロピレングリコール等の凍結防止剤、ノニオン系界面活性剤系の分散助剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、着色剤、溶剤、増粘剤等を水性エマルジョンに適宜添加してよい。
【0066】
上記の接着剤を使用する場合には、コールドプレス(常温・圧締処理)のみで十分接着できるが、更に生産性を向上する目的で、熱プレス(加熱板で圧締処理)で加工することもできる。
【0067】
かくして得られた接着剤は、初期接着力、常態接着力に優れていると共に耐久接着力にも優れており、特に、木/木用接着剤(合板用接着剤、木工用接着剤、パーティクルボード用接着剤等)、木/プラスチック素材用接着剤(PVC合板用接着剤、発泡樹脂/木接着剤等)などに好適である。さらに、パッケージング用接着剤(紙/紙接着剤、紙/プラスチック接着剤、紙/アルミ箔用接着剤等)、布用接着剤(布/プラスチック接着剤、布/紙接着剤、布/木接着剤等)、建材用接着剤(コンクリート/木接着剤、木/各種ボード用接着剤等)として用いることができる。
【実施例】
【0068】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
なお、例中「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
〔側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A−1)〜(A−9)の製造〕
なお、上記樹脂は、以下単に(A−1)〜(A−9)と略記する。
【0069】
(A−1)
パドル翼を付けた3リットルのジャケット付反応缶に、酢酸ビニル1000g、アリリデンジアセテート45g及びメタノール550gを仕込み、加熱還流させた。別途、重合触媒としてアゾビスイソブチロニトリル3.81gをメタノール50gに溶解したものを用意して、上記の反応缶に仕込み、重合を開始したと同時に、50%アリリデンジアセテートのメタノール溶液の仕込みを開始した。なお、アリリデンジアセテートは、酢酸ビニルと均一に重合するようにHANNAの式〔アリリデンジアセテートの反応性比(r1)=1.34、酢酸ビニルの反応性比(r2)=0.48〕に従って仕込み、酢酸ビニルの重合率が80%に到達するまでに仕込まれたアリリデンジアセテートの量は37gであった。重合率が80%に達した時点で、重合禁止剤としてm−ジニトロベンゼン0.03gをメタノール100gに溶解したものを反応缶に仕込み、内温を30℃以下にして重合を停止し共重合体のペーストを得た。減圧蒸留により未反応のモノマーを除去した後、メタノールで希釈して共重合体のペースト2165g(樹脂分40%)を得た。
2リットルのジャケット付のケン化用反応缶に、上記で得られた共重合体ペーストを樹脂分30%となるようにメタノールで希釈して400g仕込み、ジャケットを加熱してペースト温度を35℃とした。ケン化触媒として、水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液67g(共重合体の酢酸ビニル単位に対して55ミリモル%)仕込み、ケン化を開始した。ケン化触媒添加終了後ケン化物が析出し始めて、ペーストが増粘し、ケン化母液が発生し、スラリー状態となった後、酢酸の10%メタノール溶液を所定量添加してスラリーを中和して、(A−1)のスラリーを得た。得られた(A−1)をH−NMR(300MHz、DMSO-d6溶媒)で分析したところ、ケン化度は97.1モル%であった。また、アルデヒド基含有量は4.9モル%、平均重合度は1000であった。
【0070】
(A−2)
上記の(A−1)の製造において、重合開始前に予め仕込んでおくアリリデンジアセテートの量を91.2g、重合率80%時点までに追加するアリリデンジアセテートの量を73g、ケン化に用いる水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液量を128g(酢酸ビニル単位に対して105ミリモル%)に変更した以外は同様に行い(A−2)を製造した。ケン化度は97.2モル%、アルデヒド基含有量は9.8モル%、平均重合度は980であった。
【0071】
(A−3)
上記の(A−1)の製造において、重合開始前に予め仕込んでおくアリリデンジアセテートの量を8.8g、重合率80%時点までに追加するアリリデンジアセテートの量を7.6g、ケン化に用いる水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液量を18.3g(酢酸ビニル単位に対して15ミリモル%)に変更した以外は同様に行い(A−3)を製造した。ケン化度は97.3モル%、アルデヒド基含有量は1.0モル%、平均重合度は1010であった。
【0072】
(A−4)
