説明

水素生成用白金―アルカリ/アルカリ土類触媒配合物

水素富化合成ガス(syngas)などの水素富化ガスを製造するための方法および触媒ならびに燃料処理装置を開示する。該方法によれば、合成ガスなどのCO含有ガスは、水の存在下で好ましくは450℃を超えない温度で水性ガスシフト(「WGS」)触媒に接触し、水素富化合成ガスなどの水素富化ガスを生成する。また、
a)Pt、その酸化物、およびそれらの混合物
b)Li,Na,K,Rb,Cs,Mg,Ca,Sr、Ba、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種、および
c)Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb,Ta,Cr,Mo、W、Mn、Fe、Co、Ir、Ni、Pb、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種
を含む水性ガスシフト触媒を開示する。
WGS触媒は、アルミナ、ジルコニア、チタニア、セリア、マグネシア、ランタニア、ニオビア、イットリア、および酸化鉄のいずれか1構成物質または組合せなどの担体上に担持できる。このような水性ガスシフト触媒を含む燃料処理装置も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2002年12月20日出願のこれに先立つ米国特許仮出願第60/434,682号に基づく利益を主張するものであり、該仮出願を、あらゆる目的のためにそのすべてを参照により本明細書に組み込む。また、本出願は、発明者としてハーゲマイヤー(Hagemeyer)らの名前を挙げ、本出願と同一日に出願した「水素生成用の白金−アルカリ/アルカリ土類触媒配合物(Platinum−Alkali/Alkaline−Earth Catalyst Formulations for Hydrogen Generation)」と題した米国特許出願第____号(代理人整理番号第7080−006−01号)を参照により組み込む。
【0002】
本発明は、含水合成ガス(syngas)混合物などの一酸化炭素および水を含むガス混合物から水素富化ガスを生成させるための方法および触媒に関する。より詳細には、本発明は白金−アルカリ/アルカリ土類触媒配合物を含有する触媒を使用する方法を含む。触媒は、各種の触媒支持体上に担持してもよい。本発明の触媒は、水素生成および一酸化炭素の酸化に対して高い活性と選択性の両方を示す。
【背景技術】
【0003】
多くの化学工程およびエネルギー生成工程には、水素富化組成物(例えば供給流)が必要である。典型的には、水素富化供給流を他の反応物と組合わせ様々な工程を実施する。例えば窒素固定法では、水素と窒素を含む供給流を触媒の存在下で高温高圧で反応させることによって、アンモニアを製造する。他のプロセスでは、水素富化供給流はその工程に有害な成分を含むべきでない。ポリマー電解質膜(「PEM」)燃料電池などの燃料電池は、水素富化供給流からエネルギーを発生させる。PEM燃料電池は、一般に、450℃未満の供給流ガス入り口温度で稼動する。一酸化炭素を、典型的には白金含有触媒である電解触媒の被毒を防ぐことが可能な程度にまで、供給流から排除する。米国特許第6,299,995号を参照のこと。
【0004】
水素富化ガスを作るための1つの方法が、炭化水素の水蒸気改質である。炭化水素の水蒸気改質では、水蒸気を、メタン、イソ−オクタン、トルエンなどの炭化水素燃料と反応させて水素ガスと二酸化炭素を生じさせる。メタン(CH4)について下に示した反応は、強度に吸熱性であり、反応にはかなりの熱量が必要である。
【0005】
CH4+2H2O→4H2+CO2
石油化学工業において、天然ガスの炭化水素水蒸気改質は、900℃を超える温度で実施されるのが典型的である。触媒で支援された炭化水素水蒸気改質の場合でも、要求される温度は、やはり700℃を超えることが多い。例えば、米国特許第6,303,098号を参照のこと。ニッケルおよび金含有触媒ならびに450℃を超える温度を利用する、メタンなどの炭化水素の水蒸気改質が、米国特許第5,997,835号に記載されている。触媒を使用する方法は、カーボン形成を抑えながら水素富化ガスを形成する。
【0006】
効果的な炭化水素水蒸気改質触媒の一例が、Pt、11族金属、および8〜10族金属から構成されるシンフェルト(Sinfelt)組成物である。11族金属にはCu、AgおよびAuが含まれ、一方、8〜10族金属にはその他の貴金属が含まれる。これらの触媒配合物は、芳香族化合物の水素化、水素化分解、水添分解、脱アルキル化、およびナフサの改質過程を促進することで広く知られている。例えば、米国特許第3,567,625号および第3,953,368号を参照のこと。特に、PEM燃料電池など、より低温のWGS応用分野に適した条件での水性ガスシフト(「WGS」)反応に対する、シンフェルトモデルに基づく触媒の応用は、今まで報告されていない。
【0007】
また、炭化水素のスチーム改質で製造したガス混合物を、水素透過性水素選択膜を通過させて濾過することによっても、精製水素含有供給流が製造されている。例えば、米国特許第6,221,117号を参照のこと。このような方法には、システムの複雑性および遅い膜通過速度に由来する欠点がある。
【0008】
供給流などの水素富化ガスを製造するもう1つ方法は、実質上水分を含まない、水素と一酸化炭素を含むガス混合物から出発する。例えば、該混合ガスは炭化水素またはアルコールを改質した生成物でよく、そのガス混合物から一酸化炭素を選択的に除去する。一酸化炭素は、一酸化炭素の吸収および/またはその二酸化炭素への酸化によって除去できる。ルテニウムをベースにした触媒を使用して一酸化炭素を除去しかつ酸化するような方法が、米国特許第6,190,430号に開示されている。
【0009】
WGS反応は、水(蒸気)と一酸化炭素からだけで水素富化ガスを製造するもう1つの機構である。下記に示す、平衡過程である水性ガスシフト反応により、水と一酸化炭素が水素と二酸化炭素に変換され、逆もまた同様である。
【0010】
【化1】

【0011】
WGS反応を触媒するための各種触媒が開発されている。一般に、これらの触媒は、450℃を超える温度および/または1バールより高い圧力で使用されることが想定されている。例えば、米国特許第5,030,440号には、550℃〜650℃でのシフト反応を触媒作用をするためのパラジウムおよび白金を含有する触媒配合物が開示されている。鉄/銅をベースにした触媒配合物に関する米国特許第5,830,425号を参照のこと。
【0012】
水性ガスシフト反応の条件下での水と一酸化炭素の触媒的変換は、水素に富み一酸化炭素の乏しいガス混合物を製造するのに使用されている。しかし、既存のWGS触媒は、所定の温度で、その生成ガスを続いて水素供給流として使用できるような水素と一酸化炭素との熱力学的平衡濃度に到達あるいは接近するに十分な活性を示さない。特に、既存の触媒配合物は、低温、すなわち約450℃未満での活性が十分でない。米国特許第5,030,440号を参照のこと。
【0013】
白金(Pt)は、炭化水素の水蒸気改質および水性ガスシフト反応の双方に対する周知の触媒である。高温(850℃を超える)および高圧(10バールを超える)の代表的な炭化水素水蒸気改質条件の下では、高温と概して非選択的な触媒組成物のために、WGS反応が炭化水素水蒸気改質触媒上で後改質を起こすことがある。水性ガスシフト反応が後改質を起こすかもしれない各種の触媒組成物および反応条件については、例えば米国特許第6,254,807号、第5,368,835号、第5,134,109号および第5,030,440号を参照のこと。
【0014】
コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)およびニッケル(Ni)などの金属は、WGS触媒としても使用されているが、選択的WGS反応に対しては通常あまりにも活性が強く、典型的な反応条件下でCOからCH4へのメタン化反応を引き起こす。換言すれば、水素はこのような触媒の存在下で存在するCOと反応してメタンを産生するので、水性ガスシフト反応で生じた水素が消費される。このメタン化反応に対する活性により、Co、Ru、Pd、RhおよびNiなどの金属の水性ガスシフト触媒としての有用性が制約される。
【0015】
したがって、水素富化合成ガスを製造するための方法、ならびに水素生成および一酸化炭素の酸化の両方に対して適度な温度(例えば約450℃未満)で高い活性と高い選択性を有し、水素と一酸化炭素を含むガス混合物から水素富化合成ガスを提供する触媒に対する必要性が存在する。
発明の概要
本発明は、水素の生成および一酸化炭素の酸化のための高活性、高選択性触媒の必要性に答えるもので、それによって、少なくとも一酸化炭素と水を含むガス混合物から水素富化合成ガスなどの水素富化ガスを提供することに対応するものである。したがって、本発明は、水素富化ガスを製造するための方法および触媒を提供する。
【0016】
第1の一般的実施形態において、本発明は、合成ガス混合物などのCO含有ガスを水の存在下で約450℃を超えない温度で水性ガスシフト触媒と接触させることによって、水素富化ガス(例えば合成ガス)を製造するための方法である。第1の一般的実施形態において、水性ガスシフト触媒は、a)Pt、その酸化物、またはそれらの混合物、b)Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種、ならびに、c)Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ir、Ni、Pd、Rh、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種を含有する。第1の一般的実施形態のもう1つの方法において、水性ガスシフト触媒は、Pt、その酸化物、またはそれらの混合物;V、Zr、その酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種、ならびに、Ti、Mo、Co、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種を含有する。
【0017】
触媒は、担体、例えばアルミナ、ジルコニア、チタニア、セリア、マグネシア、ランタニア、ニオビア、ゼオライト、ペロブスカイト、シリカクレイ、イットリア、および酸化鉄、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の構成物質上に担持できる。本発明の方法は、約150℃〜約450℃の範囲の温度で実施できる。
【0018】
第2の一般的実施形態において、本発明は、水性ガスシフト触媒自体、担持および非担持触媒の両方−それ自体に関する。本発明の水性ガスシフト触媒は、a)Pt、その酸化物、またはそれらの混合物、b)Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種、ならびに、c)Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ir、Ni、Pd、Rh、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種を含有する。第2の一般的実施形態のもう1つの触媒において、水性ガスシフト触媒は、Pt、その酸化物、またはそれらの混合物;V、Zr、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種、ならびに、Ti、Mo、Co、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種を含有する。触媒は、アルミナ、ジルコニア、チタニア、セリア、マグネシア、ランタニア、ニオビア、イットリア、酸化鉄、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の構成物質を含む担体上に担持できる。
【0019】
第3の一般的実施形態として、本発明は、炭化水素または代替炭化水素供給流から水素ガス含有流を発生させるための装置内にある前記第2の一般的実施形態の水性ガスシフト触媒を対象とする。その装置は、WSG触媒に加えて、さらに燃料改質器、水性ガスシフト反応器および温度制御器を含む。
発明の詳細な説明
本発明は、水素富化合成ガスなどの水素富化ガスを製造する方法に関する。本方法によれば、合成ガスなどのCO含有ガスが水性ガスシフト触媒と、水、好ましくは化学量論的に過剰な水の存在下で、好ましくは約450℃未満の反応温度で接触し、水素富化合成ガスなどの水素富化ガスを生成する。反応圧力は、好ましくは10バールを超えない。また、本発明は、水性ガスシフト触媒それ自体、およびこのようなWGS触媒を含む水性ガスシフト反応器および燃料処理装置などの装置にも関する。
【0020】
本発明による水性ガスシフト触媒は、少なくとも1種のアルカリまたはアルカリ土類金属および少なくとも1つの第3の金属を含有する、白金をベースにした触媒を含む。アルカリまたはアルカリ土類金属が存在すると、低温度の反応条件における水性ガスシフト触媒の活性が増加する。本発明の水性ガスシフト触媒は、
a)Pt、その酸化物、またはそれらの混合物、
b)Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種、ならびに、
c)Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ir、Ni、Pd、Rh、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種を含有する。
【0021】
本発明のWGS触媒は、具体的かつ明白に排除された場合を除き、前に示したa)、b)及びc)の少なくとも3種の群から可能ないかなる交換および組合せで選択される少なくとも3種の金属またはメタロイドの組合せを含有する。金属またはメタロイドの好ましい組合せについて特定のサブグループ化も呈示するが、本発明はその特定的に挙げたサブグループ化に制約されない。
【0022】
上記の群a)、b)およびc)に列挙されていない金属をさらに組み込む、1つの特に好ましいサブグループにおいて、本発明による水性ガスシフト触媒は、Pt、その酸化物、またはそれらの混合物;V、Zr、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種;ならびに、Ti、Mo、Co、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種を含有する。このサブグループには、具体的かつ明白に除外する場合を除き、すぐ上に記載した3つの群から任意の可能な置換および組合せで選択される少なくとも3種の金属またはメタロイドの組合せが含まれる。
【0023】
触媒および触媒系の各種成分についての個々の機能に関する記述は、単に本発明の利点を説明するためにのみ本明細書で行われているものであり、本発明の技術的範囲、または開示された各種成分および/または組成物の想定される使用、機能、もしくは機構に関して限定するものではない。したがって、特許請求の範囲でこのような要件を明白に記述する場合を除いては、理論および現在の理解によって拘束されること無しに、成分および/または組成物の機能について記述される。一般にまたは理論的に拘束はされるものではないが、一般に、成分a)の金属、PtはWGS触媒としての活性を有する。アルカリおよびアルカリ土類金属は触媒の低温活性を増大させ、触媒に水を吸収して塩基性サイトを提供する。c)の金属は、それ自体WGS触媒としての活性を有するか有さなくても、Ptおよびアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属との組合せで本発明の触媒に対して有益な性質を付与するように機能する。
【0024】
本発明の触媒は、様々な温度でのWGS反応を触媒作用をし、水素富化合成ガスなどの水素富化ガスを発生させるのは勿論、メタン化反応などの望ましくない副反応を回避または減少させる。本発明のWGS触媒の組成およびそのWGS反応における使用について以下で述べる。
【0025】
1.定義
水性ガスシフト(「WGS」)反応:水と一酸化炭素から水素と二酸化炭素を生成させる反応、およびその逆反応、すなわち
【0026】
【化2】

