説明

洗浄処理液

【課題】現像残渣等の汚れの洗浄除去性に優れ、環境問題が無く、空シャワー運転でも劣化しない洗浄処理液、該洗浄処理液を用いた着色画像の形成方法、カラーフィルターの製造方法、及び、カラーフィルター付きアレイ基板の製造方法を提供。
【解決手段】塩基性化合物と、少なくとも1つの水酸基を含むアセチレン界面活性剤、アルキルエーテル系界面活性剤、及びフェノキシオキシアルキレン界面活性剤から選択される少なくともいずれかの界面活性剤を少なくとも1種含有し、かつ、ナフタレン系界面活性剤含有することを特徴とする洗浄処理液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄処理液並びにそれを用いた着色画像の形成方法、カラーフィルターの製造方法、及び、カラーフィルター付きアレイ基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示デバイス、センサー及び色分解デバイス等において、カラーフィルターが多用されている。このカラーフィルターの製造方法としては、染色可能な樹脂(例えば、天然のゼラチンやカゼイン)をパターニングし、該樹脂を染料で染色し、画素を形成するという方法が採用されていた。しかし、前記方法により形成された画素は、材料面からの制約により耐熱性及び耐光性が劣るという問題があった。
【0003】
そこで、近年、耐熱性及び耐光性を改良する目的で顔料を分散した感光性転写材料を用いるカラーフィルターの製造方法が提案された。この提案によれば、製法が簡略化され、得られる画像の安定性、寿命の長さの点から賞揚されている。
【0004】
しかし、前記カラーフィルターの製造方法においては、顔料を分散させたフォトレジストの現像が難しく、現像残渣、画素表面の汚れ、画素エッジの乱れが問題であった。また、現像残渣等の汚れは、COA、HAといったTFTアクティブマトリックス基板に画像を形成する場合、コンタクト抵抗の低下に繋がることから、現像残渣等の生じない現像液の開発が試みられている。しかし、いずれの提案においても充分な結果は得られておらず更なる改善が望まれていた。
【0005】
この問題を解決するため、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルを含有する洗浄処理液を用いて、現像直後の基板を洗浄することが考案された。この方法では、現像残渣がほとんど除去されるほか、画素表面が平滑であり、かつ画素エッジの乱れも無く良好な画像が形成可能であった。
しかし、前記ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルは、魚類に対して内分泌撹乱作用を有し、エンドクリン規制対象であることから、環境問題上使用することができないという欠点がある。
【0006】
この問題を解決すべく、特許文献1、特許文献2で開示されている界面活性剤を用いた洗浄処理液が提案された。この洗浄剤により、環境問題もなく、かつ、現像残渣等の問題も解決された。しかし、近年、基板の大型化等に伴い、カラーフィルター生産ラインの構成が変化し、洗浄装置の空シャワーの時間(シャワーのみ噴霧し、基板が流れない状態)が長くなり、これによる処理能力の劣化が問題となってきた。
【0007】
【特許文献1】特開2003−336097号公報
【特許文献2】特開2005−146171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、現像残渣等の汚れの洗浄除去性に優れ、環境問題が無く、空シャワー運転でも劣化しない洗浄処理液、該洗浄処理液を用いた着色画像の形成方法、カラーフィルターの製造方法、及び、カラーフィルター付きアレイ基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1>塩基性化合物と、少なくとも1つの水酸基を含むアセチレン界面活性剤、アルキルエーテル系界面活性剤、及びフェノキシオキシアルキレン界面活性剤から選択される少なくとも一種の界面活性剤と、ナフタレン系界面活性剤とを含有することを特徴とする洗浄処理液である。
<2>前記塩基性化合物が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、炭酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム及びメタケイ酸カリウムから選択される少なくとも1種の無機アルカリ化合物である前記<1>に記載の洗浄処理液である。
<3>前記塩基性化合物の洗浄処理液における含有量が、0.01〜50質量%である前記<1>から<2>のいずれかに記載の洗浄処理液である。
<4>前記アセチレン界面活性剤が、アセチレンジオール界面活性剤である前記<1>から<3>のいずれかに記載の洗浄処理液である。
<5>前記フェノキシオキシアルキレン界面活性剤が、下記構造式(1)で表される前記<1>から<4>のいずれかに記載の洗浄処理液である。
【化3】

但し、前記構造式(1)中、Phは、フェニル基を表す。Rは、水素原子又はアルキル基を表す。nは、1以上の整数を表す。
<6>前記ナフタレン系界面活性剤が、下記構造式(2)で表される前記<1>から<5>に記載の洗浄処理液である。
【化4】

