説明

水系炭酸塩煙道ガス捕獲および高効率バイポーラー膜電気透析によりCO2を回収するためのシステムおよび方法

【課題】本発明の目的は、炭酸塩/重炭酸塩抽出およびCO濃縮に対するこれらの限界を打破するために、既存の概念に対して改良したCO回収システム及び方法を提供することである。
【解決手段】CO回収システムには、捕獲溶液を有する水系捕獲装置が含まれ、その水系捕獲装置は、ガスを受け取り、その少なくともCOを含むガスから成分を捕獲するように配列され、捕獲装置に運転可能に結合された電気透析ユニットが、少なくともCOを含む捕獲溶液に対して電気透析の運転を行うが、ここで、COリッチなプロセスストリームと再生された捕獲溶液が、その少なくともCOを含む捕獲溶液から発生する。そのCOリッチなプロセスストリームは、電気透析ユニットの中にある間は、COを実質的にCOリッチなプロセスストリームの中に保持するような圧力で加圧されたプロセスストリームである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、炭素の捕獲および再生を目的としており、特に、化石燃料供給発電施設、石炭ガス化プラント、またはその他の発生源から発生したCOの、溶媒ベースの捕獲および再生を目的としている。
【背景技術】
【0002】
溶媒ベースの捕獲技術は有望ではあるものの、欠点がない訳ではない。捕獲および再生のエネルギー効率は、発電所の煙道ガスの抽出、石炭ガス化プラントからの予燃焼ガス抽出、およびその他の発生源からのCOの抽出のために望まれるものに関しては、依然として低い。溶媒コストおよび系の成分の分解にも、問題があると認識されている。さらに、溶媒および溶媒の分解副生物が放出される可能性についても取り組む必要がある。
【0003】
COを捕獲するための無機的な水系方法もある種の利点を有していて、プロセス条件が許され、かつその生成物の価値がコスト上昇に十分見合うくらい高い場合には使用されている。無機的な水系方法の一つの具体的なタイプは、ベンフィールド(Benfield)高温水系KCO捕獲システムとして知られている。このプロセスは、有機溶媒の使用が望ましくなく、コストが大きな問題とならないような場合には適している。ベンフィールド(Benfield)システムは、天然ガスおよび石油精製産業において、COを除去するのには一般的に使用されている溶媒捕獲技術の一つである。
【0004】
ベンフィールド(Benfield)システムにより教示されているCOの水系捕獲法は迅速で効率的ではあるものの、再生の際に消費されるエネルギーが大きく、送入ガスストリームを加圧する必要があるために、煙道ガスでの捕獲には不向きである。したがって、それに代わる、より効率的な水系溶媒再生のシステムおよび方法が必要とされている。
【0005】
COの水系捕獲の分野における一つの具体的な技術革新は、バイポーラー膜電気透析法(BPMED)の採用であって、この方法は、酸/塩基回収および/またはその他の廃水ストリームのコンディショニングに使用されてきた。BPMEDは、酸および塩基水性ストリームを別途に発生させる外部場の存在下に、水をヒドロキシルイオンとヒドロニウムイオンとに自然に解離させるという利点を有している。BPMEDを煙道ガスからのCO回収において使用しようということは、ナガサワ(Nagasawa)らによって、非特許文献1に検討された(ここに引用することにより、そのすべてを本明細書に取り入れたこととする)。
【0006】
図1に示したのは、ナガサワ(Nagasawa)らによって提唱された、電気透析システムおよび方法を採用した、アルカリ性炭酸塩溶液からCOおよびアルカリ性溶液を回収するためのシステム100である。
【0007】
図1のシステムに従った電気透析CO回収プロセスを実施すると、ガス相中のCOと接触させたアルカリ性炭酸塩(M2CO)の水溶液中では、以下の反応が起きる。
CO + HO ←→ HCO (1)
CO ←→ H + HCO (2)
HCO ←→ H + CO2− (3)
【0008】
温度を上げるか、または系の中にプロトンを加える(すなわち、pHを下げる)かのいずれかによって、その平衡を左辺にシフトさせて、COの分圧を上げることができる。前者の機構は、炭酸塩溶液からのCOの熱回収プロセスに相当する。説明しようとしているプロセスは後者の機構に相当する。具体的には、次式のように水分子を解離させることによってプロトンを供給することができる。
O ←→ H + OH (4)
【0009】
COの回収が可能となるより前に、プロトンをヒドロキシルイオンから分離し、次いでフィード溶液に供給する必要がある。次いで、その溶液を電気的に中性に維持するために、そのフィード溶液中のアルカリ金属イオンを除去しなければならない。そうして除去されたヒドロキシルイオンとアルカリ金属イオンとがアルカリ性溶液を形成し、それはCOの吸収のために再使用することができる。
【0010】
上述のプロセスを達成するためには、図1のシステム100に見られるように、塩基セル102およびフィードセル104が、2枚のバイポーラー膜106、108と1枚のカチオン交換膜110とによって挟まれている。バイポーラー膜106、108の反対側の面は、それぞれカソード電極セル112およびアノード電極セル114と接触状態にあり、電極116,118が、相当する電解質溶液120,122の中に挿入されている。炭酸塩化アルカリ性溶液124をフィードセル104に通してフィードし、アルカリ性溶液124と同じカチオンを有する、電解質溶液126を塩基セル102に通してフィードする。放出COが128に見られる。
