説明

水晶振動片及び水晶デバイス

【課題】本発明は、基本波以外の周波数の発生が抑えられた水晶振動片及び水晶デバイスを提供する。
【解決手段】メサ型の水晶振動片(130)が、薄い厚さの周辺部(134a)と、周辺部より中央側で、一主面に周辺部よりも第1高さ(HR1)だけ高く形成され第1平面形状を有する平面上の第1凸部(134b)と、周辺部より中央側で、一主面に対向する他主面に周辺部よりも第2高さ(HR2)だけ高く形成され第2平面形状を有する平面上の第2凸部(134c)と、を備え、第1凸部の第1平面形状が第2凸部の第2平面形状と面積又は平面形状の少なくとも一方が異なる、もしくは第1凸部の第1高さが第2凸部の第2高さと異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基本波以外の周波数の発生が抑えられた水晶振動片及び水晶デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電圧をかけることにより所定の周波数で振動する水晶振動片が知られている。水晶振動片は、パッケージ等に封入されて水晶デバイスとして用いられる。このような水晶振動片は、例えば基本波で発振させられて用いられるが、このような基本波を用いる場合であっても3倍波等の基本波以外の周波数が発生する場合がある。このような基本波以外の周波数は、水晶デバイスを回路に実装した後に回路に干渉することによって回路に誤作動を起こさせるおそれがある。
【0003】
このような誤作動を防ぐために、例えば特許文献1では、水晶振動片に表面波フィルタを形成することにより所定の周波数のみを検出する旨の開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−006166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、近年の水晶振動片は小型化されていること、及びクリスタルインピーダンス(CI)値低減のために水晶振動片の両主面に凸部が形成されること等のために、特許文献1のように表面波フィルタを形成するスペースを水晶振動片に確保することが困難である。
【0006】
本発明は、基本波を発振する水晶振動片の両主面に形成される凸部の平面形状、面積、又は高さの少なくとも1つが異なることにより、基本波以外の周波数の発生が抑えられた水晶振動片及び水晶デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1観点のメサ型の水晶振動片は、薄い厚さの周辺部と、周辺部より中央側で、一主面に周辺部よりも第1高さだけ高く形成され第1平面形状を有する平面上の第1凸部と、周辺部より中央側で、一主面に対向する他主面に周辺部よりも第2高さだけ高く形成され第2平面形状を有する平面上の第2凸部と、を備え、第1凸部の第1平面形状が第2凸部の第2平面形状と面積又は平面形状の少なくとも一方が異なる、もしくは第1凸部の第1高さが第2凸部の第2高さと異なる。
【0008】
第2観点の水晶振動片は、第1観点において、一主面の法線方向から見た際に第1凸部は円形又は楕円であり、一主面の法線方向から見た際に第2凸部は円形又は楕円であり、第1凸部の円形の半径又は楕円の長径もしくは短径と、第2凸部の円形の半径又は楕円の長径もしくは短径とが異なる。
【0009】
第3観点の水晶振動片は、第1観点において、一主面の法線方向から見た際に第1凸部が円形又は楕円形であり、一主面の法線方向から見た際に第2凸部が長方形である。
【0010】
第4観点の水晶振動片は、第1観点において、一主面の法線方向から見た際に第1凸部が長方形であり、一主面の法線方向から見た際に第2凸部が長方形であり、第1凸部の長方形の長辺方向と第2凸部の長方形の長辺方向の長さとが異なる又は、第1凸部の長方形の短辺方向と第2凸部の長方形の短辺方向の長さとが異なる。
【0011】
第5観点のメサ型の水晶振動片は、第1観点から第4観点において、周辺部の外周で空間を隔てて周辺部、第1凸部及び第2凸部を囲む枠部と、周辺部と枠部とを連結する連結部と、を備える。
【0012】
第6観点のメサ型の水晶振動片は、一主面の法線方向から見た際に周辺部が長方形であり、連結部が周辺部の長方形の第1短辺に形成され、第1短辺に対向する第2短辺と2つの長辺とがなす角部が面取りされている。
【0013】
第7観点の水晶デバイスは、第1観点から第4観点の水晶振動片であって、第1凸部及び第2凸部に形成された励振電極と、励振電極から周辺部に引き出された引出電極とを有する水晶振動片と、引出電極と接続する接続電極を有し、水晶振動片を載置するベース板と、ベース板と接合し、水晶振動片を封止するリッド板と、を備える。
【0014】