上記の(A−1)の製造において、ケン化触媒として、水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液70.7g(酢酸ビニル単位に対して58ミリモル%)に変更した以外は同様に行い(A−4)を製造した。ケン化度は99.2モル%、アルデヒド基含有量は4.9モル%、平均重合度は1000であった。
【0073】
(A−5)
上記の(A−1)の製造において、ケン化触媒として、水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液64.5g(酢酸ビニル単位に対して53ミリモル%)に変更した以外は同様に行い(A−5)を製造した。ケン化度は93.0モル%、アルデヒド基含有量は4.9モル%、平均重合度は1000であった。
【0074】
(A−6)
上記の(A−1)の製造において、ケン化触媒として、水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液63.3g(酢酸ビニル単位に対して52ミリモル%)に変更した以外は同様に行い(A−6)を製造した。ケン化度は83.0モル%、アルデヒド基含有量は4.9モル%、平均重合度は1000であった。
【0075】
(A−7)
上記の(A−1)の製造において、最初に仕込むメタノールの量550gを50gに変更した以外は同様にして反応を開始し、酢酸ビニルの重合率が20%に到達するまでアリリデンジアセテートを9.1g仕込み重合率が20%になった時点で実施例1と同様に重合禁止剤を仕込んで重合を停止した後、同様に操作して(A−7)を製造した。ケン化度は97.0モル%、アルデヒド基含有量は4.9モル%、平均重合度は2500であった。
【0076】
(A−8)
上記の(A−1)の製造において、最初に仕込むアリリデンジアセテート45gを238gに、メタノール550gを150gに変更し、酢酸ビニルの重合率が80%に達するまでにアリリデンジアセテートを170g仕込んだ以外は同様に行って(A−8)を製造した。ケン化度は97.2モル%、アルデヒド基含有量は25.1モル%、平均重合度は980であった。
【0077】
(A−9)
上記の(A−1)の製造において、最初に仕込むアリリデンジアセテート45gを140gに、メタノール550gを350gに変更し、酢酸ビニルの重合率が80%に達するまでにアリリデンジアセテートを107g仕込んだ以外は同様に行って(A−9)を製造した。ケン化度は97.1モル%、アルデヒド基含有量は14.8モル%、平均重合度は1030であった。
【0078】
〔側鎖にアセタール基を有するPVA(A−10)〜(A−11)の製造〕
なお、上記樹脂は、以下単に(A−10)〜(A−11)と略記する。
(A−10)
上記の(A−1)の製造において、アリリデンジアセテートに代えてアクロレインジメチルアセタールを用いた以外は同様に行って(A−10)を製造した。得られた(A−10)をH−NMR(300MHz、DMSO-d6溶媒)で分析したところ、ケン化度は99.1モル%であった。また、ジメチルアセタール基含有量は4.5モル%、平均重合度は1000であった。
【0079】
(A−11)
上記の(A−1)の製造において、アリリデンジアセテートに代えて2−ビニル−1,3−ジオキソランを用いた以外は同様に行って(A−11)を製造した。得られた(A−11)をH−NMR(300MHz、DMSO-d6溶媒)で分析したところ、ケン化度は99.1モル%であった。また、ジオキソラン基含有量は3.8モル%、平均重合度は950であった。
【0080】
実施例1
得られたポリビニルアルコール系樹脂を用いて、以下の接着剤を調製した。
【0081】
〔接着剤の調製〕
下記の主剤[固形分43.5%の水性エマルジョン]および硬化剤(C)を調製した。
・主剤 :上記のPVA(A−1)の15%水溶液 40部
固形分50%のスチレン-フ゛タシ゛エン共重合体エマルジョン
(旭化成社製『DL612』) 35部
炭酸カルシウム 20部
水 5部
・硬化剤(C):MDI(NCO基含有量6.71×10−3モル/g) 9.72部
【0082】
上記で調製した主剤と硬化剤を混合攪拌して接着剤とし、以下の評価を行った。
〔常態接着強度〕
2片の樺材柾目目版(10mm×25mm×30mm)の片面被着面に上記の接着剤を100±10g/mとなるように塗布し、塗布面同士を接着させて8kg/cmで12時間圧締して、試験片を作製して、その時の接着強度をJIS K 6852に準拠して測定した。
【0083】
〔初期接着強度〕
上記と同様に樺材の両面を接着させて、8kg/cmで5分圧締して、試験片を作製して、その時の接着強度をJIS K 6852に準拠して測定した。
【0084】
〔耐久接着強度〕
