説明

永久磁石型モータ

【課題】固定子巻線に流れる電流によって作られる磁束が、回転子鉄心の極間鉄心部に流れ込むのを抑制することでリラクタンストルク及び径方向加振力を低減して、騒音・振動の小さい永久磁石型モータを提供すること。
【解決手段】固定子の磁極ティースの内周部に空隙を介して対向し、回転子鉄心7内部に周方向に設けた複数の磁石収容穴内11にN極とS極が交互に着磁された永久磁石8を埋設し、隣り合う磁石収容穴11の間に極間鉄心部16が形成された回転子9と、回転子鉄心7の外周側で磁石収容穴11より外側に設けられ、極間鉄心部16を塞ぐように磁石収容穴11の長手方向の一部とオーバーラップする第1のq軸磁束抑制穴12と、第1のq軸磁束抑制穴12の磁石収容穴11の長手方向の一部とオーバーラップする部分と、磁石収容穴11との間に周方向に形成された薄肉形状の内周鉄心部14とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転子鉄心に設けた複数の磁石収容穴内部のそれぞれに永久磁石を収納し、極間鉄心部にq軸磁束抑制穴を設けることにより、リラクタンストルク、及び径方向加振力を低減することで騒音・振動を低減した永久磁石型モータ及び密閉型圧縮機及びファンモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
突極構造で回転子鉄心内に永久磁石を有する圧縮機用電動機の回転子において、各突極部の間の凹部の頂部を薄い肉厚のブリッジで結んで閉じた形状の空間が設けられた回転子鉄心を積層してなる圧縮機用電動機の回転子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−323292号公報(第4頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載された永久磁石型モータは、各極間に空間が設けられているが、この空間は磁石収容穴の回転子鉄心外周部側にオーバーラップするように形成されていないので、モータ駆動時に固定子巻線に流れる電流によって作られる磁束が回転子鉄心の極間鉄心部に流れ込むのを抑制するには十分とは言えず、依然として、リラクタンストルクの増加や回転子鉄心に径方向の加振力の増加を招き、振動・騒音を増加させる等の課題があった。
【0004】
この発明は、上記のよう課題を解決するためになされたもので、回転子鉄心を一体構造で構成し、且つ、固定子巻線に流れる電流によって作られる磁束が、回転子鉄心の極間鉄心部に流れ込むのを抑制することでリラクタンストルク及び径方向加振力を低減して、騒音・振動の小さい永久磁石型モータ及び密閉型圧縮機及びファンモータを提供することを目的とする。
【0005】
また、回転子鉄心を一体構造で構成し、且つ、磁石挿入穴に配置した永久磁石の端部の磁束による誘起電圧の歪みを抑制することができる永久磁石埋め込み型モータ及び密閉型圧縮機及びファンモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る永久磁石型モータは、リング状の積層鉄心からなり、円周方向に配置されたスロットと、隣接するスロットの間に形成された磁極ティースとを有する固定子鉄心と、この固定子鉄心の磁極ティースにコイルを巻装した固定子と、この固定子の磁極ティースの内周部に空隙を介して対向し、回転子鉄心内部に周方向に設けた複数の磁石収容穴内にN極とS極が交互に着磁された永久磁石を埋設し、隣り合う磁石収容穴の間に極間鉄心部が形成された回転子と、回転子鉄心の外周側で磁石収容穴より外側に設けられ、極間鉄心部を塞ぐように磁石収容穴の長手方向の一部とオーバーラップする第1のq軸磁束抑制穴と、第1のq軸磁束抑制穴の磁石収容穴の長手方向の一部とオーバーラップする部分と、磁石収容穴との間に周方向に形成された薄肉形状の内周鉄心部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明の永久磁石型モータは、上記構成により、永久磁石の作る磁束が回転子内部で短絡するのを抑制するとともに、固定子のコイルの作る磁束が極間鉄心部を通過するのを抑制できるため、トルクリップルが小さく、振動・騒音を抑制した永久磁石型モータを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1乃至図8は実施の形態1を示す図で、図1は永久磁石型モータの断面図、図2乃至図7は回転子9の極間鉄心部16付近の部分拡大図、図8は回転子9の断面図である。