第8観点の水晶デバイスは、第5観点及び第6観点の水晶振動片であって、第1凸部及び第2凸部に形成された励振電極と、励振電極から連結部を介して枠部に引き出された引出電極とを有する水晶振動片と、引出電極と接続する接続電極を有し枠部と接合するベース板と、枠部と接合し、水晶振動片を封止するリッド板と、を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明の水晶振動片及び水晶デバイスによれば、基本波以外の周波数の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】水晶デバイス100の分解斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】(a)は、水晶振動片130の+Y’軸側の面の平面図である。 (b)は、+Y’軸側から−Y’軸側の面を見た水晶振動片130の平面図である。 (c)は、水晶振動片130の断面図である。
【図4】(a)は、水晶振動片230の−Y’軸側の面の平面図である。 (b)は、水晶振動片330の+Y’軸側の面の平面図である。
【図5】水晶デバイス200の分解斜視図である。
【図6】図5のC−C断面図である。
【図7】(a)は、水晶振動片430の+Y’軸側の平面図である。 (b)は、+Y’軸側から−Y’軸側の面を見た水晶振動片430の平面図である。
【図8】(a)は、水晶振動片530の平面図である。 (b)は、図8(a)の点線538の拡大斜視図である。 (c)は、図8(a)のD−D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の範囲は以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0018】
(第1実施形態)
<水晶デバイス100の構成>
図1は、水晶デバイス100の分解斜視図である。水晶デバイス100は、水晶振動片130と、リッド板110と、パッケージ120とにより形成されている。水晶振動片130には例えばATカットの水晶振動片が用いられる。ATカットの水晶振動片は、主面(YZ面)が結晶軸(XYZ)のY軸に対して、X軸を中心としてZ軸からY軸方向に35度15分傾斜されている。以下の説明では、ATカットの水晶振動片の軸方向を基準とし、傾斜された新たな軸をY’軸及びZ’軸として用いる。すなわち、水晶デバイス100においては水晶デバイス100の長辺方向をX軸方向、水晶デバイス100の高さ方向をY’軸方向、X及びY’軸方向に垂直な方向をZ’軸方向として説明する。
【0019】
水晶デバイス100は、パッケージ120の+Y’軸側に形成された凹部121に水晶振動片130が載置される。さらに水晶振動片130が載置された凹部121を密封するようにリッド板110がパッケージ120の+Y’軸側の面に接合されて水晶デバイス100が形成される。
【0020】
水晶振動片130は、水晶振動片130の周囲に形成される周辺部134aと、水晶振動片130の+Y’軸側の面の周辺部134aよりも中央側に形成される第1凸部134bと、水晶振動片130の−Y’軸側の面の周辺部134aよりも中央側に形成される第2凸部134cと、を有しているメサ型の水晶振動片である。第1凸部134b及び第2凸部134cの表面にはそれぞれ励振電極131が形成されており、各励振電極131からは引出電極132が−X軸側の周辺部134aに引き出されている。水晶振動片130に形成される励振電極131及び引出電極132等の電極は、例えば水晶振動片130にクロム(Cr)層が形成され、クロム層の上に金(Au)層が形成されることにより形成される。
【0021】
水晶デバイス100は表面実装型の水晶デバイスであり、実装端子125とプリント基板等とがハンダを介して固定され、電気的に接続されることにより実装される。パッケージ120の−Y’軸側の面は水晶デバイス100が実装される実装面であり、実装面には一対の実装端子125(図2参照)が形成される。また、パッケージ120は矩形形状に形成されており、パッケージ120の外壁の四隅にはキャスタレーション127aが形成され、短辺側の中央にはキャスタレーション127bが形成されている。キャスタレーション127bには、実装端子125の一部が形成されている。パッケージ120の+Y’軸側の面には凹部121が形成されている。凹部121に形成され、実装面の反対側の面である底面には、水晶振動片130が載置される載置部123が形成されており、載置部123の+Y’軸側の面には接続端子124が形成されている。接続端子124と実装端子125とは互いに電気的に接続されている。また、パッケージ120の凹部121の周囲にはリッド板110と接合される接合面122が形成されている。