説明

洗浄方法および洗浄液供給装置

【課題】被洗浄基板、例えばフォトマスク用透明基板、フォトマスクブランク、フォトマスクブランク製造中間体、フォトマスク等を洗浄した場合に、異物の発生を極めて少なくすることができる洗浄方法、および洗浄装置に洗浄液を供給する洗浄液供給装置を提供する。
【解決手段】洗浄液を洗浄装置に供給して被洗浄基板を洗浄する洗浄方法であって、洗浄液を異物を除去するための濾過フィルタで濾過し、濾過した洗浄液を供給管を通して洗浄装置に供給して被洗浄基板を洗浄するとき、少なくとも、濾過した洗浄液の洗浄装置への供給に先立ち、濾過した洗浄液を排出管を通して系外へ排出し、その後、濾過した洗浄液を供給管を通して洗浄装置に供給する洗浄方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板の洗浄方法および洗浄液供給装置に関し、特には、例えばリソグラフィーで用いるフォトマスク用透明基板、フォトマスクブランク、フォトマスクブランク製造中間体、フォトマスク等の基板を洗浄するための洗浄方法および洗浄液供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI又はVLSI等の半導体集積回路の製造をはじめとして、広範囲な用途に用いられているフォトマスクは、基本的には透光性基板(フォトマスク基板)上に金属または金属化合物を含む薄膜による遮光膜を成膜したフォトマスクブランクの該遮光膜を、電子線フォトリソグラフィー法等を用いて、所定の遮光膜パターンに加工することにより得られる。
【0003】
上記LSI等の精密電子材料を作成する工程で使用するリソグラフィー法では、例えば電子回路の図が描画されたフォトマスクを原図として、光照射によって感光材料に図を焼き付け、パターン形成を行う。近年では半導体集積回路の高集積化等の市場要求に伴ってパターンの微細化が急速に進み、露光に使用するマスクの高精度化が要求されるようになり、フォトマスクブランクの欠陥に関する要求も高いものとなってきている。
【0004】
このため、フォトマスクブランクを製造するための石英、CaF等の基板や、フォトマスクブランクの洗浄は極めて精密に行われることが要求される。そこで、通常、界面活性剤を用いた洗浄の後、水素水やオゾン水を用いた多段の洗浄が行われ、必要に応じ、超純水を用いたリンスが各段階で行われる(例えば特許文献1や特許文献2を参照)。
【0005】
一方、上記のような多段の洗浄を行った場合にも、得られる基板は無条件に清浄であることはなく、微細異物がかなりの頻度で発生することがあった。例えば、乾燥方法が適切でない場合には、水滴の乾燥時に汚染(異物)が生じる場合もある(特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2001−96241号公報
【特許文献2】特開2002−151453号公報
【特許文献3】特開2004−19993号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、被洗浄基板、例えばフォトマスク用透明基板、フォトマスクブランク、フォトマスクブランク製造中間体、フォトマスク等を洗浄した場合に、異物の発生を極めて少なくすることができる洗浄方法、および洗浄装置に洗浄液を供給する洗浄液供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、洗浄液を洗浄装置に供給して被洗浄基板を洗浄する洗浄方法であって、前記洗浄液を異物を除去するための濾過フィルタで濾過し、該濾過した洗浄液を供給管を通して前記洗浄装置に供給して被洗浄基板を洗浄するとき、少なくとも、前記濾過した洗浄液の前記洗浄装置への供給に先立ち、前記濾過した洗浄液を排出管を通して系外へ排出し、その後、前記濾過した洗浄液を供給管を通して前記洗浄装置に供給することを特徴とする洗浄方法を提供する(請求項1)。
【0009】
このような洗浄方法であれば、濾過した洗浄液の前記洗浄装置への供給に先立ち、濾過した洗浄液を排出管を通して系外へ排出し、その後、濾過した洗浄液を供給管を通して洗浄装置に供給するので、例えば洗浄装置への洗浄液の供給を停止している間に、濾過後に滞留している洗浄液中に微細な気泡が発生しても、予め、該微細気泡を含む洗浄液を系外へ排出することができる。これにより、洗浄装置へ洗浄液を供給する際に、従来よりも洗浄液中の微細気泡の量を抑制することができ、基板の洗浄に由来し、微細気泡を起因とする微小な異物欠陥の発生を著しく抑制することができ、生産性、歩留りを向上することができる。
【0010】
特には、前記濾過した洗浄液を供給管を通して前記洗浄装置に供給して被洗浄基板を洗浄するとき、少なくとも、前記濾過した洗浄液を排出管を通して系外へ排出し、その後、前記濾過した洗浄液を供給管を通して前記洗浄装置に供給し始めるまで、前記排出管から洗浄液を排出し続けるのが望ましい(請求項2)。
【0011】
このような洗浄方法であれば、濾過した洗浄液を排出管を通して系外へ排出し、その後、濾過した洗浄液を供給管を通して洗浄装置に供給し始めるまで、排出管から洗浄液を排出し続けるので、濾過後に滞留している洗浄液中に微細な気泡が発生しても、該微細気泡を含む洗浄液を系外へ排出することができる。これにより、洗浄装置へその微細な気泡が含まれた洗浄液が送られるのを防止することができる。したがって、基板の洗浄に由来し、微細気泡を起因とする微小な異物欠陥の発生を一層抑制することができ、生産性、歩留りを向上することができる。
