説明

洗浄方法

【課題】被洗浄基板、例えばフォトマスク基板、フォトマスクブランク、フォトマスクあるいはそれらの製造中間体等を洗浄した場合に、微小異物(パーティクル)の発生を極めて少なくすることができる洗浄方法を提供する。
【解決手段】洗浄液中の異物を除去する異物除去工程を含み、異物を除去した洗浄液を被洗浄基板に供給して洗浄する洗浄方法であって、少なくとも、前記洗浄液をフィルタで濾過して洗浄液中の異物を除去する前記異物除去工程において、併せて洗浄液中の気泡を除去し、前記気泡の除去および異物の除去を行った洗浄液を被洗浄基板に供給して洗浄することを特徴とする洗浄方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置等の製造に用いる基板の洗浄方法に関し、特に、リソグラフィーで用いるフォトマスク基板、フォトマスクブランク、フォトマスクあるいはそれらの製造中間体を洗浄するための洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI又はVLSI等の半導体集積回路の製造をはじめとして、広範囲な用途に用いられているフォトマスクは、基本的には透光性基板(フォトマスク基板)上に金属または金属化合物を含む薄膜による遮光膜を成膜したフォトマスクブランクの該遮光膜を、電子線フォトリソグラフィー法等を用いて、所定の遮光膜パターンに加工することにより得られる。近年では半導体集積回路の高集積化等の市場要求に伴ってパターンの微細化が急速に進み、これに対して露光工程でのレジスト解像度を上げるために、露光波長の短波長化及びレンズの開口数の増大を図ることにより対応している。
【0003】
上記半導体集積回路の製造等に使用するフォトリソグラフィー法では、回路パターンをフォトレジストに焼き付ける原図として、露光光に対して透明な基板上に金属化合物による遮光部を形成したフォトマスクが使用される。しかし、フォトマスクが極めて微細なパターンの露光に用いられてくると、極めて微細な異物及びヘイズ(くもり)も欠陥となるので、フォトマスク及びそれを製造する材料は、極めて清浄であることが求められる。
【0004】
フォトマスクは、露光光をほぼ完全に遮断する遮光部を持つバイナリーマスクや、光を減衰させつつ光透過部に対して光の位相を反転させ、露光光の回折による明暗のコントラスト低下を防止するハーフトーン位相シフトマスク等が実用化されているが、これらは石英やCaF等の透明基板上にクロム化合物や金属シリサイド化合物の遮光部を持つものである。
【0005】
またフォトマスクは、上記のような透明基板に、上記の遮光膜材料の薄膜を成膜し、それに電子線リソグラフィー法等によりレジストパターンを形成し、エッチングにより遮光材料へパターンを転写するといった手順で製造されるが、上記の通り、極めて高い清浄度を求められることから、各工程においては厳密な洗浄が行われる。
【0006】
ところが、露光光としてArFエキシマレーザー光のような高エネルギー線を使用すると、基板に残留していた硫酸イオンとアンモニウムイオンより硫酸アンモニウムの微結晶が生成し、これがパーティクルとなって欠陥としてカウントされる現象が見出され、問題となった。
【0007】
この問題の大きな原因が硫酸イオンであることは明らかとなっており、また、硫酸イオンが除去しにくいことはよく知られている。加温した純水でフォトマスク材料をリンスする方法は、特許文献1で本願出願人が先に提案したものであるが、この温水を用いた方法が、常温の水を用いて洗浄を行った場合よりも硫酸イオンを除く効果が高いことが特許文献2に示されている。
【0008】
【特許文献1】特開2004−19994号公報
【特許文献2】特開2004−53817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで上記のような温水処理を行う場合、温水洗浄槽を用いて洗浄する方法をとることもできるが、より清浄な環境を作るという意味ではノズルで温水を被洗浄基板上に直接供給して洗浄することが好ましい。しかし、このようにノズルで温水等を被洗浄基板上に直接供給して洗浄し、乾燥した基板について本発明者が調査を行ったところ、微細な異物による欠陥が発生してしまっていることが判った。また、温水により洗浄した場合、常温の純水で洗浄した場合よりもこの欠陥が増加する傾向があることが判明した。
【0010】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、被洗浄基板、例えばフォトマスク基板、フォトマスクブランク、フォトマスクあるいはそれらの製造中間体等を洗浄した場合に、微小異物(パーティクル)の発生を極めて少なくすることができる洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、洗浄液中の異物を除去する異物除去工程を含み、異物を除去した洗浄液を被洗浄基板に供給して洗浄する洗浄方法であって、少なくとも、前記洗浄液をフィルタで濾過して洗浄液中の異物を除去する前記異物除去工程において、併せて洗浄液中の気泡を除去し、前記気泡の除去および異物の除去を行った洗浄液を被洗浄基板に供給して洗浄することを特徴とする洗浄方法を提供する(請求項1)。