パッケージ120は、例えばセラミックスにより形成されており、パッケージ120は3つの層により形成されている。第1層120aは平面状に形成されパッケージ120の−Y’軸側に配置されている。また、第1層120aの−Y’軸側の面は実装面であり、実装端子125が形成されている。第1層120aの+Y’軸側には第2層120bが配置される。第2層120bの中央には、凹部121の一部を形成する貫通孔が形成されている。また第2層120bは凹部121に載置部123を形成し、載置部123の+Y’軸側の面には接続端子124が形成される。第2層120bの+Y’軸側の面には第3層120cが配置される。第3層120cの中央には凹部121の一部を形成する貫通孔が形成されている。また、第3層120cの+Y’軸側の面には接合面122が形成されている。パッケージ120に形成される接続端子124及び実装端子125等の電極は、例えばセラミックス上にタングステンの層が形成され、その上に下地めっきとしてニッケル層が形成され、さらにその上に仕上げメッキとして金層が形成されることにより形成される。
【0022】
リッド板110は、平面状の板として形成されている。リッド板110はパッケージ120の+Y’軸側の面に形成されている接合面122に封止材142(図1(b)参照)を介して接合されることによりパッケージ120の凹部121を密封する。
【0023】
図2は、図1のA−A断面図である。パッケージ120の凹部121の−X軸側の+Z’軸側及び−Z’軸側にはそれぞれ載置部123が形成されており、各載置部123の+Y’軸側の面には接続端子124が形成されている。水晶振動片130は載置部123に載置され、引出電極132と接続端子124とが導電性接着剤141を介して電気的に接続されている。パッケージ120の+Y’軸側に接合されるリッド板110は、パッケージ120の接合面122に封止材142を介して接合されることによりパッケージ120の凹部121を密封している。また、パッケージ120の−Y’軸側の面及びキャスタレーション127bの一部には、一対の実装端子125が形成されている。接続端子124は、パッケージ120の底面に形成される接続電極124aを介してキャスタレーション127bに形成されている実装端子125に電気的に接続されている。
【0024】
図3(a)は、水晶振動片130の+Y’軸側の面の平面図である。水晶振動片130の+Y’軸側の面には第1凸部134bが形成され、また、第1凸部134bの周りには周辺部134aが形成されている。第1凸部134bの+Y’軸側の面には励振電極131が形成されており、励振電極131からは周辺部134aの−X軸側の−Z’軸側に引出電極132が引き出されている。この引出電極132は周辺部134aの−Z’軸側の側面を介して−Y’軸側の面にまで引き出されている(図3(b)参照)。一方、周辺部134aの−X軸側の+Z’軸側には水晶振動片130の−Y’軸側の面から引き出された引出電極132が形成されている。また、第1凸部134bのX軸方向の長さは長さLR1に形成され、Z’軸方向の長さは長さWR1に形成されている。
【0025】
図3(b)は、+Y’軸側から−Y’軸側の面を見た水晶振動片130の平面図である。図3(b)には、水晶振動片130の+Y’軸側から水晶振動片l30を透過して水晶振動片130の−Y’軸側の面を見たときの平面図が示されている。水晶振動片130の−Y’軸側の面には第2凸部134cが形成されており、第2凸部134cの周りは周辺部134aが形成されている。第2凸部134cの−Y’軸側の面には励振電極131が形成されており、励振電極131からは周辺部134aの−X軸側の+Z’軸側に引出電極132が引き出されている。この引出電極132は、さらに周辺部134aの+Z’軸側の側面を介して周辺部134aの+Y’軸側の面に引き出されている(図3(a)参照)。一方、周辺部134aの−X軸側の−Z’軸側には水晶振動片130の+Y’軸側の面から引き出された引出電極132が形成されている。また、第2凸部134cの+X軸方向の長さは長さLR2に形成され、+Z’軸方向の長さは長さWR2に形成されている。
【0026】
図3(c)は、水晶振動片130の断面図である。図3(c)は、図3(a)及び図3(b)のB−B断面図である。水晶振動片130では、第1凸部134bが周辺部134aからの高さが第1高さHR1に形成され、第2凸部134cが周辺部134aからの高さが第2高さHR2に形成されている。
【0027】
基本波が用いられる水晶振動片では、基本波の3倍の周波数と3倍波との周波数の差が大きくなるように設計されることが望ましい。基本波の3倍の周波数と3倍波との周波数の差が大きくなるとき、3倍波は水晶振動片で発生しにくくなる。水晶振動片の基本波は励振電極が形成されている第1凸部及び第2凸部において形成される。すなわち、第1凸部及び第2凸部の形状等が変わるとき水晶振動片の振動変位分布が変わり、基本波の3倍の周波数と3倍波との周波数の差も変化する。