但し、前記構造式(2)中、Rはアルキル基を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表す。MはNa、K又はHを表す。
<7>加圧条件下で被処理対象物に付与される前記<1>から<6>のいずれかに記載の洗浄処理液である。
<8>圧力が、0.01〜100MPaである前記<7>に記載の洗浄処理液である。
<9>加圧が、ブラシ、スポンジ及び液圧の少なくともいずれかの加圧手段により行われる前記<7>から<8>のいずれかに記載の洗浄処理液である。
<10>被処理対象物が、基板上に、少なくとも、感光層及び酸素遮断層を順次積層してなる転写材料である前記<7>から<9>のいずれかに記載の洗浄処理液である。
<11>希釈液で5〜1,000倍に希釈して用いられる前記<1>から<10>のいずれかに記載の洗浄処理液である。
<12>アルカリ現像可能な感光層を基板上に形成する感光層形成工程と、該感光層を露光し現像する露光及び現像工程と、前記<1>から<11>のいずれかに記載の洗浄処理液を用いて洗浄処理する洗浄処理工程とを少なくとも含むことを特徴とする着色画像の形成方法である。
<13>感光層が、酸価が20〜300の樹脂、顔料、光重合性不飽和結合を含有するモノマー、及び光重合開始剤を少なくとも含む転写材料により形成される前記<12>に記載の着色画像の形成方法である。
<14>基板上にアルカリ現像可能な感光層を形成する感光層形成工程、及び該感光層を露光し現像する露光及び現像工程を少なくとも含み、同一基板上に複数の着色画像を形成するカラーフィルターの製造方法であって、更に、前記<1>から<11>のいずれかに記載の洗浄処理液を用いて洗浄する洗浄処理工程を含むことを特徴とするカラーフィルターの製造方法である。
<15>アルカリ現像可能な感光層をTFTアレイ基板上に形成する感光層形成工程、及び該感光層を露光し現像する露光及び現像工程を少なくとも含み、同一TFTアレイ基板上に複数の着色画像を形成するカラーフィルター付きアレイ基板の製造方法であって、前記<1>から<11>のいずれかに記載の洗浄処理液を用いて洗浄する洗浄処理工程を含むことを特徴とするカラーフィルター付きアレイ基板の製造方法である。
【0010】
本発明の洗浄処理液は、塩基性化合物と、少なくとも1つの水酸基を含むアセチレン界面活性剤、アルキルエーテル系界面活性剤、及びフェノキシオキシアルキレン界面活性剤から選択される少なくとも一種の界面活性剤と、ナフタレン系界面活性剤とを含有する。
その結果、現像残渣等の汚れの洗浄除去性に優れ、環境問題が無く、空シャワー運転でも劣化することなく着色画像を形成することができる。
【0011】
本発明の着色画像の形成方法は、感光層形成工程と、露光及び現像工程と、洗浄処理工程とを少なくとも含む。本発明の着色画像の形成方法においては、前記感光層形成工程において、基板上にアルカリ現像可能な感光層を形成し、前記露光及び現像工程において、該感光層を露光し現像する。前記洗浄処理工程で前記本発明の洗浄処理液を用いて洗浄処理する。
その結果、現像残渣等の汚れの洗浄除去性に優れ、環境問題が無く、空シャワー運転でも劣化することなく着色画像を形成できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、現像残渣等の汚れの洗浄除去性に優れ、環境問題が無く、空シャワー運転でも劣化しない洗浄処理液、該洗浄処理液を用いた着色画像の形成方法、カラーフィルターの製造方法、及び、カラーフィルター付きアレイ基板の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(洗浄処理液)
本発明の洗浄処理液は、塩基性化合物と、少なくとも1つの水酸基を含むアセチレン界面活性剤、アルキルエーテル系界面活性剤、及びフェノキシオキシアルキレン界面活性剤から選択される少なくとも一種の界面活性剤と、ナフタレン系界面活性剤とを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0014】
−塩基性化合物−
前記塩基性化合物としては、塩基性を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、例えば、無機アルカリ化合物や有機アルカリ化合物等が挙げられる。
【0015】
前記無機アルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、炭酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム等のケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム等が挙げられ、水酸化カリウム、炭酸カリウム、等が挙げられる。これらの無機アルカリ化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
前記有機アルカリ化合物としては、例えば、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ブチルアミン、フェニルヒドラジン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、等が挙げられる。これらの有機アルカリ化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、臭気が無いなど、取り扱い性の点から、無機アルカリ化合物が好ましい。
【0017】
前記塩基性化合物としては、本発明の洗浄液とブラシなどを同時に用いて洗浄処理する際に画素を傷めないという観点から、弱酸の塩を用いるのが好ましい。該弱酸の塩としては、具体的には、炭酸塩および又はリン酸塩が好適に用いられる。
前記炭酸塩および又はリン酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸ニ水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム、リン酸ニ水素カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、及び、これらの水和塩が挙げられる。これらは単独で使用しても良いが、例えば、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムと炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウムとリン酸水素ナトリウム、リン酸カリウムとリン酸水素カリウム、のように、酸としての水素のメタルへの置換数の近いものを等モルまたはこれに近い比率で組合せると、pH変化が抑えられ好ましい。また、廃液処理の観点からは炭酸塩が最も好ましい。
本発明の炭酸塩および又はリン酸塩は、原料として添加する塩の形態で記載したが、実際の本発明の洗浄液中では、これらの塩の一部が解離した状態で存在するのは言うまでも無い。
【0018】
前記塩基性化合物の前記洗浄処理液における含有量は、0.01〜50質量%が好ましく、0.01〜20質量%がより好ましく、0.05〜15質量%が更に好ましく、0.1〜10質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.01質量%未満であると、解像性が不充分となることがあり、50質量%を超えると、フォトレジスト自体が基板から剥離してしまうことがある。
【0019】
−フェノキシオキシアルキレン界面活性剤−
前記フェノキシオキシアルキレン界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記構造式(1)で表される構造を有するもの等が挙げられる。
【0020】
【化5】

