説明

注意欠陥障害および性機能不全の治療のための3−ヒドロキシジェピロン

本発明は、公知の抗うつ薬化合物ジェピロンのある種の生物活性な代謝産物を投与することにより、注意欠陥障害、性機能不全、および関連症状を緩和、予防、および治療するための方法に関する。好ましい態様において、化合物は、4,4,-ジメチル-3-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ピリミジニル)-1-ピペラジニル]ブチル]-2,6-ピペリジンジオン (3-OH ジェピロン) である。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、公知の抗うつ薬化合物ジェピロンのある種の生物活性な代謝産物を投与することにより、注意欠陥障害、性機能不全、および関連症状を緩和、予防、および治療するための方法に関する。好ましい態様において、化合物は、4,4,-ジメチル-3-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ピリミジニル)-1-ピペラジニル]ブチル]-2,6-ピペリジンジオン (3-OH ジェピロン) であるが、他のジェピロン代謝産物およびその組み合わせが可能であり、想定される。驚くべきことに、これらのジェピロンの生物活性な代謝産物は、ジェピロンおよび他の治療のアザピロンと比較した場合、改良されたバイオアベイラビリティ特性および改良された即効作用能力および長期の治療養生法(regimen)を示す。よって、本発明は、種々の心理的障害および症状を治療するための新規な改良された方法を提供する。
【0002】
[関連技術の説明]
注意欠陥障害
注意欠陥障害(ADD)は、発達上不適切な不注意および衝動性に関する学習障害である。ADDは、破壊的行動障害または微小脳機能不全とも呼ばれ得る。ADDは、多動性を伴うかまたは伴わないで存在し得る。一般的な障害ADDは、他のどの単一の障害よりも多い子供の精神衛生の紹介(referral)を占める。ADDは、学齢期の子供の3〜5%が罹患していると推定され、男女比は4:1〜9:1で、女性より男性にずっと頻繁に起こる。平均して、米国では各教室に少なくとも一人の子供が、この障害のために援助を必要とする。ADDは、しばしば、青年期および成人期まで続き、欲求不満の夢および感情的な苦痛の生涯を引き起こし得る。加えて、ADDは、どんな認知レベルでも子供の行動に影響を及ぼし得る。
【0003】
ADDは、ある種の特徴的な行動を一定期間にわたって一貫して示す子供および大人に適用される診断である。最も一般的な行動は、二つのカテゴリー:不注意および衝動性に分類される。多動性を伴う注意欠陥障害は、過剰活動の徴候が明らかな場合に診断される。不適切な不注意は、活動の割合の増加、および参加または反応に対する持続性の無さまたは嫌気を引き起こす。ADDに罹患している被検体は、比較可能な発達レベルの個体で典型的に観察されるよりも頻繁かつ重篤な不注意および/または多動性−衝動性の一貫したパターンを示す。かかる被検体は、発達的に適切な社会的、学問的または職業的な機能の妨害の明らかな徴候を経験する。
【0004】
ADDで多動性を伴わない被検体は、高い活動レベルを示さないが、多くは、落ち着きの無さや神経過敏、短い注意持続期間、および不十分な衝動調節を示す。これらは、行為および不安障害で観察されるものとは質的に異なる。不注意は、開始した仕事を完了させることができないこと、容易な転導性、外観上の注意の欠如、および持続した注意を必要とする仕事に集中する困難性として説明される。衝動性は、思考前の動作、順番にする困難性、仕事を組織化する問題、およびある活動から別の活動への絶え間ない移動として説明される。衝動的な反応は、不確実性および注意深く関与する必要性を伴う場合、特に起こりやすい。多動性は、着席して静かに座っている困難性、および過度に走ったりよじ登ったりすることとして特徴づけられる。多動性を伴うかまたは伴わない注意欠陥障害の症状および診断基準の更に完全な説明は、DSM-IV (Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 1994; 78-85) により提供され、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
単一の治療は、注意欠陥障害にまったく効果的ではなかった。行動および認知療法(たとえば、セルフレコーディング、セルフモニタリング、モデリング、およびロールプレイング)と併用した精神刺激薬療法は、症状の発現に対して最大の制御効果を示す。薬物療法は、単独で使用された場合、安定な家庭環境出身の攻撃性の低いADDの子供に主に有効であった。除外食、ビタミン大量投与治療、精神療法、および生化学的介入(たとえば、神経化学薬の投与)は、僅かな持続しない効果のみを示した。
【0006】
数十年にわたって、ADDの症状を治療するために薬物療法が使用されている。成人および子供の両方で最も一般的な3つの薬物療法は、刺激薬;メチルフェニデート(RITALIN TM)、デキストロアンフェタミン(DEXEDRINE TMまたはDEXTROSTAT TM)、およびペモリン(CYLERT TM)である。多くのヒトに対して、これらの薬剤は、多動性を劇的に低減し、集中、仕事および学習の能力を改善する。また、薬物療法は、身体的協調運動、たとえば筆記およびスポーツの能力も改善し得る。国立精神衛生研究所(National Institute of Mental Health)による近年の研究は、これらの薬剤が、随伴する行為障害の子供に対して、衝動的で破壊的な行動を制御するように援助し得ることを示唆する。10人の子供のうち9人は、これら3つの刺激薬の一つで良くなる。
【0007】
異なる医者は、僅かに異なる方法で薬物療法を使用する。CYLERT TMは、本来5〜10時間持続する一形態で入手可能である。RITALIN TMおよびDEXEDRINE TMは、約3時間持続する短期間の錠剤、並びに1日の授業時間にわたって持続する長期間の製剤の形で売られる。
【0008】
刺激薬は、医療管理とともに使用されると、通常安全であると考えられる。しかし、刺激薬を使用する一般的な問題は、誤用された場合、10代の若者および成人に常習性をもたらすということである。これらの薬物療法中に、何人かの子供は、体重が減少し、食欲が減退し、一時的に成長が遅くなる。他の子供は、寝つきの問題がある。何人かの医者は、刺激薬がトゥーレット症候群の症状を悪くすると信じる。
【0009】
最も一般に処方されるADD薬物療法は、RITALIN TMであり、これは、三環系抗うつ薬 (たとえば、IMIPRAMINE TM)、カフェイン、および他の精神刺激薬 (たとえば、PEMOLINE TMおよびDEANOL TM) よりも一般的に効果が高く、デキストロアンフェタミンよりも副作用が少ない。RITALIN TMの一般的な副作用は、睡眠障害 (たとえば、不眠症)、憂鬱または悲哀、頭痛、胃痛、食欲の抑制、血圧の上昇、および大量の連続的投与での成長の低下である。しかし、RITALIN TMによる薬物療法の長期的利益は、最終的に実証されていない。幾つかの研究は、薬物療法の使用により、不十分な注意および衝動性のために以前にアクセスできなかった活動への参加が可能になることを示す。刺激薬の副作用の頻度、常習の可能性、および限られた成功は、注意欠陥障害を治療または予防する代替手段を調査することにつながった。
【0010】
性機能不全
性機能不全は、個人またはカップルに対して性的活動を楽しむことを妨害する、(欲求、覚醒(arousal)、オルガズム、および消散(resolution)を含む)性的行為の任意の段階における困難性と規定され得る。性機能不全障害は、一般に4つのカテゴリーに分類される:性的欲求障害、性的覚醒障害、オルガズム障害、および性的疼痛障害。性機能不全は、米国特許公報No. 2007/0123536で議論され、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0011】
性的欲求障害(減少したリビドー)は、(女性の)エストロゲンまたは(男性および女性両方の)テストステロンの正常な産生の減少により起こり得る。その他の原因は、加齢、疲労、妊娠、および投薬であり得る(たとえば、抗うつ薬、たとえばフルオキセチン、セルトラリン、およびパロキセチンは、男性および女性の両方において欲求を減少させることが周知である)。また、精神医学的状況、たとえばうつ病および不安も、減少したリビドーを引き起こすことができる。
【0012】
性的覚醒障害は、女性の不感症および男性のインポテンスとして従来知られていた。これらは、今日、分別のない用語で置き換えられている。インポテンスは、今日、勃起不全として知られ、不感症は、欲求、覚醒、または不安に関連する幾つかの具体的な問題の何れかとして説明される。男性および女性の両方にとって、これらの状況は、パートナーとの性的接触に対する嫌悪および回避として現れ得る。男性では、勃起を達成または維持することが部分的または完全にできないこと、または性的興奮および性的活動の喜びがないことがある。
【0013】
オルガズム障害は、正常な性的興奮期の後にオルガズムが持続的に遅延するかまたは存在しないことである。この障害は、女性および男性の両方で起こる。また、SSRI抗うつ薬は、よくある原因であり、これらは、オルガズムの達成を遅延させるか、またはオルガズムを完全に除去し得る。
【0014】
性的疼痛障害は、ほとんど女性のみに影響を及ぼし、性交疼痛症(痛みを伴う性交)および膣痙(性交を妨害する膣壁の筋肉の不随意の痙縮)として知られる。性交疼痛症は、女性において不十分な潤滑(膣の乾燥)により引き起こされ得る。
【0015】
性機能不全は、早期の成人年齢に多く起こり、多数の人々が20代後半から30代の間にかかる状況に対するケアを求める。発生率は、老人集団で再び増大し、典型的には、性機能不全の医療原因と最も多く関連した症状の緩やかな発症を伴う。性機能不全は、アルコールおよび薬物を乱用する人に多く起こる。糖尿病および変性神経障害に罹患している人にもよく起こり得る。また、現在の性的パートナーとの現在進行中の心理的問題、関係維持の困難性、または慢性的不調和も、性的機能を妨害し得る。
【0016】
性機能不全の症状は、男性および女性患者の両方において、リビドーの損失、性的興奮を感じないこと、痛みを伴う性交を含み得る。男性の場合、症状には、勃起を達成または維持できないこと、射精の遅延または消失、および射精のタイミングを制御できないことが含まれ得る。女性の場合、症状には、性交を許容するのに充分な程度に膣の筋肉をリラックスさせることができないこと、性交の前および性交の間の不十分な膣の潤滑、オルガズムを達成できないこと、および外陰または膣におけるこれら領域に接触した灼熱痛が含まれ得る。
【0017】
性機能不全は、うつ病の個体の間でよく起こる。うつ病の個体は、性的関心の減少、および報告されている覚醒(arousal)レベルの低下を示す。また、性機能不全は、抗うつ薬治療、とりわけセロトニン再取り込み阻害薬(SRIs)による薬物療法の一般的な副作用でもある。性反応サイクルは、4つの段階からなる:欲求、覚醒(arousal)、オルガズム、および消散(resolution)。これらの段階の全ては、生殖ホルモンおよび神経伝達物質により影響され得る。エストロゲン、テストステロン、およびプロゲステロンは、性的欲求を促進する。ドーパミンは、欲求および覚醒を促進する。ノルエピネフリンは、覚醒を促進する。プロラクチンは、覚醒を阻害する。オキシトシンは、オルガズムを促進する。セロトニンは、おそらくドーパミンおよびノルエピネフリンを阻害することにより、性反応サイクルの欲求および覚醒の段階に負の影響を及ぼし得る。
【0018】