【0011】
カチオン交換膜は、もっぱらカチオンを輸送することが可能なタイプのイオン交換膜である。バイポーラー膜は、カチオン交換層とアニオン交換層の2層の積層構造を有している(個々には図示していない)。
【0012】
電源(図示せず)を介して水の電気透析スプリット電圧よりも大きな電位差を電極116,118に印加すると、バイポーラー膜108が水分子を、プロトン(H)とヒドロキシルイオン(OH)との対にスプリットさせる。電位差のために、そうして生成されたプロトンは、フィードセル104の中に輸送される。同時に、フィードセル104中のアルカリ金属イオン(M)が、カチオン交換膜110を通して、塩基セル102の中に輸送される。その結果として、フィード溶液のpHが低下し、次の機構に従ってその溶液からCOガスが発生する。
CO2− + H → HCO (3')
HCO + H → HCO (2')
CO → CO(↑) + HO (1')
【0013】
他方で、塩基セル102と接触状態にあるバイポーラー膜106が、ヒドロキシルイオン(OH)を塩基セルに供給し、そこでアルカリ性溶液が、フィードセル104から輸送されたアルカリ金属イオン(M)により再生される。再生されたアルカリ性溶液は、排ガスからCO捕獲するために再使用することができる。
【0014】
電気透析は潜在的に省エネルギープロセスであるが、その理由は、熱力学的に最小限のエネルギー消費で運転することが可能であるからである。しかしながら、そのプロセス効率は、電極セル中の電解プロセスによって顕著に低下するであろう。たとえば、その電力の幾分かは、透析セルの電極端子のところで、酸素および水素ガスを製造するために消費されるであろう。
【0015】
しかしながら、二つの電極の間のフィードセルと塩基セルとの対の数を増やすことによって、電解のならし(amortized)エネルギー消費量が低減し、プロセス効率が改良されるであろう。より詳しくは、電解(電極端子のところでのHおよびOの生成)によって消費される電力は、一定の電流であれば、二つの電極の間のフィードセルと塩基セルとの対の数には関係なく一定である。塩基セルとフィードセルの対の数が増えるにつれて、それぞれのセルあたりで電解によって消費されるエネルギーが低くなるであろう。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】H.ナガサワ(H.Nagasawa)、A.ヤマサキ(A.Yamasaki)、Y.ヤナギサワ(Y.Yanagisawa)、NETL−シックスス・アニュアル・カンファレンス・オン・カーボン・キャプチャー・アンド・セクエストレーション(NETL−Sixth Annual Conference on Carbon Capture & Sequestration)(2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、ナガサワ(Nagasawa)らによって記載されたシステムには欠点が存在する。COの回収においてBPMED技術を採用する際に障害となるのは、セル内にある間のCOの発生のような運転条件が原因のシステムの物理的な劣化、さらには設備費および運転費、たとえば系のpHが調節できないためのエネルギーコストなどの可能性であった。これらの欠点は基本的なものではない。
【0018】
そこで、本発明の目的は、炭酸塩/重炭酸塩抽出およびCO濃縮に対するこれらの限界を打破するために、既存の概念に対して改良したCO回収システム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
COを回収するためのシステムおよび方法には、捕獲溶液を有する水系捕獲装置が含まれる。その水系捕獲装置は、ガスを受け取り、その少なくともCOを含むガスから成分を捕獲するように配列される。捕獲装置に運転可能に結合された電気透析ユニットが、少なくともCOを含む捕獲溶液に対して電気透析の運転を行うが、ここで、COリッチなプロセスストリームと再生された捕獲溶液が、その少なくともCOを含む捕獲溶液から発生する。そのCOリッチなプロセスストリームは、電気透析ユニットの中にある間は、COを実質的にCOリッチなプロセスストリームの中に保持するような圧力で加圧されたプロセスストリームである。それに代わる別な方法では、捕獲ストリームの少なくともpHを調節する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】電気透析方法を用いて、アルカリ性恒久溶液からCOおよびアルカリ性溶液を回収するシステムを表す模式的ブロック図である。
【図2】本出願に従ったコンセプトを組み込んだプロセスフロー図である。
【図3】図2のシステムにおいて使用することが可能な、3層のバイポーラー膜電気透析スタックを示す図である。
【図4】図2のシステムのコンセプトに関連させて使用することが可能な、代わりの2層セル配置バイポーラー膜電気透析スタックを示す図である。