【0028】
水晶振動片130では、第1凸部134bと第2凸部134cとのX軸方向の長さ、Z’軸方向の長さ、及びY’軸方向の高さが調整され、水晶振動片130では基本波の3倍の周波数と3倍波との周波数の差が大きくなるように形成されている。このとき水晶振動片130では、第1凸部134bと第2凸部134cとのX軸方向の長さ、Z’軸方向の長さ、又はY’軸方向の高さの少なくとも1つが互いに異なっている。すなわち、第1凸部134bのX−Z’平面の形状を第1平面形状、第2凸部134cのX−Z’平面の形状を第2平面形状とすると、水晶振動片130では、第1平面形状が第2平面形状と面積又は平面形状の少なくとも一方が異なる、もしくは第1凸部134bの第1高さHR1が第2凸部134cの第2高さHR2と異なっている。
【0029】
また水晶振動片130では、水晶振動片130がパッケージ120の凹部121に載置された後に水晶振動片130の+Y’軸側の面の励振電極131の厚さを薄くするなどして周波数が調整される。そのため水晶振動片130では、+Y’軸側の励振電極131の面積が大きくなるように形成されると周波数の調整が行いやすいため好ましい。
【0030】
(第2実施形態)
水晶振動片は、第1実施形態において示されたように、第1凸部の第1平面形状と第2凸部の第2平面形状とがY’軸方向に互いに一致して重なりあわないことにより周波数の3倍波の発生が抑えられる。そのため、第1凸部の第1平面形状及び第2凸部の第2平面形状が互いに異なる様々な組み合わせが考えられる。以下に、水晶振動片の変形例を説明する。また、以下の説明において、水晶振動片130と同様の部分に関しては、水晶振動片130と同様の記号を付してその説明を省略する。
【0031】
<水晶振動片230の構成>
水晶振動片230は、+Y’軸側の面に第1凸部134b(図4(a)参照)が形成され、−Y’軸側の面に第2凸部234cが形成されている。水晶振動片230は、第2凸部234c及び第2凸部234cに形成される励振電極231以外の構成は、水晶振動片130と同様である。
【0032】
図4(a)は、水晶振動片230の−Y’軸側の面の平面図である。図4(a)では、水晶振動片230を+Y’軸側から見て、水晶振動片230を透過した水晶振動片230の−Y’軸側の面の平面図が示されている。水晶振動片230の−Y’軸側に形成されている第2凸部234cは、楕円の平面を有している。第2凸部234cの−Y’軸側の面には励振電極231が形成されており、励振電極231からは引出電極132が引き出されている。第2凸部234cのX軸方向の長さは長径LR3であり、Z’軸方向の長さは短径WR3である。第2凸部234cの平面形状は楕円であり、長方形の形状に形成されている第1凸部134bとは異なった形状に形成されている。
【0033】
<水晶振動片330の構成>
水晶振動片330は、+Y’軸側の面に第1凸部334bが形成され、−Y’軸側の面に第2凸部234c(図4(a)参照)が形成されている。
【0034】
図4(b)は、水晶振動片330の+Y’軸側の面の平面図である。水晶振動片330の+Y’軸側に形成されている第1凸部334bは、楕円の平面形状を有している。第1凸部334bの+Y’軸側の面には励振電極331が形成されており、励振電極331からは引出電極132が引き出されている。第1凸部334bのX軸方向の長さは長径LR4であり、Z’軸方向の長さは短径WR4である。水晶振動片330では、短径WR3及び短径WR4と、長径LR3及び長径LR4と、第1凸部334bの第1高さ及び第2凸部234cの第2高さと、の少なくとも1つが互いに異なっている。
【0035】
水晶振動片230及び水晶振動片330では、第1凸部と第2凸部との平面形状が異なることにより、水晶振動片に生じる3倍波の発生が防がれている。また、第1凸部334b及び第2凸部234cの平面形状は円形でもよい。
【0036】
(第3実施形態)
水晶振動片は、周辺部の周りに枠部が形成され、周辺部と枠部とが連結部により連結されていてもよい。以下に、枠部が形成されている水晶振動片が用いられた水晶デバイス200について説明する。
【0037】
<水晶デバイス200の構成>
図5は、水晶デバイス200の分解斜視図である。水晶デバイス200は、リッド板110と、ベース板220と、水晶振動片430と、により構成されている。水晶振動片430には例えばATカットの水晶振動片が用いられ、ベース板220には例えばガラス及び水晶等が基材として用いられる。
【0038】
