説明

油圧装置

【課題】 想定外の過大電流が流れても、焼損、溶着に対する保護ができる油圧装置を提供する。
【解決手段】 油圧ポンプ12と、油圧ポンプ12を駆動するDCモータ11と、油圧ポンプ12に供給する作動油を貯留するタンクとを備えた油圧装置において、DCモータ11とバッテリ13との間に介在しDCモータ11に電源供給するコンタクタ14の入力側Aと出力側Bの電位を計測し、その電位差によりコンタクタ14に流れている電流値を算出し、算出した電流値とコンタクタ14の許容連続接点容量若しくはDCモータ11の許容連続接点容量に基づき、コンタクタ14及びDCモータ11の許容連続作動時間を演算装置16で算出し、連続運転が算出した許容連続作動時間を越えた場合、コンタクタ14の接点をコンタクタ制御部15により遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用テールゲートリフタや車両用ウイングの制御用に搭載されている油圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油圧装置では、大容量の電流を使用するので、車両用バッテリーと油圧装置のコンタクタの溶着及びモータの焼損防止のため、一定時間駆動すると、コンタクタを遮断するタイマー回路を備えている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記タイマー回路を備えただけでは、想定外の過大電流が連続して流れても遮断できず、モータ焼損やコンタクタ溶着保護を確実に行うことができなかった。また、コンタクタの銅損などにより、コンタクタが加熱し、コンタクタ接触抵抗が上がってしまった場合、焼損、溶着に対する保護などができなかった。
【0004】
本発明は上記課題を解決し、電流値を算出し、その電流値に応じた連続作動時間を超えた場合、焼損、溶着に対する保護ができる油圧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、少なくとも、油圧ポンプと、該油圧ポンプを駆動するDCモータと、該油圧ポンプに供給する作動油を貯留するタンクとを備えた油圧装置において、DCモータとバッテリとの間に介在しDCモータに電源供給するコンタクタの入力側と出力側の電位を計測する手段と、その電位差によりコンタクタに流れている電流値を算出する手段と、該算出した電流値とコンタクタの許容連続接点容量及びDCモータの許容連続接点容量に基づき、コンタクタ及びDCモータの許容連続作動時間を算出する手段と、連続運転時間が該算出した許容連続作動時間を越えた場合、コンタクタの接点を遮断する制御手段を有している。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、実際にコンタクタやDCモータに流れている電流値を測定してコンタクタ及びDCモータの電流値に応じた許容連続作動時間を算出しているので、想定外の過大電流が連続して流れ、許容連続作動時間を越えた時点でコンタクタの接点を遮断し、コンタクタやDCモータの焼損、溶着に対する保護ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、本実施例の油圧装置における自動遮断制御機構に関するブロック図、図2は油圧装置を搭載するテールゲートリフタを有した車両である。
【0008】
DCモータ11は、油圧ポンプ12の駆動用モータとして機械的に接続され、油圧ポンプ12により作動油を図示省略の油圧シリンダ等に供給し、リフタL等の荷台51を昇降するよう構成される。また、DCモータ11は、バッテリ13が、コンタクタ14を介して電気的に接続され、コンタクタ14を閉じることによりDCモータ11を駆動するための電流が流れるよう電気的回路が構成される。なお、DCモータ11の一方側は接地される。
【0009】
そして、コンタクタ14は、コンタクタ制御部15により開閉が制御されるが、開閉信号が、演算装置16からこのコンタクタ制御部15に送られる。
【0010】
また、コンタクタ14の前後のA点及びB点にはそれぞれ電位が計測されるよう電気的に演算装置と接続されている。しかして、演算装置16はコンタクタ14における電圧降下の値をリアルタイムでモニタし、流れている電流値を算出するよう構成されている。
【0011】
さらに、演算装置16にはコンタクタ14及びDCモータ11の許容連続接点容量が記憶されており、コンタクタ14を流れている電流値に応じて、許容連続作動時間が算出されるよう構成される。また、演算装置16はDCモータ11が作動開始から連続運転を行っている運転時間を計測するタイマー機能も有する。
【0012】
このような油圧装置において、リフタL等の荷台51の荷物を上昇する際、コンタクタ14を閉じることによりバッテリ13から電力を供給してDCモータ11を駆動し、油圧ポンプ12を駆動して作動油を吐出する。このとき、リフタLの荷台51に過大重量の荷物や作業者が乗った場合、また、動力伝達系に異物が挟み込まれた場合など、DCモータ11には通常使用時の電流に対して、過大な電流が流れる。
【0013】
そこで、本実施例の油圧装置は、コンタクタ14の前後のA点及びB点で電位を測定し、そのコンタクタ14における電圧降下を測定することで、演算装置16では流れている電流値を算出する。さらに演算装置16には、コンタクタ14及びDCモータ11の許容連続接点容量が記憶されており、コンタクタ14を流れている電流値に応じて、コンタクタ14及びDCモータ11の許容連続作動時間が算出される。
【0014】
一方、演算装置16はDCモータ11の運転時間を計測するタイマー機能を有しており、過大電流が流れて通常使用時よりも短い許容連続作動時間に、実際の連続作動時間が達したとき、コンタクタ制御部15に指令を発することで、コンタクタ14を開いてDCモータ11を停止する。これによりコンタクタ14やDCモータ11の焼損、溶着を回避する。
【0015】
なお、本実施例の油圧装置では、過大電流が所定時間、連続して流れることを監視しているので、過大電流で瞬間的であるため、コンタクタ14やDCモータ11が許容できる場合、不用意にコンタクタ14を遮断してDCモータ11の駆動を停止することがなくなり、作業効率を低下させることがない。
【0016】
また、演算装置16に予め電流値を設定し、それ以上の過大電流が流れたとき、警告ランプを点灯したり、瞬間的であってもコンタクタ14やDCモータ11に異常をきたす過大な電流値を設定して、コンタクタ14を遮断したりすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例に係る自動遮断制御機構に関するブロック図。
【図2】本発明の油圧装置を搭載するテールゲートリフタを有した車両を示した図。
【符号の説明】
【0018】
11 DCモータ
12 油圧ポンプ
13 バッテリ
14 コンタクタ
15 コンタクタ制御部
16 演算装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、油圧ポンプと、該油圧ポンプを駆動するDCモータと、該油圧ポンプに供給する作動油を貯留するタンクとを備えた油圧装置において、DCモータとバッテリとの間に介在しDCモータに電源供給するコンタクタの入力側と出力側の電位を計測する手段と、その電位差によりコンタクタに流れている電流値を算出する手段と、該算出した電流値とコンタクタの許容連続接点容量及びDCモータの許容連続接点容量に基づき、コンタクタ及びDCモータの許容連続作動時間を算出する手段と、連続運転時間が該算出した時間を越えた場合、コンタクタの接点を遮断する制御手段を有した油圧装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−218165(P2007−218165A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−39265(P2006−39265)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】