【図5】図3および4に示したような、セルを組み込んだバイポーラー膜スタックを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここで図2を参照すると、ここに示されているのは、本出願のコンセプトを組み込んだプロセスフロー図200であって、これはたとえば、図1に示したようなシステムの欠点を克服する。より詳しくは、図2は、閉ループの水系捕獲および高圧バイポーラー膜電気透析再生システムである。図2は、本出願のコンセプトを組み込んだシステムの一つの実施態様を示してはいるが、本明細書に開示されたコンセプトは、図2に図示されたものとは異なる成分およびフローを有するシステムにおいても、同様に適用可能であり、使用することができるということは理解されたい。さらに、このセクションでは本出願のコンセプトを導入するが、以下のセクションにおいては、それら導入されたコンセプトを拡張する。
【0022】
最初に、CO発生プラント204からの空気および/またはその他のガス202を、周囲条件下に、すなわち、入ってくる空気および/またはガスの条件とバランスのとれた条件下で、水系捕獲装置たとえばスプレー塔206に通過させる。当業者には周知のことであるが、環境汚染物たとえばSO、Hg、NOx、および固体粒子(アッシュ)を除去するための、任意のガス予備処理(図2には図示せず)を行ってもよい。
【0023】
スプレー塔206は、10〜50%のKCO/KHCO水溶液の向流フローからなっていて、捕獲溶液208は溜まり210に集められる。このポイントで、その捕獲溶液は、煙道ガス中および/または環境からの空気に含まれる、少なくともCOを含む成分を捕獲し、含んでいる。スプレー塔206から出てくる固形物212を分離して、捕獲溶液208から除去する。次いで、(煙道ガスおよび/または空気の残りの成分と共に)その捕獲溶液208を、たとえば二価カチオン交換のようなイオン交換施設214にポンプ輸送して、そこで二価カチオンを除去する。いくつかの実施態様においては、三価およびさらに高い次数の多価イオンもまた除去される。これは、透析膜材料に対して有害である可能性がある多価カチオンを除去するために実施される。次いで捕獲溶液208を、加圧ポンプ216によって2〜200atmに加圧し、バイポーラー膜電気透析ユニット218の中に導入する。この時点では、このシステムは、捕獲溶液におけるpHを調節して、その捕獲溶液を定められたpHとしてから、電気透析ユニットに入れる。
【0024】
電気透析ユニット218(このものは、いくつかの実施態様において、図3、4および5に相当する配列で構成されていてよい)の内部において、捕獲溶液208は、電気透析によって重炭酸塩が部分的に排除される。重炭酸塩は、約3.0〜4.0の間の一定pHに維持された、緩衝化されたCOリッチなプロセスストリーム220に移動される。この高圧のCOリッチなプロセスストリーム220を、P−レギュレーター222を経由して、ガス放出/分離タンク224に移動させて、そこで、COの付随放出(concominant release)を用いて、圧力を下げる。次いで、凝縮器226を使用して、放出されたCOから水蒸気を除去する。次いでそのCOを加圧して、約2000PSIとして、COを貯蔵および/または輸送可能とする。
【0025】
いくつかの実施態様においては、溶液を濃縮するのは望ましくなく、むしろ、単に液状の炭酸塩溶液を形成させ、それを貯蔵または封入のために出荷するのが有用である場合もある。さらに、実施態様においては、COリッチなプロセスストリームは、捕獲ストリーム中に溶解されているCOの濃度の少なくとも2倍のCO濃度を有していると理解されたい。
【0026】
そこでCOを脱ガスさせたプロセスストリーム228を、再加圧ポンプ230および熱交換器232を経由して電気透析ユニット218に戻し、その一方で、再生されたKCO/KHCO煙道ガス捕獲溶液234を、P−レギュレーター236を経由してスプレー塔206に戻す。COリッチなプロセスストリーム220および捕獲溶液208は、電気透析ユニット218の内部では分離を保たれている。
【0027】
本明細書で使用するとき、再生された捕獲溶液が、COを脱ガスさせた、部分的に脱ガスさせたおよび/または実質的に脱ガスさせたとの記載は、CO発生プラント204(または他の発生源)から発生した空気および/またはその他のガス202から除去されるCOの量が、十分に所望されるCOの除去量を達成しうるということを意味していると理解されたい。たとえば、一つの実施態様においては、空気および/またはその他のガス202からCOの10%以上が除去されれば、所望されるCOの除去量を得ることができる。
【0028】
ここで述べたことおよび後のセクションで拡張されるであろうが、本発明のシステムの特徴的な態様は、捕獲溶液に圧力を加えて、システム中のpH値を調節する作用を与えることである。
【0029】
pHの調節に注目すると、他の領域におけるバイポーラー膜電気透析(BPMED)システムの既存の実施方法では通常、pHを調節せずに運転されてきた。バイポーラー膜電気透析システムは極めて良好に酸および塩基を発生させるが、それらを制御しないと、そのようなシステムは極めて短時間の間に、酸側では1または0のpHに実質的に低下し、塩基側では極めて塩基性の強い状態に達する。したがって、非制御システムにおいては、極めて速やかに、たとえば14といったpH差が起こりうる。このことは、BPMEDをCO除去に適用しようとする場合には特に望ましくないが、その理由は、そのような高いpH差は、電気透析プロセスを実施するために使用しなければならないエネルギーを増大させるからである。
【0030】
