説明

治療薬結合が増強された医療用製品

本発明の態様に従い、(a)第一の電荷を有するポリマー領域、及び(b)前記第一の電荷の符号と反対の符号である第二の電荷を有する帯電した治療薬:を含む、医療用製品が提供される。ある有益な実施態様において、医療用製品は、表面積の大きい製品、例えば、小さい直径(例えば10μm以下)のファイバーを用いて形成された製品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、医療用製品、より詳細に述べると1種以上の治療薬を含有する医療用製品に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
治療薬の患者の体へのインビボ送達は、近代医学の実践において一般的である。治療薬のインビボ送達は、体内の標的部位に一時的又は永久に配置されてよい医療機器を用いて実行されることが多い。これらの医療機器は、必要に応じ、短期間又は長期間それらの標的部位に維持され、治療薬を標的部位へ送達することができる。
【0003】
いくつかの送達戦略に従い、治療薬は、医療機器に会合されている高分子層の内部又は下側に提供される。一旦この医療機器が患者内の所望の位置に配置されたならば、例えば、治療薬の負荷(loading)及び高分子層の性質に左右されるプロファイルを持つ医療機器から治療薬が放出される。しかしこのような場合の多くにおいて、治療薬は、医療機器内に捕捉され続け、その結果患者には恩恵がない。
【0004】
この問題点のひとつの解決法は、医療機器の表面へ治療薬を配置することである。しかし、表面、特に平滑で平らな表面に配置することができる治療薬の量には、限界がある。更に治療薬と表面の間に著しい引力を伴わないと、最小量の薬剤は、最終的に表面に結合し始めるか、及び/又はこの薬剤は、体内で時期尚早に放出され、治療薬の効能の低下を招くであろう。
本発明は、これら及び他の欠点に対処するものである。
【発明の開示】
【0005】
(発明の要旨)
本発明の態様に従い、(a)第一の電荷を有するポリマー領域、及び(b)第一の電荷のものとは符号が反対である第二の電荷を有する帯電した治療薬:を含む、医療用製品が提供される。ある有益な実施態様において、医療用製品は、表面積の大きい製品であり、例えば、小さい直径(例えば10μm以下)のファイバーを用いて形成された製品である。
【0006】
本発明の利点は、本発明の医療用製品に結合している治療薬の量を増大することができることである。
別の本発明の利点は、時期尚早に放出される治療薬の量を減少することができることである。
これら及び他の本発明の実施態様及び利点は、以下の「詳細な説明」及び「特許請求の範囲」の検証を基に、当業者には直ぐに明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(発明の詳細な説明)
本発明の態様に従い、少なくとも1種のポリマー領域及び少なくとも1種の治療薬を含む医療用製品が提供される。本発明の製品において使用するために選択されたポリマー領域及び治療薬は反対の電荷であり、これにより治療薬とポリマー領域の表面の間の静電気結合を促進する。
【0008】
正電荷は、例えば、カチオン部分の存在から生じてよい。アニオン部分が、カチオン部分の寄与よりもより少なく全体の電荷に寄与する限りにおいて、アニオン部分も、存在してよい。
対照的に、負電荷は、例えばアニオン部分の存在から生じてよい。カチオン部分が、アニオン部分の寄与よりもより少なく全体の電荷に寄与する限りにおいて、カチオン部分も存在してよい。
【0009】
特定のポリマー領域又は治療薬の電荷は、その周囲環境のpHにより変化してよい。従って、結合時にポリマー領域及び治療薬が遭遇するpHはモニタリングされ、一部の実施態様においては、高分子材料と治療薬の間の電荷の差異を最適化するように制御することができる。ある実施態様において、例えば、環境からから環境への結合の連続性を強化するために、結合pHを体内で医療用製品により経験される生理的pHと合わせる努力が成される。他方で、ある実施態様においては、生理的pHは、結合pHと実質的に異なってよく、その結果、治療薬及び/もしくはポリマー領域は、より中性の電荷となり始めるか、又は治療薬及び/もしくはポリマー領域の電荷は符号を変化し(例えば、酸性及び塩基性の両官能基を有する治療薬又はポリマー領域の場合)、治療薬の迅速な放出を生じる。
【0010】
本発明は、例えば、体内用医療機器(例えば、少なくとも部分的に埋込み可能、挿入可能などである医療機器)を含む広範な医療用製品に適用可能である。様々な本発明の態様及び実施態様から恩恵がある体内用医療機器は非常に多く、例えば、以下から選択されてよい:カテーテル(例えば、バルーンカテーテルなどの、腎カテーテル又は血管カテーテル)、バルーン、ガイドワイヤ、フィルタ(例えば、大静脈フィルタ)、ステント(冠血管ステント、末梢血管ステント、大脳、尿道、尿管、胆管、気管、胃腸管及び食道のステントを含む)、ステントグラフト、血管グラフト、血管アクセスポート、脳動脈瘤フィラーコイルを含む塞栓形成器具(例えば、Guglilmi着脱式コイル及び様々な他の金属コイル)、心筋プラグ、中隔欠損閉鎖器具、パッチ、ペースメーカー及びペースメーカー導線、除細動器用リード及びコイル、左心室補助心臓及びポンプ、完全人工心臓、心臓弁、血管弁、インビボ組織再建のための組織エンジニアリング足場、生検用器具、更には体内に埋込み又は挿入されかつそこから治療薬が放出される多くのその他の器具。
【0011】
本発明の様々な態様及び実施態様における使用のためのポリマー領域は、基礎をなす医療用製品基材の全体又は一部のみの上に形成されるポリマー層、足場及びファイバーなどの基礎をなす基材を必要としないポリマー領域などを含む、様々な形で提供されてよい。
層は、基礎をなす基材の上に、様々な位置及び様々な形状で提供することができる。これらは、互いに積層されてもよい。従ってこれは、治療薬が順次出現するように、各々がそれ自身結合された治療薬を有する複数層を積層することができる。本明細書において使用される所定の物質の「層」とは、その厚さが、その長さ及び幅の両方と比べて小さい物質の領域である。本明細書において使用される層は、平らである必要はなく、例えば、基礎をなす基材の輪郭を辿ることがある。層は、不連続である(例えば、パターン化される)ことができる。「フィルム」、「層」及び「コーティング」のような用語は、本明細書において互換的に使用されてよい。ポリマー層が基礎をなす基材の全体又は一部のみの上に形成される場合、基礎をなす基材は、金属材料及び非金属材料、例えばセラミック材料、炭素-ベースの材料、ケイ素-ベースの材料、高分子材料などを含む、様々な材料から形成されてよい。
【0012】
ファイバーが使用される場合、ポリマー領域は、例えば、ファイバー全体に又はファイバー上のコーティングに相当してよい。ファイバーから形成される本発明の医療用製品は、二次元構造(例えば、パッチ)及び三次元構造(例えばチューブ)を含み、これらは、例えば様々なウーブン(woven)及びノン-ウーブン(non-woven)技術を含む、任意の好適なファイバー-ベースの構造技術を用いて形成されてよい。ノン-ウーブン技術の例は、熱融合、残留溶媒の除去、機械的絡み、化学結合、接着結合などによる融合を利用するものを含む。更にこのポリマー領域は、基材上、多くの他の可能性のあるものの中でも、例えば、医療機器基材(例えば、ステンレス鋼又はニチノールステント基材などの金属製ステント基材)上に配置されたファイバー含有領域(例えば、ウーブン又はノン-ウーブンファイバーを含む領域)に相当してよい。
【0013】
