波長可変光源装置
【課題】 ジッタ特性に優れた能動モード同期動作をし得、波長確定精度の高い波長可変光源を提供する。
【解決手段】 光を増幅させる光増幅媒体と波長分散を有する導波路とを共振器内に備えた発振波長を変化可能な第一の光源装置と、前記導波路に接続され変調光としてパルス光を前記第一の光源装置に導入する第二の光源装置と、を具備した波長可変光源装置であって、前記変調光により前記発振波長を相互利得変調による能動モード同期によって制御するとともに、前記変調光のパルス幅が、該変調光を発生させる駆動信号の半周期の時間幅よりも狭い時間幅を持つ波長可変光源装置。
【解決手段】 光を増幅させる光増幅媒体と波長分散を有する導波路とを共振器内に備えた発振波長を変化可能な第一の光源装置と、前記導波路に接続され変調光としてパルス光を前記第一の光源装置に導入する第二の光源装置と、を具備した波長可変光源装置であって、前記変調光により前記発振波長を相互利得変調による能動モード同期によって制御するとともに、前記変調光のパルス幅が、該変調光を発生させる駆動信号の半周期の時間幅よりも狭い時間幅を持つ波長可変光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は相互利得変調による能動モード同期を用いた波長可変光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、波長掃引速度が数百KHzから数MHzといったオーダーで高速に、かつ波長掃引幅が数百nmといった広帯域に波長可変できる光源が研究、開発されてきている。
【0003】
そのなかのひとつに、能動モード同期をもとにし、共振器中における屈折率の波長分散(以下、単に「分散」ともいう)を利用して波長可変を行う分散チューニングの手法が非特許文献1に開示されている。
【0004】
非特許文献1に開示された手法は、共振器内に分散があると自由スペクトル間隔(自由周波数空間)(FSR:Free Spectral Range)が波長に応じて異なることを利用するものである。
【0005】
具体的には、レーザを構成する半導体光増幅器(SOA:Semiconductor optical amplifier )に注入する電流を直接変調して能動モード同期を得るのに、変調周波数がレーザの発振する中心波長によって異なることを利用し、変調周波数を変化させることで、発振波長を変化させる方法を開示する。
【0006】
また、非特許文献2は、能動モード同期を得るのに利得媒体(SOA)に注入する電流を変調するのではなく、外部光による相互利得変調を用いることを開示する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】S.Yamashita, et al. Opt.Exp. Vol.14, pp.9299−9306(2006)
【非特許文献2】2009年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会講演予稿集 C−4−14
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した分散チューニングではモード同期周波数の違いを用いて波長可変動作を行うので、変化するレーザの各発振周波数の時間軸に対する安定性を考慮すると変調周波数の確定精度が重要となる。従って、信号の時間的な変動(ずれ)や揺らぎ(以下、「ジッタ」ともいう)の少ない変調方法が求められる。
【0009】
非特許文献1においては、利得媒体を駆動する電流を変調しており、非特許文献2においては、半導体レーザダイオード(LD:Laser Diode)で発生させた連続光を電気光学変調器(EOM:Electro−Optic Modulator)で変調させた光を用いて変調している。
【0010】
しかしながら、これら非特許文献で開示された手法は、電気的な変調を行った電流波形の形状がそのまま反映される変調方法であるため、電流波形を生成する際に生ずるジッタを抑制するのは難しく、更なる改善が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明により提供される波長可変光源装置は、光を増幅させる光増幅媒体と波長分散を有する導波路とを共振器内に備えた発振波長を変化可能な第一の光源装置と、前記導波路に接続され変調光としてパルス光を前記第一の光源装置に導入する第二の光源装置と、を具備した波長可変光源装置であって、前記変調光により前記発振波長を相互利得変調による能動モード同期によって制御するとともに、前記変調光のパルス幅が、該変調光を発生させる駆動信号の半周期の時間幅よりも狭い時間幅を持つことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、パルス幅の狭い外部光による相互利得変調を用いることで、信号の時間的な変動(ずれ)や揺らぎを抑制し、ジッタ特性に優れた能動モード同期動作をし得る波長可変光源装置を提供できる。また、ジッタ特性に優れることから波長確定精度の高い波長可変光源装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の波長可変光源装置の一例を示す模式図
【図2】本発明の波長可変光源装置における変調光を発生させる駆動信号と変調光と、発振により得られるパルス光との関係を示すグラフ
【図3】本発明の波長可変光源装置の一例を示す模式図
【図4】本発明の波長可変光源装置の一例を示す模式図
【図5】本発明の波長可変光源装置の一例を示す模式図
【図6】本発明の波長可変光源装置を用いた光断層撮像装置の一例を示す模式図
【図7】本発明の波長可変光源装置の一例を示す模式図
【図8】本発明の波長可変光源装置における変調光を発生させる駆動信号と変調光との関係を示すグラフ
【図9】本発明の波長可変光源装置により波長掃引されて出力される光を示すグラフ
【図10】本発明における利得スイッチング動作によるパルス光とフィードバック光との関係を示すグラフ
【図11】本発明の光源装置より積層体からなる検体に光照射して得られる反射光を示す模式図
【図12】干渉光をオシロスコープで観測して得られる波形を示すグラフ
【図13】従来の波長可変光源装置における変調光を発生させる駆動信号と変調光と、発振により得られるパルス光との関係を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、時間幅の狭いパルス光による相互利得変調を用いて能動モード同期動作を行い、分散チューニングを行うことで、変調周波数のジッタ特性を改善し波長選択性に優れた波長可変動作が可能となるという発明者らが見出した知見に基づいている。
【0015】
以下、図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【0016】
図1は本発明の波長可変光源装置の一例を示す模式図である。
【0017】
図1の光源装置は大別して、光を増幅させる光増幅媒体と波長分散を有する導波路とを共振器内に備えた発振波長を変化可能な第一の光源装置350と、前記導波路に接続され変調光としてパルス光を前記第一の光源装置に導入する第二の光源装置360と、で構成されている。
【0018】
ここで第一の光源装置350は、光増幅媒体301と、アイソレータ302、波長分散を有する導波路304、サーキュレータ309を備え、これらを光導波路を用いて接続することによりリング共振器を構成している。尚、アイソレータ302は必用に応じて設けられる部材である。
【0019】
光増幅媒体301は、例えば、半導体光増幅器(SOA(Semiconductor Optical Amplifier))を用いることができる。半導体光増幅器は、基本的には半導体レーザから共振器を外し、光の増幅過程を利用するもので、共振器を構成しないように、端面での反射を抑えた構造をとっている。SOA301には不図示の直流電源が接続され、モード同期レーザとして発振するのに充分なキャリアが蓄積される電流が注入されるようになっている。
