説明

治療剤としての置換ガンマラクタム

【課題】緑内障、炎症性腸疾患及び脱毛症の治療用治療薬として使用し得る化合物を提供する。
【解決手段】EP2作動薬である置換N-フェニル-γ-ラクタムを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2007年4月24日に出願した米国仮出願第61/047,501号の優先権を主張する。この明細書の記載は、本願明細書に全体で含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
眼圧降下剤は、術後又はレーザ線維柱帯切除術後の高眼圧発現、緑内障のような多くの様々な高眼圧状態の治療に、また、術前補助薬として有効である。
緑内障は、眼圧が高いことによって特徴づけられる眼の疾患である。病因に基づいて、緑内障は、原発性又は続発性として分類されている。例えば、成人の原発性緑内障(先天性緑内障)は、開放隅角又は急性もしくは慢性の隅角閉塞のいずれかであり得る。続発性緑内障は、ブドウ膜炎、眼内腫瘍又は水晶体の肥大化のような先行する眼疾患から生じる。
原発性緑内障の基礎にある原因は、まだ知られていない。眼圧上昇は、房水流出の閉塞による。慢性開放隅角緑内障において、前眼房とその解剖構造は正常に見えるが、房水の流出が妨げられている。急性或いは慢性の閉塞隅角緑内障において、前眼房は浅く、ろ過隅度は狭く、虹彩はシュレム管の入口で線維柱帯網を閉塞することになる。瞳孔散大により、虹彩根部が隅角に対して前方に押されることになり、瞳孔ブロックを生じるので、急性発作を引き起こすことがあり得る。前眼房隅角が狭い眼は、様々な重症度の急性閉塞隅角緑内障発作に罹りやすくなる。
【0003】
続発性緑内障は、後眼房から前眼房へ、その後、シュレム管への房水の流れが妨害されることによって引き起こされる。前部の炎症性疾患は、膨隆虹彩の完全な虹彩後癒着を引き起こすことによって水の散逸を阻止することになり、浸出液で排水路を塞ぐことがあり得る。他の一般の原因は、眼内腫瘍、水晶体の肥大化、網膜中心静脈閉塞症、眼の外傷、手術方法、眼内出血である。
すべてのタイプを合わせて考慮すると、緑内障は、40歳を超えるすべての人の約2%で起こり、視力の急速な低下に進行する前の数年間は無症状であり得る。手術が適応でない場合においては、従来は、局所性β-アドレナリン受容体拮抗薬が緑内障を治療するのに選択する薬剤であった。
ある種のエイコサノイド及びそれらの誘導体が、緑内障管理のための使用に現在市販されている。エイコサノイド及び誘導体は、プロスタグランジン及びそれらの誘導体のような非常に多くの生物学的に重要な化合物を含む。プロスタグランジンは、以下の構造式を有するプロスタン酸誘導体として記載することができる:
【0004】
【化1】

【0005】
プロスタン酸骨格の脂環式環に有する構造及び置換基によって、様々な種類のプロスタグランジンが既知である。包括的な種類のプロスタグランジンの後の数字の添え字によって示される側鎖の不飽和結合の数[例えばプロスタグランジンE1(PGE1)、プロスタグランジンE2(PGE2)]、及びα又はβで示される脂環式環についての置換基の配置[例えばプロスタグランジンF(PGF)]に基づいて更に分類される。
プロスタグランジンEP2選択的作動薬は、いくつかの医学的用途を有すると考えられる。例えば、米国特許第6,437,146号には、“関節や筋肉の炎症や疼痛(例えば、関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、骨関節炎、痛風関節炎、若年性関節炎等)、炎症性皮膚症状(例えば、日焼け、熱傷、湿疹、皮膚炎等)、炎症性眼症状(例えば、結膜炎等)、炎症が関係している肺障害(例えば、喘息、気管支炎、鳩飼病、農夫肺等)、炎症(例えば、アフタ性潰瘍、クローン病、萎縮性胃炎、胃炎治療、潰瘍性大腸炎、セリアック病、限局性回腸炎、過敏性腸症候群等)と関連している胃腸管の症状、手術又は損傷後の歯肉炎、炎症、疼痛及び腫れ、炎症と関連している発熱、疼痛及び他の症状、アレルギー性疾患、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発筋炎、腱炎、滑液包炎、結節性動脈周囲炎、リウマチ熱、シェーグレン症候群、ベーチェット病、甲状腺炎、1型糖尿病、糖尿病性合併症(糖尿病性微小血管障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症等)、ネフローゼ症候群、再生不良性貧血、重症筋無力症、ブドウ膜炎接触性皮膚炎、乾癬、川崎病、サルコイドーシス、ホジキン病、アルツハイマー病、腎機能不全(腎炎、腎炎症候群等)、肝機能不全(肝炎、肝硬変等)、胃腸機能不全(下痢、炎症性腸疾患等)、ショック、骨代謝異常を特徴とする骨疾患、例えば骨粗鬆症(特に、閉経後骨粗鬆症)、高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症、パジェット骨疾患、骨溶解、骨転移の有無にかかわらず悪性腫瘍の高カルシウム血症、関節リウマチ、歯周病、骨関節炎、骨痛、骨減少症、癌悪液質、結石症、結石(特に、尿石症)、固形癌、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、浮腫(例えば、心臓性浮腫、脳浮腫等)、高血圧症、例えば悪性高血圧等、月経前緊張、尿結石、乏尿症、例えば急性不全又は慢性不全によって引き起こされるもの、リン酸塩尿症等を治療するか又は予防するための”プロスタグランジンEP2選択的作動薬の使用が教示されている。
米国特許第6,710,072号には、“骨粗鬆症、便秘、腎臓障害、性機能不全、脱毛症、糖尿病、癌及び免疫調節異常における…急性心筋梗塞、血管血栓症、高血圧症、肺高血圧症、虚血性心疾患、鬱血性心不全、及び狭心症を含む種々の病態生理学的疾患”の治療又は予防のためのEP2作動薬の使用が教示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
緑内障、炎症性腸疾患、発毛刺激、及び毳毛の硬毛への変換の刺激を治療するのに有効な化合物を本明細書に開示する。化合物自体を以下に開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施態様は、下記式の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩又はプロドラッグである
【0008】
【化2】

【0009】
(式中、Yは、
【0010】
【化3】

【0011】
である)。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において緑内障及び/又は高眼圧を治療及び/又は予防するために用いられる。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において緑内障及び/又は高眼圧の治療及び/又は予防用薬剤の製造に用いられる。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において脱毛症の治療用薬剤の製造に用いられる。
他の実施態様は、前記化合物、及び/又はその塩、及び/又はそのプロドラッグを含む組成物であり、ここで、前記組成物は、眼科的に許容され得る。
プロスタグランジンEP2活性に関連した本明細書に挙げられるあらゆる疾患及び/又は症状の、治療及び/又は予防における、及び/又は治療及び/又は予防用薬剤の製造におけるこの化合物の使用もまた企図される。
他の実施態様は、下記式の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩又はプロドラッグである
【0012】
【化4】

【0013】
(式中、Yは、
【0014】
【化5】

【0015】
である)。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において緑内障及び/又は高眼圧を治療及び/又は予防するために用いられる。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において緑内障及び/又は高眼圧の治療及び/又は予防用薬剤の製造に用いられる。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において脱毛症の治療用薬剤の製造に用いられる。
他の実施態様は、前記化合物、及び/又はその塩、及び/又はそのプロドラッグを含む組成物であり、ここで、前記組成物は、眼科的に許容され得る。
プロスタグランジンEP2活性に関連した本明細書に挙げられるあらゆる疾患及び/又は症状の、治療及び/又は予防における、及び/又は治療及び/又は予防用薬剤の製造におけるこの化合物の使用もまた企図される。
他の実施態様は、下記式の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩又はプロドラッグである
【0016】
【化6】

【0017】
(式中、Yは、
【0018】
【化7】

【0019】
である)。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において緑内障及び/又は高眼圧を治療及び/又は予防するために用いられる。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において緑内障及び/又は高眼圧の治療及び/又は予防用薬剤の製造に用いられる。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において脱毛症の治療用薬剤の製造に用いられる。
他の実施態様は、前記化合物、及び/又はその塩、及び/又はそのプロドラッグを含む組成物であり、ここで、前記組成物は、眼科的に許容され得る。
プロスタグランジンEP2活性に関連した本明細書に挙げられるあらゆる疾患及び/又は症状の、治療及び/又は予防における、及び/又は治療及び/又は予防用薬剤の製造におけるこの化合物の使用もまた企図される。
他の実施態様は、下記式の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩又はプロドラッグである
【0020】
【化8】

【0021】
(式中、Yは、
【0022】
【化9】

【0023】
である)。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において緑内障及び/又は高眼圧を治療及び/又は予防するために用いられる。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において緑内障及び/又は高眼圧の治療及び/又は予防用薬剤の製造に用いられる。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において脱毛症の治療用薬剤の製造に用いられる。
他の実施態様は、前記化合物、及び/又はその塩、及び/又はそのプロドラッグを含む組成物であり、ここで、前記組成物は、眼科的に許容され得る。
プロスタグランジンEP2活性に関連した本明細書に挙げられるあらゆる疾患及び/又は症状の、治療及び/又は予防における、及び/又は治療及び/又は予防用薬剤の製造におけるこの化合物の使用もまた企図される。
他の実施態様は、下記式の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩又はプロドラッグである
【0024】
【化10】

【0025】
(式中、Yは、
【0026】
【化11】

【0027】
である)。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において緑内障及び/又は高眼圧を治療及び/又は予防するために用いられる。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において緑内障及び/又は高眼圧の治療及び/又は予防用薬剤の製造に用いられる。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において脱毛症の治療用薬剤の製造に用いられる。
他の実施態様は、前記化合物、及び/又はその塩、及び/又はそのプロドラッグを含む組成物であり、ここで、前記組成物は、眼科的に許容され得る。
プロスタグランジンEP2活性に関連した本明細書に挙げられるあらゆる疾患及び/又は症状の、治療及び/又は予防における、及び/又は治療及び/又は予防用薬剤の製造におけるこの化合物の使用もまた企図される。
他の実施態様は、下記式の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩又はプロドラッグである
【0028】
【化12】

【0029】
(式中、Yは、
【0030】
【化13】

【0031】
である)。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において緑内障及び/又は高眼圧を治療及び/又は予防するために用いられる。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において緑内障及び/又は高眼圧の治療及び/又は予防用薬剤の製造に用いられる。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において脱毛症の治療用薬剤の製造に用いられる。
他の実施態様は、前記化合物、及び/又はその塩、及び/又はそのプロドラッグを含む組成物であり、ここで、前記組成物は、眼科的に許容され得る。
プロスタグランジンEP2活性に関連した本明細書に挙げられるあらゆる疾患及び/又は症状の、治療及び/又は予防における、及び/又は治療及び/又は予防用薬剤の製造におけるこの化合物の使用もまた企図される。
他の実施態様は、下記式の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩又はプロドラックである
【0032】
【化14】

【0033】
(式中、Yは、
【0034】
【化15】

【0035】
である)。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において緑内障及び/又は高眼圧を治療及び/又は予防するために用いられる。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において緑内障及び/又は高眼圧の治療及び/又は予防用薬剤の製造に用いられる。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において脱毛症の治療用薬剤の製造に用いられる。
他の実施態様は、前記化合物、及び/又はその塩、及び/又はそのプロドラッグを含む組成物であり、ここで、前記組成物は、眼科的に許容され得る。
プロスタグランジンEP2活性に関連した本明細書に挙げられるあらゆる疾患及び/又は症状の、治療及び/又は予防における、及び/又は治療及び/又は予防用薬剤の製造におけるこの化合物の使用もまた企図される。
他の実施態様は、下記式の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩又はプロドラックである
【0036】
【化16】

【0037】
(式中、Yは、
【0038】
【化17】

【0039】
である)。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において緑内障及び/又は高眼圧を治療及び/又は予防するために用いられる。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において緑内障及び/又は高眼圧の治療及び/又は予防用薬剤の製造に用いられる。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において脱毛症の治療用薬剤の製造に用いられる。
他の実施態様は、前記化合物、及び/又はその塩、及び/又はそのプロドラッグを含む組成物であり、ここで、前記組成物は、眼科的に許容され得る。
プロスタグランジンEP2活性に関連した本明細書に挙げられるあらゆる疾患及び/又は症状の、治療及び/又は予防における、及び/又は治療及び/又は予防用薬剤の製造におけるこの化合物の使用もまた企図される。
他の実施態様は、下記式の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩又はプロドラックである
【0040】
【化18】

【0041】
(式中、Yは、
【0042】
【化19】

【0043】
である)。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において緑内障及び/又は高眼圧を治療及び/又は予防するために用いられる。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において緑内障及び/又は高眼圧の治療及び/又は予防用薬剤の製造に用いられる。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において脱毛症の治療用薬剤の製造に用いられる。
他の実施態様は、前記化合物、及び/又はその塩、及び/又はそのプロドラッグを含む組成物であり、ここで、前記組成物は、眼科的に許容され得る。
プロスタグランジンEP2活性に関連した本明細書に挙げられるあらゆる疾患及び/又は症状の、治療及び/又は予防における、及び/又は治療及び/又は予防用薬剤の製造におけるこの化合物の使用もまた企図される。
他の実施態様は、下記式の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩又はプロドラックである
【0044】
【化20】

【0045】
(式中、Yは、
【0046】
【化21】

【0047】
である)。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において緑内障及び/又は高眼圧を治療及び/又は予防するために用いられる。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において緑内障及び/又は高眼圧の治療及び/又は予防用薬剤の製造に用いられる。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において脱毛症の治療用薬剤の製造に用いられる。
他の実施態様は、前記化合物、及び/又はその塩、及び/又はそのプロドラッグを含む組成物であり、ここで、前記組成物は、眼科的に許容され得る。
プロスタグランジンEP2活性に関連した本明細書に挙げられるあらゆる疾患及び/又は症状の、治療及び/又は予防における、及び/又は治療及び/又は予防用薬剤の製造におけるこの化合物の使用もまた企図される。
他の実施態様は、下記式の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩又はプロドラックである
【0048】
【化22】

【0049】
(式中、Yは、
【0050】
【化23】

【0051】
である)。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において緑内障及び/又は高眼圧を治療及び/又は予防するために用いられる。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において緑内障及び/又は高眼圧の治療及び/又は予防用薬剤の製造に用いられる。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において脱毛症の治療用薬剤の製造に用いられる。
他の実施態様は、前記化合物、及び/又はその塩、及び/又はそのプロドラッグを含む組成物であり、ここで、前記組成物は、眼科的に許容され得る。
プロスタグランジンEP2活性に関連した本明細書に挙げられるあらゆる疾患及び/又は症状の、治療及び/又は予防における、及び/又は治療及び/又は予防用薬剤の製造におけるこの化合物の使用もまた企図される。
他の実施態様は、下記式の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩又はプロドラックである
【0052】
【化24】