【0009】
図1において、リング状の固定子鉄心1は、厚み0.35〜0.5mm程度の薄い電磁鋼板を一枚一枚打ち抜いて所定の枚数を積層することで構成されている。固定子鉄心1には、内周面側に周方向に配置されて軸方向へ延びる、例えば9個のスロット2が設けられる。隣接するスロット2間には磁極ティース3が形成されている。磁極ティース3は、外径側から内径側にかけて略平行の形状を有しており、先端部(内径側)になるにつれ、両サイドが周方向に広がるような傘状の構造となっている。この様に、磁極ティース3の先端部を傘状とすることで、回転子に配置された永久磁石8の磁力を効率良く使用し、トルクを向上できる構造となっている。また、磁極ティース3の内周側の両端部には、空隙10の長さが大きくなるように磁極ティース3の長手方向中心線(径方向)に対して略垂直なカット面20が形成された構造となっている。
【0010】
コイル4は、磁極ティース3に機種毎に設定される所定の巻数を直接巻き付けてなる3相Y結線の集中巻線のもので、銅線を絶縁を介して磁極ティース3に巻き付けている。コイル4のターン数や線径などは、要求される回転数やトルク、電圧仕様、スロット2の断面積等に応じて定まる。本実施の形態の場合は、例えば、線径φ0.5mm程度の銅線を100ターン程度巻き付けている。固定子5は固定子鉄心1及び磁極ティース3に巻き付けられるコイル4を有する。
【0011】
固定子5に対して回転可能な回転軸6が固定子5の軸線上に配置され、回転軸6に略真円形状の回転子9が固定されている。回転子9と固定子5との間には、0.3〜1mm程度の空隙10が設けられ、回転軸6を中心に回転可能な構造となっている。
【0012】
回転子鉄心7は、固定子5と同様に電磁鋼板を一枚一枚打ち抜いて積層することで構成されている。図2に示すように、回転子鉄心7には、磁石収容穴11が周方向に6個配置される。磁石収容穴11の内部には、N極とS極とが交互になるように着磁された6枚の平板形状のネオジウム、鉄、ボロンを主成分とする希土類永久磁石8が挿入され、隣り合う永久磁石8の間には極間鉄心部16が形成されている。
【0013】
また、回転子鉄心7の外周側には、1極当たり1個の第1のq軸磁束抑制穴12が極間鉄心部16を塞ぐように磁石収容穴11の長手方向の一部とオーバーラップさせて設けられている。さらに、回転子鉄心7の外周部と第1のq軸磁束抑制穴12の間には外周鉄心部13を、磁石収容穴11と第1のq軸磁束抑制穴12の間には、内周鉄心部14を形成することにより、回転子鉄心を一体構造となるように構成されている。
【0014】
外周鉄心部13の径方向長さ、及び、内周鉄心部14の径方向長さは、永久磁石8の発する磁束の短絡を防止するという観点から、強度の許容範囲内で小さく、薄肉で構成するのが望ましく、本実施の形態の場合、外周鉄心部13の径方向長さ、及び、内周鉄心部14の径方向長さ共、電磁鋼板の板厚(0.35〜0.5mm程度)と同じ長さとしている。
【0015】
また、第1のq軸磁束抑制穴12の極間鉄心部16と対向する径方向長さ、及び、第1のq軸磁束抑制穴12の磁石収容穴11の長手方向の一部とオーバーラップするオーバーラップ部付近の径方向長さを、磁石収容穴11の径方向長さの1/3以上とし、さらに、少なくとも極間鉄心部16と対向する領域Aの第1のq軸磁束抑制穴12の径方向長さBを空隙10の長さよりも大きくなるように構成することで、固定子5のコイル4から発するq軸磁束15を有効に抑制できるように構成している。
【0016】
上記のように、回転子鉄心7の外周側には、1極当たり1個の第1のq軸磁束抑制穴12が極間鉄心部16を塞ぐように磁石収容穴11の長手方向の一部とオーバーラップさせて設けることにより、永久磁石8の作る磁束が回転子9の内部で短絡するのを抑制するとともに、固定子5のコイル4の作る磁束が極間鉄心部16を通過するのを抑制できるため、トルクリップルが小さく、振動・騒音を抑制したモータを実現できる。
【0017】
また、極間鉄心部16の幅(周方向)を大きくすることができるため、回転方向に対する十分な強度を確保でき、高トルクに対応したモータが実現できる。また、固定子5のコイル4から発する減磁界が磁石の両側にまで及ぶのを抑制し、永久磁石8の端部の減磁を抑制することができる。
【0018】
また、永久磁石8の磁束を極中心方向に収束させることができ、誘起電圧の歪みを低減し、振動・騒音の小さい永久磁石型モータを実現することができる。
【0019】
また、回転子鉄心7の外径形状を略真円となるように構成したので、加工性、及び、組立性が良好で、かつ、風切り音の小さい永久磁石型モータを実現することができる。