【0012】
このとき、前記濾過した洗浄液を供給し始めた後、濾過した洗浄液を前記供給管を通して供給しながら、同時に前記排出管を通して排出し続けることができる(請求項3)。
このようにすれば、より確実に洗浄液が滞留するのを防ぎ、気泡の発生を抑制することができ、洗浄装置へ気泡を含まない洗浄液を供給することが可能である。
【0013】
また、前記濾過した洗浄液の洗浄装置への供給を停止しているとき、濾過した洗浄液を前記排出管を通して排出し続けることができる(請求項4)。
このようにすれば、濾過フィルタで濾過した洗浄液は、洗浄装置への供給を停止しているときでも系外へと排出されるので、濾過した洗浄液が滞留するのを事実上なくすことができ、次回の供給時に微細な気泡が発生するのを抑制することができる。
【0014】
さらには、前記被洗浄基板の全てを洗浄し終えるまで、前記濾過した洗浄液を前記排出管を通して排出し続けることができる(請求項5)。
このようにすれば、濾過した洗浄液を滞留させることはなく、しかも洗浄液を系外へ排出するための制御が極めて容易であり、作業を簡便化することができる。
【0015】
また、前記濾過した洗浄液を洗浄装置へ供給するとき、前記排出管の入口の高さ位置が、前記供給管の入口の高さ位置よりも高くなるようにすることが好ましい(請求項6)。
このようにすることで、濾過した洗浄液中で発生した微細な気泡を、より効率よく排出管へと導くことができ、洗浄装置へ気泡を含んだ洗浄液が供給されるのを一層防止することができる。
【0016】
そして、前記被洗浄基板を、フォトマスク用透明基板、フォトマスクブランク、フォトマスクブランク製造中間体、フォトマスクのいずれかとすることができる(請求項7)。
このように、精密な洗浄を要するこれらに対して本発明の洗浄方法を適用すれば、市場の要求に応えて従来よりも異物の発生が少ないものを提供することができる。
【0017】
これらの本発明の洗浄方法において、前記洗浄液を超純水とすることができる(請求項8)。
微細な気泡による洗浄不良は、特に超純水によるリンス時に起こりやすく、超純水による洗浄において本発明を適用することによって、洗浄時に発生する微細異物の発生を強く抑制することができる。
【0018】
また、本発明は、被洗浄基板を洗浄する洗浄装置に洗浄液を供給する洗浄液供給装置であって、少なくとも、前記洗浄液から異物を除去するための濾過フィルタと、前記洗浄液を前記洗浄装置に供給するための供給管と、前記洗浄液を系外へ排出するための排出管と、前記供給管と排出管の各々に配設され前記洗浄液の液量を制御するためのバルブを備え、前記濾過フィルタよりも下流側で前記供給管と前記排出管が接続されており、前記供給管と排出管の各々のバルブの開閉により、前記濾過フィルタで濾過された洗浄液を、前記洗浄装置へ供給および/または系外へ排出可能なものであることを特徴とする洗浄液供給装置を提供する(請求項9)。
【0019】
このような洗浄液供給装置であれば、濾過フィルタで濾過された洗浄液を洗浄装置へ供給可能なだけでなく、系外へと排出することも可能である。したがって、例えば濾過されて滞留している洗浄液中に微細な気泡が発生しても、該微細気泡を含む洗浄液を系外へ排出することができ、洗浄装置へその微細な気泡が含まれた洗浄液が送られるのを防止することができる。これにより、基板において微小な異物欠陥の発生を著しく抑制することができ、生産性、歩留りを向上することができる。
【0020】
このとき、前記供給管と前記排出管の接続部において、排出管の入口の高さ位置が、供給管の入口の高さ位置よりも高いものであるのが好ましい(請求項10)。
このようなものであれば、濾過された洗浄液中で発生した微細な気泡は、排出管へ導かれやすく、洗浄装置へ気泡を含んだ洗浄液が供給されるのをより効果的に防止することができる。
【0021】
また、前記濾過フィルタを有するフィルタハウジングと、該フィルタハウジングを囲うハウジングを備え、洗浄液が前記ハウジングから前記濾過フィルタを通して前記フィルタハウジング内へと流れるものであり、前記ハウジングには、少なくとも洗浄液中の気泡を系外へ排除するための気泡排除管が接続されているものが好ましい(請求項11)。
【0022】
このようなものであれば、フィルタハウジングを囲うハウジング内における洗浄液中の気泡を系外へ排除できる。したがって濾過フィルタで濾過され、洗浄装置へと供給される洗浄液中の気泡の量をより少なくすることができる。また、気泡による濾過能力の低下や発塵を抑制できる。
【0023】
そして、前記被洗浄基板は、フォトマスク用透明基板、フォトマスクブランク、フォトマスクブランク製造中間体、フォトマスクのいずれかとすることができる(請求項12)。
被洗浄基板がこのようなものであれば、これらは極めて精密な洗浄が望まれているものであり、市場の要求に応えて従来よりも異物の発生が少ない洗浄されたものを提供することができる。
【0024】
また、前記洗浄液が超純水であれば(請求項13)、超純水による洗浄時に特に発生しやすい微細異物の発生を強く抑制することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の洗浄方法であれば、濾過後の洗浄液中の気泡を起因とする微小な異物の発生を極めて強く抑制することができるので、洗浄後にパーティクルによる汚染の少ない基板を得ることができ、生産性、歩留りの向上を図ることができる。
