説明

水系媒質に不溶性の酵素を含む化粧用または皮膚薬用組成物およびその使用

【課題】化粧用または皮膚薬用組成物およびこれらの使用を提供する。
【解決手段】水系媒質に不溶性の酵素を少なくとも一種の化粧的または皮膚薬的に許容し得る賦形剤と混合して含む化粧用または皮膚薬用組成物、特に抗しわ化粧用または皮膚薬用組成物である。この組成物は、主に、局所使用の際に刺激および/またはアレルギーの反応を制限するのに使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水系媒質に不溶性の酵素を、少なくとも一種の化粧的または皮膚薬的に許容し得る賦形剤と混合して含む化粧用または皮膚薬用組成物およびそれらの使用に関する。
【0002】
本発明は、主に上述のような組成物の局所使用中の刺激および/またはアレルギー反応を制限するための使用に関する。
【背景技術】
【0003】
過去何年もの間、α−ヒドロキシ酸類(AHA)は、化粧品業界では主に「抗しわ」剤として用いられている。数多くの研究により、AHAはそれらの水和力により表皮の上層が水を摂取することができるようにし、それにより角質細胞間の凝集力の低下がもたらされることが示された(ファン・スコット他(Van Scott et al.),「ジャーナル・オブ・アメリカン・アカデミー・オブ・ダーマトロジー(Journal of American Academy of Dermatology)」,米国,1984年,第11巻,p.867−879(非特許文献1);ズー・ドレロス(Zoe Draelos),「コスメティック・ダーマトロジー(Cosmetic Dermatology)」,米国,2000年,第10巻,p.51−57(非特許文献2)参照)。
【0004】
有効性が非常に高いにもかかわらず、AHAは強い角質溶解活性を有する他の製品(サリチル酸、果物酸)と全く同様に、激しい刺激反応を誘発することがあり、これらの刺激反応は時には角質溶解効果を得るのに必要な用量よりも少ない用量で現れ得る(スラビン(Slavin),「クリニカル・プラスチック・サージャリー(Clinical Plastic Surgery)」,米国,1998年,第25巻,p.45−52(非特許文献3)参照)。
【0005】
角質溶解活性物を開発する他のアプローチ・ルートは、プロテアーゼまたはリパーゼのような酵素を使用することである。実際、正常なヒトの皮膚にはタンパク質分解活性を有する二種の酵素が皮膚剥離の過程に関与しており、角質層キモトリプシン酵素(SCCE)および角質層トリプシン酵素(SCTE)とがある(ルントシュトレーム(Lundstroem)他,「アクタ・デルマトロギア・ベネレオロギカ(Acta Dermato-Venereologica)」,ノルウェー国,1991年,第41巻,p.471−474(非特許文献4);エクホルム(Ekholm)他,「ザ・ジャーナル・オブ・インベスチゲイティブ・ダーマトロジー(The Journal of Investigative Dermatology)」,米国,2000年,第114巻,p.56−63(非特許文献5)参照)。従って、皮膚剥離現象を促進するのにプロテアーゼのような酵素を使用することは、これらの酵素が皮膚表面に生理学的に存在するので当然である、またはリパーゼまたはグリコシダーゼのような酵素を使用して脂質または糖類の有機的構造を破壊して皮膚剥離の効果を増大し、最終的にケラチン合成細胞の増殖作用の強化を誘発し、抗しわ効果を誘発するのは当然であるように見える。
【0006】
しかしながら、化粧品では酵素類の使用はほとんど不可能である。なんとなれば、酵素類はすべて水系媒質中では一般に使用されているエージング試験の温度(45℃)で不安定である、かつ酵素類はすべて一般にヒトの皮膚がよく耐えられないからである(刺激やアレルギーはこの非耐性の明白な臨床的徴候である)。このように、例えば、プロテアーゼは水系媒質中では特に不安定であるが、その理由は、それらのタンパク質の構造により水の存在下で自己溶解する(それ自体加水分解する)からである。ある著者は指向性突然変異誘発により自己溶解されたペプチド部位を修飾すること(バラリエイ(Varallyay),「バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochemical and Biophysical Research Communications)」,米国,1998年,第4巻,第243号,p.56−60(非特許文献6);ファン・デン・ブルク(Van den Burg),「バイオテクノロジー・アンド・アプライド・バイオケミストリー(Boptechnology and Applied Biochemistry)」,1998年,第27巻,p.125−13(非特許文献7)参照)、酵素を溶解性ポリマーと共有結合させることにより該酵素を固定化すること(リー(Lee)他,「バイオテクノロジー・プログレス(Biotechnology Progress)」,米国,1998年,第14巻,第3号,p.508−516(非特許文献8)参照)、または酵素を疎水性相中に懸濁して水相をエマルジョンから分離すること(米国特許第5,811,812号明細書(米国特許出願1997年第866916号))(特許文献1)さえも提案している。
【0007】
第二の問題は酵素、特にプロテアーゼを皮膚の表面に適用することにより惹起される非常に高いアレルゲン性である(ペプシ(Pepsy)他,「クリニカル・アラジー(Clinical Allergy)」,英国,1985年,第15巻,p.101−115(非特許文献9);ソト−メラ(Soto-Mera)他,「アラジー(Allergy)」,デンマーク国,2000年,第55巻,p.983−984(非特許文献10)参照)。観察された不耐性の現象は、それらの現象が酵素類の精製が不完全であることに起因していようと、またはそれらの現象が使用した酵素類の加水分解または自己溶解により生成されたフラグメントに起因していようと、使用した酵素溶液中に存在する溶解性ペプチド類の浸透が顕著であることと多分関連しており、その場合には、該ペプチド類は強い免疫源性を有していることになる。
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,811,812号明細書(米国特許出願1997年第866916号)