性機能不全の治療は、具体的な原因を同定すること、しばしば、潜在的な状況を治療することを伴う。可逆的または治療可能な医療原因は、医学的または外科的に通常処置される。理学療法および機械的補助は、身体的な病気、状況、または障害による性機能不全を経験する何人かの人に対して役に立つと証明することができる。
【0019】
神経学的および心理学的ファクターは、性機能不全に重要な役割を果たす。不安、恐怖、およびうつ病は、とりわけ、心理学的療法および薬物療法などの治療により処置することができる。ドーパミンは、欲求および覚醒を促進することが知られている。よって、ドーパミン作動性薬剤は、抗うつ薬誘導性の性機能不全の治療に有効であり得る。
【0020】
ADDおよび/または性機能不全の治療に対する治療法は、ドーパミン作動性システムを標的にすることができる。ドーパミン作動性システムの脱制御は、これらの状況のそれぞれとリンクしている。また、かかる脱制御は、パーキンソン病、トゥーレット症候群、統合失調症、注意欠陥多動性障害 (ADHD) および下垂体部腫瘍ともリンクしている (Vallone et al, Neurosci Biobehav Rev 2000 Jan;24:125-32)。アザピロン、ブスピロンは、ADHDの治療に潜在的な治療的役割を有すると推測されている (Balon, J. Clin. Psychopharma. 1990; 10: 77, and Malhotra et al, J. Am. Acad. Child Adolesc. Psychiatry 1998; 57: 364-371)。
【0021】
ブスピロンは、セロトニンレセプター、ドーパミンレセプター、およびα−アドレナリン作動性レセプターを含む一連のレセプターに対して親和性を示す。ドーパミン作動性システムに対するブスピロンの効果は、ドーパミンの合成および放出を高めることにより起こる (Tunnicliff et al, Neuropharmacology 1992; 31: 991-5)。ブスピロンは、シナプス後のドーパミン作動性レセプターよりもシナプス前のドーパミン作動性レセプターをブロックし、これにより中脳ニューロンの発火(firing)を増大させ、黒質の緻密帯においてドーパミン作動性ニューロンに対するγ−アミノ酪酸の阻害効果をブロックする (Eison and Temple, Am. J. Med. 1986; 80(3B suppl): 1-9)。セロトニン作動活性は、Balon and Malhotra et alによれば、改良された行動および衝動性に関連し得るが、ブスピロンのドーパミン作動活性は、注意期間の改良、およびADHDと関連した多動性の減少につながる。しかし、注意欠陥障害の治療ストラテジーに関する近年の報告は、ブスピロンが、ADHDの患者に対して潜在的に有害な影響を及ぼし得ることを示唆している (Popper, Child Adolesc Psychiatr Clin N Am 2000; 9: 605-46)。ブスピロンは、ドーパミン作動性システムにリンクした他の状況を備えた患者に対して同様の有害な影響を及ぼすことが予測され得る。
【0022】
よって、多動性を伴うかまたは伴わないADD、および性機能不全に罹患している患者の新規な治療ストラテジーに対する重要な要望が残っている。更に、現存の治療ストラテジーに関連した副作用を低下または除去した、安全かつ効果的な治療ストラテジーに対する重要な要望も残っている。
【発明の概要】
【0023】
よって、本発明の目的は、多動性を伴うかまたは伴わない注意欠陥障害、不安、うつ病、および性機能不全、またはその症状の治療方法を提供することである。この目的は、5-HT1Aレセプターアゴニストをそれを必要とする患者に投与することにより解決することができる。
【0024】
本発明は、注意欠陥障害に罹患している患者が、ドーパミンレセプター活性を欠損しているアザピロン5-HT1Aレセプターアゴニストにより治療することができるという発見に部分的に基づいている。よって、本発明の目的は、多動性を伴うかまたは伴わない注意欠陥障害を有する患者を、ドーパミンレセプター活性を欠損しているアザピロン5-HT1Aレセプターアゴニストにより治療することである。ドーパミンレセプター活性を欠損しているアザピロン5-HT1Aレセプターアゴニストの提案例には、ジェピロン、イプサピロン(ipsapirone)、およびタンドスピロン(tandospirone)が含まれる。
【0025】
より重要なアザピロンの一つは、以下の構造を有するジェピロンである:
【化1】

【0026】
ジェピロンは、不安障害およびうつ病を効果的に治療するために使用されている (Casacalenda, Canadian J. of Psychiatry, 43:722-730 (1998))。しかし、これは、理想的な治療用の不安緩解薬または抗うつ薬の見地から幾つかの欠点がある。これは、経口でデリバーされると、14〜18%のオーダーで、低いバイオアベイラビリティ特性を有する。加えて、ジェピロンの半減期は、非常に短い。その結果、ジェピロンの徐放剤は、投薬レベルを増大させることなく、標準的な治療養生法の期間にわたって、持続した治療レベルをデリバーすることができるため好ましい。更に、ジェピロンは、少ない割合のケースで、悪心および嘔吐などの副作用と関連している。よって、改良された特性および特徴を備えた5-HT.sub.1Aアゴニストがなお必要である。
【0027】
ジェピロンのある種の生物活性な代謝産物、とりわけ4,4,-ジメチル-3-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ピリミジニル)-1-ピペラジニル]ブチル]-2,6-ピペリジンジオン (3-OH ジェピロン) が、不安、うつ病、および多くの他の心理的障害を治療する際に有効な薬剤であることが見出された。3−OHジェピロンは、以下の構造式を有する:
【化2】

【0028】
他の生物活性なジェピロン代謝産物の例を以下に挙げる:
【化3】

【0029】
本発明の生物活性なジェピロン代謝産物は、心理的障害を治療するために使用することができるか、または5-HT1Aレセプターと機能的に相互作用する、上記化合物を含む。生物活性なジェピロン代謝産物には、その化合物の活性な塩の形態、水和物の形態、エナンチオマーの形態または混合物、または結晶形態が含まれる。好ましくは、生物活性なジェピロン代謝産物は、3−OHジェピロンである。3−OHジェピロンは、米国特許第6,534,507号に記載され、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
一つの態様において、5-HT1Aレセプターアゴニストは、刺激薬、催眠薬、不安緩解薬、抗精神病薬、抗不安薬、マイナー・トランキライザー、ベンゾジアゼピン、バルビツエート(barbituate)、セロトニンアゴニスト、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、ドーパミンアンタゴニスト、5-HT1Aアゴニスト、5-HT2アンタゴニスト、非ステロイド系抗炎症薬、モノアミンオキシダーゼ阻害薬、ムスカリン性アゴニスト、ノルエピネフリン取り込み阻害薬、必須脂肪酸、およびニューロキニン−1レセプターアンタゴニストからなる群より選択される薬剤と併用して投与される。
【0031】
別の態様において、5-HT1Aレセプターアゴニストは、メチルフェニデート(RITALIN TM)の投与とともに投与される。
【0032】
別の態様において、5-HT1Aレセプターアゴニストは、薬学的に許容可能なキャリアとともに投与される。
【0033】
別の態様において、5-HT1Aレセプターアゴニストは、経口、直腸、鼻、非経口、槽内、膣内、腹腔内、舌下、局所、または頬で投与される。
【0034】
別の態様において、5-HT1Aレセプターアゴニストの治療的に有効な量は、薬物療法の不安緩解薬の用量、たとえば:単回投与または複数回投与で、0.25〜0.75 mg/kg体重/日のジェピロン (約15 mg/日)、0.003〜0.06 mg/kg体重/日のフレシノキサン (約0.4 mg/日)、および0.5〜3.0 mg/kg体重/日のアダタンセリン (約120 mg/日) と同様である。
【0035】
別の態様において、治療を必要とする患者は、不安、うつ病、肥満、薬物乱用/常用、アルコール中毒、睡眠障害、TIC障害、およびアルツハイマー病の行動/認知症状の一以上にも罹患している。
【0036】
本発明の別の目的は、それを必要とする患者に、本発明の化合物の二以上の混合物を同時に投与する治療養生法を提供することである。
【0037】
本発明の更に別の目的は、それを必要とする患者に、単回用量または分割用量の第一の化合物を投与し、その後、同日または翌日に、単回用量または分割用量の一以上の追加の化合物を投与する治療養生法を提供することである。
【0038】
上記目的は、本発明のある側面を強調する。本発明の追加の目的、側面および態様は、以下の本発明の詳細な説明に見出される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明およびそれに付随する利点の多くのより完全な認識は、以下の詳細な説明とともに以下の図面を参照することによりよく理解されるようになるため、容易に得られるでしょう。
【図1】図1は、血漿サンプルから単離された生物活性なジェピロン代謝産物のクロマトグラフを示す:3−OHジェピロンの大きなピーク(標識)、5−OHジェピロン(ピーク2)、および5−Me−OHジェピロン(ピーク1)。
【図2A】図2は、ヒト被検体にジェピロンを投与した後、血漿に存在する3−OHジェピロンの血漿レベル(ng/ml)の時間経過を示す表である。“時間(H)”は、投与後の時間を表す。
【図2B】図2は、ヒト被検体にジェピロンを投与した後、血漿に存在する3−OHジェピロンの血漿レベル(ng/ml)の時間経過を示す表である。“時間(H)”は、投与後の時間を表す。
【図2C】図2は、ヒト被検体にジェピロンを投与した後、血漿に存在する3−OHジェピロンの血漿レベル(ng/ml)の時間経過を示す表である。“時間(H)”は、投与後の時間を表す。
【図2D】図2は、ヒト被検体にジェピロンを投与した後、血漿に存在する3−OHジェピロンの血漿レベル(ng/ml)の時間経過を示す表である。“時間(H)”は、投与後の時間を表す。
【図2E】図2は、ヒト被検体にジェピロンを投与した後、血漿に存在する3−OHジェピロンの血漿レベル(ng/ml)の時間経過を示す表である。“時間(H)”は、投与後の時間を表す。
【好ましい態様の詳細な説明】
【0040】
具体的に規定しない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、有機化学、生化学、心理学、精神医学、医学、神経化学、および神経学の当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0041】
本明細書に記載されるものと類似または同等のすべての方法および材料は、本明細書に記載される適切な方法および材料とともに、本発明の実施または試験で使用することができる。本明細書で挙げられるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。矛盾する場合、定義を含む本明細書が、コントロールするでしょう。更に、材料、方法、および実施例は、一例にすぎず、特に記載しない限り、限定することを意図しない。
【0042】
本明細書で使用される総称「注意欠陥障害」は、注意欠陥障害および破壊行動障害を含み、これらのそれぞれは、多動性を伴っていてもよいし、伴っていなくてもよい。
【0043】