この問題に対処するために、本発明のシステムおよび方法では、pH値をモニターし、調節する。このシステム200を遂行するためには、プロセスの各種の特性を検知するためのモニターが組み入れられている。たとえば、COモニター238は、スプレー塔206に入るCOの量を検知し、pHモニター240は、スプレー塔206から出てくる捕獲溶液208のpH値を検知する。モニター238および240からの読み取り値を使用して、システムがプロセスの運転を調整して、所望のpH値が確実に維持されるようにする。
【0031】
たとえば、スプレー塔206の中に受け入れるCOの量に依存して、捕獲溶液の流速を増減させることができる。プロセスストリームの流速の増減は、当業者には周知の各種の機構によって達成することができる。一つの実施態様においては、P−レギュレーター236をコントローラー242に連動させるが、これはモニター238、239および240の少なくとも一つからの信号も受けている。モニター238および240から受け取った情報に基づいて、コントローラー242がP−レギュレーター236の動作を調節して、再生された捕獲溶液234のスプレー塔206中への流れを増減させる。それらの信号は、各種公知の手段、たとえば配線回路接続および/または無線で伝送すればよい。たとえば、この図においては、コントローラー242がP−レギュレーター236に配線回路接続されていることを示しているが、それに対して、モニター238、239および240とコントローラー242との間の伝送は無線である。
【0032】
言うまでもないことであるが、上述の方法は、システム200の中でpH値がどのようにモニターされ調節されているかの一つの実施態様に過ぎず、他のモニターおよび調節方法もまた使用可能であるということは理解されたい。たとえば、また別な実施態様においては、スプレー塔から出てきた捕獲溶液のpHから、さらなる捕獲溶液を加える必要があると判断されたら、(たとえば炭酸カリウムの)補充ストリーム244を、捕獲溶液208のストリームに、それがスプレー塔を出た後、たとえば、捕獲溶液208がイオン交換施設214に入る前に加えてもよい。さらに別な実施態様においては、P−レギュレーター236からの再生ストリームを、スプレー塔206から適切なバルブ配置を使用して分流させて、点線246に示したようにして捕獲溶液208へ送ってもよい。この場合もまた、pHを所望のレベルに維持するためのいくつかの例を示しただけであって、ここに記載しなかった他の方法を採用することもまた可能である。
【0033】
ここで、COの捕獲についての議論を広く展開することとするが、純水系および加速(prompted)炭酸塩/重炭酸塩溶液におけるそのような捕獲については、ほぼ100年間にわたって検討が続けられてきた。非加速および加速捕獲反応の動力学およびエネルギー学は、十分に理解されているものであって、次の文献に詳しく説明されている。P.C.ツァン(P.C.Tseng)、W.S.ホウ(W.S.Ho)、D.W.サベージ(D.W.Savage)、AIChE・ジャーナル(AIChE Journal)、第34卷、第6号、(1988)922〜931(および、その中の引用文献)、Y.リー(Y.Lee)、R.D.ノーブル(R.D.Noble)、B.Y.ヨーム(B.Y.Yeomb)、Y.I.パク(Y.I.Park)、K.H.リー(K.H.Lee)、ジャーナル・オブ・メンブラン・サイエンス(Journal of Membrane Science)、194(2001)57〜67(ここに引用することにより、それぞれのすべてを本明細書に取り入れたこととする)。
【0034】
本出願に記載されえちるようなシステムに関連する、希薄溶液についての純水の系の動力学およびエネルギー学は、次の表1に示される。
【0035】
【表1】

【0036】
図2においては水系捕獲のためにスプレー塔を採用しているが、その他多くの他の水系捕獲装置および方法、非限定的に挙げれば、なかんずく充填塔、ベンチュリースクラバー、および中空繊維膜などを使用することも可能であるということも理解されたい。溶媒の損失を防止することが可能な密閉システムにおいては、促進剤の使用が用いられることが多いが、純水系炭酸塩捕獲は、炭酸塩溶媒の低CO担持が許されるような場合には特に適している。成分およびストリームの流速と寸法は、その施設のタイプと構成要素の詳細に依存するであろうが、炭酸塩を捕獲するための流速は、より大きなガス/液施設で適用可能な範囲にある。
【0037】
たとえば図2に示したようなシステムにおける溶媒(水)の損失は、最小限にとどまる。煙道ガスでの捕獲においては、煙道ガスストリームが高い露点を有しているために、蒸発損失は低く保たれる。BPMEDの再生は、Ca2+のような二価イオンに敏感であるので、スプレー塔の構成は、それらが溶解されることを制限するように管理するべきである。具体的には、塔の内側およびその他の流体接触部品に、適切なポリマーコーティングをする必要がある。
【0038】