【0020】
第二の光源装置360は、半導体レーザ306とこれに電圧を印加する電源307を備えている。尚、電源307はバイアス−T(Bias Tee)等を用いて交流成分と直流成分を重畳した電圧を印加できる電源から構成される。
【0021】
第二の光源装置360は、第一の光源装置350に導入される変調光としてパルス光を発生させる光源装置であり、この変調光(パルス光)により第一の光源装置350の発振波長を相互利得変調による能動モード同期によって制御する。さらに、該変調光のパルス幅が、変調光を発生させる駆動信号の半周期の時間幅よりも狭い時間幅を持つものであり、特定の狭いパルス幅のパルス光を発生する。
【0022】
次に、第一の光源装置及び第二の光源装置を用いた本発明の波長可変光源装置の動作を説明する。
【0023】
第一の光源装置350を構成する共振器内の光増幅媒体301の利得に周期的な変調を与えることによって能動モード同期動作が行われる。その周期を決定する、モード同期をかける変調周波数f(またはモード同期周波数f)は、共振器長と共振器内の屈折率によって決まるFSRの整数倍であることがモード同期動作の条件である。つまり変調周波数fは、共振器長をL、屈折率をn(λ)、光速をc、正の整数をNとしたとき、リング共振器であれば、次の式(1)で表わされる。
【0024】
【数1】
【0025】
ファブリー・ペロー共振器であれば、次の式(2)で表わされる。
【0026】
【数2】
【0027】
ここで、共振器は、波長分散を有する導波路304を有することから、屈折率が波長を変数とする分散を持つn(λ)となり、発振波長の中心波長によってfの値が異なることになる。このため、変調周波数fを変化させると能動モード同期によって決まる発振波長を変化させることができる。これが分散チューニングの原理である。
【0028】
したがって、fの値の確定精度が波長可変光源装置の発振波長を選択する精度に関係してくる。また、数百kHz以上という高速な波長可変を分散チューニング方式で行う際に、変調周波数fは、高い値であることが望ましい。こうしたとき、外部光を変調光として用いた相互利得変調による分散チューニング方式は、高速な波長可変に好適である。
【0029】
背景技術に示した非特許文献2においては、連続光をEOM等の変調器によって変調した光を変調光として用い、SOAを配して構成した共振器内に導入して相互損失を与えて、モード同期を得る。このため、変調信号である駆動電流の波形を強く反映したパルス光が共振器から生成される。
【0030】
これに対し、本発明では、第二の光源装置により発生させる変調光を、特定のパルス幅を持つ(変調光を発生させる駆動信号の半周期の時間幅よりも狭い時間幅を持つ)と規定した。この第二の光源装置で発生させる変調光は、所謂、利得スイッチングレーザによると駆動電流の波形よりも狭い時間幅で発振するパルス光が得られることに相当する。
【0031】
従って、これら2種のパルス光をそれぞれ変調光として用いて相互利得変調を行った場合、利得スイッチングレーザを用いた方がモード同期周波数fの確定精度に優れることとなる。その理由を図13及び図2を用いて説明する。
【0032】
図13は、変調光を発生させる駆動信号と変調光と発振により得られるパルス光の利得と、の関係を示すグラフであって、変調光として連続光を変調器によって変調した光を用いた場合を示す。図13(a)は駆動電流の時間波形、図13(b)は変調光の強度についての時間波形、図13(c)は図13(b)を用いて利得媒体(光増幅媒体)を相互利得変調した場合における利得の時間波形をそれぞれ示す。
【0033】
一方、図2は利得スイッチングレーザからのパルス光を変調光として用いた場合のグラフである。図2(a)は駆動電流の時間波形、図2(b)は変調光の強度についての時間波形、図2(c)は図2(b)を用いて利得媒体を相互利得変調した場合における利得の時間波形をそれぞれ示す。図13(b)は、駆動電流の波形を示す図13(a)と同じ波形であるのに対し、図2(b)は、駆動電流波形を示す図2(a)の半周期よりも狭い時間幅で発振するパルス波形となる。
【0034】
このような違いを持つパルス光を変調光として光増幅媒体(利得媒体)を相互利得変調すると、図13(c)に比べて図2(c)の方が利得の立ち上がりが急峻になる。言い換えると、図2(c)の方が利得増加の傾きが大きい。
【0035】
従って、図13(c)におけるf1と図2(c)におけるf2によって定義されるモード同期周波数を考えたとき、f2のほうがf1よりも値の揺らぎが小さい。つまり図2(c)の方が、能動モード同期におけるジッタ特性が改善され、モード同期周波数の確定性が向上したことになる。さらに、分散チューニングによる波長掃引を考えると、波長選択性の精度が向上したことになる。
【0036】
また、図13(c)と図2(c)における利得の積分値を比較すると、図2(c)の方が大きな値となるため、レーザ発振する際の出力光の光量も大きくとれる。
【0037】
こうした効果を考える際、変調光のパルス幅はどれだけ狭くなっても、利得媒体では誘導放出による相互利得変調は起こる。しかしながら、パルス幅が狭くなりすぎると、パルスにおける光量の尖頭値が高まり、導波路を伝播中にパルス幅が広がることや、利得媒体中で非線形効果が生じるなど、望ましくない効果が懸念される。
【0038】
したがって、分散チューニングを行う際の周波数変調範囲に対し、ジッタ改善効果が充分得られる利得の傾きが形成できるパルス幅が好適である。
【0039】
こうした点を考慮すると、変調光のパルス幅を定義する強度の極大値の半値における(半値の場所での)強度曲線の傾きが、駆動電流の(信号)波形における強度の極大値の半値における(場所で)強度曲線の傾きよりも大きいことが望ましい。狭いパルス幅を持つ変調光を発生させる第二の光源装置は利得スイッチング半導体レーザやモード同期レーザなどから構成できる。また、本発明は、第二の光源装置を波長可変半導体レーザで構成する態様をも包含する。
【0040】
ここまでは、光増幅媒体として半導体光増幅器(SOA)を例に説明したが、この他、光増幅媒体としては、エルビウムやイットリビウム等を含有する希土類添加(イオンドープ)光ファイバ、光ファイバ中に色素を添加して色素により増幅を行うもの等を採用することができる。
【0041】
希土類添加光ファイバは、高利得で良好な雑音特性を得るためには好適である。色素添加光ファイバは、蛍光色素材料やそのホスト材料などを適宜選択することで可変波長の選択肢が増す。
【0042】
半導体光増幅器は、小型で且つ高速制御が可能なことから好ましい。半導体光増幅器としては、反射型光増幅器と進行波形光増幅器の双方を用いることができる。半導体光増幅器を構成する材料は、一般的な半導体レーザを構成する化合物半導体等を用いることができ、具体的にはInGaAs系、InAsP系、GaAlSb系、GaAsP系、AlGaAs系、GaN系等の化合物半導体を挙げることができる。半導体光増幅器は、利得の中心波長が、例えば、840nm、1060nm、1300nm、1550nmのものの中から光源の用途等に応じて適宜、選択して採用することができる。
【0043】
本発明において、光導波路は光を伝搬させる機能と波長分散を有するものであれば、基本的に用いることができるが、外部からの影響を極力抑えるために光を閉じ込めて伝搬させる、スラブ導波路や、光ファイバを用いることが好ましい。光を閉じ込めて伝搬させる導波路は、基本的には屈折率の高い部分(コア)と屈折率の低い部分(クラッド)を有するが、細かい間隔のFSRを得るためには比較的長い共振器長が望ましく、この観点から光ファイバを用いるのが好ましい。これは分散チューニング方式の原理から、FSR間隔が小さいほうが発振波長を選択するピッチが細かくなるからである。光ファイバとしては、石英(SiO2)ガラスを用いたものや、プラスチックを用いたもの、石英とプラスチックの両方を用いたもの等を挙げることができる。
【0044】