【0027】
一般には、また、そうでないことを明示しない限り、本発明の各WGS触媒は、上に示した前向きの反応(すなわち、H2の生成)、あるいは上に示した逆向きの反応(すなわち、COの生成)の両方に関して有利に適用できる。したがって、本明細書に開示する各種の触媒を使用して、ガス流中のH2とCOの比率を明確に限定して制御できる。
【0028】
メタン化反応:一酸化炭素または二酸化炭素などの炭素源と水素から、メタンと水を生成する反応、すなわち
CO+3H2→CH4+H2
CO2+4H2→CH4+2H2
「シンガス」(合成ガスとも呼ばれる):水素(H2)および一酸化炭素(CO)を含むガス混合物、二酸化炭素(CO2)、水(H2O)、メタン(CH4)および窒素(N2)を含んでいてもよい。
【0029】
LTS:反応温度が約250℃未満、好ましくは約150℃〜約250℃の範囲である「低温シフト」反応条件を指す。
【0030】
MTS:反応温度が約250℃〜約350℃の範囲である「中温シフト」反応を指す。
【0031】
HTS:反応温度が約350℃を超え約450℃までである「高温シフト」反応を指す。
【0032】
炭化水素:水素、炭素、および場合によっては酸素を含む化合物。
【0033】
元素周期表は、現行のIUPAC規約に基づくものであり、したがって、例えば1族にはアルカリ金属であるLi、Na、K、Rb、およびCsが含まれる(2002年5月30日付けhttp://www.iupac.orgを参照のこと)。
【0034】
本明細書で考察するように、触媒組成物の命名では、1つの触媒が各成分群に列挙された触媒成分の1種または複数を含んでもよい場合に触媒成分群を区別するためにダッシュ(すなわち「−」)を使用し、触媒成分群の構成物質を囲うために括弧(すなわち「{}」)を使用し、触媒組成物中に触媒成分群中の2種以上の構成物質の存在が必要なら「{...の二つ...}」を使用し、さらなる元素を加えない選択が可能なことを示すために「{}」の内部で「ブランク」を使用し、担持される触媒成分をもしあればその支持体材料から区別するためにスラッシュ(すなわち「/」)を使用する。さらに、触媒組成物処方内の元素は、酸化物、塩または混合物を含めて任意の可能な酸化状態の全てを含む。
【0035】
本明細書中でこの略記法を使用すると、例えば、「Pt−{Rh,Ni}−{Na,K,Fe,Os}/ZrO2」は、ZrO2上に担持されたPt、ならびにRhおよびNiの1種または複数、ならびにNa、K、FeおよびOsの1種または複数を含有する触媒組成物を表し、すべての触媒元素は、別途に明示しない限り、任意の可能な酸化状態でよい。「Pt−Rh−Ni−{Na,K,Fe,Osの二つ}」は、Pt、RhおよびNi、ならびにNa、K、FeおよびOsの中の2種以上を含有する担持または非担持触媒組成物を表す。「Rh−{Cu,Ag,Au}−{Na,K,ブランク}/TiO2」は、Rh、ならびにCu、AgおよびAuの中の1種または複数、ならびに場合によってはNaまたはKの中の1種を含有するTiO2上に担持された触媒組成物を表す。
【0036】
2.WGS触媒
本発明の水性ガスシフト触媒は、
a)Pt、その酸化物、またはそれらの混合物、
b)Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種、ならびに、
c)Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ir、Ni、Pd、Rh、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、その酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種を含有する。
【0037】
本発明によるもう1つの水性ガスシフト触媒は、Pt、その酸化物、またはそれらの混合物;V、Zr、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種;ならびに、Ti、Mo、Co、それらの酸化物およびそれらの混合物の少なくとも1種を含有する。
【0038】
担持触媒に適した担体については後で説明する。
【0039】
触媒成分は、一般に、還元または酸化形態の混合物の状態で存在し、典型的には、混合物中である1つの形態が圧倒的に多い。本発明のWGS触媒は、その元素状形態の、または酸化物もしくは塩としての金属および/またはメタロイドを混合して、触媒前駆物質を形成することによって調製できる。一般には、この触媒前駆物質を、WGS触媒として使用するに先立って、in situ(反応器内)でもよい仮焼および/または還元処理にかける。理論に拘束はされないが、一般に、触媒として活性な種は、還元された元素状態または他の可能なより高い酸化状態にある種であると思われる。触媒前駆物質種は、使用前の処理によって触媒として活性な種に実質上完全に変換されると考えられる。それにもかかわらず、仮焼および/または還元後に存在する触媒成分種は、仮焼および/または還元条件の有効性に応じて、還元金属または可能な他のより高い酸化状態などの触媒的活性種と未仮焼または未還元種の混合物でもよい。
【0040】
A.触媒組成物
先に説明したように、本発明の1つの実施形態は、水性ガスシフト反応(またはその逆反応)を触媒するための触媒である。本発明によれば、WGS触媒は次の組成、すなわち
a)Pt、その酸化物、またはそれらの混合物、
b)Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種、ならびに、
c)Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ir、Ni、Pd、Rh、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種を有すればよい。
【0041】
成分b)がLi、Na、K、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種である水性ガスシフト触媒は、好ましい触媒群を代表する。もう1つの好ましい触媒群は、成分c)がFe、その酸化物、またはそれらの混合物である触媒群である。特に、好ましい触媒は、成分b)がLi、Na、K、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種であり、かつ、成分c)がFe、その酸化物、またはそれらの混合物である触媒である。前に述べた略記法を使用すれば、本発明の具体的な水性ガスシフト触媒には、それに限定しないが、
Pt−Li−{Fe,Co,Ce}
Pt−Na−{Zr,La,Y,Ce,Mo,Fe,Co,Mn}
Pt−Na−Zr−Co
Pt−K−{Ce,Fe,Co}/ZrO2、および
Pt−K−Ce−/ZrO2
が含まれる。
【0042】
触媒成分、a)、b)およびc)のそれぞれについては後で説明する。
【0043】
本発明によるもう1つの水性ガスシフト触媒は、Pt、その酸化物、またはそれらの混合物;V、Zr、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種;ならびに、Ti、Mo、Co、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種を含有する。
【0044】
本発明のWGS触媒中に存在する所定金属の量は、その触媒を機能させるべき水性ガスシフト反応の反応条件に応じて変化する。存在する各金属の量は、触媒成分に(もしあれば)支持体材料を加算した総重量に対する、触媒調製の最終段階を終えた後の触媒組成物中における最終状態(すなわち、得られた酸化状態(場合によっては複数の))での触媒成分の総重量によって決まる。一般に、8、9または10族の金属は、約0.01wt%〜約10wt%、好ましくは約0.01wt%〜約2wt%、より好ましくは約0.05wt%〜約0.5wt%の範囲の量で存在できる。ランタニド族元素および遷移金属は、典型的には、約0.01wt%〜約40wt%、好ましくは約0.1wt%〜約30wt%の範囲の量で存在できる。アルカリおよびアルカリ土類金属を含む主族元素およびメタロイド元素は、一般に約0.02wt%〜約30wt%、好ましくは約0.04wt%〜約20wt%の範囲の量で存在できる。支持体材料中の所定触媒成分の存在、および該成分のその他触媒成分との相互作用の程度および類型が、所望の性能効果を達成するのに必要な成分の量に影響を与える可能性がある。
【0045】
B.触媒成分a):Pt
本発明触媒の第1成分は、Pt、すなわち成分a)である。白金は、その還元された形態で、酸化物として、あるいはそれらの形態の組合せで存在できる。本発明の背景で説明したように、Ptは、それ自体でWGS反応を触媒することが広く知られている。
【0046】
C.触媒成分b):アルカリ/アルカリ土類金属
少なくとも1種のアルカリ(1族)金属および/またはアルカリ土類(2族)金属を含む本発明の触媒は、広範な温度範囲に渡って活性なWGS触媒であるだけではなく、LTS水性ガスシフト条件下において特に活性である。WGS反応中に水を吸着し活性化すると考えられる、アルカリおよび/またはアルカリ土類金属の塩基部位が触媒内に存在することによって、良好なWGS性能が生じる。特に好ましいアルカリおよびアルカリ土類金属には、Li、NaおよびKが含まれ、本発明のWGS触媒での使用に対してはNaおよびKが最も好ましい。一般に、LTS水性ガスシフト条件において、Na含有触媒は、K含有触媒よりも大きな活性を示す。HTS水性ガスシフト条件下において、アルカリおよび/またはアルカリ土類金属の存在は、触媒の活性を緩和するように、あるいはわずかに不活化するように作用し得る。したがって、LTSおよびMTS水性ガスシフト反応条件下では、本発明の触媒を使用することが好ましく、実際に有利である。
【0047】
D.触媒成分c):「機能性」金属またはメタロイド
本発明のWGS触媒は、少なくとも3種の金属またはメタロイドを含有する。上で考察した成分a)およびb)に加え、WGS触媒は、Ptならびにアルカリおよび/またはアルカリ土類金属と組み合わせて使用した場合に、本発明の触媒に対して有利な特性を付与するように機能する金属またはメタロイドを含有する。また、本発明の触媒は、さらに、Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ir、Ni、Pd、Rh、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、それらの酸化物、およびそれらの混合物、すなわち成分c)の少なくとも1種の構成物質を含有する。
【0048】
本発明の好ましい実施形態において、WGS触媒の成分c)はFeである。Feを含有する本発明によるWGS触媒は、MTS条件下で高い活性を有する。FeはCOに対する親和性を有し、その親和性が、触媒によるCO吸着および触媒の活性を高める。
E.触媒成分の機能分類
本発明の範囲を制約するものではないが、本発明による触媒組成物を構成するための枠組みに加えて、各種触媒成分の機能に関して考察する。触媒成分についての以下の分類は、本発明によりおよび関心のある反応条件に応じてWGS触媒組成物を処方するために、各種触媒成分の選択に関わる当業者を対象とする。
【0049】
さらに、本発明によれば、水性ガスシフト反応に組み込むことのできる触媒成分および金属にはいくつかの部類がある。それ故、ある所望する実施形態において成分として列挙される各種元素(例えば、成分(c)として)を、各種組合せおよび入れ替えに含めて、特定の応用に向けて大まかにまたは微細に調整される触媒組成物を完成できる(例えば、温度、圧力、空間速度、触媒前駆物質、触媒装填量、触媒表面の面積/形態、反応物流速、反応物比率などの特定の条件群を含めて)。場合によっては、所定成分の影響が、触媒の稼動温度で変化するかもしれない。これらの触媒成分は、触媒の性能特性に対するその成分の効果に応じて、例えば活性化剤あるいは活性緩和剤として機能できる。例えば、より強い活性を望む場合には、触媒中に活性化剤を組み込んでもよいし、あるいは、活性緩和剤を少なくとも1種の活性化剤で、または「活性梯子(activity ladder)」を1段階進めた少なくとも1種の活性緩和剤で置き換えてもよい。「活性梯子」は、活性化剤もしくは活性緩和剤などの二次的または追加される触媒成分を、元の触媒構成物の性能に対するそれぞれの影響の大きさを順位付ける。反対に、触媒のWGS選択性を増す(例えば、競合するメタン化反応の発生を減少させる)必要がある場合には、触媒から活性化剤を除去するか、あるいは代わりに、現行の活性緩和剤を「活性梯子」を1段階下げた少なくとも1種の活性緩和剤で置き換えればよい。さらに、これら触媒の作用は、触媒中に所定の成分を組み込むことによって得られる相対的効果に応じて「ハード(hard)」または「ソフト(soft)」として説明できる。触媒成分は、金属、メタロイド、または非金属でよい。
【0050】
例えば、活性化は一般にLTS条件下において考慮すべき重要なパラメータなので、典型的には、LTS条件下での使用に適した本発明によるWGS触媒は、活性化剤を採用し、活性を緩和するにしても最小限に限られるであろう。また、このようなLTS触媒は、好ましくは高表面積担体を採用して触媒活性を高めることができる。反対に、HTS条件で使用されるWGS触媒は、選択性とメタン化が考慮すべきパラメータなので、活性を緩和されている触媒が有利である。このようなHTS触媒は、例えば、低表面積担体を使用できる。したがって、特定の稼動環境に向けた本発明によるWGS触媒の選定においては稼動温度を考慮すればよい。
【0051】
例えばCoなど、本発明による触媒中で使用される活性化剤は、活性で選択性のあるWGS促進金属である。Pdは、適度に活性ではあるが、それほど選択的ではなくメタン化を促進もする金属の例である。また、Irは、他の対となる金属の存在に応じて、わずかに活性を緩和するか、あるいは活性化する作用を有することが観察されている。その他の活性化剤としては、それに限定しないが、Ti、Zr、V、Mo、La、Ce、PrおよびEuを挙げることができる。Ceは、WGS反応を活性化するための最も活性のある希土類金属であり得る。また、La、Pr、SmおよびEuは、特に低温で活性がある可能性がある。HTSの場合、PrおよびSmが、それほど活性を犠牲にしないで選択性を高める好ましいソフトな活性緩和剤である。LTSの場合、LaおよびEuが有用な活性化剤であり得る。一般に、Ce以外のすべてのランタニドは、類似の性能を示し、貴金属含有触媒系を活性化するよりもむしろ活性を緩和する傾向がある。Yは、HTS系に対する高い選択性のある活性緩和剤であるが、一方、LaおよびEuは、LTSに対して活性であり、Ceに類似する。Laは、Ceにドープすると極めてわずかに活性を緩和し、したがって、Ce含有触媒系の選択性を調節するのに使用できる。
【0052】
約450℃までの全体としては好ましい温度範囲内に含まれる、比較的広範な温度範囲に渡って(例えば、低くても約50℃、好ましくは低くても約75℃の温度範囲、最も好ましくは低くても約100℃の温度範囲)、わずかに活性を緩和し、高い選択性のある触媒成分には、Y、Mo、Fe、PrおよびSmが含まれ、これらの成分は約250℃の低温度で選択的ではあるがそれほど活性ではない傾向がある。レドックスドーパントであるMo、Fe、PrおよびSmは、一般に、予備還元温度が上昇するに従って活性を失うが、Feは、高いWGS反応温度においてそれだけで適度に活性になる。
【0053】
F.支持体
支持体または担体は、水性ガスシフト反応が進行することを可能にする、触媒と共に使用される任意の支持体または担体でよい。支持体または担体は、多孔性で吸着作用のある、約25〜約500m2/gの表面積を有する高表面積の支持体でよい。多孔性担体材料は、WGS工程で利用される条件に対して比較的不活性であってよく、(1)活性炭、コークス、または木炭、(2)シリカまたはシリカゲル、炭化ケイ素、クレイ、および合成的に調製されたおよび天然に産出するものを含むケイ酸塩、例えば白陶土、珪藻土、フーラー土、カオリンなど、(3)セラミックス、磁器、ボーキサイト、(4)アルミナ、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、マグネシアなどの耐火性無機酸化物、(5)天然に産出するまたは調製したモルデン沸石および/またはフォージャサイトなどの結晶性および非晶質アルミノケイ酸塩、および(6)これらの群の組合せなど、炭化水素の水蒸気改質法で従来から利用されている担体材料が挙げられる。
【0054】
本発明のWGS触媒が担持触媒である場合、使用する支持体は、触媒金属(またはメタロイド)の1種または複数を含有してもよい。支持体は、他の成分をその支持体と組み合わせることによって触媒を形成できるように、十分なまたは過剰な量の触媒用金属を含んでいてもよい。このような支持体の例には、触媒に対してセリウム、Ce(成分c))を付与することができるセリア、あるいは、鉄、Fe(成分c))を付与することができる酸化鉄が含まれる。このような支持体を使用する場合、その支持体中の触媒成分量は、一般に、触媒に対して必要とされる触媒成分量よりもはるかに過剰である。したがって、支持体は、触媒のための活性触媒成分および支持体材料の両方として機能する。あるいは、支持体が、所望する成分のすべてを支持体上で組み合わせてその触媒を形成できるように、WGS触媒を構成する金属の少量のみを有してもよい。
【0055】
Ptを唯一の活性貴金属として含有する触媒を用いた担体のスクリーニングにより、水性ガスシフト触媒も、アルミナ、ジルコニア、チタニア、セリア、マグネシア、ランタニア、ニオビア、ゼオライト、ペロブスカイト、シリカクレイ、イットリアおよび酸化鉄を含む担体上に担持できることが判った。ペロブスカイトは、本発明の触媒配合物に対する支持体として利用できる。
【0056】
ジルコニア、チタニアおよびセリアは、本発明に対する支持体であり、かつWGS反応に対して高い活性を提供できる。ジルコニアは単斜晶相であることが好ましい。高純度のセリアは、LTS条件において、添加物でドープしたセリアよりもPtを活性化することが見出された。ニオビア、イットリアおよび酸化鉄担体は、高い選択性を提供するが、やはり活性が弱く、これは表面積の不足によるものと考えられる。さらに、これらを担体として用いると、鉄、イットリウムおよびマグネシウム酸化物は、ジルコニアのような担体上の表面層として利用でき、高表面積と低活性緩和剤の濃度の両方を達成できる。大きな表面積(約100m2/g)を有するように処方されたマグネシア担体上のPtは、高い選択性を示すが、やはり反応温度を降下させると共に急速に減少する活性を示す。
【0057】
一般に、アルミナは、Ptのみを含有するWGS触媒に対して、活性ではあるが非選択的な担体であることが見出されている。しかし、γ−アルミナの選択性は、Y、Zr、Co、または、例えばLaおよびCeなどの希土類元素の1種でドープすることによって改善できる。このドーピングは、アルミナに対して、液状または固体状で酸化物または硝酸塩などのその他の塩を添加することによって達成できる。選択性を増すためのその他のドーパントには、例えば、Re、Mo、Feなどのレドックスドーパント、および塩基性ドーパントが含まれる。広範な温度範囲に渡って高い活性と選択性の両方を示す、イットリアと組み合わせた、あるいはZrおよび/またはCoの両方と組み合わせたγ−アルミナが好ましい。
【0058】
γ−、δ−、またはθ−アルミナなど、大きな表面積のアルミナは、好ましいアルミナ担体である。混合シリカアルミナ、ゾル−ゲルアルミナ、ならびにゾル−ゲルもしくは共沈アルミナ−ジルコニア担体など、その他の担体も使用できる。アルミナは、一般に、ジルコニアなどの担体よりも大きな表面積と大きな細孔容積を有し、他のより高価な担体と比較して価格上の利点を提供する。
【0059】
担体に担持された本発明のWGS触媒の例としては、前に述べた略記法を使用すると、
Pt−Na−{Zr,La,Y,Ce,Mo,Fe,Co,Mn}/Al23
Pt−Na−Zr−Co/Al23
Pt−Na−{Fe,Co,Ce}/ZrO2
Pt−K−{Fe,Co,Ce}/ZrO2、および
Pt−Li−{Fe,Co、Ce}/ZrO2
が挙げられる。
【0060】
アルミナ担持触媒の場合にはγ−アルミナ(γ−Al23)が好ましい。
【0061】
G.WGS触媒の作製方法
既に述べたように、本発明によるWGS触媒は、元素状のまたは酸化物もしくは塩としての金属および/またはメタロイドを混合して触媒前駆物質を形成することによって調製すればよく、触媒前駆物質は、一般に、仮焼および/または還元処理に付される。理論に拘束されるものではないが、触媒として活性な種は、一般に、還元された元素状態または他の可能なより高い酸化状態にある種であると思われる。
【0062】
本発明のWGS触媒は、任意のよく知られた触媒調製法によって調製できる。例えば、米国特許第6,299,995号および6,293,979号を参照されたい。噴霧乾燥、沈殿、含浸、インシピエントウェットネス(incipient wetness)法、イオン交換、流動床コーティング、物理もしくは化学蒸着は、本発明のWGS触媒を作製するのに利用できるいくつかの方法のほんの一例である。好ましい手法には、例えば、インシピエントウェットネス(incipient wetness)含浸が含まれる。触媒は、ペレット、顆粒、床、またはモノリスなど、任意の適当な形状でよい。また、触媒調製方法および触媒前駆物質に関するさらなる詳細について、弁理士整理番号第708001101PCTのもとにハーゲマイヤー(Hagemeyer)らが「水素生成用触媒の調製方法(Methods For The Preparation Of Catalysts For Hydrogen Generation)」の名称で本発明と同一日に出願した、同時係属PCT国際特許出願第____号を参照されたい。上記出願のすべての開示および本明細書で引用されるその他すべての参照文献を、あらゆる目的についてそのすべてで本明細書に組み込む。
【0063】
本発明によるWGS触媒は、固体支持体または担体材料上で調製できる。好ましくは、支持体または担体は、上述のおよび当技術分野で周知のいくつかの可能な異なる技術のいずれかによって触媒前駆物質が添加される大表面積材料であるか、あるいは、そのような大面積材料でコーティングされる。本発明の触媒は、ペレットの形態で、または支持体、好ましくはモノリス、例えばハニカム状モノリス上で使用される。
【0064】