改良された5-HT1Aアゴニスト、3−OHジェピロンおよび他の生物活性なジェピロン代謝産物は、多くの心理的障害を緩和する方法で使用することができる。好ましい方法は、うつ病、不安、全般性不安障害、パニック障害、強迫性障害、アルコール中毒、嗜癖、非定型うつ病、幼児自閉症、大うつ病性障害、メランコリーを伴ううつ病、月経前症候群、および注意欠陥多動性障害またはこれら障害の症状を緩和する。この方法は、効果的な量の生物活性なジェピロン代謝産物、またはその薬学的に許容可能な塩または水和物を哺乳類に投与することを含む。好ましくは、これら方法の生物活性なジェピロン代謝産物は、3−OHジェピロン、3,5−ジヒドロキシジェピロン、および5−OHジェピロンからなる群より選択される。この方法は、これら化合物の何れか一つを使用し得る。しかし、これら代謝産物の組み合わせ、またはこれら代謝産物と他の活性もしくは不活性成分との組み合わせも想定される。
【0044】
本発明は、かかる治療を必要とする哺乳類において、うつ病、不安、または心理的障害を改善するための方法であって、効果的な量または用量の生物活性なジェピロン代謝産物、たとえば3−OHジェピロンを哺乳類に投与することを含む方法に関する。本明細書で使用される生物活性なジェピロン代謝産物の投与は、その化合物の活性な塩の形態、水和物の形態、エナンチオマーの形態または混合物、または結晶形態の投与を含む。効果的な経口用量は、一般的に、約0.1〜2 mg/kg体重の範囲にすべきである。あるいは、効果的な用量またはデリバリーシステムは、約1 ng/ml〜約20 ng/ml、好ましくは約1 ng/ml〜約5 ng/mlの範囲の血漿濃度になるようにすべきである。3−OHジェピロンのような化合物は、経口、舌下、頬、経皮、直腸、または鼻ルートを介して投与し、これにより破壊的な初回通過の代謝を最小限にすることができる。3−OHジェピロンの全身投与は、非経口ルート、たとえば筋内、静脈内、皮下などにより為され得る。また、全身投与は、プロドラッグ、3−OHジェピロンまたはジェピロン代謝産物の前駆体または誘導体の形態の経口投与により為されてもよい。この場合、前駆体または誘導体の形態は、3−OHジェピロンの破壊的代謝を最小限にするか、または哺乳類のシステムにそれを放出するように生理学的に機能する。当業者は、これを達成するための方法に精通している。優れた臨床プラクティスによれば、有害または不都合な副作用を引き起こすことなく、効果的な抗うつおよび/または不安緩解の効果を生じる濃度レベルで、3−OHジェピロンまたは前駆体の形態を投与することが好ましい。
【0045】
また、本発明は、3−OHジェピロン、または5−OHジェピロン、または3,5−ジヒドロキシジェピロン、またはこれらの何れかの組み合わせを含む組成物に関する。好ましくは、これらの組み合わせは、哺乳類に投与されるように調製される。哺乳類への投与は、幾つものドラッグデリバールートにより行うことができる(たとえば、ここで使用するための当業者に利用可能な種々のドラッグデリバリー技術の記載に関して、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, Genero et al. eds., Easton: Mack Publishing Co.を参照)。好ましくは、デリバリールートは、経口調合物、非経口調合物、または経皮調合物である。
【0046】
3−OHジェピロン、または5−OHジェピロン、または3,5−ジヒドロキシジェピロン、またはジェピロンの生物活性な代謝産物を含む調合物は、効果的な抗うつおよび/または不安緩解の量の3−OHジェピロン、5−OHジェピロン、または3,5−ジヒドロキシジェピロン、またはその薬学的に許容可能な酸付加塩の一つ、またはその水和物を、薬学的に許容可能なキャリア中に含む経口投薬形態または非経口形態で提供することができる。種々のキャリアが、当該技術分野で公知である。単位投与量あたり約5〜50mgの有効成分を提供する薬学的組成物が好ましく、錠剤、丸剤、カプセル剤、水性液剤、および水性または油性懸濁剤として慣用的に調製される。また、3−OHジェピロン、5−OHジェピロン、および3,5−ジヒドロキシジェピロンは、錠剤、ロゼンジ、カプセル剤、シロップ剤、エリキシル剤、水性液剤、または懸濁剤などの経口投与調合物に、前駆体またはプロドラッグの形態で調合した場合、経口で投与することもできる。
【0047】
米国特許第6,534,507号で議論されるとおり、3−OHジェピロンは、セロトニン作動性レセプターサブタイプのなかで、5-HT1Aレセプターに対して極めて選択的であることが見出されている。3−OHジェピロンは、ドーパミン作動性およびアルファ−アドレナリン作動性レセプターに対して弱い結合親和性しか示さないようである。この点に関して、3−OHジェピロンは、ジェピロンよりも選択的である。更に、ジェピロンおよびブスピロンは、3−OHジェピロンよりも、ずっと特異的に、低濃度で、5-HT7および5-HT2Aレセプターと相互作用し、このことは、3−OHジェピロンが、ジェピロンまたはブスピロンよりも優れた選択性プロファイルを示すことを意味する。その結果、3−OHジェピロンは、5-HT1A以外のレセプターと相互作用する能力が顕著に低いため、ジェピロンおよびブスピロンと比較して、改良された副作用プロファイルをもつ。更に、3−OHジェピロンは、ほんの僅かなドーパミン作動性結合を示す。同様に、3−OHジェピロンおよび他の化合物は、アルファ2Cレセプターにおける弱い結合を除いて、アルファ−アドレナリン作動性レセプターにおいて有意な親和性を示さなかった(アルファ2A、アルファ2B、およびアルファ2Cで試験)。ムスカリン性レセプター結合データに関して、ジェピロン、3−OHジェピロン、および1−ピリミジニルピペラジンは、全ての4つのレセプターサブタイプに対してpKi値が4.34以下で、ムスカリン性レセプター(M1、M2、M3、またはM4)に対して親和性を示さない。3−OHジェピロンによる治療は、おそらく、比較のブスピロンおよびジェピロンよりも優れた副作用プロファイルにつながる。要するに、3−OHジェピロンに例示される生物活性なジェピロン代謝産物は、選択的結合プロファイルを示し、これは、不安、うつ病、および他の心理的障害の治療のために臨床上使用することができる化合物であることを示す。
【0048】
加えて、データは、3−OHジェピロンが、ジェピロンおよびブスピロンと比較して非常に優れた即効作用性治療薬として作用することを示す。図2は、1回用量のジェピロンを投与された多数のヒト被検体における3−OHジェピロンの血漿レベルを示す。明らかに、3−OHジェピロンは、すぐに利用可能であり、長期間にわたって血漿に存続する。対照的に、ジェピロンおよびブスピロンは、非常に短い半減期および低いバイオアベイラビリティープロファイル(ブスピロンは約1%、ジェピロンは14〜18%)を示す。この理論に限定されないが、本発明者らは、ジェピロンおよびブスピロンと比較して改良された水溶性特性を提供するように、3−OHジェピロン化合物および他の生物活性なジェピロン代謝産物に、追加のOH基を考える。この改良された特性は、肝臓において3−OHジェピロンの初回通過の分解を低減する(以下の例2も参照)。
【0049】
よって、3−OHジェピロン化合物および類似の生物活性なジェピロン代謝産物は、薬学的組成物で使用されたり、心理的障害を治療するために使用されたりした場合、ジェピロンおよびブスピロンと比較して優れた特性を有する。
【0050】
また、3−OHジェピロンおよび生物活性なジェピロン代謝産物の薬学的に許容可能な酸付加塩は、抗うつ薬または不安緩解薬として、または心理的障害を治療する際に有用であるとも考えられる。これらは、定義によれば、その陰イオンが、3−OHジェピロンまたは生物活性なジェピロン代謝産物の塩基形態の毒性または薬理的活性にあまり寄与しない塩である。
【0051】
酸付加塩は、当該技術分野で公知の方法により得られ、好ましくは溶液中での接触による3−OHジェピロンまたは生物活性なジェピロン代謝産物と有機酸または無機酸との反応を包含することができる。有用な有機酸の例は、カルボン酸、たとえば、マレイン酸、酢酸、酒石酸、プロピオン酸、フマル酸、イセチオン酸、コハク酸、パモ酸などであり;有用な無機酸は、ハロゲン化水素酸、たとえばHCl、HBr、HI;硫酸;リン酸などである。3−OHジェピロンのHCl酸塩が好ましい。
【0052】
非限定的な例として、生物活性なジェピロン代謝産物の酸塩は、以下のものを含み得る:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチニン酸塩、過硫酸塩、3−フェニル−プロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、およびウンデカン酸塩。また、塩基塩を使用してもよく、塩基塩の非限定的な例は、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、たとえばナトリウムおよびカリウム塩、アルカリ土類金属塩、たとえばカルシウムおよびマグネシウム塩、有機塩基との塩、たとえばジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミン、およびアミノ酸との塩、たとえばアルギニン、リジンなどを含む。また、塩基性窒素含有基を、ハロゲン化低級アルキル、たとえば塩化、臭化およびヨウ化、メチル、エチル、プロピルおよびブチル;硫酸ジアルキル、たとえば硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミル、長鎖ハロゲン化物、たとえば塩化、臭化およびヨウ化、デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル、ハロゲン化アラルキル、たとえば臭化ベンジルおよびフェネチルなどの薬剤を用いて四級化する(quatemize)ことができる。また、水溶性または油溶性または分散性生成物を得ることもできる。
【0053】
好ましい経口組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態であり、3−OHジェピロンまたは3−OHジェピロンの前駆体に加えて、慣用的な賦形剤、たとえば結合剤 (たとえばシロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、またはポリビニルピロリドン)、充填剤 (たとえばラクトース、糖、トウモロコシ-デンプン、リン酸カルシウム、ソルビトールまたはグリシン)、潤滑剤 (たとえばステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコールまたはシリカ)、崩壊剤 (たとえばデンプン)、および湿潤剤 (たとえばラウリル硫酸ナトリウム) を含有していてもよい。慣用的な薬学的ビヒクルを含む3−OHジェピロンの液剤または懸濁剤は、非経口組成物、たとえば静脈内注入のための水性液剤または筋内注入のための油性懸濁剤のために使用される。非経口使用のために望ましい透明性、安定性および適合性を有するかかる組成物は、0.1〜10重量%の有効成分(3−OHジェピロンまたはその薬学的に許容可能な酸付加塩または水和物)を、水または多価脂肪族アルコール、たとえばグリセリン、プロピレングリコール、およびポリエチレングリコールまたはこれらの混合物からなるビヒクルに溶解することにより得られる。ポリエチレングリコールは、不揮発性で通常液体のポリエチレングリコールの混合物からなり、これは、水および有機液体の両方に可溶であり、約200〜1500の分子量を有する。
【0054】