【非特許文献1】ファン・スコット他(Van Scott et al.),「ジャーナル・オブ・アメリカン・アカデミー・オブ・ダーマトロジー(Journal of American Academy of Dermatology)」,米国,1984年,第11巻,p.867−879
【非特許文献2】ズー・ドレロス(Zoe Draelos),「コスメティック・ダーマトロジー(Cosmetic Dermatology)」,米国,2000年,第10巻,p.51−57
【非特許文献3】スラビン(Slavin),「クリニカル・プラスチック・サージャリー(Clinical Plastic Surgery)」,米国,1998年,第25巻,p.45−52
【非特許文献4】ルントシュトレーム(Lundstrom)他,「アクタ・デルマトロギア・ベネレオロギカ(Acta Dermato-Venereologica)」,ノルウェー国,1991年,第41巻,p.471−474
【非特許文献5】エクホルム(Ekholm)他,「ザ・ジャーナル・オブ・インベスチゲイティブ・ダーマトロジー(The Journal of Investigative Dermatology)」,米国,2000年,第114巻,p.56−63
【非特許文献6】バラリエイ(Varallyay),「バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochemical and Biophysical Research Communications)」,米国,1998年,第4巻,第243号,p.56−60
【非特許文献7】ファン・デン・ブルク(Van den Burg),「バイオテクノロジー・アンド・アプライド・バイオケミストリー(Boptechnology and Applied Biochemistry)」,1998年,第27巻,p.125−132
【非特許文献8】リー(Lee)他,「バイオテクノロジー・プログレス(Biotechnology Progress)」,米国,1998年,第14巻,第3号,p.508−516
【非特許文献9】ペプシ(Pepsy)他,「クリニカル・アラジー(Clinical Allergy)」,英国,1985年,第15巻,p.101−115
【非特許文献10】ソト−メラ(Soto-Mera)他,「アラジー(Allergy)」,デンマーク国,2000年,第55巻,p.983−984
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の主な目的は酵素を含むときにいささかの刺激またはアレルギーの問題もなく使用することが可能である化粧用または皮膚薬用組成物を提供することからなる新規な技術的問題を解決することである。
【0010】
本発明の他の目的は酵素を含む抗しわ効果を有する化粧用または皮膚薬用組成物を提供することからなる新規な技術的課題を解決することである。
【0011】
本発明の他の目的はケラチン合成細胞の増殖作用の強化および皮膚の明色化(lightening)を促進する化粧用または皮膚薬用組成物を提供することからなる新規な技術的課題を解決することである。
【0012】
本発明の他の目的は、皮膚バリアーの再構築を促進する、酵素を含む化粧用または皮膚薬用組成物を提供することからなる新規な技術的課題を解決することである。
【0013】
さらに、本発明の他の目的は、乾燥肌または油性肌の治療を可能にする、酵素を含む化粧用または皮膚薬用組成物を提供することからなる新規な技術的課題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
これらの技術的課題のすべてが本発明によりはじめて同時に解決される。
【0015】
このように、本発明の文脈において、特に意外な態様で、水系媒質に不溶性の酵素類が化粧用または皮膚薬用組成物に特に刺激やアレルギーの問題なしに使用できることが発見された。
【0016】
従って、第一の態様において、本発明は水系媒質に不溶性である少なくとも一種の酵素を、少なくとも一種の化粧的または皮膚薬的に許容し得る賦形剤と混合して含む化粧用または皮膚薬用組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
「賦形剤」とは、本発明者によれば、不溶性の形態の酵素である有効成分以外の成分のすべてを意味する。
【0018】
この酵素は、リパーゼ、酸化還元酵素、カルボヒドラーゼ、およびプロテアーゼからなる群から選ばれるのが好適である。
【0019】
この酵素はサブチリシン、トリプシン、キモトリプシンまたはサーモリシンのようなプロテアーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、α−アミラーゼもしくはβ−アミラーゼまたはグルコアミラーゼのようなアミラーゼ、β−D−グルコシダーゼ、セレブロシダーゼ、スーパーオキサイド・ジスムターゼ、ペルオキシダーゼおよびリポキシゲナーゼからなる群から選ばれるのが好適である。
【0020】
本発明が網羅する実施形態のすべてのうちから、本発明者は以下の本発明の3つの特定の実施形態を推奨する:
−第1の好適な実施形態は、酵素を結晶化して不溶性タンパク質結晶を形成し、ついでこれらの結晶を例えばグルタルアルデヒドにより化学的に架橋してこれらの粒子を不溶化し、かつそれらを水系媒質に不溶性にすることからなる。
−第2の好適な実施形態は、酵素を水系媒質に不溶性であるように選ばれたポリマー上に接合することからなる。
−第3の好適な実施形態は、酵素を粒子、好ましくはマイクロメーターまたはナノメーター級の粒子であって、好ましくは球、カプセルまたはスポンジであり、すべて水系媒質に不溶性である粒子上に接合することからなる。
【0021】
これらのポリマーまたはこれらの粒子は、水系媒質に不溶性であり、それらの表面上に少なくとも一種の修飾可能な化学官能基を有し、この官能基が酵素と共有結合を形成するのに使用できるのが好適である。例えば、これらのポリマーまたはこれらの粒子は下記のものの少なくとも一種:すなわち、一種のセルロース、一種のポリスチレン、一種のアルキルシアノアクリレート、一種のシリカ、一種のナイロン、一種のポリアミド(合成、または天然ポリアミド由来)、一種のポリエステル(合成、または天然ポリエステル由来)、またはそれらの混合物の一種を含む。
【0022】
本発明の文脈において、球は、米国特許第5,395,620号明細書、フランス国特許第2,683,159号(米国特許第6,303,150号)明細書、国際公開第94/04261号(米国特許第号5,691,060号)明細書、米国特許第5,912,016号明細書、フランス国特許第2,780,901号(米国特許第6,197,757号)明細書、フランス国特許第2,703,927号(米国特許第5,635,609号)明細書に記載されているような球であり得る。