水晶振動片430は、所定の周波数で振動する励振部431と、励振部431を囲む枠部432と、励振部431と枠部432とを連結する連結部433と、により構成されている。連結部433は励振部431の−X軸側の辺の+Z’軸側及び−Z’軸側の端にそれぞれ連結されており、励振部431と枠部432との間の連結部433以外の領域は、水晶振動片430をY’軸方向に貫通する貫通溝436となっている。励振部431の+Y’軸側の面と−Y’軸側の面とには励振電極434が形成されており、各励振電極434からは連結部433を通り枠部432にまで引出電極435が引き出されている。
【0039】
ベース板220は、水晶振動片430の−Y’軸側に配置される。ベース板220はX軸方向に長辺、Z’軸方向に短辺を有する矩形形状に形成されている。ベース板220の−Y’軸側の面には一対の実装端子223が形成されている。この実装端子223がハンダを介してプリント基板等に固定され電気的に接続されることにより、水晶デバイス200がプリント基板等に実装される。また、ベース板220の四隅の側面にはキャスタレーション224が形成されており、キャスタレーション224には側面電極226が形成されている。ベース板220の+Y’軸側の面には凹部221が形成されており、凹部221の周りには接合面222が形成されている。また、接合面222の四隅でありキャスタレーション224の周りには接続端子225が形成されている。この接続端子225は、キャスタレーション224に形成される側面電極226を介して実装端子223に電気的に接続されている。ベース板220は、接合面222において封止材142(図6参照)を介して水晶振動片430の枠部432の−Y’軸側の面に接合される。また、接続端子225と水晶振動片430の引出電極435とが電気的に接続される。
【0040】
図6は、図5のC−C断面図である。水晶デバイス200は、水晶振動片430の枠部432の+Y’軸側の面にリッド板110が封止材142を介して接合され、枠部432の−Y’軸側の面にベース板220の接合面222が封止材142を介して接合されている。水晶振動片430の枠部432とベース板220の接合面222とが接合される際には、枠部432の−Y’軸側の面に形成されている引出電極435とベース板220の接合面222に形成されている接続端子225とが電気的に接続される。これにより、励振電極434は、引出電極435、接続端子225、及び側面電極226を介して実装端子223に電気的に接続される。また水晶振動片430は、励振部431の周囲に形成される周辺部431aと、励振部431の+Y’軸側の面の周辺部431aよりも中央側に形成される第1凸部431bと、励振部431の−Y’軸側の面の周辺部431aよりも中央側に形成される第2凸部431cと、を有しているメサ型の水晶振動片である。
【0041】
図7(a)は、水晶振動片430の+Y’軸側の平面図である。水晶振動片430の+Y’軸側の面には第1凸部431b及び第1凸部431bの周りに形成されている周辺部431aが形成されている。第1凸部431bには励振電極434が形成されており、励振電極434からは、−Z’軸側の連結部433の+Y’軸側の面及び−Z’軸側の連結部433の−Z’軸側の側面433aを介して連結部433の−Y’軸側の面に引出電極435が引き出されている。また、第1凸部431bのX軸方向の長さは長さLR5に形成され、Z’軸方向の長さは長さWR5に形成されている。
【0042】
図7(b)は、+Y’軸側から−Y’軸側の面を見た水晶振動片430の平面図である。図7(b)では、水晶振動片430の+Y’軸側から水晶振動片430を透過して水晶振動片430の−Y’軸側の面を見た場合の平面図である。水晶振動片430の−Y’軸側の面には第2凸部431cが形成されており、第2凸部431cの周りは周辺部431aが配置されている。第2凸部431cの−Y’軸側の面には励振電極434が形成されており、この励振電極434からは、+Z’軸側の連結部433を通り、枠部432の+X軸側の+Z’軸側の角部にまで引出電極435が引き出されている。また、−Z’軸側の連結部433では+Y’軸側に形成される励振電極434から引き出されている引出電極435が連結部433の側面433aを介して連結部433の−Y’軸側の面に引き出されており、引出電極435はさらに−X軸側の−Z’軸側の角部にまで形成されている。また、第2凸部434cのX軸方向の長さは長さLR6に形成され、Z’軸方向の長さは長さWR6に形成されている。
【0043】