【0021】
前記構造式(1)中、Phは、フェニル基を表す。
は、水素原子又はアルキル基を表す。該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、などが挙げられ、これらの中でも、メチル基が好ましい。nは、1以上、好ましくは1〜50の整数を表す。
【0022】
前記構造式(1)で表されるフェノキシオキシアルキレン界面活性剤の中でも、特開2005−146171号公報の〔0021〕から〔0037〕に記載のフェノキシオキシアルキレン界面活性剤を用いることが好ましい。
【0023】
前記フェノキシオキシアルキレン界面活性剤の前記洗浄処理液における含有量は、0.01〜50質量%が好ましく、0.05〜10質量%がより好ましい。前記含有量が、0.01質量%未満であると、解像性が不充分となることがあり、50質量%を超えると、液の保存性が悪くなる。
【0024】
前記フェノキシオキシアルキレン界面活性剤を他の界面活性剤と併用して使用する場合には、主成分として使用することが、現像残渣等をより効率的に除去することができる点で好ましい。
【0025】
−少なくとも1個の水酸基を含有するアセチレン界面活性剤−
前記少なくとも1つの水酸基を含有するアセチレン界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、水酸基を1つ有するアセチレンモノオール界面活性剤、水酸基を2個有するアセチレングリコール界面活性剤などが挙げられ、これらの中でもアセチレングリコール界面活性剤が好適である。
【0026】
前記アセチレングリコール界面活性剤としては、例えば、特開2005−146171号公報の〔0042〕から〔0045〕に記載のアセチレングリコール界面活性剤が好適である。
【0027】
前記少なくとも1つの水酸基を含有するアセチレン界面活性剤の前記洗浄処理液における含有量は、0.01〜50質量%が好ましく、0.05〜5質量%がより好ましい。
前記含有量が、0.01質量%未満であると、解像性が不充分となることがある一方、50質量%を超えると、液の保存性が悪くなることがある。
【0028】
前記少なくとも1つの水酸基を含有するアセチレン界面活性剤を他の界面活性剤と併用して使用する場合には、低含有量であっても現像残渣等を効率的に除去することができる。また、前記フェノキシオキシアルキレン界面活性剤を主成分として、前記少なくとも1個の水酸基を含有するアセチレン界面活性剤(特に、アセチレングリコール界面活性剤が好ましい)を併用して使用することが、現像残渣等をより効率的に除去することができる点で好ましい。
【0029】
―アルキルエーテル界面活性剤―
本発明の洗浄処理液に用いられる、アルキルエーテル界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、特開2005−146171号公報〔0050〕から〔0053〕に記載のアルキルエーテル界面活性剤が好ましい。
【0030】
前記アルキルエーテル界面活性剤の前記洗浄処理液における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0〜5質量%が好ましい。
【0031】
更に、その他の界面活性剤として、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリスルホン酸型高分子界面活性剤等のアニオン系分散剤;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー等のノニオン系分散剤などを添加することができる。
【0032】
−ナフタレン系界面活性剤−
前記ナフタレン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記構造式(2)で表される構造を有するもの等が挙げられる。
【化6】

但し、前記構造式(2)中、Rはアルキル基を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表す。Mは、Na、K又はHを表す。
【0033】
Mは、水溶性の観点から、NaまたはKが好ましい。−SOMは、1又は2の位置に付くことが出来るが、残渣除去性の観点で、2の位置が好ましい。
はアルキル基を表すが、残渣除去性の観点で、ブチル基またはプロピル基が好ましい。Rは水素原子又はアルキル基を表すが、残渣除去性の観点で、ブチル基またはプロピル基が好ましい。
これらの中で、下記構造式(3)で表されるものが残渣除去の観点で最も好ましい。
【化7】