【0020】
また、固定子鉄心1の磁極ティース3の内周部の両端部には、空隙10の長さが大きくなるように磁極ティース3の長手方向中心線に対して略垂直なカット面20を形成したため、磁束が極間鉄心部16を通過するのを抑制するとともに、誘起電圧の歪みを低減し、振動・騒音の小さい永久磁石型モータを実現することができる。
【0021】
なお、本実施の形態では、9スロット6極の集中巻を例に説明したが、スロット数、極数、巻線方式はこれに限定されるものではなく、原理的に動作可能なスロット数、極数、巻線方式(分布巻、波巻など)の組み合わせを適宜選択することで同様の効果が得られる。
【0022】
また、永久磁石8の材質は、希土類磁石に限定されるものではなく、要求出力、回転数、トルクに応じてフェライト系の永久磁石などで適宜構成することにより同様の効果が得られる。
【0023】
さらに、固定子鉄心1、回転子鉄心7の材質は、電磁鋼板に限定されるものではなく、要求出力、回転数、トルクに応じて粉末鉄心材、または、それらに代わる材料などで適宜構成することにより同様の効果が得られる。
【0024】
また、永久磁石8の配向方向についても、平行配向、ラジアル配向、極配向など、如何なる配向方向であっても同様な効果が得られることは言うまでもない。
【0025】
また、回転子鉄心7の外周と第1のq軸磁束抑制穴12の間に設けた外周鉄心部13の径方向の長さ、及び、磁石収容穴11と第1のq軸磁束抑制穴12の間に設けた内周鉄心部14の径方向の長さは、回転子が高速で駆動した場合であっても遠心力に耐えうる強度以上の長さが確保されていれば、均一の長さであっても、不均一の長さであってもよい。
【0026】
なお、この場合、図3、図4、図5の回転子9の極間部付近の部分拡大図で示すように回転子鉄心7の外周と第1のq軸磁束抑制穴12の間に設けた外周鉄心部13の径方向の長さ、及び、磁石収容穴11と第1のq軸磁束抑制穴12の間に設けた内周鉄心部14の径方向の長さの少なくともどちらか一方の長さを、極間側の長さに対して永久磁石8の磁極中心側の長さを1.5倍〜3倍程度になるよう大きく構成することにより、誘起電圧の歪みを効果的に低減することが可能である。
【0027】
図3の例は、磁石収容穴11と第1のq軸磁束抑制穴12の間に設けた内周鉄心部14の径方向の長さを、極間側の長さに対して永久磁石8の磁極中心側の長さを1.5倍〜3倍程度になるよう大きく構成している。
【0028】
図4の例は、回転子鉄心7の外周と第1のq軸磁束抑制穴12の間に設けた外周鉄心部13の径方向の長さを、極間側の長さに対して永久磁石8の磁極中心側の長さを1.5倍〜3倍程度になるよう大きく構成している。
【0029】
図5の例は、磁石収容穴11と第1のq軸磁束抑制穴12の間に設けた内周鉄心部14の径方向の長さ、及び回転子鉄心7の外周と第1のq軸磁束抑制穴12の間に設けた外周鉄心部13の径方向の長さの両方を、極間側の長さに対して永久磁石8の磁極中心側の長さを1.5倍〜3倍程度になるよう大きく構成している。
【0030】
また、本実施の形態では、第1のq軸磁束抑制穴12の外周側に外周鉄心部13を、第1のq軸磁束抑制穴12の内周側に内周鉄心部14を設けて一体構造になるように構成したが、これに限られるものではなく、図6に示すように、内周鉄心部14が形成されていれば外周鉄心部13は無くてもよい。また、図7で示すように、外周鉄心部13があれば内周鉄心部14の片側を空間として、第1のq軸磁束抑制穴12と磁石収容穴11が連通する構成でもよい。
【0031】
また、本実施の形態では、永久磁石8の形状を平板形状とし、6枚の磁石を周方向に六角形を形成するように配置したが、磁石の枚数、形状、配置は、これに限定されるものではない。
【0032】
また、図8に示すように磁石収容穴11の外周側の回転子鉄心7に1mm前後の幅の2本以上のスリット17を設け、スリット17間の間隔を外周側が小となるようハの字状に配置することにより、永久磁石8の発する磁束の極中心方向への収束効果を向上させ、誘起電圧の歪みをより効果的に抑制するとともに、巻線の磁束により発生するリラクタンストルク、及び、径方向加振力を低減し、振動・騒音を抑制することが可能である。
【0033】
また、本実施の形態では、図面の簡略化のため、各コーナ部の面取りや丸取り部を省略して図示したが、必要に応じて適宜面取り部や丸取り部を設けることで、打ち抜き性が改善され、応力の集中を回避することができる。
【0034】
実施の形態2.