本発明において、光導波路が有する波長分散の分散値は、正常分散(分散値が負)のものから異常分散(分散値が正)のものまで、採用する光増幅媒体、得ようとする掃引速度、掃引波長範囲等を考慮して適宜、所定の分散値のものを採用することができる。
【0045】
本発明で採用し得る共振器としては、上述したリング共振器の他、一対の平行平面を反射面として両端に備えた光共振器(所謂、ファブリー・ペロー共振器)を挙げることができる。共振器内での進行波の方向を一様とする観点からはアイソレータを含んだリング共振器を採用するのが好ましく、アイソレータが不要で低コストに光源装置を構成する観点からはファブリー・ペロー共振器を採用するのが好ましい。
【0046】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
【0047】
(実施例1)
ファイバを用いて構成したリング共振器に対し外部から利得スイッチングレーザによる変調光を導入して相互利得変調による分散チューニングを行い、波長掃引の中心波長が1.06μm帯の波長可変光源装置について説明する。
【0048】
本実施例の光源装置は、図3に示した構成である。図3において、301はSOA、302はアイソレータ、303は出力用カプラ、304は分散付与用ファイバを備えたファイバーリング共振器305をそれぞれ示す。
【0049】
リング共振器305の外部に半導体LD306を備え、電圧源307から直流成分と交流成分を重畳した電圧を半導体LD306の閾値電流付近で印加することにより、利得スイッチング動作を行う。半導体LD306で生成した外部変調光はアイソレータ310を通過したあと、SOA308を経て光量を増加され、サーキュレータ309を介してリング共振器305へ導入される。そして、外部変調光がSOA301の活性層を伝播し、活性層内部のキャリアを誘導放出により消費することでSOA301の利得に損失を与え相互利得変調を行う。
【0050】
本実施例におけるSOA301、および308は利得の中心波長が波長1.06μm帯のものである。SOA301、308には直流電圧を印加しておき、充分な利得を持っている状態とする。また、アイソレータ302、307、出力用カプラ303、サーキュレータ309の動作波長帯域も波長1.06μm帯のものである。
【0051】
分散付与ファイバ304の分散値は−50(ps/km・nm)であり、長さ100mである。このとき1GHz辺りのモード同期周波数fで能動モード同期を行い、周波数fを±500kHz変化させると分散チューニングの原理により50nm程度の波長可変幅が得られる。
【0052】
このような周波数変調を行う外部変調光を半導体LD306から発生させる。半導体LD306の閾値が40mAのとき、直流成分30mA、交流成分±20mAに相当する電圧を電圧源307から重畳して印加することで、半導体LD306を利得スイッチング動作させる。
【0053】
電圧源307からの信号が1GHzの正弦波、つまり周期1GHzで半値幅500psの電流波形を印加した際、利得スイッチング動作状態の半導体LD306からは半値幅100ps程度で周期1GHzの繰り返しパルス列が発生する。
【0054】
この様子を図8に示す。図8(a)が電流波形であり、その半値幅よりも狭いパルス幅の光が図8の(b)である。さらに電圧源306の周波数を1GHzに対し±500kHzの範囲で周波数変調することで、所望の変調光を生成し得る。
【0055】
なお、SOA301を効率良く相互利得変調する観点から、半導体LD306は波長可変LDであることが好適である。
【0056】
さらに、リング共振器305での発振波長より短波長であることも好適である。
【0057】
このパルス光を用いてリング共振器305内のSOA301に対し相互利得変調による能動モード同期を行うことで、ジッタ特性の良い分散チューニングを行い得る。
【0058】
その結果、出力用カプラ303から発振波長が可変できる光が出力される。
【0059】
また、電圧源306の周波数を上記の範囲で繰り返し掃引することで、出力用カプラ303からは、図9(a)及び図9(b)に示すようにλ1からλnまで繰り返し波長掃引された光が出力される。
【0060】
(実施例2)
本実施例では、実施例1に示した波長可変光源装置の外部変調光の光源であるLD306へ連続光を導入することで、利得スイッチング動作時のジッタ特性を改善した光源装置を示す。
【0061】
図4において、401は連続光を発生する半導体LD、402はカプラであり、他の構成要素は実施例1と同様である。第二の光源装置(半導体レーザ306等で構成)に第三の光源装置より制御光を導入する構成を有するものである。
【0062】
図4の波長可変光源装置は、利得スイッチング動作を行うLDに対し、その外部から発振波長のわずかに短波長の連続光を導入することで、パルス発振のジッタ特性を改善する装置である。
【0063】
半導体レーザ(LD)401(第三の光源装置)からLD306の発振波長に対してわずかに短波長連続光を導入することで、LD306内の自然放出光(ASE光:Amplified Spontaneous Emission)の発生量を抑制することができる。よって、利得スイッチング動作時のキャリアの揺らぎによるパルス発振のジッタ特性が改善される。したがって、このように発生したLD306からのパルス光を用いてリング共振器305に対し分散チューニングを行うことで、実施例1の装置に比して更にジッタ特性が改善され、波長選択性の優れた波長可変光源装置が提供できる。
【0064】
なお、上記の効果を効率的に引出す観点から半導体LD401は波長可変レーザであることが好適である。
【0065】
(実施例3)
本実施例では、実施例1に示した波長可変光源装置の外部変調光の光源であるLD306へLD306自身の光の一部をフィードバック導入することで、利得スイッチング動作時のジッタ特性を改善した光源装置を示す。
【0066】
図5において、501、503はカプラ、502はファイバストレッチャー、他の構成要素は実施例1と同様である。
【0067】
図5の波長可変光源装置は、利得スイッチング動作を行うLDに対し、LD自身の光の一部をフィードバックさせることでパルス発振のジッタ特性を改善する装置である。
【0068】
利得スイッチング動作を行うLD306から発生したパルス光の一部強度をカプラ501(分岐手段)で取り出し、ファイバストレッチャー502を含めた遅延経路で所望の遅延時間を与えてからカプラ503を介してLD306へとフィードバックさせる。
【0069】
ここでいう所望の遅延時間について図10を用いて説明する。
【0070】
図10において、1001はLD306の利得スイッチング動作におけるパルス光であり、その発振のタイミングを表す。このパルス光1001の発振に対しτだけ直前の時間にフィードバック光1002がLD306へと帰還されるよう遅延経路長を調整する。τは0〜100ps程度(時間:ピコ秒)である。このとき、LD306内のキャリアがフィードバック光1002による誘導放出によって一部消費され、発振閾値を超えるキャリア密度の傾きが急激になるため、利得スイッチング動作時のジッタ特性が改善される。
【0071】
したがって、このように発生したLD306からのパルス光を用いてリング共振器305に対し分散チューニングを行うことで、実施例1に対して更にジッタ特性が改善され、波長選択性の優れた波長可変光源装置が提供できる。
【0072】
また、実施例2のように連続光によって利得スイッチングレーザのジッタ特性を改善する場合と比べ、上記のようにフィードバックさせるタイミングが重要なので、発振波長に対してわずかに短波長という波長制御の条件が緩和される。
【0073】
さらに、光源装置を外部に設けないため、実施例2の装置に比してコストの低減の観点から好適である。
【0074】
(実施例4)
本実施例では、実施例1示した波長可変光源装置の外部変調光の光源であるLD306へリング共振器305からの出射光の一部をフィードバック導入することで、利得スイッチング動作時のジッタ特性を改善した装置を示す。
【0075】