【0034】
前記ナフタレン系界面活性剤の前記洗浄処理液における含有量は、0.01〜50質量%が好ましく、0.05〜10質量%がより好ましい。前記含有量が、0.01質量%未満であると、解像性が不充分となることがあり、50質量%を超えると、液の保存性が悪くなる。
【0035】
本発明において、前記少なくとも1つの水酸基を含むアセチレン界面活性剤、アルキルエーテル系界面活性剤、及びフェノキシオキシアルキレン界面活性剤から選択される少なくともいずれかの界面活性剤を少なくとも1種含有し、かつ、ナフタレン系界面活性剤含有する前記洗浄処理液における含有量としては、0.01〜50質量%が好ましく、0.01〜20質量%がより好ましく、0.05〜15質量%が更に好ましい。
【0036】
―その他の成分―
本発明の洗浄剤には、液の保存安定性、処理時の変質防止、残渣の再付着防止の目的で、以下のものを添加するのが好ましい。
キレート剤(EDTAニナトリウム塩、EDTA四ナトリウム塩、EGTA、0.1〜0.5質量%)、ポリマー(ポリビニルピロリドン、メチルセルロース ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、アガロース、0.1〜0.5質量%)、消泡剤(信越化学工業 シリコーンオイルKS−502 楠本化成 OX−66 OX−715 OX−1930N 1934 丸善薬品化学 アンチックス#100 0.01〜0.1質量%)
【0037】
本発明の洗浄処理液は、被処理対象物に付与されて使用され、好ましくは加圧条件下で被処理対象物に付与されて使用される。したがって汚れの洗浄除去性に極めて優れる。また、前記被処理対象物が基板上に感光層を設けてなる構成を有する場合、特に、基板上に感光層及び酸素遮断層等を順次積層してなる構成を有する場合には、基板上や感光層表面に現像残渣等が生じ易い。本発明の前記洗浄処理液を用い、好ましくは加圧条件で付与することにより、前記基板や感光層における現像残渣等を効率的に除去可能であり、表面の平滑性、エッジ形状が良好で解像度の高い着色画像を形成可能である。
なお、前記感光層、酸素遮断層については、本発明の着色画像の形成方法において詳述する。
【0038】
前記加圧の条件としては、特開2005−146171号公報の〔0058〕から〔0059〕に記載の方法が好適に用いられる。
【0039】
本発明の前記洗浄処理液は、希釈液で5〜1,000倍に希釈して用いられるのが好ましく、10〜200倍に希釈して用いられるのがより好ましい。
前記希釈液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、水道水、水、純水、蒸留水、各種有機溶媒、水と各種有機溶媒との混合溶媒、などが用いられる。
【0040】
(着色画像の形成方法)
本発明の着色画像の形成方法は、感光層形成工程、露光及び現像工程を有し、更に、洗浄処理工程を有し、必要に応じてその他の工程を有する。
なお、本発明において、洗浄処理工程は、前記感光層形成工程の前に設けられても後に設けられてもよく、また、前記露光及び現像工程の前に設けられても後に設けられてもよいが、基板の洗浄を目的とする場合には、前記感光層形成工程の前に設けられるのが好ましく、また現像残渣の除去を目的とする場合には、前記露光及び現像工程の後に設けられるのが好ましい。
【0041】
−感光層形成工程−
前記感光層形成工程において形成される感光層は、アルカリ現像可能であり、下記着色画像形成材料により好適に形成される。
<着色画像形成材料>
前記着色画像形成材料は、アルカリ現像可能で感光性を有していれば特に制限はないが、樹脂、顔料・染料等の着色剤、光重合性不飽和結合を含有するモノマー、及び、光重合開始剤、その他の成分を含有するのが好ましい。その具体的な例は特開2005−146171号公報の〔0064〕から〔0099〕に記載されている。また、特開2005−146171号公報の〔0100〕から〔0121〕に感光層の形成方法、感光層用塗布液の調製方法、熱可塑性樹脂層、酸素遮断層、その他について記載されている。
【0042】
−露光及び現像工程−
前記露光及び現像工程において、前記基板上に形成された感光層への露光は、該感光層に活性光線を画像状に照射する方法等により好適に行うことができ、これにより露光部の膜を硬化させることができる。露光に際し、その膜の表面にポリビニルアルコール等の酸素遮断膜を0.5〜30μmの厚みで形成し、その上から露光してもよい。
前記活性光線の光源としては、例えば、カーボンアーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、ラングステンランプ、可視光レーザー等が好ましい。これらの光源を用いてフォトマスクを介したパターン露光や走査による直接描写等により画像状に活性光線が照射される。
【0043】
前記露光に続いて現像を行う。該現像液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通常感光層等の現像に使用される公知の現像液が総て好適に挙げられる。
【0044】
前記現像においては、現像液を吹き付けたり、現像液に浸漬する方法等により、未露光部を除去し、画像に対応した硬化膜の着色画像パターンを得ることができる。現像後、着色画像パターンをより強固に硬化させるため、更にポスト露光やポストベークを行うのが好ましい。該ポストベーク温度としては、60〜280℃の温度が好ましく、加熱時間は1〜60分間程度がより好ましい。
【0045】
−洗浄処理工程−
前記洗浄処理工程においては、本発明の前記洗浄処理液を用い、好ましくは、加圧条件下で基板や感光層、着色画像等を洗浄処理する。これにより、汚れの洗浄除去性に極めて優れる。また前記被処理対象物が基板上に感光層を設けてなる構成を有する場合、特に、基板上に感光層及び酸素遮断層等を順次積層してなる構成を有する場合には、基板上や感光層表面に現像残渣等が生じ易い。したがって、前記洗浄処理工程において本発明の前記洗浄処理液を用い、好ましくは、加圧条件下で付与することにより、前記基板や感光層における現像残渣等を効率的に除去可能であり、表面の平滑性、エッジ形状が良好で、解像度の高い着色画像を形成可能である。
【0046】
前記加圧の条件、加圧の手段等としては、本発明の前記「洗浄処理液」の項で述べたものと同様である。
【0047】
(カラーフィルターの製造方法)
本発明のカラーフィルターの製造方法は、感光層形成工程、並びに、露光及び現像工程を有し、更に、洗浄処理工程を有する。該感光層の形成、露光・現像、及び、洗浄処理は、本発明の前記着色画像の形成方法と同様である。
本発明のカラーフィルターの製造方法においては、特に、前記着色画像の形成を、異なる3〜4色の着色画像について繰り返し行うのが好ましい。
【0048】
例えば、クロム蒸着等により形成したブラックマトリックス上に、赤、緑、青の着色画像を、本発明の前記着色画像の形成方法と同様にして形成する方法、黒色の着色画像形成材料を用いてブラックマトリックスを形成した後、赤、緑、青の着色画像を、本発明の前記着色画像の形成方法と同様にして形成する方法、本発明の前記着色画像の形成方法と同様にして赤、緑、青の着色画像を形成した後、これらの着色画像の間隙に黒色の画像形成材料を用いてブラックマトリックスを形成する方法、等が挙げられる。赤、緑、青の着色画像の形成順序は特に制限はなく、任意である。
また、RGBなどの着色画素以外に透明の画素Wを有すカラーフィルタの製造に用いても良い。
【0049】
(カラーフィルター付きアレイ基板の製造方法)
本発明のカラーフィルター付きアレイ基板の製造方法においては、所定の感光層を、TFT(薄膜トランジスター)アクティブマトリックス基板(TFTアレイ基板)上に形成する感光層形成工程、並びに、露光及び現像工程を有し、更に、洗浄処理工程を有する。該感光層の形成、露光及び現像、及び、洗浄処理は、本発明の前記着色画像の形成方法と同様である。前記TFTアクティブマトリックス基板としては、特に制限はなく、常用のものを制限なく使用することができる。例えば、アクティブマトリックス基板(アレイ基板)に、ゲート信号線及び付加容量電極を形成し、この上にゲート絶縁膜を形成した後、半導体層及びチャネル保護層を形成し、更にTFTのソース及びドレインとなるn+Si層を形成し、次に金属層及びITO膜をスパッタリング法によって形成し、これらをパターニングすることにより、ドレイン信号線及びソース信号線を形成する等によって作製することができる。
なお、本発明のカラーフィルター付きアレイ基板の製造方法においては、例えば、特開平10−206888号公報等の記載に従って、好適に実施することができる。
【0050】
本発明の前記カラーフィルター付きアレイ基板の製造方法においては、前記TFTアクティブマトリックス基板が、アモルファスシリコン又は低温ポリシリコン基材、コンティニュアスグレインシリコン基材で形成されているものが好ましい。
また、前記カラーフィルター付きアレイ基板のカラーフィルタにはRGBなどの着色画素以外に透明の画素Wを有しても良いし、黒のみ、あるいは、スペーサーのみ形成しても良い。また、コンタクトホールを有する透明の層間絶縁膜を形成しても良い。アレイ基板を用いる場合、TFTに傷を付けない観点で、洗浄処理工程にはブラシを用いないことが好ましいが、その場合、顔料を含まない透明樹脂でも残渣が問題となることがある。本発明は、その場合にも好適に用いられる。
【実施例】
【0051】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0052】
−着色感光性樹脂組成物の作成−
(着色感光性樹脂組成物K1)
【表1】