【0053】
(式中、Yは、
【0054】
【化25】

【0055】
である)。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において緑内障及び/又は高眼圧を治療及び/又は予防するために用いられる。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において緑内障及び/又は高眼圧の治療及び/又は予防用薬剤の製造に用いられる。
他の実施態様において、前記化合物、その塩、及び/又はそのプロドラッグは、哺乳動物において脱毛症の治療用薬剤の製造に用いられる。
他の実施態様は、前記化合物、及び/又はその塩、及び/又はそのプロドラッグを含む組成物であり、ここで、前記組成物は、眼科的に許容され得る。
【0056】
プロスタグランジンEP2活性に関連した本明細書に挙げられるあらゆる疾患及び/又は症状の、治療及び/又は予防における、及び/又は治療及び/又は予防用薬剤の製造におけるこの化合物の使用もまた企図される。
本明細書に開示される化合物は、哺乳動物における緑内障又は高眼圧の予防又は治療に、又は緑内障又は高眼圧の治療用薬剤の製造に有効である。これらは、また、プロスタグランジンEP2作動薬、例えばすでに記載されたもの、によって治療に適している当該技術において開示された疾病の治療に有効である。
【0057】
“医薬的に許容され得る塩”は、親化合物の活性を保持し、親化合物と比較して、投与される被検者に対してまた投与されるのに関連して追加の有害な又は厄介な作用を与えない任意の塩である。医薬的に許容され得る塩は、また、酸、他の塩、又は酸或いは塩に変換されるプロドラッグの投与の結果として生体内で形成することができる任意の塩を意味する。
酸性官能基の医薬的に許容され得る塩は、有機又は無機塩基から誘導することができる。塩は、一価又は多価イオンを含むことができる。無機イオンのリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムが特に興味深い。有機塩は、アミン、特に、モノ-、ジ-及びトリアルキルアミン又はエタノールアミンのようなアンモニウム塩によって製造することができる。塩は、また、カフェイン、トロメタミン及び同様の分子によって形成することができる。塩酸又はある他の医薬的に許容され得る酸は、アミン又はピリジン環のような塩基性基を含む化合物と塩を形成することができる。
【0058】
“プロドラッグ”は、投与後に治療的に活性な化合物に変換される化合物であり、この用語は、当該技術において一般に理解されているように本明細書においても広く解釈すべきである。本発明の範囲を制限するものではないが、変換は、エステル基又はある他の生物学的に不安定な基の加水分解によって生じることができる。一般的には、必ずではなく、プロドラッグは、変換される治療的に活性な化合物よりも不活性であるか又はあまり活性でない。本明細書において開示される化合物のエステルプロドラッグが特に企図される。エステルは、C1のカルボン酸(即ち、天然プロスタグランジンの末端カルボン酸)から誘導されてもよく、又はエステルは、フェニル環についてのように分子の他の部分についてのカルボン酸官能基から誘導されてもよい。限定するものではないが、エステルは、アルキルエステル、アリールエステル、又はヘテロアリールエステルであってもよい。用語アルキルは、当業者が一般的に理解している意味を有し、直鎖、分枝鎖、又は環状アルキル部分を意味する。C1-6アルキルエステルが特に有効であり、ここで、エステルのアルキル成分は、炭素原子1〜6個を有し、炭素原子1〜6個を有するメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル異性体、ヘキシル異性体、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びこれらの組み合せが含まれるがこれらに限定されない。
代謝産物は、開示された化合物から生体内で形成される化合物として広く定義される。
【0059】
薬剤の投与又は製造について、本明細書に開示される化合物が当該技術においてそれ自体周知である医薬的に許容され得る賦形剤と混合し得ることを当業者は容易に理解し得るであろう。特に、全身投与すべき薬剤は、経口投与又は非経口投与又は吸入に適する粉末、丸剤、錠剤等として、或いは溶液、エマルジョン、懸濁液、エアゾール、シロップ又はエリキシル剤として調製することができる。
固体剤形又は薬剤について、非毒性固体担体としては、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、ポリアルキレングリコール、タルカム、セルロース、グルコース、スクロース及び炭酸マグネシウムが挙げられるがこれらに限定されない。固体剤形は、被覆されてなくてもよく、胃腸管における崩壊及び吸収を遅らさせ、それによって、長時間にわたって持続作用を与える既知の方法によって被覆されていてもよい。例えば、グリセリルモノステアレート又はグリセリルジステアレートのような時間遅延物質が使われてもよい。また、制御放出用の浸透性治療用錠剤を形成するために、米国特許第4,256,108号; 同第4,166,452号; 及び同第4,265,874号に記載された方法によって被覆されていてもよい。医薬的に投与可能な液体剤形は、例えば、現在有効な化合物の1つ以上及び選択的医薬用補助剤を、担体、例えば、水、生理食塩水、含水デキストロース、グリセロール、エタノール等に溶解又は懸濁させたものを含み、それによって、溶液又は懸濁液を形成することができる。必要に応じて、投与すべき医薬組成物は、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤等の少量の非毒性補助物質を含有してもよい。このような助剤の典型例は、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウム、トリエタノールアミンオレエート等である。このような剤形の実際の調製方法は、当業者に既知であり、明らかでもある; 例えば、Remington's Pharmaceut ical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pa., 16th Edition, 1980を参照されたい。投与すべき製剤の組成物は、いずれにしても、現在有効な化合物の1つ以上の量を所望の治療効果を得るのに効果的な量で含有する。
非経口投与は、一般的には、皮下、筋肉内または静脈内のいずれかの注射を特徴とする。注射用剤は、通常の剤形で、液体の溶液又は懸濁液、注入前に液体中溶液又は懸濁液に適する固体剤形、又はエマルジョンのいずれかとして調製し得る。適切な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等である。更に、必要に応じて、投与される注射用医薬組成物は、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤等のような少量の非毒性補助物質を含有してもよい。
【0060】
投与される現在有効な1つ又は複数の化合物の量は、勿論、所望される1つ又は複数の治療効果、治療される個々の哺乳動物、哺乳動類の症状の重篤度及び種類、投与方法、使われる具体的な1つ又は複数の化合物の有効性及び薬力学、並びに処方医師の判断による。現在有効な1つ又は複数の化合物の治療的に有効な用量は、好ましくは約0.5又は約1〜約100mg/kg/日の範囲内である。
眼科的に許容され得る液体は、眼に局所投与し得るように配合される。快適性を可能な限り最大にするべきであるが、しばしば処方の検討(例えば、薬剤安定性)が最適よりも低い快適性を必要とすることがあり得る。快適性を最大にすることができない場合、液体は、液体が患者にとって局所眼科使用に許容できるように配合されるべきである。更に、眼科的に許容され得る液体は、単回使用に包装されるか、又は多数回使用に対する汚染を防止するために防腐剤を含有しなければならない。
眼科用途について、液剤又は薬剤は、主賦形剤として生理食塩溶液を用いてしばしば調製される。眼科用液剤は、好ましくは、適切な緩衝系によって快適なpHに維持すべきである。製剤は、また、慣用の医薬的に許容され得る防腐剤、安定剤及び界面活性剤を含有してもよい。
【0061】
本発明の医薬組成物に用いることができる防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀及び硝酸フェニル水銀が挙げられるがこれらに限定されない。有効な界面活性剤は、例えば、Tween 80である。同様に、各種の有効な賦形剤を、本発明の眼科用製剤に用いてもよい。これらの賦形剤としては、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及び精製水が挙げられるがこれらに限定されない。
張度調整剤は、必要に応じて又は便宜上添加されてもよい。張度調整剤としては、塩類、特に、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール及びグリセリン; 或いは任意の他の適切な眼科的に許容され得る張度調整剤が挙げられるがこれらに限定されない。
pHを調整するための種々の緩衝液及び手段は、得られた製剤が眼科的に許容され得る限り用いることができる。従って、緩衝液としては、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液及びホウ酸緩衝液が挙げられる。これらの製剤のpHを必要に応じて調整するのに酸又は塩基を用いることができる。
同様な傾向において、本発明に用いられる眼科的に許容され得る酸化防止剤としては、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチル化ヒドロキシアニソール及びブチル化ヒドロキシトルエンが挙げられるがこれらに限定されない。
眼科用製剤に含まれてもよい他の賦形剤成分は、キレート化剤である。有効なキレート剤は、エデト酸二ナトリウムであるが、他のキレート化剤もエデト酸二ナトリウムの代りに又は併用して用いてもよい。
【0062】
これらの成分は、通常、下記の量で用いられる:
成分 量 (% w/v)
有効成分 約0.001-5
防腐剤 0-0.10
賦形剤 0-40
張度調整剤 1-10
緩衝剤 0.01-10
pH調整剤 適量pH 4.5-7.5
酸化防止剤 必要に応じて
界面活性剤 必要に応じて
精製水 100%にする
【0063】
発毛を促進させるための用途
一実施態様において、本明細書に開示される化合物は、脱毛症及び/又は抜け毛の治療に有効であり得る。脱毛(脱毛症)は、正常な又は異常な毛髪の欠損であり、主にヒトにおける美容上の問題である。これは、硬毛の欠損、広い直径、すぐに見える着色した毛髪である。しかしながら、いわゆる毛髪のない人において、硬毛の欠如が顕著であるが、皮膚は毳毛を含有し、これは存在を決定するために顕微鏡試験を必要とすることがあり得る細い無色の毛髪である。この毳毛は、硬毛の前駆体である。
本明細書に記載される化合物は、硬毛としての成長に対する毳毛の変換だけでなく、硬毛の成長速度を増加させることができることのように、促進させるために使用し得る。発毛のシミュレーションのために本明細書に記載される化合物の効用を以下の通り発見した。
緑内障を有する患者を治療する過程で、治療は、一方の眼にのみ適切であり得る。毎日の実施の過程の間に、ビマトプロスト、プロスタグランジン類似体で治療された患者が治療されていない眼より治療された眼においてより長く、より厚く、且つより充分な睫毛がはえることを発見した。調べてみると、違いが非常に著しいことがわかった。睫毛は、より長く、治療された眼においてより充分で、より密集した外観を有した。治療した眼の眼瞼上の睫毛の外観は、これが両側の現象を表す場合には非常に魅力的であると思われた。非対称性の結果として、一方の側の長い睫毛は、美容上の観点を妨げるものとして解釈され得る。体系的試験は、非対称の現象の結果として前もって作られた。この外観の変化が単独所見でないことは、まもなく明らかになった。一方の眼だけでビマトプロストを用いた患者の眼瞼を比較すると、数人の患者においてビマトプロスト治療の側の睫毛と隣接の毛に微妙な変化が示された。6ヶ月より長く片側に薬剤を用いているすべて患者の睫毛及び隣接の毛において種々の程度まで明確な違いを確認することができた。
【0064】
睫毛の変化は、注意をその問題に集中すると数人の患者に肉眼による検査で明らかであった。明るい色の毛をもつ患者と睫毛における違いは、高倍率及び細隙灯顕微鏡の能力の助けでのみ容易に見られた。緑内障追跡試験の過程で、たいてい直ちに眼自体に注意を集中する。必要な高電力倍率の結果として、一方の眼だけが一回見られ、充分な高電力で睫毛の焦点が合っていない眼が見られる。これらのより高い電力での両眼の間の睫毛非対称は、両眼の眼瞼の睫毛と隣接の毛の注意深い体系的比較によらない限りおそらく気が付かない。
より強力な毛の成長がプロスタグランジン類似体の投与後の治療領域に生じるという結論につながることが認められたパラメーターは、複数であった。これには、睫毛の長さが長くなった、正常な睫毛ラインに沿って睫毛の数が増加した、睫毛の厚み及び光沢が増加した、正常な睫毛の成長の領域に隣接した移行領域において補助睫毛のような硬毛が増加した、内側と外側の眼角領域に補助睫毛のような硬毛が増加した、睫毛の色素沈着が増加した、数が増加した、長さが増加しただけでなく、隣接の眼瞼の皮膚上の細かい毛の光沢及び厚みが増加した、最後に、睫毛及び睫毛のような硬毛の垂直な角のある形が増加したことが含まれる。このように発毛がビマトプロストのようなプロスタグランジンの類似体によって促進されるという結論は、単一のパラメーターの違いの証拠によって支持されず、多くの被検者の対照領域に対して治療された領域における毛の外観の複数のパラメーターに基づくものである。
本明細書に記載される化合物は、プロスタグランジン類似体であり、それ故ビマトプロストと同様の活性を有し、構造類似性を含有し、それ故発毛及び毳毛の硬毛への変換の刺激を促進させることが予想される。一実施態様において、本明細書に記載される化合物及びそれらのプロドラッグは、発毛の刺激に使用し得る。本明細書に用いられる発毛には、頭皮、眉毛、眼瞼、あごひげ、及び動物の皮膚の他の領域と関連している毛が含まれる。
【0065】
一実施態様において、化合物は、皮膚科学的に適合する賦形剤又は担体と混合される。本明細書に記載される組成物を調製するのに使うことができる賦形剤は、例えば、水溶液、例えば生理食塩水、油剤、又は軟膏を含んでもよい。賦形剤は、更に、皮膚科学的に適合する防腐剤、例えば、塩化ベンザルコニウム、界面活性剤、例えば、ポリソルベート80、リポソーム又はポリマー、例えば、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸を含有してもよい; これらは、粘度を増加させるのに用いてもよい。更にまた、薬剤が投与されるときに可溶性又は不溶性薬剤挿入物を用いることも可能である。
一実施態様において、皮膚科学的組成物は、効果的な発毛をシミュレートする量の上で定義した1つ以上の化合物及び皮膚科学的に適合する担体を含む発毛の刺激用の局所治療に配合され得る。活性化合物の効果的な量は、当業者によって決定することができるが使われる化合物、適用頻度及び望ましい結果によって異なる。化合物は、一般的には、皮膚科学的組成物の約0.0000001〜約50質量%である。化合物は、好ましくは、全皮膚科学的組成物の約0.001〜約50質量%、より好ましくは、組成物の約0.1〜約30質量%である。
【0066】
一実施態様において、発毛の刺激のための本化合物の適用は、ヒト及び動物双方を含む哺乳動物種の適用とする。ヒトにおいて、本明細書に記載される化合物は、例えば、頭皮、あごひげ、頭、恥骨領域、上唇、眉毛、及び眼瞼に適用され得る。毛皮として飼育されている動物、例えば、ミンクにおいて、本明細書に記載される化合物は、商業的な理由で全体の毛皮を改善するために体の全表面に対してて適用され得る。プロセスは、また、動物において美容上の理由で用いることができ、例えば、疥癬又は或る程度の脱毛を引き起こす他の疾病によるはげた部分を有するイヌやネコの皮膚に適用される。
発毛の刺激のために企図される医薬組成物には、局所及び局所作用に適した医薬組成物が含まれる。本明細書に使われる用語“局所”は、本明細書に記載されるように、適切な医薬担体に組み込まれ、且つ局所作用を働かせるために薄くなっている毛髪或いは脱毛の部位に適用される化合物の使用に関する。従って、このような局所組成物には、化合物が治療される皮膚との直接の接触によって外部から適用される医薬形態が含まれる。このための慣用の医薬形態は、軟膏剤、リニメント剤、クリーム剤、シャンプー剤、ローション剤、パスタ剤、ゼリー剤、噴霧剤、エアゾール剤等を含み、治療される体の部分によっては貼付剤或いは含浸包帯において適用されてもよい。用語“軟膏剤”は、油脂性、水溶性及びエマルション型基剤、例えば、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコールだけでなく、これらの混合物を有する製剤(クリーム剤を含む)を包含する。
典型的には、化合物は、局所的に治療される体の部分、例えば、眼瞼、眉毛、皮膚又は頭皮に持続時間繰り返し適用され得る。好ましい用法・用量は、一般的には、毎日のような規則的な投与を、少なくとも1ヶ月、より好ましくは少なくとも3ヶ月、最も好ましくは少なくとも6ヶ月の治療期間必要とする。
【0067】
眼瞼又は眉毛に対する局所使用については、活性化合物は、医薬的に許容され得る緩衝液及び塩の添加によって生理的に許容され得る浸透圧モル濃度を示す水性溶液、クリーム剤、軟膏剤、又は油中に配合され得る。このような製剤は、ディスペンサによっては、添加剤として、防腐剤、例えば、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、パラヒドロキシ安息香酸、フェニル水銀塩、例えば、硝酸塩、塩化物、酢酸塩、ホウ酸塩、又は酸化防止剤だけでなく、EDTA、ソルビトール、ホウ酸等のような添加剤を含有してもよく、含有しなくてもよい。更にまた、特に水溶液は、粘度増加剤、例えば、多糖類、例えば、メチルセルロース(例えば、ムコ多糖類、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸、又はポリアルコール、例えば、ポリビニルアルコールを含有することができる。種々の持続放出ゲル剤やマトリックスだけでなく、例えば、その場ゲル剤を形成する物質に基づき、可溶性及び不溶性眼挿入物が使われてもよい。用いられる実際の製剤及び化合物によっては、種々の量の薬剤及び異なる投与法が使われてもよい。典型的には、眼瞼の治療用の化合物の1日の量は、眼瞼に対して約0.1ng〜約100mgであり得る。
【0068】
皮膚及び頭皮に対する局所使用について、化合物は、有利には、有効成分の担体として軟膏剤、クリーム剤、リニメント剤又は貼付剤を用いて配合され得る。また、これらの製剤は、用いるディスペンサ及び種類によっては、防腐剤を含有してもよく、含有しなくてもよい。このような防腐剤としては、上述したもの及びメチル-、プロピル-、又はブチル-パラヒドロキシ安息香酸、ベタイン、クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム等が挙げられる。持続放出送達のための種々のマトリックスもまた、用いることができる。典型的には、頭皮に適用される投与量は、化合物及び製剤によっては、1日約0.1ng〜約100mg、より好ましくは1日1ng〜約10mg、最も好ましくは1日約10ng〜約1mgである。1日量の薬剤を達成するために、製剤によっては、化合物は、酸化防止剤の有無にかかわらず、1日1回又は数回投与されてもよい。
局所使用について、本明細書に開示される化合物を含有するクリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、液剤又は懸濁剤等が使われる。局所製剤は、一般的には、医薬担体、共溶媒、乳化剤、浸透促進剤、防腐剤系、及び皮膚軟化剤から構成されてもよい。
本発明の活性化合物の実際の投与量は、個々の化合物、及び治療される状態に左右される; 適切な投与量の選択は、当業者の知識の範囲内でよい。
本明細書に開示される化合物は、また、緑内障又は他の症状の治療に有効な他の薬剤と組み合わせても有効である。
【実施例】
【0069】
スキーム 1
【0070】
【化26】