上記と同様に接着サンプルを作製して、25℃で6日間養生後、沸騰水中に5時間浸漬し、60℃の空気中で24時間乾燥、更に煮沸水中に4時間浸漬 してから、室温の水中に冷めるまで放置して、水中から取り出し直後(濡れたまま)の接着強度をJIS K 6852に準拠して測定した。
【0085】
〔主剤の保存安定性〕

かかる主剤を60℃で保存し、BROOKFIELD型粘度計にて、粘度の変化を測定し、下式より増粘倍率を求めた。
増粘倍率=保存後の主剤の粘度/調製直後の主剤の粘度
【0086】
実施例2
実施例1において、硬化剤(C)として、メタキシリレンジアミン0.5部を用い、これに0.5N塩酸を加えてpHを9に調整して用いた以外は実施例1と同様に接着剤を調製して、同様に評価を行った。
【0087】
実施例3
実施例1において、硬化剤(C)として、アジピン酸ジヒドラジド0.3部を用い、これにモノエタノールアミン0.3部を添加して用いた以外は実施例1と同様に接着剤を調整して、同様に評価を行った。
【0088】
実施例4
実施例1において、硬化剤(C)として、アジピン酸ジヒドラジド0.3部を用い、これにアセトン0.25部を添加して用いた以外は実施例1と同様に接着剤を調整して、同様に評価を行った。
【0089】
実施例5
実施例1において、(A−1)に替えて(A−2)を用いて、実施例1と同様に接着剤を調製して、同様に評価を行った。
【0090】
実施例6
実施例1において、(A−1)に替えて(A−3)を用いて、実施例1と同様に接着剤を調製して、同様に評価を行った。
【0091】
実施例7
実施例1において、(A−1)に替えて(A−4)を用いて、実施例1と同様に接着剤を調製して、同様に評価を行った。
【0092】
実施例8
実施例1において、(A−1)に替えて(A−5)を用いて、実施例1と同様に接着剤を調製して、同様に評価を行った。
【0093】
実施例9
実施例1において、(A−1)に替えて(A−6)を用いて、実施例1と同様に接着剤を調製して、同様に評価を行った。
【0094】
実施例10
実施例1において、(A−1)に替えて(A−7)を用いて、実施例1と同様に接着剤を調製して、同様に評価を行った。
【0095】
実施例11
実施例1において、(A−1)に替えて(A−8)を用いて、実施例1と同様に接着剤を調製して、同様に評価を行った。
【0096】
実施例12
実施例1において、(A−1)に替えて(A−9)を用いて、実施例1と同様に接着剤を調製して、同様に評価を行った。
【0097】
実施例13
実施例1において、主剤として(A−1)に替えて(A−10)を用い、これに0.5N塩酸を加えpHを3に調整して用いた以外は実施例1と同様に接着剤を調製して、同様に評価を行った。
【0098】
実施例14
実施例14において、(A−10)に替えて(A−11)を用いて、実施例14と同様に
接着剤を調整して、同様に評価を行った。
【0099】
実施例15
実施例1において、固形分50%のスチレンーブタジエン共重合体エマルジョンに変えて、『Sumikaflex 450』(住友化学工業社製、固形分55%エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン)を用いた以外は実施例1と同様に接着剤を調製して、同様に評価を行った。
【0100】
実施例16
実施例1において、接着剤の調製を以下のように変更した以外は同様に評価を行った。
〔接着剤の調製〕
下記の主剤[固形分58.0%の水性エマルジョン]および硬化剤(C)を調製した。
・主剤 :上記のPVAの15%水溶液 20部
固形分50%のスチレン-フ゛タシ゛エン共重合体エマルジョン (旭化成社製『DL612』) 50部
炭酸カルシウム 30部
・硬化剤(C):MDI(NCO基含有量6.71×10−3モル/g) 6.04部
【0101】
実施例17
実施例1において、接着剤の調整を以下のように変更した以外は同様に評価を行った。
〔(A−1)を分散剤とするポリ酢酸ビニル水性エマルジョンの調製〕
攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度計を備えたジャケット付き反応缶に、イオン交換水115部、PVA(A−1)10部、酢酸ナトリウム0.02部、酢酸ビニル15部を仕込み、攪拌しながらジャケットを加温して、重合系の温度を68℃に上げた。重合系の温度が68℃に達した時点で1%過硫酸アンモニウム水溶液を5部添加して、重合を開始した。初期重合を60分間行った後、残りの単量体85部を3時間かけて滴下し、さらに1%過硫酸アンモニウム水溶液5部ずつを1時間毎に計4回添加して重合を行った。単量体の滴下終了後、68℃で1時間加熱攪拌を続行して熟成を行った後、冷却して、固形分40%のポリ酢酸ビニル水性エマルジョンを得た。
【0102】
〔接着剤の調製〕
下記の主剤[固形分52.0%の水性エマルジョン]および硬化剤(C)を調製した。
・主剤 :固形分40%の上記酢酸ビニル水性エマルジョン 80部