【0023】
上記第1の実施形態について、結晶化され、かつ架橋された酵素は結晶の形態である。これらの結晶は0.2〜50μm、好ましくは1〜5μmの大きさを持つ。これらの結晶は特に針状または卵形の形態を有し、上記の大きさはそれらの最大の大きさに相当する。
【0024】
これらの結晶は、特に架橋による酵素の結晶の不溶化技術により、他の点に関しては文献に記載されているように形成される(「架橋酵素結晶」、「トレンズ・イン・バイオテクノロジー(TIBTECH)」,1996年,第14巻,第7(150)号,p.219−259)。
【0025】
これらの結晶はゲル、特に皮膚および/または頭皮、および/または毛髪に対して許容し得るゲル中に希釈して化粧用または皮膚薬用組成物を調製するのが好ましい。
【0026】
好適には、賦形剤は、ブチレングリコール、水、ステアレス−2、ステアレス−21、グリコール−15・ステアリル・エーテル、セテアリルアルコール、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、ブチレングリコール、天然トコフェロール、グリセロール、ジヒドロキシセチルナトリウム、イソプロピル・ヒドロキシセチル・エーテル、グリコール・ステアレート、トリイソノナオイン、オクチル・ココエート、ポリアクリルアミド、イソパラフィン、ラウレス−7、カルボマー、プロピレングリコール、グリセロール・ビスアボロール、ジメチコン、水酸化ナトリウム、香料、PEG30−ジポリヒドロキシステアレート、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、セテアリル・オクタノエート、ジブチル・アジペート、ブドウ種子油、ホホバ油、硫酸マグネシウム、EDTA、シクロメチコン、キサンタンガム、クエン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、ミネラルワックスおよび鉱油、イソステアリル・イソステアレート、プロピレングリコール・ジペラルゴネート、プロピレングリコール・イソステアレート、PEG8−ミツロウ、水素化ヤシ心材油グリセリド、水素化ヤシ油グリセリド、ラノリン油、ゴマ油、セチル・ラクテート、ラノリンアルコール、ヒマシ油、二酸化チタン、着色剤、および顔料からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を含む。
【0027】
好適には、上記の組成物は、水系または油系である溶液、水系クリームもしくはゲルまたは油系ゲル、特にポットまたはチューブ入りのもの、特にシャワージェル、シャンプー;乳液;エマルジョン、マイクロエマルジョンもしくはナノエマルジョン、特に水中油型もしくは油中水型もしくは複合もしくはシリコーン含有マイクロエマルジョンまたはナノエマルジョン;ローション、特にガラス瓶、プラスチック瓶もしくは計量瓶入りのもの、またはエーロゾルのもの;アンプル;液状石鹸;皮膚科用棒石鹸(dermatological bar);軟膏;フォーム;無水製品、好ましくは液状、ペースト状もしくは固形無水製品、例えばスティックの形態、特にリップスティックの形態のものからなる群から選ばれる形態に配合される。
【0028】
好適には、酵素は水相に不溶性の粒子またはポリマー上に共有結合により接合される。
【0029】
好適には、酵素は、カルボジイミドのような二官能性剤で活性化することにより接合すべき酵素と反応するように調製されている球上に接合される。
【0030】
一般に、これらの粒子上に酵素を接合する際に用いられるポリマーまたは粒子は、活性化剤により活性化することができる。この活性化は主にポリマーまたは粒子の外表面上に存在する化学的機能を活性化することからなる。
【0031】
好適には、結晶化され、架橋された酵素はグルタルアルデヒドで架橋されている。
【0032】
一般に、かつ意外にも、本発明者は本発明を実現する際に、酵素の不溶化時に精製工程が得られること、および可溶性の形態で使用されるアレルゲン性酵素がひとたび不溶性の形態で使用されると全く低アレルゲン性になることをも示した。
【0033】
さらに、酵素を不溶性の形態で使用するとこのように修飾された酵素の酵素活性を安定化することが可能となり、かつこれによりそれらの化粧用途および皮膚薬用途における使用を予想することができる。
【0034】
水系媒質に不溶性にした酵素は、皮膚の耐性の系統的な改善を可能にするとともに、これらの酵素を化粧用または皮膚薬用配合剤、特に通常はそれらが用いられない低アレルゲン性の化粧用または皮膚薬用配合剤において使用する可能性を与える。
【0035】
意外にも、上述の化粧用または皮膚薬用組成物が少なくとも一種の有効成分(不溶性の形態の酵素以外)を含むときは、この酵素は少なくともこの有効成分の経皮浸透を改善することを可能とする。
【0036】
従って、本発明は、第二の態様として、好ましくは上述のような化粧用または皮膚薬用組成物を形成するように化粧的または皮膚薬的に許容し得る賦形剤と混合した、水系媒質に不溶性である酵素の、化粧的または皮膚薬的ケアを行うための使用に関する。
【0037】
有利なことに、この酵素は、化粧用または皮膚薬用組成物を形成するために混合したものであるのが好ましく、局所使用の際の刺激および/またはアレルギー反応を制限するのに使用できる。
【0038】
有利なことに、この酵素またはそれを含む化粧用もしくは皮膚薬用組成物の使用は、特に皮膚および/または毛髪のケラチンのケラチン合成細胞の増殖作用の強化を行うことを可能とし、特に皮膚を明色化することができ、この酵素はプロテアーゼであるのが好ましい。
【0039】
有利なことに、この酵素またはそれを含む化粧用もしくは皮膚薬用組成物は、抗しわ効果を奏するために使用することができる。
【0040】
有利なことに、この酵素またはそれを含む化粧用もしくは皮膚薬用組成物は、皮膚バリアーを再構築してバリアー効果を得るのに用いることができ、この酵素はリパーゼまたはアミラーゼであるのが好ましい。
【0041】
有利なことに、この酵素またはそれを含む化粧用もしくは皮膚薬用組成物は、油性肌に局所適用することにより過剰な皮脂を除去し、皮膚が光る効果を消失させることができ、この酵素はリパーゼであるのが好ましい。
【0042】