ファイバー-ベースの医療用製品の具体例は、酸素供給器用中空ファイバー、ヘルニア再建用パッチ並びに胃腸管及び泌尿生殖器系用パッチなどのパッチ(置換用パッチを含む)、LVAD(左心室補助器具)及びTAH(完全人工心臓)をヒト動脈へ接続するためのファブリック、創傷包帯、メンブレン、前十字靱帯、神経血管動脈瘤治療用製品、心臓弁及び静脈弁のための弁尖;冠動脈バイパスグラフト、末梢血管グラフト及び血管内グラフトなどの大小血管グラフト、ステントグラフト、胃腸管及び泌尿生殖器系用グラフトを含む、グラフト;血管アクセスポート及び動脈-静脈アクセスグラフト(例えば抗生物質、完全非経口栄養、静脈内輸液、輸血、採血などのための頻繁な動脈及び/又は静脈アクセス、又は血液透析用動脈-静脈アクセスをもたらすために利用される器具)を含む血管アクセス器具;他の管状構造物、例えば、胆管、尿道、尿管及び子宮用の管状構造物;塞栓フィルタ;心組織、皮膚、粘膜及び血管組織を含む組織エンジニアリングのための足場;などを含む。
【0014】
それらの全体の形に関わらず、本発明における使用に好適なポリマー領域は、有利に大きい表面積領域である。例えばポリマー領域がファイバー又はファイバーコーティングの形で提供される場合、一般則として(例えば、表面テクスチャの変動はないと推定する)、ファイバー直径の減少は、ポリマー領域の表面積の増加につながるであろう。従って、本発明における使用のために選択されたファイバーは、10ミクロン(μm)未満、1μm未満、又は500nm未満さえも(例えば、10nm〜25nm、10nm〜50nm、10nm〜100nm、10nm〜250nm、10nm〜500nm)の直径を有するような、小さい直径のファイバーを含む。密度1g/cm3を有するポリマーを例とすると、このポリマー1gは、材料の1cm3に相当する。平滑なファイバーに関して、ファイバー容積は、πr2Lに等しい。半径0.5×10-4cmを有する1μmファイバーに関して、ポリマー1cm3=π(0.5×10-4cm)2Lであり、これはファイバー長1.2732×108cmに相当する。このファイバーの表面積(重要ではない端面を除く)は、πdL=π(10-4cm)(1.273×108cm)=4×104cm2であり、これは比表面積4×104cm2/gに相当する。表面積は、直径に反比例することに留意のこと。例えば、この計算により10μmファイバーは、比表面積4×103cm2/gを有するのに対し、0.1μmファイバーは比表面積4×105cm2/gを有する。従って、本発明のファイバーの比表面積は、他の値の中でも特に、例えば、103cm2/g〜104cm2/g、103cm2/g〜105cm2/gの範囲であってよい。
【0015】
表面積は、材料の断面(例えば、ファイバーの場合は直径)を減少することに加え、表面テクスチャの形成を通じ増加されてもよい。一部の実施態様において、本発明の実践に使用されるポリマー領域は、ナノテクスチャ加工された表面を有する。ナノテクスチャ加工された表面は、表面のナノ外観(nanofeature)を含むものであり、これは、少なくとも1つの寸法(及びしばしば2又は3の寸法)が長さ100nm未満である表面外観(例えば、隆起した外観、陥没した外観など)である。具体例として、幅10nm、高さ/深さ10nm、長さ1μmである稜又は溝は、それでもなお、その用語が本明細書において使用される場合、ナノ構造であり、その理由は、これは、長さが100nm未満である少なくとも1つの寸法(すなわち、その幅及びその高さ/深さ)を有するからであることが注目される。当然、ナノテクスチャ加工された表面は、ナノ外観でない外観も含んでよい。稜及び溝に加え、表面ナノ外観の他の例は、ヒル、メサ/プラトー、テラス、表面孔などを含む。
【0016】
「ポリマー領域」は、ポリマーを含む、通常少なくとも50重量%、75重量%、90重量%、95重量%またはそれよりも多いポリマーを含む領域である。本明細書において使用される「ポリマー」は、通常モノマーと称される、1種以上の構成単位の複数のコピーを、並びに典型的には5、10、25、50、100、500、1000又はそれ以上の構成単位を含む分子である。ポリマーは、例えば、単独の構成単位の複数のコピーを含むホモポリマー、並びに/又は単位が、ランダム、統計、グラジエント及び周期(例えば交互)分布を含む、様々な分布のいずれかで存在してよい、少なくとも2種の異種構成単位の複数のコピーを含むコポリマーであってよい。本発明において使用するポリマーは、環状、線状及び分岐配置(architecture)を含む、様々な配置を有してよい。分岐配置は、とりわけ、星型の配置(例えば、3個以上の鎖が単独の分岐点から発している、配置)、櫛型配置(例えば、主鎖及び複数の側鎖を有する配置)及び樹状配置(例えば、樹枝状ポリマー及び超分岐ポリマー)を含む。「ブロックコポリマー」は、例えば、ホモポリマー鎖並びにランダム及び周期コポリマー鎖から選択された、2種以上の異なるポリマー鎖を含むポリマーである。
【0017】
前述のように、本発明のポリマー領域は、例えば、(a)固有に帯電したかもしくは電荷を持つように修飾されたかのいずれかであるポリマーを使用するポリマー領域の形成によるか、又は(b)ポリマー領域の形成後、表面電荷を導入するように、ポリマー領域を修飾すること:により、負又は正に帯電されてよい。
【0018】
固有に帯電しているポリマーの例は、関連pH(例えば結合pH)において、ポリカチオンであるポリイオンポリマー及びポリアニオンであるポリイオンポリマーを含む。このようなポリマーは典型的には、複数の(例えば、5、10、25、50、100以上、頻繁にはより多くの)帯電部位を有する。これらは、多酸、多塩基及び多塩、例えば、イオノマー(構成単位の小さいが重要な部分が電荷を運搬する高分子電解質)を含む高分子電解質を含む。先に記したように、カチオン基及びアニオン基の両方を含むポリマーは、本明細書において、ポリマーにより保持されるアニオン基及びカチオン基の相対量に応じ、ポリカチオンポリマー又はポリアニオンポリマーのいずれかとして分類される。
【0019】
本発明の実践に適しているポリカチオンポリマーは、天然又は合成であってよく、これらはホモポリマー又はコポリマーであってよく、並びにこれらは単独で又はブレンド内で使用されてよい。本発明の実践のためのポリカチオンポリマーは、例えば、以下のカチオン基の1種以上を有する又は有することが可能である(例えば、プロトン化又は塩解離を介して)、好適なホモポリマー及びコポリマーから選択されてよい:とりわけ、帯電した第1級(-NH3+)、第2級及び第3級アミノ基を含む帯電したアミノ基、アミジニウム基、グアジニウム基、トリアゾリウム基、イミダゾリウム基、イミダゾリニウム基、ピリジニウム基、第1級(-SH2+)及び第2級スルホニウム基を含むスルホニウム基、ヒドロスルフィド基、第1級(-PH3+)、第2級、及び第3級ホスホニウム基を含むホスホニウム基、イソチオウロニウム基、ニトロシル基、ニトリル基、トロピリウム基、ヨードニウム基、アルソニウム基、アンチモニウム基、オキソニウム基、及びアニリウム基。
【0020】