【0071】
実施例 1
工程 1. 1をアリール化して2を得る
1,4-ジオキサン(25 mL)中のアミド1 (3.30 g、14.4ミリモル)の溶液を4,5-ビス(チルフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(キサントス、600 mg、1.04ミリモル)、Pd2(dba)3 (317 mg、0.35ミリモル)及びCs2CO3 (6.46 g、19.8ミリモル)の混合物に添加した。1-ブロモ-4-tert-ブチルベンゼン(2.40 mL、13.8ミリモル)を添加し、この反応混合液を窒素でパージした。この混合液を19時間加熱還流し、次に室温に冷却した。次に、この反応混合液をセライトでろ過し、CH2Cl2で洗浄し、ろ液を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィー(10% → 20% EtOAc/ヘキサン、勾配)で精製して、3.53 g (71%)の所望の生成物2を得た。
工程 2. 2を脱保護して3を得る
プラスチックびんの中のMeCN (20 mL)中のシリルエーテル2 (3.53 g、9.76ミリモル)の溶液にHF-ピリジン(5 mL)を添加した。この反応液を室温で5時間撹拌し、次にNaHCO3 飽和水溶液(250 mL)で急冷した。この混合液をEtOAc (3×100 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(150 mL)で洗浄し、次に乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮して、2.14 g (89%)の所望の生成物3を得た。
【0072】
工程 3. 3をアルキル化して4のエステルを得る
窒素下0℃においてTHF (3 mL)中のアルコール3 (100 mg、0.40ミリモル)の溶液に水素化ナトリウム(11 mg、0.46ミリモル)を添加した。0℃で1時間後、メチル5-ブロモバレエート(67 μL、0.47ミリモル)を添加し、この反応液を室温に温めた。3時間後、tlc分析はほとんど残存する出発アルコールを示し、他の部分のブロマイド(67 μL、0.47ミリモル)を添加した。22時間後、この反応液を1 N HClで急冷し、EtOAc (3×25 mL)で抽出した。合わせた抽出液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィー(40% EtOAc/ヘキサン→ EtOAc、勾配)で精製して、19 mg (13%)の所望のエステルを得た。
【0073】
工程 4. けん化して4を得る
THF (0.7 mL)中の上記工程3からのエステル(12.3 mg、0.034ミリモル)の溶液に水酸化リチウム水溶液(1 N、0.5 mL)を添加した。室温で2.5時間後、この反応液を0.25 M HCl (5 mL)で酸性にし、次にCH2Cl2 (3×7 mL)で抽出した。合わせた抽出液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮して、10.2 mg (86%)の化合物4を得た。
工程 5. 化合物8a及び8b
室温でCH2Cl2中の化合物4の溶液にトリエチルアミン及びエチルクロロホーメートを順次添加する。2.5時間後、トリエチルアミン及びエチレングリコールを添加する。室温で一晩撹拌した後、この反応混合液をH2OとCH2Cl2に分配する。相を分離し、水相をCH2Cl2 (2×)で抽出する。合わせた有機相を1 N HClで洗浄し、次に乾燥(MgSO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮する。残留物をシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィー(10% CH3OH / CH2Cl2)で精製して、化合物8aを得る。
室温でCH2Cl2中の化合物4の溶液にトリエチルアミン及びエチルクロロホーメートを順次添加する。2.5時間後、リエチルアミン及び4-(2-ヒドロキシエチル)モルフィンを添加する。室温で一晩撹拌した後、この反応混合液をH2OとCH2Cl2に分配する。相を分離し、水相をCH2Cl2 (2×)で抽出する。合わせた有機相を1 N HClで洗浄し、次に乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮する。残留物をシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィー(10% CH3OH / CH2Cl2)で精製して、化合物8bを得る。
【0074】
実施例 2
工程 1. 3をアルキル化して5のエステルを得る
0℃でTHF (3 mL)中のアルコール3 (130 mg、0.53ミリモル)の溶液に水素化カリウム(23.4 mg、0.58ミリモル)及び18-クラウン-6 (167 mg、0.63ミリモル)を順次添加した。0℃で1時間後、THF (1.5 mL)中のメチル3-(クロロメチル)ベンゾエートの溶液(対応する酸塩化物、ピリジン及びメタノールから調製した: J. Org. Chem. 1988, 53, 2548-2552を参照のこと; 116 mg、0.63ミリモル)をカニューレによって添加し、この反応液を室温に温めた。22.5時間後、この反応液を0.1 N HCl (10 mL)で急冷し、EtOAc (3×15 mL)で抽出した。合わせた抽出液をNaHCO3飽和水溶液(15 mL)及び食塩水(15 mL)で洗浄し、次に乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィー(30% → 50% EtOAc/ヘキサン、勾配)で精製して、66 mg (32%)の所望のエステルを得た。
【0075】
工程 2. けん化して5を得る
THF (0.75 mL)中の上記工程1からのエステル(33.5 mg、0.085ミリモル)の溶液に水酸化リチウム水溶液(1 N、0.4 mL)を添加した。室温で3.5時間後、この反応液を0.25 M HCl (5 mL)で酸性にし、次にCH2Cl2 (3×10 mL)で抽出した。合わせた抽出液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィー(2% MeOH/CH2Cl2)、次に分取用薄層クロマトグラフィー(10% MeOH/CH2Cl2)で精製して、6.6 mg (20%)の化合物5を得た。
工程 3. 化合物9a及び9b
実施例1、工程5に従って、化合物5から化合物9a及び9bを調製する。
【0076】
実施例 3
工程 1. 3をアルキル化して6のエステルを得る
0℃でTHF (4 mL)中のアルコール3溶液(150 mg、0.61ミリモル)に水素化カリウム(27 mg、0.67ミリモル)及び18-クラウン-6 (193 mg、0.73ミリモル)を順次添加した。0℃で1時間後、THF (1 mL)中のエチル5-クロロメチルフラン-2-カルボキシレート(Aldrich Chemical社から市販されている、138 mg、0.73ミリモル)をカニューレによって添加し、この反応液を室温に温めた。18.5時間後、この反応液を0.25 N HCl (10 mL)で急冷し、EtOAc (3×15 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(20 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィー(20% → 50% EtOAc/ヘキサン、勾配)で精製して、78 mg (32%)の所望のエステルを得た。
工程 2. けん化して6を得る
THF (0.5 mL)中の記工程1からのエステル(66.7 mg、0.17ミリモル)溶液に水酸化リチウム水溶液(1 N、0.5 mL)を添加した。室温で3時間後、この反応液を1 N HCl (2 mL)で酸性にし、次にCH2Cl2 (3×10 mL)で抽出した。合わせた抽出液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮して、54.4 mg (88%)の化合物6を得た。
工程 3. 化合物10a及び10b
実施例1、工程5に従って、化合物6から化合物化合物10a及び10bを調製する。
【0077】
実施例 4
工程 1. 3をアルキル化して7のエステルを得る
0℃でTHF (4 mL)中のアルコール3 (140 mg、0.57ミリモル)の溶液に水素化カリウム(25.2 mg、0.63ミリモル)及び18-クラウン-6 (181 mg、0.68ミリモル)を順次添加した。0℃で1.5時間後、THF (1.5 mL)中のメチル5-クロロメチルチオフェン-2-カルボキシレート溶液(WO2004/037808に記載される手順に従って調製した; 130 mg、0.68ミリモル)をカニューレによって添加し、この反応液を室温に温めた。20時間後、この反応液を0.25 N HCl (15 mL)で急冷し、EtOAc (3×20 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(30 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィー(20% → 50% EtOAc/ヘキサン、勾配)で精製して、40.7 mg (18%)の所望のエステルを得た。
工程 2. けん化して7を得る
THF (0.75 mL)中の上記工程からのエステル(37 mg、0.092ミリモル)溶液に水酸化リチウム水溶液(1 N、0.4 mL)を添加した。室温で18時間後、この反応液を1 N HCl (7 mL)で酸性にし、次にCH2Cl2 (3×10 mL)で抽出した。合わせた抽出液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮して、22.3 mg (62%)の化合物7を得た。
工程 3. 化合物11a及び11b
実施例1、工程5に従って、化合物7から化合物11a及び11bを調製する。
スキーム2
【0078】
【化27】

【0079】
実施例 5
工程 1. 3を酸化してアルデヒド12を得る
室温でCH2Cl2 (15 mL)中のアルコール3 (600 mg、2.43ミリモル)の溶液に分子ふるい(4オングストローム、300 mg)、4-メチルモルホリンN-オキシド(427 mg、3.64ミリモル)及びテトラプロピルアンモニウムペルルテネート(250 mg、0.71ミリモル)を順次添加した。23時間後、この反応混合液をセライトでろ過し、CH2Cl2 (10 mL)で洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮した。シリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2 → 10% EtOAc/CH2Cl2、勾配)で精製して、92 mg (15%)の所望のアルデヒド12を得た。
工程 2. 12をウィッティヒ反応させて13を得る
THF (2 mL)中のアルデヒド12 (86 mg、0.35ミリモル)の溶液にカリウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.5 M/PhMe、1.92 mL、0.96ミリモル)を添加した。室温で15分後、この反応混合液を55℃に10分間冷却した後、5-カルボキシペンチルトリフェニルホスホニウムブロマイド(207 mg、0.45ミリモル)の溶液をカニューレによって添加した。55℃で10分後、この反応液を室温に温めた。室温で18時間後、この反応液をNH4Cl飽和水溶液(15 mL)で急冷し、EtOAc (3×15 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(20 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物を分取用薄層クロマトグラフィー(5% MeOH/CH2Cl2)で精製して、10.5 mg (9%)の所望のアルケン13を得た。
工程 3. 13を水素添加して14を得る
MeOH (1 mL)中のアルケン13 (5.8 mg、0.017ミリモル)の溶液にパラジウム/炭素(10 wt. %、2 mg)を添加した。排気し、水素(3×)を充満させて水素雰囲気をつくり、この反応混合液を水素バルーン下で18時間撹拌した。この反応混合液をセライトでろ過し、MeOHで洗浄し、ろ液を減圧下で濃縮して、4.1 mg (70%)の化合物14を得た。
工程 4. 化合物15a及び15b
実施例1、工程5に従って、化合物14から化合物15a及び15bを調製する。
スキーム 3
【0080】
【化28】