有利なことに、この酵素またはそれを含む化粧用もしくは皮膚薬用組成物は、鱗屑の消失を可能とし、乾燥肌に局所適用することにより正常な状態への復帰を可能とし、この酵素はプロテアーゼまたはアミラーゼであるのが好ましい。
【0043】
有利なことに、この酵素および少なくとも一種の有効成分(不溶性形態のこの酵素以外)を含む化粧用もしくは皮膚薬用組成物は、この組成物中に含まれる少なくともこの有効成分の経皮浸透を増加させることができる。
【0044】
第3の態様として、本発明は上記のような酵素または化粧用組成物を局所適用することを含む化粧的ケア方法に関する。
【0045】
第4の態様として、本発明は上記のような酵素または皮膚薬用組成物を局所適用することを含む皮膚薬的ケア方法に関する。
【0046】
特に、本発明のすべての態様について、この局所適用は特に皮膚および/または頭皮、および/または毛髪への外部適用に関する。
【0047】
本発明の他の目的、特徴および利点は、単に説明のために示され本発明の範囲を何ら限定しない実施例を参照して詳細な説明を読む際に当業者には明白であろう。
【0048】
実施例は本発明の一部分を成し、実施例を含む説明全体から従来の技術水準に対して新規であると思われるいかなる特徴も、その機能および一般性において本発明の一部分を成す。
【0049】
従って、すべての実施例は包括的な範囲を有する。
【0050】
さらに、実施例において、特に指示しない限り%はすべて重量により、周囲温度は特に指示しない限り℃であり、圧力は特に指示しない限り気圧である。
【実施例】
【0051】
実施例1: 不溶性結晶化形態のプロテアーゼ
まず、サブチリシンを結晶化すると、不純物を除去することができ、ついでこの結晶形態をグルタルアルデヒドによりタンパク質を架橋することにより安定化する。使用した技法は「トレンズ・イン・バイオテクノロジー(TIBTECH)」,1996年,第14巻,第7(150)号,p.219−259のような種々の刊行物に記載されているものである。
【0052】
このようにして得られたタンパク質の結晶は水系媒質に完全に不溶性である。この方法により、酵素分子それ自体の間の相互作用が低減され、酵素の活性部位により認識される開裂部位の数が減少する。このようにしてプロテアーゼの自己溶解は低減され、従ってそれにより水系媒質中で非常に良好な酵素安定性を得ることができる。
【0053】
このようにして得られた結晶は、0.2〜50μmの大きさを持ち、そのため皮膚組織の深い層に浸透することができず、それにより従来、遊離酵素を使用したときに観察される不耐性の反応が制限または除去される。
【0054】
ゲルは、上記結晶をpH=5.8に予備緩衝(100mM酢酸ナトリウム緩衝液、CaCl 20mM)した0.5%キサンタンゲル中で10%の濃度になるように希釈することにより形成する。全体を10分間機械撹拌し、次いで2%の防腐剤を添加して生成物を細菌学的に安定化する。
【0055】
本発明の有効性をまず第一にDHAを用いた試験により評価し、一般に用いられているα−ヒドロキシ酸、グリコール酸と比較した。手短にいうと、この試験の原理は次の通りである。20人のボランティアの前腕の4つの領域をDHA5%を含む化粧品を用いて1日2回3日間処置した。DHAと皮膚のタンパク質との反応の結果強い着色が誘発される。種々の角質溶解配合剤を毎日適用の下、消失するこの着色を彩度測定法(chromametric method)(ミノルタ・クロマメーター(Minolta Chromameter))を用いて追跡し、比較することができる。
【0056】
上記ゲル2%を含む配合剤を使用すると、対照領域に対してメラニン指数を16%低下させることができる。この低下はプラセボ・クリームで処置した後に観察されたものよりも183%大きく、グリコール酸3%を含むクリームで処置した後に観察されたものよりも128%大きい。本発明のゲルを含む配合剤は、従って、落屑性を有することで周知である角質溶解活性物であるグリコール酸3%を含む配合に対して2倍有効である。
【0057】
このように上述の角質溶解効果から必然的に生じる抗しわ効果を、第2のシリーズの実験において評価した。実施例1で調製したゲル2%を含む配合剤を28日間20人のボランティアに適用した後、外観としわの発展を「ケノポジウム」油中のシリコーン型により検討したところ、プラセボ配合剤を施した対照領域に比べて大きく低下した(15日間処置後 −30%)。
【0058】
モルモットにおける皮膚感作能力の評価
上述のゲルを、OECDの第406号指令に従ったプロトコルであるマグヌッソン(Magnusson)およびクリーグマン(Kligmann)により記載された最大化試験にかけた。
【0059】
そのまま(100%)使用した場合、ゲルを皮膚との接触により非感作性である(低アレルゲン性、クラスI)と分類し、この試験の同じ酵素をそのままの形態(すなわち、非−不溶化形態)で使用した場合、「非常に感作性」であると分類する。
【0060】
実施例2:化粧用ゲルに導入後の不溶性結晶のプロテアーゼ活性の測定
2.1 in vivoで遭遇する状況をなるべく正確に再現するように、本発明者は高分子量の基質:カゼインを使用するプロテアーゼ活性測定法を用いる。
【0061】
実際には、50mMリン酸カリウム緩衝液、pH=7.5に希釈した濃度0.66%(w/v)のカゼイン溶液を、本発明の実施例1の不溶性架橋結晶の存在下、または市販のプロテアーゼの存在下に置き、これらを(実施例1に記載したような)ゲルに懸濁する(10mM酢酸ナトリウム緩衝液/5mM酢酸カルシウムに希釈、pH=7.5)。
【0062】
37℃で10分間インキュベートした後、酵素反応の際の反応媒質中の遊離アミノ酸を濾過により回収し、次いでフォリン試薬により測定する。この試薬はとりわけチロシン、トリプトファン、システインおよびヒスチジンが減少すると660nmにおいて吸収する。その場合、酵素活性は反応媒質の660nmにおける吸収に直接比例する(フォリン(Folin)他,「ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(The Journal of Biological Chemistry)」,米国,1929年,第73巻,p.627;アンソン(Anson)他,「ザ・ジャーナル・オブ・ジェネラル・フィジオロジー(The Journal of General Physiology)」,米国,1938年,第22巻,p.79−89)。結果を表1に示す。
【0063】
【表1】