1つの好ましい触媒調製方法には、触媒成分を仮焼温度の逓減する順序で基体上に沈着させるように、連続して触媒上に触媒成分を沈着または含浸させることが含まれ、各沈着段階の後毎に仮焼し、典型的には最後にPtを含浸、仮焼する。この調製手順の1つの例外は、Ptと、Naなどのアルカリの両方を含有する触媒に関するものであり、このような場合には、最終近くでPtを含浸、仮焼し、次いで、アルカリ金属を添加し、約300℃未満、好ましくは約200℃、あるいは、より好ましくは意図した触媒機能のための反応温度付近の仮焼温度で仮焼する。仮焼したPt含有触媒配合物を例えばH2下で予備還元することが、触媒性能に対して有益であることもある。300℃を超す高温は、Na含有配合物の性能に対して有害である傾向がある。この手順は、LTSおよび/またはMTSの稼動条件で機能するように処方された触媒に対して特に有利であると思われる。
【0065】
触媒前駆物質溶液は、簡便な調製を可能にするに十分な高い濃度の、容易に分解可能な形態の触媒成分から構成されることが好ましい。容易に分解可能な前駆物質の形態の例には、硝酸塩、アミン、およびシュウ酸塩が含まれる。一般には、塩素を含有する前駆物質を避け、触媒の塩素被毒を防ぐ。溶液は、水溶液または非水溶液であってよい。典型的な非水溶液としては、極性溶媒、非プロトン性溶媒、アルコール、およびクラウンエーテルを含み、例えばテトラヒドロフラン、およびエタノールを挙げることができる。前駆物質溶液の濃度は、一般に、例えば支持体のポロシティ、含浸段階の回数、前駆物質溶液のpH、等々のパラメータに配慮して、調製技法の溶解度限界までであればよい。触媒成分前駆物質の適切な濃度は、触媒調製に関わる当業者が容易に決定できる。
【0066】
Li − 酢酸塩、水酸化物、硝酸塩およびギ酸塩は、いずれもリチウムのための触媒前駆物質になり得る。
【0067】
Na − ナトリウムの酢酸塩、メトキシド、プロポキシド、およびエトキシドを含むアルコキシド、炭酸水素塩、炭酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、水酸化物、硝酸塩、亜硝酸塩およびシュウ酸塩を使用して本発明のWGS触媒を調製できる。
【0068】
Mg − 水溶性マグネシウム前駆物質としては、硝酸塩、酢酸塩、乳酸塩およびギ酸塩が挙げられる。
【0069】
K − カリウムの硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、水酸化物およびギ酸塩が可能なカリウム触媒前駆物質である。KOAc塩は、仮焼温度まで加熱すると、かなりのカリウム損失を伴う揮発性がある。
【0070】
Ca − 硝酸塩、酢酸塩および水酸化物塩、極めて水溶性の望ましい塩を使用して、本発明の触媒を調製できる。
【0071】
Sc − 硝酸塩、Sc(NO33が、スカンジウムのための前駆物質となり得る。
【0072】
Ti − 本発明で利用できるチタン前駆物質としては、Aldrichから入手できるシュウ酸チタニルアンモニウム、(NH42TiO(C242、およびAldrichから入手可能なビス(アンモニウムラクタト)チタン(IV)二水酸化物、[CH3CH(O−)CO2NH42Ti(OH)2の50wt%水溶液が挙げられる。その他のチタン含有前駆物質には、Ti(IV)プロポキシド、Ti(OCH2CH2CH34(Aldrich)などのTi(IV)アルコキシドを1Mシュウ酸水に60℃で溶解し、2時間攪拌することによって0.72Mの澄明無色溶液を生成させることによって調製されるシュウ酸Ti、および、Ti(IV)オキシドアセチルアセトナートすなわちTiO(acac)2(Aldrich)を1.5Mシュウ酸水に60℃で2時間攪拌しながら溶解し、続いて室温まで1夜冷却して1Mの澄明黄褐色溶液を生成させることによって調製されるシュウ酸TiO(acac)が含まれ、また、TiO(acac)2を、室温で希酢酸(50:50 HOAc:H2O)に溶解してTiO−acacの1M澄明黄色溶液を生成させてもよい。好ましくは、触媒前駆物質材料として、アナタース型の二酸化チタンを使用する。
【0073】
V − バナジウム前駆物質であるシュウ酸バナジウム(IV)は、V25(Aldrich)から調製することができ、V25をホットプレート上、1.5Mシュウ酸水中で1時間、シュウ酸によるV(V)からV(IV)への還元によって暗青色に変わるまでスラリーとする。メタバナジン(V)酸アンモニウム(NH4)VO3(Cerac、Alfa)は、これを水、好ましくは約80℃の温水に溶解することによって前駆物質として使用できる。例えば、クエン酸、マレイン酸、マロン酸、および酒石酸など、各種のポリカルボン酸性有機酸バナジウムを調製し、触媒前駆物質として使用できる。クエン酸バナジウムは、V25をクエン酸と約80℃で加熱、反応させることによって調製できる。シュウ酸バナジウム(V)アンモニウムは、(NH4)VO3と室温のNH4OH水とを反応させ、90℃まで温度を高め、攪拌してすべての固体を溶解し、室温まで冷却し、そしてシュウ酸を添加することによって調製でき、これによって約2日間安定である澄明橙色溶液が生じる。クエン酸バナジウム(V)アンモニウムおよび乳酸バナジウム(V)アンモニウムは、いずれも、それぞれクエン酸水または乳酸水中でNH4VO3を室温で振とうすることによって調製される。クエン酸バナジウム(V)二アンモニウムは、例えば、クエン酸二アンモニウム塩(Alfa)に0.25MのNH4VO3を室温で溶解させることによって調製できる。ギ酸バナジウム(V)アンモニウムを調製する典型的な方法は、水にNH4VO3を95℃で溶解し、98%ギ酸およびNH4OHと反応させて所望のギ酸バナジウム(V)アンモニウムを生成させるものである。
【0074】
Cr − 硝酸塩および酢酸塩水酸化物が、クロム用の触媒前駆物質となり得る。
【0075】
Mn − 硝酸マンガン、酢酸マンガン(Aldrich)およびギ酸マンガン(Alfa)は、すべてマンガン用の触媒前駆物質となり得る。
【0076】
Fe − 硝酸鉄(III)Fe(NO33、シュウ酸鉄(III)アンモニウム(NH43Fe(C243、シュウ酸鉄(III)すなわちFe(C243、および酢酸鉄(II)Fe(OAc)2は、すべて水に可溶であるが、シュウ酸鉄(III)は、100℃でも熱分解を受ける。シュウ酸鉄(III)カリウム、ギ酸鉄(III)およびクエン酸鉄(III)は、鉄のさらなる前駆物質である。
【0077】
Co − コバルトの硝酸塩および酢酸塩の両方とも、水溶性前駆物質溶液である。ギ酸コバルト(II)Co(OOCH)2は、冷水には約5g/100mlの低い溶解度を有し、一方、シュウ酸コバルト(II)はNH4OH水に可溶である。その他の可能な前駆物質は、水溶性のヘキサニトロコバルト(III)酸ナトリウムNa3Co(NO26であり、その水溶液のゆっくりした分解を少量の酢酸を添加して減速する。硝酸ヘキサアミンコバルト(III)も温水(65℃)およびNMe4OHに可溶である。Co(OH)2をクエン酸水に80℃で1〜2時間溶解させて調製されるクエン酸コバルトは、もう1つの適したコバルト前駆物質である。
【0078】
Ni − 硝酸ニッケルNi(NO32、およびギ酸ニッケルは、両方ともニッケルの前駆物質となり得る。ギ酸ニッケルは、Ni(HCO22を、水に溶解しそしてギ酸を添加して、あるいは希薄ギ酸に溶解して、澄明で緑色を帯びた溶液を生成させることによって調製できる。酢酸ニッケルNi(OAc)2もニッケルの前駆物質である。
【0079】
Cu − Cuの前駆物質には、硝酸塩Cu(NO32、酢酸塩Cu(OAc)2およびギ酸塩Cu(OOCH)2が含まれ、これらは示した順序でだんだん水溶性が低下する。シュウ酸塩Cu(C242およびCu(NH34(OH)2を可溶化するために水酸化アンモニウムを使用する。Cu(NH34(OH)2は5NのNH4OH水に可溶である。クエン酸銅および炭酸アミン銅は、Cu(OH)2から調製できる。
【0080】
Zn − 亜鉛の、硝酸塩、酢酸塩、ギ酸塩は、すべて水溶性で触媒前駆物質となり得る。水酸化亜鉛と炭酸アンモニウムとを室温で1週間反応させて調製される炭酸亜鉛アンモニウム(NH42Zn(OH)2CO3は、亜鉛のもう1つの前駆物質となり得る。
【0081】
Ge − シュウ酸ゲルマニウムは、非晶質酸化Ge(IV)、グリコール可溶GeO2(Aldrich)から、室温で1Mのシュウ酸水と反応させることによって調製できる。H2GeO3は、GeO2を水に80℃で溶解し、3滴のNH4OH(25%)を添加して澄明で無色のH2GeO3溶液を生成させることによって調製できる。(NMe42GeO3は、0.25MのGeO2を0.1MのNMe4OHに溶解することによって調製できる。(NH42GeO3は、0.25MのGeO2を0.25MのNH4OHに溶解することによって調製できる。
【0082】
Rb − 硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩および水酸化物塩を触媒前駆物質として使用して、本発明のWGS触媒を調製できる。水溶性塩が好ましい。
【0083】
Sr − 酢酸塩は冷水に可溶であり澄明無色溶液を生成する。
【0084】
Y − イットリウムの、硝酸塩および酢酸塩は、両方とも触媒前駆物質になり得る。
【0085】
Zr − Aldrichから商業的に入手できる、ジルコニウムの、硝酸塩および酢酸塩、ならびにMEI社から入手できる炭酸Zrアンモニウム、およびジルコニアは、支持体または触媒配合物それ自体の両方で、ジルコニウムに対する前駆物質となり得る。
【0086】
Nb − ニオブ(V)エトキシドをシュウ酸水に60℃で12時間溶解することによって調製されるシュウ酸ニオブは、触媒前駆物質となり得る。シュウ酸塩への別な調製経路では、ニオブ酸または酸化ニオブ(Nb25)を65℃でシュウ酸に溶解する。シュウ酸Nbアンモニウムも、ニオブのための触媒前駆物質になり得る、酸化ニオブ(0.10MのNb)をNMe4OH(0.25M)に溶解し、65℃で1夜攪拌すると(NMe42NbO6が生じる。
【0087】
Mo − モリブデン含有前駆物質溶液は、室温の水に溶解したモリブデン酸アンモニウム(NH42MoO4(Aldrich)から得られ、シュウ酸Moは、MoO3(Aldrich)を1.5Mシュウ酸水に60℃で1夜溶解して調製され、シュウ酸Moアンモニウムは、1Mシュウ酸水に室温で溶解した(NH46Mo724・4H2O(Strem)から調製される。また、(NH46Mo724・4H2O(Strem)を室温で水に溶解してパラモリブデン酸アンモニウム四水和物の安定な溶液を生成させる。モリブデン酸H2MoO4(Alfa Aesar、またはAldrich)をそれぞれ室温の水に溶解して1MのMo含有溶液を生成できる。
【0088】
Ru − 硝酸ニトロシルRuすなわちRu(NO)(NO33(Aldrich)、カリウムルテニウム酸化物K2RuO4・H2O、過ルテニウム酸カリウムKRuO4、酢酸ニトロシルルテニウムRu(NO)(OAc)3、および過ルテニウム酸テトラブチルアンモニウムNBu4RuO4は、すべてルテニウム金属触媒の前駆物質になり得る。NMe4Ru(NO)(OH)4溶液は、Ru(NO)(OH)3(0.1M)(H.C.Starck)を80℃でNMe4OH(0.12M)に溶解し、触媒前駆物質溶液として有用な澄明暗赤褐色をした0.1MのRu溶液を生成させることによって調製できる。
【0089】
Rh − 適したロジウム触媒前駆物質は、硝酸Rh(AldrichまたはStrem)である。
【0090】
Pd − Pdを含有する触媒組成物は、Aldrich社から典型的には希HNO3で安定化された10%溶液として入手できる硝酸Pd、または希NH4OHで安定化された5wt%Pd工業用溶液として入手できるPd(NH32(NO22などの前駆物質を利用して調製できる。Pd(NH34(NO32およびPd(NH34(OH)2も商業的に入手できる。
【0091】
Ag − 硝酸銀、亜硝酸銀、亜硝酸ジアンミン銀、および酢酸銀は、銀触媒の前駆物質になり得る。
【0092】
Cd − 硝酸カドミウムは水溶性であり、適した触媒前駆物質である。
【0093】
In − ギ酸インジウムおよび硝酸インジウムは、インジウムのための好ましい前駆物質である。
【0094】
Sn − 酢酸塩をシュウ酸と反応させて作られるシュウ酸錫を、触媒前駆物質として使用できる。Sn濃度が約0.25Mである、NMe4OH中の乳酸錫SnC446、および、Sn濃度が約0.25Mである、やはりNMe4OHに溶解した酢酸錫を触媒前駆物質として使用できる。
【0095】
Sb − 酢酸塩をシュウ酸およびアンモニアと反応させて作られるシュウ酸アンチモンアンモニウムは、アンチモン前駆物質として適する。Pfaltz & Bauerから入手できるシュウ酸アンチモンSb2(C243は水溶性の前駆物質である。カリウムアンチモン酸化物KSbO3、および酢酸アンチモン(II)を1Mのクエン酸中、室温で攪拌することによって調製されるクエン酸アンチモンは、両方とも触媒前駆物質になり得る。
【0096】
Te − テルル酸Te(OH)6はテルルの前駆物質として使用できる。
【0097】
Cs − 硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、および水酸化物を含むCs塩は、水に可溶であり触媒前駆物質になり得る。
【0098】
Ba − 酢酸バリウムおよび硝酸バリウムは、両方ともバリウム触媒成分のための前駆物質として適する。
【0099】
La − ランタンの前駆物質には、硝酸塩La(NO33、酢酸塩La(OAc)3、および過塩素酸塩La(ClO43が含まれ、そのすべてを水溶液として調製できる。
【0100】
Ce − Ce(III)およびCe(IV)溶液は、それぞれ硝酸Ce(III)六水和物Ce(NO33・6H2O(Aldrich)および硝酸セリウム(IV)アンモニウム(NH42Ce(NO36(Aldrich)から、室温の水に溶解することによって調製できる。5容量%の硝酸をCe(III)塩に添加して、溶解度と安定性を高めることができる。Ce(OAc)3(Alfa)またはCe(NO34(Alfa)も触媒前駆物質として利用できる。
【0101】
Pr、Nd、SmおよびEu − 硝酸塩Ln(NO33、または酢酸塩Ln(O2CCH33は、これらランタニドのための触媒前駆物質になり得る。
【0102】
Hf − 塩化ハフニウムおよび硝酸ハフニウムは、両方とも前駆物質になり得る。Hf(acac)4を希HNO3中に低加熱で溶解して硝酸ハフニウムを調製すると、硝酸ハフニウムの澄明で安定な溶液ができる。
【0103】
Ta − H.C.Starckから入手できる、あるいはTa(OEt)5をシュウ酸水に60℃で12時間溶解して調製されるシュウ酸タンタル溶液Ta2O(C244は、触媒前駆物質になり得る。
【0104】
W − メタタングステン酸アンモニウム水和物(NH461239は、水溶性であり、タングステン触媒の前駆物質になり得る。H2WO4をそれぞれNH4OHおよびNMe4OHと反応させて、いずれも前駆物質になり得る(NH42WO4および(NMe42WO4を調製する。
【0105】
Re − H22中の酸化レニウム、過レニウム酸(HReO4)、NaReO4およびNH4ReO4は、レニウムの前駆物質として適する。
【0106】
Ir − ヘキサクロロイリジウム酸H2IrCl6、ヘキサシアノイリジウム酸カリウムおよびヘキサニトロイリジウム酸カリウムは、すべてイリジウムのための触媒前駆物質になり得る。
【0107】
Pt − 白金含有触媒組成物は、Pt(NH34(NO32(Aldrich、Alfa、Heraeus、またはStrem)、Pt(NH32(NO22のHNO3溶液、Pt(NH34(OH)2(Alfa)、K2Pt(NO24、Pt(NO32、PtCl4およびH2PtCl6(塩化白金酸)など、いくつかの前駆物質溶液のいずれか1種を用いて調製できる。Pt(NH34(HCO32、Pt(NH34(HPO4)、(NMe42Pt(OH)6、H2Pt(OH)6、K2Pt(OH)6、Na2Pt(OH)6およびK2Pt(CN)6も、K2Pt(C242などのシュウ酸Pt塩のほかに選択できる。シュウ酸Pt塩は、Pt(NH34(OH)2から、それを1Mのシュウ酸溶液と反応させて所望のシュウ酸Pt塩の澄明無色溶液を生成させて調製できる。
【0108】
Au − 希HCl中の約5%金酸、HAuCl4は金の前駆物質となり得る。0.1M濃度の硝酸金は、HAu(NO34(Alfa)を濃硝酸に溶解し、続いて室温で1週間、暗所で攪拌し、次いで水で1:1に希釈して、黄色溶液を生成させることによって調製できる。さらに希釈すると、Auの沈殿が生じることに注意すべきである。Au(OH)3(Alfa)から出発することにより、より濃縮された、例えば0.25Mの硝酸金を調製できる。NaAu(OH)4、KAu(OH)4、およびNMe4Au(OH)4は、それぞれ、例えば0.25M強からの塩基濃度範囲の塩基、NaOH、KOH、またはNMe4OHに溶解したAu(OH)3からそれぞれ調製できる。
【0109】
3.水素富化合成ガスなど、水素富化ガスの製造
本発明はまた、水素富化合成ガスなどの水素富化ガスを製造する方法に関する。本発明のさらなる実施形態は、COが減少した合成ガスなどのCO減少ガスを製造する方法を対象とする。
【0110】
合成ガスなどのCO含有ガスは、水の存在下で本発明の方法による水性ガスシフト触媒と接触する。反応は、好ましくは、450℃未満の温度で起こり、水素富化合成ガスなどの水素富化ガスを生成する。
【0111】
本発明の方法は、広範な範囲の反応条件に渡って利用できる。好ましくは、本方法は、約75バールを超えない圧力、望ましくは約50バールを超えない圧力で実施され、水素富化ガスを生成する。約25バールを超えない、または、さらに約15バールを超えない、または約10バールを超えない圧力で反応を起こさせることがよりさらに好ましい。大気圧またはその付近で反応を起こさせることが特に好ましい。本発明による触媒処方に応じて、本発明方法は、約250℃未満から約450℃までの範囲の反応物ガス温度で実施できる。反応は、前に説明した通りのLTS、MTSおよび/またはHTSの1つまたは複数の温度サブ領域から選択される温度で起こることが望ましい。空間速度は、約1hr-1から約1,000,000hr-1の範囲でよい。供給物比、温度、圧力および所望する生成物比は、特定の触媒処方に対する望ましい最適空間速度を決定するために当業者が通常考慮する要因である。
【0112】
4.燃料処理装置
本発明は、さらに、炭化水素または代替炭化水素燃料から水素富化ガスを生成させるための燃料処理システムに関する。このような燃料処理システムには、例えば、燃料改質器、水性ガスシフト反応器および温度制御器が含まれる。
【0113】
燃料改質器は、炭化水素または代替炭化水素燃料を含む燃料反応物流を、一酸化炭素および水を含む改質された生成物流に変換する。燃料改質器は、一般に、反応物流を受け入れるための入り口、反応物流を生成物流に変換するための反応室、および生成物流を排出するための出口を有することができる。
【0114】
また、燃料処理装置の系統には、約450℃未満の温度で水性ガスシフト反応を実施するための水性ガスシフト反応器が含まれる。この水性ガスシフト反応器には、燃料改質器の生成物流から一酸化炭素および水を含有する水性ガスシフト供給流を受け入れるための入り口、本明細書に記載された水性ガスシフト触媒をその中に配置した反応室、および生じる水素富化ガスを排出するための出口を含めることができる。水性ガスシフト触媒は、水性ガスシフト供給流から水素および二酸化炭素を生成させるのに有効であることが望ましい。
【0115】
温度制御器は、水性ガスシフト反応器の反応室温度を450℃未満の温度に維持するように構成できる。
【0116】
5.工業的応用
合成ガスは、例えば、メタノール合成、アンモニア合成、オレフィンからのオキソアルデヒド合成(典型的には、対応するオキソアルコールを形成するための後に続く水素化と組み合わせて)、水素化およびカルボニル化を含むいくつかの工業的応用での反応供給物として使用される。それぞれこれらの各種工業的応用では、その合成ガス反応物流中にある比率のH2とCOを含むことが好ましい。メタノール合成の場合、H2:COの比率は、好ましくは約2:1である。オレフィンからのオキソアルデヒドのオキソ合成の場合、H2:COの比率は、好ましくは約1:1である。アンモニア合成の場合、H2とN2(例えば、空気から供給される)の比率は、好ましくは約3:1である。水素化の場合、より大きなH2:COの比率を有する合成ガス供給流が好ましい(例えば、H2富化された、および望ましくは実質的に純H2供給流である供給流)。カルボニル化反応は、より小さなH2:CO比率を有する供給流を使用して実施するのが好ましい(例えば、CO富化された、および望ましくは実質的に純CO供給流である供給流)。
【0117】
本発明のWGS触媒、およびそのようなWGS触媒を利用する本明細書に開示する方法を工業的に応用して、メタノール合成、アンモニア合成、オキソアルデヒド合成、水素化反応およびカルボニル化反応などの合成反応のための供給流におけるH2:CO相対比率を調節または制御できる。例えば、ある実施形態で、改質器中での改質反応によって(例えば、メタノールまたはナフサなどの炭化水素の水蒸気改質によって)、炭化水素から、COおよびH2を含む合成ガス生成物流を製造することができる。次いで、その合成ガス生成物流を、WGS反応中、WGS反応器の温度を約450℃弱の温度(あるいは、本発明触媒との関連で本明細書中で説明した、より低い温度もしくは温度範囲)に維持するように構成された温度制御器を有するWGS反応器への供給流として供給できる(直接、または間接的にさらなる下流処理のあとで)。WGS反応器中で使用されるWGS触媒(群)は、好ましくは、本発明の触媒および/または方法の1種または複数から選択される。WGS反応器からの生成物流(すなわち「シフト化生成物流」)中のH2:CO比率を、工業上重要な各種反応に関して前に説明した比率を含む、関心のある下流の反応(例えば、メタノール合成)に望ましい比率に制御するのに有効な反応条件の下に、WGS反応器への供給流を、WGS触媒(群)と接触させる。例によって制約するものではないが、メタンの水蒸気改質からの合成ガス生成物流は、一般に、約6:1のH2:CO比率を有する。本発明のWGS触媒(群)をWGS反応(前に示した前向きの)で使用して、下流の水素化反応のためにCOに対するH2の量を例えば約10:1を超えるまでにさらに高めることができる。別な例を挙げれば、このような合成ガス生成物流中のH2:CO比率を、WGS反応(前に示した逆向きの)に本発明のWGS触媒(群)を使用することによって低下させ、メタノール合成に望ましい2:1の比率を達成またはその比率に接近することができる。本発明の教示から考えて、当業者ならその他の例も周知であろう。
【0118】
6.LiおよびFeを含有する触媒配合物の調製方法