【0081】
実施例 6
工程 1. 1をアリール化して17を得る
キサントホス(877 mg、1.52ミリモル)、Pd2(dba)3 (463 mg、0.51ミリモル)及びCs2CO3 (3.2 g、9.82ミリモル)の混合液に、1,4-ジオキサン(20 mL)中のアミド1 (2.89 g、12.60ミリモル)の溶液、次に1-(4-メトキシベンジルオキシメチル)-4-ブロモベンゼン(16: 合成については、米国特許第7,091,231号を参照のこと、この明細書の記載は本願明細書に含まれるものとする; 3.88 g、12.63ミリモル)の溶液をカニューレによって順次添加した。この反応混合液を窒素でパージし、次に22時間加熱還流した。この反応混合液を室温まで冷却させ、セライトでろ過し、CH2Cl2で洗浄し、ろ液を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィー(5% → 25% EtOAc/ヘキサン、勾配)で精製して、1.70 g (30%)の所望の生成物17を得た。
工程 2. 17を脱保護して18を得る
0℃でプラスチックびんの中のMeCN (15 mL)中のシリルエーテル17 (1.38 g、3.03ミリモル)にHF-ピリジン(5 mL)を添加した。この反応液を0℃で3時間撹拌し、次にNaHCO3 飽和水溶液(250 mL)で急冷した。この混合液をEtOAc (3×100 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(100 mL)で洗浄し、次に乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィー(1% → 3% MeOH/CH2Cl2、勾配)で精製して、464 mg (45%)の所望のアルコール18を得た。
【0082】
工程 3. 18をアルキル化して19を得る
0℃でTHF (4 mL)中のアルコール18 (315 mg、0.92ミリモル)の溶液に水素化カリウム(44 mg、1.10ミリモル)及び18-クラウン-6 (365 mg、1.38ミリモル)を順次添加した。0℃で1時間後、エチル5-クロロメチルフラン-2-カルボキシレート(0.28 mL、1.82ミリモル)を添加し、この反応液を室温に温めた。22時間後、この反応液を0.5 N HCl (20 mL)で急冷し、EtOAc (3×25 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(50 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィー(20% EtOAc/ヘキサン → EtOAc、勾配)で精製して、148 mg (32%)の所望の生成物19を得た。
【0083】
工程 4. 19を酸化的脱保護して20及び21を得る
CH2Cl2 (4 mL)及び水(0.2 mL)中の19 (143 mg、0.29ミリモル)の混合液に2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(DDQ、82 mg、0.36ミリモル)を添加した。3時間後、tlcは出発物質が残存していることを示し、他の部分のDDQ (82 mg、0.36ミリモル)を添加した。更に1.25時間後、この反応液をNaHCO3飽和水溶液(20 mL)で急冷した。この混合液をEtOAc (3×20 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(20 mL)で洗浄し、次に乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2 → 3% MeOH/CH2Cl2、勾配)で精製して、38 mg (35%)の所望のアルコール20と61 mgの不純なアルデヒド21を得た。アルデヒド21を更に分取用薄層クロマトグラフィー(5% MeOH/CH2Cl2)で精製して、48.7 mg (45%)のアルデヒド21を得た。
【0084】
工程 5. 20を酸化して21を得る
室温でCH2Cl2 (1.5 mL)中のアルコール20 (26.8 mg、0.072ミリモル)の溶液に分子ふるい(4オングストローム、3 mg)、4-メチルホルホリンN-オキシド(12.6 mg、0.11ミリモル)及びテトラプロピルアンモニウムペルルテネート(2.5 mg、0.007ミリモル)を順次添加した。20分後、この反応混合液をセライトでろ過し、CH2Cl2 (5 mL)で洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮した。残留物を分取用薄層クロマトグラフィー(5% MeOH/CH2Cl2)で精製して、9.6 mg (36%)の所望のアルデヒド21を得た。
工程 6. 21をグリニャール反応させて22のエステルを得る
窒素下40℃でTHF (0.4 mL)中のアルデヒド21 (21.7 mg、0.058ミリモル)にペンチルマグネシウムブロマイド(2.0 M/Et2O、32 μL、0.064ミリモル)の溶液を添加した。25分後、この反応液をNH4Cl飽和水溶液で急冷し、CH2Cl2 (3×7 mL)で抽出した。合わせた抽出液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物を分取用薄層クロマトグラフィー(5% MeOH/CH2Cl2)で精製して、10.6 mg (41%)の所望のエステルを得た。
工程 7. けん化して22を得る
THF (0.2 mL)中の上記工程6からのエステル(8.8 mg、0.02ミリモル)の溶液に水酸化リチウム水溶液(1 N、0.1 mL)を添加した。室温で1時間後、この反応液を0.5 N HCl (1 mL)で酸性にし、次にCH2Cl2 (3×7 mL)で抽出した。合わせた抽出液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮して、8.2 mg (99%)の化合物22を得た。
工程 8. 化合物25a及び25b
実施例1、工程5に従って、化合物22から化合物25a及び25bを調製する。
【0085】
実施例 7
工程 1. 21をグリニャール反応させてエステル23を得る
窒素下40℃でTHF (0.4 mL)中のアルデヒド21 (20.5 mg、0.055ミリモル)の溶液にイソプロピルマグネシウムクロリド(2.0 M/THF、31 μL、0.062ミリモル)を添加した。35分後、この反応液をNH4Cl飽和水溶液で急冷し、CH2Cl2 (3×7 mL)で抽出した。合わせた抽出液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物を分取用薄層クロマトグラフィー(5% MeOH/CH2Cl2)で精製して、5 mg (22%)の所望のエステルを得た。
工程 2. けん化して23を得る
THF (0.15 mL)中の上記工程1からのエステル(3.1 mg、0.007ミリモル)の溶液に水酸化リチウム水溶液(1 N、0.05 mL)を添加した。室温で1時間後、この反応液を0.2 N HCl (1 mL)で酸性にし、次にCH2Cl2 (3×7 mL)で抽出した。合わせた抽出液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮して、2.5 mg (86%)の化合物23を得た。
工程 3. 化合物26a及び26b
実施例1、工程5に従って、化合物23から化合物26a及び26bを調製する。
【0086】
実施例 8
工程 1. 21をグリニャール反応させて24のエステルを得る
窒素下40℃でTHF (0.3 mL)中のアルデヒド21 (9.6 mg、0.026ミリモル)の溶液にベンジルマグネシウムクロリド(2.0 M in THF、14 μL、0.028ミリモル)を添加した。45分後、この反応液を0℃に温めた。0℃で25分後、この反応液をNH4Cl飽和水溶液で急冷し、CH2Cl2 (3×7 mL)で抽出した。合わせた抽出液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物を分取用薄層クロマトグラフィー(7% MeOH/CH2Cl2)で精製して、3.3 mg (28%)の所望のエステルを得た。
工程 2. けん化して24を得る
THF (0.15 mL)中の上記工程1からのエステル(2.4 mg、0.005ミリモル)の溶液に水酸化リチウム水溶液(1 N、0.05 mL)を添加した。室温で2.5時間後、この反応液を0.2 N HCl (1 mL)で酸性にし、次にCH2Cl2 (3×7 mL)で抽出した。合わせた抽出液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮して、2.2 mg (98%)の化合物24を得た。
工程 3. 化合物27a及び27b
実施例1、工程5に従って、化合物24から化合物27a及び27bを調製する。
スキーム 4
【0087】
【化29】

【0088】
実施例 9
工程1. 18をアルキル化して28を得る
0℃でTHF (5 mL)中のアルコール18 (394 mg、1.15ミリモル)の溶液に水素化カリウム(55.5 mg、1.38ミリモル)及び18-クラウン-6 (456 mg、1.73ミリモル)を順次添加した。0℃で1時間後、THF (2 mL)中のメチル5-クロロメチルチオフェン-2-カルボキシレート(439 mg、2.30ミリモル)の溶液をカニューレによって添加し、この反応液を室温まで温めた。19時間後、tlcは残存した出発物質を示した。他の部分のKH (20 mg、0.50ミリモル)を添加し、この反応液を50℃で加熱した。50℃で2時間後、この反応液を冷却し、0.5 N HCl (20 mL)で急冷し、EtOAc (3×25 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(50 mL)で洗浄し、次に乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィー(15% EtOAc/ヘキサン → EtOAc、勾配)で精製して、108 mg (19%)の所望の生成物28を得た。
工程 2. 28を酸化的脱保護して29及び30を得る
CH2Cl2 (3 mL)及び水(0.15 mL)中の28 (98 mg、0.20ミリモル)の混合液にDDQ (91 mg、0.40ミリモル)を添加した。4.5時間後、この反応液をNaHCO3飽和水溶液(15 mL)で急冷し、EtOAc (3×25 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(40 mL)で洗浄し、次に乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物を分取用薄層クロマトグラフィー(5% MeOH/CH2Cl2)で精製して、14.4 mg (19%)のアルコール29及び16.2 mg (22%)のアルデヒド30を得た。
【0089】
工程 3. 30をグリニャール反応させて31のエステルを得る
窒素下40℃でTHF (0.2 mL)中のアルデヒド30 (11 mg、0.029ミリモル)の溶液にペンチルマグネシウムブロマイド(2.0 M/Et2O、22 μL、0.044ミリモル)を添加した。1.5時間後、この反応液をNH4Cl飽和水溶液で急冷し、CH2Cl2 (3×7 mL)で抽出した。合わせた抽出液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物を分取用薄層クロマトグラフィー(5% MeOH/CH2Cl2)で精製して、4.8 mg (37%)の所望のエステルを得た。
工程 4. けん化して31を得る
MeCN (0.1 mL)及びpH 7.2緩衝液(2.5 mL)中の上記工程3からのエステル(3.6 mg、0.008ミリモル)の溶液にウサギ肝臓エステラーゼ(134単位/mg、1 mg)を添加した。室温で16.5時間後、この反応液をMeCN (7 mL)で希釈し、減圧下で濃縮した。この残留物をCH2Cl2に懸濁させ、綿栓でろ過した。ろ液を減圧下で濃縮して、2.0 mg (57%)の化合物31を得た。
工程 5. 化合物32a及び32b
実施例1、工程5に従って、化合物31から化合物32a及び32bを調製する
スキーム 5
【0090】
【化30】

【0091】
実施例 10
工程 1. 18をアルキル化して33を得る
0℃でTHF (1.0 mL)中のアルコール18 (112 mg、0.33ミリモル)の溶液に水素化カリウム(16 mg、0.39ミリモル)を添加した。0℃で1時間後、18-クラウン-6 (114 mg、0.43ミリモル)、ヨウ化カリウム(5 mg、0.03ミリモル)及びTHF (0.5 mL)中のメチル3-クロロメチルベンゾエート(121 mg、0.66ミリモル)の溶液を順次添加した。この反応液を室温に温めた。19時間後、この反応液を0.1 N HCl (10 mL)で急冷し、EtOAc (3×10 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(15 mL)で洗浄し、次に乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィー(20% EtOAc/ヘキサン → EtOAc、勾配)で精製して、23 mg (14%)の所望の生成物33を得た。
工程 2. 33を酸化的脱保護して34を得る
CH2Cl2及び水(20:1、0.25 mL)中の33 (23 mg、0.047ミリモル)の混合液にDDQ (23 mg、0.10ミリモル)を添加した。3.75時間後、この反応液をNaHCO3飽和水溶液(10 mL)で急冷し、EtOAc (3×7 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(10 mL)で洗浄し、次に乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物を分取用薄層クロマトグラフィー(80% EtOAc/Hex)で精製して、13 mg (58%)のアルデヒド34を得た。
工程 3. 34をグリニャール反応させて35のエステルを得る
窒素下40℃でTHF (0.1 mL)中のアルデヒド34 (12.4 mg、0.034ミリモル)の溶液にペンチルマグネシウムブロマイド(2.0 M in Et2O、50 μL、0.10ミリモル)を添加した。1時間後、この反応液をNH4Cl飽和水溶液(7 mL)で急冷し、CH2Cl2 (3×7 mL)で抽出した。合わせた抽出液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物を分取用薄層クロマトグラフィー(5% MeOH/CH2Cl2)で精製して、8.6 mg (58%)の所望のエステルを得た。
工程 4. けん化して35を得る
MeCN (0.1 mL)及びpH 7.2緩衝液(2.5 mL)中の上記工程3からのエステル(7.4 mg、0.017ミリモル)の溶液にウサギ肝臓エステラーゼ(134単位/mg、1 mg)を添加した。室温で18時間後、この反応液をMeCN (7 mL)で希釈し、減圧下で濃縮した。残留物を分取用薄層クロマトグラフィー(5% MeOH/CH2Cl2)を精製して、1.5 mg (21%)の化合物35を得た。
工程 5. 化合物36a及び36b
実施例1、工程5に従って、化合物35から化合物36a及び36bを調製する。
スキーム 6
【0092】
【化31】

【0093】
実施例 11
工程 1. 30をグリニャール反応させて37のエステルを得る
窒素下40℃でTHF (0.1 mL)中のアルデヒド30 (20.2 mg、0.054ミリモル)の溶液にn-ブチルマグネシウムクロリド(2.0 M/THF、41 μL、0.082ミリモル)を添加した。1時間後、この反応液をNH4Cl飽和水溶液(10 mL)で急冷し、CH2Cl2 (3×7 mL)で抽出した。合わせた抽出液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物を分取用薄層クロマトグラフィー(5% MeOH/CH2Cl2)で精製して、12.3 mg (53%)の所望のエステルを得た。
工程 2. けん化して37を得る
MeCN (0.1 mL)及びpH 7.2緩衝液(3.0 mL)中の上記工程1からのエステル(11.2 mg、0.026ミリモル)の溶液にウサギ肝臓エステラーゼ(134単位/mg、1 mg)を添加した。室温で19時間後、この反応液をMeCN (10 mL)で希釈し、減圧下で濃縮した。残留物を5% MeOH/CH2Cl2に懸濁させ、綿栓でろ過した。ろ液を減圧下で濃縮して、10.7 mg (99%)の化合物37を得た。
工程 3. 化合物41a及び41b
実施例1、工程5に従って、化合物37から化合物41a及び41bを調製する。
【0094】
実施例 12
工程 1. 30をグリニャール反応させて38のエステルを得る
窒素下40℃でTHF (0.12 mL)中のアルデヒド30 (24.6 mg、0.054ミリモル)の溶液にn-ヘキシルマグネシウムブロマイド(2.0 M/Et2O、100μL、0.20ミリモル)を添加した。1.5時間後、この反応液をNH4Cl飽和水溶液(10 mL)で急冷し、CH2Cl2 (3×7 mL)で抽出した。合わせた抽出液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物を分取用薄層クロマトグラフィー(5% MeOH/CH2Cl2)で精製して、16.3 mg (54%)の所望のエステルを得た。
工程 2. けん化して38を得る
MeCN (0.1 mL)及びpH 7.2緩衝液(3.0 mL)中の上記工程1からのエステル(13 mg、0.028ミリモル)の溶液にウサギ肝臓エステラーゼ(134単位/mg、1 mg)を添加した。18時間後、この反応液をMeCN (10 mL)で希釈し、減圧下で濃縮した。残留物を5% MeOH/CH2Cl2に懸濁させ、綿栓でろ過した。ろ液を減圧下で濃縮して、11 mg (87%)の化合物38を得た。
工程 3. 化合物42a及び42b
実施例1、工程5に従って、化合物38から化合物42a及び42bを調製する。
【0095】
実施例 13
工程 1. 30をグリニャール反応させて39のエステルを得る
窒素下40℃でTHF (0.12 mL)中のアルデヒド30 (22.9 mg、0.061ミリモル)の溶液にn-プロピルマグネシウムクロリド(2.0 M/Et2O、92 μL、0.18ミリモル)を添加した。1.75時間後、この反応液をNH4Cl飽和水溶液(10 mL)で急冷し、CH2Cl2 (3×7 mL)で抽出した。合わせた抽出液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物を分取用薄層クロマトグラフィー(5% MeOH/CH2Cl2)で精製して、13 mg (51%)の所望のエステルを得た。
工程 2. けん化して39を得る
MeCN (0.1 mL)及びpH 7.2緩衝液(3.0 mL)中の上記工程1からのエステル(10.8 mg、0.026ミリモル)の溶液にウサギ肝臓エステラーゼ(134単位/mg、1 mg)を添加した。17時間後、この反応液をMeCN (10 mL)で希釈し、減圧下で濃縮した。残留物を5% MeOH/CH2Cl2に懸濁させ、綿栓でろ過した。ろ液を減圧下で濃縮して、10.4 mg (99%)の化合物39を得た。
工程 3. 化合物43a及び43b
実施例1、工程5に従って、化合物39から化合物43a及び43bを調製する。
【0096】
実施例 14
工程 1. 30をグリニャール反応させて40のエステルを得る
窒素下40℃でTHF (0.1 mL)中のアルデヒド30 (5. 8 mg、0.016ミリモル)の溶液にエチルマグネシウムクロリド(2.0 M/Et2O、24 μL、0.048ミリモル)を添加した。1.25時間後、この反応液をNH4Cl飽和水溶液(5 mL)で急冷し、CH2Cl2 (3×5 mL)で抽出した。合わせた抽出液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物を分取用薄層クロマトグラフィー(5% MeOH/CH2Cl2)で精製して、2.5 mg (40%)の所望のエステルを得た。
工程 2. けん化して40を得る
MeCN (0.1 mL)及びpH 7.2緩衝液(2.5 mL)中の上記工程1からのエステル(2.8 mg、0.007ミリモル)の溶液にウサギ肝臓エステラーゼ(134単位/mg、1 mg)を添加した。室温で17時間後、この反応液をMeCN (10 mL)で希釈し、減圧下で濃縮した。残留物を5% MeOH/CH2Cl2に懸濁させ、綿栓でろ過した。ろ液を減圧下で濃縮して、2.7 mg (99%)の化合物40を得た。
工程 3. 化合物44a及び44b
実施例1、工程5に従って、化合物40から化合物44a及び44bを調製する
スキーム 7
【0097】
【化32】