【0064】
2.2 不溶性架橋結晶化サブチリシン(以下、「サブチリシン結晶」と呼ぶ)を含む実施例1のゲルと、市販のサブチリシン(バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)から抽出)を含むゲルを4℃、20℃、および45℃に置く。プロテアーゼ活性の測定は上述の技法により行う。
【0065】
得られた結果は、測定活性値対T=0における当初活性値の%で与えられるが、それらは以下の各表に示す通りである。
【0066】
【表2】

【0067】
従って、本発明は貯蔵温度にかかわらず、非常に高い酵素安定性を有する。
【0068】
実施例3:その他の架橋結晶化酵素
リパーゼとグルコシダーゼも精製し、次いで結晶化し、さらに化学的に架橋することができ、それにより不溶性粒子を得る。
【0069】
このように、発酵により調製したリパーゼまたはアミラーゼを結晶として不溶化し、次いで化粧用途に使用することが可能であった。
【0070】
得られた化粧効果を15人の一連のボランティアについて評価した。皮膚科医の作成した等級は、抗しわ結果、油性肌、および10%ラウリル硫酸ナトリウムで攻撃した後正常化された皮膚の格付けであった。格付けは下記の通りである。
効果なし(−)〜非常に有効(+++);nuh:アレルギーの問題のためにヒトには使用不可。
【0071】
【表3】

【0072】
実施例4:水相に不溶性の粒子上への酵素のグラフティング
セレブロシダーゼを次のようにして粒子に接合することができる。すなわち、コレティカ(COLETICA)社の米国特許第5,395,620号明細書、フランス国特許第2,683,159号(米国特許第6,303,150号)明細書、国際公開第WO94/04261号(米国特許第号5,691,060号)明細書、米国特許第5,912,016号明細書、フランス国特許第2,780,901号(米国特許第6,197,757号)明細書、フランス国特許第2,703,927号(米国特許第5,635,609号)明細書に記載されているような球をpH4〜8に保った水溶液中でカルボキシジイミド(球10gに対して1〜30g)と反応させて「反応性」カルボキシル基の形成を活性化した。次いで接合しようとする酵素をこの反応生成物と接触させ、1〜24時間、4〜60℃の温度でグラフティングを行った後、反応生成物を単なる濾過またはデカンテーションにより洗浄し、次いでその反応媒質から分離してから、マーケティングを容易にするためにゲルに懸濁した。
【0073】
同様に、発酵により調製したリパーゼ、プロテアーゼおよびアミラーゼを不溶性粒子の形態に不溶化し、次いで化粧用途に使用することができた。
【0074】
得られた化粧効果を15人の一連のボランティアについて評価した。皮膚科医の作成した等級は、抗しわ結果、油性肌、および10%ラウリル硫酸ナトリウムで攻撃した後、正常化された皮膚の格付けであった。格付けは下記の通りである。
効果なし(−)〜非常に有効(+++);nuh:アレルギーの問題のためにヒトには使用不可。
【0075】
【表4】