注)表中の数値の単位は質量部、以下、表2〜表7についても同様。

着色感光性樹脂組成物K1は、まず表1に記載の量のK顔料分散物1、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを、はかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150RPM10分間攪拌し、次いで、表1記載の量のメチルエチルケトン、バインダー2、ハイドロキノンモノメチルエーテル、DPHA液、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチルアミノ)−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、界面活性剤1をはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150RPM30分間攪拌することによって得られた。
【0053】
尚、表1に記載の組成物の内、
K顔料分散物1の組成は、下記であった。
・カーボンブラック(商品名:Nipex35、デグサ ジャパン(株)製) 13.1部
・分散剤(下記化合物1) 0.65部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比
のランダム共重合物、分子量3.7万) 6.72部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 79.53部
【0054】
【化8】

【0055】
バインダー2の組成は、下記であった。
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22モル比
のランダム共重合物、分子量3.8万) 27部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73部
DPHA液の組成は、
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重合禁止剤MEHQ 500ppm含有、
日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA) 76部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 24部
界面活性剤1の組成は、下記であった。
・下記化合物2 30部
・メチルエチルケトン 70部
【0056】
【化9】

【0057】
(着色感光性樹脂組成物R101)
【表2】

着色感光性樹脂組成物R101は、まず表2に記載の量のR顔料分散物1、R顔料分散物2、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150RPM10分間攪拌し、次いで、表2に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー1、DPHA液、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチルアミノ)−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、フェノチアジンをはかり取り、温度24℃(±2℃)でこの順に添加して150RPM30分間攪拌し、更に、表2記載の量の界面活性剤1をはかり取り、温度24℃(±2℃)で添加して30RPM5分間攪拌し、ナイロンメッシュ#200で濾過することによって得られた。
【0058】
尚、表2に記載の組成物の内、添加剤1は、燐酸エステル系特殊活性剤(楠本化成(株)製、商品名:HIPLAAD ED152)を用いた。
R顔料分散物1の組成は、下記であった。
・C.I.P.R.254(商品名:Irgaphor Red B−CF、
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 8部
・分散剤(前記化合物4) 0.8部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比
のランダム共重合物、分子量3万) 8部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 83部
R顔料分散物2の組成は、下記であった。
・C.I.P.R.177(商品名:Cromophtal Red A2B、
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 18部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比
のランダム共重合物、分子量3万) 12部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 70部
バインダー1の組成は、下記であった
ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メチルメタクリレート
=38/25/37モル比のランダム共重合物、分子量4万) 27部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73部
【0059】
(着色感光性樹脂組成物G101)
【表3】