【0098】
実施例 15
工程 1. 45を酸化してアルデヒド46を得る
窒素下室温でCH2Cl2 (12 mL)中のアルコール45 (1.43 g、3.48ミリモル)の溶液にデス-マーチンペルヨージナン(1.63 g、3.83ミリモル)を添加した。室温で1時間後、この反応液をNaHCO3飽和水溶液及びNaHSO3飽和水溶液(1:1、100 mL)で急冷した。この混合液をCH2Cl2 (3×150 mL)で抽出した。合わせた抽出液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィー(2% MeOH/CH2Cl2)で精製して、915 mg (64%)の所望のアルデヒド46を得た。
工程 2. 46をメチレン化してアルケン47を得る
窒素下40℃でTHF (11 mL)中のアルデヒド46 (677 mg、1.65ミリモル)の溶液にテッベ試薬(0.5 M/THF、4.86 mL、2.43ミリモル)を添加した。40℃で1時間後、この反応液を2 N NaOH水溶液(1.65 mL)を添加して急冷し、THF (15 mL)を添加して一晩激しく撹拌した。この混合液をセライトでろ過し、過剰のEtOAcで洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮した。残留物をシリカによるフラッシュカラムクロマトグラフィー(30% → 50% EtOAc/Hex)で精製して、254 mg (38%)の所望のアルケン47を得た。
【0099】
工程 3. 47をメタセシス反応させてアルケン48を得る
CH2Cl2 (3.0 mL)中のアルケン47 (230 mg、0.56ミリモル)及びメチル5-アリルチオフェン-2-カルボキシレート(調製3、206 mg、1.13ミリモル)の溶液にベンジリデン[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]ジクロロ(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(グルブス触媒、第二世代、48 mg、0.057ミリモル)を添加した。この反応混合液を4時間加熱還流した。この反応混合液を室温に冷却し、更に触媒(48 mg、0.057ミリモル)及びメチル5-アリルチオフェン-2-カルボキシレート(100 mg、0.55ミリモル)を添加した。この混合液を18時間以上加熱還流し、次に冷却し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカによるフラッシュカラムクロマトグラフィー(5% → 50% EtOAc/Hex、勾配)で精製して、100 mg (32%)の所望のアルケン48を130 mg (57%)の出発アルケン47と共に得た。
【0100】
工程 4. 48を酸化的脱保護して49及び50を得る
窒素下0℃でCH2Cl2 (3.1 mL)及び水(0.16 mL)中の48 (130 mg、0.23ミリモル)の混合液にDDQ (58 mg、0.26ミリモル)を添加した。45分後、この反応液をNaHCO3飽和水溶液(40 mL)で急冷した。この混合液をEtOAc (3×30 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(25 mL)で洗浄し、次に乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカによるフラッシュカラムクロマトグラフィー(50% → 75% EtOAc/Hex、勾配)で精製して、出発物質48とケトン49の28 mgの分離できない混合物、及び63 mg (62%)の所望のアルコール50を得た。
工程 5. 50をけん化して51を得る
MeCN (0.2 mL)及びpH 7.2緩衝液(2.5 mL)中のエステル50 (3.7 mg、0.008ミリモル)の溶液にウサギ肝臓エステラーゼ(134単位/mg、1 mg)を添加した。室温で15.5時間後、この反応液をMeCN (8 mL)で希釈し、減圧下で濃縮した。残留物を10% MeOH/CH2Cl2に懸濁させ、綿栓でろ過した。ろ液を減圧下で濃縮して、3.0 mg (84%)の化合物51を得た。
工程 6. 化合物52a及び52b
実施例1、工程5に従って、化合物51から化合物52a及び52bを調製する。
スキーム 8
【0101】
【化33】

【0102】
実施例 16
工程 1. 38/39を酸化して39を得る
窒素下室温でCH2Cl2及び水(20:1、0.25 mL)中のエーテル48とケトン49 (6.8 mg、0.012ミリモル)の混合液にDDQ (5.5 mg、0.024ミリモル)を添加した。1.5時間後、この反応液をNaHCO3飽和水溶液(5 mL)で急冷した。この混合液をEtOAc (3×5 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(5 mL)で洗浄し、次に乾燥(Na2SO4)し、ろ過して、減圧下で濃縮した。残留物を分取用薄層クロマトグラフィー(60% EtOAc/Hex)で精製して、1.5 mg (28%)の所望のケトン49を得た。
工程 2. 49を水素添加してエステル53を得る
メタノール(0.5 mL)中のアルケン49 (1.5 mg、0.0034ミリモル)の溶液にパラジウム/炭素(10 wt. %、1 mg)を添加した。排気し、水素(3×)を充満させて水素雰囲気をつくり、この反応混合液を水素バルーン下で撹拌した。室温で2時間後、この反応混合液をセライトでろ過し、MeOHで洗浄し、ろ液を減圧下で濃縮して、1.3 mg (86%)の所望のエステル53を得た。
【0103】
工程 3. 53をけん化して54を得る
MeCN (0.1 mL)及びpH 7.2緩衝液(2.5 mL)中のエステル53 (1.3 mg、0.0029ミリモル)の溶液にウサギ肝臓エステラーゼ(134単位/mg、1 mg)を添加した。室温で23時間後、この反応液をMeCN (10 mL)で希釈し、減圧下で濃縮した。残留物を10% MeOH/CH2Cl2に懸濁させ、綿栓でろ過した。ろ液を減圧下で濃縮して、1.2 mg (95%)の化合物54を得た。
工程 4. 化合物55a及び55b
実施例1、工程5に従って、化合物54から化合物55a及び55bを調製する。
スキーム 9
【0104】
【化34】

【0105】
実施例 17
MeCN (0.1 mL)及びpH 7.2緩衝液(2.5 mL)中のエステル53 (0.6 mg、0.014ミリモル)の溶液にウサギ肝臓エステラーゼ(134単位/mg、1 mg)を添加した。室温で17時間後、この反応液をMeCN (8 mL)で希釈し、減圧下で濃縮した。残留物を分取用薄層クロマトグラフィー(4% MeOH/CH2Cl2)で精製して、1 mg (17%)の化合物56を得た。実施例1、工程5に従って、化合物56から化合物57a及び57bを調製する
スキーム 10
【0106】
【化35】

【0107】
実施例 18
Waters 2996 PDA検出器及びWhatman Partisil(登録商標) 10 M20/50カラム、22 mm×500 mm (Cat. No. 4232-220, Q.A. No. 3TA02D80)を使うWaters 600 HPLC装置により2つのジアステレオマー(58、〜100 mg)を分離した。溶離剤として60% EtOAc/Hex及び15 mL/分の流速を用いて、55-60分で第1のジアステレオマー(59、分離した合計32.8 mg)を溶離し、61-70分で第2のジアステレオマー (60、分離した合計52.6 mg)を溶離した。
【0108】
実施例 19
THF (0.1 mL)中のより速く溶離するエステルジアステレオマー59 (2.7 mg、0.0057ミリモル)の溶液に1 N水酸化リチウム水溶液(0.05 mL、0.05ミリモル)を添加し、この混合液を一晩加熱還流した。17時間後、この反応液を室温に冷却し、HCl水溶液(5 mL)で酸性にし、CH2Cl2 (3×5 mL)で抽出した。合わせた抽出液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮して、2.5 mg (100%)の化合物61を得た。実施例1、工程5に従って、化合物61から化合物63a及び63bを調製する。
【0109】
実施例 20
THF (0.1 mL)中のより遅く溶離するエステルジアステレオマー60 (2.8 mg、0.0059ミリモル)の溶液に1 N水酸化リチウム水溶液(0.05 mL、0.05ミリモル)を添加し、この混合液を一晩加熱還流した。23時間後、この反応液を室温に冷却し、0.05 N HCl水溶液(5 mL)で酸性にし、CH2Cl2 (3×5 mL)で抽出した。合わせた抽出液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮して、1.7 mg (67%)の化合物62を得た。実施例1、工程5に従って、化合物62から化合物64a及び64bを調製する。
スキーム 11
【0110】
【化36】

【0111】
実施例 21
Waters 2996 PDA検出器及びWhatman Partisil(登録商標) 10 M20/50カラム、22 mm×500 mm (Cat. No. 4232-220, Q.A. No. 3TA02D80)を使うWaters 600 HPLC装置により2つのジアステレオマー(65、〜43 mg)を分離した。溶離剤として55% EtOAc/Hex及び15 mL/分の流速を用いて、69-75分で第1のジアステレオマー(66、16 mg)を溶離し、80-88分で第2のジアステレオマー (67、19 mg)を溶離した。
【0112】
実施例 22
MeCN (0.2 mL)及びpH 7.2緩衝液(3.0 mL)中のより速く溶離するエステルジアステレオマー66 (16 mg、0.036ミリモル)の溶液にウサギ肝臓エステラーゼ(134単位/mg、2 mg)を添加した。室温で18時間後、この反応液をMeCN (10 mL)で希釈し、減圧下で濃縮した。残留物をCH2Cl2 (3×5 mL)で希釈し、グラスウール栓でろ過し、減圧下で濃縮した。残留物を分取用薄層クロマトグラフィー(EtOAc → 25% MeOH/EtOAc、勾配)で精製して、12 mg (77%)の化合物68を得た。実施例1、工程5に従って、化合物68から化合物70a及び70bを調製する。
【0113】
実施例 23
MeCN (0.2 mL) 及びpH 7.2緩衝液(3.0 mL)中のより遅く溶離するジアステレオマー67 (19 mg、0.043ミリモル)にウサギ肝臓エステラーゼ(134単位/mg、2 mg)を添加した。室温で18時間後、この反応液をMeCN (10 mL)で希釈し、減圧下で濃縮した。残留物をCH2Cl2 (5 mL)で希釈し、グラスウール栓でろ過し、減圧下で濃縮した。残留物を分取用薄層クロマトグラフィー(EtOAc → 25% MeOH/EtOAc、勾配)で精製して、10.5 mg (57%)の化合物69を得た。実施例1、工程5に従って、化合物69から化合物71a及び71bを調製する。
スキーム 12
【0114】
【化37】

【0115】
実施例 24
工程 1. 1をアリール化して72を得る
1,4-ジオキサン(100 mL)中のアミド1 (3.45 g、15.0ミリモル)の溶液にPd2(dba)3 (550 mg、0.60ミリモル)、キサントホス(1.04 g、180ミリモル)及びCs2CO3 (5.87 g、18.0ミリモル)を順次添加した。1,4-ジオキサン(50 mL)中の1-(1-(4-メトキシベンジルオキシヘプチル)-4-ブロモベンゼン(調製4、5.30 g、13.54ミリモル)の溶液をカニューレによって添加した。この反応混合液を窒素でパージし、次に一晩加熱還流した。17時間後、この反応液を室温に冷却し、セライトでろ過し、CH2Cl2で洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮し、残留物をシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィー(5% → 35% EtOAc/ヘキサン、勾配)で精製して、5.26 g (72%)の所望の生成物72を得た。
【0116】
工程 2. 72を脱保護して73を得る
0℃でプラスチックびんの中のMeCN (50 mL)中のシリルエーテル72 (5.26 g、9.74ミリモル)にHF-ピリジン(8.8 mL)を添加した。0℃で45分後、この反応液をNaHCO3飽和水溶液(400 mL)で急冷した。この混合液をEtOAc (3×200 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(200 mL)で洗浄し、次に乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2 → 5% MeOH/CH2Cl2、勾配)で精製して、3.9 g (94%)のアルコール73を薄黄色の固形物として得た。
工程 3. 73をアルキル化して74を得る
丸底フラスコに水素化カリウム(30 wt%/油、138 mg、1.03ミリモル)を充填した。この物質をヘキサン(3×1 mL)で洗浄し、次にTHF (1 mL)に懸濁させた。この混合液を0℃に冷却し、THF (1.5 mL)中のアルコール73 (339 mg、0.80ミリモル)の溶液をカニューレによって添加した。0℃で1時間後、THF (1.5 mL)中のイソプロピル5-クロロメチルチオフェン-2-カルボキシレート(調製2、174 mg、0.80ミリモル)の溶液をカニューレによって添加した。ヨウ化カリウム(14 mg、0.08ミリモル)を添加し、この反応液を室温に温めた。18時間後、この反応液をNH4Cl飽和水溶液(15 mL)で急冷し、EtOAc (3×25 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(15 mL)で洗浄し、次に乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィー(20% → 75% EtOAc/ヘキサン、勾配)、次に分取用薄層クロマトグラフィー(65% EtOAc/ヘキサン)で精製して、65 mg (14%)の所望の生成物74を得た。
工程 4. 74を酸化的脱保護して75を得る
窒素下0℃でCH2Cl2 (1.4 mL)及び水(0.07 mL)中の74 (65 mg、0.11ミリモル)の溶液にDDQ (26 mg、0.12ミリモル)を添加した。40分後、この反応液をNaHCO3飽和水溶液(20 mL)で急冷し、EtOAc (3×20 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(15 mL)で洗浄し、次に乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィー(50% → 75% EtOAc/ヘキサン、勾配)、次に分取用薄層クロマトグラフィー(60% EtOAc/ヘキサン)で精製して、36 mg (69%)の化合物75を得た。
【0117】
実施例 25
Waters 2996 PDA検出器及びWhatman Partisil(登録商標) 10 M20/50カラム、22 mm×500 mm (Cat. No. 4232-220, Q.A. No. 3TA02D80)を使うWaters 600 HPLC装置により2つのジアステレオマー(75、〜36 mg)を分離した。溶離剤として60% EtOAc/Hex及び15 mL/分の流速を用いて、50-56.5分で第1のジアステレオマー(76、14.8 mg)を溶離し、56.5-70分で第2のジアステレオマー(77、16.4 mg)を溶離した。
【0118】
実施例 26
THF (0.1 mL)中のより速く溶離するエステルジアステレオマー76 (3.5 mg、0.0072ミリモル)の溶液に1 N水酸化リチウム水溶液(0.05 mL、0.05ミリモル)を添加し、この混合液を一晩加熱還流した。18時間後、この反応液を室温に冷却し、水(2 mL)で希釈し、1.0 N HCl水溶液(1 mL)で酸性にし、EtOAc (3×5 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(5 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮して、3.0 mg (94%)の化合物78を得た。実施例1、工程5に従って、化合物78から化合物80a及び80bを調製する。
【0119】
実施例 27
THF (0.1 mL)中のより遅く溶離するエステルジアステレオマー77 (3.5 mg、0.0072ミリモル)の溶液に1 N水酸化リチウム水溶液(0.05 mL、0.05ミリモル)を添加し、この混合液を一晩加熱還流した。18時間後、この反応液を室温に冷却し、水(2 mL)で希釈し、1.0 N HCl水溶液(1 mL)で酸性にし、EtOAc (3×5 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(5 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮して、3.2 mg (99%)の化合物79を得た。実施例1、工程5に従って、化合物79から化合物81a及び81bを調製する。
スキーム 13
【0120】
【化38】