【0076】
実施例5:水相に不溶性の粒子上へのβ−D−グルコシダーゼの接合
実施例5a: スイートアーモンドから抽出したβ−D−グルコシダーゼ(Sigma)を下記の3段階を含むプロトコルにより不溶性粒子に接合した。
−コレティカ社の米国特許第5,395,620号明細書の記載に従って調製される不溶性粒子の調製のために使用するタンパク質のカルボキシル官能基を活性化する段階。この工程は、10mMヘペス(hepes)緩衝液、pH7.5に溶解した1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(Sigma)0.4gを栓子(plug)としてのマイクロスフェアー100gに添加することにより行った。この溶液を周囲温度で1時間撹拌し、次いで球を2,300rpmで3分間遠心して回収した。この栓子を10mMヘペス緩衝液、pH7.5で3回洗浄した。
−酵素と結合する段階、ここではβ−D−グルコシダーゼを0.1M炭酸塩緩衝液、pH8.5に0.04%の含有量で添加溶解する。
−この溶液を周囲温度で1時間撹拌する。
−洗浄段階、遊離酵素を除去する目的:溶液を2,300rpmで3分間遠心し、次いで上清を除去する。酵素を接合した球を0.1M酢酸塩緩衝液、pH6.2で3回洗浄する。
この洗浄した接合された球を0.1M酢酸塩緩衝媒質、pH6.2に含有量が20%となるように溶解した。
【0077】
接合による酵素の安定化の証明
実施例5aから得た生成物をβ−D−グルコシダーゼ活性について測定し、次いで20℃および45℃にして、これら2種類の温度において酵素活性の経時安定性を検討した。遊離酵素、すなわちスイートアーモンド由来のβ−D−グルコシダーゼを0.1M酢酸塩緩衝液、pH6.2に同じ濃度で溶解することにより構成されるサンプルを調製し、20℃および45℃で安定性を試験した。
【0078】
測定原理:
β−D−グルコシダーゼ活性の測定は、プローブである4−メチルウンベリフェリルβ−D−グルコピラノシド(Molecular Probes)を用いた蛍光測定技法により行った。これは、酵素により加水分解されると、オリゴ糖と、励起および発光波長がそれぞれ360/460nmの蛍光性を有する化合物である4−メチルウンベリフェロンとを放出することを可能にする。
【0079】
得られた結果はt=0において測定した活性に対する活性(%)で表されている。
【0080】
【表5】

【0081】
球への酵素の接合により、100%活性が20℃で1か月経過後に得られたので20℃における酵素活性の安定化が可能となり、また遊離酵素に対して観察されたものに対して45℃における活性損失の低速化が可能となった。
【0082】
配合剤中に導入後のサンプルの安定性:
使用したクリームの構成は次の通りである:
【表6】

【0083】
クリーム中に導入されたサンプルのβ−D−グルコシダーゼ活性の測定を、下記のプロトコルにより水相および油相を分離した後に得られた水相で直接行った。すなわち、クリームを0.1Mクエン酸緩衝液/0.2Mリン酸水素二ナトリウム、pH5に5倍希釈し、次いで10%NaClを添加し、混合物を5分間非常に強く撹拌し、次いで5,000rpmで25分間遠心分離した。活性の測定を得られた水相で直接行った。
【0084】
【表7】

【0085】
20℃において測定したこれらの配合剤の酵素活性は安定していたが、これは球に接合された酵素について20℃で1か月経過後に約90%の活性が保存されていたからである。
【0086】
実施例5b:
β−D−グルコシダーゼまたは任意の他の市販酵素を上述の実施例5aのプロトコルの不溶性粒子上に接合した。ただし、不溶性粒子としては下記のタイプのもの:すなわち、表面に酵素の化学官能基と共有結合を形成するのに使用可能な修飾可能な化学官能基をする、セルロースビーズ、ポリスチレンビーズ、アルキルシアノアクリレートビーズ、ナイロンビーズ、シリカビーズ、ポリアミドビーズ、ポリエステルビーズまたは任意のビーズを使用し、好ましくはこれらの化学官能基または上記化学官能基間の反応を可能にする二官能性剤を使用した。
【0087】
実施例6:水中油型エマルジョンの化粧用または皮膚薬用配合剤における本発明の製品の使用
【0088】
【表8】