ポリカチオンポリマーの具体例は、例えば、以下の好適な一員から選択されてよい:とりわけ、ポリアミドアミンを含むポリアミン、ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレート)及びポリ(ジエチルアミノエチルメタクリレート)のようなポリ(ジアルキルアミノアルキルメタクリレート)などのポリ(アミノメタクリレート)、ポリビニルアミン、ポリ(N-エチル-4-ビニルピリジン)などの第4級ポリビニルピリジンを含むポリビニルピリジン、ポリ(ビニルベンジルトリメチルアミン)、ポリアリルアミン及びポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)などのポリ(ジアリルジアルキルアミン)、スペルミン、スペルミジン、ヘキサジメトリンブロミド(ポリブレン)、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン及びエトキシル化されたポリエチレンイミンなどのポリアルキレンイミンを含むポリイミン、ヒストンポリペプチドを含む塩基性ペプチド及びタンパク質、並びにポリ-L-リジン、ポリ-D-リジン、ポリ-L,D-リジン、ポリ-L-アルギニン、ポリ-D-アルギニン、ポリ-D,L-アルギニン、ポリ-L-オルニチン、ポリ-D-オルニチン、ポリ-L,D-オルニチンを含むリジン、アルギニン、オルニチン及びそれらの組合せを含むポリマー、ゼラチン、アルブミン、プロタミン、並びにカチオンデンプン及びキトサンなどのポリカチオン性多糖。
【0021】
ポリカチオンポリマーのように、本発明の実践に適しているポリアニオンポリマーは、天然又は合成であってよく、これらはホモポリマー又はコポリマーであってよく、並びにこれらは単独で又はブレンド内で使用されてよい。本発明の実践のためのポリアニオンポリマーは、例えば、以下のアニオン基の1種以上を有する又は有することが可能である(例えば、プロトン供与又は塩解離を介して)、好適なホモポリマー及びコポリマーから選択されてよい:とりわけ、ホスフェート基、スルフェート基、スルホネート基、ホスホネート基及びカルボキシレート基。
【0022】
ポリアニオンポリマーの具体例は、例えば、以下の好適な一員から選択されてよい:(a)ポリビニルスルホネートなどのポリスルホネート、ポリ(ナトリウムスチレンスルホネート)(PSS)などのポリ(スチレンスルホネート)、スルホン化されたポリ(テトラフルオロエチレン)、米国特許第5,840,387号に開示されたものなどのスルホン化されたポリマーであって、スルホン化されたスチレン-エチレン/ブチレン-スチレントリブロックコポリマー、スルホン化されたスチレン系ホモポリマー及びコポリマー、例えばPinchukらの米国特許第6,545,097号に開示されたようなポリスチレン-ポリオレフィンコポリマーのスルホン化型を含み、該ポリマーは、例えば、米国特許第5,840,387号及び米国特許第5,468,574号に開示されたプロセスを用いスルホン化できるもの、並びに他のホモポリマー及びコポリマーのスルホン化型、(b)アクリル酸ポリマー及びそれらの塩(例えば、アンモニウム、カリウム、ナトリウムなどの塩)などの、ポリカルボン酸塩であり、例えばAtofina及びPolysciences Inc.から入手可能なもの、メタクリル酸ポリマー及びそれらの塩(例えば、EUDRAGlT、メタクリル酸及びエチルアクリレートコポリマー)、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルアミロース及び様々な他のポリマーのカルボン酸誘導体、グルタミン酸ポリマー及びコポリマー、アスパラギン酸ポリマー及びコポリマーのような、ポリアニオンペプチド及びタンパク質、並びにゼラチン、(c)様々なポリマーのリン酸誘導体などのポリリン酸エステル、(d)ポリビニルホスホネートのような、ポリホスホン酸エステル、(e)ポリビニル硫酸などの、ポリ硫酸エステルなど。
【0023】
追加例は、硫酸化及び非-硫酸化多糖であり、硫酸化及び非-硫酸化グリコサミノグリカンを含むもの、更にはプロテオグリカンなどの硫酸化多糖を含む種、例えば、ヘパリン、硫酸ヘパリン、硫酸コンドロイチン、硫酸ケラタン、硫酸デルマタン、ヒアルロナン、バマカン(bamacan)、パールカン、バイグリカン、フィブロモジュリン、アグリカン、デコリン、ムチン、カラゲナン;マンヌロン酸、ガラクツロン酸及びグルロン酸などのウロン酸のポリマー及びコポリマー、例えば、アルギン酸(β-D-マンヌロン酸及びα-L-グルロン酸のコポリマー)、を含む。このような帯電した多糖種は、米国特許出願第10/781,932号に開示されているように、細胞接着ペプチド、タンパク質、タンパク質断片及び/又は生体適合性ポリマーに結合されてよい。
【0024】
本発明のポリマー領域で使用するために選択されたポリマーは、固有に電荷を有さない程度に、それでもなお帯電した基が導入されてよい。
例えば、スルホン化されたポリマーと組合せて先に示されたように、スチレン系ポリマー及び他のポリマーを含むポリマーは、還元剤及び酸化剤を含む様々な試薬(例えば、スルホネート形成のための三酸化イオウ)で化学的に処理されてもよく、これらはそれらの表面を修飾し、それらにアミノ、ホスフェート、スルフェート、スルホネート、ホスホネート及びカルボキシレート基などの、帯電した基を提供する。
【0025】
別の例として、帯電した基は、帯電した種のポリマーへの共有的連結(グラフト化)により導入されてよい。帯電した種の例は、例えば、先に考察されたような、カチオン基及びアニオン基を含む種を含む。共有連結は、アミノ、ヒドロキシル、スルフヒドリル、カルボキシル、及びカルボニル基、更にはとりわけ、炭水化物基、近接ジオール、チオエーテル、2-アミノアルコール、2-アミノチオール、グアニジニル、イミダゾリル及びフェノール基を含む、多くの化学的に反応性の官能基を介して進行することができる。
【0026】
帯電した種の、各々が反応性官能基を有するポリマーへの共有的カップリングは、例えば、そのような官能基間の直接反応により、又はより典型的にはそのような官能基と反応することが可能である反応性部分を含む連結剤の使用により、実行されてよい。通常使用される連結剤の具体例は、とりわけ、グルタルアルデヒド、ジイソシアナート、ジイソチオシアナート、ビス(ヒドロキシスクシンイミド)エステル、マレイミドヒドロキシスクシンイミドエステル、カルボジイミド、N,N'-カルボニルジイミダゾールイミドエステル、及びジフルオロベンゼン誘導体である。当業者は、いくつかの他のカップリング剤を、存在する官能基に応じて使用してよいことを認めるであろう。一部の実施態様において、自己-カップリング反応を避けるために、ポリマー及び帯電した化合物は、異なる官能基を有することが望ましい。帯電した種及び/又はポリマー領域上に存在する官能基は、望ましいならば、例えば追加の反応性及び選択性を付与するために、反応前に他の官能基へ転換されてよい。共有的カップリングに関する更なる情報は、例えば、米国特許出願公開第2005/0002865号に認めることができ、これはその内容全体は引用により本明細書に組み込まれている。
【0027】
別の例として、帯電した基は、例えば、ポリマー間の水素結合(例えば、複数の水素結合)を基に非-共有的に連結している帯電した化合物により、並びに帯電した種との複合体及び/もしくは配位結合の形成、又は他の強力な非共有的相互作用を基に帯電した化合物により、ポリマーへ導入されてよい。
前記のように、ある実施態様において、電荷は、ポリマー領域が形成された後に提供されてよい。例えば、前述の技術(例えば、化学処理、帯電した種の共有又は非-共有カップリングなど)などの技術は、帯電した基を提供するために、ポリマー領域において行われてよい。
【0028】
表面電荷を提供するためのその他の技術は、それによりポリマー領域が、反応性プラズマにより処理される技術を含む。例えば、ガス放電技術を使用し、ポリマー表面が官能基化される。表面修飾は、表面を部分的にイオン化ガスへ(すなわち、プラズマへ)曝すことにより得られる。操作圧に応じて、コロナ放電技術(これは大気圧で実行される)及びグロー放電技術(これは減圧で実行される)の、2種のプロセスが説明されることが多い。プラズマ相は、反応種(電子、イオンなど)の広いスペクトルからなるので、これらの技術は、ポリマー表面の官能基化のために広範に使用される。