また、本発明の洗浄液供給装置であれば、濾過された洗浄液を洗浄装置へ供給することもできるし、系外へと排出することもでき、微細な気泡が含まれた洗浄液を洗浄装置へ供給するのを防止することが可能になる。したがって、基板の洗浄における微小な異物の発生を抑制し、精密な洗浄を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下では、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
現在、特に半導体等の極めて微細なパターン形状を持つ製品のリソグラフィー加工に関するフォトマスク用透明基板、フォトマスクブランク、フォトマスクブランク製造中間体、フォトマスク等の洗浄では、極めて微細なパーティクルによる異物汚染も排除されることが望まれており、従来技術として挙げたような洗浄液の改良や乾燥方法の改良を含め、種々の提案がされてきている。
【0027】
しかしながら、何れの方法も一定の効果は見出されるものの、微細異物の問題は依然として突発的に発生してきた。
また、本発明者も、洗浄後の基板について0.08μm程度の極めて微細な異物による欠陥の検査を行ったところ、細心の注意を払って洗浄した場合にも、やはり微細異物の問題がかなりの頻度で突発的に発生することがあることを見出した。
【0028】
このような微細異物による欠陥は、透明基板上や成膜中間膜に発生したものである場合、積層膜の剥がれや、エッチング加工時の異常挙動を示す原因となる可能性があり、またマスクブランク上である場合には、エッチング加工時の異常挙動やレジスト膜の剥がれ、レジストパターンの異常形状を与える可能性がある。そこで、微細なパターンを持つフォトマスクを高い信頼度で製造するためには、このような微細な異物の問題を解決する必要がある。
【0029】
そこで本発明者は、この問題を解決するべく、洗浄後の基板における微細な異物について鋭意研究を行った。具体的には、異物の発生原因を種々仮定して、その原因を排除する操作を加えることによって、汚染発生状況がどのような変化をするかという手法をもって問題の発生原因と解決方法の検討を行った。
【0030】
通常、洗浄液は、微細異物の混入を防止するため、洗浄装置の上流に洗浄液供給装置を設け、使用直前に濾過フィルタを用いた濾過が行われる。また、この濾過フィルタ周りでの洗浄液の送液のコントロールは、バルブ等の開閉制御機構からパーティクルが発生した場合に備えて、開閉機構を濾過フィルタの上流側に配置し、制御機構からパーティクルが発生した場合にも濾過フィルタで除去できるようなシステムとされてきた。
【0031】
しかしながら、本発明者はこのような装置について検討を重ね、この従来の装置を用いた場合、洗浄装置への送液が中断している間に、洗浄液供給装置内で滞留している洗浄液、特に濾過フィルタハウジングの濾過フィルタよりも下流側のスペースで比較的多量に滞留している洗浄液から気泡が発生しやすく、これが途中で排除されることなくユースポイントに送られることになると考えた。そして、この気泡が被洗浄基板上に洗浄中に付着することが微細異物の原因となっている可能性がある。
【0032】
そこで、本発明者は、上記のように、洗浄作業中、特に洗浄液の供給が停止している間に、洗浄液供給装置の濾過フィルタを有するフィルタハウジング内で発生した微細気泡が、実際にユースポイントへ供給される洗浄液中に混入してしまうことが異物発生の原因であると仮定し、そのような気泡や気泡を含む洗浄液を、ユースポイントに供給する洗浄液から排除することを試みたところ、上記の突発的な微細異物による汚染の発生が強く抑制できることを見出した。
【0033】
すなわち、本発明者は、異物発生の原因が気泡由来のものであることを発見し、特に濾過後で滞留している洗浄液中から発生する微細な気泡を、洗浄装置に供給する洗浄液に流れることを防ぐことによって、上述のような異物問題が解決されることを見出し、本発明に至った。
【0034】
以下では、本発明の洗浄液供給装置および洗浄方法について、図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
まず、本発明の洗浄液供給装置について述べる。
(第一の実施形態)
図1に、本発明の洗浄液供給装置の一例の概略を示す。なお、洗浄液供給装置1よりも下流に配設された洗浄装置10、該洗浄装置のノズル11(ユースポイント)から噴射される洗浄液で洗浄される被洗浄基板12も併せて示している。
【0035】
なお、被洗浄基板12としては、例えば、精密な洗浄が求められるフォトマスク用透明基板、フォトマスクブランク、フォトマスクブランク製造中間体、フォトマスクとすることができるが、本発明の洗浄液供給装置はこれらの洗浄以外に対しても当然適用することが可能である。
また、洗浄液が例えば超純水の場合、超純水を製造する装置には、UV殺菌等の処理で発生する可能性のあるガスを系外に排除するものが一般的に取り付けられているが、そのような脱気純水を利用することもできる。本発明において効果を特に有用に適用しうる洗浄液としては、被洗浄基板に洗浄液を適用した後、スクラブを用いた処理を伴わないような洗浄操作に用いる洗浄液一般であり、具体的には、超純水、ガス導入により伝導度を調整した超純水、水素水、オゾン水、希フッ酸水等を挙げることができる。
【0036】
図1に示すように、洗浄液供給装置1は、ハウジング2を有し、このハウジング2には、例えば加温工程等を経た後に送られてくる洗浄液がハウジング2に入るための洗浄液入口3が設けられている。また、ハウジング2内には濾過フィルタ4を有するフィルタハウジング5が備えられており、ハウジング2内に入った洗浄液は、濾過フィルタ4により濾過されてフィルタハウジング5内へ流れる。