本発明は、さらに、Pt、LiおよびFe、それらの酸化物、またはそれらの混合物を含有する水性ガスシフト触媒を製造する方法を提供する。調製方法には、表面、好ましくは触媒支持体上にLiおよびFeを沈着させる段階、約600℃〜約900℃の仮焼温度で仮焼する段階、次いでLiおよびFeを含有する触媒上にPtを沈着させる段階が含まれる。仮焼温度は、約650℃〜約800℃がより好ましく、最も好ましくは700℃の温度である。本発明のさらなる実施形態には、LiおよびFeを仮焼した後の触媒上にNaを沈着させる段階が含まれる。Naの沈着は、Ptの沈着と同時でもよい。
【0119】
当業者であれば、前段落に記載した好ましい触媒の実施形態のそれぞれに関して、各実施形態の個々の成分が、その元素の状態で、または1種もしくは複数の酸化物の状態で、またはそれらの混合物の状態で存在できることを理解し、認識するであろう。
【0120】
前記の説明は、本発明の好ましい実施形態を対象としているが、本発明の精神または範囲から逸脱しないで行うことのできるその他の変形形態および修正形態も当業者にとって明らかであることに留意されたい。
【実施例】
【0121】
概説
少量の触媒組成物試料を、一般に、自動液体分注ロボット(Cavro Scientific Instrument)を用いて平らな石英の試験ウェハ上に調製する。
【0122】
担持触媒は、一般に、触媒支持体(例えばアルミナ、シリカ、チタニアなど)を、基板上の個別の領域または位置に液体処理ロボットを使用して典型的にはスラリー組成物としてウェハ基板上に供給すること、または当業者に周知の技術を用いて基板表面を洗浄コーティング(wash−coating)すること、および乾燥して基板上に乾燥した固体支持体材料を形成することによって調製される。次いで、支持体を含む基板の個別領域を、触媒または触媒前駆物質として機能するように意図した、金属(例えば、遷移金属塩の各種組合せ)を含む特定の組成物で含浸する。状況によって、組成物を、異なる金属を含有する成分の混合物としてその領域に送達し、また状況によって、異なる金属を含有する前駆物質を使用して(追加的または交互的に)繰返しまたは反復的な含浸段階を実施する。組成物を乾燥して担持触媒前駆物質を形成する。触媒前駆物質に仮焼および/または還元処理を施してウェハ基板上の個別領域に活性な担持触媒材料を形成する。
【0123】
バルク触媒(例えば、貴金属を含まないNi含有触媒)も基板上に調製できる。このような多成分バルク触媒は、商業的供給元から購入され、かつ/または、沈殿もしくは共沈殿法によって調製され、次いで、場合によっては、機械的前処理(粉砕、篩い分け、圧縮)を含む処理を施される。バルク触媒は、典型的にはスラリー分注および乾燥により基板上に配置され、次いで、場合によっては、さらに、当業者にとって通常周知である含浸および/またはインシピエントウェットネス(incipient wetness)技術により追加の金属含有成分でドープされ、バルク触媒前駆物質が形成される。このバルク触媒前駆物質に仮焼および/または還元の処理を施し、ウェハ基板上の個別領域に活性なバルク触媒材料を形成する。
【0124】
基板上の触媒材料(例えば、担持またはバルク)のWGS反応に対する活性および選択性を、走査/吸入プローブを具備した走査型質量分析計(「SMS」)を使用して試験する。走査型質量分析装置およびスクリーニング手順についてのさらなる詳細は、米国特許第6,248,540号、欧州特許第1019947号中、およびWangらによる欧州特許出願EP1186892およびそれに対応する2000年8月31日出願の米国特許出願第09/652,489号に示されており、そのそれぞれすべての開示をそのまま本明細書に組み込む。一般に、走査型質量分析計触媒スクリーニング反応器に関する反応条件(例えば、接触時間および/または空間速度、温度、圧力など)は、スクリーニングされる各種触媒材料の触媒活性を判断してランクを付けるために、走査型質量分析計中での転化が部分的(すなわち、例えば転化率が約10%〜約40%の範囲の非平衡転化)であるように制御される。さらに、反応条件および触媒装填量を、結果が、WGS反応のためのより大きな規模の実験室的研究用反応器の反応条件および触媒装填量と相似するように設定する。走査型質量分析計を使用して判断した結果とWGS反応のための実験室的研究用反応器を使用した結果との比較可能性を実証するために、限られた組での基準点実験を実施する。例えば、ハーゲマイヤー(Hagemeyer)らによる2002年12月20日出願の「水素生成用白金−ルテニウム含有(Platinum−Ruthenium Containing Catalyst Formulations for Hydrogen Generation)」と題する米国予備特許出願第60/434,708号の実施例12を参照されたい。
【0125】
調製および試験法
本発明の触媒および組成は、前に概略的に説明し、さらなる詳細を以下で説明するライブラリーフォーマット(library format)中で触媒を調製かつ試験する高処理量実験技術を利用して識別した。特に、WGS触媒としての活性および選択性を有する触媒組成を識別するのに、このような技術を使用した。これらの実施例で、「触媒ライブラリー」とは、ウェハ基板上に配列され、少なくとも2種の、典型的には3種以上の共通金属成分(完全還元状態の、または金属塩のように部分的もしくは完全酸化状態の金属を含む)を有するが、共通金属成分の相対的化学量論が互いに相違するWGS触媒候補の関連集合を指す。
【0126】
典型的には、ライブラリー設計および特定ライブラリーに関する調査範囲に応じて、各ウェハ基板上に複数(すなわち、2個またはそれ以上)のライブラリーを形成した。第1群の試験ウェハには、1枚につき、3インチのウェハ基板上に、典型的にはほとんどの触媒を少なくとも3種の異なる金属を使用して形成した約100種の異なる触媒組成物を含めた。第2群の試験ウェハには、1枚につき、4インチのウェハ基板上に、やはり典型的にはほとんどの触媒を少なくとも3種の異なる金属を使用して形成した約225種の異なる触媒組成物を含めた。典型的には、各試験ウェハ自体に、複数のライブラリーを含めた。典型的には、各ライブラリーに、二元、三元またはより高次元の組成物を−すなわち、例えば、異なる相対比率で組み合わせた少なくとも3種の成分(例えば、A、B、C)を含めた三元組成物として含め、注目範囲(例えば、典型的には各成分について約20%から約80%強(例えば、場合によっては約100%まで)の範囲)を包含するモル化学量論を有する触媒材料を形成した。担持触媒の場合には、三元組成物に対する成分の化学量論を変化させることに加え、相対的な金属総装填量についても調べた。
【0127】
第1群の(3インチ)試験ウェハ上に形成される典型的なライブラリーには、例えば「5点ライブラリー」(例えば、それぞれが5種の異なる関連触媒組成物を有する20個のライブラリー)、または「10点ライブラリー」(例えば、それぞれが10種の異なる関連触媒組成物を有する10個のライブラリー)、または「15点ライブラリー(例えば、それぞれが15種の異なる関連触媒組成物を有する6個のライブラリー)、または「20点ライブラリー」(例えば、それぞれが20種の異なる関連触媒組成物を有する5個のライブラリー)が含まれる。第2群の(4インチ)試験ウェハ上に形成される典型的なライブラリーには、例えば「9点ライブラリー」(例えば、それぞれが9種の異なる関連触媒組成物を有する25個のライブラリー)、または「25点ライブラリー」(例えば、それぞれが25種の異なる関連触媒組成物を有する9個のライブラリー)が含まれる。「50点ライブラリー」(例えば、試験ウェハ上にそれぞれが50種の関連触媒組成物を有する2個またはそれ以上のライブラリー)を含むより広範囲の組成調査も行った。典型的には、候補となる触媒ライブラリー構成物質の化学量論的増分は、約1.5%(例えば、「55点三元」の場合)から約15%(例えば「5点」三元の場合)の範囲である。ライブラリー設計および配列構成に関するより詳細な考察については、例えば、WO00/17413を概略的に参照された図10A〜10Fは、Library Studio(登録商標)(Symyx Technologies,Inc.、サンタクララ、カリフォルニア州)を使用してグラフで表した場合の、共通試験ウェハ上に調製されるライブラリーのためのライブラリー設計を示し、ライブラリーは、化学量論および触媒装填量の両方に関して変えることができる。相対的化学量論および/または相対的触媒装填量に関して変化できる触媒材料のライブラリーは、本出願のいくつかの実施例で示されるように、組成表で表すこともできる。
【0128】
例えば、図10Aを参照すると、この試験ウェハには、9個のライブラリーが含まれ、9個のライブラリーのそれぞれが、同じ3成分系の9種の異なる三元組成物を含む。以下の実施例の命名で、このような試験ウェハを、9個の9点−三元(「9PT」)ライブラリーを含むと言う。この試験ウェハの右上隅に描かれたライブラリーには、9種の異なる化学量論で成分A、BおよびX1を含有する触媒組成物が含まれる。もう1つの例として、図10Bを参照すると、15種の様々な化学量論でPt、PdおよびCuの触媒成分を有する15点−三元(「15PT」)ライブラリーを含む試験ウェハ部分が描かれている。一般に、1つのライブラリー内に含まれる各触媒の組成は、組成物中の個別成分の相対量(例えばモルまたは重量)とその成分に対応するように表示される相対面積とを関連させることによって図的に表現される。したがって、図10Bに示した試験ウェハ部分に描かれた15種の触媒組成を再度参照すると、各組成はPt(濃灰色)、Pd(薄灰色)およびCu(黒色)を含み、Ptの相対量は縦列1から縦列5に向かって増加し(しかし、所定の縦列内の横列間で比較すると同一である)、Pdの相対量は横列1から横列5に向かって減少し(しかし、所定の横列内の縦列間で比較すると同一である)、Cuの相対量は横列5縦列1の最大値から例えば横列1縦列1の最小値に向かって減少することが判る。図10Cは、50種の異なる化学量論のPt、PdおよびCuからなる触媒組成を有する50点−三元(「50PT」)ライブラリーを含む試験ウェハを示す。この試験ライブラリーには、例えば注目する3種の異なる成分によるもう1つの50点−三元ライブラリー(表示していない)を含めることもできる。
【0129】
図10D〜10Fは、異なる調製段階での2個の50点−三元ライブラリー(「bis50PTライブラリー」)のグラフ表示であり、Pt−Au−Ag/CeO2ライブラリー(図10Eの右上の三元ライブラリーとして示される)およびPt−Au−Ce/ZrO2ライブラリー(図10Eの左下の三元ライブラリーとして示される)を含む。Pt−Au−Ag/CeO2ライブラリーには、二元含浸組成物すなわちPt−Au/CeO2二元触媒(横列2)およびPt−Ag/CeO2(縦列10)も含まれていることに留意されたい。同様に、Pt−Au−Ce/ZrO2ライブラリーには、二元含浸組成物すなわちPt−Ce/ZrO2(横列11)およびAu−Ce/ZrO2(縦列1)が含まれる。要するに、二つの50PTライブラリーは、図10Dにグラフに表したように、試験ウェハのそれぞれの部分にCeO2およびZrO2支持体を沈着させることによって調製した。液体処理ロボットを使用して、支持体を液体媒体中のスラリーとして試験ウェハ上に沈着させ、引き続きその試験ウェハを乾燥して乾燥支持体を形成した。その後、CeO2支持体を含む試験ウェハの区域に、図10E(右上手のライブラリー)に示したような異なる相対的な化学量論で、Pt、AuおよびAgの塩を含浸させた。同様に、ZrO2支持体を含む試験ウェハの区域に、図10E(左下手のライブラリー)に示したような異なる相対的な化学量論で、Pt、AuおよびCeの塩を含浸させた。図10Fは、相対量の触媒支持体を含む複合体ライブラリーのグラフ表現である。
【0130】
本発明の供試触媒材料の具体的組成については、選抜したライブラリーについての以下の実施例中で詳述する。
【0131】
試験ウェハ上のライブラリーの触媒組成物を比較するための基準として、石英製の各触媒試験ウェハ上に性能基準点および対照実験(例えばブランク)も準備した。基準となる触媒材料配合物としては、約3%(触媒および支持体の総重量に対する重量で)の触媒装填量を有するPt/ジルコニア触媒基準を含めた。Pt/ジルコニア基準は、典型的には、例えば重量で1.0%または2.5%のPt原液3μLをウェハ上のジルコニア支持体に含浸させ、その後、仮焼および還元前処理を施すことによって合成した。
【0132】
典型的には、ウェハを、空気中、300℃〜500℃の範囲の温度で仮焼、かつ/または5%水素の連続流下、約200℃〜約500℃の範囲の温度(例えば、450℃)で還元する。
【0133】
具体的な処理手順は、実施例の各ライブラリーについて以下に記載する。走査型質量分析計を利用して試験する場合には、触媒ウェハを、XY平面で移動できるウェハ保持台に載せた。走査型質量分析計の吸入/走査プローブは、Z方向(ウェハ保持台に対するXY平面の移動に対して垂直方向)に移動し、ウェハの直近に接近して独立した各触媒構成物質を取り囲み、供給ガスを配送し、生成物流を触媒表面から四重極型質量分析計に移動させる。各構成物質は、約200℃〜約600℃の範囲の接近可能な温度を見越して、CO2レーザーを利用して背面から局部的に加熱される。質量分析計で、水素、メタン、水、一酸化炭素、アルゴン、二酸化炭素およびクリプトンに対する7種の質量、すなわち2、16、18、28、40、44および84をそれぞれ監視した。
【0134】
典型的には、例えば、約300℃、350℃および/または400℃、および通常、より活性のある処方については追加的に250℃を含む様々な反応温度で触媒組成物を試験した。特に、LTS用配合物の場合には、触媒活性の試験を200℃の低い反応温度から始める。供給ガスは、典型的には、51.6%のH2、7.4%のKr、7.4%のCO、7.4%のCO2および26.2%のH2Oから構成される。単一型ガスシリンダー中でH2、CO、CO2およびKr内部標準を事前混合し、次いで供給水と混合する。Barnstead Nano Pure Ultra Water装置で製造した処理水(27.5℃で18.1メガオーム−cm)を脱気しないで使用した。
【0135】
データ処理および解析
データ解析は、CO転化率をCO2生成量に対するプロットした物質収支プロットに基づいて行った。COおよびCO2に対する質量分析計の信号は、較正しなかったが、Kr−標準化質量分析計信号を基準にした。データを視覚化するために、ソフトウェアパッケージ、SpotFire(商標)(マサチューセッツ州、SomervilleのSpotFire,Inc.が販売)を使用した。
【0136】
WGSにおけるCO2生成量に対するCO転化率の代表的なプロットを図11Aに示すが、議論の目的で、図11Aには、図10D〜10Fに関連して前に説明した2つの三元触媒系、すなわちPt−Au−Ag/CeO2触媒ライブラリーおよびPt−Au−Ce/ZrO2触媒ライブラリーを含める。これらライブラリーの触媒組成物を4つの温度、すなわち250℃、300℃、350℃および400℃でスクリーニングした。図11Bに示した概略図を参照すると、活性でかつ高選択性のWGS触媒(例えば、図11Bの線I)は、比較的高い転化率(すなわち、熱力学的平衡転化率に近いCO転化率(図11Bの「TE」点))においてさえ、水性ガスシフト反応に対する物質収支によって決まる線(「WGS対角線」)に、最小の偏差で接近する。高活性触媒は、競合するメタン化反応への移行により(図11Cの点「M」)WGS対角線から逸脱し始める。しかし、このような逸脱を示す触媒組成物は、このような逸脱が発生する転化率のレベルに応じてWGS触媒としてやはり有用である。例えば、より高い転化率レベルでようやくWGS対角線から逸脱する触媒(図11Bの線II)は、総括転化率をWGS対角線に近い操作点まで低下させることによって(例えば、触媒装填量を低下させること、あるいは空間速度を増加させることによって)有効なWGS触媒として採用できる。対照的に、低い転化率レベルでWGS対角線から逸脱する触媒(例えば、図11Bの線III)は、低い転化率においてさえWGS反応に対して選択的でないので、WGS触媒としては比較的あまり有効ではない。温度は、熱力学的最大CO転化率に影響を及ぼし、低い温度は一般に触媒活性を低下させるので、物質収支WGS対角線からの逸脱点および逸脱軌道の全体形状に影響を与える。組成物によっては、温度を下げると、WGS物質収支対角線により接近するWGS軌道によって示されるより選択性の高い触媒となる(図11C参照)。再び図11Aを参照すると、Pt−Au−Ag/CeO2およびPt−Au−Ce/ZrO2触媒組成物は、各スクリーニング温度、特に低い温度において活性で選択性のある触媒であることが判る。
【0137】
一般に、所定のウェハ基板上の組成物は、走査型質量分析計を使用して、共通の実験操作で一緒に試験され、結果も一緒に検討される。本願において、基板上の特定ライブラリーの候補触媒組成物(例えば、3または4つの金属を含む3元またはより多元の触媒)を、そのウェハ上に含めたPt/ZrO2基準組成物との比較に基づいて、WGS反応のための活性で選択性のある工業用触媒としての見込みのある触媒組成物と考えた。具体的には、そのライブラリー中の有意な数の触媒組成物が、触媒性能に関して、ウェハ基板に含めたPt/ZrO2基準組成物に有利に匹敵するとの結果が得られたら、そのライブラリーの触媒材料は特に好ましいWGS触媒であると考えた。ここで、有意な数の組成物とは、一般に、所定ライブラリー中の供試組成物の少なくとも3つであると考えた。また、ここで、有利に匹敵するとは、その組成物が、転化率、選択性および触媒装填量などの要因を考慮した場合に、そのウェハ上の基準と同等またはそれ以上に良好な触媒性能を有することを意味する。若干のライブラリー構成物質のみがPt/ZrO2基準に有利に匹敵し、そのライブラリー内のその他の組成物がPt/ZrO2基準に匹敵するとは言い難い状況でも、多くの場合、所定ライブラリーのすべての触媒組成物を活性で選択性のあるWGS触媒として肯定的に識別した。このような状況で、基準に対して有利に匹敵すると言うには若干不足しているライブラリー構成物質をも含める根拠は、これらの構成物質が現実にWGS反応を前向きに触媒することである(すなわち、この反応に対する触媒として有効であった)。さらに、このような組成物は、ライブラリーフォーマットでの実際の試験中に起こったよりもより最適に調節された条件(例えば、合成条件、処理条件および/または試験条件(例えば温度))の下で合成および/または試験できること、および、重要なことであるが、試験される特定の触媒材料に対する最適条件は、Pt/ZrO2基準に対する最適条件とは異なるかもしれない、すなわち、実際の試験条件が若干の特定構成物質に対するよりも基準に対する最適条件に近かったかもしれないことに留意されたい。したがって、本明細書中で示した本発明の一般的定義範囲で、合成、処理および/またはスクリーニング条件を最適化すると、本発明を裏付ける実験で示されたものよりもさらにより活性で選択性のあるWGS触媒が現れることが、明らかに予想された。それ故、前記の考察から考えて、各特許請求組成物で定義されるすべての範囲の組成物(例えば、各3成分触媒材料、または各4成分触媒材料)を、WGS反応を触媒するのに有効であるとして説明した。所望のまたは必要とされる注目する工業的応用に応じて、各種の特定触媒組成物に関連する各種の特定の利点を有するさらなる最適化を考える。このような最適化は、例えば、すべての目的についてそのそれぞれが参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,149,882号、あるいはWO01/66245およびそれに対応するBerghらが2001年3月7日に「平行流プロセス最適化反応器(Parallel Flow Process Optimization Reactor)」の名称で出願した米国特許出願第09/801,390号、およびBerghらが2001年3月7日に「可変供給物組成を有する平行流反応器(Parallel Flow Reactor Having Variable Feed Composition)」の名称で出願した米国特許出願第09/801,389号に記載されたような技術および装置を使用して達成できる。
【0138】
さらに、最初のライブラリーのスクリーニング結果に基づいて、選択的な追加の「重点(focus)」ライブラリーを選択的に調製、試験して、最初のライブラリースクリーニングの結果を確認し、さらに、場合によっては同一および/または異なる条件下でより良好に機能する組成物を識別した。重点ライブラリー用の試験ウェハには、典型的には、各試験ウェハ上に1個または複数のライブラリー(例えば、関連する三元組成物A、B、C)を形成して、4インチウェハ基板上に形成された約225種の異なる候補触媒組成物を含めた。さらに、所定ライブラリーの金属含有組成物を典型的には異なる相対比率で組み合わせて、各成分について約0%〜約100%の範囲の化学量論を有し、かつ、例えば、約10%弱、典型的には約2%弱の化学量論的増分(例えば、「56点三元」に対して)を有する触媒を形成した。重点ライブラリーについては、例えばWO00/17413でより一般的に考察されている。このような重点ライブラリーを、初めのライブラリーに対する前記実験計画に従って評価した。
【0139】
質量分析計によって生じる個々のガスに対する未処理残ガス分析計([rga])のシグナル値は未較正であり、したがって、異なるガスを直接比較できない。対照としてメタン(質量16)のデータを集めた。典型的には、クリプトン(質量84)に対する未処理rgaシグナルを利用してシグナルを標準化し、ガスの流速変動の影響を取り除く。このようにして、各ライブラリー構成物質に対して標準化シグナルを、例えば、sH2O=未処理H2O/未処理Kr、sCO=未処理CO/未処理Kr、sCO2=未処理CO2/未処理Kr等々として判定する。
【0140】
すべてのブランクライブラリー構成物質、すなわち組成物がせいぜい支持体のみを含むライブラリー構成物質に対する標準化シグナルの平均値から、ブランクまたは入り口濃度を判定する。例えば、bavg2O=ライブラリー中のすべてのブランク構成物質に対する平均のsH2O、bavgCO=ライブラリー中のすべてのブランク構成物質に対する平均のsCO、等々。
【0141】
ブランク平均を用いて転化パーセントを計算し、入力レベル(例えば、bavgCO)および注目する各ライブラリー構成物質に対する出力としての標準化シグナル(例えば、sCO)を推算する。したがって、各ライブラリー構成物質に対して、COconversion=100×(bavgCO−sCO)/bavgCO、およびH2conversion=100×(bavg2O−sH2O)/bavg2Oである。