先に述べたように、電気透析を用いての炭酸塩/重炭酸塩ストリームの再生は、実験室スケールでは実証されてきた。先に挙げたナガサワ(Nagasawa)らの文献に加えて、以下の文献を参照されたい。F.P.クランダ(F.P.Chlanda)、K.N.マニ(K.N.Mani)、「エレクトロダイアリティック・ウォーター・スプリッティング・プロセス・フォア・ガシアス・プロダクツ(Electrodialytic Water Splitting Process for Gaseous Products)」(米国特許第4592817号明細書、1986年6月)、F.P.クランダ(F.P.Chlanda)、K.N.マニ(K.N.Mani)、「プロセス・フォア・リカバリング・ソディウム・カーボネート・フロム・トロナ・アンド・アザー・ミクスチャーズ・オブ・ソディウム・カーボネート・アンド・ソディウム・バイカーボネート(Process for Recovering Sodium Carbonate from Trona and Other Mixtures of Sodium Carbonate and Sodium Bicarbonate)」(米国特許第4584077号明細書、1986年4月)、およびF.P.クランダ(F.P.Chlanda)、K.N.マニ(K.N.Mani)、「ソリューション・マイニング・オブ・ソディウム・ミネラルズ・ウィズ・アシッズ・ジェネレーテッド・バイ・エレクトロダイアリティック・ウォーター・スプリッティング(Solution Mining of Sodium Minerals with Acids Generated by Electrodialytic Water Splitting)」(米国特許第4636289号明細書、1987年1月)(ここに引用することにより、それぞれのすべてを本明細書に取り入れたこととする)。
【0039】
これら既存のプロセスの欠陥としては、捕獲溶液からのCOの放出が原因で膜スタックの内部で気泡が形成されるための、膜の劣化が挙げられる。膜スタックの内部でこのように気泡が発生すると、電流過密(current crowding)および局所加熱がもたらされる。それに加えて、溶液の電導度が低下し、プロセスストリームが十分に混合できなくなるために、内部抵抗が高くなり、過度に高い電位が必要となり、膜スタック内部における効率が低下する。
【0040】
市場で購入することが可能な膜スタックは、典型的には、約1メートル×1メートルの平方メートルシートであって、それらの膜が、約1mm、可能であればさらに接近させて使用される。気泡が発生すると、膜スタックの劣化と破壊の原因となるが、それは、気泡が、イオン電流を与えるイオン輸送を阻止する傾向があるからである。したがって、気泡が発生したために、所望の電流の流れが起きずに、イオン電流が気泡の周囲をまわって進むようになり、そのために膜上に局所加熱が起きて、結局はその膜を破壊してしまう。そのようなスタックにおいては、それらの気泡を迅速かつ効率的に除去することも不可能である。
【0041】
この状況を打破するために、本出願では、プロセスの実質的な部分を高圧で実施する。具体的には、COが水中に溶解し、圧力が高い程、より多く溶解する、ということは公知である。したがって、2atmを超えて、2〜200atmの範囲、好ましくは30atm以上で透析運転を実施させることによって、膜スタック中でのCOの気泡の発生を実質的に抑制し、COを実質的にCOリッチなプロセスストリームの中に保持することが可能となる、すなわち、スタック中でのCOガスの発生を最小限にする、あるいはまったく発生させない。この圧力は静水圧力であり、従って、電気透析反応が依然として起きる(すなわち、COが膜スタックに入ってきて酸性化されるであろう)が、COの濃度を、それ以下ではさもなければ気泡が発生するであろう閾値またはそれ以上に維持する限りにおいては溶液の形態に留まるであろう。このことは、ソーダ水を圧力下に維持すれば、ソーダ水の中での炭酸ガス飽和を維持できることに類似している。したがって、圧力は、膜のスタックの中では高いレベルに保ち、膜スタックから下流側だけでプロセスの圧力を下げる。すると、その捕獲溶液が泡立って、捕獲溶液ストリームからCOが発生する。
【0042】
図2のシステム200の説明において、加圧ポンプ216を使用することにより圧力を与えると記述した。このことは、所望のシステムに圧力を加えるための、ほんの一つの位置および方法でしかないことを認識すべきである。別な方法においては、水系捕獲装置そのものを加圧してもよいし、あるいは、加圧源を、加圧ポンプ216の位置とは異なった位置に設けてもよい。さらに、捕獲ストリームに対して圧力をかけると記載したが、本明細書におけるコンセプトは、溶液中にCOを保持することを目的としている。したがって、本発明のコンセプトはさらに、COリッチなプロセスストリームを、COを実質的にCOリッチなプロセスストリーム中に保持するような圧力で加圧されたプロセスストリームであると指摘することによって表すこともできる。この表現で強調されることは、システムにどのようにして圧力をかけるかとは関係なく、COをシステム内で溶液状態に維持させて、本明細書に記載されたメリットを達成するということである。
【0043】
具体的な実施においては、COを実質的にCOリッチなプロセスストリームの中に確実に留めるためにそのCOリッチなプロセスストリームにかける必要がある圧力の最小閾値は、計算された圧力値よりも5%高いものである。いくつかの実施態様においては、この圧力は、捕獲溶液に加えた圧力を介してそのCOリッチなプロセスストリームに加えられる。言うまでもないことであるが、システムが、そのシステム内の圧力をより細かく制御することが可能であるならば、その最小値は、計算値により近づけることも可能ではあろう。
【0044】