【0089】
【表9】

【0090】
【表10】

【0091】
本発明の実施例7:油中水型配合剤における本発明の製品の使用
【0092】
【表11】

【0093】
本発明の実施例8:シャンプーまたはシャワージェル型の配合剤における本発明の製品の使用
【0094】
【表12】

【0095】
本発明の実施例9:リップスティック型その他の無水製品の配合剤における本発明の製品の使用
【0096】
【表13】

【0097】
本発明の実施例10:水性ジェルの配合剤における本発明の製品の使用(眼の周囲、減量者等)
【0098】
【表14】

【0099】
実施例11:本発明の不溶性酵素を含む標品の化粧的許容性の評価
実施例1により得られた化合物についてウサギにおける眼球評価、ラットにおける単独経口投与による異常な毒性の不在の検討、およびモルモットにおける感作能力の検討により毒性試験を行った。次いで、ヒトのボランティアに対する低アレルゲン性の検討を、実施例1に記載の化合物を0.45%カルボポールゲル、pH5.8に10%に希釈した標品を用いて行った。
【0100】
ウサギの皮膚における一次刺激の評価
「皮膚に対する急性刺激/腐食作用」の検討に関するOECD推奨の方法により、上記の標品を希釈せずに3匹のウサギの皮膚に0.5mlの用量で適用した。
【0101】
基本指令67/548/EECおよび後続の修正を適用してなされた20/04/99決定に定義されている基準により製品を分類した。
【0102】
このようにして試験した標品は、皮膚に対する刺激剤である製品には分類されなかった。
【0103】
ウサギにおける眼球刺激の評価
上記の標品を基本指令67/548/EECおよび後続の修正に推奨されている方法により3匹のウサギの眼に単独で0.1mlの量を1回点滴した。
【0104】
この試験の結果から、上記標品は、眼に対する刺激剤である製品には分類されないという結論を得ることができた。
【0105】
ラットにおける単独経口投与による異常毒性の不在試験
1987年2月24日付けOECD第401号指令により啓発され化粧品に適合された方法により、上記の標品を雄ラット5匹と雌ラット5匹とに5g/体重Kgの薬用量で1回経口投与した。
【0106】
LDおよびLD50は5,000mg/Kgよりも大きいことが見出された。試験した標品は従って摂取すると危険である標品には分類されなかった。
【0107】
モルモットにおける皮膚感作能力の評価
上記の標品をOECD第406号指令に一致するプロトコルであるマグヌッソン(Magnusson)およびクリーグマン(Kligmann)により記載された最大化試験にかけた。
【0108】
この標品は皮膚と接触すると非感作性であると分類された。
【0109】
ヒトのボランティアにおける低アレルゲン性試験
製品の低アレルゲン性を、実施例1に記載の製品をゲルに10%に希釈したものについて試験した。この試験は健常ボランティア100人のパネルに対して行った。
【0110】
製品を閉塞性パッチ下で24時間適用し、次いでパッチ下で2日間、全部で9回再適用した(誘導期)。2週間の期間経過後、製品を含む他のパッチをボランティアの皮膚に適用し、24時間接触したままにした。パッチを除去してから24、48および72時間後に刺激と皮膚感作の臨床的徴候を評価した(攻撃期)。
【0111】
これらの実験条件下で、この製品はアレルゲン性能力を欠いていることが示された。
【0112】
実施例12:本発明の製品の存在下での化粧用配合剤に含まれるアスコルビン酸の浸透の増加
この試験は配合剤6aにおいて本発明の製品(D)を
・配合A:実施例1に記載の本発明の製品2%およびアスコルビン酸2%
・配合B:アスコルビン酸2%単独
により置き換えたものについて行った。
【0113】
これら2種類の配合剤を拡散セルに載置したヒト生検材料上に置いた(50μg/cm)。生検材料を横断することができるアスコルビン酸の量を拡散セルのレシービング・コンパートメント内で定量し、かつHPLCにより定量した。24時間拡散した後、レシービング・コンパートメント内で見出すことができるアスコルビン酸の量は配合剤Aでは配合剤Bの4倍であった。したがって、本発明の製品は配合中に存在するアスコルビン酸の浸透を改善することができ、それ故、有効成分の浸透の促進剤である。
【0114】
実施例13:本発明の製品の存在下での化粧用配合剤に含まれるカフェインの浸透の増加
これらの試験は配合剤6aにおいて本発明の製品(D)を
・配合A:実施例1に記載の本発明の製品2%およびカフェイン3%
・配合B:カフェイン3%単独
により置き換えたものについて行った。
【0115】
これら2種類の配合剤を拡散セルに載置したヒト生検材料上に置いた(50μg/cm)。生検材料を横断することができるカフェインの量を拡散セルのレシービング・コンパートメント内で定量し、かつHPLCにより定量した。
【0116】
24時間拡散した後、レシービング・コンパートメント内で見出すことができるカフェインの量は配合剤Aでは配合Bよりも47%多かった。したがって、本発明の製品は配合中に存在するカフェインの浸透を改善することができ、それ故、有効成分の浸透の促進剤である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水系媒質に不溶性であり、少なくとも一種の酵素を、少なくとも一種の化粧的または皮膚薬的に許容し得る賦形剤と混合して含むことを特徴とする化粧用または皮膚薬用組成物。
【請求項2】
前記酵素は、リパーゼ、酸化還元酵素、カルボヒドラーゼ、およびプロテアーゼからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記酵素は、サブチリシン、トリプシン、キモトリプシンまたはサーモリシンのようなプロテアーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、α−アミラーゼもしくはβ−アミラーゼまたはグルコアミラーゼのようなアミラーゼ、β−D−グルコシダーゼ、セレブロシダーゼ、スーパーオキサイド・ジスムターゼ、ペルオキシダーゼおよびリポキシゲナーゼからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
前記酵素は、結晶化され、かつ架橋された酵素、または不溶性ポリマー上に接合された酵素、または粒子、好ましくはマイクロメーターもしくはナノメーター級の粒子であって、好ましくは球、カプセルまたはスポンジである粒子上に接合された酵素であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記不溶性ポリマーまたは粒子は、それらの表面上に前記酵素と共有結合を形成するのに使用できる少なくとも一種の修飾可能な化学官能基を有し、例えば前記粒子は一種のセルロース、一種のポリスチレン、一種のアルキルシアノアクリレート、一種のシリカ、一種のナイロン、一種のポリアミド(合成、または天然ポリアミド由来)、一種のポリエステル(合成、または天然ポリエステル由来)、またはそれらの混合物の一種を少なくとも含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記結晶化され、かつ架橋された酵素が0.2〜50μm、好ましくは1〜5μmの大きさを持つ結晶を形成することを特徴とする請求項4記載の組成物。