【0121】
実施例 28
工程 1. 73を酸化してアルデヒド82を得る
窒素下室温でベンゼン(25 mL)中のアルコール73 (1.06 g、2.48ミリモル)の溶液に1-(3-(ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI、1.43 g、7.45ミリモル)及びDMSO (0.70 mL、9.86ミリモル)を順次添加した。室温で10分後、ピリジニウムトリフルオロアセテート(527 mg、2.73ミリモル)を添加した。室温で3時間後、この溶液を油状残留物から傾瀉し、残留物をベンゼン(3×15 mL)で洗浄した。合わせたベンゼンペーストを減圧下で濃縮した。残留物をシリカによるフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2 → 3% MeOH/CH2Cl2、勾配)で精製して、1.0 g (95%)の所望のアルデヒド82を得た。
工程 2. 82をメチレン化してアルケン83を得る
窒素下40℃でTHF (11 mL)中のアルデヒド82 (1.0 g、2.36ミリモル)の溶液にテッベ試薬(0.5 M/THF、7.0 mL、3.5ミリモル)を添加した。-40℃で1時間後、この反応液を2 N NaOH水溶液(1.65 mL)を添加して急冷し、THF (20 mL)を添加して一晩激しく撹拌した。この混合液をセライトでろ過し、過剰のEtOAcで洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮した。残留物をシリカによるフラッシュカラムクロマトグラフィー(40% EtOAc/Hex)で精製して、195 mg (20%)の所望のアルケン83を得た。
工程 3. 83をメタセシス反応させてアルケン84を得る
CH2Cl2 (2.4 mL)中のアルケン83 (190 mg、0.45ミリモル)及びメチル5-アリルチオフェン-2-カルボキシレート(調製3、173 mg、0.95ミリモル)の溶液に第二世代グルブス触媒、38 mg、0.045ミリモル)を添加した。この反応混合液を2時間加熱還流した。この反応混合液を室温に冷却し、更に触媒(9 mg、0.011ミリモル)及びメチル5-アリルチオフェン-2-カルボキシレート(165 mg、0.91ミリモル)を添加した。この混合液を22時間以上加熱還流し、次に冷却し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカによるフラッシュカラムクロマトグラフィー(2回、第1が5% → 50% EtOAc/Hex、勾配を用い、次に第2がCH2Cl2 → 3% MeOH/CH2Cl2、勾配を用いる)で精製して、180 mg (69%)の所望のアルケン84を得た。
【0122】
工程 4. 84を酸化的脱保護して85を得る
窒素下0℃でCH2Cl2 (3.1 mL)及び水(0.21 mL)中の84 (180 mg、0.31ミリモル)の混合液にDDQ (78 mg、0.34ミリモル)を添加した。0℃で45分後、この反応液をNaHCO3飽和水溶液(50 mL)で急冷した。この混合液をEtOAc (3×50 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(50 mL)で洗浄し、次に乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカによるフラッシュカラムクロマトグラフィー(50% → 66% EtOAc/Hex、勾配)で精製して、50 mg (35%)の所望のアルコール85を得た。
工程 5. 85を水素添加してエステル86を得る
メタノール(2.3 mL)中のアルケン85 (50 mg、0.11ミリモル)の溶液にパラジウム/炭素(10 wt. %、12 mg)を添加した。排気し、水素(3×)を充満させて水素雰囲気をつくり、この反応混合液を水素バルーン下で撹拌した。室温で20時間後、この反応混合液をセライトでろ過し、MeOHで洗浄し、ろ液を減圧下で濃縮して、50 mg (99%)の所望のエステル86を得た。
工程 6. 86をけん化して87を得る
THF (0.4 mL)中のエステル86 (17 mg、0.038ミリモル)の溶液に1 N水酸化リチウム水溶液(0.19 mL、0.19ミリモル)を添加した。室温で18時間後、H2O (1.0 mL)を添加し、この混合液を1 N HCl水溶液(1.0 mL)で酸性にし、EtOAc (3×10 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(10 mL)で洗浄し、次に乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物を分取用薄層クロマトグラフィー(15% MeOH/CH2Cl2)で精製して、5.6 mg (34%)の化合物87を得た。
工程 7. 化合物88a及び88b
実施例1、工程5に従って、化合物87から化合物88a及び88bを調製する。
スキーム 14
【0123】
【化39】

【0124】
実施例 29
Waters 2996 PDA検出器及びWhatman Partisil(登録商標) 10 M20/50カラム、22 mm×500 mm (Cat. No. 4232-220, Q.A. No. 3TA02D80)を使うWaters 600 HPLC装置により2つのジアステレオマー86 (〜34 mg)を分離した。溶離剤として55% EtOAc/Hex及び15 mL/分の流速を用いて、78-87.5分で第1のジアステレオマー(89、10.7 mg)を溶離し、91-101分で第2のジアステレオマー(90、7.0 mg)を溶離した。
【0125】
実施例 30
THF (0.3 mL)中のより速く溶離するエステルジアステレオマー89 (10.7 mg、0.023ミリモル)の溶液に1 N水酸化リチウム水溶液(0.12 mL、0.12ミリモル)を添加した。室温で66時間後、H2O (1.0 mL)を添加し、この混合液を1 N HCl水溶液(1.0 mL)で酸性にし、EtOAc (3×10 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(5 mL)で洗浄し、次に乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮して、10 mg (96%)の化合物91を得た。実施例1、工程5に従って、化合物91から化合物93a及び93bを調製する。
【0126】
実施例 31
THF (0.2 mL)中のより遅く溶離するエステルジアステレオマー90 (7.0 mg、0.015ミリモル)の溶液に1 N水酸化リチウム水溶液(0.08 mL、0.08ミリモル)を添加した。室温で66時間後、H2O (1.0 mL)を添加し、この混合液を1 N HCl水溶液(1.0 mL)で酸性にし、EtOAc (3×8 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(5 mL)、次に乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮して、6.5 mg (96%)の化合物92を得た。実施例1、工程5に従って、化合物92から化合物94a及び94bを調製する。
スキーム 14
【0127】
【化40】

【0128】
実施例 32
工程 1. 45及びメチル4-ヒドロキシベンゾエートを光延反応させて95を得る
CH2Cl2 (2.5 mL)中のアルコール45 (200 mg、0.49ミリモル)、トリフェニルホスフィン(191 mg、0.73ミリモル)及びメチル4-ヒドロキシベンゾエート(87 mg、0.57ミリモル)の溶液にジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD、194 μL、1.0ミリモル)を添加した。室温で18時間後、窒素流下で溶媒を除去し、残留物をEtOAc (75 mL)に懸濁させた。この混合液をNaHCO3飽和水溶液(3×25 mL)及び食塩水(25 mL)で洗浄し、次に有機相を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィー(50% EtOAc/ヘキサン → EtOAc、勾配)で精製して、81mg (31%)の所望のエーテル95を得た。
工程 2. 95を酸化的脱保護して96を得る
窒素下0℃でCH2Cl2 (2.0 mL)と水(0.1 mL)中の95 (81 mg、0.15ミリモル)の混合液にDDQ (37 mg、0.16ミリモル)を添加した。0℃で45分後、この反応液をNaHCO3飽和水溶液(25 mL)で急冷した。この混合液をEtOAc (3×25 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(25 mL)で洗浄し、次に乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィー(85% EtOAc/Hex → EtOAc、勾配)で精製して、31 mg (49%)の所望のアルコール96を得た。
工程 3. 96をけん化して97を得る
THF (0.7 mL)中のエステル96 (30 mg、0.071ミリモル)の溶液に1 N水酸化リチウム(0.35 mL、0.35ミリモル)を添加した。室温で20時間後、水(2.0 mL)を添加し、この混合液を1 N HCl水溶液(1.5 mL)で酸性にし、EtOAc (3×10 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(10 mL)で洗浄し、次に乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカによるフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc → 10% MeOH/EtOAc、勾配)で精製して、11.5 mg (38%)の出発エステル96及び8.5 mg (29%)の化合物97を得た。
工程 4. 化合物98a及び98b
実施例1、工程5に従って、化合物97から化合物98a及び98bを調製する。
【0129】
調製 1
1-(1-(4-メトキシベンジルオキシヘキシル)-4-ブロモベンゼン
工程 1. 4-ブロモベンズアルデヒドにペンチルグリニャール添加する
窒素下0℃でTHF (20 mL)中の4-ブロモベンズアルデヒド(5.0 g、27ミリモル)の溶液にn-ペンチルマグネシウムブロマイド(2.0 M/THF、27 mL、54ミリモル)を添加した。1時間後、この反応液を3 N HClで急冷し、Et2O (3×120 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(100 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィー(5% EtOAc/Hex)で精製して、5.1 g (74%)の1-(4-ブロモフェニル)-ヘキサン-1-オールを得た。
工程 2. アルコールをそのMPMエーテルとして保護
窒素下0℃でTHFとDMF (2:1、20 mL)中の工程1からのアルコール(5.11 g、19.9ミリモル)の溶液に水素化ナトリウム(60% wt./油、0.95 g、23.8ミリモル)を添加した。0℃で1時間後、4-メトキシベンジルクロリド(3.23 mL、23.8ミリモル)及びこの反応液を室温に温めた。次に反応液を80℃に加熱した。17時間後、この反応液を室温に冷却し、NH4Cl飽和水溶液(100 mL)で急冷し、EtOAc (3×100 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(100 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィー(2% EtOAc/Hex)で精製して、7.02 g (94%)の標記化合物を得た。
【0130】
調製 2
イソプロピル5-クロロメチルチオフェン-2-カルボキシレート
工程 1. ビスイソプロピルエステルの調製
窒素下室温でアセトン(60 mL)中のチオフェン-2,5-ジカルボン酸(6.0 g、34.9ミリモル)の溶液にDBU (31.3 mL、209ミリモル)及び2-ヨードプロパン(20.9 mL、209ミリモル)を添加した。室温で21時間後、この反応液をNaHCO3飽和水溶液(300 mL)で急冷し、EtOAc (3×150 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(200 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮して、7.59g (85%)のジエステルを得た。
工程 2. ヒドロキシメチルエステルへの還元
窒素下0℃でCH2Cl2/MeOH (1:1、100 mL)中のジエステル(7.59 g、29.6ミリモル)の溶液に水素化ホウ素ナトリウム(3.36 g、88.8ミリモル)を添加した。氷浴を取り除き、この反応液を室温で一晩撹拌した。室温で20.5時間後、反応液を減圧下で濃縮し、次に0.5 N HCl水溶液(100 mL)を添加した。この混合液をCH2Cl2 (3×100 mL)で抽出した。合わせた抽出液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカによるフラッシュカラムクロマトグラフィー(5% → 60% EtOAc/Hex、勾配)で精製して、738 mg (12%)のアルコールを得た。
工程 3. アルコールのクロリドへの変換
窒素下0℃でCH2Cl2 (4.0 mL)中のアルコール(696 mg、3.48ミリモル)の溶液にメタンスルホニルクロリド(0.67 mL、8.1ミリモル)及びトリエチルアミン(1.7 mL、12.2ミリモル)を順次添加した。氷浴を取り除き、この反応液を室温で一晩撹拌した。17時間後、この反応液をNaHCO3飽和水溶液(30 mL)で急冷し、CH2Cl2 (3×50 mL)で抽出した。合わせた抽出液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカによるフラッシュカラムクロマトグラフィー(5% EtOAc/Hex)で精製して、664 mg (87%)の標記化合物を得た。
【0131】
調製 3
メチル5-アリルチオフェン-2-カルボキシレート
工程 1. メチルエステルの調製
室温でメタノール(30 mL)中の5-ブロモ-2-チオフェンカルボン酸(4.0 g、19.3ミリモル)の溶液にアセチルクロリド(6.9 mL、96.6ミリモル)を添加した。室温で17時間後、この反応液を1.5時間加熱還流して完結させる。次にこの反応液を室温に冷却させ、減圧下で濃縮して、メタノールを除去する。NH4Cl飽和水溶液(120 mL)を添加し、この混合液をCH2Cl2 (3×100 mL)で抽出した。合わせた抽出液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮して、3.57 g (84%)の所望のメチルエステルをオフホワイトの固形物として得た。
工程 2. ブロモチオフェンのアリル化
窒素下40℃でTHF (10 mL)中の工程1からのブロマイド(3.56 g、16.1ミリモル)の溶液にイソプロピルマグネシウムクロリド(2.0 M/Et2O、8.9 mL、17.8ミリモル)を添加した。この反応混合液を40℃で1時間撹拌し、次にシアン化銅(I)(144 mg、1.61ミリモル)及びアリルブロマイド(3.0 mL、35.4ミリモル)を順次添加した。反応混合液を40℃で1時間撹拌し、次にNH4Cl飽和水溶液(100 mL)で急冷し、EtOAc (3×100 mL)で抽出した。合わせた抽出液を食塩水(100 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィー(5% EtOAc/Hex)で精製して、2.45 g (83%)の標記化合物を薄黄色の油状物として得、放置時に固化した。
【0132】
調製 4
1-(1-(4-メトキシベンジルオキシヘプチル)-4-ブロモベンゼン
工程 1. 4-ブロモベンズアルデヒドにヘキシルグリニャール添加する
窒素下0℃でTHF (20 mL)中の4-ブロモベンズアルデヒド(5.0 g、27ミリモル)の溶液にn-ヘキシルマグネシウムブロマイド (2.0 M/Et2O、27 mL、54ミリモル)を添加した。0℃で1.5時間後、この反応液を3 N HCl (20 mL)で徐々に急冷し、減圧下で濃縮した。残留物を水(30 mL)で希釈し、Et2O (3×150 mL)で抽出した。合わせた抽出液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィー(5% → 10% EtOAc/Hex)で精製して、5.6 g (76%)の1-(4-ブロモフェニル)-ヘプタン-1-オールを得た。
工程 2. アルコールのそのMPMエーテルとしての保護
窒素下0℃でTHFとDMF (2:1、30 mL)中の工程1からのアルコール(5.6 g、20.6ミリモル)の溶液に水素化ナトリウム(60% wt./油、0.991 g、24.8ミリモル)を添加した。0℃で5分後、その反応液を室温に温め、4-メトキシベンジルクロリド(3.4 mL、25.0ミリモル)を添加した。次にこの反応液を80℃に加熱した。80℃で18時間後、この反応液を室温に冷却し、NH4Cl飽和水溶液(50 mL)で急冷し、減圧下で濃縮した。残留物をEtOAc (3×100 mL)で抽出した。合わせた抽出液を水(2×100 mL)及び食塩水(75 mL)で洗浄し、次に乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィー(2% EtOAc/Hex)で精製して、7.5 g (93%)の標記化合物を得た。
本開示に従って有効な化合物の限定されない具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
【0133】
【化41】