【0142】
一酸化炭素(CO)から二酸化炭素(CO2)への選択性は、CO2生成量(sCO2−bavgCO2)をCO消費量(bavgCO−sCO)で割ることによって推算する。CO2とCOのシグナルは、rgaシグナルが未較正なので直接には比較できない。しかし、高選択性標準触媒組成物の挙動に基づいて、経験的変換定数(0.6CO2単位=1CO単位)が導かれている。高選択性標準触媒組成物の選択性は、低い転化率で100%の選択性に近い。したがって、それぞれのライブラリー構成物質に関しては、COからCO2への推算選択性=100×0.6×(sCO2−bavgCO2)/(bavgCO−sCO)である。COの消費速度が遅いと、大きく変動する結果を生じさせることができ、このようにして、人為的にCO2選択性を0〜140%の範囲に制限することによって、CO2選択性の値の再現性を維持する。
【0143】
以下の実施例は、本明細書中の個々に特許を請求する発明の識別につながるライブラリーのスクリーニングに関する典型例である。
【0144】
実施例1:
ウェハ上の15×15正方桝目の各構成物質に対して3μL(エチレングリコール(「EG」)/H2Oが50:50の混合液4mLに1gのγ−Al23)をスラリーで分注することによって、4インチ石英ウェハをγ−Al23担体(Catalox Sba−150)担体でプレコートした。次いで、ウェハを70℃で12分間オーブン乾燥した。
【0145】
対応する最初の横列/最終縦列の位置に3μLのPt(NH32(NO22原液(2.5%Pt)をCavroでスポットすることによって6つの内部標準を合成した。ウェハの縦列C1〜C5にNa2Pt(OH)6原液(粉末から、1%Pt)を分注することによって(ウェル毎に2.5μL)、ウェハを均一なPt層で含浸した。
【0146】
次いで、Cavroでそれぞれの原液バイエル瓶からマイクロタイタープレートに分注し、蒸留水で希釈することによって、次の10種、ZrO(NO32、La(NO33、Y(NO33、Ce(NO33、H2MoO4、Fe(NO33、Co(NO32、ZrO(OAc)2、Mn(NO32、およびKRuO4の金属勾配液で、それぞれウェハの縦列C6〜C15の上端から下端までを含浸した。マイクロタイタープレートパターンのウェハへのレプリカ移送(ウェル毎に2.5μLの分注容量)によりウェハ上に10×15点長方桝目が得られた(金属勾配を有する10本の縦列)。
【0147】
ウェハを室温で3.5時間乾燥し、次いで、Cavroで対応する原液バイエル瓶からマイクロタイタープレートに分注し、蒸留水で希釈することによって、最初の4本の各縦列を個別に、それぞれCsOH−NaOH、LiOH−NaOH、RbOH−NaOHおよびKOH−NaOHを含む、縦列5〜15を、NaOHを含む塩基勾配液(0.5M、逆勾配)でコーティングした(下端から上端に勾配を有する1Mの塩基)。マイクロタイタープレートパターンのウェハへのレプリカ移送(ウェル毎に2.5μLの分注容量)によりウェハ上に15×15点長方桝目が得られた(塩基勾配を有する15本の縦列)。ウェハを室温で1夜乾燥し、そして2分間オーブン乾燥した。
【0148】
Na2Pt(OH)6原液バイエル瓶(粉末から、1%Pt)からウェハ(C6〜C15)へ三元層として均一分注して最後の含浸を行った(ウェル毎に2.5μLの分注容積、10×15点正方桝目が得られる)。
【0149】
ウェハを室温で4時間乾燥し、次いで、空気中、450℃で2時間仮焼し、続いて5%H2/N2を用い250℃で2時間還元した。最初の横列および最後の縦列の5箇所に外部標準として市販触媒をスラリー添加した(3μL)。図1A〜1Fを参照のこと。
【0150】
ライブラリーを、200℃、230℃、および260℃で、H2/CO/CO2/H2O混合供給物を用いてWGS活性について走査型質量分析計(「SMS」)中でスクリーニングした。
【0151】
この実験によって、ウェハ上のアルカリおよびPtを含有する各種配合物の中で活性があり選択性のあるWGS触媒配合物を明らかにした。
【0152】
実施例2:
ウェハ上の15×15正方桝目の各構成物質に対して3μL(EG/H2O/MEOが32.5:30:37.5の混合液4mLに1.5gのZrO2)をスラリーで分注することによって、4インチの16×16石英ウェハをZrO2担体(NortonのZrO2 XZ16052)でプレコートした。次いで、ウェハを70℃で12分間オーブン乾燥した。
【0153】
CavroでCeおよびFeの硝酸塩原液バイエル瓶からマイクロタイタープレートに分注し、蒸留水で希釈することによって、ジルコニア担体をプレコートしたウェハを、8点Ce(NO33濃度勾配液(0.25MのCe原液)および7点Fe(NO33濃度勾配液(0.5MのFe原液)で含浸した。マイクロタイタープレートパターンのレプリカをウェハに移送した(ウェル毎に2.5μLの分注容積)。
【0154】
ウェハを室温で4時間乾燥し、次いで、CavroでNaOH(1M)およびKOH(1M)原液バイエル瓶からマイクロタイタープレートに分注し、蒸留水で希釈することによって、NaおよびKの水酸化物勾配液でコーティングした(ウェハの上部にナトリウム、下部にカリウム)。マイクロタイタープレートパターンのレプリカをウェハに移送した(ウェル毎に2.5μLの分注容積、8点勾配の7レプリカおよび7点勾配の8レプリカ、7×8=56点三元)。ウェハを室温で1夜乾燥、そして2分間オーブン乾燥した。
【0155】
Pt(NH32(NO22原液バイエル瓶(1%Pt)からウェハに均一分注して最後の含浸を行った(ウェル毎に2.5μLの分注容積、15×15点正方桝目が得られる)。対応する最初の横列/最後の縦列の位置に3μLのPt(NH32(NO22原液(2.5%Pt)をスポットすることによって6つの内部標準を合成した。
【0156】
ウェハを室温で2時間乾燥し、次いで、空気中、450℃で2時間仮焼し、続いて5%H2/N2を用い250℃で2時間還元した。最初の横列および最後の縦列の5箇所に外部標準として市販触媒をスラリー添加した(3μL)。図2A〜2Eを参照のこと。
【0157】
次いで、ライブラリーを、200℃、230℃、および260℃で、H2/CO/CO2/H2O混合供給物を用いてWGS活性についてSMS中でスクリーニングした。
【0158】
この実験によって、ウェハ上のPt、アルカリ、およびFeまたはCeを含有する配合物の中で活性があり選択性のあるWGS触媒配合物を明らかにした。
【0159】
実施例3:
ウェハ上の15×15正方桝目の各構成物質に対して3μL(EG/H2O/MEOが32.5:30:37.5の混合液4mLに1.5gのZrO2)をスラリーで分注することによって、4インチ石英ウェハをZrO2担体(NortonのXZ16052)でプレコートした。次いで、ウェハを70℃で12分間オーブン乾燥した。
【0160】
対応する最初の横列/最後の縦列の位置に2.5μLのPt(NH32(NO22原液をCavroでスポットすることによって9つの内部標準を合成した。Cavroで対応する原液バイエル瓶からマイクロタイタープレートに分注し、蒸留水で希釈することによって、ウェハを上端から下端まで次のように3種の金属勾配液、すなわち、横列2〜6はCo(NO32(0.25M)で、横列7〜11はRu(NO)NO33(0.05M)で、および横列12〜16はH2MoO4(0.25M)で含浸した。マイクロタイタープレートパターンのレプリカをウェハに移送して(ウェル毎に2.5μLの分注容積)、ウェハ上に5×15点長方桝目を得た。
【0161】
ウェハを室温で4時間乾燥し、次いで、Cavroでそれぞれの原液バイエル瓶からマイクロタイタープレートに分注し、蒸留水で希釈することにより、下端から上端に次の金属勾配液(逆勾配)、すなわち、(NH42Ce(NO36、Co(NO32、Ru(NO)(NO33、H2MoO4、Co(OAc)2、Na3Co(NO36、KRuO4、Ru(NO)(OAc)3、La(NO33、Cd(NO33、ZrO(NO32、ZrO(OAc)2、Cu(NO32、NH4ReO4およびGe(OX)2でコーティングした。マイクロタイタープレートのレプリカをウェハに移送して(ウェル毎に2.5μLの分注容積)、ウェハ上に5×15点長方桝目を得た。
【0162】
ウェハを室温で4時間乾燥し、次いで、対応する原液バイエル瓶からウェハに、第3層としてPt(NH32(NO22(1%Pt)からなる均一上層でコーティングした(ウェル毎に2.5μLの分注容積)。
【0163】
ウェハを室温で1夜乾燥し、次いで、空気中、350℃で2時間仮焼し、続いて5%H2/N2を用い300℃で2時間還元した。図3A〜3Gを参照のこと。
【0164】
次いで、ライブラリーを、250℃で、H2/CO/CO2/H2O混合供給物を用いてWGS活性についてSMS中でスクリーニングした。225個の各個別触媒ウェルに対する250℃でのCO転化率、CO2生成量およびCH4生成量などの詳細な試験結果を表1に示す。
【0165】
この実験によって、NaおよびCoの両方がNa3Co(NO26に由来するPt−Co−Naが、標準のPt/ZrO2に優るWGS活性を示すことが明らかになった。図3H〜3Iを参照のこと。
【0166】
実施例4:
ウェハ上の垂直15点縦列に3μL量をスラリーで分注することによって、4インチ石英ウェハを7種の異なる担体でプレコートした。担体の沈着は、次の担体、すなわち99.5%CeO2(Alfa、EG/H2Oの50:50混合液4mLに0.75g)、99.9%La23(Gernch、EG/H2O/MEOの40:30:30混合液4mLに1.5g)、ZrVOx(EG/H2Oの50:50混合液4mLに1g)、ZrO2 FZO923(MEI、EG/H2O/MEOの32.5:30:37.5混合液4mLに1.5g)、TiO2(Aerolyst7708、P25、Degussa、EG/H2O/MEOの32.5:30:37.5混合液4mLに1g)、TiO2 VKR611(BASF、EG/H2O/MEOの32.5.5:30:37.5混合液4mLに1g)、TiO2 XT25384(Norton、EG/H2O/MEOの32.5.5:30:37.5混合液4mLに1g)、およびZrO2 XZ16052(Norton、EG/H2O/MEOの32.5.5:30:37.5混合液4mLに1.5g)を用いて実施した。分注後、サンプルを70℃で12分間オーブン乾燥した。但し、Alfaのセリアを分注したサンプルは70℃で24分間オーブン乾燥した。
【0167】
Cavroで対応する原液バイエル瓶からマイクロタイタープレートに分注し、蒸留水で希釈することによって、上端から下端に、6種の金属勾配液すなわち、Co(NO32、Fe(NO33、Ce(NO33、(NH42MoO4、Pd(NH32(NO22およびLa(NO33で、選択した担体をプレコートした縦列を含浸した。マイクロタイタープレートのレプリカをウェハに移送して(ウェル毎に2.5μLの分注容積)、ウェハ上に6×15点長方桝目を得た。
【0168】
Cavroで3μLのPt(NH32(NO22(2.5%Pt)原液を対応する最初の横列/最後の縦列の位置にスッポットすることによって6つのH内部標準を合成し、次いで、ピペットで2μL分注することによって最後の縦列をHAu(NO34(0.1M)の均一層でコーティングした。
【0169】
Cavroでそれぞれの原液バイエル瓶からマイクロタイタープレートに分注し、蒸留水で希釈することによって、非含浸の縦列を下端から上端までPt(NH32(NO22(1%Pt)からなる2つの白金勾配液でコーティングした。マイクロタイタープレートのレプリカをウェハに移送して(ウェル毎に2.5μLの分注容積)、ウェハ上に、ウェル毎に2.5μLの分注容積を分注した8×15点長方桝目を得た。
【0170】
ウェハを室温で1夜乾燥し、次いで、Cavroでそれぞれの原液バイエル瓶から水に分注することによって水酸化ナトリウム(NaOH、1M)の均一層でコーティングし、ウェハの下部に7×15点長方桝目を得た。
【0171】
ウェハを室温で2時間乾燥し、そして70℃で2分間オーブン乾燥した。Cavroで対応する原液バイエル瓶からマイクロタイタープレートに分注し、蒸留水で希釈することによって、縦列に下端から上端までPt(NH32(NO22(1%Pt)からなる2つのPt勾配液を用いて三元層を分注して最後の含浸を行った。マイクロタイタープレートのレプリカをウェハに移送して(ウェル毎に2.5μLの分注容積)、ウェハ上に7×15点長方桝目を得た。
【0172】
ウェハを室温で4時間乾燥し、次いで、空気中、500℃で2時間仮焼し、続いて5%H2/N2を用い500℃で2時間還元した。図4A〜4Gを参照のこと。
【0173】
次いで、ライブラリーを、230℃および260℃で、H2/CO/CO2/H2O混合供給物を用いてWGS活性についてSMS中でスクリーニングした。225個の各個別触媒ウェルに対する230℃および260℃でのCO転化率、CO2生成量およびCH4生成量などの詳細な試験結果を表2に示す。
【0174】
この実験によって、ウェハ上のPtおよびアルカリ金属を含有する組成物の中で活性があり選択性のあるWGS触媒配合物を明らかにした。また、Na後含浸の効果が明らかに観察される。
【0175】
実施例5:
ウェハ上に担体の水性スラリーをスラリー分注することによって、3インチ石英ウェハを、ニオビア、セリアおよびマグネシア担体でコーティングした(4μlスラリー/ウェル、ニオビアおよびセリアについては2mlのH2Oに1gの担体粉末をスラリー化、マグネシアについては2mlのH2Oに500mgの担体粉末をスラリー化)。ニオビア担体はNorton製であり、製造番号は2001250214、2000250356、2000250355,2000250354および2000250351である。セリアは、Norton(製造番号2001080053,2001080052および2001080051)およびAldrich(製造番号21,157−50)から入手した。マグネシアは、Aldrich(製造番号24,338−8)から入手した。
【0176】
次いで、担体をプレコートしたウェハに、マイクロタイタープレートから3μLのPt(NH32(NO22溶液(5%Pt)をウェハに液状で分注することによって、1回の含浸段階で、各担体に対して同一のPt勾配液を載せた。ウェハを乾燥し、次いで、5%H2/Ar中、450℃で2時間還元した。図5A〜5Cを参照のこと。
【0177】
次いで、還元されたライブラリーを、250℃、300℃、350℃および400℃で、H2/CO/CO2/H2O混合供給物を用いてWGS活性についてSMS中でスクリーニングした。250℃、300℃、350℃および400℃での結果を図5D〜5Hに示す。この実験群により、ウェハ上のNb酸化物、Ce酸化物またはMg酸化物配合物の1種に担持した各種Ptの中で活性があり選択性のあるWGS触媒配合物が明らかになった。Nortonの各種ニオビア担体は、広範な温度範囲に渡って非常に活性でありかつ選択性のあることが見出された。Nortonのセリア2001080051は、高温で非常に選択性のあることが見出された。マグネシアは、ニオビアまたはセリアと比べるとそれほど活性ではなかったが、高度に選択的なWGS性能を示した。
【0178】
実施例6:
担体のスラリーをウェハ上にスラリーで分注することにより、4インチ石英ウェハを14種の異なる触媒担体でコーティングした。担体は、比率が40:30:30のEG/H2O/MEO混合物中にスラリー化した。γ−アルミナでコーティングした縦列14および15以外は、ウェハの各縦列を以下に記載する様々な担体でコーティングした。
【0179】
1)セリア:純度99.5%、粒子径9〜15nm、BET(m2/g)55〜95、Alfaの43136、EG/H2O/MEOの混合液4mL中に0.75gの粉末をスラリー化したスラリーからウェハ上に分注。
【0180】
2)セリア:沈降水酸化Ceの低温仮焼で製造、EG/H2O/MEOの混合液4mL中に1.5gの粉末をスラリー化したスラリーからウェハ上に分注。
【0181】
3)ジルコニア:純度99.8%、BET(m2/g)90を超える、NortonのXZ16052、EG/H2O/MEOの混合液4mL中に1.5gの粉末をスラリー化したスラリーからウェハ上に分注。
【0182】
4)ジルコニア:純度99.8%、BET(m2/g)269、NortonのXZ16154、EG/H2O/MEOの混合液4mL中に1.5gの粉末をスラリー化したスラリーからウェハ上に分注。
【0183】
5)チタニア:BET(m2/g)45、DegussaのAerolyst7708、EG/H2O/MEOの混合液4mL中に1.0gの粉末をスラリー化したスラリーからウェハ上に分注。
【0184】
6)チタニア:純度99%、BET(m2/g)37、NortonのXT25384、EG/H2O/MEOの混合液4mL中に1.0gの粉末をスラリー化したスラリーからウェハ上に分注
7)ニオビア:純度97%、BET(m2/g)27、Nortonの2000250355、EG/H2O/MEOの混合液4mL中に1.0gの粉末をスラリー化したスラリーからウェハ上に分注。
【0185】
8)ランタニア:純度99.999%、Gemch Co.,Ltd(中国、上海)からのGemre−5N、EG/H2O/MEOの混合液4mL中に1.5gの粉末をスラリー化したスラリーからウェハ上に分注。
【0186】
9)混成Fe−Ce−O:FeおよびCeの共沈殿シュウ酸塩、360℃で仮焼、EG/H2O/MEOの混合液4mL中に1.0gの粉末をスラリー化したスラリーからウェハ上に分注。
【0187】
10)混成La−Ce−O:LaおよびCeの共沈殿シュウ酸塩、760℃で仮焼、EG/H2O/MEOの混合液4mL中に1.0gの粉末をスラリー化したスラリーからウェハ上に分注。
【0188】
11)Alfaからの混成Sb34−SnO2担体:純度99.5%、BET(m2/g)30〜80、Sb34−SnO2比率は重量で10:90、EG/H2O/MEOの混合液4mL中に1.0gの粉末をスラリー化したスラリーからウェハ上に分注。
【0189】
12)混成Fe−Cr−Al−O:商業的に入手可能な高温水性ガスシフト触媒、EG/H2O/MEOの混合液4mL中に1.0gの粉末をスラリー化したスラリーからウェハ上に分注。
【0190】
13)Fe23/FeOOH:BET(m2/g)14、市販粉末(BayerからのBayferrox720N:Bayoxide E3920)の50:50物理混合物、EG/H2O/MEOの混合液4mL中に1.0gの粉末をスラリー化したスラリーからウェハ上に分注。
【0191】
14および15)γ−アルミナ:BET(m2/g)150、Condea Catalox Sbal50、EG/H2O/MEOの混合液4mL中に1.0gの粉末をスラリー化したスラリーからウェハ上に分注。
【0192】
担体1の場合を除いて、どの場合も、ウェル当たり3μlのスラリーを塗布し、担体1はウェル当たり2つの3μLアリコートとして沈着させた。次いで、ウェハを70℃で10分間乾燥した。
【0193】
縦列14および15を、ウェル当たり2.5μLの硝酸ジルコニル(0.25M)および硝酸ランタン(0.25M)でそれぞれコーティングし、次いで、70℃で10分間乾燥した。次いで、3μLのPt(NH32(NO22溶液(1%Pt)をマイクロタイタープレートからウェハに液体で分注することによって、担体をコーティングしたウェハの初めの13本の縦列に15点Pt勾配液を載せた。ウェハを70℃で10分間乾燥した。次いで、3μLのPt(NH32(NO22溶液(1%Pt)をマイクロタイタープレートからウェハに液体で分注することによって、縦列14および15に15点Pt勾配液を載せた。ウェハを70℃で10分間乾燥し、空気中、350℃で2時間仮焼し、次いで、5%H2/Ar中、450℃で2時間還元した。対応する最初の横列/最後の縦列の位置に3μLのPt(NH32(NO22溶液(1%Pt)をスポットすることによって、6つの内部標準を合成した。図6A〜6Fを参照のこと。
【0194】
次いで、還元されたライブラリーを、250℃および300℃で、H2/CO/CO2/H2O混合供給物を用いてWGS活性についてSMS中でスクリーニングした。250℃および300℃でのCO転化率対CO2生成量の結果を、図6G、6Hおよび6Iに示す。試験ウェハ上の225個の各個別触媒ウェルに対する250℃および300℃でのCO転化率、CO2生成量およびCH4生成量などのより詳細な試験結果を、表3に示す。
【0195】
この実験群により、ウェハ上の各種酸化物担体上の様々なPt配合物の中で活性があり選択性のあるWGS触媒配合物が明らかになった。
【0196】
実施例7:
10ドラム(37mL)のバイエル瓶中に秤量してある0.75gのZrO2支持体(Norton、80〜120メッシュ)のインシピエントウェットネス(incipient wetness)含浸を利用してスケールアップ用触媒サンプルを調製した。次いで、金属前駆物質塩の水溶液を、Co、MoまたはV、Pt、次いでKの順序で添加した。前駆物質塩溶液は、水酸化テトラアンミン白金(II)溶液(9.09%Pt(w/w))、硝酸コバルト(II)(1.0M)、モリブデン酸(1.0M)、クエン酸バナジウム(1.0M)、および水酸化カリウム(13.92%K)とした。すべての出発試薬は、名目上、Aldrich、Strem、またはAlfaからの研究グレードとした。各金属の添加に続いて、触媒を80℃で1夜乾燥し、そして、空気中で次の通り仮焼した。すなわち
Ptの添加後 −− 300℃で3時間
Coの添加後 −− 450℃で3時間
MoまたはVの添加後 −− 350℃で3時間
Kの添加に続き、触媒を300℃で3時間仮焼し、次いで、触媒を10%H2/N2供給流中、300℃で3時間、in−situで還元した。
【0197】
触媒の試験条件
触媒は、固定床反応器で試験した。約0.15gの触媒を秤量し、同一質量のSiCと混合した。混合物を反応器に詰め、反応温度まで加熱した。反応ガスは、質量流量制御器(Brooks)を経由して、定量ポンプ(Quizix)を用いて導入される水と一緒に送り出した。反応混合物の組成は次の通り、すなわちH2が50%、COが10%、CO2が10%、およびH2Oが30%である。反応物の混合物は、予熱器を通過させた後に、触媒床と接触させた。反応に続き、マイクロガスクロマトグラフ(Varian Instruments、またはShimadzu)を使用して生成ガスを分析した。性能図(図7)の組成データは、水を除外した乾燥基準による。
【0198】
試験結果
図7は、50,000h-1のガス時間空間速度でのスケールアップ試験後の生成物流中のCO組成を示す。
【0199】
【表1】