図7において、701、702はカプラ、703はファイバストレッチャー、他の構成要素は実施例1と同様である。
【0076】
実施例3に記載したように、パルス光をタイミングよくLD306へ帰還させることで利得スイッチング動作時のジッタを改善できる。本実施例では波長可変光源装置としての出射光であるカプラ303からの出射光の一部強度をカプラ701で取り出す。
【0077】
ファイバストレッチャー703を含めた遅延経路で所望の遅延時間を与えてからカプラ702を介してLD306へとフィードバックする。ここでいう所望の遅延時間とは、実施例3にて図10を用いて示した通りである。LD306の発振波長と、リング共振器305からの出射光の波長は異なっており、LD306内でフィードバック光により誘起される寄生発振を抑制できる効果がある。これにより図10におけるパルス光1001とフィードバック光1002が重なる影響が低減でき、所望の遅延時間の精度に対する制約が緩和される。ただし、リング共振器305からの出射光の波長帯域がLD306の利得帯域内に含まれていることが望ましい。
【0078】
(実施例5)
本発明の波長可変光源装置を波長掃引型光断層撮像装置(SS−OCT:Swept−Source Optical Coherence Tomography)に適用した例について説明する。
【0079】
図6は、本発明の波長可変光源装置を適用した波長掃引型光断層撮像装置の模式図である。
【0080】
図6に示したOCT装置では、波長可変光源601(光源部)から出た光をカプラ602を通じて被検体603へと導かれるサンプル光604と、固定ミラー(参照ミラー)605へと導かれる参照光606とに分割する。分割されたあと、サンプル光604はコリメータレンズ607と走査鏡608および対物レンズ609を経て、検体603へと導かれ、検体603に照射される。
【0081】
検体603の深さ情報を持って反射された光はもと来た光路を戻り、再びカプラ602に戻る。ここで、対物レンズ609、走査鏡608、コリメータレンズは、検体測定部を構成する。
【0082】
一方、参照光606はコリメータレンズ610、対物レンズ611を通過したのち固定ミラー(参照ミラー)605にて反射され、もと来た光路を戻り再びカプラ602(干渉部)へと戻る。ここで、参照ミラー605、対物レンズ611、コリメータレンズ610は、参照部を構成し、反射光を干渉部602に伝達する。
【0083】
干渉部602に戻った参照光606は、サンプル光(反射光)604と共にフォトダイオード(光検出部)612へと導かれ干渉信号を生成する。計算処理機(画像処理部)613においてこの干渉信号を光源走査信号をもとに再配列し、フーリエ変換を中心とした信号処理をすることで深さ方向断層画像を取得できる。つまり、光検出部612で検出された干渉光に基づいて検体の断層像が得られる。
【0084】
本発明に係る波長可変光源を用いることで、波長選択性の良い光を用いてOCT信号を取得でき、被検体603の奥行き方向における反射位置の特定が正確になる。
【0085】
よって、OCT装置として深さ方向断層画像を取得する際に、光源の発振波長が揺らぐことによる画像の劣化が改善され、S/N比(Signal to Noise ratio)に優れた良質な画像が取得できる。
【0086】
本実施例のOCT装置によると良質な画像が得られる理由を図11及び図12を参照して以下に説明する。
【0087】
図11に示すように、被検体603の内部はx1からxnまでの層構造を持っている。サンプル光604と参照光606はカプラ602で合波されたとき、固定ミラー605に対して被検体603内のx1からxnが持つ光路長差L1からLnに応じて干渉信号を生成する。
【0088】
カプラ602で合波した光をフォトダイオード612で受光しオシロスコープで観測すると、図12のような干渉波形が得られる。この波形をフーリエ変換することで光路長差Lを算出し、被検体603内部の反射位置であるx1からxnまでを特定する。そしてOCT装置として深さ方向断層画像を取得する。
【0089】
ここで、図12に示した干渉波形が山であるか谷であるかは、パルスの中心波長に対して光路長差Lが強めあう干渉条件であるか弱めあう干渉条件であるかに対応している。
【0090】
つまり、光源の波長を掃引する際に中心波長が揺らぐことは、図12に示した干渉波形が揺らぐことに相当する。その結果、フーリエ変換した際のS/N比も劣化し、OCT装置としての断層画像のS/N比も劣化する。従って、本発明に係る波長選択性の良い波長可変光源をSS−OCT装置に適応することで、S/N比に優れた良質な画像が取得できる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の波長可変光源装置は、通信ネットワーク分野、検査装置の分野等、波長可変光源を適用できる各分野で利用できる。
【符号の説明】
【0092】
301 光増幅媒体
304 波長分散を有する導波路
305 共振器
350 第一の光源装置
360 第二の光源装置
【技術分野】
【0001】
本発明は相互利得変調による能動モード同期を用いた波長可変光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、波長掃引速度が数百KHzから数MHzといったオーダーで高速に、かつ波長掃引幅が数百nmといった広帯域に波長可変できる光源が研究、開発されてきている。
【0003】
そのなかのひとつに、能動モード同期をもとにし、共振器中における屈折率の波長分散(以下、単に「分散」ともいう)を利用して波長可変を行う分散チューニングの手法が非特許文献1に開示されている。
【0004】
非特許文献1に開示された手法は、共振器内に分散があると自由スペクトル間隔(自由周波数空間)(FSR:Free Spectral Range)が波長に応じて異なることを利用するものである。
【0005】
具体的には、レーザを構成する半導体光増幅器(SOA:Semiconductor optical amplifier )に注入する電流を直接変調して能動モード同期を得るのに、変調周波数がレーザの発振する中心波長によって異なることを利用し、変調周波数を変化させることで、発振波長を変化させる方法を開示する。
【0006】
また、非特許文献2は、能動モード同期を得るのに利得媒体(SOA)に注入する電流を変調するのではなく、外部光による相互利得変調を用いることを開示する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】S.Yamashita, et al. Opt.Exp. Vol.14, pp.9299−9306(2006)
【非特許文献2】2009年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会講演予稿集 C−4−14
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した分散チューニングではモード同期周波数の違いを用いて波長可変動作を行うので、変化するレーザの各発振周波数の時間軸に対する安定性を考慮すると変調周波数の確定精度が重要となる。従って、信号の時間的な変動(ずれ)や揺らぎ(以下、「ジッタ」ともいう)の少ない変調方法が求められる。
【0009】
非特許文献1においては、利得媒体を駆動する電流を変調しており、非特許文献2においては、半導体レーザダイオード(LD:Laser Diode)で発生させた連続光を電気光学変調器(EOM:Electro−Optic Modulator)で変調させた光を用いて変調している。
【0010】