【0012】
このように、本発明の洗浄方法では、洗浄液をフィルタで濾過して洗浄液中の異物を除去する異物除去工程において、併せて洗浄液中の気泡を除去するので、気泡がフィルタに付着し、フィルタでの濾過圧に変動が生じてしまい、これによる異物の濾過能力の低下、またフィルタからの発塵を効果的に抑制することが可能である。
そして、このようにして気泡の除去および異物の除去を行った洗浄液においては、従来では生じていた気泡を起因とする異物は少なく、洗浄液中の異物の量が従来よりも著しく低減されており、この洗浄液を被洗浄基板に供給して洗浄することによって、洗浄後の基板におけるパーティクルを極めて低減することができる。これによって欠陥の極めて少ない基板を得ることが可能である。
【0013】
なお、ここでいう気泡の除去とは、気泡を、フィルタで濾過される洗浄液から少なくとも分離することを意味する。
【0014】
このとき、前記洗浄液を、前記フィルタのフィルタ面に対して平行な方向の流れ成分を有するように流して、気泡を除去しつつ濾過することができる(請求項2)。
このように、洗浄液を、前記フィルタのフィルタ面に対して平行な方向の流れ成分を有するように流せば、気泡がフィルタに付着するのを一層効果的に防ぎ、気泡をフィルタのフィルタ面に沿って移動させ易く、フィルタで濾過される洗浄液から気泡を除去しつつ濾過することが可能である。
そして、このような方法とすることで、省スペースで効率良く気泡の除去および異物の除去を行うことができる。
【0015】
また、前記洗浄液中の気泡の除去および異物の除去を多段で行うことができ(請求項3)、より一層気泡および異物が除去された洗浄液を被洗浄基板に供給することが可能である。
【0016】
そして、前記洗浄液中の気泡を系外へ排除するのを、該気泡を含む洗浄液ごと排除することができる(請求項4)。
このように、気泡を含む洗浄液ごと排除すれば、より確実に、気泡を系外へと排除することが可能となる。
【0017】
このとき、前記気泡を含む洗浄液ごと系外へ排除するとき、該洗浄液の排除する総量を、前記気泡の除去および異物の除去を行った洗浄液の総量に応じて調整するのが好ましい(請求項5)。
このようにすれば、洗浄液の排除を効率良く行うことができ、コストが必要以上に増加するのを防ぐことができる。
【0018】
そして、前記洗浄液の排除する総量を、前記気泡の除去および異物の除去を行った洗浄液の総量の1倍以上とすることができる(請求項6)。
このように、洗浄液の排除する総量を、気泡の除去および異物の除去を行った洗浄液の総量の1倍以上を目安とすれば、気泡をより確実に排除できるので好ましい。
【0019】
また、前記洗浄液中の気泡を気液分離器を用いて系外へ排除することができる(請求項7)。
このように、気液分離器を用いることにより、より確実に気泡を系外へ排除することが可能である。
【0020】
そして、前記洗浄液を40℃以上100℃未満に加温してから、前記気泡の除去および異物の除去を行うことができる(請求項8)。
このように、洗浄液を40℃以上100℃未満に加温してから、気泡の除去および異物の除去を行えば、気泡が発生し易い加温した洗浄液であっても、気泡を起因とする異物の発生を防止できるとともに、特には硫酸イオンを除く効果が高い洗浄液とすることができ、フォトマスク材料を効果的に洗浄することができる。
【0021】
また、前記被洗浄基板をフォトマスク基板、フォトマスクブランク、フォトマスク、あるいはそれらの製造中間体のいずれかとすることができる(請求項9)。
フォトマスク基板、フォトマスクブランク、フォトマスク、あるいはそれらの製造中間体は極めて高い清浄度を求められるため、本発明の洗浄方法により好適に洗浄することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の洗浄方法であれば、洗浄液中の気泡を起因とするパーティクルの発生を極めて抑制することができるので、洗浄後にパーティクルによる汚染の少ない基板を得ることができ、生産性、歩留りの向上を図ることができる。特には、フォトマスク基板、フォトマスクブランク、フォトマスク、あるいはそれらの製造中間体の洗浄に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下では、本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
従来、フォトマスク材料等において、基板に残留する硫酸イオンを取り除く場合、加温した純水を用いて洗浄するのが有効であることが知られていた。しかしながら、本発明者がこの洗浄方法について鋭意研究を重ね、ノズル等により、その加温した純水を被洗浄基板上に直接供給して洗浄し、乾燥した後の基板について調査を行ったところ、パーティクルが多数発生してしまっていることが判った。
【0024】
さらには、常温の純水で洗浄した場合よりも、上記のように加温した純水で洗浄した場合のほうが、パーティクルがより多く発生していることを発見した。
このように、超純水を加温して、被洗浄基板を洗浄する洗浄液として、ユースポイントである洗浄用ノズル付近でフィルタにより濾過したものを用いた場合に特にパーティクルが多数発生することから、本発明者は、フィルタで異物除去する異物除去工程において、温水の使用により、洗浄後の基板にパーティクルが増加し得る原因を種々検討した。