水晶振動片430では、長さLR5及び長さLR6と、長さWR5及び長さWR6と、第1凸部431bの周辺部431aからの高さである第1高さ及び第2凸部431cの周辺部431aからの高さである第2高さと、の中の少なくとも1つの組み合わせで寸法が異なっている。すなわち、第1凸部431bのX−Z’平面の形状を第1平面形状、第2凸部431cのX−Z’平面の形状を第2平面形状とすると、水晶振動片430では、第1平面形状が第2平面形状と面積又は平面形状の少なくとも一方が異なる、もしくは第1凸部431bの第1高さが第2凸部431cの第2高さと異なっている。
【0044】
<水晶振動片530の構成>
水晶振動片では、周辺部の角部が面取りされていてもよい。以下に、周辺部の角部が面取りされている水晶振動片530について説明する。
【0045】
図8(a)は、水晶振動片530の平面図である。水晶振動片530は、励振部531と、枠部532と、連結部533と、により構成されている。連結部533は、励振部531の+X軸側の辺の両端にそれぞれ連結されている。励振部531と枠部532との間の連結部533以外の領域には水晶振動片530をY’軸方向に貫通する貫通溝536が形成されている。励振部531の周りには周辺部531aが形成され、水晶振動片530の+Y’軸側の面の周辺部531aの中央側には第1凸部531bが形成され、水晶振動片530の−Y’軸側の面の周辺部531aの中央側には第2凸部531c(図8(d)参照)が形成されている。すなわち、励振部531は、周辺部531a、第1凸部531b、及び第2凸部531cを含んで構成される。第1凸部531a及び第2凸部531cの表面には励振電極534がそれぞれ形成されている。各励振電極534からはそれぞれ引出電極535が引き出されており、引出電極535は枠部532の−Y’軸側の面の+X軸側の+Z’軸側、及び−X軸側の−Z’軸側の角部にまで形成されている。また、水晶振動片530は、周辺部531aの−X軸側の角部が面取りされている。
【0046】
図8(b)は、図8(a)の点線538の拡大斜視図である。水晶振動片530では、周辺部531aの−X軸側の−Z’軸側及び−X軸側の+Z’軸側の角部が面取りされている。−Z’軸側の角部では、−Y’軸側の面に接する角部が面取りされ、+Z’軸側の角部では、+Y’軸側の面に接する角部が面取りされている。図8(b)では、面取りされている面を面537として示している。
【0047】
図8(c)は、図8(a)のD−D断面図である。水晶振動片530では、周辺部531aの+Z’軸側及び−Z’軸側の側面も+Y’軸方向から−Z’軸方向に傾いて形成されている。このような側面の傾きは、水晶振動片の各軸方向に対するエッチング速度の違いに起因して形成される。ATカットの水晶は、+Y’軸方向と−Z’軸方向との間、及び−Y’軸方向と+Z’軸方向との間にエッチング速度が速いためこのような側面が形成される。また、面取りされた面537も、このような各軸方向のエッチング速度の違いを利用して形成される。
【0048】
図8(d)は、図8(a)のE−E断面図である。励振部531には、+Y’軸側の面に第1凸部531bが形成され、−Y’軸側の面に第2凸部531cが形成されている。水晶振動片530では、第1凸部531bのX−Z’平面の形状を第1平面形状、第2凸部531cのX−Z’平面の形状を第2平面形状とすると、第1平面形状が第2平面形状と面積又は平面形状の少なくとも一方が異なる、もしくは第1凸部531bの高さが第2凸部531cの高さと異なっている。
【0049】
水晶振動片では、従来、ベベル加工という励振部を円弧状に研磨する加工が行われてきた。この加工により、水晶振動片の不要振動の発生が抑えられ、クリスタルインピーダンス(CI)値を低下させることができる。水晶振動片530では、周辺部531aの角部が面取りされることにより、水晶振動片530がベベル加工された形状に近い形状にすることができ、水晶振動片のCI値を低減させることができる。またATカット水晶振動片は主振動が厚さ方向(Y’軸方向)に発生するため、Z’軸方向に発生する振動は不要振動になる。そのため、面取りされる部分が曲面状に形成されるとZ’軸方向の振動の境界条件が形成されなくなり、Z’軸方向の振動の発生を抑えやすくなるため好ましい。
【0050】
さらに、水晶振動片530では、励振部531の−X軸側の角部が面取りされている。水晶では+X軸方向のエッチング速度が速く、+X軸側の角部を面取りする場合には、励振部531がエッチングされすぎて励振部531の面積が狭くなってしまう場合がある。水晶振動片530では、励振部531の+X軸側に連結部533を形成し、−X軸側の辺の角部をエッチングすることにより、エッチングの速度を抑え、励振部531の面積が狭くなりすぎることが抑えられている。
【0051】