しかしながら、これら非特許文献で開示された手法は、電気的な変調を行った電流波形の形状がそのまま反映される変調方法であるため、電流波形を生成する際に生ずるジッタを抑制するのは難しく、更なる改善が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明により提供される波長可変光源装置は、光を増幅させる光増幅媒体と波長分散を有する導波路とを共振器内に備えた発振波長を変化可能な第一の光源装置と、前記導波路に接続され変調光としてパルス光を前記第一の光源装置に導入する第二の光源装置と、を具備した波長可変光源装置であって、前記変調光により前記発振波長を相互利得変調による能動モード同期によって制御するとともに、前記変調光のパルス幅が、該変調光を発生させる駆動信号の半周期の時間幅よりも狭い時間幅を持つことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、パルス幅の狭い外部光による相互利得変調を用いることで、信号の時間的な変動(ずれ)や揺らぎを抑制し、ジッタ特性に優れた能動モード同期動作をし得る波長可変光源装置を提供できる。また、ジッタ特性に優れることから波長確定精度の高い波長可変光源装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の波長可変光源装置の一例を示す模式図
【図2】本発明の波長可変光源装置における変調光を発生させる駆動信号と変調光と、発振により得られるパルス光との関係を示すグラフ
【図3】本発明の波長可変光源装置の一例を示す模式図
【図4】本発明の波長可変光源装置の一例を示す模式図
【図5】本発明の波長可変光源装置の一例を示す模式図
【図6】本発明の波長可変光源装置を用いた光断層撮像装置の一例を示す模式図
【図7】本発明の波長可変光源装置の一例を示す模式図
【図8】本発明の波長可変光源装置における変調光を発生させる駆動信号と変調光との関係を示すグラフ
【図9】本発明の波長可変光源装置により波長掃引されて出力される光を示すグラフ
【図10】本発明における利得スイッチング動作によるパルス光とフィードバック光との関係を示すグラフ
【図11】本発明の光源装置より積層体からなる検体に光照射して得られる反射光を示す模式図
【図12】干渉光をオシロスコープで観測して得られる波形を示すグラフ
【図13】従来の波長可変光源装置における変調光を発生させる駆動信号と変調光と、発振により得られるパルス光との関係を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、時間幅の狭いパルス光による相互利得変調を用いて能動モード同期動作を行い、分散チューニングを行うことで、変調周波数のジッタ特性を改善し波長選択性に優れた波長可変動作が可能となるという発明者らが見出した知見に基づいている。
【0015】
以下、図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【0016】
図1は本発明の波長可変光源装置の一例を示す模式図である。
【0017】
図1の光源装置は大別して、光を増幅させる光増幅媒体と波長分散を有する導波路とを共振器内に備えた発振波長を変化可能な第一の光源装置350と、前記導波路に接続され変調光としてパルス光を前記第一の光源装置に導入する第二の光源装置360と、で構成されている。
【0018】
ここで第一の光源装置350は、光増幅媒体301と、アイソレータ302、波長分散を有する導波路304、サーキュレータ309を備え、これらを光導波路を用いて接続することによりリング共振器を構成している。尚、アイソレータ302は必用に応じて設けられる部材である。
【0019】
光増幅媒体301は、例えば、半導体光増幅器(SOA(Semiconductor Optical Amplifier))を用いることができる。半導体光増幅器は、基本的には半導体レーザから共振器を外し、光の増幅過程を利用するもので、共振器を構成しないように、端面での反射を抑えた構造をとっている。SOA301には不図示の直流電源が接続され、モード同期レーザとして発振するのに充分なキャリアが蓄積される電流が注入されるようになっている。
【0020】
第二の光源装置360は、半導体レーザ306とこれに電圧を印加する電源307を備えている。尚、電源307はバイアス−T(Bias Tee)等を用いて交流成分と直流成分を重畳した電圧を印加できる電源から構成される。
【0021】
第二の光源装置360は、第一の光源装置350に導入される変調光としてパルス光を発生させる光源装置であり、この変調光(パルス光)により第一の光源装置350の発振波長を相互利得変調による能動モード同期によって制御する。さらに、該変調光のパルス幅が、変調光を発生させる駆動信号の半周期の時間幅よりも狭い時間幅を持つものであり、特定の狭いパルス幅のパルス光を発生する。
【0022】
次に、第一の光源装置及び第二の光源装置を用いた本発明の波長可変光源装置の動作を説明する。
【0023】
第一の光源装置350を構成する共振器内の光増幅媒体301の利得に周期的な変調を与えることによって能動モード同期動作が行われる。その周期を決定する、モード同期をかける変調周波数f(またはモード同期周波数f)は、共振器長と共振器内の屈折率によって決まるFSRの整数倍であることがモード同期動作の条件である。つまり変調周波数fは、共振器長をL、屈折率をn(λ)、光速をc、正の整数をNとしたとき、リング共振器であれば、次の式(1)で表わされる。
【0024】
【数1】
【0025】
ファブリー・ペロー共振器であれば、次の式(2)で表わされる。
【0026】
【数2】
【0027】
ここで、共振器は、波長分散を有する導波路304を有することから、屈折率が波長を変数とする分散を持つn(λ)となり、発振波長の中心波長によってfの値が異なることになる。このため、変調周波数fを変化させると能動モード同期によって決まる発振波長を変化させることができる。これが分散チューニングの原理である。
【0028】
したがって、fの値の確定精度が波長可変光源装置の発振波長を選択する精度に関係してくる。また、数百kHz以上という高速な波長可変を分散チューニング方式で行う際に、変調周波数fは、高い値であることが望ましい。こうしたとき、外部光を変調光として用いた相互利得変調による分散チューニング方式は、高速な波長可変に好適である。
【0029】
背景技術に示した非特許文献2においては、連続光をEOM等の変調器によって変調した光を変調光として用い、SOAを配して構成した共振器内に導入して相互損失を与えて、モード同期を得る。このため、変調信号である駆動電流の波形を強く反映したパルス光が共振器から生成される。
【0030】
これに対し、本発明では、第二の光源装置により発生させる変調光を、特定のパルス幅を持つ(変調光を発生させる駆動信号の半周期の時間幅よりも狭い時間幅を持つ)と規定した。この第二の光源装置で発生させる変調光は、所謂、利得スイッチングレーザによると駆動電流の波形よりも狭い時間幅で発振するパルス光が得られることに相当する。
【0031】
従って、これら2種のパルス光をそれぞれ変調光として用いて相互利得変調を行った場合、利得スイッチングレーザを用いた方がモード同期周波数fの確定精度に優れることとなる。その理由を図13及び図2を用いて説明する。
【0032】
図13は、変調光を発生させる駆動信号と変調光と発振により得られるパルス光の利得と、の関係を示すグラフであって、変調光として連続光を変調器によって変調した光を用いた場合を示す。図13(a)は駆動電流の時間波形、図13(b)は変調光の強度についての時間波形、図13(c)は図13(b)を用いて利得媒体(光増幅媒体)を相互利得変調した場合における利得の時間波形をそれぞれ示す。
【0033】
一方、図2は利得スイッチングレーザからのパルス光を変調光として用いた場合のグラフである。図2(a)は駆動電流の時間波形、図2(b)は変調光の強度についての時間波形、図2(c)は図2(b)を用いて利得媒体を相互利得変調した場合における利得の時間波形をそれぞれ示す。図13(b)は、駆動電流の波形を示す図13(a)と同じ波形であるのに対し、図2(b)は、駆動電流波形を示す図2(a)の半周期よりも狭い時間幅で発振するパルス波形となる。
【0034】