【0200】
実施例8:
10ドラム(37mL)のバイエル瓶中に秤量してある0.75gのZrO2支持体(Norton、80〜120メッシュ)のインシピエントウェットネス含浸を利用してスケールアップ用触媒サンプルを調製した。次いで、金属前駆物質塩の水溶液を、Co、MoまたはV、Pt、次いでLiの順序で添加した。前駆物質の塩溶液は、水酸化テトラアンミン白金(II)溶液(9.09%Pt(w/w))、硝酸コバルト(II)(1.0M)、モリブデン酸(1.0M)、クエン酸バナジウム(1.0M)、および水酸化リチウム一水和物(2.5M)とした。すべての出発試薬は、名目上、Aldrich、Strem、またはAlfaからの研究グレードとした。各金属の添加に続いて、触媒を80℃で1夜乾燥し、次いで、空気中で次の通り仮焼した。すなわち
Ptの添加後 −− 300℃で3時間
Coの添加後 −− 450℃で3時間
MoまたはVの添加後 −− 350℃で3時間
Liの添加後 −− 300℃で3時間
最後の添加に続いて、触媒を10%H2/N2供給流中、300℃で3時間、in−situで還元した。
【0201】
触媒の試験条件
触媒は、固定床反応器で試験した。約0.15gの触媒を秤量し、同一質量のSiCと混合した。混合物を反応器に詰め、反応温度まで加熱した。反応ガスを、質量流量制御器(Brooks)を経由して定量ポンプ(Quizix)を用いて導入される水と一緒に送り出した。反応混合物の組成は次の通り、すなわちH2が50%、COが10%、CO2が10%、およびH2Oが30%であった。反応物の混合物は、予熱器を通過させた後に、触媒床と接触させた。反応に続き、マイクロガスクロマトグラフ(Varian Instruments、またはShimadzu)を使用して生成ガスを分析した。性能図(図8)の組成データは、水を除外した乾燥基準による。
【0202】
試験結果
図8は、50,000h-1のガス時間空間速度でのスケールアップ試験後の生成物流中のCO組成を示す。
【0203】
【表2】