【0025】
そして、思考錯誤の結果より、上記パーティクルの発生は、洗浄液中に含まれる微細な気泡に起因することを発見した。即ち、洗浄液中に気泡が発生し、異物除去工程で用いるフィルタに付着した場合、それに起因してフィルタでの濾過圧の変動が生じる。さらにこれによる濾過圧の変動で異物の濾過能力の低下、あるいはフィルタからの発塵が生じて、上記パーティクルの発生の問題を引き起こしていることが判った。
【0026】
被洗浄基板に供給する洗浄液(例えば純水)は、一例として、純水製造工程により純水を製造し、製造された純水を加温工程で加温し、その後、異物除去工程で洗浄液中の異物を除去することで用意する方法が挙げられる。この異物除去工程後、得られた洗浄液を被洗浄基板に供給して洗浄を行う。
ここで、純水等の洗浄液中の気泡に関して、洗浄液の加温により気泡は特に発生し易くなるため、例えば特開平4−338282号公報には、洗浄液を加温する工程において、気液分離器を用いて洗浄液中の気泡を排除することが開示されている。
【0027】
しかしながら、本発明者の調査によると、洗浄液の加温にあたって、その加温部に大きな流量の洗浄液を通過させた場合、気液分離器の機能が不十分で気泡を十分には排除できなかったり、あるいは、異物除去工程にかけるべく、加温工程にかけた洗浄液を送液している最中に、過飽和状態の気体が洗浄液中に気泡として取り込まれてしまうことが判った。
すなわち、加温工程、あるいは、それ以前の純水製造工程において、洗浄液中に発生する気泡を洗浄液から排除するための処理を行っていたとしても、異物除去工程にかける洗浄液には気泡が含まれてしまう。
そして、このような洗浄液を異物除去工程でフィルタにより濾過すると、洗浄液中の気泡を起因として、異物の濾過能力の低下、フィルタからの発塵が生じ、異物除去工程後の洗浄液を用いて被洗浄基板を洗浄する(すなわち、従来の洗浄方法)とパーティクルが多数発生してしまう。
【0028】
そこで本発明者は、上記異物除去工程において、併せて洗浄液中の気泡を除去することにより、濾過される洗浄液から気泡を離すことができ、その結果、洗浄液中の気泡を起因とするフィルタの濾過能力の低下、フィルタからの発塵を極めて抑制することができることを見出した。そして、この気泡の除去および異物の除去を行った洗浄液は、異物がほとんど含まれておらず、これを用いて被洗浄基板の洗浄を行うことにより、従来では多発していたパーティクルの発生を著しく低減できることを見出した。
本発明者は上記のことを見出して本発明を完成させた。
【0029】
以下では、本発明の洗浄方法について、図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下に、本発明の洗浄方法を実施するにあたって、異物除去工程で用いることができる異物除去装置を図1−4を参照して説明するが、本発明はこれらの異物除去装置を用いる場合に限定されず、種々の形態の装置を用いることが可能である。従来では異物の除去のみが行われていた異物除去工程において、併せて気泡の除去が行われ、気泡・異物の除去が行われた洗浄液を得られれば良い。
【0030】
(第一の実施形態)
図1に、本発明の洗浄方法を実施するときに、異物除去工程で用いることができる異物除去装置の一例の概略を示す。なお、ユースポイントであるノズル、ノズルから噴射される洗浄液で洗浄される被洗浄基板についても併せて図示している。
この異物除去装置1はハウジング10を有し、このハウジング10には、例えば加温工程等を経た後に送られてくる洗浄液がハウジング10に入るための洗浄液入口11、ハウジング10から気泡の除去および異物の除去が行われた洗浄液が出るための洗浄液出口14が設けられている。さらに、洗浄液を濾過して洗浄液中の異物を除去するためのフィルタ12がハウジング10の内部に配設されている。
【0031】
ここで、図1に示すように、ハウジング10内には、洗浄液入口11から、例えば垂直方向で上方に延びる流路17が設けられており、ハウジング10の上部13へと続いている。そして、この流路17に沿って1つ目のフィルタ12aが配設されている。すなわち、洗浄液入口11から入って流路17を流れる洗浄液が、フィルタ12aのフィルタ面に対して平行な方向の流れ成分を有するように流れるような構造となっている。
そして、フィルタ12aを挟んで流路17の反対側に設けられた流路17’は洗浄液出口14へと続いている。
なお、流路17、17’やフィルタ12aは、図1のような構造や配置に限定されない。
【0032】
また、ハウジング10の上部13には排気口15が設けられている。後述するように、フィルタ12aによって、濾過される洗浄液から気泡が除去されるが、その除去された気泡がハウジング10の上部13へ上昇して排気口15へ向かう構造となっている。
この排気口15には例えば気液分離器16やあるいは間歇弁等が備えられており、これらによって、排気口15付近へ集まった気泡を系外へと排除できるようになっている。
【0033】