このような違いを持つパルス光を変調光として光増幅媒体(利得媒体)を相互利得変調すると、図13(c)に比べて図2(c)の方が利得の立ち上がりが急峻になる。言い換えると、図2(c)の方が利得増加の傾きが大きい。
【0035】
従って、図13(c)におけるf1と図2(c)におけるf2によって定義されるモード同期周波数を考えたとき、f2のほうがf1よりも値の揺らぎが小さい。つまり図2(c)の方が、能動モード同期におけるジッタ特性が改善され、モード同期周波数の確定性が向上したことになる。さらに、分散チューニングによる波長掃引を考えると、波長選択性の精度が向上したことになる。
【0036】
また、図13(c)と図2(c)における利得の積分値を比較すると、図2(c)の方が大きな値となるため、レーザ発振する際の出力光の光量も大きくとれる。
【0037】
こうした効果を考える際、変調光のパルス幅はどれだけ狭くなっても、利得媒体では誘導放出による相互利得変調は起こる。しかしながら、パルス幅が狭くなりすぎると、パルスにおける光量の尖頭値が高まり、導波路を伝播中にパルス幅が広がることや、利得媒体中で非線形効果が生じるなど、望ましくない効果が懸念される。
【0038】
したがって、分散チューニングを行う際の周波数変調範囲に対し、ジッタ改善効果が充分得られる利得の傾きが形成できるパルス幅が好適である。
【0039】
こうした点を考慮すると、変調光のパルス幅を定義する強度の極大値の半値における(半値の場所での)強度曲線の傾きが、駆動電流の(信号)波形における強度の極大値の半値における(場所で)強度曲線の傾きよりも大きいことが望ましい。狭いパルス幅を持つ変調光を発生させる第二の光源装置は利得スイッチング半導体レーザやモード同期レーザなどから構成できる。また、本発明は、第二の光源装置を波長可変半導体レーザで構成する態様をも包含する。
【0040】
ここまでは、光増幅媒体として半導体光増幅器(SOA)を例に説明したが、この他、光増幅媒体としては、エルビウムやイットリビウム等を含有する希土類添加(イオンドープ)光ファイバ、光ファイバ中に色素を添加して色素により増幅を行うもの等を採用することができる。
【0041】
希土類添加光ファイバは、高利得で良好な雑音特性を得るためには好適である。色素添加光ファイバは、蛍光色素材料やそのホスト材料などを適宜選択することで可変波長の選択肢が増す。
【0042】
半導体光増幅器は、小型で且つ高速制御が可能なことから好ましい。半導体光増幅器としては、反射型光増幅器と進行波形光増幅器の双方を用いることができる。半導体光増幅器を構成する材料は、一般的な半導体レーザを構成する化合物半導体等を用いることができ、具体的にはInGaAs系、InAsP系、GaAlSb系、GaAsP系、AlGaAs系、GaN系等の化合物半導体を挙げることができる。半導体光増幅器は、利得の中心波長が、例えば、840nm、1060nm、1300nm、1550nmのものの中から光源の用途等に応じて適宜、選択して採用することができる。
【0043】
本発明において、光導波路は光を伝搬させる機能と波長分散を有するものであれば、基本的に用いることができるが、外部からの影響を極力抑えるために光を閉じ込めて伝搬させる、スラブ導波路や、光ファイバを用いることが好ましい。光を閉じ込めて伝搬させる導波路は、基本的には屈折率の高い部分(コア)と屈折率の低い部分(クラッド)を有するが、細かい間隔のFSRを得るためには比較的長い共振器長が望ましく、この観点から光ファイバを用いるのが好ましい。これは分散チューニング方式の原理から、FSR間隔が小さいほうが発振波長を選択するピッチが細かくなるからである。光ファイバとしては、石英(SiO2)ガラスを用いたものや、プラスチックを用いたもの、石英とプラスチックの両方を用いたもの等を挙げることができる。
【0044】
本発明において、光導波路が有する波長分散の分散値は、正常分散(分散値が負)のものから異常分散(分散値が正)のものまで、採用する光増幅媒体、得ようとする掃引速度、掃引波長範囲等を考慮して適宜、所定の分散値のものを採用することができる。
【0045】
本発明で採用し得る共振器としては、上述したリング共振器の他、一対の平行平面を反射面として両端に備えた光共振器(所謂、ファブリー・ペロー共振器)を挙げることができる。共振器内での進行波の方向を一様とする観点からはアイソレータを含んだリング共振器を採用するのが好ましく、アイソレータが不要で低コストに光源装置を構成する観点からはファブリー・ペロー共振器を採用するのが好ましい。
【0046】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
【0047】
(実施例1)
ファイバを用いて構成したリング共振器に対し外部から利得スイッチングレーザによる変調光を導入して相互利得変調による分散チューニングを行い、波長掃引の中心波長が1.06μm帯の波長可変光源装置について説明する。
【0048】
本実施例の光源装置は、図3に示した構成である。図3において、301はSOA、302はアイソレータ、303は出力用カプラ、304は分散付与用ファイバを備えたファイバーリング共振器305をそれぞれ示す。
【0049】
リング共振器305の外部に半導体LD306を備え、電圧源307から直流成分と交流成分を重畳した電圧を半導体LD306の閾値電流付近で印加することにより、利得スイッチング動作を行う。半導体LD306で生成した外部変調光はアイソレータ310を通過したあと、SOA308を経て光量を増加され、サーキュレータ309を介してリング共振器305へ導入される。そして、外部変調光がSOA301の活性層を伝播し、活性層内部のキャリアを誘導放出により消費することでSOA301の利得に損失を与え相互利得変調を行う。
【0050】
本実施例におけるSOA301、および308は利得の中心波長が波長1.06μm帯のものである。SOA301、308には直流電圧を印加しておき、充分な利得を持っている状態とする。また、アイソレータ302、307、出力用カプラ303、サーキュレータ309の動作波長帯域も波長1.06μm帯のものである。
【0051】
分散付与ファイバ304の分散値は−50(ps/km・nm)であり、長さ100mである。このとき1GHz辺りのモード同期周波数fで能動モード同期を行い、周波数fを±500kHz変化させると分散チューニングの原理により50nm程度の波長可変幅が得られる。
【0052】
このような周波数変調を行う外部変調光を半導体LD306から発生させる。半導体LD306の閾値が40mAのとき、直流成分30mA、交流成分±20mAに相当する電圧を電圧源307から重畳して印加することで、半導体LD306を利得スイッチング動作させる。
【0053】
電圧源307からの信号が1GHzの正弦波、つまり周期1GHzで半値幅500psの電流波形を印加した際、利得スイッチング動作状態の半導体LD306からは半値幅100ps程度で周期1GHzの繰り返しパルス列が発生する。
【0054】
この様子を図8に示す。図8(a)が電流波形であり、その半値幅よりも狭いパルス幅の光が図8の(b)である。さらに電圧源306の周波数を1GHzに対し±500kHzの範囲で周波数変調することで、所望の変調光を生成し得る。
【0055】
なお、SOA301を効率良く相互利得変調する観点から、半導体LD306は波長可変LDであることが好適である。
【0056】
さらに、リング共振器305での発振波長より短波長であることも好適である。
【0057】
このパルス光を用いてリング共振器305内のSOA301に対し相互利得変調による能動モード同期を行うことで、ジッタ特性の良い分散チューニングを行い得る。
【0058】
その結果、出力用カプラ303から発振波長が可変できる光が出力される。
【0059】
また、電圧源306の周波数を上記の範囲で繰り返し掃引することで、出力用カプラ303からは、図9(a)及び図9(b)に示すようにλ1からλnまで繰り返し波長掃引された光が出力される。
【0060】
(実施例2)