【0134】
組成物実施例:
上で挙げた化合物を含む組成物、ここで、前記組成物は眼科的に許容され得る液体である。
薬剤実施例:
哺乳動物において緑内障又は高眼圧の治療用薬剤の製造における上で挙げた化合物の使用。
哺乳動物において脱毛症の治療用薬剤の製造における上で挙げた化合物の使用。
上で挙げた化合物を含む薬剤、ここで、前記組成物は眼科的に許容され得る液体である。
方法実施例:
緑内障又は高眼圧の治療のために上で挙げた化合物を哺乳動物に投与することを含む方法。
脱毛症の治療のために上で挙げた化合物を哺乳動物に投与することを含む方法。
キット実施例:
上で挙げた化合物を含む組成物、容器、及び緑内障又は高眼圧の治療のために前記組成物を哺乳動物に投与するための説明書を含むキット。
上で挙げた化合物を含む組成物、容器、及び脱毛症の治療のために前記組成物を哺乳動物に投与するための説明書を含むキット。
【0135】
“医薬的に許容され得る塩”は、親化合物の活性を保持し、親化合物と比較して、投与される被検者に対してまた投与されるのに関連して追加の有害な又は厄介な作用を与えない任意の塩である。医薬的に許容され得る塩は、また、酸、他の塩、又は酸或いは塩に変換されるプロドラッグの投与の結果として生体内で形成することができる任意の塩を意味する。
酸性官能基の医薬的に許容され得る塩は、有機又は無機塩基から誘導することができる。塩は、一価又は多価イオンを含みむことができる。無機イオンのリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムが特に興味深い。有機塩は、アミン、特に、モノ-、ジ-及びトリアルキルアミン又はエタノールアミンのようなアンモニウム塩によって製造することができる。塩は、また、カフェイン、トロメタミン及び同様の分子によって形成することができる。塩酸又はある他の医薬的に許容され得る酸は、アミン又はピリジン環のような塩基性基を含む化合物と塩を形成することができる。
“プロドラッグ”は、投与後に治療的に活性な化合物に変換される化合物であり、この用語は、当該技術において一般に理解されているように本明細書においても広く解釈すべきである。本発明の範囲を制限するものではないが、変換は、エステル基又はある他の生物学的に不安定な基の加水分解によって生じることができる。一般的には、必ずではなく、プロドラッグは、変換される治療的に活性な化合物よりも不活性であるか又はあまり活性でない。本明細書において開示される化合物のエステルプロドラッグが特に企図される。エステルは、C1のカルボン酸(即ち、天然プロスタグランジンの末端カルボン酸)から誘導されてもよく、又はエステルは、フェニル環についてのように分子の他の部分についてのカルボン酸官能基から誘導されてもよい。限定するものではないが、エステルは、アルキルエステル、アリールエステル、又はヘテロアリールエステルであってもよい。用語アルキルは、当業者が一般的に理解している意味を有し、直鎖、分枝鎖、又は環状アルキル部分を意味する。C1-6アルキルエステルが特に有効であり、ここで、エステルのアルキル成分は、炭素原子1〜6個を有し、炭素原子1〜6個を有するメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル異性体、ヘキシル異性体、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びこれらの組み合せが含まれるがこれらに限定されない。
【0136】
薬剤の投与又は製造について、本明細書に開示される化合物が当該技術においてそれ自体周知である医薬的に許容され得る賦形剤と混合し得ることを当業者は容易に理解し得るであろう。特に、全身投与すべき薬剤は、経口投与又は非経口投与又は吸入に適する粉末、丸剤、錠剤等として、或いは溶液、エマルジョン、懸濁液、エアゾール、シロップ又はエリキシル剤として調製することができる。
固体剤形又は薬剤について、非毒性固体担体としては、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、ポリアルキレングリコール、タルカム、セルロース、グルコース、スクロース及び炭酸マグネシウムが挙げられるがこれらに限定されない。固体剤形は、被覆されてなくてもよく、胃腸管における崩壊及び吸収を遅らさせ、それによって、長時間にわたって持続作用を与える既知の方法によって被覆されていてもよい。例えば、グリセリルモノステアレート又はグリセリルジステアレートのような時間遅延物質が使われてもよい。また、制御放出用の浸透性治療用錠剤を形成するために、米国特許第4,256,108号; 同第4,166,452号; 及び同第4,265,874号に記載された方法によって被覆されていてもよい。医薬的に投与可能な液体剤形は、例えば、現在有効な化合物の1つ以上及び選択的医薬用補助剤担体を、例えば、水、生理食塩水、含水デキストロース、グリセロール、エタノール等に溶解又は懸濁させたものを含み、それによって、溶液又は懸濁液を形成することができる。必要に応じて、投与すべき医薬組成物は、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤等の少量の非毒性補助物質を含有してもよい。このような助剤の典型例は、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウム、トリエタノールアミンオレエート等である。このような剤形の実際の調製方法は、当業者に既知であり、明らかでもある; 例えば、Remington's Pharmaceut ical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pa., 16th Edition, 1980を参照されたい。投与すべき製剤の組成物は、いずれにしても、現在有効な化合物の1つ以上の量を所望の治療効果を得るのに効果的な量で含有する。
非経口投与は、一般的には、皮下、筋肉内または静脈内のいずれかの注射を特徴とする。注射用剤は、通常の剤形で、液体の溶液又は懸濁液、注入前に液体中溶液又は懸濁液に適する固体剤形、又はエマルジョンのいずれかとして調製し得る。適切な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等である。更に、必要に応じて、投与される注射用医薬組成物は、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤等のような少量の非毒性補助物質を含有してもよい。
【0137】
投与される現在有効な1つ又は複数の化合物の量は、勿論、所望される1つ又は複数の治療効果、治療される個々の哺乳動物、哺乳動類の症状の重篤度及び種類、投与方法、使われる具体的な1つ又は複数の化合物の有効性及び薬力学、並びに処方医師の判断による。現在有効な1つ又は複数の化合物の治療的に有効な用量は、好ましくは約0.5又は約1〜約100mg/kg/日の範囲内である。
眼科的に許容され得る液体は、眼に局所投与され得るように配合される。快適性を可能な限り最大にするべきであるが、しばしば処方の検討(例えば、薬剤安定性)が最適よりも低い快適性を必要とすることがあり得る。快適性を最大にすることができない場合、液体は、液体が患者にとって局所眼科使用に許容できるように配合されるべきである。更に、眼科的に許容され得る液体は、単回使用に包装されるか、又は多数回使用に対する汚染を防止するために防腐剤を含有しなければならない。
眼科用途について、液剤又は薬剤は、主賦形剤として生理食塩溶液を用いてしばしば調製される。眼科用液剤は、好ましくは、適切な緩衝系によって快適なpHに維持すべきである。製剤は、また、慣用の医薬的に許容され得る防腐剤、安定剤及び界面活性剤を含有してもよい。
【0138】
本発明の医薬組成物に用いることができる防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀及び硝酸フェニル水銀が挙げられるがこれらに限定されない。有効な界面活性剤は、例えば、Tween 80である。同様に、各種の有効な賦形剤を、本発明の眼科用製剤に用いてもよい。これらの賦形剤としては、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及び精製水が挙げられるがこれらに限定されない。
張度調整剤は、必要に応じて又は便宜上添加されてもよい。張度調整剤としては、塩類、特に、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール及びグリセリン; 或いは任意の他の適切な眼科的に許容され得る張度調整剤が挙げられるがこれらに限定されない。
pHを調整するための種々の緩衝液及び手段は、得られた製剤が眼科的に許容され得る限り用いることができる。従って、緩衝液としては、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液及びホウ酸緩衝液が挙げられる。これらの製剤のpHを必要に応じて調整するのに酸又は塩基を用いることができる。
同様な傾向において、本発明に用いられる眼科的に許容され得る酸化防止剤としては、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチル化ヒドロキシアニソール及びブチル化ヒドロキシトルエンが挙げられるがこれらに限定されない。
眼科用製剤に含まれてもよい他の賦形剤成分は、キレート化剤である。有効なキレート剤は、エデト酸二ナトリウムであるが、他のキレート化剤もエデト酸二ナトリウムの代りに又は併用して用いてもよい。
【0139】
これらの成分は、通常、下記の量で用いられる:
成分 量 (% w/v)
有効成分 約0.001-5
防腐剤 0-0.10
賦形剤 0-40
張度調整剤 1-10
緩衝剤 0.01-10
pH調整剤 適量pH 4.5-7.5
酸化防止剤 必要に応じて
界面活性剤 必要に応じて
精製水 100%にする
【0140】
発毛を促進させるための用途
一実施態様において、本明細書に開示される化合物は、脱毛症及び/又は抜け毛の治療に有効であり得る。脱毛(脱毛症)は、正常な又は異常な毛髪の欠損であり、主にヒトにおける美容上の問題である。これは、硬毛の欠損、広い直径、すぐに見える着色した毛髪である。しかしながら、いわゆる毛髪のない人において、硬毛の欠如が顕著であるが、皮膚は毳毛を含有し、これは存在を決定するために顕微鏡試験を必要とすることがあり得る細い無色の毛髪である。この毳毛は、硬毛の前駆体である。
本明細書に記載される化合物は、硬毛としての成長に対する毳毛の変換だけでなく、硬毛の成長速度を増加させることができることのように、促進させるために使用し得る。発毛のシミュレーションのために本明細書に記載される化合物の効用を以下の通り発見した。
緑内障を有する患者を治療する過程で、治療は、一方の眼にのみ適切であり得る。毎日の実施の過程の間に、ビマトプロスト、プロスタグランジン類似体で治療された患者が治療されていない眼より治療された眼においてより長く、より厚く、且つより充分な睫毛がはえることを発見した。調べてみると、違いが非常に著しいことがわかった。睫毛は、より長く、治療された眼においてより充分で、より密集した外観を有した。治療した眼の眼瞼上の睫毛の外観は、これが両側の現象を表す場合には非常に魅力的であると思われた。非対称性の結果として、一方の側の長い睫毛は、美容上の観点を妨げるものとして解釈され得る。体系的試験は、非対称の現象の結果として前もって作られた。この外観の変化が単独所見でないことは、まもなく明らかになった。一方の眼だけでビマトプロストを用いた患者の眼瞼を比較すると、数人の患者においてビマトプロスト治療の側の睫毛と隣接の毛に微妙な変化が示された。6ヶ月より長く片側に薬剤を用いているすべて患者の睫毛及び隣接の毛において種々の程度まで明確な違いを確認することができた。
【0141】
睫毛の変化は、注意をその問題に集中すると数人の患者に肉眼による検査で明らかであった。明るい色の毛をもつ患者と睫毛における違いは、高倍率及び細隙灯顕微鏡の能力の助けでのみ容易に見られた。緑内障追跡試験の過程で、たいてい直ちに眼自体に注意を集中する。必要な高電力倍率の結果として、一方の眼だけが一回見られ、充分な高電力で睫毛の焦点が合っていない眼が見られる。これらのより高い電力での両眼の間の睫毛非対称は、両眼の眼瞼の睫毛と隣接の毛の注意深い体系的比較によらない限りおそらく気が付かない。
より強力な毛の成長がプロスタグランジン類似体の投与後の治療領域に生じるという結論につながることが認められたパラメーターは、複数であった。これには、睫毛の長さが長くなった、正常な睫毛ラインに沿って睫毛の数が増加した、睫毛の厚み及び光沢が増加した、正常な睫毛の成長の領域に隣接した移行領域において補助睫毛のような硬毛が増加した、内側と外側の眼角領域に補助睫毛のような硬毛が増加した、睫毛の色素沈着が増加した、数が増加した、長さが増加しただけでなく、隣接の眼瞼の皮膚上の細かい毛の光沢及び厚みが増加した、最後に、睫毛及び睫毛のような硬毛の垂直な角のある形が増加したことが含まれる。このように発毛がビマトプロストのようなプロスタグランジンの類似体によって促進されるという結論は、単一のパラメーターの違いの証拠によって支持されず、多くの被検者の対照領域に対して治療された領域における毛の外観の複数のパラメーターに基づくものである。
本明細書に記載される化合物は、プロスタグランジン類似体であり、それ故ビマトプロストと同様の活性を有し、構造類似性を含有し、それ故発毛及び毳毛の硬毛への変換の刺激を促進させることが予想される。一実施態様において、本明細書に記載される化合物及びそれらのプロドラッグは、発毛の刺激に使用し得る。本明細書に用いられる発毛には、頭皮、眉毛、眼瞼、あごひげ、及び動物の皮膚の他の領域と関連している毛が含まれる。
【0142】
一実施態様において、化合物は、皮膚科学的に適合する賦形剤又は担体と混合される。本明細書に記載される組成物を調製するのに使うことができる賦形剤は、例えば、水溶液、例えば生理食塩水、油剤、又は軟膏を含んでもよい。賦形剤は、更に、皮膚科学的に適合する防腐剤、例えば、塩化ベンザルコニウム、界面活性剤、例えば、ポリソルベート80、リポソーム又はポリマー、例えば、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸を含有してもよい; これらは、粘度を増加させるのに用いてもよい。更にまた、薬剤が投与されるときに可溶性又は不溶性薬剤挿入物を用いることも可能である。
一実施態様において、皮膚科学的組成物は、効果的な発毛をシミュレートする量の上で定義した1つ以上の化合物及び皮膚科学的に適合する担体を含む発毛の刺激用の局所治療に配合され得る。活性化合物の効果的な量は、当業者によって決定することができるが使われる化合物、適用頻度及び望ましい結果によって異なる。化合物は、一般的には、皮膚科学的組成物の約0.0000001〜約50質量%である。化合物は、好ましくは、全皮膚科学的組成物の約0.001〜約50質量%、より好ましくは、組成物の約0.1〜約30質量%である。
【0143】
一実施態様において、発毛の刺激のための本化合物の適用は、ヒト及び動物双方を含む哺乳動物種の適用とする。ヒトにおいて、本明細書に記載される化合物は、例えば、頭皮、あごひげ、頭、恥骨領域、上唇、眉毛、及び眼瞼に適用され得る。毛皮として飼育されている動物、例えば、ミンクにおいて、本明細書に記載される化合物は、商業的な理由で全体の毛皮を改善するために体の全表面に対してて適用され得る。プロセスは、また、動物において美容上の理由で用いることができ、例えば、疥癬又は或る程度の脱毛を引き起こす他の疾病によるはげた部分を有するイヌやネコの皮膚に適用される。
【0144】
発毛の刺激のために企図される医薬組成物には、局所及び局所作用に適した医薬組成物が含まれる。本明細書に使われる用語“局所”は、本明細書に記載されるように、適切な医薬担体に組み込まれ、且つ局所作用を働かせるために薄くなっている毛髪或いは脱毛の部位に適用される化合物の使用に関する。従って、このような局所組成物には、化合物が治療される皮膚との直接の接触によって外部から適用される医薬形態が含まれる。このための慣用の医薬形態は、軟膏剤、リニメント剤、クリーム剤、シャンプー剤、ローション剤、パスタ剤、ゼリー剤、噴霧剤、エアゾール剤等を含み、治療される体の部分によっては貼付剤或いは含浸包帯において適用されてもよい。用語“軟膏剤”は、油脂性、水溶性及びエマルション型基剤、例えば、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコールだけでなく、これらの混合物を有する製剤(クリーム剤を含む)を包含する。
典型的には、化合物は、局所的に治療される体の部分、例えば、眼瞼、眉毛、皮膚又は頭皮に持続時間繰り返し適用され得る。好ましい用法・用量は、一般的には、毎日のような規則的な投与を、少なくとも1ヶ月、より好ましくは少なくとも3ヶ月、最も好ましくは少なくとも6ヶ月の治療期間必要とする。
【0145】
眼瞼又は眉毛に対する局所使用については、活性化合物は、医薬的に許容され得る緩衝液及び塩の添加によって生理的に許容され得る浸透圧モル濃度を示す水性溶液、クリーム剤、軟膏剤、又は油中に配合され得る。このような製剤は、ディスペンサによっては、添加剤として、防腐剤、例えば、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、パラヒドロキシ安息香酸、フェニル水銀塩、例えば、硝酸塩、塩化物、酢酸塩、ホウ酸塩、又は酸化防止剤だけでなく、EDTA、ソルビトール、ホウ酸等のような添加剤を含有してもよく、含有しなくてもよい。更にまた、特に水溶液は、粘度増加剤、例えば、多糖類、例えば、メチルセルロース(例えば、ムコ多糖類、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸、又はポリアルコール、例えば、ポリビニルアルコールを含有することができる。種々の持続放出ゲル剤やマトリックスだけでなく、例えば、その場ゲル剤を形成する物質に基づき、可溶性及び不溶性眼挿入物が使われてもよい。用いられる実際の製剤及び化合物によっては、種々の量の薬剤及び異なる投与法が使われてもよい。典型的には、眼瞼の治療用の化合物の1日の量は、眼瞼に対して約0.1ng〜約100mgであり得る。
【0146】
皮膚及び頭皮に対する局所使用について、化合物は、有利には、有効成分の担体として軟膏剤、クリーム剤、リニメント剤又は貼付剤を用いて配合され得る。また、これらの製剤は、用いるディスペンサ及び種類によっては、防腐剤を含有してもよく、含有しなくてもよい。このような防腐剤としては、上述したもの及びメチル-、プロピル-、又はブチル-パラヒドロキシ安息香酸、ベタイン、クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム等が挙げられる。持続放出送達のための種々のマトリックスもまた、用いることができる。典型的には、頭皮に適用される投与量は、化合物及び製剤によっては、1日約0.1ng〜約100mg、より好ましくは1日1ng〜約10mg、最も好ましくは1日約10ng〜約1mgである。1日量の薬剤を達成するために、製剤によっては、化合物は、酸化防止剤の有無にかかわらず、1日1回又は数回投与されてもよい。
局所使用について、本明細書に開示される化合物を含有するクリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、液剤又は懸濁剤等が使われる。局所製剤は、一般的には、医薬担体、共溶媒、乳化剤、浸透促進剤、防腐剤系、及び皮膚軟化剤から構成されてもよい。
本発明の活性化合物の実際の投与量は、個々の化合物、及び治療される状態に左右される; 適切な投与量の選択は、当業者の知識の範囲内でよい。
本明細書に開示される化合物は、また、緑内障又は他の症状の治療に有効な他の薬剤と組み合わせても有効である。
【0147】
緑内障の治療について、以下の種類の薬剤との併用治療が企図される:
β-遮断薬(又はβ-アドレナリン作動性拮抗薬)、カルテオロール、レボブノロール、メチパラノロール、チモロール半水和物、チモロールマレイン酸塩、β1選択的拮抗薬、例えば、ベタキソロール等を含む、又は医薬的に許容され得る塩又はそのプロドラッグ;
アドレナリン作動薬
非選択的アドレナリン作動薬、例えば、ホウ酸エピネフリン、塩酸エピネフリン、及びジピベフリン等を含む、又はその医薬的に許容され得る塩又はプロドラッグ; 及び
α2選択的アドレナリン作動薬、例えば、アプラクロニジン、ブリモニジン等、又はその医薬的に許容され得る塩又はプロドラッグ;
炭酸脱水酵素阻害薬、アセタゾールアミド、ジクロルフェナミド、メタゾールアミド、ブリインゾールアミド、ドルゾールアミド等を含む、又はその医薬的に許容され得る塩又はプロドラッグ;
コリン作動薬、以下を含む、
直接作用するコリン作動薬、例えば、カルバコール、塩酸ピロカルピン、硝酸ピロカルビン、ピロカルピン等、又はその医薬的に許容され得る塩又はプロドラッグ;
コリンエステラーゼ阻害剤、例えば、デメカリウム、エコチオフェート、フィゾスチグミン等、又はその医薬的に許容され得る塩又はプロドラッグ;
グルタミン酸拮抗薬及び他の神経保護物質、例えば、Ca2+チャネル遮断薬、例えば、メマンチン、アマンタジン、リマンタジン、ニトログリセリン、デキストロファン、デトロメトルファン、CGS-19755、ジヒドロピリジン、ベラパミル、エモパモル、ベンゾチアゼピン、ベプリジル、ジフェニルブチルピペリジン、ジフェニルピペラジン、HOE 166及び関連薬剤、フルスピリレン、エリプロジル、イフェンプロジル、CP-101,606、チバロシン、2309BT、及び840S、フルナリジン、ニカルジピン、ニフェジムピン、ニモジピン、バルニジピン、ベラパミル、リドフラジン、乳酸プレニルアミン、アミロリド等、又は医薬的に許容され得る塩又はそのプロドラッグ;
プロスタミド、例えば、ビマトプロスト、又はその医薬的に許容可能な塩又はプロドラッ グ; 及び
プロスタグランジン、トラボプロスト、UFO-21、クロプロステノール、フルプロステノール、13,14-ジヒドロクロプロステノール、イソプロピルウノプロストン、ラタノプロスト等を含む。
カンナビノイド、CB1作動薬、例えば、WIN-55212-2、CP-55940等、又はその医薬的に許容され得る塩又はプロドラッグを含む。
緑内障を含む目に働きかける疾病の治療について、これらの化合物は、局所的に、眼周囲に、眼内に、又は当該技術において既知の他のいかなる有効手段によっても投与され得る。
【0148】
緑内障の治療に加えてプロスタグランジンEP2選択的作動薬は、いくつかの医学的用途を有すると考えられる。例えば、米国特許第6,437,146号には、“関節や筋肉の炎症や疼痛(例えば、関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、骨関節炎、痛風関節炎、若年性関節炎等)、炎症性皮膚症状(例えば、日焼け、熱傷、湿疹、皮膚炎等)、炎症性眼症状(例えば、結膜炎等)、炎症が関係している肺障害(例えば、喘息、気管支炎、鳩飼病、農夫肺等)、炎症(例えば、アフタ性潰瘍、クローン病、萎縮性胃炎、胃炎治療、潰瘍性大腸炎、セリアック病、限局性回腸炎、過敏性腸症候群等)と関連している胃腸管の症状、手術又は損傷後の歯肉炎、炎症、疼痛及び腫れ、炎症と関連している発熱、疼痛及び他の症状、アレルギー性疾患、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発筋炎、腱炎、滑液包炎、結節性動脈周囲炎、リウマチ熱、シェーグレン症候群、ベーチェット病、甲状腺炎、1型糖尿病、糖尿病性合併症(糖尿病性微小血管障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症等)、ネフローゼ症候群、再生不良性貧血、重症筋無力症、ブドウ膜炎接触性皮膚炎、乾癬、川崎病、サルコイドーシス、ホジキン病、アルツハイマー病、腎機能不全(腎炎、腎炎症候群等)、肝機能不全(肝炎、肝硬変等)、胃腸機能不全(下痢、炎症性腸疾患等)、ショック、骨代謝異常を特徴とする骨疾患、例えば骨粗鬆症(特に、閉経後骨粗鬆症)、高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症、パジェット骨疾患、骨溶解、骨転移の有無にかかわらず悪性腫瘍の高カルシウム血症、関節リウマチ、歯周病、骨関節炎、骨痛、骨減少症、癌悪液質、結石症、結石(特に、尿石症)、固形癌、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、浮腫(例えば、心臓性浮腫、脳浮腫等)、高血圧症、例えば悪性高血圧等、月経前緊張、尿結石、乏尿症、例えば急性不全又は慢性不全によって引き起こされるもの、リン酸塩尿症等を治療するか又は予防するための”プロスタグランジンEP2選択的作動薬の使用が教示されている。
米国特許第6,710,072号には、“骨粗鬆症、便秘、腎臓障害、性機能不全、脱毛症、糖尿病、癌及び免疫調節異常における…急性心筋梗塞、血管血栓症、高血圧症、肺高血圧症、虚血性心疾患、鬱血性心不全、及び狭心症を含む種々の病態生理学的疾患”の治療又は予防のためのEP2作動薬の使用が教示されている。
【0149】
これらの化合物は、また、黄斑症/網膜変性、例えば、非滲出性加齢性黄斑変性症(ARMD)、滲出性加齢性黄斑変性症(ARMD)、脈絡膜血管新生、糖尿病性網膜症、急性黄斑視神経網膜障害、中心性漿液性網脈絡膜症、類嚢胞黄斑浮腫、及び糖尿病性黄斑浮腫; ブドウ膜炎/網膜炎/脈絡膜炎、例えば、急性多発性小板状色素上皮症、ベーチェット病、散弾状脈絡網膜炎、感染性(梅毒、ライム病、結核、トキソプラズマ症)、中間部ブドウ膜炎(扁平部炎)、多発性脈絡膜炎、多発一過性白点症候群(mewds)、眼サルコイドーシス、後部強膜炎、匍行性脈絡膜炎、網膜下線維症ブドウ膜炎症候群、フォークト・小柳・原田症候群; 血管疾患/滲出性疾患、例えば、網膜動脈閉塞症、網膜中心静脈閉塞症、播種性血管内凝固症候群、網膜静脈分枝閉塞症、高圧性眼底変化、眼虚血症候群、網膜動脈瘤、コーツ病、傍中心窩毛細血管拡張症、半網膜静脈閉塞症、乳頭静脈炎、網膜中心動脈閉塞症、網膜動脈分枝閉塞症、頚動脈病(CAD)、樹氷状血管炎、鎌状赤血球網膜症や他の異常ヘモグロビン症、網膜色素線条症、家族性滲出性硝子体網膜症、イールス病; 傷害性/外科疾患、例えば、交感性眼炎、ブドウ膜炎網膜疾患、網膜剥離、外傷、レーザによって引き起こされる症状、光線力学療法によって引き起こされる症状、光凝固、手術中の灌流低下、放射線網膜症、骨髄移植網膜症; 増殖性疾患、例えば、増殖性硝子体網膜症や網膜上膜、増殖性糖尿病網膜症; 感染症、例えば、眼ヒストプラスマ症、眼トキソカラ症、推定眼ヒストプラスマ症候群(POHS)、眼内炎、トキソプラズマ症、HIV感染症関連網膜症、HIV感染症関連脈絡膜疾患、HIV感染症関連ぶどう膜疾患、ウイルス性網膜炎、急性網膜壊死、進行性網膜外層壊死、真菌網膜疾患、眼梅毒、眼結核、片側性瀰漫性亜急性視神経網膜炎、ハエウジ症; 遺伝性疾患、例えば、網膜色素変性症、網膜ジストロフィー関連全身性疾患、先天性停在性夜盲、錐体変性、シュタルガルト病や黄色斑眼底、ベスト病、網膜色素上皮の黄斑ジストロフィ、X連鎖性網膜分離症、ソースビー眼底変性症、良性同心性黄斑変性症、ビエッティ水晶体ジストロフィー、弾性線維偽黄色腫; 網膜裂傷/裂孔、例えば、網膜剥離、黄斑円孔、巨大網膜裂傷; 腫瘍、例えば、腫瘍関連網膜疾患、網膜色素上皮の先天性肥大、ぶどう膜悪性黒色腫、脈絡膜血管腫、脈絡膜骨腫、脈絡膜転移、網膜及び網膜色素上皮過誤腫、網膜芽細胞腫、眼底の血管増殖性腫瘍、網膜の星状細胞腫、眼内リンパ様腫瘍を含む眼の後部に働きかける症状; 及び眼の後部に働きかける種々の他の疾病、例えば、斑状内部脈絡膜症、急性後部多発性小板状色素上皮症、近視性網膜変性、急性網膜色素上皮炎を治療するか又は予防するために使用し得る。好ましくは、疾患又は症状は、網膜色素変性症、増殖性硝子体網膜症(PVR)、加齢黄斑変性(ARMD)、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、網膜剥離、網膜引裂、ブドウ膜炎、又はサイトメガロウイルス網膜炎である。
【0150】
これらの化合物は、また、喘息を治療するのに有効である。
当業者は、斜めのくさび形/黒いくさび形の構造特徴と関連した立体化学の意味を理解している。例えば、入門の有機化学書(Francis A. Carey, Organic Chemistry, New York: McGraw-Hill Book Company 1987, p. 63)には、“くさび形が紙面から見る人に向かってくる結合を示し”、“点線”として示される斜めのくさび形は、“見る人から遠ざかる結合を示す”と述べられている。立体化学が明確に示されない限り、構造は可能なあらゆる立体異性体を、純粋か或いは考えられるあらゆる混合物の双方で含むことを意図する。立体化学が明確に示されない限り、構造は可能なあらゆる立体異性体を、純粋か或いは考えられるあらゆる混合物の双方で含むことを意図する。
上記の説明は、本発明を実施するために使うことができる個々の方法及び組成物を詳述し、企図される最良の方法を示すものである。しかしながら、望ましい薬理学的特性を有する化合物を更に類似の方法で調製することができ、且つ開示された化合物を異なる化学反応によって異なる出発化合物から得ることができることも当業者に明らかである。同様に、異なる医薬組成物を実質的に同じ結果で調製し用いることができる。このように、上記が本文に記載されることになることを詳述したが、この全体の範囲を制限するものとして解釈されてはならない; むしろ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲の合法的な構成によってのみ支配されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造より選ばれる式の化合物
【化1】