図9は実施の形態2を示す図で、回転子9の断面図である。
【0035】
以上の実施の形態1では、回転子鉄心7の外周側には、1極当たり1個の第1のq軸磁束抑制穴12が極間鉄心部16を塞ぐように磁石収容穴11の長手方向の一部とオーバーラップさせて設けていたが、本実施の形態では、それに加え、磁石収容穴11の内径側に、磁石収容穴11と分離した第2のq軸磁束抑制穴18を極間鉄心部16を塞ぐように磁石収容穴11の長手方向の一部とオーバーラップさせて構成した。
【0036】
実施の形態1では、回転子9の外周側に設けた第1のq軸磁束抑制穴12の径方向長さBを空隙10の長さ以上としたが、本実施の形態では、外周側に設けた第1のq軸磁束抑制穴12の径方向長さBと、内周側に設けた第2のq軸磁束抑制穴18の径方向長さCの和を、磁石収容穴11の径方向の長さの1/3以上とし、且つ空隙10の径方向長さ以上になるように構成されている。
【0037】
上記のように構成することにより、実施の形態1と同様な効果が得られる他、内周側に第2のq軸磁束抑制穴18を設けるように構成したので、外周側の第1のq軸磁束抑制穴12の径方向長さBを小さく構成することができ、磁石収容穴11を回転子鉄心7の外周側に配置して磁石収容穴11の周方向幅を大きく構成し、回転子鉄心7の内部により大きな永久磁石8を埋め込むことが可能となり、効率の良好な永久磁石型モータを実現できる。
【0038】
実施の形態3.
図10乃至図13は実施の形態3を示す図で、回転子9の断面図である。
【0039】
実施の形態2では、回転子鉄心7の外周側に、1極当たり1個の第1のq軸磁束抑制穴12が極間鉄心部16を塞ぐように磁石収容穴11の一部とオーバーラップさせて設け、さらに磁石収容穴11の内径側に、磁石収容穴11と分離した第2のq軸磁束抑制穴18を極間鉄心部16を塞ぐように磁石収容穴11の長手方向の一部とオーバーラップさせて設けたが、本実施の形態では、それらに加え、隣接する磁石収容穴11の間の部分に、磁石収容穴11と分離した第3のq軸磁束抑制穴19を設けた構造とした。
【0040】
上記のように構成することにより、q軸磁束の抑制効果を一層向上し、振動・騒音を低減した永久磁石型モータを実現することができる。
【0041】
図11に示すように、内周側に設けた第2のq軸磁束抑制穴18がなく、回転子鉄心7の外周側に設けた第1のq軸磁束抑制穴12と、第3のq軸磁束抑制穴19との構成でもよい。そして、図11に示すように、外周側に設けた第1のq軸磁束抑制穴12と、第3のq軸磁束抑制穴19とを連結して内径側に凸形状の一体構造としてもよい。
【0042】
また、図12に示すように、第2のq軸磁束抑制穴18と、第3のq軸磁束抑制穴19とを連結して外径側に凸の一体構造としてもよい。
【0043】
また、図示しないが、第1のq軸磁束抑制穴12と、第2のq軸磁束抑制穴18と、第3のq軸磁束抑制穴19とをそれぞれ連結して一体構造としても同様の効果を得ることができる。
【0044】
また、外周側の第1のq軸磁束抑制穴12、または、内周側の第2のq軸磁束抑制穴18、または、中間の第3のq軸磁束抑制穴19の少なくとも一つの穴を拡大することで、磁石収容穴11の一部を永久磁石8長さよりも小さくなるように構成した後、永久磁石8を磁石収容穴11へ圧入することにより、永久磁石8の固定を容易に行うことが可能である。
【0045】
図13は、第3のq軸磁束抑制穴19を磁石収容穴11側に拡大し、湾曲部21を設けた構造を示す断面図である。湾曲部21は、回転子鉄心7の軸方向の全長に渡って形成する必要はなく、一部に構成されていれば、永久磁石8を固定するのに十分な保持力を得ることができる。
【0046】
実施の形態4.