【0029】
グロー放電プロセス時には、処理される対象物の形状は余り重要でないので、ある実施態様において、グロー放電技術がコロナ放電技術よりも好ましいことがある。更にグロー放電技術は通常、使用されるガスに応じて、蝕刻又は浸漬様式のいずれかで操作されるのに対し、コロナ放電技術は通常、蝕刻様式で操作される。一般に使用されるグロー放電技術は、高周波グロー放電(RFGD)である。
【0030】
プラズマ処理プロセスは、表面の蝕刻、架橋及び/又は官能基化のために広範に使用されており、これらのプロセスは、非重合性ガスの放電に曝されたポリマー表面で同時に生じる。主に使用されるガスは、これらのプロセスのどれが主要であるかを決定する。一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、又は酸素(O2)のようなガスが使用される場合、-COOH基(これはプロトンを供与し、アニオン基を形成する)による官能基化が通常観察される。アンモニア、プロピルアミン、又はN2/H2のようなガスが使用される場合、-NH2基(これはプロトンを受容し、カチオン基を形成する)が通常形成される。
【0031】
官能基を含む表面は、官能基を含む「モノマー」が使用されるプラズマ重合プロセスを用いて得ることもできる。アリルアミン(これは-NH2基を生じる)及びアクリル酸(これは-COOH基を生じる)が、この目的のために使用される。第二の供給ガス(一般に非重合性ガス)を不飽和モノマーと組合せて使用することにより、プラズマ蒸着層内でのこの第二の種の組込が可能である。ガス対の例は、アリルアミン/NH3(これは-NH2基の生成の増大につながる)及びアクリル酸/CO2(これは-COOH基の生成の増大につながる)である。
前述の及び更なる情報は、例えば、「ポリマー表面の官能基化(Functionalization of polymer surface)」、Europlasma Technical Paper, 05/08/04、及び米国特許出願公開第2003/0236323号に認めることができる。
【0032】
ある実施態様において、本発明の帯電したポリマー領域は、帯電したポリマーコーティングの形である。これらの実施態様において、ポリマーコーティングは、(例えば固有に又はそうではなく)帯電しているポリマー種を1種以上含んでよいか、もしくはポリマーコーティングは、先に詳述したように、(例えば化学処理による、帯電した種の共有又は非-共有カップリングによる、プラズマ処理による)表面電荷によりそれを提供するように処理されてよい。
【0033】
ポリマー領域が作製されかつ電荷を備える方法とは関係なく、ある実施態様において、20〜30ダイン/cmの臨界表面エネルギーを伴うポリマー領域を提供することは有益である。増強された抗血栓性を含む、増強された生体適合性を提供するために、臨界表面エネルギー20〜30ダイン/cmを有する表面が、Dr. Robert Baierらによる研究において示されている。例えば、Baier RE、Meenaghan MA、Hartman LC、Wirth JE、Flynn HE、Meyer AE、Natiella JR、Carter JMの論文、「インプラント表面の特徴及び組織相互作用(Implant Surface Characteristics and Tissue Interaction)」、J Oral Implantol, 1988, 13(4), 594-606頁;Robert Baier、Joseph Natiella、Anne Meyer、John Carterの論文、「口腔顎顔面領域再建における組織の集成に異なる固有特性を伴う生体材料のためのインプラント表面調製の重要性(Importance of Implant Surface Preparation for Biomaterials with Different Intrinsic Properties in Tissue Integration in Oral and Maxillofacial Reconstruction)」;Current Clinical Practice Series #29, 1986年;Robert Baier、Joseph Natiella、Anne Meyer、John Carter、Fornalik, M.S.、Turnbull, T.の論文、「インビボ環境における表面現象。インプラント整形術の実践への材料科学の適用(Surface Phenomena in In Vivo Environments. Applications of Materials Sciences to the Practice of Implant Orthopedic Surgery)」、NATO Advanced Study Institute, Costa Del Sol, スペイン, 1984年;Baier RE、Meyer AE、Natiella JR、Natiella RR、Carter JMの論文、「表面特性が決定する生体接着の成果:方法及び結果(Surface properties determine bioadhesive outcomes: methods and results)」、J Biomed Mater Res, 1984, 18(4), 327-355頁;Joseph Natiella、Robert Baier、John Carter、Anne Meyer、Meenaghan, M.A.、Flynn, H.E.の論文、「表面修飾した歯科用インプラントに対する宿主組織反応における差異(Differences in Host Tissue Reactions to Surface-Modified Dental Implants)」、185回、ACS国際会議、米国化学会(ACS)、1983年を参照されたい。
【0034】
これに関して、臨界表面エネルギーを測定する方法が公知である。例えば、接触角法は、臨界表面張力を算出するためのZismanプロットを作製するために使用することができる。臨界表面エネルギーの測定に関する更なる情報については、例えば、Zisman, W.A.の論文、「液体及び固体構造に対する平衡接触角の関係(Relation of the equilibrium contact angle to liquid and solid constitution)」、Adv. Chem. Ser. 43, 1964年, 1-51頁;Baier R.E.、Shiafrin E.G.、Zisman, W .A.の論文、「接着:これを補助又は妨げる機構(Adhesion: Mechanisms that assist or impede it)」、Science, 162: 1360-1368頁, 1968;Fowkes, F.M.の論文、「接触角、湿潤性及び接着(Contact angle, wettability and adhesion)」、Washington DC, Advances in Chemistry, 43巻, 1964年, 1頁;Souheng Wuの論文、「ポリマー界面及び接着(Polymer Interface and Adhesion)」、Marcel Dekker, 1982年, 5章, 169-212頁を参照されたい。こうして望ましいならば、様々なポリマー表面を試験し、それらの表面が前記基準内の臨界表面エネルギーを有するかどうかを決定してもよい。
【0035】