【0204】
【表3】

【0205】
実施例9:
10ドラム(37mL)のバイエル瓶中に秤量してある0.75gのZrO2支持体(Norton、80〜120メッシュ)のインシピエントウェットネス含浸を利用してスケールアップ用触媒サンプルを調製した。次いで、金属前駆物質塩の水溶液を、La、Ce、次いでCo、MoまたはVの1種、Pt、最後にNaの順序で添加した。前駆物質の塩溶液は、水酸化テトラアンミン白金(II)溶液(9.09%Pt(w/w))、硝酸ランタン(III)(1.0M)、硝酸セリウム(IV)(1.0N)、硝酸コバルト(II)(1.0M)、モリブデン酸(1.0M)、クエン酸バナジウム(1.0M)、および水酸化ナトリウム(3.0N)とした。すべての出発試薬は、名目上、Aldrich、Strem、またはAlfaからの研究グレードとした。各金属の添加に続いて、触媒を80℃で1夜乾燥し、次いで、空気中で次の通り仮焼した。すなわち
Ptの添加後 −− 300℃で3時間
Co、LaまたはCeの添加後 −− 450℃で3時間
MoまたはVの添加後 −− 350℃で3時間
Naの添加に続いて、触媒を300℃で3時間仮焼し、次いで、10%H2/N2供給流中、300℃で3時間、in−situで還元した。
【0206】
触媒の試験条件
触媒は、固定床反応器で試験した。約0.15gの触媒を秤量し、同一質量のSiCと混合した。混合物を反応器に詰め、反応温度まで加熱した。反応ガスを、質量流量制御器(Brooks)を経由して定量ポンプ(Quizix)を用いて導入される水と一緒に送り出した。反応混合物の組成は次の通り、すなわちH2が50%、COが10%、CO2が10%、およびH2Oが30%であった。反応物の混合物は、予熱器を通過させた後に、触媒床と接触させた。反応に続き、マイクロガスクロマトグラフ(Varian Instruments、またはShimadzu)を使用して生成ガスを分析した。性能図(図9)の組成データは、水を除外した乾燥基準による。
【0207】
試験結果
図9は、50,000h-1のガス時間空間速度でのスケールアップ試験後の生成物流中のCO組成を示す。
【0208】
【表4】

【0209】
【表5】

【0210】
実施例10:
10ドラム(37mL)のバイエル瓶中に秤量してある0.75gのZrO2支持体(Norton、80〜120メッシュ)のインシピエントウェットネス含浸を利用してスケールアップ用触媒サンプルを調製した。次いで、金属前駆物質塩の水溶液を、V、Pt、最後にNaの順序で添加した。前駆物質の塩溶液は、水酸化テトラアンミン白金(II)溶液(9.09%Pt(w/w))、クエン酸バナジウム(1.0M)、および水酸化ナトリウム(3.0N)とした。すべての出発試薬は、名目上、Aldrich、Strem、またはAlfaからの研究グレードとした。各金属の添加に続いて、触媒を80℃で1夜乾燥し、次いで、空気中で次の通り仮焼した。すなわち
Ptの添加後 −− 300℃で3時間
Vの添加後 −− 350℃で3時間
Naの添加に続いて、触媒を300℃で3時間仮焼し、次いで、10%H2/N2供給流中、300℃で3時間、in−situで還元した。
【0211】
触媒の試験条件
触媒は、固定床反応器で試験した。約0.15gの触媒を秤量し、同一質量のSiCと混合した。混合物を反応器に詰め、反応温度まで加熱した。反応ガスを、質量流量制御器(Brooks)を経由して定量ポンプ(Quizix)を用いて導入される水と一緒に送り出した。反応混合物の組成は次の通り、すなわちH2が50%、COが10%、CO2が10%、およびH2Oが30%であった。反応物の混合物は、予熱器を通過させた後に、触媒床と接触させた。反応に続き、マイクロガスクロマトグラフ(Varian Instruments、またはShimadzu)を使用して生成ガスを分析した。性能図(図12)の組成データは、水を除外した乾燥基準による。
【0212】
試験結果
図12は、50,000h-1のガス時間空間速度でのスケールアップ試験後の生成物流中のCO組成を示す。
【0213】
【表6】