本実施例では、実施例1に示した波長可変光源装置の外部変調光の光源であるLD306へ連続光を導入することで、利得スイッチング動作時のジッタ特性を改善した光源装置を示す。
【0061】
図4において、401は連続光を発生する半導体LD、402はカプラであり、他の構成要素は実施例1と同様である。第二の光源装置(半導体レーザ306等で構成)に第三の光源装置より制御光を導入する構成を有するものである。
【0062】
図4の波長可変光源装置は、利得スイッチング動作を行うLDに対し、その外部から発振波長のわずかに短波長の連続光を導入することで、パルス発振のジッタ特性を改善する装置である。
【0063】
半導体レーザ(LD)401(第三の光源装置)からLD306の発振波長に対してわずかに短波長連続光を導入することで、LD306内の自然放出光(ASE光:Amplified Spontaneous Emission)の発生量を抑制することができる。よって、利得スイッチング動作時のキャリアの揺らぎによるパルス発振のジッタ特性が改善される。したがって、このように発生したLD306からのパルス光を用いてリング共振器305に対し分散チューニングを行うことで、実施例1の装置に比して更にジッタ特性が改善され、波長選択性の優れた波長可変光源装置が提供できる。
【0064】
なお、上記の効果を効率的に引出す観点から半導体LD401は波長可変レーザであることが好適である。
【0065】
(実施例3)
本実施例では、実施例1に示した波長可変光源装置の外部変調光の光源であるLD306へLD306自身の光の一部をフィードバック導入することで、利得スイッチング動作時のジッタ特性を改善した光源装置を示す。
【0066】
図5において、501、503はカプラ、502はファイバストレッチャー、他の構成要素は実施例1と同様である。
【0067】
図5の波長可変光源装置は、利得スイッチング動作を行うLDに対し、LD自身の光の一部をフィードバックさせることでパルス発振のジッタ特性を改善する装置である。
【0068】
利得スイッチング動作を行うLD306から発生したパルス光の一部強度をカプラ501(分岐手段)で取り出し、ファイバストレッチャー502を含めた遅延経路で所望の遅延時間を与えてからカプラ503を介してLD306へとフィードバックさせる。
【0069】
ここでいう所望の遅延時間について図10を用いて説明する。
【0070】
図10において、1001はLD306の利得スイッチング動作におけるパルス光であり、その発振のタイミングを表す。このパルス光1001の発振に対しτだけ直前の時間にフィードバック光1002がLD306へと帰還されるよう遅延経路長を調整する。τは0〜100ps程度(時間:ピコ秒)である。このとき、LD306内のキャリアがフィードバック光1002による誘導放出によって一部消費され、発振閾値を超えるキャリア密度の傾きが急激になるため、利得スイッチング動作時のジッタ特性が改善される。
【0071】
したがって、このように発生したLD306からのパルス光を用いてリング共振器305に対し分散チューニングを行うことで、実施例1に対して更にジッタ特性が改善され、波長選択性の優れた波長可変光源装置が提供できる。
【0072】
また、実施例2のように連続光によって利得スイッチングレーザのジッタ特性を改善する場合と比べ、上記のようにフィードバックさせるタイミングが重要なので、発振波長に対してわずかに短波長という波長制御の条件が緩和される。
【0073】
さらに、光源装置を外部に設けないため、実施例2の装置に比してコストの低減の観点から好適である。
【0074】
(実施例4)
本実施例では、実施例1示した波長可変光源装置の外部変調光の光源であるLD306へリング共振器305からの出射光の一部をフィードバック導入することで、利得スイッチング動作時のジッタ特性を改善した装置を示す。
【0075】
図7において、701、702はカプラ、703はファイバストレッチャー、他の構成要素は実施例1と同様である。
【0076】
実施例3に記載したように、パルス光をタイミングよくLD306へ帰還させることで利得スイッチング動作時のジッタを改善できる。本実施例では波長可変光源装置としての出射光であるカプラ303からの出射光の一部強度をカプラ701で取り出す。
【0077】
ファイバストレッチャー703を含めた遅延経路で所望の遅延時間を与えてからカプラ702を介してLD306へとフィードバックする。ここでいう所望の遅延時間とは、実施例3にて図10を用いて示した通りである。LD306の発振波長と、リング共振器305からの出射光の波長は異なっており、LD306内でフィードバック光により誘起される寄生発振を抑制できる効果がある。これにより図10におけるパルス光1001とフィードバック光1002が重なる影響が低減でき、所望の遅延時間の精度に対する制約が緩和される。ただし、リング共振器305からの出射光の波長帯域がLD306の利得帯域内に含まれていることが望ましい。
【0078】
(実施例5)
本発明の波長可変光源装置を波長掃引型光断層撮像装置(SS−OCT:Swept−Source Optical Coherence Tomography)に適用した例について説明する。
【0079】
図6は、本発明の波長可変光源装置を適用した波長掃引型光断層撮像装置の模式図である。
【0080】
図6に示したOCT装置では、波長可変光源601(光源部)から出た光をカプラ602を通じて被検体603へと導かれるサンプル光604と、固定ミラー(参照ミラー)605へと導かれる参照光606とに分割する。分割されたあと、サンプル光604はコリメータレンズ607と走査鏡608および対物レンズ609を経て、検体603へと導かれ、検体603に照射される。
【0081】
検体603の深さ情報を持って反射された光はもと来た光路を戻り、再びカプラ602に戻る。ここで、対物レンズ609、走査鏡608、コリメータレンズは、検体測定部を構成する。
【0082】
一方、参照光606はコリメータレンズ610、対物レンズ611を通過したのち固定ミラー(参照ミラー)605にて反射され、もと来た光路を戻り再びカプラ602(干渉部)へと戻る。ここで、参照ミラー605、対物レンズ611、コリメータレンズ610は、参照部を構成し、反射光を干渉部602に伝達する。
【0083】
干渉部602に戻った参照光606は、サンプル光(反射光)604と共にフォトダイオード(光検出部)612へと導かれ干渉信号を生成する。計算処理機(画像処理部)613においてこの干渉信号を光源走査信号をもとに再配列し、フーリエ変換を中心とした信号処理をすることで深さ方向断層画像を取得できる。つまり、光検出部612で検出された干渉光に基づいて検体の断層像が得られる。
【0084】
本発明に係る波長可変光源を用いることで、波長選択性の良い光を用いてOCT信号を取得でき、被検体603の奥行き方向における反射位置の特定が正確になる。
【0085】
よって、OCT装置として深さ方向断層画像を取得する際に、光源の発振波長が揺らぐことによる画像の劣化が改善され、S/N比(Signal to Noise ratio)に優れた良質な画像が取得できる。
【0086】
本実施例のOCT装置によると良質な画像が得られる理由を図11及び図12を参照して以下に説明する。
【0087】
図11に示すように、被検体603の内部はx1からxnまでの層構造を持っている。サンプル光604と参照光606はカプラ602で合波されたとき、固定ミラー605に対して被検体603内のx1からxnが持つ光路長差L1からLnに応じて干渉信号を生成する。
【0088】
カプラ602で合波した光をフォトダイオード612で受光しオシロスコープで観測すると、図12のような干渉波形が得られる。この波形をフーリエ変換することで光路長差Lを算出し、被検体603内部の反射位置であるx1からxnまでを特定する。そしてOCT装置として深さ方向断層画像を取得する。
【0089】
ここで、図12に示した干渉波形が山であるか谷であるかは、パルスの中心波長に対して光路長差Lが強めあう干渉条件であるか弱めあう干渉条件であるかに対応している。