本発明のポリマー領域の形成には、多くの技術が利用可能である。例えば、ポリマー領域内の1種以上のポリマーが熱可塑性特徴を有する場合、並びにポリマー及びいずれか他の任意の補助材料が加工条件下で十分に安定している限りにおいて、圧縮成形、射出成形、ブロー成形、紡糸、真空成形、圧延、様々な長さのシートファイバー、ロッド、チューブ及び他の断面への押出、並びに多層構造への共押出を含む、様々な標準の熱可塑性加工技術を使用し、ポリマー領域を形成してよい。これら及び他の熱可塑性加工技術を使用し、医療用製品全体又はそれらの一部を作製することができる。
【0036】
別の実施態様において、溶媒-ベースの技術を使用し、本発明のポリマー領域を形成してもよい。これらの技術を使用し、ポリマー領域は、最初に関心対象の1種以上のポリマー(及びいずれか他の任意の加工されるべき補助材料)を含む溶液を提供し、それに続いてポリマー領域を形成するために溶媒を除去することにより、形成されてよい。最終的に選択されるこれらの溶媒は、1種以上の溶媒種を含み、これは一般にポリマー領域を形成する材料を溶解するそれらの能力、更には乾燥速度、表面張力などを含む他の要因を基に選択される。溶媒-ベースの技術は、溶液流涎技術、スピンコーティング技術、ウェブコーティング技術、紡糸技術、溶媒噴霧技術、浸漬技術、空気式懸架装置を含む機械的懸架装置(mechanical suspension)によるコーティングに関連した技術、インクジェット技術、静電技術、及びこれらのプロセスの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。
【0037】
本発明の一部の実施態様において、溶液(溶媒-ベースの加工が使用される場合)又は溶融液(熱可塑性加工が使用される場合)が、基材に塗布され、ポリマー領域を形成する。例えば、この基材は、ポリマー領域が塗布される移植可能な又は挿入可能な医療機器の全て又は一部に相当することができる。この基材は、例えば、それから凝固後にポリマー領域が取り外される金型などの鋳型であることもできる。例えば、押出及び共押出技術のような別の実施態様においては、1種以上のポリマー領域は、基材の助けを借りずに形成される。
【0038】
具体例としてファイバーを取り上げると、使用される場合、これらは、溶融紡糸、乾式紡糸及び湿式紡糸を含む、いずれか好適なファイバー形成技術により作製されてよい。これらのプロセスは典型的には、ジェット又は紡糸口金と称される、1個以上のオリフィスを有する押出ノズルを利用する。様々な断面形を有するファイバーが、紡糸ダイ内のオリフィス(群)の形状に応じて、形成され得る。ファイバー断面の例の一部は、円形、六角形、長方形、三角形、楕円、多葉、及び輪状(中空)の断面を含む。溶融紡糸において、ポリマー化合物は、溶融温度に加熱される。湿式及び乾式紡糸において、ポリマーは、押出前に溶媒に溶解され、押出物が、例えば、真空又は加熱した大気(例えば空気)への曝露により、溶媒が蒸発する条件に供され、このことで蒸発により溶媒を除去する。湿式紡糸において、ジェット又は紡糸口金は、液体中に浸漬され、並びに押出物が出現するにつれ、これは溶液から沈殿し、凝固する。この技術に関わらず、得られるファイバーは典型的には、回転マンドレル又は別の巻取器具上に巻取られる。巻取り時にファイバーを延伸してポリマー分子を配向させてもよい。
【0039】
本発明のある実施態様に従い、1個以上の細いオリフィス(例えば、乾式紡糸ダイにおいて認められるもの、又は紡糸口金)を通じ、スチレン-イソブチレンコポリマー含有溶液が供給される(例えば、シリンジポンプなどの計量型ポンプを使用する)ところにおいて、乾式紡糸技術が使用される。スチレン-イソブチレンコポリマーの乾式紡糸に関する更なる詳細は、同一出願人による、同時係属中の米国特許出願第10/801,228号に開示されている。
【0040】
先に説明されたように、ファイバーは、二次元及び三次元の医療用製品へ形成されてよい。ファイバーから多孔質チューブ状の三次元構造物を形成するひとつの特に有益な方法は、その開示が引用により本明細書に組み込まれている、Wongの米国特許第4,475,972号に開示されており、そこではこれらの製品は、ファイバーが、マンドレル上に巻かれ、重なっているファイバー部分が基礎をなすファイバー部分に同時に結合される手順により製造される。例えば、ポリマー溶液が、紡糸口金から押出され、これにより、紡糸口金はマンドレルに対し往復運動する時、回転マンドレル上に巻かれた複数のフィラメントを形成する。乾燥パラメータ(例えば、乾燥環境、溶液の温度及び濃度、紡糸口金とマンドレルの距離など)は、フィラメントがマンドレル上に巻き付けられる時、残留溶媒の一部はこれらはフィラメント内に残存するように制御される。溶媒の更なる蒸発時に、マンドレル上に重なっているファイバーは、互いに結合し始める。
【0041】
先に詳述したように、ファイバーは、帯電したポリマー(例えば、固有に帯電したものもしくはファイバー形成前に電荷を備えているもの)を使用するファイバーの形成、若しくは、例えば二次元又は三次元製品への形成の前後いずれかでのファイバーの処理とそれに続くその形成(例えば、酸化剤及び還元剤などの帯電した基を生じる種による化学処理による、帯電した種の共有又は非共有カップリングによる、プラズマ処理によるなど)を含む、様々な技術により電荷を備えることができる。例えば、同一出願人による米国特許出願第10/801,228号に開示されているスチレン-イソブチレンコポリマーは、ファイバー紡糸前(例えば、スルホン化などによる)又はファイバー紡糸後(例えば、プラズマ処理、スルホン化などによる)に、電荷を備えることができる。
【0042】
帯電したポリマー領域を伴う医療用製品を提供する利点は、反対電荷に帯電した治療薬の選択により、ポリマー領域と治療薬の間の結合が増強されることである。「治療薬」、「薬物」、「生体活性物質」、「医薬品」、「医薬活性物質」及び他の関連用語は、本明細書において互換的に使用され、遺伝子治療薬及び非遺伝子治療薬、更には細胞を含む。治療薬は、単独で又は組合せて使用されてよい。
広範な治療薬負荷を、本発明の器具と一緒に使用することができ、その医薬としての有効量は、当業者により、並びに最終的には例えば、治療される状態、治療薬それ自身の特徴、剤形が導入される組織などに応じて、容易に決定される。
【0043】
本発明に関連して使用される非遺伝子生物学的活性物質の例は、以下を含む:(a)抗血栓剤、例えばヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、及びPPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)など;(b)抗炎症薬、例えばデキサメタゾン、プレドニソロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン及びメサラミンなど;(c)抗新生物形成/抗増殖/抗-有糸分裂(miotic)薬、例えばパクリタキセル、5-フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンギオスタチン、アンギオペプチン、平滑筋細胞増殖を阻止できるモノクローナル抗体、及びチミジンキナーゼ阻害剤など;(d)麻酔薬、例えばリドカイン、ブピバカイン及びロピバカインなど;(e)抗凝固薬、例えばD-Phe-Pro-Argクロロメチルケトン、RGDペプチド-含有化合物、ヘパリン、ヒルジン、抗トロンビン化合物、血小板受容体アンタゴニスト、抗-トロンビン抗体、抗-血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤及びマダニ抗血小板ペプチドなど;(f)血管細胞増殖促進因子、例えば増殖因子、転写活性化因子、及び翻訳促進因子など;(g)血管細胞増殖阻害剤、