【0037】
さらに、濾過フィルタ4よりも下流側において、濾過された洗浄液を洗浄装置10へ供給するための供給管6と、系外へ排出するための排出管7が配設されている。図1の場合では、フィルタハウジング5に接続された1本の配管が分岐して上記供給管6および排出管7へと接続されている。
【0038】
この場合、分岐の形状は装置に合わせてどのような形を取っても良いが、洗浄液中の気泡を排出管7へと導き、系外へより抜けやすくするためには、分岐部分で重力方向に対して上側になる管を排出管7とする。すなわち、排出管7の入口8bの高さ位置が、供給管6の入口8aの高さ位置よりも高くなるように接続されていることが好ましい。
典型的には分岐はT型とし、フィルタハウジング5の側からくる配管と排出管7が直線上となるようにして、供給管6が下側に突出する形とする。
なお、上述の供給管6と排出管7の配置は、ハウジング2内の流路設計や、排出管7からの排出量の設定により、高さ方向の上下関係が逆転していても、滞留している洗浄液を排出管7の入口8bからほぼ完全に排出できるようにすることは可能である。
【0039】
また、上記供給管6にはバルブ9aが配設されており、この開閉によって、洗浄装置10へ供給される洗浄液の液量を制御することが可能である。また、排出管7にはバルブ9bが配設されており、この開閉によって、系外へ排出される洗浄液の液量を制御可能となっている。
これらのバルブ9a、9bは特に限定されるものではなく、例えば、エア駆動、電磁駆動等の駆動型開閉弁や、ニードルバルブ等種々のものを用いることができる。洗浄液の液量を制御できるものであれば良く、プログラム等により自動制御可能なものであれば好ましい。さらには、バルブ9a、9bが互いに連動して制御されるものを用いればより簡便である。所望のタイミング、液量で洗浄液を供給管6、排出管7を通して流すことができるものであれば良い。また、配設する数量も特に限定されない。
【0040】
また、供給管6と排出管7の分岐部(あるいは、例えば後述する図2、図3の形態の場合、フィルタハウジングへの供給管の接続部)からユースポイントまでの距離が長すぎる場合には、洗浄液の供給停止時に配管中で気泡が生じてしまう可能性があり、本発明の効果が減弱される。このため、濾過フィルタ4よりユースポイントまでの配管の距離は短い方がよく、好ましくは5m以内、より好ましくは2m以内である。
【0041】
また、図1に示すように、必要に応じて、ハウジング2に気泡排除管13を接続することができる。気泡排除管13の接続位置は特に限定されないが、ハウジング2の上部であればより効率的に気泡を排除することができるので好ましい。図1では、気泡排除管13は、洗浄液入口3と同じ側のハウジング2の側面に接続されている。気泡排除管13には、例えば気液分離器14やあるいは間歇弁等が備えられており、これらによって、気泡排除管13を通してハウジング2内の洗浄液中に存在する気泡を系外へ排除することができる。
これによってハウジング2内の洗浄液中に含まれる気泡を排除できるため、最終的に、気泡を含む洗浄液が洗浄装置10へ供給されるのをより効果的に防止できる。また、気泡を起因とする濾過フィルタ4での濾過能力の低下や濾過フィルタ4からの発塵を抑制でき、洗浄の効率化を図ったり、洗浄後の基板におけるパーティクルの発生をより抑制することが可能である。
【0042】
気液分離器14としては、すでに多くのものが公知であり、気体分子のみが通過可能な気液分離膜を用い、外側を負圧として気体を除去するものや、気体と液体の比重差を用いるもの等が知られているが、効率的に気泡が排除されるものであれば、何れのものも使用することができる。
一方、洗浄液と気泡を完全に分離して気泡のみを系外へと排除するものを備えるのではなく、洗浄液と気泡を一体として、気泡を含む洗浄液ごと排除してしまうタイプのものを備えることもできる。
例えば上記の比重差を用いる気液分離器のタイプの場合、気泡のみを排除するのではなく、一定量の洗浄液と共に気泡を系外へと排除してしまうものとすることができ、洗浄液と気泡の完全な分離をするための装置の大きさは不必要となり、気液分離器は小型化することができる。
【0043】
従来の洗浄液供給装置では、濾過フィルタよりも下流側には、本発明の洗浄液供給装置1における排出管7は接続されていないため、濾過後の洗浄液がそのまま洗浄装置へと供給されて被洗浄基板へと噴射されていた。
【0044】
しかしながら、上記のような本発明の洗浄液供給装置1であれば、濾過フィルタよりも下流側において、洗浄装置10へ洗浄液を供給する供給管6の他に、系外へと排出するための排出管7が接続されているので、例えば洗浄作業の停止によってフィルタハウジング5内に滞留し、微細な気泡が発生してしまっている濾過後の洗浄液を排出管7を通して系外へ排出することが可能である。すなわち、濾過後の微細気泡を含む洗浄液が洗浄装置10へ供給され、被洗浄基板12へ噴射されるのを防止することができる。
【0045】
そして、バルブ9a、9bの制御と併せて、フィルタハウジング5内に滞留することなく微細な気泡の発生が少ない濾過後の洗浄液を供給管6を通して洗浄装置10へ供給し、被洗浄基板の洗浄の際に噴射することができる。
したがって、本発明の洗浄液供給装置であれば、洗浄後の基板に見られる微小な異物欠陥の発生を抑制することができ、生産性、歩留り高く基板を洗浄することが可能になる。