気液分離器16としては、すでに多くのものが公知であり、気体分子のみが通過可能な気液分離膜を用い、外側を負圧として気体を除去するもの(例えば特開平10−235103号公報)や、気体と液体の比重差を用いるもの(例えば特開2007−50332号公報)等が知られているが、効率的に気泡が排除されるものであれば、何れのものも使用することができる。
【0034】
一方、上記の文献で開示されている気液分離器のように、洗浄液と気泡を完全に分離して気泡のみを系外へと排除するものを備えるのではなく、洗浄液と気泡を一体として、気泡を含む洗浄液ごと排除してしまうタイプのものを備えることもできる。
例えば上記の比重差を用いる気液分離器のタイプの場合、気泡のみを排除するのではなく、一定量の洗浄液と共に気泡を系外へと排除してしまうものとすることができ、洗浄液と気泡の完全な分離をするための装置の大きさは不必要となり、気液分離器は小型化することができる。
【0035】
なお、この場合、図1に示す排気口15の代わりに、図2に示すような排水ライン15’が設けられる。
そして、排水ライン15’には排水弁19がさらに備えられており、例えばコンピュータと接続されている。そして、異物除去装置1により気泡の除去および異物の除去を行った洗浄液の総量、すなわち、後に実際にユースポイントのノズルに供給される洗浄液の量に応じて、上記コンピュータで排水弁19を制御し、排水ライン15’を通して系外に排除される気泡を含む洗浄液の総量を調整できるようになっている。
【0036】
例えば、ユースポイントでの洗浄液の供給がオンオフの切り替えで制御されるものであれば、排水ライン15’にオンオフのタイプの排水弁を取りつけたものとすることができ、また、ユースポイントでの供給量が変化する場合には、それに応じて排除量を変化させるよう制御可能な排水弁を取りつけたものとすることができる。
【0037】
また、ハウジング10の内部には、図1に示すように、さらに、上部13から垂直方向で下方に延びる流路18が設けられており、この流路18に沿ってフィルタ12bが配設されている。気泡が系外へと排除された洗浄液は、フィルタ12bによって濾過される構造となっている。
そして、フィルタ12bを挟んで流路18の反対側に設けられた流路18’は洗浄液出口14へと続いている。
なお、流路18、18’やフィルタ12bは、図1のような構造や配置に限定されない。
【0038】
そして、洗浄液出口14は、ユースポイントの洗浄装置のノズルへとつながっており、気泡の除去および異物の除去が行われた洗浄液を被洗浄基板に供給できるようになっている。被洗浄基板に洗浄液を噴出するための洗浄装置は、例えば従来と同様のものとすることができる。
なお、信頼性を高めるため、上記異物除去装置1は洗浄装置(ユースポイント)の近位、例えば1メートル以内の位置に配設されているのが好ましい。
【0039】
また、異物除去装置1の手前には、純水製造工程で、洗浄液となる純水を製造するための純水製造装置、加温工程で、製造された純水を加温する加温装置等が配設されている。ただし、例えば加温した洗浄液を必要としないのであれば加温装置を省くことができる。
【0040】
以下、上記のような異物除去装置1を用いて行う異物除去工程を含む本発明の洗浄方法について述べる。
洗浄する被洗浄基板としては、例えば、フォトマスク基板であるSiO基板(例えば特開2002−318450号公報)、フッ化カルシウム基板(例えば特開2001−19596号公報)等の透明フォトマスク基板やチタンドープSiO基板(例えば米国特許公開公報2002/157421号公報)等の反射型フォトマスク基板や、該フォトマスク基板に遮光性等を与えるための単層あるいは多層膜を形成したフォトマスクブランク(例えば特開2007−33470号公報)、さらにパターン照射による焼付けを行なうリソグラフィーにおいて半導体回路図の原図となるフォトマスク(例えば特開2007−33470号公報)を挙げることができ、更にフォトマスクブランクやフォトマスクの製造工程における製造中間体も本発明の洗浄方法の対象となり得る。
【0041】
特に上述のフォトマスクブランクやフォトマスクのように、基板上にスパッタ法などによりケイ素、遷移金属を含有するケイ素やクロム、更にそれらに酸素、窒素、炭素などから選ばれる軽元素を含む膜を成膜した基板、特にクロムを含む膜においては、表面にアンモニウムや硫酸イオンなどの無機塩類の吸着量が多く、これらイオンの除去を行うために、本発明の洗浄方法を特に有効に適用しうる。
【0042】
なお、上述のフォトマスクブランクを被洗浄基板とする場合は、洗浄する前にUV洗浄(例えば特開昭63−271938号公報)やオゾン水処理(特開2003−50453号公報)を行ったものとすると、水の濡れ性が改善でき、本発明を適用する上でより好ましい。さらにはUV照射するときは空気中などの酸素のある雰囲気で行うと、酸素がオゾン化するため、さらに好ましい。
【0043】
また、メガソニックを印加した洗浄水で被洗浄基板を洗浄した後に、本発明の洗浄方法を適用することができる。このとき、メガソニックを印加した純水を用いてもよいし、機能水(アンモニア水素水など)にメガソニックを印加したものを用いてもよい。
【0044】
なお、異物除去工程の前に行う、純水製造工程や加温工程等の手順は、特に限定されず、従来と同様にして行うことができる。