また、3−OHジェピロンおよび生物活性なジェピロン代謝産物は、経皮デリバリー法または他の徐放性デリバリー法で調製されてもよい (米国特許第5,837,280号、第5,633,009号、および第5,817,331号を参照、それぞれは、参照により本明細書に具体的に組み込まれる)。当業者は、調合物をデザインし最適化するための多数の方法、および3−OHジェピロンおよび生物活性なジェピロン代謝産物を有効かつ無毒性の様式でデリバーするデリバリー方法に精通している。Remington's Pharmaceuticals Sciences, 18th Edition (参照により本明細書に具体的に組み込まれる)、とりわけその中のPart 8、“Pharmaceutical Preparations and Their Manufacture”に依存し、これら目的のために使用することができる。
【0055】
3−OHジェピロンは、化学文献で容易に入手可能な、合成有機化学の当業者に公知の方法により合成され得る。調製方法の一つは、出発材料としてジェピロンを利用し、そのプロセスをスキーム2に示す。
【化4】

【0056】
この調製方法は、役に立つ例として提供され、3−OHジェピロンの便利な合成を例証する。van Molke, et al., Psychopharmacology, 140: 293-299 (1998)の方法(参照により本明細書に具体的に組み込まれる)は、インビトロでのジェピロンの酵素的(ヒトまたはラットの肝臓ミクロソーム)変換により、3−OHジェピロンおよび他の生物活性なジェピロン代謝産物をつくるために使用することができる。3−OHジェピロン化合物の単離または精製は、図1に記載の方法または当該技術分野で公知の他の方法により行うことができる(Odontiadis, J. Pharmaceut. Biomedical Analysis 1996 14: 347-351を参照、これは参照により本明細書に具体的に組み込まれる)。
【0057】
全身投与は、3−OHジェピロンの前駆体またはプロドラッグの形態 (たとえばジェピロン) を哺乳類に投与し、その結果、3−OHジェピロンを全身に導入することにより達成することができる。
【化5】

【0058】
本発明の化合物のレセプター(5-HT1Aおよびドーパミン)アゴニスト活性を評価する方法は、当業者に周知である。これら方法は、Iser-Strenegr, et al (Brain Res 1986 Nov;395(t):57-65), Millan, et al (J Pharmacol Exp Ther 1993 Mar;264(3):1364-76)、およびPerrone R, et al (J Med Chem 1995 Mar 17;38(6):942-9) に見出すことができ、これらのすべては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0059】
注意欠陥障害を治療する薬剤は、本発明の薬剤で治療する前および後の子供の行動を測定することにより評価される。子供の行動の測定は、臨床上の尺度および評定尺度を含む。二つの臨床上の尺度は、模擬教室 (Gadow et al, Stony Brook, NY: Checkmate Plus, 1996) および連続的な作業検査 (Roberts et al, J Pediatr Psychol 1984;9:177-191, Halperin et al, J Am Acad Child Adolesc Psychiatry 1992; 31: 190-196, およびHalperin et al, J Am Acad Child Adolesc Psychiatry 1988; 27: 326-329) である。
【0060】
模擬教室は、小さな教室で机に一人で座って、作業を完了させ、隣のテーブル上のおもちゃで遊ばないことを必要とする。診療期間は、スコアリングの容易性を促進するために、一方からしか透視できない窓を通してビデオ記録される。測定される3つのADHD行動は、作業を離れていること(Off Task)、落ち着きのないこと(Fidgeting)、および作業シート(正しく完了させたアイテムの数)である。連続的な作業検査(CPT)は、子供に、コンピュータスクリーンに文字“A”が文字“X”の後に続いたときは必ずスペースバーを押すように要求する。CPTは、3つのスコア(不注意、衝動性、および脱制御)を発生させ、完了させるのに約12分かかる。評定尺度の例は、簡略化された先生の質問票(the Abbreviated Teacher Questionnaire)(ATQ; Conners, Psychopharm Bull 1973;9:24-84およびEpstein et al, J Special Educ 1986;20:219-229)、アイオワ−コーナーの先生の評定尺度(the Iowa-Corners Teachers Rating Scale)(Loney et al, Advances in developmental and behavioral pediatrics 1982; vol.3, Greenwich, CT:JAI Press;113-147)、および主要な第二期症状のチェックリスト(the Primary Secondary Symptom Checklist)(Loney, Poster presented at the annual meeting of the American Psychological Association, Toronto, Ontario, 1984) である。通常、先生および両親の両方の尺度が、評価される。
【0061】
治療前および治療後の評価の結果は、適切な統計手法、たとえば、Mandel, The Statistical Analysis of Experimental Data, Dover Publications; Toronto, Ontario, 1964に含有される統計手法により分析することができる。
【0062】
当業者は、調合物をデザインし最適化するための多数の方法、および5-HT1Aレセプターアゴニスト、とりわけジェピロン、イプサピロン、タンドスピロン、フレシノキサン、およびアダタセリンを有効かつ無毒性の様式でデリバーするデリバリー方法に精通している。Remington's Pharmaceuticals Sciences, 18th Edition (参照により本明細書に具体的に組み込まれる)、とりわけその中のPart 8、“Pharmaceutical Preparations and Their Manufacture”に依存し、これら目的のために使用することができる。以下の化合物、組成物、デリバリー方法、デリバリー投薬量、および調合物は、本発明に適切なものであるが本発明を限定することを意図しないものとして具体的に描かれる。
【0063】
本発明において投与に適した薬学的化合物は、塩酸塩であり得るが、遊離の塩基および他の薬学的に許容可能な塩も適している。「薬学的に許容可能な塩」の用語は、S. M. Berge, et al. (J Pharmaceutical Sciences, 66: 1-19, 1977) に記載されるとおり、当該技術分野で周知である。本発明において投与に適した薬学的に許容可能な塩は、酸付加塩を含む。酸付加塩は、化合物の溶液を、薬学的に許容可能な無毒性の酸、たとえば塩酸、臭化水素酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、リン酸、過塩素酸、硫酸、シュウ酸、またはマロン酸などの溶液と混合することにより形成され得る。化合物が、酸性基、たとえばカルボン酸基を有する場合、本発明は、その塩、好ましくは無毒性の薬学的に許容可能なその塩、たとえばそのナトリウム、カリウムおよびカルシウム塩も想定する。
【0064】
他の薬学的に許容可能な塩は、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フルナル酸塩(furnarate)、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチニン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩(pictate)、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などを含む。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属の塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどを含む。更に薬学的に許容可能な塩は、適切な場合、アミン基の塩を含む。アミン基の塩は、アミノ窒素原子が、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアラルキル基を有する第四級アンモニウム塩、無毒性アンモニウム、第四級アンモニウム、並びに、対イオン、たとえばハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩およびアリールスルホン酸塩などを用いて形成されたアミン陽イオンを含み得る。
【0065】
本発明において投与に適した治療的に有効な量の薬学的化合物は、単独で、あるいは一または複数の薬学的に許容可能なキャリアと組み合わせて投与され得る。本明細書で使用される「薬学的に許容可能なキャリア」の用語は、無毒性、不活性の、固体、半固体または液体の充填剤、希釈剤、カプセル化材料、または任意のタイプの調合補助剤を意味する。薬学的に許容可能なキャリアとして機能することができる材料の幾つかの例は、糖、たとえばラクトース、グルコースおよびスクロース;デンプン、たとえばコーンスターチおよびポテトスターチ;セルロースおよびその誘導体、たとえばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;粉状トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、たとえばカカオバターおよび坐剤ワックス;油、たとえば落花生油、綿実油;サフラワー油;ゴマ油;オリーブ油;トウモロコシ油および大豆油;グリコール、たとえばプロピレングリコール;エステル、たとえばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;寒天;緩衝化剤、たとえば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;アルギン酸;発熱物質フリーの水;等張食塩水;リンガー溶液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝液であり、他の無毒性の相溶性潤滑剤、たとえばラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム、並びに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤および香料剤、保存剤および抗酸化剤を、調合者の判断により、組成物に存在させることもできる。
【0066】
本発明において投与に適した薬学的組成物は、それを必要とする患者に、経口、直腸、鼻、非経口(たとえば、筋内、腹腔内、静脈内または皮下注入、またはインプラント)、槽内、膣内、腹腔内、舌下、局所的(たとえば、パウダー、軟膏、またはドロップとして)、頬、経口スプレー、または鼻スプレーとして投与することができる。薬学的組成物は、それぞれの投与ルートに適した投薬形態で調合することができる。
【0067】