以上、本発明の最適な実施例について詳細に説明したが、これらの実施形態は互いに組み合わせて用いられることができる。また、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施例に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
【符号の説明】
【0052】
100、200 … 水晶デバイス
110 … リッド板
120 … パッケージ
120a … 第1層
120b … 第2層
120c … 第3層
121、221 … 凹部
122、222 … 接合面
123 … 載置部
124、225 … 接続端子
124a … 接続電極
125、223 … 実装端子
127a、127b、224 … キャスタレーション
130、230、330、430、530 … 水晶振動片
131、231、331、434、534 … 励振電極
132、435、535 … 引出電極
134a、531a … 周辺部
134b、334b、431b、531b … 第1凸部
134c、234c、431c、531c … 第2凸部
141 … 導電性接着剤
142 … 封止材
220 … ベース板
226 … 側面電極
431、531 … 励振部
432、532 … 枠部
433、533 … 連結部
436、536 … 貫通溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄い厚さの周辺部と、
前記周辺部より中央側で、一主面に前記周辺部よりも第1高さだけ高く形成され第1平面形状を有する平面上の第1凸部と、
前記周辺部より中央側で、前記一主面に対向する他主面に前記周辺部よりも第2高さだけ高く形成され第2平面形状を有する平面上の第2凸部と、を備え、
前記第1凸部の前記第1平面形状が前記第2凸部の前記第2平面形状と面積又は平面形状の少なくとも一方が異なる、もしくは前記第1凸部の前記第1高さが前記第2凸部の前記第2高さと異なるメサ型の水晶振動片。
【請求項2】
前記一主面の法線方向から見た際に前記第1凸部は円形又は楕円であり、
前記一主面の法線方向から見た際に前記第2凸部は円形又は楕円であり、
前記第1凸部の円形の半径又は楕円の長径もしくは短径と、前記第2凸部の円形の半径又は楕円の長径もしくは短径とが異なる請求項1に記載のメサ型の水晶振動片。
【請求項3】
前記一主面の法線方向から見た際に前記第1凸部は円形又は楕円形であり、
前記一主面の法線方向から見た際に前記第2凸部は長方形である請求項1に記載のメサ型の水晶振動片。
【請求項4】
前記一主面の法線方向から見た際に前記第1凸部は長方形であり、
前記一主面の法線方向から見た際に前記第2凸部は長方形であり、
前記第1凸部の長方形の長辺方向と前記第2凸部の長方形の長辺方向の長さとが異なる又は、前記第1凸部の長方形の短辺方向と前記第2凸部の長方形の短辺方向の長さとが異なる請求項1に記載のメサ型の水晶振動片。
【請求項5】
前記周辺部の外周で空間を隔てて前記周辺部、前記第1凸部及び前記第2凸部を囲む枠部と、
前記周辺部と前記枠部とを連結する連結部と、
を備える請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のメサ型の水晶振動片。
【請求項6】
前記一主面の法線方向から見た際に前記周辺部は長方形であり、前記連結部は前記周辺部の長方形の第1短辺に形成され、前記第1短辺に対向する第2短辺と2つの長辺とがなす角部が面取りされている請求項5に記載のメサ型の水晶振動片。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれかの水晶振動片であって、前記第1凸部及び前記第2凸部に形成された励振電極と、前記励振電極から前記周辺部に引き出された引出電極とを有する水晶振動片と、
前記引出電極と接続する接続端子を有し、前記水晶振動片を載置するベース板と、
前記ベース板と接合し、前記水晶振動片を封止するリッド板と、
を備える水晶デバイス。
【請求項8】
請求項5又は請求項6の水晶振動片であって、前記第1凸部及び前記第2凸部に形成された励振電極と、前記励振電極から前記連結部を介して前記枠部に引き出された引出電極とを有する水晶振動片と、
前記引出電極と接続する接続端子を有し、前記枠部と接合するベース板と、
前記枠部と接合し、前記水晶振動片を封止するリッド板と、
を備える水晶デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−62578(P2013−62578A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198094(P2011−198094)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】