【請求項7】
前記賦形剤は、ブチレングリコール、水、ステアレス−2、ステアレス−21、グリコール−15・ステアリル・エーテル、セテアリルアルコール、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、ブチレングリコール、天然トコフェロール、グリセロール、ジヒドロキシセチルナトリウム、イソプロピル・ヒドロキシセチル・エーテル、グリコール・ステアレート、トリイソノナオイン、オクチル・ココエート、ポリアクリルアミド、イソパラフィン、ラウレス−7、カルボマー、プロピレングリコール、グリセロール、ビスアボロール、ジメチコン、水酸化ナトリウム、香料、PEG30−ジポリヒドロキシステアレート、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、セテアリル・オクタノエート、ジブチル・アジペート、ブドウ種子油、ホホバ油、硫酸マグネシウム、EDTA、シクロメチコン、キサンタンガム、クエン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、ミネラルワックスおよび鉱油、イソステアリル・イソステアレート、プロピレングリコール・ジペラルゴネート、プロピレングリコール・イソステアレート、PEG8−ミツロウ、水素化ヤシ心材油グリセリド、水素化ヤシ油グリセリド、ラノリン油、ゴマ油、セチル・ラクテート、ラノリンアルコール、ヒマシ油、二酸化チタン、着色剤、および顔料からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物は、水系または油系である溶液、水系クリームもしくはゲルまたは油系ゲル、特にポットまたはチューブ入りのもの、特にシャワージェル、シャンプー;乳液;エマルジョン、マイクロエマルジョンもしくはナノエマルジョン、特に水中油型もしくは油中水型もしくは複合もしくはシリコーン含有マイクロエマルジョンまたはナノエマルジョン;ローション、特にガラス瓶、プラスチック瓶もしくは計量瓶入りのもの、またはエーロゾルのもの;アンプル;液状石鹸;皮膚科用棒石鹸(dermatological bar);軟膏;フォーム;無水製品、好ましくは液状、ペースト状もしくは固形無水製品、例えばスティックの形態、特にリップスティックの形態のものからなる群から選ばれる形態に配合されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記酵素は、水相に不溶性の粒子またはポリマー上に共有結合により接合されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記酵素は、カルボジイミドのような二官能性剤で活性化することにより接合すべき酵素と反応するように調製されている球上に接合されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記結晶化され、かつ架橋された酵素は、グルタルアルデヒドで架橋されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物は、少なくとも一種の有効成分(不溶性の形態の酵素以外)をさらに含み、前記酵素の存在により少なくとも前記有効成分の経皮浸透が促進されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
好ましくは請求項1〜12のいずれか一項に記載の化粧用または皮膚薬用組成物を形成するように化粧的または皮膚薬的に許容し得る賦形剤と混合した水系媒質に不溶性である酵素の、化粧的または皮膚薬的ケアを行うための使用。
【請求項14】
前記酵素の局所使用の際の刺激および/またはアレルギー反応を制限するための請求項12に記載の水系媒質に不溶性である酵素の使用。
【請求項15】
特に皮膚および/または毛髪のケラチンのケラチン合成細胞の増殖作用を強化して、特に明色化(lightening)効果を得るための使用であって、好ましくは前記酵素は、プロテアーゼである請求項12または13に記載の水系媒質に不溶性である酵素の使用。
【請求項16】
抗しわ効果を奏するための請求項12〜14のいずれか一項に記載の水系媒質に不溶性である酵素の使用。
【請求項17】
皮膚バリアーの再構築を促進して、バリアー効果を得るための請求項12または13のいずれか一項に記載の水系媒質に不溶性である酵素の使用であって、好ましくは前記酵素は、リパーゼまたはアミラーゼである使用。
【請求項18】
油性肌に局所適用することにより過剰な皮脂を除去し、皮膚が光る効果を消失させるための請求項12または13のいずれか一項に記載の水系媒質に不溶性である酵素の使用であって、好ましくは前記酵素は、リパーゼである使用。
【請求項19】
乾燥肌の治療を促進するための請求項12または13のいずれか一項に記載の水系媒質に不溶性である酵素の使用であって、好ましくは前記酵素は、プロテアーゼまたはアミラーゼである使用。
【請求項20】
酵素を含み、少なくとも一種の有効成分(不溶性形態の前記酵素以外)を含む化粧用もしくは皮膚薬用組成物であって、前記組成物中に含まれる少なくとも前記有効成分の経皮浸透を増加させるための、請求項12または13のいずれか一項に記載の酵素を含む化粧用または皮膚薬用組成物の使用。
【請求項21】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の化粧用組成物を局所適用することを含むことを特徴とする化粧的ケア方法。
【請求項22】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の皮膚薬用組成物を局所適用することを含むことを特徴とする皮膚薬的ケア方法。

【公開番号】特開2007−70366(P2007−70366A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−328640(P2006−328640)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【分割の表示】特願2003−48356(P2003−48356)の分割
【原出願日】平成15年2月25日(2003.2.25)
【出願人】(500226948)エンゲルハード・リヨン (21)
【住所又は居所原語表記】32 rue Saint Jean−de−Dieu 69007 LYON, FRANCE
【Fターム(参考)】