図14、図15は実施の形態4を示す図で、図14はロータリ圧縮機30の縦断面図、図15はロータリ圧縮機30の電動要素31における横断面図である。上記実施の形態1乃至3に記載の永久磁石型モータをロータリ圧縮機(密閉型圧縮機の一例)に搭載した例である。
【0047】
図において、ロータリ圧縮機30は密閉容器33の内部に、電動要素31と、圧縮要素32とを収納している。電動要素31に上記実施の形態1乃至3に記載の永久磁石型モータを使用することにより、永久磁石型モータの固定子に流れる電流によって作られる磁束が回転子鉄心7の極間鉄心部16に流れ込むのを抑制することで振動・騒音を低減することができる。
【0048】
実施の形態5.
図16は実施の形態5を示す図で、ファンモータの断面図である。上記実施の形態1乃至3に記載の永久磁石型モータをファンモータに搭載した例である。
【0049】
図において、ファンモータ50は、上記実施の形態1に記載の固定子5をモールドしたモールド固定子53と、上記実施の形態1乃至3に記載の回転子9と、軸受52とを回転軸に嵌合した回転子組立51とをブラケット54を用いて組み立てる。
【0050】
そのように構成することにより、永久磁石型モータの固定子5に流れる電流によって作られる磁束が回転子鉄心7の極間鉄心部16に流れ込むのを抑制することで振動・騒音を低減することができるとともに寿命を大幅に改善したファンモータ50を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施の形態1を示す図で、永久磁石型モータの断面図である。
【図2】実施の形態1を示す図で、回転子9の極間鉄心部16付近の部分拡大図である。
【図3】実施の形態1を示す図で、回転子9の極間鉄心部16付近の部分拡大図である。
【図4】実施の形態1を示す図で、回転子9の極間鉄心部16付近の部分拡大図である。
【図5】実施の形態1を示す図で、回転子9の極間鉄心部16付近の部分拡大図である。
【図6】実施の形態1を示す図で、回転子9の極間鉄心部16付近の部分拡大図である。
【図7】実施の形態1を示す図で、回転子9の極間鉄心部16付近の部分拡大図である。
【図8】実施の形態1を示す図で、回転子9の断面図である。
【図9】実施の形態2を示す図で、回転子9の断面図である。
【図10】実施の形態3を示す図で、回転子9の断面図である。
【図11】実施の形態3を示す図で、回転子9の断面図である。
【図12】実施の形態3を示す図で、回転子9の断面図である。
【図13】実施の形態3を示す図で、回転子9の断面図である。
【図14】実施の形態4を示す図で、ロータリ圧縮機30の縦断面図である。
【図15】実施の形態4を示す図で、ロータリ圧縮機30の電動要素31における横断面図である。
【図16】実施の形態5を示す図で、ファンモータ50の断面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 固定子鉄心、2 スロット、3 磁極ティース、4 コイル、5 固定子、6 回転軸、7 回転子鉄心、8 永久磁石、9 回転子、10 空隙、11 磁石収容穴、12 第1のq軸磁束抑制穴、13 外周鉄心部、14 内周鉄心部、15 q軸磁束、16 極間鉄心部、17 スリット、18 第2のq軸磁束抑制穴、19 第3のq軸磁束抑制穴、20 カット面、21 湾曲部、30 ロータリ圧縮機、31 電動要素、32 圧縮要素、33 密閉容器、50 ファンモータ、51 回転子組立、52 軸受、53 モールド固定子、54 ブラケット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング状の積層鉄心からなり、円周方向に配置されたスロットと、隣接するスロットの間に形成された磁極ティースとを有する固定子鉄心と、
この固定子鉄心の前記磁極ティースにコイルを巻装した固定子と、
この固定子の前記磁極ティースの内周部に空隙を介して対向し、回転子鉄心内部に周方向に設けた複数の磁石収容穴内にN極とS極が交互に着磁された永久磁石を埋設し、隣り合う前記磁石収容穴の間に極間鉄心部が形成された回転子と、
前記回転子鉄心の外周側で前記磁石収容穴より外側に設けられ、前記極間鉄心部を塞ぐように前記磁石収容穴の長手方向の一部とオーバーラップする第1のq軸磁束抑制穴と、
前記第1のq軸磁束抑制穴の前記磁石収容穴の長手方向の一部とオーバーラップする部分と、前記磁石収容穴との間に周方向に形成された薄肉形状の内周鉄心部とを備えたことを特徴とする永久磁石型モータ。
【請求項2】