【0046】
(第二の実施形態)
図2に、別の実施形態の本発明の洗浄液供給装置201を示す。図2の場合では、フィルタハウジング205の上面で供給管206および排出管207が直接接続されている。
このとき、図2(A)に示すように、例えば洗浄液供給装置201のハウジング202やフィルタハウジング205を水平に設置し、供給管206の入口208aの高さ位置と排出管207の入口208bの高さ位置が同じになるように供給管206と排出管207が接続されたものとすることができる。
【0047】
これに対して、図2(B)に示すように、例えば洗浄液供給装置201のハウジング202、フィルタハウジング205を斜めに設置し、その結果、排出管207の入口208bの高さ位置が供給管206の入口208aの高さ位置よりも高くなるように、供給管206と排出管207が接続されているものとすることも可能である。供給管206と排出管207の接続部がこのような位置関係であれば、上述したように、濾過後の洗浄液中の気泡を排出管207を通して系外へ排出しやすくなるのでより好ましい。
【0048】
また、図1ではハウジング2に気泡排除管13を設けたものを説明したが、図2に示すように気泡排除管が備えられていないものとすることもできる。特に図2の形態の場合、ハウジング202内における洗浄液中の気泡はハウジング202の上端に移動しやすく、図1の形態に比べ、濾過フィルタ204からフィルタハウジング205内へ気泡が移動しにくいと考えられる。ただし、当然、図2のような形態であっても、ハウジング202の上部に気泡排除管を別個に接続することも可能である。
【0049】
(第三の実施形態)
図3に、さらに別の実施形態の本発明の洗浄液供給装置301を示す。
図3の場合では、フィルタハウジング305の側面に直接供給管306および排出管307が接続されている。この場合、やはり、排出管307の入口308bの高さ位置が供給管306の入口308aの高さ位置よりも高くなるように、それぞれ接続されているのが好ましい。
また、気泡排除管313は、ハウジング302の洗浄液入口303とは反対側の側面に接続されている。
【0050】
以上、本発明の洗浄液供給装置の実施形態について例を挙げて説明してきたが、これらの形態に限定されるものではない。少なくとも、濾過フィルタよりも下流側に、各々バルブが配設された供給管と排出管を備え、このバルブの開閉制御によって、濾過フィルタで濾過された洗浄液を、洗浄装置へ供給および/または系外へ排出が可能であるものであれば良い。
また、その他の装置の構成要素等については特に限定されず、例えば従来品と同様のものとすることができる。
【0051】
次に、本発明の洗浄方法について説明する。
ここでは、図1の洗浄液供給装置1を用いた場合の洗浄方法について説明するが、使用する洗浄液供給装置はこれに限定されない。本発明の洗浄方法においては、洗浄液を濾過フィルタで濾過して異物を除去し、濾過後の洗浄液を供給管を通して洗浄装置に供給して被洗浄基板を洗浄するときに、少なくとも、濾過した洗浄液の洗浄装置への供給に先立ち、濾過した洗浄液を排出管を通して系外へ排出し、その後、濾過した洗浄液を供給管を通して洗浄装置に供給することが可能であれば良く、適切な洗浄液供給装置を用意して実施すれば良い。
【0052】
すなわち、本発明の洗浄方法では、洗浄装置10に洗浄液を供給して被洗浄基板12を洗浄するに先立って、まず、濾過フィルタ4で濾過した洗浄液を、バルブ9bの状態を開とすることにより排出管7から系外へと排出する。これにより、主にフィルタハウジング5内で滞留していた洗浄液を、該洗浄液中で発生した微細な気泡とともに排出することが可能である。
【0053】
そして、上記のように一旦洗浄液を系外へ排出し、例えばバルブ9bを閉とした後に、実際にノズル11から洗浄液を噴射して被洗浄基板12を洗浄するために、バルブ9aを開として供給管6から洗浄液を供給する。
より好ましくは、洗浄装置10へ洗浄液を供給するにあたって、バルブ9aを開として供給管6から濾過した洗浄液を供給するまで、そのまま排出管7を通して系外へ洗浄液を排出し続ける。したがって、フィルタハウジング5等の内部で洗浄液を滞留させることなく、微細な気泡の発生も抑制することができ、気泡の発生が抑制された洗浄液を洗浄装置10へ供給することが可能である。
これにより、微細な気泡が極めて抑制された洗浄液で被洗浄基板12を洗浄することができ、微細な気泡を起因とする微小欠陥、異物の発生を防ぐことが可能になる。
【0054】
なお、この場合、排出管7からの洗浄液の排出に関しては、上記のように、濾過した洗浄液を供給管6を通して洗浄装置10に供給し始めるまで行っていればよく、その後については特に限定されない。
したがって、例えば、バルブ9aを開として供給管6を通して洗浄装置10に洗浄液を供給し始めた後でも、同時に排出管7から洗浄液を排出し続けても良い。そして、所定時間排出し続けた後、バルブ9bを閉として洗浄液の排出を停止することができ、1枚の被洗浄基板を洗浄し終えて洗浄装置10への洗浄液の供給を停止し、次の被洗浄基板を洗浄する際に、再度先立ってバルブ9bを開として、排出管7から洗浄液を排出する。
【0055】
あるいは、バルブ9aを開として供給管6を通して洗浄装置10に洗浄液を供給し始めると同時に、バルブ9bを閉として排出管7からの洗浄液の排出を停止することもできる。すなわち、供給開始時の直前のみに洗浄液の排出を行い、フィルタハウジング5内に滞留した洗浄液のみを排出する方法である。この方法を採ることによって洗浄液の消費を最も抑制することができる。