先に述べた本出願のまた別な態様は、システムのpHを調節することの必要性である。システムのpHを調節することによって、よりエネルギー効率の高い再生を実施することができる。pHの問題は、熱力学の問題に関連する。具体的には、バイポーラー膜が、水をスプリットさせて酸と塩基とを発生させる。電気透析スタックは、自然な水の解離を使って、ヒドロキシルアニオンをアノードの方向に移動させ、水和プロトンカチオンを、バイポーラー膜のカチオン交換部分を通過させて、カソードの方向に移動させる。
【0045】
このプロセスに伴うエネルギーは、バイポーラー膜の両側のpH差に直接関係する。たとえば、もしもカチオン側でpHが7であり、アニオン側でもやはりpHが7であるとすると、1個のプロトンを一方の側から他方へと(すなわち、膜の中央からカチオン側へ、あるいはヒドロキシルを他の側へと)移動させるための増分エネルギーは、無限小である。しかしながら、一方の側ではpHが0であり、もう一方ではpHが14であるような状況が存在したとすると、このプロセスを実行するために必要なエネルギーは、はるかに高くなる。
【0046】
一例として、その両側の間の差がpHで14であるとすると、0.06を掛けた(水をスプリットさせるのに必要とされるサイドあたり、pH単位あたりの電圧の差が0.05〜0.06であるため)、およそ1ボルトより少し低い電圧(すなわち、14×0.06=0.84v)が、このプロセスを実施するのに必要である。既存のシステムにおいてはpHが調節されていないために、通常は、膜スタックにおけるバイポーラー膜ごとに、最低でも約1ボルトよりやや低い電圧が必要とされている。このことから、それらの膜スタックは100枚以上のバイポーラー膜を有している可能性があるので、大量のエネルギーが必要となる。
【0047】
したがって、上の説明から、膜の両側のpHを、使用される濃度のために必要とされるpHとなるように制御するメリットが明らかとなる。
【0048】
酸側においては、pHの調節は、ガスが発生する圧力に依存する。したがって、COが溶液から出てくる点よりも少し上にpHを維持するのが望ましい(たとえば表2の値を参照されたい)。このようにすれば、そのシステムは、そのプロセスに必要とされる最小のエネルギーを使用することになる。表2から部分的に引き出した一例としては、一つのケースでは、その調節を行って、pH約3またはそれよりわずかに高く調節し、塩基側ではpHを約11として、pHの差を約8とする。必要とされる電圧が、pH差に正比例することは理解されるであろう。したがって、pHの差を14から7もしくは8とすることによって、必要とされる電圧を、1ボルトよりやや低いところから、約0.5ボルトまで下げ、所定の電流でプロセスを運転するために必要なエネルギー(電圧×電流)をほとんど半分にまで切り下げる。この場合もまた、これは1枚の膜だけの話であって、それぞれのスタックは100枚以上の膜を有している可能性がある。
【0049】
緩衝化された溶液としての溶液を採用することも有用であるが、その理由は、pHが局所的に、極めて低く、または極めて高く流れることが可能な電位的な状況が存在するからである。したがって、バルクの溶液が所望のpHであったとしても、その溶液が十分に混合されず、その緩衝性能が極めて低いとすると、高いまたは低い局所的なpH領域が存在する可能性があり、この局所的なpHの問題を克服するためには、前と同様にさらなるエネルギーを費やさなければならない。したがって、pHを所望のレベルに維持するためには、良好な緩衝性能を有していることが好都合である。このシステムの運転性を改良するためのまた別な態様は、溶液の流速を確保すること、あるいは、その流速の性質を最適化させて、高いあるいは低い局所的なpHを回避するための最大限の混合を得ることである。小さな緩衝分子が有利であると考えられるが、その理由は、それらは良好に撹拌することができ、膜の表面における境界層を最小とするからである。
【0050】
したがって、本出願は、ほどほどの電流密度で低い電圧を実現し、しかも膜スタック内におけるガスの放出を抑制するような、効率的な溶媒再生のための方法とシステムを記述する。
【0051】
高圧バイポーラー膜電気透析再生に対する注目を続けると、ここでは図3に注目を向けるが、これは、高圧で取り扱うように設計された、市販されている3層のバイポーラー膜電気透析隔膜セル配置300の模式的な表示であって、それは、図5に示したようなより大きな隔膜セルスタック500の中に組み込むことができる。そのような隔膜セル配置のスタックは、廃塩ストリームから酸および塩基を回収するために使用してもよい。物理的には、隔膜セルスタックにおいて形成される市販の膜と実質的に類似しているものの、化学的には、それらは異なっているが、その理由は、COを脱ガスさせた捕獲溶液中に緩衝液が存在していて、ここでその緩衝液は、系の中を移動する化学物質である。たとえば図5に示したようなスタックは、適切な被覆率を確保するために、電気透析プロセスに入る前に緩衝化される。
【0052】