例えば増殖因子阻害剤、増殖因子受容体アンタゴニスト、転写抑制因子、翻訳抑制因子、複製阻害剤、阻害抗体、増殖因子に対する抗体、増殖因子及び細胞毒素からなる二機能性分子、抗体及び細胞毒素からなる二機能性分子など;(h)プロテインキナーゼ及びチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、チルホスチン、ゲニステイン、キノキサリン);(i)プロスタサイクリンアナログ;(j)コレステロール降下薬;(k)アンジオポエチン;(1)抗菌薬、例えばトリクロサン、セファロスポリン、マゲイニンのような抗菌ペプチド、アミノ配糖体及びニトロフラントインなど;(m)細胞毒性物質、細胞増殖抑制剤及び細胞増殖作用因子など;(n)血管拡張剤;(o)内因性血管作用性機構に干渉する物質;(p)白血球動員の阻害剤、例えばモノクローナル抗体など;(q)サイトカイン;(r)ホルモン;(s)ゲルダナマイシンを含む、HSP90タンパク質(すなわち、熱ショックタンパク質、これは分子シャペロン又はハウスキーピングタンパク質であり、並びに細胞の増殖及び生存に寄与する他のクライントタンパク質/シグナル伝達タンパク質の安定性及び機能に必要である)の阻害剤;(t)β-遮断薬;(u)bARKct阻害剤;(v)ホスホランバン阻害剤;(w)Serca 2遺伝子/タンパク質;(x)アミノキノリン(aminoquizoline)を含む免疫反応調節剤、例えばレシキモッド及びイミキモドなどのイミダゾキノリン;(y)ヒトアポリポタンパク質(例えば、AI、AII、AIII、AIV、AVなど)。
【0044】
一部の好ましい非遺伝子治療薬は、とりわけ、パクリタキセル(例えばタンパク質-結合したパクリタキセル粒子など、例としてアルブミン-結合パクリタキセルナノ粒子、例えばABRAXANEなどの、それらの粒子型を含む)、シロリムス、エベロリムス、タクロリムス、Epo D、デキサメタゾン、エストラジオール、ハロフギノン、シロスタゾール、ゲルダナマイシン、ABT-578 (Abbott Laboratories社)、トラピジル、リプロスチン(liprostin)、アクチノマイシンD、Resten-NG、Ap-17、アブシキシマブ、クロピドグレル、及びリドグレル、β-遮断薬、bARKct阻害剤、ホスホランバン阻害剤、Serca 2遺伝子/タンパク質、イミキモド、ヒトアポリポタンパク質(例えばAI-AV)、増殖因子(例えばVEGF-2)、更にはそれらの誘導体を含む。
【0045】
本発明に関連して使用される遺伝子生物学的活性物質の例は、以下をコードするアンチセンスDNA及びRNA、更にはDNAを含む:(a)アンチセンスRNA、(b)欠損又は欠失内在性分子を置き換えるためのtRNA又はrRNA、(c)酸性及び塩基性線維芽細胞増殖因子、血管内皮増殖因子、上皮増殖因子、トランスフォーミング増殖因子α及びβ、血小板-由来内皮増殖因子、血小板-由来増殖因子、腫瘍壊死因子α、肝細胞増殖因子及びインスリン-様増殖因子などの増殖因子を含む、血管新生因子、(d)CD阻害剤を含む細胞周期阻害剤、並びに(e)チミジンキナーゼ(「TK」)及び細胞増殖を妨害するのに有用である他の物質。同じく関心があるのは、骨形成タンパク質ファミリー(「BMP」)をコードしているDNAであり、BMP-2、BMP-3、BMP-4、BMP-5、BMP-6(Vgr-1)、BMP-7(OP-1)、BMP-8、BMP-9、BMP-10、BMP-11、BMP-12、BMP-13、BMP-14、BMP-15、及びBMP-16を含む。現在好ましいBMPは、BMP-2、BMP-3、BMP-4、BMP-5、BMP-6及びBMP-7のいずれかである。これらの二量体タンパク質は、ホモ二量体、ヘテロ二量体、又はそれらの組合せとして、単独で又は他の分子と一緒に提供することができる。あるいは、又は加えて、BMPの上流又は下流の作用を誘導することが可能である分子を提供することができる。このような分子は、「ヘッジホッグ」タンパク質、又はそれらをコードするDNAのいずれかを含む。
【0046】
遺伝子治療薬の送達のためのベクターは、ウイルスベクター、例えばアデノウイルス、gutted型アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、αウイルス(セムリキフォレスト、シンドビスなど)、レンチウイルス、単純ヘルペスウイルス、複製コンピテントウイルス(例えばONYX-015)及びハイブリッドベクターなど;並びに、タンパク質透過ドメイン(PTD)のような標的配列を伴う又は伴わない、非-ウイルスベクター、例えば人工染色体及びミニ染色体、プラスミドDNAベクター(例えばpCOR)、カチオンポリマー(例えばポリエチレンイミン、ポリエチレンイミン(PEI))、グラフトコポリマー(例えばポリエーテル-PEI及びポリエチレンオキシド-PEI)、中性ポリマーのPVP、SP1017(SUPRATEK)、カチオン性脂質のような脂質、リポソーム、リポプレックス、ナノ粒子、又は微粒子を含む。
【0047】
本発明に関連して使用される細胞は、全骨髄、骨髄由来の単核細胞、前駆細胞(例えば内皮前駆細胞)、幹細胞(例えば間葉系、造血系、神経系)、多能性幹細胞、線維芽細胞、筋芽細胞、衛星細胞、周皮細胞、心筋細胞、骨格筋細胞又はマクロファージを含むヒト起源の細胞(自家もしくは同種異系)、又は動物、細菌もしくは真菌供給源(異種)由来の細胞を含み、望ましいならば関心対象のタンパク質を送達するように遺伝子操作することができる。
【0048】
前述のものを必ずしも排除するものではないが、多くの生物学的活性物質が、例えば、再狭窄を標的化する物質として、血管治療計画のための候補として同定されている。このような物質は、本発明の実践において有用であり、かつ以下の1つ以上を含む:(a)ジルチアゼム及びクレンチアゼムなどのベンゾチアザピン、ニフェジピン、アムロジピン及びニカルダピンなどのジヒドロピリジン、並びにベラパミルなどのフェニルアルキルアミンを含む、Ca-チャネル遮断薬;(b)ケタンセリン及びナフチドロフリルなどの5-HTアンタゴニスト、更にはフルオキセチンなどの5-HT取込み阻害剤を含む、セロトニン経路調節因子;(c)シロスタゾール及びジピリダモールなどのホスホジエステラーゼ阻害剤、フォルスコリンなどのアデニル酸/グアニル酸シクラーゼ刺激剤、更にはアデノシンアナログを含む、サイクリックヌクレオチド経路作用剤;(d)プラゾシン及びブナゾシンなどのα-アンタゴニスト、プロプラノロールなどのβ-アンタゴニスト、並びにラベタロール及びカルベジロールなどのα/β-アンタゴニストを含む、カテコールアミン調節因子;(e)エンドセリン受容体アンタゴニスト;(f)ニトログリセリン、二硝酸イソソルビド及び亜硝酸アミルなどの有機硝酸エステル/亜硝酸エステル、ナトリウムニトロプルシドなどの無機ニトロソ化合物、モルシドミン及びリンシドミンなどのシドノンイミン、ジオレイン酸ジアゾニウム及びアルカンジアミンのNO付加物などのノノエート、低分子量のS-ニトロソ化合物(例えばカプトプリル、グルタチオン及びN-アセチルペニシラミンS-ニトロソ誘導体)及び高分子量のS-ニトロソ化合物(例えばタンパク質、ペプチド、オリゴ糖、多糖、合成ポリマー/オリゴマー及び天然のポリマー/オリゴマーのS-ニトロソ誘導体)、更にはC-ニトロソ化合物、O-ニトロソ化合物、N-ニトロソ化合物及びL-アルギニンを含む、一酸化窒素供与/放出分子;(g)シラザプリル、ホシノプリル及びエナラプリルなどの、アンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害剤;(h)サララシン及びロサルチンなどの、ATII-受容体アンタゴニスト;(i)アルブミン及びポリエチレンオキシドなどの、血小板接着阻害剤;(j)シロスタゾール、アスピリン及びチエノピリジン(チクロピジン、クロピドグレル)、並びにアブシキシマブ、エプチフィバチド及びチロフィバンなどの、GP