着色感光性樹脂組成物G101は、まず表3に記載の量のG顔料分散物1、Y顔料分散物1、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150RPM10分間攪拌し、次いで、表3に記載の量のメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、バインダー2、DPHA液、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチルアミノ)−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、フェノチアジンをはかり取り、温度24℃(±2℃)でこの順に添加して150RPM30分間攪拌し、更に、表4に記載の量の界面活性剤1をはかり取り、温度24℃(±2℃)で添加して30RPM5分間攪拌し、ナイロンメッシュ#200で濾過することによって得られた。
【0060】
尚、表3に記載の組成物の内、
G顔料分散物1は、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製の「商品名:GT−2」を用いた。
Y顔料分散物1は、御国色素(株)製の「商品名:CFエローEX3393」を用いた。
【0061】
(着色感光性樹脂組成物B101)
【表4】

着色感光性樹脂組成物B101は、まず表4に記載の量のB顔料分散物1、B顔料分散物2、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150RPM10分間攪拌し、次いで、表4に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー3、DPHA液、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチルアミノ)−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、フェノチアジンをはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150RPM30分間攪拌し、更に、表4に記載の量の界面活性剤1をはかり取り、温度24℃(±2℃)で添加して30RPM5分間攪拌し、ナイロンメッシュ#200で濾過することによって得られる。
【0062】
尚、表4に記載の組成物の内、
B顔料分散物1は、御国色素(株)製の「商品名:CFブルーEX3357」を用いた。
B顔料分散物2は、御国色素(株)製の「商品名:CFブルーEX3383」を用いた。
バインダー3の組成は、
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メチルメタクリレート
=36/22/42モル比のランダム共重合物、分子量3.8万) 27部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73部
【0063】
(感光性樹脂組成物S)
【表5】

感光性樹脂組成物Sは、アクティブマトリックス基板に層間絶縁膜を形成するための透明な材料である。
【0064】
(本発明の洗浄処理液)
【表6】

洗浄処理液は、上記表6に記載の処方で調製した。
【0065】
ここで、表中のPOは:
【化10】

AGは:
日信化学工業株式会社製 サーフィノール485
AEは:
1021−O−(CHCH−O)−H
NBLは:
花王株式会社 ペレツクスNBL
ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム(35質量%水溶液)
B4SNは:
日本乳化剤 株式会社製 ニューコール B4−SN(CAS.No81503−86−8)
ポリオキシエチレン β-ナフチルエーテル 硫酸エステル
【0066】
(比較例の洗浄処理液)
【表7】