この場合、洗浄工程で、洗浄液の使用開始直前に排出動作を入れる時間を取ることが必要となり、排出タイミングに対して供給タイミングが遅れないようにするために、洗浄時の供給の標準サイクルを作成して、そのプログラムに従い、各バルブ等を操作することが好ましい。自動的にバルブ9a、9bの開閉を制御すればより確実に所望のタイミングで洗浄液の供給および排出を行うことができる。当然、他のサイクルにおいてもこのようなバルブ9a、9bの自動化を図ることができる。
【0056】
上記のようなプログラムを作成する際、バルブ9bを開として滞留した洗浄液を排出する操作を開始してから、バルブ9aを開として供給を開始するまでの、排出のみを行う時間は、フィルタハウジング5の大きさ等に合わせて排出液量を調整することで、短時間に十分な排出が行われるようにすることが好ましいが、0.2〜5秒程度で行えるよう調整することが好ましい。
【0057】
このような制御は例えばシーケンサーにより行うことができる。すなわち、洗浄液を使用する信号が入ると、まずバルブ9bが開となり、十分な排出を行うための所定時間後に、バルブ9aが開となり、バルブ9bが閉となるような連携動作が可能な装置を組んで行えば良い。
なお、当然、プログラムを用いずにマニュアルでこれらのバルブ9a、9b等の制御を行うことも可能である。
【0058】
さらには、例えば複数枚の被洗浄基板の洗浄を目的として、最初の被洗浄基板を洗浄するため洗浄装置10への供給を開始した後、最後の被洗浄基板の洗浄を終了するまでの間において(つまり洗浄工程の開始から終了まで)、バルブ9bを開として濾過後の滞留している洗浄液を排出するのは、上記のようにバルブ9aが閉から開になる直前だけでも良いが、気泡の発生そのものの起こり易さを下げるためには、バルブ9aが閉の状態である場合には、常にバルブ9bを開としても良い。
この操作によって、フィルタハウジング5内には、洗浄液の滞留がなくなるため、気泡の発生そのものが起こりにくくなる。また、この方法を採った場合、上述のような洗浄装置10への供給を開始したい時に、排出を行う時間分のタイムラグを生じるといった供給のタイミングに関する問題も起こらなくなる。したがって、特に、洗浄操作をマニュアルで行う場合には、この方法を採った方が簡単な装置で実施でき、操作性も良い。
【0059】
また、1枚以上の被洗浄基板の洗浄を目的として、洗浄装置10への供給を開始した後、洗浄工程が終了するまでの間(すなわち全ての被洗浄基板を洗浄し終えるまでの間)、バルブ9bは常に開状態にしておいても良い。この方法を採った場合、多少洗浄液が浪費されることになるが、バルブ9aの開閉に連動させてバルブ9bを開閉させる必要がなくなり、装置の制御は非常に簡単なもので行うことができるようになる。
【0060】
ところで、バルブ9aが開の時にもバルブ9bを開としておく場合、排出管7を通じて排出される洗浄液量は、供給管6から供給される洗浄液量に対して、目安として1/20〜3倍量に設定することが好ましく、より好ましくは1/10〜2倍量とする。この時の排出量の最適値は、ハウジング2の形状や供給管6や排出管7の配置等に依存するため、実際の装置に合わせて調整する必要があるが、一般には、上記目安の量でより効果的な結果を得ることができる。また、必要量以上の排出は、洗浄液の浪費だけでなく、濾過圧の上昇を意味することになるため、濾過フィルタ4の選択にもよるが、場合によっては濾過フィルタ4の異物除去能力を低下させることになるので、供給量の3倍量以上の排出は避けることが好ましい。
【0061】
また、洗浄液の洗浄装置10への供給および系外への排出にあたっては、排出管の入口の高さ位置が供給管の入口の高さ位置よりも高くなるようにするのが好ましく、例えば、図1のように、上述したようにT字型の分岐を用いることによって上記条件を達成することができる。
一方、フィルタハウジングに、供給管および排出管を直接接続させた装置を用いるのであれば、図2(B)のように斜めに設置して、排出管の入口の方が重力方向に対して供給管の入口よりも高くなるよう設置することが好ましい。
【0062】
また、そのように装置を設置することが難しい場合には、排出管側のバルブを閉から開にする際に、排出管が供給管より上側になるよう、フィルタハウジングの向きを調整できるようにしておくことが好ましい。
特に、上述の洗浄工程中に排出管側のバルブを常に開にしておくような方法を採る場合には、使用開始時に上記排出管が供給管より上側になるように調整して排出を行えば、その後、供給管の入口が排出管の入口よりも上側になっても、本発明の効果を十分得ることができる。
【0063】
なお、洗浄液としては特に限定されないが、例えば超純水を用いることができる。超純水を用いるのであれば、本発明は特に有効である。必要に応じて適宜洗浄液の種類は決定することができる。
また、被洗浄基板12についても特に限定されず、例えば、フォトマスク用透明基板、フォトマスクブランク、フォトマスクブランク製造中間体、フォトマスクに対して本発明の洗浄方法を適用することができる。
【実施例】
【0064】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
(実施例1)