IIb/IIIa阻害剤を含む、血小板凝集阻害剤;(k)ヘパリン、低分子量ヘパリン、硫酸デキストラン及びβ-シクロデキストリンテトラデカ硫酸エステルなどのヘパリノイド、ヒルジン、ヒルログ、PPACK(D-phe-L-プロピル-L-arg-クロロメチルケトン)及びアルガトロバンなどのトロンビン阻害剤、アンチスタチン及びTAP(マダニ抗凝固薬ペプチド)などのFXa阻害剤、ワルファリンのようなビタミンK阻害剤、並びに活性型プロテインCを含む、凝固経路調節因子;(l)アスピリン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン及びスルフィンピラゾンなどの、シクロオキシゲナーゼ経路阻害剤;(m)デキサメタゾン、プレドニソロン、メタプレドニソロン及びヒドロコルチゾンなどの、天然及び合成のコルチコステロイド;(n)ノルジヒドログアヤレチック酸(nordihydroguairetic acid)及びカフェー酸などの、リポキシゲナーゼ経路阻害剤;(o)ロイコトリエン受容体アンタゴニスト;(p)E-及びP-セレクチンのアンタゴニスト;(q)VCAM-I及びICAM-I相互作用の阻害剤;(r)PGE1及びPGI2などのプロスタグランジン、並びにシプロステン、エポプロステノール、カルバサイクリン、イロプロスト及びベラプロストなどのプロスタサイクリンアナログを含む、プロスタグランジン及びそれらのアナログ;(s)ビスホスホン酸を含む、マクロファージ活性化抑制剤;(t)ロバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、シムバスタチン及びセリバスタチンなどの、HMG-CoA還元酵素阻害剤;(u)魚油及びω-3-脂肪酸;(v)プロブコール、ビタミンC及びE、エブセレン、トランス-レチノイン酸及びSOD模倣体などの、フリーラジカル捕捉剤/抗酸化剤;(w)bFGF抗体及びキメラ融合タンパク質などのFGF経路作用剤、トラピジルなどのPDGF受容体アンタゴニスト、アンギオペプチン及びオクレオチドなどのソマトスタチンアナログを含むIGF経路作用剤、ポリアニオン作用剤(ヘパリン、フコイジン)、デコリン及びTGF-β抗体などのTGF-β経路作用剤、EGF抗体、受容体アンタゴニスト及びキメラ融合タンパク質などのEGF経路作用剤、サリドマイド及びそのアナログなどのTNF-α経路作用剤、スロトロバン、バピプロスト、ダゾキシベン及びリドグレルなどのトロンボキサンA2(TXA2)経路調節因子、並びにチロホスチン、ゲニステイン及びキノキサリン誘導体などのタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤を含む、様々な増殖因子に作用する物質;(x)マリマスタット、イロマスタット及びメタスタットなどのMMP経路阻害剤;(y)サイトカラシンBなどの細胞運動阻害剤;(z)プリンアナログ(例えば6-メルカプトプリン又はクラドリビン、これらは塩素化されたプリンヌクレオシドアナログである)、ピリミジンアナログ(例えばシタラビン及び5-フルオロウラシル)及びメトトレキセートなどの代謝拮抗薬、ナイトロジェンマスタード、アルキルスルホネート、エチレンイミン、抗生物質(例えばダウノルビシン、ドキソルビシン)、ニトロソ尿素、シスプラチン、微小管動作に作用する物質(例えばビンブラスチン、ビンクリスチン、コルヒチン、Epo D、パクリタキセル及びエポチロン)、カスパーゼアクチベーター、プロテアソーム阻害剤、血管新生阻害剤(例えばエンドスタチン、アンギオスタチン及びスクアラミン)、ラパマイシン、セリバスタチン、フラボピリドール及びスラミンを含む、抗増殖/抗新生物薬;(aa)ハロフジノン又は他のキナゾリノン誘導体及びトラニラストなどの、マトリックス付着/組織化経路阻害剤;(bb)VEGF及びRGDペプチドなどの内皮化促進因子;並びに、(cc)ペントキシフィリンなどの血流調節因子。
【0049】
本発明の実践に有用である多くの追加の生物学的活性物質は、NeoRx 社に譲渡された米国特許第5,733,925号にも開示されており、その内容全体は引用により本明細書に組み込まれている。
本発明において使用する治療薬は、会合した電荷を有する。例えば、治療薬は固有に帯電しているので、会合した電荷を有してよい(例えばこれは、酸性及び/又は塩基性基を有するので、塩の形であってよい。)。固有に帯電したカチオン性治療薬のいくつかの例は、数多くある中でとりわけ、アミロリド、ジゴキシン、モルヒネ、プロカインアミド、及びキニーネを含む。アニオン性治療薬の例は、数多くある中でとりわけ、DNAを含む。
【0050】
別の例として、治療薬は、例えば、帯電した種の治療薬への共有又は非-共有カップリングによって、電荷を保持するように修飾されるので、治療薬は会合した電荷を有することができる。
例えば、パクリタキセルメチルピリジニウムメシラート及びN-2-ヒドロキシプロピルメチルアミドに複合されたパクリタキセルを含む、パクリタキセルの様々なカチオン形、並びにパクリタキセル-ポリ(l-グルタミン酸)、パクリタキセル-ポリ(l-グルタミン酸)-PEOを含む、様々なアニオン型パクリタキセルが公知である。これらに加え、その内容全体は引用により本明細書に組み込まれている米国特許第6,730,699号は、ポリ(d-グルタミン酸)、ポリ(dl-グルタミン酸)、ポリ(l-アスパラギン酸)、ポリ(d-アスパラギン酸)、ポリ(dl-アスパラギン酸)、ポリ(l-リジン)、ポリ(d-リジン)、ポリ(dl-リジン)、前述のポリアミノ酸のポリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸及びポリ乳酸、並びにポリ(2-ヒドロキシエチルl-グルタミン) とのコポリマー、キトサン、カルボキシメチルデキストラン、ヒアルロン酸、ヒト血清アルブミン及びアルギン酸を含む、様々な他の帯電したポリマーに複合されたパクリタキセルも開示している。更に別のアニオン型パクリタキセルは、1'-マリルパクリタキセルナトリウム塩などのカルボン酸エステル型を含む(例えばE.W. DAmenらの論文、「水溶性が改善されたプロドラッグとしてのリンゴ酸のパクリタキセルエステル(Paclitaxel esters of malic acids as prodrugs with improved water solubility)」、Bioorg Med Chem., 2000 Feb, 8(2), 427-32を参照されたい、これはその内容全体が引用により本明細書に組み込まれている。)。
【0051】
更に別の例として、治療薬は、帯電した粒子、例えばとりわけ、ナノカプセルなどの帯電したナノ粒子(すなわち断面直径100nm以下を有する帯電した粒子、例えば、直径100nm以下を有する球形粒子又は棒状粒子)又は帯電したミセルへ付着又は封入されているので、治療薬は会合した電荷を有することができる。
【0052】