比較例の洗浄処理液は、上記表7に記載の処方で調製した。
【0067】
−感光性樹脂転写材料の作製−
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体の上に、スリット状ノズルを用いて、下記処方H1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させた。次に、下記処方P1から成る中間層用塗布液を塗布、乾燥させた。更に、前記着色感光性樹脂組成物K1を塗布、乾燥させ、該仮支持体の上に乾燥膜厚が14.6μmの熱可塑性樹脂層と、乾燥膜厚が1.6μmの中間層と、乾燥膜厚が2.4μmの感光性樹脂層を設け、保護フイルム(厚さ12μmポリプロピレンフィルム)を圧着した。
こうして仮支持体と熱可塑性樹脂層と中間層(酸素遮断膜)とブラック(K)の感光性樹脂層とが一体となった感光性樹脂転写材料を作製し、サンプル名を感光性樹脂転写材料K1とした。
【0068】
熱可塑性樹脂層用塗布液:処方H1
・メタノール 11.1部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 6.36部
・メチルエチルケトン 52.4部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジル
メタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)
=55/11.7/4.5/28.8、分子量=9万、Tg≒70℃)
5.83部
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)
=63/37、分子量=1万、Tg≒100℃) 13.6部
・ビスフェノールAにペンタエチレングリコールモノメタクリートを
2当量脱水縮合した化合物(新中村化学工業(株)製、商品名:2,2−
ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン)
9.1部
・前記界面活性剤1 0.54部
【0069】
中間層用塗布液:処方P1
PVA205(ポリビニルアルコール、(株)クラレ製、
鹸化度=88%、重合度550) 32.2部
・ポリビニルピロリドン(アイエスピー・ジャパン(株)製、K−30)
14.9部
・蒸留水 524部
・メタノール 429部
【0070】
次に、前記感光性樹脂転写材料K1の作製において用いた前記着色感光性樹脂組成物K1を、前記着色感光性樹脂組成物R101、G101、B101、及び感光性樹脂組成物Sに変更し、それ以外は上記と同様の方法により、感光性樹脂転写材料R101、G101、B101、及びSを作製した。
【0071】
(実施例1)
−ブラック(K)画像の形成−
無アルカリガラス基板に、25℃に調整したガラス洗浄剤液をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有する回転ブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量%水溶液、商品名:KBM603、信越化学工業(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄した。この基板を基板予備加熱装置で100℃2分加熱して次のラミネーターに送った。
前記感光性樹脂転写材料K1の保護フイルムを剥離後、ラミネーター((株)日立インダストリイズ製(LamicII型))を用い、前記100℃に加熱した基板に、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分でラミネートした。
仮支持体を熱可塑性樹脂層との界面で剥離後、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立電子エンジニアリング(株)製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と該熱可塑性樹脂層の間の距離を200μmに設定し、露光量70mJ/cm2でパターン露光した。
【0072】
次に、トリエタノールアミン系現像液(トリエタノールアミン30質量%含有、ポリプロピレングリコール、グリセロールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ステアリルエーテルを合計で0.1質量%含有、商品名:T−PD2、富士写真フイルム株式会社製を、純水で12倍(T−PD2を1質量部と純水を11質量部の割合で混合)に希釈した液)を30℃50秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像し熱可塑性樹脂層と中間層を除去した。引き続き、この基板上面にエアを吹きかけて液切りした後、純水をシャワーにより10秒間吹き付け、純水シャワー洗浄し、エアを吹きかけて基板上の液だまりを減らした。
引き続き炭酸Na系現像液(0.38モル/リットルの炭酸水素ナトリウム、0.47モル/リットルの炭酸ナトリウム、5質量%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン界面活性剤、消泡剤、安定剤含有、商品名:T−CD1、富士写真フイルム株式会社製を純水で5倍に希釈した液)を用い、29℃30秒、コーン型ノズル圧力0.15MPaでシャワー現像し感光性樹脂層を現像しパターニング画像を得た。
引き続き表6記載の本発明洗浄処理液を純水で10倍に希釈して用い、33℃20秒、コーン型ノズル圧力0.02MPaでシャワーで吹きかけ、更にナイロン毛を有す回転ブラシにより形成された画像を擦って残渣除去を行い、ブラック(K)の画像を得た。
その後、該基板に対して両面から超高圧水銀灯で500mJ/cm2の露光量でポスト露光後、220℃、15分間熱処理した。
このKの画像を形成した基板を再び、前記のようにブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置に送った。
【0073】
−レッド(R)画素の形成−
前記感光性樹脂転写材料R101を用い、前記感光性樹脂転写材料K1と同様の工程で、熱処理済みのレッド(R)画素を得た。但し露光量は40mJ/cm2、炭酸Na系現像液による現像は35℃35秒とした。
このKの画像、及びRの画素を形成した基板を再び、前記のようにブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置に送った。
【0074】
−グリーン(G)画素の形成−
前記感光性樹脂転写材料G101を用い、前記感光性樹脂転写材料R101と同様の工程で、熱処理済みのグリーン(G)の画素を得た。但し露光量は40mJ/cm2、炭酸Na系現像液による現像は34℃45秒とした。
このKの画像、RとGの画素を形成した基板を再び、前記のようにブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置に送った。
【0075】
−ブルー(B)画素の形成−
前記感光性樹脂転写材料B101を用い、前記感光性樹脂転写材料R101と同様の工程で、熱処理済みのブルー(B)の画素を得た。但し露光量は30mJ/cm2、炭酸Na系現像液による現像は36℃40秒とした。
【0076】
このK、R、G画素及びBの画像を形成した基板を240℃で50分ベークして、目的のカラーフィルターを得た。
【0077】
<現像残渣の評価>
上記カラーフイルターの形成のうち、R画素の形成時のポスト露光前に、基板を抜き取り、残渣除去性を評価した。空シャワー運転後の劣化の程度を評価するため、6時間の空シャワー運転後も、同様に評価した。
空シャワーの運転時間は、G5〜G8サイズのカラーフィルターラインを想定し、調整などにより最も長く置かれる場合を仮定して6時間とした。
なお、用いた装置は、幅1.2メートル長さ2.5メートル高さ0.8メートルの現像ゾーンの内部に、ローラーコンベアが設置され、15個のノズルを有す4本のアームが、長さ方向に均等に設置され、2本目と3本目のアームの間に2本の回転ブラシを有するタイプのものであった。4本のアームのノズルからシャワーされた洗浄処理液は、ゾーンの下にあるドレーン口から、ストックタンク(容量200リットル)へ戻り、該ストックタンクから再びポンプによりノズルに送られる構造となっていた。
残渣の評価は、得られた着色画像について、未露光部における現像残渣を走査型電子顕微鏡を用いて観察し、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎・・・未露光部に現像残渣が認められなかった。
○・・・未露光部に僅かに現像残渣が認められた。
△・・・未露光部に少し現像残渣が認められた。
×・・・未露光部に現像残渣がはっきり認められた。
××・・未露光部に現像残渣が多く認められた。
<画素エッジ形状の評価>
得られた着色画像における画素エッジ形状について、光学顕微鏡を用い下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎・・直線画像を与えるマスクでの露光による画素エッジが直線である。
○・・直線画像を与えるマスクでの露光による画素エッジがほぼ直線である。
△・・直線画像を与えるマスクでの露光による画素エッジに一部歪みがある。
×・・直線画像を与えるマスクでの露光による画素エッジが歪んでいる。
【0078】
(比較例)
実施例1で本発明洗浄処理液を用いる代わりに、表7記載の比較例洗浄処理液を用いて同様にテストした。
【0079】
結果を表8、表9に示した。
【表8】