【化2】

(式中、Yは、以下の基
【化3】

である)。
【請求項2】
下記式の請求項1に記載の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩。
【化4】

【請求項3】
下記式の請求項1に記載の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩。
【化5】

【請求項4】
下記式の請求項1に記載の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩。
【化6】

【請求項5】
下記式の請求項1に記載の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩。
【化7】

【請求項6】
下記式の請求項1に記載の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩。
【化8】

【請求項7】
下記式の請求項1に記載の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩。
【化9】

【請求項8】
下記式の請求項1に記載の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩。
【化10】

【請求項9】
下記式の請求項1に記載の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩。
【化11】

【請求項10】
下記式の請求項1に記載の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩。
【化12】

【請求項11】
下記式の請求項1に記載の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩。
【化13】

【請求項12】
下記式の請求項1に記載の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩。
【化14】

【請求項13】
下記式の請求項1に記載の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩。
【化15】

【請求項14】
下記式の請求項1に記載の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩。
【化16】

【請求項15】
下記式の請求項1に記載の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩。
【化17】

【請求項16】
下記式の請求項1に記載の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩。
【化18】

【請求項17】
下記式の請求項1に記載の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩。
【化19】

【請求項18】
下記式の請求項1に記載の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩。
【化20】

【請求項19】
下記式の請求項1に記載の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩。
【化21】

【請求項20】
下記式の請求項1に記載の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩。
【化22】

【請求項21】
脱毛症の治療方法であって、治療的に有効な量の請求項1に記載の化合物をそれを必要としている被検者に投与することを含む、前記方法。

【公表番号】特表2011−518833(P2011−518833A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506415(P2011−506415)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/041389
【国際公開番号】WO2009/132088
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(390040637)アラーガン インコーポレイテッド (117)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】