経口投与のための液体の投薬形態は、薬学的に許容可能なエマルジョン、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を含む。液体の投薬形態は、活性な化合物に加えて、当該技術分野で一般に使用される不活性な希釈剤を含有し得る。不活性な希釈剤は、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、たとえばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(とりわけ、綿実、落花生、トウモロコシ、胚、オリーブ、ヒマシ、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、およびこれらの混合物を含み得る。経口投与のための液体の投薬形態は、アジュバントを含有してもよく、これは、湿潤剤、乳化および懸濁化剤、甘味剤、香味剤、および香料剤を含む。経口投与のための他の投薬形態は、たとえば、無毒性の懸濁化剤、たとえばカルボキシメチルセルロースナトリウムの存在下で水性媒体中に活性な化合物を含有する水性懸濁剤、および適切な植物油、たとえば落花生油中に本発明の化合物を含有する油性懸濁剤を含む。
【0068】
注射可能な製剤、たとえば無菌の注射可能な水性または油性の懸濁剤は、適切な分散または湿潤剤および懸濁化剤を用いて、公知の技術に従って調合され得る。無菌の注射可能な製剤は、無毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な液剤、懸濁剤またはエマルジョン、たとえば1,3−ブタンジオール中の液剤であり得る。使用され得る許容可能なビヒクルおよび溶媒は、水、リンガー溶液、U.S.P.および等張塩化ナトリウム溶液である。加えて、無菌の固定油は、溶媒または懸濁媒体として慣用的に使用される。この目的のために、合成モノ−またはジグリセリドを含む任意の無菌の固定油を使用することができる。加えて、オレイン酸などの脂肪酸は、注射可能物質の製剤で使用される。
【0069】
注射可能な調合物は、たとえば、細菌保持フィルターを通した濾過により、あるいは使用前に無菌水または他の無菌の注射可能な媒体に溶解するかまたは分散させることができる無菌の固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことにより、滅菌することができる。
【0070】
薬の効果を延長するために、皮下または筋内注射からの薬の吸収を遅延させることがしばしば望ましい。これは、低い水溶解度を有する結晶または非晶質材料の液体懸濁剤の使用により達成され得る。このとき薬の吸収速度は、薬の溶解速度に依存し、次にこれは、結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、油のビヒクル中に薬を溶解または懸濁させることにより、非経口投与される薬の形態の遅延吸収が達成される。注射可能なデポ形態は、生分解性ポリマー、たとえばポリラクチド−ポリグリコリド中に薬のマイクロカプセル化されたマトリクスを形成することにより作成される。薬のポリマーに対する比率および使用される特定ポリマーの性質に依存して、薬の放出速度は制御することができる。他の生分解性ポリマーの例は、ポリ(オルトエステル) およびポリ(無水物) を含む。また、デポ注射可能な調合物は、体組織と適合するリポソームまたはマイクロエマルジョン中に薬を捕捉することにより調製される。
【0071】
直腸または膣投与のための組成物は、好ましくは坐剤であり、これは、周囲温度で固体であるが体温で液体であるために直腸または膣腔で溶融し、活性な化合物を放出する適切な非刺激性の賦形剤またはキャリア、たとえばカカオバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックスと、本発明の化合物を混合することにより調製することができる。
【0072】
経口投与のための固体の投薬形態は、カプセル剤、錠剤、丸剤、プリル(prill)、散剤、および顆粒剤を含む。かかる固体の投薬形態において、活性な化合物は、少なくとも一つの不活性な薬学的に許容可能な賦形剤またはキャリアと混合される。加えて、固体の投薬形態は、一または複数の充填剤、増量剤、結合剤、保湿剤、崩壊剤、遅延剤、吸収促進剤、湿潤剤、吸収剤、または潤滑剤を含み得る。適切な充填剤または増量剤の例は、デンプン、ラクトール、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸、クエン酸ナトリウムおよびリン酸二カルシウムを含む。適切な結合剤の例は、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアカシアを含む。グリセロールは、適切な保湿剤の一例である。適切な崩壊剤の例は、寒天、炭酸カルシウム、ポテトまたはタピオカデンプン、トウモロコシデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムを含む。パラフィンは、適切な液剤−遅延剤の一例である。吸収促進剤として、任意の第四級アンモニウム化合物が使用され得る。適切な湿潤剤の例は、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールを含む。適切な吸収剤の例は、カオリンおよびベントナイトクレーを含む。適切な潤滑剤の例は、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムを含む。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、投薬形態は、緩衝化剤を含んでいてもよい。
【0073】
錠剤は、所望の場合、公知の方法および賦形剤を用いてコーティングされてもよく、これは、たとえばフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いた腸溶性コーティングを含み得る。錠剤は、本発明の化合物の持続性放出を与えるように当業者に公知の方法で調合され得る。かかる錠剤は、所望の場合、公知の方法により、たとえばフタル酸セルロースの使用により、腸溶性コーティングを付与され得る。これらは、任意に、不透明剤を含有してもよく、有効成分のみを、優先的に、腸管のある部分で、任意に、遅延方法で、放出する組成物とすることもできる。使用することができる包埋組成物の例は、ポリマー物質およびワックスを含む。
【0074】
同様に、活性な化合物を、賦形剤を添加するかまたは添加しないで含有するカプセル剤、たとえば硬質または軟質ゼラチンカプセルは、公知の方法により調製され、所望の場合、公知の方法で腸溶性コーティングを付与され得る。カプセル剤の中味は、活性な化合物の持続性放出を与えるように、公知の方法を用いて調合され得る。かかる固体の投薬形態において、活性な化合物は、少なくとも一つの不活性な希釈剤、たとえばスクロース、ラクトースまたはデンプンと混合され得る。また、かかる投薬形態は、通常のプラクティスのとおり、不活性な希釈剤以外の追加の物質、たとえば錠剤化潤滑剤および他の錠剤化助剤、たとえばステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースを含んでいてもよい。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、投薬形態は、緩衝化剤を含んでいてもよい。これらは、任意に、不透明剤を含有してもよく、有効成分のみを、優先的に、腸管のある部分で、任意に、遅延方法で、放出する組成物とすることもできる。使用することができる包埋組成物の例は、ポリマー物質およびワックスを含む。
【0075】
また、同様のタイプの固体組成物は、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤、および高分子量ポリエチレングリコールを用いて、軟質および硬質ゼラチンカプセル中の充填剤として使用され得る。
【0076】
所望の場合、本発明の化合物は、遅延放出または標的デリバリーシステム、たとえばポリマーマトリクス、リポソームおよびミクロスフェアに組み込むことができる。これらは、
たとえば、細菌保持フィルターを通した濾過により、あるいは使用直前に無菌水または他の無菌の注射可能な媒体に溶解することができる無菌の固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことにより、滅菌され得る。
【0077】
活性な化合物は、追加の賦形剤を添加するかまたは添加しないで顆粒剤に調合され得る。顆粒剤は、患者により直接摂取されてもよいし、摂取前に適切な液体キャリア(たとえば水)に添加されてもよい。顆粒剤は、液体媒体中での分散を促進するために、崩壊剤、たとえば酸と炭酸または重炭酸塩から形成される発泡性カップルを含有し得る。
【0078】
本発明の化合物の局所または経皮投与のための投薬形態は、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、液剤、スプレー剤、吸入剤またはパッチを含む。経皮パッチ剤は、体への化合物の制御されたデリバリーを提供するという追加の利点を有する。速度は、速度制御メンブレンを提供することにより、あるいはポリマーマトリクスまたはゲルに化合物を分散させることにより、制御することができる。有効成分は、薬学的に許容可能なキャリアおよび必要に応じて必要な保存剤または緩衝化剤と、無菌条件下で混合される。適切な媒体中に化合物を溶解または分散させると、かかる投薬形態をつくることができる。また、吸収促進剤は、皮膚を通った化合物の流れを増大させるために使用することができる。眼科用調合物、点耳剤、眼軟膏剤、散剤および液剤も、本発明の範囲内であると想定される。
【0079】
局所投与のための投薬形態は、化合物を経皮的に投与するために、本発明の薬理学的に活性な化合物が、皮膚と接触するように分散されたマトリクスを含み得る。適切な経皮組成物は、薬学的に活性な化合物を、局所ビヒクル、たとえば動物性および植物性脂肪、油、ワセリン、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはこれらの混合物と、潜在的な経皮促進剤、たとえばジメチルスルホキシドまたはプロピレングリコールと一緒に、混合することにより調製され得る。あるいは、活性な化合物は、薬学的に許容可能なペースト、クリーム、ゲルまたは軟膏基剤に分散され得る。局所調合物に含有される活性な化合物の量は、局所調合物が皮膚上に存在することが意図される期間にわたって、治療的に有効な量の化合物がデリバーされるようにすべきである。
【0080】
散剤およびスプレー剤は、本発明の化合物に加えて、賦形剤、たとえばラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミドパウダー、またはこられ物質の混合物を含有することができる。スプレー剤は、更に、通例のプロペラント、たとえばクロロフルオロ炭化水素を含有することができる。治療的に活性な化合物は、患者の口腔または鼻腔にエアロゾルとして分散される組成物に調合され得る。かかるエアロゾルは、ポンプパックから、または揮発性プロペラントを含有する加圧パックから投与され得る。
【0081】
また、本発明の方法で使用される治療的に活性な化合物は、たとえば静脈内注入による外部の供給源から、または体内に置かれた化合物の供給源から、連続注入により投与され得る。内部の供給源は、たとえば浸透により連続的に放出される注入化合物を含有する埋め込まれたリザーバおよびインプラントを含み、これは、(a)たとえばドデカン酸塩または親油性エステルなどの非常に難溶性の誘導体の形態の、注入化合物の油状懸濁液などの液体、または(b)注入化合物のための埋め込まれた支持体、たとえば合成樹脂またはワックス状材料の形態の固体であり得る。支持体は、全化合物を含有する単一の物体、またはデリバーされる化合物の一部を各々が含有する幾つかの物体であり得る。内部の供給源に存在する活性な化合物の量は、治療的に有効な量の化合物が、長期間にわたってデリバーされるようにすべきである。
【0082】