スピン洗浄・乾燥機に洗浄液を供給し、フォトマスク基板を洗浄し、スピン乾燥可能な装置(洗浄装置)を用い、この装置に洗浄液を供給する洗浄液供給ラインに、装置の30cm手前に、図2の本発明の洗浄液供給装置201を装着した。このとき、供給管下流には洗浄装置の洗浄工程に連動して洗浄液を送るためのフッ素樹脂加工製エアオペレートバルブ(アドバンス社製)、排出管の下流には2つのストップバルブを設置した。
【0065】
次に、供給管下流のエアオペレートバルブを開にした際に、供給管から供給される洗浄液の量が毎分1L、排出管から排出される洗浄液の量が1Lとなるように、排出管下流の1つのストップバルブを開のまま、残りのストップバルブを用いて排出量を調整した。また、洗浄液を使用しない時には上記開としておいたストップバルブを閉として排出を遮断できるようにした。
【0066】
次に、被洗浄基板として、主面にCrN(Cr:N=9:1(原子比))からなる遮光膜26nmとCrON(Cr:N:O=4:5:1(原子比))からなる反射防止膜20nmをスパッタで成膜した石英基板を20枚用意して、それぞれの基板の欠陥の分析をレーザーテック社製MAGICSを用いて行い、0.08μm以上0.1μm未満、0.1μm以上0.2μm未満、0.2μm以上の欠陥の位置をそれぞれ特定した。
【0067】
次に、図2(B)のように、洗浄液供給装置の向きを、排出管の入口の高さ位置の方が供給管の入口の高さ位置よりも高くなるように保持して、排出管からの排出を遮断していたストップバルブを開として洗浄液の排出を開始した。そして、上記欠陥位置が特定された基板をスピン洗浄・乾燥機に乗せ、上記洗浄液の排出より5秒後より、上記洗浄液供給装置を通過した超純水を、10分間、毎分1L供給して洗浄し、洗浄後1000rpmで30秒間スピン乾燥を行った。
すなわち、本発明の洗浄方法を実施した。
準備した20枚の基板それぞれに対して上記洗浄操作を行った後、再び欠陥検査を行い、新たな位置に発生した欠陥を測定した。
【0068】
20枚の基板全てに対して新たに観測された合計の欠陥数は、0.08μm以上0.1μm未満のものが7個(0.35個/枚)、0.1μm以上0.2μm未満のものが2個(0.1個/枚)、0.2μm以上のものが2個(0.1個/枚)であった。
これらは後述する比較例1と比べて少ない。特に0.08μm以上0.1μm未満のものに関して実施例1は比較例1に対して極めて少ない。本発明によって、微細な気泡を含む洗浄液で基板が洗浄されるのを防ぐことができたためと考えられる。
【0069】
(比較例1)
実施例1に用いた装置と比較して排出管を備えていない装置を用い、排出管からの洗浄液の排出がないこと以外は実施例1と全く同様に、欠陥の位置が特定されている上記クロム膜が成膜された基板20枚を超純水で洗浄した。すなわち、従来の洗浄方法によって洗浄を行った。そして、その後スピン乾燥し、新たな位置に発生した欠陥を測定した。
【0070】
20枚の基板全てに対して新たに観測された合計の欠陥数は、0.08μm以上0.1μm未満のものが28個(1.4個/枚)、0.1μm以上0.2μm未満のものが3個(0.15個/枚)、0.2μ以上のものが6個(0.3個/枚)であった。
実施例1に比べて特に0.08μm以上0.1μm未満のものが増加した。
【0071】
(実施例2)
スピン洗浄・乾燥機に洗浄液を供給し、フォトマスク基板を洗浄、スピン乾燥可能な装置を用い、この装置に洗浄液を供給する洗浄液供給ラインに、装置の30cm手前に、図3のような、ハウジングに洗浄液入口と気泡排除管を持ち、濾過フィルタ下流側にユースポイントに洗浄液を送る供給管と、フィルタハウジング内に滞留した洗浄液を排出するための排出管を持つ洗浄液供給装置301を装着した。
【0072】
供給管の下流には洗浄工程に連動して洗浄液を送るためのエアオペレートバルブを設置し、排出管と気泡排除管の下流には、それぞれ、上記洗浄液をユースポイントに送るための供給管のエアオペレートバルブと連動して動作できるエアオペレートバルブを設置し、更にそれぞれの出口には排出量が調整できるようにストップバルブを設けた。
【0073】
更に、洗浄液の供給が開始すると同時に排出管と気泡排除管の下流のエアオペレートバルブが閉となり、ユースポイントへの供給は毎分1Lとなるように調製した。また、供給管下流のエアオペレートバルブが閉になると同時に、排出管と気泡排除管の下流のエアオペレートバルブが開となり、排出管と気泡排除管の両方より、0.5Lずつ洗浄液が排出されるように調製し、装置を使用しない場合には全ての電磁弁が閉となるようにした。
すなわち、本発明の洗浄方法により洗浄を行う。
【0074】
次に、実施例1と同様の欠陥の位置が特定されている上記クロム膜が成膜された基板50枚を、上記洗浄液供給装置および洗浄液の供給と排出の制御系が設置されたスピン洗浄・乾燥機を用いて、超純水で洗浄、スピン乾燥した後、新たな位置に発生した欠陥を測定した。
【0075】
50枚の基板全てに対して新たに観測された合計の欠陥数は、0.08μm以上0.1μm未満のものが16個(0.32個/枚)、0.1μm以上0.2μm未満のものが1個(0.02個/枚)、0.2μm以上のものが2個(0.04個/枚)であり、実施例1と同様、増加数は比較例に対して極めて少ないものであった。
【0076】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】洗浄装置、本発明の洗浄液供給装置の一例の概略を示す概略図である。
【図2】本発明の洗浄液供給装置の別の実施形態の一例の概略を示す概略図である。
【図3】本発明の洗浄液供給装置の別の実施形態の一例の概略を示す概略図である。