【0214】
【表7】

【0215】
【表8】

【0216】
【表9】

【0217】
【表10】

【0218】
【表11】

【0219】
【表12】

【0220】
【表13】

【0221】
【表14】

【0222】
【表15】

【0223】
【表16】

【0224】
【表17】

【0225】
【表18】

【0226】
【表19】

【0227】
【表20】

【0228】
【表21】

【0229】
【表22】

【0230】
【表23】

【0231】
【表24】

【0232】
【表25】

【0233】
【表26】

【0234】
【表27】

【0235】
【表28】

【0236】
【表29】

【0237】
【表30】

【0238】
【表31】

【0239】
【表32】

【0240】
【表33】

【0241】
【表34】

【0242】
【表35】

【0243】
【表36】

【0244】
【表37】

【0245】
【表38】

【0246】
【表39】

【0247】
【表40】

【0248】
【表41】

【0249】
【表42】

【0250】
【表43】

【0251】
【表44】

【0252】
本発明のさらなる理解を提供するために含められ、組み込まれて本明細書の一部を構成する、付随の図面は、本発明の好ましい実施形態を例示し、詳細な説明と一緒になって本発明の本質を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0253】
【図1A】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図1B】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図1C】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図1D】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図1E】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図1F】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図2A】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図2B】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図2C】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図2D】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図2E】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図3A】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図3B】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図3C】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図3D】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図3E】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図3F】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図3G】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図3H】異なる温度のWGS条件下での、ウェハに対するCO転化率対CO2生成に関するスポットファイヤー(SpotFire)プロットを例示する。
【図3I】異なる温度のWGS条件下での、ウェハに対するCO転化率対CO2生成に関するスポットファイヤー(SpotFire)プロットを例示する。
【図4A】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図4B】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図4C】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図4D】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図4E】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図4F】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図4G】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図5A】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図5B】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図5C】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図5D】温度を異にするWGS条件下におけるウェハについてのCO転化率対CO2生成量のスポットファイヤープロットを例示する。
【図5E】温度を異にするWGS条件下におけるウェハについてのCO転化率対CO2生成量のスポットファイヤープロットを例示する。
【図5F】温度を異にするWGS条件下におけるウェハについてのCO転化率対CO2生成量のスポットファイヤープロットを例示する。
【図5G】温度を異にするWGS条件下におけるウェハについてのCO転化率対CO2生成量のスポットファイヤープロットを例示する。
【図5H】温度を異にするWGS条件下におけるウェハについてのCO転化率対CO2生成量のスポットファイヤープロットを例示する。
【図6A】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図6B】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図6C】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図6D】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図6E】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図6F】ライブラリー試験ウェハの製造過程を例示する。
【図6G】温度を異にするWGS条件下におけるウェハについてのCO転化率対CO2生成量のスポットファイヤープロットを例示する。
【図6H】温度を異にするWGS条件下におけるウェハについてのCO転化率対CO2生成量のスポットファイヤープロットを例示する。
【図6I】温度を異にするWGS条件下におけるウェハについてのCO転化率対CO2生成量のスポットファイヤープロットを例示する。
【図7】WGS条件下におけるスケールアップした触媒サンプルについてのCO濃度対温度のプロットを例示する。
【図8】WGS条件下におけるスケールアップした触媒サンプルについてのCO濃度対温度のプロットを例示し、
【図9】WGS条件下におけるスケールアップした触媒サンプルについてのCO濃度対温度のプロットを例示し、
【図10A】典型的な各種ライブラリー試験ウェハの組成構成を例示する。
【図10B】典型的な各種ライブラリー試験ウェハの組成構成を例示する。
【図10C】典型的な各種ライブラリー試験ウェハの組成構成を例示する。
【図10D】典型的な各種ライブラリー試験ウェハの組成構成を例示する。
【図10E】典型的な各種ライブラリー試験ウェハの組成構成を例示する。
【図10F】典型的な各種ライブラリー試験ウェハの組成構成を例示する。
【図11A】異なる温度における典型的なライブラリー試験ウェハについてのCO転化率対CO2生成量の代表的プロットを例示する。
【図11B】WGS物質収支に対する触媒の選択性および活性の影響を例示する。
【図11C】WGS条件下における触媒性能に対する温度の影響を例示する。
【図12】WGS条件下におけるスケールアップした触媒サンプルについてのCO濃度対温度のプロットを例示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CO含有ガスを水の存在下で約450℃を超えない温度で水性ガスシフト触媒と接触させることを含む水素富化ガスの製造方法であって、前記水性ガスシフト触媒が、
a)Pt、その酸化物、またはそれらの混合物、
b)Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種、ならびに
c)Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ir、Ni、Pd、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種
を含む方法。
【請求項2】
前記CO含有ガスが合成ガスである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水性ガスシフト触媒が、Li、Na、K、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記水性ガスシフト触媒が、Fe、その酸化物、またはそれらの混合物を含有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記水性ガスシフト触媒が、
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Li、その酸化物またはそれらの混合物、およびFe、その酸化物またはそれらの混合物;
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Li、その酸化物またはそれらの混合物、およびCo、その酸化物またはそれらの混合物;
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Li、その酸化物またはそれらの混合物、およびCe、その酸化物またはそれらの混合物;
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびZr、その酸化物またはそれらの混合物;
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびLa、その酸化物またはそれらの混合物;
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびY、その酸化物またはそれらの混合物;
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびCe、その酸化物またはそれらの混合物;
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびMo、その酸化物またはそれらの混合物;
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびFe、その酸化物またはそれらの混合物;
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびCo、その酸化物またはそれらの混合物;
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびMn、その酸化物またはそれらの混合物;
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、Zr、その酸化物またはそれらの混合物、およびCo、その酸化物またはそれらの混合物;
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、K、その酸化物またはそれらの混合物、およびCe、その酸化物またはそれらの混合物;
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、K、その酸化物またはそれらの混合物、およびFe、その酸化物またはそれらの混合物;ならびに
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、K、その酸化物またはそれらの混合物、およびCo、その酸化物またはそれらの混合物
からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記水性ガスシフト触媒が、アルミナ、ジルコニア、チタニア、セリア、マグネシア、ランタニア、ニオビア、ゼオライト、ペロブスカイト、シリカクレイ、イットリア、酸化鉄、またはそれらの混合物から選択される担体中に担持される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記水性ガスシフト触媒が、Li、Na、K、それらの酸化物、またはそれらの混合物の少なくとも1種を含有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記水性ガスシフト触媒が、Fe、その酸化物、またはそれらの混合物を含有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記の担持された水性ガスシフト触媒が、
ZrO2上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Li、その酸化物またはそれらの混合物、およびFe、その酸化物またはそれらの混合物;
ZrO2上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Li、その酸化物またはそれらの混合物、およびCo、その酸化物またはそれらの混合物;
ZrO2上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Li、その酸化物またはそれらの混合物、およびCe、その酸化物またはそれらの混合物;
Al23上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびZr、その酸化物またはそれらの混合物;
Al23上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびLa、その酸化物またはそれらの混合物;
Al23上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびY、その酸化物またはそれらの混合物;
Al23上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびCe、その酸化物またはそれらの混合物;
Al23上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびMo、その酸化物またはそれらの混合物;
Al23上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびFe、その酸化物またはそれらの混合物;
Al23上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびCo、その酸化物またはそれらの混合物;
Al23上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびMn、その酸化物またはそれらの混合物;
Al23上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、Zr、その酸化物またはそれらの混合物、およびCo、その酸化物またはそれらの混合物;
ZrO2上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびFe、その酸化物またはそれらの混合物;
ZrO2上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびCo、その酸化物またはそれらの混合物;
ZrO2上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびCe、その酸化物またはそれらの混合物;
ZrO2上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、K、その酸化物またはそれらの混合物、およびFe、その酸化物またはそれらの混合物;
ZrO2上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、K、その酸化物またはそれらの混合物、およびCo、その酸化物またはそれらの混合物;ならびに
ZrO2上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、K、その酸化物またはそれらの混合物、およびCe、その酸化物またはそれらの混合物
から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記Al23がγ−Al23である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記担体が、酸化鉄、ジルコニア、チタニアおよびセリアからなる群から選択される少なくとも1種の構成物質を含有する、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記担体がジルコニアを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記CO含有ガスを、約150℃から約450℃の範囲の温度で水性ガスシフト触媒と接触させる、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記CO含有ガスを、約350℃を超え約450℃までの範囲の温度で水性ガスシフト触媒と接触させる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記CO含有ガスを、約250℃から約350℃までの範囲の温度で水性ガスシフト触媒と接触させる、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記CO含有ガスを、約150℃から約250℃までの範囲の温度で水性ガスシフト触媒と接触させる、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記CO含有ガスを、約75バールを超えない圧力で水性ガスシフト触媒と接触させる、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記CO含有ガスを、約50バールを超えない圧力で水性ガスシフト触媒と接触させる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記CO含有ガスを、約15バールを超えない圧力で水性ガスシフト触媒と接触させる、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記CO含有ガスを、約1バールを超えない圧力で水性ガスシフト触媒と接触させる、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記水性ガスシフト触媒が、該水性ガスシフト触媒中に存在する各8、9または10族元素を、すべての触媒成分に支持体材料を加算した総重量に対して、それぞれ約0.01wt%〜約10wt%含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記水性ガスシフト触媒が、該水性ガスシフト触媒中に存在する各8、9または10族元素を、それぞれ約0.01wt%〜約2wt%含有する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記水性ガスシフト触媒が、該水性ガスシフト触媒中に存在する各8、9または10族元素を、それぞれ約0.05wt%〜約0.5wt%含有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記水性ガスシフト触媒が、該水性ガスシフト触媒中に存在する各ランタニド元素を、すべての触媒成分に支持体材料を加算した総重量に対して、約0.05wt%〜約20wt%含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
a)Pt、その酸化物、またはそれらの混合物、
b)Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種、ならびに
c)Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ir、Ni、Pd、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種
を含む、水性ガスシフト反応を触媒するための触媒。
【請求項26】
前記触媒が、Li、Na、K、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種を含有する、請求項25に記載の触媒。
【請求項27】
前記触媒が、Fe、その酸化物、またはそれらの混合物を含有する、請求項26に記載の触媒。
【請求項28】
前記触媒が、
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Li、その酸化物またはそれらの混合物、およびFe、その酸化物またはそれらの混合物;
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Li、その酸化物またはそれらの混合物、およびCo、その酸化物またはそれらの混合物;
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Li、その酸化物またはそれらの混合物、およびCe、その酸化物またはそれらの混合物;
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびZr、その酸化物またはそれらの混合物;
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびLa、その酸化物またはそれらの混合物;
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびY、その酸化物またはそれらの混合物;
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびCe、その酸化物またはそれらの混合物;
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびMo、その酸化物またはそれらの混合物、
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびFe、その酸化物またはそれらの混合物;
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびCo、その酸化物またはそれらの混合物;
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびMn、その酸化物またはそれらの混合物;
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、Zr、その酸化物またはそれらの混合物、およびCo、その酸化物またはそれらの混合物;
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、K、その酸化物またはそれらの混合物、およびCe、その酸化物またはそれらの混合物;
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、K、その酸化物またはそれらの混合物、およびFe、その酸化物またはそれらの混合物;ならびに
Pt、その酸化物またはそれらの混合物、K、その酸化物またはそれらの混合物、およびCo、その酸化物またはそれらの混合物
からなる群から選択される、請求項26に記載の触媒。
【請求項29】
アルミナ、ジルコニア、チタニア、セリア、マグネシア、ランタニア、ニオビア、ゼオライト、ペロブスカイト、シリカクレイ、イットリア、酸化鉄、またはそれらの混合物から選択される支持体をさらに含有する、請求項25に記載の触媒。
【請求項30】
前記触媒が、Li、Na、K、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種を含有する、請求項29に記載の触媒。
【請求項31】
前記触媒が、Fe、その酸化物、またはそれらの混合物を含有する、請求項29に記載の触媒。
【請求項32】
前記の担持された触媒が、
ZrO2上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Li、その酸化物またはそれらの混合物、およびFe、その酸化物またはそれらの混合物;
ZrO2上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Li、その酸化物またはそれらの混合物、およびCo、その酸化物またはそれらの混合物;
ZrO2上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Li、その酸化物またはそれらの混合物、およびCe、その酸化物またはそれらの混合物;
Al23上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびZr、その酸化物またはそれらの混合物;
Al23上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびLa、その酸化物またはそれらの混合物;
Al23上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびY、その酸化物またはそれらの混合物;
Al23上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびCe、その酸化物またはそれらの混合物;
Al23上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびMo、その酸化物またはそれらの混合物;
Al23上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびFe、その酸化物またはそれらの混合物;
Al23上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびCo、その酸化物またはそれらの混合物;
Al23上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびMn、その酸化物またはそれらの混合物;
Al23上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、Zr、その酸化物またはそれらの混合物、およびCo、その酸化物またはそれらの混合物;
ZrO2上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびFe、その酸化物またはそれらの混合物;
ZrO2上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびCo、その酸化物またはそれらの混合物;
ZrO2上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、Na、その酸化物またはそれらの混合物、およびCe、その酸化物またはそれらの混合物;
ZrO2上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、K、その酸化物またはそれらの混合物、およびFe、その酸化物またはそれらの混合物;
ZrO2上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、K、その酸化物またはそれらの混合物、およびCo、その酸化物またはそれらの混合物;ならびに
ZrO2上の、Pt、その酸化物またはそれらの混合物、K、その酸化物またはそれらの混合物、およびCe、その酸化物またはそれらの混合物
から選択される、請求項30に記載の触媒。
【請求項33】
前記Al23がγ−Al23である、請求項32に記載の触媒。
【請求項34】
前記触媒が、該触媒中に存在する各8、9または10族元素を、すべての触媒成分に支持体材料を加算した総重量に対して、約0.01wt%〜約10wt%含有する、請求項25に記載の触媒。
【請求項35】
前記触媒が、該触媒中に存在する各8、9または10族元素を、約0.01wt%〜約2wt%含有する、請求項34に記載の触媒。
【請求項36】
前記触媒が、該触媒中に存在する各8、9または10族元素を、約0.05wt%〜約0.5wt%含有する、請求項35に記載の触媒。
【請求項37】
前記触媒が、該触媒中に存在する各ランタニド元素を、すべての触媒成分に支持体材料を加算した総重量に対して、約0.05wt%〜約20wt%含有する、請求項25に記載の触媒。
【請求項38】
a)Pt、その酸化物またはそれらの混合物、
b)V、Zr、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種、ならびに
c)Ti、Mo、Co、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種
を含有する、水性ガスシフト反応を触媒するための触媒。
【請求項39】
前記触媒が、Na、その酸化物またはそれらの混合物をさらに含有する、請求項38に記載の触媒。
【請求項40】
CO含有ガスを水の存在下で約450℃を超えない温度で水性ガスシフト触媒と接触させることを含む水素富化合成ガスの製造方法であって、該水性ガスシフト触媒が、
a)Pt、その酸化物またはそれらの混合物、
b)V、Zr、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種、ならびに
c)Ti、Mo、Co、それらの酸化物、およびそれらの混合物の少なくとも1種
を含有する方法。
【請求項41】
前記水性ガスシフト触媒が、Na、その酸化物、またはそれらの混合物をさらに含有する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
表面にLiおよびFeを含有する前駆物質を塗布する段階、
LiおよびFeを含有する表面を約600℃〜約900℃の温度まで仮焼して処理された表面を形成する段階、
処理された表面にPt含有前駆物質を塗布する段階
を含む、触媒調製方法。
【請求項43】
仮焼段階の後に、処理された表面上にNaを含浸させる、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記温度が約700℃である、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
炭化水素または代替炭化水素燃料から水素富化ガスを生成させるための燃料処理系であって、
炭化水素または代替炭化水素燃料を含む燃料反応物流を、一酸化炭素および水を含む改質された生成物流に変換するための燃料改質器(該燃料改質器は、反応物流を受け入れるための入り口、反応物流を生成物流に変換するための反応室、および生成物流を排出するための出口を有する)、
約450℃未満の温度で水性ガスシフト反応を実施するための水性ガスシフト反応器(該水性ガスシフト反応器は、燃料改質器の生成物流からの一酸化炭素および水を含む水性ガスシフト供給流を受け入れるための入り口、水性ガスシフト供給流から水素および二酸化炭素を生成させるのに効果的な請求項25〜39の触媒のいずれか1種から選択される水性ガスシフト触媒を含む反応室、および生じる水素富化ガスを排出するための出口を含む)、および
水性ガスシフト反応器の反応室温度を、約450℃を超えない温度に維持するための温度制御器
を含む燃料処理系。


【図3H】
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【図3I】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図6G】
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【図6H】
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【図6I】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12】
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【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【公表番号】特表2006−511424(P2006−511424A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−563673(P2004−563673)
【出願日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2003/040214
【国際公開番号】WO2004/058632
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(500006557)シミックス・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】Symyx Technologies,Inc.
【住所又は居所原語表記】3100 Central Expressway,Santa Clara,California,USA
【Fターム(参考)】