前記第1のq軸磁束抑制穴の前記極間鉄心部と対向する部分の径方向長さ、及び前記第1のq軸磁束抑制穴の前記前記磁石収容穴の長手方向の一部とオーバーラップする部分の径方向長さを、前記磁石収容穴の径方向長さの1/3以上としたことを特徴とする請求項1記載の永久磁石型モータ。
【請求項3】
前記回転子鉄心の外周部と、前記第1のq軸磁束抑制穴との間に、薄肉の外周鉄心部を形成したことを特徴とする請求項1記載の永久磁石型モータ。
【請求項4】
前記外周鉄心部を空間とし、前記内周鉄心部により前記回転子鉄心を一体構造としたことを特徴とする請求項3記載の永久磁石型モータ。
【請求項5】
前記第1のq軸磁束抑制穴の両端部付近の内側に形成された一対の前記内周鉄心部の一方を空間とし、前記内周鉄心部の他方と、前記外周鉄心部とにより前記回転子鉄心を一体構造としたことを特徴とする請求項3記載の永久磁石型モータ。
【請求項6】
前記外周鉄心部の径方向の長さと、前記内周鉄心部の径方向の長さとの少なくともどちらか一方を、極間側の長さに対し、前記永久磁石の磁極中心側の長さを大きくなるように構成したことを特徴とする請求項3記載の永久磁石型モータ。
【請求項7】
前記磁石収容穴の内側の極間部に、前記磁石収容穴と分離した第2のq軸磁束抑制穴を前記極間鉄心部を塞ぎ、且つ、両側の前記磁石収容穴とオーバーラップするように設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項6記載の永久磁石型モータ。
【請求項8】
前記第1のq軸磁束抑制穴の前記極間鉄心部と対向する部分の径方向長さと、前記第2のq軸磁束抑制穴の前記極間鉄心部と対向する部分の径方向長さの和を、前記磁石収容穴の径方向長さの1/3以上とし、且つ、前記空隙の径方向長さよりも大きくなるように構成したことを特徴とする請求項7記載の永久磁石型モータ。
【請求項9】
隣接する前記磁石収容穴の間に、前記磁石収容穴と分離した第3のq軸磁束抑制穴を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項8記載の永久磁石型モータ。
【請求項10】
前記第1のq軸磁束抑制穴と、前記第3のq軸磁束抑制穴とを連結して内側に凸形状の一体構造となるように構成したことを特徴とする請求項9記載の永久磁石型モータ。
【請求項11】
前記第2のq軸磁束抑制穴と、前記第3のq軸磁束抑制穴とを連結して外側に凸形状の一体構造となるように構成したことを特徴とする請求項9記載の永久磁石型モータ。
【請求項12】
前記第1のq軸磁束抑制穴と、前記第2のq軸磁束抑制穴と、前記第3のq軸磁束抑制穴とを連結して一体構造としたことを特徴とする請求項9記載の永久磁石型モータ。
【請求項13】
前記磁石収容穴の外周側に位置する前記回転子鉄心に複数のスリットを径方向に配置したことを特徴とする請求項1乃至請求項12記載の永久磁石型モータ。
【請求項14】
前記スリットを、該スリットの間隔が回転子外周側が小となるようハの字状に配置したことを特徴とする請求項13記載の永久磁石型モータ。
【請求項15】
前記第1のq軸磁束抑制穴、または前記第2のq軸磁束抑制穴、または前記第3のq軸磁束抑制穴の少なくとも一つを、前記磁石収容穴側へ拡大することで、前記永久磁石収容穴の一部を前記永久磁石長さよりも小さくなるように構成した後、前記永久磁石を前記永久磁石収容穴へ圧入することにより、前記永久磁石を固定することを特徴とする請求項1乃至請求項14記載の永久磁石型モータ。
【請求項16】
前記固定子鉄心の前記磁極ティースの内周面の両端部に前記空隙の長さが大きくなるようにカット面を形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項15記載の永久磁石型モータ。
【請求項17】
密閉容器内に、冷媒を圧縮する圧縮要素と、この圧縮要素を駆動する電動要素とを備え、この電動要素に請求項1乃至15のいずかに記載の永久磁石型モータを用いたことを特徴とする密閉型圧縮機。
【請求項18】
請求項1乃至16のいずかに記載の永久磁石型モータを用いたことを特徴とするファンモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−92715(P2008−92715A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−272426(P2006−272426)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】