注意欠陥障害、不安、うつ病、または性機能不全を治療するために使用され得る多くの化合物が存在することが当業者に公知である。これら治療剤の併用は、幾つかは本明細書にも記載され、追加の補完的な、しばしば相乗作用的な特性をもたらし、これら種々の治療剤の所望の特性を向上させる。これらの併用において、5-HT1Aアゴニストおよび治療剤は、これら化合物が単独で使用されたときに効果的である用量レベルの100分の1から1倍までの用量範囲で、独立に存在し得る。かかる併用療法において、5-HT1Aアゴニストは、他の治療剤と(たとえば同時に、付随して、連続的に、または単一の調合物で)、治療効果が重複するように投与され得る。
【0083】
5-HT1Aアゴニストは、興奮薬、催眠薬、不安緩解薬、抗精神病薬、抗不安薬、マイナー・トランキライザー、ベンゾジアゼピン、バルビツエート(barbituate)、セロトニンアゴニスト、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、ドーパミンアンタゴニスト、5-HT1Aアゴニスト、5-HT2アンタゴニスト、非ステロイド系抗炎症薬、モノアミンオキシダーゼ阻害薬、ムスカリン性アゴニスト、ノルエピネフリン取り込み阻害薬、必須脂肪酸、およびニューロキニン−1レセプターアンタゴニストからなる群より選択される薬剤とともに使用され得る。
【0084】
たとえば、患者の注意欠陥障害を治療するために、5-HT1Aアゴニストは、以下の化合物と併用して投与され得る:アジナゾラム、アロバルビタール、アロニミド、アルプラゾラム、アミトリプチリン、アモバルビタール、アモキサピン、ベンタゼパム、ベンゾクタミン、ブロチゾラム、ビュープロピオン、ブスプリオン(busprione)、ブタバルビタール、ブタルビタール、カフェイン、カプリド、カルボクロラール、クロラールベタイン、抱水クロラール、クロルジアゼポキシド、クロミプラミン、クロペリドン、クロラゼペート、クロレタート、クロザピン、シプラゼパム、デアノール、デシプラヌン(desipranune)、デクスクラモール、デキストロアンフェタミン、ジアゼパム、ジクロラールフェナゾン、ジバルプロックス、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、デュロキセチン、エスタゾラム、エトクロルビノール、エトミデート、フェノバム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、フルボキサミン、フルオキセチン、フォサゼパム、グルテチミド、ハラゼパム、ヒドロキシジン、イミプラミン、リチウム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、マプロチリン、メクロクアロン、メラトニン、メフォバルビタール、メプロバメート、メタクアロン、メチルフェニデート(d−メチルフェニデート、とりわけd−塩酸メチルフェニデートを含む)、ミダフルル、ミダゾラム、ネファゾドン、ニソバマート、ニトラゼパム、ノルトリプチリン、オメガ−3脂肪酸、オキサゼパム、パラアルデヒド、パロキセチン、ペモリン、ペントバルビタール、ペルラビン、パーフェナジン、フェネルジン、フェノバルビタール、プラゼパム、プロメタジン、プロポフォール、プロトリプチリン、クアゼパム、レクラゼパム、ロレタミド、セコバルビタール、セルトラリン、スプロクロン、テマゼパム、チオリダジン、トラカゾラート、トラニルシプロマイン(tranylcypromaine)、トラゾドン、トリアゾラム、トレピパム、トリセタミド、トリクロフォス、トリフルオペラジン、トリメトジン、トリミプラミン、ウルダゼパム、バルプロエート、ベンラファキシン、キサノメリン、ザレプロン、ゾラゼパム、ゾルピデム、およびこれらの塩、およびこれらの組み合わせなど、並びにこれらの混合物およびこれらの組み合わせ。
【0085】
本明細書で使用されるとおり、「治療的に有効な量」の用語は、多動性を伴うかまたは伴わない注意欠陥障害と関連した症状の重症度をうまく抑制または低減する本発明の化合物または製剤の量をいう。また、この用語は、患者が、不安、うつ病、肥満、薬物乱用/常用、アルコール中毒、睡眠障害、TIC障害、またはアルツハイマー病の行動/認知症状にも罹患している場合、多動性、不安、うつ病、および/または性機能不全を伴うかまたは伴わない注意欠陥障害と関連した症状の重症度をうまく抑制または低減する本発明の化合物または製剤の量も包含する。
【0086】
本明細書で使用されるとおり、「TIC障害」の用語は、トゥーレット障害、慢性運動または発声Tic障害、一過性Tic障害、および他に規定のないTic障害を含む一または複数の障害をいう。TIC障害の症状および診断基準の更に完全な説明は、DSM-IV (Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 1994; 100-105) により提供され、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0087】
治療的に有効な量の組成物は、たとえば患者の年齢、免疫状態、人種、および患者の性別、およびコンディション/疾患の重症度、および患者の過去の病歴を含むが、これらに限定されない多くのファクターに依存し、投与する医者の確かな裁量の範囲内に常にあることが想定される。一般に、単回用量または分割用量で患者に投与される本発明の化合物のトータルの1日量は、たとえば、0.25 - 0.75 mg/ kg体重 /日のジェピロン (約15 mg/日)、0.003 - 0.06 mg/ kg体重 /日のフレシノキサン (約0.4 mg/日)、および0.5 - 3.0 mg/ kg体重 /日のアダタンセリン (約120 mg/日) の量とすることができる。単回用量の組成物は、1日量を調合するために、かかる量またはその約量(submultiple)を含有し得る。一般に、本発明の治療養生法(regimen)は、かかる治療を必要とする患者に、0.25 - 0.75 mg/ kg体重 /日のジェピロン (約15 mg/日)、0.003 - 0.06 mg/ kg体重 /日のフレシノキサン (約0.4 mg/日)、および0.5 - 3.0 mg/ kg体重 /日のアダタンセリン (約120 mg/日) を単回用量または複数回用量で投与することを含む。加えて、単回用量または分割用量でそれを必要とする患者に投与される、ドーパミンレセプター活性をもたない本発明のアザピロン化合物(イプサピロンおよびタンドスピロンを含む)のトータルの1日量は、0.25 - 3.0 mg/kg体重 /日の量とすることができる。
【0088】
また、本発明の治療養生法は、それを必要とする患者に、本発明の化合物の二つ以上の単回用量または分割用量の混合物を、同時に投与することも含む。本発明の化合物が、混合物として同時に投与される場合、投与される治療的に有効な量は、投与する医者の確かな裁量の範囲内にあり;好ましくは、本発明の化合物は、たとえば、0.25 - 0.75 mg/ kg体重 /日のジェピロン (約15 mg/日);0.003 - 0.06 mg/ kg体重 /日のフレシノキサン (約0.4 mg/日)、0.5 - 3.0 mg/ kg体重 /日のアダタンセリン (約120 mg/日)、および0.25 - 3.0 mg/kg体重 /日のイプサピロンおよびタンドスピロンの量で、単回用量または分割用量で患者に投与され得る。
【0089】
あるいは、本発明の治療養生法は、それを必要とする患者に、本発明の化合物の二つ以上を、単回用量または分割用量で、連続的に投与することを含む。連続的な投与ストラテジーの例は、治療的に有効な量の最初の化合物を投与し、その後、同日または後日に、治療的に有効な量の一または複数の追加の化合物の単回用量または分割用量を投与することを含む。本明細書で使用されるとおり、「後日」の用語は、前の化合物の投与後の翌日(>24時間)から1週間(<168時間)までの間の何れかの日をいう。「同日」の用語は、前の化合物の投与直後から前の化合物の投与後<24時間までの間の何れかの時間枠をいう。
【0090】
本発明の化合物が、併用療法の一部として連続的に投与される場合、投与される治療的に有効な量は、投与する医者の確かな裁量の範囲内にあり;好ましくは、本発明の化合物は、たとえば、0.25 - 0.75 mg/ kg体重 /日のジェピロン (約15 mg/日); 0.003 - 0.06 mg/ kg体重 /日のフレシノキサン (約0.4 mg/日)、0.5 - 3.0 mg/ kg体重 /日のアダタンセリン (約120 mg/日)、および0.25 - 3.0 mg/kgの体重/日のイプサピロンおよびタンドスピロンの量で、単回用量または分割用量で患者に投与され得る。
【0091】
本明細書で使用されるとおり、「治療する(treat)」、「治療する(treating)」および「治療(treatment)」の用語は、緩和および回復の用語も包含する。加えて、多動性を伴うかまたは伴わない注意欠陥障害、およびこれと関連した症状の予防のために、本明細書に記載され、および/またはクレームされる方法を使用することも本発明の範囲内である。更に、「治療する(treat)」、「治療する(treating)」および「治療(treatment)」の用語は、注意欠陥障害の予防も包含し得る。
【0092】
本発明を一般的に説明したが、更なる理解は、いくつかの具体例を参照することにより得ることができ、これは、他に規定しない限り、例証のみを目的として提供され、限定することを意図しない。
【0093】
模範的および具体的態様の説明
本発明を構成する化合物の使用および調製方法は、以下の例を考慮すれば、より完全に明らかになり、これは、例証のみを目的として提供され、本発明を範囲に限定するものと解釈すべきでない。本明細書で参照される参考文献はすべて、本発明の具体的態様をつくり、使用するために使用し、依存することができる。よって、参考文献のすべては、参照により本開示に具体的に組み込まれる。
【0094】
例1
3−OHジェピロン(I)の調製
A.ジ-4-ニトロベンジルペルオキシジカーボネート(III)
ジ-4-ニトロベンジルペルオキシジカーボネートは、文献の手順の改変を使用して調製した (Strain, et al., J Am. Chem. Soc., 1950, 72:1254; specifically incorporated herein by reference)。よって、アセトン (20 mL) 中の4-ニトロベンジルクロロホルメートの氷冷溶液 (10.11 g, 4.7 mmol) に、30% H2O2 (2.7 mL, 24 mmol) および2.35 N NaOH (20 mL, 47 mmol) の氷冷混合液を30分にわたって滴下した。混合液を、激しく15分間攪拌し、その後、ろ過し、フィルターケーキを水で洗浄し、その後ヘキサンで洗浄した。得られた湿った固体を、ジクロロメタンに溶かし、その溶液を乾燥させ (Na2SO4)、その後、同体積のヘキサンで希釈した。この溶液を20℃においてロータリー・エバポレータで濃縮して、結晶性沈殿物を得て、これを濾過し、ヘキサンで洗浄し、真空中で乾燥させて、化合物III (6.82 g, 74%) を、薄黄色の微結晶、mp 104℃ (dec)として得た。
【0095】
ジ-4-ニトロベンジルペルオキシジカーボネートは、比較的安定な材料であることが分かり、これは、融点で、遅いガス放出を伴って分解した。対照的に、ジベンジルペルオキシジカーボネート (Gore and Vederas, J. Org. Chem., 1986, 51:3700を参照; これは参照により本明細書に具体的に組み込まれる) は、融点キャピラリーから材料の突然の激しい排除を伴って分解した。
【0096】
B.4,4-ジメチル-3-(4-ニトロベンジルオキシカルボニルオキシ)-1-[4-[4-(2-ピリミジニル)-1-ピペラジニル]ブチル]-2.6-ピペリジンジオン(II)