ここでは、純水を洗浄液とし、被洗浄基板をフォトマスク材料、すなわち、フォトマスク基板、フォトマスクブランク、フォトマスク、あるいはそれらの製造中間体のいずれかとする場合について述べるが、これに限定されず、種々のものを洗浄液として、また、被洗浄基板として本発明の洗浄方法を実施することができる。
【0045】
また、加温工程に関しては必要に応じて行えば良い。洗浄液を加温せずに異物除去工程にかけることもできるし、あるいは、例えば40℃以上100℃未満、特には55℃以上95℃以下に加温してから異物除去工程にかけることができる。
このように、洗浄液を加温すると洗浄液中に気泡が発生し易くなるが、本発明の洗浄方法では、異物除去工程で併せて気泡を除去し、気泡の除去および異物の除去を行うことができるので、気泡を起因とするパーティクルの発生の防止に実に有効であり、高い洗浄効果を得ることができる。
また、特には硫酸イオンを効果的に取り除くことができる洗浄液となり、フォトマスク材料の洗浄に好適である。
【0046】
さて、このようにして種々の工程を経て異物除去工程にかけられた洗浄液は、まず、異物除去装置1の洗浄液入口11からハウジング10内に入り、流路17を通る。流路17には、これに沿ってフィルタ12aが配設されているため、洗浄液は、フィルタ12aのフィルタ面に対して平行な方向の流れ成分を有するように流れる。
【0047】
この洗浄液の流れについて図3を参照してさらに説明する。図3は、洗浄液を、フィルタ面に対して平行な方向の流れ成分を有するように流したときの、洗浄液の流れ方を説明するための説明図である。
洗浄液で満たされているフィルタ12a付近を通るとき、洗浄液中の気泡がフィルタ12aに付着しようとすると、気泡は表面張力により抵抗を受ける。このとき、上記のように、洗浄液が流路17を通り、フィルタ12aのフィルタ面に対して平行な方向の流れ成分を有するように洗浄液が流れていると、気泡はフィルタ12aに付着せず、フィルタ面に沿って移動する(図3の場合、上方に移動する)。流路17を流れる洗浄液はフィルタ面に対して平行な方向の流れ成分を有しているため、例えばフィルタ面に対して垂直な方向にのみ流れる場合に比べると、フィルタ12aでの洗浄液の濾過量に対して十分な移動が行なわれるために、より効果的に、気泡を付着させることなくフィルタ面から離すことができる。
【0048】
そして、図3に示した通り、ある時点におけるフィルタ面近傍のある単位体積(A)中の洗浄液は、次の時間に、一部はフィルタ12aを通過する(a)が、残りはフィルタ12aのフィルタ面に対して平行な方向に移動する(b)。
ただし、これは洗浄液の流れがフィルタ面に対して平行な方向の成分を持てば良く、図3のようにフィルタ12aを流路17に対して平行に配設する場合に限られない。例えばフィルタ12aを流路17に対して斜めに配設した場合にも、洗浄液は、フィルタ12aのフィルタ面に対して平行な方向に流れ成分を持つものである。
【0049】
上記のようにして、フィルタ12aに対して、気泡が付着して濾過圧が急激に高まるのを防ぐことができる。したがって、洗浄液中の異物の除去能力が低下するのを防止できるし、濾過圧の変化によるフィルタからの発塵を防ぐことが可能である。フィルタ12aが、気泡除去、異物除去の機能を兼ね備えるので、必要以上に気泡除去のための手段を配設せずに済み、省スペースで所望の洗浄液を得ることができる。
【0050】
フィルタ12aで濾過された洗浄液は流路17’を通り、洗浄液出口14へと向かう。
一方、フィルタ12aのフィルタ面から離れた気泡は、ハウジング10の上部13をさらに上昇し排気口15(あるいは排水ライン15’)へと向かう。
【0051】
図1に示すような排気口15を有する異物除去装置を用いた場合、集まった気泡を、例えば気液分離器16によって、洗浄液と分離して系外へ排除する。
【0052】
また、図2に示すような排水ライン15’を有する異物除去装置を用いた場合、集まった気泡を洗浄液ごと、気液分離器、排水ライン15’を通して系外へ排除する。
このように気泡を洗浄液ごと排除するのであれば、気泡を洗浄液から完全に分離する必要がなくなるため、例えばより簡易でコンパクトな気液分離器を用いることが可能となり、省スペースで本発明の洗浄方法を実施することができるし、より確実に気泡を系外へと排除することができる。
【0053】
なお、このように気泡を含む洗浄液ごと系外へ排除するとき、この洗浄液の排除する総量を、異物除去工程で気泡の除去および異物の除去を行った洗浄液の総量、すなわち、後に被洗浄基板に供給される洗浄液の量に応じて調整することができる。例えば、排水ライン15’の排水弁19、ユースポイントであるノズル、これらと接続するコンピュータを用い、コンピュータによる制御で、ノズルから被洗浄基板に供給される量に応じて排水弁19の開閉等を調整することで行うことができる。
このようにすれば、洗浄液の排除を効率良く行うことができ、不要に洗浄液を系外へ排除してしまうのを防ぐことができ、効率良く気泡ごと洗浄液を排除でき、コストを改善することができる。
【0054】
このとき、洗浄液の排除する総量は特に限定されず、その都度決定することができるが、例えば、被洗浄基板に供給される洗浄液の量の1倍以上を目安とすれば、気泡をより適切に系外へ排除することができる。