【表9】

【0080】
(実施例2)
実施例1において、感光性樹脂転写材料K1の代わりに感光性樹脂転写材料Sを用いた以外は、実施例1のK1と同様にして、特開平10−206888号公報の記載に従って、層間絶縁膜付きアクティブマトリックス基板を作製した。その際、マスクは、直径20μmの円形コンタクトホールを画素に1個ずつ有すものを用い、洗浄処理液は、ブラシを用いずに、他は実施例1と同様に実施した。
【0081】
得られた層間絶縁膜付きアクティブマトリックス基板について、実施例1と同様にして、得られたコンタクトホール部分の現像残渣を、空シャワー6時間の前後で比較した。結果を表10に示す。
【表10】

【0082】
次に、該層間絶縁膜付きアクティブマトリックス基板について、ITO膜を形成し、コンタクトホール部の導通テストを行った結果、導通の不良率が低くコンタクト抵抗が良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の洗浄処理液は、現像残渣等の汚れの洗浄除去性に優れ、環境問題が無く、空シャワー運転でも劣化しない洗浄処理液、該洗浄処理液を用いた着色画像を形成可能である。また、該洗浄処理液を用いた本発明の着色画像の形成方法及びカラーフィルターの製造方法により得られたカラーフィルターは高品位であり、該カラーフィルターを用いた本発明のカラーフィルター付きアレイ基板の製造方法により製造されるカラーフィルター付きアレイ基板は、液晶表示デバイス、センサー及び色分解デバイスなどに好適に使用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基性化合物と、少なくとも1つの水酸基を含むアセチレン界面活性剤、アルキルエーテル系界面活性剤、及びフェノキシオキシアルキレン界面活性剤から選択される少なくとも一種の界面活性剤と、ナフタレン系界面活性剤とを含有することを特徴とする洗浄処理液。
【請求項2】
塩基性化合物が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、炭酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム及びメタケイ酸カリウムから選択される少なくとも1種の無機アルカリ化合物である請求項1に記載の洗浄処理液。
【請求項3】
塩基性化合物の洗浄処理液における含有量が、0.01〜50質量%である請求項1から2のいずれかに記載の洗浄処理液。
【請求項4】
アセチレン界面活性剤が、アセチレンジオール界面活性剤である請求項1から3のいずれかに記載の洗浄処理液。
【請求項5】
フェノキシオキシアルキレン界面活性剤が、下記構造式(1)で表される請求項1から4のいずれかに記載の洗浄処理液。
【化1】

但し、前記構造式(1)中、Phは、フェニル基を表す。Rは、水素原子又はアルキル基を表す。nは、1以上の整数を表す。
【請求項6】
ナフタレン系界面活性剤が、下記構造式(2)で表される請求項1から5に記載の洗浄処理液。
【化2】

但し、前記構造式(2)中、Rはアルキル基を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表す。Mは、Na、K又はHを表す。
【請求項7】
加圧条件下で被処理対象物に付与される請求項1から6のいずれかに記載の洗浄処理液。
【請求項8】
加圧の圧力が、0.01〜100MPaである請求項7に記載の洗浄処理液。
【請求項9】
加圧が、ブラシ、スポンジ及び液圧の少なくともいずれかの加圧手段により行われる請求項7から8のいずれかに記載の洗浄処理液。
【請求項10】
被処理対象物が、基板上に、少なくとも、感光層及び酸素遮断層を順次積層してなる転写材料である請求項7から9のいずれかに記載の洗浄処理液。
【請求項11】
希釈液で5〜1,000倍に希釈して用いられる請求項1から10のいずれかに記載の洗浄処理液。
【請求項12】
アルカリ現像可能な感光層を基板上に形成する感光層形成工程と、該感光層を露光し現像する露光及び現像工程と、前記請求項1から11のいずれかに記載の洗浄処理液を用いて洗浄処理する洗浄処理工程とを少なくとも含むことを特徴とする着色画像の形成方法。
【請求項13】
感光層が、酸価が20〜300の樹脂、顔料、光重合性不飽和結合を含有するモノマー、及び光重合開始剤を少なくとも含む転写材料により形成される請求項12に記載の着色画像の形成方法。
【請求項14】
基板上にアルカリ現像可能な感光層を形成する感光層形成工程、及び該感光層を露光し現像する露光及び現像工程を少なくとも含み、同一基板上に複数の着色画像を形成するカラーフィルターの製造方法であって、更に、請求項1から11のいずれかに記載の洗浄処理液を用いて洗浄する洗浄処理工程を含むことを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
【請求項15】
アルカリ現像可能な感光層をTFTアレイ基板上に形成する感光層形成工程、及び該感光層を露光し現像する露光及び現像工程を少なくとも含み、同一TFTアレイ基板上に複数の着色画像を形成するカラーフィルター付きアレイ基板の製造方法であって、請求項1から11のいずれかに記載の洗浄処理液を用いて洗浄する洗浄処理工程を含むことを特徴とするカラーフィルター付きアレイ基板の製造方法。

【公開番号】特開2007−254510(P2007−254510A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−77737(P2006−77737)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】