ドライTHF (200 mL) 中の4-ジメチル-1-[4-[4-(2-ピリミジニル)-1-ピペラジニル]ブチル]-2,6-ピペリジンジオン (ジェピロン: 12.7 g, 356 mmole) の溶液に、−78℃においてLiN (Me3Si)2 (37.3 mLの1 M THF溶液) を添加し、その混合液を2.5h攪拌した。その後、ドライTHF (100 mL) 中のジ-4-ニトロベンジルペルオキシジカーボネート (15 g) の溶液を、1hにわたって滴下した。攪拌を、−78℃で更に2h継続した。
【0097】
その後、冷却槽を除去し、反応溶液を、H2OおよびEtOAcの混合液に注いだ。有機相を分離し、H2Oで洗浄し、その後、食塩水で洗浄した。有機相を乾燥させ、その後、茶色のゴムまで蒸発させた。そのゴムを、シリカゲルカラムをEtOAcで溶出するフラッシュクロマトグラフィーにかけて、粗生成物を得て、これをヘキサンで滴定して、アセトンでのカラム溶出後、2.5 gのジェピロンの回収率で7.5 g (58%) 生成物 (II) を得た。
【0098】
C.4,4-ジメチル-3-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ピリミジニル)-1-ピペラジニル]ブチル]-2.6-ピペリジンジオン (I: 3-OHジェピロン)
MeOH (70 mL) 中のII (7.0 g; 12.6 mmole) および10% Pd/C (3.5 g) の混合物を、Parrシェーカーにおいて、30 psiで0.5hかけて水素添加した。水素添加混合物を、セライト(Celite)パッドを通してろ過し、その後、これをTHFで洗浄した。濾液をゴムまで蒸発させ、これを、エーテルでの滴定により固化した。濾過して、2 gの粗生成物をベージュ色の固体として得た。濾液を蒸発させ、残渣を、EtOAcで溶出するシリカカラムを通してフラッシュクロマトグラフィーにかけて、更に1 gの粗生成物を得た。粗生成物を合体し、MeOH中に懸濁した。少量のエーテルを添加し、その混合液を濾過して、2.5 gのI (3-OHジェピロン) を白色の固体として得た。この物質を再結晶化 (アセトン-ヘキサン) させて、固体、mp 122-124℃ (ガス放出) を得た。
【0099】
例2
3−OHジェピロンおよびジェピロン代謝産物とジェプリロン(Ggeplirone)との比較
可能性のある治療化合物のバイオアベイラビリティを評価するための基準として、幾つかのオクタノール−水分配係数の計算法を使用した (Poole, J. of Chromatography B, 745:117-126 (2000); Ishizaki, J. Pharm. Pharmacol., 49:762-767 (1997) を参照、(それぞれが、参照により本明細書に具体的に組み込まれる))。これら分配係数を用いて、ジェピロン代謝産物のバイオアベイラビリティを計算することができる。
【表1】

【0100】
すべての方法において、3−OHジェピロンは、ジェピロンと比較して、高い水溶解性(低いlog Pow)および低い脂質−溶解性を有する。
【0101】
ジェピロンの短い半減期特性は、高い脂質溶解性に起因することができ、これにより、ジェピロンは、肝臓による初回通過の分解をずっと受けやすくなる。3−OHジェピロンは、脂質にあまり溶解しないため、その初回通過の分解特性は、血漿中のずっと長い半減期につながる。更に、3−OHジェピロンの脂質溶解性の範囲(約5:1〜8:1)は、高い標準偏差のためブロト(Broto)計算を切り捨てた場合、脳のレセプター内で相互作用し得る精神活性化合物にふさわしいものとして一般に受け入れられる範囲内である。よって、3−OHジェピロンは、肝臓による初回通過の分解を回避する即効性の薬学的化合物の観点から優れた特性を有する。
【0102】
例3
本発明の3−OHジェピロン組成物および投薬形態は、効果的な不安緩解、抗うつ、または精神活性の量の3−OHジェピロンまたはその薬学的に許容可能な塩を、哺乳類、好ましくはヒトにデリバーするようにデザインされる。約0.01〜40 mg/kg体重の効果的な用量が想定され、好ましい範囲は、約0.1〜約2 mg/kg体重である。ある種の中枢神経系障害に対しては、15〜90 mg/日、好ましくは30〜60 mg/日が推奨される。Cott et al.の米国特許第4,771,053号を参照 (参照により本明細書に具体的に組み込まれる)。本発明の生物活性なジェピロン代謝産物の投与は、非経口、経口、頬、直腸、または経皮ルートにより行われ得る。しかし経口ルートが好ましい。主な抑うつ性障害の緩和のための臨床上の投薬範囲は、1日あたり約100 mg未満、一般に15〜90 mgの範囲、好ましくは1日あたり30-60 mgの範囲であることが予測される。投薬量は、個々の患者に適合させるべきであるため、通常のプラクティスは、1日あたり1回、2回または3回投与される約5 mgの用量で開始し、その後、所望の応答が観察されるまで、または患者が副作用を示すまで、用量を各投薬時に5 mgずつ2日または3日毎に増やす。単回の1日投与量が適用され得るが、1日量を2つまたは3つの部分へ分割することも可能である。当業者は、有効量を最適化し、用量の毒性および副作用を最小限にするための方法および技術に精通している。当業者は、当該技術分野で公知の方法および技術に依存することができる (Remington 's Pharmaceutical Sciences, Genero, et al. eds., 18th Edition, Easton: Mack Publishing Co.; 米国特許第4,782,060号、第4,771,053号、第5,478,572号、および第5,468,749号を参照、それぞれが、参照により本明細書に具体的に組み込まれる)。
【0103】
例4
生物活性なジェピロン代謝産物の精製
上記のとおり、3−OHジェピロンは、化学的合成または酵素的方法により調製することができる。各方法からの3−OHジェピロンの精製は、当該技術分野で公知の慣用的な技術を用いてHPLC法で達成することができる。他の生物活性なジェピロン代謝産物は、同様の方法で調製することができる。
【0104】
図1において、精製されたジェピロン代謝産物は、後述の条件を使用してHPLCにより分離される。3−OHジェピロンおよび5−OHジェピロンを示すピークは、図で同定され、これは、C18カラムを用いたHPLC分離の有効性を実証する。図1のデータは、血漿由来の10μlサンプルのエレクトロスプレー−HPLC/MS分析を使用して調製した。8.0分での95%緩衝液Aの50%緩衝液Aへの直線勾配を使用した (緩衝液Aは、750μM ギ酸アンモニウム水溶液、移動相Bは、80:20 アセトニトリル:水 (0.15% ギ酸で酸性化)である)。Luna 5μ C18 (2) 150.times.1.0 mm HPLCカラムを使用した (Phenomenex)。
【0105】
例5
血漿中の3−OHジェピロン濃度の決定
図2は、ヒト被検体の血漿中の3−OHジェピロンの濃度を示す。各サンプルは、6 mlの(2:1)(v/v) ヘキサン:クロロホルムで1時間抽出した、0.5 ml血漿サンプルに相当する。遠心分離による分離後、有機相を10 mlコニカルチューブに移し、90μlの1%ギ酸を添加する。チューブを10分間ボルテクスにかけ、5分間遠心分離する。約80μlのギ酸層を、HPLC/MS分析のためのインジェクションバイアルに移す。図1について記載したとおり、例4に記載のエレクトロスプレー−HPLC/MSシステムを、3−OHジェピロンのレベルを決定するために使用することができる。
【0106】
例6
ADHD単独における5-HT1A 部分アゴニストの利点
この適応に対するFDA承認を得るための実験は、ADHDに罹患している患者における、試験薬の綿密に調整され、計画された二つの試験を伴う。典型的な研究は、50〜100人の子供を、50%を試験薬に割り当て、50%をプラセボに割り当てることを伴う。投薬は、約8週間にわたって毎日行われる。ADHD症状の重症度の評価は、薬物治療の前および8週間にわたって一定の間隔で行われる。測定および評定は、上述のものと同様である。適切な統計的処理が、結果に適用される。研究は、Greenhill et al (Pediatrics 2002;109:E39-52) により行われたものと同様である。
【0107】
例7
ADHDおよびTIC障害の子供における5-HT1A 部分アゴニストの利点
ここでの手順は、例6と同様である。Gadow et al (J Clin Psychopharm 2002;22:267-274) によりメチルフェニデート (RITALINTM)に対して提供されたものと同様の実験も利用することができる。
【0108】
例8
ADHDおよび不安の症状を伴う子供における5-HT1A 部分アゴニストの利点
ここでの手順は、例6と同様である。Taylor et al (Psychol Med 1987;17:121-143) および/または Pliszka (J Am Acad Child Adolesc Psychiatry 1989;28:882-7) により提供されたものと同様の実験も利用することができる。
【0109】
例9
ADHDおよびうつ病の症状を伴う子供における5-HT1A 部分アゴニストの利点
ここでの手順は、例6と同様である。うつ病の追加の診断は、DSM-IV基準により行われ、評定尺度は、ハミルトンうつ病評定尺度(Hamilton Depression Rating Scale)(M. Hamilton, J Neurol Neurosurg Psychiatry 1960;23:56-62) を含む。
【0110】
式(I)により例示される生物活性なジェピロン代謝産物、3−OHジェピロンは、有効な向精神薬であり、これは、選択的な不安緩解および抗うつ作用を示す。とりわけ、これら改良化合物は、潜在的に有害な副作用を伴う抗精神病作用または神経弛緩作用が著しく低減しているかまたは存在しないという点で、ブスピロンおよびそれに近い類縁体と比べて利点を提供する。これは、本発明の目的、すなわちこのクラスの抗うつ剤および不安緩解剤に対して選択的に増大させることを実現する。種々のインビボおよびインビトロでの動物試験は、式(I)の化合物が、抗精神病活性をほとんど示さないが、ブスピロンおよびそれに近い類縁体により示される新規な不安選択性(anxioselective)および抗うつプロファイルを別の方法で保持するかまたは改良することを確認する。
【0111】
上述の例および説明は、模範的であり、本発明または後述のクレームの範囲を限定するものと解釈すべきでない。当業者は、本発明の範囲内に含まれる、記載された方法、組成物、および調合物の変形物または派生物を推論、試験するために、種々の技術に精通している。これら変形物または派生物を調製、使用することは、当業者の手で本明細書により実施可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を必要とする患者において、注意欠陥障害またはその症状を治療する方法であって、治療的に有効な量の3−OHジェピロン、またはその薬学的に許容可能な塩または水和物を患者に投与することを含む方法。
【請求項2】