【0055】
また、フィルタ12aで濾過されなかった洗浄液は、ハウジング10の上部13、流路18を流れ、フィルタ12bにより濾過された後、流路18’から洗浄液出口14へと向かう。
【0056】
以上のようにして、異物除去装置1を用いた異物除去工程によって、気泡の除去および異物の除去を行った洗浄液を得ることができる。この洗浄液においては、従来法では発生してしまっていた気泡を起因とする異物の量が著しく低減されている。
そして、次の洗浄工程において、上記洗浄液を被洗浄基板に供給して洗浄を行う。被洗浄基板への洗浄液の供給方法は特に限定されず、例えば、従来と同様の洗浄装置を用い、ノズル等により洗浄液を供給することが可能である。
【0057】
したがって、この本発明の洗浄方法によって、気泡を起因とするパーティクルの発生を従来に比べて極めて抑制することができ、パーティクルによる汚染の少ない基板に洗浄することができる。これにより、製品の歩留りや生産性を向上することができる。
【0058】
これに対して、従来では、前の工程である純水製造工程や加温工程において気泡を系外へ排除する処理を行っていても、その後の異物除去工程においては行っていなかった。そのため、前述したように、加温工程等での気泡の排除が不十分であったり、異物除去工程にかけるために洗浄液を送液している最中に、過飽和状態の気体が洗浄液中に気泡として取り込まれてしまうと、異物除去工程で洗浄液をフィルタで濾過するとき、その気泡が原因で濾過圧の低下が生じてしまう。その結果、異物除去工程を行ったにもかかわらず、洗浄液中に異物が多数含まれてしまう。
【0059】
(第二の実施形態)
図4に、本発明の洗浄方法を実施するときに、異物除去工程で用いることができる別の異物除去装置の一例の概略を示す。
この異物除去装置2では、図1の異物除去装置1に比べてフィルタがさらに一つ多く配設されており、図1のフィルタ12a、流路17、17’、排気口15からなる構造が多段に設けられた構造となっている。
なお、図4の異物除去装置2の各部自体は、図1の異物除去装置1と同様のものとすることができる。
【0060】
このような異物除去装置2を用いて本発明の洗浄方法における異物除去工程を行えば、多段に気泡の除去および異物の除去を行うことができるので、この異物除去工程を経た洗浄液中において、異物の量を一層少なくすることができる。したがって、被洗浄基板をより清浄度高く洗浄し、パーティクルによる汚染をさらに抑制することができ、歩留り、生産性を高めることが可能である。
【0061】
なお、気泡の除去および異物の除去はさらに多く行うこともでき、必要に応じて、適宜その段数を決定することができる。
また、異物除去工程後の洗浄工程等は特に限定されず、例えば従来と同様の手順で行うことができる。
【0062】
(第三の実施形態)
図5に、異物除去工程で用いることができるさらに他の異物除去装置の一例の概略を示す。
この異物除去装置3は、円筒状のハウジング30を有し、水平方向に開いた洗浄液入口31、それと対峙して洗浄液出口34が設けられている。ハウジング30の内部にはフィルタ32が配設されており、ハウジング30に入った洗浄液はフィルタ32により濾過され、流路37’を流れて洗浄液出口34から出される構造になっている。
【0063】
また、図5に示すように、ハウジング30の洗浄液出口34と同じ側には排水ライン35’が設けられている。ただし、この排水ライン35’を設ける位置は特に限定されず、また複数設けることもできる。後述するように、洗浄液が、フィルタ32のフィルタ面に対して平行な方向の流れ成分を有するように、洗浄液の流れをつくることができる位置に設けられていれば良い。
【0064】
このような異物除去装置3を用いて本発明の洗浄方法における異物除去工程を行う場合、排水ライン35’から洗浄液の一部を排除しながら行う。
排水ライン35’から洗浄液の一部を排除せずにフィルタ32で洗浄液を濾過しようとすると(すなわち従来法)、フィルタ32の界面付近では、洗浄液はフィルタ面にほぼ垂直な流れ方向を持って濾過され、濾過された洗浄液は洗浄液出口34を通ってユースポイントに送られる。このような異物除去工程を経た場合、従来における気泡を起因とする問題を解消することはできない。
しかし、ユースポイントに洗浄液が送られる際に排水ライン35’を開け、流路37を通して洗浄液の一部を排除してやることにより、フィルタ32の界面付近でフィルタ面に対して平行な方向の洗浄液の流れを作ることができる。これにより、洗浄液中の気泡をフィルタ32に付着させることなく除去し、さらには洗浄液ごと排水ライン35’から排除することができる。一方、フィルタ32で濾過された洗浄液は、気泡の除去および異物の除去がなされ、洗浄液出口34を通って被洗浄基板へと向かう。
このようにして、洗浄液中の気泡の除去および異物の除去を行った洗浄液を得ることができ、該洗浄液を洗浄工程で被洗浄基板に供給して洗浄することができる。
【0065】
以上、例えば上記異物除去装置1−3を用いて本発明の洗浄方法を行うことが可能であるが、先に述べたように、本発明の洗浄方法はこれらに限定されず、異物除去工程において、異物の除去に併せて気泡の除去も行われれば良く、種々の形態の異物除去装置を用いて行うことができる。