【0090】
つまり、光源の波長を掃引する際に中心波長が揺らぐことは、図12に示した干渉波形が揺らぐことに相当する。その結果、フーリエ変換した際のS/N比も劣化し、OCT装置としての断層画像のS/N比も劣化する。従って、本発明に係る波長選択性の良い波長可変光源をSS−OCT装置に適応することで、S/N比に優れた良質な画像が取得できる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の波長可変光源装置は、通信ネットワーク分野、検査装置の分野等、波長可変光源を適用できる各分野で利用できる。
【符号の説明】
【0092】
301 光増幅媒体
304 波長分散を有する導波路
305 共振器
350 第一の光源装置
360 第二の光源装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を増幅させる光増幅媒体と波長分散を有する導波路とを共振器内に備えた発振波長を変化可能な第一の光源装置と、前記導波路に接続され変調光としてパルス光を前記第一の光源装置に導入する第二の光源装置と、を具備した波長可変光源装置であって、前記変調光により前記発振波長を相互利得変調による能動モード同期によって制御するとともに、前記変調光のパルス幅が、該変調光を発生させる駆動信号の半周期の時間幅よりも狭い時間幅を持つことを特徴とする波長可変光源装置。
【請求項2】
前記変調光のパルス幅を定義する強度の極大値の半値における強度曲線の傾きが、前記駆動信号の強度の極大値の半値における強度曲線の傾きよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の波長可変光源装置。
【請求項3】
前記第二の光源装置が、利得スイッチング半導体レーザであることを特徴とする請求項1に記載の波長可変光源装置。
【請求項4】
前記第二の光源装置が、波長可変半導体レーザであることを特徴とする請求項1に記載の波長可変光源装置。
【請求項5】
前記第二の光源装置に制御光を導入することを特徴とする請求項1に記載の波長可変光源装置。
【請求項6】
前記制御光が、第三の光源装置である波長可変レーザからの連続光もしくはパルス光であることを特徴とする請求項5に記載の波長可変光源装置。
【請求項7】
前記第二の光源装置で発生した光の一部を取り出す分岐手段と、該取り出した一部の光に遅延を与える遅延経路と、該取り出した一部の光を前記第二の光源装置へ導入する手段と、を備えたことを特徴とする請求項5に記載の波長可変光源装置。
【請求項8】
前記第二の光源装置に導入する前記制御光が、前記第二の光源装置で発生した光の一部をフィードバックさせた光であることを特徴とする請求項7に記載の波長可変光源装置。
【請求項9】
前記第一の光源装置より前記発振波長を有する光の一部を取り出す分岐手段と、該取り出した一部の光に遅延を与える遅延経路と、該取り出した一部の光を前記第二の光源装置へ導入する手段と、を備えたことを特徴とする請求項5に記載の波長可変光源装置。
【請求項10】
前記第二の光源装置に導入する前記制御光が、前記第一の光源装置で発生した光の一部をフィードバックさせた光であることを特徴とする請求項9に記載の波長可変光源装置。
【請求項11】
前記波長分散を有する導波路が、光ファイバで構成されたことを特徴とする請求項1に記載の波長可変光源装置。
【請求項12】
前記第一の光源装置の光増幅媒体が、半導体光増幅器で構成されたことを特徴とする請求項1に記載の波長可変光源装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12の何れか一項に記載の波長可変光源装置を用いた光源部と、前記光源部からの光を検体に照射し、該検体からの反射光を伝達させる検体測定部と、前記光源部からの光を参照ミラーに照射し、該参照ミラーからの反射光を伝達させる参照部と、前記検体測定部からの反射光と前記参照部からの反射光とを干渉させる干渉部と、前記干渉部からの干渉光を検出する光検出部と、前記光検出部で検出された光に基づいて、前記検体の断層像を得る画像処理部と、を有することを特徴とする光断層撮像装置。
【請求項1】
光を増幅させる光増幅媒体と波長分散を有する導波路とを共振器内に備えた発振波長を変化可能な第一の光源装置と、前記導波路に接続され変調光としてパルス光を前記第一の光源装置に導入する第二の光源装置と、を具備した波長可変光源装置であって、前記変調光により前記発振波長を相互利得変調による能動モード同期によって制御するとともに、前記変調光のパルス幅が、該変調光を発生させる駆動信号の半周期の時間幅よりも狭い時間幅を持つことを特徴とする波長可変光源装置。
【請求項2】
前記変調光のパルス幅を定義する強度の極大値の半値における強度曲線の傾きが、前記駆動信号の強度の極大値の半値における強度曲線の傾きよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の波長可変光源装置。
【請求項3】
前記第二の光源装置が、利得スイッチング半導体レーザであることを特徴とする請求項1に記載の波長可変光源装置。
【請求項4】
前記第二の光源装置が、波長可変半導体レーザであることを特徴とする請求項1に記載の波長可変光源装置。
【請求項5】
前記第二の光源装置に制御光を導入することを特徴とする請求項1に記載の波長可変光源装置。
【請求項6】
前記制御光が、第三の光源装置である波長可変レーザからの連続光もしくはパルス光であることを特徴とする請求項5に記載の波長可変光源装置。
【請求項7】
前記第二の光源装置で発生した光の一部を取り出す分岐手段と、該取り出した一部の光に遅延を与える遅延経路と、該取り出した一部の光を前記第二の光源装置へ導入する手段と、を備えたことを特徴とする請求項5に記載の波長可変光源装置。
【請求項8】
前記第二の光源装置に導入する前記制御光が、前記第二の光源装置で発生した光の一部をフィードバックさせた光であることを特徴とする請求項7に記載の波長可変光源装置。
【請求項9】
前記第一の光源装置より前記発振波長を有する光の一部を取り出す分岐手段と、該取り出した一部の光に遅延を与える遅延経路と、該取り出した一部の光を前記第二の光源装置へ導入する手段と、を備えたことを特徴とする請求項5に記載の波長可変光源装置。
【請求項10】
前記第二の光源装置に導入する前記制御光が、前記第一の光源装置で発生した光の一部をフィードバックさせた光であることを特徴とする請求項9に記載の波長可変光源装置。
【請求項11】
前記波長分散を有する導波路が、光ファイバで構成されたことを特徴とする請求項1に記載の波長可変光源装置。
【請求項12】
前記第一の光源装置の光増幅媒体が、半導体光増幅器で構成されたことを特徴とする請求項1に記載の波長可変光源装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12の何れか一項に記載の波長可変光源装置を用いた光源部と、前記光源部からの光を検体に照射し、該検体からの反射光を伝達させる検体測定部と、前記光源部からの光を参照ミラーに照射し、該参照ミラーからの反射光を伝達させる参照部と、前記検体測定部からの反射光と前記参照部からの反射光とを干渉させる干渉部と、前記干渉部からの干渉光を検出する光検出部と、前記光検出部で検出された光に基づいて、前記検体の断層像を得る画像処理部と、を有することを特徴とする光断層撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−145402(P2011−145402A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5182(P2010−5182)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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