前記患者における注意欠陥障害が、更に多動性と関連している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記3−OHジェピロンが、刺激薬、催眠薬、不安緩解薬、抗精神病薬、抗不安薬、マイナー・トランキライザー、ベンゾジアゼピン、バルビツエート(barbituate)、セロトニンアゴニスト、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、ドーパミンアンタゴニスト、5-HT1Aアゴニスト、5-HT2アンタゴニスト、非ステロイド系抗炎症薬、モノアミンオキシダーゼ阻害薬、ムスカリン性アゴニスト、ノルエピネフリン取り込み阻害薬、必須脂肪酸、およびニューロキニン−1レセプターアンタゴニストからなる群より選択される少なくとも一つの薬剤と併用して投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記3−OHジェピロンが、メチルフェニデートとともに投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記3−OHジェピロンが、薬学的に許容可能なキャリアとともに投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記投与が、経口、直腸、鼻、非経口、槽内、膣内、腹腔内、舌下、局所、および頬からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記投与が、経口または非経口である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記3−OHジェピロンの治療的に有効な量が、約0.1〜約2 mg/kg体重/日である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記生物活性なジェピロン代謝産物が、投与の2時間以内に、約1〜約5 ng/mlで、哺乳類の血漿に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記治療を必要とする患者が、不安、うつ病、肥満、薬物乱用/常用、アルコール中毒、睡眠障害、TIC障害、およびアルツハイマー病の行動/認知症状からなる群より選択される一以上の障害にも罹患している、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記治療を必要とする患者が、不安、うつ病、およびTIC障害からなる群より選択される一以上の障害にも罹患している、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
治療を必要とする患者において、注意欠陥障害またはその症状を治療する方法であって、3−OHジェピロン、イプサピロン(ipsapirone)、タンドスピロン(tandospirone)、フレシノキサン(flesinoxan)、およびアダタンセリン(adatanserin)からなる群より選択される、治療的に有効な量の二以上の化合物を投与することを含む方法。
【請求項13】
前記患者における注意欠陥障害が、更に多動性と関連している、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記化合物が、刺激薬、催眠薬、不安緩解薬、抗精神病薬、抗不安薬、マイナー・トランキライザー、ベンゾジアゼピン、バルビツエート(barbituate)、セロトニンアゴニスト、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、ドーパミンアンタゴニスト、5-HT1Aアゴニスト、5-HT2アンタゴニスト、非ステロイド系抗炎症薬、モノアミンオキシダーゼ阻害薬、ムスカリン性アゴニスト、ノルエピネフリン取り込み阻害薬、必須脂肪酸、およびニューロキニン−1レセプターアンタゴニストからなる群より選択される少なくとも一つの薬剤とともに投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記化合物が、薬学的に許容可能なキャリアとともに投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記投与が、経口、直腸、鼻、非経口、槽内、膣内、腹腔内、舌下、局所、および頬からなる群より選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記投与が、経口または非経口である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記治療を必要とする患者が、不安、うつ病、肥満、薬物乱用/常用、アルコール中毒、睡眠障害、TIC障害、およびアルツハイマー病の行動/認知症状からなる群より選択される一以上の障害にも罹患している、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記治療を必要とする患者が、不安、うつ病、およびTIC障害からなる群より選択される一以上の障害にも罹患している、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記二以上の化合物が、同時に投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記二以上の化合物が、順次投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記二以上の化合物が、同日に投与される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記二以上の化合物が、後日に投与される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
治療を必要とする患者において、性機能不全またはその症状を治療する方法であって、治療的に有効な量の3−OHジェピロン、またはその薬学的に許容可能な塩または水和物を患者に投与することを含む方法。
【請求項25】
前記3−OHジェピロンが、刺激薬、催眠薬、不安緩解薬、抗精神病薬、抗不安薬、マイナー・トランキライザー、ベンゾジアゼピン、バルビツエート(barbituate)、セロトニンアゴニスト、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、ドーパミンアンタゴニスト、5-HT1Aアゴニスト、5-HT2アンタゴニスト、非ステロイド系抗炎症薬、モノアミンオキシダーゼ阻害薬、ムスカリン性アゴニスト、ノルエピネフリン取り込み阻害薬、必須脂肪酸、およびニューロキニン−1レセプターアンタゴニストからなる群より選択される少なくとも一つの薬剤と併用して投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記3−OHジェピロンが、メチルフェニデートとともに投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記3−OHジェピロンが、薬学的に許容可能なキャリアとともに投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記投与が、経口、直腸、鼻、非経口、槽内、膣内、腹腔内、舌下、局所、および頬からなる群より選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記投与が、経口または非経口である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記3−OHジェピロンの治療的に有効な量が、約0.1〜約2 mg/kg体重/日である、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記生物活性なジェピロン代謝産物が、投与の2時間以内に、約1〜約5 ng/mlで、哺乳類の血漿に存在する、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記治療を必要とする患者が、不安、うつ病、肥満、薬物乱用/常用、アルコール中毒、睡眠障害、TIC障害、およびアルツハイマー病の行動/認知症状からなる群より選択される一以上の障害にも罹患している、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
前記治療を必要とする患者が、不安、うつ病、およびTIC障害からなる群より選択される一以上の障害にも罹患している、請求項24に記載の方法。
【請求項34】
治療を必要とする患者において、性機能不全またはその症状を治療する方法であって、3−OHジェピロン、イプサピロン(ipsapirone)、タンドスピロン(tandospirone)、フレシノキサン(flesinoxan)、およびアダタンセリン(adatanserin)からなる群より選択される、治療的に有効な量の二以上の化合物を投与することを含む方法。
【請求項35】
前記化合物が、刺激薬、催眠薬、不安緩解薬、抗精神病薬、抗不安薬、マイナー・トランキライザー、ベンゾジアゼピン、バルビツエート(barbituate)、セロトニンアゴニスト、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、ドーパミンアンタゴニスト、5-HT1Aアゴニスト、5-HT2アンタゴニスト、非ステロイド系抗炎症薬、モノアミンオキシダーゼ阻害薬、ムスカリン性アゴニスト、ノルエピネフリン取り込み阻害薬、必須脂肪酸、およびニューロキニン−1レセプターアンタゴニストからなる群より選択される少なくとも一つの薬剤とともに投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記化合物が薬学的に許容可能なキャリアとともに投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記投与が、経口、直腸、鼻、非経口、槽内、膣内、腹腔内、舌下、局所、および頬からなる群より選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記投与が、経口または非経口である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記治療を必要とする患者が、不安、うつ病、肥満、薬物乱用/常用、アルコール中毒、睡眠障害、TIC障害、およびアルツハイマー病の行動/認知症状からなる群より選択される一以上の障害にも罹患している、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記治療を必要とする患者が、不安、うつ病、およびTIC障害からなる群より選択される一以上の障害にも罹患している、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
前記二以上の化合物が、同時に投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
前記二以上の化合物が、順次投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項43】
前記二以上の化合物が、同日に投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記二以上の化合物が、後日に投与される、請求項42に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【公表番号】特表2011−519953(P2011−519953A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508666(P2011−508666)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/043146
【国際公開番号】WO2009/137679
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(510295538)ファーブル−クレイマー・ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】