図3の隔膜セルの配置300の構造は、図1で説明した膜に類似しているが、ただし、さらなる構造物を有していて、アニオン交換膜304、カチオン交換膜306、およびバイポーラー膜308からなっている。電源を表す、アノード310とカソード312に印加された電流は、スタック300を通過して移動し、スタック500において採用された場合には、透析隔膜セルの配置300の多くの繰り返し単位を通過して移動する。100以上の繰り返しを含む、複数の隔膜セルユニットを、単一の透析膜スタックの中で構築させることができる。このようにすることで、全電位の内のほんの1〜2%以下のものだけが、端子電極(すなわち、アノード310、カソード312)でHおよびOの形成のために消費される。生成するHおよびOの価値は、詳細なコスト解析には含まれる。塩ストリーム、MX(たとえば、KHCOまたはKCO)を、それぞれのアニオン交換膜304とカチオン交換膜306との間に導入し、そこでは、発生したセル電位がイオンを、それぞれの移動層を通して移動させる。ヒドロニウムおよびヒドロキシルイオンが、バイポーラー膜層の表面に供給され、酸性および塩基性生成物のストリーム、それぞれHXおよびMOHを作り出す。このプロセスは、広い範囲の用途において、高い電流効率と、理論限界値に近い単位セル電位とを有していることが示されている。C.ホワン(C.Huang)、T.シュウ(T.Xu)、Y.チャン(Y.Zhang)、Y.シュエ(Y.Xue)、G.チェン(G.Chen)、ジャーナル・オブ・メンブラン・サイエンス(Journal of Membrane Science)、288(1〜2),(2007)、p.1〜12参照(そのすべてを、本明細書に取り入れたこととする)。
【0053】
図4には、本出願の方法とシステムのための、図3の隔膜セルの配置300とは異なった、また別なセルの構成を有する隔膜セルの配置400を示す。隔膜セルの配置400の設計では、バイポーラー膜404の両側にアニオン交換膜406がある形になっている。複数の、たとえば一つの実施態様においては、100組以上のこの様式で設計された繰り返しの隔膜セルの配置を、たとえばスタック500のような、電源を表すアノード408およびカソード410を有する、単一の透析膜スタックの中に構築することが可能である。
【0054】
図3および4の配置において、図2に関連して記載したようなシステムにおいて使用する場合、カリウムの重炭酸塩/炭酸塩溶液を、スプレー塔から取り出し、CO気泡の発生を抑制するために加圧し、塩MXとして隔膜セル配置(300、400)の中に注入する。重炭酸塩/炭酸塩は、アニオン交換層(304、406)を通過して移動して出口プロセスストリームに移動し、それを緩衝化させてpHを3〜4とする。その緩衝化作用は、成分を濃縮すること、および十分な流速を維持することによって保たれる。重炭酸塩/炭酸塩CO捕獲溶液は、バイポーラー膜からのヒドロキシルイオン流束によって再生されるが、その一方で、流出されたCOリッチなプロセスストリーム(図におけるHXストリーム)がヒドロニウムイオン流束を吸収する。その捕獲溶液は、十分な重炭酸塩イオンを存在させる(pH:8〜10)ことによって、過度なpHの増大に対して緩衝化させる。そのCOリッチなプロセスストリームのpHは、場合によっては、酸性の緩衝液を用い、十分な流速を維持することによって制御し、過度に低いpHになるのを防ぐ(目標pH:約3〜4)。再生された捕獲ストリームをスプレー塔に戻し、その一方で、COプロセスストリームは、ガス放出および分離タンクへ送る。そのガス放出および分離タンクは、やや低い圧力(それでも、大気圧よりは高い)に維持して、COを発生させる。それをタンクから抜き出し、乾燥させ、輸送または貯蔵のために再度圧縮する。その脱ガスさせたプロセスストリームを戻し、ポンプ輸送して膜スタックに通して、サイクルを繰り返す。捕獲溶液を含むプロセスストリームおよびその他のプロセスストリームのpHを常時モニターすることによって、電気透析のために必要とされる電位を最小化させ、それによって、エネルギー効率を最大化させる。
【0055】
従来からの溶媒システムとは異なって、水系をベースとする炭酸塩吸収およびBPMED再生では、溶媒を再生させるためのプロセススチームを必要とせず、また、溶媒の損失の影響を受けにくい。この溶媒(水および重炭酸塩)は安価であり、運転条件下では極めて安定であり、かつ毒性が低い。周囲温度および圧力で炭素を捕獲することも実行可能ではあるが、熱い煙道ガスまたは(すでに利用可能であれば)加圧ガスストリームから得られる幾分高い温度の方が有利な可能性がある。たとえばHS、SOおよびNOxのような汚染物も、この炭素捕獲スプレー塔の中である程度までは加水分解させ、炭素捕獲流出ストリームに入れることになるであろう。これらのアニオン性の汚染物は、炭素捕獲塔の性能を低下させる可能性がり、その場合は、補充溶媒が必要となろう。再生コストは、適切な膜運転条件、および特定の装置特性に依存するプロセス調節を与えることによって管理する。
【0056】
必要とされる再生のための電力は、電気透析における、電流利用率とセル電位との関数である。BPMEDにおける電流利用率は80〜90%とすることができるが、運転条件に依存する。バイポーラー膜を通しての水スプリットを含む反応では、大きな固定電荷に対する理論的な膜電位は、濃度勾配に関連づけられる。このコンセプトは、たとえば、P.ラミレス(P.Ramirez)、S.マフェ(S.Mafe)、JA.マンザナレス(JA.Manzanaresu)、J.ペリサー(J.Pellicer),ジャーナル・オブ・エレクトロアナリティカル・ケミストリー(J.Electroanal.Chem.)、1996;404:187;および、A.アルカラス(A.Alcaraz)ら、ポリマー(Polymer)、41(2000)6627〜663(ここに引用することにより、それぞれのすべてを本明細書に取り入れたこととする)において論じられているが、ここで、そのようなコンセプトは次式で例示される。