【符号の説明】
【0078】
1、201、301…本発明の洗浄液供給装置、
2、202、302…ハウジング、
3、303…洗浄液入口、 4、204…濾過フィルタ、
5、205、305…フィルタハウジング、
6、206、306…供給管、 7、207、307…排出管、
8a、208a、308a…供給管の入口、
8b、208b、308b…排出管の入口、
9a…供給管に配設されたバルブ、 9b…排出管に配設されたバルブ、
10…洗浄装置、 11…ノズル、 12…被洗浄基板、
13、313…気泡排除管、 14…気液分離器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を洗浄装置に供給して被洗浄基板を洗浄する洗浄方法であって、
前記洗浄液を異物を除去するための濾過フィルタで濾過し、該濾過した洗浄液を供給管を通して前記洗浄装置に供給して被洗浄基板を洗浄するとき、
少なくとも、前記濾過した洗浄液の前記洗浄装置への供給に先立ち、前記濾過した洗浄液を排出管を通して系外へ排出し、その後、前記濾過した洗浄液を供給管を通して前記洗浄装置に供給することを特徴とする洗浄方法。
【請求項2】
前記濾過した洗浄液を供給管を通して前記洗浄装置に供給して被洗浄基板を洗浄するとき、
少なくとも、前記濾過した洗浄液を排出管を通して系外へ排出し、その後、前記濾過した洗浄液を供給管を通して前記洗浄装置に供給し始めるまで、前記排出管から洗浄液を排出し続けることを特徴とする請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項3】
前記濾過した洗浄液を供給し始めた後、濾過した洗浄液を前記供給管を通して供給しながら、同時に前記排出管を通して排出し続けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗浄方法。
【請求項4】
前記濾過した洗浄液の洗浄装置への供給を停止しているとき、濾過した洗浄液を前記排出管を通して排出し続けることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の洗浄方法。
【請求項5】
前記被洗浄基板の全てを洗浄し終えるまで、前記濾過した洗浄液を前記排出管を通して排出し続けることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の洗浄方法。
【請求項6】
前記濾過した洗浄液を洗浄装置へ供給するとき、前記排出管の入口の高さ位置が、前記供給管の入口の高さ位置よりも高くなるようにすることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の洗浄方法。
【請求項7】
前記被洗浄基板を、フォトマスク用透明基板、フォトマスクブランク、フォトマスクブランク製造中間体、フォトマスクのいずれかとすることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の洗浄方法。
【請求項8】
前記洗浄液を超純水とすることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の洗浄方法。
【請求項9】
被洗浄基板を洗浄する洗浄装置に洗浄液を供給する洗浄液供給装置であって、
少なくとも、前記洗浄液から異物を除去するための濾過フィルタと、前記洗浄液を前記洗浄装置に供給するための供給管と、前記洗浄液を系外へ排出するための排出管と、前記供給管と排出管の各々に配設され前記洗浄液の液量を制御するためのバルブを備え、
前記濾過フィルタよりも下流側で前記供給管と前記排出管が接続されており、前記供給管と排出管の各々のバルブの開閉により、前記濾過フィルタで濾過された洗浄液を、前記洗浄装置へ供給および/または系外へ排出可能なものであることを特徴とする洗浄液供給装置。
【請求項10】
前記供給管と前記排出管の接続部において、
排出管の入口の高さ位置が、供給管の入口の高さ位置よりも高いものであることを特徴とする請求項9に記載の洗浄液供給装置。
【請求項11】
前記濾過フィルタを有するフィルタハウジングと、該フィルタハウジングを囲うハウジングを備え、洗浄液が前記ハウジングから前記濾過フィルタを通して前記フィルタハウジング内へと流れるものであり、
前記ハウジングには、少なくとも洗浄液中の気泡を系外へ排除するための気泡排除管が接続されているものであることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の洗浄液供給装置。
【請求項12】
前記被洗浄基板は、フォトマスク用透明基板、フォトマスクブランク、フォトマスクブランク製造中間体、フォトマスクのいずれかであることを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか一項に記載の洗浄液供給装置。
【請求項13】
前記洗浄液が超純水であることを特徴とする請求項9から請求項12のいずれか一項に記載の洗浄液供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−91774(P2010−91774A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−261478(P2008−261478)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】