炭酸カルシウム 20部
・硬化剤(C):MDI(NCO基含有量6.71×10−3モル/g) 9.72部
【0103】
比較例1
実施例1において、(A−1)に替えて未変性PVA(ケン化度88モル%、重合度1000)を用いて、実施例1と同様に接着剤を調整して、同様に評価を行った。
【0104】
比較例2
実施例1において、硬化剤(C)を用いなかった以外は実施例1と同様に接着剤を調製して、同様に評価を行った。
【0105】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の水性エマルジョン組成物及び接着剤は、初期接着力、常態接着力、耐久接着力が強く、さらに主剤の保存安定性が高いため、特に、木/木用接着剤(合板用接着剤、木工用接着剤、パーティクルボード用接着剤等)、木/プラスチック素材用接着剤(PVC合板用接着剤、発泡樹脂/木接着剤等)などに好適である。さらに、パッケージング用接着剤(紙/紙接着剤、紙/プラスチック接着剤、紙/アルミ箔用接着剤等)、布用接着剤(布/プラスチック接着剤、布/紙接着剤、布/木接着剤等)、建材用接着剤(コンクリート/木接着剤、木/各種ボード用接着剤等)として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側鎖にアルデヒド基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)、エチレン性不飽和単量体及びジエン系単量体から選ばれる少なくとも一種の不飽和単量体からなる重合体(B)、多価イソシアネート化合物、アミン化合物、ヒドラジン化合物から選ばれる少なくとも一種の硬化剤(C)を含有してなることを特徴とする水性エマルジョン組成物。
【請求項2】
エチレン性不飽和単量体及びジエン系単量体から選ばれる少なくとも一種の不飽和単量体からなる重合体(B)を分散質とし、側鎖にアルデヒド基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)を分散剤とする水性エマルジョンと、多価イソシアネート化合物、アミン化合物、ヒドラジン化合物から選ばれる少なくとも一種の硬化剤(C)を含有してなることを特徴とする請求項1記載の水性エマルジョン組成物。
【請求項3】
側鎖にアルデヒド基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)が、下記一般式(1)で表される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体をケン化して得られるものであることを特徴とする請求項1あるいは2記載の水性エマルジョン組成物。
【化1】

(但し、式中R、Rは水素またはメチル基またはフェニル基、Rは炭素数1〜8のアルキル基、nは0〜8の整数)
【請求項4】
側鎖にアルデヒド基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)が、下記一般式(2)及び(3)から選ばれる少なくとも1種類の不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体をアルカリ触媒でケン化した共重合体ケン化物を、酸処理して得られるポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする請求項1あるいは2記載の水性エマルジョン組成物。
【化2】

(但し、式中R、Rは水素またはメチル基またはフェニル基、R、Rは各々独立して炭素数1〜8のアルキル基、nは0〜8の整数)
【化3】

(但し、式中R、Rは水素またはメチル基、R10は炭素数2〜5のアルキレン基、nは0〜8の整数)
【請求項5】
硬化剤(C)がアミン化合物であり、かつ20℃におけるpHが10以下であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の水性エマルジョン組成物。
【請求項6】
硬化剤(C)がヒドラジン化合物で、さらに水溶性アミン化合物あるいは水溶性ケトン化合物のいずれかを含有してなることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の水性エマルジョン組成物。
【請求項7】
請求項1〜6いずれかの水性エマルジョン組成物を含有してなることを特徴とする接着剤。

【公開番号】特開2006−52245(P2006−52245A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−232860(P2004−232860)
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【出願人】(000004101)日本合成化学工業株式会社 (572)
【Fターム(参考)】