例えば、フィルタの配設位置の直前に気液分離器等を配設したものを用い、該気液分離器を用いて洗浄液中の気泡を除去、さらには系外へと排除してから、フィルタによって洗浄液を濾過することによって、気泡の除去および異物の除去を行った洗浄液を得ることができる。
【0066】
なお、本発明の洗浄方法は、特に温水を用いた洗浄時に高い効果を得ることができるが、温水による洗浄は、次のような場合特に有利である。即ち、被洗浄基板がレジスト剥離液のような硫酸含有洗浄液、硫酸塩を含有する界面活性剤のような、硫酸又は硫酸塩を含有する材料で洗浄したものでる場合は、温水による洗浄とすることで硫酸イオン除去が良好に達成される。このような硫酸イオン除去を目的として洗浄する場合、加温した温水による処理時間は被洗浄基板の大きさ、供給温水の単位時間供給量等に応じて適宜調整することができる。一般的には30秒〜20分程度、温水を被洗浄基板上に供給してやることが好ましい。
【0067】
これにより、特に、前記被洗浄基板が、波長200nm以下の露光光源を使用するリソグラフィーで用いるものを対象とした場合には、上述の通り硫酸イオン汚染を低く抑える必要があるが、本発明の洗浄方法により温水洗浄を行なうことで、硫酸イオン汚染を低く抑えると共にパーティクル汚染の少ない洗浄基板が得られ、特に好ましい効果を得ることができる。
【実施例】
【0068】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
(実施例1)
スピン洗浄・乾燥機に洗浄液を供給し、フォトマスク基板を洗浄、スピン乾燥可能な装置について、この装置より手前に、洗浄液を送るラインにラインヒーターを設置して、供給する洗浄液を加温できるようにした。さらに、このラインヒーターにより加温された温水がスピン洗浄装置に送られる直前の位置に図4の異物除去装置を取りつけた。また、スピン洗浄装置は温水を用いた場合にも装置内にミストが立ち込めないように清浄なエアーによる十分な換気を行えるものとした。
【0069】
次に、被洗浄基板として、主面にCrN(Cr:N=9:1(原子比))からなる遮光膜26nmとCrON(Cr:N:O=4:5:1(原子比))からなる反射防止膜20nmをスパッタで成膜した0.2μm以上の欠陥がない石英基板を上記スピン洗浄・乾燥機にセットし、172nmの波長のXeエキシマUV光を空気中で3分間照射した後に、周波数1.5MHzで出力100Wのメガソニックを印加したアンモニア水素水(アンモニア濃度2ppmm 水素濃度1.4ppm)で4分間スピン洗浄を行った(以上の処理は後述する他の実施例、比較例でも同様にして行われる)。
次に、ラインヒーターで60℃に加温し、上記異物除去装置を用いた異物除去工程にかけた純水を、10分間、毎分1L供給して洗浄し、洗浄後1000rpmで30秒間スピン乾燥を行った。
なお、上記異物除去工程で、排水ラインから排除される洗浄液の総量は、洗浄ノズルから毎分1Lの洗浄液を供給するのに対して、1Lの洗浄液が排除されるように設定した。
【0070】
この処理を行った後、レーザーテック社製MAGICSを用いて基板の表面欠陥数を計測したところ、直径0.2μm以上の大きさの欠陥は65個であった。
【0071】
(実施例2)
実施例1のスピン洗浄・乾燥機において、図5の、排水ラインを持ち、洗浄装置に供給する洗浄液量に連動して排水ラインから排除される洗浄液量が調整できる異物除去装置を取り付けた。
実施例1と同様の被洗浄基板に同様の処理を施し、次に、ラインヒーターで60℃に加温し、上記異物除去装置を用いた異物除去工程にかけた純水を、10分間、毎分1L供給して洗浄し、洗浄後1000rpmで30秒間スピン乾燥を行った。
なお、上記異物除去工程で、排水ラインから排除される洗浄液の総量は、洗浄ノズルから毎分1Lの洗浄液を供給するのに対して、1Lの洗浄液が排除されるように設定した。
【0072】
この処理後、乾燥された基板の表面欠陥数を実施例1と同様にして計測したところ、直径0.2μm以上の大きさの欠陥は213個であった。
【0073】
(実施例3)
実施例2の装置を用い、実施例1と同様の被洗浄基板に同様の処理を施し、次に、ラインヒーターで60℃に加温し、上記異物除去装置を用いた異物除去工程にかけた純水を、10分間、毎分1L供給して洗浄し、洗浄後1000rpmで30秒間スピン乾燥を行った。
なお、上記異物除去工程で、排水ラインから排除される洗浄液の総量は、洗浄ノズルから毎分1Lの洗浄液を供給するのに対して、2.8Lの洗浄液が排除されるように設定した。
【0074】
この処理後、乾燥された基板の表面欠陥数を実施例1と同様にして計測したところ、直径0.2μm以上の大きさの欠陥は0個であった。
【0075】
(実施例4)
実施例2の装置を用い、実施例1と同様の被洗浄基板に同様の処理を施し、次に、ラインヒーターで80℃に加温し、上記異物除去装置を用いた異物除去工程にかけた純水を、10分間、毎分1L供給して洗浄し、洗浄後1000rpmで30秒間スピン乾燥を行った。
なお、上記異物除去工程で、排水ラインから排除される洗浄液の総量は、洗浄ノズルから毎分1Lの洗浄液を供給するのに対して、2.8Lの洗浄液が排除されるように設定した。