帯電したナノ粒子は、例えば、先に説明されたもののような、ポリカチオンポリマー及びポリアニオンポリマーから形成されてよい。帯電したナノ粒子の具体例は、(a)ポリアニオン、例えばポリ(L-グルタミン酸)、及び(b)ポリカチオン、例えばポリ(L-リジン)の交互の層を含むナノカプセルを含む。望ましいならば、帯電した治療薬又は帯電しない治療薬は、ナノカプセルのコア内に提供されてよい。例えば、I. L. Radtchenkoらの論文、「水に溶けにくい薬物のカプセル封入の新規方法:高分子電解質多層シェル内の沈殿(A novel method for encapsulation of poorly water-soluble drugs: precipitation in polyelectrolyte multilayer shells)」、International Journal of Pharmaceutics, 242 (2002) 219-223を参照されることとし、その内容全体は引用により本明細書に組み込まれている。帯電した治療薬(例えば数多くある中でとりわけ、ポリ-L-リジンなどのポリカチオン又はポリ-L-グルタミン酸などのポリアニオンに複合したパクリタキセル)も、ナノカプセルの1個以上の層内に提供されてよい。
【0053】
更に帯電した粒子の具体例は、帯電したミセルを含む。例えば、ポリ(エチレンオキシド)-ブロック-ポリ(アミノ酸)は、薬物送達のための帯電したミセルを形成することができる。
【0054】
本発明のポリマー領域は、例えば、それらの形成後様々な時点で、治療薬を負荷することができる。例えば、例として線維性製品を挙げると、ファイバー形成後又はファイバーが (例えばウーブンプロセス、ノン-ウーブンプロセスなどにより) 医療用製品へ成形された後に、治療薬負荷を行うことができる。負荷は、例えば、互いに反対の電荷のポリマー領域及び治療薬への曝露により、行ってよい。例えば、帯電したポリマー領域及び治療薬は、治療薬及びポリマー領域が反対の電荷を有するpHの水溶液中で互いに曝露されてよい。
本明細書において様々な実施態様が具体的に例証されかつ説明されているが、本発明の修飾及び変更は、前記内容の対象であり、かつ本発明の精神及び意図された範囲から逸脱することなく添付された「特許請求の範囲」内であることは理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)10μm以下の直径を有し、第一の電荷を有するポリマー領域を含むファイバー、及び(b)前記ファイバーに結合している前記第一の電荷とは符号が反対である第二の電荷を有する帯電した治療薬:を含む、医療用製品。
【請求項2】
前記医療用製品が、複数のファイバーを含む、請求項1記載の医療用製品。
【請求項3】
前記ファイバーが、複数のポリマー領域を含む、請求項1記載の医療用製品。
【請求項4】
複数の異なるよう帯電した治療薬が、前記ファイバーに結合されている、請求項1記載の医療用製品。
【請求項5】
前記ポリマー領域が、前記ファイバーの直径全体に広がっている、請求項1記載の医療用製品。
【請求項6】
前記ポリマー領域が、コーティング層である、請求項1記載の医療用製品。
【請求項7】
前記ポリマー領域が、ナノテクスチャの表面を含む、請求項1記載の医療用製品。
【請求項8】
前記ポリマー領域が、臨界表面エネルギー20〜30ダイン/cmを有する、請求項1記載の医療用製品。
【請求項9】
前記ポリマーが、前記ポリマー領域の75%以上を形成する、請求項1記載の医療用製品。
【請求項10】
前記ファイバーが、直径10nm〜10μmを有する、請求項1記載の医療用製品。
【請求項11】
前記第一の電荷が正電荷であり、及び前記第二の電荷が負電荷である、請求項1記載の医療用製品。
【請求項12】
前記帯電した治療薬がDNAである、請求項11記載の医療用製品。
【請求項13】
前記第一の電荷が負電荷であり、及び第前記二の電荷が正電荷である、請求項1記載の医療用製品。
【請求項14】
前記治療薬が、アミロリド、ジゴキシン、モルヒネ、プロカインアミド、及びキニーネから選択される、請求項13記載の医療用製品。
【請求項15】
前記ポリマー領域が、ポリイオンポリマーを含む、請求項1記載の医療用製品。
【請求項16】
前記ポリイオンポリマーが、ポリカチオンポリマーである、請求項15記載の医療用製品。
【請求項17】
前記ポリイオンポリマーが、ポリアニオンポリマーである、請求項15記載の医療用製品。
【請求項18】
前記第一の電荷を有する帯電した種が、前記ポリマー領域の表面に共有結合されている、請求項1記載の医療用製品。
【請求項19】
前記帯電した種が、連結剤を使用して前記ポリマー領域へ連結されている、請求項18記載の医療用製品。
【請求項20】
前記帯電した種が、化学処理により提供される、請求項18記載の医療用製品。
【請求項21】
前記ポリマー領域が、酸化剤又は還元剤により処理される、請求項20記載の医療用製品。
【請求項22】
前記表面が、スルホネート基を含む、請求項20記載の医療用製品。
【請求項23】
前記化学処理が、反応性ガスの存在下でのプラズマ処理を含む、請求項20記載の医療用製品。
【請求項24】
前記ガスが、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、分子水素及び分子窒素の混合物、又はアミンを含む、請求項23記載の医療用製品。
【請求項25】
前記ガスが、酸性又は塩基性官能基を更に含む不飽和種を含有する、請求項23記載の医療用製品。
【請求項26】
前記第一の電荷を有する帯電した種が、前記ポリマー領域の表面に非共有的に連結されている、請求項1記載の医療用製品。
【請求項27】
前記帯電した治療薬が、固有に帯電した治療薬、帯電した分子に共有結合している治療薬、帯電した分子に非共有結合している治療薬、帯電した粒子に結合又はその内部に封入されている治療薬、及びそれらの組合せから選択される、請求項1記載の医療用製品。
【請求項28】
前記ポリマー領域が、スチレン及びイソブチレンを含有するコポリマーを含む、請求項1記載の医療用製品。
【請求項29】
前記コポリマーが、ポリイソブチレンブロック及びポリスチレンブロックを含む、請求項28記載の医療用製品。
【請求項30】
前記コポリマーが、ポリスチレン-ポリイソブチレン-ポリスチレントリブロックコポリマーである、請求項28記載の医療用製品。
【請求項31】
前記コポリマーが、スルホン化されている、請求項28記載の医療用製品。
【請求項32】
前記医療用製品が、前記ファイバーを含むウーブン領域を含む、請求項28記載の医療用製品。
【請求項33】
前記医療用製品が、前記ファイバーを含むノン-ウーブン領域を含む、請求項1記載の医療用製品。
【請求項34】
前記医療用製品が、多孔質の管状医療用製品である、請求項1記載の医療用製品。
【請求項35】
前記医療用製品が、酸素供給器、ヘルニア矯正パッチ、胃腸管用パッチ、泌尿女性生殖管用パッチ、血管アクセスポート、器具をヒト動脈に接続するためのファイバー、創傷用包帯、メンブレン、前十字靱帯、神経血管動脈瘤治療用製品、心臓弁用弁尖、静脈弁用弁尖、ステント、ステントグラフト、胃腸管グラフト、泌尿女性生殖管用グラフト、冠血管用グラフト、末梢血管用グラフト、動脈-静脈アクセス用グラフト、塞栓フィルタ、及び組織エンジニアリング用足場のための中空ファイバーから選択される、請求項1記載の医療用製品。
【請求項36】
前記医療用製品が、基礎をなす医療機器基材上に配置された、前記ファイバーを含む領域を備える、請求項1記載の医療用製品。
【請求項37】
前記医療機器基材が、金属製ステントである、請求項36記載の医療用製品。

【公表番号】特表2009−515970(P2009−515970A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541251(P2008−541251)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/043993
【国際公開番号】WO2007/086989
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】