【数1】

または、室温では、次式と等価である。
【数2】

[第一の式(5)においては、Rはガス定数であり、Tは熱力学的温度であり、Fはファラデー定数であり、第二の式(6)においては、ΔpHはバイポーラー膜の両側でのpH差である。]
【0057】
バイポーラー膜電気透析においては、典型的には、ヒドロニウムおよびヒドロキシルイオン濃度が、ほぼ単位活性(unit activity)である。このことが、14を超えるpH差、約1V以上のセル電位、および大量の電力消費につながる。しかしながら、上の数式に見られるように、溶液のpHが制御されれば、セル電位を下げることができる。
【0058】
【表2】

【0059】
重炭酸塩/炭酸塩ストリームを再生させるためにBPMEDを使用する場合には、そのシステムは、COの飽和条件に近いところで運転されるであろう。表2は、飽和CO溶液についての、pHと圧力との間の関係を示している。運転圧力を上げると、炭酸塩溶液のpHは3〜4の範囲となるであろう。炭酸塩/重炭酸塩CO捕獲ストリームのpHは、捕獲速度と、透析セルの中においてCO2−よりもHCOを有利とするための溶液の緩衝化に対する目標との間の妥協となるであろう。エネルギー効率を最適化させるシステムのような一つの状況下においては、その捕獲ストリームは約8〜9のpHとなるであろう。このケースにおいては、セルを約0.23〜0.35Vの電位で運転する。しかしながら、捕獲溶液を、より酸性側や、あるいはより塩基性側に調節することもまた可能であることは理解されたい。たとえば、捕獲ストリームを10〜12のpHに調節することもできる。この状況下では、捕獲速度がより高くなってスプレー塔を小さくすることが可能ではあるが、より大きな再生エネルギーが必要となるであろう。
【0060】
システムの容量は、スプレー塔吸収システムのサイズと、BPMEDセルスタックにおける有効膜面積とによって制限を受けるであろう。電解質溶液の導電性を適切に制御することによって、そのようなシステムにおいては、50〜100mA/cmの電流密度が使用できる。
【符号の説明】
【0061】
202 ガス、204 CO発生プラント、208 捕獲溶液、218 電気透析ユニット、220 プロセスストリーム、224 ガス放出/分離タンク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
COを回収するためのシステムであって、
捕獲溶液を含み、少なくともCOを含む前記ガスから成分を捕獲するために配置されている、水系捕獲装置、および
少なくともCOを含む前記捕獲溶液に対して電気透析の運転を実施するために、前記捕獲装置と運転可能に結合された電気透析ユニットであって、その中で、前記少なくともCOを含む捕獲溶液から、COリッチなプロセスストリームと再生された捕獲溶液とが生成し、前記再生された捕獲溶液が前記水系捕獲装置に送り返され、前記COリッチなプロセスストリームが、前記電気透析ユニットの中にある内に、前記COリッチなプロセスストリームの中に実質的にCOを保持できる圧力に加圧されたプロセスストリームである、電気透析ユニット、
を含むシステム。
【請求項2】
前記システムが、閉ループシステムである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記水系捕獲装置が、圧力水系捕獲装置であり、それが、バイポーラー膜電気透析ユニットである前記電気透析ユニットを運転するのに十分であるほど高い圧力で運転されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記電気透析ユニットと運転可能に接続され、前記COリッチなプロセスストリームを受け取るように構成された、ガス放出/分離タンクをさらに含み、前記COリッチなプロセスストリームが、少なくとも部分的に除圧され、COガスが除去され、前記COを脱ガスさせたプロセスストリームが前記電気透析ユニットに送り返される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
COを回収するための方法であって、
水系捕獲装置の中で、ガスを受け取る工程と、
前記水系捕獲装置の中で捕獲溶液によって少なくともCOを含む前記ガスの少なくとも一部を捕獲する工程と、
電気透析ユニットによって前記捕獲溶液に対して電気透析運転を実施する工程と、
を含み、
少なくともCOを含む前記捕獲溶液から、COリッチなプロセスストリームと再生された捕獲溶液とを発生させ、前記COリッチなプロセスストリームが、前記電気透析ユニットの中にある内に、前記COリッチなプロセスストリームの中に実質的にCOを保持できる圧力に加圧されたプロセスストリームである、
方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−64067(P2010−64067A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205619(P2009−205619)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(502096543)パロ・アルト・リサーチ・センター・インコーポレーテッド (393)
【氏名又は名称原語表記】Palo Alto Research Center Incorporated
【Fターム(参考)】