【0076】
この処理後、乾燥された基板の表面欠陥数を上記と同様に計測したところ、直径0.2μm以上の大きさの欠陥は5個であった。
【0077】
(比較例1)
実施例2の装置を用い、実施例1と同様の被洗浄基板に同様の処理を施し、次に、ラインヒーターで60℃に加温し、上記異物除去装置を用いた異物除去工程にかけた純水を、10分間、毎分1L供給して洗浄し、洗浄後1000rpmで30秒間スピン乾燥を行った。
なお、排水ラインは閉じ、排除する洗浄液量は0とした。すなわち、洗浄液中の気泡を除去せず、従来法により洗浄した。
【0078】
この処理工程により乾燥された基板の表面欠陥数を上記と同様に計測したところ、1334個であった。
【0079】
上記実施例1−4と比較例1から分かるように、本発明の洗浄方法を実施し、異物除去工程で併せて気泡の除去を行い、気泡の除去および異物の除去が行われた洗浄液を用いて被洗浄基板の洗浄を行った実施例1−4では、洗浄後の基板における欠陥数は最大でも200個程度に抑えることができた。
しかしながら、本発明の洗浄方法を実施せず、従来と同様に、異物除去工程でただ単に異物を除去しただけの比較例1では、欠陥数は1300個程度にもなってしまった。
このように、本発明の洗浄方法によって欠陥数を著しく抑制できたことが分かる。
【0080】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の洗浄方法において、異物除去工程で用いることができる異物除去装置の一例の概略を示す概略図である。
【図2】本発明の洗浄方法において、異物除去工程で用いることができる別の異物除去装置の一例の概略を示す概略図である。
【図3】洗浄液の流れを説明するための説明図である。
【図4】本発明の洗浄方法において、異物除去工程で用いることができる別の異物除去装置の一例の概略を示す概略図である。
【図5】本発明の洗浄方法において、異物除去工程で用いることができる別の異物除去装置の一例の概略を示す概略図である。
【符号の説明】
【0082】
1、2、3…異物除去装置、 10、30…ハウジング、
11、31…洗浄液入口、 12(12a、12b)、32…フィルタ、
13…ハウジングの上部、 14、34…洗浄液出口、
15…排気口、 15’、35’…排水ライン、
16…気液分離器、 17、17’、18、18’、37、37’…流路、
19…排水弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液中の異物を除去する異物除去工程を含み、異物を除去した洗浄液を被洗浄基板に供給して洗浄する洗浄方法であって、
少なくとも、前記洗浄液をフィルタで濾過して洗浄液中の異物を除去する前記異物除去工程において、併せて洗浄液中の気泡を除去し、
前記気泡の除去および異物の除去を行った洗浄液を被洗浄基板に供給して洗浄することを特徴とする洗浄方法。
【請求項2】
前記洗浄液を、前記フィルタのフィルタ面に対して平行な方向の流れ成分を有するように流して、気泡を除去しつつ濾過することを特徴とする請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項3】
前記洗浄液中の気泡の除去および異物の除去を多段で行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗浄方法。
【請求項4】
前記洗浄液中の気泡を系外へ排除するのを、該気泡を含む洗浄液ごと排除することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の洗浄方法。
【請求項5】
前記気泡を含む洗浄液ごと系外へ排除するとき、該洗浄液の排除する総量を、
前記気泡の除去および異物の除去を行った洗浄液の総量に応じて調整することを特徴とする請求項4に記載の洗浄方法。
【請求項6】
前記洗浄液の排除する総量を、前記気泡の除去および異物の除去を行った洗浄液の総量の1倍以上とすることを特徴とする請求項5に記載の洗浄方法。
【請求項7】
前記洗浄液中の気泡を気液分離器を用いて系外へ排除することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の洗浄方法。
【請求項8】
前記洗浄液を40℃以上100℃未満に加温してから、前記気泡の除去および異物の除去を行うことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の洗浄方法。
【請求項9】
前記被洗浄基板をフォトマスク基板、フォトマスクブランク、フォトマスク、あるいはそれらの製造中間体のいずれかとすることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の洗浄方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−21448(P2009−21448A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−183631(P2007−183631)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】